(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】CXCR4アンタゴニストおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
C07K 7/00 20060101AFI20220706BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220706BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220706BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220706BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20220706BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220706BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220706BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220706BHJP
A61K 38/12 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
C07K7/00 ZNA
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P11/00
A61P31/18
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61K38/12
(21)【出願番号】P 2019533297
(86)(22)【出願日】2017-09-05
(86)【国際出願番号】 US2017050106
(87)【国際公開番号】W WO2018048806
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-07-10
(32)【優先日】2016-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519073036
【氏名又は名称】メインライン バイオサエンシズ
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【氏名又は名称】平田 緑
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ユンゲ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,リャン ツェン
【審査官】斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-529957(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0079292(US,A1)
【文献】特表2015-521204(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102626522(CN,A)
【文献】PENG, S.-B. et al.,Identification of LY2510924, a Novel Cyclic Peptide CXCR4 Antagonist That Exhibits Antitumor Activities in Solid Tumor and Breast Cancer Metastatic Models,Molecular Cancer Therapeutics,Vol. 14, No. 2,2014年,P. 480-490
【文献】YOSHIKAWA, Y. et al.,Molecular modeling study of cyclic pentapeptide CXCR4 antagonists: New insight into CXCR4-FC131 interactions,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2012年,Vol. 22,P. 2146-2150
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化1】
式中、
aは0または1;
AA
1はそれに結合しているイオウ原子と共に、3-メルカプトプロピオン酸、任意に置換されたシステイン、または任意に置換されたホモシステイン;
AA
2はそれに結合しているイオウ原子と共に、システインまたはホモシステイン;
Ar
1は任意に置換されたアリール;
X
1は、Arg、Dap、Dab、Orn、Lys、Dap(iPr)、Dab(iPr)、Orn(iPr)、またはLys(iPr);
X
2は、Arg、Dap、Dab、Orn、Lys、Dap(iPr)、Dab(iPr)、Orn(iPr)、Lys(iPr)、D-Arg、D-Dap、D-Dab、D-Orn、D-Lys、D-Dap(iPr)、D-Dab(iPr)、D-Orn(iPr)またはD-Lys(iPr);
X
3はGlyまたは不存在;
X
4はPhe、2Nal、1Nal
、(D)-Phe、(D)-2Nal、(D)-1Nalまたは不存在;
X
5はGlyまたは不存在;
R
2は-OR
4または-NHR
5;
R
4はHまたはアルキル;および
R
5はH、アルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアラルキルである。
【請求項2】
次の式の請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化2】
式中、
aは0または1;
mおよびnは独立して1または2;
R
1はHまたは-NHR
3であって、R
3はH、アルキル、アシル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアラルキル、-C(=O)-Ar
aであって、Ar
aは任意に置換されたアリール;および
Ar
1、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5およびR
2は請求項1に定義されているものである。
【請求項3】
薬学的に許容される塩は酢酸塩、塩酸塩、またはトリフルオロ酢酸塩である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
a=1およびAr
1は任意に置換されたフェニルである、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
m=1およびn=1である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
m=1およびn=2である、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
m=2およびn=1である、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
X
2は、D-Arg、D-Dap、D-Dab、D-Orn、D-Lys、D-Dap(iPr)、D-Dab(iPr)、D-Orn(iPr)またはD-Lys(iPr)である、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
X
4は、
(D)-Phe、(D)-2Nal、(D)-1Nalまたは不存在である、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
R
1はHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
R
1はAc-NHおよびm=2である、請求項2に記載の化合物。
【請求項12】
R
2は-NH(Et)およびX
4とX
5は不存在である、請求項2に記載の化合物。
【請求項13】
配列番号4~28からなる群から選択される、化合物。
【請求項14】
m=1、n=1およびR
1はNHR
3であって、R
3は請求項2で定義されるものである、請求項2に記載の化合物。
【請求項15】
m=1、n=2およびR
1はNHR
3であって、R
3は請求項2で定義されるものである、請求項2に記載の化合物。
【請求項16】
m=2、n=1およびR
1はNHR
3であって、R
3は請求項2で定義されるものである、請求項2に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1の化合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項18】
薬学的に許容される賦形剤は、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、結合剤、香味剤、またはそれらの組合せを含む、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
CXCR4活性化に関連する臨床状態を被っている対象を治療する
ための医薬の製造における、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物の
使用。
【請求項20】
前記臨床状態は関節リウマチ、肺線維症、HIV感染、または癌を含む、請求項19に記載の
使用。
【請求項21】
前記癌は、乳癌、膵臓がん、黒色腫、前立腺がん、腎がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、肺がん、卵巣がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫、多形神経膠芽腫、および慢性リンパ性白血病からなる群から選択される、請求項20に記載の
使用。
【請求項22】
関節リウマチ、肺線維症、HIV感染、または癌を有する患者の治療
のための医薬の製造における、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物の
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
【0002】
2016年9月6日出願の米国仮出願番号62/384,132、2017年5月11日出願の米国仮出願番号62/505,064の全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、本願はこれらの優先の利益を請求する。
【0003】
発明の分野
【0004】
本発明は、C-X-Cケモカイン受容体タイプ4(CXCR4)アンタゴニストおよびその使用方法に関する。特に、本発明の化合物は環状ペプチドおよびその類似体である。本発明の化合物は、CXCR4の過剰発現および/または上方制御に関連した病態、例えば、がん、HIV感染、免疫障害(例えば、関節リウマチ)および肺線維症を治療するのに有用である。本発明の化合物は幹細胞治療においても使用することができる。
【背景技術】
【0005】
ケモカインとケモカイン受容体のペアである、CXCL12(間質細胞由来因子1またはSDF-1とも呼ばれる)とCXCR4が、造血、多段階の腫瘍形成、および胚発生において重要な役割を果たすことが研究により示されている(非特許文献1;非特許文献2)。例えば、CXCL12によるCXCR4の活性化は、炎症および胚発生中の前駆細胞のの遊走に応答して、免疫系における白血球の走化性を方向づけることが示されている。CXCL12によるCXCR4の活性化はまた、乳癌転移および記憶T細胞遊走に関与するシグナル伝達経路を媒介することが示されている(非特許文献3)。
【0006】
CXCR4(Gタンパク質共役型受容体、フシン(fusin)またはCD184としても知られる)は、さまざまなヒトの癌で構成的に発現または過剰発現しており、局所的な腫瘍細胞の増殖、生存および血管新生を促進する(非特許文献4)。CXCR4は、HIV侵入および宿主細胞の感染のための共受容体であり、潜在的なHIV療法として評価されていることも報告されている(非特許文献5;非特許文献6)。
【0007】
間質細胞由来因子1(SDF-1/CXCL12)は骨髄間質細胞によって構成的に高レベルで発現され (非特許文献7)、それはT細胞、単球、プレB細胞、樹状細胞および造血前駆細胞にとって非常に効率的な走化性因子です(非特許文献8;非特許文献9)。SDF-1またはCXCR4遺伝子のいずれかのマウスにおける標的破壊は、非常に類似した表現型をもたらし、致死であり、胎児骨髄におけるリンパ性造血と骨髄性造血の両方の欠如を含む、多くの重度の発達障害を伴う(非特許文献10)。さらに、SDF-1およびCXCR4が造血幹細胞の骨髄への生着において重要な役割を果たすことが示されている(非特許文献11)。
【0008】
これらの深刻な疾患におけるCXCR4/SDF-1シグナル伝達経路の関与を考慮すると、このシグナル伝達経路は重要な治療標的と考えられる。
【0009】
AMD3100(bicyclam CXCR4アンタゴニスト)は、多発性骨髄腫および非ホジキンリンパ腫の患者における幹細胞の移植のための造血幹細胞動員における使用のための顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)との組み合わせでFDAによって承認されている。AMD070(別の低分子CXCR4アンタゴニスト)は、HIV感染のための第II相臨床試験に進んだ。CTCE9908(二価(二量体)ペプチドCXCR4アンタゴニスト)は、癌の治療法として探求されてきた。初期のリードT140(ジスルフィド環状ペプチド)に基づき、Fujiiと共同研究者らは、3nMのIC50でCXCR4形質移入体への125I-SDF-1の結合を阻害する、FC131(環状ペンタペプチドラクタムCXCR4アンタゴニスト)をさらに開発した (非特許文献12;非特許文献13)。最近になって、CXCR4に対するアンタゴニストとしての環状ペプチドラクタムが腎臓癌の治療のための第II相臨床試験において評価された (非特許文献14)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】Broxmeyer, H.E. etal., Int. J. Hematol.2001, 74, 9-17
【文献】Horuk, R., Nat.Rev. Drug Discov.2009, 8, 23-33
【文献】Orimo, A., et al.,Cell 2005, 121, 335-348
【文献】Huang, E.H., et al., J. Surg. Res. 2009, 155,231-236
【文献】Tamamura, H., etal., Biochem. Biophys. Res.Commun. 1998, 253, 877-882
【文献】Oberlin, E. et al., Nature, 1996, 382,833-835
【文献】Nagasawa T., et al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA 1994, 91, 2305-2309
【文献】Baggiolini M.,Nature 1998, 392, 565-568
【文献】Moser B., et al., Nat. Immunol. 2001, 2,123-128
【文献】Zou, Y.R. et al., Nature 1998, 393, 595-599
【文献】Peled A., et al.,Science 1999, 283, 845-848
【文献】Fujii et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2003,42:3251-3253
【文献】Tamamura, et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2000,10, 2633-2637
【文献】Peng, S., et al., Mol. Cancer Ther. 2015,14, 480-490
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの研究努力にもかかわらず、治療的処置の選択肢として強力かつ選択的である改善されたCXCR4アンタゴニストに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
CXCR4は、癌、ウイルス感染、ならびに関節リウマチなどの自己免疫病理を含む様々な疾患および障害における免疫および炎症反応において重要な役割を果たす。本発明のいくつかの態様は、CXCR4アンタゴニストである化合物およびそれを使用してCXCR4の過剰発現および/または活性化によって現れるまたは関連する臨床状態を治療する方法を提供する。特に、本発明のいくつかの態様において、次の式の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する:
【化1】
式中、aは0または1;AA
1はそれに結合しているイオウ原子と共に、3-メルカプトプロピオン酸、任意に置換されたシステイン、または任意に置換されたホモシステインである;AA
2はそれに結合しているイオウ原子と共に、システインまたはホモシステインである;Ar
1は任意に置換されたアリールである;X
1は、Arg、Dap、Dab、Orn、Lys、Dap(iPr)、Dab(iPr)、Orn(iPr)、またはLys(iPr)である;X
2は、Arg、Dap、Dab、Orn、Lys、Dap(iPr)、Dab(iPr)、Orn(iPr)、Lys(iPr)、D-Arg、D-Dap、D-Dab、D-Orn、D-Lys、D-Dap(iPr)、D-Dab(iPr)、D-Orn(iPr)、D-Lys(iPr)または不存在である;X
3はGlyまたは不存在である;X
4はPhe、2Nal、1Nalまたは不存在である;X
5はGlyまたは不存在である;R
2は-OR
4または-NHR
5であって、R
4はHまたはアルキル;R
5はH、アルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアラルキルである。用語「任意に置換された」は、システインまたはホモシステインをいう場合、システインまたはホモシステインのα-アミノ基が任意に置換されていることを意味する。典型的な置換基としては、カルボキシル基(例えば、アシル、ベンゾイル、2-フェニルアシルなど)、アルキル基、および当業者に知られている他のアミノ保護基が含まれるが、これらに限定されない。
【0013】
より具体的にいくつかの態様において、本発明の化合物は次の式の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
【化2】
式中、mおよびnの各々は独立して1または2である;R
1はHまたは-NHR
3であって、R
3はH、アルキル、アシル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアラルキル、-C(=O)-Ar
aであって、Ar
aは任意に置換されたアリールである;およびAr
1、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5およびR
2は本明細書に定義されているものである。
【0014】
いくつかの態様において、aは0であり、かつnは1であり、すなわち次式の化合物である:
【化3】
式中、R
1、X
1~X
5、R
2およびmは本明細書に定義されているものである。
【0015】
本発明の化合物の具体的な例は以下を含むが、これに限定されるものではない:シクロ [Mpa-Tyr-Arg-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Arg-Gly-(D-Phe)-Gly-NH2 (配列番号4); シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Arg-Gly-(D-Phe)-Gly-NH2 (配列番号5); シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-(D-Phe)-Gly-NH2(配列番号6);シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-(D-Arg)-Gly-(D-Phe)-Gly-NH2(配列番号7);シクロ[Mpa-Arg-Tyr-Arg-2Nal-Gly-Cys]-Arg-Gly-(D-Phe)-Gly-NH2 (配列番号8);シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-(D-Phe)-Gly-NH(Et)(配列番号9);シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH(Et) (配列番号10);シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-2Nal-Gly-NH2(配列番号11); Ac-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-(D-Phe)-Gly-NH2(配列番号12);Ac-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH2(配列番号13);ベンゾイル-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH2(配列番号14);ベンゾイル-シクロ[Cys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-hCys]-Lys(iPr)-Gly-NH2(配列番号15);ベンゾイル-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH(Et) (配列番号16);フェニルアセチル-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH2(配列番号17); Ac-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH(Et) (配列番号18);シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Lys(Ac)-NH(Et)(配列番号19);シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Lys(ラウロイル)-NH(Et)(配列番号20);シクロ [Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Lys(パルミトイル)-NH(Et)(配列番号21);
【化4】
式中mおよびnの各々は独立して1または2である;
【化5】
;
【化6】
式中、R
3はアルキルまたはアシルである。-S-CH
2-Ar-CH
2-S-部分を有する化合物において、それぞれの「-S-CH
2-」基は、アリール基上の異なる場所で置換され得ることが理解されるべきである。例えば、Arがフェニルであるとき、「-S-CH
2-」基はフェニル環系の1,2-、1,3-または1,4-位に存在することができる。
【0016】
本発明の別の態様では、そのような治療を必要とする対象に治療有効量の式Iの化合物を投与することによる、CXCR4の過剰発現および/または上方制御に関連する臨床状態を有する対象を治療する方法を提供する。本発明の化合物を用いて治療することができる例示的な臨床状態としては、関節リウマチ、肺線維症、HIV感染、および癌を含むが、これらに限定されない。本発明の化合物で治療することができる癌の具体例には乳癌、膵臓がん、黒色腫、前立腺がん、腎がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、肺がん、卵巣がん、結腸直腸がん、多発性骨髄腫、多形神経膠芽腫、および慢性リンパ性白血病が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、いくつかのMLBペプチドがTNBCMDA-MB-231細胞におけるリガンド(SDF-1α)誘導細胞遊走を阻害することができたことを示すアッセイデータである。0時間の緑色は最初のスクラッチ領域を示す;12時間または16時間の緑色は、細胞が移動していない残りの領域を示す。
【
図2】
図2は、MDA-MB-231細胞に対する細胞遊走アッセイの定量化を示すグラフである。
【
図3】
図3は、MLBペプチドがSDF-1α誘導性HCC1806細胞遊走も阻害することを示すアッセイデータである。0時間の緑色は最初のスクラッチ領域を示す;12時間の緑色は細胞が移動していない残りの領域を示す。
【
図4】
図4は、HCC1806細胞遊走アッセイの定量化を示すグラフである。
【
図5】
図5は、MDA-MB-231細胞に対する細胞浸潤アッセイの定量化を示すグラフである。
【
図6】
図6は、HCC1806細胞に対する細胞浸潤アッセイの定量化を示すグラフである。
【
図7】
図7は、NSCLCA549細胞に対する細胞浸潤アッセイの定量化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義:
【0019】
用語「アルキル」は、1~18個、典型的には1~12個、そしてしばしば1~6個の炭素原子の飽和直鎖状一価炭化水素部分または3~18個、典型的には3~12そしてしばしば3~6個の炭素原子の飽和分岐状一価炭化水素部分をいう。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、tert-ブチル、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、オクチル、ドデシル、オクタデシルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
用語「アシル」は式-C(=O)-Raの部分をいい、Raは本明細書で定義されるアルキルである。
【0021】
用語「アリール」は、6~24個の環原子の一価の単環式、二環式または三環式芳香族炭化水素部分をいう。例示的なアリール基としては、フェニル、ナフト-1-イル、ナフト-2-イル、アントラセニルなどが含まれるが、これらに限定されない。用語「任意に置換されたアリール」は、アリール基が、環構造内の1個以上、好ましくは1、2または3個の置換基で任意に置換され得ることを意味する。アリール基中に2個以上の置換基が存在するとき、各置換基は独立して選択される。アリール基の例示的な置換基としては、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、アシル、カルボン酸およびそれらのエステル(例えば、-CO2Rであって、RはHまたはアルキル)およびアミドなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
用語「ハロ」、「ハロゲン」および「ハロゲン化物」は、本明細書中で交換可能に使用され、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードをいう。
【0023】
「ハロアルキル」は、1個以上の水素原子が同一または異なるハロゲン化物で置き換えられている、本明細書で定義のアルキル基を意味する。用語「ハロアルキル」は、全てのアルキル水素原子がハロゲン原子で置き換えられている過ハロゲン化アルキル基も含む。例示的なハロアルキル基は。-CH2Cl、-CF3、-CH2CF3、-CH2CCl3、などを含むが、これらに限定されない。
【0024】
「ヘテロアルキル」は、炭素原子の代わりに炭素、水素および1個以上のヘテロ原子を含む飽和アルキル部分、あるいは任意で=O、-ORa、-C(O)Ra、-NRbRc、-C(O)NRbRcおよび-S(O)nRd(nは0から2の整数)から独立して選択される1個以上のヘテロ原子含有置換基を意味する。
【0025】
「アラルキル」は、式-RbRcの部分を指し、式中、Rbはアルキレン基であり、Rcは本明細書で定義されるアリール基である。用語「任意に置換されたアラルキル」は、アリール基(すなわち、Rc部分)が本明細書に定義されるとおり任意に置換されたアリールであることを意味する。例示的なアラルキル基としては、ベンジル、フェニル基が任意に置換されているベンジル基などが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
「アルキレン」は、1~18個、好ましくは1~12個、より好ましくは1~8個の炭素原子の飽和直鎖状二価炭化水素部分、または3~18個、好ましくは3~12個、より好ましくは3~8個の炭素原子の分岐状飽和二価炭化水素部分をいう。例示的なアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
「薬学的に許容される賦形剤」は、一般的に安全で無毒で生物学的にもその他の点でも望ましくない医薬組成物を調製するのに有用であり、獣医学的用途ならびにヒトの薬学的用途に許容される賦形剤を含む賦形剤をいう。
【0028】
化合物の「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容され、かつ親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。そのような塩は以下を含む:(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸で形成された酸付加塩;または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクト-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸で形成される;または(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、またはアルミニウムイオンで置換されたときに形成される塩;または、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンなどの有機塩基と配位結合する塩。
【0029】
「保護基」とは、分子中の反応性基に結合したときにその反応性をマスクする、低下させる、または防止する、アルキル基以外の部分をいう。保護基の例は、T.W. Greene and P.G.M. Wuts, ProtectiveGroups in Organic Synthesis, 3rd edition, JohnWiley & Sons, New York, 1999、および Harrisonand Harrison et al., Compendium of SyntheticOrganic Methods, Vols. 1-8 (JohnWiley and Sons,1971-1996)に見つけることができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。代表的なヒドロキシ保護基としては、アシル基、ベンジルおよびトリチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテルおよびアリルエーテルを含む。代表的なアミノ保護基としては、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、トリメチルシリル(TMS)、2-トリメチルシリル-エタンスルホニル(SES)、トリチルおよび置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ニトロ-ベラトリルオキシカルボニル(NVOC)などを含む。
【0030】
「対応する保護基」は、それが結合しているヘテロ原子(すなわち、N、O、PまたはS)に対応する適切な保護基を意味する。
【0031】
「治療有効量」は、疾患を治療するために哺乳動物に投与したときに、その疾患に対してそのような治療を行うのに十分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患およびその重症度、ならびに治療される哺乳動物の年齢、体重などに応じて変わるであろう。
【0032】
疾患の「治療」または「処置」は以下を含む:(1)疾患を予防すること、すなわち、疾患の臨床状態を、その疾患にさらされるかまたはその素因を与える可能性があるがその疾患の症状をまだ経験していないかまたは示していない哺乳動物において発症しないようにすること;(2)疾患を抑制すること、すなわち、疾患またはその臨床症状の発症を阻止または軽減すること;または(3)疾患を和らげること、すなわち、疾患やその臨床状態の後退を引き起こすこと。
【0033】
本明細書で使用される、用語「処理する」、「接触させる」または「反応させる」は、指示されたおよび/または所望の生成物を生成するために適切な条件下で2つ以上の試薬を添加または混合することをいう。示されたおよび/または所望の生成物を生成する反応は必ずしも最初に添加された2つの試薬の組み合わせから直接生じないかもしれず、すなわち、最終的に指示されたおよび/または所望の生成物の形成をもたらす、混合物中で生成される1つ以上の中間体であってもよいことが理解されるべきである。
【0034】
「Ki」値は、Enzymes,A Practical Introduction to Structure, Mechanism, and Data Analysis,Robert A.Copeland, Wiley-VCH, New York, 1996, 207頁の式7.22を用いることにより、以下に記載のCXCR4/125I-SDF-α結合アッセイにおいて決定されたIC50値を用いて計算される。
【0035】
用語「SDF-1」は、現在類似の機能を示すと理解されている2つのアイソフォーム、SDF-1αおよびSDF-1βを含む。
【0036】
本明細書で使用される、ある変数について言及する用語「上記で定義されたもの」および「本明細書で定義されたもの」は、その変数の広い定義、ならびにもしあれば好ましい、より好ましいおよび最も好ましい定義を参照により組み入れる。
【0037】
本明細書で使用される、「CXCR4の活性に関連する臨床状態」は、CXCR4の過剰発現、活性化および/または上方制御に起因する対象における任意の疾患または異常状態、または本発明の化合物によって治療することができる任意の疾患または異常臨床状態を意味する。例えば、CXCR4は、リンパ腫および慢性リンパ性白血病を含む、さまざまな固形悪性腫瘍および血液悪性腫瘍において機能的に発現されるかまたは過剰発現される。CXCR4アンタゴニストによるCXCR4の阻害は、それらの患者にとって実行可能な治療法を潜在的に提供することができる。
【0038】
本発明の化合物: 本発明のいくつかの態様において次の式の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する:
【化7】
式中、aは0または1;AA
1はそれに結合しているイオウ原子と共に、3-メルカプトプロピオン酸、任意に置換されたシステイン、または任意に置換されたホモシステインである;AA
2はそれに結合しているイオウ原子と共に、システインまたはホモシステインである;Ar
1は任意に置換されたアリールである;X
1は、Arg、Dap、Dab、Orn、Lys、Dap(iPr)、Dab(iPr)、Orn(iPr)、またはLys(iPr)である;X
2は、Arg、Dap、Dab、Orn、Lys、Dap(iPr)、Dab(iPr)、Orn(iPr)、Lys(iPr)、D-Arg、D-Dap、D-Dab、D-Orn、D-Lys、D-Dap(iPr)、D-Dab(iPr)、D-Orn(iPr)、D-Lys(iPr)または不存在である;X
3はGlyまたは不存在である;X
4はPhe、2Nal、1Nalまたは不存在である;X
5はGlyまたは不存在である;R
2は-OR
4または-NHR
5であって、R
4はHまたはアルキル;R
5はH、アルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアラルキルである。ある特定の態様において、本発明の化合物は次の式の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
【化8】
式中、aは整数0または1であり、mおよびnの各々は独立して1または2である;R
1はHまたは-NHR
3であって、R
3はH、C
2-18アルキル、C
2-18アシル、任意に置換されたC
6-24アリール、または
式-[C(=O)]
a-[R
1a]
b-Ar
1a(式中、aとbのいずれか一方が1であれば、aとbは0か1のいずれかであり、R
1aはアルキレンであり、Ar
1aは任意に置換されたアリールである)の部分;X
1は、Arg、Dap、Dab、Orn、Lys、Dap(iPr)、Dab(iPr)、Orn(iPr)、またはLys(iPr)である;X
2は、Arg、Dap、Dab、Orn、Lys、Dap(iPr)、Dab(iPr)、Orn(iPr)、Lys(iPr)、D-Arg、D-Dap、D-Dab、D-Orn、D-Lys、D-Dap(iPr)、D-Dab(iPr)、D-Orn(iPr)、D-Lys(iPr)または不存在である;X
3はGly、Lys、Lys(アシル)または不存在である;X
4はPhe、2Nal、1Nal、またはその(D)異性体または不存在である;X
5はGlyまたは不存在である;R
2は-OHまたは-NHR
4であって、R
4はH、C
1-18アルキル、任意に置換されたC
6-24アリール、または任意に置換されたアラルキルである。
【0039】
mが1およびR1が-NH2のとき、式IAの化合物の残りの末端アミノ酸基がシステインであり、mが2およびR1が-NH2のとき、式IAの化合物の残りの末端アミノ酸基がホモシステイン(「hCys」)であると理解されるべきである。同様に、nが1のとき、該アミノ酸基はシステインであり、nが2のとき、該アミノ酸基はホモシステインである。R1がHであり、およびmが1のとき、対応するアミノ酸部分、すなわち式-S- CH2CH(R1)-C(=O)-の部分は、3-メルカプトプロピオン酸部分である。
【0040】
本開示を通して、任意のアミノ酸残基は、明示的に述べられていない限り、(L)-異性体または(D)-異性体のいずれかであり得る。さらに、天然アミノ酸および非天然アミノ酸の両方が3文字コードで記載されており、それらは当業者に周知である。例えば、Dapはジアミノプロピオン酸を表し、Dabは2,4-ジアミノ酪酸を表し、Ornはオルニチンを表す。そして、アミノ酸残基の側鎖官能基に存在する置換基は括弧で示されている。したがって、Lys(iPr)は、リジンの側鎖上のアミン官能基がイソプロピル基で置換されているリジンを指す。同様に、Lys(アシル)は、リジンの側鎖上のアミン官能基がアシル基(すなわち、-C(=O)CH3)で置換されている(すなわち、結合している)リジンを指す。2Nalは3-(2-ナフチル)-アラニンを指し、1Nalは1-ナフチルアラニンを指す。さらに、アミノ酸は一般に、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって左から右に示される。角括弧“[ ]”内のアミノ酸残基は環状構造内にあり、角括弧外の基は環化環の外側にある。
【0041】
いくつかの態様において、X1は(L)-異性体アミノ酸である。さらに他の態様では、X2は(L)-または(D)-異性体のいずれかであっても存在しなくてもよい。ある特定の態様において、X2は(D)-異性体アミノ酸または不存在である、すなわち、X2は、D-Dab、D-Orn、D-Lys、D-Dap(iPr)、D-Dab(iPr)、D-Orn(iPr)、D-Lys(iPr)または不存在である。さらに他の態様では、X2は、(L)-異性体アミノ酸である。さらに他の態様では、X3は、(L)-異性体アミノ酸である。さらなる態様において、X4は、 (L)-異性体アミノ酸である。さらに他の態様では、X5は、 (L)-異性体アミノ酸である。
【0042】
さらに他の態様では、X4は、(D)-異性体または不存在であり、すなわち、D-Phe、D-2Nal、D-1Nalまたは不存在である。
【0043】
さらに他の態様では、R3はH、C2-18アルキル、C2-18アシル、任意に置換されたC6-24アリール、任意に置換されたベンジル、任意に置換されたベンゾイルである
【0044】
さらに他の態様では、R2は-OHまたは-NHR5であって、R5はH、C1-18アルキル、任意に置換されたC6-24アリール、任意に置換されたベンジルである。
【0045】
ある特定の態様において、薬学的に許容される塩は酢酸塩または塩酸塩である。
【0046】
さらに別の特定の態様において、R1は水素またはm=1である。
【0047】
さらに別の特定の態様において、R2は-NH(Et)であり、X4とX5は不存在である。
【0048】
いくつかの態様において、Ar
1はフェニルまたはナフチルであり、すなわち、それぞれ
【化9】
または
【化10】
の式の部分である。-CH
2-基はフェニル基の1,2-、1,3-、1,4-で、またはナフチル基の1,2-、1,3-、1,4-、1,5-、1,6-、1,7-、1,8-、2,3-、2,4-等の位置で置換することができる。典型的には、Ar
1はフェニルである。
ある特定の態様において、Ar
1は1,2-置換フェニルであり、すなわち-CH
2- 基は互いに対して1,2-位で置換されている。
【0049】
さらにいくつかの態様において、R3はH、C2-18アルキル(すなわち、式-C(=O)-R1bの部分であって、ここでR1bはC1-17アルキル)、式-[C(=O)]a-[R1a]b-Ar1aの部分であって、aおよびbは0または1のいずれかであり、aまたはbの少なくとも一方が1である場合、R1aはアルキレンかつAr1aは任意に置換されたアリールである。いくつかの態様において、R3は、任意に置換されたベンジルまたは任意に置換されたベンゾイルである。アラルキル、ベンジル、またはベンゾイルをいう場合の「任意に置換された」という用語は、芳香族部分が任意に置換されていることを意味すると理解されるべきである。
【0050】
さらに別の態様において、R4は、任意に置換されたアラルキルである。ある特定の態様において、R4は、任意に置換されたベンジルである。
【0051】
本発明の特定の化合物のいくつかは、実施例1~23の生成物および中間体を含むがこれらに限定されない。例えば、これに限定されるものではないが、シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH(Et) (配列番号10);シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH2(配列番号25); Ac-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH2(配列番号13); Ac-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH(Et) (配列番号18);および以下の式の化合物:
【化11】
(式中、R
3はアルキルまたはアシル、すなわち、式-C(=O)CH
3の部分、またはベンゾイル、すなわち、式-C(=O)Phの部分である)、
【化12】
(式中、m=1およびn=2;ならびに式中、m=2およびn=1);
【化13】
;
【化14】
;および
【化15】
、およびその薬学的に許容される塩を含む。
次の式の化合物は、
【化16】
次の式の構造を有するものとして存在し得ることも理解されるべきである:
【化17】
同様に、次の式の化合物は、
【化18】
次の式によっても表すことができる:
【化19】
または、シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2NaI-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Lys(Ac)-NHEt (配列番号19)。
【0052】
さらにまた、本明細書に記載の特定の態様の組み合わせは他の態様を形成することができる。例えば、ある特定の態様において、R1は水素、mは1、R2は-NH(Et)、そしてX4とX5は不存在である。この場合、様々な化合物が本発明の範囲内で例示されている。
【0053】
上記で説明されている、上記列挙された化合物中の用語「シクロ」は、環状結合が存在する場所を示す。したがって、例えば、Ac-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH
2(配列番号13)の化合物中、環状結合(例えば、ジスルフィド結合)は、ホモシステイン硫黄原子とシステイン硫黄原子との間に存在する。
この化合物は次の式によっても表すことができる:
【化20】
または
【化21】
式中、グリシンのカルボキシル末端の-OH基はNH
2基で置換されている。
【0054】
特に明記しない限り、全てのアミノ酸鎖は通常の形で、すなわちアミノ末端からカルボキシル末端への方向が左から右へ記載されている。
【0055】
医薬組成物:別の態様において、本発明は、式Iの化合物および/またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物はまた、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含み得る。
【0056】
本発明は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、および任意で希釈剤、賦形剤、および/または他の治療的成分および/または予防的成分と一緒に、少なくとも1つの本発明の化合物および/または薬学的に許容される塩、またはそのそれらの溶媒和物を含む医薬組成物を含む。
【0057】
一般に、本発明の化合物は、同様の用途に役立つ薬剤について許容されている投与方法のいずれかによって治療有効量で投与される。適切な投与量範囲は、典型的には毎日1~500mg、典型的には1~100mg、そしてしばしば1~30mgであるが、例えば、治療される疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康状態、使用される化合物の効力、投与の経路および形態、投与が向けられる適応症および関与する開業医の好みと経験などの多数の要因に依存する。そのような疾患を治療する当業者は、過度の実験をせずに、そして個人的な知識および本出願の開示に依拠して、治療上有効な量の本発明の化合物を確かめることができる。
【0058】
本発明の化合物は、経口(口腔および舌下を含む)、直腸、経鼻、局所、肺、膣、または非経口(筋肉内、動脈内、髄腔内、皮下および静脈内を含む)での投与または吸入または吹送による投与に適した形に適したものを含む医薬製剤として投与される。典型的な投与方法は一般に、苦痛の程度に応じて調整することができ便利な一日量投与計画を用いた経口投与である。しかしながら、場合によっては、例えば、癌または関節リウマチの治療のために、本発明の化合物を癌細胞または関節リウマチの部位に直接注射することができる。
【0059】
1以上の従来のアジュバント、担体、または希釈剤と一緒の本発明の化合物は、医薬組成物および単位投与量の形態にすることができる。医薬組成物および単位剤形は、追加の活性化合物または原理の有無にかかわらず、従来の割合の通常の成分を含むことができ、単位剤形は、使用される意図された1日用量範囲に見合った任意の適切な有効量の活性成分を含み得る。医薬組成物は、例えば、錠剤または充填カプセルなどの固体、半固体、粉末、徐放性製剤、または例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤などの液体、または経口使用のための充填カプセルとして使用することができ;または直腸投与用または膣内投与用の坐剤の形で使用することができ;または非経口使用のための滅菌注射用溶液の形態で使用することができる。錠剤当たり、約1ミリグラム、より広くは約0.01~約100ミリグラムの活性成分を含有する製剤は、適切な代表的な単位剤形である。
【0060】
本発明の化合物は、多種多様な経口投与剤形に処方することができる。医薬組成物および剤形は、活性成分として本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を含むことができる。薬学的に許容される担体は固体または液体のいずれでもよい。固形製剤としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル化材料としても作用し得る1以上の物質であり得る。散剤では、担体は一般に微粉化された固体であり、それは微粉化された活性成分との混合物である。錠剤では、活性成分は一般に、必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合され、そして所望の形状および大きさに圧縮される。散剤および錠剤は、好ましくは約1~約70パーセントの活性化合物を含有する。適切な担体としては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどが含まれるが、これらに限定されない。「製剤」という用語は、担体としてまたは担体を含まない活性成分がそれに付随する担体によって囲まれているカプセルを提供する、担体としてのカプセル化材料を用いた活性化合物の製剤を含むことを意図している。同様に、カシェ剤およびトローチ剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびトローチ剤は、経口投与に適した固体形態としてあり得る。
【0061】
経口投与に適した他の形態としては、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水溶液、水性懸濁液を含む液体形態調製物、または使用直前に液体形態調製物に変換されることが意図される固体形態調製物が含まれる。エマルジョンは、溶液中、例えば、プロピレングリコール水溶液中で調製することができ、または例えばレシチン、ソルビタンモノオレエート、またはアラビアゴムなどの乳化剤を含むことができる。水溶液は活性成分を水に溶解しそして適切な着色剤、香味剤、安定剤および増粘剤を添加することにより調製できる。水性懸濁液は、例えば、天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他のよく知られている懸濁剤などの粘性材料を用いて微粉化活性成分を水中に分散させることによって調製することができる。固形製剤は、溶液、懸濁液、および乳濁液を含み、そして活性成分に加えて、着色剤、香味剤、安定剤、緩衝剤、人工および天然の甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
【0062】
本発明の化合物はまた、非経口投与(例えば、注射、例えばボーラス注射または連続注入または治療部位への直接注射による)のために処方することもでき、アンプル、予め充填されたシリンジ、小容量輸液、または保存料を添加した複数回投与用容器中の単位投与形態で提供することができる。組成物は、懸濁液、溶液、または油性もしくは水性ビヒクル中のエマルジョン、例えば水性ポリエチレングリコール中の溶液などの形態をとることができる。油性または非水性の担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、および注射用有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が含まれ、保存剤、湿潤剤、乳化剤または懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含み得る。あるいは、活性成分は、滅菌固体の無菌単離によって得られる、または使用前に適切なビヒクル、例えば、滅菌水、パイロジェンフリー水で構成するために溶液から凍結乾燥することによって得られる粉末形態であり得る。
【0063】
本発明の化合物は、軟膏剤、クリーム剤もしくはローション剤として、または経皮パッチ剤として表皮への局所投与用に製剤化することができる。軟膏剤およびクリーム剤は、例えば、適切な増粘剤および/またはゲル化剤を添加して、水性または油性基剤を用いて処方することができる。ローション剤は、水性または油性基剤を用いて製剤化することができ、そして一般に、1以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、または着色剤も含有するであろう。口腔内への局所投与に適した製剤は、風味を付けた基剤中、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカント中に活性薬剤を含むトローチ;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴムのような不活性塩基中に活性成分を含むトローチ;および活性成分を適切な液体担体中に含む口腔洗浄剤を含む。
【0064】
本発明の化合物は、座薬として投与するために製剤化することができる。脂肪酸グリセリドまたはカカオ脂の混合物のような低融点ワックスが最初に溶融されそして活性成分が例えば撹拌により均質に分散される。次いで、溶融した均質混合物を都合のよい大きさの型に注ぎ入れ、冷却しそして固化させる。
【0065】
本発明の化合物は膣内投与用に製剤化することもできる。ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレーは、活性成分に加えて、当技術分野において適切であることが知られているような担体を含む。
【0066】
本発明の化合物は経鼻投与用に製剤化することができる。液剤または懸濁剤は、例えば点滴器、ピペットまたはスプレーを用いる通常の手段によって鼻腔に直接適用される。製剤は単回または複数回投与形態で提供することができる。点滴器またはピペットの後者の場合、これは、患者が適切な所定量の溶液または懸濁液を投与することによって達成することができる。スプレーの場合、これは、例えば計量噴霧スプレーポンプによって達成することができる。
【0067】
本発明の化合物は、鼻腔内投与を含む、特に気道へのエアロゾル投与用に製剤化することができる。化合物は、一般に、例えば5ミクロン以下のオーダーの小さい粒径を有する。そのような粒径は、当技術分野において公知の手段によって、例えば微粒子化によって得ることができる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、もしくはジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素もしくは他の適切な気体などの適切な噴射剤と共に加圧パックで提供される。エアロゾルは、レシチンなどの界面活性剤も便宜上含むことができる。薬物の投与量は定量弁によって制御することができる。あるいは、活性成分は、乾燥粉末、例えばラクトース、デンプン、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体およびポリビニルピロリジン(PVP)などの適切な粉末基剤中の化合物の粉末混合物の形態で提供することができる。粉末担体は、典型的には鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は例えばゼラチンまたは吸入器によって投与され得るブリスターパックの例えばカプセルまたはカートリッジ中の単位用量形態で提供され得る。
【0068】
所望により、製剤は、有効成分の持続放出または制御放出投与に適合した腸溶性コーティングを用いて調製することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮または皮下薬物送達装置に製剤化することができる。これらの送達システムは、化合物の持続放出が必要または望ましいとき、および治療計画に対する患者の服薬遵守が重要であるときに有利である。経皮送達システム中の化合物はしばしば皮膚接着性固体支持体に付着している。目的の化合物はまた、浸透促進剤、例えば、アゾン(1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン)と組み合わせることもできる。持続放出送達システムは、外科手術または注射によって皮下層に皮下挿入することができる。皮下インプラントは、例えばシリコンゴム、または生分解性ポリマー例えばポリ乳酸などの脂溶性膜中に化合物を封入している。
【0069】
医薬製剤は典型的には単位剤形である。そのような形態では、製剤はしばしば適切な量の活性成分を含有する単位用量に細分される。単位剤形は、包装された調製物であり得、この包装は、包装された錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の粉末などの、別々の量の調製物を含む。また、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、もしくはトローチ剤それ自体であり得るか、または包装形態の適切な数のこれらのいずれかであり得る。
【0070】
他の適切な医薬担体およびそれらの製剤は、Remington: The Science andPractice of Pharmacy 1995, edited by E.W. Martin, Mack Publishing Company, 19thedition, Easton, Paに記載されている。
【0071】
治療に使用するために、治療上有効量の式Iの化合物、ならびにその薬学的に許容される塩を未処理の化学物質として投与することができる場合、活性成分を医薬組成物として提供することが可能である。すなわち、本開示は、治療上有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および1以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物をさらに提供する。組み合わせが適用される場合、この用語は、組み合わせて、連続的にまたは同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の組み合わせ量をいう。式Iの化合物およびその薬学的に許容される塩は上記の通りである。担体、希釈剤、または賦形剤は、製剤の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに有害ではないという意味で許容されるものでなければならない。本開示の別の態様によれば、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、またはそれらのプロドラッグを1以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と混合することを含む医薬製剤の製造方法も提供される。
【0072】
本開示の組成物が本開示の化合物と1以上の追加の治療薬または予防薬との組み合わせを含む場合、化合物および追加の薬剤の両方は、通常約10~150%の間のレベルの用量で、より典型的には単独療法治療計画において約10~80%の間の通常投与用量で提供される。
【0073】
実用性:本発明の化合物は、関節リウマチ、肺線維症、HIV感染、および癌の治療を含むがこれらに限定されない様々な臨床状態の治療に使用することができる。本発明の化合物を用いて治療することができる例示的な癌としては、乳癌、膵臓癌、黒色腫、前立腺癌、腎臓癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、肺癌、卵巣癌、結腸直腸癌、多発性骨髄腫、多形性膠芽腫、および慢性リンパ性白血病を含むがこれらに限定されない。
【0074】
本発明の方法は、CXCR4/SDF-1相互作用またはCXCR4受容体活性に関連した任意の障害を治療することを含む。治療的処置とは、疾患の進行を遅らせること、中断すること、抑止すること、制御すること、または止めることを含む工程をいうが、必ずしもすべての疾患関連症状、状態、または障害を完全に排除することを含むものではない。
【0075】
本発明の化合物は様々な経路で投与することができる。典型的には、本発明の化合物は非経口投与用に処方される。
【0076】
本発明のさらなる目的、利点、および新規の特徴は、限定することを意図しない以下の実施例を検討することによって当業者に明らかになるであろう。実施例において、実施するために構造的に簡潔にされた手順は現在時制で記載されており、実験室で行われた手順は過去時制で記載されている。
【実施例】
【0077】
以下の略語が使用されている:Ac: アセチル;Boc: tert-ブチルオキシカルボニル; BOP:(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;Bz: ベンゾイル;Bzl: ベンジル;Dab: 1,4-ジアミノ酪酸;Dap:1,3-ジアミノプロピオン酸;DCC: ジシクロヘキシルカルボジイミド;DCM: ジクロロメタン;DIC: ジイソプロピルカルボジイミド;DIEA: ジイソプロピルエチルアミン;DMF: N,N-ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;EDT: 1,2-エタンジチオール;Et:エチル;Fmoc: 9-フルオロ-エニルメトキシカルボニル;HATU: N-[(ジメチルアミノ)-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-1-イルメチレン]-N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN-オキシド; HBTU: O-ベンゾ-トリアゾリル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート; HCTU:1H-ベンゾトリアゾリウム1- [ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-5-クロロ-3-オキシドヘキサフルオロホスフェート;HOBt: ヒドロキシベンゾトリアゾール;hCys: ホモシステイン;iPr: イソプロピル;IPA: イソプロピルアルコール;Me:メチル; Mpa: 3-メルカプトプロピオン酸;2Nal: 2-ナフチルアラニン;1Nal: 1-ナフチルアラニン; NMM: N-メチルモルホリン;NMP: N-メチルピロリドン;Orn: オルニチン; Pbf: 2,2,4,6,7-ペンタメチル-ジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル;PBS: リン酸緩衝食塩水;PyBOP:(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)-トリス(ピロリジノ)-ホスホニウムヘキサフルオロ-ホスフェート;PyBrOP: ブロモトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート; tBu: tert-ブチル;TFA:トリフルオロ酢酸;TFE: トリフルオロエタノール;THF:テトラヒドロフラン;TIS:トリイソプロピルシラン; Trt:トリチル; すべての一般的なアミノ酸は、3文字の記号として表現されるか、または他に指定されている。
【0078】
以下の実施例に記載の本発明の化合物の調製は、限定的ではなく例示的であることを意味する。これらの実施例のそれぞれにおいて、観察された分子量は逆畳み込み値(de-convoluted value)として報告されている。該逆畳み込み値は、式MW(実測値)=n(m/z)-nから導き出され、ここで、m/zは荷電イオン(正モード)を表し、nは特定の種の電荷数である。質量スペクトル中に複数の荷電種が存在する場合、観察された分子量は平均として報告される。
【0079】
ペプチド合成、環状構造形成、および塩交換の一般的な方法:本技術分野で公知の固相ペプチド合成化学を用いてペプチドを合成した。これらのペプチドの環状構造は、ジスルフィドについては、酸性酸(acidic acid)の存在下でのヨウ素酸化を使用することによって確立され、またはビスチオエーテル環については、15mM重炭酸アンモニウム溶液などの塩基の存在下で、ビス(ハロメチル)アリール化合物を用いて、典型的には1.3当量のビス(ブロモメチル)アリール化合物を用いて求核置換によって確立された。
【0080】
最終生成物を逆相HPLCにより精製し、そして分析用HPLCおよび質量分析によりさらに特徴付けた。逆相HPLCから精製されたペプチドは通常トリフルオロ酢酸(TFA)形態であった。この塩は、典型的には、酢酸塩または塩酸塩のような、より薬学的に都合の良い塩の形態に変換された。TFA塩中のペプチドを塩酸塩に変換することは、希塩酸溶液中でTFA塩中のペプチドを繰り返し凍結乾燥することによって達成することができる。TFA塩中のペプチドの酢酸塩への変換のために、典型的には以下の方法が使用された。
【0081】
強陰イオン交換樹脂(塩化物形態、置換3ミリモル/g、含水量50%、ペプチド1グラム当たり2グラムの樹脂を使用)を最初にミリQ水で3回洗浄し、次いで1NNaOH溶液で3回、5分/1回洗浄し、次いでミリQ水で5回、5分/1回洗浄した。pHが約7.4に達するまで樹脂を75%エタノール水でさらに洗浄した。この樹脂を10%酢酸溶液で各回5分ずつ3回処理した。次いで樹脂を1%酢酸溶液で3回、各回5分洗浄した。樹脂は精製ペプチドの塩変換の準備ができた。
【0082】
精製された凍結乾燥ペプチドを1%酢酸溶液に溶解しそして上記の調製した樹脂に添加した。混合物を室温で1時間撹拌または磁気撹拌した。上清を分離した。樹脂を1%酢酸溶液で3回洗浄した。上清と洗浄液を組み合わせ、0.22μmの膜を通して濾過し、そして凍結乾燥し、酢酸塩中のペプチドを得た。
【0083】
実施例1:シクロ[Mpa-Tyr-Arg-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Arg-Gly-(D-Phe)-Gly-NH
2
(配列番号4): 配列Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Arg(Pbf)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Arg(Pbf)-Gly-(D-Phe)-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、11の主要工程で達成した。
【0084】
段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングし、続いてDMF中20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc-(D-Phe)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、室温で2時間、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程11、3-(トリチルチオ)プロピオン酸(Mpa(Trt))のカップリングまで、それぞれ対応するFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。
【0085】
完成したペプチドを同時に脱保護し、室温で70分間36 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切り離した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0086】
粗製凍結乾燥生成物を環化反応に直接使用した。凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mL(1リットル中に500mgの粗ペプチド)で水に溶解し、溶液のpHを磁気撹拌しながら1Mの炭酸アンモニウム溶液を用いてpH 6.5に調整した。撹拌しながら、粗ペプチド溶液に過酸化水素溶液を最終濃度0.03%まで添加してジスルフィド結合形成を促進した。質量分析によりモニターしたところ、環化は1時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。
【0087】
塩交換態様: 強陰イオン交換樹脂(塩化物形態、置換3ミリモル/g、含水量50%、ペプチド1グラム当たり2グラムの樹脂を使用)を最初にミリQ水で3回洗浄し、次いで1NNaOH溶液で3回、5分/1回洗浄し、次いでミリQ水で5回、5分/1回洗浄した。pHが約7.4に達するまで樹脂を75%エタノール水でさらに洗浄した。この樹脂を10%酢酸溶液で各回5分ずつ3回処理した。次いで樹脂を1%酢酸溶液で3回、各回5分洗浄した。樹脂は精製ペプチドの塩変換の準備ができた。
【0088】
精製された凍結乾燥ペプチドを1%酢酸溶液に溶解しそして上記の調製した樹脂に添加した。混合物を室温で1時間撹拌または磁気撹拌した。上清を分離した。樹脂を1%酢酸溶液で3回洗浄した。上清と洗浄液を組み合わせ、0.22μmの膜を通して濾過し、そして凍結乾燥し、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度96.64%;MW計算値:1353.49;MW観測値:1353.45;ペプチド含有量82.88%;酢酸含有量7.78%。
【0089】
実施例2:シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Arg-Gly-(D-Phe)-Gly-NH
2
(配列番号5): 配列Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Arg(Pbf)-Gly-(D-Phe)-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、11の主要工程で達成した。
【0090】
段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングし、続いてDMF中20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc-(D-Phe)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、室温で2時間、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程11、3-(トリチルチオ)プロピオン酸(Mpa(Trt))のカップリングまで、それぞれ対応するFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。
【0091】
完成したペプチドを同時に脱保護し、室温で70分間36 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切り離した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0092】
粗製凍結乾燥生成物を環化反応に直接使用した。凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mL(1リットル中に500mgの粗ペプチド)で水に溶解し、溶液のpHを磁気撹拌しながら1Mの炭酸アンモニウム溶液を用いてpH 6.5に調整した。撹拌しながら、粗ペプチド溶液に過酸化水素溶液を最終濃度0.03%まで添加してジスルフィド結合形成を促進した。質量分析によりモニターしたところ、環化は1時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0093】
塩交換態様: 強陰イオン交換樹脂(塩化物形態、置換3ミリモル/g、含水量50%、ペプチド1グラム当たり2グラムの樹脂を使用)を最初にミリQ水で3回洗浄し、次いで1NNaOH溶液で3回、5分/1回洗浄し、次いでミリQ水で5回、5分/1回洗浄した。pHが約7.4に達するまで樹脂を75%エタノール水でさらに洗浄した。この樹脂を10%酢酸溶液で各回5分ずつ3回処理した。次いで樹脂を1%酢酸溶液で3回、各回5分洗浄した。樹脂は精製ペプチドの塩変換の準備ができた。
【0094】
精製された凍結乾燥ペプチドを1%酢酸溶液に溶解しそして上記の調製した樹脂に添加した。混合物を室温で1時間撹拌または磁気撹拌した。上清を分離した。樹脂を1%酢酸溶液で3回洗浄した。上清と洗浄液を組み合わせ、0.22μmの膜を通して濾過し、そして凍結乾燥し、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度98.78%;MW計算値:1366.93;MW観測値:1367.70;ペプチド含有量83.55%;酢酸含有量7.75%。
【0095】
実施例3:シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-(D-Phe)-Gly-NH
2
(配列番号6): 配列Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr)-Gly-(D-Phe)-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、11の主要工程で達成した。
【0096】
段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングし、続いてDMF中20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc-(D-Phe)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、室温で2時間、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程11、3-(トリチルチオ)プロピオン酸(Mpa(Trt))のカップリングまで、それぞれ対応するFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。
【0097】
完成したペプチドを同時に脱保護し、室温で70分間36 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切り離した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0098】
粗製凍結乾燥生成物を環化反応に直接使用した。凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mL(1リットル中に500mgの粗ペプチド)で水に溶解し、溶液のpHを磁気撹拌しながら1Mの炭酸アンモニウム溶液を用いてpH 6.5に調整した。撹拌しながら、粗ペプチド溶液に過酸化水素溶液を最終濃度0.03%まで添加してジスルフィド結合形成を促進した。質量分析によりモニターしたところ、環化は1時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0099】
塩交換態様: 強陰イオン交換樹脂(塩化物形態、置換3ミリモル/g、含水量50%、ペプチド1グラム当たり2グラムの樹脂を使用)を最初にミリQ水で3回洗浄し、次いで1NNaOH溶液で3回、5分/1回洗浄し、次いでミリQ水で5回、5分/1回洗浄した。pHが約7.4に達するまで樹脂を75%エタノール水でさらに洗浄した。この樹脂を10%酢酸溶液で各回5分ずつ3回処理した。次いで樹脂を1%酢酸溶液で3回、各回5分洗浄した。樹脂は精製ペプチドの塩変換の準備ができた。
【0100】
精製された凍結乾燥ペプチドを1%酢酸溶液に溶解しそして上記の調製した樹脂に添加した。混合物を室温で1時間撹拌または磁気撹拌した。上清を分離した。樹脂を1%酢酸溶液で3回洗浄した。上清と洗浄液を組み合わせ、0.22μmの膜を通して濾過し、そして凍結乾燥し、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度98.14%;MW計算値:1381.35;MW観測値:1381.80;ペプチド含有量85.26%;酢酸含有量6.77%。
【0101】
実施例4: シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-(D-Arg)-Gly-(D-Phe)-Gly-NH
2
(配列番号7):配列Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-(D-Arg(Pbf))-Gly-(D-Phe)-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、11の主要工程で達成した。
【0102】
段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングし、続いてDMF中20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc-(D-Phe)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、室温で2時間、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程11、3-(トリチルチオ)プロピオン酸(Mpa(Trt))のカップリングまで、それぞれ対応するFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。
【0103】
完成したペプチドを同時に脱保護し、室温で70分間36 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切り離した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0104】
粗製凍結乾燥生成物を環化反応に直接使用した。凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mL(1リットル中に500mgの粗ペプチド)で水に溶解し、溶液のpHを磁気撹拌しながら1Mの炭酸アンモニウム溶液を用いてpH 6.5に調整した。撹拌しながら、粗ペプチド溶液に過酸化水素溶液を最終濃度0.03%まで添加してジスルフィド結合形成を促進した。質量分析によりモニターしたところ、環化は1時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0105】
塩交換態様: 強陰イオン交換樹脂(塩化物形態、置換3ミリモル/g、含水量50%、ペプチド1グラム当たり2グラムの樹脂を使用)を最初にミリQ水で3回洗浄し、次いで1NNaOH溶液で3回、5分/1回洗浄し、次いでミリQ水で5回、5分/1回洗浄した。pHが約7.4に達するまで樹脂を75%エタノール水でさらに洗浄した。この樹脂を10%酢酸溶液で各回5分ずつ3回処理した。次いで樹脂を1%酢酸溶液で3回、各回5分洗浄した。樹脂は精製ペプチドの塩変換の準備ができた。
【0106】
精製された凍結乾燥ペプチドを1%酢酸溶液に溶解しそして上記の調製した樹脂に添加した。混合物を室温で1時間撹拌または磁気撹拌した。上清を分離した。樹脂を1%酢酸溶液で3回洗浄した。上清と洗浄液を組み合わせ、0.22μmの膜を通して濾過し、そして凍結乾燥し、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度97.02%;MW計算値:1366.83;MW観測値:1367.25;ペプチド含有量83.77%;酢酸含有量8.37%。
【0107】
実施例5: シクロ[Mpa-Arg-Tyr-Arg-2Nal-Gly-Cys]-Arg-Gly-(D-Phe)-Gly-NH
2
(配列番号8):配列Mpa(Trt)-Arg(Pbf)-Tyr(tBu)-Arg(Pbf)-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Arg(Pbf)-Gly-(D-Phe)-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、11の主要工程で達成した。
【0108】
段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングし、続いてDMF中20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc-2NalをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、室温で2時間、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程11、3-(トリチルチオ)プロピオン酸(Mpa(Trt))のカップリングまで、それぞれ対応するFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。
【0109】
完成したペプチドを同時に脱保護し、室温で70分間36 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切り離した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0110】
粗製凍結乾燥生成物を環化反応に直接使用した。凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mL(1リットル中に500mgの粗ペプチド)で水に溶解し、溶液のpHを磁気撹拌しながら1Mの炭酸アンモニウム溶液を用いてpH 6.5に調整した。撹拌しながら、粗ペプチド溶液に過酸化水素溶液を最終濃度0.03%まで添加してジスルフィド結合形成を促進した。質量分析によりモニターしたところ、環化は1時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0111】
塩交換態様: 強陰イオン交換樹脂(塩化物形態、置換3ミリモル/g、含水量50%、ペプチド1グラム当たり2グラムの樹脂を使用)を最初にミリQ水で3回洗浄し、次いで1NNaOH溶液で3回、5分/1回洗浄し、次いでミリQ水で5回、5分/1回洗浄した。pHが約7.4に達するまで樹脂を75%エタノール水でさらに洗浄した。この樹脂を10%酢酸溶液で各回5分ずつ3回処理した。次いで樹脂を1%酢酸溶液で3回、各回5分洗浄した。樹脂は精製ペプチドの塩変換の準備ができた。
【0112】
精製された凍結乾燥ペプチドを1%酢酸溶液に溶解しそして上記の調製した樹脂に添加した。混合物を室温で1時間撹拌または磁気撹拌した。上清を分離した。樹脂を1%酢酸溶液で3回洗浄した。上清と洗浄液を組み合わせ、0.22μmの膜を通して濾過し、そして凍結乾燥し、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度96.05%;MW計算値:1353.49;MW観測値:1353.00;ペプチド含有量83.51%;酢酸含有量5.51%。
【0113】
実施例6: シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-(D-Phe)-Gly-NH(Et)(配列番号9): 配列Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr, Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr, Boc)-Gly-(D-Phe)-Glyは2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、4.0 gの該樹脂をDCM中で2時間膨潤させ、DMFで4回次いでDCMで1回洗浄した。0.4ミリモル/グラムの置換に基づいて、最初の残基Fmoc-Glyの装填は、DIEAで活性化された4当量のアミノ酸を用いてDCM中で行われた。室温で1.5時間カップリングした後、未反応の置換部位をメタノール/DIEA(1:1、v/v、24mL)で30分間キャッピングした。 Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。線状ペプチドの段階的鎖集合を続けてそして全部で11の主要工程で達成した。
【0114】
Fmoc-Glyのカップリング後、工程2では、3当量のFmoc-(D-Phe)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、室温で2時間、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程11、3-(トリチルチオ)プロピオン酸(Mpa(Trt))のカップリングまで、それぞれ対応するFmoc保護アミノ酸を使用して工程を続けた。
【0115】
完成した線状ペプチド酸を、DCM中20%TFE(樹脂1グラム当たり30 mL)を用いて室温で90分間完全に保護された形態で樹脂から切断した。該切断溶液を濾過により分離し、DCM中の同じ20%TFEを用いて60分間、2回目の切断を行った。樹脂を再度濾過により除去し、次いで2つの切断溶液を一緒にした。溶媒をrotovapで除去し、残渣を真空乾燥して、粗製の完全保護線状ペプチド酸、Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr, Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr, Boc)-Gly-(D-Phe)-Gly-OHを得た。
【0116】
エチルアミノ化:粗線状ペプチド酸を乾燥DMFに15mg/mLで溶解した。ペプチド酸溶液に、3モル当量のHATU、2,4,6-トリメチルピリジン、およびエチルアミンをそれぞれ添加した。エチルアミノ化反応は、質量分析法によりモニターし1時間以内に達成された。溶媒を蒸発させ、残渣を真空乾燥した。
【0117】
脱保護:凍結乾燥粗線状ペプチドの側鎖保護は、室温で70分間10mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて取り除いた。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0118】
環化:粗製凍結乾燥生成物を環化反応に直接使用した。凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mLで20%酢酸に溶解した。撹拌しながら、ペプチド溶液が淡黄色に変わるまで0.03% mole/Lのヨウ素溶液を添加する。環化の間、溶液を可視光から保護した。質量分析によりモニターしたところ、環化は0.5時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0119】
塩交換態様: 強陰イオン交換樹脂(塩化物形態、置換3ミリモル/g、含水量50%、ペプチド1グラム当たり2グラムの樹脂を使用)を最初にミリQ水で3回洗浄し、次いで1N NaOH溶液で3回、5分/1回洗浄し、次いでミリQ水で5回、5分/1回洗浄した。pHが約7.4に達するまで樹脂を75%エタノール水でさらに洗浄した。この樹脂を10%酢酸溶液で各回5分ずつ3回処理した。次いで樹脂を1%酢酸溶液で3回、各回5分洗浄した。樹脂は精製ペプチドの塩変換の準備ができた。
【0120】
精製された凍結乾燥ペプチドを1%酢酸溶液に溶解しそして上記の調製した樹脂に添加した。混合物を室温で1時間撹拌または磁気撹拌した。上清を分離した。樹脂を1%酢酸溶液で3回洗浄した。上清と洗浄液を組み合わせ、0.22μmの膜を通して濾過し、そして凍結乾燥し、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度96.54%;MW計算値:1408.69;MW観測値:1409.10;ペプチド含有量84.46%;酢酸含有量6.64%。
【0121】
実施例7:シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH(Et) (配列番号10):配列Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr, Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr, Boc)-Glyは2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、4.0 gの該樹脂をDCM中で2時間膨潤させ、DMFで4回次いでDCMで1回洗浄した。0.4ミリモル/グラムの置換に基づいて、最初の残基Fmoc-Glyの装填は、DIEAで活性化された4当量のアミノ酸を用いてDCM中で行われた。室温で1.5時間カップリングした後、未反応の置換部位をメタノール/DIEA(1:1、v/v、24mL)で30分間キャッピングした。 Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。線状ペプチドの段階的鎖集合を続けてそして全部で9の主要工程で達成した。
【0122】
Fmoc-Glyのカップリング後、工程2では、3当量のFmoc-Lys(iPr,Boc)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、室温で2時間、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程9、3-(トリチルチオ)プロピオン酸(Mpa(Trt))のカップリングまで、それぞれ対応するFmoc保護アミノ酸を使用して工程を続けた。
【0123】
完成した線状ペプチド酸を、DCM中20%TFE(樹脂1グラム当たり30 mL)を用いて室温で90分間完全に保護された形態で樹脂から切断した。該切断溶液を濾過により分離し、DCM中の同じ20%TFEを用いて60分間、2回目の切断を行った。樹脂を再度濾過により除去し、次いで2つの切断溶液を一緒にした。溶媒をrotovapで除去し、残渣を真空乾燥して、粗製の完全保護線状ペプチド酸、Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr, Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr, Boc)-Gly-OHを得た。
【0124】
エチルアミノ化:粗線状ペプチド酸を乾燥DMFに15mg/mLで溶解した。ペプチド酸溶液に、3モル当量のHATU、2,4,6-トリメチルピリジン、およびエチルアミンをそれぞれ添加した。エチルアミノ化反応は、質量分析法によりモニターし1時間以内に達成された。溶媒を蒸発させ、残渣を真空乾燥した。
【0125】
凍結乾燥粗線状ペプチドの側鎖保護は、室温で70分間10 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて取り除いた。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0126】
環化:粗製凍結乾燥生成物を環化反応に直接使用した。凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mLで20%酢酸に溶解した。撹拌しながら、ペプチド溶液が淡黄色に変わるまで0.03% mole/Lのヨウ素溶液を添加した。環化の間、溶液を可視光から保護した。質量分析によりモニターしたところ、環化は0.5時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0127】
塩交換態様: 強陰イオン交換樹脂(塩化物形態、置換3ミリモル/g、含水量50%、ペプチド1グラム当たり2グラムの樹脂を使用)を最初にミリQ水で3回洗浄し、次いで1NNaOH溶液で3回、5分/1回洗浄し、次いでミリQ水で5回、5分/1回洗浄した。pHが約7.4に達するまで樹脂を75%エタノール水でさらに洗浄した。この樹脂を10%酢酸溶液で各回5分ずつ3回処理した。次いで樹脂を1%酢酸溶液で3回、各回5分洗浄した。樹脂は精製ペプチドの塩変換の準備ができた。
【0128】
精製された凍結乾燥ペプチドを1%酢酸溶液に溶解しそして上記の調製した樹脂に添加した。混合物を室温で1時間撹拌または磁気撹拌した。上清を分離した。樹脂を1%酢酸溶液で3回洗浄した。上清と洗浄液を組み合わせ、0.22μmの膜を通して濾過し、そして凍結乾燥し、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度95.71%;MW計算値:1204.51;MW観測値:1205.25;ペプチド含有量81.60%;酢酸含有量11.26%。
【0129】
実施例8: シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-2Nal-Gly-NH
2
(配列番号11):配列Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr)-Gly-2Nal-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、11の主要工程で達成した。
【0130】
段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングし、続いてDMF中20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc-2NalをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、室温で2時間、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程11、3-(トリチルチオ)プロピオン酸(Mpa(Trt))のカップリングまで、それぞれ対応するFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。
【0131】
完成したペプチドを同時に脱保護し、室温で70分間36 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切り離した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0132】
粗製凍結乾燥生成物を環化反応に直接使用した。凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mL(1リットル中に500mgの粗ペプチド)で水に溶解し、溶液のpHを磁気撹拌しながら1Mの炭酸アンモニウム溶液を用いてpH 6.5に調整した。撹拌しながら、粗ペプチド溶液に過酸化水素溶液を最終濃度0.03%まで添加してジスルフィド結合形成を促進した。質量分析によりモニターしたところ、環化は1時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0133】
塩交換態様: 強陰イオン交換樹脂(塩化物形態、置換3ミリモル/g、含水量50%、ペプチド1グラム当たり2グラムの樹脂を使用)を最初にミリQ水で3回洗浄し、次いで1NNaOH溶液で3回、5分/1回洗浄し、次いでミリQ水で5回、5分/1回洗浄した。pHが約7.4に達するまで樹脂を75%エタノール水でさらに洗浄した。この樹脂を10%酢酸溶液で各回5分ずつ3回処理した。次いで樹脂を1%酢酸溶液で3回、各回5分洗浄した。樹脂は精製ペプチドの塩変換の準備ができた。
【0134】
精製された凍結乾燥ペプチドを1%酢酸溶液に溶解しそして上記の調製した樹脂に添加した。混合物を室温で1時間撹拌または磁気撹拌した。上清を分離した。樹脂を1%酢酸溶液で3回洗浄した。上清と洗浄液を組み合わせ、0.22μmの膜を通して濾過し、そして凍結乾燥し、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度96.44%;MW計算値:1430.43;MW観測値:1431.00;ペプチド含有量84.33%;酢酸含有量7.07%。
【0135】
実施例9: Ac-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-(D-Phe)-Gly-NH
2
(配列番号12):配列hCys(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr)-Gly-(D-Phe)-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、11の主要工程で達成した。
【0136】
段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングし、続いてDMF中20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc-(D-Phe)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、室温で2時間、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程11、Fmoc-hCys(Trt)のカップリングまで、それぞれ対応するFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。工程11のため、N末端のFmocをDMF中の20%ピペリジンを使用して除去し、そしてα-アミノ基のアセチル化を22 mLの無水酢酸/DIEA/DMF(1:1:4、v/v)の混合物で室温で30分間実施した。完成したペプチドを同時に脱保護し、室温で70分間36 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切り離した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0137】
粗製凍結乾燥生成物を環化反応に直接使用した。凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mL(1リットル中に500mgの粗ペプチド)で水に溶解し、溶液のpHを磁気撹拌しながら1Mの炭酸アンモニウム溶液を用いてpH 6.5に調整した。撹拌しながら、粗ペプチド溶液に過酸化水素溶液を最終濃度0.03%まで添加してジスルフィド結合形成を促進した。質量分析によりモニターしたところ、環化は1時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0138】
塩交換態様: 強陰イオン交換樹脂(塩化物形態、置換3ミリモル/g、含水量50%、ペプチド1グラム当たり2グラムの樹脂を使用)を最初にミリQ水で3回洗浄し、次いで1N NaOH溶液で3回、5分/1回洗浄し、次いでミリQ水で5回、5分/1回洗浄した。pHが約7.4に達するまで樹脂を75%エタノール水でさらに洗浄した。この樹脂を10%酢酸溶液で各回5分ずつ3回処理した。次いで樹脂を1%酢酸溶液で3回、各回5分洗浄した。樹脂は精製ペプチドの塩変換の準備ができた。
【0139】
精製された凍結乾燥ペプチドを1%酢酸溶液に溶解しそして上記の調製した樹脂に添加した。混合物を室温で1時間撹拌または磁気撹拌した。上清を分離した。樹脂を1%酢酸溶液で3回洗浄した。上清と洗浄液を組み合わせ、0.22μmの膜を通して濾過し、そして凍結乾燥し、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度96.38%;MW計算値:1451.84;MW観測値:1452.60;ペプチド含有量83.88%;酢酸含有量7.82%。
【0140】
実施例10: Ac-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH
2
(配列番号13):配列hCys(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr)-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、9の主要工程で達成した。段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングし、続いてDMF中20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc-Lys(iPr)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程9、Fmoc-hCys(Trt)のカップリングまで、それぞれFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。工程9のため、N末端のFmocをDMF中の20%ピペリジンを使用して除去し、そしてα-アミノ基のアセチル化を22 mLの無水酢酸/DIEA/DMF(1:1:4、v/v)の混合物で室温で30分間実施した。完成したペプチドを同時に脱保護し、室温で70分間36 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切り離した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0141】
粗製凍結乾燥生成物を環化反応に直接使用した。凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mL(1リットル中に500mgの粗ペプチド)で水に溶解し、溶液のpHを磁気撹拌しながら1Mの炭酸アンモニウム溶液を用いてpH 6.5に調整した。撹拌しながら、粗ペプチド溶液に過酸化水素溶液を最終濃度0.03%まで添加してジスルフィド結合形成を促進した。質量分析によりモニターしたところ、環化は1時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0142】
塩交換態様: 強陰イオン交換樹脂(塩化物形態、置換3ミリモル/g、含水量50%、ペプチド1グラム当たり2グラムの樹脂を使用)を最初にミリQ水で3回洗浄し、次いで1N NaOH溶液で3回、5分/1回洗浄し、次いでミリQ水で5回、5分/1回洗浄した。pHが約7.4に達するまで樹脂を75%エタノール水でさらに洗浄した。この樹脂を10%酢酸溶液で各回5分ずつ3回処理した。次いで樹脂を1%酢酸溶液で3回、各回5分洗浄した。
【0143】
精製された凍結乾燥ペプチドを1%酢酸溶液に溶解しそして上記の調製した樹脂に添加した。混合物を室温で1時間撹拌または磁気撹拌した。上清を分離し、樹脂を1%酢酸溶液で3回洗浄した。上清と洗浄液を組み合わせ、0.22μmの膜を通して濾過し、そして凍結乾燥し、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度96.13%;MW計算値:1247.61;MW観測値:1248.00;ペプチド含有量81.02%;酢酸含有量10.09%。
【0144】
実施例11: ベンゾイル-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH
2
(MLB-021)(配列番号14):配列hCys(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr,Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr,Boc)-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、9の主要工程で達成した。段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングし、続いてDMF中20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc- Lys(iPr,Boc)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程10、前工程のアミノ酸のように行われる安息香酸のカップリングまで、それぞれFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。工程10のため、Fmoc除去は行わなかった。
【0145】
得られたペプチドを脱保護し、室温で70分間36mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切断した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0146】
凍結乾燥粗ペプチドを、0.5 mg/mLの20%酢酸を含有する水(1リットル中に500 mgの粗ペプチド)に溶解した。撹拌しながら、溶液が淡黄色になるまで、0.03%モル/Lのヨウ素溶液をペプチド溶液に添加した。質量分析によりモニターしたところ、環化は暗所で0.5時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0147】
塩交換により、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度95.98%;MW計算値:1310.64;MW観測値:1310.70;ペプチド含有量78.48%。
【0148】
実施例12:ベンゾイル-シクロ[Cys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-hCys]-Lys(iPr)-Gly-NH
2
(MLB-022)(配列番号15):配列Cys(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr,Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-hCys(Trt)-Lys(iPr,Boc)-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、9の主要工程で達成した。段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングし、続いてDMF中20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc- Lys(iPr,Boc)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程10、前工程のアミノ酸のように行われる安息香酸のカップリングまで、それぞれFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。工程10のため、Fmoc除去は行わなかった。
【0149】
完成したペプチドを脱保護し、室温で70分間36 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切り離した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0150】
凍結乾燥粗ペプチドを、0.5 mg/mLの20%酢酸を含有する水(1リットル中に500 mgの粗ペプチド)に溶解した。撹拌しながら、溶液が淡黄色になるまで、0.03%モル/Lのヨウ素溶液をペプチド溶液に添加した。質量分析によりモニターしたところ、環化は暗所で0.5時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0151】
塩交換により、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度95.64%;MW計算値:1310.64;MW観測値:1310.55;ペプチド含有量69.25%。
【0152】
実施例13:ベンゾイル-シクロ[Cys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH
2
(MLB-023)(配列番号27):配列Cys(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr,Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)- Lys(iPr,Boc)-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、9の主要工程で達成した。段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングし、続いてDMF中20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc- Lys(iPr,Boc)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程10、前工程のとおり行われる安息香酸のカップリングまで、それぞれFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。工程10のため、Fmoc除去は行わなかった。
【0153】
完成したペプチドを脱保護し、室温で70分間36 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切り離した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0154】
粗製凍結乾燥生成物を環化反応に直接使用した。凍結乾燥粗ペプチドを、0.5 mg/mLの20%酢酸を含有する水(1リットル中に500 mgの粗ペプチド)に溶解した。撹拌しながら、溶液が淡黄色になるまで、0.03%モル/Lのヨウ素溶液をペプチド溶液に添加した。質量分析によりモニターしたところ、環化は暗所で0.5時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0155】
塩交換により、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度97.04%;MW計算値:1296.61;MW観測値:1296.75;ペプチド含有量78.15%。
【0156】
実施例14: ベンゾイル-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH(Et) (MLB-024) (配列番号16):配列hCys(Trt)-Tyr(tBu)- Lys(iPr,Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)- Lys(iPr,Boc)-Glyは2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、4.0 gの該樹脂をDCM中で2時間膨潤させ、DMFで4回次いでDCMで1回洗浄した。0.4ミリモル/グラムの置換に基づいて、最初の残基Fmoc-Glyの装填は、5当量のDIEAで活性化された4当量のアミノ酸を用いてDCM中で行われた。室温で1.5時間カップリングした後、未反応の置換部位をメタノール/DIEA(1:1、v/v、24mL)で30分間キャッピングした。 Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。線状ペプチドの段階的鎖集合を続けてそして全部で9の主要工程で達成した。
【0157】
Fmoc-Glyのカップリング後、工程2では、3当量のFmoc-Lys(iPr,Boc)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、室温で2時間、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。工程10、前工程のアミノ酸のように行われる安息香酸のカップリングまで、それぞれ対応するFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。工程10のため、Fmoc除去は行わなかった。
【0158】
完成した線状ペプチド酸を、DCM中20%TFE(樹脂1グラム当たり30 mL)を用いて室温で90分間完全に保護された形態で樹脂から切断した。該切断溶液を濾過により分離し、DCM中の同じ20%TFEを用いて60分間、2回目の切断を行った。樹脂を再度濾過により除去し、次いで2つの切断溶液を一緒にした。それから溶媒を除去し、残渣を真空乾燥して、粗製の完全保護線状ペプチド酸、配列ベンゾイル-hCys(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr, Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr, Boc)-Gly-OHを得た。
【0159】
C末端エチルアミノ化と側鎖保護除去:粗線状ペプチド酸を乾燥DMFに15 mg/mLで溶解した。ペプチド酸溶液に、3モル当量のHATU、2,4,6-トリメチルピリジン、およびエチルアミンをそれぞれ添加した(3:3:3、モル比)。エチルアミノ化反応は、質量分析法によりモニターし1時間以内に達成された。溶媒を蒸発させ、残渣を真空乾燥した。
【0160】
凍結乾燥粗線状ペプチドの側鎖保護は、室温で70分間10 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて取り除いた。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0161】
環化:粗製凍結乾燥生成物を環化反応に直接使用した。凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mLで20%酢酸に溶解した。撹拌しながら、ペプチド溶液が淡黄色に変わるまで0.03% mole/Lのヨウ素溶液を添加した。環化の間、溶液を可視光から保護した。質量分析によりモニターしたところ、環化は0.5時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0162】
塩交換により、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度97.59%;MW計算値:1338.69;MW観測値:1338.90;ペプチド含有量97.59%。
【0163】
実施例15:フェニルアセチル-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH
2
(MLB-025)(配列番号17):配列hCys(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr,Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)- Lys(iPr,Boc)-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、9の主要工程で達成した。段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングし、続いてDMF中20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc- Lys(iPr,Boc)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程10、フェニルアセチルのカップリングまで、それぞれFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。20%DIEA/ DMF中の3当量の塩化フェニルアセチルを用いて50分間フェニルアセチル化を行った。その後Fmoc除去は必要とされなかった。
【0164】
完成したペプチドを同時に脱保護し、室温で70分間36 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切り離した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0165】
凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mLで20%酢酸含有水に溶解した。撹拌しながら、ペプチド溶液が淡黄色に変わるまで0.03% mole/Lのヨウ素溶液を添加した。質量分析によりモニターしたところ、環化は暗所で0.5時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0166】
上述のとおりの塩交換により、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度95.67%;MW計算値:1324.67;MW観測値:1324.65。
【0167】
実施例16:Ac-シクロ[hCys-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Gly-NH(Et) (MLB-026) (配列番号18):配列hCys(Trt)-Tyr(tBu)- Lys(iPr,Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)- Lys(iPr,Boc)-Glyは2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、4.0 gの該樹脂をDCM中で2時間膨潤させ、DMFで4回次いでDCMで1回洗浄した。0.4ミリモル/グラムの置換に基づいて、最初の残基Fmoc-Glyの装填は、5当量のDIEAで活性化された4当量のアミノ酸を用いてDCM中で行われた。室温で1.5時間カップリングした後、未反応の置換部位をメタノール/DIEA(1:1、v/v、24mL)で30分間キャッピングした。 Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。線状ペプチドの段階的鎖集合を続けてそして全部で9の主要工程で達成した。
【0168】
Fmoc-Glyのカップリング後、工程2では、3当量のFmoc-Lys(iPr,Boc)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、室温で2時間、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。工程9、Fmoc-hCys(Trt)のカップリングまで、それぞれ対応するFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。工程9のため、N末端のFmocをDMF中の20%ピペリジンを使用して除去し、そしてα-アミノ基のアセチル化を22 mLの無水酢酸/DIEA/DMF(1:1:4、v/v)の混合物で室温で30分間実施した。
【0169】
完成した線状ペプチド酸を、DCM中20%TFE(樹脂1グラム当たり30 mL)を用いて室温で90分間完全に保護された形態で樹脂から切断した。該切断溶液を濾過により分離し、DCM中の同じ20%TFEを用いて60分間、2回目の切断を行った。樹脂を再度濾過により除去し、次いで2つの切断溶液を一緒にした。それから溶媒を除去し、残渣を真空乾燥して、粗製の完全保護線状ペプチド酸、配列Ac-hCys(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr, Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr, Boc)-Gly-OHを得た。
【0170】
C末端エチルアミノ化と側鎖保護除去:粗線状ペプチド酸を乾燥DMFに15 mg/mLで溶解した。ペプチド酸溶液に、3モル当量のHATU、2,4,6-トリメチルピリジン、およびエチルアミンをそれぞれ添加した(3:3:3、モル比)。エチルアミノ化反応は、質量分析法によりモニターし1時間以内に達成された。溶媒を蒸発させ、残渣を真空乾燥した。
【0171】
凍結乾燥粗線状ペプチドの側鎖保護は、室温で70分間10 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて取り除いた。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0172】
環化:凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mLで20%酢酸に溶解した。撹拌しながら、ペプチド溶液が淡黄色に変わるまで0.03%mole/Lのヨウ素溶液を添加した。環化の間、溶液を可視光から保護した。質量分析によりモニターしたところ、環化は0.5時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0173】
上述のとおり塩交換により、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度95.03%;MW計算値:1276.62;MW観測値:1276.65。
【0174】
実施例17:シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Lys(Ac)-NH(Et)(MLB-027)(配列番号19):配列Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr, Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr, Boc)-Lys(Ac)は2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、4.0 gの該樹脂をDCM中で2時間膨潤させ、DMFで4回次いでDCMで1回洗浄した。0.4ミリモル/グラムの置換に基づいて、最初の残基Fmoc-Lys(Ac)の装填は、DIEAで活性化された3当量のアミノ酸を用いてDCM中で行われた。室温で1.5時間カップリングした後、未反応の置換部位をメタノール/DIEA(1:1、v/v、24mL)で30分間キャッピングした。 Fmoc保護の除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。線状ペプチドの段階的鎖集合を続けてそして全部で9の主要工程で達成した。
【0175】
Fmoc-Lys(Ac)のカップリング後、工程2では、3当量のFmoc-Lys(iPr, Boc)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、室温で2時間、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。工程9、3-(トリチルチオ)プロピオン酸(Mpa(Trt))のカップリングまで、それぞれ対応するFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。
【0176】
完成した線状ペプチド酸を、DCM中20%TFE(樹脂1グラム当たり30 mL)を用いて室温で90分間完全に保護された形態で樹脂から切断した。該切断溶液を濾過により分離し、DCM中の同じ20%TFEを用いて60分間、2回目の切断を行った。樹脂を再度濾過により除去し、次いで2つの切断溶液を一緒にした。それから溶媒を除去し、残渣を真空乾燥して、粗製の完全保護線状ペプチド酸、Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr, Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr, Boc)-Lys(Ac)-OHを得た。
【0177】
C末端エチルアミノ化と側鎖保護除去:粗線状ペプチド酸を乾燥DMFに15 mg/mLで溶解した。ペプチド酸溶液に、3モル当量のHATU、2,4,6-トリメチルピリジン、およびエチルアミンをそれぞれ添加した。エチルアミノ化反応は、質量分析法によりモニターし1時間以内に達成された。溶媒を蒸発させ、残渣を真空乾燥した。
【0178】
凍結乾燥粗線状ペプチドの側鎖保護は、室温で70分間10 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて取り除いた。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0179】
環化:凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mLで20%酢酸に溶解した。撹拌しながら、ペプチド溶液が淡黄色に変わるまで0.03%mole/Lのヨウ素溶液を添加した。環化の間、溶液を可視光から保護した。質量分析によりモニターしたところ、環化は0.5時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0180】
上述のとおり塩交換により、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度95.50%;MW計算値:1318.70;MW観測値:1318.80;ペプチド含有量77.53%。
【0181】
実施例18: シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Lys(ラウロイル)-NH(Et)(MLB-028) (配列番号20): 配列Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr, Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr, Boc)-Lys(dde)は2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、4.0 gの該樹脂をDCM中で2時間膨潤させ、DMFで4回次いでDCMで1回洗浄した。0.4ミリモル/グラムの置換に基づいて、最初の残基Fmoc-Lys(Dde)(Dde: 1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)エチル)の装填は、DIEAで活性化された3当量のアミノ酸を用いてDCM中で行われた。室温で1.5時間カップリングした後、未反応の置換部位をメタノール/DIEA(1:1、v/v、24mL)で30分間キャッピングした。 Fmoc保護の除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。線状ペプチドの段階的鎖集合を続けてそして全部で9の主要工程で達成した。
【0182】
3-(トリチルチオ)プロピオン酸(Mpa(Trt))のカップリング後、室温で5分間、5%ヒドラジンでリジン側のε-アミノのDde保護を解除した。それから樹脂をDMFで3回洗浄した。ヒドラジン脱保護を3回繰り返した。最後の脱保護後、樹脂をDMFで5回洗浄し、次いで脱保護した樹脂に3当量のラウリン酸を加えDMF中のHOBt/DICで活性化した。カップリングを60分間進行させた。次いで樹脂をDMFで3回、そしてDCMで2回洗浄した。切断する前に樹脂を真空乾燥した。
【0183】
完成した線状ペプチド酸を、DCM中20%TFE(樹脂1グラム当たり30 mL)を用いて室温で90分間完全に保護された形態で樹脂から切断した。該切断溶液を濾過により分離し、DCM中の同じ20%TFEを用いて60分間、2回目の切断を行った。樹脂を再度濾過により除去し、次いで2つの切断溶液を一緒にした。それから溶媒を除去し、残渣を真空乾燥して、粗製の完全保護線状ペプチド酸、Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr, Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr, Boc)-Lys(ラウロイル)-OHを得た。
【0184】
C末端エチルアミノ化と側鎖保護除去。粗線状ペプチド酸を乾燥DMFに15 mg/mLで溶解した。ペプチド酸溶液に、3モル当量のHATU、2,4,6-トリメチルピリジン、およびエチルアミンをそれぞれ添加した。エチルアミノ化反応は、質量分析法によりモニターし1時間以内に達成された。溶媒を蒸発させ、残渣を真空乾燥した。
【0185】
凍結乾燥粗線状ペプチドの側鎖保護は、室温で70分間10 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて取り除いた。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0186】
環化:凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mLで20%酢酸に溶解した。撹拌しながら、ペプチド溶液が淡黄色に変わるまで0.03%mole/Lのヨウ素溶液を添加した。環化の間、溶液を可視光から保護した。質量分析によりモニターしたところ、環化は0.5時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0187】
上述のとおり塩交換により、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度95.42%;MW計算値:1458.97;MW観測値:1458.75;ペプチド含有量78.19%。
【0188】
実施例19: シクロ[Mpa-Tyr-Lys(iPr)-(D-Arg)-2Nal-Gly-Cys]-Lys(iPr)-Lys(パルミトイル)-NH(Et)(MLB-029) (配列番号21):配列Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr, Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr, Boc)-Lys(dde)は2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、4.0 gの該樹脂をDCM中で2時間膨潤させ、DMFで4回次いでDCMで1回洗浄した。0.4ミリモル/グラムの置換に基づいて、最初の残基Fmoc-Lys(Dde)(Dde: 1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)エチル)の装填は、DIEAで活性化された3当量のアミノ酸を用いてDCM中で行われた。室温で1.5時間カップリングした後、未反応の置換部位をメタノール/DIEA(1:1、v/v、24mL)で30分間キャッピングした。 Fmoc保護の除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。線状ペプチドの段階的鎖集合を続けてそして全部で9の主要工程で達成した。
【0189】
3-(トリチルチオ)プロピオン酸(Mpa(Trt))のカップリング後、室温で5分間、5%ヒドラジンでリジン側のε-アミノのDde保護を解除した。それから樹脂をDMFで3回洗浄した。ヒドラジン脱保護を3回繰り返した。最後の脱保護後、樹脂をDMFで5回洗浄した。次いで脱保護した樹脂に3当量のパルミチン酸を加えDMF中のHOBt/DICで活性化した。カップリングを60分間進行させた。次いで樹脂をDMFで3回、そしてDCMで2回洗浄した。切断する前に樹脂を真空乾燥した。
【0190】
完成した線状ペプチド酸を、DCM中20%TFE(樹脂1グラム当たり30 mL)を用いて室温で90分間完全に保護された形態で樹脂から切断した。該切断溶液を濾過により分離し、DCM中の同じ20%TFEを用いて60分間、2回目の切断を行った。樹脂を再度濾過により除去し、次いで2つの切断溶液を一緒にした。それから溶媒を除去し、残渣を真空乾燥して、粗製の完全保護線状ペプチド酸、Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr, Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr, Boc)-Lys(パルミトイル)-OHを得た。
【0191】
C末端エチルアミノ化と側鎖保護除去。粗線状ペプチド酸を乾燥DMFに15 mg/mLで溶解した。ペプチド酸溶液に、3モル当量のHATU、2,4,6-トリメチルピリジン、およびエチルアミンをそれぞれ添加した。エチルアミノ化反応は、質量分析法によりモニターし1時間以内に達成された。溶媒を蒸発させ、残渣を真空乾燥した。
【0192】
凍結乾燥粗線状ペプチドの側鎖保護は、室温で70分間10mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて取り除いた。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0193】
環化:凍結乾燥した粗ペプチドを0.5 mg/mLで20%酢酸に溶解した。撹拌しながら、ペプチド溶液が淡黄色に変わるまで0.03%mole/Lのヨウ素溶液を添加した。環化の間、溶液を可視光から保護した。質量分析によりモニターしたところ、環化は0.5時間以内に完了した。環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0194】
上述のとおり塩交換により、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度95.31%;MW計算値:1515.08;MW観測値:1515.00。
【0195】
実施例20:
【化22】
:配列Cys(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr,Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)- Lys(iPr,Boc)-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、9の主要工程で達成した。段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングした。カップリング後、未反応の置換部位をメタノール/DIEA(1:1、v/v、24mL)で30分間キャッピングした。Fmoc保護の除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。続いて、DMF中の20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc-Lys(iPr, Boc)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。
【0196】
次いで、工程10、前工程のアミノ酸のように行われる安息香酸のカップリングまで、それぞれFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。工程10のため、Fmoc除去は行わなかった。完成したペプチドを同時に脱保護し、室温で70分間36 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切り離した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0197】
粗製凍結乾燥線状ペプチドを次の環化反応に直接使用した。1当量の凍結乾燥粗ペプチドを、以下のように予め調製した溶液に添加した:1.3当量の1,2-ビスブロモメチルベンゼンを5mg/mLでアセトニトリルに溶解した。超音波処理を使用することにより、溶解を速めることが可能となる。粗線状ペプチドを1.5mg/mLの最終濃度まで添加する前に、1,2-ビスブロモメチルベンゼンの溶液を等容量の15mM重炭酸アンモニウム水溶液と混合した。反応を1時間撹拌しながら進行させた。MSモニタリングにより環化が完了したことを確認した。
【0198】
環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0199】
上述のとおり塩交換により、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度97.04%;MW計算値:1296.61;MW観測値:1296.75;ペプチド含有量78.15%。
【0200】
実施例21:
【化23】
:配列Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr,Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr,Boc)-Glyは2-クロロトリチルクロリド樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、4.0 gの該樹脂をDCM中で2時間膨潤させ、DMFで4回次いでDCMで1回洗浄した。0.4ミリモル/グラムの置換に基づいて、最初の残基Fmoc-Glyの装填は、5当量のDIEAで活性化された4当量のアミノ酸を用いてDCM中で行われた。室温で1.5時間カップリングした後、未反応の置換部位をメタノール/DIEA(1:1、v/v、24mL)で30分間キャッピングした。 Fmoc保護の除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。線状ペプチドの段階的鎖集合を続けてそして全部で9の主要工程で達成した。
【0201】
Fmoc-Glyのカップリング後、工程2では、3当量のFmoc-Lys(iPr,Boc)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、室温で2時間、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。次いで、工程9、Mpa(Trt)のカップリングまで、それぞれ対応するFmoc保護アミノ酸を使用して工程を続けた。この工程でのカップリング後、Fmoc除去は行わなかった。
【0202】
完成した線状ペプチド酸を、DCM中20%TFE(樹脂1グラム当たり30 mL)を用いて室温で90分間完全に保護された形態で樹脂から切断した。該切断溶液を濾過により分離し、DCM中の同じ20%TFEを用いて60分間、2回目の切断を行った。樹脂を再度濾過により除去し、次いで2つの切断溶液を一緒にした。それから溶媒を除去し、残渣を真空乾燥して、粗製の完全保護線状ペプチド酸、配列Mpa(Trt)-Tyr(tBu)-Lys(iPr, Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)-Lys(iPr, Boc)-Gly-OHを得た。
【0203】
C末端エチルアミノ化と側鎖保護除去:粗線状ペプチド酸を乾燥DMFに15 mg/mLで溶解した。ペプチド酸溶液に、3モル当量のHATU、2,4,6-トリメチルピリジン、およびエチルアミンをそれぞれ(3:3:3、モル比)添加した。エチルアミノ化反応は、質量分析法によりモニターし1時間以内に達成された。溶媒を蒸発させ、残渣を真空乾燥した。
【0204】
凍結乾燥粗線状ペプチドの側鎖保護は、室温で70分間10 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて取り除いた。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0205】
環化:1当量の凍結乾燥粗ペプチドを、以下のように予め調製した溶液に添加した:1.3当量の1,2-ビスブロモメチルベンゼンを5mg/mLでアセトニトリルに溶解した。超音波処理を使用すると、溶解を速めることが可能となる。粗線状ペプチドを1.5mg/mLの最終濃度まで添加する前に、1,2-ビスブロモメチルベンゼンの溶液を等容量の15mM重炭酸アンモニウム水溶液と混合した。反応を1時間撹拌しながら進行させた。MSモニタリングにより環化が完了したことを確認した。
【0206】
環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0207】
上述のとおり塩交換により、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度97.59%;MW計算値:1309.69;MW観測値:1309.20。
【0208】
実施例22:
【化24】
:配列Cys(Trt)-Tyr(tBu)- Lys(iPr,Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)- Lys(iPr,Boc)-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、9の主要工程で達成した。段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングした。ニンヒドリンテストは陰性だった。続いて、DMF中の20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc-Lys(iPr, Boc)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。それぞれFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。最後の残基Fmoc-Cys(Trt)のカップリング後、DMF中の20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。無水酢酸/DIEA/DMF(1:1:4、v/v/v)の混合物22 mLを用いて室温で30分間、N末端アセチル化を行った。次いで樹脂をDMFで3回、次いでDCMで2回洗浄し、真空乾燥した。
【0209】
完成したペプチドを脱保護し、室温で70分間36 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切り離した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0210】
1当量の凍結乾燥粗ペプチドを、以下のように予め調製した溶液に添加した:1.3当量の1,2-ビスブロモメチルベンゼンを5mg/mLでアセトニトリルに溶解した。超音波処理を使用することにより、溶解を速めることが可能となる。粗線状ペプチドを1.5mg/mLの最終濃度まで添加する前に、1,2-ビスブロモメチルベンゼンの溶液を等容量の15mM重炭酸アンモニウム水溶液と混合した。反応を1時間撹拌しながら進行させた。MSモニタリングにより環化が完了したことを確認した。
【0211】
環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0212】
上述のとおり塩交換により、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度97.59%;MW計算値:1338.70;MW観測値:1338.60;ペプチド含有量82.22%。
【0213】
実施例23:
【化25】
:配列Cys(Trt)-Tyr(tBu)- Lys(iPr,Boc)-(D-Arg(Pbf))-2Nal-Gly-Cys(Trt)- Lys(iPr,Boc)-GlyはRink AM樹脂を使用して標準的なFmoc化学によって組み立てられた。簡単に説明すると、3.6 gのRink AM樹脂をDCM中で14時間膨潤させ、次いでDMFで4回洗浄した。Fmocの除去は、DMF中の20%ピペリジン中、室温で20分間行い、DMFで数回洗浄した。ニンヒドリンテストは陰性だった。段階的鎖構築は線状ペプチドのC末端から始まり、9の主要工程で達成した。段階1において、3当量の保護アミノ酸Fmoc-GlyをDMF中のDCC/HOBtで活性化し、上記のFmoc除去Rink AM樹脂と室温で2時間カップリングした。ニンヒドリンテストは陰性だった。続いて、DMF中の20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。段階2において、3当量のFmoc-Lys(iPr, Boc)をDMF中のDCC/HOBtで活性化し、工程1からの脱保護樹脂にカップリングさせた。それぞれFmoc保護アミノ酸を使用して適切な工程を続けた。最後の残基Fmoc-Cys(Trt)のカップリング後、DMF中の20%ピペリジンを用いて20分間Fmoc除去をした。無水酢酸/DIEA/DMF(1:1:4、v/v/v)の混合物22 mLを用いて室温で30分間、N末端アセチル化を行った。次いで樹脂をDMFで3回、次いでDCMで2回洗浄し、真空乾燥した。
【0214】
完成したペプチドを脱保護し、室温で70分間36 mLのTFA/EDT/TIS/H2O/チオアニソール/フェノールの切断カクテル(100 mLの溶液当たり81.5 mLのTFA、2.5 mLのEDT、1.0 mLのTIS、5.0 mLのH2O、5.0 mLのチオアニソール、5.0グラムのフェノールを含む)を用いて樹脂から切り離した。この切断混合物に8容量のメチルt-ブチルエーテルを加えた。粗ペプチド沈殿物を3000rpmで3分間の遠心分離により分離した。粗ペプチド沈殿物をメチルt-ブチルエーテルで3回洗浄した。次いで粗ペプチドをアセトニトリル水溶液に溶解し、そして凍結乾燥した。
【0215】
1当量の凍結乾燥粗ペプチドを、以下のように予め調製した溶液に添加した:1.3当量の1,3-ビスブロモメチルベンゼンを5mg/mLでアセトニトリルに溶解した。超音波処理を使用することにより、溶解を速めることが可能となる。粗線状ペプチドを1.5mg/mLの最終濃度まで添加する前に、1,3-ビスブロモメチルベンゼンの溶液を等容量の15mM重炭酸アンモニウム水溶液と混合した。反応を1時間撹拌しながら進行させた。MSにより環化が完了したことを確認した。
【0216】
環化最終生成物を逆相分取カラムDaisogel(50×250 mm、8 mm);移動相-溶媒A:0.1%TFA水;溶媒B:0.1%TFAアセトニトリルを用いて精製した。目的生成物を含む画分を組み合わせて凍結乾燥した(TFA塩)。
【0217】
上述のとおり塩交換により、酢酸塩中のペプチドを得た。最終ペプチド生成物の分析HPLC純度95.23%;MW計算値:1338.82;MW観測値:1338.45。
【0218】
ヒトCXCR4/
125
I-SDF-1α結合阻害アッセイ:Chem-1細胞中で発現されたヒトケモカイン受容体CXCR4を改変HEPES緩衝液pH7.4中で使用した。0.5μg(膜タンパク質はロットごとに変わる可能性があり、使用される濃度は必要に応じて調整された)一定分量を0.03nM[
125I]SDF-1αと共に25℃で90分間インキュベートした。非特異的結合は、30nMのSDF-1αの存在下で推定された。膜を濾過し、洗浄し、次いでフィルターを計数して特異的に結合した[
125I]SDF-1αを決定した。化合物を、11点希釈で10μMから始めてスクリーニングした(Valenzuela-Fernandez A, etal. J Biol Chem. 277(18):15677, 2002)。CXCR4結合データをそれらの物理的特徴付けと一緒に以下の表に示す。
表1:例示されたペプチドの特徴付けおよび結合活性
【表1】
【0219】
腫瘍細胞遊走および浸潤アッセイ:細胞遊走は、胚発生、組織再編成、血管新生、免疫細胞輸送、慢性炎症、創傷治癒および腫瘍転移などの多くの生物学的および病理学的過程の基本的要素である多段階過程である。
【0220】
細胞浸潤は癌の特徴の一つである。それは細胞遊走に関連し、そして転移において重要な役割を果たす。転移は、結果として癌患者の死亡率の主たる理由である。腫瘍細胞が転移性腫瘍を形成する能力は、主に細胞の細胞形態を変化させて再編成し、細胞外マトリックス(ECM)を分解する能力によって決定される。
【0221】
細胞移動および浸潤の増加は、ヒト癌細胞の転移能の増強を示唆する。したがって、この実験の目的は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)および非小細胞肺がん(NSCLC)細胞の遊走および浸潤を阻害する本発明の化合物の能力を決定することである。そのような阻害は、TNBCおよびNSCLCの腫瘍転移に対する治療活性を示す。
【0222】
IncuCyteシステムによる遊走アッセイ: IncuCyte(登録商標)ZOOM システム (Essen BioScience,Inc.,アナーバー、ミシガン州)は細胞の遊走および浸潤を動的にモニターするために使用された。この自動化システムは、細胞培養インキュベーターの安定した環境内での細胞の挙動(増殖、運動性、遊走、浸潤など)のリアルタイム定量、典型的なエンドポイント分析の限界を排除することを可能にする、統合生細胞イメージングおよび分析プラットフォームである。実験手順は以下の概要のとおり:
1. 細胞を10%FBSを添加したDME/F12またはRPMI1640培地中で増殖させた。
2. 細胞を、24時間後に増殖細胞が単層としておよそ80~90%コンフルエントに達するような密度で96ウェル組織培養プレート上に播種した。(MDA-MB-231:50000/ウェル;HCC1806:40000/ウェル;A549:50000/ウェル)
3. 細胞を2時間飢餓状態にした(無血清培地(SFM)で培養した)。Essen BioScience, Inc.によって提供される創傷メーカーを使用して各ウェルに引っ掻き傷を付けた。次いでプレートをPBSで2回洗浄した。
4. 細胞を、100μlの無血清培地(SFM)中のDMSO(対照)またはペプチドCXCR4-アンタゴニスト(200nmol/L)で2時間前処理した。
5. 次に、培地を、DMSOまたはペプチドCXCR4-アンタゴニスト(200nmol/L)と組み合わせたリガンドSDF-1α(100ng/ml)の有無にかかわらず、新鮮なSFM(100μl)と交換した。
6. 次にプレートをIncuCyteシステムに入れ、通常の細胞培養インキュベーターで1~2日間インキュベートした。4時間毎にIncuCyteスキャンによって得られたデータをIncuCyteソフトウェアによって分析し、そして創傷治癒曲線を作成した。
アッセイデータは
図1~4に報告される。
図1は、本発明の化合物が、TNBCMDA-MB-231細胞におけるリガンド(SDF-1α)誘導細胞遊走を阻害できたことを示す。MDA-MB-231細胞は上記の細胞遊走アッセイにより分析した。200ng/mlのSDF-1αを使用した。 使用した本発明の化合物(例えば、MLB-009、MLB-010、MLB-014、およびMLB-011)の濃度は200nmol/Lであった。0時間の緑色は最初のスクラッチ領域を示し;12時間または16時間で、緑色は細胞遊走のない残りの領域を示す。
図2は、
図1に記載のMDA-MB-231細胞に対する細胞遊走アッセイの定量化である。
図3は、本発明の化合物がSDF-1α誘導HCC1806細胞遊走も阻害することを示す。別のTNBCHCC1806細胞株を細胞遊走アッセイを用いて分析した。100ng/mlのSDF-1αを使用した。使用した化合物(MLB-009、MLB-010、MLB-014、およびMLB-011)の濃度は200nmol/Lであった。0時間の緑色は最初のスクラッチ領域を示し;12時間で、緑色は細胞遊走のない残りの領域を示す。
図4は、
図3に記載のHCC1806細胞遊走アッセイの定量化である。
【0223】
IncuCyteシステムによる浸潤アッセイ:IncuCyte(登録商標) ZOOM システム (Essen BioScience, Inc.,アナーバー、ミシガン州)は癌細胞の浸潤を動的にモニターするためにも使用された。このアッセイの実験手順を以下に提供する:
1. SFMで1:100に希釈したマトリゲルを96ウェル組織培養プレート(50μl/ウェル)に加えた。該プレートを通常の細胞培養インキュベーターに一晩置いた。
2. 10%FBSを添加したDME/F12またはRPMI1640培地中で増殖させた細胞を上記の96ウェルプレート上に播種した。(MDA-MB-231:50000/ウェル;HCC1806:40000/ウェル;A549:50000/ウェル)
3. 翌日、細胞を2時間飢餓状態にした(SFMで培養した)。IncuCyte機器を介した創傷メーカーを使用して各ウェルに引っ掻き傷を付けた。次いでプレートをPBSで2回洗浄した。
4. 細胞を、100μlのSFM中のDMSO(対照)または本発明の化合物(200nmol/L)で2時間前処理した。
5. 次に、細胞培養培地を、1:20の比(50μl/ウェル)でSFMで希釈したマトリゲルと交換した。該プレートをインキュベーターに1時間静置した。
6. SDF-1α(100ng/ml)+DMSOまたは本発明の化合物(200nmol/L)を含むかまたは含まない新鮮なSFM(100μl)を96ウェルプレートの各ウェルに添加した。
7. 次に該プレートをIncuCyteシステムに入れ、通常の細胞培養インキュベーターで1~2日間インキュベートした。4時間毎にIncuCyteスキャニングを通して得られたデータをIncuCyteソフトウェアにより分析し、そして細胞浸潤曲線を作成した。
そのデータは
図5~7で報告される。
図5は、MDA-MB-231細胞に対する細胞浸潤アッセイの定量化である。
図6は、HCC1806細胞に対する細胞浸潤アッセイの定量化である。
図7は、NSCLCA549細胞に対する細胞浸潤アッセイの定量化である。
【0224】
前述された本発明の説明は、例示および説明の目的で提示されている。前述は、本発明を本明細書に開示された形態に限定することを意図するものではない。本発明の説明は、1以上の実施態様ならびに特定の変形された態様および修正された態様の説明を含んでいるが、例えば本開示の理解後の当業者の技術および知識の範囲内であり得る他の変形した態様および修正された態様は本発明の範囲内である。代替の、交換可能な、および/または同等の構造、機能、範囲、または請求されたものに対するステップを含む、特許請求されたものと代替の、交換可能な、および/または均等な構造、機能、範囲または工程を含む、許可される範囲の代替の態様を含む権利を取得することを意図するものであり、そのような代替の、交換可能な、および/または均等な構造、機能、範囲、または工程が、本明細書に開示されているかどうかにかかわらず、特許性のある主題を公に捧げることを意図するものではない。本明細書中に引用された全ての参考文献は、その全体が参考として援用される。
【0225】
図面の用語
Relative Wound Density (Percent) 相対創傷密度(パーセント)
Time (Hours) 時間(時間)
【配列表】