IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許-プランジャの位置を検出する装置 図1
  • 特許-プランジャの位置を検出する装置 図2
  • 特許-プランジャの位置を検出する装置 図3
  • 特許-プランジャの位置を検出する装置 図4
  • 特許-プランジャの位置を検出する装置 図5
  • 特許-プランジャの位置を検出する装置 図6
  • 特許-プランジャの位置を検出する装置 図7
  • 特許-プランジャの位置を検出する装置 図8
  • 特許-プランジャの位置を検出する装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】プランジャの位置を検出する装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20220706BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
A61M5/315 510
A61M5/24
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020091246
(22)【出願日】2020-05-26
(62)【分割の表示】P 2018127441の分割
【原出願日】2014-01-27
(65)【公開番号】P2020127836
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2020-05-26
(31)【優先権主張番号】13153137.8
(32)【優先日】2013-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ-アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ポール・リチャード・ドレイパー
(72)【発明者】
【氏名】アントニー・ポール・モーリス
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・フランシス・ギルモア
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/099551(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/032960(WO,A1)
【文献】特開2010-199706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャ内に配設され、栓に面するプランジャの遠位端に近接して位置するとともに栓によって反射される光を受けるように位置合わせされた近接センサを含む、医療デバイスであって、該受けられる反射される光が、医療デバイスの薬物カートリッジ内で栓に対するプランジャの位置を検出するために使用され、
該近接センサは、光源および光センサを含み、該光源は、プランジャ内の第1のコンパートメント内に配置され、そして該光センサは、プランジャ内の第2のコンパートメント内に配置され、
該プランジャは、該栓の表面に接触して、該第1のコンパートメントおよび該第2のコンパートメントが該栓の表面によって被覆され光学的に互いに隔離されるように、移動可能である、
上記医療デバイス。
【請求項2】
第1のコンパートメントおよび第2のコンパートメントは、光源から放射された光が光センサを直接照射しないように、互いに光学的に隔離された、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
近接センサはレンズを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
栓は、ほぼ平坦な近位面を含み、該ほぼ平坦な近位面は円形である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
栓は、ほぼ平坦な近位面から突出した弾性表面構造を含み、該表面構造は、ほぼ平坦な近位面の周りで均等に離隔された複数の細長い突出部を含む、請求項4に記載の医療デバイス。
【請求項6】
複数の細長い突出部は、ほぼ円形の平坦な近位面に対して径方向で方向付けられる、請求項5に記載の医療デバイス。
【請求項7】
複数の細長い突出部は、ほぼ円形の平坦な近位面に対して接線方向で方向付けられる、請求項5に記載の医療デバイス。
【請求項8】
表面構造は、複数の同心円を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項9】
表面構造は、十字形を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項10】
表面構造は、ほぼ円形の平坦な近位面の周りで均等に離隔された複数の円形の突出部を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
さらに、近接センサにより獲得された画像を処理するための処理部を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項12】
処理部は、近接センサと統合される、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
近接センサは、プランジャ内に配置されたケーブルにより、処理部に連結される、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項14】
プランジャの遠位端は、近接センサのレンズとして配置される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項15】
栓を備えた薬物カートリッジ;
栓を変位させるプランジャ;
プランジャを変位させる電気機械的駆動部;および
該プランジャ内に配設され、該栓に面するプランジャの遠位端に近接して位置するとともに栓によって反射される光を受けるように位置合わせされた近接センサであって、該受けられる反射される光が、医療デバイスの薬物カートリッジ内の栓に対するプランジャの位置を検出するために使用される、前記近接センサ;
を含む、薬物送達デバイスであって、
該近接センサは、光源および光センサを含み、該光源は、プランジャ内の第1のコンパートメント内に配置され、そして該光センサは、プランジャ内の第2のコンパートメント内に配置され、
該プランジャは、該栓の表面に接触して、該第1のコンパートメントおよび該第2のコンパートメントが該栓の表面によって被覆され光学的に互いに隔離されるように、移動可能である、
前記薬物送達デバイス。
【請求項16】
制御部は、電気機械的駆動部によってプランジャを栓に向かって前進させるとともに、栓とプランジャとが接触するよりも前の画像とは異なる、栓がプランジャと接触していることを示す画像を近接センサが検出した場合、電気機械的駆動部を停止させるように配置される、請求項15に記載の薬物送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物カートリッジの栓に対するプランジャの位置を検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
注射剤の投与は、精神面と肉体面の両方で、ユーザおよび医療従事者に対して多数のリスクと課題を与えるプロセスである。
【0003】
注射デバイス(即ち、薬物容器から薬剤を送達することができるデバイス)は、一般的に、手動デバイスおよび自己注射器という2つのカテゴリーに分類される。
【0004】
手動デバイスでは、ユーザは、針を通して流体を推進するのに機械的エネルギーを提供しなければならない。これは、一般的に、注射中はユーザが継続的に押し込んでいなければならない、何らかの形態のボタン/プランジャによって行われる。ユーザにとってこの方策による多数の欠点がある。ユーザがボタン/プランジャを押し込むのを止めた場合、注射も止まる。このことは、デバイスが適切に使用されない(即ち、プランジャがその終端位置まで完全に押し込まれない)場合、ユーザが送達するのが過少用量であり得ることを意味する。特に患者が高齢者であるかまたは器用さの面で問題がある場合、注射力がユーザにとって大きすぎることがある。
【0005】
ボタン/プランジャの延長は大きすぎることがある。したがって、ユーザが完全に延長したボタンに達するのが不便な場合がある。注射力とボタンの延長との組合せによって、手の震え/揺れが引き起こされる場合があり、それによって、挿入された針が動く際の不快感が増大する。
【0006】
自動注射デバイスは、注射治療の自己投与を患者にとってより簡単にすることを目的とする。自己投与される注射剤によって送達される現在の治療は、糖尿病(インスリンおよびより新しいGLP-1クラスの薬物)、片頭痛、ホルモン療法、抗凝血剤などのための薬物を含む。
【0007】
自動注射器は、標準的な注射器からの非経口薬物送達に関与する作業に完全にまたは部分的に取って代わるデバイスである。これらの作業は、保護用シリンジキャップを除去すること、針を患者の皮膚に挿入すること、薬剤を注射すること、針を除去すること、針を遮蔽すること、および針の再使用を防ぐことを含んでもよい。これは、手動デバイスの欠点の多くを克服する。注射力/ボタンの延長、手の揺れ、および不完全な用量送達の可能性が低減される。トリガは、多数の手段によって、たとえばトリガボタン、または針が注射深さに達する作用によって、行われてもよい。いくつかのデバイスでは、流体を送達するエネルギーはばねによって提供される。他のデバイスでは、これは電気機械的駆動部によって達成される。電気機械および/または電子構成要素を備えたデバイスは、カートリッジまたはシリンジ内の栓を電気的に変位させる駆動部を含んでもよい。
【0008】
特許文献1は、可搬型ハウジング内でポンプシステムが占める空間を最小限に抑える、線形駆動部を含む注入システムのためのポンプシステムを開示している。モータおよびモータ駆動軸は、シリンジおよび親ねじと並列に、かつそれらに隣接して配置される。ギヤボックスは、駆動軸および親ねじを連結して、それらの間で回転運動を伝達する。コーンまたは駆動ナットなどのピストン駆動部材は、親ねじの回転運動をシリンジピストンの線形運動に変換する。センサは、ピストンまたはコーンがそれぞれ「ホーム」位置および「終了」位置にあるときにそれを検出する。圧締め部材は、少なくとも投薬方向で、親ねじ
を線形運動に対抗して選択的に圧締めする。場合により、投薬中はコーンおよびピストンが当接していることを確保するため、近接センサが使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】WO02/083209A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの目的は、薬物カートリッジの栓に対するプランジャの位置を検出する、改善された装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
その目的は、請求項1に記載の、薬物カートリッジの栓に対するプランジャの位置を検出する装置によって達成される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態は従属請求項で与えられる。
【0013】
本発明によれば、薬物カートリッジの栓に対するプランジャの位置を検出する装置は、栓に面するプランジャの遠位端に近接して位置するとともに、栓によって反射される光を受けるように位置合わせされた近接センサを含む。
【0014】
カートリッジ内における栓の位置の製作公差に対処するために、薬物送達デバイスは、栓の近位面からの軸方向隙間内にそれらのプランジャのホーム位置または開始位置を位置決めする。注射用量を得ることができる前に、プランジャが栓と直接接触するように位置決めすることが望ましい。また、部分的に使用済みのカートリッジをユーザが薬物デバイスに挿入することも可能である。両方の場合において、プライミングを行うことができる位置にプランジャを自動的に位置決めすることができるように、薬物送達デバイスが、プランジャに対する栓の位置を決定できることが有利である。これは、本発明による装置によって達成される。プランジャを栓に向かって前進させながら、栓から反射した光を近接センサが受け、そのようにして、プランジャが栓と接触したか否かを判断してもよい。
【0015】
本発明によれば、近接センサは、栓に面するプランジャの遠位端に近接して位置するとともに栓を撮像するように位置合わせされたイメージングセンサとして配置され、栓は、柔軟な材料を含むとともにほぼ平坦な近位面を有し、平坦な近位面は、平坦な近位面から突出するとともにプランジャと接触したとき変形するように適用された弾性表面構造を備える。遠位端は透明なプレートによって被覆されてもよく、イメージングセンサは透明なプレートの背後に位置してもよい。透明なプレートは、湿度、埃、および/またはその他のものなどの環境条件からイメージングセンサを保護してもよい。あるいは、プランジャの遠位端は、イメージングセンサの任意の保護なしで開いている。
【0016】
表面構造がプランジャに接触したとき変形するように配置されているので、近接センサは、プランジャが栓に接触しているか否かに応じて異なる画像を検出する。近接センサからの画像が処理されて、栓の突出した表面構造が最初にプランジャと接触したときが判断される。この条件が満たされるとすぐに、プランジャを止めることができる。
【0017】
例示的な一実施形態では、近接センサは光源および光センサを含む。同様に、近接センサは撮像に適した任意のタイプのものであることができる。さらに、近接センサは、栓の画像をセンサ上にマッピングするためのレンズを含んでもよい。
【0018】
例示的な一実施形態では、栓の平坦な近位面は円形であり、表面構造は、平坦な近位面の周りで均等に離隔された4つの細長い突出部を含む。細長い突出部は、たとえば、円形の平坦な近位面に対して径方向または接線方向で方向付けられてもよい。
【0019】
別の例示的な実施形態では、表面構造は2つの同心円を含む。さらに別の例示的な実施形態では、表面構造は十字形を含む。さらに別の例示的な実施形態では、平坦な近位面は円形であり、表面構造は、円形の平坦な近位面の周りで均等に離隔された8つの小さい円形の突出部を含む。
【0020】
別の例示的な実施形態では、光源および光センサは、光源から放射された光が光センサを直接照明しないように互いに光学的に隔離されたプランジャ内のコンパートメント内に配置される。プランジャが栓と接触するよりも前に、光が光源から放射され、栓がそれを反射し、光センサがそれを受ける。栓と接触していると、光源のコンパートメントからの光は光センサのコンパートメント内へと反射することができないので、それによってプランジャと栓との接触を検出する単純な手段が提供される。この実施形態では、光センサは必ずしもイメージングセンサでなくてもよい。その代わりに、光センサは、たとえば、感光性の抵抗器として配置することができる。
【0021】
例示的な一実施形態では、近接センサによって獲得された画像を処理する処理部は、近接センサと統合されるか、または追加のデバイスとして配置される。
【0022】
近接センサは、プランジャ内に配置されたケーブルによって、処理部、および/または薬物送達デバイスの制御部などの別の電子デバイスに連結されてもよい。
【0023】
例示的な一実施形態では、プランジャの遠位端はほぼ平坦である。別の例示的な実施形態では、プランジャの遠位端は近接センサのレンズとして配置される。これにより、光学部品および製造が単純化され、したがってコストが低減されてもよい。
【0024】
装置は、栓を備えた薬物カートリッジと、栓を変位させるプランジャと、プランジャを変位させる電気機械的駆動部と、本発明による、栓に対するプランジャの位置を検出する装置とを含む、薬物送達デバイスの一部であってもよい。
【0025】
制御部は、電気機械的駆動部によってプランジャを栓に向かって前進させるとともに、栓とプランジャとが接触するよりも前の画像とは異なる、栓がプランジャと接触していることを示す画像を近接センサが検出した場合、電気機械的駆動部を停止させるため、薬物送達デバイス内に配置されてもよい。
【0026】
これにより、注射に先立ってプライミングを行うことができる位置にプランジャを自動的に位置決めすることができるように、薬物送達デバイスがプランジャに対する栓の位置を判断することができる。
【0027】
本発明の適用可能性のさらなる範囲は、以下に与えられる詳細な説明から明白となろう。しかしながら、本発明の精神および範囲内にある様々な変更および修正はこの詳細な説明から当業者には明白となることから、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい実施形態を示す一方で単なる例として与えられることを理解されたい。
【0028】
本発明は、以下に与えられる詳細な説明、および単に例として与えられ、したがって本発明を限定するものではない添付図面から、より十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】プランジャの位置を検出する装置を備えた薬物カートリッジの例示的な一実施形態を示す細部の概略縦断面図である。
図2】栓の例示的な一実施形態を示す概略斜視図である。
図3】プランジャと栓が接触するよりも前に近接センサが獲得する栓の平坦な近位面の画像の例示的な一実施形態を示す図である。
図4】プランジャと栓が接触する際に近接センサが獲得する栓の平坦な近位面の画像の例示的な一実施形態を示す図である。
図5】代替の表面構造を備えた栓の平坦な近位面の画像を示す図である。
図6】代替の表面構造を備えた栓の平坦な近位面の画像を示す図である。
図7】代替の表面構造を備えた栓の平坦な近位面の画像を示す図である。
図8】代替の表面構造を備えた栓の平坦な近位面の画像を示す図である。
図9】プランジャの位置を検出する装置を備えた薬物カートリッジの別の例示的な実施形態を示す細部の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
すべての図面において、対応する部分には同じ参照符号を付けている。
【0031】
図1は、遠位端にあるセプタム2もしくは放出ノズルと、近位端付近でカートリッジ1内に配設された栓3もしくはストッパとを備えた、薬物カートリッジ1またはシリンジの例示的な一実施形態の細部の概略縦断面図である。プランジャ4は、カートリッジ1内に収容された薬物を投薬するため、カートリッジ1内の栓3を変位させるように配置される。
【0032】
イメージングセンサとして配置された近接センサ5は、プランジャ4内に配設される。近接センサ5は、撮像に適した任意のタイプのものであることができるが、優先的に、光源、光センサ、レンズ、および処理部を含むタイプのものであってもよい。近接センサ5は、栓3に面するとともに栓3を撮像するように位置合わせされた、プランジャ4の平坦で透明な遠位端6に近接して位置する。
【0033】
図2は、栓3の例示的な一実施形態の概略斜視図である。この実施形態では、栓3は、柔軟な材料から成るかまたはそれを含み、ほぼ平坦な近位面7を有し、表面構造8が平坦な近位面7から突出している。図示される実施形態では、表面構造8は、円形の平坦な近接面7の周りで均等に離隔され、径方向で方向付けられた、4つの小さい細長い突出部(「種子(pip)」形状)を含む。表面構造8は、プランジャ4に接触したとき変形するように配置される。したがって、近接センサ5は、プランジャ4が栓3に接触しているか否かによって、異なる画像を検出することになる。
【0034】
図3は、プランジャ4が栓3と接触するよりも前に近接センサ5が獲得する画像9の例示的な一実施形態である。表面構造8は検出されていない。
【0035】
図4は、プランジャ4が栓3と接触した際の、近接センサ5が獲得する画像9の例示的な一実施形態である。表面構造8が検出されている。
【0036】
図5~8は、表面構造8を備えた栓3の平坦な近位面7の画像9の代替の例示的な実施形態である。図5の実施形態では、表面構造8は2つの同心円を含む。図6の実施形態では、表面構造8は十字形を含む。図7の実施形態では、表面構造は、円形の平坦な近位面7の周りで均等に離隔され、接線方向で位置合わせされた、4つの小さい細長い突出部を含む。図8の実施形態では、表面構造は、円形の平坦な近位面7の周りで均等に離隔された8つの小さい円形突出部を含む。
【0037】
処理部は、近接センサ5と統合されるか、または追加のデバイスとして配置されてもよい。近接センサ5は、プランジャ4内に配置されたケーブル10によって、処理部および/または他の電子機器に連結されてもよい。
【0038】
カートリッジ1およびプランジャ4は、薬物送達デバイス(図示なし)の一部であってもよい。薬物送達デバイスは、カートリッジ1を受けるように適用された本体を含んでもよい。皮下注射針、好ましくは、一方が注射部位を穿孔し、他方がカートリッジ1のセプタム2を穿孔してカートリッジ1と針との間に流体連通を確立する、2つの先端を有する針が、カートリッジ1に付着されてもよい。薬物送達デバイスは、情報をユーザに通信するための、または、針を注射部位に、たとえば患者の皮膚に挿入するため、および/または針を通して薬物をカートリッジ1から投薬するため、および/または注射後に針を撤回するため、ユーザが薬物送達デバイスおよび電気機械的駆動部(図示なし)を操作できるようにするための、制御部および/または人間・機械インターフェースなど、少なくとも1つの電気ユニットまたは電子デバイス(図示なし)をさらに含んでもよい。電気機械的駆動部は、単純なパワースクリューまたは入れ子状のパワースクリューを駆動するモータ駆動のギヤボックスを含んでもよい。
【0039】
薬物を投薬するよりも前にプランジャ4を栓3に適切に位置決めするために、プランジャ4は栓3に向かって駆動され、近接センサ5は能動的に撮像を行う。近接センサ5からの画像9が処理されて、栓3の突出した表面構造8のプランジャ4との最初の接触を判断する。この条件が満たされるとすぐに、プランジャ4は止められる。
【0040】
例示的な一実施形態では、プランジャ4の透明な遠位端6は水平ではなく、近接センサ5のレンズとして配置されてもよい。これにより、光学部品および製造が単純化され、したがってコストが低減されてもよい。
【0041】
図9は、遠位端にあるセプタム2もしくは放出ノズルと、近位端付近でカートリッジ1内に配設された栓3もしくはストッパとを備えた、薬物カートリッジ1またはシリンジの例示的な一実施形態の細部の概略縦断面図である。プランジャ4は、カートリッジ1内に収容された薬物を投薬するため、カートリッジ1内の栓3を変位させるように配置される。
【0042】
光源5.1、たとえば発光ダイオードと、光センサ5.2、たとえば感光性の抵抗器とを含む、近接センサ5がプランジャ4内に配設される。
【0043】
光源5.1および光センサ5.2は、光源5.1から放射された光が光センサ5.2を直接照明できないように互いに光学的に隔離されたプランジャ4内のコンパートメント4.1、4.2内に配置される。
【0044】
コンパートメント4.1および4.2は、栓3に面するプランジャ4の遠位端で開いている。
【0045】
処理部は、近接センサ5と統合されるか、または追加のデバイスとして配置されてもよい。近接センサ5は、プランジャ4内に配置されたケーブル10によって、処理部および/または他の電子機器に連結されてもよい。
【0046】
栓3と接触するよりも前に、光源5.1から放射された光は、栓3によって反射され、光センサ5.2によって検出される。プランジャが栓3の表面に接触する地点において、両方のコンパートメントは被覆され、光学的に互いに隔離される。この地点で、光センサ5.2は光を受けなくなっている。これにより、たとえば処理部を用いて、プランジャ4
と栓3との間の接触を検出することが可能になる。したがって、光センサ5.2によって検出された光が閾値未満のとき、処理部は、たとえば、光センサ5.2が発生する電気信号の信号レベルが所定の閾値未満であることを検出することによって、プランジャ4と栓3との間の接触を判断する。
【0047】
薬物を投薬するよりも前に栓3にプランジャ4を適切に位置決めするために、プランジャ4は栓3に向かって駆動され、近接センサ5は光を受ける。近接センサ5からの応答が処理されて、栓3とプランジャ4との最初の接触を判断する。この条件が満たされるとすぐに、プランジャ4は止められる。
【0048】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4もしくはエキセンジン-3もしくはエキセンジン-4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0049】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0050】
インスリン誘導体は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン、およびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0051】
エキセンジン-4は、たとえば、H-His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH2配列のペプチドであるエキセンジン-4(1-39)を意味する。
【0052】
エキセンジン-4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H-(Lys)4-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)5-desPro36,desPro37エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1-39)、
(ここで、基-Lys6-NH2が、エキセンジン-4誘導体のC-末端に結合していてもよい);
【0053】
または、以下の配列のエキセンジン-4誘導体:
desPro36エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2(AVE0010)、
H-(Lys)6-desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(
1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Lys6-desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-Lys6-NH2、
H-desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2、
H-(Lys)6-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(S1-39)-(Lys)6-NH2、
H-Asn-(Glu)5-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン-4(1-39)-(Lys)6-NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン-4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0054】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0055】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0056】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0057】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70~110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0058】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0059】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クロ
ーンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0060】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211~217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0061】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0062】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH-H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0063】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1~R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1~C6アルキル基、場合により置換されたC2~C6アルケニル基、場合により置換されたC6~C10アリール基、または場合により置換されたC6~C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0064】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0065】
当業者であれば、本明細書に記載される装置、方法、および/またはシステムの様々な構成要素、ならびに実施形態の修正(追加および/または除去)は、かかる修正およびその任意のおよびあらゆる等価物を包含する、本発明の全体の範囲および精神から逸脱することなく、行われてもよいことを理解するであろう。
【符号の説明】
【0066】
1 カートリッジ
2 セプタム
3 栓
4 プランジャ
4.1 コンパートメント
4.2 コンパートメント
5 近接センサ
5.1 光源
5.2 光センサ
6 透明な遠位端
7 平坦な近位面
8 表面構造
9 画像
10 ケーブル
D 遠位方向
P 近位方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9