(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】ディスペンス制御機器及びその吐出制御方法
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20220706BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20220706BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20220706BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20220706BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C11/00
B05D1/26 Z
B05D3/00 D
B05D3/12 A
(21)【出願番号】P 2020573263
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(86)【国際出願番号】 CN2019130259
(87)【国際公開番号】W WO2020258815
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】201910555990.8
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910557123.8
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520508310
【氏名又は名称】常州銘賽机器人科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】張 晋
(72)【発明者】
【氏名】孫 培
(72)【発明者】
【氏名】曲 東升
(72)【発明者】
【氏名】趙 亜軍
【審査官】荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-177530(JP,A)
【文献】特開2006-192371(JP,A)
【文献】特開2016-001455(JP,A)
【文献】特開2012-219949(JP,A)
【文献】特開2006-285662(JP,A)
【文献】特開平09-225374(JP,A)
【文献】特開2010-090845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C11/00-11/10
B05C 5/00- 5/04
B05D 1/00- 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気源への接続に適した第1の入力アダプターと、外部バレルへの接続に適した第1の出力アダプターおよび第2の出力アダプターと、を有する本体と、
前記本体内に設けられ、吸気端が前記第1の入力アダプターに連結されている第1の減圧装置と、
前記本体内に設けられ、吸気口が
前記第1の減圧装置の排気端に連結されている第1の排気弁と、
吸気口が前記第1の排気弁の排気口、前記第1の出力アダプターに連結され、排気口が前記第2の出力アダプターに接続されている第2の排気弁と、
前記第1の排気弁の排気口と前記第1の出力アダプターの間に設けられて、前記第1の排気弁と前記第1の出力アダプターの間における管路のリアルタイムな気圧を収集する第1の気圧センサと、
前記本体内に設けられており、前記第1の減圧装置、前記第1の排気弁、前記第2の排気弁、および、第1の気圧センサに電気的に接続されているとともに、これらの部材を制御する制御装置と、を含み、
前記制御装置は、前記第1の気圧センサによって収集されたリアルタイムな気圧を連続的に受けるとともに、前記リアルタイムな気圧をリアルタイムに処理してから気圧増加の特徴パラメータを抽出するように構成されている、ことを特徴とするディスペンス制御機器。
【請求項2】
前記本体には、第3の出力アダプターがさらに設けられており、
前記ディスペンス制御機器は、吸戻し気圧発生装置をさらに含み、
前記吸戻し気圧発生装置は、
吸気口が前記第1の入力アダプターに連結されている第2の減圧装置と、
真空発生口が前記第1の排気弁の排気口に連結され、吸気口が前記第2の減圧装置の排気口に連結され、排気口が前記第3の出力アダプターに連結されている真空発生器と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のディスペンス制御機器。
【請求項3】
前記真空発生器の真空発生口が第1の排気弁の排気口に連結されている管路は、前記吸戻し気圧発生装置の吸気口であり、
前記ディスペンス制御機器は、
前記吸戻し気圧発生装置の吸気口に接続されて、前記吸戻し気圧発生装置から発生された吸戻し気圧を収集し、前記制御装置に電気的に接続されるとともに、その収集信号が前記制御装置によって連続的に受信される、第2の気圧センサをさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載のディスペンス制御機器。
【請求項4】
前記第2の減圧装置は、電気比例弁または電空減圧弁である、ことを特徴とする請求項2に記載のディスペンス制御機器。
【請求項5】
前記第1の減圧装置は、精密減圧弁、電気比例弁または電空減圧弁であり、及び/または、
前記第1の排気弁と第2の排気弁のうちの少なくとも1つは、2位置3ポート電磁弁であり、かつ、前記第2の排気弁の流量は前記第1の排気弁の流量よりも大きい、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のディスペンス制御機器。
【請求項6】
前記第1の減圧装置は、
少なくとも吸気口と排気口を有し、前記吸気口が前記第1の減圧装置の吸気端を構成し、前記排気口が前記第1の排気弁の吸気口に連結されている第1の減圧弁を含む、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のディスペンス制御機器。
【請求項7】
前記第1の減圧装置は、さらに、
その軸方向に貫通する管腔が内部に規定されており、外壁面には、前記管腔に連通する1つまたは複数の気流通路が設けられており、前記第1の減圧弁の排気口と前記第1の排気弁の吸気口の間に接続されている異種管継手を含む、ことを特徴とする請求項6に記載のディスペンス制御機器。
【請求項8】
前記気流通路
は、直径が1mm以下であ
る、又
は、横断面積が1mm
2以下である、ことを特徴とする請求項7に記載のディスペンス制御機器。
【請求項9】
前記異種管継手と前記第1の排気弁の間に連通しているガス貯蔵タンクをさらに含む、ことを特徴とする請求項7に記載のディスペンス制御機器。
【請求項10】
前記異種管継手と前記第1の排気弁の間に連通して、前記第1の減圧装置から出力された最大流量への調節に適した速度制御弁をさらに含む、ことを特徴とする請求項7~9のいずれか1項に記載にディスペンス制御機器。
【請求項11】
前記異種管継手と前記ガス貯蔵タンクの間に連通している異径管をさらに含む、ことを特徴とする請求項9に記載のディスペンス制御機器。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のディスペンス制御機器による吐出制御方法であって、
S1、作動気圧、吸戻し気圧、吐出持続期間を設定すること、
S2、空きバレルが前記第1の出力アダプターに接続されたときの第1の気圧波形と、満ちバレルが前記第1の出力アダプターに接続されたときの第2の気圧波形と、を予め設定すること、
S3、残量アラーム閾値を予め設定すること、
S4、前記第1の出力アダプターには、ディスペンスを実行しようとするバレルが接続されたか否かを検出するとともに、ディスペンストリガー信号を受信したか否かを検出すること、
S5、前記ディスペンストリガー信号を受信したとき、前記作動気圧を出力するとともに、前記吐出持続期間内に前記第1の気圧センサによって収集されたリアルタイムな気圧波形をリアルタイムに検出し、前記リアルタイムな気圧波形、第1の気圧波形、および、第2の気圧波形に基づき、バレル内の塗液残量を予め判断すること、
S6、前記塗液残量に基づいて、ステップS1における作動気圧、吸戻し気圧、吐出持続期間を調整し、繰り返してステップS5に戻すこと、および、
S7、ステップS5における塗液残量が前記残量アラーム閾値よりも小さくなると、アラーム信号を発し、吐出を停止して、ステップS4に戻すこと、を含むことを特徴とする吐出制御方法。
【請求項13】
前記ステップS2において、前記第1の気圧波形と第2の気圧波形の各々を検出することは、
S21、前記第1の出力アダプターには、検出されるバレルが既に接続されたか否かを検出するとともに、実行信号を受信したか否かを検出すること、
S22、前記実行信号を受信した後、前記第1の気圧センサを起動させて、予め設定された検出期間に気圧波形を収集すること、および、
S23、対応する前記気圧波形を記憶すること、を含むことを特徴とする請求項12に記載の吐出制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスペンスの技術分野に関し、特に、ディスペンス制御機器及びその吐出制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な空圧方式ディスペンスコントローラでは、内蔵されたアナログ式気圧計、デジタル式気圧計又は気圧センサは、第1の減圧装置の排気口と第1の排気弁の吸気口との間における管路に接続されており、設定された気圧を測定し、表示するために用いられるが、バレル配管中の気圧波形を監視することができず、バレル内の気圧監視機能を具備していない。
【0003】
具体的なディスペンスプロセスでは、バレル内に塗液がいっぱいに充填された場合、好適なディスペンスパラメータを特定し、吐出回数の増加につれて、バレル内の塗液の残量が徐々に減少し、それに伴って吐出量も減少する。吐出量が明らかに、求められる塗液量よりも低くなるように低下した場合、オペレーターがディスペンスパラメータを変更する必要がある(吐出持続期間を適宜に長くすることが一般的である)。ただし、当該ディスペンスプロセスの適用のコア問題点は幾つかある。第一は、オペレーターによるディスペンスパラメータへの変更を複数回も必要とし、かつ、変更後のパラメータが適切なものか否かへの判断には、塗液量に対するテストや検証を行う必要がある点。第二は、オペレーターがディスペンスパラメータを複数回変更することにより、吐出量が明らかに変動してしまい、すなわち、吐出量が明らかに減少したとき、ディスペンスパラメータを急に変更させると、次回の吐出量が明らかに大きくなる点。
【0004】
以上により、このようなディスペンス操作は、オペレーターによるパラメータへの調整を複数回も必要とするだけではなく、ディスペンスの一致性を向上させることも難しい。塗液残量は塗液がなくなるまで徐々に減少するとき、塗液の吐出が突然になくなる。これにより、自動ディスペンス機器または生産ラインにおけるディスペンス工程は、異常が発生して、プロセス全体に対して直接に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、少なくとも、従来技術に存在した技術的課題の一つを解決することを目的にしている。
【0006】
本発明は、ディスペンスパラメータに対する適応的調整や塗液残量の不足に起因したアラーム機能、および、吸戻し気圧の適応的フィードバック制御を実現することができるディスペンス制御機器を提案している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ディスペンス制御機器の制御方法をさらに提供する。
【0008】
本発明の第1の態様にかかる実施例によるディスペンス制御機器は、空気源への接続に適した第1の入力アダプターと、外部バレルへの接続に適した第1の出力アダプターおよび第2の出力アダプターと、を有する本体と、前記本体内に設けられ、吸気端が前記第1の入力アダプターに連結されている第1の減圧装置と、前記本体内に設けられ、吸気口が前記第1の減圧装置の排気端に連結されている第1の排気弁と、吸気口が前記第1の排気弁の排気口、前記第1の出力アダプターに連結され、排気口が前記第2の出力アダプターに接続されている第2の排気弁と、前記第1の排気弁の排気口と前記第1の出力アダプターの間に設けられて、前記第1の排気弁と前記第1の出力アダプターの間における管路のリアルタイムな気圧を収集する第1の気圧センサと、前記本体内に設けられており、前記第1の減圧装置、前記第1の排気弁、前記第2の排気弁、および、第1の気圧センサに電気的に接続されているとともに、これらの部材を制御する制御装置と、を含み、前記制御装置は、前記第1の気圧センサによって収集されたリアルタイムな気圧を連続的に受けるとともに、前記リアルタイムな気圧をリアルタイムに処理してから気圧増加の特徴パラメータを抽出するように構成されている。
【0009】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記本体には、第3の出力アダプターがさらに設けられており、前記ディスペンス制御機器は、吸戻し気圧発生装置をさらに含み、前記吸戻し気圧発生装置は、吸気口が前記第1の入力アダプターに連結されている第2の減圧装置と、真空発生口が前記第1の排気弁の排気口に連結され、吸気口が前記第2の減圧装置の排気口に連結され、排気口が前記第3の出力アダプターに連結されている真空発生器と、を含む。
【0010】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記真空発生器の真空発生口が第1の排気弁の排気口に連結されている管路は前記吸戻し気圧発生装置の吸気口であり、前記ディスペンス制御機器は、前記吸戻し気圧発生装置の吸気口に接続されて、前記吸戻し気圧発生装置から発生された吸戻し気圧を収集し、前記制御装置に電気的に接続されるとともに、その収集信号が前記制御装置によって連続的に受信される、第2の気圧センサをさらに含む。、
【0011】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記第2の減圧装置は、電気比例弁または電空減圧弁である。
【0012】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記第1の減圧装置は、精密減圧弁、電気比例弁または電空減圧弁であり、及び/または、前記第1の排気弁と第2の排気弁のうちの少なくとも1つは、2位置3ポート電磁弁であり、かつ、前記第2の排気弁の流量は前記第1の排気弁の流量よりも大きい。
【0013】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記第1の減圧装置は、少なくとも吸気口と排気口を有し、前記吸気口が前記第1の減圧装置の吸気端を構成し、前記排気口が前記第1の排気弁の吸気口に連結されている第1の減圧弁を含む。
【0014】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記第1の減圧装置は、さらに、その軸方向に貫通する管腔が内部に規定されており、外壁面には、前記管腔に連通する1つまたは複数の気流通路が設けられており、前記第1の減圧弁の排気口と前記第1の排気弁の吸気口の間に接続されている異種管継手を含む。
【0015】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記気流通路は、最小直径が1mm以下であり、又は、最小横断面積が1mm2以下である。
【0016】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記ディスペンス制御機器は、前記異種管継手と前記第1の排気弁の間に連通しているガス貯蔵タンクをさらに含む。
【0017】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記ディスペンス制御機器は、前記異種管継手と前記第1の排気弁の間に連通して、前記第1の減圧装置から出力された最大流量への調節に適した速度制御弁をさらに含む。
【0018】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記ディスペンス制御機器は、前記異種管継手と前記ガス貯蔵タンクの間に連通している異径管をさらに含む。
【0019】
本発明の第2の態様にかかる実施例による吐出制御方法によれば、本発明の第1の態様によるディスペンス制御機器が用いられる。前記吐出制御方法は、
S1、作動気圧、吸戻し気圧、吐出持続期間を設定すること、
S2、空きバレルが前記第1の出力アダプターに接続されたときの第1の気圧波形と、満ちバレルが前記第1の出力アダプターに接続されたときの第2の気圧波形と、を予め設定すること、
S3、残量アラーム閾値を予め設定すること、
S4、前記第1の出力アダプターには、ディスペンスを実行しようとするバレルが接続されたか否かを検出するとともに、ディスペンストリガー信号を受信したか否かを検出すること、
S5、前記ディスペンストリガー信号を受信したとき、前記作動気圧を出力するとともに、前記吐出持続期間内に前記第1の気圧センサによって収集されたリアルタイムな気圧波形をリアルタイムに検出し、前記リアルタイムな気圧波形、第1の気圧波形、および、第2の気圧波形に基づき、バレル内の塗液残量を予め判断すること、
S6、前記塗液残量に基づいて、ステップS1における作動気圧、吸戻し気圧、吐出持続期間を調整し、繰り返してステップS5に戻すこと、および、
S7、ステップS5における塗液残量が前記残量アラーム閾値よりも小さくなると、アラーム信号を発し、吐出を停止して、ステップS4に戻すこと、を含む。
【0020】
本発明の幾つかの実施例によれば、前記ステップS2において、前記第1の気圧波形と第2の気圧波形の各々を検出することは、
S21、前記第1の出力アダプターには、検出されるバレルが既に接続されたか否かを検出するとともに、実行信号を受信したか否かを検出すること、
S22、前記実行信号を受信した後、前記第1の気圧センサを起動させて、予め設定された検出期間に気圧波形を収集すること、および、
S23、対応する前記気圧波形を記憶すること、を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明のさらなる態様及び利点は、以下の説明において部分的に与えられ、その一部が以下の記載から明確化され、または、本発明の実践から理解されるであろう。
【0022】
本発明の上記および/またはさらなる態様及び利点は、以下の図面と併せた実施例への説明から、明瞭になり、かつ理解しやすいであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例にかかるディスペンス制御機器の概略図である。
【
図2】本発明の第1の実施例にかかるディスペンス制御機器の第1の減圧装置の概略図である。
【
図3a】本発明の第2の実施例にかかるディスペンス制御機器の第1の減圧装置の概略図である。
【
図3b】
図3aの第1の減圧装置における異種管継手の概略図である。
【
図4】本発明の第3の実施例にかかるディスペンス制御機器の第1の減圧装置の概略図である。
【
図5】本発明の第4の実施例にかかるディスペンス制御機器の第1の減圧装置の概略図である。
【
図6】本発明の第5の実施例にかかるディスペンス制御機器の第1の減圧装置の概略図である。
【
図7】本発明の第6の実施例にかかるディスペンス制御機器の第1の減圧装置の概略図である。
【
図8】本発明の第7の実施例にかかるディスペンス制御機器の第1の減圧装置の概略図である。
【
図9】本発明の第8の実施例にかかるディスペンス制御機器の第1の減圧装置の概略図である。
【
図10】本発明の実施例にかかるディスペンス制御機器の吐出制御方法のフローチャートである。
【
図11】
図10での第1または第2の気圧波形を検出するときのフローチャートである。
【
図12】本発明の実施例にかかるディスペンス制御機器の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下は、本発明の実施例を詳しく説明し、前記実施例の例示が添付図面に示され、そのうち、同じまたは類似の参照番号は、同じまたは類似の要素または同じまたは類似の機能を有する要素を示す。添付図面を参照して説明する以下の実施例は例示的なものであり、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を制限するものとして理解されてはならない。
【0025】
本発明の記載では、用語としての「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などが示す方位または位置関係は、添付図面に基づいて示される方位または位置関係であり、本発明を説明しやすく、記載を簡素化するためのものに過ぎず、指し示す装置または要素が特定の方位を具備しなければならず、特定の方位で構成されたり、操作されたりしなければならないということを指示し、または、暗示するものではないことが理解されたい。そのため、それらが本発明を制限するものとして理解されてはならない。
【0026】
なお、用語としての「第1の」、「第2の」は説明目的でのみ使用され、相対的な重要性を示したり暗示したり、あるいは、指し示す構成要件の個数を非明示的に示すものとして、理解されてはならない。それにより、「第1の」、「第2の」が限定された構成要件には、1つまたは複数の当該構成要件が明示または非明示に含まれることが可能である。さらに、本発明の記載では、「複数」とは、特に明記しない限り、2つ以上を意味する。
【0027】
本発明の実施例にかかるディスペンス制御機器1000は、本体100と、第1の減圧装置200と、第1の排気弁300と、第2の排気弁400と、第1の気圧センサ50と、制御装置600と、を含む。
【0028】
図1に示されるように、本体100は、空気源への接続に適した第1の入力アダプター110と、外部バレル2000への接続に適した第1の出力インピーダンス
120および第2の出力アダプター130と、を有する。第1の減圧装置200は本体100内に設けられ、第1の減圧装置200の吸気端210が第1の入力アダプター110に連結されている。第1の排気弁300は、本体100内に設けられ、第1の排気弁300の吸気口310が減圧装置の排気端220に連結されている。吐出の原理は以下の通りである。ディスペンス制御機器1000が作動していないとき、第1の排気弁300は閉状態にある。ディスペンス作業を実行する必要がある場合、第1の減圧装置220から出力された所定作動気圧は、第1の排気弁
300を介してバレルの空洞内に流れ込み、塗液をバレルの端にある塗液出力端から絞り出させる。吐出作業が完了すると、第1の排気弁
300は、開状態から閉状態へ切り換えられる。
【0029】
第2の排気弁400の吸気口410が第1の排気弁300の排気口320、第1の出力アダプター120に連結され、第2の排気弁400の排気口420が第2の出力アダプター130に接続されている。第1の気圧センサ500は、第1の排気弁300の排気口320と第1の出力アダプター120の間に設けられて、第1の排気弁300と第1の出力アダプター120の間における管路330のリアルタイムな気圧を収集する。
【0030】
制御装置600は、本体100内に設けられており、第1の減圧装置200、第1の排気弁300、第2の排気弁400、および、第1の気圧センサ500に電気的に接続されているとともに、これらの部材を制御し、制御装置600は、第1の気圧センサ500によって収集されたリアルタイムな気圧を連続的に受けるとともに、リアルタイムな気圧をリアルタイムに処理してから気圧増加の特徴パラメータを抽出するように構成されている。それにより、1回のディスペンス作業では、第1の気圧センサ500は、作動気圧の増加、安定化、及び、減少をリアルタイムに収集し、制御装置600は、収集されたデータを処理して、完全な気圧波形曲線を形成する。
【0031】
選択的に、第1の気圧センサ500は、第1の排気弁300の排気口と作動気圧出力口の間における作動気圧出力空気路に設けられてもよい。そのうち、作動気圧出力口とは、コントローラパネルに貫通している空気路継手を指し、当該空気路継手が制御装置600の内部において第1の排気弁300の排気口320と接続されている。
【0032】
ディスペンス制御機器1000の具体的な作動過程は以下の通りである。具体的に選定されたバレル2000の容積と接続チューブの長さに基づき、バレル2000を接続チューブによってディスペンス制御機器1000の第1の出力アダプター120に接続し、ディスペンス制御機器1000が所定の作動パラメータ(吐出持続期間、作動気圧、および、吸戻し気圧を含む)にしたがってディスペンス作業を行う。バレル内の塗液残量の減少に伴って、第1の気圧センサ500によって収集された全体作動気圧波形において、気圧増加の過程が徐々に緩くなり、気圧の安定化の過程及び減少の過程には明らかな差が現れていない。したがって、第1の気圧センサ500によって収集された気圧増加の過程における波形差から、キーパラメータを抽出し、組み込みの予測アルゴリズムにより、バレル内の塗液残量を算出することができ、バレル内の塗液残量を精確に予測することができる。
【0033】
塗液残量に対する精確な予測により、ディスペンス作業時、ディスペンス制御機器1000は、異なる塗液残量に基づいて、ディスペンスパラメータを連続的に調整して、塗液吐出量の極めて高い一致性を実現することができる。選択的に、ディスペンス制御機器1000は、塗液残量が不足である場合のアラーム機能を発揮することもできる。塗液残量が設定されたアラーム閾値よりも小さくなるとき、ディスペンス制御機器1000は、塗液残量が不足であるアラーム信号を出力して、塗液の追加注入または交換をオペレーターに提示する。
【0034】
本発明の実施例にかかるディスペンス制御機器1000によれば、第1の気圧センサ500が設けられたことにより、ディスペンス作業の場合、第1の気圧センサ500は、1回の吐出による気圧波形をリアルタイムに収集するとともに、気圧増加の特徴パラメータを抽出して、現在の塗液残量への予測を実現し、かつ、ディスペンス制御機器の作動パラメータを自動的に調整して、バレル内の塗液が満ちている状態から空いている状態への吐出全過程に亘る塗液吐出量の極めて高い一致性を実現することができる。
【0035】
なお、第1の気圧センサ500によるバレル内の塗液残量への予測機能を実現するために、ディスペンス作業の実行前に、バレルが満ちていると空いているという2つの作業条件で気圧増加の特徴パラメータを抽出および較正する必要がある。ディスペンス作業の実行前に、満ちたバレルと空いたバレルをそれぞれ、接続チューブによって第1の出力アダプター120に接続する必要がある。すると、ディスペンス制御機器1000は較正モードに入り、制御装置600が第1の気圧センサ500、第1の排気弁300、第1の減圧装置200、および、第2の排気弁400と相互作用するようになり、満ちたバレル(又は空いたバレル)が接続された場合の作動気圧を収集して、バレルが空いている作業条件での第1の気圧波形と、バレルが満ちている作業条件での第2の気圧波形をそれぞれ、取得するとともに、収集された波形から、気圧増加レートを抽出し、バレルが満ちていると空いているという2つの作業条件での気圧増加の特徴パラメータに対する抽出と較正を完了する。
【0036】
ディスペンス作業の実行中、制御装置600は、第1の気圧センサ500、第1の排気弁300、第1の減圧装置200、および、第2の排気弁400と相互作用するようになり、1回の吐出による気圧波形をリアルタイムに収集するとともに、気圧増加の特徴パラメータを抽出し、制御装置600に組み込んだバレル内塗液残量予測アルゴリズムにより、現在の塗液残量への精確な予測を実現する。
【0037】
本発明の幾つかの実施例によれば、
図1に示されるように、本体100には、第3の出力アダプター140がさらに設けられ、ディスペンス制御機器1000は、吸戻し気圧発生装置700をさらに含み、吸戻し気圧発生装置700が第2の減圧装置710と真空発生器720を含む。第2の減圧装置710の吸気口711が第1の入力アダプター110に連結されている。真空発生器720は、真空発生口723が第1の排気弁300の排気口330に連結され、吸気口721が第2の減圧装置710の排気口712に連結され、排気口722が第3の出力アダプター140に連結されている。選択的に、第2の減圧装置710は、電気比例弁または電空減圧弁である。
【0038】
作業中、ディスペンス制御機器1000は、吸戻し機能を発揮すると、制御装置600が第1の気圧センサ500、第2の減圧装置710と相互作用するようになり、リアルタイムにフィードバックして調節することができ、吸戻し気圧に対する適応的な制御を実現した。吸戻し気圧に対する適応的な制御によれば、ディスペンス作業の間欠期間内、塗液がバレルの端にあるニードル状の吐出口から滴下したり漏れたりすることがなく、気泡の混入もないように確保され、ディスペンス作業時の精確な吐出一致性が確保された。
【0039】
図1に示されるように、本発明の幾つかの実施例によれば、真空発生器720の真空発生口723が第1の排気弁300の排気口330に連結される管路は、吸戻し気圧発生装置700の吸気口730である。ディスペンス制御機器1000は、第2の気圧センサ800をさらに含む。第2の気圧センサ800は、吸戻し気圧発生装置700の吸気口730に接続されて、吸戻し気圧発生装置700から発生された吸戻し気圧を収集し、制御装置に電気的に接続されるとともに、その収集信号が制御装置によって連続的に受信される。すなわち、真空発生器
720と第1の排気弁300の排気口との間における吸戻し気圧発生装置の吸気口には、第2の気圧センサ
800が設けられ、吸戻し気圧の機能を発揮すると、第2の気圧センサ
800は吸戻し気圧をリアルタイムに収集するとともに、制御装置600と相互作用して吸戻し気圧に対する適応的な制御を実現した。
【0040】
本発明の幾つかの選択可能な実施例によれば、第1の減圧装置200は、精密減圧弁、電気比例弁または電空減圧弁である。幾つかの選択可能な実施例では、
【0041】
第1の排気弁300と第2の排気弁400のうちの少なくとも1つは、2位置3ポート電磁弁であり、かつ、第2の排気弁400の流量は第1の排気弁300の流量よりも大きい。第1の排気弁300は2位置3ポート電磁弁として形成され、第1の排気弁300は一般的な素子であり、容易に入手できる。
【0042】
本発明の一実施例では、第2の排気弁400は2位置3ポート電磁弁として形成され、かつ、第2の排気弁400の流量は第1の排気弁300の流量よりも大きい。第2の排気弁400も一般的な素子であり、容易に入手できる。
【0043】
なお、複数の素子の継手間には、それぞれ、ホース900によって接続され、ホース900による接続が便利なものであり、取付が容易となる。
【0044】
吐出実行作業の終了時、第1の排気弁300が開状態から閉状態に切り換えられるため、その場合、第1の排気弁300の気体出力流量が急にゼロに低下し、それに伴って、その排気端に接続された負荷端の気体流量も急にゼロに低下し、それにより、第1の減圧弁230の出力気圧にはオーバーシュートが発生する。第1の減圧装置によって、その出力気圧を、オーバーシュートから設定された気圧と一致するまでに低下する期間を短縮することができる。本発明の以下の実施例では、第1の減圧装置200を詳しく説明する。本発明の実施例にかかるディスペンス制御機器によれば、このような第1の減圧装置が用いられたことにより、より短いディスペンス繰り返し周期でディスペンス作業を実行することができ、ディスペンス作業の効率を高めるとともに、一致したディスペンス精度も確保された。
【0045】
本発明の幾つかの具体的な実施例では、
図2に示されるように、第1の減圧装置200は、第1の減圧弁230を含み、第1の減圧弁230が少なくとも、吸気口231と排気口232を有し、吸気口231が第1の減圧装置200の吸気端を構成し、排気口232が第1の排気弁300の吸気口310に連結されている。第1の減圧弁230は排気ポートをさらに有し、
第1の減圧弁230の排気ポートは空いたままでもよいし、または、消音器(図示せず)が取り付けられてもよい。
【0046】
図1に示されるディスペンス制御機器1000では、第1の減圧装置200は、第1の減圧弁230のみを含むように例示される。しかし、本発明はそれに限られていない。
【0047】
図3aに示されるように、本発明の幾つかの別の具体的な実施例では、第1の減圧装置200は、異種管継手240をさらに含んでもよい。
図3bに示されるように、異種管継手240は、その軸方向に貫通する管腔241が内部に規定されており、外壁面には、管腔241に連通する1つまたは複数の気流通路242が設けられている。その場合、本発明の実施例に係るディスペンス制御機器では、第1の減圧装置200の作動原理は以下の通りである。その排気端220に接続された端末負荷であるバレル2000には消耗が生じない場合、又は、一定の流量で気体が消耗している場合、第1の減圧装置220から安定的に出力された気圧が設定された気圧と一致する。負荷側で消耗している気体の流量が急に減少する(ひいてはゼロにも低下した)とき、第1の減圧装置200の出力気圧が設定された気圧よりも高くなり、減圧弁230の気圧出力口に接続された異種管継手240から、減圧弁230の出力気圧の一部を一定の流量で流出させることで、バレル側の流量が減少すると、減圧弁230の出力気圧を、オーバーシュートから設定された気圧と一致するまでに低下する期間を短縮する。
【0048】
異種管継手240は、市販の標準製品を基にして気流通路を改良したものであってもよいし、設計して加工した自製品であってもよく、構造が簡単なものである。管継手の標準製品を基にして改良する場合、管継手の標準製品を第1の減圧弁230の排気口に密封接続すると、管継手の標準品が出力気圧に直接接触する腔体の表面に穴を開けて、異種管継手の標準品の外面まで直接に、又は、湾曲して貫通して異種管継手240を形成し、外面における穴は、異種管継手240が第1の減圧弁230と密封接続され、負荷と接続される場合、覆われることがなく、又は、遮蔽されることがないように確保されなければならない(その目的は、第1の減圧弁230の出力気圧が当該気流通路から持続且つ順調に漏れることを確保することである)。第1の減圧弁230の排気口から出力された気圧は、気流通路から、一定の流量で持続的に一部が流出されるようになる。
【0049】
負荷側が気流量を必要とするか否かにもかかわらず、第1の減圧弁230は常に流量出力の状態(すなわち、明らかにフィードバックして調節される状態)にある利点は以下の通りである。負荷側での気圧流量が減少する(ひいては流量がゼロとなる)と、第1の減圧弁230によるフィードバックや調節が迅速に実現できず、その瞬間に気圧が明らかにオーバーシュートし、出力気圧のオーバーシュートが発生する。減圧弁の標準品の適用と比べて、気流通路では、出力気圧が持続的に一定の流量で消耗しているので、出力気圧がオーバーシュート状態から回復する過程を直接に加速させ、出力気圧を、オーバーシュートから設定された気圧と一致するまでに低下する期間を短縮する。
【0050】
そのため、本発明の実施例にかかるディスペンス制御機器によれば、従来技術と比べて、異種管継手240には、気流通路が設けられるので、当該第1の減圧装置は、更に短時間で、設定された気圧よりも高い第1の減圧装置の出力気圧を設定された気圧と一致するように回復させることができる。それにより、繰り返しディスペンスの間隔期間を大幅に減少するとともに、極めて一致したディスペンス効果も得られる。
【0051】
選択的に、気流通路242は、最小直径が1mm以下であり、又は、最小横断面積が1mm2以下である。気流通路は、高圧空気を持続的に低流量で漏らすためのものである。また、低流量で漏れるためには、前記気流通路の最も狭い箇所を大きくないようにすることが肝心である。つまり、具体的なバレル端の条件に応じて、異なる気流通路の最も狭い孔径を設定するとともに、出力気圧をオーバーシュートから設定された気圧と一致するまでに低下する期間を詳しくテストすることができ、テスト過程において、具体的な条件に適した最適な気流通路流量と気流通路の最も狭い孔径を取得する。
【0052】
図3aと
図4に示されるように、異種管継手240は、第1の減圧弁230の排気口と第1の排気弁300の吸気口の間に接続されてもよい。そうすると、第1の減圧弁230と異種管継手240を含む第1の減圧装置は、構造が簡単であるほか、出力気圧のオーバーシュートを減弱して、更に短時間で、設定された気圧よりも高い出力気圧を設定された気圧と一致するように回復させることができ、特に、ディスペンス制御機器による迅速な繰り返しディスペンス作業の場合の作動気圧の一致性を向上させることができる。
【0053】
本発明の幾つかの実施例では、
図5に示されるように、ディスペンス制御機器1000は、異種管継手240と第1の排気弁300の間に連通しているガス貯蔵タンク
850をさらに含んでもよい。ガス貯蔵タンク23は、ディスペンス制御機器による吐出開始の瞬間に第1の減圧装置200の出力気圧の減少を抑制するとともに、ディスペンス制御機器による吐出終了の瞬間に第1の減圧装置200の出力気圧のオーバーシュートを抑制することができる。それにより、第1の減圧装置は、その出力気圧をオーバーシュートから設定された気圧と一致するまでに低下する期間をさらに短縮することができる。
【0054】
別の幾つかの実施例では、ディスペンス制御機器1000は、異種管継手240と第1の排気弁300の間に連通している速度制御弁910をさらに含んでもよい。速度制御弁
910は第1の減圧装置から出力された最大流量を調節するためのものであり、用いられる具体的なディスペンスパラメータに基づき、速度制御弁
910の具体的な気流速度をテストして確定する。それにより、用いれる具体的なディスペンスパラメータに対し、第1の減圧装置220から出力された最大流量を調節することにより、第1の減圧装置220がその出力気圧をオーバーシュートから設定された気圧と一致するまでに低下する期間をさらに短縮することができる。
図6に示されるように、当該速度制御弁910は、上記ガス貯蔵タンクと択一的に、異種管継手240と第1の排気弁300の間に個別に設けられてもよい。また、
図7に示されるように、ガス貯蔵タンク800と同時に、異種管継手240と第1の排気弁300の間に設けられてもよい。それにより、第1の減圧装置がその出力気圧をオーバーシュートから設定された気圧と一致するまでに低下する期間をより大幅に短縮することができる。
【0055】
選択的な幾つかの例示では、
図8に示されるように、速度制御弁910は、異種管継手240と一体的に接続成形されるとともに、第1の減圧弁230に密封してしっかりと接続されてもよい。素子の集積化により、素子の数量や空間占用量が減少される。
【0056】
本発明の別の幾つかの実施例によれば、ディスペンス制御機器1000は、異種管継手240とガス貯蔵タンク800の間に連通しており、速度制御弁
910と同様の性能・効果を実現できる異径管920をさらに含んでもよい。
図9に示されるように、選択的に、異径管920は、異種管継手240と一体的に接続成形されてもよい。
【0057】
以下は、
図10~12を参照しながら、本発明の別の態様の実施例にかかるディスペンス制御機器1000の吐出制御方法を詳しく記述する。
【0058】
一実施例では、ディスペンス制御機器1000の吐出制御方法は、以下のステップを含む。
S1、作動気圧、吸戻し気圧、吐出持続期間を設定すること、
S2、空きバレルが第1の出力アダプター120に接続されたときの第1の気圧波形と、満ちバレルが第1の出力アダプター120に接続されたときの第2の気圧波形と、を予め設定すること、
S3、残量アラーム閾値を予め設定すること、
S4、第1の出力アダプター120には、ディスペンスを実行しようとするバレルが接続されたか否かを検出するとともに、ディスペンストリガー信号を受信したか否かを検出すること、
S5、ディスペンストリガー信号を受信したとき、作動気圧を出力するとともに、吐出持続期間内に第1の気圧センサ500によって収集されたリアルタイムな気圧波形をリアルタイムに検出し、リアルタイムな気圧波形、第1の気圧波形、および、第2の気圧波形に基づき、バレル内の塗液残量を予め判断すること、
S6、塗液残量に基づいて、ステップS1における作動気圧、吸戻し気圧、吐出持続期間を調整し、繰り返してステップS5に戻すこと、および、
S7、ステップS5における塗液残量が残量アラーム閾値よりも小さくなると、アラーム信号を発し、吐出を停止して、ステップS4に戻すこと。
【0059】
それにより、本発明の実施例にかかる吐出制御方法によれば、バレル内の塗液残量をリアルタイムに予測することができ、かつ、ディスペンス制御機器の作動パラメータを自動的に調整して、バレル内の塗液が満ちている状態から空いている状態への吐出全過程に亘る塗液吐出量の極めて高い一致性を実現することができる。また、バレル内の塗液残量をリアルタイムに予測することができ、塗液残量アラーム閾値を設定して塗液残量と比較して判断することにより、例えば、現在のバレル内の塗液残量が不足である場合、アラーム信号を発してユーザに提示することで、塗液が少ないまたは無い状態でのディスペンス作業を回避した。また、吸戻し気圧に対する適応的なフィードバック制御によれば、ディスペンス作業の間欠期間内、塗液がバレルの端にあるニードル状の吐出口から滴下したり漏れたりすることがなく、気泡の混入もないように確保され、ディスペンス作業時の精確な吐出一致性が確保された。
【0060】
幾つかの実施例では、ステップS2において、第1の気圧波形と第2の気圧波形の各々を検出することは、以下のステップを含む。
S21、第1の出力アダプター120には、検出されるバレルが既に接続されたか否かを検出するとともに、実行信号を受信したか否かを検出すること、
S22、実行信号を受信した後、第1の気圧センサを起動させて、予め設定された検出期間に気圧波形を収集すること、および、
S23、対応する気圧波形を記憶すること。
【0061】
オペレーターの角度から見ると、本発明の実施例にかかるディスペンス制御機器を用いて吐出制御を行う操作方法は以下の通りである。
P1、ディスペンスパラメータを設定すること、
P2、満ちたバレル又は空いたバレルのうちの1つを、接続チューブによってディスペンス制御機器1000の第1の出力アダプター120に接続すること、
P3、ディスペンス制御機器1000におけるマン・マシンインタラクションメニュー項目提示に従い、ディスペンス制御機器1000を操作して満ちたバレル又は空いたバレルのうちの1つに対する気圧波形の収集を実行させること、
P4、空いたバレル又は満ちたバレルのうちのもう1つを、接続チューブによってディスペンス制御機器1000の第1の出力アダプター120に接続すること、
P5、ディスペンス制御機器1000におけるマン・マシンインタラクションメニュー項目提示に従い、ディスペンス制御機器1000を操作して空いたバレル又は満ちたバレルのうちのもう1つに対する気圧波形の収集を実行させること、および、
P6、ディスペンス制御機器1000は、満ちたバレル又は空いたバレルによる収集された気圧波形に基づいて、較正パラメータの計算や記憶を自動に実行すること。
【0062】
つまり、
図12に示されるように、ディスペンス作業の実行前に、満ちたバレルと空いたバレルをそれぞれ、接続チューブによって第1の出力アダプター120に接続する必要がある。すると、ディスペンス制御機器1000は較正モードに入り、制御装置600が第1の気圧センサ500、第1の排気弁300、第1の減圧装置
200、および、第2の排気弁400と相互作用するようになり、満ちたバレル(又は空いたバレル)が接続された場合の作動気圧を収集して、収集された波形から、気圧増加レートを抽出し、バレルが満ちたと空いたという2つの作業条件での気圧増加の特徴パラメータに対する抽出と較正を完了する。
【0063】
さらに、以下の操作ステップも含む。
P7、残量アラーム機能の要求に応じて、当該機能を発揮させるか否かを決定し、当該機能を発揮させると、ディスペンス制御機器1000におけるマン・マシンインタラクションメニュー項目により、残量アラーム閾値及び関連パラメータを設定すること、
P8、塗液が充填されたバレルを、接続チューブによってディスペンス制御機器1000の第1の出力アダプター120に接続すること、
P9、ディスペンス制御機器1000はディスペンス作業を実行しようとする待機状態に入り、ディスペンストリガー信号を待つこと、
P10、ディスペンス制御機器1000は、ディスペンストリガー信号を受信したとき、現在のディスペンスパラメータに基づいて第1の出力アダプター120からディスペンス気圧を出力させ、同時に、第1の気圧センサ500に気圧波形の収集を実行させ、ディスペンス制御機器1000は、リアルタイムに収集した気圧波形と既に記憶された較正パラメータに基づいて、バレル内の塗液残量の予測を行うこと、
P11、ディスペンス制御機器1000は、既に予測されたバレル内の塗液残量に基づいて、ディスペンスパラメータに対する補正や自動更新を行うこと、および、
P12、残量アラーム機能が既にオンとされ、予測されたバレル内の塗液残量が設定された塗液残量アラーム閾値よりも低くなると、ディスペンス制御機器1000は、塗液残量不足アラーム信号を生成し、ステップP9に移行すること。
【0064】
具体的には、ディスペンス作業の実行中、制御装置600は、第1の気圧センサ500、第1の排気弁300、第1の減圧装置200、および、第2の排気弁400と相互作用するようになり、1回の吐出による気圧波形をリアルタイムに収集するとともに、気圧増加の特徴パラメータを抽出し、制御装置600に組み込んだバレル内塗液残量予測アルゴリズムにより、現在の塗液残量への精確な予測を実現する。
【0065】
塗液残量に対する精確な予測により、ディスペンス作業時、ディスペンス制御機器1000は、異なる塗液残量に基づいて、ディスペンスパラメータを連続的に調整して、塗液吐出量の極めて高い一致性を実現することができる。塗液残量が不足である場合のアラーム機能を発揮することもでき、塗液残量が設定されたアラーム閾値よりも小さくなるとき、ディスペンス制御機器1000は、塗液残量が不足であるアラーム信号を出力して、塗液の追加注入または交換を提示する。
【0066】
なお、ディスペンス制御機器1000は、吸戻し機能を発揮すると、制御装置600が第1の気圧センサ500、第2の減圧装置710と相互作用するようになり、リアルタイムにフィードバックして調節することができ、吸戻し気圧に対する適応的な制御を実現した。吸戻し気圧に対する適応的な制御によれば、ディスペンス作業の間欠期間内、塗液がバレルの端にあるニードル状の吐出口から滴下したり漏れたりすることがなく、気泡の混入もないように確保され、ディスペンス作業時の精確な吐出一致性が確保された。
【0067】
好ましくは、ディスペンスパラメータは、吐出持続期間、作動気圧、および、吸戻し気圧を含む。当該ディスペンスパラメータに対する測定や調整が容易となり、操作も便利となる。
【0068】
総括に言うと、当該方法によれば、バレル内の塗液残量をリアルタイムに予測することができるとともに、ディスペンス制御機器の作動パラメータを自動的に調整して、バレル内の塗液が満ちている状態から空いている状態への吐出全過程に亘る塗液吐出量の極めて高い一致性を実現することができる。また、バレル内の塗液残量をリアルタイムに予測し、塗液残量アラーム閾値を設定して、現在のバレル内の塗液残量が不足であるとその旨を提示することで、塗液が少ないまたは無い状態でのディスペンス作業を回避した。吸戻し気圧に対する適応的なフィードバック制御によれば、ディスペンス作業の間欠期間内、塗液がバレルの端にあるニードル状の吐出口から滴下したり漏れたりすることがなく、気泡の混入もないように確保され、ディスペンス作業時の精確な吐出一致性が確保された。
【0069】
本発明の記載では、用語である「一実施例」、「幾つかの実施例」、「例示的な実施例」、「例示」、「具体的な例示」、または、「幾つかの例示」などの記載とは、当該実施例または例示の記載を結び付けた具体的な構成要件、構造、材料または特徴が本発明の少なくとも一実施例または例示に含まれることを指す。本明細書において、上記用語に対する例示的な表現は、必ずしも同一の実施例または例示を指すものであるとは限らない。しかも、記載される具体的な構成要件、構造、材料または特徴は、任意の1つまたは複数の実施例または例示で、適切な方式により組み合わせられてもよい。
【0070】
本発明の実施例を示して記載しているが、本分野の当業者は、本発明の原理及び趣旨から逸脱しない限り、それらの実施例に対して種々の変化、補正、差し替え、及び変形を行うことができることが理解できる。 本発明の範囲は、特許請求の範囲およびそれらの同等物によって定義される。