(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】電圧変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20220707BHJP
【FI】
H02M3/155 P
(21)【出願番号】P 2019095066
(22)【出願日】2019-05-21
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 新太
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-236435(JP,A)
【文献】特開2007-68290(JP,A)
【文献】特開2018-29454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを備え、電源部に電気的に接続された第1導電路及び第2導電路のいずれか一方を入力側とし他方を出力側として電圧変換を行う電圧変換部と、
前記第1導電路の電圧値である第1電圧値を検出する第1電圧検出部と、
前記第2導電路の電圧値である第2電圧値を検出する第2電圧検出部と、
を有し、
前記電圧変換部は、前記第2スイッチング素子のオンオフ動作により前記第2導電路に印加された入力電圧を昇圧又は降圧して前記第1導電路に出力電圧を印加する第1動作と前記第1スイッチング素子のオンオフ動作により前記第1導電路に印加された入力電圧を降圧又は昇圧して前記第2導電路に出力電圧を印加する第2動作とを行う電圧変換装置であって、
前記第1導電路の電流値を検出する電流検出部と、
前記電源部の内部抵抗を検出する内部抵抗検出部と、
前記第1導電路の電圧値と第1目標値とに基づくフィードバック演算によって前記第1導電路の電圧値を前記第1目標値に近づけるための第1デューティを生成する第1デューティ生成部と、
前記第2導電路の電圧値と第2目標値とに基づくフィードバック演算によって前記第2導電路の電圧値を前記第2目標値に近づけるための第2デューティを生成する第2デューティ生成部と、
前記第1デューティと前記第2デューティとに基づいて使用デューティを決定する決定部と、
前記決定部が決定した前記使用デューティに応じたPWM信号を前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の一方のスイッチング素子に入力するとともに前記PWM信号を反転した反転信号を他方のスイッチング素子に入力する駆動部と、
を有し、
前記決定部は、前記第1デューティ及び前記第2デューティのうち一方のデューティを100%から減じた値である反転デューティと他方のデューティとを比較したときの大きい値又は小さい値と、前記内部抵抗検出部で検出された前記内部抵抗と、前記電流検出部で検出された前記電流値と、に基づいて前記使用デューティを決定する電圧変換装置。
【請求項2】
前記決定部は、
前記大きい値又は前記小さい値を選択する選択部と、
前記内部抵抗検出部で検出された前記内部抵抗と、前記電流検出部で検出された前記電流値と、に基づいて補正値を算出する算出部と、
前記選択部が選択した値と前記算出部が算出した前記補正値とを加算した値に基づいて前記使用デューティを決定し、前記使用デューティとされた前記PWM信号を出力する出力部と、
を有し、
前記算出部は、前記内部抵抗の値が大きいほど前記補正値の絶対値を大きくし、前記電流値が大きいほど前記補正値の絶対値を大きくし、前記第1導電路を前記電源部側に向かって電流が流れる場合に前記補正値を正の値とするとともに前記第1導電路を前記電圧変換部側に向かって電流が流れる場合に前記補正値を負の値とするように前記補正値を決定する
請求項1に記載の電圧変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電圧変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高圧側から入力した電圧を降圧して低圧側に出力しうるとともに、低圧側から入力した電圧を昇圧して高圧側に出力しうる電圧変換装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された昇降圧コンバータは、電圧変換部と、この電圧変換部を駆動制御するマイコンとを備えている。このマイコンは、12V側(低圧側)及び48V側(高圧側)の電圧値を検出し、検出した各電圧値に基づき、電圧変換部を降圧駆動しうるとともに昇圧駆動しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この昇降圧コンバータでは、降圧用のPWM信号を出力することで電圧変換部を降圧駆動し、昇圧用のPWM信号を出力することで電圧変換部を昇圧駆動する。このため、降圧駆動及び昇圧駆動のうち一方の駆動を実行している状況下で他方の駆動に切り替える場合、駆動態様を切り替えるか否かを判定する処理や出力中のPWM信号の出力を停止してから他方のPWM信号の出力を開始する処理などを伴う。したがって、PWM信号の切り替えに一定の時間を要するという問題があった。
【0005】
そこで、本開示では、電圧変換部を駆動するにあたってPWM信号の切り替えに要する時間を短縮することができ、且つ、電源部の内部抵抗及び電流値に応じてデューティを決定し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つである電圧変換装置は、
第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを備え、電源部に電気的に接続された第1導電路及び第2導電路のいずれか一方を入力側とし他方を出力側として電圧変換を行う電圧変換部と、
前記第1導電路の電圧値である第1電圧値を検出する第1電圧検出部と、
前記第2導電路の電圧値である第2電圧値を検出する第2電圧検出部と、
を有し、
前記電圧変換部は、前記第2スイッチング素子のオンオフ動作により前記第2導電路に印加された入力電圧を昇圧又は降圧して前記第1導電路に出力電圧を印加する第1動作と前記第1スイッチング素子のオンオフ動作により前記第1導電路に印加された入力電圧を降圧又は昇圧して前記第2導電路に出力電圧を印加する第2動作とを行う電圧変換装置であって、
前記第1導電路の電流値を検出する電流検出部と、
前記電源部の内部抵抗を検出する内部抵抗検出部と、
前記第1導電路の電圧値と第1目標値とに基づくフィードバック演算によって前記第1導電路の電圧値を前記第1目標値に近づけるための第1デューティを生成する第1デューティ生成部と、
前記第2導電路の電圧値と第2目標値とに基づくフィードバック演算によって前記第2導電路の電圧値を前記第2目標値に近づけるための第2デューティを生成する第2デューティ生成部と、
前記第1デューティと前記第2デューティとに基づいて使用デューティを決定する決定部と、
前記決定部が決定した前記使用デューティに応じたPWM信号を前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の一方のスイッチング素子に入力するとともに前記PWM信号を反転した反転信号を他方のスイッチング素子に入力する駆動部と、
を有し、
前記決定部は、前記第1デューティ及び前記第2デューティのうち一方のデューティを100%から減じた値である反転デューティと他方のデューティとを比較したときの大きい値又は小さい値と、前記内部抵抗検出部で検出された前記内部抵抗と、前記電流検出部で検出された前記電流値と、に基づいて前記使用デューティを決定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電圧変換部を駆動するにあたってPWM信号の切り替えに要する時間を短縮することができ、且つ、電源部の内部抵抗及び電流値に応じてデューティを決定し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1の電圧変換装置を備えた電源システムを例示するブロック図である。
【
図2】実施形態1の電圧変換装置を概念的に例示するブロック図である。
【
図3】実施形態1の電圧変換装置における決定部及び関連構成を概念的に例示するブロック図である。
【
図4】実施形態1の電圧変換装置の第1動作中の状態を概念的に例示するブロック図である。
【
図5】実施形態1の電圧変換装置において第1動作中に第2導電路側で異常が生じた状態を概念的に例示するブロック図である。
【
図6】
図5のような異常発生後に第1動作から第2動作に切り替わった状態を概念的に例示するブロック図である。
【
図7】実施形態2の電圧変換装置の一部を概念的に例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
(1)本開示の第1態様の電圧変換装置は、電圧変換部と第1電圧検出部と第2電圧検出部とを有する。電圧変換部は、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とを備え、電源部に電気的に接続された第1導電路及び第2導電路のいずれか一方を入力側とし他方を出力側として電圧変換を行う。第1電圧検出部は、第1導電路の電圧値である第1電圧値を検出する。第2電圧検出部は、第2導電路の電圧値である第2電圧値を検出する。そして、電圧変換部は、第2スイッチング素子のオンオフ動作により第2導電路に印加された入力電圧を昇圧又は降圧して第1導電路に出力電圧を印加する第1動作を行う。更に、電圧変換部は、第1スイッチング素子のオンオフ動作により第1導電路に印加された入力電圧を降圧又は昇圧して第2導電路に出力電圧を印加する第2動作を行う。
更に、上記の電圧変換装置は、電流検出部と内部抵抗検出部と第1デューティ生成部と第2デューティ生成部と決定部と駆動部とを有する。電流検出部は、第1導電路の電流値を検出する。内部抵抗検出は、電源部の内部抵抗を検出する。第1デューティ生成部は、第1導電路の電圧値と第1目標値とに基づくフィードバック演算によって第1導電路の電圧値を第1目標値に近づけるための第1デューティを生成する。第2デューティ生成部は、第2導電路の電圧値と第2目標値とに基づくフィードバック演算によって第2導電路の電圧値を第2目標値に近づけるための第2デューティを生成する。決定部は、第1デューティと第2デューティとに基づいて使用デューティを決定する。
そして、駆動部は、決定部が決定した使用デューティに応じたPWM信号を第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の一方のスイッチング素子に入力するとともにPWM信号を反転した反転信号を他方のスイッチング素子に入力する。決定部は、第1デューティ及び第2デューティの一方のデューティを100%から減じた値である反転デューティと他方のデューティとを比較したときの大きい値又は小さい値と、上記内部抵抗と、上記電流値と、に基づいて使用デューティを決定する。
【0011】
上記の電圧変換装置は、第1動作用のデューティである第1デューティ及び第2動作用のデューティである第2デューティの両方を継続して算出・更新する動作が可能である。しかも、上記の電圧変換装置は、「一方のデューティを100%から減じた値である反転デューティ」と「他方のデューティ」とを比較したときの大きい値又は小さい値に基づいて使用デューティを決定する。つまり、上記電圧変換装置は、反転デューティ又は他方のデューティのいずれか片方を優先させているときに反転デューティと他方のデューティの大小関係が切り替わった場合には、変化に対応させるようにデューティを即座に切り替えることができる。
【0012】
具体的には、反転デューティ及び他方のデューティのうちの大きい値を選択する方法を採用する方式である場合、電圧変換装置は以下のように動作する。例えば、他方のデューティよりも反転デューティのほうが大きければ一方のスイッチング素子に反転デューティに基づくPWM信号を反転した信号が入力され、他方のスイッチング素子には反転デューティに基づくPWM信号が入力される。従って、電圧変換装置は、反転デューティに基づく第1動作(一方のデューティに基づく動作)を行うことになる。
一方で、反転デューティよりも他方のデューティのほうが大きければ一方のスイッチング素子に他方のデューティに基づくPWM信号を反転した信号が入力され、他方のスイッチング素子に他方のデューティに基づくPWM信号が入力される。従って、電圧変換装置は、他方のデューティに基づく第2動作を行うことになる。
このように、反転デューティが大きい場合に第1動作を優先し、他方のデューティが大きい場合に第2動作を優先するように即座に切り替えることができるため、反転デューティと他方のデューティの大小関係が切り替わった場合には、変化に対応させるようにデューティを即座に切り替えることができる。
【0013】
また、反転デューティ及び他方のデューティのうちの小さい値を選択する方法を採用する場合、電圧変換装置は以下のように動作する。例えば、他方のデューティよりも反転デューティのほうが小さければ一方のスイッチング素子には反転デューティに基づくPWM信号を反転した信号が入力され、第1スイッチング素子には反転デューティに基づくPWM信号が入力される。従って、電圧変換装置は、反転デューティに基づく第1動作(一方のデューティに基づく動作)を行うことになる。
一方、反転デューティよりも他方のデューティのほうが小さければ一方のスイッチング素子に他方のデューティに基づくPWM信号を反転した信号が入力され、他方のスイッチング素子に他方のデューティに基づくPWM信号が入力される。従って、電圧変換装置は、他方のデューティに基づく第2動作を行うことになる。
このように、反転デューティが小さい場合に第1動作を優先し、他方のデューティが小さい場合に第2動作を優先するように即座に切り替えることができるため、反転デューティと他方のデューティの大小関係が切り替わった場合には、変化に対応させるようにデューティを即座に切り替えることができる。
【0014】
しかも、上記電圧変換装置は、上記内部抵抗と上記電流値とに基づいて使用デューティを決定する。よって、上記電圧変換装置は、「反転デューティと他方のデューティの大小関係に応じて優先させる動作を切替える」だけでなく、電源部の内部抵抗及び電流値に応じて使用デューティを決定することもできる。
【0015】
(2)本開示の電圧変換装置において、決定部は、選択部と算出部と出力部とを備え得る。選択部は、上記大きい値又は上記小さい値を選択するように動作し得る。算出部は、内部抵抗検出部で検出された内部抵抗と、電流検出部で検出された電流値と、に基づいて補正値を算出し得る。出力部は、選択部が選択した値と算出部が算出した補正値とを加算した値に基づいて使用デューティを決定し、デューティが使用デューティとされたPWM信号を出力し得る。更に、算出部は、内部抵抗の値が大きいほど補正値の絶対値を大きくし、電流値が大きいほど補正値の絶対値を大きくするように補正値を決定し得る。更には、算出部は、第1導電路を電源部側に向かって電流が流れる場合に補正値を正の値とするとともに第1導電路を電圧変換部側に向かって電流が流れる場合に補正値を負の値とするように補正値を決定し得る。
【0016】
上記の電圧変換装置は、例えば、第1動作及び第2動作のうちの一方の動作によって電源部に向かう電流が第1導電路に流れているときに他方の動作に切り替わった場合に、電源部は充電状態から放電状態に切り替わるように逆流状態となる。このように逆流が発生すると、第1導電路の電圧(入力電圧)は大きく低下するため、その後の他方の動作では入力電圧に低下に起因して第2導電路に印加される出力電圧も低下することになる。この場合、第2導電路に印加される出力電圧は、大きく低下してから目標値(第2目標値)に近づくように安定することになるが、何ら措置を講じないと安定までに時間がかかってしまう。これに対し、上記の電圧変換装置は、電圧変換部側に向かって流れる場合に負の値とするように補正値が決定されるため、電源部が充電状態から放電状態に切り替わった場合に使用デューティをより小さくするような補正が可能となる。つまり、上記の電圧変換装置は、逆流状態への切り替わりに応じて第2導電路の出力電圧が下がることを想定して早期にデューティを下げておくように補正することができる。よって、上記の電圧変換装置は、一方の動作から他方の動作に切り替わった場合に第2導電路に印加される出力電圧が目標値(第2目標値)付近で安定するまでの時間を短縮することができる。
【0017】
また、一方の動作から他方の動作に切り替わった場合に第1導電路で生じる電圧低下は、第1導電路を流れる放電電流が大きいほど大きくなり、電源部の内部抵抗が大きいほど大きくなる。よって、内部抵抗の値が大きいほど補正値の絶対値を大きくし、電流値が大きいほど補正値の絶対値を大きくするように補正値を決定すれば、第1導電路での電圧低下が大きいほど使用デューティを下げるような補正が可能となる。
[本開示の実施形態の詳細]
【0018】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1について説明する。
(電源システムの基本構成)
図1で示す電源システム100は、例えば車両等に搭載される車載用電源システムとして構成されている。電源システム100は、第1電源部3、第2電源部5、電圧変換装置1を備えた構成をなし、第1電源部3又は第2電源部5を電力供給源として負荷7及び重要負荷8に電力を供給し得るシステムとして構成されている。
【0019】
第1電源部3は、例えば電気二重層コンデンサ、リチウムイオン電池、鉛蓄電池等の車載用蓄電部として構成されている。第1電源部3は、高電位側の端子が導電路10に電気的に接続され、低電位側の端子がグラウンドに電気的に接続されており、導電路10に対して所定の出力電圧を印加する。なお、本明細書では、特に限定した説明がない限り「電圧」は、グラウンドとの電位差を意味する。
【0020】
第2電源部5は、例えば、電気二重層コンデンサ、リチウムイオン電池、鉛蓄電池等の車載用蓄電部として構成されている。第2電源部5は、高電位側の端子が導電路12に電気的に接続され、低電位側の端子がグラウンドに電気的に接続されており、導電路12に対して所定の出力電圧を印加する。なお、第2電源部5が導電路12に印加する出力電圧は、第1電源部3が導電路10に印加する出力電圧よりも大きくても小さくてもよい。
【0021】
負荷7は、例えばスタータであり、駆動源としてのモータを備えるとともに、車両のエンジンが適正に始動する状態まで回転数を高める動作を行いうる。負荷7は、導電路12に電気的に接続されており、第2電源部5から供給される電力によって作動しうる。また、負荷7は、電圧変換装置1を介して第1電源部3から供給される電力を受け得る構成となっている。なお、ここでは負荷7としてスタータを例示したが、スタータ以外の負荷(ヒータ、ワイパ、オーディオ等)であってもよい。
【0022】
重要負荷8は、シフトバイワイヤシステムや電動パーキングブレーキなどの負荷であり、主電源失陥時に動作を継続することが求められる負荷である。
【0023】
電圧変換装置1は、電圧変換部20と、電圧検出部32,34と、内部抵抗検出部42と、電流検出部44,46と、PWM生成部36と、駆動部38とを備える。
【0024】
電圧変換部20は、導電路10と導電路12との間に設けられ、導電路10及び導電路12のいずれか一方を入力側とし他方を出力側として電圧変換を行う回路である。電圧変換部20は、公知のHブリッジ回路として構成されている。
【0025】
電圧変換部20は、スイッチング素子21、スイッチング素子22、スイッチング素子23、スイッチング素子24、インダクタ26を備える。電圧変換部20は、導電路12に印加された電圧を入力電圧として昇圧動作又は降圧動作を行い導電路10に出力電圧を印加する動作を行う。また、電圧変換部20は、導電路10に印加された電圧を入力電圧として降圧動作又は昇圧動作を行い導電路12に出力電圧を印加する動作を行う。
【0026】
図1の例では、スイッチング素子21がハイサイド側の素子とされており、スイッチング素子22がローサイド側の素子とされている。スイッチング素子21,22は、Nチャネル型のMOSFETとして構成されている。スイッチング素子21のドレインには、導電路10が電気的に接続され、導電路10の電圧がドレインに印加される。スイッチング素子21のソースには、スイッチング素子22のドレインと、インダクタ26の一端とが電気的に接続されている。スイッチング素子21とインダクタ26との接続点には、スイッチング素子22のドレインが接続されている。スイッチング素子22のソースはグラウンドに電気的に接続され、グラウンドの電圧(例えば、0V)が印加される。
【0027】
また、スイッチング素子23がハイサイド側の素子とされ、スイッチング素子24がローサイド側の素子とされている。スイッチング素子23,24は、Nチャネル型のMOSFETとして構成されている。スイッチング素子23のドレインには、導電路12が電気的に接続され、導電路12の電圧がドレインに印加される。スイッチング素子23のソースには、スイッチング素子24のドレインと、インダクタ26の他端とが電気的に接続されている。スイッチング素子23とインダクタ26との接続点には、スイッチング素子24のドレインが接続されている。スイッチング素子24のソースはグラウンドに電気的に接続され、グラウンドの電圧(例えば、0V)が印加される。
【0028】
電圧変換部20は、コンデンサ28及びコンデンサ30を備える。コンデンサ28の一端は導電路10に電気的に接続されており、他端はグラウンドに電気的に接続されている。コンデンサ30の一端は導電路12に電気的に接続されており、他端はグラウンドに電気的に接続されている。
【0029】
電圧検出部32及び電圧検出部34は、それぞれ電圧検出回路として構成されている。電圧検出部32は、導電路10の電圧値を検出するとともに、検出した電圧値を示すアナログ電圧をPWM生成部36に出力する。電圧検出部34は、導電路12の電圧値を検出するとともに、検出した電圧値を示すアナログ電圧をPWM生成部36に出力する。
【0030】
電流検出部44は、導電路10を流れる電流の電流値を検出する。導電路10を流れる電流の電流値は、導電路10を第1電源部3に向かって流れる場合が正の値であり、導電路10を電圧変換部20に向かって流れる場合が負の値である。電流検出部46は、導電路12を流れる電流の電流値を検出する。導電路12を流れる電流の電流値は、導電路12を第2電源部5に向かって流れる場合が正の値であり、導電路12を電圧変換部20に向かって流れる場合が負の値である。
【0031】
内部抵抗検出部42は、第1電源部3(電源部)の内部抵抗を公知の方法で検出する。第1電源部3(電源部)の内部抵抗の測定方法は、車両に搭載し得る方法であれば公知のどのような方法を採用してもよく、例えば、特開2018-170821、特開2017-123748、特開2013-253809などに開示された方法で第1電源部3の内部抵抗を測定することができる。
【0032】
PWM生成部36は、電圧検出部32が検出した導電路10の電圧値と電圧検出部34が検出した導電路12の電圧値とに基づいてPWM信号を生成し、駆動部38に出力するように動作する。
【0033】
(電圧変換装置の詳細構成)
次に、電圧変換装置の詳細についての代表例を説明する。
なお、以下で説明する代表例では、導電路10が第1導電路の一例に相当し、導電路12が第2導電路の一例に相当し、第1電源部3が電源部の一例に相当するものとする。また、電圧検出部32が第1電圧検出部の一例に相当し、導電路10の電圧値が第1電圧値の一例に相当するものとする。更に、電圧検出部34が第2電圧検出部の一例に相当し、導電路12の電圧値が第2電圧値の一例に相当するものとする。更に、スイッチング素子21が第1スイッチング素子の一例に相当し、スイッチング素子22が第2スイッチング素子の一例に相当するものとする。また、デューティ生成部73が第1デューティ生成部の一例に相当し、デューティ生成部79が第2デューティ生成部の一例に相当する。
【0034】
また、以下で説明する代表例では、第2電源部5が導電路12に印加する出力電圧が、第1電源部3が導電路10に印加する出力電圧よりも大きくなっている。電圧変換部20は、導電路12側を入力側とし導電路10側を出力側とするように第1動作を行う。具体的には、電圧変換部20は、スイッチング素子22(第2スイッチング素子)のオンオフ動作により導電路12(第2導電路)に印加された入力電圧を昇圧して導電路10(第1導電路)に出力電圧を印加するように第1動作を行う。また、電圧変換部20は、導電路10側を入力側とし導電路12側を出力側とするように第2動作を行う。具体的には、スイッチング素子21(第1スイッチング素子)のオンオフ動作により導電路10(第1導電路)に印加された入力電圧を降圧して導電路12(第2導電路)に出力電圧を印加するように第2動作を行う。なお、この場合、第1動作(昇圧動作)及び第2動作(降圧動作)のいずれのときでも、スイッチング素子23はオン状態とし、スイッチング素子24はオフ状態とすればよい。
【0035】
図2は、PWM生成部36を関連部分とともに示す図であり、PWM生成部36の各機能を各ブロックで概念的に示す機能ブロック図である。
図2に示すように、PWM生成部36は、主として、制御回路71とを備える。制御回路71は、例えばMCU(Micro Controller Unit)として構成されており、CPU(Central Processing Unit)などからなる演算処理部、ROM,RAMなどからなる記憶部等を備えて構成されている。
【0036】
PWM生成部36において制御回路71の内部又は外部にAD変換器を設けることができ、このAD変換器は、入力したアナログ電圧をデジタル値に変換するように動作する。例えば、電圧検出部32,34から入力される電圧値(電圧値を示すアナログ電圧)や内部抵抗検出部42から入力される内部抵抗(内部抵抗を示すアナログ電圧)はAD変換器によってデジタルデータに変換される。また、電流検出部44,46から入力される電流値(電流値を示すアナログ電圧)もAD変換器によってデジタルデータに変換される。これらのデジタルデータは、デューティ生成部73、デューティ生成部79、PWM出力部88などによって利用される。なお、第1目標値及び第2目標値のデータについては、PWM生成部36がデータを保持し得る構成であればよく、例えば図示しない外部装置からPWM生成部36に対してデータが与えられる構成となっている。
【0037】
図2で示されるように、制御回路71は、主に、調停部72及びPWM出力部88を備える。調停部72は、デューティ生成部73、デューティ生成部79、選択部84、選択指示部86を備える。
図3で示されるように、PWM出力部88は、算出部92及び出力部94を備える。そして、選択部84及びPWM出力部88は、決定部83として機能し、第1デューティD1と第2デューティD2とに基づいて使用デューティDuを決定するように機能する。このように、制御回路71は、デューティ生成部73、デューティ生成部79、選択部84、決定部83として機能し、更には、算出部92及び出力部94としても機能する。
【0038】
調停部72は、デューティ生成部73、デューティ生成部79、選択部84、選択指示部86などを備え、第1デューティD1及び第2デューティD2のうちのいずれのデューティを用いるかを決定する部分である。
【0039】
デューティ生成部73は、導電路10(第1導電路)の電圧値(第1電圧値V1)と第1目標値Vt1とに基づくフィードバック演算によって導電路10の電圧値を第1目標値Vt1に近づけるための第1デューティD1を生成する。デューティ生成部73は、第1差算出部74及び第1差調整部76を有する。
【0040】
第1差算出部74は、第1電圧値V1と第1目標値Vt1との差である第1差(第1偏差ΔV1)を算出する。具体的には、第1目標値Vt1から第1電圧値V1を差し引いた値をΔV1として、ΔV1=Vt1-V1の式によって第1差(第1偏差ΔV1)を算出する。第1差調整部76は、短い時間間隔で第1差(第1偏差ΔV1)を算出する演算を繰り返す。
【0041】
第1差調整部76は、上記第1差(第1偏差ΔV1)に基づき、公知のフィードバック演算方式(例えばPI演算方式、PID演算方式など)によって導電路10の電圧値を第1目標値Vt1に近づけるように第1デューティD1を算出する。なお、第1差調整部76は、短い時間間隔で第1デューティD1を算出するフィードバック演算を繰り返す。このような方式を採用するため、第1差調整部76は、第1電圧値V1と第1目標値Vt1とが同じである場合には現在の第1デューティD1を維持するように第1デューティD1を更新する。また、第1差調整部76は、第1電圧値V1が第1目標値Vt1から下回る量が大きくなるほど第1デューティD1を大きくするように更新する。更に、第1差調整部76は、第1電圧値V1が第1目標値Vt1から上回る量が大きくなるほど第1デューティD1を小さくするように更新する。
【0042】
反転部78は、第1差調整部76が算出した第1デューティD1に基づき、100(%)から第1デューティD1(%)を減じた値(100(%)-D1(%))を反転デューティDr(%)として算出する。つまり、Dr(%)=100(%)-D1(%)である。
【0043】
デューティ生成部79は、導電路12(第2導電路)の電圧値(第2電圧値V2)と第2目標値Vt2とに基づくフィードバック演算によって導電路12の電圧値を第2目標値Vt2に近づけるための第2デューティD2を生成する。デューティ生成部79は、第2差算出部80及び第2差調整部82を有する。
【0044】
第2差算出部80は、第2電圧値V2と第2目標値Vt2との差である第2差(第2偏差ΔV2)を算出する。具体的には、第2目標値Vt2から第2電圧値V2を差し引いた値をΔV2として、ΔV2=Vt2-V2の式によって第2差(第2偏差ΔV2)を算出する。第2差調整部82は、短い時間間隔で第2差(第2偏差ΔV2)を算出する演算を繰り返す。
【0045】
第2差調整部82は、上記第2差(第2偏差ΔV2)に基づき、公知のフィードバック演算方式(例えばPI演算方式、PID演算方式など)によって導電路12の電圧値を第2目標値Vt2に近づけるように第2デューティD2を算出する。なお、第2差調整部82は、短い時間間隔で第2デューティD2を算出するフィードバック演算を繰り返す。このような方式を採用するため、第2差調整部82は、第2電圧値V2と第2目標値Vt2とが同じである場合には現在の第2デューティD2を維持するように第2デューティD2を更新する。また、第2差調整部82は、第2電圧値V2が第2目標値Vt2から下回る量が大きくなるほど第2デューティD2を大きくするように更新する。更に、第2差調整部82は、第2電圧値V2が第2目標値Vt2から上回る量が大きくなるほど第2デューティD2を小さくするように更新する。
【0046】
選択部84は、反転デューティDr(第1デューティD1を100%から減じた値)と第2デューティD2とを比較したときの大きい値又は小さい値を選択する。なお、以下では、選択部84によって選択された値を選択デューティDsとも称する。この例では、第1デューティD1が一方のデューティの一例に相当し、第2デューティD2が他方のデューティの一例に相当する。選択部84が大きい値と小さい値のいずれを選択するかは、選択指示部86からの指示によって決定される。例えば、選択指示部86は「大きい値」の選択を指示する場合には第1信号を出力し、「小さい値」の選択を指示する場合には第2信号を出力するようになっている。この場合、選択指示部86から第1信号が出力されている場合には、選択部84は、反転デューティDr及び第2デューティD2のうちの大きい値を選択する。また、選択指示部86から第2信号が出力されている場合には、選択部84は、反転デューティDr及び第2デューティD2のうちの小さい値を選択する。なお、選択指示部86による指示方法は上記のような例に限定されず、例えば、「大きい値」の選択を指示する場合にフラグ情報を記憶し、「小さい値」の選択を指示する場合にフラグ情報を記憶しないような指示方法であってもよい。
【0047】
決定部83は、反転デューティDrと第2デューティD2とを比較したときの大きい値又は小さい値(具体的には選択デューティDs)と、内部抵抗Riと、導電路10の電流値と、に基づいて使用デューティDuを決定する。決定部83は、選択部84とPWM出力部88とを備えて構成され、PWM出力部88は、算出部92と出力部94とを備えて構成される。
【0048】
算出部92は、内部抵抗検出部で検出された内部抵抗と、電流検出部で検出された電流値と、に基づいて補正値ΔDを決定する。算出部92は、前記内部抵抗の値が大きいほど前記補正値の絶対値を大きくし、前記電流値が大きいほど前記補正値の絶対値を大きくする方式で補正値ΔDを決定する。更に、算出部92は、前記第1導電路を前記電源部側に向かって電流が流れる場合に前記補正値を正の値とするとともに前記第1導電路を前記電圧変換部側に向かって電流が流れる場合に前記補正値を負の値とするように前記補正値ΔDを決定する。
【0049】
具体的には、算出部92は、以下の数1の式によって補正値ΔDを算出する。数1の式において、ΔDは補正値であり、Gは補正値の加減の度合いを決めるために予め定められた定数(固定値)であり、例えば1としてもよく、1未満の正の数としてもよい。また、Riは、第1導電路に電気的に接続される電源部の内部抵抗であり、本代表例では、内部抵抗検出部42で検出される第1電源部3の内部抵抗値を用いることができる。また、I1は、第1導電路の電流値であり、本代表例では、電流検出部44で検出される導電路10の電流値を用いることができる。また、V2は、第2導電路の電圧値であり、本代表例では、電圧検出部34で検出される導電路12の電圧値を用いることができる。
【0050】
【0051】
出力部94は、選択部84が選択した値(選択デューティDs)と算出部92が算出した補正値ΔDとを加算した値(Ds+ΔD)に基づいて使用デューティDuを決定する。具体的には、Du=Ds+ΔDとする。そして、出力部94は、使用デューティDuとされたPWM信号を出力する。出力部94から出力されるデューティDuのPWM信号は、駆動部38に入力される。
【0052】
駆動部38は、決定部83が決定した使用デューティDuに応じたPWM信号を第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の一方のスイッチング素子に入力する。
図2の例では、スイッチング素子21(第1スイッチング素子)が一方のスイッチング素子の一例に相当する。また、駆動部38は、決定部83が決定した使用デューティDuに応じたPWM信号を反転した反転信号を他方のスイッチング素子に入力する。
図2の例では、スイッチング素子22(第2スイッチング素子)が他方のスイッチング素子の一例に相当する。このように、駆動部38は、互いに相補的なPWM信号を生成するとともに、スイッチング素子21,22のゲートにPWM信号を与えることによって、電圧変換部20を駆動する。
【0053】
駆動部38は、FET駆動回路60,62と、PWM反転回路64と、を備える。FET駆動回路60は、入力されるPWM信号(PWM出力部88が出力するPWM信号)のデューティと同程度のデューティのPWM信号を出力する。FET駆動回路60は、入力されるPWM信号(PWM出力部88が出力するPWM信号)がハイレベル信号の期間にスイッチング素子21のゲートに対してオン信号を与える。また、FET駆動回路60は、入力されるPWM信号がローレベル信号の期間にスイッチング素子21のゲートに対してオフ信号を与える。FET駆動回路60がスイッチング素子21のゲートに与えるオン信号は、スイッチング素子21をオン動作させ得る電圧に設定される。
【0054】
PWM反転回路64は、PWM生成部36が出力したPWM信号を反転させる機能を有する。PWM反転回路64は、PWM生成部36とFET駆動回路60との接続点とFET駆動回路62との間に配されている。PWM反転回路64は入力されるPWM信号(PWM出力部88が出力するPWM信号)がハイレベル信号の期間にローレベル信号を出力し、入力されるPWM信号がローレベル信号の期間にハイレベル信号を出力する。
【0055】
FET駆動回路62は、入力されるPWM信号(PWM反転回路64が出力するPWM信号)のデューティと同程度のデューティのPWM信号を出力する。FET駆動回路62は、入力されるPWM信号(PWM反転回路64が出力するPWM信号)がハイレベル信号の期間にスイッチング素子22のゲートにオン信号を与える。つまり、FET駆動回路62は、PWM出力部88が出力するPWM信号がローレベル信号の期間にスイッチング素子22のゲートにオン信号を与える。また、FET駆動回路62は、入力されるPWM信号がローレベル信号の期間にスイッチング素子22のゲートにオフ信号を与える。つまり、FET駆動回路62は、PWM出力部88が出力するPWM信号がハイレベル信号の期間にスイッチング素子22のゲートにオフ信号を与える。FET駆動回路62がスイッチング素子22のゲートに与えるオン信号は、スイッチング素子22をオン動作させ得る電圧に設定される。
【0056】
次に、電圧変換装置1の動作について説明する。以下の例では、電圧変換装置1をバックアップ電源装置として機能させることができ、第2電源部5を主電源として機能させ、第1電源部3を補助電源として機能させることができる。
【0057】
まず、
図2で示す選択指示部86において「大きい値」を選択する設定(指示)がなされている場合を説明する。この場合、デューティ生成部73で生成される反転デューティDrのほうがデューティ生成部79で生成される第2デューティD2よりも大きければ、選択部84で選択される選択デューティDsは反転デューティDrとなる。そして、
図3で示す出力部94では、反転デューティDrと補正値ΔDを加算した値(Dr+ΔD)が使用デューティDuとされる。従って、
図2で示す駆動部38に入力されるPWM信号は反転デューティDrに基づくPWM信号(具体的には、デューティが(Dr+ΔD)とされたPWM信号)となる。
【0058】
駆動部38では、自身に入力されるPWM信号(デューティが(Dr+ΔD)とされたPWM信号)を反転したPWM信号と同一デューティのPWM信号をスイッチング素子22(第2スイッチング素子)に入力する。また、駆動部38では、自身に入力されるPWM信号と同一デューティのPWM信号をスイッチング素子21(第1スイッチング素子)に入力する。この場合、スイッチング素子22には、デューティが第1デューティD1とされたPWM信号が入力されるため、導電路10(第1導電路)の電圧値を第1目標値Vt1に近づけるように昇圧動作が行われる。この場合、
図4において太線の矢印にて概念的に示されるように、第2電源部5の電力に基づいて第1電源部3を充電するように昇圧動作がなされる。
【0059】
図4のように第1電源部3を充電するように昇圧動作がなされているときに何らかの理由によって第2デューティD2のほうが反転デューティDrよりも大きくなると、第1電源部3に蓄積された電荷を放出するような放電動作に即座に切り替わる。
【0060】
例えば、
図4のように電圧変換部20が昇圧動作を行っているときに
図5のような地絡や断線などによって導電路12の電圧が急低下すると、導電路12の電圧(第2電圧値V2)と第2目標値Vt2との差(第2偏差ΔV2)が増大する。このように第2偏差ΔV2が増大すると、フィードバック演算によって算出される第2デューティD2も増大する。このような変化によって、第2デューティD2が反転デューティDrよりも大きくなると、選択部84では第2デューティD2が選択される。つまり、選択部84で選択される選択デューティDsは、第2デューティD2となる。そして、
図3で示す出力部94では、第2デューティD2と補正値ΔDを加算した値(D2+ΔD)が使用デューティDuとされる。従って、
図2で示す駆動部38に入力されるPWM信号は第2デューティD2に基づくPWM信号(具体的には、デューティが(D2+ΔD)とされたPWM信号)となる。
【0061】
駆動部38では、自身に入力されるPWM信号(デューティが(D2+ΔD)とされたPWM信号)を反転したPWM信号と同一デューティのPWM信号をスイッチング素子22(第2スイッチング素子)に入力する。また、駆動部38では、自身に入力されるPWM信号と同一デューティのPWM信号をスイッチング素子21(第1スイッチング素子)に入力する。この場合、スイッチング素子21には、デューティが第2デューティD2とされたPWM信号が入力されるため、導電路12(第2導電路)の電圧値を第2目標値Vt2に近づけるように降圧動作が行われる。この場合、
図6において太線の矢印にて概念的に示されるように、第1電源部3の電力に基づいて導電路10側に電力を供給するように放電がなされる。なお、
図6の構成において、第2電源部5と重要負荷8との間にスイッチが設けられていれば、第2電源部5付近において地絡が生じたとしても、スイッチのオフ動作によって第2電源部5と重要負荷8とを電気的に切り離すことができる。この場合、
図6のような放電時に重要負荷8に対して電力を供給することができる。
【0062】
また、
図4のような充電動作から
図6のような放電動作に切り替わる際には、補正値ΔDを正の値から負の値に急低下させることができ、低下量は、放電電流が大きいほど大きくなり、第1電源部3の内部抵抗が大きいほど大きくなる。よって、導電路10で電流の向きが切り替わることに起因する第1電圧値の低下及びこれに応じた出力電圧(導電路12の電圧)の低下を見越してデューティを下げることができ、導電路12の電圧を第2目標値Vt2に早期に近づけやすくなる。
【0063】
なお、反転デューティDaよりも第2デューティD2のほうが大きいとき(降圧動作時)に何らかの理由によって反転デューティDaのほうが大きくなった場合には、上述の昇圧動作(第1電源部3を充電する動作)に即座に切り替わる。
【0064】
次に、本開示の効果を例示する。
電圧変換装置1は、第1動作用のデューティである第1デューティD1及び第2動作用のデューティである第2デューティD2の両方を継続して算出・更新する動作が可能である。しかも、電圧変換装置1は、「第1デューティD1を100%から減じた値である反転デューティDr」と「第2デューティD2」とを比較したときの大きい値又は小さい値に基づいて使用デューティDuを決定する。つまり、電圧変換装置1は、反転デューティDr又は第2デューティD2のいずれか片方を優先させているときに反転デューティDrと第2デューティD2の大小関係が切り替わった場合には、変化に対応させるようにデューティを即座に切り替えることができる。
【0065】
しかも、電圧変換装置1は、電源部の内部抵抗Riと第1導電路の電流値I1とに基づいて使用デューティを決定する。よって、電圧変換装置1は、「反転デューティDrと第2デューティD2の大小関係に応じて優先させる動作を切替える」だけでなく、電源部の内部抵抗Ri及び電流値I1に応じて使用デューティDuを決定することもできる。
【0066】
電圧変換装置1では、決定部83は、選択部84と算出部92と出力部94とを備え得る。そして、選択部84は、上記大きい値又は上記小さい値を選択するように動作し得る。そして、算出部92は、内部抵抗検出部で検出された内部抵抗Riと、電流検出部44で検出された電流値I1と、に基づいて補正値ΔDを算出し得る。そして、出力部94は、選択部84が選択した値と算出部92が算出した補正値ΔDとを加算した値に基づいて使用デューティDuを決定し、デューティが使用デューティDuとされたPWM信号を出力し得る。更に、算出部92は、内部抵抗の値Riが大きいほど補正値ΔDの絶対値を大きくし、電流値I1が大きいほど補正値ΔDの絶対値を大きくするように補正値ΔDを決定し得る。更には、算出部92は、第1導電路を電源部側に向かって電流が流れる場合に補正値ΔDを正の値とするとともに第1導電路を電圧変換部20側に向かって電流が流れる場合に補正値ΔDを負の値とするように補正値ΔDを決定し得る。
【0067】
電圧変換装置1は、例えば、第1動作によって電源部に向かう電流が第1導電路に流れているときに第1動作から第2動作(逆方向の動作)に切り替わった場合に、電源部は充電状態から放電状態に切り替わるように逆流状態となる。このように逆流が発生すると、第1導電路の電圧(入力電圧)は大きく低下するため、その後の第2動作では入力電圧に低下に起因して第2導電路に印加される出力電圧も低下することになる。この場合、第2導電路に印加される出力電圧は、大きく低下してから目標値(第2目標値Vt2)に近づくように安定することになるが、何ら措置を講じないと安定までに時間がかかってしまう。これに対し、電圧変換装置1は、電圧変換部20側に向かって流れる場合に負の値とするように補正値ΔDが決定されるため、電源部が充電状態から放電状態に切り替わった場合に使用デューティDuをより小さくするような補正が可能となる。つまり、電圧変換装置1は、逆流状態への切り替わりに応じて第2導電路の出力電圧が下がることを想定して早期にデューティを下げておくように補正することができる。よって、電圧変換装置1は、第1動作から第2動作に切り替わった場合に第2導電路に印加される出力電圧が目標値(第2目標値Vt2)付近で安定するまでの時間を短縮することができる。
【0068】
また、第1動作から第2動作に切り替わった場合に第1導電路で生じる電圧低下は、第1導電路を流れる放電電流が大きいほど大きくなり、電源部の内部抵抗が大きいほど大きくなる。よって、内部抵抗の値が大きいほど補正値の絶対値を大きくし、電流値が大きいほど補正値の絶対値を大きくするように補正値を決定すれば、第1導電路での電圧低下が大きいほど使用デューティを下げるような補正が可能となる。
【0069】
<実施形態2>
次に、実施形態2について
図7を参照して説明する。
実施形態2の電圧変換装置201は、PWM生成部236及び駆動部238のみが実施形態1の電圧変換装置1と異なり、それ以外は、実施形態1の電圧変換装置1と同様である。具体的には、電圧変換装置201は、デューティ生成部273、デューティ生成部279、及び駆動部238のみが実施形態1の電圧変換装置1と異なり、それ以外は、実施形態1の電圧変換装置1と同様である。また、電圧変換装置201が適用される電源システムにおいて電圧変換装置201以外の部分は、
図1で示す電源システム100において電圧変換装置1以外の部分と同様である。制御回路271は、ハードウェア構成は制御回路71と同様であるが、内部の機能のみが制御回路71と異なる。調停部272は、デューティ生成部273,279のみが調停部72と異なる。
【0070】
図7で示す電圧変換装置201において、デューティ生成部273は反転部78を省略した点のみが実施形態1で用いられるデューティ生成部73と異なり、その他の点はデューティ生成部73と同様であり、同様に機能する。。デューティ生成部273は、第1差調整部76が生成した第1デューティD1を選択部84に与える。
【0071】
図7で示す電圧変換装置201において、デューティ生成部279は反転部78を設けた点のみが実施形態1で用いられるデューティ生成部79と異なり、その他の点はデューティ生成部79と同様であり、同様に機能する。デューティ生成部279は、第2差調整部82が生成した第2デューティD2(%)を100(%)から差し引いたデューティである反転デューティDrを選択部84に与える。この例では、Dr=100-D2である。
【0072】
この例でも、選択部84及び選択指示部86は、実施形態1と同様に動作する。選択部84は、反転デューティDr(第2デューティD2を100%から減じた値)と第1デューティD1とを比較したときの大きい値又は小さい値を選択する。なお、以下では、選択部84によって選択された値を選択デューティDsとも称する。例えば、選択指示部86が「大きい値」の選択を指示する場合には選択部84は「大きい値」を選択し、選択指示部86が「小さい値」の選択を指示する場合には選択部84は「小さい値」を選択し、
【0073】
決定部83は、実施形態1と同様の構成をなし、同様に機能する。この決定部83は、反転デューティDrと第1デューティD1とを比較したときの大きい値又は小さい値(具体的には選択デューティDs)と、内部抵抗Riと、導電路10の電流値と、に基づいて使用デューティDuを決定する。
【0074】
この例でも、算出部92は、実施形態1と同様に機能し、内部抵抗検出部で検出された内部抵抗と、電流検出部で検出された電流値と、に基づいて補正値ΔDを決定する。具体的には、算出部92は、上述の数1の式によって補正値ΔDを算出する。そして、出力部94は、選択部84が選択した値(選択デューティDs)と算出部92が算出した補正値ΔDとを加算した値(Ds+ΔD)に基づいて使用デューティDuを決定する。具体的には、Du=Ds+ΔDとする。そして、出力部94は、使用デューティDuとされたPWM信号を出力する。出力部94から出力されるデューティDuのPWM信号は、駆動部238に入力される。
【0075】
駆動部238は、決定部83が決定した使用デューティDuに応じたPWM信号を第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の一方のスイッチング素子に入力する。
図7の例では、スイッチング素子22(第2スイッチング素子)が一方のスイッチング素子の一例に相当する。また、駆動部238は、決定部83が決定した使用デューティDuに応じたPWM信号を反転した反転信号を他方のスイッチング素子に入力する。
図7の例では、スイッチング素子21(第1スイッチング素子)が他方のスイッチング素子の一例に相当する。このように、駆動部238は、互いに相補的なPWM信号を生成するとともに、スイッチング素子21,22のゲートにPWM信号を与えることによって、電圧変換部20を駆動する。
【0076】
駆動部238は、FET駆動回路60,62及びPWM反転回路64を備え、FET駆動回路60,62及びPWM反転回路64の各々は実施形態1における各々と同様に動作する。
【0077】
FET駆動回路62は、入力されるPWM信号(PWM出力部88が出力するPWM信号)のデューティと同程度のデューティのPWM信号を出力する。FET駆動回路62は、入力されるPWM信号(PWM出力部88が出力するPWM信号)がハイレベル信号の期間にスイッチング素子22のゲートに対してオン信号を与える。また、FET駆動回路62は、入力されるPWM信号がローレベル信号の期間にスイッチング素子22のゲートに対してオフ信号を与える。FET駆動回路62がスイッチング素子22のゲートに与えるオン信号は、スイッチング素子22をオン動作させ得る電圧に設定される。
【0078】
PWM反転回路64は、PWM生成部36が出力したPWM信号を反転させる機能を有する。PWM反転回路64は入力されるPWM信号(PWM出力部88が出力するPWM信号)がハイレベル信号の期間にローレベル信号を出力し、入力されるPWM信号がローレベル信号の期間にハイレベル信号を出力する。
【0079】
FET駆動回路60は、入力されるPWM信号(PWM反転回路64が出力するPWM信号)のデューティと同程度のデューティのPWM信号を出力する。FET駆動回路60は、入力されるPWM信号(PWM反転回路64が出力するPWM信号)がハイレベル信号の期間にスイッチング素子21のゲートにオン信号を与える。つまり、FET駆動回路60は、PWM出力部88が出力するPWM信号がローレベル信号の期間にスイッチング素子21のゲートにオン信号を与える。また、FET駆動回路60は、入力されるPWM信号がローレベル信号の期間にスイッチング素子21のゲートにオフ信号を与える。つまり、FET駆動回路60は、PWM出力部88が出力するPWM信号がハイレベル信号の期間にスイッチング素子21のゲートにオフ信号を与える。FET駆動回路62がスイッチング素子21のゲートに与えるオン信号は、スイッチング素子21をオン動作させ得る電圧に設定される。
【0080】
ここで、
図2で示す選択指示部86において「大きい値」を選択する設定(指示)がなされている場合を説明する。この場合、第1デューティD1よりも反転デューティDrのほうが大きければ、選択部84で選択される選択デューティDsは反転デューティDrとなる。そして、
図3で示す出力部94では、反転デューティDrと補正値ΔDを加算した値(Dr+ΔD)が使用デューティDuとされる。従って、
図7で示す駆動部238に入力されるPWM信号は反転デューティDrに基づくPWM信号(具体的には、デューティが(Dr+ΔD)とされたPWM信号)となる。
【0081】
駆動部238では、自身に入力されるPWM信号(デューティが(Dr+ΔD)とされたPWM信号)を反転したPWM信号と同一デューティのPWM信号をスイッチング素子21(第1スイッチング素子)に入力する。また、駆動部238では、自身に入力されるPWM信号と同一デューティのPWM信号をスイッチング素子22(第2スイッチング素子)に入力する。この場合、スイッチング素子21には、デューティが第2デューティD2とされたPWM信号が入力されるため、導電路12(第2導電路)の電圧値を第2目標値Vt2に近づけるように降圧動作が行われる。
【0082】
逆に、第1デューティD1のほうが反転デューティDrよりも大きければ、選択部84で選択される選択デューティDsは第1デューティD1となる。そして、
図3で示す出力部94では、第1デューティD1と補正値ΔDを加算した値(D1+ΔD)が使用デューティDuとされる。従って、
図7で示す駆動部238に入力されるPWM信号は第1デューティD1に基づくPWM信号(具体的には、デューティが(D1+ΔD)とされたPWM信号)となる。
【0083】
駆動部238では、自身に入力されるPWM信号(デューティが(D1+ΔD)とされたPWM信号)を反転したPWM信号と同一デューティのPWM信号をスイッチング素子21(第1スイッチング素子)に入力する。また、駆動部238では、自身に入力されるPWM信号と同一デューティのPWM信号をスイッチング素子22(第2スイッチング素子)に入力する。この場合、スイッチング素子22には、デューティが第1デューティD1とされたPWM信号が入力されるため、導電路10(第1導電路)の電圧値を第1目標値Vt1に近づけるように昇圧動作が行われる。
【0084】
この例でも、第1電源部3を充電する充電動作(昇圧動作)から第1電源部3を放電する放電動作(降圧動作)に切り替わる際には、補正値ΔDを正の値から負の値に急低下させることができる。そして、補正値ΔDの低下量は、放電電流が大きいほど大きくなり、第1電源部3の内部抵抗が大きいほど大きくなる。よって、導電路10で電流の向きが切り替わることに起因する第1電圧値の低下及びこれに応じた出力電圧(導電路12の電圧)の低下を見越してデューティを下げることができ、導電路12の電圧を第2目標値Vt2に早期に近づけやすくなる。
【0085】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変更してもよい。また、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。
【0086】
上記実施形態では、第2電源部5を主電源として機能させ、第1電源部3を補助電源として機能させる例を示したが、第1電源部3を主電源として機能させ、第2電源部5を補助電源として機能させるようにしてもよい。
【0087】
上記実施形態では、第1導電路、第2導電路、電源部、第1電圧検出部、第1電圧値、第2電圧検出部、第2電圧値、第1スイッチング素子、第2スイッチング素子の一例を示したが、上記実施形態の例に限定されない。例えば、導電路10を第2導電路とし、導電路12を第1導電路とし、第2電源部5を電源部としてもよい。この場合、電圧検出部32を第2電圧検出部とし、導電路10の電圧値を第2電圧値とし、電圧検出部34を第1電圧検出部とし、導電路12の電圧値を第1電圧値としてもよい。そして、スイッチング素子22を第1スイッチング素子とし、スイッチング素子21を第2スイッチング素子としてもよい。この場合、電流検出部46は、第1導電路を流れる電流値を検出する部分として機能させることができる。また、内部抵抗検出部42は、第2電源部5(電源部)の内部抵抗を検出する部分として機能させることができる。この例では、デューティ生成部73を第2デューティ生成部とし、デューティ生成部79を第1デューティ生成部とすることができる。この例では、第1差調整部76が生成するデューティが第2デューティであり、第2差調整部82が生成するデューティが第1デューティである。また、この例では、重要負荷8、負荷7は、導電路12に電気的に接続されていてもよく、導電路10に電気的に接続されていてもよい。
この例では、デューティ生成部79は、導電路12の電圧値と第1目標値とに基づくフィードバック演算によって導電路12の電圧値を第1目標値に近づけるための第1デューティを生成する。デューティ生成部73は、導電路10の電圧値と第2目標値とに基づくフィードバック演算によって導電路10の電圧値を第2目標値に近づけるための第2デューティを生成する。
そして、選択部は、第1差調整部76が生成する第2デューティを100%から減じた値である反転デューティと第2差調整部82が生成する第1デューティとを比較したときの大きい値又は小さい値を選択する。選択方法は、上記実施形態と同様である。
決定部83は、選択部が選択した値と、内部抵抗検出部42によって検出された第2電源部5の内部抵抗と、電流検出部46で検出された導電路12の電流値と、に基づいて使用デューティDuを決定する。
この例でも算出部92は、
図3と同様に機能し、内部抵抗検出部42で検出された内部抵抗と、電流検出部46で検出された電流値と、に基づいて上述の数1の式によって補正値ΔDを算出する。そして、出力部94は、選択部84が選択した値(選択デューティDs)と算出部92が算出した補正値Δとを加算した値(Ds+ΔD)を使用デューティDuとして決定し、使用デューティDuとされたPWM信号を出力する。
駆動部38は、自身に入力されるPWM信号(デューティが(Ds+ΔD)とされたPWM信号)を反転したPWM信号と同一デューティのPWM信号をスイッチング素子22(第1スイッチング素子)に入力する。また、駆動部38は、自身に入力されるPWM信号と同一デューティのPWM信号をスイッチング素子21(第2スイッチング素子)に入力する。
例えば、反転デューティのほうが第1デューティよりも大きければ、スイッチング素子22には、デューティが第2デューティとされたPWM信号が入力される。よって、この場合には、導電路10(第2導電路)の電圧値を第2目標値に近づけるように昇圧動作が行われる。
また、第1デューティのほうが反転デューティよりも大きければ、スイッチング素子21には、デューティが第1デューティとされたPWM信号が入力される。よって、この場合には、導電路12(第1導電路)の電圧値を第1目標値に近づけるように昇圧動作が行われる。
なお、この例でも、昇圧動作中及び降圧動作中にはスイッチング素子23をオン状態とし、スイッチング素子24をオフ状態とすればよい。
【0088】
上記実施形態では、数1の式において第2導電路の電圧値V2を用いたが、第2導電路の電圧値に代えて固定値としてもよい。
【0089】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
1 :電圧変換装置
3 :第1電源部
5 :第2電源部
7 :負荷
8 :重要負荷
10 :導電路
12 :導電路
20 :電圧変換部
21 :スイッチング素子
22 :スイッチング素子
23 :スイッチング素子
24 :スイッチング素子
26 :インダクタ
28 :コンデンサ
30 :コンデンサ
32 :電圧検出部
34 :電圧検出部
36 :PWM生成部
38 :駆動部
42 :内部抵抗検出部
44 :電流検出部
46 :電流検出部
60 :FET駆動回路
62 :FET駆動回路
64 :PWM反転回路
71 :制御回路
72 :調停部
73 :デューティ生成部
74 :第1差算出部
76 :第1差調整部
78 :反転部
79 :デューティ生成部
80 :第2差算出部
82 :第2差調整部
83 :決定部
84 :選択部
86 :選択指示部
88 :PWM出力部
92 :算出部
94 :出力部
100 :電源システム
201 :電圧変換装置
236 :PWM生成部
238 :駆動部
271 :制御回路
272 :調停部
273 :デューティ生成部
279 :デューティ生成部