(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】バックライトユニット及びヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20220707BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20220707BHJP
F21V 29/75 20150101ALI20220707BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20220707BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20220707BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20220707BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20220707BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220707BHJP
【FI】
F21S2/00 482
F21V29/503 100
F21V29/75
B60K35/00 A
G02B27/01
G02F1/13357
G02F1/13 505
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019526956
(86)(22)【出願日】2018-06-27
(86)【国際出願番号】 JP2018024269
(87)【国際公開番号】W WO2019004239
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2017128503
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018006069
(32)【優先日】2018-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金子 文吉
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正雄
(72)【発明者】
【氏名】飯田 泰行
(72)【発明者】
【氏名】鶴丸 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 達也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 航
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-6196(JP,A)
【文献】特開2013-4423(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0154180(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 29/00
B60K 35/00
G02B 27/01
G02F 1/13357
G02F 1/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が実装された基板と、
前記光源の熱を伝える熱伝導シートと、
前記熱伝導シートから伝わる熱を放熱し、前記基板及び前記熱伝導シートを設置する設置
面を有するヒートシンクと、
前記光源からの光線を集光させるレンズとを備え、
前記基板は、第1の位置決め穴を有し、
前記ヒートシンクは、第2の位置決め穴を有し、
前記熱伝導シートは、前記第2の位置決め穴よりも大きい第3の位置決め穴を有し、
前記レンズは、前記第1の位置決め穴、前記第3の位置決め穴、及び前記第2の位置決め穴に順に挿入されることにより、前記ヒートシンクに対して位置決めする位置決めピンを有することを特徴とするバックライトユニット。
【請求項2】
前記ヒートシンクは、前記基板及び前記熱伝導シートを前記設置面の面方向に関して位置決めする位置決め壁を有することを特徴とする請求項1記載のバックライトユニット。
【請求項3】
前記ヒートシンクに取り付けられ、前記レンズ及び前記基板を収容し、前記設置面に面する開口端を有するレンズケースをさらに備え、
前記ヒートシンクは、前記設置面と前記開口端との距離以上の高さを有する遮光壁を有することを特徴とする請求項
1記載のバックライトユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の前記バックライトユニットと液晶表示パネルとを有し、表示光を出力する表示装置と、
前記表示光を反射させる反射鏡と、を有し、
前記反射鏡によって反射された前記表示光を透過反射部に照射することを特徴とするヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
前記表示光を前記透過反射部へと出射する出射部を有する上ケースと、前記ヒートシンクが重なるように設けられる周壁部を有する下ケースとを備え、
前記周壁部は、その主要部となる基部と、前記基部と前記ヒートシンクとの間に間隙部が形成された状態で前記ヒートシンクの所要部を前記下ケースの外部に露出可能とする開放部とを有し、
前記上ケースには前記間隙部を塞ぐように壁部が形成されていることを特徴とする請求項4記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
光源が実装された基板と、前記光源からの光線を集光させるレンズと、前記レンズ及び前記基板を収容するレンズケースとを備え、
前記液晶表示パネルと前記レンズケースとの間には空間部が形成され、
前記レンズから出射される出射光は前記空間部を経て前記レンズケースの外部へと漏れる漏れ光を少なくとも含み、
前記壁部は、所定の光路を経て前記空間部から前記間隙部へと至る前記漏れ光を遮光する遮光壁としての機能を有していることを特徴とする請求項5記載のヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライトユニットおよびそのバックライトユニットを備えたヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドアップディスプレイは、例えば車両に搭載され、運転者に運転に必要な情報などをフロントガラスなどの透過反射部を介して虚像表示する。これにより、ヘッドアップディスプレイは、車両前方の景色と重ね合わせて情報を表示することができ、運転者は、運転中に大きな視線移動を行うことなく、必要な情報を把握することができる。
【0003】
ヘッドアップディスプレイは、表示画像を表示するための表示装置を有している。この表示装置は、液晶表示パネルと、この液晶パネルを照明するためのバックライトユニットとを有している。バックライトユニットは、光源が実装された基板、および光源からの光を集光させるレンズを有している。また、バックライトユニットは、ヒートシンクおよび熱伝導シートを有することにより、光源が発する熱を外部に放熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンズは、光源の光を効率よく集光するように設計されている。このため、レンズと基板とは、精度よく位置決めされなければならない。
【0006】
ここで、バックライトユニットは、レンズ、基板、熱伝導シートおよびヒートシンクが順次組み立てられることにより製造される。例えば、各部品を位置決めピンと対応した穴とを用いて精度よく位置決めしようとすると、位置決めピンと穴との間のクリアランスを小さくする必要がある。一方、組立時の作業性を向上させようとすると、クリアランスは大きい方がよい。このため、位置決め精度と作業性との両立は課題であった。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、製造性に優れたバックライトユニットおよびそれを備えたヘッドアップディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るバックライトユニットは、上述した課題を解決するために、光源が実装された基板と、前記光源の熱を伝える熱伝導シートと、前記熱伝導シートから伝わる熱を放熱し、前記基板及び前記熱伝導シートを設置する設置面を有するヒートシンクと、前記光源からの光線を集光させるレンズとを備え、前記基板は、第1の位置決め穴を有し、前記ヒートシンクは、第2の位置決め穴を有し、前記熱伝導シートは、前記第2の位置決め穴よりも大きい第3の位置決め穴を有し、前記レンズは、前記第1の位置決め穴、前記第3の位置決め穴、及び前記第2の位置決め穴に順に挿入されることにより、前記ヒートシンクに対して位置決めする位置決めピンを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るバックライトユニットおよびヘッドアップディスプレイにおいては、製造性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るヘッドアップディスプレイの実施形態であり、全体構成を説明する斜視図。
【
図2】上ケースおよび透光カバーを外した状態のヘッドアップディスプレイの平面図。
【
図3】
図1のヘッドアップディスプレイの縦断面図。
【
図6】バックライトユニットの位置決めを説明するための断面図。
【
図7】レンズを説明するための背面から見た斜視図。
【
図8】ヒートシンクに熱伝導シートが設置された場合の斜視図。
【
図9】表示装置とヒートシンクと上ケースの壁部とを示す要部平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るヘッドアップディスプレイの実施形態を添付図面に基づいて説明する。本発明に係るヘッドアップディスプレイは、例えば自動車などの車両に搭載される。本実施形態においては、本発明に係るヘッドアップディスプレイが自動車に搭載される例を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明に係るヘッドアップディスプレイの実施形態であり、全体構成を説明する斜視図である。
【0013】
図2は、上ケース21及び透光カバー30を外した状態のヘッドアップディスプレイ1の平面図である。
【0014】
図3は、
図1のヘッドアップディスプレイ1の縦断面図である。
【0015】
ヘッドアップディスプレイ1(以下、HUD1という。)は、自動車のインストルメントパネル内に配置される。HUD1は、表示装置3と、平面鏡4と、凹面鏡5と、ケース6と、制御基板7と、を主に有している。HUD1は、表示装置3が表示した表示画像を表す表示光を、リレー光学系を構成する平面鏡4と凹面鏡5とで反射させ、透過反射部の一例である自動車のフロントガラスに照射する。視認者(主に運転者)は、車両前方の実景と重ねて表示画像の虚像を視認することができる。
【0016】
表示装置3は、表示光を出力する。表示装置3は、例えばTFT(Thin Film Transistor)型の液晶表示装置である。表示装置3は、バックライトユニット40と、液晶表示パネル41とを有している。
【0017】
図4は、バックライトユニット40の分解斜視図である。
【0018】
【0019】
バックライトユニット40は、光源基板50と、レンズ51と、レンズケース52と、ヒートシンク53と、熱伝導シート54と、を有している。光源基板50は、光源56が実装されている。光源56は、LED(Light Emitting Diode)などの発光素子からなり、光線を発する。光源基板50は、例えば熱伝導率に優れたアルミナ(セラミックス)基板である。レンズ51は、光源56から出射される光線を集光し、HUD1の光軸に対して平行化する。レンズ51は、1個の光源56に対して1つのレンズ部51aを対応させている。すなわち、光源56が複数使用される場合、レンズ51はレンズ部51aを複数有している。レンズケース52は、非透過性樹脂材料から形成される筒状のケースである。レンズケース52は、ヒートシンク53に取り付けられており、光源基板50とレンズ51とを収容する。また、レンズケース52は、レンズ51から出射される平行光を液晶表示パネル41へ導く。レンズケース52は、ヒートシンク53に設置された際に、設置面53cに面する開口端52aを有している。
【0020】
ヒートシンク53は、ケース6(下ケース22)の開口部28に設けられている。ヒートシンク53は、例えばアルミニウムなどの金属で形成されている。ヒートシンク53は、フィン53aにおいて光源56が発する熱を空中に放出する。ヒートシンク53は、設置面53cに遮光壁53dを有している。遮光壁53dは、レンズケース52の周囲を覆うように設けられる。遮光壁53dは、設置面53cと開口端52aとの距離以上の高さを有する。遮光壁53dは、光源56の光線がレンズケース52の開口端52aから漏れることを防止する。遮光壁53dは、レンズケース52の周囲全てに設ける必要はなく、特に開口が大きい箇所や他の部材との関係で設けることができる箇所に設ければよい。熱伝導シート54は、光源基板50とヒートシンク53との間に設けられ、光源56の熱を効率よくヒートシンク53に伝える。
【0021】
液晶表示パネル41(
図2)は、液晶セルと偏光板とを有している。液晶セルは、透明電極膜が形成された一対の透光性基板と、この透光性基板に封入された液晶層とを有している。偏光板は、液晶セルの前後両面に貼り付けられている。レンズ51からの平行光となった光線は、液晶表示パネル41を透過して表示光となり出力される。
【0022】
平面鏡4(反射鏡)は、例えば合成樹脂材料からなる基材と、蒸着などにより基材の表面に形成された反射膜とを有している。平面鏡4は、表示装置3から出力された表示光を凹面鏡5に向けて反射させる。
【0023】
凹面鏡5(反射鏡)は、例えば合成樹脂材料からなる基材と、蒸着などの手段により基材の表面に形成された反射膜とを有している。凹面鏡5は、平面鏡4で反射した表示光をフロントガラスに向けて反射させる。凹面鏡5は、拡大鏡としての機能を有し、表示画像を拡大してフロントガラスへ反射する。これにより、視認者は、表示画像が拡大された虚像を視認する。また、凹面鏡5は、フロントガラスの曲面による表示光の歪みを凹面状の曲面にて補正する。凹面鏡5は、例えばここでの詳細図示は省略するが、アクチュエータにより回転軸周りに回転する。アクチュエータは、凹面鏡5を回転させることで凹面鏡5の角度を調整し、表示光の照射位置を調整したり、外光が凹面鏡5によって表示装置3に向かうように反射されない角度に調整したりする。
【0024】
ケース6(
図1)は、例えば黒色の遮光性を有する合成樹脂から形成され、上ケース21と、下ケース22とを有している。ケース6は、上ケース21と下ケース22とを組み合わせることで、表示装置3と、平面鏡4と、凹面鏡5とを収容する内部空間23を有している。上ケース21は、開口部27を有している。開口部27は、フロントガラスに対向する部分に設けられる。開口部27は、透光性を有する出射部としての透光カバー30に覆われている。つまり、このことは、上ケース21は、表示光をフロントガラスへと出射する透光カバー30を有していることを意味する。下ケース22は、有底の箱型形状にて形成され、表示装置3、平面鏡4、凹面鏡5、および制御基板7を主に取り付けるための構造を有している。
【0025】
制御基板7は、表示装置3などの動作を制御する制御部(図示せず)が実装されたプリント回路板である。制御部は、例えば、記憶装置と、演算装置とを有するマイクロコンピュータを有している。制御部は、車内ネットワークや各種センサから取得した各種車両情報に基づいて、記憶装置が予め記憶した動作プログラムに従い演算装置が適宜演算することにより、表示装置3に表示画像を表示させる。制御基板7は、下ケース22の内部空間23外の外面29に基板カバー31とともに下ケース22に固定されている。
【0026】
以下、バックライトユニット40の組み立てについて、詳細に説明する。
【0027】
図6は、バックライトユニット40の位置決めを説明するための断面図である。
【0028】
図7は、レンズ51を説明するための背面から見た斜視図である。
【0029】
図8は、ヒートシンク53に熱伝導シート54が設置された場合の斜視図である。
【0030】
バックライトユニット40は、レンズ51、光源基板50、及び熱伝導シート54がヒートシンク53に位置決めされ固定された後、レンズケース52がレンズ51、光源基板50、及び熱伝導シート54を覆いヒートシンク53にネジにより固定されることにより、一つのユニットとして組み立てられている。
【0031】
レンズ51、光源基板50、熱伝導シート54、及びヒートシンク53は、位置決めのための構造を有している。具体的には、光源基板50は、第1の位置決め穴60(以下単に、「基板の穴60」という)を有している。基板の穴60は、光源基板50を貫通している。ヒートシンク53は、第2の位置決め穴61(以下単に、「ヒートシンクの穴61」という)を有している。ヒートシンクの穴61は、開口側から順に太穴部61aと細穴部61bとを有している。また、ヒートシンク53は、熱伝導シート54及び光源基板50を設置する設置面53c上に、熱伝導シート54及び光源基板50を設置面53cの面方向に関して位置決めするための位置決め壁53bを有している。熱伝導シート54は、第3の位置決め穴62(以下単に、「シートの穴62」という)を有している。シートの穴62は、熱伝導シート54を貫通している。シートの穴62は、組立時の作業性を考慮し、基板の穴60、ヒートシンクの穴61よりも大きい径を有している。特に、組立誤差により熱伝導シート54が位置決め壁53bとの間の僅かな隙間を移動し、シートの穴62とヒートシンクの穴61との中心がずれた場合であっても、シートの穴62がヒートシンクの穴61(太穴部61a)を隠してしまうことがないようになっている。本実施形態においては、基板の穴60、ヒートシンクの穴61、及びシートの穴62は、円形(楕円形)である。
【0032】
レンズ51は、基板の穴60、ヒートシンクの穴61、及びシートの穴62の中心と略同一軸上に配置された、断面形状が円形の位置決めピン65を有している。位置決めピン65は、太ピン部65aと、細ピン部65bと、テーパ部65cと、を有している。太ピン部65aは、位置決めピン65の根元側に設けられている。細ピン部65bは、太ピン部65aよりも細く、位置決めピン65の先端側に設けられている。テーパ部65cは、太ピン部65aと細ピン部65bとを接続する。すなわち、位置決めピン65は、細ピン部65b、テーパ部65c及び太ピン部65aを位置決めピン65の先端側から順に有している。細ピン部65bは、ヒートシンクの穴61の細穴部61bと嵌まり合うことにより、ヒートシンク53とレンズ51とを位置を決めする。太ピン部65aは、基板の穴60と嵌まり合うことにより、レンズ51と光源基板50とを位置決めする。また、太穴部61aは、基板の穴60(太ピン部65a)よりも大きく(太く)なっている。
【0033】
このような位置決めのための構成を有するバックライトユニット40は、以下の通り位置決めされる。
【0034】
まず、熱伝導シート54及び光源基板50が、ヒートシンク53上に順次配置される。ヒートシンク53は熱伝導シート54及び光源基板50を位置決めするための位置決め壁53bを有している。このため、熱伝導シート54及び光源基板50は、この位置決め壁53bに合わせて、設置面53cに設置されることにより、精度よく位置決めされる。
【0035】
次に、レンズ51の位置決めピン65が、基板の穴60と、シートの穴62とを貫通して、ヒートシンクの穴61に挿入される。
【0036】
ここで、上述の通り位置決め壁53bにより熱伝導シート54が精度よく位置決めされている。このため、熱伝導シート54が位置決めピン65の挿入を阻害することがない。また、組立誤差が生じ、熱伝導シート54が位置決め壁53bとの間の僅かな隙間を移動し、シートの穴62とヒートシンクの穴61との中心がずれる虞がある。しかし、シートの穴62がヒートシンクの穴61(太穴部61a及び細穴部61b)を隠してしまうことがないよう、シートの穴62はヒートシンクの穴61よりも大きくなっている。このため、熱伝導シート54が位置決めピン65の挿入を阻害することがない。
【0037】
また、位置決めピン65がヒートシンクの穴61に挿入され、細ピン部65bが細穴部61bに挿入されて嵌まり合い、レンズ51とヒートシンク53とは正しく位置決めされる。同時に、基板の穴60に位置するテーパ部65cが光源基板50をスライドさせて正しい位置に案内する。これにより、太ピン部65aが基板の穴60に挿入されて嵌まり合い、レンズ51と光源基板50とは正しく位置決めされる。すなわち、位置決めピン65がヒートシンクの穴61に挿入されることにより、光源基板50とレンズ51との位置が決まると同時に、レンズ51とヒートシンク53との位置が決まる。このため、組立誤差が生じ、基板の穴60とヒートシンクの穴61との中心がずれてしまう場合であっても、組立作業は容易である。
【0038】
このような本実施形態におけるバックライトユニット40及びHUD1は、組立時の作業性を向上させることにより、製造性を向上させることができる。すなわち、ヒートシンク53は、位置決め壁53bを有している。これにより、作業者は、熱伝導シート54及び光源基板50を簡易に、且つ精度よくヒートシンク53上に配置することができる。また、シートの穴62、基板の穴60及びヒートシンクの穴61が精度よく配置されるため、作業者は位置決めピン65の挿入作業を容易に行うことができる。
【0039】
また、ヒートシンク53は、遮光壁53dを有している。遮光壁53dは、レンズケース52の開口端52aから漏れる光を遮光することができる。このため、本実施形態におけるHUD1は、表示画像の光路に表示画像の光以外の光を進入させることなく、表示画像を正しく表示することができる。
【0040】
次に、
図9、
図10を用いて、本実施形態の変形例について説明する。
【0041】
図9は、
図2中、表示装置3とヒートシンク53と上ケース21の後述する壁部とを簡略化した状態で示す要部平面図である。
【0042】
【0043】
図9(もしくは
図1)において、下ケース22は、ヒートシンク53が重なるように設けられる一側壁部としての周壁部22aを有する。
【0044】
この周壁部22aは、その主要部となる薄板の立壁形状からなる基部22bと、この基部22bとヒートシンク53との間に微少なクリアランスからなる間隙部S1が(2箇所)形成された状態でヒートシンク53の所要部であるフィン53aを下ケース22外部に露出可能とする上述した開口部(開放部)28とを有している。ここでの開口部28は、ヒートシンク53に対応する基部22b箇所を切り欠いた切り欠き部となっている。
【0045】
なお、53eは、ヒートシンク53の周囲に設けられた鍔形状の一対の固定部である。固定部53eには、ここでの詳細図示は省略するが、例えば下ケース22とヒートシンク53とをネジ固定するためのネジ固定構造や下ケース22とヒートシンク53とを位置決めするための位置決め構造等が設けられる。
【0046】
また、
図9中、液晶表示パネル41とレンズ51を収納するレンズケース52との位置関係に着目すると、液晶表示パネル41はレンズケース52と密着しておらず、液晶表示パネル41とレンズケース52との間には空間部S2が形成されるようになっている。このような場合、光源56の点灯に伴い、レンズ部51a(レンズ51)から出射される出射光(光線)は、液晶表示パネル41へと向かう光と、空間部S2を経てレンズケース52の外部へと漏れる漏れ光とを含むことになる。
【0047】
なお、52bは、レンズケース52における開口端52a近傍に部分的に設けられた開口窓であり、この開口窓52bは、光源基板50に実装されたコネクタ50aに対応して開口形成されている。そして、ここでの詳細図示は省略するが、配線コードの両端側に装着される一対のコネクタのうち一方のコネクタを開口窓52bを介してコネクタ50aに接続し、他方のコネクタを制御基板7にコネクタ接続することで、光源56に点灯用電力を供給可能となる。
【0048】
ここで、
図9、
図10において、21aは、下ケース22と対をなすように設けられる上ケース21に形成されたリブ形状の(2つの)壁部である。この上ケース21から垂下するように設けられる壁部21aは、上述した(2箇所の)間隙部S1を各々塞ぐように基部22b(間隙部S1)の内側に位置し、所定の光路を経て空間部S2から間隙部S1へと至る前記漏れ光等を遮光するための遮光壁(遮光リブ)としての機能を有している。
【0049】
ここで、所定の光路としては、例えば空間部S2、内部空間23側に面する上ケース21の内壁面を順次経て、下ケース22側に反射し間隙部S1へと向かう光の光路等を挙げることができる。なお、間隙部S1へと向かう光は、これ以外に一例として光源56から出る光線の一部がレンズケース52の開口窓52bから漏れ、上ケース21の前記内壁面にて下ケース22側に反射し間隙部S1へと向かう光をはじめとして様々な光がある。
【0050】
このように
図9、
図10にて説明した本実施形態の変形例によれば、間隙部S1を塞ぐように上ケース21に壁部21aが形成されていることにより、前記漏れ光やレンズケース52の開口窓52bから漏れて間隙部S1へと向かう光を壁部21aによって確実に遮ることができる。従って、光源56の点灯時において、光源56から発せられる光線がHUD1の外部に漏れるのを確実に防ぐことができ、商品性を高めることが可能となる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 ヘッドアップディスプレイ(HUD)
3 表示装置
4 平面鏡
5 凹面鏡
6 ケース
7 制御基板
21 上ケース
21a 壁部(遮光壁)
22 下ケース
22a 周壁部
22b 基部
28 開口部(開放部)
30 透光カバー(出射部)
40 バックライトユニット
41 液晶表示パネル
50 光源基板
51 レンズ
52 レンズケース
52a 開口端
53 ヒートシンク
53b 位置決め壁
53c 設置面
53d 遮光壁
54 熱伝導シート
56 光源
60 第1の位置決め穴(基板の穴)
61 第2の位置決め穴(ヒートシンクの穴)
62 第3の位置決め穴(シートの穴)
65 位置決めピン
S1 間隙部
S2 空間部