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  • 特許-管継手 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 19/14 20060101AFI20220707BHJP
   F16L 19/04 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
F16L19/14
F16L19/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018188626
(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公開番号】P2020056474
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000134534
【氏名又は名称】株式会社トヨックス
(73)【特許権者】
【識別番号】518353201
【氏名又は名称】アクアテクニック グループ エッセピア
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 修司
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ペテナ
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-254475(JP,A)
【文献】特開2011-106662(JP,A)
【文献】特開2013-221552(JP,A)
【文献】特開2001-153285(JP,A)
【文献】実開平06-028479(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 19/14
F16L 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質な管体の挿入空間に沿って設けられるニップルと、
前記ニップルから前記挿入空間に向け突出して設けられる径方向へ弾性変形可能なシール部材と、
前記ニップルに沿って差し込まれた前記管体に対して軸方向へ相対的に移動自在であり、かつ、前記ニップルに対して螺進退自在に設けられ、前記ニップルに対する相対的な移動に伴って前記管体を前記ニップルに向け押し付ける押圧部を有する締め付け部材と、を備え、
前記管体は、前記ニップルの外周面に沿って差し込まれる拡径端部と、前記拡径端部の内周面に前記管体の末端部へ向かって内径が徐々に拡径する傾斜内面と、を有し、
前記ニップルの前記外周面は、前記シール部材の配設位置よりも前記管体の差し込み方向奥側に形成され、前記傾斜内面に食い込んで前記管体の差し込み方向と逆向きに係合し、仮止めする抜け止め部と、前記締め付け部材と螺合する案内部を有し、
前記拡径端部と前記管体の末端部間の長さは、前記抜け止め部により仮止めされなければ前記締め付け部材が前記案内部に十分に到達できず、締め付け作業が困難な長さとなっている ことを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記抜け止め部が、前記管体の差し込み方向へ徐々に拡径形成されるガイド面と、前記ニップルの前記外周面と交差する段差面と、前記ガイド面及び前記段差面に亘り形成されて前記傾斜内面に食い込む刃部と、を有することを特徴とする請求項1記載の管継手。
【請求項3】
前記抜け止め部が前記ニップルの前記外周面に沿って螺旋状に突出形成された螺旋状突起であることを特徴とする請求項1又は2記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質材料からなるパイプなどの硬質な管体を配管接続するために用いられる管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の管継手として、ニップルに管体が差し込まれた後に、その外側に締め付け部材を被せて管体の差し込み方向へ移動させることにより、ニップル及び締め付け部材(押圧部)の間に管体が挟み込まれて引き抜き不能に接続されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
ニップルは、管体の内表面と径方向へ対向する挿入部を有し、挿入部の環状凹部には、Oリングなどの弾性変形可能な環状のシール部材を嵌入装着している。
管体としては、硬質材料からなるパイプ又は軟質材料からなるホースやチューブなどが用いられる。パイプの場合には、ニップルの挿入部に差し込まれる接続端部を、差し込み前の状態で予めその他の部位より拡径変形させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/020898号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、管体の配管場所や管体を通る流体の流量に応じて管体のサイズは、大小異なるものが多種類用意され、管体のサイズに対応してニップル(挿入部)のサイズも大小異なるものが多種類用意されている。
管体の外径や内径サイズが大径化することに伴って、管体の肉厚寸法が相対的に厚くなるだけでなく、Oリングなどのシール部材も相対的に太くなって弾力性が増す傾向となる。
そもそもシール部材の外径は、長期的な漏れを防止するために管体の内径よりも若干大きく設定されている。このため、サイズが大きなニップルやシール部材に対する管体の差し込み時には、シール部材の弾性力で管体が押し戻されてしまい、締め付け部材を締め付け位置まで移動できないことがあった。
特に管体が硬質材料からなるパイプである場合には、ニップル(挿入部)に差し込まれる接続端部が、差し込み前に専用工具で拡径変形されるものの、作業者による差し込み力では全く拡径変形しない。これに対してシール部材は、サイズが大きくなるほど弾性力による押し戻し力が強くなるため、パイプの接続端部を押し込み続けながら、締め付け部材を締め付け移動させることが困難であった。これにより、パイプのように硬質で且つ大径な管体の接続作業をスムーズに行えず、作業性に劣るという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために本発明に係る管継手は、硬質な管体の挿入空間に沿って設けられるニップルと、前記ニップルから前記挿入空間に向け突出して設けられる径方向へ弾性変形可能なシール部材と、前記ニップルに沿って差し込まれた前記管体に対して軸方向へ相対的に移動自在であり、かつ、前記ニップルに対して螺進退自在に設けられ、前記ニップルに対する相対的な移動に伴って前記管体を前記ニップルに向け押し付ける押圧部を有する締め付け部材と、を備え、前記管体は、前記ニップルの外周面に沿って差し込まれる拡径端部と、前記拡径端部の内周面に前記管体の末端部へ向かって内径が徐々に拡径する傾斜内面と、を有し、前記ニップルの前記外周面は、前記シール部材の配設位置よりも前記管体の差し込み方向奥側に形成され、前記傾斜内面に食い込んで前記管体の差し込み方向と逆向きに係合し、仮止めする抜け止め部と、前記締め付け部材と螺合する案内部を有し、前記拡径端部と前記管体の末端部間の長さは、前記抜け止め部により仮止めされなければ前記締め付け部材が前記案内部に十分に到達できず、締め付け作業が困難な長さとなっていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態に係る管継手の全体構成を示す説明図であり、(a)が接続前の縦断正面図、(b)が接続後の縦断正面図である。
図2】接続前の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る管継手Aは、図1図2に示すように、継手本体10の接続端に形成されるニップル11に対し、硬質材料からなる硬質な管体Bを配管接続するために用いられる流体継手である。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る管継手Aは、硬質な管体Bの挿入空間Sに沿って設けられたニップル11を有する継手本体10と、ニップル11から管体Bの挿入空間Sに向け突出して設けられる径方向へ弾性変形可能なシール部材12と、ニップル11に沿って差し込まれた管体Bに対して軸方向へ相対的に移動自在に設けられる締め付け部材20と、を主要な構成要素として備えている。
管体Bの挿入空間Sは、継手本体10のニップル11と締め付け部材20との間に形成される。
なお、締め付け部材20が移動する軸方向とは、管体Bの差し込み方向とその逆向きの管体Bの抜け方向であり、管体Bの差し込み方向を以下「管差し込み方向N」といい、管差し込み方向Nと逆向きの管体Bの抜け方向を以下「管抜け方向U」という。
【0008】
管体Bは、例えば硬質合成樹脂や金属などの硬質材料からなる可撓性に劣るパイプなどであり、単層構造や複数層構造に構成され、少なくとも内表面を後述するニップル11の構成材料よりも軟らかく形成している。管体Bは、後述するニップル11の外周面11aに沿って差し込まれる拡径端部Baを有している。
拡径端部Baは、差し込み前の時点で管体Bの接続側の末端部(末端開口)Bbに専用工具を挿入して強制的に拡径変形させた部位である。拡径端部Baの形状は、管体Bの末端部Bbへ向かって徐々に拡径するテーパー状に形成されている。
すなわち、管体Bの拡径端部Baは、管体Bの末端部Bbへ向かって内径が徐々に拡径するように形成される傾斜内面B1と、管体Bの末端部Bbへ向かって外径が徐々に拡径するように形成される傾斜外面B2と、を有している。
管体Bの末端部Bbにテーパー状の拡径端部Baを一体形成することで、後述するニップル11に対して拡径端部Baが容易に差し込み可能になる。これと同時に、管体Bにおいて拡径端部Baを除く略全体の内径が、後述するニップル11の内径と同等になって、流体の圧力損失を低減させ効率良い流体輸送が実現可能になる。
管体Bの具体例として図示される例では、単層構造のパイプであるが、金属層や硬質樹脂層などが一体的に積層された複数層構造のパイプに代えることも可能である。
また管体Bが複数層構造のパイプである場合には図示しないが、アルミニウムやアルミニウム合金又はアルミニウムと類似する軽量な金属などからなる芯層と、ポリエチレンや架橋ポリエチレン又はポリエチレンと類似する軟質合成樹脂などからなる内層と、を有することが好ましい。さらに前記芯層及び前記内層に、前記内層と同材質の外層を加え、それぞれの層間に接着層を挟んで一体化した五層構造のパイプを用いることがより好ましい。
【0009】
継手本体10は、例えば耐熱・耐薬品性・耐衝撃性に優れたスーパーエンジニアリング・プラスチック(スーパーエンプラ)のような硬質合成樹脂又は錆難いステンレスや真鍮等の金属材料などの硬質材料で略円筒状に形成され、ニップル11を有している。
ニップル11は、管体Bの拡径端部Baの内径と略同じか又はそれよりも若干小さな外径の円筒状に形成されている。
ニップル11の外周面11aは、後述するシール部材12の取付部11bと、取付部11bよりも管差し込み方向Nの奥側に形成される抜け止め部13と、を有している。
シール部材12の取付部11bとしては、周方向へ延びる環状凹部を形成することが好ましい。
シール部材12は、例えばOリングなどの弾性変形可能な材料からなる環状体であり、取付部(環状凹部)11bに対してシール部材12の外周端12aがニップル11の外周面11aから若干突出するように嵌入装着させることが好ましい。
抜け止め部13は、ニップル11が差し込まれた管体Bの拡径端部Baと径方向へ対向して設けられる突起である。抜け止め部13は、ニップル11に対する管体Bの一時的な押し込みに伴い、拡径端部Baの傾斜内面B1に食い込んで管抜け方向Uへ係合するように形成される。
抜け止め部13は、管差し込み方向Nへ徐々に拡径形成されるガイド面13aと、ニップル11の外周面11aと略直角に交差する段差面13bと、ガイド面13a及び段差面13bに亘って形成される刃部13cと、を有することが好ましい。
刃部13cは、管体Bの拡径端部Baにおいて傾斜内面B1の構成材料よりも硬い硬質材料で断面鋭角状に形成される。刃部13cは、ニップル11が差し込まれた管体Bの拡径端部Baの傾斜内面B1と径方向へ接触して、傾斜内面B1の内部に食い込むように構成されている。
【0010】
継手本体10の具体例として図1(a)(b)及び図2に示される場合には、継手本体10の軸方向一端側にニップル11が突出形成されている。ニップル11の外周面11aには、取付部(環状凹部)11b及びシール部材12が軸方向へ複数組(二組)それぞれ所定間隔を空けて配置されるとともに、抜け止め部13として螺旋状突起13dを形成している。
図示例では、螺旋状突起13dを螺旋状に連続形成しているが、その他の例として断続した螺旋状に形成してもよい。
継手本体10の軸方向中間には、後述する締め付け部材20の内面と径方向へ対向して設けられる案内部14を有している。
案内部14は、ニップル11に対して後述する締め付け部材20をその軸方向へ往復動自在に案内する部位である。図示例では、案内部14が後述する締め付け部材20の内面と螺合する雄ネジであり、この雄ネジを抜け止め部13よりも管差し込み方向Nの奥側に形成している。
継手本体10の軸方向他端側には、工具(図示しない)が係合する第一工具係合部15と、他の機器や他の管体などの管接続口(図示しない)に接続するための接続部16と、を有している。
第一工具係合部15は、継手本体10の露出部位(外面)に工具と周方向や管抜け方向Uへ移動不能に係合する形状に形成されている。図示例では、第一工具係合部15の形状としてスパナやレンチなどが嵌合する八角ナット形状や六角ナット形状などに形成している。
接続部16は、管継手Aに接続する他の機器や他の管体などにおける管接続口の内表面に内ネジが刻設される場合には、これと対応する外ネジを刻設し、また管接続口の外表面に外ネジが刻設される場合には、これと対応する内ネジを刻設している。図示例では、接続部16として外ネジが刻設されている。
また、その他の例として図示しないが、継手本体10とニップル11を別個に形成して着脱自在に取り付けることや、取付部(環状凹部)11b及びシール部材12を一組又は三組以上配置することの変更が可能である。さらに抜け止め部13として螺旋状突起13d以外の構造に変更することや、案内部14として雄ネジに代え軸方向に延びる直線溝やスライダー機構などを設けることや、第一工具係合部15の形状を後述する締め付け部材20の第二工具係合部23と同様に周方向へ凹部と凸部が交互に連続する形状などに変更することも可能である。
【0011】
締め付け部材20は、継手本体10と同様にスーパーエンプラのような硬質合成樹脂又は錆難いステンレスや真鍮等の金属材料などの硬質材料で円筒状に形成される。
締め付け部材20において軸方向一部は、ニップル11に差し込まれた管体Bの拡径端部Baの外径よりも大きい内径を有し、軸方向他部は、管体Bの拡径端部Baと略同じ内径を有している。
締め付け部材20は、その内面にニップル11の外周面11aと径方向へ対向して設けられる移動手段21と、ニップル11が差し込まれた管体Bの拡径端部Baと径方向へ対向して設けられる押圧部22と、工具(図示しない)が係合する第二工具係合部23と、を有している。
【0012】
移動手段21は、ニップル11の案内部14と連係して締め付け部材20を管差し込み方向N及び管抜け方向Uへ往復動自在に移動させる部位である。さらに移動手段21は、ニップル11の案内部14に対し軸方向と交差する周方向へ回転自在に連係させて、作業者による締め付け部材20の回転操作で往復動させることが好ましい。
移動手段21の具体例として図1(a)(b)及び図2に示される場合には、案内部14の雄ネジと螺合する雌ネジであり、この雌ネジを締め付け部材20の内面一端側に部分形成している。
押圧部22は、ニップル11に対する移動手段21の管差し込み方向Nへの移動に伴って、管体Bの拡径端部Baの傾斜外面B2をニップル11の外周面11aに向け径方向へ押し付ける(締め付ける)ための部位である。押圧部22によって拡径端部Baの傾斜内面B1は、ニップル11の外周面11aやシール部材12に密着される。
押圧部22の具体例として図1(a)(b)及び図2に示される場合には、管抜け方向Uへ向け徐々に小径となるように傾斜するテーパー面である。押圧部22となるテーパー面を締め付け部材20の内面他端側に部分形成することで、管体Bの拡径端部Baの傾斜外面B2と直接的に接触させている。
第二工具係合部23は、締め付け部材20の露出部位(外面)に工具と周方向や管差し込み方向Nへ移動不能に係合する形状に形成されている。
第二工具係合部23の具体例として図1(a)(b)及び図2に示される場合には、締め付け部材20の露出部位(外面)に沿って凹部と凸部が周方向へ交互に連続して形成されている。
また、その他の例として図示しないが、移動手段21として雌ネジに代え軸方向に延びる直線突起やスライダーの外側部分などを設けて直線的に移動させることや、押圧部22の形状や配置を図示例以外に変更することが可能である。さらに押圧部22の内側に弾性変形可能なスリーブを介装して押圧部22が管体Bの拡径端部Baの傾斜外面B2と間接的に接触するように変更することや、第二工具係合部23の形状をスパナやレンチなどが嵌合する六角ナット形状などに変更することも可能である。
【0013】
これに加え、ニップル11に対して締め付け部材20が不意に緩み回転しないようにロック機構30をニップル11及び締め付け部材20に亘って設けることが好ましい。
ロック機構30は、ニップル11側に形成される第一ロック部31と、締め付け部材20側に形成される第二ロック部32とからなる。第一ロック部31及び第二ロック部32は、図1(b)に示された締め付け部材20を最終締め付け位置まで移動された管体Bの接続完了状態で、両者が緩み移動不能に係合するように構成されている。
ロック機構30の具体例として図1(a)(b)及び図2に示される場合には、ニップル11の外周面11aにおいて案内部14よりも管差し込み方向Nの奥側に第一ロック部31が形成されている。第二ロック部32は、締め付け部材20の内面において移動手段21よりも管差し込み方向Nの端縁に形成されている。ニップル11に対する締め付け部材20の回転操作により、第一ロック部31に対して第二ロック部32が係合して締め付け部材20の不意な緩み回転を防止している。
また、その他の例として図示しないが、ロック機構30の構造を図示例以外の構造に変更することも可能である。
【0014】
このような本発明の実施形態に係る管継手Aによると、管体Bやシール部材12の大径化に伴い拡径端部Baの肉厚寸法が厚くなり、シール部材12が太くなって弾力性を増しても、ニップル11に対する管体Bの一時的な押し込みにより、拡径端部Baの傾斜内面B1がシール部材12を乗り越えて抜け止め部13に届けば、傾斜内面B1に抜け止め部13が食い込む。
このため、管体Bの拡径端部Baは、管体Bの差し込み方向(管差し込み方向N)と逆向き(管抜け方向U)へ移動不能に係合して抜け止めされる。
この係合状態であれば、管体Bに対して締め付け部材20を無理なく相対的に移動可能になって、押圧部22で管体B(傾斜外面B2)がニップル11の外周面11aに向け押し付けられる。これにより、ニップル11の外周面11aと締め付け部材20の押圧部22との間に管体Bの拡径端部Baが挟み込まれて引き抜き不能に接続される。
したがって、パイプのように硬質で且つ大径な管体Bであってもニップル11やシール部材12に対して拡径端部Baを十分に差し込み、且つ抜け止め部13で拡径端部Baを仮止めして締め付け部材20により引き抜き不能に接続することができる。
その結果、パイプのように硬質で且つ大径な管体の場合にシール部材の弾性力で管体が押し戻されて締め付け部材の締め付け移動不能な従来のものに比べ、パイプのように硬質で且つ大径な管体Bであっても締め付け部材20が締め付け完了位置まで確実に移動可能になり、接続作業をスムーズに行えて作業性に優れる。
【0015】
特に、抜け止め部13が、管体Bの差し込み方向へ徐々に拡径形成されるガイド面13aと、ニップル11の外周面11aと交差する段差面13bと、ガイド面13a及び段差面13bに亘り形成されて傾斜内面B1に食い込む刃部13cと、を有することが好ましい。
この場合には、ニップル11に対する管体Bの一時的な押し込みにより、拡径端部Baにおいてシール部材12(外周端12a)を通過した傾斜内面B1が、抜け止め部13のガイド面13aに沿って摺動し、無理なく刃部13c及び段差面13bを乗り越えて、傾斜内面B1と刃部13cが圧接する。
それ以降は、シール部材12の弾性力で管体Bの拡径端部Baが管体Bの差し込み方向(管差し込み方向N)と逆向き(管抜け方向U)に押し戻されても、傾斜内面B1に刃部13cが食い込んで係止され、傾斜内面B1が抜け止めされる。
したがって、ニップル11に対する拡径端部Baの抜け止めを確実に行うことができる。
その結果、パイプのように硬質で且つ大径な管体Bであっても接続作業をよりスムーズに行えて更なる作業性の向上が図れる。
【0016】
さらに、抜け止め部13がニップル11の外周面11aに沿って螺旋状に突出形成された螺旋状突起13dであることが好ましい。
この場合には、ニップル11に対する管体Bの押し込みに加え、抜け止め部13の螺旋状突起13dに沿って拡径端部Baを回転することにより、シール部材12を乗り越えた傾斜内面B1が螺旋状突起13dにねじ込まれて、傾斜内面B1に抜け止め部13が食い込む。
それ以降は、シール部材12の弾性力で管体Bの拡径端部Baが管体Bの差し込み方向(管差し込み方向N)と逆向き(管抜け方向U)に押し戻されても、傾斜内面B1に刃部13cが食い込んで抜け止めされる。
したがって、ニップル11に対する簡単な拡径端部Baの押し込み回転操作で抜け止めを確実に行うことができる。
その結果、パイプのように硬質で且つ大径な管体Bであっても接続作業を簡単で且つスムーズに行えて更なる作業性の向上が図れる。
【0017】
なお、前示の実施形態において図示例では、抜け止め部13が螺旋状突起13dである場合のみを説明したが、これに限定されず、螺旋状突起13dに代えて環状突起を軸方向へ単数又は複数形成してもよい。
この場合においても、螺旋状突起13dと同様な作用や利点が得られる。
さらに接続部16として外ネジが刻設した場合のみを示したが、これに限定されず、接続部16に代えて単数又は複数のニップル11を形成して他の管体Bを接続可能に変更するなど、図示例以外の構造であってもよい。
【符号の説明】
【0018】
A 管継手 11 ニップル
11a 外周面 12 シール部材
13 抜け止め部 13a ガイド面
13b 段差面 13c 刃部
13d 螺旋状突起 20 締め付け部材
22 押圧部 B 管体
Ba 拡径端部 Bb 末端部
B1 傾斜内面 B2 傾斜外面
S 管体の挿入空間
図1
図2