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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】生海苔異物分離装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20220707BHJP
   B03B 5/28 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
A23L17/60 103C
B03B5/28 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018117186
(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公開番号】P2019216659
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】山内 宏則
【審査官】楠 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-246723(JP,A)
【文献】特開2007-306832(JP,A)
【文献】特開2016-168037(JP,A)
【文献】特開平11-346733(JP,A)
【文献】特開2005-270067(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0004535(KR,A)
【文献】特開2019-024381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生海苔・海水混合液が供給される生海苔異物分離装置は、生海苔混合液をプールする上方開放部を備えた生海苔混合液槽と、この生海苔混合液槽の内底面に設けた選別ケーシングと、この選別ケーシングの内底面より上方に立設した前記選別ケーシングの外周壁と、この外周壁に架承した環状形状の選別ケースリングと、前記選別ケースリングの内底面の表面より裏面に向かって開口した円形穴と、この円形穴の内周面に近接して設けた回転板と、この回転板の外周面と前記選別ケースリングの内周面、又は前記選別ケーシングの内周面の間に形成したクリアランスと、
前記回転板の外周面の表面に設けた窪み部に支持し、かつ一辺端面を備えた第1チップと、
前記選別ケースリングの内周面の表面に設けた窪み部に支持し、かつ自由端面を備えた第2チップと、
前記第1チップの一辺端面に設けたスリットと、
を有し、
前記一辺端面は、前記選別ケーシング、又は前記選別ケースリングの内周面に対峙し、
前記自由端面は、前記回転板の外周面に対峙し、
た構成であることを特徴とした生海苔異物分離装置。
【請求項2】
前記回転板、又は前記選別ケースリングに設けた前記窪み部には、一枚~複数枚の前記第1チップ、又は前記第2チップを設けることを特徴とした請求項1に記載の生海苔異物分離装置。
【請求項3】
前記第1チップの一辺端面、又は前記第2チップの自由端面にスリットを設け、このスリットは、平面視して、半円弧、鍵型、角形、三角型に窪んだ、何れかの形状とした係止手段である請求項1に記載の生海苔異物分離装置。
【請求項4】
前記第1チップ、又は前記第2チップを複数枚設けた際に、この各第1チップ、又は前記第2チップの前記係止手段は、ずれる構造か、又は連続する構造か、を選択可能とすることを特徴とした請求項3に記載の生海苔異物分離装置。
【請求項5】
第2スリット32を、前記回転板の窪み部下の前記外周面、又は前記選別ケースリングの窪み部下の前記内周面に、設けることを特徴とした請求項1に記載の生海苔異物分離装置。
【請求項6】
前記第2チップを、前記クリアランス内に臨ませることで共回り防止手段として利用できることを特徴とした請求項1に記載の生海苔異物分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生海苔・海水混合液(生海苔混合液)から異物を分離除去し、備え付けのタンク、又は次の装置に、選別した生海苔を、送るための生海苔異物分離装置の回転板、又は選別ケーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
生海苔異物分離装置の回転板、及び選別ケーシングで構成するクリアランスに、スリットを設けた回転板を遊嵌すると、このスリット分のクリアランスの隙間が広くなり、大きな異物が通過する。この異物が乾海苔に残れば、品質不良と、価格の低下を招来する。例えば、特許第4789041号公報(文献(1))の構造では、異物分離槽の底面の円形孔の内周壁と、内周壁に対向する回転円板の外周壁との間に形成されるクリアランスは、対峙するテーパー面で形成することと、クリアランスの目詰り防止は、回転円板に設けた突起部と、回転円板の外周壁に鉛直方向に延びる切欠き溝とでなる構成が開示されている。
【文献】特許第4789041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
文献(1)の如く、回転板に直接、切欠き溝を形成することは簡易であるが、回転板の外周面が摩耗した際には、切欠き溝としての効果が低下する。直接、回転板を交換する必要があり、不経済であり、効率的でないし、殊に取り換えに手間を要する(後述する)。また、説明はないが、選別ケースリングの内周面に切欠き溝を設ける構造においても同様であり、問題である。
【0004】
前述した如く、回転板の外周面に切欠き溝を設ける構成では、切欠き溝によって、選別隙間より広いエリアが形成され、この広い隙間より、本来選別分離すべき異物等を吸込み、品質の劣化を招来する問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記に鑑み、本発明は、以下のことを意図する。
【0006】
1. 摩耗によりスリットの効果が低下した場合(例えは、スリットが摩耗した場合)に回転板や選別ケースリングの交換は不要で、第1チップ、及び/又は、第2チップだけを交換することで、摩耗対策(回転板、及び選別ケースリングの機能回復)ができることと、低コスト(回転板、及び選別ケースリングの準備と保守管理)・短時間でスリットの修復ができる。殊に、回転板、及び選別ケースリングの取り換えに要する技術(芯だし等に関するもの)を要せず、取り換え後に、直ちに仕事ができる。
【0007】
2. 回転板窪み部下の外周面、又は選別ケースリング窪み部下の内周面に刻設したスリットと、第1チップ、又は第2チップに入れたスリットを組み合わせることで、多様なスリットを構成できる。例えば、回転板窪み部下の外周面にスリットを入れ、スリット無しの第1チップ等を装着した場合、スリットの上端開口部は第1チップで塞がれる形となり、この上端開口部からの異物の吸引を防ぐことができる。
【0008】
3. 回転板窪み部下の外周面、又は選別ケースリング窪み部下の内周面に入れたスリットの位置・有無と、第1チップ、及び/又は、第2チップに入れたスリットの位置・有無を組み合わせることで、多様なスリットを構成できる。例えば、各部に設けたスリット位置をずらした場合、スリットは途中で分断される形となり、スリット上端開口部と下端開口部が不連続となり、スリットから吸引する異物を減らし得る。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明は、生海苔・海水混合液が供給される生海苔異物分離装置は、生海苔混合液をプールする上方開放部を備えた生海苔混合液槽と、生海苔混合液槽の内底面に設けた選別ケーシングと、選別ケーシングの内底面より上方に立設した選別ケーシングの外周壁と、外周壁に架承した環状形状の選別ケースリングと、選別ケースリングの内底面の表面より裏面に向かって開口した円形穴と、円形穴の内周面に近接して設けた回転板と、回転板の外周面と選別ケースリングの内周面、又は選別ケーシングの内周面の間に形成したクリアランスと、
回転板の外周面の表面に設けた窪み部に支持し、かつ一辺端面を備えた第1チップと、
選別ケースリングの内周面の表面に設けた窪み部に支持し、かつ自由端面を備えた第2チップと、
第1チップの一辺端面(必要により、内周端面)に設けた第1スリットと、
を有し、
一辺端面は、選別ケーシング、又は選別ケースリングの内周面に対峙し、
自由端面は、回転板の外周面に対峙し、
た構成であることを特徴とした生海苔異物分離装置であり、前述の1.-3.の効果を達成できる。
【0010】
請求項2の発明は、回転板、又は選別ケースリングに設けた窪み部には、一枚~複数枚の第1チップ、又は第2チップを設けることを特徴とした生海苔異物分離装置であり、請求項2では、請求項1の目的を達成するに最適で、かつ概念的な、第1チップ、又は第2チップの本体の構造を利用することで多段積構成を提案できる。
【0011】
請求項3の発明は、第1チップの一辺端面(一方の長辺方向の端面)、又は第2チップの自由端面にスリットを設け、スリットは、平面視して、半円弧、鍵型、角形、三角型に窪んだ、何れかの形状とした係止手段である生海苔異物分離装置であり、請求項3では、請求項1・2の目的を達成するに最適で、かつ概念的な、スリットの構造を提案できる。
【0012】
請求項4の発明は、第1チップ、又は第2チップを複数枚設けた際に、各第1チップ、又は第2チップの係止手段は、ずれる構造か、又は連続する構造か、を選択可能とすることを特徴とした生海苔異物分離装置であり、請求項4では、請求項1の目的を達成するに最適で、かつ、第1チップ、又は第2チップに入れたスリットの位置・有無を組み合わせることで、多様なスリットを構成できる。例えば、各部に設けたスリット位置をずらした場合、スリットは途中で分断される形となり、スリット上端開口部と下端開口部が不連続となり、スリットから吸引する異物を減らすことができる
請求項5の発明は第2スリット(32)を、回転板の窪み部下の外周面、又は選別ケースリングの窪み部下の内周面に、設けることを特徴とした生海苔異物分離装置であり、請求項5では、回転板窪み部下の外周面、又は選別ケースリング窪み部下の内周面に刻設したスリットと、第1チップに入れたスリットを組み合わせることで、多様なスリットを構成できる。例えば、選別ケースリング窪み部下の内周面にスリットを入れ、スリット無しの第2チップを装着した場合、スリットの上端開口部は第2チップで塞がれる形となり、この上端開口部からの異物の吸引を防ぐことができる。
【0013】
請求項6の発明は、第2チップを、クリアランス内に臨ませることで共回り防止手段として利用できることを特徴とした生海苔異物分離装置であり、請求項6では、請求項1の目的を達成するに最適で、かつ共回り生海苔塊、異物塊の吸込み防止と、少なくとも、クリアランスからの遊離を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】生海苔異物分離装置の一例と、関連装置の一部を示した縮尺模式図
図2】生海苔異物分離装置の生海苔混合液槽の要部の拡大断面図、及び選別ケースリングと第1チップ等の細部をさらに拡大し詳細に示した図
図3】第1実施例であり、異物分離部の回転板と選別ケーシングに固定する選別ケースリングにおいて、回転板に取付けた第1チップと、選別ケースリングに取付けた板状の第2チップ(共回り防止爪となりえる)との関係を示した分解斜視図と、要部の拡大俯瞰図
図3-1】図3において示した回転板と選別ケースリングの姿図で、窪み部の形を示す俯瞰図と、要部の拡大俯瞰図
図4】第2実施例であり、異物分離部の回転板と選別ケーシングに固定する選別ケースリングにおいて、回転板に取付けた第1チップと、選別ケースリングに取付けた板状の第2チップとの関係を示した分解斜視図と、要部の拡大俯瞰図
図4-1】図4において示した回転板と選別ケースリングの姿図で、窪み部の形を示す俯瞰図と、要部の拡大俯瞰図
図5】第3実施例であり、第1チップは、略L字形で、回転板に取付けた状態の俯瞰図と、その要部の拡大俯瞰図
図5-1】図5において示した回転板の姿図で、窪み部の形を示す俯瞰図と、要部の拡大俯瞰図
図6】第4実施例であり、スリットを備えた第1チップは、略L字形で、回転板に取付けた状態の俯瞰図と、その要部の拡大俯瞰図
図7】第5実施例であり、スリットを備えた第1チップは、板状で、回転板に取付けた状態の俯瞰図であり、第1チップの一辺端面、及び回転板(回転板ケースリング)の外周面には、スリットを備えた構造とする。また、その要部を拡大して示す拡大俯瞰図、スリットは位相を異にする
図8】第6実施例であり、一辺端面にスリットを備えた第1チップは、板状で、二枚重ねにし、回転板に取付けた状態の俯瞰図であり、二枚の第1チップのスリットは位相を異にする。また、回転板(回転板ケースリング)の外周面にも、スリットを備えた構造とする。そして、それぞれのスリットは、位相を異にする。さらに、その要部の拡大俯瞰図
図9】(イ)は、回転板の傾斜面と、選別ケースリングの先端ピン角でなるクリアランスを、(ロ)は回転板の第1チップと、選別ケースリングの内周面の第2チップによる間隔(隙間幅)を示した拡大断面図である。(イ)は、クリアランスの幅を、例えば、0.1mmとした際には、(ロ)は、間隔は、例えば、0.05mmとする(第2チップは0.05mmの出面である)
図10】第1チップのスリットの一覧を示した概念端面図であって、何れも、本発明の範疇であり、縮尺した模式図
図11】第1チップの他のスリットの一覧を示した概念端面図であって、何れも、本発明の範疇であり、縮尺した模式図である。また、それぞれの要部の拡大した模式図を示す
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1図2において、1は生海苔異物分離装置(良品生海苔装置)の一例で、この生海苔異物分離装置1は、生海苔混合液をプールする上方開放部を備えた生海苔混合液槽2と、生海苔混合液槽2の内底面200に設けた、例えば、壺形、瓶形、或いは椀形であって、容器となる選別ケーシング3と、選別ケーシング3の内底面300より上方に立設した外周壁301に架承した環状形状の選別ケースリング5と、この選別ケースリング5の表面5aより裏面5bに向かって開口した円形穴500(内底面の開口)(又は図示しないが、選別ケースリング5を備えた選別ケーシング3の表面(符号なし)より裏面(符号なし)に向かって開口した円形穴)と、選別ケースリング5(又は選別ケーシング3)の円形穴500の内周面5dに近接して設けた回転板7と、この回転板7の外周面7bと選別ケースリング5の内周面5dとの間に形成したクリアランス6(後述する)と、前記回転板7を支持する、前記選別ケーシング3の内底面300より垂架した回転軸9と、この回転軸9を支持する選別ケーシング3の中央302に設けた軸受け10と、この回転軸9を回転するモータ11とで構成されている。尚、図示しないが、選別ケーシング3と選別ケースリング5とが、一体型では、選別ケースリング5は、選別ケーシング3と読み替え可能である。また、その働き等も同じである。
【0017】
図中20のホースは、生海苔・海水/水(生海苔とする)を溜める生海苔混合液貯留槽21と連通しており、定量の生海苔を、その開口より、生海苔混合液槽2に供給する。図中25のホースは、海水、又は水を、生海苔異物分離装置1に供給する。図中26はポンプである。
【0018】
また、図中22は選別ケーシング3の内底面300に複数個設けた選別された生海苔を取出す生海苔排出口、23は生海苔排出口22に繋いだ配管であり、クリアランス6において分離処理された(選別された)生海苔を、この生海苔排出口22と、配管23とで、生海苔をプールする生海苔タンク12(良質生海苔タンク)か、又は次の海苔製造装置かに、供給する(クリアランス6の生海苔の通過量を、確保する)。
【0019】
生海苔タンク12に供給された選別された生海苔は、図示しない、他の生海苔製造装置(機器)に供給される。
【0020】
そして、図1図2等を参照し、生海苔混合液からの異物分離除去と、共回り(生海苔)等に関して説明すると、生海苔異物分離装置1の生海苔混合液槽2は、分離した生海苔を吸い込むクリアランス6(後述する)、及び選別ケーシング3と、選別ケーシング3の外周壁301に設けた選別ケースリング5と、選別ケースリング5の環状開口に内嵌めされた(挿設された)回転板7と、選別ケースリング5の環状内周面5d(開口)と回転板7の環状外周面7b(開口)とで形成した、生海苔混合液槽2で旋回する生海苔を、誘引するとともに、生海苔が通過するクリアランス6とで構成されており、回転板7はモータ11に設けた図示しない出力軸に支持されている。回転板7は、モータ11が回転することにより、所定の速度で回転する。
【0021】
図9は、(イ)は、回転板7の傾斜面7fと、選別ケースリング5の内周面5dの先端ピン角5d1でなるクリアランス6を、(ロ)は回転板7の第1チップ30と、選別ケースリング5の内周面5dに設けた第2チップ50とによる間隔(隙間幅)を示した拡大断面図である。(イ)では、クリアランス6の幅は、例えば、0.08~0.15mmであり、また、この幅は、回転板7の上下移動で調整する。また、(ロ)は、回転板7の外周面7bと第2チップ50の自由端面50bの出面(クリアランス6に臨む自由端面50bの出面)との隙間(幅)を示したものである。
【0022】
尚、回転板7の表面7aの外周面7bに形成した窪み部8には第1チップ30を嵌合、及び/又は、螺孔係止して固定する(図3-1、図4-1、図5-1参照)。第1チップ30の頂面30aは、回転板7の表面7aより突出する場合もある。図示しないが、例えば、頂面30aは、回転板7の表面7aに面一もあり得る。
【0023】
従って、生海苔混合液槽2内にある、水深100mm~200mm程度の生海苔混合液Bは、回転板7の回転により旋回し、生海苔混合液Bの生海苔A、及び/又は、異物、並びに、海水(水)は、旋回する液の流れで、かつ略展開された状態の流れとなる。旋回流の下で、比重分離されて、異物は、生海苔混合液槽2の内底面200の槽隅部201に導かれ、ここに留まる。一方、生海苔A2(良質生海苔)は、ポンプ26の吸引により、順次、クリアランス6の方向に導かれ、クリアランス6を通過する。その後、生海苔タンク12等に導かれる。
【0024】
そして、第1チップ30の構成と働きについて説明すると、第1チップ30の頂面30aは、回転板7の表面7a、又は回転板ケースリング70の表面70aより上方にある。一例であり限定されない。例えば、第1チップ30の頂面30aは、回転板7の表面7a、又は回転板ケースリング70の表面70aと同じ面(面一)でよい。また、第1チップ30の頂面30aは、回転板7の表面7a等より窪む形態でもよい。また、第1チップ30の一辺端面30b(一辺端面30bは、選別ケースリング5に対峙する側である)は、回転板7の外周面7b、又は回転板ケースリング70の外周面70bと面一となっている。即ち、第1チップ30の一辺端面30bは、回転板7の外周面7bと略同じ曲面であり、外周面7bと面一構造である。また第1チップ30の基端30c(他方端)は、回転板7の軸心方向に位置する。そして、一辺端面30bの上下方向Q(第1チップ30/本体3000の上下方向Q(鉛直方向))に向かった、少なくとも、一条、又は複数条の鍵状の第1スリット31(生海苔塊、異物塊等を係止する手段、即ち係止手段)等を有する。ただし、場合により、第1スリット31等を備えないことも有り得る。また、第1チップ30は、板状の本体3000を有し、側面30d(短辺方向)は端面である。またこの側面30dを傾斜面とする(図示しない)。このように頂面30aが表面7a(70a)より突出すること、及び/又は、傾斜面を備えることで、共回り等する生海苔塊、異物塊等を、クリアランス6より離れている生海苔混合液Bに導くこともできる。尚、この側面30dの傾斜面の側面端に掬い角部を形成することもできる(図示しない)。また、回転板7の対峙する方向等に、二つの第1チップ30を取付ける例も有り得るが図示しない(限定されない)。第1チップ30は、回転板7等の窪み部8に差込み支持される。図中70cは回転板ケースリング70の鍔片である。
【0025】
また、第1スリット31は、本体3000の長辺方向のセンター(一例である)には、少なくとも、一条有り、及び/又は、第1スリット31は、その他の箇所に設ける。そして、複数条設けることも有り得る。第1スリット31は、第1チップ30の一辺端面(一方の長辺方向の端面であり、一辺端面30bを指す)において、平面視して、半円弧、鍵型、角形、三角型等の何れかの形状で窪んだ構造である。第1スリット31は、両端部に係止用の角部を備える。この第1スリット31は、図面では、半円弧形状である(限定されない)。
【0026】
第1チップ30の全体形態は、板材、又はL型板材が望ましいが一例である。また第1スリット31の底部を封鎖し、図示しないが、底片とすることも有り得る。また、第1スリット31は、底部を封鎖せず、底面30eまで貫通することも有り得る。
【0027】
この選別ケースリング5(又は、図示しないが、選別ケーシング3)の表面5aには、窪み部40を形成し(図3-1、図4-1参照)、この窪み部40に第2チップ50を嵌合、及び/又は、螺孔係止して固定するが、その頂面50aが、選別ケースリング5の表面5aより突出するとともに、第2チップ50の自由端面50bが、選別ケースリング5の内周面5dより突出する。即ち、自由端面50bは、僅かに、クリアランス6に臨む構成となっている。図中5dは選別ケースリング5の鍔片である。
【0028】
以下、第1チップ30と、回転板7、並びに、一部で、選別ケースリング5等に関し、好ましい、各実施例を説明する。
【0029】
図3、第1実施例において、回転板7(回転板ケースリング70も有り得る。以下省略する)の外周面7b(又は鍔片7cの外周面7b)には、例えば、上下方向Q(表面7aから裏面7dに向かう方向であり、一例であり、限定されない)に向かった第2スリット32(前述した係止手段)を有する。そして、第1チップ30の一辺端面30bは、外周面7b(鍔片7cの外周面)と面一な構成である。尚、選別ケースリング5の内周面5dの表面5aの窪み部40(差込み凹部)には、第2チップ50(爪、突起物)が差込み支持されている。その自由端面50bはクリアランス6に臨む構成である。また、自由端面50bは、スリットを備えない端面形状である。尚、図示しないが、第2チップ50の自由端面50bにスリットを設ける場合もある。そして、前述した如く、第1チップ30、又は第2チップ50が摩耗しても、第1チップ30、又は第2チップ50のみの交換で済む特徴があり、換言すると、回転板、選別ケースリングを取り換えずに済むことは、経済的であり、また、効率的である。更には、回転板7、及び選別ケースリング5の外内周面に切欠き溝を設ける構成で、選別隙間より広いエリアが形成され、この広い隙間より、本来選別分離すべき異物等を吸込むことも、後述する第1スリット31の工夫で無くし得る特徴がある(以下、同じ)。
【0030】
図4、第2実施例において、回転板7の表面7a(回転板ケースリング70の表面70aも有り得る。以下省略する)に形成した、深さが例えば、2.5-3.5mmの窪み部8(窪み部8「差込み部」の代替として、図示しないが、回転板7に形成した空胴も有り得る。以下同じであり、省略する)(窪み部8は、原則として、表面7aのみを切り込む)に、回転板7の外周面7bと面一の一辺端面30bを備え(第1チップ30の一辺端面30bの曲面は、回転板7の外周面7bの曲面と同じであることを云う。即ち、一辺端面30bは、クリアランス6内に突出しない構造とする)、かつ一辺端面30bにスリットを備えない端面形状である第1チップ30とする構成であり、除去率を重視した形態である。第1チップ30は、前記外周面7bの内径方向に設けた窪み部8(鍔片7cと表面7aの部位に設けた窪み部8)に差込み支持される。その他は、前述の通りである。そして、第1チップ30の上下方向Qの長さは、例えば、3.5-4.5mmである。
【0031】
図5、第3実施例は、回転板7の表面7aより外周面7bに至り形成した、深さが例えば、2.5-3.5mmのL字形の窪み部8(表面7aと外周面7bとを切り込む)に、回転板7の外周面7bと面一の一辺端面30b(折曲げ外周端面)を備え、かつ一辺端面30bにスリットを備えない端面形状であるL字形でなる第1チップ30とする構成である。その他は前述の例に準ずる。また、選別ケースリング5においても同様である。
【0032】
図6、第4実施例は、第3実施例における折曲げた一辺端面30bを備えたL字形の第1チップ30であって、この一辺端面30bには第1スリット31を備えた実施例であり、回転板7(及び/又は、選別ケースリング5「選別ケーシング3」)と共回りする生海苔塊、異物塊等を、第2チップ50まで連れまわることが可能となる。その他は前述の例に準ずる。また、選別ケースリング5においても同様である。
【0033】
図7、第5実施例は、回転板7の表面7aに形成した深さが3.5mmの窪み部8に、回転板7の外周面7bと面一の一辺端面30bを備え、かつ一辺端面30bに第1スリット31(例えば、0.5―1.0mmの第1スリット31とする)を備えた端面形状である第1チップ30とする構成である。また、回転板7の外周面7bの窪み部8の下(所定の位置)に第2スリット32を設けた構成であるが、各スリット31、32の位置(回転板7の外周面7b方向の位相の位置)が異なることを特徴とする(前述の説明を参照されたい)。その他は前述の例に準ずる。また、選別ケースリング5においても同様である。第1チップ30の厚みは、前述の例と同じである。
【0034】
図8、第6実施例は、回転板7の表面7aに形成した窪み部8に、回転板7の外周面7bと面一の一辺端面30bを備え、かつ一辺端面30bに第1スリット31をそれぞれ備えた端面形状である二枚の第1チップ30(原則として、同じ厚みの第1チップを二枚とする)とする構成である。そして、例えば、一例を示すと、窪み部8の深さ<第1チップ二枚分の厚みとする。また、回転板7の外周面7bにも、位置の異なる第2スリット32を設けた構成であるが、第1~第2スリット31、31、32の位置(位相位置)が異なることを特徴とする。その他は前述の例に準ずる。また、選別ケースリング5においても同様である。それぞれ説明した、位相位置のずれは、本来選別分離すべき異物等の吸込防止に有効である(他の例も同じ)。
【0035】
図10図11は、別の第1チップ30を、それぞれ示した概念端面図であって、何れも、本発明の範疇であり、縮尺した形態を一覧表に分類した一例である。図10は、コ字形状の第1スリット31の位相を異にするパターンを、図11は下半截の切込み第1スリット31、末広がり形状の第1スリット31、或いは、円弧形状の第1スリット31を一例として示してある。
【0036】
前述した各実施例等は、本発明の好ましい一例の説明であり、各実施例とか図面に限定されない。従って、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0037】
1 生海苔異物分離装置
2 生海苔混合液槽
200 内底面
201 槽隅部
3 選別ケーシング
3d 内周面
300 内底面
301 外周壁
302 中央
5 選別ケースリング
5a 表面
5b 裏面
5d 内周面
5d1 先端ピン角
5e 鍔片
500 円形穴
6 クリアランス
7 回転板
7a 表面
7b 外周面
7c 鍔片
7d 裏面
7f 傾斜面
70 回転板ケースリング
70a 表面
70b 外周面
70c 鍔片
8 窪み部
9 回転軸
10 軸受け
11 モータ
12 生海苔タンク
20 ホース
21 生海苔混合液貯留槽
22 生海苔排出口
23 配管
25 ホース
26 ポンプ
30 第1チップ
3000 本体
30a 頂面
30b 一辺端面
30c 基端
30d 側面(端部)
30e 底面
31 第1スリット
32 第2スリット
40 窪み部
50 第2チップ
50a 頂面
50b 自由端面
A 生海苔
A2 生海苔(良質生海苔)
B 生海苔混合液
Q 上下方向(鉛直方向)
図1
図2
図3
図3-1】
図4
図4-1】
図5
図5-1】
図6
図7
図8
図9
図10
図11