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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】卓球ラケット
(51)【国際特許分類】
   A63B 59/42 20150101AFI20220707BHJP
   A63B 102/16 20150101ALN20220707BHJP
【FI】
A63B59/42
A63B102:16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021176081
(22)【出願日】2021-10-28
【審査請求日】2021-12-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】721010559
【氏名又は名称】古屋 星二
(72)【発明者】
【氏名】古屋 星二
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】実用新案登録第2510886(JP,Y2)
【文献】特開2010-227371(JP,A)
【文献】韓国登録特許第0817249(KR,B1)
【文献】特表2010-536468(JP,A)
【文献】実開昭61-106271(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 49/00-51/16
A63B 55/00-60/64
A63B 67/00-71/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び第2面を有し、尚且つ、長手方向の軸に沿って前記第1面及び第2面から延出した接続部を有する平板状の打球板と、
前記接続部を挟持するように設けられた第1把持部であって、当該第1把持部は、前記第1面側の前記接続部に接続され、前記第1面側の前記接続部の先端に向かって斜面を有する第1面側第1把持部と、
前記第2面側の前記接続部に接続される第2面側第1把持部から構成されるものである第1把持部と、
前記第1把持部先端側の端部において規定される面であって尚且つ、前記打球板の手方向に対して垂直な面の接続部側に構成され、
前記第2面側第1把持部と連続する腹部と背部を有する第2把持部とを備え、
前記第1面側第1把持部後端側の端部前記接続部後端側の端部及び前記第2面側第1把持部後端側の端部が滑らかな連続面の後端部を有し、
ここで、上記先端及び後端とは、前記長手方向において前記第1面及び第2面側を先端側とし、前記接続部側を後端側として規定されたものである、
ことを特徴とする卓球ラケット。
【請求項2】
前記第2把持部は、前記第1把持部先端側に、手の平または中指、薬指及び小指の少なくとも一指と接触する前記腹部と、前記第1把持部後端側に、円弧形状の前記背部を備えた、
請求項1に記載の卓球ラケット。
【請求項3】
前記第2把持部の前記背部が、前記打球板に対して有角度面を有することを特徴とする、
請求項1に記載の卓球ラケット。
【請求項4】
前記第2把持部の前記背部が、前記打球板に対して直角な面を有することを特徴とする、
請求項1又は請求項3に記載の卓球ラケット。
【請求項5】
前記第2把持部が、前記打球板の手方向の軸に垂直な面に対して角度を有することを特徴とする、
請求項1から請求項4に記載の卓球ラケット。
【請求項6】
前記第2把持部は、前記第2面側第1把持部に着脱可能に接続されることを特徴とする、
請求項1から請求項5に記載の卓球ラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は卓球ラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の代表的な卓球ラケットとしては、把持部を握手するように握るタイプのシェークハンドラケットと、把持部を親指と人差し指で囲うように握るタイプのペンホルダーラケットが知られている。
【0003】
従来の卓球ラケットには、特許文献1の図1及び図3に示されるように、一つの卓球ラケットでシェークハンドラケットとペンホルダーラケットの握り方を兼用できる、いわゆるテナリーラケットがある。
【0004】
シェークハンドラケットは、特許文献2の図1aに示されるような形状をしており、打球板の第1面及び反対側の第2面の両方にラバーを貼り、フォアハンドストロークでは第1面で打球し、バックハンドストロークでは第2面で打球する。このため、バックハンドストロークでのボールに上回転をかけるドライブ(以下、バックハンドドライブという)を打つことが可能であることから、ペンホルダーラケットに比べてフットワークの範囲が少なくて済む。
【0005】
シェークハンドラケットの基本的な握り方としては、特許文献2の図1bに示されるように、打球板を親指と人差し指で挟持するとともに、中指、薬指及び小指で把持部を包み込むようにして握る。シェークハンドラケットの場合、ペンホルダーラケットと異なり、把持部接地面積が多いため把持が安定する。このため、スイング時のラケットのブレが少なく安定した打球を打つことができる。
【0006】
ペンホルダーラケットは、特許文献3の第1図及び第2図に示されるような形状をしており、打球板の第1面にのみラバーを貼り、第5図、第6図、第7図及び第8図に示されるようにフォアハンドストロークもバックハンドストロークもこの1面だけで打球する(以下、片面ペンラケットという)。また、第1面の反対側の第2面にもラバーを貼り、その面でも打球できるシェークハンドラケットの把持部を長手方向に短くしたペンホルダーラケット(以下、両面ペンラケットという)もある。
【0007】
ペンホルダーラケットの基本的な握り方としては、特許文献3の第3図及び第4図に示されるように、把持部の突起部を親指と人差し指で囲み、中指、薬指及び小指のどれか一指以上を打球板の第2面に添えるようにして握る。シェークハンドラケットに比べ、親指の押圧で細かいラケットコントロールが可能である。ペンホルダーラケットの場合、打球板及び把持部に接地する箇所は五指の先端と、第1指間腔であることから接地面積が少なく把持が不安定である。また、両面ペンラケットは親指と人差し指で囲う突起部がないため、接地面積がさらに少なく把持がより不安定になる。しかし、親指及び人差し指の自由度は高く、より細かいラケットコントロールが片面ペンラケットより可能である。
【0008】
片面ペンラケットは特許文献3の第7図及び第8図のようなバックハンドストロークになり、シェークハンドラケットのようなバックハンドドライブができないため、バック面が弱く、それゆえ、フォアハンドストローク主体になるので、バック側の打球に対し、回り込んでのフォアハンドストローク、その後のフォア側に返球された打球に対しての飛びつきなどの広い範囲のフットワークが必要になる。
【0009】
ペンホルダーラケットは、シェークハンドラケットよりも手首可動範囲が広いため、サービス、レシーブ及びドライブで回転をかけやすい。また、親指の押圧を調節することにより、ラケット角度の細かい調整もしやすく、ストロークが短くなる卓球台上の技術がやりやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】実用新案第2510886号
【文献】特表2010-536468号公報
【文献】実開昭61-106271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の卓球ラケットには、シェークハンドラケットと両面ペンラケットの握り方を兼用できるテナリーラケットというものがあるが、ラリー中に把持している手のみで握り替えるには、特許文献1の図1及び図3に示される長寸グリップ5が親指の移動を妨げるため、完全に卓球ラケットを手放す必要があり、瞬時に握り替えるのは困難を極めるため実用的ではない。
【0012】
従来のシェークハンドラケットは、図11に示すように両面ペンラケットの手首可動範囲εよりも、図9に示すように手首可動範囲γと狭く、両面ペンラケットに比べてサービス、レシーブ及びドライブの回転をかけにくく、親指の押圧によるラケット角度の細かい調整もしにくいため、卓球台上技術が困難である。
【0013】
従来のシェークハンドラケットは、台上ミドル(右利きの使用者の場合、右ポケット付近)にボールが打球されたとき、体の正面に卓球ラケットを出して返球することが困難であるため、体をフォア側に動かしバックハンドストロークで返球するか、体をバック側に動かしフォアハンドストロークで返球するかで迷うことがある。
【0014】
従来のシェークハンドラケットは、使用者が右利きの場合のサービス時、ボールの左側を捉えて右横回転をかける際、卓球ラケットの握り方を替え、肩及び肘を上げてラケット角度を作らなければならず、卓球台と肩との間に十分な距離が必要であり、背の低い人や子供には習得が困難である。
【0015】
従来の両面ペンラケットはシェークハンドラケットのようなバックハンドドライブが可能だが、両面にラバーを貼るため、ラケット重量が重くなる。これを把持接地面積がより少ない両面ペンラケットで保持、スイング及び台上技術で重要なラケットコントロールを操作するには、握力や手首の強さなどが必要となる。
【0016】
従来のシェークハンドラケット及び両面ペンラケットは、把持部が打球板から平行に一直線上に構成されているため、スイング時の遠心力や手汗によるスリップなどの影響で、卓球ラケットがすっぽ抜ける問題がある。
【0017】
従来の卓球ラケットは打球板と把持部が一体成形され、右利き、左利きのどちらにも対応するため上下左右対称に設計されている(テナリーラケットを除く)ため、人の手の構造上、完全に使用者に適した把持部はなかった。さらに、手の大きさ、形に合わせて把持部を選ぶのも難しく、削って細くしたり、テープを巻いて太くしたりしている。
【0018】
そこで、両面ペンラケットの握り方でもラケット把持力が強く、シェークハンドラケットと両面ペンラケットの相互の把持の握り替えが容易で、右利き・左利き等の個性にあった把持を可能とする卓球ラケットを提供する必要がある。即ち、シェークハンドラケットと両面ペンラケットの双方の利点を生かせる、もしくはそれぞれの欠点を克服する卓球ラケットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1面2d及び第2面2eを有し、尚且つ、長手方向の軸に沿って前記第1面及び第2面から延出した接続部2bを有する平板状の打球板2と、前記接続部2bを挟持するように設けられた第1把持部であって、当該第1把持部は、前記第1面側の前記接続部に接続され、前記第1面側の前記接続部先端に向かって斜面3bを有する第1面側第1把持部3aと、前記第2面側の前記接続部に接続される第2面側第1把持部3dから構成されるものである第1把持部3と、前記第1把持部先端側の端部において規定される面であって、尚且つ、前記打球板2の手方向に対して垂直な面Cの接続部側に構成され、前記第2面側第1把持部3dと連続する腹部4a背部4bを有する第2把持部4を備え、前記第1面側第1把持部後端側の端部3c、前記接続部後端側の端部2c及び前記第2面側第1把持部後端側の端部3eが滑らかな連続面の後端部5を有し、ここで、上記先端及び後端とは、前記長手方向において前記第1面及び第2面側を先端側とし、前記接続部側を後端側として規定されたものであることを特徴とする卓球ラケットを提供する。ラケット部23は前記打球板2と前記第1把持部3で構成される。
【0020】
前記第2把持部4は、前記第1把持部先端側に、手の平または中指、薬指及び小指のどれか一指以上と接触する前記腹部4aと、前記第1把持部後端側に、円弧形状の前記背部4bを備えていてもよい。
【0021】
前記第2把持部4の前記背部4bが、前記打球板2に対して有角度面を有していてもよい。本願でいう「有角度面」とは、前記打球板2の面に対して前記背部4bの面が角度を有していることである。
【0022】
前記第2把持部4の前記背部4bが、前記打球板2に対して直角な面を有していてもよい。
【0023】
前記第2把持部4が、前記打球板2の長手方向の軸に垂直な面に対して、角度を有してもよい。
【0024】
前記第2把持部4は、前記第2面側第1把持部3dに着脱可能に接続されてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の卓球ラケットにおいて、ラリー中にシェークハンドラケット及び両面ペンラケットの握り方を、斜面3b及び後端部5の滑らかな連続面の効果により親指がスムーズに移動できることで、片手で瞬時に握り替えることが可能になる。これにより、従来のシェークハンドラケット及び両面ペンラケットの打法技術を、ラリー中に一つの卓球ラケットで行うことが可能になる。また、サービス及びレシーブ時には手首可動範囲の広さ及びラケットコントロールの利点がある両面ペンラケットの握り方で、ラリー時には両ハンドストロークの利点があるシェークハンドラケットの握り方で打つことができる。さらに、同じストロークでも、握り方を替えることにより質の違うボールを打ち分けることができ、相手を翻弄する等、戦術の幅がより広がる。
【0026】
図9に示すように、従来のシェークハンドラケットの手首可動範囲γから、本発明の卓球ラケットにおいて、シェークハンドラケットの握り方では図10に示すように、手首可動範囲δに増大する。これにより、サービス、レシーブ及びドライブ時にボールにより多くの回転をかけることができる。
【0027】
さらに、従来のシェークハンドラケットの弱点である台上ミドル処理も、体を動かすことなく体の正面で返球しようとすると、図12(a)に示すように、卓球台11に対して打球面が上を向いてしまい、返球角度が出しにくいが、本発明の卓球ラケットにおいて、図12(b)に示すように、シェークハンドラケットの握り方では、卓球台11に対して打球面が斜めになり返球角度が出しやすくなるため、体を動かすことなく返球できるのでフォアハンドストロークかバックハンドストロークで返球するかで迷うことがなくなる。
【0028】
さらに、従来のシェークハンドラケットは図12(a)に示すように、卓球台11に対して打球面が上を向いてしまい、使用者が右利きの場合、サービス時に、ボールの左側を捉えて右回転をかける際、握り方を替え、肩及び肘を上げて図12(b)に示すような角度βにする必要があるが、本発明の卓球ラケットにおいて、シェークハンドラケットの握り方では、図12(b)に示すように、すでに角度βを成しているため、背の低い人や子供でもサービスの習得が容易になる。加えて、従来のように握り方を替え、肩及び肘を上げれば、より角度範囲が広くなるため、サービスの種類が増える。
【0029】
さらに、従来のシェークハンドラケットではフォアハンドストロークは第1面2dで、バックハンドストロークは第2面2eでの打法しかないが、本発明の卓球ラケットにおいて、シェークハンドラケットの握り方では、フォアハンドストロークもバックハンドストロークも第1面2d及び第2面2eでの打法が可能になる。さらに、使用者が右利きの場合、フォアハンドストロークの卓球台上で、第2面2eでボールの右側を捉えて左回転をかける新規の打法が可能になる。
【0030】
さらに、本発明の卓球ラケットにおいて、シェークハンドラケットの握り方では、第2把持部4の腹部4aか背部4b、または両方の角度面を変えることにより、卓球ラケットの短手方向を軸に打球板の角度面が変わるため、より使用者の好みに応じた卓球ラケットを提供できる。
【0031】
従来のシェークハンドラケットには、チキータという打法がある。詳しく説明すると、使用者が右利きの場合、台上に短く出されたボールに対してバックハンドストロークを用い、肘を上げる、肘を前に出す、肘を約90度にする、手首をたたむ、前腕を下に向ける、前腕を反時計回り捻るという6つの動作を同時に行い準備し、時計回りにストロークする際にボールの左側を捉えて右回転をかけて返球する打法である。本発明の卓球ラケットにおいて、シェークハンドラケットの握り方では、肘を前に出す、手首をたたむ、肘をたたむという3つの動作のみで準備ができるため、素早く、容易に同じ打法が可能になる。さらに、肘を上げる必要がないため、背の低い人にも打つことが可能になる。
【0032】
本発明の卓球ラケットにおいて、ペンホルダーラケットの握り方では、第2面2eにもラバーを貼ることでバックハンドドライブを可能にする両面ペンラケット形態を採用する。これによりラケットの重量が増え、把持が不安定になり、ラケットコントロールが難しくなる欠点は、図13に示すように、第2把持部4を中指、薬指及び小指のどれか一指以上と、母指球で包み込むように握れるようにしたことで解消する。これにより、握力や手首の強さが無くても安定した把持が可能になり、重さも感じにくく、卓球ラケットの保持力、スイング速度及びラケットコントロールが向上する。
【0033】
さらに、従来のペンホルダーラケットでは、親指と人差し指を同時に動かすことは困難であるが、本発明の両面ペンラケットの握り方では、第2把持部4の把持だけでも安定するため、親指と人差し指が自由になることで、握り方の多様化、サービス、レシーブ及びラリー時に握り方のより細かな調整が可能になり、ラケットコントロールがさらに向上する。
【0034】
従来のシェークハンドラケットと両面ペンラケットの把持部では卓球ラケットがすっぽ抜ける問題点があったが、本発明の卓球ラケットにおいて、図13に示すように、第2把持部4を把持しているため、卓球ラケットの抜け方向Dに両面ペンラケットの握り方では中指、薬指及び小指のどれか一指以上が、シェークハンドラケットの握り方では手の平が掛かるため、この問題点が改善する。これにより、スイング速度を上げられるため、より高威力及び高回転のボールを打つことができる。
【0035】
請求項5に記載の本発明の卓球ラケットにおいて、図8に示すように、第2把持部4が、打球板2の手方向の軸に垂直な面に対して角度θを有する。両面ペンラケットの握り方では、使用者が右利きの場合、右に偏った場合(図8の状態)、バックハンドストロークがやりやすい打球面が作りやすく、左に偏った場合、フォアハンドストロークがやりやすい打球面が作りやすくなる。シェークハンドラケットの握り方では、右に偏った場合、フォアハンドストローク及びバックハンドストローク時にラケット先端が上方に向くためボールに下回転をかけての打球時、回転をより多くかけることができる。さらに上回転で返球時、ストレート方向に返球しやすくなる。左に偏った場合、フォアハンドストローク及びバックハンドストローク時にラケット先端が下方に向くためボールに上回転をかけての打球時、回転をより多くかけることができる。これにより、より使用者の好みに応じた卓球ラケットを提供できる。
【0036】
従来の卓球ラケットは使用者に完全に適した把持部はなく、選択肢も少ない。しかし、請求項6に記載の本発明の卓球ラケットにおいて、第2把持部4を着脱可能にすることにより、他のラケット部23にも同じ着脱機構を搭載させれば、右利き、左利き、手の大きさ、好みの形状、把持部の太さ及び長さの違う多種多様な第2把持部4を提供できる。さらに第2把持部4の材質を変えて重くしたり、中を空洞にして軽くしたり、サイドテープと合わせて重量及び重心位置が調整しやすくなることから、より多くの使用者がより適した、または場面に応じた卓球ラケットを選択できる。
【0037】
前記のことから、使用者が望む卓球ラケットがあっても、把持部が合わないときは使用することができない問題が解消される。
【0038】
従来は卓球ラケットを替える際、まったく同じシリーズの卓球ラケット以外を使用しようとすると、タイプの同じ把持部でもメーカーやシリーズの違いで、わずかに太さや形状などの違いがあり違和感があるが、請求項6に記載の本発明の卓球ラケットにおいて、ラケット部23だけを交換し、以前の第2把持部4をそのまま使用すれば、今までと同じ把持感覚で新しい卓球ラケットに即座になじむことができる。また、使い慣れたラバー及びラケット部23で、違う形状の第2把持部4に交換することで、打球感は同じまま使用者にさらに適した把持部を見つけることも容易になる。このことから、学校の部活、地域のクラブの練習や試合会場で他の使用者の様々なラケット部23、第2把持部4及びラバーを試し打つことができるようになり、使用者に適したラケット部23、第2把持部4及びラバーも見つけやすくなり、使用者の技術向上だけでなく、コミュニケーションツールとしても有効である。
【0039】
請求項6に記載の本発明の卓球ラケットにおいて、第2把持部4を取り外した状態のラケット部23は、従来の卓球ラケットに比べ長手方向が短くなるため、収納及び持ち運びもしやすくなる。
【0040】
製造面及び販売面において、従来の卓球ラケット製造は打球板と把持部が一体化されているので、同じシリーズの卓球ラケットでも把持部別に製造しなければならない。例えば、主要な把持部にはフレア、ストレート、アナトミック及び両面ペンと4種類ある。把持部の違う4本の卓球ラケットを製造しなければならず、そのうちの1本が売れたとすれば、3本は在庫になる。請求項6に記載の本発明の卓球ラケットにおいて、ラケット部23を1本製造し、コストの低い第2把持部4を4種類製造しておけば、ラケット部23の在庫はなくなり、3種類の第2把持部4が残る。しかし、この第2把持部4は他のシリーズのラケット部23にも使用できる。このことから、在庫管理の効率化及び製造コストの削減でメリットが生まれる。さらに木材割合の多いラケット部23の製造本数を減らせるので、木材資源管理及び輸送コスト削減でもメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明のラケット部の分解図である。
図2】本発明の卓球ラケットをシェークハンドラケット及び両面ペンラケットの握り方を兼用する第1の実施例を示した斜視図である。
図3】本発明の卓球ラケットをシェークハンドラケット及び両面ペンラケットの握り方を兼用する第1の実施例を示した左側面図である。
図4】本発明の卓球ラケットをシェークハンドラケットの握り方をする第1の実施例を示した斜視図である。
図5】本発明の卓球ラケットをシェークハンドラケットの握り方をする第1の実施例を示した左側面図である。
図6】本発明の卓球ラケットを両面ペンラケットの握り方をする第1の実施例を示した斜視図である。
図7】本発明の卓球ラケットを両面ペンラケットの握り方をする第1の実施例を示した左側面図である。
図8】本発明の第2把持部の第2の実施例に係る卓球ラケットを示した背面図である。
図9】従来のシェークハンドラケットを右手で把持した状態の手首可動範囲を示した概念図である。
図10】本発明の卓球ラケットをシェークハンドラケットの握り方で、右手で把持した状態の手首可動範囲を示した概念図である。
図11】従来の両面ペンラケットを右手で把持した状態の手首可動範囲を示した概念図である。
図12】(a)従来のシェークハンドラケットを卓球台に対して右腕を水平に出したときの左側面図である。(b)本発明の卓球ラケットをシェークハンドラケットの握り方で、卓球台に対して右腕を水平に出したときの左側面図である。
図13】本発明の卓球ラケットを両面ペンラケットの握り方で、右手で把持した状態を示した左側面図である。
図14】本発明の着脱機構を有する第3の実施例に係る卓球ラケットの把持部を示した分解斜視図である。
図15】本発明の着脱機構を有する第3の実施例に係る卓球ラケットを示した図14における線E-E断面図であり、固定された状態図である。
図16】本発明の着脱機構を有する第3の実施例に係る卓球ラケットを示した図14における線F-F分解断面図である。
図17】(イ)(ロ)本発明の両面ペンラケットの握り方に係る卓球ラケットの他の把持部実施例を示した参照図である。(ハ)本発明のシェークハンドラケット及び両面ペンラケット兼用の握り方に係る卓球ラケットの把持部実施例を示した参照図である。
図18】(ニ)(ホ)(へ)本発明のシェークハンドラケットの握り方に係る卓球ラケットの他の把持部実施例を示した参照図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0042】
図1は、打球板2と第1把持部3の関係を示した図である。打球板2の接続部2bは、打球板2のうち点線A1-A2より後方部分である。長手方向の中心線B1-B2に沿って、接続部2bの第1面側には第1面側第1把持部3aが接続され、第2面側には第2面側第1把持部3dが接続する。長手方向の中心線B1-B2は短手方向の点線A1-A2と直交する。
【0043】
図2は、本発明の卓球ラケットをシェークハンドラケット及び両面ペンラケットの握り方を兼用する一実施例を示した斜視図である。前記の通り、打球板2の接続部2bは、打球板2のうち点線A1-A2より後方部分である。長手方向の中心線B1-B2に沿って、接続部2bの第1面側には第1面側第1把持部3aが接続され、第2面側には第2面側第1把持部3dが接続する。第1面側第1把持部3aは先端(点線A1-A2)に向かって斜面3bを形成する。第1面側第1把持部後端側の端部3c、接続部後端側の端部2c及び第2面側第1把持部後端側の端部3eは滑らかな連続面の後端部5を形成する。本願でいう「滑らかな連続面」とは、滑らかであれば良く、図2に示すように平斜面、図18(ニ)に示すように丸みを帯びた面等、第1面側第1把持部後端側の端部3cと接続部後端側の端部2c及び第2面側第1把持部後端側の端部3eがそれぞれ合わさる部分が滑らかである場合を含む。
【0044】
第2把持部4は、第2面側第1把持部3dに接続する。第2把持部4は腹部4aと背部4bより構成される。また、第2把持部4は、手方向の中心線B1-B2に対して垂直な面C接続部側に構成される。第2把持部4の形状は、図2及び図3の様に円弧形状でも良く、図4及び図5の三角柱形状、図6及び図7の四角柱形状、図17の(イ)(ロ)(ハ)形状、図18の(ニ)(ホ)(へ)形状、またはドーナツ形状及び球体形状などでも良く、利用者の好みに応じて形成することができる。
【0045】
図3は、図2の左側面を表している。前記の通り、第1面側第1把持部3aの第1面側に斜面3bが形成される。例えば、当該斜面は、第1面側に近づき打球板面からの高さhのところで終了してもよく、高さhはラバーの厚さに近傍していればよい。両面ペンラケットの握り方では腹部4aには中指、薬指及び小指のどれか一指以上と接触し、背部4bには母指球が接触する。これにより、両面ペンラケットの把持においても、非力な握力でも十分強力なラケット把持力を生じせしめる。シェークハンドラケットの握り方では背部4bには中指、薬指及び小指のどれか一指以上が接触し、腹部4aには手の平が接触する。
【0046】
図4は、本発明の卓球ラケットをシェークハンドラケットの握り方での一実施例を示した斜視図であり、第2把持部4が第2面側第1把持部3dと接する辺と背部の辺が広角な三角柱である。図5は、図4の左側面を表している。図12(b)は本発明の卓球ラケットをシェークハンドラケットの握り方で、右手で把持し、卓球台に対して腕を水平に出した状態を示した左側面図であり、打球面が斜めになる。図18(ニ)(ホ)(へ)は、本発明の卓球ラケットのシェークハンドラケットの握り方に係る第2把持部4の他の形態を示した参照図である。
【0047】
本発明の卓球ラケットをシェークハンドラケットの握り方で使用する時は、親指と人差し指で打球板2を挟持し、中指を後端部5か、もしくは中指、薬指及び小指のどれか一指以上で第2把持部4の背部4bを、手の平で腹部4aを包み込むように把持する。これにより、従来のシェークハンドラケットと同じような握り方のまま、手首の可動域が広くなり、卓球ラケットのすっぽ抜けを防止する安全な把持になる。このことから、今までの従来のシェークハンドラケット使用者も違和感なく、更なる高度な技術及び新技術を習得できる。
【0048】
図18(へ)は、本発明の卓球ラケットをシェークハンドラケットの握り方で第2把持部4を把持した時に手になじむように、中指、薬指及び小指が接触する部分を窪ませることで、より把持を安定させる形状となっている。
【0049】
図6は、本発明の卓球ラケットを両面ペンラケットの握り方での一実施例を示した斜視図であり、第2把持部4が四角柱の形状である。図7は、図6の左側面を表している。図13は本発明の卓球ラケットを両面ペンラケットの握り方で、右手で把持した状態を示した左側面図であり、打球板2の第1面側に第1ラバーが貼られ、第2面側に第2ラバーが貼られている。図17(イ)(ロ)は、本発明の卓球ラケットの両面ペンラケットの握り方に係る第2把持部4の他の形態を示した参照図である。
【0050】
図示したように、本発明の卓球ラケットは、打球板2と第1把持部3と、第2把持部4とで構成される。
【0051】
本発明の卓球ラケットを両面ペンラケットの握り方で使用する時は、親指及び人差し指で斜面3bを囲うように把持し、中指、薬指及び小指のどれか一指以上で第2把持部4の腹部4aを、母指球で背部4bを接触させ把持する。これにより、従来のペンホルダーラケットと同じような握り方のまま、より安定し、より細かいラケットコントロールが可能になり、卓球ラケットのすっぽ抜けを防止する安全な把持になる。このことから、握力や筋力の弱い人や体力の少ない人の使用はもちろんのこと、今までの従来のペンホルダーラケット使用者も違和感なく使用でき、更なる高度な技術を習得することができる。
【0052】
図17(ロ)は、本発明の卓球ラケットを両面ペンラケットの握り方で第2把持部4を把持した時に手になじむように、中指、薬指及び小指が接触する部分と、母指球が接触する部分を窪ませることで、より把持を安定させる形状となっている。
【0053】
図17(ハ)は、本発明のシェークハンドラケット及び両面ペンラケット兼用の握り方に係る卓球ラケットの把持部実施例を示した参照図であり、シェークハンドラケットの握り方の時は、腹部4aに手の平を接触させて把持し、両面ペンラケットの握り方の時は、打球板2に対して直角に設けられた背部4bに母指球を接触させて把持できる形状となっている。
【実施例2】
【0054】
図8は、本発明の卓球ラケットの一実施例を示した背面図であり、第2把持部4が、打球板2の点線A1-A2に垂直な面に対して右に偏る場合である。もちろん、左に偏ってもよい。その他の構成は基本的には前記実施例1と同様である。
【実施例3】
【0055】
図14図15及び図16は、本発明の卓球ラケットに係る着脱式把持部の一実施例を示す。図14は本発明の着脱機構に係る卓球ラケットの把持部を示した分解斜視図であり、第2把持部4の上部に設けた逆台形の突出部4cを、第2面側第1把持部3dに掘られた逆台形の溝にスライド(図14-x方向)させ係合する。これにより、図14に示したy方向とz方向に第2把持部4が動くのを防止する。図15図14の線E-Eの断面図であり、接続部2bに固定材ネジ穴9を設け、第2把持部4に固定材穴10を設け、それぞれを固定材8で固定した状態図である。これにより、図14に示したx方向に第2把持部4が動くのを防止する。図16図14の線F-Fの断面図である。
【0056】
第2把持部4は、第2面側第1把持部3dと着脱可能な構成をとってもよい。これにより、使用者の好みに応じた、もしくは場面に応じた第2把持部4を取り付け、使用できる。
【0057】
前記実施例3は本発明の卓球ラケットを、両面ペンラケットの握り方での一実施例であるが、その他の本発明の卓球ラケットにおいても、着脱機構を統一したラケット部23と第2把持部4であれば、着脱可能となる。
【0058】
第2把持部4は、既定の卓球ルール範囲内で好ましくは木材でもよく、固定材8は好ましくは硬質材でもよい。さらに、第2面側第1把持部3dの凹部、または第2把持部4の突出部4cの凸部の補強として硬質プレートを被せることで、より強固で安全な仕様とすることもできる。
【0059】
前記に記載した本発明の着脱式把持部に重要なのは、使用者が本発明の卓球ラケットの使用中に、ラケット部23と第2把持部4が固定されていることであるため、より強固で安全にするための機構及び材質はこの限りではない。
【0060】
図17及び図18に示すように、後端部5及び第2把持部4は多様に変形実施が可能であり、本発明の目的範囲を逸脱しない限り、変形される実施形状は全て本発明の請求の範囲に属するものと解釈すべきである。
【0061】
本発明は、前記実施例の構成に限らず、本発明の目的範囲を逸脱しない限り、適宜変更可能である。例えば、第2把持部4を接続部2bの第2面側に直接接着することも可能である。
【符号の説明】
【0062】
2 打球板
2b 接続部
2c 接続部後端側の端部
2d 第1面
2e 第2面
3 第1把持部
3a 第1面側第1把持部
3b 斜面
3c 第1面側第1把持部後端側の端部
3d 第2面側第1把持部
3e 第2面側第1把持部後端側の端部
4 第2把持部
4a 腹部
4b 背部
4c 突出部
5 後端部
6 第1ラバー
7 第2ラバー
8 固定材
9 固定材ネジ穴
10 固定材穴
11 卓球台
23 ラケット部
【要約】
【課題】従来の卓球ラケットの弱点を克服した把持部を備えた卓球ラケットを提供する。
【解決手段】第1面2d及び第2面2eを有し、長手方向に沿って延出した接続部2bを有する平板状の打球板2と、接続部2bを挟持するように設けられた、第1面側の接続部に接続され、第1面側接続部先端に向かって斜面3bを有する第1面側第1把持部3aと、第2面側の接続部に接続される第2面側第1把持部3dから構成される第1把持部3と、第1把持部先端において、打球板2の短手方向に垂直な面Cの接続部側に構成され、第2面側第1把持部3dと連続する第2把持部4を備え、第1面側第1把持部後端3c、接続部後端2c及び第2面側第1把持部後端3eは滑らかな連続面の後端部5を有し、ラケット部23と第2把持部4は着脱機構を備えることも可能な卓球ラケットの提供をすることで、従来の卓球ラケットの弱点の克服及び高度な技術の習得ができる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18