IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タカラベルモント株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】毛髪処理剤および毛髪処理剤セット
(51)【国際特許分類】
   A61Q 5/00 20060101AFI20220707BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20220707BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20220707BHJP
   A61K 8/45 20060101ALI20220707BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
A61Q5/00
A61K8/86
A61K8/39
A61K8/45
A61K8/891
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017199635
(22)【出願日】2017-10-13
(65)【公開番号】P2019073467
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】都倉 彩里
(72)【発明者】
【氏名】細川 博史
(72)【発明者】
【氏名】青池 広樹
(72)【発明者】
【氏名】小川 俊介
(72)【発明者】
【氏名】上條 洋士
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第95/031173(WO,A1)
【文献】特開2014-141459(JP,A)
【文献】特表2004-503576(JP,A)
【文献】特開2014-009259(JP,A)
【文献】特開2011-246359(JP,A)
【文献】特開2013-151660(JP,A)
【文献】特開2014-031356(JP,A)
【文献】特開2013-079205(JP,A)
【文献】特開2005-225776(JP,A)
【文献】特開2014-231489(JP,A)
【文献】特開2017-145224(JP,A)
【文献】特開2017-075102(JP,A)
【文献】特開2015-168664(JP,A)
【文献】特開2013-043868(JP,A)
【文献】特開2014-227365(JP,A)
【文献】特開2017-125071(JP,A)
【文献】特開2015-189764(JP,A)
【文献】特開2017-052706(JP,A)
【文献】特開2003-176205(JP,A)
【文献】特開2002-370938(JP,A)
【文献】特開2004-067570(JP,A)
【文献】特表2005-511649(JP,A)
【文献】Diglycerin Derivatives SY-DP series,日本,阪本薬品工業株式会社,2017年
【文献】信越シリコーン 化粧品用シリコーン,信越化学工業株式会社,2007年,第18-19ページ
【文献】Cosmetic-Info.jp,2016年,https://www.cosmetic-info.jp/prod/detail.php?id=46297
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率が1.34以上1.45以下である低屈折率成分(A)と、
屈折率が1.47以上である高屈折率成分(B)と、を含み、
前記低屈折率成分(A)が、ポリプロピレングリコール誘導体であり、
前記高屈折率成分(B)が、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンであり、
前記低屈折率成分(A)及び前記高屈折率成分(B)をともに0.5質量%以上含む、
ことを特徴とする毛髪処理剤。
【請求項2】
屈折率が1.34以上1.45以下である低屈折率成分(A)と、
屈折率が1.47以上である高屈折率成分(B)と、を含み、
前記低屈折率成分(A)が、ポリプロピレングリコール誘導体であり、
前記高屈折率成分(B)が、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンである、
ことを特徴とする毛髪処理剤。
ただし、屈折率1.48未満のシリコーンオイルを含む毛髪処理剤を除く。
【請求項3】
屈折率が1.34以上1.45以下である低屈折率成分(A)と、
屈折率が1.47以上である高屈折率成分(B)と、を含み、
前記低屈折率成分(A)が、PPG-3カプリリルエーテル、PPG-15ステアリル、PPG-2アルギニン、PPG-14ジグリセリル、又はPPG-9ジグリセリルであり、
前記高屈折率成分(B)が、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンである、
ことを特徴とする毛髪処理剤。
【請求項4】
前記低屈折率成分(A)および前記高屈折率成分(B)が、常温で液体である請求項1~のいずれかに記載の毛髪処理剤。
【請求項5】
前記低屈折率成分(A)が水溶性成分であり、
前記高屈折率成分(B)が油溶性成分である請求項1~のいずれかに記載の毛髪処理剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪処理剤および毛髪処理剤セットに関する。より具体的に、本発明は、毛髪に自然なツヤを与えることができる毛髪処理剤および毛髪処理剤セットに関する。
【背景技術】
【0002】
美しい毛髪にとってツヤは重要な要素の一つである。しかし、カラーリングあるいは紫外線等により毛髪がダメージを受けると、ツヤが低下し、美しさが損なわれる。毛髪を美しく見せるために、毛髪にツヤを付与できることを謳った毛髪化粧料が知られている。
【0003】
特許文献1には、特定のデキストリン脂肪酸エステルと、ステロール骨格を有する油剤と、非イオン性界面活性剤とを含有する毛髪化粧料が開示されている。特許文献1には、当該化粧料によって、毛髪に優れたツヤを付与できると記載されている。また、特許文献1には、「屈折率が1.47を超える油剤」をさらに含む場合、毛髪のツヤを高めることができるとの記載がある。
【0004】
特許文献2には、特定の分子構造体と、特定の油性成分とを含み、油性成分の屈折率が1.470以下である毛髪化粧料が開示されている。特許文献2には、カラーリングした毛髪における、時間の経過とともに褪色し、薄く明るくなったり変色した状態を、当該化粧料によって視覚的にきれいにできると記載されている。
【0005】
特許文献3には、洗髪の前に毛髪を処理するプレシャンプートリートメント組成物が開示されている。特許文献3には、当該組成物によって、激しくダメージを受けた毛髪に対してもツヤ、まとまりおよび指通りを向上させることができると記載されている。
【0006】
特許文献4には、エアミスト型の毛髪化粧料が開示されている。特許文献4には、当該化粧料によって、毛髪に自然なツヤおよびまとまりを与えながら、べたつきを生じることがなく、毛髪を指通りのよい軽い感触にすることができると記載されている。
【0007】
特許文献5には、エアゾール型の毛髪化粧料が開示されている。特許文献5には、当該化粧料が、毛髪に自然なツヤを与え、滑らかさと、しなやかさを付与する効果に優れ、べたつき感のない化粧料であると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2013-79205号公報
【文献】特開2005-225776号公報
【文献】特開2013-56846号公報
【文献】特開2014-227365号公報
【文献】特開2011-213631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、人工的なツヤではなく、自然なツヤのある毛髪を美しいと感じる消費者が増えている。このため、毛髪に自然なツヤを与えることができる毛髪化粧料等の毛髪処理剤が求められている。
【0010】
しかし、特許文献1の毛髪化粧料では、自然なツヤは全く考慮されていない。特許文献2の毛髪化粧料は、カラーリングが褪色して変色等が生じた状態という、特殊な状態の見た目を多少なりとも改善する毛髪化粧料であり、一般的な状態にある毛髪に対して自然なツヤを与えることは全く考慮されていない。特許文献3の毛髪化粧料では、自然なツヤは全く考慮されていない。特許文献4,5の毛髪化粧料では自然なツヤこそ考慮されているものの、これらの化粧料は、それぞれ、ヘアミストおよびエアゾールという特定の剤型の化粧料である。成分を毛髪に十分に付着させることが可能なクリーム状等の他の剤型に適用することはできない。
【0011】
本発明は、毛髪に自然なツヤを与えることができる、従来にない毛髪処理剤および毛髪処理剤セットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
屈折率が1.34以上1.45以下である低屈折率成分(A)と、
屈折率が1.46以上である高屈折率成分(B)と、を含むことを特徴とする毛髪処理剤、
を提供する。
【0013】
別の側面において、本発明は、
二以上の糖が結合した糖鎖を有する分子を含む成分(C)を含む第一剤と、
屈折率が1.46以上である油溶性成分(D)を含む第二剤と、を含むことを特徴とする毛髪処理剤セット、
を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の毛髪処理剤および毛髪処理剤セットは、従来にない組成物であって、毛髪に自然なツヤを与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[毛髪処理剤(第1の処理剤)]
第1の処理剤である本開示の毛髪処理剤は、低屈折率成分(A)と高屈折率成分(B)とを含む。第1の処理剤による毛髪への自然なツヤの付与は、以下のようになされると推定される。
【0016】
第1の処理剤により処理した毛髪の表面には、低屈折率成分(A)の層Aと高屈折率成分(B)の層Bとが形成されうる。層Aおよび層Bが表面に形成された毛髪に光が入射すると、入射した光は、毛髪の表面、屈折率が互いに異なる層Aと層Bとの境界、および毛髪の表面に形成された最外層となる層の表面を少なくとも含む複数の面で反射および屈折する。これにより、毛髪で反射した光の拡散の程度は、例えば特許文献1の「屈折率1.47を超える油剤」の層が毛髪の表面に形成された場合、すなわち、入射光が毛髪の表面および当該油剤層の表面の2つの面のみで反射および屈折する場合に比べて、大きくなる。人は、強度が揃った、拡散の程度が小さい反射光に人工的なツヤを感じる。したがって、拡散の程度が大きい反射光が実現する第1の処理剤によって、毛髪に自然なツヤを与えることが可能となる。
【0017】
低屈折率成分(A)の層Aと、高屈折率成分(B)の層Bとでは、層Aが毛髪に近い位置に形成されることが好ましい。この場合、毛髪に、より自然なツヤを与えることが可能となる。層Aは、毛髪の表面に形成されうる。層Bは、毛髪の表面に形成された層Aの上に形成されうる。毛髪の表面からの層Aおよび層Bの形成の順序は、例えば、成分(A)および成分(B)間で毛髪の表面との親和性を変えることにより制御できる。より具体的に、第1の処理剤に含まれる、毛髪の表面との親和性がより高い成分の層を毛髪側に形成可能である。例えば、毛髪の表面との親和性が相対的に高い成分(A)と、相対的に低い成分(B)とを組み合わせることにより、層Aを毛髪の表面に形成し、層Bを層Aの上に形成しうる。第1の処理剤は、毛髪の表面から、低屈折率成分(A)の層Aおよび高屈折率成分(B)の層Bを順に形成できる処理剤でありうる。
【0018】
低屈折率成分(A)は、屈折率が1.34以上1.45以下の成分である。成分(A)の屈折率の下限は、1.35以上、1.36以上、1.37以上、1.38以上、1.39以上、さらには1.40以上でありうる。成分(A)の屈折率の上限は、1.44以下でありうる。
【0019】
成分(A),(B)の屈折率として、常温(25℃)において、アッベ屈折計により測定した値を採用できる。より具体的に、成分(A),(B)の屈折率は、測定対象物である成分を25℃の環境下に30分以上保持した後、アッベ屈折計により測定した値とすることができる。
【0020】
成分(A)は、屈折率が1.34以上1.45以下である限り限定されない。
【0021】
成分(A)は、例えば、ポリジメチルシロキサン(ジメチコン)、アモジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、シクロペンタシロキサン等のシリコーンオイル;パーム核油、ヤシ油等の植物油;スクワラン、ドコサン、ドデカン等の炭化水素;アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、コハク酸ジエトキシエチル、ミリスチン酸イソプロピル等のカルボン酸エステル;PG(プロピレングリコール)、DPG(ジプロピレングリコール)、プロパンジオール、BG(ブチレングリコール)等の多価アルコール;PPG-3カプリリルエーテル、PPG-15ステアリル、PPG-2アルギニン、PPG-14ジグリセリル、PPG-9ジグリセリル等の、ポリプロピレングリコール(PPG)構造を分子内に有するPPG誘導体である(名称は、いずれも化粧品表示名称)。カルボン酸エステルは、脂肪族カルボン酸エステルでありうる。
【0022】
成分(A)は、水溶性成分でありうるし、油溶性成分でありうる。水溶性成分は、常温において精製水に1重量%の割合で混合したときに、均一に溶解する成分を意味する。油溶性成分は、常温において、非極性油(例えば、ミネラルオイル、スクワラン、シクロペンタシロキサン等)に溶解する成分を意味する。
【0023】
油溶性成分である成分(A)は、例えば、ポリジメチルシロキサン(ジメチコン)、アモジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、シクロペンタシロキサン等のシリコーンオイル;パーム核油、ヤシ油等の植物油;スクワラン、ドコサン、ドデカン等の炭化水素;アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、コハク酸ジエトキシエチル、ミリスチン酸イソプロピル等のカルボン酸エステルである。水溶性成分である成分(A)は、PG、DPG、プロパンジオール、BG等の多価アルコール;PPG-2アルギニン、PPG-14ジグリセリル、PPG-9ジグリセリル等のPPG誘導体である。
【0024】
水溶性成分である成分(A)は、毛髪の表面、特に、濡れた毛髪の表面、に対する親和性が高い。このため、成分(A)が水溶性成分である場合、毛髪の表面への層Aの形成がより確実となる。特に、成分(A)が水溶性成分であり、成分(B)が油溶性成分である場合、毛髪の表面への層Aおよび当該層A上への層Bの形成がより確実となる。これらにより、より確実に毛髪に自然なツヤを与えることができる。さらに、成分(A)が水溶性成分である場合、例えば、処理後の毛髪の指通りの良さを高めることができる。また、成分(A)が水溶性成分である場合、成分(B)が油溶性成分であるときにも、処理後の毛髪のべたつきを抑えることができる。
【0025】
上記親和性の高さから、水溶性成分である成分(A)は、濡れた毛髪に使用する毛髪処理剤、例えば、シャンプー組成物、毛髪が濡れた状態で使用するヘアトリートメント組成物等、に好ましく使用できる。
【0026】
成分(A)が油溶性成分である場合、例えば、処理後の毛髪のまとまりの良さ、および効果の持続性を高めることができる。また、成分(A)が油溶性成分であり、成分(B)が水溶性成分である場合、例えば、処理後の毛髪のべたつきのなさ、およびやわらかさを高めることができる。
【0027】
成分(A)は、好ましくは水溶性成分である。
【0028】
成分(A)は、重合体でありうる。重合体である成分(A)は、重合により特定の1種または2種以上の構成単位が繰り返した分子構造を有する成分である。非重合体である成分(A)は、当該分子構造を有さない。
【0029】
重合体である成分(A)は、例えば、ポリジメチルシロキサン(ジメチコン)、アモジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、シクロペンタシロキサン等のシリコーンオイル;PPG-3カプリリルエーテル、PPG-15ステアリル、PPG-2アルギニン、PPG-14ジグリセリル、PPG-9ジグリセリル等のPPG誘導体である。非重合体である成分(A)は、パーム核油、ヤシ油等の植物油;スクワラン、ドコサン、ドデカン等の炭化水素;アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、コハク酸ジエトキシエチル、ミリスチン酸イソプロピル等のカルボン酸エステル;PG、DPG、プロパンジオール、BG等の多価アルコールである。
【0030】
成分(A)が重合体であると、非重合体である場合に比べて、毛髪上の成分(A)がすすぎによって流され難い。これにより、より確実に、毛髪に自然なツヤを与えることができる。さらに、成分(A)が重合体である場合、例えば、処理後の毛髪のまとまりの良さ、指通りの良さ、および効果の持続性を高めることができる。また、すすぎによって流され難いことから、重合体である成分(A)は、毛髪の処理時にすすぎを行う毛髪処理剤、例えば、シャンプー組成物、すすぎを行うヘアトリートメント組成物等、にも好ましく使用できる。
【0031】
成分(A)が非重合体である場合、例えば、処理後の毛髪のべたつきのなさ、およびやわらかさを高めることができる。
【0032】
毛髪上の成分(A)がすすぎによって流され難く、より確実に毛髪に自然なツヤを与えることができることから、成分(A)は重合体であることが好ましい。また、さらに、毛髪の表面、特に、濡れた毛髪の表面、に対する親和性が高く、毛髪の表面への層Aの形成がより確実となることから、成分(A)は水溶性の重合体であることが好ましい。水溶性の重合体は、例えば、PPG-2アルギニン、PPG-14ジグリセリル、PPG-9ジグリセリル等のPPG誘導体である。
【0033】
成分(A)は、毛髪の表面への親和性が高い分子構造と、当該分子構造よりも親油性が高い分子構造とを有する成分でありうる。毛髪の表面への親和性が高い分子構造は、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)構造である。上記双方の分子構造を有する成分(A)は、例えば、PPG-3カプリリルエーテル、PPG-15ステアリル、PPG-2アルギニン、PPG-14ジグリセリル、PPG-9ジグリセリル等のPPG構造を分子内に有するPPG誘導体である。成分(A)が上記双方の分子構造を有する場合、毛髪の表面への層Aの形成がより確実となるとともに、層A上への油溶性成分である成分(B)の層Bの形成がより確実となる。これにより、より確実に自然なツヤを毛髪に与えることができる。さらに、成分(A)がPPG誘導体である場合、例えば、処理後の毛髪のまとまりの良さ、指通りの良さ、べたつきのなさ、およびやわらかさを高めることができる。
【0034】
上記親和性の高さから、PPG誘導体である成分(A)は、濡れた毛髪に使用する毛髪処理剤、例えば、シャンプー組成物、毛髪が濡れた状態で使用するヘアトリートメント組成物等、に好ましく使用できる。
【0035】
成分(A)は、常温で液体であることが好ましい。この場合、毛髪の表面への層Aの形成がより確実となる。これにより、より確実に毛髪に自然なツヤを与えることができる。さらに、成分(A)が常温で液体である場合、例えば、処理後の毛髪の指通りの良さ、べたつきのなさ、およびやわらかさを高めることができる。
【0036】
例示した成分(A)の屈折率は次のとおりである(括弧内の数値が屈折率である)。ポリジメチルシロキサン(ジメチコン)(1.38-1.40)、アモジメチコン(1.41)、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(1.42)、シクロペンタシロキサン(1.40)、パーム核油(1.45)、ヤシ油(1.45)、スクワラン(1.45)、ドコサン(1.45)、ドデカン(1.42)、アジピン酸ジイソプロピル(1.42)、パルミチン酸イソプロピル(1.44)、パルミチン酸エチルヘキシル(1.44)、コハク酸ジエトキシエチル(1.44)、ミリスチン酸イソプロピル(1.43)、PG(1.43)、DPG(1.44)、プロパンジオール(1.44)、BG(1.44)、PPG-3カプリリルエーテル(1.44)、PPG-15ステアリル(1.45)、PPG-2アルギニン(1.42)、PPG-14ジグリセリル(1.45)、PPG-9ジグリセリル(1.45)。
【0037】
高屈折率成分(B)は、屈折率が1.46以上の成分である。成分(B)の屈折率の下限は、1.47以上、1.47超、1.48以上でありうる。成分(B)の屈折率の上限は、1.59以下、1.58以下でありうる。
【0038】
成分(B)は、屈折率が1.46以上である限り限定されない。
【0039】
成分(B)は、例えば、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、アミノプロピルフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン等のシリコーンオイル;マカデミアナッツ油、ホホバ油、アボカド油、アーモンド油、ローズヒップ油等の植物油;ミネラルオイル、水添ポリイソブテン等の炭化水素;トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、安息香酸アルキル(C12-15)、テトライソステアリン酸スクロース、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル等のカルボン酸エステル;ハチミツ、ソルビトール等の糖類;エチルヘキサン酸PPG-3ベンジルエーテル、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、PPG-10メチルグルコース等のPPG誘導体である(名称は、いずれも化粧品表示名称)。カルボン酸エステルは、脂肪族カルボン酸のエステルでありうる。
【0040】
成分(B)は、水溶性成分でありうるし、油溶性成分でありうる。
【0041】
油溶性成分である成分(B)は、例えば、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、アミノプロピルフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン等のシリコーンオイル;マカデミアナッツ油、ホホバ油、アボカド油、アーモンド油、ローズヒップ油等の植物油;ミネラルオイル、水添ポリイソブテン等の炭化水素;トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、安息香酸アルキル(C12-15)、テトライソステアリン酸スクロース、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル等のカルボン酸エステルである。水溶性成分である成分(B)は、ハチミツ、ソルビトール等の糖類;エチルヘキサン酸PPG-3ベンジルエーテル、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、PPG-10メチルグルコース等のPPG誘導体である。
【0042】
成分(B)が油溶性成分である場合、特に、成分(A)の層A上に層Bが形成されたときに層Bが油溶性となることによって、自然なツヤだけではなく、例えば、毛髪のまとまりの良さ、指通りの良さ、やわらかさ、および持続性を高めることができる。また、成分(A)が水溶性成分である場合、毛髪の表面に形成された層Aおよび層Bの双方が水溶性となることを回避でき、効果の持続性を高めることができる。さらに、水溶性成分である成分(A)との組み合わせによって、毛髪の表面に形成された最外層をより確実に油溶性の層Bにできることで、すすぎによって層Bおよびその下の層Aが流され難く、すすぎを経ても、より確実に毛髪に自然なツヤを与えることができる。また、すすぎによって流され難いことから、油溶性成分である成分(B)は、毛髪の処理時にすすぎを行う毛髪処理剤、例えば、シャンプー組成物、すすぎを行うヘアトリートメント組成物等、にも好ましく使用できる。
【0043】
成分(B)が水溶性成分である場合、例えば、処理後の毛髪のべたつきのなさ、およびやわらかさを高めることができる。
【0044】
水溶性成分である成分(A)との組み合わせによって毛髪の表面に形成された層A上への層Bの形成がより確実となることで、より自然なツヤを毛髪に与えることができることから、成分(B)は好ましくは油溶性成分である。
【0045】
第1の処理剤では、成分(A)が水溶性成分であり、成分(B)が油溶性成分であることが好ましい。
【0046】
成分(B)は、重合体であっても非重合体であってもよい。重合体である成分(B)は、重合により特定の1種または2種以上の構成単位が繰り返した分子構造を有する成分である。非重合体である成分(B)は、当該分子構造を有さない。
【0047】
重合体である成分(B)は、例えば、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、アミノプロピルフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン等のシリコーンオイル;エチルヘキサン酸PPG-3ベンジルエーテル、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、PPG-10メチルグルコース等のPPG誘導体である。非重合体である成分(B)は、例えば、マカデミアナッツ油、ホホバ油、アボカド油、アーモンド油、ローズヒップ油等の植物油;ミネラルオイル、水添ポリイソブテン等の炭化水素;トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、安息香酸アルキル(C12-15)、テトライソステアリン酸スクロース、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル等のカルボン酸エステル;ハチミツ、ソルビトール等の糖類である。
【0048】
成分(B)が重合体であると、非重合体である場合に比べて、毛髪上の成分(B)がすすぎによって流され難い。また、毛髪の表面に形成された最外層が層Bであるときに、すすぎによって層Bおよびその下の層Aが流され難い。これにより、より確実に毛髪に自然なツヤを与えることができる。さらに、成分(B)が重合体である場合、例えば、処理後の毛髪の指通りの良さ、べたつきのなさ、および効果の持続性を高めることができる。また、すすぎによって流され難いことから、重合体である成分(B)は、毛髪の処理時にすすぎを行う毛髪処理剤、例えば、シャンプー組成物、すすぎを行うヘアトリートメント組成物等、にも好ましく使用できる。
【0049】
成分(B)が非重合体である場合、例えば、処理後の毛髪のまとまりの良さ、およびやわらかさを高めることができる。
【0050】
成分(B)は、常温で液体であることが好ましい。この場合、毛髪の表面への層Bの形成がより確実となる。これにより、より確実に毛髪に自然なツヤを与えることができる。さらに、成分(B)が常温で液体である場合、例えば、処理後の毛髪の指通りの良さ、べたつきのなさ、およびやわらかさを高めることができる。
【0051】
例示した成分(B)の屈折率は次のとおりである(括弧内の数値が屈折率である)。トリメチルペンタフェニルトリシロキサン(1.58)、トリメチルシロキシフェニルジメチコン(1.46)、アミノプロピルフェニルトリメチコン(1.50)、フェニルトリメチコン(1.46)、マカデミアナッツ油(1.47)、ホホバ油(1.46)、アボカド油(1.47)、アーモンド油(1.47)、ローズヒップ油(1.48)、ミネラルオイル(1.48)、水添ポリイソブテン(1.50)、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(1.50)、安息香酸アルキル(C12-15)(1.48)、テトライソステアリン酸スクロース(1.48)、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン(1.47)、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(1.47)、ハチミツ(1.49)、ソルビトール(1.46)、エチルヘキサン酸PPG-3ベンジルエーテル(1.47)、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン(1.46)、PPG-10メチルグルコース(1.46)。
【0052】
第1の処理剤における成分(A)と成分(B)との組み合わせの例は、次のとおりである。
【0053】
・成分(A)が水溶性成分であり、成分(B)が油溶性成分である。この場合、より確実に自然なツヤを毛髪に与えることができる。また、この場合、水溶性成分である成分(A)の説明において上述した効果と、油溶性成分である成分(B)の説明において上述した効果との双方の効果を、より確実に得ることができる。さらに、例えば、成分(A)および成分(B)の双方の成分が油溶性成分である場合に比べて、処理後の毛髪のべたつきのなさを高めることができる。
【0054】
・成分(A)が重合体であり、成分(B)が油溶性成分である。この場合、より確実に自然なツヤを毛髪に与えることができる。また、この場合、重合体である成分(A)の説明において上述した効果と、油溶性成分である成分(B)の説明において上述した効果との双方の効果を、より確実に得ることができる。
【0055】
・成分(A)がPPG誘導体であり、成分(B)が油溶性成分である。この場合、より確実に自然なツヤを毛髪に与えることができる。また、この場合、PPG誘導体である成分(A)の説明において上述した効果と、油溶性成分である成分(B)の説明において上述した効果との双方の効果を、より確実に得ることができる。さらに、この組み合わせにより形成された層Aおよび層Bは、毛髪の表面における安定性が高く、処理後の毛髪における効果の持続性を高めることができる。
【0056】
・成分(A)および成分(B)が常温で液体である。この場合、特に確実に、毛髪に自然なツヤを与えることができる。
【0057】
第1の処理剤における成分(A)の含有率は、例えば、0.01~30重量%である。成分(A)の含有率の下限は、0.05重量%以上、0.1重量%以上、さらには0.5重量%以上でありうる。成分(A)の含有率の上限は、20重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、さらには5重量%以下でありうる。第1の処理剤における成分(A)の含有率がこれらの範囲にある場合、毛髪に自然なツヤを与える効果がより確実となる。
【0058】
第1の処理剤における成分(B)の含有率は、0.01~30重量%である。成分(B)の含有率の下限は、0.05重量%以上、0.1重量%以上、さらには0.5重量%以上でありうる。成分(B)の含有率の上限は、20重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、さらには5重量%以下でありうる。第1の処理剤における成分(B)の含有率がこれらの範囲にある場合、毛髪に自然なツヤを与える効果がより確実となる。
【0059】
第1の処理剤における成分(A)の含有率RAと成分(B)の含有率RBとの比RA/RBは、例えば、1/20~20であり、1/10~10、1/8~8、さらには1/5~5でありうる。第1の処理剤における比RA/RBがこれらの範囲にある場合、毛髪に自然なツヤを与える効果がより確実となる。また、処理後の毛髪のまとまりの良さ、指通りの良さ、効果の持続性をより高めることができる。
【0060】
第1の処理剤は、2種以上の成分(A)を含むことができる。第1の処理剤は、2種以上の成分(B)を含むことができる。
【0061】
本発明の効果が得られる限り、第1の処理剤は、成分(A)および成分(B)以外の他の成分を含むことができる。他の成分は、好ましくは、化粧料、医薬部外品、または外用医薬品等に一般的に使用される成分である。他の成分は、例えば、溶媒、界面活性剤、高級アルコール、増粘剤、懸濁剤、保湿剤、pH調整剤、無機塩類、着色剤、抗菌・殺菌剤、香料である。第1の処理剤は、2種以上の他の成分を含むことができる。第1の処理剤の剤型および第1の処理剤の種類(具体的にどのような組成物であるか)に応じて、第1の処理剤における他の成分の種類を選択できる。
【0062】
溶媒は、例えば、水(精製水);エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールである。
【0063】
界面活性剤は、例えば、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、セトリモニウムブロミド等のカチオン性界面活性剤;ラウレス硫酸Na、ラウレス-4カルボン酸Na、ココイルメチルタウリンNa等のアニオン性界面活性剤;PEG-60水添ヒマシ油、セテス-40、テトラオレイン酸ソルベス-60等の非イオン性界面活性剤;コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン等の両性界面活性剤である。
【0064】
高級アルコールは、例えば、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等である。
【0065】
増粘剤は、例えば、カルボキシビニルポリマー、(ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸エチルトリモニウムクロリド)コポリマー等である。
【0066】
懸濁剤は、例えば、ジステアリン酸エチレングリコール等である。
【0067】
pH調整剤は、例えば、クエン酸、乳酸、およびこれらの塩、ならびに炭酸水素ナトリウム等である。
【0068】
無機塩類は、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムである。
【0069】
着色剤は、例えば、橙205、赤201等の各種の着色剤である。
【0070】
抗菌・殺菌剤は、例えば、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等である。
【0071】
第1の処理剤の剤型は限定されず、第1の処理剤の種類に応じて、公知の剤型を採用できる。剤型は、例えば、クリーム状、溶液状、乳液状、ゲル状、フォーム状、ミスト状、エアゾール状である。第1の処理剤は、公知の手法により、各剤型とすることができる。
【0072】
第1の処理剤の種類は限定されない。第1の処理剤は、例えば、ヘアトリートメント組成物、ヘアコンディショナー組成物、ヘアクリーム組成物、ヘアリンス組成物、ヘアパック組成物、シャンプー組成物等の各種の毛髪処理剤でありうる。また、第1の処理剤は、施術時に、当該処理剤が付着した毛髪のすすぎを実施する毛髪処理剤であっても、当該処理剤が付着した毛髪のすすぎを実施しない毛髪処理剤、例えばリーブオンタイプのヘアトリートメント組成物、であってもよい。
【0073】
第1の処理剤は、一剤型の毛髪処理剤でありうるし、多剤型(典型的には二剤型)の毛髪処理剤(毛髪処理剤セット)でありうる。第1の処理剤が多剤型の毛髪処理剤である場合、第一剤が成分(A)を含み、第二剤が成分(B)を含みうる。また、第1の処理剤が三剤型以上の多剤型の毛髪処理剤である場合、第一剤は、第二剤による処理前に使用するものである限り、最初に(一番目に)使用する毛髪処理剤でなくてもよい。同様に、第二剤は、第一剤による処理後に使用するものである限り、二番目に使用する毛髪処理剤でなくてもよい。
【0074】
第1の処理剤は、他の毛髪処理剤による毛髪の処理の前または後に使用してもよい。
【0075】
第1の処理剤は、幅広い状態の毛髪に適用できる。第1の処理剤は、例えば、適度に間隔をあけてカラーリングまたはパーマネントを行うとともに、次回のカラーリングまたはパーマネントまでの間に自身で適度なヘアケアを実施している、中程度のダメージを受けた一般的な毛髪に適用できる。また、第1の処理剤は、毛髪処理剤によって人工的なツヤとなりやすい黒髪に対しても自然なツヤを与えることができる。
【0076】
第1の処理剤の使用方法は限定されない。第1の処理剤は、当該処理剤の種類に応じた常法の使用方法をとることができる。例えば、ヘアトリートメント組成物である第1の処理剤は、毛髪に付着させることで使用できる。シャンプー組成物である第1の処理剤は、毛髪に付着させて泡立てることで使用できる。第1の処理剤の使用方法は、毛髪に付着した当該処理剤のすすぎを含んでいてもいなくてもよい。
【0077】
[毛髪処理剤セット(第2の処理剤)]
第2の処理剤である本開示の毛髪処理剤セットは、二以上の糖が結合した糖鎖を有する分子を含む成分(C)を含む第一剤と、屈折率が1.46以上である油溶性成分(D)を含む第二剤と、を含む。第2の処理剤による毛髪への自然なツヤの付与は、以下のようになされると推定される。
【0078】
第2の処理剤において毛髪に先に接触する第一剤が含む成分(C)は、二以上の糖(単糖)が結合した糖鎖を有する分子を含む。毛髪を第一剤により処理すると、成分(C)を含む層Cが毛髪の表面に形成されるが、このとき、成分(C)によって、毛髪の表面に強く結びついた比較的強固な層Cが形成されうる。また、層Cは、キューティクルが規則正しく配列した健康な毛髪はもちろんのこと、カラーリングあるいはパーマネント等によってダメージを受け、キューティクルの形状および配列が乱れた毛髪の表面を平滑化しうる。そして、第一剤の使用によって下地層ともいえる層Cが形成された毛髪を第二剤により処理すると、成分(D)を含む層Dが層Cの上に形成されうる。このとき、典型的には水溶性である成分(C)と、油溶性成分である成分(D)とは互いに分離しやすいため、層Cと層Dとの境界が比較的明瞭に形成されうる。このような層Cおよび層Dが形成された毛髪に光が入射すると、入射した光は、毛髪の表面、層Cと層Dとの境界、および毛髪の表面に形成された最外層となる層の表面を少なくとも含む複数の面で反射および屈折する。これにより、毛髪で反射した光の拡散の程度は大きくなる。また、成分(D)の屈折率は1.46以上と高く、成分(D)を含む層Dによって、反射光をより広い範囲に拡散できる。したがって、拡散の程度が大きい反射光が実現する第2の処理剤によって、毛髪に自然なツヤを与えることが可能となる。
【0079】
成分(C)によって毛髪の表面に比較的強固な層が形成される理由は、二以上の糖が結合した糖鎖が多くのヒドロキシ基(-OH基)を含んでおり、毛髪の表面、特に、濡れた毛髪の表面、に対して水素結合に基づく比較的強固な結合を形成できるためであると推定される。
【0080】
成分(C)は、二以上の糖が結合した糖鎖を有する分子を含む限り限定されない。糖は、環状構造を有する単糖を意味する。糖鎖は、二つの単糖が結合した二糖であっても、二以上の単糖が結合した多糖であってもよい。成分(C)は、当該分子自体であっても、当該分子と他の成分との混合物であってもよい。成分(C)は、典型的には、水溶性成分である。
【0081】
成分(C)は、例えば、サトウカエデ樹液、シラカンバ樹液等の樹液成分、ハチミツ等の糖混合物;カラギーナン、ヒアルロン酸Na、グルコマンナン、ポリクオタニウム-10等の多糖類である(名称は、いずれも化粧品表示名称)。
【0082】
成分(C)は、樹液成分または多糖類であることが好ましく、樹液成分であることがより好ましい。多糖類である成分(C)は、一分子あたりのヒドロキシ基の含有量が大きい。このため、成分(C)が多糖類である場合、毛髪の表面に層Cをより確実に形成できる。また、成分(C)が多糖類である場合、例えば、処理後の毛髪のまとまりの良さ、指通りの良さ、およびやわらかさを高めることができる。樹液成分である成分(C)は、二以上の糖が結合した糖鎖を有する分子以外に、有機酸、アミノ酸、タンパク質、無機物等を豊富に含んでいる。例えば、サトウカエデ樹液は、ギンナリン等、ヒドロキシ基を多く持つポリフェノールをさらに含む。このため、成分(C)が樹液成分である場合、毛髪の表面に層Cをより確実に形成できる。また、成分(C)が樹液成分である場合、例えば、処理後の毛髪のまとまりの良さ、指通りの良さ、べたつきのなさ、および効果の持続性を高めることができる。これらのさらなる効果には、樹液成分に含まれるアミノ酸、タンパク質等によって毛髪の内部のダメージホールが充填されることも寄与していると推定される。また、アミノ酸およびタンパク質等によるダメージホールの充填は、下地層としての層Cの安定性を向上させると推定される。
【0083】
多糖類または樹液成分である成分(C)、特に樹液成分である成分(C)、は、濡れた毛髪に使用する毛髪処理剤、例えば、シャンプー組成物、毛髪が濡れた状態で使用するヘアトリートメント組成物等に好ましく使用できる。また、成分(C)が多糖類または樹液成分、特に樹液成分、である場合、すすぎによって層Cが流され難くなる。このため、多糖類または樹液成分である成分(C)、特に樹液成分である成分(C)、は、シャンプー組成物に特に好ましく使用できる。
【0084】
成分(C)は、常温で液体であることが好ましい。この場合、毛髪の表面への層Cの形成がより確実となる。これにより、より確実に、毛髪に自然なツヤを与えることができる。さらに、成分(C)が常温で液体である場合、例えば、処理後の毛髪の指通りの良さ、べたつきのなさ、およびやわらかさを高めることができる。
【0085】
成分(D)は、屈折率が1.46以上の成分である。成分(D)の屈折率の下限は、1.47以上、1.47超、1.48以上でありうる。成分(D)の屈折率の上限は、1.59以下、1.58以下でありうる。
【0086】
成分(D)の屈折率として、常温(25℃)において、アッベ屈折計により測定した値を採用できる。より具体的に、成分(D)の屈折率は、測定対象物である成分を25℃の環境下に30分以上保持した後、アッベ屈折計により測定した値とすることができる。
【0087】
成分(D)は、屈折率が1.46以上である限り限定されない。
【0088】
成分(D)は、例えば、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、アミノプロピルフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン等のシリコーンオイル;マカデミアナッツ油、ホホバ油、アボカド油、アーモンド油、ローズヒップ油等の植物油;ミネラルオイル、水添ポリイソブテン等の炭化水素;トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、安息香酸アルキル(C12-15)、テトライソステアリン酸スクロース、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル等のカルボン酸エステルである(名称は、いずれも化粧品表示名称)。カルボン酸エステルは、脂肪族カルボン酸のエステルでありうる。
【0089】
成分(D)は油溶性成分である。これにより、自然なツヤだけではなく、例えば、処理後の毛髪のまとまりの良さ、指通りの良さ、やわらかさ、および持続性を高めることができる。また、成分(C)は典型的には水溶性成分であるため、油溶性成分である成分(D)によって毛髪の表面に形成された層Cおよび層Dの双方が水溶性となることを回避でき、効果の持続性を高めることができる。さらに、毛髪の表面に形成された最外層を油溶性の層Dにできることで、すすぎによって層Dおよびその下の層Cが流され難く、第二剤による毛髪の処理時におけるすすぎを経ても、より確実に毛髪に自然なツヤを与えることができる。また、すすぎによって流され難いことから、成分(D)は、毛髪の処理時にすすぎを行う毛髪処理剤、例えば、すすぎを行うヘアトリートメント組成物等、にも好ましく使用できる。
【0090】
成分(D)は、重合体であっても非重合体であってもよい。重合体である成分(D)は、重合により特定の1種または2種以上の構成単位が繰り返した分子構造を有する成分である。非重合体である成分(D)は、当該分子構造を有さない。
【0091】
重合体である成分(D)は、例えば、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、アミノプロピルフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン等のシリコーンオイルである。非重合体である成分(D)は、例えば、マカデミアナッツ油、ホホバ油、アボカド油、アーモンド油、ローズヒップ油等の植物油;ミネラルオイル、水添ポリイソブテン等の炭化水素;トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、安息香酸アルキル(C12-15)、テトライソステアリン酸スクロース、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル等のカルボン酸エステルである。
【0092】
成分(D)が重合体であると、非重合体である場合に比べて、毛髪上の成分(D)がすすぎによって流され難い。これにより、より確実に、毛髪に自然なツヤを与えることができる。さらに、成分(D)が重合体である場合、例えば、処理後の毛髪の指通りの良さ、べたつきのなさ、および効果の持続性を高めることができる。また、すすぎによって流され難いことから、重合体である成分(D)は、毛髪の処理時にすすぎを行う毛髪処理剤、例えば、すすぎを行うヘアトリートメント組成物等、にも好ましく使用できる。
【0093】
成分(D)が非重合体である場合、例えば、処理後の毛髪のまとまりの良さ、およびやわらかさを高めることができる。
【0094】
成分(D)は、常温で液体であることが好ましい。この場合、毛髪の表面への層Dの形成がより確実となる。これにより、より確実に毛髪に自然なツヤを与えることができる。さらに、成分(D)が常温で液体である場合、例えば、処理後の毛髪の指通りの良さ、べたつきのなさ、およびやわらかさを高めることができる。
【0095】
例示した成分(D)の屈折率は次のとおりである(括弧内の数値が屈折率である)。トリメチルペンタフェニルトリシロキサン(1.58)、トリメチルシロキシフェニルジメチコン(1.46)、アミノプロピルフェニルトリメチコン(1.50)、フェニルトリメチコン(1.46)、マカデミアナッツ油(1.47)、ホホバ油(1.46)、アボカド油(1.47)、アーモンド油(1.47)、ローズヒップ油(1.48)、ミネラルオイル(1.48)、水添ポリイソブテン(1.50)、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(1.50)、安息香酸アルキル(C12-15)(1.48)、テトライソステアリン酸スクロース(1.48)、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン(1.47)、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(1.47)。
【0096】
第一剤における成分(C)の含有率は、例えば、0.01~30重量%である。成分(C)の含有率の下限は、0.05重量%以上、0.1重量%以上でありうる。成分(C)の含有率の上限は、20重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、さらには5重量%以下でありうる。第一剤における成分(C)の含有率がこれらの範囲にある場合、毛髪に自然なツヤを与える効果がより確実となる。
【0097】
第二剤における成分(D)の含有率は、例えば、0.01~30重量%である。成分(D)の含有率の下限は、0.05重量%以上、0.1重量%以上でありうる。成分(D)の含有率の上限は、20重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、さらには5重量%以下でありうる。第二剤における成分(D)の含有率がこれらの範囲にある場合、毛髪に自然なツヤを与える効果がより確実となる。
【0098】
第一剤は、2種以上の成分(C)を含むことができる。第二剤は、2種以上の成分(D)を含むことができる。
【0099】
本発明の効果が得られる限り、第一剤は成分(C)以外の他の成分を含むことができる。また、本発明の効果が得られる限り、第二剤は成分(D)以外の他の成分を含むことができる。他の成分は、好ましくは、化粧料、医薬部外品、または外用医薬品等に一般的に使用される成分である。他の成分は、例えば、溶媒、界面活性剤、高級アルコール、増粘剤、懸濁剤、保湿剤、pH調整剤、無機塩類、着色剤、抗菌・殺菌剤、香料である。第一剤および第二剤は、各々、2種以上の他の成分を含むことができる。第一剤および第二剤の各剤の剤型、ならびに第一剤および第二剤の各剤の種類(具体的にどのような組成物であるか)に応じて、第一剤および第二剤の各剤における他の成分の種類を選択できる。他の成分の具体例は、第1の処理剤の説明において上述したとおりである。
【0100】
第一剤および第二剤の各剤の剤型は限定されず、各剤の種類に応じて、公知の剤型を採用できる。剤型は、例えば、クリーム状、溶液状、乳液状、ゲル状、フォーム状、ミスト状、エアゾール状である。第一剤および第二剤の各剤は、公知の手法により、各剤型とすることができる。
【0101】
第一剤および第二剤の各剤の種類は限定されない。種類は、例えば、ヘアトリートメント組成物、ヘアコンディショナー組成物、ヘアクリーム組成物、ヘアリンス組成物、ヘアパック組成物、シャンプー組成物等の各種の毛髪処理剤でありうる。また、第一剤および第二剤の各剤は、施術時に、当該処理剤が付着した毛髪のすすぎを実施する毛髪処理剤であっても、当該処理剤が付着した毛髪のすすぎを実施しない毛髪処理剤、例えばリーブオンタイプのヘアトリートメント組成物、であってもよい。
【0102】
第一剤および第二剤の組み合わせの一例は、第一剤がシャンプー組成物であり、第二剤がヘアトリートメント組成物である組み合わせである。すなわち、第2の処理剤は、シャンプー組成物である第一剤と、ヘアトリートメント組成物である第二剤とを含む毛髪処理剤セットでありうる。
【0103】
第2の処理剤は、第一剤および第二剤を含む多剤型(典型的には二剤型)の毛髪処理剤である。第2の処理剤が三剤型以上の多剤型の毛髪処理剤である場合、第一剤は、第二剤による処理前に使用するものである限り、最初に(一番目に)使用する毛髪処理剤でなくてもよい。同様に、第二剤は、第一剤による処理後に使用するものであるかぎり、二番目に使用する毛髪処理剤でなくてもよい。
【0104】
第2の処理剤は、他の毛髪処理剤による毛髪の処理の前または後に使用してもよい。
【0105】
第2の処理剤は、幅広い状態の毛髪に適用できる。第2の処理剤は、例えば、適度に間隔をあけてカラーリングまたはパーマネントを行うとともに、次回のカラーリングまたはパーマネントまでの間に自身で適度なヘアケアを実施している、中程度のダメージを受けた毛髪に適用できる。また、第2の処理剤は、毛髪処理剤によって人工的なツヤとなりやすい黒髪に対しても自然なツヤを与えることができる。
【0106】
第2の処理剤の使用方法は限定されない。第2の処理剤は、第一剤および第二剤の各剤の種類に応じた常法の使用方法をとることができる。例えば、シャンプー組成物である第一剤は、毛髪に付着させて泡立てることで使用できる。ヘアトリートメント組成物である第二剤は、第一剤による処理後、毛髪に付着させることで使用できる。第2の処理剤の使用方法は、第一剤および第二剤のいずれについても、毛髪に付着した当該処理剤のすすぎを含んでいてもいなくてもよい。
【実施例
【0107】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0108】
[評価用毛束の準備]
ユーカリジャパン社製人毛黒髪(YK-1B#10’)を、ブリーチ剤(タカラベルモント社製、ルベル プラチナブリーチ)を用いてブリーチ処理した後、さらにパーマネント剤(タカラベルモント社製、ルベル プライアTG)を用いてパーマネント処理することで、中程度のダメージ度を持つ評価用毛束を準備した。
【0109】
[使用材料]
本実施例では、各成分について以下の材料を使用した。
・PPG-3カプリリルエーテル・・・花王社製、KAO SOFCARE GP-1
・PPG-15ステアリル・・・クローダジャパン社製、ARLAMOL PS15E
・PPG-2アルギニン・・・日油社製、WILBRIDE R-PL
・PPG-14ジグリセリル・・・阪本薬品工業社製、SY-DP14
・PPG-9ジグリセリル・・・阪本薬品工業社製、SY-DP9
・PG・・・ADEKA社製、食品添加物プロピレングリコール
・パルミチン酸イソプロピル・・・クローダジャパン社製、CRODAMOL IPP
・マカデミアナッツ油・・・クローダジャパン社製、CROPURE MACADAMIA
・トリメチルペンタフェニルトリシロキサン・・・東レ・ダウコーニング社製、DOWCORNING PH-1555 HRI COSMETIC FLUID
・テトライソステアリン酸スクロース・・・クローダジャパン社製、CRODESTA 4-IS
・トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル・・・日清オイリオグループ社製、サラコス WO-6
・安息香酸アルキル(C12-15)・・・クローダジャパン社製、CRODAMOL AB
・ハチミツ・・・小城製薬社製、日本薬局方 ハチミツ
・エチルヘキサン酸PPG-3ベンジルエーテル・・・クローダジャパン社製、CRODAMOL SFX
・サトウカエデ樹液・・・一丸ファルコス社製、メープルウォーター
・シラカンバ樹液・・・新田ゼラチン社製、十勝バーチSA
・カラギーナン(10重量%水溶液)・・・日宏化学薬品社製、アクアロンN-10-LS
・ポリクオタニウム-10(カチオン化セルロース)・・・ライオンスペシャリティケミカルズ社製、レオガードMGP(5重量%水溶液)
・ヒアルロン酸Na・・・キューピーファインケミカル社製、ヒアルロン酸液HA-LQ1(1重量%水溶液)
・ポリクオタニウム-65(リン脂質ポリマー)・・・日油社製、Lipidure-A(5重量%水溶液)
・ポリクオタニウム-39(カチオン化ターポリマー)・・・ルーブリゾール社製、MERQUAT PLUS 3331(10重量%水溶液)
・ソルビトール(糖アルコール)・・・花王社製、ソルビトール花王
・ポリクオタニウム-56(ポリウレタン樹脂)・・・三洋化成工業社製、ヘヤロール UC-4(24重量%水溶液)
【0110】
[第1の処理剤(一剤型)]
以下の表1~4に示す一剤型の毛髪処理剤(ヘアトリートメント組成物)を作製した。各表における各成分の含有率の単位は重量%である。なお、比較例1~5では、成分(A)および成分(B)のかわりに、表4に示す第一成分および第二成分の含有率をそれぞれ1.00%とした。表4中の「-」は含まれないことを示す。表2~4に示す各成分は、全て、常温で液体である。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】
【0115】
準備した評価用毛束を温水にて水洗し、十分に湿らせた後、上記作製した実施例および比較例の各処理剤1gをできるだけ均等に塗布した。その後、毛束に塗布した毛髪処理剤を温水にて洗い流し、タオルドライの後、ドライヤーで毛束を乾燥させた。乾燥後の毛束に対し、美容従事者5名により、自然なツヤ、まとまりのよさ、指通りのよさ、べたつきのなさ、やわらかさ、および効果の持続性の6種の特性について、それぞれ、「良い」~「悪い」を5~1点の5段階にて評価した。次に、各特性について、テスターである美容従事者5名が判定した評価値の平均値を求め、求めた平均値に基づき、以下の判定基準により4段階(◎、○、△および×)の評価を行った。
◎:大変優れている・・・4.5点以上
○:優れている・・・・・3.5点以上4.5点未満
△:劣っている・・・・・1.5点以上3.5点未満
×:大変劣っている・・・1.5点未満
【0116】
評価結果を表2~4に示す。表2~4に示すように、低屈折率成分(A)および高屈折率成分(B)を含む実施例の処理剤では、自然なツヤについて、「優れている」または「大変優れている」との評価が得られた。一方、低屈折率成分(A)または高屈折率成分(B)のいずれかの成分を含まない比較例の処理剤では、自然なツヤについて、「劣っている」または「大変劣っている」との評価に留まる結果となった。また、自然なツヤ以外の特性についても実施例の処理剤では、比較例の処理剤に比べて良好な結果が得られた。
【0117】
[第1の処理剤(二剤型)]
以下の表5~9に示す二剤型の毛髪処理剤(いずれもヘアトリートメント組成物)を作製した。各表における各成分の含有率の単位は重量%である。なお、比較例11~15では、第一剤について成分(A)の代わりに表9に示す第一成分の含有率を、第二剤について成分(B)の代わりに表9に示す第二成分の含有率を、それぞれ1.00%とした。表9中の「-」は含まれないことを示す。表7~9に示す各成分は、全て、常温で液体である。
【0118】
【表5】
【0119】
【表6】
【0120】
【表7】
【0121】
【表8】
【0122】
【表9】
【0123】
準備した評価用毛束を温水にて水洗し、十分に湿らせた後、上記作製した実施例および比較例の各処理剤(第一剤)1gをできるだけ均等に塗布した。その後、毛束に塗布した第一剤を温水にて洗い流した。次に、上記作製した実施例および比較例の各処理剤(第二剤)1gを、評価用毛束にできるだけ均等に塗布した後、温水にて洗い流し、タオルドライの後、ドライヤーで毛束を乾燥させた。乾燥後の毛束に対し、美容従事者5名により、自然なツヤ、まとまりのよさ、指通りのよさ、べたつきのなさ、やわらかさ、および効果の持続性の6種の特性について、それぞれ、「良い」~「悪い」を5~1点の5段階にて評価した。次に、各特性について、テスターである美容従事者5名が判定した評価値の平均値を求め、求めた平均値に基づき、以下の判定基準により4段階(◎、○、△および×)の評価を行った。
◎:大変優れている・・・4.5点以上
○:優れている・・・・・3.5点以上4.5点未満
△:劣っている・・・・・1.5点以上3.5点未満
×:大変劣っている・・・1.5点未満
【0124】
評価結果を表7~9に示す。表7~9に示すように、低屈折率成分(A)を含む第一剤、および高屈折率成分(B)を含む第二剤から構成される実施例の処理剤では、自然なツヤについて、「優れている」または「大変優れている」との評価が得られた。一方、第一剤および第二剤がともに低屈折率成分(A)を含まない比較例11,14、第一剤および第二剤がともに高屈折率成分(B)を含まない比較例12,13,15の処理剤では、自然なツヤについて、「劣っている」または「大変劣っている」との評価に留まる結果となった。また、自然なツヤ以外の特性についても実施例の処理剤では、比較例の処理剤に比べて良好な結果が得られた。
【0125】
[第2の処理剤(二剤型毛髪処理剤セット)]
以下の表10~13に示す二剤型の毛髪処理剤セット(第一剤はシャンプー組成物、第二剤はヘアトリートメント組成物)を作製した。各表における各成分の含有率の単位は重量%である。水溶液で供給されている成分については、各組成物における当該成分の配合率(水溶液の媒体である水の重さを含む含有率)とした。なお、比較例21~25では、第一剤について成分(C)の代わりに表13に示す第一成分の含有率を、第二剤について成分(D)の代わりに表13に示す第二成分の含有率を、それぞれ1.00%とした。水溶液で供給されている成分を除き、表12,13に示す各成分は、全て、常温で液体である。
【0126】
【表10】
【0127】
【表11】
【0128】
【表12】
【0129】
【表13】
【0130】
準備した評価用毛束を温水にて水洗し、十分に湿らせた後、上記作製した実施例および比較例の各毛髪処理剤(第一剤)1gを毛束に付着させ、よく泡立てた後、温水にて洗い流した。次に、上記作製した実施例および比較例の各毛髪処理剤(第二剤)1gを、評価用毛束にできるだけ均等に塗布した後、温水にて洗い流し、タオルドライの後、ドライヤーで毛束を乾燥させた。乾燥後の毛束に対し、美容従事者5名により、自然なツヤ、まとまりのよさ、指通りのよさ、べたつきのなさ、やわらかさ、および持続性の6種の特性について、それぞれ、「良い」~「悪い」を5~1点の5段階にて評価した。次に、各特性について、テスターである美容従事者5名が判定した評価値の平均値を求め、求めた平均値に基づき、以下の判定基準により4段階(◎、○、△および×)の評価を行った。
◎:大変優れている・・・4.5点以上
○:優れている・・・・・3.5点以上4.5点未満
△:劣っている・・・・・1.5点以上3.5点未満
×:大変劣っている・・・1.5点未満
【0131】
評価結果を表12,13に示す。表12,13に示すように、成分(C)を含む第一剤、および成分(D)を含む第二剤から構成される実施例の処理剤では、自然なツヤについて、「優れている」または「大変優れている」との評価が得られた。一方、第一剤が成分(C)を含まない比較例21~24、および第二剤が成分(D)を含まない比較例25の処理剤では、自然なツヤについて、「劣っている」または「大変劣っている」との評価に留まる結果となった。また、自然なツヤ以外の特性についても実施例の処理剤では、比較例の処理剤に比べて良好な結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の毛髪処理剤および毛髪処理剤セットによれば、毛髪に自然なツヤを与えることができる。