(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】皮内注射用補助具
(51)【国際特許分類】
A61M 5/42 20060101AFI20220707BHJP
A61M 5/32 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
A61M5/42
A61M5/32 530
(21)【出願番号】P 2017200935
(22)【出願日】2017-10-17
【審査請求日】2020-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】梅▲崎▼ 雅也
(72)【発明者】
【氏名】谷口 健介
(72)【発明者】
【氏名】堀田 泰治
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-524646(JP,A)
【文献】特開平9-103487(JP,A)
【文献】国際公開第2008/139303(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/42
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジに装着され、皮内注射を補助するための皮内注射用補助具であって、
注射針と、
穿刺方向に
前記注射針の軸線方向が沿うように
前記注射針を保持する本体部と、を備え、
前記本体部は、
前記注射針が表皮に対して
1度以上、且つ45度以下の所定角度を成し、その先端が真皮に穿刺された状態で
前記表皮に当接するように前記軸線方向に対して傾斜した当接面であって、少なくとも一部が
前記注射針の径方向一方側に配置され、且つ
前記注射針の先端よりも基端側に配置される当接面と、
前記注射針が穿刺される際に
前記皮膚を伸展させるべく
前記表皮に当接する伸展面であって、少なくとも一部が前記径方向他方側に配置され、且つ前記軸線方向で
前記注射針の先端に対して離間して配置された伸展面と、を有し、
前記伸展面は、
前記注射針が
前記表皮に対して前記所定角度よりも大きい角度をなした状態で
前記表皮に対して当接可能となるように、前記当接面の前記軸線方向に対する傾斜よりも大きい傾斜に形成されている皮内注射用補助具。
【請求項2】
前記当接面と前記伸展面との間に、
前記注射針の先端よりも前記径方向他方側に配置された中間部であって、
前記注射針の先端の近傍領域に形成された中間部を有し、
前記中間部には、前記径方向他方側向きに凹設された凹部が形成されている請求項1に記載の皮内注射用補助具。
【請求項3】
前記当接面は、前記伸展面が
前記表皮に当接している状態では
前記表皮から離間するよう
前記軸線方向に対して傾斜して構成され、
前記伸展面は、前記当接面が
前記表皮に当接している状態では
前記表皮から離間するように
前記軸線方向に対して傾斜して構成されている請求項1又は2に記載の皮内注射用補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真皮内に薬液を注入する皮内注射を補助するための皮内注射用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、皮内注射を補助するためにシリンジに装着される皮内注射用補助具が種々提案されている。
【0003】
皮内注射は、皮膚の表面から浅い位置にある薄い真皮内に注射針の先端を挿入して真皮内に薬液を注入する繊細な作業である。具体的には、皮内注射を行う者は、注射針を皮膚に対して、例えば15度程度傾斜させ、注射針の先端をゆっくりと皮膚に穿刺していく。その際、注射針が皮膚に対して円滑に進入できるように穿刺する際の穿刺位置(深さ)を安定させるため、皮膚を伸展させ、平滑に固定した状態(伸ばして固定した状態)で注射針を穿刺する。このような事情から、特許文献1に開示されるような、皮膚を伸展させる機能を備えた皮内注射用補助具としてのアダプタも提案されている。
【0004】
特許文献1のアダプタは、注射器を穿刺方向にスライド可能に保持する本体部と、注射器の針ハブの先端部分である遠位端を係止するための係止部と、注射針が挿通される針用開口部が形成された第1の皮膚接触面と、該針用開口部よりも先端側に位置する第2の皮膚接触面と、該第2の皮膚接触面の延長部として皮膚を伸展させるための遠位側接触面とを備える。
【0005】
特許文献1のアダプタを使用する際には、使用者は、遠位側接触面で皮膚を伸展させた状態で第2の皮膚接触面を皮膚に当接させ、この状態で、注射針の遠位端がアダプタの係止部に当接するまで注射器を遠位側接触面側にスライドさせる。そうすると、注射針の先端が針用開口部から所定の長さで突出した状態で皮膚に穿刺され、先端が真皮内に位置するようになっている。このように、特許文献1のアダプタは、皮膚を伸展させた状態で真皮内に注射針の先端を到達させることができ、皮内注射につき熟練でない使用者であっても、精確に皮内注射をすることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、皮内注射には、注入された薬液により注射針の先端の周りの皮膚が膨らみ、膨隆部が形成されるという特徴がある。
しかしながら、上記従来のアダプタでは、遠位側接触面により注射針を刺す部分を伸展させ、且つ該伸展させた部分に第2の皮膚接触面が当接した状態で、注射針の遠位端がアダプタの係止部に当接するまで注射器を遠位側接触面側にスライドさせる。つまり、上記従来のアダプタでは、膨隆部が形成される部分が遠位側接触面により伸展されており、且つ第2の皮膚接触面が当接した状態となっている。そのため、上記従来のアダプタでは、皮膚の伸展及び第2の皮膚接触面の存在により、膨隆部の形成が阻害され、膨隆部がうまく形成されないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、注射針を皮膚に穿刺し易く、且つ膨隆部の形成を阻害し難い皮内注射用補助具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る皮内注射用補助具は、シリンジに装着され、皮内注射を補助するための皮内注射用補助具であって、
注射針と、
穿刺方向に注射針の軸線方向が沿うように注射針を保持する本体部と、を備え、
本体部は、
注射針が皮膚に対して所定角度を成し、その先端が真皮に穿刺された状態で皮膚に当接するように前記軸線方向に対して傾斜した当接面であって、少なくとも一部が注射針の径方向一方側に配置され、且つ注射針の先端よりも基端側に配置される当接面と、
注射針が穿刺される際に皮膚を伸展させるべく皮膚に当接する伸展面であって、少なくとも一部が前記径方向他方側に配置され、且つ前記軸線方向で注射針の先端に対して離間して配置された伸展面と、を有し、
前記伸展面は、前記軸線方向に対して前記当接面よりも前記径方向他方側に起立するように傾斜している。
【0010】
かかる構成の皮内注射用補助具を使用する際には、使用者は、該皮内注射用補助具をシリンジに装着し、当接面を皮膚側に向けて配置し、伸展面を皮膚に押し当て皮膚を伸展させる。この状態から当接面を皮膚に対して接近するように寝かせていくと、伸展面が皮膚を伸展させた状態で注射針の先端が伸展した皮膚に突き刺さり始める。当接面をさらに寝かせていくと、注射針の先端が皮膚内を進入し、注射針の先端が所定の角度で皮膚に刺さった状態で当接面が皮膚に当接し、それ以上注射針が皮膚に刺し込まれるのが規制される。ここで、伸展面は、注射針の軸線方向に対して当接面よりも径方向他方側に起立するように傾斜しているので、注射針の刺し込みが規制された状態では、伸展面が皮膚から離れた状態となっている。
【0011】
このように、上記構成の皮内注射用補助具によれば、皮膚を伸展させた状態で注射針を穿刺することができ、注射針を皮膚に対して所定の長さ刺し込んだ後は、皮膚を伸展状態から開放することができるので、注射針を皮膚に穿刺し易く、且つ薬液の注入により皮膚に形成される膨隆部の形成を阻害し難いものとなっている。
【0012】
本発明の他態様として、皮内注射用補助具は、前記当接面と前記伸展面との間に、注射針の先端よりも前記径方向他方側に配置された中間部であって、注射針の先端の近傍領域に形成された中間部を有し、
中間部には、前記径方向他方側向きに凹設された凹部が形成されていてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、注射針の先端近傍領域に形成された中間部には、径方向他方側向きに凹設された凹部が形成されている。即ち、膨隆部が形成される位置に対応する位置に、膨隆部を避けるように凹部が形成されているので、注射針の穿刺後、本体部に皮膚が当接し難く、膨隆部の形成が阻害され難くなっている。
【0014】
本発明の一態様として、前記凹部は、前記中間部を貫通する貫通孔であってもよい。
【0015】
かかる構成によれば、凹部は、中間部を貫通する貫通孔として形成されているので、膨隆部が形成される方向に皮膚が当接する障害物が無く、膨隆部の形成が阻害され難くなっている。
【発明の効果】
【0016】
以上より、本発明によれば、注射針を皮膚に穿刺し易く、且つ膨隆部の形成を阻害し難い皮内注射用補助具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る皮内注射用補助具の斜視図である。
【
図2】同実施形態に係る皮内注射用補助具の平面図である。
【
図3】同実施形態に係る皮内注射用補助具の断面図であって、
図2のIII-III線位置における断面図である。
【
図4】同実施形態に係る皮内注射用補助具の斜視図であって、底面側から見た斜視図である。
【
図5】同実施形態に係る皮内注射用補助具の底面図である。
【
図6】同実施形態に係る皮内注射用補助具の背面図である。
【
図7】同実施形態に係る皮内注射用補助具の正面図である。
【
図8】同実施形態に係る皮内注射用補助具の右側面図である。
【
図9】同実施形態に係る皮内注射用補助具の左側面図である。
【
図10】同実施形態に係る皮内注射用補助具の使用方法を説明するための図であって、(a)は、穿刺前の状態の図、(b)は、穿刺途中の図、(c)は、注射針の先端が所定の長さ皮膚に刺し込まれ、穿刺が完了した状態の図である。
【
図11】膨隆部が形成された状態を説明するための拡大断面図である。
【
図12】第2実施形態に係る皮内注射用補助具の斜視図である。
【
図13】同実施形態に係る皮内注射用補助具の平面図である。
【
図14】同実施形態に係る皮内注射用補助具の断面図であって、
図13のXIV-XIV線位置における断面図である。
【
図15】第3実施形態に係る皮内注射用補助具の斜視図である。
【
図16】同実施形態に係る皮内注射用補助具の平面図である。
【
図17】同実施形態に係る皮内注射用補助具の断面図であって、
図16のXVII-XVII線位置における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1実施形態に係る皮内注射用補助具について、図面を参照しつつ説明する。
図1~
図9は、第1実施形態を説明するための図、
図10及び
図11は、皮内注射用補助具の使用方法を説明するための図である。
【0019】
本実施形態に係る皮内注射用補助具1は、シリンジS(
図10及び
図11参照)に装着され、皮内注射を補助するためのものである。皮内注射用補助具1は、注射針2と、穿刺方向に該注射針2の軸線方向が沿うように注射針2を保持する本体部3とを備える。即ち、皮内注射用補助具1は、注射針2を備えていないシリンジSに装着して使用されるものであり、シリンジSからすると、皮内投与用注射針が装着されることになる。
【0020】
まず、皮内注射用補助具1が装着されるシリンジSについて説明する。シリンジSは、
図10及び
図11に示すように、筒状の胴部S1と、該胴部S1の中心軸方向における一端に接続され、シリンジS内の薬液Mを外部に注出するための注出部S2と、胴部S1の他端から該胴部S1内に挿入されたプランジャS3とを備える。注出部S2には、薬液Mの通り道となる注出孔S2aが胴部S1の中心軸方向に延びるように形成されている。シリンジSは、皮内注射用補助具1が装着されると、注出部S2の注出孔S2aを介して注射針2と胴部S1とが連通し、胴部S1内の薬液Mを、注射針2を介して外部に注出可能に構成されている。シリンジSに皮内注射用補助具1が装着されると、胴部S1の中心軸方向と注射針2の軸線方向とが一致した状態となる。
【0021】
注射針2は、薬液Mを注出する先端21と、該先端21に対して注射針2の軸線方向における反対側に位置する基端22とを有する。注射針2は、先端21が所定長さ露出するように本体部3に保持されている。以下、注射針2における露出した部分を露出部23と称し、該露出部23よりも基端22側部分を非露出部24と称する場合がある。注射針2の先端21は、開口部210に形成された開口面が前記軸線方向に対して傾斜するようにカットされている。注射針2は、開口部210の開口面が注射針2の径方向他方側を向くように(開口部210が後述する高さ方向における上方側に向けて開口するように)本体部3に保持されている。注射針2は、皮内注射用に使用されるため、通常の注射針よりも細く形成されている。
【0022】
図1~
図3に示すように、本体部3は、穿刺方向に注射針2の軸線方向が沿うように注射針2を保持する。本体部3は、注射針2を皮膚Tに穿刺する際に皮膚Tに当接する当接部4と、注射針2を皮膚Tに穿刺する際に皮膚Tを伸展させる伸展部5と、当接部4と伸展部5との間に配置され、当接部4と伸展部5とを連結する中間部6と、注射針2を保持する針保持部7と、シリンジSが装着されるシリンジ装着部8と、使用者が皮内注射用補助具1をシリンジSに装着する際に、又は穿刺の際に把持する把持部9とを備える。後述するように、使用者は、穿刺の際に、把持部9を把持してもよいしシリンジSの胴部S1を把持してもよい。
【0023】
本体部3は、直交する縦方向及び横方向のうちの横方向に延び、注射針2の先端21が前記横方向における一端側を向くように注射針2を保持している。また、本体部3は、注射針2の先端21が前記縦方向及び前記横方向に直交する高さ方向における下端側から突出するように注射針2を保持している。本実施形態の本体部3は、注射針2の軸線方向が横方向に対して傾斜するように注射針2を保持している。
【0024】
本体部3は、横方向の長さが縦方向の長さよりも長くなるように形成されている。本実施形態の本体部3には、横方向における一端側から、伸展部5、中間部6、当接部4、シリンジ装着部8がこの順に並んで配置されている。針保持部7は、当接部4の後述する上面42に設けられている。また、把持部9は、縦方向におけるシリンジ装着部8の両側に設けられている。
【0025】
図3、
図10、及び
図11に示すように、当接部4は、注射針2が皮膚Tに対して所定角度を成し、その先端21が真皮T2に穿刺された状態で皮膚Tに当接するように注射針2の軸線方向に対して傾斜した当接面41を有する。当接部4は、所定の厚みを有する板状(薄板状)に形成されている。当接部4は、当接面41の反対側に配置され、高さ方向における上方側を向く上面42と、横方向における一端側に位置する端面43とを有する。
【0026】
当接面41は、少なくとも一部が注射針2の径方向一方側に配置され、且つ注射針2の先端21よりも基端22側に配置されている。当接面41と注射針2との傾斜角度F(
図3参照)は、例えば、1度以上、且つ45度以下であるのが好ましく、5度以上、且つ20度以下であるのがより好ましい。本実施形態の当接面41は、注射針2に対して約15度傾斜している。当接面41は、横方向に延びる横軸及び縦方向に延びる縦軸を含む平面に沿って広がる面で構成されている。本実施形態の当接面41は、本体部3の下端側に設けられている。
【0027】
上面42は、前記横軸及び前記縦軸を含む平面に沿って広がる面で構成されている。即ち、上面42は、当接面41と平行に配置されている。上面42には、針保持部7が載置されている。上面42と針保持部7とは一体的に形成されている。
【0028】
図3に示すように、端面43は、注射針2の径方向に延びる面である。本実施形態の端面43は、横方向における他端側に向けて凹状に湾曲している。
【0029】
図3に示すように、伸展部5は、注射針2が穿刺される際に皮膚Tを伸展させるべく皮膚Tに当接する伸展面51と、伸展面51に設けられ、皮膚Tを伸展させる際に伸展面51が皮膚Tに対して滑るのを防止する突起部52とを有する。本実施形態の伸展部5は、横方向における一端側に伸展面51を有する。即ち、伸展面51は、横方向における一端側において、伸展部5の端縁を構成している。伸展部5は、所定の厚みを有する板状(薄板状)に形成されている。伸展部5は、当接部4よりも若干薄く形成されている。伸展部5は、当接部4よりも薄く形成されることで、皮膚Tを伸展させる際に厚み方向に若干撓み、皮膚Tの表面T4の変形に追従するようになっている。これにより、伸展部5により押圧された皮膚Tがつっぱられることにより患者が感じるつっぱり感や痛みなどの違和感が生じ難くなるようにしている。
【0030】
また、本実施形態の伸展部5は、縦方向で間隔をあけて対向する一対の伸展片510を有する。伸展部5を縦方向で対向する一対の伸展片510によって構成することで、皮膚Tを伸展させる際に一対の伸展片510同士が接近する方向に若干撓み、皮膚Tの表面T4の変形に追従するようになっている。この構成によっても、伸展部5により押圧された皮膚Tがつっぱられるつっぱり感や痛みなどの違和感が生じ難くなるようにしている。
【0031】
伸展部5は、横方向における一端側の角部が面取りされて形成されている。この構成により、皮膚Tを伸展させる際における、皮膚Tに対する角部の食い込みを緩和させている。
【0032】
伸展面51は、少なくとも一部が注射針2の径方向他方側に配置され、且つ注射針2の軸線方向で注射針2の先端21に対して離間して配置されている。具体的には、伸展面51は、注射針2の先端21に対して基端22とは反対側に離間して配置されている。伸展面51は、注射針2の軸線方向に対して当接面41よりも該注射針2の径方向他方側に起立するように傾斜している。
図3には、伸展面51の態様として一例が示されているが、横方向における伸展面51の長さは
図3の態様よりも長くてもよく、又は短くてもよく、自由に設定可能である。
【0033】
図3に示すように、伸展面51は、当接面41に対する傾斜角度Cが所定の傾斜角度Cとなるように形成された第1伸展面511と、当接面41に対する傾斜角度Cが、前記所定の傾斜角度Cよりも大きい角度となるように形成された第2伸展面512とを有する。第1伸展面511と第2伸展面512とは連続している。第1伸展面511が第2伸展面512よりも横方向における一端側に位置している。
【0034】
図3に示すように、第1伸展面511は、平坦な面で形成されている。第1伸展面511と当接面41との傾斜角度Cは、例えば、100度以上、且つ150度以下であるのが好ましく、120度以上、且つ140度以下であるのがより好ましい。本実施形態の第1伸展面511は、当接面41に対して約135度傾斜している。
【0035】
第2伸展面512は、厚み方向における下端側(皮膚T側)に向けて湾曲した湾曲面で形成されている。第2伸展面512が下端側に向けて湾曲した湾曲面で構成されていることで、後述するように、伸展部5で皮膚Tを伸展させながら本体部3を皮膚Tに対して寝かせていく際に、第2伸展面512が第1伸展面511側から順々に皮膚Tに当接する。そのため、皮膚Tの伸展中に伸展面51が皮膚Tから離れ難く、注射針2が穿刺されるまで皮膚Tの伸展状態を良好に維持することができる。また、第2伸展面512の横方向の長さは、第1伸展面511の横方向の長さよりも長く形成されている。
【0036】
突起部52は、縦方向に延びるように形成されている。本実施形態では、突起部52は、2列形成されている。しかしながら、突起部52の形状や数はこれに限定されるものではなく、突起部52は、第1伸展面511上に点状に散らばるように複数形成されていてもよい。
【0037】
中間部6は、当接部4と伸展部5との間に形成され、膨隆部B(
図11参照)の形成を阻害しないように構成されている。中間部6は、当接面41と伸展面51との間に、注射針2の先端21よりも該注射針2の径方向他方側に配置されている。中間部6は、注射針2の先端21の近傍領域に形成されている。中間部6には、前記径方向他方側向きに凹設された凹部61が形成されている。近傍領域とは、注射針2の先端21周りに膨隆部Bが形成される範囲として想定された領域であり、例えば、注射針2の開口部210を中心に直径1.0cm程度広がった範囲内の領域である。
【0038】
中間部6は、横方向における一端側が伸展部5に接続され、他端側が当接部4に接続され、少なくとも一部が、高さ方向における注射針2の上方側に位置している。即ち、中間部6は、注射針2の径方向他方側で、該注射針2の先端21を横方向に跨ぐように配置されている。中間部6は、所定の厚みを有する板状(薄板状)に形成されている。中間部6の厚みは、当接部4の厚みと略同じとなるように形成されている。中間部6は、接続強度を確保するためのリブ62によって伸展部5に接続されている。
【0039】
中間部6は、厚み方向における下端側(皮膚T側)に下端面63を有する。中間部6には、該下端面63が厚み方向における上端側に向けて凹状に窪むことで、凹部61が形成されている。本実施形態では、凹部61は、中間部6を高さ方向(厚み方向)に貫通する貫通孔61aとして形成されている。
【0040】
本実施形態の下端面63は、注射針2の軸線方向に対して当接面41よりも注射針2の径方向他方側に向けて傾斜している。
【0041】
一般的に、膨隆部Bは、直径が1.0cm程度の大きさの円形状に形成される。そのため、本実施形態の凹部61は、円形状の貫通孔61aである。凹部61は、内周縁が膨隆部Bの外周縁よりも該膨隆部Bの外側に位置するように、直径が0.5cm以上、且つ1.5cm以下であるのが好ましい。本実施形態の凹部61は、直径が約1.0cmとなるように形成されている。
【0042】
図3に示すように、針保持部7は、注射針2の先端21が本体部3から所定の長さ露出するように注射針2を保持する。針保持部7は、注射針2の先端21が当接部4の端面43から突出し、且つ注射針2の基端面がシリンジ装着部8内に位置するように注射針2を保持する。針保持部7には、注射針2を挿通する挿通孔70が形成されている。注射針2の外周面は、挿通孔70の内周面に対して溶着等の接着手段によって接着され、保持されている。または、注射針2は、インサート成形によって挿通孔70の内周面と一体化されている。
【0043】
シリンジ装着部8は、シリンジSの注出部S2(
図11参照)に装着される第1装着部81と、シリンジSの胴部S1に装着される第2装着部82とを有する。シリンジ装着部8は、針保持部7から横方向における他端側に延設されている。
【0044】
図11に示すように、第1装着部81は、筒状に形成され、内部にシリンジSの注出部S2を収容する。第1装着部81は、自身の中心線が、注射針2の軸線方向と一致するように形成されている。
【0045】
第2装着部82は、シリンジSの胴部S1を受けるように構成されている。第2装着部82は、高さ方向における本体部3の上方側を向く面で形成され、シリンジSの胴部S1を下側から支持する。
【0046】
把持部9は、使用者が注射針2を皮膚Tに穿刺する際に、例えば親指及び人差し指で挟持する部分である。また、把持部9は、シリンジSに皮内注射用補助具1を装着する際に使用者が挟持する部分である。把持部9は、縦方向におけるシリンジ装着部8の両側に位置するように設けられている。具体的には、把持部9は、縦方向に間隔をあけて対向する一対の把持片91を有する。即ち、一対の把持片91の間にシリンジ装着部8が配置されている。このように、把持部9をシリンジ装着部8の両側に配置することで、使用者は、シリンジSと皮内注射用補助具1との接続部分を把持により固定し、注射針2を皮膚Tに安定して穿刺できるようになっている。
【0047】
一対の把持片91は、高さ方向に延びる軸と横軸とを含む平面に沿って広がる面で構成されている。
【0048】
次に、注射針2が、本体部3にどのように保持されているかについて説明する。注射針2は、穿刺された状態で先端21が皮膚Tの真皮T2内に位置するように露出部23の長さ、及び当接面41に対する傾斜角度Fが設定されている。そのため、まず、皮膚Tにおける真皮T2の位置について説明する。
【0049】
図11に示すように、人の皮膚Tは、皮膚Tの表面T4を構成する表皮T1と、該表皮T1の下に位置する真皮T2とによって構成されている。そして、真皮T2の下には皮下組織T3が位置している。一般的には、表皮T1は、0.2mm前後の厚みを有している。真皮T2は、表皮T1よりも厚く、表面T4から約0.5mmから2.0mmの深さに位置している。皮内注射では、注射針2の先端21(具体的には開口部210)が真皮T2内に到達するまで、注射針2が皮膚Tに穿刺される。
【0050】
以上のような皮内注射の特徴から、本実施形態では、注射針2の先端21が真皮T2内に位置した状態でそれ以上刺し込まれないように、軸線方向における注射針2の露出部23の長さが所定の長さとなるように設定されている。具体的には、注射針2は、皮膚Tに対して傾斜した姿勢で穿刺され、先端21のうちの最も先に位置する先端縁21aが皮膚Tの表面T4から所定の深さHに到達するように露出部23の長さが設定されている。本実施形態では、露出部23の長さは、注射針2の先端縁21aが皮膚Tの表面T4から0.7mmから2.0mmの深さに到達するように設定されている。具体的には、露出部23の長さは、注射針2の先端縁21aが皮膚Tの表面T4から1.0mmの深さに到達するように設定されている。
【0051】
本実施形態に係る皮内注射用補助具1の説明は以上である。以下、皮内注射用補助具1の使用方法について、
図10(a)~(b)、及び
図11を参照しつつ説明する。
【0052】
使用者は、把持部9に指を添えて、皮内注射用補助具1を摘むようにして把持し、シリンジSの先端に皮内注射用補助具1を装着する。続いて、使用者は、利き手、例えば右手で、高さ方向における上端側から把持部9を摘まむように把持する。この場合、使用者は、把持部9を把持せずにシリンジSの胴部S1を把持してもよい。即ち、使用者は、持ち易い箇所を把持して穿刺作業を実施する。皮内注射用補助具1が装着されたシリンジSを、当接面41が皮膚Tに対向するように位置させ、
図10(a)に示すように、伸展面51が皮膚Tに当接するように皮膚Tに対して立てる。このとき、第1伸展面511を皮膚Tに当接させる。
【0053】
本実施形態では、第1伸展面511は、当接面41に対して約135度傾斜しているので(
図3の傾斜角度Cが約135度)、第1伸展面511を皮膚Tに当接させると、本体部3が皮膚Tに対して約45度傾斜した状態、即ち、注射針2及びシリンジSが皮膚Tに対して約45度傾斜した姿勢となる。この状態で、伸展面51を皮膚Tに対して
図10(a)に示す矢印方向に押し付け、皮膚Tを伸展させる。
【0054】
図10(a)の状態から徐々に本体部3を寝かせ、皮膚Tに接近させる。第2伸展面512は皮膚T側に向けて湾曲しているので、第1伸展面511が皮膚Tを伸展させると共に、第2伸展面512が皮膚Tに対して第1伸展面511側から順々に(徐々に)当接し、皮膚Tを伸展させる。そして、
図10(b)に示すように、注射針2の先端21が皮膚Tに刺し込まれる。この状態では、伸展面51が皮膚Tから離れ、皮膚Tは伸展状態から開放されている。使用者は、シリンジSを
図10(b)の矢印方向に前進させつつ、さらに本体部3を寝かせて皮膚Tに接近させる。すると、
図10(c)に示すように、当接面41が皮膚Tに当接すると同時に注射針2の刺し込みが止まる。本実施形態では、中間部6の下端面63が、注射針2の軸線方向に対して当接面41よりも注射針2の径方向他方側に向けて傾斜している。そのため、
図10(c)の状態で、中間部6自体を皮膚Tから離間させ、貫通孔61aと傾斜とによって膨隆部Bの形成を阻害し難い。
【0055】
使用者は、注射針2が皮膚Tに穿刺された状態で、右手で把持部9を把持したまま(又はシリンジSの胴部S1を把持したまま)、左手でプランジャS3をシリンジSに押し込み、真皮T2内に薬液Mを注入する。本実施形態の皮内注射用補助具1は、注射針2が皮膚Tに穿刺された状態で当接面41が皮膚Tに当接し、注射針2が皮膚Tに対して所定の角度(本実施形態では約15度)で穿刺された状態で保持される。そのため、右手を把持部9から離したとしても、注射針2が皮膚Tに穿刺された状態は維持される。使用者は、右手を把持部9から離し、左手で把持部9を把持してシリンジSを皮膚Tに対して固定し、右手(利き手)でプランジャS3をシリンジSに押し込んでもよい。このようにシリンジSを左手に持ち替える場合、使用者は、シリンジSの胴部S1を把持してもよい。
【0056】
図11に示すように、薬液Mの注入と共に、皮膚Tには膨隆部Bが形成される。使用者は、中間部6に形成された貫通孔61aを介して膨隆部Bの形成を確認する。使用者は、膨隆部Bが形成されたことを確認した後、注射針2を抜く。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態について
図12~
図14を参照しつつ説明する。尚、第1実施形態と共通する構成については同じ符号を付し、説明は繰り返さない。
【0058】
第2実施形態は、中間部6に形成された凹部61が貫通孔61aとして形成されている点で第1実施形態と共通するが、貫通孔61aの形状が第1実施形態とは異なる。第2実施形態では、貫通孔61aは、半円形状である。
【0059】
具体的には、貫通孔61aは、横方向における他端側に円弧が位置し、直径が縦方向に一致するように形成されている。第2実施形態の貫通孔61aの直径は、約1.0cmとなるように形成されている。貫通孔61aを半円形状とすることで、膨隆部Bの形成を阻害せず、且つ中間部6と伸展部5との接続強度も確保することができる。
【0060】
次に、本発明の第3実施形態について
図15~
図17を参照しつつ説明する。尚、第1実施形態と共通する構成については同じ符号を付し、説明は繰り返さない。
【0061】
第3実施形態は、中間部6に形成された凹部61の形状が第1実施形態及び第2実施形態とは異なる。具体的には、第3実施形態の凹部61は、貫通孔61aでは無く、
図17に示すように、下端面63が高さ方向における上方側に向けて凹状に窪んだ窪み61bとして形成されている。
図16に1点鎖線で示すように、窪み61bは、注射針2の先端21よりも外側に端縁が位置するように形成されている。即ち、注射針2の開口部210は、高さ方向における平面視で、窪み61bの内側に形成されている。また、本実施形態では、注射針2の露出部23は、高さ方向における平面視で、窪み61bの内側に形成されている。このように、窪み61bは、高さ方向における平面視で注射針2の先端21を囲むように形成されているので、注射針2の先端21周りの皮膚Tが膨隆しても、膨隆部Bが中間部6に当接しないように逃がすことができる。
【0062】
第3実施形態の中間部6は、縦方向で間隔をあけて対向する一対の中間片60を有する。中間片60は、伸展部5における伸展片510に接続されている。本実施形態では、一対の中間片60及び一対の伸展片510との間に横方向に延びる隙間Lが形成されている。該隙間Lは、高さ方向における平面視で注射針2の軸線方向に延びており、注射針2と高さ方向で重なる位置に形成されている。
【0063】
第3実施形態では、凹部61の窪み61bに膨隆部Bを逃がすことができ、且つ使用者は、薬液Mを皮膚Tに注入後、一対の中間片60及び一対の伸展片510との間の隙間Lから膨隆部Bの形成を確認することができる。
【0064】
以上のように、上記実施形態に係る皮内注射用補助具1を使用する際には、使用者は、該皮内注射用補助具1をシリンジSに装着し、当接面41を皮膚T側に向けて配置し、伸展面51を皮膚Tに押し当て皮膚Tを伸展させる。この状態から当接面41を皮膚Tに対して接近するように寝かせていくと、伸展面51が皮膚Tを伸展させた状態で注射針2の先端21が伸展した皮膚Tに突き刺さり始める。当接面41をさらに寝かせていくと、注射針2の先端21が皮膚T内を進入し、注射針2の先端21が所定の角度で皮膚Tに刺さった状態で当接面41が皮膚Tに当接し、それ以上注射針2が皮膚Tに刺し込まれるのが規制される。ここで、伸展面51は、注射針2の軸線方向に対して当接面41よりも径方向他方側に起立するように傾斜しているので、注射針2の刺し込みが規制された状態では、伸展面51が皮膚Tから離れた状態となっている。
【0065】
このように、上記構成の皮内注射用補助具1によれば、皮膚Tを伸展させた状態で注射針2を穿刺することができ、注射針2を皮膚Tに対して所定の長さ刺し込んだ後は、皮膚Tを伸展状態から開放することができるので、注射針2を皮膚Tに穿刺し易く、且つ薬液Mの注入により皮膚Tに形成される膨隆部Bの形成を阻害し難いものとなっている。
【0066】
また、上記実施形態では、注射針2の先端21近傍領域に形成された中間部6には、径方向他方側向きに凹設された凹部61が形成されている。即ち、膨隆部Bが形成される位置に対応する位置に、膨隆部Bを避けるように凹部61が形成されているので、注射針2の穿刺後、本体部3に皮膚Tが当接し難く、膨隆部Bの形成が阻害され難くなっている。
【0067】
また、上記第1及び第2実施形態では、凹部61は、中間部6を貫通する貫通孔61aとして形成されているので、膨隆部Bが形成される方向に皮膚Tが当接する障害物が無く、膨隆部Bの形成が阻害され難くなっている。
【0068】
第1実施形態から第3実施形態では、第1伸展面511を皮膚Tに当接させると、注射針2及びシリンジSが皮膚Tに対して約45度傾斜した姿勢となる。そのため、シリンジSを皮膚Tに対して過度に立ち上げることなく、シリンジSを皮膚Tに対して自然な姿勢で保持しながらで注射針2を皮膚Tに穿刺できる。そのため、患者に受け入れられやすく、患者が安心して皮内注射を受けることができる。
【0069】
上記実施形態では、注射針2は、開口部210の開口面が注射針2の径方向他方側を向くように本体部3に保持されている。即ち、注射針2は、注射針2の先端21が真皮T2内に位置した状態で、開口部210が表皮T1側(表面T4側)を向くように本体部3に保持されている。そのため、シリンジSに装着した後、注射針2の開口部210の向きを上向きとなるように位置合わせする必要がなく、注射針2の穿刺を正確、且つ簡潔に実施することができる。
【0070】
上記実施形態では、注射針2が穿刺された状態で当接面41が皮膚Tに当接し、注射針2が皮膚Tに対して傾斜した状態で安定して保持される。そのため、例えば、注射針2の穿刺後に患者が動いた場合や、使用者が誤って把持部9から手を離してしまっても、注射針2が皮膚Tに対してぐらつき難く、また皮膚Tから外れ難くなっている。
【0071】
上記実施形態では、注射針2の先端21が当接部4の端面43から突出している。即ち、
図11に示すように、注射針2の露出部23の全てが皮膚Tに穿刺されるのではなく、注射針2が穿刺された状態では、露出部23のうちの基端部分Pは皮膚Tの表面T4より上に出た状態となる。そのため、例えば、当接部4の端面43や注射針2の露出部23と非露出部24との境界部分に付着物があったとしても、該付着物が皮膚Tに侵入するのを防止することができる。
【0072】
上記実施形態では、本体部3は、使用者が把持するための把持部9を備えている。そして、使用者は、把持部9に指を添えて皮内注射用補助具1を把持し、シリンジSに装着することができる。このように、皮内注射用補助具1は、把持部9を備えることで使用者が把持部9以外の部分を把持するのを防止することができ、衛生を保つことができる。また、皮内注射用補助具1は、把持部9を備えることで使用者が注射針2に接触するのを防止し、使用者が安全に使用することができるという効果も奏し得る。
【0073】
尚、本発明の皮内注射用補助具1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0074】
上記実施形態では、貫通孔61aが円形状、又は半円形状で形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。貫通孔61aは、例えば、楕円形状、扇形状であってもよい。また、例えば、四角形状等、円弧を有さない形状であってもよい。
【0075】
上記実施形態では特に言及するものではないが、例えば、第2実施形態において、中間部6に、凹部61としての半円形状の貫通孔61a及び窪み61bが形成されていてもよい。例えば、貫通孔61aに隣接した部分の下端面63に凹部61としての窪み61bが形成され、膨隆部Bを貫通孔61a及び窪み61bの双方によって逃がすようにしてもよい。
【0076】
上記実施形態では、注射針2の先端21は、当接部4の端面43から突出している場合について説明したが、これに限定されるものではない。注射針2の皮膚Tに対する穿刺深さHが設定されていれば、注射針2の先端21は当接面41から突出していてもよい。
【0077】
上記実施形態では、皮内注射用補助具1は、中間部6に膨隆部Bを避ける凹部61が形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。伸展面51が注射針2の軸線方向に対して当接面41よりも注射針2の径方向他方側に起立するように傾斜していれば、膨隆部Bが形成されるタイミングでは少なくとも皮膚Tの伸展を開放することができるので、凹部61は形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…皮内注射用補助具、2…注射針、21…先端、22…基端、23…露出部、24…非露出部、21a…先端縁、210…開口部、3…本体部、4…当接部、41…当接面、42…上面、43…端面、5…伸展部、51…伸展面、52…突起部、510…伸展片、511…第1伸展面、512…第2伸展面、6…中間部、60…中間片、61…凹部、62…リブ、63…下端面、61a…貫通孔、61b…窪み、7…針保持部、8…シリンジ装着部、81…第1装着部、82…第2装着部、9…把持部、91…把持片、B…膨隆部、C…傾斜角度、L…隙間、M…薬液、S…シリンジ、S1…胴部、S2…注出部、S3…プランジャ、S2a…注出孔、T…皮膚、T1…表皮、T2…真皮、T3…皮下組織、T4…表面