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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】採血用トレイ移送システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20220707BHJP
【FI】
G01N35/04 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017222024
(22)【出願日】2017-11-17
(65)【公開番号】P2019095208
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】591086854
【氏名又は名称】株式会社テクノメデイカ
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】白石 典之
(72)【発明者】
【氏名】杉本 耕一
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-328169(JP,A)
【文献】特開平09-054096(JP,A)
【文献】特開昭51-151965(JP,A)
【文献】国際公開第01/069263(WO,A1)
【文献】特開2000-146988(JP,A)
【文献】特開2007-127464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
G01N 1/00- 1/44
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の検査に関する情報が印字及び/又は記憶されたラベルを貼り付けた一つ又は複数の採血管を患者単位で収容した採血用トレイを移送する移送コンベアと、
前記移送コンベアの移送経路中に設けられたトレイ受取台と、
前記移送コンベアの上方に配置された採血作業板と、
を備え、前記採血作業板を挟んで向き合って患者と採血作業者とが位置し、採血作業板上で採血を行うことができるようにした採血台と、
前記採血台に採血用トレイを供給する採血用トレイ供給装置と、
前記採血用トレイ供給装置から前記採血台のトレイ受取台へのトレイ移送動作を制御する制御装置を備え、
前記採血用トレイ供給装置と、少なくとも2台直列に並べて配置してなる
採血用トレイ移送システムであって、
各採血台に、そのトレイ受取台へ向けて採血用トレイの供給を要求するトレイ要求スイッチを設け、
前記トレイ要求スイッチが押された採血台のトレイ受取台へ前記採血用トレイを供給するように前記トレイ移送動作を制御するよう制御装置が構成されている採血用トレイ移送システムにおいて、
各採血台における前記採血用トレイの通過動作を検出する少なくとも一つの通過検知センサ及び前記トレイ受取台への採血用トレイ取出動作の終了を検知するトレイ取出動作検知センサを設け
前記採血用トレイ供給装置に隣接する採血台において、採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作が行われている間は、前記採血用トレイ供給装置で次の採血用トレイを待機させ、
前記採血用トレイ供給装置に隣接する採血台における前記採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作の終了を検知した時に、前記採血用トレイ供給装置からの次の採血用トレイの移送を開始し、
採血用トレイの移送方向下流側に隣接する採血台において採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作が行われている間は、次のトレイを前記採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作が行われている採血台のトレイ移送方向上流側に隣接する採血台で待機させ、
採血用トレイの移送方向下流側に隣接する採血台における前記採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作の終了を検知した時、前記次のトレイの待機を解除して、前記次の採血用トレイの移送を再開するよう
トレイ移送動作を制御するよう制御装置を構成した
ことを特徴とする採血用トレイ移送システム。
【請求項2】
各採血台が、その一端から他端にかけて伸びる移送コンベアを備え、採血台を並べて配置した時に全ての採血台の移送コンベアが一直線上に繋がるように構成され、
かつ、各採血台が、作動中の移送コンベア上で採血用トレイを停止可能なトレイ止め手段を備え、
前記トレイ止め手段により、移送コンベア上の採血用トレイを保持又は解放することにより、移送コンベア上での採血用トレイの動きを制御することができるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の採血用トレイ移送システム。
【請求項3】
前記少なくとも一つの通過検知センサが、各採血台における移送コンベアの上流側に設けられ移送コンベア上の採血用トレイの存在を検出できるトレイ侵入検出センサを有し、
採血台における前記トレイ侵入検出センサが移送コンベア上の採血用トレイを検出した時に、その採血台のトレイの移送方向上流側に隣接する採血台における前記採血用トレイの通過動作が終了したと判断するように制御装置が構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の採血用トレイ移送システム。
【請求項4】
前記少なくとも一つの通過検知センサが、各採血台における移送コンベアの下流側に設けられ移送コンベア上の採血用トレイの存在を検出できるトレイ退出検出センサを有し、
該トレイ退出検出センサが移送コンベア上の採血用トレイを検出した時に、その採血台における前記採血用トレイの通過動作が終了したと判断するように制御装置が構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の採血用トレイ移送システム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの通過検知センサが、各採血台における移送コンベアの上流側に設けられ移送コンベア上の採血用トレイの存在を検出できるトレイ侵入検出センサと、各採血台における移送コンベアの下流側に設けられ移送コンベア上の採血用トレイの存在を検出できるトレイ退出検出センサとを有し、
一つの採血台の前記トレイ退出検出センサと前記採血台にトレイの移送方向下流側に隣接する他の採血台の前記トレイ侵入検出センサとが連続して採血用トレイを検出した時に、上流側に位置する前記採血台における前記採血用トレイ通過動作が終了したと判断するように制御装置が構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の採血用トレイ移送システム。
【請求項6】
各採血台に移送コンベアからトレイ受取台までトレイを取り出すトレイ取出手段を設け、
前記トレイ取出動作検知センサが、前記トレイ取出手段の動作の終了を検知するセンサを有し、
トレイ受取手段が動作している時は、トレイ取出手段の動作終了を検知した時に、その採血台における前記採血用トレイ取出動作が終了したと判断するように制御装置が構成されている
請求項1~5の何れか一項に記載の採血用トレイ移送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血時に採血作業者の手元まで採血管を収容したトレイを移送するシステムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一人の患者に対して複数項目の血液検査を行うめに複数の採血管に採血を行う場合、採血時に採血すべき採血管を間違えたり、採血後に採血済み血液と患者とのマッチングがずれたりすることを防止するために、採血を行う前に、患者に関する情報を印字及び/記憶させたラベルを予め各採血管に貼付け、ラベル貼付後の採血管を患者単位で一つのトレイに収容しておく準備作業が行われている。出願人は、この準備作業を全自動的に行う採血管自動準備装置を発明し、その採血管自動準備装置は、既に実用化され、多くの病院施設等で利用されている。
また、出願人は、準備された採血管が収容されたトレイを、実際に採血作業を行う採血台まで移送する採血用トレイ移送システムを既に提案しており、この採血用トレイ移送システムも既に実用化されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-328169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した採血用トレイ移送システムは、採血管入りトレイを移送する移送コンベアの経路中に、少なくとも二つの採血受取台を設け、かつ、移送コンベアから各採血受取台まで採血管を取り出すトレイ取出手段を設けると共に、各採血受取台にトレイ要求スイッチを設け、当該トレイ要求スイッチが押された採血受取台に向けてトレイの移送を行うように構成されており、これにより、採血作業者は、自分で採血用トレイを取りに行かなくても、自分のペースに合わせて採血用トレイを自分の手元に供給させることが可能になるので、採血作業者の負担が軽減するという効果がある。
しかし、この採血用トレイ移送システムは、一つの移送コンベアの経路中に複数の採血受取台があり、トレイの供給先を制御装置が決めるのではなく、採血作業者がトレイ要求スイッチを操作することにより決めることができるように構成され、二つの以上の採血台からトレイ要求があった場合には、ある採血受取台への採血用トレイの移送が終了するまで、他の採血受取台への採血用トレイの移送を開始しないように制御されていた。
図7(a)~(d)は、上記した従来の採血用トレイ移送システムにおける移送動作の制御方法を示している。
図中、符号100は、ラベル貼付け後の採血管を患者単位でトレイに入れて準備をする採血管自動準備装置を示し、
符号101は、採血管自動準備装置100から排出される採血管を患者毎にトレイに入れて、所望の採血台102~107に供給するように構成された採血用トレイ供給装置を示し、
符号102~107は、並べて配置された採血台を示している。
各採血台102~107には、全ての採血台を貫通するように不図示の一本の移送コンベアが設けられており、個々のトレイの動きは各採血台102~107に設けられたトレイ保持ピン(符号なし)によって行われる。トレイ保持ピンは上下に出没可能に設けられ、トレイ保持ピンが上昇している時は、トレイはこの保持ピンに当たって移送コンベア上で止まるように構成されている。
各採血台102~107は、それぞれ、採血受取台102a~107aを備え、各採血受取台102a~107aには不図示のトレイ要求スイッチが設けられており、トレイ要求スイッチの操作により対応する採血台102~107のトレイ受取台102a~107aにトレイが移送されるように構成されている。
従来の採血トレイ移送システムでは、図7(a)に示すように、採血用トレイ供給装置101において採血用トレイA及びYが準備されている状態で、6番目の採血台107のトレイ要求スイッチが押され、次に、2番目の採血台103のトレイ要求スイッチが押されると、採血用トレイ供給装置101は、先頭のトレイAを採血台101に供給し(図7(b))、そして、当該トレイAを目的の採血台107まで移送して、トレイAの取出しが完了するまで、次のトレイBは採血用トレイ供給装置101で待機させたままの状態とし(図7(c))、トレイAの取出しが完了した後に、次のトレイBの移送を開始している(図7(d))。
しかし、この従来の構成では、一つのトレイのトレイ移送の動作が終了するまで、次のトレイの移送を一切行わないためトレイの移送に時間がかかるという問題がある。特に、病院等では、午前中等に採血をする患者が集中するため、出来るだけ効率良く、採血を行うことが望まれるため、少しでも、トレイの移送についても少しでも効率を上げることが望ましい。
出願人は、上記した問題に鑑みて、効率良くトレイの移送を行うことができるトレイ移送システム提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係るトレイ移送システムは、患者の検査に関する情報が印字及び/又は記憶されたラベルを貼り付けた一つ又は複数の採血管を患者単位で収容した採血用トレイを移送する移送コンベアと、前記移送手段の移送経路中に設けられたトレイ受取台と、前記移送コンベアの上方に配置された採血作業板とを備え、前記採血作業板を挟んで向き合って患者と採血作業者とが位置し、採血作業板上で採血を行うことができるようにした採血台と、前記採血台に採血用トレイを供給する採血用トレイ供給装置と、前記採血用トレイ供給装置から前記採血台のトレイ受取台へのトレイ移送動作を制御する制御装置を備え、前記採血用トレイ供給装置と、少なくとも2台直列に並べて配置してなる採血用トレイ移送システムであって、各採血台に、そのトレイ受取台へ向けて採血用トレイの供給を要求するトレイ要求スイッチを設け、前記トレイ要求スイッチが押された採血台のトレイ受取台へ前記採血用トレイを供給するように前記トレイ移送動作を制御するよう制御装置が構成されている採血用トレイ移送システムにおいて、各採血台における前記採血用トレイの通過動作及び前記トレイ受取台への採血用トレイ取出動作の終了を検知する終了検知手段を設け、前記採血用トレイ供給装置に隣接する採血台において、採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作が行われている間は、前記採血用トレイ供給装置で次の採血用トレイを待機させ、前記採血用トレイ供給装置に隣接する採血台における前記採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作の終了を検知した時に、前記採血用トレイ供給装置からの次の採血用トレイの移送を開始し、採血用トレイの移送方向下流側に隣接する採血台において採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作が行われている間は、次のトレイを前記採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作が行われている採血台のトレイ移送方向上流側に隣接する採血台で待機させ、採血用トレイの移送方向下流側に隣接する採血台における前記採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作の終了を検知した時、前記次のトレイの待機を解除して、前記次の採血用トレイの移送を再開するようトレイ移送動作を制御するよう制御装置を構成したことを特徴とする。
前記採血用トレイ移送システムにおいて、各採血台に、その一端から他端にかけて伸びる移送コンベアを設け、採血台を並べて配置した時に全ての採血台の移送コンベアが一直線上に繋がるように構成すると共に、各採血台に、作動中の移送コンベア上で採血用トレイを停止可能なトレイ止め手段を設け、前記トレイ止め手段により、移送コンベア上の採血用トレイを保持又は解放することにより、移送コンベア上での採血用トレイの動きを制御することができるように構成してもよい。
また、前記採血用トレイ移送システムでは、前記終了検知手段として、各採血台における移送コンベアの上流側に、移送コンベア上の採血用トレイの存在を検出できるトレイ侵入検出センサを設け、採血台における前記トレイ侵入検出センサが移送コンベア上の採血用トレイを検出した時に、その採血台のトレイの移送方向上流側に隣接する採血台における前記採血用トレイの通過動作が終了したと判断するように制御装置を構成してもよい。
さらにまた、前記採血用トレイ移送システムでは、前記終了検知手段として、各採血台における移送コンベアの下流側に、移送コンベア上の採血用トレイの存在を検出できるトレイ退出検出センサを設け、該トレイ退出検出センサが移送コンベア上の採血用トレイを検出した時に、その採血台における前記採血用トレイの通過動作が終了したと判断するように制御装置を構成することもできる。
また、前記採血用トレイ移送システムでは、前記終了検知手段として、各採血台における移送コンベアの上流側に、移送コンベア上の採血用トレイの存在を検出できるトレイ侵入検出センサを設けると共に、各採血台における移送コンベアの下流側に、移送コンベア上の採血用トレイの存在を検出できるトレイ退出検出センサを設け、一つの採血台の前記トレイ退出検出センサと前記採血台にトレイの移送方向下流側に隣接する他の採血台の前記トレイ侵入検出センサとが連続して採血用トレイを検出した時に、上流側に位置する前記採血台における前記採血用トレイ通過動作が終了したと判断するように制御装置を構成してもよい。
さらにまた、各採血台に移送コンベアからトレイ受取台までトレイを取り出すトレイ取出手段を設け、前記終了検知手段として、前記トレイ取出手段の動作の終了を検知するセンサを設け、トレイ受取手段が動作している時は、トレイ取出手段の動作終了を検知した時に、その採血台における前記トレイ取出動作が終了したと判断するように制御装置を構成してもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るトレイ移送システムは、患者の検査に関する情報が印字及び/又は記憶されたラベルを貼り付けた一つ又は複数の採血管を患者単位で収容した採血用トレイを移送する移送コンベアと、前記移送手段の移送経路中に設けられたトレイ受取台と、前記移送コンベアの上方に配置された採血作業板とを備え、前記採血作業板を挟んで向き合って患者と採血作業者とが位置し、採血作業板上で採血を行うことができるようにした採血台と、前記採血台に採血用トレイを供給する採血用トレイ供給装置と、前記採血用トレイ供給装置から前記採血台のトレイ受取台へのトレイ移送動作を制御する制御装置を備え、前記採血用トレイ供給装置と、少なくとも2台直列に並べて配置してなる採血用トレイ移送システムであって、各採血台に、そのトレイ受取台へ向けて採血用トレイの供給を要求するトレイ要求スイッチを設け、前記トレイ要求スイッチが押された採血台のトレイ受取台へ前記採血用トレイを供給するように前記トレイ移送動作を制御するよう制御装置が構成されている採血用トレイ移送システムにおいて、各採血台における前記採血用トレイの通過動作及び前記トレイ受取台への採血用トレイ取出動作の終了を検知する終了検知手段を設け、前記採血用トレイ供給装置に隣接する採血台において、採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作が行われている間は、前記採血用トレイ供給装置で次の採血用トレイを待機させ、前記採血用トレイ供給装置に隣接する採血台における前記採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作の終了を検知した時に、前記採血用トレイ供給装置からの次の採血用トレイの移送を開始し、採血用トレイの移送方向下流側に隣接する採血台において採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作が行われている間は、次のトレイを前記採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作が行われている採血台のトレイ移送方向上流側に隣接する採血台で待機させ、採血用トレイの移送方向下流側に隣接する採血台における前記採血用トレイの通過動作及び採血用トレイ取出動作の終了を検知した時、前記次のトレイの待機を解除して、前記次の採血用トレイの移送を再開するようトレイ移送動作を制御するよう制御装置を構成しているので、採血作業者のトレイ待ち時間を低減でき、その結果、採血作業を効率化することができるので、患者の待ち時間も低減することが可能になる。
採血の現場においては、採血待ちをしている患者の待ち時間は、患者に大きなストレスを与え、また、トレイが手元に届くまでの待ち時間の増加は採血作業者の集中力の低下を招くことにもなるため、本発明に係る採血用トレイ移送システムによるトレイ待ち時間の短縮は、この分野において極めて大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る採血用トレイ移送システムと、従来の採血管自動準備システムとを組み合わせたシステムの概略上面図を示す図である。
図2】採血用トレイ移送システムにおける採血用トレイ供給装置の上面図である。
図3】採血用トレイ移送システムにおける採血台の採血作業板を外した上面図である。
図4】(a)~(g)は本発明に係る採血用トレイ移送システムの動作の一実施例を示す模式図である。
図5】(a)~(f)は本発明に係る採血用トレイ移送システムの動作の別の実施例を示す模式図である。
図6】採血台20の別の実施例を示す図3に対応する図である。
図7】(a)~(d)は従来の採血用トレイ移送システムの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面に示した幾つかの実施例を参照して本発明に係る採血用トレイ移送システムの実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る採血用トレイ移送システムと、従来の採血管自動準備システムとを組み合わせたシステムの概略上面図を示す図であり、図2は、採血用トレイ移送システムにおける採血用トレイ供給装置の上面図であり、図3は、採血用トレイ移送システムにおける採血台の採血作業板を外した上面図である。
【0009】
図面に示すように、このシステムは、医師からの検査指示情報に従って、患者の検査に必要な採血管を自動的に選択して取り出すと共に、その患者の検査に関する情報をラベルに印字及び/又は記憶させて前記採血管に自動的に貼り付け、その患者の検査に関する情報を指示書に自動的に印字して発行し、前記ラベル貼付後の採血管と指示書とを患者毎に一つのトレイに収容するように動作する採血管自動準備システムXと、ラベル貼付後の採血管及び指示書を収容したトレイ(以下、採血用トレイ)を採血作業者等の指示に従って各採血台に移送する採血用トレイ移送システムYとから構成されている。
【0010】
前記採血管自動準備システムXは、並設された複数台の採血管自動準備装置2(本実施例の場合は2台)、一つの指示書発行装置3、及びこれら各装置2及び3を作動させるための制御装置4(本実施例の場合はパソコン)から構成されている。前記制御装置4は、システム全体の制御装置として機能し、採血用トレイ移送システムYの動作も制御する。
各採血管自動準備装置2は、従来公知の構成であり、ラベル貼付前の採血管を収容する複数の収容部と、医師が発行する検査指示情報に従って前記収容部から、患者の検査に必要な採血管を取り出してラベル貼付機構へ移送する移送装置と、該患者の検査に関する情報をラベルに印字及び/又は記憶させ、前記収容部から取り出した採血管に前記ラベルを貼り付けるラベル貼付機構とを内部に備えている。
ここで、「ラベルに記憶」させるとは、ラベルに一体的にRFIDタグのような書込み可能なICチップが設けられている場合に、該ICチップに情報を書き込むことを意味する。
また、「患者の検査に必要な情報」には、少なくとも患者識別情報を含み、かつ、当該システムを利用する施設に応じて、検査項目、検査に必要な採血管の種類及び採血整理番号等が直接的又は間接的に含まれる。
また、並設された採血管自動準備装置2の内部には、全ての採血管自動準備装置を貫通して伸びる排出コンベア5(図1に破線で示す)が設けられており、前記ラベル貼付機構でラベルが貼り付けられた採血管はこの排出コンベア5によって他の採血管自動準備装置2の内部を通って、最下流(図1における一番上側)に位置する採血管自動準備装置2から外部、即ち、採血用トレイ移送システムY上に待機している空のトレイ6に排出されるように構成されている。
また、指示書発行装置3は、前記制御装置4の指示に従って、指示書に患者の検査に関する情報をバーコード及び/又は文字の形態で印字し、前記採血管自動準備装置2からラベル貼付後の採血管を受け取ったトレイ6に、印字済み指示書を排出するように構成されている。
上記したように構成された採血管自動準備システムXは、例えば、医師等がパソコンで患者の検査に必要な検査指示情報を入力すると、検査に必要な採血管を収容した採血管自動準備装置2が作動して必要な採血管を選択して取出し、ラベルに検査に必要な情報を印字及び/又は記憶させて、取り出した採血管に貼り付け、ラベル貼り付け後の採血管を排出コンベア5で自動的に空トレイ6に排出する。同時に、指示書発行装置3が検査に必要な情報を採血指示書に印字し、該採血指示書を、採血管が入れられた前記トレイ6に排出するよう作動され、検査に必要なラベル貼付後の採血管と指示書とが患者毎に一つのトレイ6に収容される(以下、この準備済のトレイを採血用トレイ7と称する)。
採血用トレイ移送システムYは、その一部が上記したように作用する採血管自動準備システムXと連動して作動し、その受取位置P1で空トレイ6に患者に必要な採血管が全て収容される毎に、収容後のトレイ6を指示書受取位置P2に移動させると共に、次の空トレイ6を採血管受取位置P1に移動させる。指示書発行装置3は、指示書受取位置P2に移動されたトレイ6に、対応する採血指示書を入れて、採血用トレイ7を完成させる。
【0011】
次に採血用トレイ移送システムYについて具体的に説明していく。
尚、本明細書において、採血用トレイ移送システムYについて使用する「上流」及び「下流」の語は、採血用トレイの移送方向に対する上流及び下流を意味するものとする。
採血用トレイ移送システムYは、採血用トレイ準備装置10と、複数の採血台20とから成る。
前記採血用トレイ準備装置10は、採血台20から空トレイを回収し、前記したように採血管自動準備システムXと連動して作動して空トレイ6に必要な採血管と指示書とを収容させて採血用トレイ7を準備し、準備した採血用トレイ7を採血台20へ供給するように構成されている。
【0012】
前記採血用トレイ準備装置10は、
採血台20から回収された空トレイ6を受取位置P1に順次移送すると共に、受取位置P1で採血管を収容したトレイ6を指示書受取位置P2へ送るように動作する空トレイ移送コンベア11と、
患者一人分の採血管及び採血指示書が入れられた採血用トレイ7を、採血作業者の要求に従って採血台20に移送するよう動作する採血用トレイ供給コンベア12と、
採血用トレイ7を指示書受取位置P2から前記供給コンベア12に移し替える採血用トレイ移動手段13と
を備えている。
前記した二つのコンベア11及び12は相互に平行に配置され、空トレイ移送コンベア11は、後述する採血台20の回収コンベア25に、採血用トレイ供給コンベア12は、後述する採血台20の供給コンベア24に夫々接続されている。
前記空トレイ移送コンベア11における受取位置P1には、一対のトレイ止め手段14及び15が設けられている。これらのトレイ止め手段14及び15は、それぞれコンベア11の両側に少なくともトレイの幅より狭い間隔で設けられ、コンベア11の移送面から上方に出没可能に構成された2本のピンから成る。トレイ止め手段14は、採血管自動準備システムX及び空トレイ移送コンベア11と連動して作動し、上方に上がることで空トレイ6を採血管受取位置P1で止め、下方に下がることで採血管を受け取ったトレイ6が指示書受取位置P2に移動することを可能にする。また、トレイ止め手段15は、上方に上がることで、採血管受取位置P1に、下流の空トレイが侵入することを防ぎ、下方に下がることで下流の空トレイが採血管受取位置P1に侵入することを可能にする。
具体的には、例えば、図2(本図は図1における採血用トレイ準備装置10の拡大図である。)に示すように、受取位置P1で採血管準備システムXから必要な採血管を空トレイ6が受け取ると、トレイ止め手段14が移送面より下方に下がる。これにより、採血管が入れられたトレイ6が指示書受取位置P2に移動する。次いで、トレイ止め手段14が移送面より上方に上がると共に、トレイ止め手段15が下方に下がる。これにより、次の空トレイ6が受取位置P1に移動して保持される。一方、指示書受取位置P2においてトレイ6に採血指示書が入れられると、その後、前記移動手段13が作動して、採血管及び採血指示書が入れられた採血用トレイ7を、空トレイ移送コンベア11から採血用トレイ供給コンベア12に移し替える。
また、前記採血用トレイ供給コンベア12には一対のトレイ止め手段16及び17が設けられている。これらトレイ止め手段16及び17は、各々、コンベア12の両側に少なくとも採血用トレイ7の幅より狭い間隔で設けられ、コンベア12の移送面から上方に出没可能に構成された2本のピンから成り、両トレイ止め手段16及び17間で移送待機位置P3を画定している。これらトレイ止め手段16及び17及び採血用トレイ供給コンベア12は、採血台20に設けられた後述するトレイ要求スイッチ40の操作に応じて、後で詳述する採血用トレイ7の移送制御方法に従って作動し、採血用トレイ7を採血台20側に移送する。
具体的には、移送待機位置P3で待機している採血用トレイ7を採血台20に供給する場合は、採血用トレイ排出コンベア12が作動され、同時に、下流側にあるトレイ止め手段17がコンベア12の移送面より下方に没し、それにより待機位置P3にあった採血用トレイ7は採血台20側に移送される。待機位置P2にあった採血用トレイ7が待機位置P2から完全に出ると、前記トレイ止め手段17が再びコンベア12の移送面より上方に突出し、同時に、下流側にあるトレイ止め手段16が移送面より下方に没し、それにより、下流にある次の採血用トレイ7がトレイ止め手段17に係止する位置、即ち、待機位置P3まで移送される。待機位置P3に次の採血用トレイ7が移送されると下流側のトレイ止め手段16が再びコンベア12の移送面より上方に突出して、次の採血用トレイ7をトレイ止め手段16及び17間、即ち、待機位置P3に維持する。
【0013】
次に採血台20について説明する。
尚、図1に示す実施例では三つの採血台20が設けられているが、三つとも同じ構造であるので、ここでは一つの採血台の構造について説明する。
図3は、採血台20の上面の採血板を外した概略上面図である。
採血台20は、図1に示すように、その上面に作業板21が設けられており、この作業板21の下方に供給コンベア24及び回収コンベア25が平行に設けられている。
前記供給コンベア24及び回収コンベア25は、採血台20の一端から他端までのび、複数の採血台20を並べて配置した時に隣接する採血台20の供給コンベア24及び回収コンベア25が、それぞれ直線上に繋がるように構成されている。
また、前記供給コンベア24と回収コンベア25とは段違いになるように、具体的には、回収コンベア25が供給コンベア24より低い位置を通るように設けられている。さらに、各採血台20の下流側には、供給コンベア24の移送面と面一の移送面を有する採血用トレイ取出通路26が供給コンベア24の作動方向に対して垂直な方向に、回収コンベア25の上方を横切るように設けられている。この前記採血用トレイ取出通路26は、供給コンベア24の側方から、回収コンベア25の上方を通過して、採血台20における供給コンベア24と反対側(図3における下側)に設けられた採血用トレイ受取台27まで伸びている。
また、この採血用トレイ取出通路26の側部上方には、取出通路26と平行に取出アームガイド部材28が設けられており、このガイド部材28はガイド部材28に沿って移動可能な取出アーム29を備え、この取出アーム29で供給コンベア24上の採血用トレイ7を採血用トレイ取出通路26を介して、受取台27に取り出せるように構成されている。また、採血台20には、前記取出アーム29のホーム位置を検知するホーム位置検知センサ29aが設けられており、このホーム位置検知センサ29aにより採血用トレイ7の取出し処理の終了を検知する。
また、供給コンベア24の採血トレイ取出通路26に対応する位置には一対のトレイ止め手段30及び31が設けられている。これらトレイ止め手段30及び31は各々、供給コンベア24の両側に少なくとも採血用トレイ7の幅より狭い間隔で設けられ、供給コンベア24の移送面から上方に出没可能に構成された2本のピンから成り、後で詳述するトレイ移送制御方法に従って作動する。
前記受取台27は採血用トレイ7を収容可能な面積を持つ受取面を備え、また、トレイ要求スイッチ40が設けられている。このトレイ要求スイッチ40は、採血作業者によって操作可能にされ、このトレイ要求スイッチ40を採血作業者が押すと、後で詳述するトレイ移送制御方法に従って、採血用トレイ7がトレイ受取台27に供給される。
上記したように構成された各採血台20には、三つのトレイ検出センサ41、42及び43が設けられている。
第一トレイ検出センサ41は、各採血台20における供給コンベア24の上流端に配置され、その採血台20に採血用トレイ7が侵入したことを検知するトレイ侵入検出センサとして機能する。
第二トレイ検出センサ42は、下流側にあるトレイ止め手段30のさらに下流に位置し、トレイ取出位置P4に採血用トレイが近づいていることを検知する。
最後の第三トレイ検出センサ43は、トレイ退出検出センサ及びトレイ到着検出センサとして機能するセンサであり、各採血台20における採血用トレイ取出通路26に対応する位置に配置され、採血用トレイ7が、トレイ止め手段30及び31で画定されるトレイ取出位置P4に到着したこと、及び、該採血台20から採血用トレイ7が退出したことを検知する。
【0014】
次に、上記したように構成された採血移送システムYのトレイ移送制御方法について説明をしていく。
上記したように、各採血台20に対する採血用トレイ7の侵入は第一トレイ検出センサ41により検知され、採血用トレイ取出位置P4への採血用トレイ7の接近は第二トレイ検出センサ42により検知され、さらに、採血用トレイ取出位置P4への採血用トレイ7の到着及び採血台20からの採血用トレイの退出は第三トレイ検出センサ43により検知される。
前記した第一~第三トレイ検知センサ41~43に加えて、取出アーム29の初期位置を検出するホーム位置検知センサ29aの検出信号及びトレイ要求スイッチ40の信号は、制御装置4に送信される。
制御装置4は、前記した各センサ及びトレイ要求スイッチ40からの信号に基づいて、採血用トレイ搬送システムYの各機構の動作を、以下に説明するトレイ移送制御方法に従って制御する。
制御装置4は、採血用トレイ準備装置10の採血用トレイ供給コンベア12上の移送待機位置P3で待機する採血用トレイ7を、トレイ要求スイッチ40が押された採血台20のトレイ受取台27へ移送するように、採血用トレイ移送システムYにおける採血用トレイ供給コンベア12、トレイ止め手段16及び17、採血台20の供給コンベア24、トレイ止め手段30及び31、並びに取出アーム29の動作を制御する。
具体的には、この採血用トレイ移送システムYは、下流に隣接する採血台20における採血用トレイ7のトレイ移送動作が終了した時、少なくとも、そのトレイ移送動作が終了した採血台20までの、次のトレイのトレイ移送動作を開始するように制御される。
ここで、各採血台20における「トレイ移送動作」とは、その採血台20を採血用トレイ7が通過する通過動作、又は、その採血台20において採血用トレイ7を取り出す取出動作の何れかの動作をいう。
採血台20における採血用トレイ7の通過については、その採血台20の第三トレイ検出センサ43が採血用トレイ7を検知した後、連続して、その採血台20に隣接する下流側の採血台20の第一トレイ検出センサ41が採血用トレイ7を検知した時に、該採血台20を採血用トレイ7が通過したと、即ち、その採血台におけるトレイ移送動作が終了したと判断する。
また、採血用トレイ7の取り出し動作については、その採血台20の第三トレイ検出センサ43が採血用トレイ7を検知した後、取出アーム29が動き、その後、ホーム位置検知センサ29aが再び取出アーム29を検知した時に取出し動作が終了したと、即ち、トレイ移送動作が終了したと判断する。
また、制御装置4は、採血用トレイ7を取り出すべき採血台において第二トレイ検出センサ42が採血用トレイ7を検知した時に、その採血台20の採血用トレイ供給コンベア12の速度を低下させて、採血用トレイ7が高速でトレイ止め手段31に当たることを防止する。
【0015】
ここで、採血用トレイ7の取り出し動作について、最上流に位置する採血台20におけるトレイ要求スイッチ40のみが押された場合を例として、詳しく説明すると、例えば、採血作業者が採血台20のトレイ要求スイッチ40を押すと、採血用トレイ準備装置10が、トレイ止め手段17を下降させ、その待機位置P3に維持していた採血用トレイ7を採血台20側に移送する。この時、採血台20の供給コンベア24も一緒に作動し、この供給コンベア24が採血用トレイ準備装置10の採血用トレイ供給コンベア12から供給される採血用トレイ7を受け取り、該採血用トレイ7をさらに下流(図1における右側)に移送する。最上流に位置する採血台20の前記トレイ止め手段30及び31は通常は供給コンベア24の移送面より下方まで没しているが、トレイ要求スイッチ40が押されると、取り出すべき採血管トレイ7が、その採血台20に侵入した時に、下流側のトレイ止め手段31のみが移送面より上方に上昇する。これにより、供給コンベア24で移送される採血用トレイ7は前記トレイ止め手段31に係止して、そのトレイ取出位置P4に留まる。尚、制御装置4は、採血用トレイ7を取り出すべき採血台において第二トレイ検出センサ42が採血用トレイ7を検知した時に、その採血台20の供給コンベア12の速度を低下させて、採血用トレイ7が高速でトレイ止め手段31に当たることを防止する。第三トレイ検出センサ43により、採血用トレイ7が取出位置P4に到達したことを検出すると、上流側のトレイ止め手段30も供給コンベア24の移送面より上方まで上がり、採血用トレイ7を一対のトレイ止め手段30及び31で挟んでトレイ取出位置P4に保持する。次いで、取出アーム29がアームガイド28に沿って採血台20の手前(図1における下側)に向けて動かされ、採血用トレイ7を供給コンベア24から採血用トレイ取出通路26に押し出す。取出アーム29は、採血用トレイ7を受取台27の受取面に収めた後、供給コンベア24の後方の初期位置まで後退する。ホーム位置検知センサ29aは、取出アーム29が初期位置にあることを検知し、それにより、上記した一連の採血用トレイ取り出し動作が終了したと判断される。
【0016】
以下、上記したように構成された採血用トレイ移送システムYにおけるトレイ移送制御方法について、図4及び図5に示した二つの実施例に基づいて説明する。
図4(a)~(g)は、本発明に係る採血用トレイ移送システムのトレイ移送動作の一実施例を示す模式図である。
この実施例では、6台の採血台20a~20gが直列に並べて配置されている。
各採血台20a~20gの構成は、図3を用いて説明した採血台の構成と同一であるので、図面を見やすくするために各構成部材は図示していない。
図4(a)は、初期状態を示しており、この状態において二つの採血用トレイA及びBが採血用トレイ供給装置10で待機しているものとする。この状態において、5番目の採血台20eの採血作業者が最初にトレイ要求スイッチを押し、次いで、6番目の採血台20gの採血作業者がトレイ要求スイッチを押すと、
図4(b)に示すように、採血用トレイ供給装置10は先頭のトレイAを待機位置P3から解放して、最初の採血台20aに移送し、次のトレイBを待機位置P3に保持する。
トレイAが、最初の採血台20aから出て二番目の採血台20bに侵入すると、制御装置4は、最初の採血台20aにおける「トレイ移送動作」が終了したと判断して、採血用トレイ供給装置10に、次のトレイBの移送を開始させる。これにより、トレイBは最初の採血台20aに送り出される(図4(c)参照)。尚、トレイAの採血台20aからの退出は、採血台20aに設けられた第三トレイ検出センサ43(図示せず、図3の説明参照)により検知され、二番目の採血台20bへのトレイAの侵入は、採血台20bに設けられた第一トレイ検出センサ41(図示せず、図3の説明参照)により検知される。
このように隣接する下流の採血台におけるトレイ移送動作が終了したと判断した場合、次の採血用トレイBの移送が開始される。
採血用トレイAが目的の採血台20e(即ち、トレイ要求スイッチが押された採血台)に到達すると、当該採血台20eのトレイ止め手段が上昇して、トレイAを取出位置P4に保持し、取出アームによるトレイAの取出しが行われる。この時、次のトレイBは、上流の隣接する採血台20eにおいて、トレイAの通過が検出されず、かつ、トレイAの取り出し動作の終了も検出されていない状態なので、その採血台20eの下流に隣接する採血台20dにおいてトレイ止め手段で保持される(図4(d)参照)。
採血台20eにおいて取出アームが初期位置に戻ったことがホーム位置検知センサ29a(図示せず、図3の説明参照)により検知されると、上流の隣接する採血台20eにおけるトレイ移送動作が終了したと判断して、下流に隣接する採血台20におけるトレイ止め手段が下降して待機しているトレイBを解放し、トレイBの移送が再開される(図4(e)参照)。
トレイBの上流には、移送中のトレイAは存在していないので、トレイBはそのまま目的の採血台20fに向けて移送される(図4(f)参照)。
そして、最終的にトレイBは、目的の採血台20fにおいて、トレイ止め手段並びに取出アームの動作によって、トレイ受取台に供給される。
上記したように、本発明に係る採血用トレイ移送システムYによれば、前のトレイAの移送が完了する前に次のトレイBの移送を開始することが可能になり、トレイAを移送している最中に、常に次のトレイBが直前の採血台まで移送されていることになるので、トレイの移送にかかる時間を最短にすることができ、その結果、採血作業者がトレイを要求してからトレイが手元のトレイ受取台に届く時間を最短にすることが可能になる。これにより、採血作業がスムーズに進むことになり、患者の待ち時間が低減する。同時に、採血作業者のトレイ到着迄の待ち時間も短縮できる。
【0017】
次に、図5(a)~(f)を参照して、本発明に係る採血用トレイ移送システムのトレイ移送動作の別の実施例を説明する。
この実施例でも同様に、6台の採血台20a~20gが直列に並べて配置されている。
各採血台20a~20gの構成は、図4の実施例と同様、図3を用いて説明した採血台の構成と同一であるので、図面を見やすくするために各構成部材は図示していない。
図5(a)は、初期状態を示しており、この状態において二つの採血用トレイA及びBが採血用トレイ供給装置10で待機しているものとする。この状態において、6番目の採血台20fの採血作業者が最初にトレイ要求スイッチを押し、次いで、2番目の採血台20bの採血作業者がトレイ要求スイッチを押すと、
図5(b)に示すように、採血用トレイ供給装置10は先頭のトレイAを待機位置P3から解放して、最初の採血台20aに移送し、次のトレイBを待機位置P3に保持する。
トレイAが、最初の採血台20aから出て二番目の採血台20bに侵入すると、制御装置4は、最初の採血台20aにおける「トレイ移送動作」が終了したと判断して、採血用トレイ供給装置10に、次のトレイBの移送を開始させる。これにより、トレイBは最初の採血台20aに送り出される(図5(c)参照)。
このように隣接する下流の採血台20におけるトレイ移送動作が終了したと判断した場合、次の採血用トレイBの移送が開始される。
次いで、採血用トレイAが二番目の採血台20bから出て三番目の採血台20cに侵入すると、制御装置は、二番目の採血台20bにおける「トレイ移送動作」が終了したと判断して、一番目の採血台20aで待機させている採血用トレイBの移送を再開する。(図5(c)参照)。
これにより、最初の採血用トレイAが目的の採血台20fに向けて移送されている最中に、次の採血用トレイBが目的の採血台20bに到達する(図5(d)参照)。
目的の採血台20bに到達した採血用トレイBは、当該採血台20bのトレイ止め手段、並びに取出アームの作用により、当該採血台20bのトレイ受取台に取り出される。この間、最初のトレイAは未だ目的の採血台20fに向けて移送されている最中である(図5(e)参照)。
そして、トレイAは、目的の採血台20fに到着すると、当該採血台20fのトレイ止め手段、並びに取出アームの作用により、当該採血台20fのトレイ受取台に取り出される(図5(f)参照)。
従来の採血用トレイ移送システムでは、トレイAが採血台20fに到着してトレイ受取台に取り出される迄、次のトレイBは採血用トレイ供給装置10において待機していたが、本発明に係る採血用トレイ移送システムを用いることにより、トレイAの移送が終了する前にトレイBの移送が完了することになり、トレイの移送時間が著しく低減されていることが分かる。
これにより、採血作業者のトレイ待ち時間を低減でき、その結果、採血作業を効率化することができるので、患者の待ち時間も低減することが可能になる。
採血の現場においては、採血待ちをしている患者の待ち時間は、患者に大きなストレスを与え、また、トレイが手元に届くまでの待ち時間の増加は採血作業者の集中力の低下を招くことにもなるため、本発明に係る採血用トレイ移送システムによるトレイ待ち時間の短縮は、この分野において極めて大きな効果がある。
【0018】
上記した実施例では、各採血台20に、採血台への侵入を検知する第一トレイ検出センサ41及び採血台からの退出を検知する第三トレイ検出センサ43を設けて、これらのセンサの検出結果に基づいて、採血用トレイが採血台を通過したか否かを検出しているが、採血用トレイが採血台を検出したか否か、即ち、下流に位置する採血台におけるトレイ移送動作が終了したか否かを検出する構成及び方法は、本実施例に限定されることなく、例えば、採血台への侵入を検知する第一トレイ検出センサ41又は採血台からの退出を検知する第三トレイ検出センサ43の何れか一方のみで行ってもよいことは勿論である。
さらにまた、本実施例では、取出アーム29におけるホーム位置検知センサ29aを用いて、採血台における採血用トレイの取出し動作の終了を検知しているが、これは本実施例に限定されることなく、採血用トレイを取り出すべき採血台において採血用トレイが取り出されたことを検知できる構成及び方法であれば任意の構成及び方法でよく、例えば、トレイ止め手段30及び31で保持した採血用トレイを直接、手で取り出すように構成されている場合には、取出し位置にある採血用トレイを検知する第二トレイ検出センサ42によって採血用トレイ取出し動作の終了を検知してもよい。
さらにまた、本実施例では、各採血台において二つのトレイ止め手段30及び31を用いて、取出しのために、又は、待機のために採血用トレイを保持しているが、この構成は本実施例に限定されることなく、一つのトレイ止め手段で採血用トレイを保持してもよい。さらにまた、本実施例では、一対のピンをコンベアの移送面から出没させることによって採血用トレイを所定の位置に保持するように構成されているが、採血用トレイを所定の位置に保持する構成は本実施例に限定されることなく、他の構成でもよく、また、供給コンベア24を各採血台毎に独立して設けて、供給コンベア24の動作により採血用トレイを所定の位置に保持するように構成してもよい。
さらにまた、本実施例では、各採血台20に供給コンベア24及び回収コンベア25を設け、複数の採血台20を並べて配置した時に、隣接する採血台の供給コンベア24及び回収コンベア25が夫々一直線上に繋がるように構成されているが、この構成は本実施例に限定されることなく、全ての供給コンベア25及び回収コンベア25が、それぞれ一本のコンベアで構成されていてもよい。
また、本実施例では、採血管自動準備システムAに設けられた制御装置4で採血用トレイ移送システムBのトレイ移送動作の制御を行うように構成されているが、この構成は本実施例に限定されることなく、例えば、採血用トレイ移送システムBが、別途、制御装置を備えていてもよい。
さらにまた、本実施例では、トレイ要求スイッチ40がトレイ受取台27に設けられているが、トレイ要求スイッチの構成は本実施例に限定されることなく、トレイを要求する信号を送信することができる構成であれば任意の構成でよく、例えば、各採血台に、患者の採血に関する情報を表示するタッチパネル式のモニタを設ける場合には、そのタッチパネル式モニタにトレイ要求スイッチを設けてもよい。
また、本実施例では、採血台20におけるトレイ受取台26の反対側の側方から採血用トレイが供給されるように構成されているが、採血台20の使用方法は本実施例に限定されることなく、供給コンベア24及び回収コンベア25の駆動方向を図1図5の実施例と逆向きとして、採血台20におけるトレイ受取台26が設けられた側から採血用トレイが供給されるように構成してもよい。図6は、採血台20の採血用トレイの供給方向を図1図5とは逆方向とした場合の採血台20の図3に対応する図面を示している。この実施例では、第二センサの位置が図3の実施例とは異なる以外は全て同じ構成であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
【0019】
図6に示す実施例では、第二トレイ検出センサ45が、各採血台20における供給コンベア24の上流端に配置されており、この第二トレイ検出センサ45が採血台20に対する採血用トレイの侵入を検知する。この実施例では、第一トレイ検出センサ41が採血用トレイの採血台20からの退出を検知し、さらに、第三トレイ検出センサ43は、採血用トレイの取出位置P4への到着を検知する。さらにまた、第二トレイ検出センサ45の検知結果は、採血用トレイの採血台20への侵入の判断に加えて、採血用トレイ取出位置P4への採血用トレイ7が接近していることの判断にも使用される。上記以外の構成及び制御方法は、図1図5に示した実施例と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0020】
P1 採血管受取位置
P2 指示書受取位置
P3 移送待機位置
P4 取出位置

X 採血管自動準備システム
2 採血管自動準備装置
3 指示書発行装置
4 制御装置
5 排出コンベア
6 空トレイ
7 採血トレイ

Y 採血用トレイ移送システム
10 採血用トレイ供給装置
11 空トレイ移送コンベア
12 採血トレイ供給コンベア
13 採血用トレイ移動手段
14 トレイ止め手段(一対のピン)
15 トレイ止め手段(一対のピン)
16 トレイ止め手段(一対のピン)
17 トレイ止め手段(一対のピン)

20 採血台
24 供給コンベア
25 回収コンベア
26 採血トレイ取出通路
27 トレイ受取台
28 取出アームガイド部材
29 取出アーム
29a ホーム位置検知センサ
30 トレイ止め手段(一対のピン)
31 トレイ止め手段(一対のピン)

40 トレイ要求スイッチ
41 第一トレイ検出センサ
42 第二トレイ検出センサ
43 第三トレイ検出センサ

45 第二トレイ検出センサ(第二実施例)
図1
図2
図3
図4(1)】
図4(2)】
図5(1)】
図5(2)】
図6
図7