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特許7100884ビデオクリップ画像の画質に基づく医療用画像ビデオクリップの計測における信頼度決定
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  • 特許-ビデオクリップ画像の画質に基づく医療用画像ビデオクリップの計測における信頼度決定 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】ビデオクリップ画像の画質に基づく医療用画像ビデオクリップの計測における信頼度決定
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20220707BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220707BHJP
   G16H 30/00 20180101ALI20220707BHJP
【FI】
A61B8/00
A61B5/00 G
G16H30/00
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018128456
(22)【出願日】2018-07-05
(65)【公開番号】P2020010726
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】16/017,757
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517356184
【氏名又は名称】キャプション ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ カデュー
(72)【発明者】
【氏名】ハー ホン
(72)【発明者】
【氏名】キリアン ケプセル
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ポイルバート
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジー. キャノン
(72)【発明者】
【氏名】ナタナエル ロマーノ
(72)【発明者】
【氏名】チン シエ
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル スレッテ
(72)【発明者】
【氏名】ナタリア ビレンコ
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-122686(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0096528(US,A1)
【文献】特開2013-192697(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0243300(US,A1)
【文献】国際公開第2011/102401(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0321165(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 ー 8/15
A61B 5/00 - 5/01
G06Q 50/22 - 50/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用画像作製におけるビデオクリップの画質を決定する方法であって、
対象とする器官のビデオクリップ画像群をデータ記憶装置からホスト・コンピュータの
メモリへ読み出すステップと、
読み出したビデオクリップ画像群に関連して、前記ビデオクリップ画像群に付与された
画質値を特定するステップと、
読み出したビデオクリップ画像群に基づいて、前記対象とする器官の計測値を計算する
ステップと、
特定された前記画質値に基づいて計算された前記計測値に関する信頼度を決定するステ
ップと、
前記信頼度の決定値を前記ホスト・コンピュータが提供するユーザ・インタフェースに
表示するステップと、を含むこと
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記メモリに読みだすために、前記ビデオクリップ画像群に付与された特定の最高画質
値に基づいて、複数のビデオクリップ画像群の中から前記対象とする器官の前記ビデオク
リップ画像群を選択するステップをさらに含むこと
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記信頼度決定値は、より高い特定された画質値に対応してより高い値になること
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記読み出したビデオクリップ画像群が、前記対象とする器官の特定の図と該特定の図
に対応して付与された画質値を示すこと
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記信頼度の決定値が所定の閾値を下回ることがないか否かを判定し、判定結果を前記
ユーザ・インタフェースに表示して、前記計測値を計算するために必要とされる画質が満
足されているか否かを示すこと
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
医療用画像群作製におけるビデオクリップの画質決定のために構成された医療用画像群
作製用のデータ処理システムであって、
メモリと少なくとも一つのプロセッサを備えたホスト・コンピュータと、
該ホスト・コンピュータに結合された、対象とする器官のビデオクリップ画像群を格納
するデータ記憶装置と、
前記ホスト・コンピュータの前記メモリで実行されるコンピュータ・プログラム命令を
含むビデオクリップ画質決定モジュールと、を含み、
前記プログラム命令は、前記プロセッサで実行されるとき、
対象とする器官のビデオクリップ画像群をデータ記憶装置からホスト・コンピュータの
メモリへ読み出すステップと、
読み出したビデオクリップ画像群に関連して、前記ビデオクリップ画像群に付与された
画質値を特定するステップと、
読み出したビデオクリップ画像群に基づいて、前記対象とする器官の計測値を計算する
ステップと、
特定された前記画質値に基づいて計算された前記計測値に関する信頼度を決定するステ
ップと、
前記信頼度の決定値を前記ホスト・コンピュータが提供するユーザ・インタフェースに
表示するステップと、を実行すること
を特徴とする医療用画像群作製用のデータ処理システム。
【請求項7】
前記プログラム命令は、前記メモリに読みだすために、前記ビデオクリップ画像群に付
与された特定の最高画質値に基づいて、複数のビデオクリップ画像群の中から前記対象と
する器官の前記ビデオクリップ画像群を選択するステップをさらに含むこと
をさらに実行すること
を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記信頼度決定値は、より高い特定された画質値に対応してより高い値になること
を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
選択された前記ビデオクリップ画像群は、前記対象とする器官の特定の図と該特定の図
に対応する付与された画質値を示すこと
を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記信頼度の決定値が所定の閾値を下回ることがないか否かを判定し、判定結果を前記
ユーザ・インタフェースに表示して、前記計測値を計算するために必要とされる画質が満
足されているか否かを示すこと
を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
医療用画像作製におけるビデオクリップの画質を決定するためのコンピュータ・プログ
ラム製品であって、前記コンピュータ・プログラム製品はプログラム命令を含み該プログ
ラム命令と共に実施されるコンピュータ読取り可能な非一時的記憶媒体を含み、前記プロ
グラム命令はデバイスによって実行されて該デバイスに方法を実行させ、前記方法は、
対象とする器官のビデオクリップ画像群をデータ記憶装置からホスト・コンピュータの
メモリへ読み出すステップと、
読み出したビデオクリップ画像群に関連して、前記ビデオクリップ画像群に付与された
画質値を特定するステップと、
読み出したビデオクリップ画像群に基づいて、前記対象とする器官の計測値を計算する
ステップと、
特定された前記画質値に基づいて計算された前記計測値に関する信頼度を決定するステ
ップと、
前記信頼度の決定値を前記ホスト・コンピュータが提供するユーザ・インタフェースに
表示するステップと、を含むこと
を特徴とするコンピュータ・プログラム製品。
【請求項12】
前記メモリに読みだすために、前記ビデオクリップ画像群に付与された特定の最高画質
値に基づいて、複数のビデオクリップ画像群の中から前記対象とする器官の前記ビデオク
リップ画像群を選択するステップをさらに含むこと
を特徴とする請求項11に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項13】
前記信頼度決定値は、より高い特定された画質値に対応してより高い値になること
を特徴とする請求項11に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項14】
前記読み出したビデオクリップ画像群が、前記対象とする器官の特定の図と該特定の図
に対応する付与された画質値を示すこと
を特徴とする請求項11に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項15】
前記信頼度の決定値が所定の閾値を下回ることがないか否かを判定し、判定結果を前記
ユーザ・インタフェースに表示して、前記計測値を計算するために必要とされる画質が満
足されているか否かを示すこと
を特徴とする請求項11に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用画像作製および医療診断に関し、より具体的には医療用画像作製および医療診断に用いるビデオクリップ選択器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用画像作製は、臨床分析および治療介入の目的で哺乳類の体の内側部分の視覚表示を作り出すプロセスを指す。医療用画像作製は病気の診断および治療を容易に行えるように哺乳類の体の外側部分によって隠れている内部構造を見えるようにすることである。医療用画像作製は、画像を取得するための複数の異なる撮影手段を合体させるものである。通常用いる撮影手段にはコンピュータ断層撮影(CT)を含むX線照射撮影のような放射線デバイス、核磁気共鳴画像法(MRI)、医療用エコー検査すなわち医療用超音波検査、内視鏡検査、硬度測定、触覚画像法、サーモグラフィ、医療用写真、並びに陽電子放出断層撮影(PET)および単一光子放出断層撮影(SPECT)のような核医学画像検査がある。医学的診断を目的とする画像をどのように使用するか、または、どの組織または器官もしくはその器官の部分を対象とするかによって、多様な画像群を取得するための多様な撮影手段が求められる。
【0003】
哺乳類の体の対象とする領域の医療用画像の作製は多数の異なる視角から行われる。厳密に言えば、医療用画像群は実際には2次元又は3次元の画像であるために、撮像デバイスの角度と近さによって対象とする領域の透視図は異なってくる。医療用画像作製用の撮影手段の場合と同じように、医学的診断を目的とする画像をどのように使用するか、または、どの組織または器官もしくはある器官のどの部分を対象とするかによって、医療用画像中にある対象とする領域の特定の図(view)が好まれる。
【0004】
最後に、哺乳類の体の対象とする領域の医療用画像作製の品質は様々である。つまり、作製された画像に基づいて最終的に診断をする外科医ではなく、作業者、すなわち技師によって、医療用画像の明瞭度および焦点は変わる。場合によっては、対象とする器官の取得しようとした図は、撮像センサの配置が適切でないためにその取得しようとした図から対象とする器官の肝心な特徴部分が抜けていて不完全な場合がある。他の場合には、撮像センサの配置は適切でも、哺乳類の体の解剖学的な特徴のような外的な要因のために対象とする器官の肝心な特徴部分の明瞭度が落ちる場合がある。
【0005】
医療用画像を作製するための従来の作業フローは、画像群からなる組を取得するために技師が撮影手段を患者に向けることから始まる。作製する画像群は、使用する撮影手段によって、静止画像またはビデオクリップ画像になる。通常、対象とする器官の特定の病気や機能障害の診断という作製する画像の最終目的を技師は自覚している。画像が取得されると、作製した画像群からなる組は、一般的には「PACS(Picture Archival Communications System)」または「医療用画像管理システム」と呼ばれる集中リポジトリに保存され、デジタルまたはアナログのいずれかのレポートが外科医による検査のために作製される。外科医は後で、作製した画像群の組と前記レポートを読み出して前記作製した画像群の分析を行う。外科医がこの分析を行うには、正確な図および正当な品質を有する画像群からなる組の中から最も適した画像を選択する必要がある。
【0006】
上述のプロセスは極めて時間がかかる場合がある。特に、医師が正確な図および正当な品質を有する正確な画像を選択するだけでなく、対象とする複数の異なる画像を同時に検査することによって診断を促進するために、選択した正確な画像を表示スクリーン上に効率的に配置する必要性があるような場合、時間がかかる。必要とされる品質の画像が作製した画像の組にはないが必要である場合、または必要とされる図を有する画像が、作製した画像の組にはない場合、外科医は患者に指示して不足している画像を撮影するために再び技師のところに来てもらわなければならない。このような余分の労力は患者、健康管理施設および外科医の労力の大変な無駄使いになる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態は、医療用画像群作製のためのクリップ選択における問題点を解決し、医療機器による画像群作製及び診断におけるビデオクリップの画質決定のための新規かつ進歩性のある方法、システム、及びコンピュータ・プログラム製品を提供することを目的とする。本発明の一実施形態では、医療用画像群作製におけるビデオクリップの画質決定のための方法は、最初に、データ記憶装置からホスト・コンピュータのメモリに、対象とする器官のビデオクリップ画像群を読み出すステップを含む。次に、ビデオクリップ画像群に付与された画質値を、読み出したビデオクリップ画像群と関連付けて識別する。対象とする器官の所定の計測値が、読み出したビデオクリップ画像群に基づいて計算される。最後に、計算された計測値に関する信頼度が識別された画質値に基づいて決定され、信頼度の決定値がホスト・コンピュータによって提供されるユーザ・インタフェースに表示される。
【0008】
前記実施形態の一態様では、前記方法は、選択されたビデオクリップ画像群の特定された最高画質値に基づいて、多数のビデオクリップ画像群の中から対象とする器官のビデオクリップ画像群をメモリに読み出すために選択するステップをさらに含む。前記実施形態の別の態様では、信頼度決定値は、対応する所定の画質値が高くなるとそれに応じてより高くなる。前記実施形態のさらに別の態様では、選択されたビデオクリップ画像群は、対象とする器官の特定の図を示し、かつ、前記特定の図に対応して付与された画質値も示す。最後に、前記実施形態のさらに別の態様では、前記計測値の計算に必要な画質が不十分である場合の表示のために前記信頼度値が閾値を下回るかどうかの判定が行われ、この判定結果がユーザ・インタフェースに表示される。
【0009】
本発明の別の実施形態では、データ処理システムは、医療用画像作製のため専用に構築され、かつ医療用画像作製におけるビデオクリップの画質決定のために調整されている。本システムは、メモリおよび少なくとも一つのプロセッサを備えたホスト・コンピュータ、該ホスト・コンピュータに結合された、対象とする器官のビデオクリップ画像群のデータ記憶装置、および、ビデオクリップの画質決定モジュールを含む。該画質決定モジュールは、前記ホスト・コンピュータの前記メモリで実行されるコンピュータ・プログラム命令を含む。該コンピュータ・プログラム命令は、前記プロセッサによって実行されるとき、対象となる器官のビデオクリップ画像群を前記データ記憶装置から読み出して前記ホスト・コンピュータの前記メモリに入れ、そして、この読み出したビデオクリップ画像群に関連して、このビデオクリップ画像群に付与された画質値を特定する。実行中の前記命令は、さらに、前記読み出したビデオクリップ画像群に基づいて、対象とする器官の所定の計測値を計算し、特定された画質値に基づいて前記計算された計測値に関する信頼度を決定する。最後に、前記実行中の命令は、前記ホスト・コンピュータによって提供されるユーザ・インタフェースに前記信頼度の決定値を表示する。
【0010】
本発明の追加の態様は、一部は以下の記載で説明され、一部は前記記載から明らかであり、また、一部は本発明の実施により理解することができる。これらの本発明の態様は、添付の特許請求の範囲で特に記載される構成要素および組み合わせによって実現および達成される。前述の概略的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、単に代表例でありかつ説明例であり、特許請求される本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであり、本発明の実施形態を明細書の記載と合わせて説明し、本発明の原理を説明するのに役立つ。本明細書に示された実施形態は現時点では好ましいものであるが、本発明はここに示された細緻な構成および手段には限定されないことを理解されたい。
【0012】
図1】医療用画像作製のためのビデオクリップの画質を決定する処理を図解した説明図である。
図2】医療用画像作製のためのビデオクリップの画質を決定するように構築されたデータ処理システムの概略説明図である。
図3】医療用画像作製のためのビデオクリップの画質を決定するための処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態は、ビデオクリップの画質決定を行う。本発明の実施形態によれば、指定された対象とする器官のビデオクリップ画像群が、対象とする多様な器官に関するビデオクリップ画像群の多様な組が格納されたデータ記憶装置から読み出される。前記ビデオクリップ画像群の各組には、組ごとに多様な画質値が関係づけられている。読み出されたビデオクリップ画像群は、対象となる器官のデータ記憶装置内のビデオクリップ画像群の組に対する多様な画質値の中で最高画質値が付与されている。次に、その読み出された最高画質値が付与されたビデオクリップ画像群に基づいて対象とする器官の所定の計測値が計算され、ホスト・コンピュータのディスプレイのユーザ・インタフェースに表示される。同様に、読み出されたビデオクリップ画像群の画質値に基づいて信頼度が決定され、ユーザ・インタフェースに表示される。最後に、決定された信頼度が計測値の計算に必要な最小信頼度を下回る場合、ユーザ・インタフェースに警告が表示される。
【0014】
さらに説明すると、図1で、医療用画像作製のためのビデオクリップの画質決定の処理を図解する。図1に示すように、一つの対象とする器官の複数の異なるビデオクリップ110がデータ記憶装置140に格納される。複数のビデオクリップ110が新しく撮像装置100から受信されデータ記憶装置140に追加されると、ビデオクリップ画質決定ロジック120は、複数のビデオクリップ110それぞれに対する一つの画質値130を決定する。例えば、ビデオクリップ画質決定ロジック120は、ビデオクリップ110の新しい一つの中に対象とする器官の特定の識別可能な構造が存在するかどうか、例えば前記対象とする器官の適切に取得された図の中に存在すると予想される特定の解剖学的特徴のような構造がビデオクリップ110の前記新しい一つの中に存在するかどうか、を決定することにより、前記ビデオクリップ110の新しい一つに対する前記新しい一つの画質値130を決定する。ビデオクリップ画質決定ロジック120は、期待される解剖学的特徴の数が多く鮮明度が高いほど、より高い品質値130、たとえば米国救急医学会(ACEP)の超音波検査画像の画質に対するスコアリングシステム等の医療ガイドラインに対応する数値を、ビデオクリップの前記新しい一つに付与する。このようにして、データ記憶装置内のビデオクリップ110の各々が、対応する画質値130と関係付けられる。
【0015】
続いて、一つまたは複数のビデオクリップ110が、対象とする器官に係る医療診断に必要な一つの計測値150の計算に使用するために選択される。次に、計算された計測値150は、ビデオクリップ画質決定ロジック120へのユーザ・インタフェース180に表示される。同様に、前記一つまたは複数のビデオクリップ110の識別情報が、該一つまたは複数のビデオクリップ110の各々に対する画質値に対応するグラフィカルアイコン180と共にユーザ・インタフェース180に表示され、その結果、検査する医師が計測値150の計算に使用された画像群の特性を理解できるようになる。図1に示すように、前記グラフィカルアイコンは、棒グラフの棒の数が多いほど高さが高くなり画質が良いことを意味するような棒グラフである。
【0016】
バー1本は、識別可能な構造がビデオクリップ110の対応する一つに存在しないので、ACEPスコア「1」の場合と同様に、ビデオクリップ110の対応する一つから目的とするデータを何も収集することができないことを示す。また、バー1本は、ビデオクリップ110の前記対応する一つに最小限識別可能な構造が存在する可能性があるが、認識可能な構造の数は、ACEPスコア「2」の場合のように計算された計測値150に基づいて医療診断を実行するには不十分であることを示す。次に、バー2本は、必要な数の認識可能な構造を用いた医療診断の最低基準を満たしているが、ACEPスコア「3」の場合のように、ビデオクリップ110の前記対応する一つの明瞭度が不適であることを示す。最後に、バー3本は医療診断の基準が満たされ、すべての構造がよい画質で撮像され、ACEPスコア「4」の場合のように医療診断の支援が容易に行えることを示す。また、バー3本は、医療診断のための最低基準が満たされていること、すべての構造が優れた画質で撮像され優れた検査を受けていること、かつ、計算された計測値150に関連する医療診断が、ACEPスコア「5」の場合のように、ビデオクリップ110の前記対応する一つによって完璧な支援を受けられることを示す。
【0017】
しかしながら、最も重要なことは、計測値150の信頼度160をユーザ・インタフェース180に表示することができることである。ここで、信頼度160は、計測値150の計算で使用されるビデオクリップ110の各々に対する画質値130に基づいて計算された値である。信頼度160は、一つの画像の画質スコア、例えば、以前に収集されACEPスコアを付与されたビデオクリップの組の中の類似する画質を持つ類似する画像に付与されたACEPスコアに対する、ビデオクリップ110の前記対応する一つに画質値130の付与を行うために計算された尺度である。その結果、信頼度160は、計測値150を計算するために使用されるビデオクリップ110の前記対応する一つの画質から直接得られる結果として、医師が前記計測値を信頼できる可能性を示す。
【0018】
図1に関連して説明した処理は、データ処理システムに実装することができる。さらに説明すると、図2は、医療用画像作製ためのビデオクリップの画質決定のために構成されたデータ処理システムを概略的に示す。本システムは、メモリおよび少なくとも一つのプロセッサを備えたホスト・コンピュータ210を含み、対象とする多様な器官の多様なビデオクリップ230を格納するデータ記憶装置220に結合され、各クリップは一つの画質値を有する。オペレーティングシステム240は、ホスト・コンピュータ210のメモリ内で実行され、ビデオクリップ画像群画質決定モジュール300の動作を支援し、ビデオクリップ画像群画質決定モジュール300へのユーザ・インタフェース270の表示を管理する。
【0019】
ビデオクリップ画像群画質決定モジュール300は、ホスト・コンピュータ210のメモリ内で実行されるとき、データ記憶装置220内のビデオクリップ230の各々を受信し、それに画質値を付与することが可能にされるコンピュータ・プログラム命令を含む。例えば、ディープニューラルネットワーク260は、既知の画質をそれぞれが有する、対象とする器官の複数のビデオクリップのトレーニング用の組でトレーニングされる。その後、ビデオクリップ画像群画質決定モジュール300は、新たに受信した複数のビデオクリップ230をデータ記憶装置220に格納するために送出し、受信したビデオクリップ230の一つに相応の画質値を付与するために前記受信したビデオクリップ230の一つをニューラルネットワーク260に送出する。
【0020】
ビデオクリップ画像群画質決定モジュール300のプログラム命令は、対象とする器官に対する計測値を計算する際に使用するために、データ記憶装置220内に格納されたビデオクリップ230から一つを選択することを支援することを可能にされる。これに関して、計測値を正しく計算するために必要な図各々に対して、最高画質値を付与されたビデオクリップを選択することができる。ビデオクリップを選択すると、ビデオクリップ画像群画質決定モジュール300の前記プログラム命令は、計算した計測値とともにユーザ・インタフェース270に表示するために前記ビデオクリップに関係づけられた前記画質値を読み出す。これに関して、ACEPスコア表250または同様の表を使用して、ユーザ・インタフェース270に表示するために、前記付与された画質値を、この画質値のアイコン表現で表示することができる。
【0021】
最後に、ビデオクリップ画像群画質決定モジュール300の前記プログラム命令は、ビデオクリップ230から選択された一つのビデオクリップの関連する画質と、ビデオクリップ230の選択された前記一つのビデオクリップと類似した画質を持つビデオクリップの以前に手動で付与された画質と、の比較に基づいて、ユーザ・インタフェース270に表示される前記計算された計測値に対する信頼度を決定することを可能にされる。このようにして、計算された計測値を受け取る医師は、この計測値を計算するために使用されたビデオクリップ230から選択された一つのビデオクリップの画質に関する表示と、ビデオクリップ画像群画質決定モジュール300の支援なしで計測を実行した場合の信頼度に対する前記計測値の信頼度に関する表示とを見ることができる
【0022】
計算された計測値の信頼度は、前記画質を計算するために使用されたビデオクリップ230の画像と、前記計算された計測値の計算手段に代わる代替手段によって以前に前記計測値を計算する際に利用された、類似した画像の画質との比較に基づいて、前記計算された計測値の予測精度を定量化したものである。例えば、前記比較では、計測値の精度と相関があることが知られている画像群の特徴の属性に注意が向けられる。これらの特徴の属性は、例えば、画像内に存在する構造の明確に定義された視覚的な境界などの特定の解剖学的構造の特定の特徴に関する属性を有する画像と、既知の正確な計測値と、を関連付ける過去の知識を基に表形式で記録することができる。あるいは、これらの特徴の属性は、画像に対する正確な計測値を生成していることが事前に知られている、一連の画像に対してトレーニングされたニューラルネットワークまたは機械学習処理を通じて、画像の一つまたは複数のピクセル要素の相関をとる自動化された方法で特定される。
【0023】
このように、計算された計測値を受信した診断医は、画像群の画質の比較に基づいて、計算された計測値がどの程度信頼性が高いかに関する指標を受け取ることになる。このような比較がないと、医師は、計測値の計算に使用された画像の画像特性を確認して、測定に用いた画像の適切さを自分で意識して評価するために余分な労力と時間を費やさなければならなくなる。
【0024】
ビデオクリップ画像群画質決定モジュール300の動作をさらに別の例で説明すると、図3は、医療用画像作製のためのビデオクリップの画質を決定するための処理を示すフローチャートである。開始ブロック310では、ビデオクリップがメモリにロードされ、対象とする器官の医療診断に必要な計測値を計算するために使用される。次に、ブロック320で、複数のビデオクリップから選択された一つのビデオクリップに基づいて計算された計測値が受信されてメモリに入れられ、そして、ブロック330で、決定された計測値の計算に使用された前記選択された一つのビデオクリップに対する画像が受信されてメモリに入れられる。ブロック340では、前記選択された一つのビデオクリップに関連づけられた画質値が読み出されメモリに入れられる。その後、ブロック350で、前記関連する画質値に基づいて信頼度が決定される。
【0025】
ここで、複数の画像から選択された一つをニューラルネットワークに送出することができる。該ニューラルネットワークは、複数のビデオクリップから選択された一つと特定のACEPスコアの注釈がついた類似する画質を有するビデオクリップとを関係づけるようにトレーニングされている。次に、相対的な信頼性能の尺度が、類似するビデオクリップの注釈につけられたACEPスコアに対する、前記ビデオクリップの画質値のパーセント比として計算される。前記尺度はテキスト形式で表示することができ、前記ビデオクリップの画質値が、類似する画質のビデオクリップの特定のACEPスコアから導出された値の5%以内にある場合は「平均性能に等しい」、前記画質値が前記特定のACEPスコアから導出された値より5%以上高い場合は「平均性能より高い」、または、前記画質値が前記特定のACEPスコアから導出された値より5%以上低い場合は「平均性能より低い」と表示することができる。
【0026】
前記信頼度がブロック350において決定されると、ブロック360において、計算された各計測値に関して、前記計測値を計算するときに使用するために選択されたビデオクリップ、該選択されたビデオクリップの各々に対して関連付けられた画質値、及び、前記信頼度がユーザ・インタフェースに表示される。判定ブロック370で、信頼度が許容可能な閾値を下回ると判定された場合、ブロック380で、ユーザ・インタフェースに警告が出される。いずれの場合でも、ブロック390で処理が終了する。
【0027】
本願発明はシステム、方法、コンピュータ・プログラム製品またはこれらの任意の組み合わせとして実現される。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本願発明の特長を実行させるコンピュータ読み取り可能なプログラム命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体またはメディアを含む。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は命令を実行するデバイスによって用いられる命令を保持、記憶する有形のデバイスである。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、限定を目的としていないが、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁気記憶媒体、半導体記憶媒体または上記した媒体の任意の組み合わせとすることができる。
【0028】
本明細書中のコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体から個別の計算/処理デバイスに、またはネットワークを介して外部コンピュータもしくは外部記憶デバイスにダウンロードできる。コンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、すべてユーザーのコンピュータ上で実行され、一部ユーザーのコンピュータ上でかつ一部は遠隔にあるコンピュータ上で実行され、またはすべて遠隔にあるコンピュータもしくはサーバー上で実行される。本願発明の特長は、本願発明の実施形態にしたがう、フローチャートによる図解、ならびに/または方法、装置(システム)およびコンピュータ・プログラム製品からなるブロック概略図を参照して本明細書中で説明される。フローチャート図解および/またはブロック概略図中の各ブロックならびにフローチャート図解および/またはブロック概略図中の複数のブロックの組み合わせはコンピュータ読み取り可能な命令によって実装される。
【0029】
このようなコンピュータ読み取り可能な命令は汎用コンピュータ、専用目的コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに与えられて、これらコンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置プロセッサで実行される命令は、フローチャートのブロックおよび/またはブロック概略図のブロック中に特定される機能/作用を実装する手段を作り出す。このようなコンピュータ読み取り可能な命令はまたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶され、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体はコンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置および/または他の所定の形式で機能するデバイスに命令する。したがって、命令が記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、フローチャートのブロックおよび/またはブロック概略図のブロック中に特定される機能/作用を実装する命令を含む製造物を含む。
【0030】
前記したコンピュータ読み取り可能な命令はコンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置または他のデバイスにロードされてコンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置または他のデバイス上で実行されて、コンピュータが実行するプロセスを作る。その結果、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置または他のデバイス上で実行される命令は、フローチャートのブロックおよび/またはブロック概略図のブロック中に特定される機能/作用を実行する。
【0031】
添付した図面中のフローチャートとブロック概略図は、本願発明の様々な実施形態にしたがうシステム、方法およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装形態に関するアーキテクチャ、機能および動作を説明する。この点に関して、フローチャートまたはブロック概略図中のブロックの各々は、特別な論理機能を実装するための一つ以上の実行可能な命令を含むモジュール、セグメントまたは部分を表す。代わりの実装のやり方では、ブロック中に示された機能が、添付した図面内に示された命令から生じる。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際のところ実質的に同時に実行されてもよく、また必要とする機能によっては、すべてのブロックを逆の順番で実行してもよい。ブロック概略図および/またはフローチャート図解中の各ブロックならびにブロック概略図および/またはフローチャート図解中の複数のブロックの組み合わせは、専用目的のハードウェアに基づいたシステムによって実行することができ、このシステムは特定の機能または作用を実装し、専用の目的のハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせを実行することはわかるはずである。
【0032】
最後に、本明細書中で用いられる専門用語は特定の実施形態のみを説明する目的で使用されたものであり、本願発明を限定することを意図するものではない。本願明細書中で用いられている単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈から明示的に単数と示される場合を除き、複数形も含む。「含む(includes)」および/または「含んでいる(including)」という用語が本明細書中で用いられるとき、記載された特徴、整数、ステップ、工程、要素および/または部品が存在することを明らかにし、一つ以上の他の特徴、整数、ステップ、工程、要素、部品および/もしくはこれらの組み合わせが存在することまたは追加されることを除外するものではない。
【0033】
以下の特許請求の範囲中のすべての手段もしくはすべてのステップを含む機能を行なう要素と同一の構造、材料および動作またはこれらと同等なものは、特許請求の範囲で具体的に記載された特許請求の範囲中の他の要素と組み合わせてその機能を実行するための構造、材料もしくは動作を含むことを意図するものである。本願発明の詳細な説明は、図解と説明を目的として開示されているものであり、開示した形の本願発明にすべてを帰したり、それに限定したりすることを意図するものではない。本願発明の技術的範囲および主旨から逸脱しない変形例や変更例が多数存在することは当業者には明らかである。本願発明の原理を最もよく説明するために、さらに考えられる特別な使用に適する様々な変形例を有する様々な実施形態に対応する本願発明を当業者が理解することができるように、本明細書の実施形態は選択され、記載されたものである。
【0034】
以上のべたように本明細書の発明を詳細に、かつその実施形態を参照して記載したので、以下の特許請求の範囲に定義された本願発明の技術的範囲から逸脱することのない変形例や変更例が可能であることは明らかである。
図1
図2
図3