(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】過熱水蒸気生成装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/10 20060101AFI20220707BHJP
H05B 6/36 20060101ALI20220707BHJP
F22B 21/26 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
H05B6/10 301
H05B6/36 Z
F22B21/26
(21)【出願番号】P 2018169420
(22)【出願日】2018-09-11
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000110158
【氏名又は名称】トクデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(72)【発明者】
【氏名】外村 徹
(72)【発明者】
【氏名】藤本 泰広
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-176613(JP,A)
【文献】特開2012-163230(JP,A)
【文献】特開2012-163229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/02- 6/44
F22B 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状に巻回された円筒状の導体管を軸方向に短絡させて、当該導体管の内側及び外側又はその一方に設けられた磁束発生機構により誘導加熱して、前記導体管を流れる水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成装置であって、
前記導体管の導出ポートが前記導体管の軸方向中央部に設けられている、過熱水蒸気生成装置。
【請求項2】
前記導体管の導入ポートが前記導体管の軸方向両端部に設けられている、請求項1記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項3】
前記導体管は、軸方向中央部において2つの導体管要素に分割されており、各導体管要素の軸方向外側端部に前記導入ポートが設けられており、各導体管要素の軸方向内側端部に前記導出ポートが設けられている、請求項2記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項4】
前記各導体管要素の互いに隣接する巻回部分が電気的に接続されるとともに、前記2つの導体管要素の互いに隣接する対向部分が電気的に接続されて、前記導体管全体として短絡回路が構成されている、請求項3記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項5】
前記2つの導体管要素の対向部分において、前記導出ポートを除く部分が、周方向全体に亘って導電性を有する第1の接合要素によって接合されている、請求項4記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項6】
前記各導体管要素の導出ポートは、各導体管要素の軸方向内側端部を管直径の2倍の曲率半径で曲げて形成されている、請求項3乃至5の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項7】
前記2つの導体管要素の導出ポートは、互いに接触又は近接して設けられている、請求項3乃至6の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項8】
前記2つの導出ポートは、導電性を有する第2の接合要素によって接合されている、請求項3乃至7の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項9】
前記第2の接合要素は、前記導体管と同質材又は略同等物性であり、前記第2の接合要素の通電方向合計断面積が前記導体管の導体部断面積よりも大きい、請求項8記載の過熱水蒸気生成装置。
【請求項10】
前記磁束発生機構の少なくとも1つは、前記導出ポートの引き出し側とは反対側に設けられており、当該磁束発生機構は、軸方向に分割されずに一体構造とされている、請求項1乃至9の何れか一項に記載の過熱水蒸気生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱水蒸気生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、過熱水蒸気生成装置としては、特許文献1に示すように、螺旋状に巻回された円筒状の導体管の内側又は外側に磁束発生機構を設け、当該磁束発生機構より導体管を誘導加熱することにより、導体管を流れる水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成するものがある。導体管は、互いに隣接する巻回部分が電気的に接続されており、全体として1ターンの二次コイルとされている。また、導体管には、その軸方向一端部に水蒸気が導入される導入ポートが設けられており、軸方向他端部に過熱水蒸気を導出する導出ポートが設けられている。
【0003】
しかしながら、この導体管を誘導加熱すると、
図9に示すように、軸方向一端部に設けられた導入ポートの近傍、及び軸方向他端部に設けられた導出ポートの近傍の電流密度が大きくなる。そうすると、導出ポートの近傍、及び導出ポートの近傍の温度がその他の部分に比べて高くなってしまう。つまり、導出ポートの近傍、及び導出ポートの近傍が局所加熱されてしまう。このように加熱される導体管において水蒸気を導入ポートから導入し、加熱された過熱水蒸気を導出ポートから導出すると、過熱水蒸気は高温であることから、導出ポートの近傍の局所加熱部分は更に高温となってしまい、当該部分が熱劣化してしまい、導体管の寿命が短くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、導体管の導出ポートにおける熱劣化を抑制して導体管の寿命低下を防止することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る過熱水蒸気生成装置は、螺旋状に巻回された円筒状の導体管を軸方向に短絡させて、当該導体管の内側及び外側又はその一方に設けられた磁束発生機構により誘導加熱して、前記導体管を流れる水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成装置であって、前記導体管の導出ポートが前記導体管の軸方向中央部に設けられていることを特徴とする。なお、本発明において軸方向中央部とは、導体管の軸方向両端部を除く部分であればよく、導体管の軸方向最外側の巻回部分よりも内側であれば良い。
【0007】
このようなものであれば、誘導加熱される円筒状の導体管において、その導出ポートが導体管の軸方向中央部に設けられているので、誘導加熱により局所加熱される両端部分から導出ポートの位置を離すことができ、局所加熱される両端部分が過熱水蒸気により更に加熱されて生じる熱劣化を抑制することができる。その結果、導体管の寿命低下を防止することができる。
【0008】
円筒状の導体管において軸方向両端部が局所加熱されることになるが、加熱される前の水蒸気を局所加熱される部分又はその近傍から導入することによって、軸方向両端部の温度を低温に保つことができる。このため、前記導体管の導入ポートが前記導体管の軸方向両端部に設けられていることが望ましい。
【0009】
導体管の具体的な実施の態様としては、前記導体管は、軸方向中央部において2つの導体管要素に分割されており、各導体管要素の軸方向外側端部に前記導入ポートが設けられており、各導体管要素の軸方向内側端部に前記導出ポートが設けられていることが望ましい。
この構成であれば、螺旋状に巻回された2つの導体管要素を軸方向に配置することによって、円筒状の導体管を構成することができるとともに、導入ポート及び導出ポートを所望の位置に設けることができる。
【0010】
前記各導体管要素の互いに隣接する巻回部分が電気的に接続されるとともに、前記2つの導体管要素の互いに隣接する対向部分が電気的に接続されて、前記導体管全体として短絡回路が構成されていることが望ましい。
この構成であれば、各導体間要素の電位を低く抑えて、事故発生を防止することができる。
【0011】
前記2つの導体管要素の対向部分において、前記導出ポートを除く部分が、周方向全体に亘って導電性を有する第1の接合要素によって接合されていることが望ましい。
この構成であれば、各導体管要素に流れる電流を周方向において均一化することができ、局所加熱を低減することができる。また、2つの導体管要素の長さ等の構成が略同じであれば、第1の接合要素で接合される対向部分が類似温度となり、熱伸び差などの機械力が低減されて、導体管の劣化を抑制することができる。
【0012】
前記各導体管要素の導出ポートは、各導体管要素の軸方向内側端部を管直径の2倍の曲率半径で曲げて形成されていることが望ましい。
この構成であれば、管のつぶれを大きくしない限界曲率(最小曲げ半径)である管直径の2倍の曲率半径で曲げて導出ポートを形成しているので、2つの導出ポートを近接させて配置することができ、2つの導体管要素の間の隙間を極力小さくすることができる。その結果、電流密度の局所増加が少なくなり局所加熱を低減することができる。
【0013】
各導出ポートから導出される過熱水蒸気を利用するにあたり、外部配管の取り回しを簡単にするためには、前記2つの導体管要素の導出ポートは、互いに接触又は近接して設けられていることが望ましい。
【0014】
前記2つの導出ポートは、導電性を有する第2の接合要素によって接合されていることが望ましい。このように2つの導出ポートを接合して電気的短絡を行えば、電流は接合部分に迂回して流れるので電流密度の局所増加を抑えることができる。つまり、局所加熱を低減することができる。
【0015】
第2の接合要素による接合部分は、短絡回路を構成して電流を流すためものである。つまり、第2の接合要素により接合することによって、導出ポートが設けられた巻回部分に隣り合う巻回部分に流れ込む電流を低減することができる。接合部分に流れる電流値は導体管と同じであることから、前記第2の接合要素の通電方向合計断面積を前記導体管の導体部断面積よりも大きくすることで、分割しない状態と近い短絡電流値を確保することができる。また、前記第2の接合要素を前記導体管と同質材又は略同等物性としているので、導体管よりも低い電気抵抗を確保しつつ、熱伸び等の機械特性も同等にすることができる。
【0016】
磁束発生機構の誘導コイルが軸方向において分割されていると、誘導コイルの軸方向端部において局所加熱される要因となってしまう。このため、前記磁束発生機構の少なくとも1つは、前記導出ポートの引き出し側とは反対側に設けられており、当該磁束発生機構は、軸方向に分割されずに一体構造とされていることが望ましい。
この構成であれば、導出ポートの引き出し側とは反対側における局所加熱を低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
このように構成した本発明によれば、導体管の導出ポートにおける熱劣化を抑制して導体管の寿命低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る過熱水蒸気生成装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図2】同実施形態の過熱水蒸気生成装置の構成を模式的に示す断面図である。
【
図3】同実施形態の導体管の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図4】同実施形態の導体管の構成を模式的に示す平面図である。
【
図5】同実施形態の導体管の構成を模式的に示す正面図である。
【
図6】同実施形態の各導体管要素を分離した状態を示す斜視図である。
【
図7】同実施形態の導出ポート及び第2の接合要素を示す斜視図である。
【
図8】同実施形態の導体管の電流密度分布を示すシミュレーション結果である。
【
図9】従来の導体管の電流密度分布を示すシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明に係る過熱水蒸気生成装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
<1.装置構成>
本実施形態に係る過熱水蒸気生成装置100は、外部で生成された水蒸気を加熱して、100℃超(200℃~2000℃)の過熱水蒸気を生成するものである。
【0021】
具体的に過熱水蒸気生成装置100は、
図1及び
図2に示すように、螺旋状に巻回された導体管2と、当該導体管2を誘導加熱する磁束発生機構3とを備えている。
【0022】
導体管2は、導電性を有する管を螺旋状に巻回することによって円筒状とされるとともに軸方向に短絡されたものであり、水蒸気が導入される導入ポートP1と過熱水蒸気を導出する導出ポートP2を有している。また、導体管2の1巻に相当する巻回部分は互いに接触又は近接している。導体管2の材質としては、例えばオーステナイト系ステンレス鋼やインコネル合金を用いることができる。なお、導体管2の詳細な構成は後述する。
【0023】
磁束発生機構3は、導体管2の内側及び外側に設けられて導体管2を誘導加熱するものであり、導体管2の内面及び側面に沿って設けられた誘導コイル31を有している。なお、磁束発生機構3は、図示しない鉄心等の磁路形成部材を有するものであっても良い。誘導コイル31には、商用周波数(50Hz又は60Hz)の交流電源により交流電圧が印加される。
【0024】
このように構成された過熱水蒸気生成装置100では、誘導コイル31に50Hz又は60Hzの交流電圧を印加することによって、導体管2に誘導電流が流れて導体管2がジュール発熱する。そして、導体管2を流れる水蒸気が、導体管2の内面から熱を受けて加熱されて過熱水蒸気が生成される。
【0025】
しかして本実施形態の過熱水蒸気生成装置100では、
図1~
図5に示すように、導体管2の導入ポートP1が導体管2の軸方向両端部に設けられるとともに、導体管2の導出ポートP2が導体管2の軸方向中央部に設けられている。本実施形態の導出ポートP2は、導体管2を軸方向に2等分した位置に設けられているがこれに限られない。
【0026】
具体的に導体管2は、
図3~
図5に示すように、軸方向中央部において2つの導体管要素21、22に分割されている。そして、各導体管要素21、22の軸方向外側端部21a、21bに導入ポートP1が設けられており、各導体管要素21、22の軸方向内側端部21b、22bに導出ポートP2が設けられている。これら2つの導体管要素21、22を軸方向に連続して配置することによって、導体管2の導入ポートP1が導体管2の軸方向両端部に設けられるとともに、導体管2の導出ポートP2が導体管2の軸方向中央部に設けられることになる。
【0027】
各導体管要素21、22の互いに隣接する巻回部分が例えば溶接により電気的に接続されるとともに、2つの導体管要素の互いに隣接する対向部分が電気的に接続されて、導体管全体として短絡回路が構成されている。これにより、導体管2は1ターンの二次コイルとなる。なお、本実施形態の各導体管要素21、22は互いに同じ巻回数であるが、これに限られない。
【0028】
ここで2つの導体管要素21、22の対向部分において、導出ポートP2を除く部分が、周方向全体に亘って導電性を有する第1の接合要素(不図示)によって接合されている。この第1の接合要素は、溶接により形成されたものであっても良い。
【0029】
本実施形態では、各導体管要素21、22の導出ポートP2は、
図4に示すように、各導体管要素21、22の軸方向内側端部21b、22bを管直径の2倍の曲率半径で曲げて形成されている。ここでは、導出ポートP2は、各導体管要素21、22の巻回部分を径方向外側に折り曲げられることによって形成されている。
【0030】
一方の導体管要素21の軸方向内側端部21bと他方の導体管要素22の軸方向内側端部22bとは、周方向において互いに相寄る構成であり、2つの導体管要素21、22の導出ポートP2は、互いに接触又は近接して設けられている。
【0031】
これら2つの導出ポートP2は、
図6に示すように、導電性を有する第2の接合要素23によって互いに電気的に接合されている。本実施形態では、2つの導出ポートP2の間に形成される空間を埋めるように第2の接合要素23により接合されている。第2の接合要素23は、導体管2と同材質又は概略同等物性である。また、第2の接合要素23の通電方向合計断面積2aは、導体管2の導体部断面積Sよりも大きくしてある(2a>S)。ここで通電方向合計断面積aは、第2の接合要素23における導体管2の対向方向に直交する方向の断面積である。なお、第2の接合要素23が導出ポートP2の上下何れか一方にのみ設けられている場合は、通電方向合計断面積はaとなる。
【0032】
このように構成された導体管2に対して磁束発生機構3は、
図1及び
図2に示すように、導体管2の内側及び外側に設けられている。導体管2の外側(導出ポートP2の引き出し側)に設けられた磁束発生機構3xは、軸方向に分割されて導出ポートP2の上側と下側とにそれぞれ設けられている。また、導体管2の内側(導出ポートP2の引き出し側とは反対側)に設けられた磁束発生機構3yは、軸方向に分割されずに一体構造とされている。
【0033】
次に本実施形態の導体管2を誘導加熱した場合の電流密度分布のシミュレーション結果を
図8に示す。
図8において、(a)は、従来構成の導体管のシミュレーション結果である。(b)は、導体管2を2分割した場合のシミュレーション結果である。(c)は、本実施形態の導体管2のシミュレーション結果である。
【0034】
(a)~(c)の何れにおいても軸方向両端部の開口近傍において電流密度が大きいことが分かる。(b)では、分割した部分の隙間を挟んだ上下の巻回部分において電流密度が大きくなっていることが分かる。一方、(c)では、軸方向中央部から導出ポートを引き出すとともにそれらを短絡させることによって、当該導出ポートにおける電流密度及び導出ポートの近傍の電流密度が低減されていることが分かる。
【0035】
<2.本実施形態の効果>
このように構成した過熱水蒸気生成装置100によれば、誘導加熱される円筒状の導体管2において、その導出ポートP2が導体管2の軸方向中央部に設けられているので、誘導加熱により局所加熱される両端部分から導出ポートP2の位置を離すことができ、局所加熱される両端部分が過熱水蒸気により更に加熱されて生じる熱劣化を抑制することができる。また、導出ポートP2が形成された巻回部分には隣り合う巻回部分が接続されているので、導出ポートP2の熱が隣り合う巻回部分に分散されることによっても熱劣化を抑制することができる。その結果、導体管2の寿命低下を防止することができる。
【0036】
本実施形態では、導体管2の導入ポートP1が導体管2の軸方向両端部に設けられているので、局所加熱される軸方向両端部を加熱される前の水蒸気によって低温に保つことができる。
【0037】
本実施形態では、導体管2を2つの導体管要素21、22に軸方向に配置することによって、導入ポートP1及び導出ポートP2を形成しているので、その構成を簡単にすることができるとともに、導入ポート及び導出ポートを所望の位置に設けることができる。
【0038】
本実施形態では、2つの導体管要素21、22の対向部分において、導出ポートP2を除く部分を周方向全体に亘って第1の接合要素によって接合しているので、各導体管要素21、22に流れる電流を周方向において均一化することができ、局所加熱を低減することができる。また、2つの導体管要素の長さ等の構成が略同じとしているので、第1の接合要素で接合される対向部分が類似温度となり、熱伸び差などの機械力が低減されて、導体管の劣化を抑制することができる。
【0039】
各導体管要素21、22の導出ポートP2は、各導体管要素21、22の軸方向内側端部21b、22bを管直径の2倍の曲率半径で曲げて形成されているので、2つの導出ポートを近接させて配置することができ、2つの導体管要素21、22の間の隙間を極力小さくすることができる。その結果、電流密度の局所増加が少なくなり局所加熱を低減することができる。
【0040】
また、2つの導出ポートP2を第2の接合要素23によって接合しているので、短絡電流は接合部分に迂回して流れるので電流密度の局所増加を抑えることができる。つまり、局所加熱を低減することができる。このとき、第2の接合要素23の通電方向合計断面積2aを導体管2の導体部断面積Sよりも大きくすることで、分割しない状態と近い短絡電流値を確保することができる。また、第2の接合要素23を導体管2と同質材又は略同等物性としているので、導体管2よりも低い電気抵抗を確保しつつ、熱伸び等の機械特性も同等にすることができる。
【0041】
導体管2の内側に設けられた磁束発生機構3yが軸方向に分割されずに一体構造とされているので、導体管2の内側における局所加熱を低減することができる。
【0042】
<3.本発明の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0043】
例えば、前記実施形態では、導体管2が2つの導体管要素21、22から構成されるものであったが、3つ以上の導体管要素から構成されるものであっても良い。
【0044】
また、前記実施形態では、導体管2を分割することによって導出ポートP2を形成しているが、導体管2を分割することなく、導体管2の中央部における側壁に開口を形成して、当該開口に導出ポートP2となる導出管を接続することによって導出ポートを形成しても良い。
【0045】
前記実施形態では導出ポートが径方向外側に引き出されていたが、径方向内側に引き出す構成としても良い。この場合、導体管の内側に設けられる磁束発生機構が軸方向に分割された構造とし、導体管の外側に設けられる磁束発生機構が軸方向に分割されない一体構造とする。
【0046】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
100・・・過熱水蒸気生成装置
2・・・導体管
3・・・磁束発生機構
P1・・・導入ポート
P2・・・導出ポート
21、22・・・導体管要素
21a、22a・・・軸方向外側端部
21b、22b・・・軸方向内側端部
23・・・接合要素