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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】ベルト調節装置
(51)【国際特許分類】
   A44B 11/02 20060101AFI20220707BHJP
   A42B 3/04 20060101ALI20220707BHJP
   A45C 13/10 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
A44B11/02
A42B3/04
A45C13/10 L
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2019160070
(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公開番号】P2021037069
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】515348460
【氏名又は名称】有限会社サンクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森下 明典
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-178610(JP,A)
【文献】実開平05-043904(JP,U)
【文献】特開2002-172016(JP,A)
【文献】特開2010-057574(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0205551(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 11/02
A42B 3/04
A45C 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一のベルトを長さ調節可能に連結したベルト調節装置であって、
ベルト折返し用の略矩形状の開口部が内周側に形成された枠体と、
前記ベルトの幅と略同一の幅に形成された厚肉部と当該厚肉部の後方で当該厚肉部より薄く形成された薄肉部とを有し、前記開口部の中で前記厚肉部の先頭部に前記ベルトを巻回して前後方向に折返し、前記枠体内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状のベルト折返し部材とを備え、
前記枠体の後端側には、前記ベルト折返し部材と前記ベルトとを挿入するベルト挿入部が形成され、当該ベルト挿入部には、前記枠体の左右の側壁部に接続され前記厚肉部との間で前記ベルトを上下方向に狭圧して拘束する上押え部と下押え部とが形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたベルト調節装置において、
前記上押え部のベルト当接面と前記下押え部のベルト当接面とが、前後方向で互いに平行に形成され、
前記厚肉部は、上下方向の厚さが後端側から前端側に向けて徐々に増加するように形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたベルト調節装置において、
前記枠体の左右の側壁部には、前記ベルト折返し部材を前記ベルトの長さを調節する前進位置から前記ベルトを固定する後退位置まで移動させる案内溝が前後方向に形成され、
前記ベルト折返し部材には、前記案内溝に係合され当該案内溝の前端部から後端部まで移動する案内突起が前記厚肉部の左右の外側端部に形成されていること、
前記厚肉部は、中間部で左右に分離して形成され、分離された左右の厚肉部が、前記薄肉部を介して略U字状に連結されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたベルト調節装置において、
前記左右の厚肉部の内側端部には、左右方向に微小隙間で対向可能に形成された一対の衝立部を備え、
前記衝立部は、前記左右の厚肉部を上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載されたベルト調節装置において、
前記ベルト折返し部材の側部には、左右外方へ弾発的に突出した規制部を備え、当該規制部には、前記ベルト折返し部材を後退位置に移動させたとき、前記枠体の側壁部の後端縁と当接し、前記ベルト折返し部材の前進を規制する段差部が形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項6】
請求項乃至請求項5のいずれか1項に記載されたベルト調節装置において、
前記ベルト挿入部には、前記上押え部と前記厚肉部と前記下押え部との各間で前記ベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、前記ベルト側へ食い込む複数の突起部が形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項7】
請求項6に記載されたベルト調節装置において、
前記厚肉部には、前記上押え部と前記厚肉部と前記下押え部との各間で前記ベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、前記ベルト側へ食い込む突起部が前記ベルト挿入部の突起部より後方に形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載されたベルト調節装置において、
長さ固定用のベルトが基端部側に固定され、係止爪が先端部側に形成されたストライカを備え、
前記枠体における前記開口部の前端側には、前記ストライカを係脱可能に収納するストライカ収納部と、当該ストライカ収納部内にあって前記ストライカの係止爪と係合する係合突起とが形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項9】
請求項8に記載されたベルト調節装置において、
前記ストライカには、前記ストライカ収納部内に挿入する左右一対の差込脚部が左右中央側に形成され、前記ストライカ収納部の左右中央部には、前記差込脚部同士の隙間に挿入される案内リブが前後方向に形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項10】
請求項9に記載されたベルト調節装置において、
前記差込脚部の左右外方には、前記係止爪と当該係止爪を前記係合突起から離脱させる操作部とが形成されていること、
前記ストライカ収納部の左右側部には、前記操作部を露出させる操作用開口部を備え、当該操作用開口部の近傍に前記係合突起が形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項11】
請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載されたベルト調節装置において、
前記ストライカ収納部の上蓋部には、上方へ向けてテーパ状に開放された装飾用開口部が形成されていること、
前記装飾用開口部には、中央部が表面側に露出し、外縁部が前記装飾用開口部内に埋設された装飾部材が装着されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項12】
請求項11に記載されたベルト調節装置において、
前記装飾部材は、表面が宝石状にカット加工された装飾体と、当該装飾体の裏面を支持する受け金とからなり、当該受け金の外縁部が、前記装飾用開口部に形成された係止溝に挿入されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項13】
請求項11に記載されたベルト調節装置において、
前記装飾部材は、透明で平板状に形成された表板と、当該表板と同形の裏板と、両板間に挟まれた装飾フィルムとからなり、前記表板の外縁部と前記裏板の外縁部とが、前記装飾用開口部に形成された係止溝に挿入されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項14】
請求項8に記載されたベルト調節装置において、
前記ストライカには、左右中央側に形成され前記ストライカ収納部内に挿入される左右一対の差込脚部と、左右両側に湾曲状に形成され前記ストライカ収納部内に挿入される係止脚部とを備え、
前記ストライカ収納部には、前記差込脚部同士の隙間に挿入される案内リブが形成され、前記係止脚部の先端部には、前記係止爪が形成され、前記ストライカ収納部の左右側部には、前記係止脚部の先端部から略V字状に折り返す折返し部に形成された操作部を露出させる操作用開口部が形成され、前記開口部と前記ストライカ収納部との境界部には、前記係合突起が形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項15】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載されたベルト調節装置において、
前記枠体における前記開口部の前端側には、ベルト固定枠が形成され、当該ベルト固定枠に長さ固定用のベルトが巻回されて固定されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項16】
請求項3乃至請求項7のいずれか1項に記載されたベルト調節装置において、
前記枠体における前記開口部の前端側には、長さ調節用の第2のベルトを挿入させる第2のベルト挿入部が形成され、
前記第2のベルトの幅と略同一の幅に形成された第2の厚肉部と当該第2の厚肉部の前方で当該第2の厚肉部より薄く形成された第2の薄肉部とを有し、前記開口部の中で前記第2の厚肉部の先頭部に前記第2のベルトを巻回して前後方向に折返し、前記枠体内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状の第2のベルト折返し部材を備え、
前記第2のベルト挿入部には、前記枠体の左右の側壁部に接続され前記第2の厚肉部との間で前記第2のベルトを上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部と第2の下押え部とが形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項17】
請求項16に記載されたベルト調節装置において、
前記第2の上押え部のベルト当接面と前記第2の下押え部のベルト当接面とが、前後方向で互いに平行に形成され、
前記第2の厚肉部は、上下方向の厚さが前端側から後端側に向けて徐々に増加するように形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項18】
請求項16又は請求項17に記載されたベルト調節装置において、
前記第2のベルト折返し部材には、前記案内溝に係合され当該案内溝の前端部から後端部まで移動する第2の案内突起が前記第2の厚肉部の左右の外側端部に形成されていること、
前記第2の厚肉部は、中間部で左右に分離して形成され、分離された左右の第2の厚肉部が、前記第2の薄肉部を介して略U字状に連結されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項19】
請求項18に記載されたベルト調節装置において、
前記左右の第2の厚肉部の内側端部には、左右方向に微小隙間で対向可能に形成された一対の第2の衝立部を備え、
前記第2の衝立部は、前記左右の第2の厚肉部を上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項20】
請求項18又は請求項19に記載されたベルト調節装置において、
前記第2のベルト折返し部材の側部には、左右外方へ弾発的に突出した第2の規制部を備え、当該第2の規制部には、前記第2のベルト折返し部材を前進位置に移動させたとき、前記枠体の側壁部の前端縁と当接し、前記第2のベルト折返し部材の後退を規制する第2の段差部が形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項21】
請求項16乃至請求項20のいずれか1項に記載されたベルト調節装置において、
前記第2のベルト挿入部には、前記第2の上押え部と前記第2の厚肉部と前記第2の下押え部との各間で前記第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、前記第2のベルト側へ食い込む複数の第2の突起部が形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項22】
請求項21に記載されたベルト調節装置において、
前記第2の厚肉部には、前記第2の上押え部と前記第2の厚肉部と前記第2の下押え部との各間で前記第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、前記第2のベルト側へ食い込む第2の突起部が前記第2のベルト挿入部の第2の突起部より前方に形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項23】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載されたベルト調節装置において、
長さ調節用の第2のベルトが基端部側に形成された第2の枠体に長さ調節可能に連結され、係止爪が先端部側に形成されたストライカを備え、
前記枠体における前記開口部の前端側には、前記ストライカを係脱可能に収納するストライカ収納部と、当該ストライカ収納部内にあって前記ストライカの係止爪と係合する係合突起とが形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項24】
請求項23に記載されたベルト調節装置において、
前記第2の枠体の内周側には、前記ストライカの基端部側にベルト折返し用の略矩形状の第2の開口部が形成されていること、
前記第2のベルトの幅と略同一の幅に形成された第2の厚肉部と当該第2の厚肉部の前方で当該第2の厚肉部より薄く形成された第2の薄肉部とを有し、前記第2の開口部の中で前記第2の厚肉部の先頭部に前記第2のベルトを巻回して前後方向に折返し、前記第2の枠体内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状の第2のベルト折返し部材を備え、
前記第2の枠体の前端側には、前記第2のベルト折返し部材と前記第2のベルトとを挿入する第2のベルト挿入部が形成され、当該第2のベルト挿入部には、前記第2の枠体の左右の側壁部に接続され前記第2の厚肉部との間で前記第2のベルトを上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部と第2の下押え部とが形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項25】
請求項24に記載されたベルト調節装置において、
前記第2の上押え部のベルト当接面と前記第2の下押え部のベルト当接面とが、前後方向で互いに平行に形成され、
前記第2の厚肉部は、上下方向の厚さが前端側から後端側に向けて徐々に増加するように形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項26】
請求項24又は請求項25に記載されたベルト調節装置において、
前記第2の枠体の左右の側壁部には、前記第2のベルト折返し部材を前記第2のベルトの長さを調節する後退位置から前記第2のベルトを固定する前進位置まで移動させる第2の案内溝が前後方向に形成され、
前記第2のベルト折返し部材には、前記第2の案内溝に係合され当該第2の案内溝の前端部から後端部まで移動する第2の案内突起が前記第2の厚肉部の左右の外側端部に形成されていること、
前記第2の厚肉部は、中間部で左右に分離して形成され、分離された左右の第2の厚肉部が、前記第2の薄肉部を介して略U字状に連結されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項27】
請求項26に記載されたベルト調節装置において、
前記第2の枠体の左右の側壁部は、前記第2の案内溝の前端部から後端部までの範囲で、前記第2の案内溝の下部内方に形成された下内壁部と、前記第2の案内溝の上部外方に形成された上外壁部とを備え、
前記下内壁部の上端面と前記上外壁部の下端面とが、前記第2の案内溝の案内面をそれぞれ構成し、前記下内壁部の外端面と前記上外壁部の内端面とが、上下方向に形成された同一平面上に形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項28】
請求項26又は請求項27に記載されたベルト調節装置において、
左右の前記第2の厚肉部の内側端部には、左右方向に微小隙間で対向可能に形成された一対の第2の衝立部を備え、
前記第2の衝立部は、左右の前記第2の厚肉部を上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項29】
請求項26乃至請求項28のいずれか1項に記載されたベルト調節装置において、
前記第2のベルト折返し部材の側部には、左右外方へ弾発的に突出した第2の規制部を備え、当該第2の規制部には、前記第2のベルト折返し部材を前進位置に移動させたとき、前記第2の枠体の側壁部の前端縁と当接し、前記第2のベルト折返し部材の後退を規制する第2の段差部が形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項30】
請求項24乃至請求項29のいずれか1項に記載されたベルト調節装置において、
前記第2のベルト挿入部には、前記第2の上押え部と前記第2の厚肉部と前記第2の下押え部との各間で前記第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、前記第2のベルト側へ食い込む複数の第2の突起部が形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【請求項31】
請求項30に記載されたベルト調節装置において、
前記第2の厚肉部には、前記第2の上押え部と前記第2の厚肉部と前記第2の下押え部との各間で前記第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、前記第2のベルト側へ食い込む第2の突起部が前記第2のベルト挿入部の第2の突起部より前方に形成されていることを特徴とするベルト調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト調節装置に関し、例えば、ズボン用ベルトのバックルやリュックサック、ベルト付きカバン、ウェストポーチ、ヘルメット等のベルト調節具として使用され、少なくとも一のベルトを長さ調節可能に連結したベルト調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ズボン用ベルトのバックルやリュックサック、ベルト付きカバン、ウェストポーチ、ヘルメット等のベルト調節具は、少なくとも一のベルトを長さ調節可能に連結したベルト調節装置として構成されている。例えば、特許文献1に開示されたバックル100では、図37に示すように、バックル本体101の開口部102に挿入して係合させるストライカ103の基端部には、ベルト104の長さを調節するため、ベルト104を巻回して折り返すベルト折返し部105と、折り返したベルト104を重ね合わせるベルト係止部106とが、バックル100の表面側と裏面側に上下分離して配置されている。そして、ベルト折返し部105で折り返したベルト104をベルト係止部106によって略直角状に折り曲げて上下方向で重ね合わせることによって、調節したベルト104が緩むのを阻止している。
【0003】
また、例えば、特許文献2に開示されたベルト調節具200は、図38に示すように、枠体210に対して固定用ベルト201と長さ調節用ベルト202とを連結するとともに、長さ調節用ベルト202を長さ調節可能に係止するベルト調節具であって、略縦多角形状に構成された枠体210を備え、 当該枠体210には、2本の縦軸材211、212間の中間部分に、長さ調節用ベルト202を巻回して折り返すベルト折返し部213と、折り返した長さ調節用ベルト202を重ね合わせるベルト係止部214とが、ベルト調節具200の表面側と裏面側に上下分離して配置されている。この場合も、ベルト折返し部213で折り返した長さ調節用ベルト202をベルト係止部214によって略直角状に折り曲げて上下方向で重ね合わせることによって、調節した長さ調節用ベルト202が緩むのを阻止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-65315号公報
【文献】特開2007-29654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたバックル100と特許文献2に開示されたベルト調節具200では、それぞれベルト折返し部105、213とベルト係止部106、214とが、バックル100及びベルト調節具200の表面側と裏面側に上下分離して配置されているので、バックル100及びベルト調節具200の厚さが過大となりやすく、使用時に邪魔になると共に、外観上の見栄えも好ましくないという問題があった。また、ベルト104又は長さ調節用ベルト202の長さを調節するときには、バックル100又はベルト調節具200を持ち上げるか、又はベルト係止部106、214を変形させて、ベルト係止部106、214がベルト104又は長さ調節用ベルト202を重ね合わせる押圧力を緩める必要があり、その調節操作が面倒であるという問題もあった。その上、バックル100やベルト調節具200を使用しない場合には、ベルト104又は長さ調節用ベルト202に張力が作用せず、ベルト係止部106、214の押圧力も無くなるので、ベルトの位置ズレが生じやすい。そのため、バックル100やベルト調節具200を使用する度に、再度調節する必要があり、調節操作が煩雑となる問題もあった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルトの長さを調節でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のベルト調節装置は、次のような構成を有している。
(1)少なくとも一のベルトを長さ調節可能に連結したベルト調節装置であって、
ベルト折返し用の略矩形状の開口部が内周側に形成された枠体と、
前記ベルトの幅と略同一の幅に形成された厚肉部と当該厚肉部の後方で当該厚肉部より薄く形成された薄肉部とを有し、前記開口部の中で前記厚肉部の先頭部に前記ベルトを巻回して前後方向に折返し、前記枠体内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状のベルト折返し部材とを備え、
前記枠体の後端側には、前記ベルト折返し部材と前記ベルトとを挿入するベルト挿入部が形成され、当該ベルト挿入部には、前記枠体の左右の側壁部に接続され前記厚肉部との間で前記ベルトを上下方向に狭圧して拘束する上押え部と下押え部とが形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明においては、ベルト折返し用の略矩形状の開口部が内周側に形成された枠体と、ベルトの幅と略同一の幅に形成された厚肉部と当該厚肉部の後方で当該厚肉部より薄く形成された薄肉部とを有し、開口部の中で厚肉部の先頭部にベルトを巻回して前後方向に折返し、枠体内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状のベルト折返し部材とを備え、また、枠体の後端側には、ベルト折返し部材とベルトとを挿入するベルト挿入部が形成され、当該ベルト挿入部には、枠体の左右の側壁部に接続され厚肉部との間でベルトを上下方向に狭圧して拘束する上押え部と下押え部とが形成されているので、枠体に対してベルトの長さを調節するときには、ベルト折返し部材を折り返したベルトと共に枠体内の前進方向へ移動させるだけで、上押え部とベルト折返し部材の薄肉部と下押え部との各間の隙間を通してベルトを自由に移動させることができる。そのため、長さ調節用のベルトをベルト折返し用の開口部の中で厚肉部から離間させて弛ませた状態として、枠体に対して当該ベルトの長さを簡単に調節することができる。
【0009】
また、枠体に対して長さ調節用のベルトを固定するときには、ベルト折返し部材を折り返したベルトと共に枠体内の後退方向へ移動させるだけで、上押え部とベルト折返し部材の厚肉部と下押え部との各間で折り返したベルトをそれぞれ上下方向に挟圧して拘束させた状態として、摩擦力でベルトの移動を規制することができる。そのため、長さを調節したベルトの緩みを阻止した状態として、枠体に当該ベルトを簡単に固定することができる。また、上押え部とベルト折返し部材の厚肉部と下押え部との各間で折り返したベルトをそれぞれ上下方向に挟圧して摩擦力で拘束させるので、不使用時においてもベルトの位置ズレが生じにくく、使用時毎の再調節を不要にできる。
【0010】
また、枠体の後端側には、ベルト折返し部材とベルトとを挿入するベルト挿入部が形成され、当該ベルト挿入部には、枠体の左右の側壁部に接続され厚肉部との間でベルトを上下方向に狭圧して拘束する上押え部と下押え部とが形成されているので、ベルト折返し部材の厚肉部の厚さを、ベルトを折り返すのに必要な最小限度の厚さに形成することによって、上押え部と下押え部との上下離間距離を最小化でき、枠体(装置)の厚さが過大になるのを簡単に回避できる。
【0011】
よって、本発明によれば、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルトの長さを調節でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節装置を提供することができる。
【0012】
(2)(1)に記載されたベルト調節装置において、
前記上押え部のベルト当接面と前記下押え部のベルト当接面とが、前後方向で互いに平行に形成され、
前記厚肉部は、上下方向の厚さが後端側から前端側に向けて徐々に増加するように形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、上押え部のベルト当接面と下押え部のベルト当接面とが、前後方向で互いに平行に形成され、厚肉部は、上下方向の厚さが後端側から前端側に向けて徐々に増加するように形成されているので、ベルト折返し部材の後退に伴って、ベルト折返し部材の厚肉部がベルト挿入部の上押え部と下押え部とに対して折り返したベルトを押圧する狭圧力が増加して、ベルトを拘束させることができる。また、上押え部と下押え部とに対する厚肉部のベルト狭圧力が一定以上に増加すると、ベルト折返し部材をそれ以上後退させることができなくなる。そのため、ベルト折返し部材を所定位置まで後退させるだけで、枠体に対して簡単にベルトを固定させることができる。
【0014】
また、ベルト折返し部材の前進に伴って、ベルト折返し部材の厚肉部がベルト挿入部の上押え部と下押え部とに対して折り返したベルトを押圧する狭圧力が減少するので、ベルト折返し部材をベルト折返し用の開口部の中で所定位置まで前進させるだけで、枠体に対して簡単にベルトを弛ませることができる。したがって、ベルトを調節又は固定する操作を、より簡単に行うことができる。
【0015】
(3)(1)又は(2)に記載されたベルト調節装置において、
前記枠体の左右の側壁部には、前記ベルト折返し部材を前記ベルトの長さを調節する前進位置から前記ベルトを固定する後退位置まで移動させる案内溝が前後方向に形成され、
前記ベルト折返し部材には、前記案内溝に係合され当該案内溝の前端部から後端部まで移動する案内突起が前記厚肉部の左右の外側端部に形成されていること、
前記厚肉部は、中間部で左右に分離して形成され、分離された左右の厚肉部が、前記薄肉部を介して略U字状に連結されていることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、枠体の左右の側壁部には、ベルト折返し部材を前進位置から後退位置まで移動させる案内溝が前後方向に形成され、ベルト折返し部材には、案内溝に係合され当該案内溝の前端部から後端部まで移動する案内突起が厚肉部の左右の外側端部に形成され、また、厚肉部は、中間部で左右に分離して形成され、分離された左右の厚肉部が、薄肉部を介して略U字状に連結されているので、左右に分離された厚肉部同士を近接させて、枠体の側壁部に形成された案内溝に厚肉部に形成された案内突起を係合させることによって、枠体内にベルト折返し部材を簡単に装着することができる。また、案内溝の前端部まで案内突起を移動させることによって、ベルト折返し部材を前進位置に移動でき、簡単にベルトの長さを調節できる。また、案内溝の後端部まで案内突起を移動させることによって、ベルト折返し部材を後退位置に移動でき、簡単にベルトを固定できる。そのため、枠体内にベルト折返し部材を簡単に装着して、ベルトの長さをより簡単に調節、又は固定できる。
【0017】
(4)(3)に記載されたベルト調節装置において、
前記左右の厚肉部の内側端部には、左右方向に微小隙間で対向可能に形成された一対の衝立部を備え、
前記衝立部は、前記左右の厚肉部を上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明においては、左右の厚肉部の内側端部には、左右方向に微小隙間で対向可能に形成された一対の衝立部を備えているので、ベルト折返し部材を折り返したベルトと共に枠体内の後退位置へ移動させ、上押え部とベルト折返し部材の厚肉部と下押え部との各間で折り返したベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態では、案内溝の後端部に案内突起が当接すると共に、衝立部同士が当接又は微小隙間で左右方向に対向して、案内突起が案内溝から外れるのを阻止することができる。そのため、ベルト折返し部材の後退位置にて、ベルトに引張力が掛かっても、ベルト折返し部材が枠体から外れず、枠体に対してベルトを安定して固定することができる。
【0019】
また、衝立部は、左右の厚肉部を上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されているので、ベルト折返し部材の前進位置にて、左右に分離された厚肉部を上下方向へ変位させ、さらに、左右の衝立部を互いに上下方向で重なる位置まで変位させることによって、案内溝に対する案内突起の係脱を簡単に行うことができる。そのため、枠体に対してベルト折返し部材を簡単に装着又は離脱させることができる。
【0020】
(5)(3)又は(4)に記載されたベルト調節装置において、
前記ベルト折返し部材の側部には、左右外方へ弾発的に突出した規制部を備え、当該規制部には、前記ベルト折返し部材を後退位置に移動させたとき、前記枠体の側壁部の後端縁と当接し、前記ベルト折返し部材の前進を規制する段差部が形成されていることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、ベルト折返し部材の側部には、左右外方へ弾発的に突出した規制部を備え、当該規制部には、ベルト折返し部材を後退位置に移動させたとき、枠体の側壁部の後端縁と当接し、ベルト折返し部材の前進を規制する段差部が形成されているので、ベルト折返し部材の後退位置にて、規制部の段差部がベルト折返し部材の前進を規制することによって、ベルト折返し部材の厚肉部が、ベルト挿入部の上押え部と下押え部とに対して折り返したベルトを狭圧して拘束させた状態を、安定して維持することができる。そのため、ベルト折返し部材に多少の外力が掛かっても、規制部の段差部が枠体の側壁部の後端縁を越えない限り、長さを調節したベルトの緩みを阻止することができる。
【0022】
一方、規制部は、ベルト折返し部材の側部から左右外方へ弾発的に突出した物であるので、ベルトの長さを調節するときには、規制部の弾発力に抗して、当該規制部を左右内方へ撓ませることによって、規制部の段差部が枠体の側壁部の後端縁を簡単に越えることができる。そのため、ベルトの長さ調節の操作を簡単に行うことができる。
【0023】
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載されたベルト調節装置において、
前記ベルト挿入部には、前記上押え部と前記厚肉部と前記下押え部との各間で前記ベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、前記ベルト側へ食い込む複数の突起部が形成されていることを特徴とする。
【0024】
本発明においては、ベルト挿入部には、上押え部と厚肉部と下押え部との各間でベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、ベルト側へ食い込む複数の突起部が形成されているので、複数の突起部をベルトに食い込ませた状態で、枠体に対してベルトを固定させることができる。そのため、長さ調節したベルトの緩みを、より一層安定して阻止することができる。
【0025】
(7)(6)に記載されたベルト調節装置において、
前記厚肉部には、前記上押え部と前記厚肉部と前記下押え部との各間で前記ベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、前記ベルト側へ食い込む突起部が前記ベルト挿入部の突起部より後方に形成されていることを特徴とする。
【0026】
本発明においては、厚肉部には、上押え部と厚肉部と下押え部との各間でベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、ベルト側へ食い込む突起部がベルト挿入部の突起部より後方に形成されているので、ベルト挿入部の突起部の後方で厚肉部の突起部がベルトに食い込むことによって、ベルト折返し部材の前方への移動を規制し、枠体に対してベルトを固定した状態をより安定して維持することができる。そのため、ベルト折返し部材に多少の外力が掛かっても、長さを調節したベルトの緩みを阻止することができる。一方、ベルト折返し部材をベルトと共に前進位置へ移動させる場合には、ベルト折返し部材を所定の力で前方へ押し出すだけで、厚肉部の突起部がベルト挿入部の突起部間を通過するとき、上押え部と下押え部とを上下方向へ撓ませることができ、ベルトの長さ調節の操作を簡単に行うことができる。
【0027】
(8)(1)乃至(7)のいずれか1つに記載されたベルト調節装置において、
長さ固定用のベルトが基端部側に固定され、係止爪が先端部側に形成されたストライカを備え、
前記枠体における前記開口部の前端側には、前記ストライカを係脱可能に収納するストライカ収納部と、当該ストライカ収納部内にあって前記ストライカの係止爪と係合する係合突起とが形成されていることを特徴とする。
【0028】
本発明においては、長さ固定用のベルトが基端部側に固定され、係止爪が先端部側に形成されたストライカを備え、枠体における開口部の前端側には、ストライカを係脱可能に収納するストライカ収納部と、当該ストライカ収納部内にあってストライカの係止爪と係合する係合突起とが形成されているので、枠体の後端側にてベルト折返し部材を介して長さ調節用のベルトを長さ調節可能に固定し、枠体の開口部の前端側に形成されたストライカ収納部にてストライカを介して長さ固定用のベルトを着脱可能に連結することができる。そのため、ベルト折返し部材とストライカとを枠体の前後方向で分離して配置でき、ベルト折返し部材とストライカとが上下方向で重なり合うことがない。その結果、装置(枠体)の薄型化が可能となり、外観上の見栄えを向上できると共に、取り扱いや操作性を向上させることができる。
【0029】
(9)(8)に記載されたベルト調節装置において、
前記ストライカには、前記ストライカ収納部内に挿入する左右一対の差込脚部が左右中央側に形成され、前記ストライカ収納部の左右中央部には、前記差込脚部同士の隙間に挿入される案内リブが前後方向に形成されていることを特徴とする。
【0030】
本発明においては、ストライカには、ストライカ収納部内に挿入する左右一対の差込脚部が左右中央側に形成され、ストライカ収納部の左右中央部には、差込脚部同士の隙間に挿入される案内リブが前後方向に形成されているので、ストライカをストライカ収納部に挿入するとき、差込脚部が案内リブにガイドされて挿入され、ストライカの挿入操作性を向上できる。また、差込脚部がストライカの左右中央側に形成されているので、ストライカの先端側における左右外方への突出量を小さくさせることができる。そのため、先端側の左右幅が狭いコンパクトなストライカを形成することができ、例えば、本ベルト調節装置をズボン用ベルトのバックルに使用する場合において、ストライカをベルト通し紐に通す作業をより一層簡単に行うことができる。
【0031】
(10)(9)に記載されたベルト調節装置において、
前記差込脚部の左右外方には、前記係止爪と当該係止爪を前記係合突起から離脱させる操作部とが形成されていること、
前記ストライカ収納部の左右側部には、前記操作部を露出させる操作用開口部を備え、当該操作用開口部の近傍に前記係合突起が形成されていることを特徴とする。
【0032】
本発明においては、差込脚部の左右外方には、係止爪と当該係止爪を係合突起から離脱させる操作部とが形成され、また、ストライカ収納部の左右側部には、操作部を露出させる操作用開口部を備え、当該操作用開口部の近傍に係合突起が形成されているので、ストライカの差込脚部をストライカ収納部の案内リブに挿入するだけで、係止爪を係合突起へ簡単に係合させることができる。また、操作用開口部から露出する操作部を左右内方へ押圧することによって、ストライカの係止爪を係合突起から簡単に離脱させることができる。そのため、ストライカ収納部の上下方向の厚さを過大とすることなく、ストライカの着脱操作性をより一層高めることができる。
【0033】
(11)(8)乃至(10)のいずれか1つに記載されたベルト調節装置において、
前記ストライカ収納部の上蓋部には、上方へ向けてテーパ状に開放された装飾用開口部が形成されていること、
前記装飾用開口部には、中央部が表面側に露出し、外縁部が前記装飾用開口部内に埋設された装飾部材が装着されていることを特徴とする。
【0034】
本発明においては、ストライカ収納部の上蓋部には、上方へ向けてテーパ状に開放された装飾用開口部が形成され、装飾用開口部には、中央部が表面側に露出し、外縁部が装飾用開口部内に埋設された装飾部材が装着されているので、ストライカ収納部の厚さを過大とすることなく、ストライカ収納部の上蓋部を装飾部材によって豪華に装飾させることができる。そのため、例えば、ズボン用ベルトのストライカ収納部において、より簡単に商品価値を高めることができる。
【0035】
(12)(11)に記載されたベルト調節装置において、
前記装飾部材は、表面が宝石状にカット加工された装飾体と、当該装飾体の裏面を支持する受け金とからなり、当該受け金の外縁部が、前記装飾用開口部に形成された係止溝に挿入されていることを特徴とする。
【0036】
本発明においては、装飾部材は、表面が宝石状にカット加工された装飾体と、当該装飾体の裏面を支持する受け金とからなり、当該受け金の外縁部が、装飾用開口部に形成された係止溝に挿入されているので、ストライカ収納部の上蓋部に立体的な装飾部材を簡単に装着でき、ストライカ収納部の上蓋部をより豪華に装飾させることができる。そのため、例えば、ズボン用ベルトのストライカ収納部において、より一層、豪華で商品価値を高めることができる。
【0037】
(13)(11)に記載されたベルト調節装置において、
前記装飾部材は、透明で平板状に形成された表板と、当該表板と同形の裏板と、両板間に挟まれた装飾フィルムとからなり、前記表板の外縁部と前記裏板の外縁部とが、前記装飾用開口部に形成された係止溝に挿入されていることを特徴とする。
【0038】
本発明においては、装飾部材は、透明で平板状に形成された表板と、当該表板と同形の裏板と、両板間に挟まれた装飾フィルムとからなり、表板の外縁部と裏板の外縁部とが、装飾用開口部に形成された係止溝に挿入されているので、ストライカ収納部の厚さを過大とすることなく、ストライカ収納部の上蓋部をより簡単に装飾させることができる。また、装飾フィルムを、色や模様が異なる他の種類の装飾フィルムに交換することによって、異なる装飾部材に簡単に変更することができる。そのため、例えば、ズボン用ベルトのストライカ収納部において、より簡単に商品価値を高めることができる。
【0039】
(14)(8)に記載されたベルト調節装置において、
前記ストライカには、左右中央側に形成され前記ストライカ収納部内に挿入される左右一対の差込脚部と、左右両側に湾曲状に形成され前記ストライカ収納部内に挿入される係止脚部とを備え、
前記ストライカ収納部には、前記差込脚部同士の隙間に挿入される案内リブが形成され、前記係止脚部の先端部には、前記係止爪が形成され、前記ストライカ収納部の左右側部には、前記係止脚部の先端部から略V字状に折り返す折返し部に形成された操作部を露出させる操作用開口部が形成され、前記開口部と前記ストライカ収納部との境界部には、前記係合突起が形成されていることを特徴とする。
【0040】
本発明においては、ストライカには、左右中央側に形成されストライカ収納部内に挿入される左右一対の差込脚部と、左右両側に形成されストライカ収納部に挿入される係止脚部とを備え、また、ストライカ収納部には、差込脚部同士の隙間に挿入される案内リブが形成され、係止脚部の先端部には、係止爪が形成され、ストライカ収納部の左右側部には、係止脚部から略V字状に折り返す折返し部に形成された操作部を露出させる操作用開口部が形成され、開口部とストライカ収納部との境界部には、係合突起が形成されているので、ストライカの差込脚部をストライカ収納部の案内リブに挿入するだけで、係止脚部の先端部に形成された係止爪を、ストライカ収納部とベルト折返し用の開口部との境界部に形成された係合突起と簡単に係合させることができる。また、操作用開口部から露出する操作部を左右内方へ押圧することによって、ストライカの係止爪を係合突起から簡単に離脱させることができる。そのため、ストライカ収納部の厚さを過大とすることなく、ストライカの着脱操作性をより一層高めることができる。
【0041】
(15)(1)乃至(7)のいずれか1つに記載されたベルト調節装置において、
前記枠体における前記開口部の前端側には、ベルト固定枠が形成され、当該ベルト固定枠に長さ固定用のベルトが巻回されて固定されていることを特徴とする。
【0042】
本発明においては、枠体における開口部の前端側には、ベルト固定枠が形成され、当該ベルト固定枠に長さ固定用のベルトが巻回されて固定されているので、枠体の後端側にてベルト折返し部材を介して長さ調節用のベルトを連結し、枠体の前端側にてベルト固定枠を介して長さ固定用のベルトを連結することができる。そのため、両ベルトを連結する枠体を薄型化でき、使用時の取り扱いや操作性を向上させることができる。よって、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルトの長さを調節できるベルト調節装置を提供することができる。
【0043】
(16)(3)乃至(7)のいずれか1つに記載されたベルト調節装置において、
前記枠体における前記開口部の前端側には、長さ調節用の第2のベルトを挿入させる第2のベルト挿入部が形成され、
前記第2のベルトの幅と略同一の幅に形成された第2の厚肉部と当該第2の厚肉部の前方で当該第2の厚肉部より薄く形成された第2の薄肉部とを有し、前記開口部の中で前記第2の厚肉部の先頭部に前記第2のベルトを巻回して前後方向に折返し、前記枠体内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状の第2のベルト折返し部材を備え、
前記第2のベルト挿入部には、前記枠体の左右の側壁部に接続され前記第2の厚肉部との間で前記第2のベルトを上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部と第2の下押え部とが形成されていることを特徴とする。
【0044】
本発明においては、枠体における開口部の前端側には、長さ調節用の第2のベルトを挿入させる第2のベルト挿入部が形成され、また、第2のベルトの幅と略同一の幅に形成された第2の厚肉部と当該第2の厚肉部の前方で当該第2の厚肉部より薄く形成された第2の薄肉部とを有し、開口部の中で第2の厚肉部の先頭部に第2のベルトを巻回して前後方向に折返し、枠体内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状の第2のベルト折返し部材を備え、また、第2のベルト挿入部には、枠体の左右の側壁部に接続され第2の厚肉部との間で第2のベルトを上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部と第2の下押え部とが形成されているので、枠体に対して第2のベルトの長さを調節するときには、第2のベルト折返し部材を折り返した第2のベルトと共に枠体内の後方向へ移動させるだけで、第2の上押え部と第2の薄肉部と第2の下押え部との各間の隙間を通して第2のベルトを自由に移動させることができる。そのため、長さ調節用の第2のベルトをベルト折返し用の開口部の中で第2の厚肉部から離間させて弛ませた状態として、枠体に対して当該第2のベルトの長さを簡単に調節することができる。
【0045】
また、枠体に対して長さ調節用の第2のベルトを固定するときには、第2のベルト折返し部材を折り返した第2のベルトと共に枠体内の前方向へ移動させるだけで、第2の上押え部と第2の厚肉部と第2の下押え部との各間で折り返した第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態として、摩擦力で第2のベルトの移動を阻止することができる。そのため、長さを調節した第2のベルトの緩みを阻止した状態として、枠体に当該第2のベルトを簡単に固定することができる。また、第2の上押え部と第2の厚肉部と第2の下押え部との各間で折り返した第2のベルトをそれぞれ上下方向に挟圧して摩擦力で拘束させるので、不使用時においてもベルトの位置ズレが生じにくく、使用時毎の再調節を不要にできる。
【0046】
また、第2のベルト挿入部には、枠体の左右の側壁部に接続され第2の厚肉部との間で第2のベルトを上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部と第2の下押え部とが形成されているので、第2の厚肉部の厚さを、第2のベルトを折り返すのに必要な最小限度の厚さに形成することによって、第2の上押え部と第2の下押え部との上下離間距離を最小化でき、枠体(装置)の厚さが過大になるのを簡単に回避できる。よって、装置の厚さが過大とならず、簡単に2つのベルトの長さを調節でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節装置を提供することができる。
【0047】
(17)(16)に記載されたベルト調節装置において、
前記第2の上押え部のベルト当接面と前記第2の下押え部のベルト当接面とが、前後方向で互いに平行に形成され、
前記第2の厚肉部は、上下方向の厚さが前端側から後端側に向けて徐々に増加するように形成されていることを特徴とする。
【0048】
本発明においては、第2の上押え部のベルト当接面と第2の下押え部のベルト当接面とが、前後方向で互いに平行に形成され、第2の厚肉部は、上下方向の厚さが前端側から後端側に向けて徐々に増加するように形成されているので、第2のベルト折返し部材の前進に伴って、第2の厚肉部が第2の上押え部と第2の下押え部とに対して折り返した第2のベルトを押圧する狭圧力が増加して、第2のベルトを拘束させることができる。また、第2の上押え部と第2の下押え部とに対する第2の厚肉部のベルト狭圧力が一定以上に増加すると、第2のベルト折返し部材をそれ以上前進させることができなくなる。そのため、第2のベルト折返し部材を所定位置まで前進させるだけで、枠体に対して簡単に第2のベルトを固定させることができる。
【0049】
また、第2のベルト折返し部材の後退に伴って、第2の厚肉部が第2の上押え部と第2の下押え部とに対して折り返した第2のベルトを押圧する狭圧力が減少するので、第2のベルト折返し部材をベルト折返し用の開口部の中で所定位置まで後退させるだけで、枠体に対して簡単に第2のベルトを弛ませることができる。したがって、第2のベルトを調節又は固定する操作を、より簡単に行うことができる。
【0050】
(18)(16)又は(17)に記載されたベルト調節装置において、
前記第2のベルト折返し部材には、前記案内溝に係合され当該案内溝の前端部から後端部まで移動する第2の案内突起が前記第2の厚肉部の左右の外側端部に形成されていること、
前記第2の厚肉部は、中間部で左右に分離して形成され、分離された左右の第2の厚肉部が、前記第2の薄肉部を介して略U字状に連結されていることを特徴とする。
【0051】
本発明においては、第2のベルト折返し部材には、案内溝に係合され当該案内溝の前端部から後端部まで移動する第2の案内突起が第2の厚肉部の左右の外側端部に形成され、第2の厚肉部は、中間部で左右に分離して形成され、分離された左右の第2の厚肉部が、第2の薄肉部を介して略U字状に連結されているので、左右に分離された第2の厚肉部同士を近接させて、枠体の側壁部に形成された案内溝に第2の厚肉部に形成された第2の案内突起を係合させることによって、枠体内に第2のベルト折返し部材を簡単に装着することができる。また、案内溝の前端部まで第2の案内突起を移動させることによって、第2のベルト折返し部材を前進位置に移動でき、簡単に第2のベルトを固定できる。また、案内溝の後端部の近傍まで第2の案内突起を移動させることによって、第2のベルト折返し部材を後端位置に移動でき、簡単に第2のベルトの長さを調節できる。そのため、枠体内にベルト折返し部材を簡単に装着して、ベルトの長さをより簡単に調節し、固定できる。
【0052】
(19)(18)に記載されたベルト調節装置において、
前記左右の第2の厚肉部の内側端部には、左右方向に微小隙間で対向可能に形成された一対の第2の衝立部を備え、
前記第2の衝立部は、前記左右の第2の厚肉部を上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されていることを特徴とする。
【0053】
本発明においては、左右の第2の厚肉部の内側端部には、左右方向に微小隙間で対向可能に形成された一対の第2の衝立部を備えているので、第2のベルト折返し部材を折り返した第2のベルトと共に枠体内の前進位置へ移動させ、第2の上押え部と第2の厚肉部と第2の下押え部との各間で折り返した第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態では、案内溝の前端部に第2の案内突起が当接すると共に、第2の衝立部同士が当接又は微小隙間で左右方向に対向して、第2の案内突起が案内溝から外れるのを阻止することができる。そのため、第2のベルト折返し部材の前進位置にて、第2のベルトに引張力が掛かっても、第2のベルト折返し部材が枠体から外れず、枠体に対して第2のベルトを安定して固定することができる。
【0054】
また、第2の衝立部は、左右の第2の厚肉部を上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されているので、第2のベルト折返し部材の後退位置にて、左右に分離された第2の厚肉部を上下方向へ変位させ、さらに、左右の第2の衝立部を互いに上下方向で重なる位置まで変位させることによって、案内溝に対する第2の案内突起の係脱を簡単に行うことができる。そのため、枠体に対して第2のベルト折返し部材を簡単に装着又は離脱させることができる。
【0055】
(20)(18)又は(19)に記載されたベルト調節装置において、
前記第2のベルト折返し部材の側部には、左右外方へ弾発的に突出した第2の規制部を備え、当該第2の規制部には、前記第2のベルト折返し部材を前進位置に移動させたとき、前記枠体の側壁部の前端縁と当接し、前記第2のベルト折返し部材の後退を規制する第2の段差部が形成されていることを特徴とする。
【0056】
本発明においては、第2のベルト折返し部材の側部には、左右外方へ弾発的に突出した第2の規制部を備え、当該第2の規制部には、第2のベルト折返し部材を前進位置に移動させたとき、枠体の側壁部の前端縁と当接し、第2のベルト折返し部材の後退を規制する第2の段差部が形成されているので、第2のベルト折返し部材の前進位置にて、第2の段差部が第2のベルト折返し部材の後退を規制することによって、第2の厚肉部が、第2の上押え部と第2の下押え部とに対して折り返した第2のベルトを狭圧して拘束させた状態を、安定して維持することができる。そのため、第2のベルト折返し部材に多少の外力が掛かっても、第2の段差部が枠体の側壁部の前端縁を越えない限り、長さを調節した第2のベルトの緩みを阻止することができる。
【0057】
一方、第2の規制部は、第2のベルト折返し部材の側部から左右外方へ弾発的に突出した物であるので、第2のベルトの長さを調節するときには、第2の規制部の弾発力に抗して、当該第2の規制部を左右内方へ押し込むことによって、第2の段差部が枠体の側壁部の前端縁を簡単に越えることができる。そのため、第2のベルトの長さ調節の操作を簡単に行うことができる。
【0058】
(21)(16)乃至(20)のいずれか1つに記載されたベルト調節装置において、
前記第2のベルト挿入部には、前記第2の上押え部と前記第2の厚肉部と前記第2の下押え部との各間で前記第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、前記第2のベルト側へ食い込む複数の第2の突起部が形成されていることを特徴とする。
【0059】
本発明においては、第2のベルト挿入部には、第2の上押え部と第2の厚肉部と第2の下押え部との各間で第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、第2のベルト側へ食い込む複数の第2の突起部が形成されているので、複数の第2の突起部を第2のベルトに食い込ませた状態で、枠体に対して第2のベルトを固定させることができる。そのため、長さ調節した第2のベルトの緩みを、より一層安定して阻止することができる。
【0060】
(22)(21)に記載されたベルト調節装置において、
前記第2の厚肉部には、前記第2の上押え部と前記第2の厚肉部と前記第2の下押え部との各間で前記第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、前記第2のベルト側へ食い込む第2の突起部が前記第2のベルト挿入部の第2の突起部より前方に形成されていることを特徴とする。
【0061】
本発明においては、第2の厚肉部には、第2の上押え部と第2の厚肉部と第2の下押え部との各間で第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、第2のベルト側へ食い込む第2の突起部が第2のベルト挿入部の第2の突起部より前方に形成されているので、第2のベルト挿入部の第2の突起部の前方で第2の厚肉部の第2の突起部が第2のベルトに食い込むことによって、第2のベルト折返し部材の後方への移動を規制し、枠体に対して第2のベルトを固定した状態をより安定して維持することができる。そのため、第2のベルト折返し部材に多少の外力が掛かっても、長さを調節した第2のベルトの緩みを阻止することができる。一方、第2のベルト折返し部材を第2のベルトと共に後退位置へ移動させる場合には、第2のベルト折返し部材を所定の力で後方へ押し出すだけで、第2の厚肉部の第2の突起部が第2のベルト挿入部の第2の突起部間を通過するとき、第2の上押え部と第2の下押え部とを上下方向へ撓ませることができ、第2のベルトの長さ調節の操作を簡単に行うことができる。
【0062】
(23)(1)乃至(7)のいずれか1つに記載されたベルト調節装置において、
長さ調節用の第2のベルトが基端部側に形成された第2の枠体に長さ調節可能に連結され、係止爪が先端部側に形成されたストライカを備え、
前記枠体における前記開口部の前端側には、前記ストライカを係脱可能に収納するストライカ収納部と、当該ストライカ収納部内にあって前記ストライカの係止爪と係合する係合突起とが形成されていることを特徴とする。
【0063】
本発明においては、長さ調節用の第2のベルトが基端部側に形成された第2の枠体に長さ調節可能に連結され、係止爪が先端部側に形成されたストライカを備え、枠体における開口部の前端側には、ストライカを係脱可能に収納するストライカ収納部と、当該ストライカ収納部内にあってストライカの係止爪と係合する係合突起とが形成されているので、枠体の後端側にてベルト折返し部材を介して長さ調節用のベルトを長さ調節可能に固定し、枠体の開口部の前端側に形成されたストライカ収納部とストライカとを介して長さ調節用の第2のベルトを長さ調節可能に連結することができる。そのため、2つのベルトの長さを調節して、ストライカ収納部とストライカとを操作しやすい任意の位置に移動させることができる。その結果、ベルトの長さ調節の操作性と、ストライカの取り扱いや操作性をより一層向上させることができる。
【0064】
(24)(23)に記載されたベルト調節装置において、
前記第2の枠体の内周側には、前記ストライカの基端部側にベルト折返し用の略矩形状の第2の開口部が形成されていること、
前記第2のベルトの幅と略同一の幅に形成された第2の厚肉部と当該第2の厚肉部の前方で当該第2の厚肉部より薄く形成された第2の薄肉部とを有し、前記第2の開口部の中で前記第2の厚肉部の先頭部に前記第2のベルトを巻回して前後方向に折返し、前記第2の枠体内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状の第2のベルト折返し部材を備え、
前記第2の枠体の前端側には、前記第2のベルト折返し部材と前記第2のベルトとを挿入する第2のベルト挿入部が形成され、当該第2のベルト挿入部には、前記第2の枠体の左右の側壁部に接続され前記第2の厚肉部との間で前記第2のベルトを上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部と第2の下押え部とが形成されていることを特徴とする。
【0065】
本発明においては、第2の枠体の内周側には、ストライカの基端部側にベルト折返し用の略矩形状の第2の開口部が形成され、また、第2のベルトの幅と略同一の幅に形成された第2の厚肉部と当該第2の厚肉部の前方で当該第2の厚肉部より薄く形成された第2の薄肉部とを有し、第2の開口部の中で第2の厚肉部の先頭部に第2のベルトを巻回して前後方向に折返し、第2の枠体内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状の第2のベルト折返し部材を備え、また、第2の枠体の前端側には、第2のベルト折返し部材と第2のベルトとを挿入する第2のベルト挿入部が形成され、当該第2のベルト挿入部には、第2の枠体の左右の側壁部に接続され第2の厚肉部との間で第2のベルトを上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部と第2の下押え部とが形成されているので、第2の枠体に対して第2のベルトの長さを調節するときには、第2のベルト折返し部材を折り返した第2のベルトと共に第2の枠体内の後方向へ移動させるだけで、第2の上押え部と第2の薄肉部と第2の下押え部との各間の隙間を通して第2のベルトを自由に移動させることができる。そのため、長さ調節用の第2のベルトをベルト折返し用の第2の開口部の中で第2の厚肉部から離間させて弛ませた状態として、第2の枠体に対して当該第2のベルトの長さを簡単に調節することができる。
【0066】
また、第2の枠体に対して長さ調節用の第2のベルトを固定するときには、第2のベルト折返し部材を折り返した第2のベルトと共に第2の枠体内の前方向へ移動させるだけで、第2の上押え部と第2の厚肉部と第2の下押え部との各間で折り返した第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態として、摩擦力で第2のベルトの移動を阻止することができる。そのため、長さを調節した第2のベルトの緩みを阻止した状態として、第2の枠体に当該第2のベルトを簡単に固定することができる。また、第2の上押え部と第2の厚肉部と第2の下押え部との各間で折り返した第2のベルトをそれぞれ上下方向に挟圧して摩擦力で拘束させるので、不使用時においても第2のベルトの位置ズレが生じにくく、使用時毎の再調節を不要にできる。
【0067】
また、第2のベルト挿入部には、第2の枠体の左右の側壁部に接続され第2の厚肉部との間で第2のベルトを上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部と第2の下押え部とが形成されているので、第2の厚肉部の厚さを、第2のベルトを折り返すのに必要な最小限度の厚さに形成することによって、第2の上押え部と第2の下押え部との上下離間距離を最小化でき、第2の枠体(装置)の厚さが過大になるのを簡単に回避できる。よって、装置の厚さが過大とならず、簡単に2つのベルトの長さを調節でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節装置を提供することができる。
【0068】
(25)(24)に記載されたベルト調節装置において、
前記第2の上押え部のベルト当接面と前記第2の下押え部のベルト当接面とが、前後方向で互いに平行に形成され、
前記第2の厚肉部は、上下方向の厚さが前端側から後端側に向けて徐々に増加するように形成されていることを特徴とする。
【0069】
本発明においては、第2の上押え部のベルト当接面と第2の下押え部のベルト当接面とが、前後方向で互いに平行に形成され、第2の厚肉部は、上下方向の厚さが前端側から後端側に向けて徐々に増加するように形成されているので、第2のベルト折返し部材の前進に伴って、第2の厚肉部が第2の上押え部と第2の下押え部とに対して折り返した第2のベルトを押圧する狭圧力が増加して、第2のベルトを拘束させることができる。また、第2の上押え部と第2の下押え部とに対する第2の厚肉部のベルト狭圧力が一定以上に増加すると、第2のベルト折返し部材をそれ以上前進させることができなくなる。そのため、第2のベルト折返し部材を所定位置まで前進させるだけで、第2の枠体に対して簡単に第2のベルトを固定させることができる。
【0070】
また、第2のベルト折返し部材の後退に伴って、第2の厚肉部が第2の上押え部と第2の下押え部とに対して折り返した第2のベルトを押圧する狭圧力が減少するので、第2のベルト折返し部材をベルト折返し用の第2の開口部の中で所定位置まで後退させるだけで、第2の枠体に対して簡単に第2のベルトを弛ませることができる。したがって、第2のベルトを調節又は固定する操作を、より簡単に行うことができる。
【0071】
(26)(24)又は(25)に記載されたベルト調節装置において、
前記第2の枠体の左右の側壁部には、前記第2のベルト折返し部材を前記第2のベルトの長さを調節する後退位置から前記第2のベルトを固定する前進位置まで移動させる第2の案内溝が前後方向に形成され、
前記第2のベルト折返し部材には、前記第2の案内溝に係合され当該第2の案内溝の前端部から後端部まで移動する第2の案内突起が前記第2の厚肉部の左右の外側端部に形成されていること、
前記第2の厚肉部は、中間部で左右に分離して形成され、分離された左右の第2の厚肉部が、前記第2の薄肉部を介して略U字状に連結されていることを特徴とする。
【0072】
本発明においては、第2の枠体の左右の側壁部には、第2のベルト折返し部材を第2のベルトの長さを調節する後退位置から第2のベルトを固定する前進位置まで移動させる第2の案内溝が前後方向に形成され、また、第2のベルト折返し部材には、第2の案内溝に係合され当該第2の案内溝の前端部から後端部まで移動する第2の案内突起が第2の厚肉部の左右の外側端部に形成され、また、第2の厚肉部は、中間部で左右に分離して形成され、分離された左右の第2の厚肉部が、第2の薄肉部を介して略U字状に連結されているので、左右に分離された第2の厚肉部同士を近接させて、第2の枠体の側壁部に形成された第2の案内溝に第2の厚肉部に形成された第2の案内突起を係合させることによって、第2の枠体内に第2のベルト折返し部材を簡単に装着することができる。また、第2の案内溝の前端部まで第2の案内突起を移動させることによって、第2のベルト折返し部材を前進位置に移動でき、簡単に第2のベルトを固定できる。また、第2の案内溝の後端部まで第2の案内突起を移動させることによって、第2のベルト折返し部材を後端位置に移動でき、簡単に第2のベルトの長さを調節できる。そのため、第2の枠体内に第2のベルト折返し部材を簡単に装着して、第2のベルトの長さをより簡単に調節、又は固定できる。
【0073】
(27)(26)に記載されたベルト調節装置において、
前記第2の枠体の左右の側壁部は、前記第2の案内溝の前端部から後端部までの範囲で、前記第2の案内溝の下部内方に形成された下内壁部と、前記第2の案内溝の上部外方に形成された上外壁部とを備え、
前記下内壁部の上端面と前記上外壁部の下端面とが、前記第2の案内溝の案内面をそれぞれ構成し、前記下内壁部の外端面と前記上外壁部の内端面とが、上下方向に形成された同一平面上に形成されていることを特徴とする。
【0074】
本発明においては、第2の枠体の左右の側壁部は、第2の案内溝の前端部から後端部までの範囲で、第2の案内溝の下部内方に形成された下内壁部と、第2の案内溝の上部外方に形成された上外壁部とを備え、また、下内壁部の上端面と上外壁部の下端面とが、第2の案内溝の案内面をそれぞれ構成し、下内壁部の外端面と上外壁部の内端面とが、上下方向に形成された同一平面上に形成されているので、第2の枠体の左右の側壁部と第2の案内溝とを上下方向に開閉するコア型とキャビ型とを備えた樹脂成形型によって、同時に形成することができる。そのため、複雑なスライド型を内蔵した高価な樹脂成形型を使用する必要がなく、安価に第2の枠体を備えたストライカを形成することができる。
【0075】
すなわち、第2の枠体の左右の側壁部と第2の案内溝とを同時に形成する樹脂成形型は、第2の枠体の左右の側壁部の内、コア型の成形面によって、下内壁部の下端面及び外端面と、上外壁部の下端面とを形成し、キャビ型の成形面によって、下内壁部の内端面及び上端面と、上外壁部の内端面、上端面及び外端面とを形成する。また、コア型とキャビ型のパーティングライン(分割線)の内、型開閉方向の分割線が、下内壁部の外端面及び上外壁部の内端面と同一平面上に形成され、型開閉方向の分割線と直交する分割線が、下内壁部の下端面と同一平面上に形成され、かつ、上外壁部の下端面と同一平面上に形成されている。これによって、第2の枠体の左右の側壁部と第2の案内溝とを上下方向に開閉するコア型とキャビ型とを備えた樹脂成形型によって、同時に形成することができる。
【0076】
(28)(26)又は(27)に記載されたベルト調節装置において、
左右の前記第2の厚肉部の内側端部には、左右方向に微小隙間で対向可能に形成された一対の第2の衝立部を備え、
前記第2の衝立部は、左右の前記第2の厚肉部を上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されていることを特徴とする。
【0077】
本発明においては、左右の第2の厚肉部の内側端部には、左右方向に微小隙間で対向可能に形成された一対の第2の衝立部を備えているので、第2のベルト折返し部材を折り返した第2のベルトと共に第2の枠体内の前進位置へ移動させ、第2の上押え部と第2の厚肉部と第2の下押え部との各間で折り返した第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態では、第2の案内溝の前端部に第2の案内突起が当接すると共に、第2の衝立部同士が当接又は微小隙間で左右方向に対向して、第2の案内突起が第2の案内溝から外れるのを阻止することができる。そのため、第2のベルト折返し部材の前進位置にて、第2のベルトに引張力が掛かっても、第2のベルト折返し部材が第2の枠体から外れず、第2の枠体に対して第2のベルトを安定して固定することができる。
【0078】
また、第2の衝立部は、左右の第2の厚肉部を上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されているので、第2のベルト折返し部材の後退位置にて、左右に分離された第2の厚肉部を上下方向へ変位させ、さらに、左右の第2の衝立部を互いに上下方向で重なる位置まで変位させることによって、第2の案内溝に対する第2の案内突起の係脱を簡単に行うことができる。そのため、第2の枠体に対して第2のベルト折返し部材を簡単に装着又は離脱させることができる。
【0079】
(29)(26)乃至(28)のいずれか1つに記載されたベルト調節装置において、
前記第2のベルト折返し部材の側部には、左右外方へ弾発的に突出した第2の規制部を備え、当該第2の規制部には、前記第2のベルト折返し部材を前進位置に移動させたとき、前記第2の枠体の側壁部の前端縁と当接し、前記第2のベルト折返し部材の後退を規制する第2の段差部が形成されていることを特徴とする。
【0080】
本発明においては、第2のベルト折返し部材の側部には、左右外方へ弾発的に突出した第2の規制部を備え、当該第2の規制部には、第2のベルト折返し部材を前進位置に移動させたとき、第2の枠体の側壁部の前端縁と当接し、第2のベルト折返し部材の後退を規制する第2の段差部が形成されているので、第2のベルト折返し部材の前進位置にて、第2の段差部が第2のベルト折返し部材の後退を規制することによって、第2の厚肉部が、第2の上押え部と第2の下押え部とに対して折り返した第2のベルトを狭圧して拘束させた状態を、安定して維持することができる。そのため、第2のベルト折返し部材に多少の外力が掛かっても、第2の段差部が第2の枠体の側壁部の前端縁を越えない限り、長さを調節した第2のベルトの緩みを阻止することができる。
【0081】
一方、第2の規制部は、第2のベルト折返し部材の側部から左右外方へ弾発的に突出した物であるので、第2のベルトの長さを調節するときには、第2の規制部の弾発力に抗して、当該第2の規制部を左右内方へ押し込むことによって、第2の段差部が第2の枠体の側壁部の前端縁を簡単に越えることができる。そのため、第2のベルトの長さ調節の操作を簡単に行うことができる。
【0082】
(30)(24)乃至(29)のいずれか1つに記載されたベルト調節装置において、
前記第2のベルト挿入部には、前記第2の上押え部と前記第2の厚肉部と前記第2の下押え部との各間で前記第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、前記第2のベルト側へ食い込む複数の第2の突起部が形成されていることを特徴とする。
【0083】
本発明においては、第2のベルト挿入部には、第2の上押え部と第2の厚肉部と第2の下押え部との各間で第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、第2のベルト側へ食い込む複数の第2の突起部が形成されているので、複数の第2の突起部を第2のベルトに食い込ませた状態で、第2の枠体に対して第2のベルトを固定させることができる。そのため、長さ調節した第2のベルトの緩みを、より一層安定して阻止することができる。
【0084】
(31)(30)に記載されたベルト調節装置において、
前記第2の厚肉部には、前記第2の上押え部と前記第2の厚肉部と前記第2の下押え部との各間で前記第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、前記第2のベルト側へ食い込む第2の突起部が前記第2のベルト挿入部の第2の突起部より前方に形成されていることを特徴とする。
【0085】
本発明においては、第2の厚肉部には、第2の上押え部と第2の厚肉部と第2の下押え部との各間で第2のベルトをそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、第2のベルト側へ食い込む第2の突起部が第2のベルト挿入部の第2の突起部より前方に形成されているので、第2のベルト挿入部の第2の突起部の前方で第2の厚肉部の第2の突起部が第2のベルトに食い込むことによって、第2のベルト折返し部材の後方への移動を規制し、第2の枠体に対して第2のベルトを固定した状態をより安定して維持することができる。そのため、第2のベルト折返し部材に多少の外力が掛かっても、長さを調節した第2のベルトの緩みを阻止することができる。一方、第2のベルト折返し部材を第2のベルトと共に後退位置へ移動させる場合には、第2のベルト折返し部材を所定の力で後方へ押し出すだけで、第2の厚肉部の第2の突起部が第2のベルト挿入部の第2の突起部間を通過するとき、第2の上押え部と第2の下押え部とを上下方向へ撓ませることができ、第2のベルトの長さ調節の操作を簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0086】
本発明によれば、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルトの長さを調節でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1】本実施形態に係る第1実施例のベルト調節装置における分解状態の斜視図である。
図2図1に示すベルト調節装置における組付け状態の平面図である。
図3図2に示すA-A断面図である。
図4図3に示すB部詳細図であって、ベルト折返し部材の後退位置でのベルト拘束状態を表す詳細断面図である。
図5図1に示すベルト調節装置において、ベルト折返し部材の着脱操作の説明断面図であって、(A)は、図2に示すX-X断面位置(後退位置)で案内溝と案内突起とが正常に係合している状態を示し、(B)は、図2に示すY-Y断面位置(前進位置)で案内溝から案内突起を離脱させる状態を示す。
図6図1に示すベルト調節装置の枠体を形成する樹脂成形型の要部断面図である。
図7】本実施形態に係るベルト調節装置の第2実施例における枠体の概略斜視図である。
図8図7に示すC-C断面図である。
図9図8に示す受け金の概略斜視図である。
図10図7に示すD矢視図である。
図11図7に示す第2実施例のベルト調節装置において、ベルト折返し部材の後退位置でのベルト拘束状態を表す詳細断面図である。
図12】本実施形態に係るベルト調節装置の第3実施例における枠体の概略斜視図である。
図13図12に示すE-E断面図である。
図14】本実施形態に係るベルト調節装置の第4実施例における枠体の概略斜視図である。
図15図14に示すF-F断面図である。
図16図14に示すG-G断面図である。
図17】本実施形態に係る第5実施例のベルト調節装置における分解状態の斜視図である。
図18図17に示すベルト調節装置における組付け状態の縦断面図である。
図19】本実施形態に係る第6実施例のベルト調節装置における分解状態の斜視図である。
図20図19に示すベルト調節装置における組付け状態の平面図である。
図21図19に示すベルト調節装置の枠体を形成する樹脂成形型の要部断面図である。
図22】本実施形態に係る第7実施例のベルト調節装置における分解状態の斜視図である。
図23図22に示すベルト調節装置における組付け状態の平面図である。
図24】本実施形態に係る第8実施例のベルト調節装置における分解状態の斜視図である。
図25図24に示すベルト調節装置における組付け状態の平面図である。
図26図25に示すH-H断面図であって、第2のベルト折返し部材の前進位置でのベルト拘束状態を表す詳細断面図である。
図27図24に示すベルト調節装置において、第2のベルト折返し部材の着脱操作の説明断面図であって、(A)は、図25に示すX1-X1断面位置(前進位置)で第2の案内溝と第2の案内突起とが正常に係合している状態を示し、(B)は、図25に示すY1-Y1断面位置(後退位置)で第2の案内溝から第2の案内突起を離脱させる状態を示す。
図28図26に示すJ矢視図である。
図29図24に示すベルト調節装置の第2の枠体を形成する樹脂成形型の要部断面図である。
図30】本実施形態に係る第9実施例のベルト調節装置における分解状態の斜視図である。
図31図30に示すベルト調節装置における組付け状態の平面図である。
図32図31に示すL1-L1断面図であって、ベルト折返し部材の後退位置でのベルト拘束状態を表す詳細断面図である。
図33図31に示すL2-L2断面図であって、第2のベルト折返し部材の前進位置でのベルト拘束状態を表す詳細断面図である。
図34図1に示すベルト調節装置におけるストライカの変形例の斜視図である。
図35図1に示すベルト調節装置におけるストライカの変形例の斜視図である。
図36図1に示すベルト調節装置におけるストライカの変形例の斜視図である。
図37】特許文献1に記載されたバックルの縦断面図である。
図38】特許文献2に記載されたベルト調節具の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
はじめに、本実施形態の第1実施例に係るベルト調節装置の構成及び動作方法を詳細に説明する。その後、本実施形態の第2実施例~第9実施例について、前述した実施例との相違点を中心に説明する。
【0089】
<第1実施例のベルト調節装置>
まず、本実施形態の第1実施例に係るベルト調節装置について、図1図6を用いて説明する。図1に、本実施形態に係る第1実施例のベルト調節装置における分解状態の斜視図を示す。図2に、図1に示すベルト調節装置における組付け状態の平面図を示す。図3に、図2に示すA-A断面図を示す。図4に、図3に示すB部詳細図であって、ベルト折返し部材の後退位置でのベルト拘束状態を表す詳細断面図を示す。図5に、図1に示すベルト調節装置において、ベルト折返し部材の着脱操作の説明断面図を示し、図5(A)に、図2に示すX-X断面位置(後退位置)で案内溝と案内突起とが正常に係合している状態を示し、図5(B)に、図2に示すY-Y断面位置(前進位置)で案内溝から案内突起を離脱させる状態を示す。図6に、図1に示すベルト調節装置の枠体を形成する樹脂成形型の要部断面図を示す。
【0090】
(本ベルト調節装置の構成)
図1図5に示すように、本実施形態の第1実施例に係るベルト調節装置10は、少なくとも一のベルトW1を長さ調節可能に連結したベルト調節装置であって、ベルト折返し用の略矩形状の開口部14が内周側に形成された枠体1と、ベルトW1の左右方向の幅と略同一の幅に形成された厚肉部21と当該厚肉部21の後方で当該厚肉部21より薄く形成された薄肉部22とを有し、開口部14の中で厚肉部21の先頭部21SにベルトW1を巻回して前後方向に折返し、枠体1内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状のベルト折返し部材2とを備えている。ここでは、枠体1及びベルト折返し部材2は、それぞれ左右対称に形成されている。また、ベルト折返し用の開口部14は、枠体1に対して上下方向に貫通形成されているが、必ずしも貫通形成されていなくてもよく、例えば、枠体1の上端又は下端が閉じたものでもよい。また、枠体1及びベルト折返し部材2は、樹脂製であるが、枠体1は、例えば、アルミニウム系又はマグネシウム系の金属製でもよい。また、ベルトW1は、所定の厚さt3で板状、織物状又は網状等に形成され、樹脂製、革製、又は布等でもよい。
【0091】
また、枠体1の後端側には、ベルト折返し部材2とベルトW1とを挿入するベルト挿入部11が形成され、当該ベルト挿入部11には、枠体1の左右の側壁部12、13に接続され厚肉部21との間でベルトW1を上下方向に狭圧して拘束する上押え部111と下押え部112とが形成されている。また、上押え部111のベルト当接面111Tと下押え部112のベルト当接面112Tとが、前後方向で互いに平行に形成され、厚肉部21は、上下方向の厚さt(t2>t1)が後端側から前端側に向けて徐々に増加するように形成されている。ここでは、上押え部111のベルト当接面111Tと下押え部112のベルト当接面112Tとが、左右方向でも互いに平行に形成され、また、厚肉部21は、左右方向で互いに平行に形成されているが、これに限定される必要はない。各ベルト当接面111T、112Tと厚肉部21との隙間が、左右方向で略均一であればよい。
【0092】
なお、厚肉部21の厚さtは、出来る限り小さくすることによって、枠体1の薄型化に寄与できる。例えば、厚肉部21の先頭部21SにベルトW1を巻回して前後方向に折返して所定の張力を掛けても、ベルトW1に伸び割れ等が生じない程度の厚さであればよい。また、厚肉部21の後端側の厚さt1は、上押え部111のベルト当接面111Tと下押え部112のベルト当接面112Tとに対する各隙間がベルトW1の厚さt3と同程度となるように設定し、厚肉部21の前端側の厚さt2は、上押え部111のベルト当接面111Tと下押え部112のベルト当接面112Tとに対する各隙間がベルトW1の厚さt3より小さくなるよう(例えば、ベルトW1の厚さt3の60~90%程度)に設定することが好ましい。ベルト固定時において、ベルトW1に対するベルト当接面111T、112Tの摩擦面積が増加すると共に、厚肉部21の厚さtの増加に伴って、ベルトW1に対するベルト当接面111T、112Tの押圧力Fが前側へ行くほど増加して、ベルトW1が緩みにくく、且つ抜けにくくなるからである。
【0093】
また、枠体1の左右の側壁部12、13には、ベルト折返し部材2を前進位置から後退位置まで移動させる案内溝15、16が前後方向に形成されている。また、ベルト折返し部材2には、案内溝15、16に係合され当該案内溝15、16の前端部151、161から後端部152、162まで移動する案内突起211、211が、厚肉部21の左右の外側端部213、213に形成されている。また、案内突起211、211は、厚肉部21の先頭部21Sにおける左右の外側端部213、213に形成されていることが好ましい。また、厚肉部21は、中間部(例えば、中央部)で左右に分離して形成され、分離された左右の厚肉部21a、21bが、薄肉部22を介して略U字状に連結されている。ここでは、薄肉部22にも円弧状の切欠き部222が形成され、また、薄肉部22の後端部には、円弧状断面に形成された把持部221が形成されている。把持部221は、ベルト折返し部材2を前進位置へ移動させたときにも、ベルト挿入部11から後方へ突出していることが好ましい。
【0094】
また、案内溝15、16は、上下方向に貫通形成された開口部14の範囲内で前後方向に延設され、当該案内溝15、16は、側壁部12、13の内壁面に上下断面が二等辺台形状に形成されている。当該案内溝15、16の溝口は、開口部14に向けて形成され、溝底に対して上下対称に拡大している。そのため、案内溝15、16は、枠体1の側壁部12、13の左右外方からは見えない。また、例えば、図6に示すように、枠体1を樹脂成形する場合には、その樹脂成形型60において、左右の側壁部12、13と案内溝15、16とを、案内溝15、16の二等辺台形を構成する一方の斜辺15X、16Xの傾斜方向と同一方向に開閉するコア型61とキャビ型62とを用いて同時に成形できる。この場合、一つの枠体1において、コア型61が左の側壁部13の案内溝16を形成し、キャビ型62が右の側壁部12の案内溝15を形成する。なお、コア型61とキャビ型62とのパーティングライン(分割線)は、左右の側壁部12、13の上端及び下端と交差する位置に段差状に形成する分割線63と、当該分割線63と直交し、コア型61とキャビ型62の開閉方向(矢印Pの方向)と平行に形成された分割線64、65とからなる。この開閉方向の分割線64、65は、二等辺台形の一方の斜辺15X、16Xと平行に形成され、また、一方の分割線64は、開口部14の空間を斜めに横切っている。また、本樹脂成形型60では、複数の枠体1を隣接して平行に配置することによって、同一のコア型61とキャビ型62によって複数の枠体1を成形できる。
【0095】
また、図1図2図5に示すように、2つに分離された左右の厚肉部21a、21bの内側端部には、左右方向に微小隙間d1(例えば、1~2mm程度)で対向可能に形成された一対の衝立部212、212を備えている。ここでは、衝立部212、212は台形断面に形成されているが、例えば、長方形断面でもよい。また、衝立部212、212は、左右の厚肉部21a、21bを上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されている。衝立部212、212同士の左右方向の微小隙間d1は、案内溝15、16に対する案内突起211、211の左右方向の係り代d2より小さく形成されている。また、衝立部212、212の厚肉部21a、21bに対する左右方向の突出代d3は、上記係り代d2と同程度又はそれ以上に形成されている。
【0096】
また、図1図2図4に示すように、ベルト折返し部材2の側部には、左右外方へ弾発的に突出した規制部23、23を備え、当該規制部23、23には、ベルト折返し部材2を後退位置に移動させたとき、枠体1の側壁部12、13の後端縁121、131と当接し、ベルト折返し部材2の前進を規制する段差部231、231が形成されている。なお、規制部23、23は、厚肉部21の外側端部213、213から薄肉部22の把持部221近傍まで形成されたスリット部24、24を挟んで湾曲状に延設されている。また、段差部231、231は、規制部23の前後方向の中間部に形成され、段差部231、231の当接面が、側壁部12、13の後端縁121、131に対して後外方へ傾斜(例えば、左右方向に対する傾斜角が30度程度)するように形成されている。また、ベルト折返し部材2を前進位置に移動させるときには、ベルト折返し部材2を前方へ押す等して、規制部23、23を内方へ押し込むことによって、段差部231、231が側壁部12、13の後端縁121、131を越える位置へ規制部23、23を変位させることができる。
【0097】
また、図1図3に示すように、本ベルト調節装置10には、長さ固定用のベルトW2が基端部31側に固定され、係止爪33、33が先端部32側に形成されたストライカ3を備えている。また、枠体1におけるベルト折返し用の開口部14の前端側には、ストライカ3を係脱可能に収納するストライカ収納部17と、当該ストライカ収納部17内にあってストライカ3の係止爪33、33と係合する係合突起171、171とが形成されている。ストライカ収納部17の前端側には、ストライカ3を挿入させるストライカ挿入部174が形成されている。
【0098】
また、ストライカ3には、ストライカ収納部17内に挿入する左右一対の差込脚部34、34が左右中央側に形成されている。また、ストライカ収納部17の左右中央部には、差込脚部34、34同士の隙間に挿入される案内リブ172が前後方向に形成されている。また、差込脚部34、34の左右外方には、係止爪33、33と当該係止爪33、33を係合突起171、171から離脱させる操作部35、35とが形成されている。ここでは、差込脚部34、34の左右外方には、当該差込脚部34、34の先端部341、341から基端部31側へ略V字状に折り返す折返し部342、342を備え、当該折返し部342、342には、係止爪33、33と当該係止爪33、33を係合突起171、171から離脱させる操作部35、35とが形成されている。また、ストライカ収納部17の左右側部には、操作部35、35を露出させる操作用開口部173、173を備え、当該操作用開口部173、173の近傍に係合突起171、171が形成されている。
【0099】
また、折返し部342、342には、薄板状の連結板343、343が左右外方へ水平状に延設され、連結板343、343を介して操作部35、35が接続されている。また、係止爪33、33は、略V字状に折り返された折返し部342、342の先端部に、連結板343を挟んで上下に分割されている。また、係合突起171、171は、連結板343、343が通過できるように、上下に隙間を設けて分割されている。なお、操作部35、35は、左右対称に形成され、先端側の左右幅が基端側の左右幅より小さく形成されている。操作部35、35には、例えば、指滑り止め用のスリットが形成されていることが好ましい。
【0100】
また、ストライカ3の基端部31は、水平方向に偏平状に形成され、基端部31の左右両端部には、ストライカ収納部17の上蓋部18から基端部31の前端縁に向けて緩やかに傾斜する三角リブ311が形成されていることが好ましい。三角リブ311は、ストライカ収納部17とストライカ3との繋ぎ目の見栄えを向上させるため、ストライカ収納部17の上蓋部18側のみに形成されている。また、三角リブ311は、ストライカ収納部17の上蓋部18側のみに形成することによって、ストライカ3の横断面外周長を短縮させることができ、例えば、本ベルト調節装置10をズボン用ベルトのバックルとして使用した場合、ストライカ3をズボンのベルト通し紐に通す作業を、より簡単に行うことができる。
【0101】
(本ベルト調節装置の動作方法)
次に、第1実施例のベルト調節装置10の動作方法を、簡単に説明する。すなわち、ベルト折返し部材2における薄肉部22を、上下方向に貫通形成されたベルト折返し用の開口部14から挿入し、ベルト挿入部11の上押え部111と下押え部112の間を通過させて、枠体1の後端側へ突出させる。また、開口部14の中で、左右に分離された厚肉部21a、21bを、上下方向に変位させて互いに近接させ、枠体1の左右の側壁部12、13に形成された案内溝15、16に案内突起211を係合させる。これによって、ベルト折返し部材2を、枠体1内に前後方向へ進退可能に装着することができる。
【0102】
そして、ベルト折返し部材2を枠体1の前進位置に移動させ、長さ調節用のベルトW1を、ベルト挿入部11から薄肉部22に沿わせてベルト折返し用の開口部14まで挿入し、ベルトW1を厚肉部21の先頭部21Sを巻回させて折り返し、折り返したベルトW1をベルト挿入部11から後方へ突出させる。なお、ベルト挿入部11から後方へ突出させたベルトW1は、ブラツキを防止するため、折り返す前のベルトW1と重ねて筒状の保持部材(図示しない)に挿入し、摺動可能に保持しても良い。
【0103】
また、長さ調節用のベルトW1の長さを調節するときには、折り返したベルトW1と共に薄肉部22の把持部221を把持して、ベルト折返し部材2を枠体1の前進位置に移動させ、ベルトW1を厚肉部21から離間させて弛ませた状態として、ベルトW1を前後に移動させてその長さを調節する。また、長さを調節したベルトW1を枠体1に固定するときには、折り返したベルトW1と共に薄肉部22の把持部221を把持して、ベルト折返し部材2を前進位置から後退位置へ移動させ、厚肉部21とベルト挿入部11の上押え部111と下押え部112との隙間にベルトW1を上下方向に狭圧して拘束する。
【0104】
なお、厚肉部21とベルト挿入部11の上押え部111と下押え部112との隙間にベルトW1を狭圧した状態では、左右の厚肉部21a、21bの内側端部に備えた衝立部212、212が、当接又は左右方向に微小隙間d1で対向しているので、ベルトW1に引張り力が作用しても、左右の側壁部12、13に形成された案内溝15、16から案内突起211、211が離脱することを阻止することができる。また、枠体1の後退位置では、案内突起211、211が案内溝15、16の後端部152、162と当接して、ベルト折返し部材2が枠体1のベルト挿入部11から抜け出ることも阻止することができる。さらに、ベルト折返し部材2を枠体1の後退位置に移動させたときには、規制部23、23の段差部231、231が枠体1の側壁部12、13の後端縁121、131と当接し、ベルト折返し部材2の前進を規制する。したがって、ベルト折返し部材2に対して前進方向の外力が多少作用した場合にも、ベルトW1の固定を維持することができる。
【0105】
次に、枠体1に対してストライカ3を介して長さ固定用のベルトW2を連結するときの動作方法を説明する。すなわち、予め、ストライカ3の基端部31に長さ固定用のベルトW2を巻回してそのベルト端部を糸等によって固定する。なお、固定したベルト端部が長い場合には、そのブラツキを防止するため、巻回する前のベルトW2と重ねて筒状の保持部材(図示しない)に挿入して保持しても良い。また、枠体1の前端側に形成されたストライカ収納部17に、ストライカ3の前端部32側に形成された差込脚部34を挿入する。このとき、ストライカ3の差込脚部34は、ストライカ収納部17の案内リブ172にガイドされて進入し、差込脚部34、34の先端部341、341から略V字状に折り返す折返し部342、342に形成された係止爪33、33と、ストライカ収納部17の操作用開口部173、173の近傍に形成された係合突起171、171とが、折返し部342、342の弾発力によって係合する。これによって、枠体1に対して、ストライカ3を介して長さ固定用のベルトW2を連結することができる。なお、枠体1からストライカ3を離脱させるときには、ストライカ収納部17の操作用開口部173、173から露出する操作部35、35を、折返し部342、342の弾発力に抗して内方へ押し込み、係止爪33、33を係合突起171、171から離脱させる。
【0106】
<第2実施例のベルト調節装置>
次に、本実施形態の第2実施例に係るベルト調節装置について、図7図11を用いて説明する。図7、本実施形態に係るベルト調節装置の第2実施例における枠体の概略斜視図を示す。図8に、図7に示すC-C断面図を示す。図9に、図8に示す受け金の概略斜視図を示す。図10に、図7に示すD矢視図を示す。図11に、図7に示す第2実施例のベルト調節装置において、ベルト折返し部材の後退位置でのベルト拘束状態を表す詳細断面図を示す。
【0107】
(本ベルト調節装置の構成)
第2実施例では、第1実施例と共通する構成は、共通の符号を付して、原則としてその説明を割愛し、第1実施例との相違点を中心に説明する。また、ストライカは、第1実施例と共通するので、図示しない。
【0108】
すなわち、図7図9に示すように、本実施形態の第2実施例に係るベルト調節装置10Bでは、ストライカ収納部17Bの上蓋部18Bには、上方へ向けてテーパ状に開放された装飾用開口部181Bが形成され、装飾用開口部181Bには、中央部191Bが表面側に露出し、外縁部192Bが装飾用開口部181B内に埋設された装飾部材19Bが装着されている。装飾用開口部181Bにおいて、上方へ向けてテーパ状に開放された左右方向の傾斜面181SBは、案内溝15、16の斜辺15X、16Xと略平行に形成されている。そのため、枠体1Bの樹脂成形において、前述した樹脂成形型60によって装飾用開口部181Bの傾斜面181SBを同時に形成することができる。また、上蓋部18Bの上面は、中央部が上方へ滑らかに膨出するように形成されている。
【0109】
また、装飾部材19Bは、表面が宝石状にカット加工された装飾体19aBと、当該装飾体19aBの裏面を支持する受け金194Bとからなり、当該受け金194Bの外縁部が、装飾用開口部181Bに形成された係止溝183Bに挿入されている。装飾体19aBは、例えば、宝石状にカット加工された天然石やガラス部材、樹脂部材等が該当する。また、装飾体19aBは、その外周縁が装飾用開口部181Bの内周縁に形成された爪部182Bに当接し、底部19bBが装飾用開口部181Bの下部に形成された係止溝183Bに嵌合された受け金194Bに支持されて、装着されている。ここでは、受け金194Bの中央部は、下方へ湾曲して形成され、装飾体19aBの底部19bBを収容する開口部194HBが形成されている。
【0110】
また、ストライカ収納部17Bの左右中央部には、図示しないストライカ3の差込脚部34、34同士の隙間に挿入される案内リブ172Bが前後方向に形成されている。案内リブ172Bの上端部は、装飾部材19Bをストライカ挿入部174から挿入する際、干渉しない程度の高さに形成されている。
【0111】
また、図7図10図11に示すように、枠体1Bのベルト挿入部11Bには、枠体1Bの左右の側壁部12、13に接続され上下方向に離間された上押え部111Bと下押え部112Bとが形成されている。また、上押え部111Bのベルト当接面111TBと下押え部112Bのベルト当接面112TBとが、前後方向で互いに平行に形成され、左右方向でも互いに平行に形成されている。第1実施例と同様に、ベルト折返し部材2を折り返したベルトW1と共に枠体1Bの後退位置に移動させたとき、上押え部111Bと下押え部112Bとが、厚肉部21との間でベルトW1を狭圧して拘束する。これに加えて、第2実施例のベルト挿入部11Bには、上押え部111Bと厚肉部21と下押え部112Bとの各間でベルトW1をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、ベルト側へ食い込む複数の突起部113Bが形成されている。
【0112】
ここでは、突起部113Bは、両ベルト当接面111TB、112TBに形成されているが、いずれか一方でもよい。また、突起部113Bは、ベルト当接面111TB、112TBの前端側に前後方向に沿って延設された角型突起として形成され、各突起部113Bが左右方向で等間隔(例えば、突起部113Bの左右幅と略同一)に配置されているが、各突起部113Bは、角型断面に限らず、例えば、円弧状断面でもよい。なお、突起部113Bは、高さが0.4~0.5mm程度で、左右幅が1~1.5mm程度で、前後長が2mm程度が好ましい。
【0113】
(本ベルト調節装置の動作方法)
次に、第2実施例のベルト調節装置10Bにおける特有の動作方法として、装飾部材19Bの装着方法と、ベルトW1の固定方法及び調節方法とを説明する。すなわち、装飾部材19Bとして、表面が宝石状にカット加工された装飾体19aBと、当該装飾体19aBの裏面を支持する受け金194Bとを準備する。そして、受け金194Bの形状を、装飾体19aBの裏面を支持するように湾曲状に変形させる。装飾体19aBと受け金194Bとを、ストライカ収納部17のストライカ挿入部174から挿入する。次に、装飾体19aBの外周縁を装飾用開口部181Bの内周縁に形成された爪部182Bに当接して、装飾体19aBの中央部を装飾用開口部181Bから上方へ突出させる。また、装飾体19aBの底部19bBを受け金194Bの開口部194HBに嵌めて、装飾用開口部181Bの下部に形成された係止溝183Bに受け金194Bの外縁部を嵌合させる。なお、装飾部材19Bをストライカ収納部17Bの上蓋部18Bから取り外すときは、上記と逆の手順で行う。
【0114】
次に、長さを調節したベルトW1を枠体1Bに固定するときには、折り返したベルトW1と共に薄肉部22の把持部221を把持して、ベルト折返し部材2を枠体1Bの後退位置へ移動させ、厚肉部21とベルト挿入部11Bの上押え部111Bと下押え部112Bとの隙間にベルトW1を上下方向に狭圧して拘束する。この点は、第1実施例と共通する。しかし、第2実施例では、複数の突起部113BがベルトW1表面に食い込むことによって、上押え部111Bと厚肉部21と下押え部112Bとの各間でベルトW1に対して、上下方向へ押圧する垂直押圧力に加えて、ベルトW1と厚肉部21を斜め前方へ押圧する傾斜押圧力が作用する。これによって、ベルト折返し部材2が、枠体1Bに対してより強く拘束され、ベルトW1をより一層確実に固定させる。また、ベルト折返し部材2をより強い力で後方へ引っ張っても、ベルト折返し部材2が、ベルト挿入部11Bから抜け出るのを防止できる。
【0115】
なお、長さ調節用のベルトW1の長さを調節するときには、ベルト折返し部材2を枠体1Bの前進位置に移動させ、ベルトW1を厚肉部21から離間させて弛ませた状態として、ベルトW1を前後に移動させてその長さを調節する。ここで、突起部113Bは、ベルト当接面111TB、112TBの前端側に前後方向に沿って延設されているので、ベルト折返し部材2を枠体1Bの前進位置に移動させるときには、ベルトW1に食い込んだ突起部113Bを簡単にベルトW1から外すことができる。
【0116】
<第3実施例のベルト調節装置>
次に、本実施形態の第3実施例に係るベルト調節装置について、図12図13を用いて説明する。図12に、本実施形態に係るベルト調節装置の第3実施例における枠体の概略斜視図を示す。図13に、図12に示すE-E断面図を示す。
【0117】
(本ベルト調節装置の構成)
第3実施例のベルト調節装置10Cは、装飾部材19Cのみが前述した第2実施例と相違し、その他の構成は、共通する。第1実施例及び第2実施例と共通する構成は、それぞれ共通の符号を付して、原則としてその説明を割愛し、相違点である装飾部材19Cのみを説明する。また、ストライカ3は、第1実施例と共通するので、図示しない。
【0118】
すなわち、図12図13に示すように、本実施形態の第3実施例に係るベルト調節装置10Cでは、ストライカ収納部17Cの上蓋部18Cには、上方へ向けてテーパ状に開放された装飾用開口部181Cが形成され、装飾用開口部181Cには、中央部191Cが表面側に露出し、外縁部192Cが装飾用開口部181C内に埋設された装飾部材19Cが装着されている。装飾用開口部181Cにおいて、上方へ向けてテーパ状に開放された左右方向の傾斜面181SCは、案内溝15、16の斜辺15X、16Xと略平行に形成されている。そのため、枠体1Cの樹脂成形において、前述した樹脂成形型60によって装飾用開口部181Cの傾斜面181SCを同時に形成することができる。また、上蓋部18Cの上面は、平坦状に形成され、ストライカ収納部17Cの薄型化がより一層容易となっている。
【0119】
また、ストライカ収納部17Cの左右中央部には、図示しないストライカ3の差込脚部34、34同士の隙間に挿入される案内リブ172Cが前後方向に形成されている。案内リブ172Cの上端部は、装飾部材19Cをストライカ挿入部174から挿入する際、干渉しない程度の高さに形成されている。
【0120】
また、装飾部材19Cは、透明で平板状に形成された表板19aCと、当該表板19aCと同形の裏板19bCと、両板間に挟まれた装飾フィルム19cCとからなり、表板19aCの外縁部192aCと裏板19bCの外縁部192bCとが、装飾用開口部181Cに形成された係止溝183Cに挿入されている。装飾フィルム19cCを、色や模様が異なる他の種類の装飾フィルムに交換することによって、異なる装飾部材19Cに簡単に変更することができる。ここでは、表板19aCと裏板19bCと装飾フィルム19cCとが、それぞれ略矩形状に形成されているが、円形状又は楕円形状に形成してもよい。
【0121】
なお、第3実施例では、第2実施例と同様に、枠体1Cのベルト挿入部11Bには、上押え部111Bと厚肉部21と下押え部112Bとの各間でベルトW1をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、ベルト側へ食い込む複数の突起部113Bが形成されている。しかし、第1実施例と同様に、ベルト挿入部11には、突起部113Bが無く、上押え部111と厚肉部21と下押え部112との各間でベルトW1をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、ベルトW1を枠体1Cに固定する構成でもよい。
【0122】
(本ベルト調節装置の動作方法)
次に、第3実施例のベルト調節装置10Cにおける特有の動作方法として、装飾部材19Cの装着方法を説明する。すなわち、装飾部材19Cとして、透明で平板状に形成された表板19aCと、当該表板19aCと同形の裏板19bCと、両者の間に挟む装飾フィルム19cCとを準備する。裏板19bCは、必ずしも透明でなくてもよい。そして、装飾フィルム19cCを裏板19bCに接着させた状態で、表板19aCと装飾フィルム19cCと裏板19bCとを積層して、ストライカ収納部17Cのストライカ挿入部174から挿入する。次に、表板19aCの外縁部192aCと裏板19bCの外縁部192bCとを持ち上げて、装飾用開口部181Cに形成された係止溝183Cに挿入する。これによって、装飾用開口部181Cには、装飾部材19Cの中央部191Cが表面側に露出し、外縁部192Cが装飾用開口部181C内に埋設された状態となる。なお、装飾部材19Cをストライカ収納部17Cの上蓋部18Cから取り外すときは、上記と逆の手順で行う。
【0123】
<第4実施例のベルト調節装置>
次に、本実施形態の第4実施例に係るベルト調節装置について、図14図16を用いて説明する。図14に、本実施形態に係るベルト調節装置の第4実施例における枠体の概略斜視図を示す。図15に、図14に示すF-F断面図を示す。図16に、図14に示すG-G断面図を示す。
【0124】
(本ベルト調節装置の構成)
第4実施例のベルト調節装置10Dは、装飾部材19Dのみが前述した第1実施例と相違し、その他の構成は、共通する。第1実施例と共通する構成は、それぞれ共通の符号を付して、原則としてその説明を割愛し、相違点である装飾部材19Dのみを説明する。また、ストライカ3は、第1実施例と共通するので、図示しない。
【0125】
すなわち、図14図16に示すように、本実施形態の第4実施例に係るベルト調節装置10Dでは、ストライカ収納部17Dの上蓋部18Dには、上方へ向けてテーパ状に開放された装飾用開口部181Dが形成され、装飾用開口部181Dには、中央部191Dが表面側に露出し、外縁部192Dが装飾用開口部181D内に埋設された装飾部材19Dが装着されている。装飾用開口部181Dにおいて、上方へ向けてテーパ状に開放された左右方向の傾斜面181SDは、案内溝15、16の斜辺15X、16Xと略平行に形成されている。そのため、枠体1の樹脂成形において、前述した樹脂成形型60によって装飾用開口部181Dの傾斜面181SDを同時に形成することができる。また、上蓋部18Dの上面は、中央部が上方へ滑らかに膨出するように形成されている。
【0126】
また、装飾部材19Dは、表面が宝石状にカット加工された複数の装飾体19aDと、当該装飾体19aDの裏面を支持する受け金194Dとからなり、当該受け金194Dの外縁部が、装飾用開口部181Dに形成された係止溝183Dに挿入されている。装飾体19aDは、例えば、宝石状にカット加工された天然石やガラス部材、樹脂部材等が該当する。また、装飾体19aDは、その外周縁が装飾用開口部181Dの内周縁に形成された爪部182Dに当接し、底部が装飾用開口部181Dの下部に形成された係止溝183Dに嵌合された受け金194Dに支持されて、装着されている。ここでは、受け金194Dは、複数の装飾体19aDを支持可能に長方形の板状に形成されている。
【0127】
また、ストライカ収納部17Dの左右中央部には、図示しないストライカ3の差込脚部34、34同士の隙間に挿入される案内リブ172Dが前後方向に形成されている。案内リブ172Dの上端部は、装飾部材19Dをストライカ挿入部174から挿入する際、干渉しない程度の高さに形成されている。また、装飾用開口部181Dには、装飾体19aDの仕切りリブ184Dが、隣接する装飾体19aD同士の間に形成されている。
【0128】
なお、第4実施例では、第1実施例と同様に、ベルト挿入部11には、突起部113Bが無く、上押え部111と厚肉部21と下押え部112との各間でベルトW1をそれぞれ上下方向に挟圧して拘束させた状態で、ベルトW1を枠体1Cに固定する構成である。しかし、第2実施例と同様に、枠体1Dのベルト挿入部11には、上押え部111と厚肉部21と下押え部112との各間でベルトW1をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、ベルト側へ食い込む複数の突起部113Bを形成してもよい。
【0129】
(本ベルト調節装置の動作方法)
次に、第4実施例のベルト調節装置10Dにおける特有の動作方法として、装飾部材19Dの装着方法を説明する。すなわち、装飾部材19Dとして、表面が宝石状にカット加工された複数の装飾体19aDと、当該装飾体19aDの裏面を支持する一つの受け金194Dとを準備する。そして、装飾体19aDと受け金194Dとを、ストライカ収納部17Dのストライカ挿入部174から挿入する。次に、装飾体19aDの外周縁を装飾用開口部181Dの内周縁に形成された爪部182Dに当接して、装飾体19aDの中央部を装飾用開口部181Dから上方へ突出させる。また、装飾体19aDの底部19bDを受け金194Dに当接して、装飾用開口部181Dの下部に形成された係止溝183Dに受け金194Dの外縁部を嵌合させる。なお、装飾部材19Dをストライカ収納部17Dの上蓋部18Dから取り外すときは、上記と逆の手順で行う。
【0130】
<第5実施例のベルト調節装置>
次に、本実施形態の第5実施例に係るベルト調節装置の構成及び動作方法について、図17図18を用いて説明する。図17に、本実施形態に係る第5実施例のベルト調節装置における分解状態の斜視図を示す。図18に、図17に示すベルト調節装置における組付け状態の縦断面図を示す。
【0131】
(本ベルト調節装置の構成)
第5実施例では、第1実施例と共通する構成は、共通の符号を付して、原則としてその説明を割愛し、第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0132】
すなわち、図17図18に示すように、本実施形態の第5実施例に係るベルト調節装置10Eでは、長さ固定用のベルトW2が基端部31側に固定され、係止爪33E、33Eが先端部32側に形成されたストライカ3Eを備え、枠体1Eにおける開口部14の前端側には、ストライカ3Eを係脱可能に収納するストライカ収納部17Eと、当該ストライカ収納部17E内にあってストライカ3Eの係止爪33E、33Eと係合する係合突起171Eとが形成されている。また、ストライカ3Eには、左右中央側に形成されストライカ収納部17E内に挿入される左右一対の差込脚部34E、34Eと、左右両側に形成されストライカ収納部17Eに挿入される係止脚部36E、36Eとを備えている。
【0133】
また、ストライカ収納部17Eには、差込脚部34E、34E同士の隙間に挿入される案内リブ172Eが形成されている。また、係止脚部36E、36Eの先端部361E、361Eには、係止爪33E、33Eが形成されている。また、係止脚部36E、36Eの先端部361E、361Eから基端部31側へ略V字状に折り返す折返し部362E、362Eには、操作部35Eを備えている。また、ストライカ収納部17Eの左右側部には、操作部35E、35Eを露出させる操作用開口部173、173が形成されている。また、開口部14とストライカ収納部17Eとの境界部175には、係合突起171E、171Eが形成されている。また、上蓋部18Eの上面は、平坦状に形成され、ストライカ収納部17Eの薄型化がより一層容易となっている。
【0134】
また、ストライカ収納部17Eの上蓋部18Eに係止可能に形成された装飾カバー体4を備えている。装飾カバー体4には、係合突起171E、171Eに係合した係止爪33E、33Eを隠す縦リブ411が略L字状に立設されたカバー基体41を備え、当該カバー基体41の表面側に複数個(例えば、3つ)の装飾部材42が接着剤によって装着されている。装飾部材42は、例えば、宝石状にカット加工された天然石やガラス部材、樹脂部材等が該当する。また、カバー基体41の裏面側には、ストライカ収納部17Eの上蓋部18Eの前端縁と後端縁とに係止する係止爪412、413、414が形成されている。
【0135】
なお、第5実施例では、第1実施例と同様に、ベルト挿入部11には、図7に示す突起部113Bが無く、上押え部111と厚肉部21と下押え部112との各間でベルトW1をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、ベルトW1を枠体1Eに固定する構成である。しかし、第2実施例と同様に、枠体1Eのベルト挿入部11には、上押え部111と厚肉部21と下押え部112との各間でベルトW1をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、ベルト側へ食い込む複数の突起部113Bを形成してもよい。
【0136】
(本ベルト調節装置の動作方法)
次に、第5実施例のベルト調節装置10Eにおける特有の動作方法として、ストライカ収納部17Eに対するストライカEの着脱方法と、ストライカ収納部17Eの上蓋部18Eに対する装飾カバー体4の装着方法を説明する。すなわち、予め、ストライカ3Eの基端部31に長さ固定用のベルトW2を巻回してそのベルト端部を糸等によって固定する。なお、固定したベルト端部が長い場合には、そのブラツキを防止するため、巻回する前のベルトW2と重ねて筒状の保持部材(図示しない)に挿入して保持しても良い。また、枠体1Eの前端側に形成されたストライカ収納部17Eに、ストライカ3Eの前端部32側に形成された差込脚部34E、34Eと係止脚部36E、36Eを挿入する。このとき、ストライカ3Eの差込脚部34E、34Eが、ストライカ収納部17Eの案内リブ172Eにガイドされて進入する。また、係止脚部36E、36Eの先端部361E、361Eに形成された係止爪33E、33Eが、開口部14とストライカ収納部17Eとの境界部175に形成された係合突起171E、171Eと係合する。これによって、枠体1Eに対して、ストライカ3Eを介して長さ固定用のベルトW2を連結することができる。なお、枠体1Eからストライカ3Eを離脱させるときには、ストライカ収納部17Eの操作用開口部173、173から露出する操作部35E、35Eを内方へ押し込み、係止爪33E、33Eを係合突起171E、171Eから離脱させる。
【0137】
また、装飾カバー体4をストライカ収納部17Eの上蓋部18Eに装着する場合には、表面が宝石状にカット加工された複数の装飾部材42と、当該装飾部材42の裏面を支持する一つのカバー基体41とを準備する。カバー基体41は、係合突起171E、171Eに係合した係止爪33E、33Eを隠す縦リブ411が略L字状に立設された板状体として形成する。そして、カバー基体41に複数の装飾部材42を装着する。次に、ストライカ収納部17Eの上蓋部18Eの前端縁と後端縁とにカバー基体41の係止爪412、413、414を係合させることによって、ストライカ収納部17Eの上蓋部18Eに装飾カバー体4を装着する。なお、装飾カバー体4をストライカ収納部17Eの上蓋部18Eから取り外すときは、上記と逆の手順で行う。
【0138】
<第6実施例のベルト調節装置>
次に、本実施形態の第6実施例に係るベルト調節装置について、図19図21を用いて説明する。図19に、本実施形態に係る第6実施例のベルト調節装置における分解状態の斜視図を示す。図20に、図19に示すベルト調節装置における組付け状態の平面図を示す。図21に、図19に示すベルト調節装置の枠体を形成する樹脂成形型の要部断面図を示す。
【0139】
(本ベルト調節装置の構成)
第6実施例では、第1実施例と共通する構成は、共通の符号を付して、原則としてその説明を割愛し、第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0140】
すなわち、図19図21に示すように、本実施形態の第6実施例に係るベルト調節装置10Fでは、ベルト折返し用の略矩形状の開口部14が内周側に形成された枠体1Fと、ベルトW1の幅と略同一の幅に形成された厚肉部21と当該厚肉部21の後方で当該厚肉部21より薄く形成された薄肉部22とを有し、開口部14の中で厚肉部21の先頭部21SにベルトW1を巻回して前後方向に折返し、枠体1F内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状のベルト折返し部材2とを備えている。また、枠体1Fにおける開口部14の前端側には、ベルト固定枠5が形成され、当該ベルト固定枠5に長さ固定用のベルトW3が固定されている。ベルト固定枠5は、水平な板状体として形成されている。ベルト固定枠5には、例えば、長さ固定用のベルトW3を巻回してそのベルト端部を糸等によって固定する。なお、固定したベルト端部が長い場合には、そのブラツキを防止するため、巻回する前のベルトW2と重ねて筒状の保持部材(図示しない)に挿入して保持しても良い。
【0141】
また、枠体1Fの左右の側壁部12、13には、ベルト折返し部材2を前進位置から後退位置まで移動させる案内溝15F、16Fが前後方向に形成されている。また、ベルト折返し部材2には、案内溝15F、16Fに係合され当該案内溝15F、16Fの前端部151F、161Fから後端部152F、162Fまで移動する案内突起211、211が、厚肉部21の左右の外側端部213、213に形成されている。
【0142】
また、案内溝15F、16Fは、上下方向に貫通形成された開口部14の範囲内で前後方向に延設され、当該案内溝15F、16Fは、側壁部12、13を左右方向に垂直に貫通して形成されている。ここでは、例えば、図21に示すように、枠体1Fを樹脂成形する樹脂成形型60Fにおいて、左右の側壁部12、13と案内溝15F、16Fとを、同一方向に開閉するコア型61Fとキャビ型62Fとを用いて同時に成形する。すなわち、案内溝15F、16Fを、斜辺同士が上下方向で当接する一対の直角台形溝151f、152f、161f、162fに分割し、一つの枠体1Fにおいて、コア型61Fが左右の案内溝15F、16Fの上半分の直角台形溝151f、161fを形成し、キャビ型62Fが当該左右の案内溝15F、16Fの下半分の直角台形溝152f、162fを形成する。
【0143】
また、本樹脂成形型60Fでは、複数の枠体1Fを平行に配置することによって、同一のコア型61Fとキャビ型62Fによって複数の枠体1Fを成形できる。なお、コア型61Fとキャビ型62Fとのパーティングライン(分割線)は、左右の側壁部12、13と交差する位置に形成する分割線63Fと、当該分割線63Fと直交し、コア型61Fとキャビ型62Fの開閉方向(矢印Pの方向)と平行に形成された分割線64F、65Fからなる。この分割線64F、65Fは、直角台形溝151f、161f、152f、162fの斜辺15S、16Sと平行に形成され、また、開口部14の上下を斜めに交差している。なお、案内溝15F、16Fは、側壁部12、13を左右方向に貫通して形成されているので、ベルト幅が狭い場合にも適用が容易である。
【0144】
(本ベルト調節装置の動作方法)
次に、第6実施例のベルト調節装置10Fの動作方法を、簡単に説明する。すなわち、ベルト折返し部材2における薄肉部22を、上下方向に貫通形成されたベルト折返し用の開口部14から挿入し、ベルト挿入部11の上押え部111と下押え部112の間を通過させて、枠体1Fの後端側へ突出させる。また、開口部14の中で、左右に分離された厚肉部21a、21bを、上下方向に変位させて互いに近接させ、枠体1Fの左右の側壁部12、13に形成された案内溝15F、16Fに案内突起211を係合させる。これによって、ベルト折返し部材2を、枠体1F内に前後方向へ進退可能に装着することができる。
【0145】
そして、ベルト折返し部材2を枠体1Fの前進位置に移動させ、長さ調節用のベルトW1を、ベルト挿入部11から薄肉部22に沿わせてベルト折返し用の開口部14まで挿入し、ベルトW1を厚肉部21の先頭部21Sを巻回させて折り返し、折り返したベルトW1をベルト挿入部11から後方へ突出させる。なお、ベルト挿入部11から後方へ突出させたベルトW1は、ブラツキを防止するため、折り返す前のベルトW1と重ねて筒状の保持部材(図示しない)に挿入し、摺動可能に保持しても良い。
【0146】
また、長さ調節用のベルトW1の長さを調節するときには、ベルト折返し部材2を枠体1Fの前進位置に移動させたままで、ベルトW1を厚肉部21から離間させて弛ませた状態として、ベルトW1を前後に移動させてその長さを調節する。また、長さを調節したベルトW1を枠体1Fに固定するときには、折り返したベルトW1と共に薄肉部22の把持部221を把持して、ベルト折返し部材2を枠体1Fの後退位置へ移動させ、厚肉部21とベルト挿入部11の上押え部111と下押え部112との隙間にベルトW1を狭圧して拘束する。
【0147】
なお、厚肉部21とベルト挿入部11の上押え部111と下押え部112との隙間にベルトW1を狭圧した状態では、左右の厚肉部21a、21bの内側端部に備えた衝立部212、212が、当接又は左右方向に微小隙間d1で対向しているので、ベルトW1に引張り力が作用しても、左右の側壁部12、13に形成された案内溝15F、16Fから案内突起211、211が離脱することを阻止することができる。また、枠体1Fの後退位置では、案内突起211、211が案内溝15F、16Fの後端部152F、162Fと当接して、ベルト折返し部材2が枠体1Fのベルト挿入部11から抜け出ることも阻止することができる。さらに、ベルト折返し部材2を枠体1Fの後退位置に移動させたときには、規制部23、23の段差部231、231が枠体1Fの側壁部12、13の後端縁121、131と当接し、ベルト折返し部材2の前進を規制する。したがって、ベルト折返し部材2に対して先進方向の外力が多少作用した場合にも、ベルトW1の固定を維持することができる。
【0148】
<第7実施例のベルト調節装置>
次に、本実施形態の第7実施例に係るベルト調節装置について、図22図23を用いて説明する。図22に、本実施形態に係る第7実施例のベルト調節装置における分解状態の斜視図を示す。図23に、図22に示すベルト調節装置における組付け状態の平面図を示す。
【0149】
(本ベルト調節装置の構成)
第7実施例では、第1実施例と共通する構成は、共通の符号を付して、原則としてその説明を割愛し、第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0150】
すなわち、図22図23に示すように、本実施形態の第7実施例に係るベルト調節装置10Gでは、ベルト折返し用の略矩形状の開口部14の内周側に形成された枠体1Gと、ベルトW1の幅と略同一の幅に形成された厚肉部21と当該厚肉部21の後方で当該厚肉部21より薄く形成された薄肉部22とを有し、開口部14の中で厚肉部21の先頭部21SにベルトW1を巻回して前後方向に折返し、枠体1G内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状のベルト折返し部材2とを備えている。
【0151】
また、枠体1Gにおける開口部14の前端側には、長さ調節用の第2のベルトW4を挿入させる第2のベルト挿入部11Gが形成され、また、第2のベルトW4の幅と略同一の幅に形成された第2の厚肉部21Gと当該第2の厚肉部21Gの前方で当該第2の厚肉部21Gより薄く形成された第2の薄肉部22Gとを有し、開口部14の中で第2の厚肉部21Gの先頭部21SGに第2のベルトW4を巻回して前後方向に折返し、枠体1G内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状の第2のベルト折返し部材2Gとを備えている。第2のベルト折返し部材2Gは、樹脂製であるが、例えば、アルミ系又はマグネシウム系の金属製でもよい。
【0152】
また、第2のベルト挿入部11Gには、枠体1Gの左右の側壁部12、13に接続され第2の厚肉部21Gとの間で第2のベルトW4を上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部111Gと第2の下押え部112Gとが形成されている。また、第2の上押え部111Gのベルト当接面111TGと第2の下押え部112Gのベルト当接面112TGとが、前後方向で互いに平行に形成されている。また、第2の厚肉部21Gは、上下方向の厚さが前端側から後端側に向けて徐々に増加するように形成されている。ここでは、第2の上押え部111Gのベルト当接面111TGと第2の下押え部112Gのベルト当接面112TGとが、左右方向でも互いに平行に形成されている。また、第2の厚肉部21Gは、左右方向で互いに平行に形成されている。
【0153】
また、枠体1Gの左右の側壁部12、13には、第2のベルト折返し部材2Gを前進位置から後退位置まで移動させる案内溝15G、16Gが前後方向に形成されている。また、第2のベルト折返し部材2Gには、案内溝15G、16Gに係合され当該案内溝15G、16Gの前端部151G、161Gから後端部152G、162Gの近傍まで移動する案内突起211G、211Gが、第2の厚肉部21Gの左右の外側端部213G、213Gに形成されている。
【0154】
また、案内溝15G、16Gは、上下方向に貫通形成された開口部14の範囲内で前後方向に延設され、当該案内溝15G、16Gは、側壁部12、13を左右方向に貫通して形成されている。ここでは、案内溝15G、16Gは、ベルト折返し部材2を前端位置から後端位置まで移動させる案内溝を兼ねている。そのため、案内溝15G、16Gの前後方向の長さは、第2のベルト折返し部材2Gをその前進位置(Y2の位置)に移動させ、第2の上押え部111Gと第2の厚肉部21Gと第2の下押え部112Gとの各間で第2のベルトW4をそれぞれ挟圧して拘束させた状態において、長さ調節用のベルトW1の長さを調節するため、ベルト折返し部材2をその前進位置(Y1の位置)へ移動させたとき、ベルト折返し部材2と第2のベルト折返し部材2Gとが隣接して干渉しない長さに形成されている。なお、左右の側壁部12、13と案内溝15G、16Gとを、例えば、第6実施例と同様に、枠体1Gを樹脂成形する樹脂成形型において、同一方向に開閉するコア型とキャビ型とを用いて同時に成形することができる(図21を参照)。
【0155】
また、第2のベルト折返し部材2Gには、案内溝15G、16Gに係合され当該案内溝15G、16Gの前端部151G、161Gから後端部152G、162Gの近傍(第2のベルト折返し部材2Gが後退位置のベルト折返し部材2と隣接する位置)まで移動する第2の案内突起211G、211Gが第2の厚肉部21Gの左右の外側端部213G、213Gに形成され、第2の厚肉部21Gは、中央部で左右に分離して形成され、分離された左右の第2の厚肉部21aG、21bGが、第2の薄肉部22Gを介して略U字状に連結されている。
【0156】
また、左右の第2の厚肉部21aG、21bGの内側端部には、左右方向に微小隙間d4(例えば、1~2mm程度)で対向可能に形成された一対の第2の衝立部212G、212Gを備えている。また、第2の衝立部212G、212Gは、左右の第2の厚肉部21aG、21bGを上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されている。
【0157】
また、第2のベルト折返し部材2Gの側部には、左右外方へ弾発的に突出した第2の規制部23G、23Gを備え、当該第2の規制部23G、23Gには、第2のベルト折返し部材2Gを前進位置に移動させたとき、枠体1Gの側壁部12、13の前端縁121G、131Gと当接し、第2のベルト折返し部材2Gの後退を規制する第2の段差部231G、231Gが形成されている。第2の段差部231G、231Gの当接面は、側壁部12、13の前端縁121G、131Gに対して外前方へ傾斜して形成されている。
【0158】
なお、図22図23には、図示していないが、第2のベルト挿入部11Gには、第2の上押え部111Gと第2の厚肉部21Gと第2の下押え部112Gとの各間で第2のベルトW4をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、第2のベルトW4側へ食い込む複数の第2の突起部113Bを形成してもよい(図10図11を参照)。
【0159】
(本ベルト調節装置の動作方法)
次に、第7実施例のベルト調節装置10Gの特有の動作方法を、簡単に説明する。ここでは、長さ調節用のベルトW1の長さを調節し、固定する方法は、第6実施例で説明したので、長さ調節用の第2のベルトW4の長さを調節し、固定する方法のみを説明する。すなわち、第2のベルト折返し部材2Gにおける薄肉部22Gを、上下方向に貫通形成されたベルト折返し用の開口部14から挿入し、第2の上押え部111Gと第2の下押え部112Gの間を通過させて、枠体1Gの前端側へ突出させる。また、開口部14の中で、左右に分離された第2の厚肉部21aG、21bGを、上下方向に変位させて互いに近接させ、枠体1Gの左右の側壁部12、13に形成された案内溝15G、16Gに案内突起211G、211Gを係合させる。これによって、第2のベルト折返し部材2Gを、枠体1G内に前後方向へ進退可能に装着することができる。
【0160】
そして、第2のベルト折返し部材2Gを枠体1Gの後退位置に移動させ、長さ調節用の第2のベルトW4を、第2のベルト挿入部11Gから第2の薄肉部22Gに沿わせてベルト折返し用の開口部14まで挿入し、第2のベルトW4を第2の厚肉部21Gの先頭部21SGを巻回させて折り返し、折り返した第2のベルトW4を第2のベルト挿入部11Gから前方へ突出させる。なお、第2のベルト挿入部11Gから後方へ突出させた第2のベルトW4は、ブラツキを防止するため、折り返す前の第2のベルトW4と重ねて筒状の保持部材(図示しない)に挿入し、摺動可能に保持しても良い。
【0161】
また、長さ調節用の第2のベルトW4の長さを調節するときには、第2のベルト折返し部材2Gを枠体1Gの後退位置に移動させたままで、第2のベルトW4を第2の厚肉部21Gから離間させて弛ませた状態として、第2のベルトW4を前後に移動させてその長さを調節する。また、長さを調節した第2のベルトW4を枠体1Gに固定するときには、折り返した第2のベルトW4と共に第2の薄肉部22Gの把持部221Gを把持して、第2のベルト折返し部材2Gを枠体1Gの前進位置へ移動させ、第2の厚肉部21Gと第2の上押え部111Gと第2の下押え部112Gとの隙間に第2のベルトW4を上下方向に狭圧して拘束する。
【0162】
なお、第2の厚肉部21Gと第2の上押え部111Gと第2の下押え部112Gとの隙間に第2のベルトW4を狭圧した状態では、左右の第2の厚肉部21aG、21bGの内側端部に備えた第2の衝立部212G、212Gが、当接又は左右方向に微小隙間d4で対向しているので、第2のベルトW4に引張り力が作用しても、左右の側壁部12、13に形成された案内溝15G、16Gから案内突起211G、211Gが離脱することを阻止することができる。
【0163】
また、枠体1Gの前進位置(Y2の位置)では、案内突起211G、211Gが案内溝15G、16Gの前端部151G、161Gと当接して、第2のベルト折返し部材2Gが枠体1Gの第2のベルト挿入部11Gから抜け出ることも阻止することができる。さらに、第2のベルト折返し部材2Gを枠体1Gの前進位置(Y2の位置)に移動させたときには、第2の規制部23G、23Gの第2の段差部231G、231Gが枠体1Gの側壁部12、13の前端縁121G、131Gと当接し、第2のベルト折返し部材2Gの後退を規制する。したがって、第2のベルト折返し部材2Gに対して後退方向の外力が多少作用した場合にも、第2のベルトW4の固定を維持することができる。
【0164】
<第8実施例のベルト調節装置>
次に、本実施形態の第8実施例に係るベルト調節装置について、図24図29を用いて説明する。図24に、本実施形態に係る第8実施例のベルト調節装置における分解状態の斜視図を示す。図25に、図24に示すベルト調節装置における組付け状態の平面図を示す。図26に、図25に示すH-H断面図であって、第2のベルト折返し部材の前進位置でのベルト拘束状態を表す詳細断面図を示す。図27に、図24に示すベルト調節装置において、第2のベルト折返し部材の着脱操作の説明断面図であって、(A)は、図25に示すX1-X1断面位置(前進位置)で第2の案内溝と第2の案内突起とが正常に係合している状態を示し、(B)は、図25に示すY1-Y1断面位置(後退位置)で第2の案内溝から第2の案内突起を離脱させる状態を示す。図28に、図26に示すJ矢視図を示す。図29に、図24に示すベルト調節装置の第2の枠体を形成する樹脂成形型の要部断面図を示す。
【0165】
(本ベルト調節装置の構成)
第8実施例では、第1実施例と共通する構成は、共通の符号を付して、原則としてその説明を割愛し、第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0166】
すなわち、図24図28に示すように、本実施形態の第8実施例に係るベルト調節装置10Hでは、ベルト折返し用の略矩形状の開口部14が内周側に形成された枠体1Hと、ベルトW1の左右方向の幅と略同一の幅に形成された厚肉部21と当該厚肉部21の後方で当該厚肉部21より薄く形成された薄肉部22とを有し、開口部14の中で厚肉部21の先頭部21SにベルトW1を巻回して前後方向に折返し、枠体1H内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状のベルト折返し部材2とを備えている。ここでは、枠体1H及びベルト折返し部材2は、それぞれ左右対称に形成されている。
【0167】
また、枠体1Hの後端側には、ベルト折返し部材2とベルトW1とを挿入するベルト挿入部11が形成され、当該ベルト挿入部11には、枠体1Hの左右の側壁部12、13に接続され厚肉部21との間でベルトW1を上下方向に狭圧して拘束する上押え部111と下押え部112とが形成されている。また、枠体1Hの左右の側壁部12、13には、ベルト折返し部材2を前進位置から後退位置まで移動させる案内溝15H、16Hが前後方向に形成されている。また、ベルト折返し部材2には、案内溝15H、16Hに係合され当該案内溝15H、16Hの前端部151H、161Hから後端部152H、162Hまで移動する案内突起211、211が、厚肉部21の左右の外側端部213、213に形成されている。
【0168】
また、案内溝15H、16Hは、上下方向に貫通形成された開口部14の範囲内で前後方向に延設され、当該案内溝15H、16Hは、側壁部12、13を左右方向に垂直に貫通して形成されている。ここでは、例えば、枠体1Hを樹脂成形する樹脂成形型において、左右の側壁部12、13と案内溝15H、16Hとを、同一方向に開閉するコア型とキャビ型とを用いて同時に成形する。すなわち、案内溝15H、16Hを、斜辺同士が上下方向で当接する一対の直角台形溝に分割し、一つの枠体1Hにおいて、コア型が左右の案内溝15H、16Hの上半分の直角台形溝を形成し、キャビ型が当該左右の案内溝15H、16Hの下半分の直角台形溝を形成する(図21を参照)。
【0169】
また、長さ調節用の第2のベルトW4が基端部側に形成された第2の枠体31Hに長さ調節可能に連結され、係止爪33H、33Hが先端部32H側に形成されたストライカ3Hを備え、上述した枠体1Hにおける開口部14の前端側には、ストライカ3Hを係脱可能に収納するストライカ収納部17Hと、当該ストライカ収納部17H内にあってストライカ3Hの係止爪33H、33Hと係合する係合突起171H、171Hとが形成されている。ストライカ収納部17Hの前端側には、ストライカ3Hを挿入させるストライカ挿入部174Hが形成されている。これによって、枠体1Hの後端側にてベルト折返し部材2を介して長さ調節用のベルトW1を長さ調節可能に固定し、枠体1Hの開口部14の前端側に形成されたストライカ収納部17Hとストライカ3Hとを介して長さ調節用の第2のベルトW4を長さ調節可能に連結することができる。そのため、2つのベルトW1、W4の長さを調節して、ストライカ収納部17Hとストライカ3Hとを操作しやすい任意の位置に移動させることができる。
【0170】
また、ストライカ3Hには、ストライカ収納部17H内に挿入する左右一対の差込脚部34H、34Hが左右中央側に形成されている。また、ストライカ収納部17Hの左右中央部には、差込脚部34H、34H同士の隙間に挿入される案内リブ172が前後方向に形成されている。また、差込脚部34H、34Hの左右外方には、係止爪33H、33Hと当該係止爪33H、33Hを係合突起171H、171Hから離脱させる操作部35H、35Hとが形成されている。
【0171】
ここでは、ストライカ3Hの差込脚部34H、34Hの左右外方には、先端部32Hから差込脚部34H、34Hと略平行に起立する一対の係止脚部36H、36Hを形成し、当該係止脚部36H、36Hの先端部361H、361Hに係止爪33H、33Hと当該係止爪33H、33Hを係合突起171H、171Hから離脱させる操作部35H、35Hとが形成されている。ここで、係止脚部36H、36Hの先端部361H、361Hは、差込脚部34H、34Hの先端部より後方で、左右内方へ円弧状に湾曲して延設され、その内端面が、左右方向において、互いに所定の隙間で離間している。また、ストライカ収納部17Hの左右側部には、操作部35H、35Hを露出させる操作用開口部173H、173Hを備え、当該操作用開口部173H、173Hの近傍に係合突起171H、171Hが形成されている。
【0172】
また、第2の枠体31Hの内周側には、ストライカ3Hの基端部側にベルト折返し用の略矩形状の第2の開口部314Hが上下方向に貫通形成されている。また、第2のベルトW4の幅と略同一の幅に形成された第2の厚肉部21Hと当該第2の厚肉部21Hの前方で当該第2の厚肉部21Hより薄く形成された第2の薄肉部22Hとを有し、第2の開口部314Hの中で第2の厚肉部21Hの先頭部21SHに第2のベルトW4を巻回して前後方向に折返し、第2の枠体31H内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状の第2のベルト折返し部材2Hを備えている。また、第2の枠体31Hの前端側には、第2のベルト折返し部材2Hと第2のベルトW4とを挿入する第2のベルト挿入部311Hが形成され、当該第2のベルト挿入部311Hには、第2の枠体31Hの左右の側壁部312H、313Hに接続され第2の厚肉部21Hとの間で第2のベルトW4を上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部3111Hと第2の下押え部3112Hとが形成されている。第2のベルト折返し部材2Hは、樹脂製であるが、例えば、アルミ系又はマグネシウム系の金属製でもよい。
【0173】
また、第2の上押え部3111Hのベルト当接面3111THと第2の下押え部3112Hのベルト当接面3112THとが、前後方向で互いに平行に形成され、第2の厚肉部21Hは、上下方向の厚さt(t5>t4)が前端側から後端側に向けて徐々に増加するように形成されている。
【0174】
また、第2の枠体31Hの左右の側壁部312H、313Hには、第2のベルト折返し部材2Hを第2のベルトW4の長さを調節する後退位置から第2のベルトW4を固定する前進位置まで移動させる第2の案内溝315H、316Hが前後方向に形成されている。また、第2のベルト折返し部材2Hには、第2の案内溝315H、316Hに係合され当該第2の案内溝315H、316Hの前端部3151H、3161Hから後端部3152H、3162Hまで移動する第2の案内突起211H、211Hが第2の厚肉部21Hの左右の外側端部213H、213Hに形成されている。また、第2の厚肉部21Hは、中間部(例えば、中央部)で左右に分離して形成され、分離された左右の第2の厚肉部21aH、21bHが、第2の薄肉部22Hを介して略U字状に連結されている。
【0175】
また、第2の枠体31Hの左右の側壁部312H、313Hは、第2の案内溝315H、316Hの前端部3151H、3161Hから後端部3152H、3162Hまでの範囲で、第2の案内溝315H、316Hの下部内方に形成された下内壁部312aH、313aHと、第2の案内溝315H、316Hの上部外方に形成された上外壁部312bH、313bHとを備えている。また、下内壁部312aH、313aHの上端面312a1H、313a1Hと上外壁部312bH、313bHの下端面312b3H、313b3Hとが、第2の案内溝315H、316Hの案内面をそれぞれ構成し、下内壁部312aH、313aHの外端面312a2H、313a2Hと上外壁部312bH、313bHの内端面312b4H、313b4Hとが、上下方向に形成された同一平面上に形成されている。
【0176】
なお、図29に示すように、第2の枠体31Hの左右の側壁部312H、313Hと第2の案内溝315H、316Hとは、上下方向(矢印Qの方向)に開閉する下記のようなコア型61Hとキャビ型62Hとを備えた樹脂成形型60Hによって、同時に形成することができる。すなわち、上記樹脂成形型60Hは、第2の枠体31Hの左右の側壁部312H、313Hの内、コア型61Hの成形面によって、下内壁部312aH、313aHの下端面312a3H、313a3H及び外端面312a2H、313a2Hと、上外壁部312bH、313bHの下端面312b3H、313b3Hとを形成し、キャビ型62Hの成形面によって、下内壁部312aH、313aHの内端面312a4H、313a4H及び上端面312a1H、313a1Hと、上外壁部312bH、313bHの内端面312b4H、313b4H、上端面312b1H、313b1H及び外端面312b2H、313b2Hとを形成する。
【0177】
また、コア型61Hとキャビ型62Hのパーティングライン(分割線)の内、型開閉方向(矢印Qの方向)の分割線64H、64Hが、下内壁部312aH、313aHの外端面312a2H、313a2H及び上外壁部312bH、313bHの内端面312b4H、313b4Hと同一平面上に形成され、型開閉方向(矢印Qの方向)の分割線64H、64Hと直交する分割線65H、63Hが、下内壁部312aH、313aHの下端面312a3H、313a3Hと同一平面上に形成され、かつ、上外壁部312bH、313bHの下端面312b3H、313b3Hと同一平面上に形成されている。なお、本樹脂成形型60Hでは、複数の第2の枠体31Hを隣接して平行に配置することによって、同一のコア型61Hとキャビ型62Hによって複数の第2の枠体31Hを成形できる。
【0178】
また、図24図28に示すように、左右の第2の厚肉部21aH、21bHの内側端部には、左右方向に微小隙間d5で対向可能に形成された一対の第2の衝立部212H、212Hを備えている。また、第2の衝立部212H、212Hは、左右の第2の厚肉部21aH、21bHを上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されている。衝立部212H、212H同士の左右方向の微小隙間d5は、第2の案内溝315H、316Hに対する案内突起211H、211Hの左右方向の係り代d6より小さく形成されている。また、衝立部212H、212Hの厚肉部21aH、21bHに対する左右方向の突出代d7は、上記係り代d6と同程度又はそれ以上に形成されている。
【0179】
また、第2のベルト折返し部材2Hの側部には、左右外方へ弾発的に突出した第2の規制部23H、23Hを備え、当該第2の規制部23H、23Hには、第2のベルト折返し部材2Hを前進位置に移動させたとき、第2の枠体31Hの側壁部312H、313Hの前端縁3121H、3131Hと当接し、第2のベルト折返し部材2Hの後退を規制する第2の段差部231H、231Hが形成されている。
【0180】
また、第2のベルト挿入部311Hには、第2の上押え部3111Hと第2の厚肉部21Hと第2の下押え部3112Hとの各間で第2のベルトW4をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、第2のベルトW4側へ食い込む複数の第2の突起部3113Hが形成されている。ここでは、第2の突起部3113Hは、両ベルト当接面3111TH、3112THに形成されているが、いずれか一方でもよい。また、第2の突起部3113Hは、ベルト当接面3111TH、3112THの後端側に前後方向に沿って延設された角型突起として形成され、各第2の突起部3113Hが左右方向で等間隔(例えば、第2の突起部3113Hの左右幅と略同一)に配置されているが、各第2の突起部3113Hは、角型断面に限らず、例えば、円弧状断面でもよい。なお、第2の突起部3113Hは、高さが0.4~0.5mm程度で、左右幅が1~1.5mm程度で、前後長が2mm程度が好ましい。
【0181】
(本ベルト調節装置の動作方法)
次に、第8実施例のベルト調節装置10Hの特有の動作方法を、簡単に説明する。ここでは、ストライカ3Hの第2の枠体31Hに対する長さ調節用の第2のベルトW4の長さを調節し、固定する方法のみを説明する。すなわち、第2のベルト折返し部材2Hにおける薄肉部22Hを、第2の枠体31Hに上下方向に貫通形成されたベルト折返し用の開口部314Hから挿入し、第2の上押え部3111Hと第2の下押え部3112Hの間を通過させて、第2の枠体31Hの前端側へ突出させる。また、開口部314Hの中で、左右に分離された第2の厚肉部21aH、21bHを、上下方向に変位させて互いに近接させ、第2の枠体31Hの左右の側壁部312H、313Hに形成された第2の案内溝315H、316Hに案内突起211H、211Hを係合させる。これによって、第2のベルト折返し部材2Hを、第2の枠体31H内に前後方向へ進退可能に装着することができる。
【0182】
そして、第2のベルト折返し部材2Hを第2の枠体31Hの後退位置(Y3の位置)に移動させ、長さ調節用の第2のベルトW4を、第2のベルト挿入部311Hから第2の薄肉部22Hに沿わせてベルト折返し用の開口部314Hまで挿入し、第2のベルトW4を第2の厚肉部21Hの先頭部21SHを巻回させて折り返し、折り返した第2のベルトW4を第2のベルト挿入部311Hから前方へ突出させる。
【0183】
また、長さ調節用の第2のベルトW4の長さを調節するときには、第2のベルト折返し部材2Hを第2の枠体31Hの後退位置(Y3の位置)に移動させたままで、第2のベルトW4を第2の厚肉部21Hから離間させて弛ませた状態として、第2のベルトW4を前後に移動させてその長さを調節する。また、長さを調節した第2のベルトW4を第2の枠体31Hに固定するときには、折り返した第2のベルトW4と共に第2の薄肉部22Hの把持部221Hを把持して、第2のベルト折返し部材2Hを第2の枠体31Hの前進位置(X1の位置)へ移動させ、第2の上押え部3111Hと第2の厚肉部21Hと第2の下押え部3112Hとの各間に第2のベルトW4を上下方向に狭圧して拘束する。
【0184】
なお、第2の上押え部3111Hと第2の厚肉部21Hと第2の下押え部3112Hとの各間に第2のベルトW4を狭圧した状態では、左右の第2の厚肉部21aH、21bHの内側端部に備えた第2の衝立部212H、212Hが、当接又は左右方向に微小隙間d5で対向しているので、第2のベルトW4に引張り力が作用しても、左右の側壁部312H、313Hに形成された第2の案内溝315H、316Hから案内突起211H、211Hが離脱することを阻止することができる。
【0185】
また、第2の枠体31Hの前進位置(X1の位置)では、案内突起211H、211Hが第2の案内溝315H、316Hの前端部3151H、3161Hと当接して、第2のベルト折返し部材2Hが第2の枠体31Hの第2のベルト挿入部311Hから抜け出ることも阻止することができる。さらに、第2のベルト折返し部材2Hを第2の枠体31Hの前進位置(X1の位置)に移動させたときには、第2の規制部23H、23Hの第2の段差部231H、231Hが第2の枠体31Hの側壁部312H、313Hの前端縁3121H、3131Hと当接し、第2のベルト折返し部材2Hの後退を規制する。したがって、第2のベルト折返し部材2Hに対して後退方向の外力が多少作用した場合にも、第2のベルトW4の固定を維持することができる。
【0186】
<第9実施例のベルト調節装置>
次に、本実施形態の第9実施例に係るベルト調節装置について、図30図33を用いて説明する。図30に、本実施形態に係る第9実施例のベルト調節装置における分解状態の斜視図を示す。図31に、図30に示すベルト調節装置における組付け状態の平面図を示す。図32に、図31に示すL1-L1断面図であって、ベルト折返し部材の後退位置でのベルト拘束状態を表す詳細断面図を示す。図33に、図31に示すL2-L2断面図であって、第2のベルト折返し部材の前進位置でのベルト拘束状態を表す詳細断面図を示す。
【0187】
(本ベルト調節装置の構成)
第9実施例では、第1実施例と共通する構成は、共通の符号を付して、原則としてその説明を割愛し、第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0188】
すなわち、図30図33に示すように、本実施形態の第9実施例に係るベルト調節装置10Lでは、ベルト折返し用の略矩形状の開口部14が内周側に形成された枠体1Lと、ベルトW1の左右方向の幅と略同一の幅に形成された厚肉部21Lと当該厚肉部21Lの後方で当該厚肉部21Lより薄く形成された薄肉部22とを有し、開口部14の中で厚肉部21Lの先頭部21SにベルトW1を巻回して前後方向に折返し、枠体1L内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状のベルト折返し部材2Lとを備えている。ここでは、枠体1L及びベルト折返し部材2Lは、それぞれ左右対称に形成されている。
【0189】
また、枠体1Lの後端側には、ベルト折返し部材2LとベルトW1とを挿入するベルト挿入部11Lが形成され、当該ベルト挿入部11Lには、枠体1Lの左右の側壁部12、13に接続され厚肉部21Lとの間でベルトW1を上下方向に狭圧して拘束する上押え部111Lと下押え部112Lとが形成されている。
【0190】
また、枠体1Lのベルト挿入部11Lには、枠体1Lの左右の側壁部12、13に接続され上下方向に離間された上押え部111Lと下押え部112Lとが形成されている。また、上押え部111Lのベルト当接面111TLと下押え部112Lのベルト当接面112TLとが、前後方向で互いに平行に形成され、左右方向でも互いに平行に形成されている。第1実施例と同様に、ベルト折返し部材2Lを折り返したベルトW1と共に枠体1Lの後退位置に移動させたとき、上押え部111Lと下押え部112Lとが、厚肉部21Lとの間でベルトW1を狭圧して拘束する。また、ベルト挿入部11Lには、上押え部111Lと厚肉部21Lと下押え部112Lとの各間でベルトW1をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、ベルト側へ食い込む複数の突起部113Lが形成されている。
【0191】
なお、ベルト挿入部11Lの突起部113Lは、両ベルト当接面111TL、112TLに形成されているが、いずれか一方でもよい。また、突起部113Lは、ベルト当接面111TL、112TLの前端側に前後方向に沿って延設された角型突起として形成され、各突起部113Lが左右方向で等間隔(例えば、突起部113Lの左右幅と略同一)に配置されているが、各突起部113Lは、角型断面に限らず、例えば、円弧状断面でもよい。なお、突起部113Lは、高さが0.4~0.5mm程度で、左右幅が1~1.5mm程度で、前後長が2mm程度であることが好ましい。
【0192】
また、厚肉部21Lには、上押え部111Lと厚肉部21Lと下押え部112Lとの各間でベルトW1をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、ベルトW1側へ食い込む突起部25Lがベルト挿入部11Lの突起部113Lより後方に形成されている。ベルト挿入部11Lの突起部113Lの後方で厚肉部21Lの突起部25LがベルトW1に食い込むことによって、ベルト折返し部材2Lの前方への移動を規制し、枠体1Lに対してベルトW1を固定した状態をより安定して維持することができる。一方、ベルト折返し部材2LをベルトW1と共に前進位置へ移動させる場合には、ベルト折返し部材2Lを所定の力で前方へ押し出すだけで、厚肉部21Lの突起部25Lがベルト挿入部11Lの突起部113L、113L間を通過するとき、上押え部111Lと下押え部112Lとを上下方向へ撓ませることができ、ベルトW1の長さ調節の操作を簡単に行うことができる。
【0193】
なお、厚肉部21Lの突起部25Lは、厚肉部21Lの上面及び下面に形成されているが、いずれか一方でもよい。また、突起部25Lは、前後方向に沿って延設された直角三角形断面の突起として形成され、直角三角形の斜面が突起部113Lの反対方向へ傾斜するように形成されていることが好ましい。また、突起部25Lは、厚肉部21Lの左右中央部側に複数個配置されていることが好ましい。なお、各突起部25Lは、三角形断面に限らず、例えば、円弧状断面でもよい。なお、突起部25Lは、高さが0.4~0.5mm程度で、左右幅及び前後長が3~4mm程度が好ましい。
【0194】
また、枠体1Lの左右の側壁部12、13には、ベルト折返し部材2Lを前進位置から後退位置まで移動させる案内溝15L、16Lが前後方向に形成されている。また、ベルト折返し部材2Lには、案内溝15L、16Lに係合され当該案内溝15L、16Lの前端部151L、161Lから後端部152L、162Lまで移動する案内突起211、211が、厚肉部21Lの左右の外側端部213、213に形成されている。
【0195】
また、案内溝15L、16Lは、上下方向に貫通形成された開口部14の範囲内で前後方向に延設され、当該案内溝15L、16Lは、側壁部12、13を左右方向に垂直に貫通して形成されている。ここでは、第6実施例と同様に、例えば、枠体1Lを樹脂成形する樹脂成形型において、左右の側壁部12、13と案内溝15L、16Lとを、同一方向に開閉するコア型とキャビ型とを用いて同時に成形することができる。すなわち、案内溝15L、16Lを、斜辺同士が上下方向で当接する一対の直角台形溝に分割し、一つの枠体1Lにおいて、コア型が左右の案内溝15L、16Lの上半分の直角台形溝を形成し、キャビ型が当該左右の案内溝15L、16Lの下半分の直角台形溝を形成する(図21を参照)。
【0196】
また、第9実施例に係るベルト調節装置10Lでは、長さ調節用の第2のベルトW4が基端部側に形成された第2の枠体31Lに長さ調節可能に連結され、係止爪33L、33Lが先端部32L側に形成されたストライカ3Lを備え、上述した枠体1Lにおける開口部14の前端側には、ストライカ3Lを係脱可能に収納するストライカ収納部17Lと、当該ストライカ収納部17L内にあってストライカ3Lの係止爪33L、33Lと係合する係合突起171L、171Lとが形成されている。ストライカ収納部17Lの前端側には、ストライカ3Lを挿入させるストライカ挿入部174Lが形成されている。これによって、枠体1Lの後端側にてベルト折返し部材2Lを介して長さ調節用のベルトW1を長さ調節可能に固定し、枠体1Lの開口部14の前端側に形成されたストライカ収納部17Lとストライカ3Lとを介して長さ調節用の第2のベルトW4を長さ調節可能に連結することができる。そのため、2つのベルトW1、W4の長さを調節して、ストライカ収納部17Lとストライカ3Lとを操作しやすい任意の位置に移動させることができる。
【0197】
また、ストライカ3Lには、ストライカ収納部17L内に挿入する左右一対の差込脚部34L、34Lが左右中央側に形成されている。また、ストライカ収納部17Lの左右中央部には、差込脚部34L、34L同士の隙間に挿入される案内リブ172が前後方向に形成されている。また、差込脚部34L、34Lの左右外方には、係止爪33L、33Lと当該係止爪33L、33Lを係合突起171L、171Lから離脱させる操作部35L、35Lとが形成されている。
【0198】
ここでは、ストライカ3Lの差込脚部34L、34Lの左右外方には、先端部32Lから差込脚部34L、34Lと略平行に起立する一対の係止脚部36L、36Lが形成され、当該係止脚部36L、36Lの先端部361L、361Lに係止爪33L、33Lと当該係止爪33L、33Lを係合突起171L、171Lから離脱させる操作部35L、35Lとが形成されている。ここで、係止脚部36L、36Lの先端部361L、361Lは、差込脚部34L、34Lの先端部より後方で、左右内方へ円弧状に湾曲して延設され、その内端面が、左右方向において、互いに所定の隙間で離間している。また、ストライカ収納部17Lの左右側部には、操作部35L、35Lを露出させる操作用開口部173L、173Lを備え、当該操作用開口部173L、173Lの近傍に係合突起171L、171Lが形成されている。
【0199】
また、第2の枠体31Lの内周側には、ストライカ3Lの基端部側にベルト折返し用の略矩形状の第2の開口部314Lが上下方向に貫通形成されている。また、第2のベルトW4の幅と略同一の幅に形成された第2の厚肉部21LLと当該第2の厚肉部21LLの前方で当該第2の厚肉部21LLより薄く形成された第2の薄肉部22LLとを有し、第2の開口部314Lの中で第2の厚肉部21LLの先頭部21SLLに第2のベルトW4を巻回して前後方向に折返し、第2の枠体31L内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状の第2のベルト折返し部材2LLを備えている。また、第2の枠体31Lの前端側には、第2のベルト折返し部材2LLと第2のベルトW4とを挿入する第2のベルト挿入部311Lが形成され、当該第2のベルト挿入部311Lには、第2の枠体31Lの左右の側壁部312L、313Lに接続され第2の厚肉部21LLとの間で第2のベルトW4を上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部3111Lと第2の下押え部3112Lとが形成されている。第2のベルト折返し部材2LLは、樹脂製であるが、例えば、アルミ系又はマグネシウム系の金属製でもよい。
【0200】
また、第2の上押え部3111Lのベルト当接面3111TLと第2の下押え部3112Lのベルト当接面3112TLとが、前後方向で互いに平行に形成され、第2の厚肉部21LLは、上下方向の厚さt(t5>t4)が前端側から後端側に向けて徐々に増加するように形成されている。
【0201】
また、第2の枠体31Lの左右の側壁部312L、313Lには、第2のベルト折返し部材2LLを第2のベルトW4の長さを調節する後退位置から第2のベルトW4を固定する前進位置まで移動させる第2の案内溝315L、316Lが前後方向に形成されている。また、第2のベルト折返し部材2LLには、第2の案内溝315L、316Lに係合され当該第2の案内溝315L、316Lの前端部3151L、3161Lから後端部3152L、3162Lまで移動する第2の案内突起211LL、211LLが第2の厚肉部21LLの左右の外側端部213LL、213LLに形成されている。また、第2の厚肉部21LLは、中間部(例えば、中央部)で左右に分離して形成され、分離された左右の第2の厚肉部21aLL、21bLLが、第2の薄肉部22LLを介して略U字状に連結されている。なお、第2の案内溝315L、316Lは、第8実施例と同様の形状に形成されている。
【0202】
また、左右の第2の厚肉部21aLL、21bLLの内側端部には、左右方向に微小隙間d5で対向可能に形成された一対の第2の衝立部212LL、212LLを備えている。なお、第2の衝立部212LL、212LLは、第8実施例と同様の形状に形成されている。
【0203】
また、第2のベルト挿入部311Lには、第2の上押え部3111Lと第2の厚肉部21LLと第2の下押え部3112Lとの各間で第2のベルトW4をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、第2のベルトW4側へ食い込む複数の第2の突起部3113Lが形成されている。ここでは、第2の突起部3113Lは、両ベルト当接面3111TL、3112TLに形成されているが、いずれか一方でもよい。また、第2の突起部3113Lは、ベルト当接面3111TL、3112TLの後端側に前後方向に沿って延設された角型突起として形成され、各第2の突起部3113Lが左右方向で等間隔(例えば、第2の突起部3113Lの左右幅と略同一)に配置されているが、各第2の突起部3113Lは、角型断面に限らず、例えば、円弧状断面でもよい。なお、第2の突起部3113Lは、高さが0.4~0.5mm程度で、左右幅が1~1.5mm程度で、前後長が2mm程度が好ましい。
【0204】
また、第2の厚肉部21LLには、第2の上押え部3111Lと第2の厚肉部21LLと第2の下押え部3112Lとの各間で第2のベルトW4をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、第2のベルトW4側へ食い込む第2の突起部25LLが第2のベルト挿入部311Lの第2の突起部3113Lより前方に形成されている。第2のベルト挿入部311Lの第2の突起部3113Lの前方で第2の厚肉部21LLの第2の突起部25LLが第2のベルトW4に食い込むことによって、第2のベルト折返し部材2LLの後方への移動を規制し、第2の枠体31Lに対して第2のベルトW4を固定した状態をより安定して維持することができる。
【0205】
(本ベルト調節装置の動作方法)
次に、第9実施例のベルト調節装置10Lの特有の動作方法を、簡単に説明する。ここでは、ストライカ3Lの第2の枠体31Lに対する長さ調節用の第2のベルトW4の長さを調節し、固定する方法のみを説明する。すなわち、第2のベルト折返し部材2LLにおける薄肉部22LLを、第2の枠体31Lに上下方向に貫通形成されたベルト折返し用の第2の開口部314Lから挿入し、第2の上押え部3111Lと第2の下押え部3112Lの間を通過させて、第2の枠体31Lの前端側へ突出させる。また、第2の開口部314Lの中で、左右に分離された第2の厚肉部21aLL、21bLLを、上下方向に変位させて互いに近接させ、第2の枠体31Lの左右の側壁部312L、313Lに形成された第2の案内溝315L、316Lに案内突起211LL、211LLを係合させる。これによって、第2のベルト折返し部材2LLを、第2の枠体31L内に前後方向へ進退可能に装着することができる。
【0206】
そして、第2のベルト折返し部材2LLを第2の枠体31Lの後退位置(Y3の位置)に移動させ、長さ調節用の第2のベルトW4を、第2のベルト挿入部311Lから第2の薄肉部22LLに沿わせてベルト折返し用の第2の開口部314Lまで挿入し、第2のベルトW4を第2の厚肉部21LLの先頭部21SLLを巻回させて折り返し、折り返した第2のベルトW4を第2のベルト挿入部311Lから前方へ突出させる。
【0207】
また、長さ調節用の第2のベルトW4の長さを調節するときには、第2のベルト折返し部材2LLを第2の枠体31Lの後退位置(Y3の位置)に移動させたままで、第2のベルトW4を第2の厚肉部21LLから離間させて弛ませた状態として、当該第2のベルトW4を前後に移動させてその長さを調節する。また、長さを調節した第2のベルトW4を第2の枠体31Lに固定するときには、折り返した当該第2のベルトW4と共に第2の薄肉部22LLの把持部221LLを把持して、第2のベルト折返し部材2LLを第2の枠体31Lの前進位置(X1の位置)へ移動させ、第2の上押え部3111Lと第2の厚肉部21LLと第2の下押え部3112Lとの各間に第2のベルトW4を上下方向に狭圧して拘束する。
【0208】
なお、第2の上押え部3111Lと第2の厚肉部21LLと第2の下押え部3112Lとの各間に第2のベルトW4を狭圧した状態では、左右の第2の厚肉部21aLL、21bLLの内側端部に備えた第2の衝立部212LL、212LLが、当接又は左右方向に微小隙間d5で対向しているので、第2のベルトW4に引張り力が作用しても、左右の側壁部312L、313Lに形成された第2の案内溝315L、316Lから案内突起211LL、211LLが離脱することを阻止することができる。
【0209】
また、第2の枠体31Lの前進位置(X1の位置)では、案内突起211LL、211LLが第2の案内溝315L、316Lの前端部3151L、3161Lと当接して、第2のベルト折返し部材2LLが第2の枠体31Lの第2のベルト挿入部311Lから抜け出ることも阻止することができる。さらに、第2のベルト折返し部材2LLを第2の枠体31Lの前進位置(X1の位置)に移動させたときには、第2のベルト挿入部311Lの第2の突起部3113Lの前方で第2の厚肉部21LLの第2の突起部25LLが第2のベルトW4に食い込むことによって、第2のベルト折返し部材2LLの後方への移動を規制する。したがって、第2の枠体31Lに対して第2のベルトW4を固定した状態をより安定して維持することができる。
【0210】
なお、第2のベルト折返し部材2LLを第2のベルトW4と共に後退位置へ移動させる場合には、第2のベルト折返し部材2LLを所定の力で後方へ押し出すだけで、第2の厚肉部21LLの突起部25LLが第2のベルト挿入部311Lの第2の突起部3113L、3113L間を通過するとき、第2の上押え部3111Lと第2の下押え部3112Lとを上下方向へ撓ませることができ、第2のベルトW4の長さ調節の操作を簡単に行うことができる。
【0211】
<作用効果>
以上詳細に説明したように、本実施形態に係るベルト調節装置10、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10Lによれば、ベルト折返し用の略矩形状の開口部14が内周側に形成された枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lと、ベルトW1の幅と略同一の幅に形成された厚肉部21、21Lと当該厚肉部21、21Lの後方で当該厚肉部21、21Lより薄く形成された薄肉部22とを有し、開口部14の中で厚肉部21、21Lの先頭部21SにベルトW1を巻回して前後方向に折返し、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1L内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状のベルト折返し部材2、2Lとを備え、また、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lの後端側には、ベルト折返し部材2、2LとベルトW1とを挿入するベルト挿入部11、11B、11Lが形成され、当該ベルト挿入部11、11B、11Lには、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lの左右の側壁部12、13に接続され厚肉部21、21Lとの間でベルトW1を上下方向に狭圧して拘束する上押え部111、111B、111Lと下押え部112、112B、112Lとが形成されているので、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lに対してベルトW1の長さを調節するときには、ベルト折返し部材2、2Lを折り返したベルトW1と共に枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1L内の前進方向へ移動させるだけで、上押え部111、111B、111Lとベルト折返し部材2、2Lの薄肉部22、22Lと下押え部112、112B、112Lとの各間の隙間を通してベルトW1を自由に移動させることができる。そのため、長さ調節用のベルトW1をベルト折返し用の開口部14の中で厚肉部21、21Lから離間させて弛ませた状態として、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lに対して当該ベルトW1の長さを簡単に調節することができる。
【0212】
また、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lに対して長さ調節用のベルトW1を固定するときには、ベルト折返し部材2、2Lを折り返したベルトW1と共に枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1L内の後退方向へ移動させるだけで、上押え部111、111B、111Lとベルト折返し部材2、2Lの厚肉部21、21Lと下押え部112、112B、112Lとの各間で折り返したベルトW1をそれぞれ上下方向に挟圧して拘束させた状態として、摩擦力でベルトW1の移動を阻止することができる。そのため、長さを調節したベルトW1の緩みを阻止した状態として、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lに当該ベルトW1を簡単に固定することができる。また、上押え部111、111B、111Lとベルト折返し部材2、2Lの厚肉部21、21Lと下押え部112、112B、112Lとの各間で折り返したベルトW1をそれぞれ上下方向に挟圧して摩擦力で拘束させるので、不使用時においてもベルトW1の位置ズレが生じにくく、使用時毎の再調節を不要にできる。
【0213】
また、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lの後端側には、ベルト折返し部材2、2LとベルトW1とを挿入するベルト挿入部11、11B、11Lが形成され、当該ベルト挿入部11、11B、11Lには、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lの左右の側壁部12、13に接続され上下方向に離間され厚肉部21、21Lとの間でベルトW1を上下方向に狭圧して拘束する上押え部111、111B、111Lと下押え部112、112B、112Lとが形成されているので、ベルト折返し部材2、2Lの厚肉部21、21Lの厚さt(t1、t2)を、ベルトW1を折り返すのに必要な最小限度の厚さに形成することによって、上押え部111、111B、111Lと下押え部112、112B、112Lとの上下離間距離を最小化でき、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1L(装置)の厚さが過大になるのを簡単に回避できる。
【0214】
よって、本実施形態によれば、装置の厚さが過大とならず、簡単にベルトW1の長さを調節でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節装置10、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10Lを提供することができる。
【0215】
また、本実施形態によれば、上押え部111、111B、111Lのベルト当接面111T、111TB、111TLと下押え部112、112B、112Lのベルト当接面112T、112TB、112TLとが、前後方向で互いに平行に形成され、厚肉部21、21Lは、上下方向の厚さt(t1、t2)が後端側から前端側に向けて徐々に増加するように形成されているので、ベルト折返し部材2、2Lの後退に伴って、ベルト折返し部材2、2Lの厚肉部21、21Lがベルト挿入部11、11B、11Lの上押え部111、111B、111Lと下押え部112、112B、112Lとに対して折り返したベルトW1を押圧する狭圧力が増加して、ベルトW1を拘束させることができる。また、上押え部111、111B、111Lと下押え部112、112B、112Lとに対する厚肉部21、21Lのベルト狭圧力が一定以上に増加すると、ベルト折返し部材2、2Lをそれ以上後退させることができなくなる。そのため、ベルト折返し部材2、2Lを所定位置まで後退させるだけで、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lに対して簡単にベルトW1を固定させることができる。
【0216】
また、ベルト折返し部材2、2Lの前進に伴って、ベルト折返し部材2、2Lの厚肉部21、21Lがベルト挿入部11、11B、11Lの上押え部111、111B、111Lと下押え部112、112B、112Lとに対して折り返したベルトW1を押圧する狭圧力が減少するので、ベルト折返し部材2、2Lをベルト折返し用の開口部14の中で所定位置まで前進させるだけで、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lに対して簡単にベルトW1を弛ませることができる。したがって、ベルトW1を調節又は固定する操作を、より簡単に行うことができる。
【0217】
また、本実施形態によれば、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lの左右の側壁部12、13には、ベルト折返し部材2、2Lを前進位置から後退位置まで移動させる案内溝15、15F、15G、15L、16、16F、16G、16Lが前後方向に形成され、ベルト折返し部材2、2Lには、案内溝15、15F、15G、15L、16、16F、16G、16Lに係合され当該案内溝15、15F、15G、15L、16、16F、16G、16Lの前端部151、151F、151G、151L、161、161F、161G、161Lから後端部152、152F、152G、152L、162、162F、162G、162Lまで移動する案内突起211、211が厚肉部21、21Lの左右の外側端部213、213に形成され、また、厚肉部21、21Lは、中間部で左右に分離して形成され、分離された左右の厚肉部21a、21aL、21b、21bLが、薄肉部22を介して略U字状に連結されているので、左右に分離された厚肉部21a、21aL、21b、21bL同士を近接させて、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lの側壁部12、13に形成された案内溝15、15F、15G、151L、16、16F、16G、161Lに厚肉部21(21a、21b)、21L(21aL、21bL)に形成された案内突起211、211を係合させることによって、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1L内にベルト折返し部材2、2Lを簡単に装着することができる。また、案内溝15、15F、15G、15H、15L、16、16F、16G、16H、16Lの前端部151、151F、151G、151H、151L、161、161F、161G、161H、161Lまで案内突起211、211を移動させることによって、ベルト折返し部材2、2Lを前進位置に移動でき、簡単にベルトW1の長さを調節できる。また、案内溝15、15F、15G、15H、15L、16、16F、16G、16H、16Lの後端部152、152F、152G、152H、152L、162、162F、162G、162H、162Lまで案内突起211、211を移動させることによって、ベルト折返し部材2、2Lを後退位置に移動でき、簡単にベルトW1を固定できる。そのため、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1L内にベルト折返し部材2、2Lを簡単に装着して、ベルトW1の長さをより簡単に調節し、固定できる。
【0218】
また、本実施形態によれば、左右の厚肉部21(21a、21b)、21L(21aL、21bL)の内側端部には、左右方向に微小隙間d1で対向可能に形成された一対の衝立部212、212を備えているので、ベルト折返し部材2、2Lを折り返したベルトW1と共に枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1L内の後退位置へ移動させ、上押え部111、111B、111Lとベルト折返し部材2、2Lの厚肉部21、21Lと下押え部112、112B、112Lとの各間で折り返したベルトW1をそれぞれ挟圧して拘束させた状態では、案内溝15、15F、15G、15H、15L、16、16F、16G、16H、16Lの後端部152、152F、152G、152H、152L、162、162F、162G、162H、162Lに案内突起211、211が当接すると共に、衝立部212、212同士が当接又は微小隙間d1で左右方向に対向して、案内突起211、211が案内溝から外れるのを阻止することができる。そのため、ベルト折返し部材2、2Lの後退位置にて、ベルトW1に引張力が掛かっても、ベルト折返し部材2、2Lが枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lから外れず、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lに対してベルトW1を安定して固定することができる。
【0219】
また、衝立部212、212は、左右の厚肉部21(21a、21b)、21L(21aL、21bL)を上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されているので、ベルト折返し部材2、2Lの前進位置にて、左右に分離された厚肉部21a、21b、21aL、21bLを上下方向へ変位させ、さらに、左右の衝立部212、212を互いに上下方向で重なる位置まで変位させることによって、案内溝15、15F、15G、15H、15L、16、16F、16G、16H、16Lに対する案内突起211、211の係脱を簡単に行うことができる。そのため、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Lに対してベルト折返し部材2、2Lを簡単に装着又は離脱させることができる。
【0220】
また、本実施形態によれば、ベルト折返し部材2の側部には、左右外方へ弾発的に突出した規制部23、23を備え、当該規制部23、23には、ベルト折返し部材2を後退位置に移動させたとき、枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1Hの側壁部12、13の後端縁121、131と当接し、ベルト折返し部材2の前進を規制する段差部231、231が形成されているので、ベルト折返し部材2の後退位置にて、規制部23、23の段差部231、231がベルト折返し部材2の前進を規制することによって、ベルト折返し部材2の厚肉部21が、ベルト挿入部11、11Bの上押え部111、111Bと下押え部112、112Bとに対して折り返したベルトW1を狭圧して拘束させた状態を、安定して維持することができる。そのため、ベルト折返し部材2に多少の外力が掛かっても、規制部23、23の段差部231、231が枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1Hの側壁部12、13の後端縁121、131を越えない限り、長さを調節したベルトW1の緩みを阻止することができる。
【0221】
一方、規制部23、23は、ベルト折返し部材2の側部から左右外方へ弾発的に突出した物であるので、ベルトW1の長さを調節するときには、ベルト折返し部材2を前方へ押す等して、規制部23、23の弾発力に抗して、当該規制部23、23を左右内方へ撓ませることによって、規制部23、23の段差部231、231が枠体1、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1Hの側壁部12、13の後端縁121、131を簡単に越えることができる。そのため、ベルトW1の長さ調節の操作を簡単に行うことができる。
【0222】
また、本実施形態によれば、ベルト挿入部11B、11Lには、上押え部111B、111Lと厚肉部21、21Lと下押え部112B、112Lとの各間でベルトW1をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、ベルトW1側へ食い込む複数の突起部113B、113Lが形成されているので、複数の突起部113B、113LをベルトW1に食い込ませた状態で、枠体1B、1C、1Lに対してベルトW1を固定させることができる。そのため、長さ調節したベルトW1の緩みを、より一層安定して阻止することができる。
【0223】
また、本実施形態によれば、厚肉部21Lには、上押え部111Lと厚肉部21Lと下押え部112Lとの各間でベルトW1をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、ベルトW1側へ食い込む突起部25Lがベルト挿入部11Lの突起部113Lより後方に形成されているので、ベルト挿入部11Lの突起部113Lの後方で厚肉部21Lの突起部25LがベルトW1に食い込むことによって、ベルト折返し部材2Lの前方への移動を規制し、枠体1Lに対してベルトW1を固定した状態をより安定して維持することができる。そのため、ベルト折返し部材2Lに多少の外力が掛かっても、長さを調節したベルトW1の緩みを阻止することができる。一方、ベルト折返し部材2LをベルトW1と共に前進位置へ移動させる場合には、ベルト折返し部材2Lを所定の力で前方へ押し出すだけで、厚肉部21Lの突起部25Lがベルト挿入部11Lの突起部113L、113L間を通過するとき、上押え部111Lと下押え部112Lとを上下方向へ撓ませることができ、ベルトW1の長さ調節の操作を簡単に行うことができる。
【0224】
また、本実施形態によれば、長さ固定用のベルトW2が基端部31側に固定され、係止爪33、33、33E、33Eが先端部32側に形成されたストライカ3、3Eを備え、枠体1、1B、1C、1D、1Eにおける開口部14の前端側には、ストライカ3、3Eを係脱可能に収納するストライカ収納部17、17B、17C、17D、17Eと、当該ストライカ収納部内にあってストライカ3、3Eの係止爪33、33、33E、33Eと係合する係合突起171、171、171E、171Eとが形成されているので、枠体1、1B、1C、1D、1Eの後端側にてベルト折返し部材2を介して長さ調節用のベルトW1を長さ調節可能に固定し、枠体1、1B、1C、1D、1Eの前端側にてストライカ3、3Eを介して長さ固定用のベルトW2を着脱可能に連結することができる。そのため、ベルト折返し部材2とストライカ3、3Eとを枠体1、1B、1C、1D、1Eの前後方向で分離して配置でき、ベルト折返し部材2とストライカ3、3Eとが上下方向で重なり合うことなく配置できる。その結果、装置(枠体1、1B、1C、1D、1E)の薄型化が可能となり、見栄えを向上できると共に、取り扱いや操作性を向上させることができる。
【0225】
また、本実施形態によれば、ストライカ3には、ストライカ収納部17、17B、17C、17D内に挿入する左右一対の差込脚部34、34が左右中央側に形成され、ストライカ収納部17、17B、17C、17Dの左右中央部には、差込脚部34、34同士の隙間に挿入される案内リブ172、172B、172C、172Dが前後方向に形成されているので、ストライカ3をストライカ収納部17、17B、17C、17Dに挿入するとき、差込脚部43、43が案内リブ172、172B、172C、172Dにガイドされて挿入され、ストライカ3の挿入操作性を向上できる。また、差込脚部34、34がストライカ3の左右中央側に形成されているので、ストライカ3の先端側における左右外方への突出量を小さくさせることができる。そのため、先端側の左右幅が狭いコンパクトなストライカ3を形成することができ、例えば、本ベルト調節装置をズボン用ベルトのバックルに使用する場合において、ストライカ3をベルト通し紐に通す作業をより一層簡単に行うことができる。
【0226】
また、本実施形態によれば、差込脚部34、34の左右外方には、係止爪33、33と当該係止爪33、33を係合突起171、171から離脱させる操作部35、35とが形成され、また、ストライカ収納部17、17B、17C、17Dの左右側部には、操作部35、35を露出させる操作用開口部173、173を備え、当該操作用開口部173、173の近傍に係合突起171、171が形成されているので、ストライカ3の差込脚部34、34をストライカ収納部17、17B、17C、17Dの案内リブ172、172B、172C、172Dに挿入するだけで、係止爪33、33を係合突起171、171へ簡単に係合させることができる。また、操作用開口部173、173から露出する操作部35、35を左右内方へ押圧することによって、ストライカ3の係止爪33、33を係合突起171、171から簡単に離脱させることができる。そのため、ストライカ収納部17、17B、17C、17Dの厚さを過大とすることなく、ストライカ3の着脱操作性をより一層高めることができる。
【0227】
また、本実施形態によれば、ストライカ収納部17B、17C、17Dの上蓋部18B、18C、18Dには、上方へ向けてテーパ状に開放された装飾用開口部181B、181C、181Dが形成され、装飾用開口部181B、181C、181Dには、中央部191B、191C、191Dが表面側に露出し、外縁部192B、192C、192Dが装飾用開口部181B、181C、181D内に埋設された装飾部材19B、19C、19Dが装着されているので、ストライカ収納部17B、17C、17Dの厚さを過大とすることなく、ストライカ収納部17B、17C、17Dの上蓋部18B、18C、18Dを装飾部材19B、19C、19Dによって豪華に装飾させることができる。そのため、例えば、ズボン用ベルトのストライカ収納部17B、17C、17Dにおいて、より簡単に商品価値を高めることができる。
【0228】
また、本実施形態によれば、装飾部材19B、19Dは、表面が宝石状にカット加工された装飾体19aB、19aDと、当該装飾体19aB、19aDの裏面を支持する受け金194B、194Dとからなり、当該受け金194B、194Dの外縁部が、装飾用開口部181B、181Dに形成された係止溝183B、183Dに挿入されているので、ストライカ収納部17B、17Dの上蓋部18B、18Dに立体的な装飾部材19B、19Dを簡単に装着でき、ストライカ収納部17B、17Dの上蓋部18B、18Dをより豪華に装飾させることができる。そのため、例えば、ズボン用ベルトのストライカ収納部17B、17Dにおいて、より一層、豪華で商品価値を高めることができる。
【0229】
また、本実施形態によれば、装飾部材19Cは、透明で平板状に形成された表板19aCと、当該表板19aCと同形の裏板19bCと、両板間に挟まれた装飾フィルム19cCとからなり、表板19aCの外縁部192aCと裏板19bCの外縁部192bCとが、装飾用開口部181Cに形成された係止溝183Cに挿入されているので、ストライカ収納部17Cの厚さを過大とすることなく、ストライカ収納部17Cの上蓋部18Cをより簡単に装飾させることができる。また、装飾フィルム19cCを、色や模様が異なる他の種類の装飾フィルムに交換することによって、異なる装飾部材19Cに簡単に変更することができる。そのため、例えば、ズボン用ベルトのストライカ収納部17Cにおいて、使用目的に適した装飾部材19Cを装着し、より簡単に商品価値を高めることができる。
【0230】
また、本実施形態によれば、ストライカ3Eには、左右中央側に形成されストライカ収納部17E内に挿入される左右一対の差込脚部34E、34Eと、左右両側に形成されストライカ収納部17Eに挿入される係止脚部36E、36Eとを備え、また、ストライカ収納部17Eには、差込脚部34E、34E同士の隙間に挿入される案内リブ172Eが形成され、係止脚部36E、36Eの先端部361E、361Eには、係止爪33E、33Eが形成され、ストライカ収納部17Eの左右側部には、係止脚部36E、36Eの先端部361E、361Eから略V字状に折り返す折返し部362E、362Eに形成された操作部35E、35Eを露出させる操作用開口部173、173が形成され、開口部14とストライカ収納部17Eとの境界部175には、係合突起171E、171Eが形成されているので、ストライカ3Eの差込脚部34E、34Eをストライカ収納部17Eの案内リブ172Eに挿入するだけで、係止脚部36E、36Eの先端部361E、361Eに形成された係止爪33E、33Eを、ストライカ収納部17Eと折り返し用の開口部14との境界部175に形成された係合突起171E、171Eと簡単に係合させることができる。また、操作用開口部173、173から露出する操作部35E、35Eを左右内方へ押圧することによって、ストライカ3Eの係止爪33E、33Eを係合突起171E、171Eから簡単に離脱させることができる。そのため、ストライカ収納部17Eの厚さを過大とすることなく、ストライカ3Eの着脱操作性をより一層高めることができる。
【0231】
また、本実施形態によれば、枠体1Fにおける開口部14の前端側には、ベルト固定枠5が形成され、当該ベルト固定枠5に長さ固定用のベルトW3が巻回されて固定されているので、枠体1Fの後端側にてベルト折返し部材2を介して長さ調節用のベルトW1を連結し、枠体1Fの前端側にてベルト固定枠5を介して長さ固定用のベルトW3を連結することができる。そのため、両ベルトW1、W3を連結する枠体1Fを薄型化でき、使用時の取り扱いや操作性を向上させることができる。よって、装置(枠体1F)の厚さが過大とならず、簡単にベルトW1の長さを調節できるベルト調節装置10Fを提供することができる。
【0232】
また、本実施形態によれば、枠体1Gにおける開口部14の前端側には、長さ調節用の第2のベルトW4を挿入させる第2のベルト挿入部11Gが形成され、また、第2のベルトW4の幅と略同一の幅に形成された第2の厚肉部21Gと当該第2の厚肉部21Gの前方で当該第2の厚肉部21Gより薄く形成された第2の薄肉部22Gとを有し、開口部14の中で第2の厚肉部21Gの先頭部21SGに第2のベルトW4を巻回して前後方向に折返し、枠体1G内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状の第2のベルト折返し部材2Gとを備え、また、第2のベルト挿入部11Gには、枠体1Gの左右の側壁部12、13に接続され第2の厚肉部21Gとの間で第2のベルトW4を上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部111Gと第2の下押え部112Gとが形成されているので、枠体1Gに対して第2のベルトW4の長さを調節するときには、第2のベルト折返し部材2Gを折り返した第2のベルトW4と共に枠体1G内の後方向へ移動させるだけで、第2の上押え部111Gと第2の薄肉部22Gと第2の下押え部112Gとの各間の隙間を通して第2のベルトW4を自由に移動させることができる。そのため、長さ調節用の第2のベルトW4をベルト折返し用の開口部14の中で第2の厚肉部21Gから離間させて弛ませた状態として、枠体1Gに対して当該第2のベルトW4の長さを簡単に調節することができる。
【0233】
また、枠体1Gに対して長さ調節用の第2のベルトW4を固定するときには、第2のベルト折返し部材2Gを折り返した第2のベルトW4と共に枠体1G内の前方向へ移動させるだけで、第2の上押え部111Gと第2の厚肉部21Gと第2の下押え部112Gとの各間で折り返した第2のベルトW4をそれぞれ上下方向に挟圧して拘束させた状態として、摩擦力で第2のベルトW4の移動を阻止することができる。そのため、長さを調節した第2のベルトW4の緩みを阻止した状態として、枠体1Gに当該第2のベルトW4を簡単に固定することができる。また、第2の上押え部111Gと第2の厚肉部21Gと第2の下押え部112Gとの各間で折り返した第2のベルトW4をそれぞれ上下方向に挟圧して摩擦力で拘束させるので、不使用時においてもベルトの位置ズレが生じにくく、使用時毎の再調節を不要にできる。
【0234】
また、第2のベルト挿入部11Gには、枠体1Gの左右の側壁部12、13に接続され第2の厚肉部21Gとの間で第2のベルトW4を上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部111Gと第2の下押え部112Gとが形成されているので、第2の厚肉部21Gの上下方向の厚さを、第2のベルトW4を折り返すのに必要な最小限度の厚さに形成することによって、第2の上押え部111Gと第2の下押え部112Gとの上下離間距離を最小化でき、枠体1G(装置)の厚さが過大になるのを簡単に回避できる。よって、装置の厚さが過大とならず、簡単に2つのベルトW1、W4の長さを調節でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節装置10Gを提供することができる。
【0235】
また、本実施形態によれば、第2の上押え部111Gのベルト当接面111TGと第2の下押え部112Gのベルト当接面112TGとが、前後方向で互いに平行に形成され、第2の厚肉部21Gは、上下方向の厚さが前端側から後端側に向けて徐々に増加するように形成されているので、第2のベルト折返し部材2Gの前進に伴って、第2の厚肉部21Gが第2の上押え部111Gと第2の下押え部112Gとに対して折り返した第2のベルトW4を押圧する狭圧力が増加して、第2のベルトW4を拘束させることができる。また、第2の上押え部111Gと第2の下押え部112Gとに対する第2の厚肉部21Gのベルト狭圧力が一定以上に増加すると、第2のベルト折返し部材2Gをそれ以上前進させることができなくなる。そのため、第2のベルト折返し部材2Gを所定位置まで前進させるだけで、枠体1Gに対して簡単に第2のベルトW4を固定させることができる。
【0236】
また、第2のベルト折返し部材2Gの後退に伴って、第2の厚肉部21Gが第2の上押え部111Gと第2の下押え部112Gとに対して折り返した第2のベルトW4を押圧する狭圧力が減少するので、第2のベルト折返し部材2Gをベルト折返し用の開口部14の中で所定位置まで後退させるだけで、枠体1Gに対して簡単に第2のベルトW4を弛ませることができる。したがって、第2のベルトW4を調節又は固定する操作を、より簡単に行うことができる。
【0237】
また、本実施形態によれば、第2のベルト折返し部材2Gには、案内溝15G、16Gに係合され当該案内溝15G、16Gの前端部151G、161Gから後端部152G、162Gまで移動する第2の案内突起211G、211Gが第2の厚肉部21Gの左右の外側端部213G、213Gに形成され、第2の厚肉部21G(21aG、21bG)は、中間部で左右に分離して形成され、分離された左右の第2の厚肉部21aG、21bGが、第2の薄肉部22Gを介して略U字状に連結されているので、左右に分離された第2の厚肉部21aG、21bG同士を近接させて、枠体1Gの側壁部12、13に形成された案内溝15G、16Gに第2の厚肉部21Gに形成された第2の案内突起211G、211Gを係合させることによって、枠体1G内に第2のベルト折返し部材2Gを簡単に装着することができる。また、案内溝15G、16Gの前端部151G、161Gまで第2の案内突起211G、211Gを移動させることによって、第2のベルト折返し部材2Gを前進位置に移動でき、簡単に第2のベルトW4を固定できる。また、案内溝15G、16Gの後端部152G、162Gの近傍(第2のベルト折返し部材2Gが後退位置のベルト折返し部材2と隣接する位置)まで第2の案内突起211G、211Gを移動させることによって、第2のベルト折返し部材2Gを後端位置に移動でき、簡単に第2のベルトW4の長さを調節できる。そのため、枠体1G内に第2のベルト折返し部材2Gを簡単に装着して、第2のベルトW4の長さをより簡単に調節し、固定できる。
【0238】
また、本実施形態によれば、左右の第2の厚肉部21aG、21bGの内側端部には、左右方向に微小隙間d4で対向可能に形成された一対の第2の衝立部212G、212Gを備えているので、第2のベルト折返し部材2Gを折り返した第2のベルトW4と共に枠体1G内の前進位置へ移動させ、第2の上押え部111Gと第2の厚肉部21Gと第2の下押え部112Gとの各間で折り返した第2のベルトW4をそれぞれ挟圧して拘束させた状態では、案内溝15G、16Gの前端部151G、161Gに第2の案内突起211G、211Gが当接すると共に、第2の衝立部212G、212G同士が当接又は微小隙間で左右方向に対向して、第2の案内突起211G、211Gが案内溝15G、16Gから外れるのを阻止することができる。そのため、第2のベルト折返し部材2Gの前進位置にて、第2のベルトW4に引張力が掛かっても、第2のベルト折返し部材2Gが枠体1Gから外れず、枠体1Gに対して第2のベルトW4を安定して固定することができる。
【0239】
また、第2の衝立部212G、212Gは、左右の第2の厚肉部21aG、21bGを上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されているので、第2のベルト折返し部材2Gの後退位置にて、左右に分離された第2の厚肉部21aG、21bGを上下方向へ変位させ、さらに、左右の第2の衝立部212G、212Gを互いに上下方向で重なる位置まで変位させることによって、案内溝15G、16Gに対する第2の案内突起211G、211Gの係脱を簡単に行うことができる。そのため、枠体1Gに対して第2のベルト折返し部材2Gを簡単に装着又は離脱させることができる。
【0240】
また、本実施形態によれば、第2のベルト折返し部材2Gの側部には、左右外方へ弾発的に突出した第2の規制部23G、23Gを備え、当該第2の規制部23G、23Gには、第2のベルト折返し部材2Gを前進位置に移動させたとき、枠体1Gの側壁部12、13の前端縁121G、131Gと当接し、第2のベルト折返し部材2Gの後退を規制する第2の段差部231G、231Gが形成されているので、第2のベルト折返し部材2Gの前進位置にて、第2の段差部231G、231Gが第2のベルト折返し部材2Gの後退を規制することによって、第2の厚肉部21Gが、第2の上押え部111G、111Gと第2の下押え部112G、112Gとに対して折り返した第2のベルトW4を上下方向に狭圧して拘束させた状態を、安定して維持することができる。そのため、第2のベルト折返し部材2Gに多少の外力が掛かっても、第2の段差部231G、231Gが枠体1Gの側壁部12、13の前端縁121G、131Gを越えない限り、長さを調節した第2のベルトW4の緩みを阻止することができる。
【0241】
一方、第2の規制部23G、23Gは、第2のベルト折返し部材2Gの側部から左右外方へ弾発的に突出した物であるので、第2のベルトW4の長さを調節するときには、第2のベルト折返し部材2Gを後方へ押す等して、第2の規制部23G、23Gの弾発力に抗して、当該第2の規制部23G、23Gを左右内方へ押し込むことによって、第2の段差部231G、231Gが枠体1Gの側壁部12、13の前端縁121G、131Gを簡単に越えることができる。そのため、第2のベルトW4の長さ調節の操作を簡単に行うことができる。
【0242】
また、本実施形態によれば、第2のベルト挿入部11Gには、第2の上押え部111Gと第2の厚肉部21Gと第2の下押え部112Gとの各間で第2のベルトW4をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、第2のベルト側へ食い込む複数の第2の突起部113Bが形成されているので、複数の第2の突起部113Bを第2のベルトW4に食い込ませた状態で、枠体1Gに対して第2のベルトW4を固定させることができる。そのため、長さ調節した第2のベルトW4の緩みを、より一層安定して阻止することができる。
【0243】
また、本実施形態によれば、長さ調節用の第2のベルトW4が基端部側に形成された第2の枠体31H、31Lに長さ調節可能に連結され、係止爪33H、33H、33L、33Lが先端部32H、32L側に形成されたストライカ3H、3Lを備え、枠体1H、1Lにおける開口部14の前端側には、ストライカ3H、3Lを係脱可能に収納するストライカ収納部17H、17Lと、当該ストライカ収納部17H、17L内にあってストライカ3H、3Lの係止爪33H、33H、33L、33Lと係合する係合突起171H、171H、171L、171Lとが形成されているので、枠体1H、1Lの後端側にてベルト折返し部材2、2Lを介して長さ調節用のベルトW1を長さ調節可能に固定し、枠体1H、1Lの開口部14の前端側に形成されたストライカ収納部17H、17Lとストライカ3H、3Lとを介して長さ調節用の第2のベルトW4を長さ調節可能に連結することができる。そのため、2つのベルトW1、W4の長さを調節して、ストライカ収納部17H、17Lとストライカ3H、3Lとを操作しやすい任意の位置に移動させることができる。その結果、ベルトW1、W4の長さ調節の操作性と、ストライカ3H、3Lの取り扱いや操作性をより一層向上させることができる。
【0244】
また、本実施形態によれば、第2の枠体31H、31Lの内周側には、ストライカ3H、3Lの基端部側にベルト折返し用の略矩形状の第2の開口部314H、314Lが形成され、また、第2のベルトW4の幅と略同一の幅に形成された第2の厚肉部21H、21LLと当該第2の厚肉部21H、21LLの前方で当該第2の厚肉部21H、21LLより薄く形成された第2の薄肉部22H、22LLとを有し、第2の開口部314H、314Lの中で第2の厚肉部21H、21LLの先頭部21SH、21SLLに第2のベルトW4を巻回して前後方向に折返し、第2の枠体31H、31L内で前後方向へ進退可能に装着された略楔状の第2のベルト折返し部材2H、2LLを備え、また、第2の枠体31H、31Lの前端側には、第2のベルト折返し部材2H、2LLと第2のベルトW4とを挿入する第2のベルト挿入部311H、311Lが形成され、当該第2のベルト挿入部311H、311Lには、第2の枠体31H、31Lの左右の側壁部312H、313H、312L、313Lに接続され第2の厚肉部21H、21LLとの間で第2のベルトW4を上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部3111H、3111Lと第2の下押え部3112H、3112Lとが形成されているので、第2の枠体31H、31Lに対して第2のベルトW4の長さを調節するときには、第2のベルト折返し部材2H、2LLを折り返した第2のベルトW4と共に第2の枠体31H、31L内の後方向へ移動させるだけで、第2の上押え部3111H、3111Lと第2の薄肉部22H、22LLと第2の下押え部3112H、3112Lとの各間の隙間を通して第2のベルトW4を自由に移動させることができる。そのため、長さ調節用の第2のベルトW4をベルト折返し用の第2の開口部314H、314Lの中で第2の厚肉部21H、21LLから離間させて弛ませた状態として、第2の枠体31H、31Lに対して当該第2のベルトW4の長さを簡単に調節することができる。
【0245】
また、第2の枠体31H、31Lに対して長さ調節用の第2のベルトW4を固定するときには、第2のベルト折返し部材2H、2LLを折り返した第2のベルトW4と共に第2の枠体31H、31L内の前方向へ移動させるだけで、第2の上押え部3111H、3111Lと第2の厚肉部21H、21LLと第2の下押え部3112H、3112Lとの各間で折り返した第2のベルトW4をそれぞれ挟圧して拘束させた状態として、摩擦力で第2のベルトW4の移動を阻止することができる。そのため、長さを調節した第2のベルトW4の緩みを阻止した状態として、第2の枠体31H、31Lに当該第2のベルトW4を簡単に固定することができる。また、第2の上押え部3111H、3111Lと第2の厚肉部21H、21LLと第2の下押え部3112H、3112Lとの各間で折り返した第2のベルトW4をそれぞれ上下方向に挟圧して摩擦力で拘束させるので、不使用時においても第2のベルトW4の位置ズレが生じにくく、使用時毎の再調節を不要にできる。
【0246】
また、第2のベルト挿入部311Hには、第2の枠体31Hの左右の側壁部312H、313Hに接続され第2の厚肉部21Hとの間で第2のベルトW4を上下方向に狭圧して拘束する第2の上押え部3111Hと第2の下押え部3112Hとが形成されているので、第2の厚肉部21Hの厚さを、第2のベルトW4を折り返すのに必要な最小限度の厚さに形成することによって、第2の上押え部3111Hと第2の下押え部3112Hとの上下離間距離を最小化でき、第2の枠体31H(装置)の厚さが過大になるのを簡単に回避できる。よって、装置の厚さが過大とならず、簡単に2つのベルトW1、W4の長さを調節でき、使用時毎の再調節を不要にできるベルト調節装置10Hを提供することができる。
【0247】
また、本実施形態によれば、第2の上押え部3111H、3111Lのベルト当接面3111TH、3111TLと第2の下押え部3112H、3112Lのベルト当接面3112TH、3112TLとが、前後方向で互いに平行に形成され、第2の厚肉部21H、21LLは、上下方向の厚さt(t4<t5)が前端側から後端側に向けて徐々に増加するように形成されているので、第2のベルト折返し部材2H、2LLの前進に伴って、第2の厚肉部21H、21LLが第2の上押え部3111H、3111Lと第2の下押え部3112H、3112Lとに対して折り返した第2のベルトW4を押圧する狭圧力が増加して、第2のベルトW4を拘束させることができる。また、第2の上押え部3111H、3111Lと第2の下押え部3112H、3112Lとに対する第2の厚肉部21H、21LLのベルト狭圧力が一定以上に増加すると、第2のベルト折返し部材2H、2LLをそれ以上前進させることができなくなる。そのため、第2のベルト折返し部材2H、2LLを所定位置まで前進させるだけで、第2の枠体31H、31Lに対して簡単に第2のベルトW4を固定させることができる。
【0248】
また、第2のベルト折返し部材2H、2LLの後退に伴って、第2の厚肉部21H、21LLが第2の上押え部3111H、3111Lと第2の下押え部3112H、3112Lとに対して折り返した第2のベルトW4を押圧する狭圧力が減少するので、第2のベルト折返し部材2H、2LLをベルト折返し用の第2の開口部314H、314Lの中で所定位置まで後退させるだけで、第2の枠体31H、31Lに対して簡単に第2のベルトW4を弛ませることができる。したがって、第2のベルトW4を調節又は固定する操作を、より簡単に行うことができる。
【0249】
また、本実施形態によれば、第2の枠体31H、31Lの左右の側壁部312H、313H、312L、313Lには、第2のベルト折返し部材2H、2LLを第2のベルトW4の長さを調節する後退位置(Y3の位置)から第2のベルトW4を固定する前進位置(X1の位置)まで移動させる第2の案内溝315H、316H、315L、316Lが前後方向に形成され、また、第2のベルト折返し部材2H、2LLには、第2の案内溝315H、316H、315L、316Lに係合され当該第2の案内溝315H、316H、315L、316Lの前端部3151H、3161H、3151L、3161Lから後端部3152H、3162H、3152L、3162Lまで移動する第2の案内突起211H、211H、211LL、211LLが第2の厚肉部21H、21LLの左右の外側端部213H、213H、213LL、213LLに形成され、また、第2の厚肉部21H、21LLは、中間部で左右に分離して形成され、分離された左右の第2の厚肉部21aH、21bH、21aLL、21bLLが、第2の薄肉部22H、22LLを介して略U字状に連結されているので、左右に分離された第2の厚肉部21aH、21bH、21aLL、21bLL同士を近接させて、第2の枠体31H、31Lの側壁部312H、313H、312L、313Lに形成された第2の案内溝315H、316H、315L、316Lに第2の厚肉部21H、21LLに形成された第2の案内突起211H、211H、211LL、211Lを係合させることによって、第2の枠体31H、31L内に第2のベルト折返し部材2H、2LLを簡単に装着することができる。また、第2の案内溝315H、316H、315L、316Lの前端部3151H、3161H、3151L、3161Lまで第2の案内突起211H、211H、211LL、211LLを移動させることによって、第2のベルト折返し部材2H、2LLを前進位置(X1の位置)に移動でき、簡単に第2のベルトW4を固定できる。また、第2の案内溝315H、316H、315L、316Lの後端部3152H、3162H、3152L、3162Lまで第2の案内突起211H、211H、211LL、211LLを移動させることによって、第2のベルト折返し部材2H、2LLを後端位置(Y3の位置)に移動でき、簡単に第2のベルトW4の長さを調節できる。そのため、第2の枠体31H、31L内に第2のベルト折返し部材2H、2LLを簡単に装着して、第2のベルトW4の長さをより簡単に調節、又は固定できる。
【0250】
また、本実施形態によれば、第2の枠体31Hの左右の側壁部312H、313Hは、第2の案内溝315H、316Hの前端部3151H、3161Hから後端部3152H、3162Hまでの範囲で、第2の案内溝315H、316Hの下部内方に形成された下内壁部312aH、313aHと、第2の案内溝315H、316Hの上部外方に形成された上外壁部312bH、313bHとを備え、また、下内壁部312aH、313aHの上端面312a1H、313a1Hと上外壁部312bH、313bHの下端面312b3H、313b3Hとが、第2の案内溝315H、316Hの案内面をそれぞれ構成し、下内壁部312aH、313aHの外端面312a2H、313a2Hと上外壁部312bH、313bHの内端面312b4H、313b4Hとが、上下方向に形成された同一平面上に形成されているので、第2の枠体31Hの左右の側壁部312H、313Hと第2の案内溝315H、316Hとを上下方向に開閉するコア型61Hとキャビ型62Hとを備えた樹脂成形型60Hによって、同時に形成することができる。そのため、複雑なスライド型を内蔵した高価な樹脂成形型を使用する必要がなく、安価に第2の枠体31Hを備えたストライカ3Hを形成することができる。
【0251】
すなわち、第2の枠体31Hの左右の側壁部312H、313Hと第2の案内溝315H、316Hとを同時に形成する樹脂成形型60Hは、第2の枠体31Hの左右の側壁部312H、313Hの内、コア型61Hの成形面によって、下内壁部312aH、313aHの下端面312a3H、313a3H及び外端面312a2H、313a2Hと、上外壁部312bH、313bHの下端面312b3H、313b3Hとを形成し、キャビ型62Hの成形面によって、下内壁部312aH、313aHの内端面312a4H、313a4H及び上端面312a1H、313a1Hと、上外壁部312bH、313bHの内端面312b4H、313b4H、上端面312b1H、313b1H及び外端面312b2H、313b2Hとを形成する。また、コア型61Hとキャビ型62Hのパーティングライン(分割線)の内、型開閉方向(矢印Qの方向)の分割線64Hが、下内壁部312aH、313aHの外端面312a2H、313a2H及び上外壁部312bH、313bHの内端面312b4H、313b4Hと同一平面上に形成され、型開閉方向(矢印Qの方向)の分割線64Hと直交する分割線63H、65Hが、下内壁部312aH、313aHの下端面312a3H、313a3Hと同一平面上に形成され、かつ、上外壁部312bH、313bHの下端面312b3H、313b3Hと同一平面上に形成されている。これによって、第2の枠体31Hの左右の側壁部312H、313Hと第2の案内溝315H、316Hとを上下方向に開閉するコア型61Hとキャビ型62Hとを備えた樹脂成形型60Hによって、同時に形成することができる。
【0252】
また、本実施形態によれば、左右の第2の厚肉部21aH、21bH、21aLL、21bLLの内側端部には、左右方向に微小隙間d5で対向可能に形成された一対の第2の衝立部212H、212H、212LL、212LLを備えているので、第2のベルト折返し部材2H、2LLを折り返した第2のベルトW4と共に第2の枠体31H、31L内の前進位置(X1の位置)へ移動させ、第2の上押え部3111Hと第2の厚肉部21H(21aH、21bH)、21LL(21aLL、21bLL)と第2の下押え部3112H、3112Lとの各間で折り返した第2のベルトW4をそれぞれ挟圧して拘束させた状態では、第2の案内溝315H、316H、315L、316Lの前端部3151H、3161H、3151L、3161Lに第2の案内突起211H、211H、211LL、211LLが当接すると共に、第2の衝立部212H、212H、212LL、212LL同士が当接又は微小隙間で左右方向に対向して、第2の案内突起211H、211H、211LL、211LLが第2の案内溝315H、316H、315L、316Lから外れるのを阻止することができる。そのため、第2のベルト折返し部材2H、2LLの前進位置(X1の位置)にて、第2のベルトW4に引張力が掛かっても、第2のベルト折返し部材2H、2LLが第2の枠体31H、31Lから外れず、第2の枠体31H、31Lに対して第2のベルトW4を安定して固定することができる。
【0253】
また、第2の衝立部212H、212H、212LL、212LLは、左右の第2の厚肉部21aH、21bH、21aLL、21bLLを上下方向に変位させて、互いに上下方向で重なる位置へ変位可能に形成されているので、第2のベルト折返し部材2H、2LLの後退位置(Y3の位置)にて、左右に分離された第2の厚肉部21aH、21bH、21aLL、21bLLを上下方向へ変位させ、さらに、左右の第2の衝立部212H、212H、212LL、212LLを互いに上下方向で重なる位置まで変位させることによって、第2の案内溝315H、316H、315L、316Lに対する第2の案内突起211H、211H、211LL、211LLの係脱を簡単に行うことができる。そのため、第2の枠体31H、31Lに対して第2のベルト折返し部材2H、2LLを簡単に装着又は離脱させることができる。
【0254】
また、本実施形態によれば、第2のベルト折返し部材2Hの側部には、左右外方へ弾発的に突出した第2の規制部23H、23Hを備え、当該第2の規制部23H、23Hには、第2のベルト折返し部材2Hを前進位(X1の位置)に移動させたとき、第2の枠体31Hの側壁部312H、313Hの前端縁3121H、3131Hと当接し、第2のベルト折返し部材2Hの後退を規制する第2の段差部231H、231Hが形成されているので、第2のベルト折返し部材2Hの前進位置(X1の位置)にて、第2の段差部231H、231Hが第2のベルト折返し部材2Hの後退を規制することによって、第2の厚肉部21Hが、第2の上押え部3111Hと第2の下押え部3112Hとに対して折り返した第2のベルトW4を狭圧して拘束させた状態を、安定して維持することができる。そのため、第2のベルト折返し部材2Hに多少の外力が掛かっても、第2の段差部231H、231Hが第2の枠体31Hの側壁部312H、313Hの前端縁3121H、3131Hを越えない限り、長さを調節した第2のベルトW4の緩みを阻止することができる。
【0255】
一方、第2の規制部23H、23Hは、第2のベルト折返し部材2Hの側部から左右外方へ弾発的に突出した物であるので、第2のベルトW4の長さを調節するときには、第2の規制部23H、23Hの弾発力に抗して、当該第2の規制部23H、23Hを左右内方へ押し込むことによって、第2の段差部231H、231Hが第2の枠体31Hの側壁部312H、313Hの前端縁3121H、3131Hを簡単に越えることができる。そのため、第2のベルトW4の長さ調節の操作を簡単に行うことができる。
【0256】
また、本実施形態によれば、第2のベルト挿入部311H、311Lには、第2の上押え部3111H、3111Lと第2の厚肉部21H、21LLと第2の下押え部3112H、3112Lとの各間で第2のベルトW4をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、第2のベルトW4側へ食い込む複数の第2の突起部3113H、3113Lが形成されているので、複数の第2の突起部3113H、3113Lを第2のベルトW4に食い込ませた状態で、第2の枠体31H、31Lに対して第2のベルトW4を固定させることができる。そのため、長さ調節した第2のベルトW4の緩みを、より一層安定して阻止することができる。
【0257】
また、本実施形態によれば、第2の厚肉部21LLには、第2の上押え部3111Lと第2の厚肉部21LLと第2の下押え部3112Lとの各間で第2のベルトW4をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、第2のベルトW4側へ食い込む第2の突起部25LLが第2のベルト挿入部311Lの第2の突起部3113Lより前方に形成されているので、第2のベルト挿入部311Lの第2の突起部3113Lの前方で第2の厚肉部21LLの第2の突起部25LLが第2のベルトW4に食い込むことによって、第2のベルト折返し部材2LLの後方への移動を規制し、第2の枠体31Lに対して第2のベルトW4を固定した状態をより安定して維持することができる。そのため、第2のベルト折返し部材2LLに多少の外力が掛かっても、長さを調節した第2のベルトW4の緩みを阻止することができる。一方、第2のベルト折返し部材2LLを第2のベルトW4と共に後退位置へ移動させる場合には、第2のベルト折返し部材2LLを所定の力で後方へ押し出すだけで、第2の厚肉部21LLの第2の突起部25LLが第2のベルト挿入部311Lの第2の突起部3113L、3113L間を通過するとき、第2の上押え部3111Lと第2の下押え部3112Lとを上下方向へ撓ませることができ、第2のベルトW4の長さ調節の操作を簡単に行うことができる。
【0258】
<変形例>
以上、詳細に説明した実施形態は、本願発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更することができる。例えば、第1実施例では、ストライカ3の差込脚部34、34の左右外方には、当該差込脚部34、34の先端部341、341から基端部31側へ略V字状に折り返す折返し部342、342を備え、当該折返し部342、342には、係止爪33、33と当該係止爪33、33を係合突起171、171から離脱させる操作部35、35とが形成されている。しかし、必ずしも上記構成に限ることはない。
【0259】
例えば、図34に示すように、ストライカ3Iの差込脚部34I、34Iの左右外方には、先端部32Iから差込脚部34I、34Iと略平行に起立する一対の係止脚部36I、36Iを形成し、当該係止脚部36I、36Iの先端部361I、361Iに係止爪33I、33Iと当該係止爪33I、33Iを係合突起171、171から離脱させる操作部35I、35Iとが形成されていてもよい。ここで、係止脚部36I、36Iの先端部361I、361Iは、差込脚部34I、34Iの先端部341I、341Iと所定の隙間で離間している。また、係止脚部36I、36Iの先端部361I、361Iには、薄板状の連結板343I、343Iが左右外方へ水平状に延設され、連結板343I、343Iを介して操作部35I、35Iが接続されている。また、ストライカ3Iの先端部32Iには、操作部35I、35Iの基端側と近接する位置まで後方へ突出する一対の補助リブ37I、37Iが形成されている。
【0260】
また、幅の狭いベルトW5に対応するため、例えば、図35に示すように、ストライカ3Jの差込脚部34J、34Jの左右外方には、先端部32Jから差込脚部34J、34Jと略平行に起立する一対の係止脚部36J、36Jを形成し、当該係止脚部36J、36Jの先端部361J、361Jに係止爪33J、33Jと当該係止爪33J、33Jを係合突起171、171から離脱させる操作部35J、35Jとが形成されていてもよい。ここで、係止脚部36J、36Jの先端部361J、361Jは、差込脚部34J、34Jの先端部341J、341Jより前方に位置し、差込脚部34J、34Jの先端部341J、341Jに対して、前後方向において、所定の隙間で離間している。
【0261】
同じく、幅の狭いベルトW5に対応するため、例えば、図36に示すように、ストライカ3Kの差込脚部34K、34Kの左右外方には、先端部32Kから差込脚部34K、34Kと略平行に起立する一対の係止脚部36K、36Kを形成し、当該係止脚部36K、36Kの先端部361K、361Kに係止爪33K、33Kと当該係止爪33K、33Kを係合突起171、171から離脱させる操作部35K、35Kとが形成されていてもよい。ここで、係止脚部36K、36Kの先端部361K、361Kは、差込脚部34K、34Kの先端部341K、341Kより後方で、左右内方へ円弧状に湾曲して延設され、その内端面が、左右方向において、互いに所定の隙間で離間している。
【0262】
また、第1実施例では、枠体1の後端側には、ベルト折返し部材2とベルトW1とを挿入するベルト挿入部11が形成され、枠体1における開口部14の前端側には、ストライカ3を係脱可能に収納するストライカ収納部17が形成されている。しかし、必ずしも上記構成に限ることはない。枠体1及びベルト折返し部材2は、それぞれ左右対称に形成されているので、例えば、枠体1の前後方向を逆にして、枠体1の前端側には、ベルト折返し部材2とベルトW1とを挿入するベルト挿入部11が形成され、枠体1における開口部14の後端側には、ストライカ3を係脱可能に収納するストライカ収納部17が形成されていてもよい。
【0263】
また、第8実施例では、第2のベルト折返し部材2Hの側部には、左右外方へ弾発的に突出した第2の規制部23H、23Hを備え、当該第2の規制部23H、23Hには、第2のベルト折返し部材2Hを前進位置に移動させたとき、第2の枠体31Hの側壁部312H、313Hの前端縁3121H、3131Hと当接し、第2のベルト折返し部材2Hの後退を規制する第2の段差部231H、231Hが形成されている。しかし、必ずしも上記構成に限ることはない。例えば、第2の規制部23H、23Hを廃止し又はこれに追加して、第9実施例のように、第2の厚肉部21Hには、第2の上押え部3111Hと第2の厚肉部21Hと第2の下押え部3112Hとの各間で第2のベルトW4をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、第2のベルトW4側へ食い込む第2の突起部が第2のベルト挿入部311Hの第2の突起部3113Hより前方に形成されていてもよい。
【0264】
また、第9実施例では、厚肉部21Lには、上押え部111Lと厚肉部21Lと下押え部112Lとの各間でベルトW1をそれぞれ挟圧して拘束させた状態で、ベルトW1側へ食い込む突起部25Lがベルト挿入部11Lの突起部113Lより後方に形成されている。しかし、必ずしも上記構成に限ることはない。例えば、突起部25Lに追加して、第2実施例と同様に、ベルト折返し部材2Lの側部には、左右外方へ弾発的に突出した規制部(23、23)を備え、当該規制部には、ベルト折返し部材2Lを後退位置に移動させたとき、枠体1Lの側壁部12、13の後端縁121、131と当接し、ベルト折返し部材2Lの前進を規制する段差部(231、231)が形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0265】
本発明は、ズボン用ベルトのバックルやリュックサック、ベルト付きカバン、ウェストポーチ、ヘルメット等のベルト調節具として使用され、ベルトの長さを調節可能に形成されたベルト調節装置として利用できる。例えば、ショルダーベルト付きカバンには、カバンに対してベルト調節機構とベルト着脱機構とを備えているものが多いが、本ベルト調節装置を利用することによって、ベルト着脱機構を不要とすることができる。
【符号の説明】
【0266】
1、1B、1C、1D、1E、1F、1G 枠体
2、2G、2H、2L、2LL ベルト折返し部材
3、3E、3H、3I、3J、3K、3L ストライカ
5 ベルト固定枠
10、10B、10C、1D ベルト調節装置
10E、10F、10G、10H、10L ベルト調節装置
11、11B、11G、311H、311L ベルト挿入部
12、13、312H、313H 側壁部
14、314H、314L 開口部
15、15F、15G、315H、315L 案内溝
16、16F、16G、316H、316L 案内溝
17、17B、17C、17D、17E ストライカ収納部
17H、17L ストライカ収納部
18、18B、18C、18D、18E 上蓋部
19B、19C、19D 装飾部材
19aB、19aD 装飾体
19aC 表板
19bC 裏板
19cC 装飾フィルム
21、21a、21b 厚肉部
21G、21aG、21bG 厚肉部
21H、21aH、21bH 厚肉部
21L、21aL、21bL 厚肉部
21LL、21aLL、21bLL 厚肉部
21S、21SG、21SH、21SLL 先頭部
22、22G、22H、22LL 薄肉部
23、23G、23H 規制部
25L、25LL 突起部
31 基端部
31H、31L 枠体
32、32H、32L 上端部
33、33E、33H、33I、33J 係止爪
33K、33L 係止爪
34、34E、34H、34I、34J、34K 差込脚部
34L 差込脚部
35、35E、35H、35I、35J、35K 操作部
35L 操作部
36E、36H、36I、36J、36K、36L 係止脚部
111、111B、111G 上押え部
111T、111TB、111TG ベルト当接面
112、112B、112G 下押え部
112T、112TB、112TG ベルト当接面
113B、3113H 突起部
121、131 後端縁
121G、131G、3121H、3131H 前端縁
151、151F、151G、151L 前端部
161、161F、161G 前端部
152、152F、152G 後端部
162、162F、162G 後端部
171、171E、171H、171L 係合突起
172、172B、172C 案内リブ
172D、172E、172H 案内リブ
173、173H、173L 操作用開口部
175 境界部
181B、181C、181D 装飾用開口部
183B、183C、183D 係止溝
191B、191C、191D 中央部
192B、192C、192D 外縁部
194B、194D 受け金
211、211G、211H、211LL 案内突起
212、212G、212H、212LL 衝立部
213、213G、213H、213LL 外側端部
231、231G、231H 段差部
312L、313L 側壁部
342、362E 折返し部
3111H、3111L 上押え部
3111TH、3111TL ベルト当接面
3112H、3112L 下押え部
3112TH、3112TL ベルト当接面
3151H、3151L 前端部
3152H、3152L 後端部
3161H、3161L 前端部
3162H、3162L 後端部
W1、W2、W3、W4 ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12
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