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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】直液式ペン型アイライナー
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20220707BHJP
   B05C 17/00 20060101ALI20220707BHJP
   B43K 8/06 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
A45D34/04 510B
B05C17/00
B43K8/06
A45D34/04 525A
A45D34/04 510D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020005640
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021112692
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-04-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502323885
【氏名又は名称】ケミコスクリエイションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094802
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 健兒
(72)【発明者】
【氏名】服部 勝▲高▼
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-100981(JP,A)
【文献】特開2016-78325(JP,A)
【文献】特開2004-90253(JP,A)
【文献】特開2003-11566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 17/00
B43K 8/06
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状をなして、長手方向の後端側から前端側に向けて塗料を案内して前記前端側から吐出させる直液式ペン型アイライナーであって、
前記塗料を収容する塗料収容空間が形成された塗料タンクと、
前記後端側の端面から前記前端側に向けて凹む穴部が形成されるとともに前記塗料を吐出させる塗布部材と、
前記長手方向に延びる棒状をなして前記後端側から前記穴部に挿入されるとともに前記塗料収容空間内に延びて前記塗料タンクの前記塗料を前記塗布部材に供給する塗料フィーダと、
前記長手方向に延びる筒状をなして前記塗料フィーダの外周側に配置されるとともに、前記塗料収容空間に接続された緩衝空間を内部に形成し、前記塗料収容空間と前記緩衝空間との間における前記塗料および空気の流通によって前記塗料収容空間における圧力変動を緩衝する圧力変動緩衝部材と、
を備え、
前記塗料フィーダは、
前記穴部内に位置する塗料排出領域と、
前記穴部外に位置して前記塗料タンクの前記塗料を前記塗料排出領域に向けて案内する塗料案内領域と、
を有し、
前記塗料排出領域には、外周面から前記塗料フィーダの径方向となるフィーダ径方向の内側に向かって凹むとともに前記穴部の内周面に対向し、前記塗料が流入する周上溝が樹脂によって形成されている直液式ペン型アイライナーであって、
前記周上溝は、長手方向に延びて、前記塗料フィーダの周方向となるフィーダ周方向に間隔をあけて複数形成されており、且つ
前記塗料フィーダには、前記フィーダ周方向に隣接する前記周上溝同士を前記周上溝に交差して接続する横溝がさらに形成されている直液式ペン型アイライナー
【請求項2】
前記周上溝における前記フィーダ周方向の最大溝幅寸法が0.05mm以上0.18mm以下である請求項に記載の直液式ペン型アイライナー
【請求項3】
前記塗料排出領域の最大外径寸法に対する、前記周上溝における前記フィーダ径方向の最大深さ寸法の比率が25%以上40%以下である請求項に記載の直液式ペン型アイライナー
【請求項4】
前記塗料排出領域における前記長手方向に直交する断面において、前記周上溝が占める占有面積の比率が、5%以上である請求項に記載の直液式ペン型アイライナー
【請求項5】
棒状をなして、長手方向の後端側から前端側に向けて塗料を案内して前記前端側から吐出させる直液式ペン型アイライナーであって、
前記塗料を収容する塗料収容空間が形成された塗料タンクと、
前記後端側の端面から前記前端側に向けて凹む穴部が形成されるとともに前記塗料を吐出させる塗布部材と、
前記長手方向に延びる棒状をなして前記後端側から前記穴部に挿入されるとともに前記塗料収容空間内に延びて前記塗料タンクの前記塗料を前記塗布部材に供給する塗料フィーダと、
前記長手方向に延びる筒状をなして前記塗料フィーダの外周側に配置されるとともに、前記塗料収容空間に接続された緩衝空間を内部に形成し、前記塗料収容空間と前記緩衝空間との間における前記塗料および空気の流通によって前記塗料収容空間における圧力変動を緩衝する圧力変動緩衝部材と、
を備え、
前記塗料フィーダは、
前記穴部内に位置する塗料排出領域と、
前記穴部外に位置して前記塗料タンクの前記塗料を前記塗料排出領域に向けて案内する塗料案内領域と、
を有し、
前記塗料排出領域には、外周面から前記塗料フィーダの径方向となるフィーダ径方向の内側に向かって凹むとともに前記穴部の内周面に対向し、前記塗料が流入する周上溝が樹脂によって形成されている直液式ペン型アイライナーであって、さらに、
前記塗料排出領域には、
前記長手方向に延びて筒状をなし、樹脂によって形成された筒状体と、
前記筒状体の内部に配置され、繊維を収束して構成された排出側中継芯体と、
を有し、
前記筒状体に前記周上溝が形成されている直液式ペン型アイライナー
【請求項6】
前記周上溝が、前記筒状体を前記フィーダ径方向に貫通することで、
前記排出側中継芯体の前記塗料が、前記周上溝を介して前記塗布部材に排出可能となっている請求項に記載の直液式ペン型アイライナー
【請求項7】
前記穴部は前記前端側に向かって内径が漸次小さくなる形状を有し、
前記排出側中継芯体は、前記筒状体から前記前端側に突出するとともに、前記穴部の形状に沿って前記前端側に向かって外径が漸次小さくなっている請求項またはに記載の直液式ペン型アイライナー
【請求項8】
前記塗料案内領域は、繊維を収束して構成された棒状をなす案内側中継芯体を有し、
前記案内側中継芯体及び前記排出側中継芯体が一体化されている請求項からのいずれか一項に記載の直液式ペン型アイライナー
【請求項9】
前記塗料排出領域は、前記長手方向に延びて棒状をなし、樹脂によって形成された棒状体であり、
前記塗料案内領域は、繊維を収束して構成された棒状をなす中継芯体であり、
前記中継芯体における前端側が、前記棒状体の後端側の端面に前記後端側から当接する当接面を有するとともに、前記中継芯体における前記後端側が前記塗料空間内に配置され、
前記棒状体の外周面に形成された前記周上溝の後端側は、前記当接面に向けて開口している請求項からのいずれか一項に記載の直液式ペン型アイライナー
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直液式ペン型アイライナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体塗料を収容する直液式ペン型アイライナーが知られている。このような直液式ペン型アイライナーは例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の直液式ペン型アイライナーでは、液体塗料が中継芯を通じて筆部に導かれるようになっている。
【0003】
ところで現在、塗料に光沢を付与するため、ラメ(金属粉体)等の固形物を含有する液体塗料を収容したアイライナーが一般に流通している。特に化粧品の分野では華やかさの演出のため、このようなラメ入りのアイライナーのニーズが大きいだけでなく、さらに塗料の光沢を増加させたいとの要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭59-125314
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば塗料の光沢を増加させるため、塗料に含まれるラメのサイズや含
有量を増加させようとした場合、上述した従来の直液式ペン型アイライナーの構造では直液式ペン型アイライナー内にラメを詰まらせることなく塗料を筆部まで円滑に案内し、筆部から吐出させることが難しい。
【0006】
そこで本発明は、塗料の種類によらず、円滑に塗料を案内して吐出可能とする直液式ペン型アイライナー具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の一態様に係る直液式ペン型アイライナーは、棒状をなして、長手方向の後端側から前端側に向けて塗料を案内して前記前端側から吐出させる直液式ペン型アイライナーであって、
前記塗料を収容する塗料収容空間が形成された塗料タンクと、前記後端側の端面から前記前端側に向けて凹む穴部が形成されるとともに前記塗料を吐出させる塗布部材と、前記長手方向に延びる棒状をなして前記後端側から前記穴部に挿入されるとともに前記塗料収容空間内に延びて前記塗料タンクの前記塗料を前記塗布部材に供給する塗料フィーダと、前記長手方向に延びる筒状をなして前記塗料フィーダの外周側に配置されるとともに、前記塗料収容空間に接続された緩衝空間を内部に形成し、前記塗料収容空間と前記緩衝空間との間における前記塗料および空気の流通によって前記塗料収容空間における圧力変動を緩衝する圧力変動緩衝部材と、を備え、前記塗料フィーダは、前記穴部内に位置する塗料排出領域と、前記穴部外に位置して前記塗料タンクの前記塗料を前記塗料排出領域に向けて案内する塗料案内領域と、を有し、前記塗料排出領域には、外周面から前記塗料フィーダの径方向となるフィーダ径方向の内側に向かって凹むとともに前記穴部の内周面に対向し、前記塗料が流入する周上溝が樹脂によって形成されている。
【0008】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記周上溝は、長手方向に延びて、前記塗料フィーダの周方向となるフィーダ周方向に間隔をあけて複数形成されていてもよい。
【0009】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記塗料フィーダは、前記塗料案内領域と前記塗料排出領域とが一体に形成された樹脂製の部材であり、前記周上溝は、前記塗料排出領域と前記塗料案内領域との間にわたって前記長手方向に延びて形成されるとともに前記穴部と前記塗料収容空間とを連通し、前記塗料フィーダは、前記圧力変動緩衝部材に嵌合することで前記圧力変動緩衝部材に支持されていてもよい。
【0010】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、複数の前記周上溝として、第一の溝と、前記第一の溝よりも前記フィーダ径方向の深さ寸法が小さい第二の溝とが設けられ、前記第二の溝は、前記フィーダ周方向に隣接する前記第一の溝同士の間に配置されていてもよい。
【0011】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記塗料フィーダには、前記フィーダ周方向に隣接する前記周上溝同士を接続する横溝がさらに形成されていてもよい。
【0012】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記周上溝における前記フィーダ周方向の最大溝幅寸法が0.05mm以上0.18mm以下であってもよい。
【0013】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記塗料排出領域の最大外径寸法に対する、前記周上溝における前記フィーダ径方向の最大深さ寸法の比率が25%以上40%以下であってもよい。
【0014】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記塗料排出領域における前記長手方向に直交する断面において、前記周上溝が占める占有面積の比率が、5%以上であってもよい。
【0015】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記塗料排出領域は、前記長手方向に延びて筒状をなし、樹脂によって形成された筒状体と、前記筒状体の内部に配置され、繊維を収束して構成された排出側中継芯体と、を有し、前記筒状体に前記周上溝が形成されていてもよい。
【0016】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記周上溝が、前記筒状体を前記フィーダ径方向に貫通することで、前記排出側中継芯体の前記塗料が、前記周上溝を介して前記塗布部材に排出可能
となっていてもよい。
【0017】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記穴部は前記前端側に向かって内径が漸次小さくなる形状を有し、前記排出側中継芯体は、前記筒状体から前記前端側に突出するとともに、前記穴部の形状に沿って前記前端側に向かって外径が漸次小さくなっていてもよい。
【0018】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記塗料案内領域は、繊維を収束して構成された棒状をなす案内側中継芯体を有し、前記案内側中継芯体及び前記排出側中継芯体が一体化されていてもよい。
【0019】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記塗料排出領域は、前記長手方向に延びて棒状をなし、樹脂によって形成された棒状体であり、前記塗料案内領域は、繊維を収束して構成された棒状をなす中継芯体であり、前記中継芯体における前端側が、前記棒状体の後端側の端面に前記後端側から当接する当接面を有するとともに、前記中継芯体における前記後端側が前記塗料空間内に配置され、前記棒状体の外周面に形成された前記周上溝の後端側は、前記当接面に向けて開口していてもよい。
【0020】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記塗料案内領域は前記圧力変動緩衝部材に挿通されて遊嵌され、前記圧力変動緩衝部材の内周面と前記塗料案内領域の外周面との境界に、前記塗料排出領域における前記周上溝と前記塗料収容空間とを連通して、前記塗料収容空間の前記塗料を前記周上溝まで案内可能な流通空間が形成されていてもよい。
【0021】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記圧力変動緩衝部材は、前記塗料フィーダを挿通させるとともに前記緩衝空間に対して前記フィーダ径方向の内側の壁部を形成する本体筒部を有し、前記本体筒部には、前記フィーダ径方向に貫通して前記緩衝空間と前記塗料収容空間とを連通する空気流通孔、および前記空気流通孔と前記長手方向に離れた位置で前記フィーダ径方向に貫通して前記緩衝空間と前記周上溝とを連通するつなぎ流路が形成されていてもよい。
【0022】
また本発明の他の態様に係る直液式ペン型アイライナーは、棒状をなして、長手方向の後端側から前端側に向けて塗料を案内して前記前端側から吐出させる直液式ペン型アイライナーであって、前記後端側の端面から前記前端側に向けて凹む穴部が形成されるとともに前記塗料を吐出させる塗布部材と、前記長手方向に延びる棒状をなして前記後端側から前記穴部に挿入された塗料フィーダと、前記塗料を収容する塗料収容空間が形成されるとともに前記塗料フィーダへ前記塗料を供給する塗料タンクと、前記長手方向に延びる筒状をなして前記塗料フィーダの外周側に配置されるとともに、前記塗料収容空間に接続された緩衝空間を内部に形成し、前記塗料収容空間と前記緩衝空間との間における前記塗料および空気の流通によって前記塗料収容空間における圧力変動を緩衝する圧力変動緩衝部材と、を備え、前記塗料フィーダは、繊維を収束して構成された中継芯体であって、前記圧力変動緩衝部材に挿通されて遊嵌され、前記圧力変動緩衝部材の内周面と前記塗料フィーダの外周面との境界に、前記穴部と前記塗料収容空間とを連通して、前記塗料収容空間の前記塗料を前記穴部に案内可能な流通空間が形成されている。
【0023】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記圧力変動緩衝部材には、前記流通空間が形成された状態で前記塗料フィーダを支持するフィーダ支持部が設けられ、前記塗料フィーダは、外周面に前記塗料収容空間内に配置されて塗料に接触する接触領域を有し、前記フィーダ支持部は、前記接触領域よりも前記後端側で前記塗料フィーダを支持していてもよい。
【0024】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、輪郭投影によって計測した前記塗料フィーダの最大外径寸法をα、前記圧力変動緩衝部材の内径寸法をβと定義した場合に、α<β+0.040mmを満たしてもよい。
【0025】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記塗料フィーダの最大外径寸法αと、前記圧力変動緩衝部材の内径寸法βとが、α<βを満たしてもよい。
【0026】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記塗料フィーダの最大外径寸法αと、前記圧力変動緩衝部材の内径寸法βとが、β-0.25mm≦αを満たしてもよい。
【0027】
また上記直液式ペン型アイライナーでは、前記塗料は、液体塗料に固形物が含まれてなっていてもよい。
【発明の効果】
【0028】
上記態様の直液式ペン型アイライナーによれば、円滑に塗料を案内して吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第一実施形態に係る直液式ペン型アイライナーの縦断面図である。
図2】上記直液式ペン型アイライナーの要部拡大図であって、図1のA部を示す図である。
図3】上記直液式ペン型アイライナーにおける塗料フィーダの横断面図である。
図4図3の断面図に相当する写真である。
図5】上記直液式ペン型アイライナーにおける圧力変動緩衝部材に縦断面図である。
図6】上記直液式ペン型アイライナーにおける圧力変動緩衝部材の横断面図であって、(a)は図5のB-B断面を示す図であり、(b)は図5のC-C断面を示す図である。
図7】本発明の第二実施形態に係る直液式ペン型アイライナーの縦断面図である。
図8】上記直液式ペン型アイライナーの要部拡大図であって、図7のD部を示す図である。
図9】上記直液式ペン型アイライナーにおける塗料フィーダの横断面図であって、(a)は図6のE-E断面を示す図であり、(b)は図6のF-F断面を示す図であり、(c)は図6のG-G断面を示す図である。
図10】本発明の第二実施形態の変形例に係る直液式ペン型アイライナーの塗料フィーダを示す縦断面図である。
図11】本発明の第三実施形態に係る直液式ペン型アイライナーの縦断面図である。
図12】上記直液式ペン型アイライナーの要部拡大図であって、図11のH部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態について添付図面を参照して説明する。
(全体構成)
図1に示すように直液式ペン型アイライナー1は、棒状をなして後端側から前端側に塗料Pを案内し、塗料Pを前端側から吐出させる。
直液式ペン型アイライナー1は、塗料Pを吐出する塗布部材2と、塗料Pを収容する塗料収容空間を形成する塗料タンク3と、塗料タンク3から塗布部材2へ塗料を供給する塗料フィーダ4と、塗料収容空間の圧力変動を緩衝する圧力変動緩衝部材5と、圧力変動緩衝部材5の外周側に設けられたアウターケース6とを備えている。
【0031】
(塗布部材)
塗布部材2は例えばブラシであって、ナイロンやPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の合成樹脂からなる繊維状の集合体である。塗布部材2はブラシに限定されず、例えば焼結ペンタイプのものや、多孔質のウレタンから形成されたもの等であってもよい。塗料Pが固形物を含有する場合には、塗布部材2はブラシであることが好ましい。特に塗料Pが固形物を含有している場合、塗布部材2は柔軟性、弾力性、可撓性を有するナイロン等の合成繊維の収束体とすることが好ましい。
【0032】
図1に示すように、塗布部材2は軸線Oを中心として軸方向(長手方向)に延びる丸棒状をなしている。また塗布部材2は、軸方向の中途位置から前端側に向かって外径が漸次小さくなる円錐形状をなしている。図2に示すように、塗布部材2の後端側の端面には、前端側に向けて凹む穴部2aが形成されている。穴部2aは、後端側から前端側に向けて内径が漸次小さくなるテーパ形状をなしている。穴部2aの内径は後述する塗料フィーダ4の外径と同等であってもよいが、穴部2aの内径が塗料フィーダ4の外径よりも若干大きくなって塗料フィーダ4の外周面と穴部2aの内周面との間には塗料Pが流通可能な空間(クリアランス)が形成されていてもよい。
【0033】
また塗布部材2の後端側の端部には、塗布部材の各繊維を束ねる固着層20が設けられている。上記の穴部2aは固着層20を貫通している。固着層20は例えば接着材等によって塗布部材2の繊維同士が固着されることにより形成される。固着層20は軸線Oを中心とした円盤状をなしている。固着層20の外径は塗布部材2の外径よりも若干大きくなっていることで、塗布部材2から外周側に固着層20がフランジ状に突出している。
【0034】
(塗料フィーダ)
塗料フィーダ4は、軸線Oを中心とした軸方向に延びる丸棒状をなしている。また塗料フィーダ4は塗布部材2の後端側から穴部2aに挿入されて設けられている。塗料フィーダ4は、穴部2a内に位置する塗料排出領域4aと、塗料排出領域4aの後端側で穴部2a外に位置する塗料案内領域4bとを有している。
以下、軸方向に直交する方向、すなわち塗料フィーダ4の径方向をフィーダ径方向とする。また塗料フィーダ4の周方向をフィーダ周方向とする。
【0035】
塗料排出領域4aの前端側の端面は、フィーダ径方向に広がる平面となっている。よって塗料排出領域4aの前端側の端面よりもさらに前端側には、塗料排出領域4aと穴部2aの内面との間に挟まれる円錐形状の空間S1が形成されている。塗料排出領域4aは合成樹脂によって形成されている。合成樹脂としては、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)<ナイロン>、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂が例示される。
塗料案内領域4bは塗料排出領域4aと一体に設けられている。すなわち塗料案内領域4bも塗料排出領域4aと同一の樹脂によって形成されている。塗料排出領域4aおよび塗料案内領域4bは、例えば押出成形によって一体成形される。また塗料案内領域4bの後端側の端部は後述する塗料タンク3の塗料収容空間内に配置される(図1参照)。
【0036】
図3に示すように、塗料フィーダ4には周上溝40が形成されている。塗料フィーダ4が樹脂によって形成されているため、周上溝40も樹脂によって形成されている。周上溝40はフィーダ周方向に間隔を空けて複数形成されている。各々の周上溝40は、塗料排出領域4aと塗料案内領域4bとの間にわたって軸方向に延びて形成されている。各々の周上溝40は塗料排出領域4aおよび塗料案内領域4bにおける外周面から、フィーダ径方向の内側に向かって凹むとともに、塗料フィーダ4における軸方向の全域にわたって形成されている。各々の周上溝40は塗料排出領域4aの前端側の端面に開口するとともに、塗料案内領域4bの後端側の端面にも開口している。そして周上溝40は、塗布部材2における穴部2aの内周面に対向するとともに、塗布部材2の穴部2aと塗料タンク3の塗料収容空間(図1参照)とを連通している。
【0037】
塗料フィーダ4には、周上溝40として第一の溝41と、第一の溝41よりもフィーダ径方向の深さ寸法が小さい第二の溝42とが設けられている。フィーダ周方向に隣接する第一の溝41同士の間に第二の溝42が配置されている。本実施形態では第一の溝41と第二の溝42とは、フィーダ周方向に交互に等間隔で配置されている。図4に示すようにフィーダ周方向に隣接する第一の溝41によって囲まれる部分は、軸方向から見てY字状をなし、周上溝40同士の間には、突出部43が形成されている。
【0038】
本実施形態では、この突出部43におけるフィーダ径方向の最も外側の面、すなわち塗料フィーダ4の外周面を形成する面は、軸方向から見て円弧面43aとなっている。また円弧面43aは、各々の突出部43におけるフィーダ周方向の中央部で、最もフィーダ径方向の外側に位置している。これにより後述する圧力変動緩衝部材5の内周面に対して円弧面43aが線接触している。
【0039】
図3に戻って、各々の周上溝40におけるフィーダ周方向の最大溝幅寸法W1は、0.05mm以上0.18mm以下であるとよい。また最大溝幅寸法W1は、0.05mm以上0.16mm以下であるとさらによい。また塗料排出領域4a(塗料フィーダ4)の最大外径寸法Dに対する、周上溝40におけるフィーダ周方向の最大溝幅寸法W1の比率は2.5%以上9.2%以下、好ましくは、2.5%以上8.2%以下であるとよい。さらに塗料排出領域4aの最大外径寸法Dに対する、周上溝40におけるフィーダ径方向の最大深さ寸法(第一の溝41の最大深さ寸法)L1は25%以上40%以下であるとよい。
また、塗料排出領域4aにおける軸方向に直交する断面において、周上溝40が占める占有面積の比率が5%以上であるとよく、10%以上であるとさらによく、20%以上であるとさらによい。
【0040】
さらに塗料排出領域4aの外周面の表面積に対する、周上溝40が塗料排出領域4aの外周面へ開口する面積に比率が30%以上であるとよく、50%以上であるとさらによい。 また、図4に示すように各々の周上溝40は、フィーダ径方向にフィーダ周方向の溝幅寸法が変化している。本実施形態では、フィーダ径方向の内側の端部から外側の端部に向かって溝幅寸法が漸次拡大した後に漸次減少し、再び拡大している。よって本実施形態の周上溝40では、最小溝幅寸法W1sを有する部分が最大溝幅寸法W1を有する部分よりもフィーダ径方向の外側に位置している。なお図4の例のようにフィーダ径方向の外側の端部の開口位置で溝幅寸法が拡大していることで、この開口位置の溝幅寸法が最大溝幅寸法W1よりも大きくなっていてもよい。このため図4の例における最大溝幅寸法W1は、周上溝40のフィーダ径方向への開口位置を除く位置での溝幅寸法の最大値を示す。最小溝幅寸法W1sについても0.05mm以上0.18mm以下であるとよく、0.05mm以上0.16mm以下であるとさらによい。
【0041】
(塗料タンク)
図1に戻って塗料タンク3は、塗料フィーダ4の後端側の端部から、後端側に延びて設けられている。
塗料タンク3は、軸方向に延びる円筒状をなす外筒部30と、外筒部30の後端側を閉塞する尾栓39とを有している。外筒部30、尾栓39、および後述する圧力変動緩衝部材5によって囲まれる空間が塗料を収容する塗料収容空間となっている。塗料収容空間には、塗料Pとして液体塗料や、固形物を含有した液体塗料が収容されている。液体塗料は、例えば筆記具やアイライナーに用いられる液体インク等である。また固形物は液体塗料よりも比重が高いものであって、例えばチタンやアルミニウム等の金属粉体や、金、銀、アルミニウム、スズなどを蒸着等で薄膜にしたラメや、ガラスビーズ等の無機物等があげられる。固形物を含む塗料Pの粘度は、例えば4mPa・s以上17mPa・s以下程度である。
【0042】
塗料タンク3内の塗料収容空間内には撹拌部材Mが収容されている。直液式ペン型アイライナー1の全体を軸方向に揺らすことで撹拌部材Mによって塗料タンク3内の塗料Pを撹拌可能となっている。なお撹拌部材Mの形状は限定されないが、例えば球体形状や、円柱状や、立方体または直方体等の多面体形状等をなしていてもよい。また塗料Pの種類によっては、撹拌部材Mは必ずしも設けなくともよい。
【0043】
外筒部30は、塗料収容空間を形成する空間形成領域30aと、空間形成領域30aからさらに前端側に延びるフィーダ収容領域30bとを有している。フィーダ収容領域30bは塗料フィーダ4のフィーダ径方向の外側に配置されてフィーダ径方向から見て塗料フィーダ4に重なる位置に設けられて塗料フィーダ4を覆っている。またフィーダ収容領域30bは、軸方向の中途の位置から前端側に向かって外径が漸次小さくなるテーパ形状をなしている。図2に示すように、フィーダ収容領域30bにおける前端側の端部は、塗布部材2に対してフィーダ径方向の外側に配置されてフィーダ径方向から見て塗布部材2と重なる位置に設けられて塗布部材2を覆っている。
【0044】
さらに外筒部30の前端側の端部の内面には、軸方向に後端側を向く軸線Oを中心とした環状をなす第一段差面31と、第一段差面31よりも後端側に配置されて軸線Oを中心とした環状をなす第二段差面32とが軸方向に間隔をあけて形成されている。これにより外筒部30におけるフィーダ収容領域30bには、外筒部30の内周面からフィーダ径方向の外側に軸線Oを中心として環状に凹む第一凹部33と、第一凹部33よりも後端側に配置されて軸線Oを中心として環状に凹む第二凹部34とが形成されている。よって外筒部30の内径は、前端側に向かって段階的に小さくなっている。また外筒部30には、第一凹部33に連通するとともに軸方向に延び、外筒部30の前端側の端面に開口する空気流通溝30xがフィーダ周方向の一部に形成されている。空気流通溝30x、第一凹部33、および第二凹部34を介して空気が後述の緩衝空間Kの内外で交換されるようになっている。また外筒部30におけるフィーダ収容領域30bには、第二段差面32よりも後端側となる軸方向の中途の位置で、フィーダ径方向の外側に環状に突出する外筒フランジ35が設けられている(図1参照)。
【0045】
さらに外筒部30と塗布部材2との間には内筒部36が設けられている。内筒部36は軸方向に延びるとともに固着層20および外筒部30に係合している。内筒部36は塗布部材2の後端側の端部をフィーダ径方向の外側から押さえ込むようにして覆っている。具体的には、内筒部36の外周面には軸方向の前端側を向く軸線Oを中心とした環状をなす外側段差面36aが形成されている。この外側段差面36aによって内筒部36の外周面には、フィーダ径方向の外側に突出する軸線Oを中心とした環状をなす外側凸部37が形成されている。よって内筒部36の外径は、前端側に比べて後端側で大きくなっている。
【0046】
内筒部36の外側凸部37が外筒部30の第一凹部33内に配置され、内筒部36の外側段差面36aが軸方向に外筒部30の第一段差面31に対向するようにして内筒部36が配置されている。よって内筒部36の外側段差面36aと外筒部30の第一段差面31とが係合し、内筒部36が外筒部30に係合している。さらに内筒部36の内周面には外側段差面36aよりも後端側に配置されて後端側を向く軸線Oを中心とした環状をなす内側段差面36bが形成されている。この内側段差面36bによって内筒部36の内周面には、フィーダ径方向の外側に凹む軸線Oを中心とした環状をなす内側凹部38が形成されている。内側凹部38内には固着層20が配置されて内筒部36と固着層20とが係合し、内筒部36を介して外筒部30が塗布部材2を支持している。
【0047】
(アウターケース)
アウターケース6は、外筒部30の外筒フランジ35に対して後端側から軸方向に当接するとともに、外筒フランジ35よりも後端側で外筒部30をフィーダ径方向の外側から覆う。すなわちアウターケース6は、外筒部30を挿入可能に軸線Oを中心として軸方向に延びる有底の円筒状をなしている。アウターケース6に対して外筒部30が嵌合して、アウターケース6と外筒部30とが固定されている。アウターケース6の内側には、アウターケース6の底面と塗料タンク3における尾栓39とで挟まれる領域に空間S2が形成されている(図1参照)。
【0048】
(圧力変動緩衝部材)
図5に示すように圧力変動緩衝部材5は、フィーダ保持筒50と、フィーダ保持筒50よりもフィーダ径方向の外側でフィーダ保持筒50と外筒部30の内周面との間に緩衝空間Kを形成する緩衝機構51とを有している。圧力変動緩衝部材5は合成樹脂によって形成されている。塗料タンク3中の塗料Pが水性塗料である場合、合成樹脂としてはABS樹脂、AS樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、スチレン樹脂、POM樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、変性ポリフェニレンエーテル等を使用可能である。また塗料タンク3中の塗料Pが油性塗料(特にアルコールを主溶剤とする塗料)である場合、合成樹脂としてはPE樹脂、PP樹脂、POM樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、ポリアミド等を使用可能である。
【0049】
(フィーダ保持筒)
フィーダ保持筒50は、軸方向に延びている。フィーダ保持筒50は、軸線Oを中心とした円筒状をなして塗料フィーダ4が挿通された本体筒部52と、本体筒部52の後端側に本体筒部52と一体に設けられた延出部53とを有している。
【0050】
本体筒部52には塗料フィーダ4が嵌合していることで、本体筒部52の内周面には塗料フィーダ4の周上溝40がフィーダ径方向に対向している。また、本体筒部52の内周面には塗料フィーダ4の突出部43(図3および図4参照)におけるフィーダ径方向の最外端が線接触している。突出部43のフィーダ周方向の幅寸法W2(図3参照)は非常に小さく、本体筒部52に塗料フィーダ4が嵌合していることで、本体筒部52の内周面によって突出部43が押されて変形し、本体筒部52と塗料フィーダ4との間には非常に微小な隙間(不図示)が形成されている。この微小な隙間によって、フィーダ周方向に隣接する周上溝40同士が連通する空間が、本体筒部52と塗料フィーダ4との間に存在している。
【0051】
また、本体筒部52の後端側の端部には、軸方向に後端側を向く第一段差面52a、および軸方向に後端側を向くとともに第一段差面52aよりも後端側に配置された第二段差面52bが軸方向に間隔をあけて形成されている。これにより、本体筒部52の内周面から径方向外側に環状に凹む第一環状凹部54と、第一環状凹部54より後端側で第一環状凹部54よりもさらにフィーダ径方向の外側に凹む第二環状凹部55とが本体筒部52に形成されている。この第一環状凹部54はフィーダ周方向の一部で本体筒部52をフィーダ径方向に貫通し、後述する第一緩衝空間K1に開口していることで、第一緩衝空間K1内と塗料収容空間との間で空気が流通可能な空気流通孔として機能する。
【0052】
よって本体筒部52の後端側の端部では、後端側に向かって本体筒部52の内径が段階的に拡径している。また本体筒部52の外周面には、第一環状凹部54とは軸方向の前端側に離れた位置で本体筒部52の内外を貫通するつなぎ流路Fがフィーダ周方向の一部で、軸方向に間隔をあけて複数設けられている。各々のつなぎ流路Fは軸方向にのびるスリット状をなしている。つなぎ流路Fの数量は特に限定されるものではないが、少なくとも後述する第一緩衝空間K1に連通するように一か所、および第二緩衝空間K2に連通するように一か所につなぎ流路Fが設けられていればよい。また本体筒部52は、後述する第一緩衝空間K1および第二緩衝空間K2に対してフィーダ径方向の内側の壁部を形成している。そしてつなぎ流路Fによって、後述する第一緩衝空間K1および第二緩衝空間K2と、周上溝40とが連通されている。
【0053】
延出部53は、本体筒部52の内径を後端側に向かって拡径するように延びる軸線Oを中心とした円筒状をなしている。具体的には延出部53は、本体筒部52の第二環状凹部55の内面と面一の内面を有して第二環状凹部55と同じ内径のまま後端側に延びた後に、内径を拡径するように屈曲または湾曲して後端側に延びている。そして延出部53は後端側の端部で外筒部30の内周面に接触している。
【0054】
本体筒部52における第一環状凹部54および第二環状凹部55と、延出部53とが塗料タンク3の前端側の壁を形成し、塗料収容空間を画定している。よって第一環状凹部54内、第二環状凹部55内、および延出部53内には塗料Pが入りこんでいる。そして延出部53の内側に塗料フィーダ4における塗料案内領域4bの後端側の端部が配置されている。
【0055】
(緩衝機構)
緩衝機構51は、フィーダ保持筒50と一体に形成されている。緩衝機構51は、本体筒部52における軸方向の中途位置で、本体筒部52からフィーダ径方向の外側に向けて軸線Oを中心として環状に突出する仕切部材56と、仕切部材56よりも後端側で本体筒部52の外周面に形成された第一凸部材57と、仕切部材56よりも前端側で本体筒部52の外周面に形成された第二凸部材58とを有している。
【0056】
仕切部材56は、本体筒部52からフィーダ径方向の外側に突出して外筒部30の内面に接触している。これにより仕切部材56は、本体筒部52と外筒部30との間の空間、すなわち緩衝空間Kを軸方向に二つに仕切って、後端側の第一緩衝空間K1、および前端側の第二緩衝空間K2の壁部を形成している。
【0057】
第一凸部材57は、軸線Oを中心として円環状をなして本体筒部52からフィーダ径方向の外側に突出する板状をなす部材である。第一凸部材57は、本体筒部52と外筒部30との間に第一緩衝空間K1を形成している。第一凸部材57は、軸方向に間隔をあけて複数設けられている。第一凸部材57は、外筒部30の内周面に向かって延びている。軸方向に隣接する第一凸部材57同士の間には第一周溝57aが形成されている。
【0058】
図6(a)に示すように、各々の第一凸部材57には、第一凸部材57の外周面からフィーダ径方向の内側に凹むとともに第一凸部材57を軸方向に貫く第一空気用溝57bと第一塗料用溝57cとが設けられている。各々の第一凸部材57に設けられた第一塗料用溝57cは互いに軸方向に並んでいる。第一周溝57aおよび第一塗料用溝57cの溝幅寸法(フィーダ周方向の幅寸法)は、毛管力によって塗料Pが浸入可能な寸法となっている。
【0059】
また第一塗料用溝57cは、本体筒部52のつなぎ流路Fに連通している。つなぎ流路Fを介して第一緩衝空間K1(図5参照)と、本体筒部52に挿通された塗料フィーダ4の周上溝40との間で塗料Pの流通が可能になっている。
【0060】
各々の第一凸部材57に設けられた第一空気用溝57bは互いに軸方向に並んでいる。
第一空気用溝57bは、第一塗料用溝57cに対してフィーダ周方向に反対側(180度ずれた位置)に配置されているとよい。
【0061】
第二凸部材58は、第一凸部材57と同様に軸線Oを中心として円環状をなして本体筒部52からフィーダ径方向の外側に突出する板状をなす部材である。第二凸部材58は、本体筒部52と外筒部30との間に第二緩衝空間K2を形成している。第二凸部材58は、軸方向に間隔をあけて複数設けられている。第二凸部材58は、外筒部30の内周面に向かって延びている。軸方向に隣接する第二凸部材58同士に間には第二周溝58aが形成されている。
【0062】
図6(b)に示すように、各々の第二凸部材58には、第二凸部材58の外周面からフィーダ径方向の内側に凹むとともに第一凸部材57を軸方向に貫く第二塗料用溝58cが設けられている。各々の第二凸部材58に設けられた第二塗料用溝58cは互いに軸方向に並んでいる。第二周溝58aおよび第二塗料用溝58cの溝幅寸法(フィーダ周方向の幅寸法)は、毛管力によって塗料Pが浸入可能な寸法となっている。
【0063】
第二塗料用溝58cと第一塗料用溝57cとの間には仕切部材56が配置されている。言い換えれば、第二塗料用溝58cは第一塗料用溝57cと軸方向に離れた位置に配置されている。
【0064】
また第二凸部材58の先端面(フィーダ径方向の最外端面)と外筒部30の内周面との間には隙間が形成されている。この隙間は第二緩衝空間K2における空気流通路として機能する。なお、各々の第二凸部材58には、第一凸部材57と同様に空気用溝(不図示)が設けられていてもよい。
【0065】
また第二塗料用溝58cは、本体筒部52のつなぎ流路Fに連通している。つなぎ流路Fを介して第二緩衝空間K2と、本体筒部52に挿通された塗料フィーダ4の周上溝40との間で塗料Pの流通が可能になっている。
【0066】
(作用効果)
次に、上記直液式ペン型アイライナー1の作用効果について説明する。
以上説明した本実施形態の直液式ペン型アイライナー1によれば、塗布部材2の穴部2a内で周上溝40が穴部2aの内周面に対向している。このため、穴部2a内で穴部2aの内周面に向かって、周上溝40内からフィーダ径方向の外側に向けて塗料Pを染み出させることが可能となる。この結果、塗料フィーダ4における塗料案内領域4bによって前端側から周上溝40内を案内された塗料Pを、塗料フィーダ4における塗料排出領域4aから塗布部材2に向けて拡散させ、塗布部材2に円滑に塗料Pを流入させることが可能となる。したがって塗料Pに固形物が含まれていたとしても、すなわち塗料Pの種類によらず、周上溝40によって塗料Pを塗布部材2へ円滑に案内して、塗布部材2から円滑に吐出することが可能となる。
【0067】
また、塗料フィーダ4における周上溝40は、塗料排出領域4aと塗料案内領域4bとの間にわたって形成され、塗布部材2の穴部2aと塗料タンク3の塗料収容空間とを連通している。このため、塗料Pの流通が軸方向の途中で遮られることない。よって、仮に塗料Pに固形物が含まれていたとしても、周上溝40が毛管力によって塗料収容空間から塗料Pを吸い上げた後、固形物を塗料フィーダ4の途中で詰まらせることなく、塗料Pを塗布部材2へ流入させることが可能となる。よって、塗料の種類によらず、円滑に塗料Pを塗布部材2に向けて案内できる。
【0068】
また、周上溝40が塗布部材2の穴部2aと塗料タンク3の塗料収容空間とを連通しているため、撹拌部材Mによる塗料Pの撹拌の効果が塗布部材2にまで伝達し易くなり、塗料Pの流動性を向上させ、円滑に塗料Pを流通させることができる。
【0069】
また、周上溝40として第一の溝41および第二の溝42が形成されている。このため、一つ一つの溝41、42におけるフィーダ周方向の溝幅寸法を小さくすることができる。よって周上溝40での毛管力を発生させ易くすることができ、塗料Pを効果的に塗布部材2に向けて流通させることができる。第一の溝41同士の間に第二の溝42を設けることで塗料フィーダ4における溝40の占有面積を最大化することができ、円滑に塗料Pを案内することができる。
【0070】
また本実施形態では、塗料排出領域4aの最大外径寸法Dに対する第一の溝41の最大深さ寸法L1を25%以上40%以下とすること、または、塗料排出領域4aにおける軸方向に直交する断面において周上溝40が占める占有面積の比率を5%以上とすることで、塗料フィーダ4を塗料Pの流通に最適な形状とすることができる。
【0071】
また各々の周上溝40における最大溝幅寸法W1および最小溝幅寸法W2を0.05mm以上0.18mm以下、好ましくは0.16mm以下とすることで、毛管力を十分に発揮させるとともに、固形物を周上溝40の途中で詰まらせることなく円滑に流通させることができる。また、塗料Pが一気に前端側に向けて流通してしまい塗料フィーダ4内に空気が入り込む現象(いわゆる「インク下がり」)が生じてしまうことを回避できるとともに、穴部2aの空間S1にインクが滞留してしまうことも回避できる。
【0072】
また、本実施形態では周上溝40の溝幅寸法がフィーダ径方向に変化する。したがって溝幅が比較的大きい領域では固形物を流通させ易くできるとともに、溝幅が比較的小さい領域では毛管力による塗料Pの吸い上げを促進させることができる。
【0073】
さらに、圧力変動緩衝部材5における本体筒部52には、周上溝40に連通するつなぎ流路Fが形成されている。周上溝40が形成されていることで塗料Pが圧力変動緩衝部材5と塗料フィーダ4との間により多く存在するが、つなぎ流路Fによって緩衝空間Kへの塗料Pの入りを向上させて、塗料Pの漏れを回避できる。特に第一環状凹部54とは別につなぎ流路Fが設けられていることで、空気は第一環状凹部54によって緩衝空間Kと塗料収容空間との間で移動させられ、塗料Pはつなぎ流路Fによって緩衝空間Kと周上溝40との間で移動させられることになり、塗料Pの漏れを効果的に抑制できる。
【0074】
なお上記実施形態では、塗料フィーダ4の外周面にはフィーダ周方向に隣接する周上溝40同士を接続する横溝(不図示)がさらに設けられていてもよい。すなわちこのような横溝は周上溝40に交差してフィーダ周方向に延びている。このような横溝によって、周上溝40同士での塗料Pの受け渡しが可能となり、さらに円滑に前端側に向かって塗料Pを流通させることが可能となる。
【0075】
〔第二実施形態〕
次に図7から図9を参照して本発明の第二実施形態の直液式ペン型アイライナー1Aについて説明する。第二実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図7に示すように第二実施形態では、塗料フィーダ7および圧力変動緩衝部材8が第一実施形態のものと異なっている。
【0076】
(塗料フィーダ)
図8に示すように、塗料フィーダ7における塗料排出領域7aは、軸方向に延びる軸線Oを中心とした円筒状をなす筒状体70と、筒状体70の内部に配置された排出側中継芯体71とを備えている。
筒状体70は第一実施形態の塗料排出領域4aと同様に樹脂製である。筒状体70は軸方向の中途位置から前端側に向けて漸次縮径するテーパ形状をなしている。筒状体70の外径は、塗布部材2の穴部2aの内径よりも小さくなっており、筒状体70の外周面と穴部2aの内周面との間には塗料Pが流通可能な空間(クリアランス)が形成されている。
なお、塗布部材2がブラシである場合には、筒状体70の外周面と穴部2aの内周面との間に必ずしも空間(クリアランス)が形成されてなくともよい。
【0077】
また図9(a)に示すように複数の周上溝40(第一の溝41および第二の溝42)が筒状体70の外周面に形成されている。よって周上溝40は穴部2aの内周面に対向している。さらに周上溝40のうちの第一の溝41のみが、筒状体70をフィーダ径方向に貫通して後述する排出側中継芯体71の外周面に向けて開口している。また周上溝40は、図9(a)から図9(c)に示すように筒状体70の後端側の端部から筒状体70がテーパ形状となる領域まで延び、筒状体70の前端側の端部には周上溝40は形成されていない。
【0078】
排出側中継芯体71は、軸線Oを中心とした丸棒状をなしている。排出側中継芯体71は例えばポリエステル繊維やナイロン繊維やアクリル繊維を収束して構成されている。排出側中継芯体71は、筒状体70の内周面の形状に沿って、軸方向の中途位置から前端側に向かって外径が漸次小さくなるテーパ形状をなしている。また排出側中継芯体71は、筒状体70から前端側に突出して、テーパ状をなす穴部2aの内周面に沿っている。排出側中継芯体71と穴部2aの内周面との間には空間S1が形成されている。
【0079】
塗料フィーダ7における塗料案内領域7bは、筒状体70と一体に形成された延出筒体72と、排出側中継芯体71と一体に形成された案内側中継芯体73とを有している。
延出筒体72は、筒状体70の後端側に接続されている。延出筒体72は筒状体70と一体に形成されているため筒状体70と同じ樹脂製の部材である、延出筒体72は筒状体70と同径に形成されている。周上溝40は筒状体70と延出筒体72との間にわたって形成され、延出筒体72の後端側の端面に開口している。
【0080】
案内側中継芯体73は、排出側中継芯体71の後端側に接続されて、延出筒体72に挿通されて棒状をなしている。案内側中継芯体73は排出側中継芯体71と一体に形成され
ているため、排出側中継芯体71と同じ繊維を収束して構成されている。案内側中継芯体7は、排出側中継芯体71と同径で後端側に延びた後にフィーダ径方向に対して外径が拡径する。よって案内側中継芯体73には軸方向の中途位置で軸線Oを中心とした円環状をなす環状端面(当接面)73aが形成されている。環状端面73aは固着層20よりも後端側の位置に配置されている。環状端面73aには延出筒体72が前端側から当接している。この環状端面73aよりも後端側では、案内側中継芯体73が延出筒体72よりもフィーダ径方向の外側に突出する。環状端面73aには周上溝40の開口が対向している。
【0081】
また排出側中継芯体71は圧力変動緩衝部材8に挿通されて遊嵌されていることで、圧力変動緩衝部材8の内周面と案内側中継芯体73の外周面との境界には、塗料Pを案内可能な流通空間S3が形成されている。環状端面73aが固着層20よりも後端側に配置されていることで流通空間S3は、周上溝40と塗料タンク3の塗料収容空間(図7参照)とを連通しているとともに、穴部2aと塗料タンク3の塗料収容空間とを連通している。
案内側中継芯体73の後端側の端部は、塗料タンク3の塗料収容空間内に配置されている(図7参照)。
【0082】
ここで遊嵌とは、所定の力で塗料フィーダ7を押すと圧力変動緩衝部材8に対して塗料フィーダ7が移動可能となるように、塗料フィーダ7が圧力変動緩衝部材8に挿通されている状態を示している。
【0083】
具体的には、例えば輪郭投影によって計測した塗料フィーダ7における塗料案内領域7bの最大外径寸法をαとし、圧力変動緩衝部材8の内径寸法をβと定義した場合に、α<β+0.04mmを満たすとよい。α<βを満たすとさらによい。またβ-0.25mm≦αであるとさらによい。
【0084】
さらに、塗料案内領域7bは、圧力変動緩衝部材に0.5〔N〕以下の力で抵抗なく挿入できる状態で圧力変動緩衝部材8に支持されていてもよい。
【0085】
(圧力変動緩衝部材)
図7に戻って、本実施形態の圧力変動緩衝部材8では、延出部83の形状が第一実施形態とは異なっている。具体的には、延出部83の後端側の端部にフィーダ支持部84が設けられている。フィーダ支持部84は、フィーダ周方向の一部で延出部83の内周面からフィーダ径方向の内側に向かって、すなわち軸線Oに向かって突出するように設けられている。フィーダ支持部84は、塗料タンク3の塗料収容空間内に配置されている。
【0086】
フィーダ支持部84には軸方向に延びる貫通孔84aが形成されている。貫通孔84aには塗料案内領域7bの後端側の端部が嵌入されている。フィーダ支持部84は、圧力変動緩衝部材8の内周面と塗料案内領域7bの外周面との間に、上記の流通空間S3が形成された状態で塗料案内領域7bを支持している。
【0087】
ここでフィーダ支持部84よりも前端側で延出部83の内側では、塗料案内領域7bの外周面の一部が塗料Pに接触する接触領域CAとなっている。言い換えると、フィーダ支持部84は、この接触領域CAよりも後端側に設けられている。
【0088】
なお本実施形態では、塗料タンク3の尾栓90は塗料タンク3の外周壁および底壁を形成するように軸方向に延びる有底の円筒状をなしている。外筒部30と尾栓90とは、塗料収容空間の前端側の端部で係合して塗料タンク3の外周壁を形成しているが、第一実施形態と同様の尾栓39を設けてもよい。
【0089】
(作用効果)
次に、上記直液式ペン型アイライナー1Aの作用効果について説明する。
以上説明した本実施形態の直液式ペン型アイライナー1Aによれば、塗布部材2の穴部2a内で周上溝40
が穴部2aの内周面に対向している。このため、穴部2a内で穴部2aの内周面に向かって、周上溝40内からフィーダ径方向の外側に向けて塗料Pを染み出させることが可能となる。この結果、塗料フィーダ7における塗料案内領域7bによって前端側から周上溝40内を案内された塗料Pを、塗料フィーダ7における塗料排出領域7aから塗布部材2に向けて拡散させ、塗布部材2に円滑に塗料Pを流入させることが可能となる。したがって塗料Pに固形物が含まれていたとしても、すなわち塗料Pの種類によらず、周上溝40によって塗料Pを塗布部材2へ円滑に案内して、塗布部材2から円滑に吐出することが可能となる。
【0090】
さらに本実施形態では、塗料案内領域7bの環状端面73aに周上溝40の開口が対向
している。このため、塗料タンク3の塗料収容空間内の塗料Pが塗料案内領域7bの案内
側中継芯体73内に毛管力によって吸い上げられた後、周上溝40に流入することが可能
となる。
【0091】
さらに、塗料案内領域7bの案内側中継芯体73は圧力変動緩衝部材8に遊嵌されてい
る。このため、塗料案内領域7bと圧力変動緩衝部材8との間には塗料Pを案内可能な流
通空間S3が形成されている。またこの流通空間S3は穴部2a内に連通している。した
がって、塗料Pが固形物を含有している場合には、固形物とともに塗料Pが塗料収容空間
からこの流通空間S3を流通して穴部2a内に流入可能となっている。このため、塗料Pが固形物を含有している場合であっても、固形物を塗料フィーダ7の途中で詰まらせることなく、塗料Pを塗布部材2へ流入させることが可能となる。よって、塗料Pの種類によらず、円滑に塗料Pを塗布部材2に向けて案内できる。
【0092】
さらに、周上溝40のうちの第一の溝41は、塗料排出領域7aをフィーダ径方向に貫通して排出側中継芯体71に向けて開口している。よって、塗料案内領域7bの案内側中継芯体73から排出側中継芯体71に流入した塗料Pも、第一の溝41を通じて塗布部材2に向けてフィーダ径方向の外側に拡散させ、塗料Pを塗布部材2に流入させることが可能となる。
【0093】
また周上溝40は軸方向に延びている。よって穴部2aに対して軸方向に広い範囲で周上溝40が対向し、より多くの塗料Pを塗布部材2に向けて拡散させ、塗料Pを塗布部材2に円滑に流入させることが可能となる。さらに、周上溝40が軸方向に延びて流通空間S3から軸方向に連続するため、塗料タンク3の塗料収容空間から軸方向に真っすぐに塗料Pを案内することができ、円滑に塗料Pを塗布部材2へ流入させることができる。
【0094】
また塗料排出領域7aの排出側中継芯体71は、筒状体70から突出して筒状体70の外に配置されて穴部2aの内面の形状に沿っている。したがって、排出側中継芯体71の前端側の端部からも穴部2aの内周面に向かってフィーダ径方向の外側に塗料Pを染み出させることが可能となり、塗料Pを塗料タンク3の塗料収容空間から塗布部材2に円滑に案内することができる。
【0095】
なお本実施形態では、塗料Pが固形物を含まない場合には、必ずしも塗料案内領域7bが圧力変動緩衝部材8に遊嵌されていなくともよく、嵌合していてもよい。すなわち、少なくとも周上溝40が塗料排出領域7aをフィーダ径方向に貫通して形成されていれば、塗料案内領域7bの内部に染み込んだ塗料Pを、周上溝40を通じて塗布部材2に向けて拡散させることができるので、上記の流通空間S3が形成されていなくともよい。一方、塗料Pが固形物を含む場合には流通空間S3が形成されていることが好ましい。また、周上溝40は例えば周方向に延びる円環状をなす横溝であってもよいし、軸線O回りに螺旋状に形成されてもよく、少なくとも周上溝40が塗料排出領域7aをフィーダ径方向に貫通して形成されていればよい。
【0096】
(変形例)
なお、図10に示すように、上記の第二実施形態の塗料フィーダ7Xでは、樹脂製の塗料排出領域7Xa、および中継芯である塗料案内領域7Xbがともに軸方向に延びる丸棒状をなしてもよい。すなわち塗料排出領域7Xaが樹脂製の棒状態であり、塗料案内領域7Xbが上記繊維を収束して構成された中継芯体であってもよい。そして、塗料案内領域7Xbにおける前端側の端面が塗料排出領域7Xaの後端側の端面(当接面)71Xaに当接していてもよい。周上溝40は当接面71Xaに向けて開口している。この場合においても、塗料Pは塗料案内領域7Xbから塗料排出領域7Xaの周上溝40内に流入し、周上溝40内からフィーダ径方向の外側に塗料Pを染み出させ、塗料Pを塗布部材2へ拡散させることが可能となる。またこの場合、塗料案内領域7Xbは圧力変動緩衝部材8に遊嵌されていてもよいし、嵌合していてもよい。
【0097】
〔第三実施形態〕
次に図11および図12を参照して本発明の第三実施形態の直液式ペン型アイライナー1Bについて説明する。第三実施形態では、第一実施形態および第二実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図11に示すように第三実施形態では、塗料フィーダ104が上記実施形態のものと異なっている。
【0098】
(塗料フィーダ)
図8に示すように塗料フィーダ104は、上記の繊維を収束して構成された中継芯体であって、圧力変動緩衝部材8に挿通されて遊嵌されている。ここで遊嵌とは、第二実施形態で説明したように、所定の力で塗料フィーダ104を押圧すると圧力変動緩衝部材8に対して塗料フィーダ104が移動するように塗料フィーダ104が圧力変動緩衝部材8に挿通されている状態を示す。そして第二実施形態と同様に圧力変動緩衝部材8のフィーダ支持部84によって、圧力変動緩衝部材8の内周面と塗料フィーダ104の外周面との境界に、穴部2aと塗料タンク3の塗料収容空間とを連通するとともに、塗料Pを案内可能な流通空間S3が形成されている。本実施形態では塗料フィーダ104は、一部が穴部2a内に配置される小径部105と、小径部105よりも後端側で小径部105よりも外径が大きく、かつ圧力変動緩衝部材8に挿通される大径部106とを有している。小径部105と大径部106の境界は、固着層20よりも後端側に位置している。
【0099】
ここで第二実施形態と同様に、塗料フィーダ104の外周面と穴部2aの内周面との間
には塗料Pが流通可能な空間(クリアランス)が形成されている。なお、塗布部材2がブラシである場合には、塗料フィーダ104の外周面と穴部2aの内周面との間に必ずしも空間(クリアランス)が形成されてなくともよい。
【0100】
(作用効果)
次に、上記直液式ペン型アイライナーの作用効果について説明する。
以上説明した本実施形態の直液式ペン型アイライナーによれば、塗料フィーダ104が圧力変動緩衝部材8に遊嵌され、圧力変動緩衝部材8の内周面と塗料フィーダ104の外周面との間に塗料Pを案内可能な流通空間S3が形成されている。この流通空間S3は塗料タンク3の塗料収容空間と穴部2aとを連通している。したがって、塗料が固形物を含む場合であっても、塗料収容空間からこの流通空間S3を流通して穴部2a内に流入可能となっている。このため、塗料中の固形物が塗料フィーダ104の途中で詰まることがなく、塗料Pを塗布部材2へ流入させることが可能となる。よって、塗料Pの種類によらず、円滑に塗料を塗布部材2に向けて案内して塗布部材2から吐出することができる。
【0101】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、塗布部材2、塗料タンク3、塗料フィーダ4(7、7X、104)、圧力変動緩衝部材5(8)、およびアウターケース6は必ずしも同軸に設けられていなくともよい
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明の直液式ペン型アイライナーは、円滑に塗料を案内して吐出可能とする。
【符号の説明】
【0103】
1、1A、1B 直液式ペン型アイライナー
2 塗布部材
2a 穴部
3 塗料タンク
4、7、7X、104 塗料フィーダ
4a、7a、7Xa 塗料排出領域
4b、7b、7Xb 塗料案内領域
5、8 圧力変動緩衝部材
40 周上溝
41 第一の溝
42 第二の溝
P 塗料
S3 流通空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12