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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】製袋機および横ピロー包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/14 20060101AFI20220707BHJP
   B65B 41/16 20060101ALI20220707BHJP
   B65B 35/26 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
B65B9/14
B65B41/16 501Z
B65B35/26
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020049731
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021147090
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000110125
【氏名又は名称】トキワ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】井倉 一
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-064610(JP,A)
【文献】実開昭59-168303(JP,U)
【文献】特開昭60-228208(JP,A)
【文献】特開2015-093731(JP,A)
【文献】特開2013-112354(JP,A)
【文献】特開2013-154926(JP,A)
【文献】特許第2756669(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/14
B65B 41/16
B65B 35/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側に配置され物品を載置する搬送面と、搬送面上の物品を横方向に押して物品送り部の排出側端まで送る押圧体とを有する物品送り部と、下流側に配置され物品を上から抑える抑え部と、上方に配置された帯状資材供給部とを有する横ピロー包装機に用いられ、前記物品送り部と前記抑え部との間に配置される製袋機であって、
前記物品送り部で送られてきた物品の周囲を覆うように前記帯状資材供給部から供給された帯状資材を筒状に形成するとともに、前記筒状の前記帯状資材における物品の上方に位置する上部を製袋する天井部材を備えた製袋機本体を備え、
前記天井部材は、前記物品送り部の前記排出側端に対して上下方向で重なるように配置され、
該製袋機本体の上流側入口から、前記抑え部の上流側入口までの何れかの領域で、筒状に形成された前記帯状資材の上部のうち、少なくとも前記排出側端の上方に対応する部分を前記天井部材の方へ持上げる持上げ部材を備えたことを特徴とする製袋機。
【請求項2】
前記持上げ部材は、前記製袋機本体の幅方向において、前記天井部材に沿う形状である請求項1に記載の製袋機。
【請求項3】
前記製袋機本体は断面が矩形であって、前記帯状資材の両側端縁部を重合するためのスリットを備え、
前記持上げ部材は前記製袋機本体の内部にあって、前記製袋機本体の上流側入口から前記スリットまで延長された請求項1または請求項2に記載の製袋機。
【請求項4】
物品を載置する搬送面と、搬送面上の物品を横方向に押して物品送り部の排出側端まで送る押圧体とを有する物品送り部と、
該物品送り部の送り方向の下流側に配置され、前記物品送り部で送られてきた物品の周囲を覆うように帯状資材を筒状に製袋するとともに、筒状の前記帯状資材における物品の上方に位置する上部を製袋する天井部材を備えた製袋機と、
前記製袋機よりも上方に配置され、該製袋機に前記帯状資材を供給する帯状資材供給部と、
前記製袋機の送り方向下流側に配置され、製袋された筒状の前記帯状資材内に配置された前記物品を上から抑える抑え部と、を備え、
前記天井部材は、前記物品送り部の前記排出側端に対して上下方向で重なるように配置され、
前記製袋機における上流側入口から、前記抑え部の上流側入口までの何れかの領域で、前記製袋機から前記抑え部へ送られる前記筒状に製袋された前記帯状資材の上部のうち、少なくとも前記排出側端の上方に対応する部分を上方へ持上げる持上げ手段を備えることを特徴とする横ピロー包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を資材に包んで包装するための製袋機および横ピロー包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、横ピロー包装機が記載されている。横ピロー包装機は、物品搬送供給装置、製袋器(製袋機)、フィルム供給装置、センターシール装置、および抑えベルトを備える。
【0003】
物品搬送供給装置は、搬送面の下方に配置されたスプロケットに掛け渡されたエンドレスチェーンに、所定ピッチ毎に取付けられた複数の押圧フィンガーを備えた構成である。押圧フィンガーは、その先端が搬送面の上方に突出した状態で前進移動し、物品の後面に押圧フィンガーの先端が突き当たると、物品も搬送路上を前進移動する。押圧フィンガーは、下流側の搬出端に至ると自転して倒れ、先端が下を向いた姿勢で公転移動する。
【0004】
物品搬送供給装置に下流側に製袋器が配置され、製袋器は、フィルム供給装置から連続して供給される帯状フィルムを通過させることで、帯状フィルムの両側端縁部どうしを重合(重合)させて、筒状となった筒状フィルムを製袋する。
【0005】
センターシール装置は、重合された帯状フィルムの両側端縁部をその両側から挟み込むとともに回転することで、帯状フィルムに対して所定のテンションを与えつつ引き出し、両側端縁部を加熱するためのバーシーラに、両側端縁部を送る。また、抑えベルトは、筒状フィルム内の物品が上方に持上げられるのを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-182537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、物品には大小さまざまな形態が想定され、抑えベルトの機能としては物品が上方に持上げられるのを抑制するのであるから、特に物品が小さい(高さ方向に小さい)場合では、抑えベルトを搬送面に近くなるように低く配置しなければならない。
【0008】
このように、抑えベルトを低く配置した場合では、製袋機の上面と搬送ベルトの抑え面(下面)との間で、高さ方向での段差ができてしまうことがある。そうすると、フィルム供給装置から供給された帯状フィルムが製袋機の入口と抑えベルトの入口との間で徐々に低くなるように傾斜して通過してしまい、押圧フィンガーの先端が帯状フィルムに干渉してしまう。そして、押圧フィンガーは順次移動されてくるため、帯状フィルムと押圧フィンガーとは、互いに干渉される場合と干渉されない場合が生じ、これにより帯状フィルムが波打って包装不良となる。
【0009】
なお、製袋機の上流側に、押圧フィンガーの代わりとして、ベルト式の物品送り手段が用いられる場合には、傾斜する帯状フィルムが物品に当たり、位置ずれが生じて、包装不良となる。
【0010】
そこで本発明は、包装不良を抑制する製袋機および横ピロー包装機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、物品を、帯状資材を用いて包装する横ピロー包装機に用いられる製袋機であって、上流側に配置され物品を横方向に送る物品送り部と、下流側に配置され物品を上から抑える抑え部との間に配置され、しかも上方に配置された帯状資材供給部の下方に配置されて、該帯状資材供給部から供給された帯状資材を挿通し、その両側端縁部どうしを重合する製袋機であって、天井部材を有した製袋機本体を備え、該製袋機本体の上流側入口から、前記抑え部の上流側入口までの何れかの領域で、前記帯状資材を前記天井部材の方へ持上げる持上げ部材を備えたことを特徴としている。
【0012】
本発明の製袋機の構成によれば、帯状資材供給部から供給された帯状資材が製袋機本体に挿通され、物品が物品送り部から送られて、帯状資材の両側端縁部どうしが重合され、帯状資材を介して物品が上がるのを、抑え部によって抑えられた際に、製袋機本体の上流側入口から、抑え部の上流側入口までの何れかの領域で、帯状資材を天井部材の方へ持上げる持上げ部材を備えたから帯状資材を持上げることができ、帯状資材が物品などに干渉するのを抑制できて、物品に対する包装不良を抑制することができる。
【0013】
本発明の製袋機では、前記持上げ部材は、前記製袋機本体の幅方向において、前記天井部材に沿う形状である構成を採用できる。
【0014】
上記製袋機によれば、持上げ部材は、製袋機本体の幅方向において天井部材に沿う形状であるから、帯状資材を製袋機の天井部材に沿った形状として、帯状資材を確実に製袋しつつ、持上げることができる。
【0015】
本発明の製袋機では、前記製袋機本体は断面が矩形であって、前記帯状資材の両側端縁部を重合するためのスリットを備え、前記持上げ部材は前記製袋機本体の内部にあって、前記製袋機本体の上流側入口から前記スリットまで延長された構成を採用できる。
【0016】
上記製袋機によれば、持上げ手段は製袋機本体の内部にあって、製袋機本体の上流側入口からスリットまで延長されているから、帯状資材を製袋するためのガイドとすることができる。
【0017】
本発明の横ピロー包装機は、物品を横方向に送る物品送り部と、該物品送り部の送り方向の下流側に配置され、帯状資材の両側端縁部どうしを重合して筒状に製袋する製袋機と、前記製袋機よりも上方に配置され、該製袋機に前記帯状資材を供給する帯状資材供給部と、前記製袋機の送り方向下流側に配置され、製袋された筒状の前記帯状資材内に配置された前記物品を上から抑える抑え部と、を備え、前記製袋機における上流側入口から、前記抑え部の上流側入口までの何れかの領域で、前記製袋機から前記抑え部へ送られる前記帯状資材を上方へ持上げる持上げ手段を備えたことを特徴としている。
【0018】
本発明の横ピロー包装機の構成によれば、帯状資材供給部から供給された帯状資材が製袋機に供給され、物品が物品送り部から送られて、帯状資材の両側端縁部どうしが重合され、抑え部によって帯状資材内に配置された物品を上から抑えた際に、製袋機の上流側入口から、抑え部の上流側入口までの何れかの領域で、帯状資材を上方へ持上げる持上げ手段を備えたから帯状資材を持上げることができ、帯状資材が物品などに干渉するのを抑制できて、物品に対する包装不良を抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる製袋機によれば、製袋機本体の上流側入口から抑え部の上流側入口までの何れかの領域で、帯状資材を天井部材の方へ持上げる持上げ部材を備えたから、帯状資材を持上げることができるため、物品に対する包装不良を抑制することができる。
【0020】
本発明にかかる横ピロー包装機によれば、製袋機の上流側側入口から抑え部の上流側入口までの何れかの領域で、帯状資材を上方へ持上げる持上げ手段を備えたから、帯状資材を持上げることができるため、物品に対する包装不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る横ピロー包装機の概略正面図である。
図2】同横ピロー包装機の製袋機において、製袋機本体と持上げ部材との関係を示す断面図である。
図3】同横ピロー包装機の製袋機と押圧体との関係を示す平面図である。
図4】同横ピロー包装機の概略平面図である。
図5】同横ピロー包装機の製袋機本体の断面を表した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る製袋機および横ピロー包装機を、図1ないし図5に基づいて説明する。製袋機1は横ピロー包装機2に備えられておいるため、ここでは、横ピロー包装機2の概要を説明する。
【0023】
図1に示すように、横ピロー包装機2は、物品3を搬送方向において下流側へ向けて案内する物品送り部4と、物品送り部4の排出側に配置された製袋機1と、製袋機1よりも上方に配置され、製袋機1に帯状資材5を供給するための帯状資材供給部6と、製袋機1の下流側に配置された縦シーラ7と、縦シーラ7の下流側に配置された送りコンベヤ(抑え部)8と、送りコンベヤ8の下流側に配置された横シーラ9とを備える。
【0024】
物品送り部4は、その上流側に配置された物品3を一個ずつ捌くようにした分割供給部(図示せず)から、該物品3が一個ずつ搬送されて来る。物品送り部4は、上方に物品3を下流側に送るための搬送面10が配置され、搬送面10の下方に配置された複数のスプロケット11に掛け渡されたローラーチェーンとしてのエンドレスチェーン12と、エンドレスチェーン12に、所定ピッチ毎に取付けられた複数の押圧体(「アタッチメント」とも称する)13を備えた構成である。
【0025】
押圧体13は、縦長の棒状に形成され、本実施形態では、略直方体形状に形成されている。押圧体13は、エンドレスチェーン12に対して所定間隔で配置されており、押圧体13とエンドレスチェーン12とを連繋するリンク機構(符号省略)を備えている。このように押圧体13とエンドレスチェーン12とが連携して押圧体13が無端状に回転し、押圧体13は、搬送面10に出退して、搬送面10に至ると、押圧体13は起立する。
【0026】
押圧体13は、搬送面10の上方に突出した状態で前進移動し、押圧体13が物品3の後面に突き当たると、物品3も搬送面10を前進移動する。押圧体13は、物品送り部4(エンドレスチェーン12)の排出側端12Aに至ると自転して倒れ、倒れた姿勢で上流側に戻り、再び搬送面10の上方に突出した状態となって、公転移動する。
【0027】
製袋機1は、前述したように物品送り部4の排出側(送り方向下流側)に配置されており、製袋機本体(ホーマとも称する)14と、持上げ部材(持上げ手段に相当する)15とを備える。製袋機本体14と持上げ部材15とは、帯状資材供給部6から供給される帯状資材5を筒状に製袋するとともに、帯状資材5の両側端縁部5aどうしを重合する機能を有する。また、製袋機本体14および持上げ部材15は、搬送面10の直上に配置されている。
【0028】
本実施形態では、製袋機1は、その上流側部分が物品送り部4の下流側部分と上下方向で重なり、物品送り部4の排出側端12Aよりも下流側まで延設されている。すなわち、物品送り部4は、製袋機1の内部まで物品3を送り込むことができるように構成されている。
【0029】
図2に示すように、製袋機本体14は天井部材16と、送り方向に対する幅方向両サイドのサイド部材17,17と、底部材18とを備え、送り方向(幅方向)に直交する断面が矩形形状とされる。天井部材16、サイド部材17,17および底部材18は、搬送面10に沿って平行である。
【0030】
天井部材16は、平面視して矩形の平板状とされる。天井部材16は、搬送面10から所定の距離さだけ離間している。そして、図1に示すように、天井部材16の上流側端は、製袋機本体14の上流側入口14aとされて、帯状資材5が製袋機本体14内に挿入される部分である。
【0031】
サイド部材17,17をさらに詳しく説明する。図2に示すように、サイド部材17,17は、製袋機本体14の天井部材16の幅方向両側に垂直に構成されているとともに、図1に示すように、上流側の傾斜面部17Aと、傾斜面部17Aの下流側に一体形成された支持面部17Bとを備える。
【0032】
傾斜面部17Aは板状に形成され、その上流端は、製袋機本体14の上流側入口14aに一致している。傾斜面部17Aの下端は、下流側にむけて下傾斜した下傾斜部19を下面に備えている。
【0033】
支持面部17Bは板状であり、側面視して矩形に形成され、傾斜面部17Aの下流側に一体的に延長されている。
【0034】
底部材18は、サイド部材17,17の支持面部17Bの底に支持されるものであり、各支持面部17Bの幅方向内方に対向して一体的に形成されている。各底部材18は、幅方向で対向する幅方向面部20と、幅方向で対向してスリット21を構成するためのスリット形成面部20Aとを備える。
【0035】
幅方向面部20は、傾斜面部17Aの下傾斜部19の入口部分から下流側に幅方向内向き傾斜した内傾斜部20aを備えて、平面視して三角形状に形成されている。スリット形成面部20Aは平面視して矩形であり、幅方向面部20の下流端に一体的に形成されている。各スリット形成面部20Aの内方どうしは隙間を介して離間されて、帯状資材5の両側端縁部5a(図1参照)どうしを重合するために用いられるスリット21とされる。このスリット21には、幅方向で対向する隙間δ3が形成されている。スリット21の上流側端が、スリット開始点21aとされる。
【0036】
前述したように、製袋機本体14の天井部材16の上流側端は、製袋機本体14の上流側入口14aとされており、天井部材16の下流側端、支持面部17Bの下流側端、スリット形成面部20Aの下流側端が上下方向で一致しており、これら下流側端が、製袋機本体14の下流側出口14bとされる。
【0037】
次に、図1図2に基づいて、持上げ部材15の説明をする。持上げ部材15は、製袋機本体14内に挿通される持上げ部材本体14Aと、製袋機本体14の上流側に延設される延長部22とを備える。持上げ部材本体14Aは、製袋機本体14に所定の隙間を介して挿入される。この持上げ部材本体14Aは、支持天井部材23と支持サイド部材24とを備える。
【0038】
支持天井部材23は板状であって、天井部材16と平行である。支持天井部材23は、製袋機本体14の天井部材16に所定間隔の上隙間27を介して配置されている。支持サイド部材24は板状であって、支持面部17Bと平行である。支持サイド部材24は、製袋機本体14の支持面部17Bに幅隙間28を介して配置されている。また、支持サイド部材24の下端は、製袋機本体14の底部材18に対して下隙間29を介して配置されている。
【0039】
これら上隙間27、幅隙間28、および下隙間29は、帯状資材5(厚み)が充分に入る距離であり、また、製袋機本体14における底部材18のスリット21の間隔も、帯状資材5の両側端縁部5aが入る距離である。
【0040】
そして、物品送り部4の排出側端12Aと、持上げ部材本体14Aの下流側端部が、物品2の搬送方向において同じ位置に設定されている。
【0041】
延長部22は、持上げ部材本体14Aと同様の構成であり、製袋機本体14の上流側に延設されている。延長部22は、持上げ部材15を横ピロー包装機2の他の部分に取付けるために、上面に幅方向に延長された取付部材25が設けられ、ボルト26により他の部位に締結されている(図1図4参照)。なお、延長部材22は、製袋機本体14の上流側入口14aより上流側とされる。
【0042】
製袋機1は、帯状資材供給部6から供給される帯状資材5を通過させる。このとき、持上げ部材15の延長部22をガイドとし、図1に示すように、製袋機本体14の上流側入口14aを入口とするとともに、傾斜面部17Aの下傾斜部19を入口として、スリット21の隙間δ3に、帯状資材5の両側端縁部5aを重合させる。また、製袋機本体14と持上げ部材15との間の上隙間27、幅隙間28および下隙間29に帯状資材5が挿通される。
【0043】
ところで、押圧体13は、物品送り部4の排出側端12Aに至ると自転して倒れる。そして、排出側端12Aは、押圧体13が搬送面10より下方に後退する位置であり、物品3が帯状資材5に載せられて、受渡しされる位置となる。本実施形態では、図3に示すように、排出側端12Aは、スリット21のスリット開始点21aよりも物品3の送り方向長さの半分より短い距離だけ上流側に離れた位置となる。また、前述したように、物品送り部4の排出側端12Aと、持上げ部材本体14Aの下流側端部が同じ位置に設定されている。このため、押圧体13は、スリット開始点21aよりも物品3の送り方向長さの半分より短い距離だけ上流側に離れて、排出側端12Aにおいて、自転して倒れる。
【0044】
図1に戻って、帯状資材供給部6は、製袋機本体14の上方に配置された原反ロール30と、原反ロール30から繰出された帯状資材5に所定のテンションを付与するとともに、帯状資材5を製袋機1へ向けて案内する調整ローラ31とを備えている。また、帯状資材5としては、フィルムであるが、別例としては、フィルムよりも厚い紙等が考えられる。
【0045】
原反ロール30から繰出された帯状資材5は、前述したように、製袋機1の上隙間27、幅隙間28、および下隙間29を通過し、また、製袋機本体14の底部材18のスリット21を通過して、スリット21によって両側端縁部5aが合わされて、帯状資材5は筒状資材5Aとなる。
【0046】
縦シーラ7はセンターシール装置とも称され、帯状資材5において、両側端縁部5aを合わせてシールするものである。縦シーラ7は、搬送面10の下方に配置され、幅方向で一対設けられている。縦シーラ7は、上流側、下流側で配置される一対のピンチローラ33と、ピンチローラ33の間のバーシーラ(縦溶着装置)34とを備える。ピンチローラ33は、両側端縁部5aを所定の力で挟み込んで回転することで、帯状資材5に対してテンションを付与し、帯状資材5に搬送力を付与する。
【0047】
ここで、押圧体13の説明に戻って、押圧体13は、エンドレスチェーン12の排出側端12Aに至ると、自転して上流側へ倒れた姿勢となるが、押圧体13は倒れた姿勢となる時には、図3で示すように、底部材18に対し、物品3を少なくとも半分以上受渡すように構成されている。本実施形態では、押圧体13は、スリット開始点21aよりも物品3の送り方向長さの半分より短い距離だけ上流側に離れているから、物品3の下流側の距離寸法δ1と物品3の上流側の距離寸法δ2は、距離寸法δ1>距離寸法δ2となる。このようにすれば、物品3が底部材18に載せられた帯状資材5に載るため、ピンチローラ33よりも下流側の駆動装置により、物品3が下流側に搬送される。
【0048】
図1に示すように、送りコンベヤ8は、物品3が上方に持上げられるのを抑制するよう構成されている。送りコンベヤ8は、下側送りコンベヤ8Aと、下側送りコンベヤ8Aの上方に配置された上側送りコンベヤ8Bとを備える。
【0049】
下側送りコンベヤ8Aは幅方向に延長されており、搬送面10と同一高さを有する送り面(送りベルト)35を備えて、送り面35は、搬送方向に配置された複数の下側プーリ36によって駆動される。下側送りコンベヤ8Aの送り面35の開始が、送りコンベヤ8の上流側入口35aに相当する。上側送りコンベヤ8Bは幅方向に延長されており、搬送方向に配置された複数の上側プーリ37によって駆動される。
【0050】
上側送りコンベヤ8Bは、物品3に損傷を与えないようにする緩衝材38が巻かれており、物品3の持上げを抑える抑え面3aを備える。上側送りコンベヤ8Bの上側プーリ37は、物品3のサイズ(高さ方向のサイズ)によって上下動が可能に構成されている。
【0051】
本実施形態では、上側送りコンベヤ8Bの抑え面3aが製袋機本体14の天井部材16よりも低い位置にある。具体的には、抑え面3aは、搬送面10から上方に突出した押圧体13の上端よりも低い高さに設定されている。
【0052】
横シーラ9はトップシール装置とも称され、筒状資材5Aを上下に挟んで配置された一対の上側回転軸39、下側回転軸40と、上側回転軸39に取付けられた上側横シーラ41と、下側回転軸40に取付けられた下側横シーラ42とを備える。上側回転軸39と下側回転軸40とは同期して回転して、上側横シーラ41および下側横シーラ42によって、物品3が内装された筒状資材5Aを幅方向で上下に挟んでシールすることで、物品3ごとに個装(ピロー包装)する。
【0053】
上記横ピロー包装機2において、物品3を包装することについての概略を説明する。まず、原反ロール30の帯状資材5を、製袋機1に通過させる。このとき、前述したように、持上げ部材15の延長部22をガイドとして、製袋機本体14と持上げ部材15との間の上隙間27、幅隙間28および下隙間29に帯状資材5を挿通し、帯状資材5の両側端縁部5aを、スリット21によって合わせるようにする。
【0054】
このようにしたうえで、物品送り部4からの押圧体13によって、物品3が帯状資材5内に送られ、縦シーラ7によって両側端縁部5aが溶着され、帯状資材5は筒状資材5Aとなり、筒状資材5Aはピンチローラ33によって送られ、物品3は、送りコンベヤ8によって上方に持上げられるのを抑制されて、横シーラ9により物品3ごとに個装される。
【0055】
そして、物品3(高さ方向の低い物品3)において、上側送りコンベヤ8Bを低く設定しても、物品送り部4の排出側端12Aと送りコンベヤ8の上流側入口35aでは、筒状資材5Aの上面5bが下流側に向けて下斜めになるものの、製袋機本体14の上流側入口14aと排出側端12Aとの間では、上隙間27に挿通される帯状資材5が支持天井部材23に支持されて、製袋機本体14の天井部材16側に持上げられる。このため、筒状資材5Aは、支持天井部材23の下方に位置することはない。したがって、搬送方向に送られてくる押圧体13が排出側端12Aに至り、上流側へ倒れた姿勢となっても、押圧体13と帯状資材5の上面5cとは接触することがない。
【0056】
押圧体13は、物品送り部4の排出側端12Aに至って上流側へ倒れた姿勢となるとともに、排出側端12Aと、持上げ部材本体14Aの下流側端部が同じ位置に設定されている。このため、エンドレスチェーン12の排出側端12Aにおいて帯状資材5を持上げることは、押圧体13が帯状資材5と干渉しない位置において最良となる。
【0057】
前述のように、押圧体13と帯状資材5の上面5cとは接触することがなく、しかも、帯状資材5は、製袋機本体14と持上げ部材15との間の隙間を通過する。具体的には、製袋機本体14の天井部材16に所定間隔の上隙間27、製袋機本体14のサイド部材17,17と支持サイド部材24との間の幅隙間28、製袋機本体14の底部材18に対して下隙間29を通過する。このため、帯状資材5における形が製袋機本体14の内面に沿う方向(すなわち矩形)に沿う。すなわち、上隙間27、幅隙間28および下隙間29が帯状資材5のガイドとなって、帯状資材5を矩形に形作ることができる。
【0058】
そして、帯状資材5の両側端縁部5aが、スリット21に確実に入って合わせられるため、物品3を内装した帯状資材5において、縦シーラ7におけるバーシーラ34の溶着が確実に行われ、帯状資材5において、横シーラ9における上側横シーラ41、下側横シーラ42による溶着が確実に行われるから、包装不良が抑制される。
【0059】
しかも、物品3が小さい場合では、押圧体13は倒れた姿勢となる時には、底部材18に対し、押圧体13は、物品3を少なくともスリット開始点21aよりも物品3の送り方向長さの半分より短い距離だけ上流側に離れているため、物品3が底部材18に載せられた帯状資材5に載るため、物品3が下流側に受渡しされる。そして、物品3に対して大きい製袋機本体14と、持上げ部材15(持上げ部材本体14A)によって製袋機本体14の内面に沿うように(角型)にしてあるため、図4図5で示すように、物品3を、製袋機1の形状にあわせて大きく包装することが可能である。
【0060】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
【0061】
例えば、上記実施形態では、持上げ手段に相当するものとして持上げ部材15の例を挙げた。しかしながら、持上げ手段として他の手段も考えられる。これには、気体(空気)を用いた例が挙げられる。例えば、持上げ部材15を設ける代わりに、製袋機本体14の天井部材16のうち、エンドレスチェーン12の排出側端12Aに相当する領域に、吸引口を配置して、この吸引口によって帯状資材5を吸引することもできる。
【0062】
上記実施形態では、持上げ部材15は、製袋機本体14の上流側から排出側端12Aに対応する位置まで挿通した例を挙げた。しかしながら、持上げ部材15は、延長部22と、支持天井部材23のみから構成することができる(支持サイド部材24を省略することができる)。この場合も、帯状資材5の上面5cと押圧体13との干渉を防ぐことができる。
【0063】
上記実施形態では、持上げ部部材15は、製袋機本体14の上流側入口14aから排出側端12Aまで設けられる場合について説明したが、これに限られず、例えば排出側端12Aを、上流側から下流側へ跨ぐように設けることもできるし、排出側端12Aの下流側に設けることもできる。具体的には、製袋機本体14の上流側入口14aから製袋機本体14の下流側出口14bまで設けることもできる。あるいは、製袋機本体14の下流側出口14bから送りコンベヤ8の上流側入口35aまでの間に設けてもよい。さらに、排出側端12Aから所定距離だけ上流側の位置に設けることもできる。
【0064】
いずれにしても、製袋機1の入口から抑え部の入口までの領域での何れかで、帯状資材5を持上げればよい。特に、製袋機1の入口から、物品送り部4が帯状資材5上に物品3を載せる受渡し位置までの間で、帯状資材5が製袋機1の天井部材16に沿うように持上げることで、包装不良が抑制される。
【0065】
上記実施形態では持上げ部材15を設けた。しかしながら、持上げ部材15の代わりに、帯状資材5を天井部材16の方へ持上げる構成として、サイド部材17,17に対して幅方向の横軸回りに回動する(あるいは回動しない)ローラを設けることもできる。このローラは、横軸方向に単数でも複数でもよく、く、ローラは、サイド部材17,17に対し搬送方向に往復動させて設けることができる。ローラが単数の場合は、押圧体13の搬送方向に対応するように配置する。ローラの径としては、押圧体13と天井部材16の内面に隙間をもって配置され、特にローラの上面と天井部材16の内面との間には、帯状資材5が挿入されることが必要である。
【0066】
そして、帯状資材5の包装開始時にはローラを上流側へ移動させて、帯状資材5を下流側へ送るとともにローラも下流側へ送る。この構成によっても、帯状資材5が製袋機1の天井部材16に沿うように持上げることで、包装不良が抑制される。
【0067】
上記実施形態では、物品送り部4は、搬送面10の下方に配置された複数のスプロケット11に掛け渡されたエンドレスチェーン12と、エンドレスチェーン12に、所定ピッチ毎に取付けられた押圧体13とを備えた構成である。しかしながら、物品送り部4としては、押圧体13を設けず、ベルトとすることもできる。この場合では、物品3が搬送されてくると、物品3の下流側上部と製袋機1に挿入された帯状資材5の上面5cとが干渉する場合があった。しかしながら、本発明では、持上げ手段を設けているから、物品3の上部と帯状資材5の上面5cとが干渉することがない。
【0068】
上記実施形態では、持上げ部材15は、製袋機本体14の上流側から排出側端12Aに対応する位置まで挿通した例を挙げた。持上げ部材15は、製袋機1の下流側出口14bと、抑え部の上流側入口35aの間の領域に設けてもよい。この場合、持上げ手段は、製袋機1を構成する場合に限られず、製袋機1とは別の部材とすることもできる。
【0069】
上記実施形態では、製袋機1として送り方向に直交する断面が矩形の場合で説明したが、製袋機1の断面が円形、あるいは楕円形であってもよい。この場合、持上げ部材15の送り方向の断面も、円形、あるいは楕円形とし、製袋機本体14の内周と、持上げ部材15の外周との間に、帯状資材5を通すことができる程度の隙間をもたせ、この隙間で帯状資材5が製袋機本体14の内周形状に沿うようにガイドする。
【符号の説明】
【0070】
1…製袋機、2…横ピロー包装機、3…物品、4…物品送り部、5…帯状資材、5a…両側端縁部、5A…筒状資材、5b…上面、5c…上面、6…帯状資材供給部、7…縦シーラ、8A…下側送りコンベヤ、8B…上側送りコンベヤ、9…横シーラ、10…搬送面、12…エンドレスチェーン、12A…排出側端、13…押圧体、14…製袋機本体、14a…上流側入口、15…持上げ部材、16…天井部材、17,17…サイド部材、18…底部材、19…下傾斜面、20…幅方向面、21…スリット、22…延長部、23…支持天井部材、24…支持サイド部材、27…上隙間、28…幅隙間、29…下隙間、33…ピンチローラ、34…バーシーラ、35…送り面、35a…上流側入口、38…緩衝材、41…上側横シーラ、42…下側横シーラ
図1
図2
図3
図4
図5