(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】ライフプラン活用システム、ライフプラン活用方法、および、ライフプラン活用プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20120101AFI20220707BHJP
【FI】
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2021091918
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2021-05-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521235464
【氏名又は名称】株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑輝
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-074979(JP,A)
【文献】特開2017-111770(JP,A)
【文献】特開2021-022199(JP,A)
【文献】特開2019-211995(JP,A)
【文献】特開2002-140527(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0087919(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライフプラン活用システムであって、
現在の利用者の保有資産の情報を含む個人情報と将来の顧客の資産収支に変化を生じさせ得る情報を含む想定情報を含む入力情報に基づき
、前記利用者の将来の資産総額の推移の予測であるライフプランを作成する手段と、
前記利用者の家計簿情報を取得する手段と、
前記家計簿情報に基づき算出された前記利用者の実資産総額と前記ライフプランにおける予測資産総額
の差額を算出する手段と、
前記利用者に対し
前記差額を埋める
ために前記利用者が取ることのできるプランを複数提案する手段と、
を備え
、
前記提案する手段は、前記個人情報における保有資産の情報に基づき、既に取得済みの資産を取得することを含むプランは提案しないこと、及び前記差額が正の値となるように、前記プランを該プランによる改善額と共に提案することを特徴とするライフプラン活用システム。
【請求項2】
前記ライフプラン活用システムは更に、条件が異なる複数の前記入力情報の入力を受け付けてよく、
前記作成する手段は更に、複数の前記入力情報のそれぞれに基づきライフプランを作成することを特徴とする請求項1に記載のライフプラン活用システム。
【請求項3】
前記ライフプラン活用システムは更に、
前記利用者の支出に関する情報である支出情報を仕訳する手段と、
取得した前記家計簿情報と、前記入力情報と、を対応付けてデータベースに格納する手段と、を有し、
前記仕訳する手段は更に、機械学習に基づき前記支出情報の仕訳を行い、
前記格納する手段は更に、前記家計簿情報に基づき前記利用者の
前記実資産総額を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載のライフプラン活用システム。
【請求項4】
コンピュータを、
現在の利用者の保有資産の情報を含む個人情報と将来の顧客の資産収支に変化を生じさせ得る情報を含む想定情報を含む入力情報に基づき
、前記利用者の将来の資産総額の推移の予測であるライフプランを作成する手段と、
前記利用者の家計簿情報を取得する手段と、
前記家計簿情報に基づき算出された前記利用者の実資産総額と前記ライフプランにおける予測資産総額
の差額を算出する手段と、
前記利用者に対し
前記差額を埋める
ために前記利用者が取ることのできるプランを複数提案する手段と、
として機能させ
、
前記提案する手段は、前記個人情報における保有資産の情報に基づき、既に取得済みの資産を取得することを含むプランは提案しないこと、及び前記差額が正の値となるように、前記プランを該プランによる改善額と共に提案することを特徴とするライフプラン活用プログラム。
【請求項5】
現在の利用者の保有資産の情報を含む個人情報と将来の顧客の資産収支に変化を生じさせ得る情報を含む想定情報を含む入力情報に基づき
、前記利用者の将来の資産総額の推移の予測であるライフプランを作成するステップと、
前記利用者の家計簿情報を取得するステップと、
前記家計簿情報に基づき算出された前記利用者の実資産総額と前記ライフプランにおける予測資産総額
の差額を算出するステップと、
前記利用者に対し
前記差額を埋める
ために前記利用者が取ることのできるプランを複数提案するステップと、
をコンピュータが実行
し、
前記提案するステップは、前記個人情報における保有資産の情報に基づき、既に取得済みの資産を取得することを含むプランは提案しないこと、及び前記差額が正の値となるように、前記プランを該プランによる改善額と共に提案するライフプラン活用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライフプラン活用システム、ライフプラン活用方法、および、ライフプラン活用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ライフプランシミュレーションは、利用者が将来の資産状況を予測し、これによって日々の生活を見直して、将来にわたって安定してお金と向き合うようにするための重要なツールであり、従来、ライフプランのシミュレートを行うための各種ツールやシステムが提案されている。
【0003】
特許文献1では、現状の生活、経済状態から実現可能な、利用者の身の丈に合った助言に基づく有益な資産運用を実現するための発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の発明では、利用者が参考とする他の利用者の資産収支との乖離量を目標情報としており、また、データ同士の比較等によって示される特定の事項の指摘や、金融機関等のアドバイザーによる具体策の提示が行われているのみである。また、利用者に提示される具体策は、1又は複数提示されることは記載されているが、複数の具体策を組み合わせることで、一つ一つの具体策が利用者に掛ける負担を軽減させ、目標の達成を後押しするような工夫については記載されていない。
【0006】
上記事情を鑑みて、本発明は、ライフプラン活用システムにかかる新規な技術を提供することを、解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、ライフプラン活用システムであって、利用者からの入力情報に基づきライフプランを作成する手段と、前記利用者の家計簿情報を取得する手段と、前記利用者の実資産総額と前記ライフプランにおける予測資産総額の差額を比較する手段と、前記差額に基づき、前記利用者に対し差額を埋めるためのプランを提案する手段と、を備えることを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、利用者に対し、利用者の資産総額とライフプランにおける資産総額の差額を埋めるためのプランの提示を行うことが可能であり、また、金融アドバイザー等の人の手を介さず提案を行うことができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記ライフプラン活用システムは更に、条件が異なる複数の前記入力情報の入力を受け付けてよく、前記作成する手段は更に、複数の前記入力情報のそれぞれに基づきライフプランを作成することを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、複数のライフプラン同士を比較し、より良いプランや実現可能性の高いプランを選択することができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記ライフプラン活用システムは更に、前記支出情報を仕訳する手段と、取得した前記家計簿情報と、前記入力情報と、を対応付けてデータベースに格納する手段と、を有し、前記仕訳する手段は更に、機械学習に基づき前記支出情報の仕訳を行い、前記格納する手段は更に、前記家計簿情報に基づき前記利用者の前記資産総額を算出することを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、ライフプランと利用者の資産総額の比較を行うことができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記提案する手段は更に、前記差額に基づき、前記差額を埋めるための複数のプランを提案することを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、利用者が実施可能なプランを提示することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記提案する手段は更に、前記複数のプランを組合せた複合提案を前記利用者に対し提案することを特徴とする。このような構成とすることで、本発明は、一つ一つのプランが利用者に掛ける負担を軽減することができる。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、コンピュータを、利用者からの入力情報に基づきライフプランを作成する手段と、前記利用者の家計簿情報を取得する手段と、前記利用者の実資産総額と前記ライフプランにおける予測資産総額の差額を比較する手段と、前記差額に基づき、前記利用者に対し差額を埋めるためのプランを提案する手段と、として機能させることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、利用者からの入力情報に基づきライフプランを作成するステップと、前記利用者の家計簿情報を取得するステップと、前記利用者の実資産総額と前記ライフプランにおける予測資産総額の差額を比較するステップと、前記差額に基づき、前記利用者に対し差額を埋めるためのプランを提案するステップと、をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ライフプラン活用システムにかかる新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明の一実施形態にかかるハードウェア構成図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態にかかる機能ブロック図を示す。
【
図4】本発明の一実施形態にかかるデータ構成の一例を示す。
【
図5】本発明の一実施形態にかかる処理フローチャートを示す。
【
図6】本発明の一実施形態にかかる差額を埋めるためのプランの算出するためのフローチャートを示す。
【
図7】本発明の一実施形態にかかる進捗状況確認画面0w1を示す。
【
図8】本発明の一実施形態にかかる修正画面0w2を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書は、本発明の一実施形態にかかる構成や作用効果等について、図面を交えて、以下に説明する。
【0017】
本発明は、以下の実施形態に限定されず、様々な構成を採用し得る。また、本発明の実施形態は、各実施形態のそれぞれにおける構成の一部を、本発明が目的とする作用効果の実現を阻害しない範囲で互いに採用してよい。
【0018】
例えば、本実施形態ではライフプラン活用システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、ライフプラン活用システムでその機能を実現する為に外部のコンピュータにおいて当該プログラムを起動させてもよい(いわゆるクラウドコンピューティング)。
【0019】
また、本実施形態において「手段」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0020】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0021】
<全体構成>
図1は、本実施形態におけるライフプラン活用システムの概要図である。ライフプラン活用システムは、サーバ1と、1又は複数の端末装置2と、外部サービス3と、を備える。
【0022】
図1に例示されるように、サーバ1と、端末装置2と、は既知または慣用のネットワークNWを介して、相互に通信可能である。また、サーバ1と、外部サービス3と、は既知または慣用のネットワークNWを介して、相互に通信可能である。
【0023】
本実施形態において、外部サービス3は、例として、家計簿の作成サービスを提供する一般的な資産管理・家計簿アプリケーションのことを示す。当該外部サービス3は、家計簿をつける利用者が有する金融口座と連携して登録されるアプリケーションプログラムにより実現され、必要に応じて利用者の金融口座にアクセスして口座情報を取得することが可能であってよい。
【0024】
<ハードウェア構成>
図2(a)に例示されるように、サーバ1は、既知または慣用のコンピュータの態様をとり、例として、演算デバイス101、主記憶デバイス102、補助記憶デバイス103、入力デバイス104、出力デバイス105、通信デバイス16およびバスインタフェースを有し、本発明が発揮する作用効果を実現する上で適宜、用いられる。
【0025】
本発明の実施形態におけるサーバ1は、1つのサーバ装置として説明するが、複数台のサーバ装置からなるコンピュータ群であってもよい。ここで、コンピュータ群は、ウェブサーバ及び/又はデータベースサーバを含んでよい。コンピュータ群の態様となる場合、あるコンピュータに、後述する各機能部の全部が備えられる必要はなく、コンピュータ群全体で、後述の機能構成要素が実現される。
【0026】
サーバ1は、本発明の一実施形態で扱われる各種情報の少なくとも一部が格納されるデータベースDBを有する。データベースDBは、上記データベースサーバであってよく、補助記憶デバイス103により構成されてよく、クラウドストレージであってよい。
【0027】
図2(b)に例示されるように、端末装置2は、既知または慣用のコンピュータの態様をとり、例として、演算デバイス201、主記憶デバイス202、補助記憶デバイス203、入力デバイス204、出力デバイス205、通信デバイス206およびバスインタフェースを有し、本発明が発揮する作用効果を実現する上で適宜、用いられる。
【0028】
本発明の実施形態における端末装置2は、1又は複数のコンピュータからなり、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット及びラップトップ等のような任意のコンピュータ装置を用いることを想定する。
【0029】
演算デバイス101および201は、命令セットを実行可能なプロセッサである。
【0030】
主記憶デバイス102および202は、命令セットを記憶可能な揮発性メモリである。
【0031】
補助記憶デバイス103および203は、プログラム等を記録可能な記録媒体である。
【0032】
入力デバイス104および204は、意思入力が可能なインタフェースである。当該インタフェースは、キーボードやタッチパネルなどのインタフェースである。
【0033】
出力デバイス105および205は、報知を可能とするインタフェースである。当該報知は、例として、視覚的な報知である。
【0034】
通信デバイス106および206は、ネットワークのへの接続・参加を実現するための有線方式又は無線方式に基づくインタフェースを有する。
【0035】
<機能ブロック>
図3に例示されるように、サーバ1は、取得手段11と、格納手段12と、仕訳手段13と、作成手段14と、比較手段15と、提案手段16と、表示処理手段17と、を有する。
【0036】
また、
図3に例示されるように、端末装置2は、出力手段21と、入力手段22と、を有する。
【0037】
取得手段11は、ネットワークNWを介して、外部サービス3から利用者の家計簿情報1000を取得する。
【0038】
本実施形態において、家計簿情報1000は、利用者の収入に関する収入情報1000Aと、同利用者の支出に関する支出情報1000Bと、同利用者の資産に関する資産情報1000Cと、同利用者の負債に関する負債情報1000Dと、を含む。
【0039】
収入情報1000Aは、所定の期間内において、利用者が労働対価、株式配当、不動産収益、及び、金利等により取得した金額に関する情報であり、取得日時及び見出しと対応付けられている。支出情報1000Bは、所定の期間内において家計から払い出された(消費された)金額に関する情報であり、払い出された日時及び見出しと対応付けられている。資産情報1000Cは、利用者が保有する現金(預金)、株式、債券、動産、及び、不動産等に関する情報であり、資産を取得した日時及び見出しと対応付けられている。負債情報1000Dは、利用者の借入金、動産または不動産のローン等に関する情報であり、負債を負った日時及び見出しと対応付けられている。なお、上記の情報は例示であり、家計簿情報1000は列記以外の情報を含んでよい。
【0040】
格納手段12は、利用者の家計簿情報1000と、当該利用者からの入力情報2000と、を対応付けてデータベースDBに記憶する。
【0041】
本実施形態において、入力情報2000は、個人情報2000Aと、想定情報2000Bと、を含む。個人情報2000Aは、利用者の現在の職業や年収、年齢、保有する金融資産、家族構成や就業状況、持家や車の有無、基本生活費、加入している保険、及び、資産運用等の、現在の利用者に関する情報である。想定情報2000Bは、想定される収入の変化、利用者及びその家族における婚姻、出産、就学、就職、転職、及び、動産(乗用車)や不動産(住宅)の購入等の、将来的に顧客の資産収支に変化を生じさせ得る情報である。なお、上記の情報は例示であり、入力情報2000は列記以外の情報を含んでよく、利用者は端末装置2を介して当該情報の入力を行ってよい。また、入力情報2000に変更が生じた際には、利用者自身によって逐次更新されてよい。
【0042】
また、格納手段12は、収入情報1000A、支出情報1000B、資産情報1000C、及び、負債情報1000Dを合算した指標である実資産総額を生成し、家計簿情報1000に対応付けてデータベースDBに記憶する。本実施形態において、実資産総額は、ネットワークNWを介して家計簿情報1000を取得した時点における利用者個人の収入、支出、資産、及び負債をまとめた資産総額を表す。
【0043】
仕訳手段13は、機械学習に基づき収入情報1000A、及び、支出情報1000Bの仕訳を行う。仕訳手段13は仕訳AI(Artificial Intelligence)を有してよい。当該仕訳AIは、利用者が過去に実施した仕訳を教師データとして機械学習を行い、未分類の収入情報1000A又は支出情報1000Bが何れの収支項目に該当するか、当該収入情報1000A及び支出情報1000Bに対応付けられた日時や見出しに応じて仕訳を行う。本実施形態において、収支項目は、食費、水道光熱費、世帯主収入、及び、臨時収入等、家計簿として管理することが可能な収支に関する項目である。また、上述の通り、利用者によって仕訳が実施されてよい。更に、収入情報1000A及び支出情報1000Bは、予め仕訳されていてもよい。
【0044】
作成手段14は、入力情報2000に基づきライフプランを作成する。
【0045】
作成手段14は、まず、利用者のライフプランシミュレーションの計算に係る終期を設定する。本実施形態における終期は、入力情報2000に基づき設定されてよく、統計情報と利用者の現在の年齢に基づいて算出される利用者の寿命又は余命であってよい。また、当該終期は、利用者が90歳になる年や100歳になる年など、予め定められた年であってよい。その後、当該終期に至るまで、ライフプランシミュレーションに係る収入及び支出を計算する。
【0046】
作成手段14は、
図4に示すように、利用者の将来の収支と予測資産総額を各年毎に算出し、利用者の入力情報2000に対応付けてデータベースDBに記憶してもよい。
【0047】
図4に例示されるように、本実施形態では、想定情報2000Bから、利用者が100歳で逝去すると仮定してライフプランが作成される。予測資産総額は、入力情報2000に基づいて算出される。利用者は、予測資産総額によって、利用者が現在の支出に基づいて生活を継続した場合、収支がどのようになるかを理解することができる。なお、本実施形態において、予測資産総額は、ライフプラン作成時における利用者の金融資産に将来の収支を累積した総額であってよい。本実施形態においては、予測資産総額は年単位で算出するが、数年単位や、月単位で算出してもよい。
【0048】
また、作成手段14は、想定情報2000Bから、収入の変化や支出の変化を考慮して予測資産総額を算出する。例として、利用者が資産運用として投資を行っていれば運用資金と利回りから将来の収入として運用益を加算し、住宅ローン等の負債を有していれば将来の支出として負債分の額を減算する。
【0049】
なお、本実施形態において、作成手段14が作成するライフプランは複数あってよい。その場合、利用者は想定情報2000Bを、作成されるライフプランと同じ数、且つそれぞれ異なる条件で入力する。また、利用者が最も実現させたいと望むプランをメインプランとしてよく、それ以外のプランをサブプランとしてよい。以下に記載の、比較手段15及び提案手段16によって算出される比較情報及び差額を埋めるためのプランは、実資産総額とメインプランにおける予測資産総額の比較によって算出されてよく、また、実資産総額とメインプラン及び全てのサブプランにおける予測資産総額との比較によって算出されてよい。
【0050】
比較手段15は、実資産総額とライフプランにおける予測資産総額の差額から、比較情報を算出する。本実施形態では、比較情報は、家計簿情報1000の取得時点における実資産総額と、当該時点における予測資産総額と、の差額を示す数値である。なお、上記家計簿情報1000の取得時点における実資産総額と比較される予測資産総額は、家計簿情報1000の取得時点における年の予測資産総額であってよく、別の年(例として翌年)の予測資産総額であってよい。
【0051】
提案手段16は、比較手段15が算出した比較情報に基づき、実資産総額とライフプランにおける予測資産総額の差額を埋めるためのプランを提案する。
【0052】
上記プランは、生活費の削減、夫婦共働き、資産運用の実施、及び、保険の見直しの少なくとも一部を含み、当該プランの提示は、比較情報に基づいた具体的な金額の数値を伴って行われる。なお、上記差額を埋めるためのプランは、予め定められた優先順位に従って提示されてよい。
【0053】
例として、(1)資産運用の利回りを安全に運用可能な割合で提案、(2)生活費の削減や増収等の家計収支をいくら変化させるかの改善額の提案、(3)改善額が大きすぎるとユーザーが判断し且つ持家でない場合は家の購入を提案、(4)改善額が大きすぎるとユーザーが判断し且つ持家である場合は不動産投資を提案、の順番でプランの提示が行われる。上記提案で差額が埋められない場合、資産運用を利回り2.5%で行った場合家計収支の改善額はXX,XXX円であり、資産運用を利回り3%で行った場合家計収支の改善額はYY,YYY円であると、(1)と(2)を組み合わせた提案を行ってよい。このとき、利回りの数値が大きくなる程リスクも増える旨を説明し、(1)と(2)を組み合わせた提案を異なる条件で複数提示してよい。なお、上記の提案及び優先順位は例示であり、上記以外の提案を上記以外の優先順位で提示してよい。
【0054】
提案手段16は、生活費の削減の提案を、支出情報1000Bに基づいて行う。提案手段16は、夫婦共働きの提案を、入力情報2000に基づいて行う。提案手段16は、資産運用の提案を、プランの提示を行う時点における実資産総額に基づいて行う。資産運用の提案は、当該時点における実資産総額が予め定められた額を下回っていた場合、提案されないものとしてよい。提案手段16は、保険の見直しの提案を、入力情報2000に基づいて行う。
【0055】
本実施形態では、利用者に対し全てのプランが提示されてよく、個人情報2000Aを入力する際に既に取得済みであると入力された情報に関するプランは提示されなくてよい。例として、個人情報2000Aを入力する際に、利用者が既に持家を有していると入力した場合、家の購入に関するプランは提示されない。なお、提示されたプランの実施の可否については、利用者が判断を行う。
【0056】
また、提案手段16が提示するプランは、家計簿情報1000の取得を行った時点における実資産総額と、ライフプランによって予測される同時点における予測資産総額と、の差額を埋めるためのプランだけでなく、予め想定される課題を解決するためのプランであってもよい。
【0057】
本発明において、予め想定されるライフプランの課題は以下の6通りであり、下記の課題を解決するための提案は、
図6に例示されるフローチャートの何れかに基づいて提示可能である。なお、本発明が解決する課題は、下記以外の課題であってもよい。
1.老後資金が目標とする年齢までもたない。
2.家を購入したいが、正しい予算を明確にしたい。
3.子供を何人作るのが妥当か。また、妥当な学費はいくらになるか。
4.購入したい高額なもの(車やカバン等)があるが、購入してもよいか。
5.結婚に係る費用や結婚後に係る生活費がいくらになるか。
6.適正な生活費がいくらであるか。
【0058】
表示処理手段17は、端末装置2からのリクエストに応じて、所定の画面を表示処理し、表示処理結果を返送する。端末装置2は、サーバ1から受け取った情報に基づいて、種々の画面を出力手段21に表示させる。これにより、端末装置2において、後述する種々の画面が表示される。
【0059】
出力手段21は、端末装置2が出力デバイス205として備えており、液晶ディスプレイや有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等を用いて構成された表示パネルを含むディスプレイである。
【0060】
入力手段22は、キーボード、操作ボタン、マウス、出力手段21上に設けられたタッチセンサ等の入力デバイス204を利用して、外部からなされる操作を受け付け、当該操作に応じた信号を端末装置2に入力する。
【0061】
<情報処理手順>
図5が示すように、本発明にかかる一連の処理は以下のステップを含む。なお、
図5に示される各ステップの順序は一例であり、指定がない限り適宜、当該順序は変更され得る。
【0062】
作成手段14は、入力情報2000に基づきライフプランの作成を行う(ステップS101)。
【0063】
取得手段11は、ネットワークNWを介して外部サービス3から家計簿情報1000を取得する(ステップS102)。
【0064】
仕訳手段13は、ステップS101で取得した家計簿情報1000に含まれる収入情報1000A、及び、支出情報1000Bが何れの収支項目に該当するか仕訳を行い、家計簿情報1000と入力情報2000を対応付けてデータベースDBに記憶する(ステップS103)。この際、格納手段12は、ステップS102で取得した家計簿情報1000に基づき、利用者の実資産総額を算出する。
【0065】
比較手段15は、家計簿情報1000の取得を行った時点における実資産総額と、ステップS101で作成したライフプランの当該時点における予測資産総額と、を比較した差額である比較情報を算出する(ステップS104)。
【0066】
提案手段16は、ステップS104で算出された比較情報に基づき、利用者の将来の実資産総額と、ステップS101で作成したライフプランにおける予測資産総額と、の差額を埋めるためのプランを提示する(ステップS105)。なお、当該差額を埋めるためのプランは、上記終期までに差額を埋めるプランであってよく、また、利用者が指定した時期までに差額を埋めるプランであってよい。利用者が指定した時期とは、例として、1年後や36カ月後など、ステップS105で差額を埋めるためのプランを提示した時点を基準とした将来における任意の時点である。
【0067】
<差額を埋めるためのプランの算出>
図6(a)は、ステップS105で算出された比較情報に基づき、終期又は利用者が指定した時期までに差額を埋めるためのプランを算出するためのフローチャートである。なお、以下のフローチャートでは、例として10年後までに差額を埋めるためのプランを提案するものとする。
【0068】
提案手段16は、基本生活費の削減を行った場合、基本生活費をいくら削減すれば10年後までに上記差額が正の値になるかを、年額及び/又は月額で算出し、利用者に提示する(ステップS201)。提示された額の削減が実施不可能であると利用者が入力した場合、ステップS202へ処理を移行し、実施可能であると入力した場合、ステップS205へ処理を移行し、対応する入力情報2000の変更を行い、一連の処理を終了する。
【0069】
本実施形態において、提案手段16は、ステップS103において仕訳が行われた収支項目の中から、利用者に削減を提案する収支項目を指定してもよい。例として、月毎に支出額の変動が激しい収支項目があった場合、提案手段16は当該項目を削減するように利用者に提案する。また、月毎の支出額の変動だけでなく、支出額の合計に占める割合が大きい変動費の削減の提案等、列記以外の基準での削減の提案を行ってもよい。
【0070】
提案手段16は、利用者が資産運用を行った場合、資産総額の何割を資産運用に回し、利回りがいくらであれば10年後までに上記差額が正の値になるかを算出し、利用者に提示する(ステップS202)。提示された条件で利用者が資産運用を実施しないと入力した場合、ステップS203へ処理を移行し、実施すると入力した場合、ステップS205へ処理を移行し、対応する入力情報の変更を行い、一連の処理を終了する。
【0071】
なお、ステップS202において提示されるプランは、生活費の削減と、資産運用と、を同時に行う複合提案であってよい。以下のステップにおいても、当該ステップにおいて提示されるプランと、それ以前のステップにおいて提示されたプランと、を同時に行う複合提案を提示してよい。このような構成とすることで、例としてステップS202においては、ステップS201において提示される額よりも少ない額の削減と、資産運用のみを行った場合に提示される運用資金よりも少ない額での資産運用と、を行うことで上記差額を正の値にすることができるようになる。また、複合提案を行う場合、いくらの利回りで資産総額の何割を資産運用に回すかは、予め定められた数値であってよい。
【0072】
提案手段16は、利用者が家を購入する場合、いくらの家を購入すれば10年後までに上記差額が正の値になるかを算出し、利用者に提示する(ステップS203)。提示した条件が実施不可能であると利用者が入力した場合、ステップS204へ処理を移行し、可能であると入力した場合、ステップS205へ処理を移行し、対応する入力情報の変更を行い、一連の処理を終了する。
【0073】
提案手段16は、利用者が副業で収入を得る場合や、利用者の配偶者が労働従事者である場合において、いくら稼げば10年後までに上記差額が正の値になるかを算出し、利用者に提示する(ステップS204)。提示した条件が実施可能であると利用者が入力した場合、ステップS205へ処理を移行し、対応する入力情報の変更を行い、一連の処理を終了する。また、提示した条件が実施不可能であると利用者が入力した場合、提案手段16は、上記ステップS201~ステップS204で提示されたプランとは異なる課題解決のためのプランを提示してよい。
【0074】
ステップS205において行われる、基本生活費等の対応する入力情報の変更は、入力手段22を介して利用者が行ってもよい。また、上記提示されるプランは例であり、列記以外のプランが提示されてもよい。
【0075】
なお、提案手段16は、ステップS103で利用者のライフプランが作成された時点で終期における予測資産総額が負の値であった場合等においても、利用者の終期における予測資産総額が正の値になるようにプランの提示を行ってよい。
【0076】
<家の予算の算出>
図5(b)は、利用者が購入可能な家の予算の算出に係るフローチャートである。
【0077】
提案手段16は、現状の基本生活費に基づいて生活を続けた場合、購入可能な家の金額を提示する(ステップS301)。
【0078】
提案手段16は、ステップS302~ステップS304で、生活費を削減した場合に購入可能な家の金額、夫婦共働きの場合に購入可能な家の金額、及び、夫婦共働きかつ生活費を削減した場合に購入可能な家の金額を提示する。なお、上記提示されるプランは例であり、列記以外のプランが提示されてよく、また、上記プランは一つの画面に一斉に提示されてよく、一つ一つ提示されてもよい。
【0079】
図7に例示されるように、端末装置2の出力手段21は、提案手段16によって提示されるプランを表示する提案表示部0w1aと、利用者が家計簿情報1000を取得した時点における最新の収支を含む情報を表示する収支表示部0w1bと、を含む進捗状況確認画面0w1の表示を行う。進捗状況確認画面0w1は、子供の養育にかかる費用の内訳や将来の推移を示す図と、作成手段14が作成したライフプランの収支の内訳や推移を示す図と、を示す情報を表示してよい。ここで、提案表示部0w1aに表示される各提案を押下することで、修正画面0w2が表示されてよい。
【0080】
また、本実施形態では、提案手段16は更に、家計簿情報2000に基づき、作成手段14によるライフプラン作成の正確性を向上させるための提案を行ってよく、当該提案は提案表示部0w1aに表示されてよい。例として、家計簿情報1000に未分類の仕訳が存在した場合、利用者に分類を行うよう促すことや、利用者の単位期間あたりの収入を比較して(実施例では前月の収入と当月の収入)所定金額以上増額又は減額した場合(実施例では5万円)、転職などにより年収が変化したと判断して、利用者に入力情報2000の更新を促す等である。ここで、提案表示部0w1aに表示される仕訳を促す提案を押下することで、家計簿情報1000の仕訳を行う為の画面が表示されてよく、利用者に入力情報2000の更新を促す提案を押下することで、入力情報2000の更新を行う為の画面が表示されてよい。
【0081】
図8に例示されるように、端末装置2の出力手段21は、作成
手段14によって作成されたライフプランと利用者の家計簿情報1000及び取得時点までにおける実資産総額を対比させて表示するライフプラン表示部0w2aと、提案手段16によって提示されるプランを表示する提案表示部0w2bと、利用者の家族構成や予測される将来のイベント等を表示する詳細情報表示部0w2cと、を含む修正画面0w2の表示を行う。ライフプラン表示部0w2aには、
図4に例示されるようなライフプランの図表が表示されてよく、図表上で指定された年における実資産総額や資産構成の内訳等が表示されてよい。提案表示部0w2bは、提案手段16によって提示され得る提案を全て又は任意の数ずつ表示してよい。実施例では、提案を1つずつ表示しており、「進む」や「戻る」といったボタンによって、表示される提案を切り替え可能である。また、提案表示部0w2bに表示される「決定」ボタンを押下することで、利用者が実施可能であると判断したプランを選択する。利用者は「決定」ボタンを押下することで実施するプランを決定し、提案手段16は選択されたプランに対応する入力情報2000の変更を行ってよい。例として、利用者が「金融資産残高の半分とこれから貯金する額の半分を運用利回り3%で運用し、支出をXX,XXX円/月抑える。」といったプランを選択した場合、提案手段16は、入力情報2000における資産資金と利回りの数値と、基本生活費の数値と、を選択したプランの数値に変更する。また、利用者は、入力手段22を介して詳細情報表示部0w2cに表示されている情報の変更を行ってよい。詳細情報表示部0w2cは、上記例示される情報だけでなく、入力情報2000が有する情報等、利用者によって変更可能な情報を表示してよい。
【0082】
本発明によれば、ライフプラン活用システムにかかる新規な技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 :サーバ
2 :端末装置
3 :外部サービス
101 :演算デバイス
102 :主記憶デバイス
103 :補助記憶デバイス
104 :入力デバイス
105 :出力デバイス
106 :通信デバイス
201 :演算デバイス
202 :主記憶デバイス
203 :補助記憶デバイス
204 :入力デバイス
205 :出力デバイス
206 :通信デバイス
11 :取得手段
12 :格納手段
13 :仕訳手段
14 :作成手段
15 :比較手段
16 :提案手段
17 :表示処理手段
21 :出力手段
22 :入力手段
【要約】 (修正有)
【課題】ライフプラン活用システムにかかる新規なライフプラン活用システム、ライフプラン活用方法及びライフプラン活用プログラムを提供する。
【解決手段】サーバと、端末装置と、外部サービスとがネットワークを介して相互に通信可能なライフプラン活用システムにおいて、サーバ1は、利用者からの入力情報に基づきライフプランを作成する作成手段と、利用者の家計簿情報を取得する取得手段と、利用者の実資産総額とライフプランにおける予測資産総額の差額を比較する比較手段と、差額に基づき、利用者に対し差額を埋めるためのプランを提案する提案手段と、を備える。
【選択図】
図1