IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人福井大学の特許一覧

<>
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図1
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図2
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図3
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図4
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図5
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図6
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図7
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図8
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図9
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図10
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図11
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図12
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図13
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図14
  • 特許-光合波器及び光合波方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】光合波器及び光合波方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20220707BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
G02B6/12 331
G02B6/125 301
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021551858
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2021004387
【審査請求日】2021-08-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】中尾 慧
(72)【発明者】
【氏名】勝山 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 祥治
(72)【発明者】
【氏名】樋口 人志
【審査官】井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-195603(JP,A)
【文献】国際公開第2010/137661(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/065225(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/002254(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0003773(US,A1)
【文献】米国特許第06160932(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0186730(US,A1)
【文献】米国特許第04496211(US,A)
【文献】特開2003-050323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12 - 6/14
G02B 6/28 - 6/293
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
G02B 27/00 -27/64
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の波長の光を合波可能な光合波器であって、
光合波器は、一対の入射路と、一対の出射路と、前記入射路及び前記出射路との間に配置され、前記入射路に入射した光を結合して前記出射路に出射する結合器を有する結合部を4つ備え、
前記結合部の1つの前記入射路は、他の前記結合部の前記出射路と連結され、
第1の前記結合部の前記出射路の他方は、第3の前記結合部の前記入射路の一方に接続され、
第2の前記結合部の前記出射路の一方は、第3の前記結合部の前記入射路の他方に接続され、
第4の前記結合部の前記出射路の一方は、第1の前記結合部の前記入射路の他方に接続され、
第4の前記結合部の前記出射路の他方は、第2の前記結合部の前記入射路の一方に接続され、
第1の前記結合部の前記結合器は、第1の前記結合部の前記入射路のいずれかに入射される光を他方の前記出射路に出射する結合特性を有し、
第2の前記結合部の前記結合器は、第2の前記結合部の前記入射路のいずれかに入射される光を一方の前記出射路に出射する結合特性を有し、
第3の前記結合部の前記結合器は、第3の前記結合部の前記入射路のいずれかに入射される光を一方の前記出射路に出射する結合特性を有し、
第4の前記結合部の前記結合器は、第4の前記結合部の前記入射路のいずれかに入射される光をいずれかの前記出射路に出射するとともに、第4の一対の前記入射路に入射された光のうち少なくともいずれかを第4の一対の前記出射路に分割して出射する結合特性を有する光合波器。
【請求項2】
第1の前記結合部の前記入射路の一方には、入射する複数の波長の光のうち最も波長の長い光及び次に波長の長い光のうちのいずれかが入射され、
第2の前記結合部の前記入射路の他方には、入射する複数の波長の光のうち最も波長の長い光及び次に波長の長い光のうちのいずれかの残りが入射される請求項1に記載の光合波器。
【請求項3】
前記第4の前記結合部の前記入射路の一方には、第2の光が入射され、
前記第4の前記結合部の前記入射路の他方には、第1の光が入射され、
前記第4の前記結合部の前記出射路の一方には、第1の光が出射され、
前記第4の前記結合部の前記出射路の他方には、第1の光及び第2の光を合波した第1合波光が出力され、
前記第1の前記結合部の前記入射路の一方には、第3の光が入射され、
前記第1の前記結合部の前記入射路の他方には、第1の光が入射され、
前記第1の前記結合部の前記出射路の他方には、第1の光及び第3の光を合波した第2合波光が出力され、
前記第2の前記結合部の前記入射路の一方には、第1合波光が入射され、
前記第2の前記結合部の前記入射路の他方には、第4の光が入射され、
前記第2の前記結合部の前記出射路の一方には、第4の光と第1合波光とを合波した第3合波光が出力され、
前記第3の前記結合部の前記入射路の一方には、第2合波光が入射され、
前記第3の前記結合部の前記入射路の他方には、第3合波光が入射され、
前記第3の前記結合部の前記出射路の一方には、第2合波光と第3合波光とを合波した第4合波光が出力される請求項1又は2に記載の光合波器。
【請求項4】
前記結合部は、第5の前記結合部をさらに備え、
第5の前記結合部の前記出射路の他方は、第4の前記結合部の前記入射路の一方に接続可能に構成される請求項1又は2に記載の光合波器。
【請求項5】
前記結合部は、第5の前記結合部をさらに備え、
第3の前記結合部の前記出射路の一方は、第5の前記結合部の前記入射路の他方に接続される請求項1からのいずれかに記載の光合波器。
【請求項6】
第5の前記結合部の前記結合器は、一対の前記入射路に入射された光を少なくとも一方の前記出射路に出射する結合特性を有する請求項又はに記載の光合波器。
【請求項7】
複数の波長の光を合波する光合波方法であって、
第1の光の一部と第2の光とを合波した合波光を第1合波光として出力する第1合波光出力段階と、
第1の光の他の一部と第3の光とを合波した合波光を第2合波光として出力する第2合波光出力段階と、
前記第1合波光と第4の光とを合波した合波光を第3合波光として出力する第3合波光出力段階と、
前記第2合波光と第3合波光とを合波して第4合波光として出力する第4合波光出力段階と、
を備える光合波方法。
【請求項8】
前記第1の光の波長をλ1、前記第2の光の波長をλ2、前記第3の光の波長をλ3、前記第4の光の波長をλ4として、λ1<λ2<λ3<λ4である請求項に記載の光合波方法。
【請求項9】
光合波器は、一対の入射路と、一対の出射路と、前記入射路及び前記出射路との間に配置され、前記入射路に入射した光を結合して前記出射路に出射する結合器を有する結合部を4つ備え、
前記結合部の1つの前記入射路は、他の前記結合部の前記出射路と連結され、
第1の前記結合部の前記出射路の他方は、第3の前記結合部の前記入射路の一方に接続され、
第2の前記結合部の前記出射路の一方は、第3の前記結合部の前記入射路の他方に接続され、
第4の前記結合部の前記出射路の一方は、第1の前記結合部の前記入射路の他方に接続され、
第4の前記結合部の前記出射路の他方は、第2の前記結合部の前記入射路の一方に接続され、
第1の前記結合部の前記結合器と、第2の前記結合部の前記結合器と、第3の前記結合部の前記結合器とは、異なる結合特性を有する光合波器を用いて複数の波長の光を合波する光合波方法であって、
第2の光が前記第4の前記結合部の前記入射路の一方に入射される段階と、
第1の光が前記第4の前記結合部の前記入射路の他方に入射される段階と、
第1の光が前記第4の前記結合部の前記出射路の一方に出射される段階と、
1の光及び第2の光を合波した第1合波光が前記第4の前記結合部の前記出射路の他方に出力される段階と、
第3の光が前記第1の前記結合部の前記入射路の一方に入射される段階と、
第1の光が前記第1の前記結合部の前記入射路の他方に入射される段階と、
第1の光及び第3の光を合波した第2合波光が前記第1の前記結合部の前記出射路の他方に出力される段階と、
第1合波光が前記第2の前記結合部の前記入射路の一方に入射される段階と、
第4の光が前記第2の前記結合部の前記入射路の他方に入射される段階と、
第4の光と第1合波光とを合波した第3合波光が前記第2の前記結合部の前記出射路の一方に出力される段階と、
第2合波光が前記第3の前記結合部の前記入射路の一方に入射される段階と、
第3合波光が前記第3の前記結合部の前記入射路の他方に入射される段階と、
第2合波光と第3合波光とを合波した第4合波光が前記第3の前記結合部の前記出射路の一方に出力される段階と、
を備える光合波方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合波器及び光合波方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザー光を二次元的に走査させることで使用者に画像を視認させるレーザーディスプレイが知られている。レーザーディスプレイにおいては、一般的にR(赤色)光源、G(緑色)光源、及びB(青色)光源から照射される3色の可視光が互いに近接されて、画像表示部に伝送される。画像表示部は、伝送された光を二次元的に走査することで、投影対象に映像を投影する。例えば、特許文献1には、RGBの各色に対応するレーザー光を近接させて投影する光集積回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-35876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、上記のように、RGBの3色の近接(合波)に限定される。これに対し、4色(4種類の波長)以上の光を合波することができれば好適である。
【0005】
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであり、4種類以上の波長の光を合波することが可能な光合波器及び光合波方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の波長の光を合波可能な光合波器であって、一対のメイン入射路と、一対のメイン出射路と、前記メイン入射路及び前記メイン出射路との間に配置され、前記メイン入射路に入射した光を結合して前記メイン出射路に出射するメイン結合器と、を有する複数の結合部を備え、前記結合部の1つの前記メイン入射路は、他の前記結合部の前記メイン出射路と連結され、前記メイン結合器のそれぞれは、他の前記メイン結合器の少なくとも1つと異なる結合特性を有する光合波器に関する。
【0007】
また、前記複数の結合部を一組とする基準ユニットと、前記基準ユニットに接続可能なサブユニットと、を備え、前記サブユニットは、一対のサブ入射路と、一対のサブ出射路と、前記サブ入射路に入射した光を結合して前記サブ出射路に出射するサブ結合器と、を有し、前記サブ入射路は、前記メイン出射路に接続可能に構成され、前記サブ出射路は、前記メイン入射路に接続可能に構成されるのが好ましい。
【0008】
また、前記サブ入射路は、他の前記サブユニットの前記サブ出射路に接続可能に構成されるのが好ましい。
【0009】
また、前記サブ出射路は、他の前記サブユニットの前記サブ入射路に接続可能に構成されるのが好ましい。
【0010】
また、前記基準ユニットは、3つの前記結合部を一組とし、第1の前記結合部の前記メイン出射路の他方は、第3の前記結合部の前記メイン入射路の一方に接続され、第2の前記結合部の前記メイン出射路の一方は、第3の前記結合部の前記メイン入射路の他方に接続され、第1の前記結合部の前記メイン結合器と、第2の前記結合部の前記メイン結合器と、第3の前記結合部の前記メイン結合器とは、異なる結合特性を有するのが好ましい。
【0011】
また、第1の前記結合部の前記メイン入射路の一方には、前記基準ユニットに入射する複数の波長の光のうち最も波長の長い光及び次に波長の長い光のうちのいずれかが入射され、第2の前記結合部の前記メイン入射路の他方には、前記基準ユニットに入射する複数の波長の光のうち最も波長の長い光及び次に波長の長い光のうちのいずれかの残りが入射されるのが好ましい。
【0012】
また、第1の前記結合部の前記メイン結合器は、第1の前記結合部の前記メイン入射路のいずれかに入射される光を他方の前記メイン出射路に出射する結合特性を有し、第2の前記結合部の前記メイン結合器は、第2の前記結合部の前記メイン入射路のいずれかに入射される光を一方の前記メイン出射路に出射する結合特性を有し、第3の前記結合部の前記メイン結合器は、第3の前記結合部の前記メイン入射路のいずれかに入射される光をいずれかの前記メイン出射路に出射する結合特性を有するのが好ましい。
【0013】
また、前記サブユニットの前記サブ出射路の一方は、第1の前記結合部の他方の前記メイン入射路に接続され、前記サブユニットの前記サブ出射路の他方は、第2の前記結合部の一方の前記メイン入射路に接続されるのが好ましい。
【0014】
また、前記サブユニットの前記サブ結合器は、一対の前記サブ入射路に入射された光を少なくとも一方の前記サブ出射路に出射する結合特性を有するのが好ましい。
【0015】
また、前記サブユニットの前記サブ入射路の他方は、他の前記サブユニットの前記サブ出射路の一方に接続されるのが好ましい。
【0016】
また、前記第3の結合部の前記メイン出射路の一方は、他の前記サブユニットの前記サブ入射路の他方に接続されるのが好ましい。
【0017】
また、前記サブユニットの前記サブ結合器は、一対の前記サブ入射路に入射された光のうち少なくともいずれかを一対の前記サブ出射路に分割して出射する結合特性を有するのが好ましい。
【0018】
また、本発明は、複数の波長の光を合波する光合波方法であって、第1の光の一部と第2の光とを合波して光を第1合波光として出力する第1合波光出力段階と、第1の光の他の一部と第3の光とを合波して第2合波光として出力する第2合波光出力段階と、前記第1合波光と第4の光とを合波して第3合波光として出力する第3合波光出力段階と、前記第2合波光と第3合波光とを合波して第4合波光として出力する第4合波光出力段階と、を備える光合波方法に関する。
【0019】
また、前記第1の光の波長をλ1、前記第2の光の波長をλ2、前記第3の光の波長をλ3、前記第4の光の波長をλ4として、λ1<λ2<λ3<λ4であるのが好ましい。
【0020】
また、本発明は、複数の波長の光を合波する光合波方法であって、少なくとも2つの光を合波可能な結合部の出射路を他の結合部の入射路に接続段階を備える光合波方法に関する。
【0021】
また、前記第1の光の波長をλ1、前記第2の光の波長をλ2、前記第3の光の波長をλ3、前記第4の光の波長をλ4として、λ1<λ2<λ3<λ4であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、4種類以上の波長の光を合波することが可能な光合波器及び光合波方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る光合波器の結合部と入射される光との関係を示す概略図である。
図2】第1実施形態の光合波器の結合部と入射される光との関係を示す概略図である。
図3】第1実施形態の光合波器の構成を示す概略図である。
図4】第1実施形態の光合波器の入射される光の波長と、結合特性との関係を示す概略図である。
図5】第1実施形態の光合波器に入射される光の波長と合波効率とを示す表である。
図6】第1実施形態の光合波器に入射される第1の光の通過したルートを示すイメージ図である。
図7】第1実施形態の光合波器に入射される第2の光の通過したルートを示すイメージ図である。
図8】第1実施形態の光合波器に入射される第3の光の通過したルートを示すイメージ図である。
図9】第1の実施形態の光合波器に入射される第4の光の通過したルートを示すイメージ図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る光合波器の構成を示す概略図である。
図11】第2実施形態の光合波器に入射される光の波長に対する結合特性を示す表である。
図12】第2実施形態の光合波器に入射される光の波長と合波効率とを示す表である。
図13】本発明の第3実施形態に係る光合波器の構成を示す概略図である。
図14】第3実施形態の光合波器に入射される光の波長に対する結合特性を示す表である。
図15】第3実施形態の光合波器に入射される光の波長と合波効率とを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の各実施形態に係る光合波器1及び光合波方法について、図1から図15を参照して説明する。
まず、各実施形態に係る光合波器1及び光合波方法の概要について説明する。
【0025】
光合波器1は、例えば、複数の波長の光を合波可能な装置である。特に、光合波器1は、4つ以上の波長の異なる光を合波可能な装置である。光合波器1は、例えば、図1に示すような、一対のメイン入射路110,120と、一対のメイン出射路130,140と、メイン結合器150とを有する結合部10を複数有する。光合波器1は、複数の結合部10の組み合わせを用いて、複数の波長の光を合波する。光合波器1は、例えば、複数の結合部10を組み合わせた構造を有する。
【0026】
次に、結合部10の構成について説明する。ここでは、結合部10は、方向性結合器の場合を例に説明されるが、光を一対のメイン入射路から入射し、一対のメイン出射路から出射するものであれば、方向性結合器以外のどのようなものでも当てはまる。例えば、結合部10は、方向性結合器以外の多モード干渉型結合器等必ずしも方向性結合器に限定されるものではなく、光を一対のメイン入射路110,120から入射し、一対のメイン出射路130,140から出射するものであればどのようなものであってもよい。方向性結合器とは、光導波路を2本接近して平行に配置した構造の結合器のことである。方向性結合器は、光導波路から漏れ出した光フィールドが隣の光導波路に達し、光が導波路に沿って伝搬するにつれて、隣の導波路に光が乗り移る、又は再度元の導波路に戻る現象を利用した光結合器である。
【0027】
また、多モード干渉型結合器は、波長に比べて比較的広い幅の光導波路(多モード光導波路)からなり、その中を伝搬する光のモード数が多いことを利用して、この多モード光導波路に光入出射光導波路をつなげて光のスイッチングを行う結合器である。多モード光導波路は、単純な幅広の光導波路だけでなく、複数の光導波路からなる場合や導波路幅が伝搬方向で変化するもの等、様々な形状のものが存在する。
【0028】
一対のメイン入射路110,120のそれぞれは、いわゆる導波路である。メイン入射路110,120は、例えば、単一モード導波路あるいは基本モードを主成分とする導波路であるのが好ましい。一対のメイン入射路110,120のそれぞれは、入射される光の伝送路として機能する。本実施形態において、一対のメイン入射路110,120は、入射口から伝送方向に沿って互いの間隔が小さくなるように接近し、もっとも代表的な例は、互いに近接する方向に湾曲する形状で接近するものである。
【0029】
一対のメイン出射路130,140のそれぞれは、いわゆる導波路である。一対のメイン出射路130,140のそれぞれは、出射される光の伝送路として機能する。本実施形態において、一対のメイン出射路130,140は、出射口に向かう伝送方向に沿って互いの間隔が大きくなるように離間し、もっとも代表的な例は、互いに近接する方向に湾曲する形状で離間するものである。
【0030】
メイン結合器150は、メイン入射路110,120に沿って入射された光を実際に合波する合波器である。メイン結合器150は、メイン入射路110,120及びメイン出射路130,140の間に配置され、メイン入射路110,120に入射した光を結合してメイン出射路130,140に出射する。メイン結合器150は、所定の結合特性を有する。メイン結合器150は、例えば、図1に示すように、所定の波長λの光について、一方のメイン入射路110に入射された光のほぼ全てについて、他方のメイン出射路140に出射する結合特性を有する。この結合特性となるメイン結合器150の長さ(結合長)について、本実施形態では所定の波長に対する「完全結合長」という。また、図2に示すように、メイン結合器150は、完全結合長の2倍の長さである場合に、一方のメイン入射路110に入射された所定の波長λの光のほぼ全てについて、一方のメイン出射路130に出射する結合特性を有する。なお、図2の場合、一方のメイン入射路110に入射された波長λの光は、メイン結合器150において、一旦、他方のメイン出射路140に移った後一方のメイン出射路130に移るように伝送される。メイン結合器150の長さが3Lである場合、一方のメイン入射路110に入射された波長λの光は、メイン結合器150において、一旦、他方のメイン出射路140に移った後一方のメイン出射路130に移り、再度他方のメイン出射路140に移るように伝送される。このように、入射された光は、波長λによって決まる完全結合長と、メイン結合器150の長さとによって、一対のメイン出射路130,140の両方又はいずれか一方から出射する。
【0031】
ここで、結合部10の1つのメイン入射路110,120は、他の結合部10のメイン出射路130,140と接続される。これにより、1つの結合部10に入射された光は、1又は複数の結合部10を経由して、最終的に、1つのメイン出射路130,140から出射される。
【0032】
以下の実施形態では、3つの結合部10を所定の組み合わせで接続したものを基準ユニット100として説明する。また、基準ユニット100に着脱自在に構成される結合部10をサブユニット21として説明する。そして、以下の実施形態では、基準ユニット100に対してサブユニット21の接続の組み合わせを変更することにより、種々の波長の光を合波可能にする。
【0033】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態に係る光合波器1及び光合波方法について、図1から図9を参照して説明する。
光合波器1は、図3に示すように、基準ユニット100と、サブユニット21と、を備える。本実施形態において、光合波器1は、第1の光(波長λ1)、第2の光(波長λ2)、第3の光(波長λ3)、及び第4の光(波長λ4)の4つの光を合波する。ここで、4つの光の波長の関係は、λ1<λ2<λ3<λ4である。また、以下の説明において、一対のメイン入射路110,120及び一対のメイン出射路130,140について、図3に示す光合波器1のうち、紙面上方側に位置する側を「一方」、紙面下方側に位置する側を「他方」として説明する。
【0034】
基準ユニット100は、複数の結合部10を一組とする。本実施形態において、基準ユニット100は、図3に示すように、3つの結合部10を一組とする。具体的には、基準ユニット100は、第1の結合部11と、第2の結合部12と、第3の結合部13と、を備える。
【0035】
第1の結合部11は、一対のメイン入射路111,121の一方に、第3の光を入射可能に構成される。第1の結合部11のメイン結合器151は、第1の結合部11のメイン入射路121に入射される光を他方のメイン出射路141に出射する結合特性を有する。具体的には、第1の結合部11のメイン結合器151は、図4に示すように、第3の光の完全結合長であるL/2の長さを有する。ここで、Lは、第2の光の波長λ2に対する完全結合長である。第1の結合部11のメイン出射路131,141の他方は、後述する第3の結合部13のメイン入射路113,123の一方に接続される。具体的には、メイン出射路131,141のうち、メイン結合器151の長さ方向を境にして、第3の光が入射される第1の結合部11のメイン入射路121と同じ側に配置されるメイン出射路141が、第3の結合部13の一方のメイン入射路113に接続される。なお、第1の結合部11の一方のメイン入射路111には、複数の光のうち、最も波長の長い光よりも次に長い波長の長い光(本実施形態では、第3の光)が入射される。
【0036】
第2の結合部12は、一対のメイン入射路112,122の他方に、第4の光を入射可能に構成される。第2の結合部12のメイン結合器152は、第2の結合部12のメイン入射路112,122に入射される光を一方のメイン出射路132に出射する結合特性を有する。具体的には、第2の結合部12のメイン結合器152は、第4の光の完全結合長であるL/3の長さを有する。第2の結合部12の一方のメイン出射路132は、後述する第3の結合部13の他方のメイン入射路123に接続される。具体的には、メイン出射路132,142のうち、メイン結合器152の長さ方向を境にして、第4の光の入射されるメイン入射路122とは逆側に配置されるメイン出射路132が、第3の結合部13の他方のメイン入射路123に接続される。なお、第2の結合部12の他方のメイン入射路には、複数の光のうち、最も波長の長い波長の光(本実施形態では、第4の光)が入射される。
【0037】
第3の結合部13は、第1の結合部11及び第2の結合部12と接続される。具体的には、第3の結合部13の一方のメイン入射路113は、第1の結合部11の他方のメイン出射路141に接続される。また、第3の結合部13の他方のメイン入射路123は、第2の結合部12の一方のメイン出射路132に接続される。第3の結合部13のメイン結合器153は、第3の結合部13のメイン入射路113,123に入射される光を一方のメイン出射路133に出射する結合特性を有する。具体的には、第3の結合部13のメイン結合器153は、第2の光の完全結合長であるLの長さを有する。
【0038】
サブユニット21は、基準ユニット100に接続可能に構成される。サブユニット21は、一対のサブ入射路211,221と、一対のサブ出射路231,241と、サブ結合器251と、を備える。本実施形態において、サブユニット21は、図3に示すように、1つ設けられる。また、本実施形態において、サブユニット21は、第1の結合部11及び第2の結合部12に結合される。
【0039】
一対のサブ入射路211,221のそれぞれは、いわゆる導波路である。一対のサブ入射路211,221のそれぞれは、入射される光の伝送路として機能する。本実施形態において、一対のサブ入射路211,221のそれぞれは、第1の光と、第2の光とを入射する。具体的には、サブ結合器251の長さ方向を境にして、第1の結合部11の側に、第2の光が入射される。また、第2の結合部12の側に第1の光が入射される。本実施例において、サブ出射路231,241は、メイン入射路121,112に接続可能に構成される。本実施形態において、一対のサブ入射路211,221は、入射口から伝送方向に沿って互いの間隔が小さくなるように接近し、もっとも代表的な例は、互いに近接する方向に湾曲する形状で接近するものである。
【0040】
一対のサブ出射路231,241のそれぞれは、いわゆる導波路である。一対のサブ出射路231,241のそれぞれは、出射される光の伝送路として機能する。本実施形態において、一対のサブ出射路231,241は、出射口に向かう伝送方向に沿って互いの間隔が大きくなるように離間し、もっとも代表的な例は、互いに近接する方向に湾曲する形状で離間するものである。
【0041】
以上のような光合波器1は、以下のように動作する。
まず、基準ユニット100に対して、サブユニット21が結合される。具体的には、図3に示すように、基準ユニット100の第1の結合部11の他方のメイン入射路121と、第2の結合部12の一方のメイン入射路112とに対して、サブユニット21の一対のサブ出射路231,241が結合される。
【0042】
次いで、サブユニット21の一対のサブ入射路のそれぞれに、第1の光(完全結合長2L)と、第2の光(完全結合長L)とが入射される。具体的には、他方のサブ入射路221に、第1の光が入射される。そして、一方のサブ入射路211に、第2の光が入射される。第1の光は、他方のサブ入射路221からサブ結合器251(結合長L)に入射される。第1の光は、サブ結合器251において、サブ出射路231,241に分割されて出射される。これにより、第1の光は、一対のサブ出射路231,241のそれぞれに分岐して出射される。一方、第2の光は、一方のサブ入射路211からサブ結合器251に入射される。第2の光は、サブ結合器251において、一方のサブ入射路211から他方のサブ出射路241に概ね乗り移る。これにより、第2の光は、他方のサブ出射路241から概ね出射される。すなわち、一方のサブ出射路231には、分割された光量を有する第1の光が出射される。そして、他方のサブ出射路241には、分割された光量を有する第1の光と、第2の光との合波光(以下、第1合波光ともいう)が出射される。
【0043】
また、第3の光(完全結合長L/2)が第1の結合部11の一方のメイン入射路111に入射される。そして、一方のサブ出射路231に出射された第1の光が第1の結合部11の他方のメイン入射路121に入射される。第3の光は、一方のメイン入射路111からメイン結合器151(結合長L/2)に入射される。また、他方のメイン入射路121に入射された第1の光は、メイン結合器151に入射される。第3の光は、メイン結合器151において、一方のメイン入射路111から他方のメイン出射路141に概ね乗り移る。これにより、第3の光は、他方のメイン出射路141から概ね出射される。一方、第1の光は、メイン結合器151において、一方のメイン出射路131にほとんど乗り移りせずに、他方のメイン出射路141に出射される。これにより、他方のメイン出射路141には、第1の光と第3の光との合波光(以下、第2合波光ともいう)が出射される。
【0044】
また、第4の光(完全結合長L/3)が第2の結合部12の他方のメイン入射路122に入射される。そして、他方のサブ出射路241に出射された第1合波光(第1の光及び第2の光)が一方のメイン入射路112に入射される。第4の光は、他方のメイン入射路122からメイン結合器152(結合長L/3)に入射される。また、第1合波光は、一方のメイン入射路112からメイン結合器152に入射される。第4の光は、メイン結合器152において、他方のメイン入射路122から一方のメイン出射路132に概ね乗り移る。これにより、第4の光は、一方のメイン出射路132に概ね出射される。一方、第1合波光は、一方のメイン入射路112からメイン結合器152に入射される。第1合波光は、メイン結合器152において、他方のメイン出射路142にほとんど乗り移りせずに、一方のメイン出射路132に出射される。これにより、一方のメイン出射路132には、第4の光と第1合波光との合波光(以下、第3合波光ともいう)が出射される。
【0045】
そして、第2合波光が他方のメイン出射路141から第3の結合部13の一方のメイン入射路113に入射する。また、第3合波光が一方のメイン出射路132から第3結合部の他方のメイン入射路123に入射する。第2合波光は、一方のメイン入射路113からメイン結合器153(結合長L)に入射される。第3合波光は、他方のメイン入射路123からメイン結合器153に入射される。
【0046】
第2合波光及び第3合波光に含まれる第1の光は、メイン結合器153において1つの光に再度合波される。そして、合波された第1の光は、一方のメイン出射路133に出射される。ここで、第1の光は、サブユニット21において一対のサブ出射路231,241に分岐されるが、このとき、それぞれは位相が90°ずれて出射される。そして、第3の結合部13において結合される際に、第1の光は、位相が90°ずれたまま結合部13に入射する。その結果、第1の光は、結合部13を伝搬して、光結合器の場合、光結合器の偶モードと奇モードの位相差が90°ずれたときに、一方のメイン出射路133側に乗り移り、一方のメイン出射路133から出射される。
【0047】
第3合波光に含まれる第2の光は、メイン結合器153において、他方のメイン入射路123から一方のメイン出射路133に概ね乗り移る。これにより、第2の光は、一方のメイン出射路133から出射される。
【0048】
第2合波光に含まれる第3の光は、メイン結合器153において、一方のメイン入射路113から他方のメイン出射路143にほとんど乗り移りせずに、あるいはメイン結合器153中で乗り移っても最終的には元に戻って、一方のメイン出射路133に出射される。
【0049】
第3合波光に含まれる第4の光は、メイン結合器153において、他方のメイン入射路123から一方のメイン出射路133に概ね乗り移る。これにより、第2の光は、一方のメイン出射路133から出射される。以上により、第1の光、第2の光、第3の光、及び第4の光が合波されて、第4合波光として一方のメイン出射路133から出射される。
【0050】
次に、光合波方法について説明する。
光合波方法は、第1合波光出力段階と、第2合波光出力段階と、第3合波光出力段階と、第4合波光出力段階と、を備える。
【0051】
第1合波光出力段階は、第1の光の一部と、第2の光とを合波して第1合波光として出力する。第1合波光は、具体的には、サブユニット21の他方のサブ出射路241への出射光である。なお、本実施形態において、第1合波光出力段階は、第1合波光とは別に、第1の光の他の一部について、一方のサブ出射路231に出射する。
【0052】
第2合波光出力段階は、第1の光の他の一部と第3の光とを合波して第2合波光として出力する。具体的には、第2合波光出力段階は、一方のサブ出射路231に出射された第1の光と、第3の光とを合波して第2合波光として出力する。第2合波光は、第1の結合部11の他方のメイン出射路141への出射光となる。
【0053】
第3合波光出力段階は、第1合波光と第4の光とを合波して第3合波光として出力する。第3合波光は、第2の結合部12の一方のメイン出射路132への出射光となる。
【0054】
第4合波光出力段階は、出力された第2合波光と第3合波光とを合波して第4合波光として出力する。第4合波光は、具体的には、第3の結合部13の一方のメイン出射路133への出射光である。第4合波光は、4つの光が合波された光となる。
【0055】
[実施例1]
次に、本実施形態の実施例1を説明する。
図5に示すように、λ1=450nm、λ2=520nm、λ3=635nm、λ4=720nmとした。その結果、第3の結合部13の一方のメイン出射路133から出射された合波光の合波効率について、λ1は96.1%、λ2は92.8%、λ3は98.0%、λ4は99.9%であった。
【0056】
その結果、第1の光は、図6に示すように、サブユニット21において、他方のサブ入射路221から入射して、一対のサブ出射路231,241のそれぞれに出射する。その後、第1の光は、第1の結合部11において、他方のメイン入射路121から入射して、他方のメイン出射路141から出射した。また、第1の光は、第2の結合部12において、一方のメイン入射路112から入射して、一方のメイン出射路132から出射した。そして、第1の光は、第3の結合部13において、一対のメイン入射路113,123から入射して、一方のメイン出射路133から出射した。
【0057】
第2の光は、図7に示すように、サブユニット21において、一方のサブ入射路211から入射して、他方のサブ出射路241から出射した。第2の光は、第2の結合部12において、一方のメイン入射路112から入射して、一方のメイン出射路132から出射した。第2の光は、第3の結合部13において、他方のメイン入射路123から入射して、一方のメイン出射路133から出射した。
【0058】
第3の光は、図8に示すように、第1の結合部11において、一方のメイン入射路111から入射して、他方のメイン出射路141から出射した。第3の光は、第3の結合部13において、一方のメイン入射路113から入射して、一方のメイン出射路133から出射した。
【0059】
第4の光は、図9に示すように、第2の結合部12において、他方のメイン入射路122から入射して、一方のサブ出射路132から出射した。第4の光は、第3の結合部13において、他方のメイン入射路123から入射して、一方のメイン出射路133から出射した。
これにより、第1の光、第2の光、第3の光、及び第4の光が第3の結合部13の一方のメイン出射路133から出射することがわかった。
【0060】
以上、本実施形態に係る光合波器1及び光合波方法によれば、以下の効果を奏する。
(1)複数の波長の光を合波可能な光合波器1であって、一対のメイン入射路110,120と、一対のメイン出射路130,140と、メイン入射路110,120及びメイン出射路130,140との間に配置され、メイン入射路110,120に入射した光を結合してメイン出射路130,140に出射するメイン結合器150と、を有する複数の結合部10を備え、結合部10の1つのメイン入射路110,120は、他の結合部10のメイン出射路130,140と連結され、メイン結合器150のそれぞれは、他のメイン結合器150の少なくとも1つと異なる結合特性を有する。これにより、複数の結合部10を通して合波される光は、いずれかの結合部10のメイン出射路130,140のいずれかにまとめて出力し得る。したがって、4つ以上の複数の光を容易に合波することができる。特に、複数の結合部10の結合関係を変化させることにより、入力される波長に対して柔軟に対応可能な光合波器1を提供することができる。
【0061】
(2)複数の結合部10を一組とする基準ユニット100と、基準ユニット100に接続可能なサブユニット21と、を備え、サブユニット21は、一対のサブ入射路211,221と、一対のサブ出射路231,241と、サブ入射路211,221に入射した光を結合してサブ出射路231,241に出射するサブ結合器251と、を有し、サブ出射路231,241は、メイン入射路110,120に接続可能に構成される。これにより、基準ユニット100に対してサブユニット21を自由に組み替えて接続することにより、入射される光と合波された光の出射位置を適宜制御することができる。したがって、光合波器1の柔軟性を向上することができる。
【0062】
(3)基準ユニット100は、3つの結合部10を一組とし、第1の結合部11のメイン出射路131,141の他方は、第3の結合部13のメイン入射路113,123の一方に接続され、第2の結合部12のメイン出射路132,142の一方は、第3の結合部13のメイン入射路113,123の他方に接続され、第1の結合部11のメイン結合器151と、第2の結合部12のメイン結合器152と、第3の結合部13のメイン結合器153とは、異なる結合特性を有する。これにより、波長の異なる複数の光について、それぞれの結合部10における出射位置をある程度限定することができる。したがって、基準ユニット100を元に、複数のサブユニット21を接続して調整することにより、様々な波長の光を合波することができる。
【0063】
(4)第1の結合部11のメイン結合器151は、第1の結合部11のメイン入射路111,121のいずれかに入射される光をメイン出射路131,141の他方に出射する結合特性を有し、第2の結合部12のメイン結合器152は、第2の結合部12のメイン入射路112,122のいずれかに入射される光をメイン出射路132,142の一方に出射する結合特性を有し、第3の結合部13のメイン結合器153は、第3の結合部13のメイン入射路113,123のいずれかに入射される光をいずれかのメイン出射路133,143に出射する結合特性を有する。これにより、基準ユニット100から出射される光を第3の結合部13のメイン出射路133,143のいずれかにまとめて出力することができる。
【0064】
(5)サブユニット21のサブ出射路231,241の一方は、第1の結合部11の他方のメイン入射路121に接続され、サブユニット21の他方のサブ出射路241は、第2の結合部12の一方のメイン入射路112に接続される。これにより、4つの入射される光を好適に合波することができる。
【0065】
(6)サブユニット21のサブ結合器251は、一対のサブ入射路211,221に入射された光を少なくとも一方のサブ出射路231,241に出射する結合特性を有する。これにより、サブユニットに入射された光について、基準ユニット100に入射される前に、好ましい状態に変更することができる。
【0066】
(7)サブユニット21のサブ結合器251は、一対のサブ入射路211,221に入射された光の少なくともいずれかを一対のサブ出射路231,241に分割して出射する結合特性を有する。
【0067】
(8)複数の波長の光を合波する光合波方法であって、第1の光の一部と第2の光とを合波して光を第1合波光として出力する第1合波光出力段階と、第1の光の他の一部と第3の光とを合波して第2合波光として出力する第2合波光出力段階と、第1合波光と第4の光とを合波して第3合波光として出力する第3合波光出力段階と、第2合波光と第3合波光とを合波して第4合波光として出力する第4合波光出力段階と、を備える。これにより、4以上の波長の光を容易に合波することができる。
【0068】
(9)第1の光の波長をλ1、第2の光の波長をλ2、第3の光の波長をλ3、第4の光の波長をλ4として、λ1<λ2<λ3<λ4である。これにより、4以上の波長の光を好適に合波することができる。
【0069】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る光合波器1及び光合波方法について、図10から図12を参照して説明する。第2実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態に係る光合波器1及び光合波方法は、5つの光を合波する点で第1実施形態と異なる。第2実施形態に係る光合波器1及び光合波方法は、図10に示すように、1つの基準ユニット100及び1つのサブユニット21に対して、さらなるサブユニット22を接続している点で、第1実施形態と異なる。
【0070】
また、第2実施形態に係る光合波器1及び光合波方法は、図11に示すように、第1の光の波長をλ1、第2の光の波長をλ2、第3の光の波長をλ3、第4の光の波長をλ4、第5の光の波長をλ5とする点で第1実施形態と異なる。
【0071】
また、第2実施形態に係る光合波器1及び光合波方法は、それぞれの光の完全結合長が、2L、L、L/2、L/3、及びL/4である点で第1実施形態と異なる。また、第2実施形態に係る光合波器1及び光合波方法は、λ1<λ2<λ3<λ4<λ5である点で、第1実施形態と異なる。
【0072】
光合波器1は、図10に示すように、第1の実施形態の光合波器1に対して、さらなるサブユニット(以下、第2のサブユニット22とする)を接続した構成を有する。具体的には、光合波器1は、第1の実施形態のサブユニット(以下、第1のサブユニット21とする)の一方のサブ入射路211に、他のサブユニット(第2のサブユニット22)の他方のサブ出射路242を接続した構成を有する。換言すると、第2のサブユニット22のサブ出射路232,242の他方は、他のサブユニット(第1のサブユニット21)のサブ入射路211,221の一方に接続可能に構成される。また、第2実施形態に係る光合波器1及び光合波方法では、第1の結合部11の一方のメイン入射路111に、第5の光が入射される。また、第2の結合部12の他方のメイン入射路122に、第4の光が入射される。そして、第2実施形態に係る光合波器1及び光合波方法は、第1の結合部11の完全結合長がL/4であり、第2の結合部12の完全結合長がL/3である点で第1実施形態と異なる。すなわち、第1の結合部11及び第2の結合部12のそれぞれは、第1の結合部11及び第2の結合部12に直接入力される第5の光及び第4の光の完全結合長を有する。
【0073】
第2のサブユニット22は、完全結合長Lのサブ結合器252を有する。すなわち、第2のサブユニット22は、第1のサブユニット21と同じ構成を有する。第2のサブユニット22の一方のサブ入射路212には、第2の光が入射される。第2のサブユニット22の他方のサブ入射路222には、第3の光が入射される。
【0074】
次に、本実施形態の光合波器1の動作を説明する。
第1の光は、第1実施形態と同様に入射及び出射される。
【0075】
第2の光は、第2のサブユニット22において、他方のサブ出射路242から出射する。第2の光に関するその後の流れは、第1の実施形態と同様である。
【0076】
第3の光は、第2のサブユニット22において、他方のサブ出射路242から出射する。次いで、第3の光は、第1のサブユニット21において、一方のサブ入射路211から入射して、一方のサブ出射路231から出射する。第3の光は、第1の結合部11の他方のメイン入射路121から入射して、他方のメイン出射路141から出射する。第3の光は、第3の結合部13の一方のメイン入射路113から入射して、一方のメイン出射路133から出射する。
【0077】
第4の光は、第2の結合部12の他方のメイン入射路122から入射して、一方のメイン出射路132から出射する。第4の光は、第3の結合部13の他方のメイン入射路123から入射して、一方のメイン出射路133から出射する。
【0078】
第5の光は、第1の結合部11の一方のメイン入射路111から入射して、他方のメイン出射路141から出射する。第5の光は、第3の結合部13の一方のメイン入射路113から入射して、一方のメイン出射路133から出射する。
【0079】
[実施例2]
図12に示すように、λ1=450nm、λ2=520nm、λ3=635nm、λ4=720nm、λ5=840nmとした。その結果、合波効率は、それぞれ、97.7%、91.6%、87.3%、99.8%、96.8%となり、良好に合波できていることがわかった。
【0080】
以上、本実施形態に係る光合波器1及び光合波方法によれば、以下の効果を奏する。
(10)サブ入射路211,221の一方は、他のサブユニット22のサブ出射路232,242の他方に接続可能に構成される。これにより、サブユニット21を複数組み合わせることにより、複数の波長の光を柔軟に合波することができる。
【0081】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る光合波器1及び光合波方法について、図13から図15を参照して説明する。第3実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第3実施形態に係る光合波器1及び光合波方法は、5つの光を合波する点で第1実施形態と異なる。第3実施形態に係る光合波器1及び光合波方法は、図13に示すように、1つの基準ユニット100及び1つのサブユニット21に対して、さらなるサブユニット23を接続している点で、第1実施形態と異なる。
【0082】
また、第3実施形態に係る光合波器1及び光合波方法は、図14に示すように、第1の光の波長をλ1、第2の光の波長をλ2、第3の光の波長をλ3、第4の光の波長をλ4、第5の光の波長をλ5とする点で第1実施形態と異なる。
【0083】
また、第3実施形態に係る光合波器1及び光合波方法は、それぞれの光の完全結合長が、2L、L、L/2、L/3、及びL/6である点で第1及び第2実施形態と異なる。また、第3実施形態に係る光合波器1及び光合波方法は、λ1<λ2<λ3<λ4<λ5である点で、第1実施形態と異なる。また、第3実施形態に係る光合波器1及び光合波方法では、第3のサブユニット23の他方のサブ入射路223が、第3の結合部13のメイン出射路133,134の一方に接続される点で第1及び第2実施形態と異なる。そして、第3のサブユニット23の一方のサブ入射路213に第5の光が入射される点で、第1実施形態と異なる。第3のサブユニット23は、L/6となる完全結合長を有する。
【0084】
第3のサブユニット23は、完全結合長L/6のサブ結合器を有する。第3のサブユニット23の一方のサブ入射路213には、第5の光が入射される。また、第3のサブユニット23の他方のサブ入射路223には、第3の結合部13の一方のメイン出射路133が接続される。
【0085】
次に、本実施形態に係る光合波器1の動作を説明する。
第1の光から第4の光の入射及び出射の関係は、第3の結合部13の一方のメイン出射路133から出射されるまでは、第1の実施形態と同様である。第1の光から第4の光は、第3のサブユニット23の他方のサブ入射路223に入射され、他方のサブ出射路243から出射される。
【0086】
第5の光は、第3のサブユニットの一方のサブ入射路213に入射され、他方のサブ出射路243から出射される。これにより、第1から第5の光は合波される。
【0087】
[実施例3]
図15に示すように、λ1=450nm、λ2=520nm、λ3=635nm、λ4=720nm、λ5=960nmとした。その結果、合波効率は、それぞれ、96.1%、92.7%、97.6%、94.8%、95.9%となり、良好に合波できていることがわかった。
【0088】
以上、本発明の光合波器及び光合波方法の好ましい各実施形態につき説明したが、本開示は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態において、完全結合長は、メイン結合器150及びサブ結合器251の長さを変更することで実施されるとしたが、これに制限されない。完全結合長は、2つの導波路の間の間隔を変更することで実現されてもよい。また、完全結合長は、導波路の太さを変更することで実現されてもよい。
【0089】
また、上記実施形態において、サブユニット21の数は1つ又は2つに限定されず、さらに多くのサブユニット21が用いられてもよい。この場合、入力される光の波長に応じて、種々の完全結合長を有するサブユニット21を組み合わせてもよい。
【0090】
また、上記実施形態において、光結合方法は、少なくとも2つの光を合波可能な結合部10の出射路を他の結合部10の入射路に接続段階を備えてもよい。これにより、合波する光の数及び光の波長に応じて、様々な結合器を柔軟に結合して光を合波することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 光合波器
10 結合部
11 第1の結合部
12 第2の結合部
13 第3の結合部
21、22、34 サブユニット
100 基準ユニット
110、111、112、113、120、121、122、123 メイン入射路
130、131、132、133、140、141、142、143 メイン出射路
150、151、152、153 メイン結合器
211、221、212、222、213、223 サブ入射路
231、241、232、242、233、243 サブ出射路
251 サブ結合器
【要約】
4種類以上の波長の光を合波することが可能な光合波器及び光合波方法を提供すること。
複数の波長の光を合波可能な光合波器1であって、一対のメイン入射路110,120と、一対のメイン出射路130,140と、メイン入射路110,120及びメイン出射路130,140との間に配置され、メイン入射路110,120に入射した光を結合してメイン出射路130,140に出射するメイン結合器150と、を有する複数の結合部10を備え、結合部10の1つのメイン入射路110,120は、他の結合部10のメイン出射路130,140と連結され、メイン結合器150のそれぞれは、他のメイン結合器150の少なくとも1つと異なる結合特性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15