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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】LEDパッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20220707BHJP
   H01L 33/52 20100101ALI20220707BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/52
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018007883
(22)【出願日】2018-01-22
(65)【公開番号】P2019129170
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】高 洋介
(72)【発明者】
【氏名】外山 智一郎
(72)【発明者】
【氏名】板井 順一
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0019234(US,A1)
【文献】特開平10-200153(JP,A)
【文献】特開2001-177151(JP,A)
【文献】特開2006-128266(JP,A)
【文献】特開2011-071444(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0141278(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向く表面および裏面と、前記裏面に設けられた第1裏面電極と、を有するLEDチップと、
前記第1裏面電極に導通する第1端子と、
前記第1裏面電極と前記第1端子とを接合する第1接合層と、を備え
前記第1接合層の組成は、Auを含む金属共晶であり、
前記厚さ方向に視て、前記第1接合層には、前記第1裏面電極の周縁の内側に向けて陥入する第1湾曲部が形成されており、
前記第1端子と前記第1裏面電極との間に位置し、かつ前記第1湾曲部を通るとともに、前記厚さ方向を法線方向とする境界面を設定すると、
前記第1接合層は、前記第1端子と前記境界面との間に位置する第1層と、前記境界面と前記第1裏面電極との間に位置する第2層と、を含み、
前記厚さ方向に視て、前記第1層は、前記LEDチップよりもはみ出した部分を含み、
前記第2層は、前記第1裏面電極の周縁に接している、LEDパッケージ。
【請求項2】
前記第1接合層の組成は、SnおよびInの少なくともいずれかを含む、請求項1に記載のLEDパッケージ。
【請求項3】
前記厚さ方向に視て、前記第1裏面電極の周縁は、前記裏面の周縁よりも内側に位置する、請求項1または2に記載のLEDパッケージ。
【請求項4】
前記LEDチップは、前記裏面に交差する切欠面を有し、
前記切欠面は、前記裏面に対して傾斜している、請求項1ないし3のいずれかに記載のLEDパッケージ。
【請求項5】
前記LEDチップを覆い、かつ透光性を有する封止樹脂をさらに備え、
前記封止樹脂は、前記第1湾曲部に接している、請求項1ないし4のいずれかに記載のLEDパッケージ。
【請求項6】
前記封止樹脂は、エポキシ樹脂を含む、請求項に記載のLEDパッケージ。
【請求項7】
前記第1端子から前記厚さ方向に対して直交する方向に離れた第2端子をさらに備え、
前記LEDチップは、前記表面に設けられた表面電極を有し、
前記表面電極は、前記第2端子に導通している、請求項5または6に記載のLEDパッケージ。
【請求項8】
前記表面電極と前記第2端子とを接続するワイヤをさらに備える、請求項に記載のLEDパッケージ。
【請求項9】
前記LEDチップは、前記裏面に設けられ、かつ前記第1裏面電極から離れた第2裏面電極を有し、
前記第1端子から前記厚さ方向に対して直交する方向に離れるとともに、前記第2裏面電極に導通する第2端子と、
前記第2裏面電極と前記第2端子とを接合する第2接合層と、をさらに備え、
前記第2接合層の組成は、前記第1接合層の組成と同一であり、
前記厚さ方向に視て、前記第2接合層には、前記第2裏面電極の周縁の内側に向けて陥入する第2湾曲部が形成されている、請求項5または6に記載のLEDパッケージ。
【請求項10】
前記厚さ方向に視て、前記第2端子と前記第2接合層との境界は、前記第2裏面電極の周縁よりも外側に位置する区間を含む、請求項に記載のLEDパッケージ。
【請求項11】
前記封止樹脂は、前記第2湾曲部に接している、請求項9または10に記載のLEDパッケージ。
【請求項12】
前記厚さ方向において前記表面と同じ側を向く基板主面と、前記基板主面とは反対側を向く基板裏面と、を有するとともに、前記第1端子および前記第2端子を支持する基板をさらに備え、
前記第1端子および前記第2端子の各々は、前記基板主面に配置された主面部と、前記基板裏面に配置された裏面部と、前記主面部と前記裏面部とを連結する中間部と、を有する、請求項7ないし11のいずれかに記載のLEDパッケージ。
【請求項13】
前記基板は、前記基板主面および前記基板裏面につながり、かつ前記第1端子および前記第2端子が離れる方向と同じ方向に離れた一対の基板側面を有し、
前記基板には、前記一対の基板側面の各々から凹み、かつ前記基板主面から前記基板裏面に至る凹溝が形成されており、
前記中間部は、前記凹溝に配置されている、請求項12に記載のLEDパッケージ。
【請求項14】
前記厚さ方向において前記表面と同じ側を向く頂面と、前記頂面から凹む凹部と、を有するとともに、前記第1端子および前記第2端子を支持する合成樹脂製のケースをさらに備え、
前記LEDチップおよび前記封止樹脂は、前記凹部に収容されている、請求項7ないし11のいずれかに記載のLEDパッケージ。
【請求項15】
前記凹部は、前記頂面に対して平行に配置された底面と、前記頂面と前記底面とを連結し、かつ前記LEDチップを囲む内周面と、を有し、
前記内周面は、前記底面に対して傾斜している、請求項14に記載のLEDパッケージ。
【請求項16】
前記底面から、前記第1端子および前記第2端子の各々の一部が露出している、請求項15に記載のLEDパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面電極を有するLEDチップを適用したLEDパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、裏面電極を有するLEDチップを適用したLEDパッケージの一例が開示されている。当該LEDパッケージでは、絶縁性基体に実装用導電パターンおよびボンディングワイヤ接合用導電パターンが形成されている。LEDチップの裏面電極は、ダイボンド(接合材)により実装用導電パターンに接合されている。また、ボンディングワイヤ接合用導電パターンには、ボンディングワイヤの一端が接続されており、ボンディングワイヤの他端は、LEDチップの表面電極に接続されている。ダイボンドには、導電性を有する銀ペーストが適用されている。
【0003】
ここで、銀ペーストは吸湿性を有する材料であるため、ダイボンドに銀ペーストを適用した場合、LEDパッケージの使用時にダイボンドが湿気を吸収することがある。ダイボンドが湿気を吸収すると、ダイボンドを介したLEDチップへの電力供給効率が低下することが懸念される。また、銀ペーストは、電気導電率が比較的低いため、ダイボンドに銀ペーストを適用したLEDパッケージは、より高出力型のLEDチップの適用にあたっては不向きであるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-219090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の事情に鑑み、使用時の信頼性を確保しつつ、より高出力型のLEDチップを適用することが可能なLEDパッケージを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、厚さ方向において互いに反対側を向く表面および裏面と、前記裏面に設けられた第1裏面電極と、を有するLEDチップと、前記第1裏面電極に導通する第1端子と、前記第1裏面電極と前記第1端子とを接合する第1接合層と、を備えるLEDパッケージであって、前記第1接合層の組成は、Auを含む金属共晶であり、前記LEDチップの厚さ方向視において、前記第1接合層には、前記第1裏面電極の周縁の内側に向けて陥入する第1湾曲部が形成されていることを特徴とするLEDパッケージが提供される。
【0007】
本発明の実施において好ましくは、前記第1接合層の組成は、SnおよびInの少なくともいずれかを含む。
【0008】
本発明の実施において好ましくは、前記LEDチップの厚さ方向視において、前記第1端子と前記第1接合層との境界は、前記第1裏面電極の周縁よりも外側に位置する区間を有する。
【0009】
本発明の実施において好ましくは、前記LEDチップの厚さ方向視において、前記第1裏面電極の周縁は、前記裏面の周縁よりも内側に位置する。
【0010】
本発明の実施において好ましくは、前記LEDチップは、前記裏面に交差する切欠面をさらに有し、前記切欠面は、前記裏面に対して傾斜している。
【0011】
本発明の実施において好ましくは、前記LEDチップを覆い、かつ透光性を有する封止樹脂をさらに備え、前記封止樹脂は、前記第1湾曲部に接している。
【0012】
本発明の実施において好ましくは、前記封止樹脂は、エポキシ樹脂を含む。
【0013】
本発明の実施において好ましくは、前記LEDチップの厚さ方向に対して直交する方向において、前記第1端子から離間した第2端子をさらに備え、前記LEDチップは、前記表面に設けられた表面電極をさらに有し、前記表面電極は、前記第2端子に導通している。
【0014】
本発明の実施において好ましくは、前記表面電極と前記第2端子とを接続するワイヤをさらに備える。
【0015】
本発明の実施において好ましくは、前記LEDチップは、前記裏面に設けられ、かつ前記第1裏面電極から離間した第2裏面電極をさらに有し、前記LEDチップの厚さ方向に対して直交する方向において、前記第1端子から離間し、かつ前記第2裏面電極に導通する第2端子と、前記第2裏面電極と前記第2端子とを接合する第2接合層と、をさらに備え、前記第2接合層の組成は、前記第1接合層の組成と同一であり、前記LEDチップの厚さ方向視において、前記第2接合層には、前記第2裏面電極の周縁の内側に向けて陥入する第2湾曲部が形成されている。
【0016】
本発明の実施において好ましくは、前記LEDチップの厚さ方向視において、前記第2端子と前記第2接合層との境界は、前記第2裏面電極の周縁よりも外側に位置する区間を有する。
【0017】
本発明の実施において好ましくは、前記封止樹脂は、前記第2湾曲部に接している。
【0018】
本発明の実施において好ましくは、前記表面と同方向を向く基板主面と、前記基板主面とは反対側を向く基板裏面と、を有し、かつ前記第1端子および前記第2端子を支持する基板をさらに備え、前記第1端子および前記第2端子の各々は、前記基板主面に配置された主面部と、前記基板裏面に配置された裏面部と、前記主面部と前記裏面部とを連結する中間部と、を有する。
【0019】
本発明の実施において好ましくは、前記基板は、前記基板主面および前記基板裏面の双方に交差し、かつ前記第1端子および前記第2端子が互いに離間する方向に離間した一対の基板側面をさらに有し、前記基板には、各々の前記基板側面から凹み、かつ前記基板主面から前記基板裏面に到達する凹溝が形成され、前記中間部は、前記凹溝に配置されている。
【0020】
本発明の実施において好ましくは、前記表面と同方向を向く頂面と、前記頂面から凹む凹部と、を有し、かつ前記第1端子および前記第2端子を支持する合成樹脂製のケースをさらに備え、前記LEDチップおよび前記封止樹脂は、ともに前記凹部に収容されている。
【0021】
本発明の実施において好ましくは、前記凹部は、前記頂面に対して平行に配置された底面と、前記頂面と前記底面とを連結し、かつ前記LEDチップを囲む内周面と、を有し、前記内周面は、前記底面に対して傾斜している。
【0022】
本発明の実施において好ましくは、前記底面から、前記第1端子および前記第2端子のそれぞれ一部ずつが露出している。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかるLEDパッケージによれば、使用時の信頼性を確保しつつ、より高出力型のLEDチップを適用することが可能となる。
【0024】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態にかかるLEDパッケージの斜視図(封止樹脂を透過)である。
図2図1に示すLEDパッケージの平面図(封止樹脂を透過)である。
図3図2に対して封止樹脂および被覆材を省略した平面図である。
図4図1に示すLEDパッケージの底面図である。
図5図1に示すLEDパッケージの左側面図である。
図6図2のVI-VI線に沿う断面図である。
図7図6の部分拡大図(LEDチップ付近)である。
図8図7の部分拡大図(第1接合層付近)である。
図9図2の部分拡大図(LEDチップ付近)である。
図10図1に示すLEDパッケージの第1変形例にかかる部分拡大図(第1接合層付近)である。
図11図1に示すLEDパッケージの第2変形例にかかる部分拡大図(第1接合層付近)である。
図12図1に示すLEDパッケージのLEDチップおよび第1接合層の製造方法の第1例について説明する断面図である。
図13図1に示すLEDパッケージのLEDチップおよび第1接合層の製造方法の第1例について説明する断面図である。
図14図1に示すLEDパッケージのLEDチップおよび第1接合層の製造方法の第1例について説明する断面図である。
図15図1に示すLEDパッケージのLEDチップおよび第1接合層の製造方法の第1例について説明する断面図である。
図16図1に示すLEDパッケージのLEDチップおよび第1接合層の製造方法の第1例について説明する断面図である。
図17図1に示すLEDパッケージのLEDチップおよび第1接合層の製造方法の第1例について説明する断面図である。
図18図1に示すLEDパッケージのLEDチップおよび第1接合層の製造方法の第1例について説明する断面図である。
図19図1に示すLEDパッケージのLEDチップおよび第1接合層の製造方法の第2例について説明する断面図である。
図20図1に示すLEDパッケージのLEDチップおよび第1接合層の製造方法の第2例について説明する断面図である。
図21図1に示すLEDパッケージのLEDチップおよび第1接合層の製造方法の第2例について説明する断面図である。
図22図1に示すLEDパッケージのLEDチップおよび第1接合層の製造方法の第2例について説明する断面図である。
図23図1に示すLEDパッケージのLEDチップおよび第1接合層の製造方法の第2例について説明する断面図である。
図24図1に示すLEDパッケージのLEDチップおよび第1接合層の製造方法の第2例について説明する断面図である。
図25図1に示すLEDパッケージのLEDチップおよび第1接合層の製造方法の第2例について説明する断面図である。
図26】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の平面図(封止樹脂を透過)である。
図27図26に示すLEDパッケージの左側面図である。
図28図26のXXVIII-XXVIII線に沿う断面図である。
図29図28の部分拡大図(第1接合層付近)である。
図30図26の部分拡大図(第1裏面電極付近)である。
図31図28の部分拡大図(第2接合層付近)である。
図32図26の部分拡大図(第2裏面電極付近)である。
図33】本発明の第3実施形態にかかるLEDパッケージの斜視図(封止樹脂を透過)である。
図34図33に示すLEDパッケージの平面図(封止樹脂を透過)である。
図35図33に示すLEDパッケージの底面図である。
図36図34のXXXVI―XXXVI線に沿う断面図である。
図37図34のXXXVII―XXXVII線に沿う断面図である。
図38図36の部分拡大図(LEDチップ付近)である。
図39図38の部分拡大図(第1接合層付近)である。
図40図34の部分拡大図(LEDチップ付近)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について、添付図面に基づいて説明する。
【0027】
〔第1実施形態〕
図1図11に基づき、本発明の第1実施形態にかかるLEDパッケージA10について説明する。LEDパッケージA10は、基板10、第1端子201、第2端子202、LEDチップ30、第1接合層311、ワイヤ40、封止樹脂50および被覆材51を備える。ここで、図1および図2は、理解の便宜上、封止樹脂50を透過して示している。これらの図において、透過した封止樹脂50の外形を想像線(二点鎖線)で示している。図9は、理解の便宜上、LEDチップ30のうち、第1裏面電極302A(詳細は後述)以外の構成を透過している。図10および図11の断面位置は、図8と同一である。
【0028】
これらの図に示すLEDパッケージA10は、第1端子201および第2端子202が基板10に支持された表面実装型のものである。図1および図2に示すように、LEDチップ30の厚さ方向z視(以下「平面視」という。)において、LEDパッケージA10は、矩形状である。ここで、説明の便宜上、LEDチップ30の厚さ方向z(以下、単に「厚さ方向z」という。)に対して直交するLEDパッケージA10の長手方向を第1方向xと呼ぶ。また、厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交するLEDパッケージA10の短手方向を第2方向yと呼ぶ。
【0029】
基板10は、図1に示すように、第1端子201、第2端子202および封止樹脂50を支持する電気絶縁部材である。基板10は、たとえばガラスエポキシ樹脂やアルミナ(Al23)などから構成される。図2および図3に示すように、平面視における基板10は、第1方向xに延びる矩形状である。基板10は、基板主面11、基板裏面12および一対の基板側面13を有する。
【0030】
図1図6図4を除く)に示すように、基板主面11は、一方の厚さ方向zを向く。基板主面11には、第1端子201の第1主面部21A(詳細は後述)と、第2端子202の第2主面部21B(詳細は後述)とが配置されている。また、本実施形態では、基板主面11には、被覆材51が配置されている。
【0031】
図1図6図2および図3を除く)に示すように、基板裏面12は、他方の厚さ方向zを向く。このため、基板主面11および基板裏面12は、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く。基板裏面12には、LEDパッケージA10を対象となる配線基板に実装するための第1端子201の第1裏面部22A(詳細は後述)と、第2端子202の第2裏面部22B(詳細は後述)とが配置されている。
【0032】
図1図5に示すように、一対の基板側面13は、各々が基板主面11および基板裏面12の双方に交差している。一対の基板側面13は、第1端子201および第2端子202が互いに離間する第1方向xに離間している。ここで、説明の便宜上、一対の基板側面13のうち、一方の基板側面13を第1面131と呼び、他方の基板側面13を第2面132と呼ぶ。
【0033】
図1図6図2を除く)に示すように、基板10には、各々の基板側面13から凹み、かつ基板主面11から基板裏面12に到達した凹溝14が形成されている。本実施形態では、厚さ方向zにおける凹溝14の断面は、半円状である。凹溝14は、第1面131から凹む第1領域141と、第2面132から凹む第2領域142とを有する。第1領域141には、第1端子201の第1中間部23A(詳細は後述)が配置されている。第2領域142には、第2端子202の第2中間部23B(詳細は後述)が配置されている。
【0034】
第1端子201は、図1図6図4および図5を除く)に示すように、LEDチップ30が搭載される導電部材である。第1端子201は、第1接合層311を介してLEDチップ30の第1裏面電極302A(詳細は後述)に導通している。第1端子201は、Cu(銅)箔と、Cu箔の上に積層されためっき層とから構成される。当該めっき層の組成は、たとえばNi(ニッケル)、Pd(パラジウム)およびAu(金)を含む。また、当該めっき層の組成は、Ag(銀)であってもよい。なお、当該めっき層は、電解めっきにより形成される。第1端子201は、主面部21、裏面部22および中間部23を有する。ここで、説明の便宜上、第1端子201の主面部21を第1主面部21Aと呼び、第1端子201の裏面部22を第1裏面部22Aと呼び、第1端子201の中間部23を第1中間部23Aと呼ぶ。後述するLEDパッケージA20においても、これらと同一の呼称をとる。
【0035】
図2図3および図6に示すように、第1主面部21Aは、基板主面11に配置されている。第1主面部21Aは、第1基部領域211A、第1接続領域212Aおよび連結領域213を有する。第1基部領域211Aは、平面視において半円環状である。第1基部領域211Aの周縁の一部が、基板主面11と第1面131(基板側面13)および第1領域141(凹溝14)との境界に位置する。このうち、基板主面11と第1領域141との境界において、第1基部領域211Aに第1中間部23Aがつながっている。第1接続領域212Aは、LEDチップ30を搭載している。平面視において、第1接続領域212Aの周縁は、LEDチップ30の周縁よりも外側に位置する。連結領域213は、第1基部領域211Aと第1接続領域212Aとを連結している。平面視において、連結領域213は、第1方向xに延びる帯状である。
【0036】
図4および図6に示すように、第1裏面部22Aは、基板裏面12に配置されている。第1裏面部22Aの周縁の一部が、基板裏面12と第1面131(基板側面13)および第1領域141(凹溝14)との境界に位置する。このうち、基板裏面12と第1領域141との境界において、第1裏面部22Aに第1中間部23Aがつながっている。
【0037】
図3図6に示すように、第1中間部23Aは、第1領域141(凹溝14)に配置され、かつ第1主面部21A(第1基部領域211A)と第1裏面部22Aとを連結している。このため、第1端子201において、第1主面部21Aおよび第1裏面部22Aは、第1中間部23Aにより相互に導通している。
【0038】
第2端子202は、図1図6図4および図5を除く)に示すように、第1方向xにおいて第1端子201から離間している。第2端子202は、ワイヤ40を介してLEDチップ30の表面電極301(詳細は後述)に導通している。第2端子202の組成は、第1端子201の組成と同一である。第2端子202は、第1端子201と同じく主面部21、裏面部22および中間部23を有する。ここで、説明の便宜上、第2端子202の主面部21を第2主面部21Bと呼び、第2端子202の裏面部22を第2裏面部22Bと呼び、第2端子202の中間部23を第2中間部23Bと呼ぶ。後述するLEDパッケージA20においても、これらと同一の呼称をとる。
【0039】
図2図3および図6に示すように、第2主面部21Bは、基板主面11に配置されている。第2主面部21Bは、第2基部領域211Bおよび第2接続領域212Bを有する。第2基部領域211Bは、平面視において半円環状である。第2基部領域211Bの周縁の一部が、基板主面11と第2面132(基板側面13)および第2領域142(凹溝14)との境界に位置する。このうち、基板主面11と第2領域142との境界において、第2基部領域211Bに第2中間部23Bがつながっている。第2接続領域212Bは、平面視において、第2基部領域211Bから第1接続領域212A(第1主面部21A)に向けて延びる帯状である。第2接続領域212Bには、ワイヤ40が接続されている。
【0040】
図4および図6に示すように、第2裏面部22Bは、基板裏面12に配置されている。第2裏面部22Bの周縁の一部が、基板裏面12と第2面132(基板側面13)および第2領域142(凹溝14)との境界に位置する。このうち、基板裏面12と第2領域142との境界において、第2裏面部22Bに第2中間部23Bがつながっている。
【0041】
図3図6に示すように、第2中間部23Bは、第2領域142(凹溝14)に配置され、かつ第2主面部21B(第2基部領域211B)と第2裏面部22Bとを連結している。このため、第2端子202において、第2主面部21Bおよび第2裏面部22Bは、第2中間部23Bにより相互に導通している。
【0042】
LEDチップ30は、図7に示すように、表面電極301、第1裏面電極302A、基材303、p型半導体層304、n型半導体層305および活性層306を有する。これらのうち、p型半導体層304およびn型半導体層305に挟まれた活性層306が、LEDチップ30の発光領域である。また、LEDチップ30は、表面30A、裏面30Bおよび側面30Cを有する。表面30Aは、厚さ方向z(図7の上方)を向き、かつp型半導体層304の一部を構成している。裏面30Bは、厚さ方向z(図7の下方)を向き、かつ基材303の一部を構成している。このため、表面30Aおよび裏面30Bは、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向いている。側面30Cは、表面30Aおよび裏面30Bの双方に交差している。側面30Cは、複数の領域を有しており、各々の領域は、基材303、p型半導体層304、n型半導体層305および活性層306のそれぞれ一部ずつを構成している。本実施形態では、基材303を構成する材料は、GaAs(ヒ化ガリウム)である。p型半導体層304およびn型半導体層305を構成する主要材料には、たとえばGaN(窒化ガリウム)が適用されている。活性層306を構成する材料には、Al(アルミニウム)Ga(ガリウム)In(インジウム)P(リン)が適用されている。
【0043】
図7に示すように、表面電極301は、表面30Aに設けられている。表面電極301は、LEDチップ30のp側電極(アノード)に該当する。表面電極301の組成は、たとえばAuである。表面電極301にはワイヤ40が接続されているため、表面電極301は、第2端子202に導通している。また、第1裏面電極302Aは、裏面30Bに設けられている。第1裏面電極302Aは、LEDチップ30のn側電極(カソード)に該当する。第1裏面電極302Aの組成は、たとえばTi(チタン)およびAuを含む。第1裏面電極302Aは、第1接合層311を介して第1接続領域212A(第1端子201の第1主面部21A)に対向している。本実施形態では、裏面30Bの全体にわたって第1裏面電極302Aが設けられている。
【0044】
第1接合層311は、図7に示すように、第1裏面電極302Aと第1端子201(第1主面部21Aの第1接続領域212A)とを接合する導電部材である。このため、第1裏面電極302Aは、第1端子201に導通している。第1接合層311は、いわゆるLEDチップ30のダイボンディング材である。第1接合層311の組成は、Auを含む金属共晶である。本実施形態では、第1接合層311の組成は、AuおよびSn(錫)を含む。AuとSnとの組成比(重量比)が8:2である場合、第1接合層311の融点は288℃である。また、第1接合層311の組成は、AuおよびInを含むものであってもよい。第1接合層311は、第1裏面電極302Aに積層されている。LEDチップ30を第1端子201に接合する際は、第1接合層311が第1端子201に接した状態で、N2(窒素)などの不活性気体中でのリフローにより第1接合層311を溶融させる。冷却により第1接合層311が固化すると、LEDチップ30が第1端子201に接合される。
【0045】
図8および図9に示すように、平面視において、第1接合層311には、第1裏面電極302Aの周縁(図8に示す位置P0)の内側に向けて陥入する第1湾曲部311A(図8に示す位置P1まで陥入)が形成されている。第1湾曲部311Aは、リフローにより第1接合層311が溶融した際、表面張力のバランスにより形成されるものと考えられる。本実施形態では、平面視において、第1端子201(第1主面部21Aの第1接続領域212A)と第1接合層311との境界311B(図8に示す位置P2)は、第1裏面電極302Aの周縁よりも外側に位置する区間を有する。
【0046】
図10は、LEDパッケージA10の第1変形例であるLEDパッケージA11を示す部分拡大断面図である。LEDパッケージA11では、平面視において、第1裏面電極302Aの周縁(図10に示す位置P0)は、裏面30Bの周縁(図10に示す位置P3)よりも内側に位置する。
【0047】
また、図11は、LEDパッケージA10の第2変形例であるLEDパッケージA12を示す部分拡大断面図である。LEDパッケージA12では、LEDチップ30は、裏面30B(図11に示す位置P3がその周縁位置)および側面30C(図11に示す位置P4がその周縁位置)の双方に交差する切欠面30Dを有する。切欠面30Dは、裏面30Bに対して傾斜している。本変形例のLEDチップ30においては、裏面30Bの周縁全周にわたって切欠面30Dが構成されている。
【0048】
ワイヤ40は、図2図3および図6に示すように、LEDチップ30の表面電極301と、第2端子202(第2主面部21Bの第2接続領域212B)とを接続する導電部材である。ワイヤ40の組成は、たとえばAuである。
【0049】
封止樹脂50は、図1および図6に示すように、基板主面11に支持され、かつLEDチップ30およびワイヤ40を覆っている。図2および図6に示すように、封止樹脂50は、平面視において第1方向xに互いに離間した一対の外縁501を有する。外縁501は、被覆材51に接し、かつ平面視において凹溝14に重なる区間を有する。封止樹脂50の組成は、透光性を有する合成樹脂を含む。当該合成樹脂は、たとえばエポキシ樹脂や、シリコーンが含有されたエポキシ樹脂などである。封止樹脂50の組成には、蛍光体(図示略)が含まれていてもよい。たとえば、LEDチップ30が青色光を発する場合、黄色の蛍光体を封止樹脂50に含有させることによって、LEDパッケージA10から白色光が出射される。図8に示すように、封止樹脂50は、第1接合層311に形成された第1湾曲部311Aに接している。
【0050】
被覆材51は、図1図6図3および図4を除く)に示すように、基板主面11に配置され、かつ平面視において凹溝14の少なくとも一部に重なる電気絶縁部材である。被覆材51は、たとえばソルダ-レジストフィルムである。本実施形態では、被覆材51は、平面視において凹溝14の全部と重なり、かつ第1基部領域211A(第1端子201の第1主面部21A)および第2基部領域211B(第2端子202の第2主面部21B)を覆っている。
【0051】
次に、図12図18に基づき、LEDパッケージA10のLEDチップ30および第1接合層311の製造方法の第1例について説明する。本例により製造されるLEDチップ30および第1接合層311は、図7に示すものを対象とする。
【0052】
最初に、図12に示すように、厚さ方向zを向く表面81Aを有する基材81を用意した後、エピタキシャル成長により表面81Aにn型半導体層821、活性層822およびp型半導体層823の順にこれらを形成する。基材81が、LEDチップ30の基材303に相当する。本実施形態では、基材81は、GaAsを材料とするウエハである。また、n型半導体層821、活性層822およびp型半導体層823が、それぞれLEDチップ30のn型半導体層305、活性層306およびp型半導体層304に相当する。
【0053】
次いで、図13に示すように、p型半導体層823の一部の領域に、複数の表面電極301を形成する。複数の表面電極301は、フォトリソグラフィによりマスクを形成した後、真空蒸着により形成される。複数の表面電極301を形成した後、マスクと、当該マスクに付着した余分な金属層とを除去する。
【0054】
次いで、図14に示すように、n型半導体層821、活性層822およびp型半導体層823のそれぞれ一部ずつを、ドライエッチングにより格子状に除去する。本工程により、表面81Aからメサ状に突出した複数のp型半導体層304、n型半導体層305および活性層306が、表面電極301の各々に対応して形成される。また、本工程により除去されたn型半導体層821、活性層822およびp型半導体層823のそれぞれ一部ずつは、格子状の溝84として現れる。
【0055】
次いで、図15に示すように、複数の表面電極301にシート89を貼り付けた後、基材81を反転させて、厚さ方向zにおいて表面81Aとは反対側に位置する面を含む基材81の一部を、ウェットエッチングにより除去する。
【0056】
次いで、図16に示すように、厚さ方向zにおいて表面81Aとは反対側を向く基材81の面の全体に、第1裏面電極302Aを真空蒸着により形成する。
【0057】
次いで、図17に示すように、第1裏面電極302Aに複数の第1接合層311を形成する。複数の第1接合層311は、フォトリソグラフィによりマスクを形成した後、真空蒸着により形成される。複数の第1接合層311を形成した後、マスクと、当該マスクに付着した余分な金属層とを除去する。
【0058】
最後に、図18に示すように、複数の第1接合層311にシート89を貼り付ける。そして、基材81を再度反転させ、かつ複数の表面電極301からシート89を除去した後、基材81および第1裏面電極302Aをダイシングにより個片に分割する。本工程において分割された当該個片が、LEDチップ30および第1接合層311となる。以上の工程を経ることによって、LEDパッケージA10におけるLEDチップ30および第1接合層311が製造される。
【0059】
次に、図19図25に基づき、LEDパッケージA10のLEDチップ30および第1接合層311の製造方法の第2例について説明する。
【0060】
最初に、図19に示すように、厚さ方向zを向く表面811Aを有する第1基材811を用意した後、表面811Aに第1反射層831を形成する。本実施形態では、第1基材811は、Si(ケイ素)を材料とするウエハであり、第1反射層831の組成は、Auである。第1反射層831は、真空蒸着により形成される。第1基材811が、LEDチップ30の基材303に相当する。
【0061】
次いで、図20に示すように、厚さ方向zを向く表面812Aを有する第2基材812を用意した後、エピタキシャル成長により表面812Aにn型半導体層821、活性層822、p型半導体層823および第2反射層832の順にこれらを形成する。本実施形態では、基材81は、GaAsを材料とするウエハである。また、n型半導体層821、活性層822およびp型半導体層823が、それぞれLEDチップ30のn型半導体層305、活性層306およびp型半導体層304に相当する。第2反射層832の組成は、Auである。第2反射層832は、真空蒸着によりp型半導体層823に接して形成される。
【0062】
次いで、図21に示すように、図19に示す工程で得られた第1基材811に、図20に示す工程で得られた第2基材812を接合させた後、第2基材812を除去する。第1基材811と第2基材812との接合は、第1反射層831に第2反射層832を接触させた後、不活性気体中での熱処理により第1反射層831および第2反射層832を合金にすることによって行われる。このとき、第1反射層831および第2反射層832の合金による反射層83が得られる。第2基材812の除去は、ウェットエッチングにより行われる。
【0063】
次いで、図22に示すように、n型半導体層821に接する複数の表面電極301を形成する。複数の表面電極301は、図13と同様に、フォトリソグラフィによりn型半導体層821にマスクを形成した後、真空蒸着により形成される。
【0064】
次いで、図23に示すように、n型半導体層821、活性層822およびp型半導体層823のそれぞれ一部ずつを、ドライエッチングまたはウェットエッチングにより格子状に除去する。本工程により、反射層83から厚さ方向zにおいて第1基材811とは反対側にメサ状に突出した複数のp型半導体層304、n型半導体層305および活性層306が、表面電極301の各々に対応して形成される。また、本工程により除去されたn型半導体層821、活性層822およびp型半導体層823のそれぞれ一部ずつは、格子状の溝84として現れる。
【0065】
次いで、図24に示すように、第1基材811を反転させた後、表面811Aとは反対側を向く第1基材811の面の全体を覆う第1裏面電極302Aと、第1裏面電極302Aを覆う第1接合層311とを形成する。第1裏面電極302Aおよび第1接合層311は、この順にそれぞれ真空蒸着により形成される。
【0066】
最後に、図25に示すように、第1基材811を再度反転させた後、反射層83、第1基材811、第1裏面電極302Aおよび第1接合層311を溝84に沿ったダイシングにより個片に分割する。分割にあたっては、各々の個片が表面電極301を取り囲む状態となるようにする。本工程において分割された当該個片が、LEDチップ30および第1接合層311となる。以上の工程を経ることによって、LEDパッケージA10におけるLEDチップ30および第1接合層311が製造される。本製法によって得られたLEDチップ30の基材303の組成は、Siである。また、本製法によって得られたLEDチップ30は、基材303とp型半導体層304との間に反射層307を有する。反射層307は、図21に示す工程によって得られた反射層83の一部である。反射層307の組成は、Auである。反射層307は、活性層306から発せられた光を反射して、LEDチップ30から発せられる光束量を増加させる機能を果たす。
【0067】
次に、LEDパッケージA10の作用効果について説明する。
【0068】
LEDパッケージA10は、LEDチップ30の第1裏面電極302Aと第1端子201とを接合する第1接合層311を備える。第1接合層311の組成は、Auを含む金属共晶である。このような組成をとると、第1接合層311の吸湿が防止されるため、LEDチップ30への電力供給効率の低下を回避することができる。あわせて、第1接合層311は、Agペーストよりも接合強度が高く、かつ電気導電率が高い。このため、より高出力型のLEDチップ30を適用することができる。また、平面視において、第1接合層311には、第1裏面電極302Aの周縁よりも内側に向けて陥入する第1湾曲部311Aが形成されている。ここで、第1接合層311には、LEDチップ30から発生した熱に起因した熱応力が繰り返し作用する。LEDチップ30の出力が高くなるほど、当該熱応力は大きくなる。そこで、このような構成をとることによって、平面視において比較的肉厚の第1湾曲部311Aの内方に熱応力が集中し、かつ平面視において第1端子201と第1接合層311との境界311Bにおける熱応力が緩和される。このため、境界311Bに熱応力に起因した亀裂が発生することを抑制され、第1接合層311に流れる電流の低下を防止できる。したがって、LEDパッケージA10によれば、LEDパッケージA10の使用時の信頼性を確保しつつ、より高出力型のLEDチップ30を適用することが可能となる。
【0069】
第1接合層311の組成は、AuおよびSnを含む。このような組成をとると、第1接合層311の融点を低下させることができる。ただし、第1接合層311の融点は、半田の融点よりも高く設定される。このため、LEDパッケージA10をリフローにより実装する際、第1接合層311が溶融することを防止できる。なお、第1接合層311の組成をAuおよびInを含む場合であっても、第1接合層311の融点を低下させ、かつ半田の融点よりも高く設定することができる。
【0070】
LEDパッケージA10では、平面視において、第1端子201(第1主面部21Aの第1接続領域212A)と第1接合層311との境界311Bは、第1裏面電極302Aの周縁よりも外側に位置する区間を有する。このような構成をとることによって、第1端子201に接する第1接合層311の面積がより大きく確保されるため、LEDチップ30から発せられた熱を、より効率よくLEDパッケージA10の外部に放出することができる。
【0071】
LEDパッケージA10の第1変形例であるLEDパッケージA11では、平面視において、第1裏面電極302Aの周縁は、裏面30Bの周縁よりも内側に位置する。このような構成をとることによって、LEDパッケージA10の製造において、LEDチップ30を個片にする際、第1裏面電極302Aの周縁に金属バリが発生することを抑制できる。これにより、LEDチップ30をダイボンディングにより第1端子201(第1主面部21Aの第1接続領域212A)に搭載する際、第1端子201に対しLEDチップ30が不安定な状態となることを回避できる。
【0072】
LEDパッケージA10では、封止樹脂50は、第1接合層311に形成された第1湾曲部311Aに接している。このような構成をとることによって、LEDチップ30から発生した熱により第1接合層311が熱膨張をした場合であっても、第1湾曲部311Aに接する封止樹脂50が第1接合層311のひずみに追随する。このため、基板主面11の近傍における封止樹脂50のひずみが軽減され、封止樹脂50が基板主面11から剥離することを抑制できる。
【0073】
また、LEDパッケージA10の第2変形例であるLEDパッケージA12では、LEDチップ30は、裏面30Bに交差する切欠面30Dを有する。切欠面30Dは、裏面30Bに対して傾斜している。このような構成をとることによって、第1接合層311に形成された第1湾曲部311Aに封止樹脂50が、より回り込みやすくなる。このため、上述の基板主面11の近傍における封止樹脂50のひずみが、より軽減されることとなり、封止樹脂50が基板主面11から剥離することを、より効果的に抑制できる。また、このような構成をとることによって、LEDパッケージA10の製造において、LEDチップ30を個片にする際、第1裏面電極302Aの周縁に金属バリが発生することを抑制できる。
【0074】
〔第2実施形態〕
図26図32に基づき、本発明の第2実施形態にかかるLEDパッケージA20について説明する。これらの図において、先述したLEDパッケージA10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図26は、理解の便宜上、封止樹脂50を透過して示しており、透過した封止樹脂50の外形を想像線で示している。図30および図32は、理解の便宜上、LEDチップ30のうち、第1裏面電極302Aおよび第2裏面電極302B以外の構成を透過している。
【0075】
LEDパッケージA20は、第1端子201の第1主面部21Aと、第2端子202の第2主面部21Bとの構成と、LEDチップ30の構造形式と、第1接合層311および第2接合層312を備える点とが先述したLEDパッケージA10と異なる。LEDパッケージA20は、LEDパッケージA10と同じく、第1端子201および第2端子202が基板10に支持された表面実装型のものである。なお、LEDパッケージA20では、ワイヤ40が省略されている。
【0076】
本実施形態では、図26および図28に示すように、LEDチップ30は、第1端子201の第1主面部21Aと、第2端子202の第2主面部21Bとの双方に搭載されている。なお、本実施形態にかかる第1端子201および第2端子202の組成は、LEDパッケージA10の第1端子201および第2端子202の組成と同一である。
【0077】
図26に示すように、第1端子201の第1主面部21Aは、第1基部領域211A、第1接続領域212Aおよび第1連結領域213Aを有する。本実施形態にかかる第1基部領域211Aの構成は、LEDパッケージA10の第1基部領域211Aの構成と同一である。第1接続領域212Aには、第1接合層311を介してLEDチップ30の第1裏面電極302Aが接続されている。このため、第1端子201は、第1裏面電極302Aに導通している。平面視において、第1接続領域212Aの周縁は、第1裏面電極302Aの周縁よりも外側に位置する。第1連結領域213Aは、第1基部領域211Aと第1接続領域212Aとを連結している。平面視において、第1連結領域213Aは、第1方向xに延びる帯状である。
【0078】
図26に示すように、第2端子202の第2主面部21Bは、第2基部領域211B、第2接続領域212Bおよび第2連結領域213Bを有する。本実施形態にかかる第2基部領域211Bの構成は、LEDパッケージA10の第2基部領域211Bの構成と同一である。第2接続領域212Bには、第2接合層312(詳細は後述)を介してLEDチップ30の第2裏面電極302B(詳細は後述)が接続されている。このため、第2端子202は、第2裏面電極302Bに導通している。平面視において、第2接続領域212Bの周縁は、第2裏面電極302Bの周縁よりも外側に位置する。第2連結領域213Bは、第2基部領域211Bと第2接続領域212Bとを連結している。平面視において、第2連結領域213Bは、第1方向xに延びる帯状である。
【0079】
図28に示すように、LEDチップ30は、第1裏面電極302Aおよび第2裏面電極302Bを有し、かつ表面電極301が省略されている。第1裏面電極302Aおよび第2裏面電極302Bは、ともにLEDチップ30の裏面30Bに設けられている。第2裏面電極302Bは、第1方向xにおいて第1裏面電極302Aから離間している。第1裏面電極302Aは、LEDチップ30のp側電極(アノード)に該当する。第2裏面電極302Bは、LEDチップ30のn側電極(カソード)に該当する。したがって、本実施形態にかかるLEDチップ30は、いわゆるフリップチップである。なお、LEDチップ30は、LEDパッケージA10と同様に、リフローにより第1端子201および第2端子202に接合される。
【0080】
本実施形態にかかる第1接合層311の組成および製法は、先述したLEDパッケージA10の第1接合層311と同一である。図29および図30に示すように、本実施形態においても平面視において、第1接合層311には、第1裏面電極302Aの周縁(図29に示すP0)の内側に向けて陥入する第1湾曲部311A(図29に示す位置P1まで陥入)が形成されている。第1湾曲部311Aに封止樹脂50が接している。また、平面視において、第1端子201(第1主面部21Aの第1接続領域212A)と第1接合層311との境界311B(図29に示す位置P2)は、第1裏面電極302Aの周縁よりも外側に位置する区間を有する。
【0081】
図31に示すように、第2接合層312は、第2裏面電極302Bと第2端子202(第2主面部21Bの第2接続領域212B)とを接合する導電部材である。第2接合層312の組成および製法は、本実施形態にかかる第1接合層311と同一である。図31および図32に示すように、平面視において、第2接合層312には、第2裏面電極302Bの周縁(図31に示す位置P0)の内側に向けて陥入する第2湾曲部312A(図31に示す位置P1まで陥入)が形成されている。第2湾曲部312Aに封止樹脂50が接している。第2湾曲部312Aが形成されるメカニズムは、先述したLEDパッケージA10の第1接合層311に形成される第1湾曲部311Aと同様と考えられる。また、平面視において、第2端子202と第2接合層312との境界312B(図31に示す位置P2)は、第2裏面電極302Bの周縁よりも外側に位置する区間を有する。
【0082】
次に、LEDパッケージA20の作用効果について説明する。
【0083】
LEDパッケージA20は、LEDパッケージA10と同一構成である第1接合層311に加え、第1接合層311と組成が同一である第2接合層312を備える。このため、第1接合層311および第2接合層312の吸湿が防止され、LEDチップ30への電力供給効率の低下を回避できるとともに、より高出力型のLEDチップ30を適用することができる。また、平面視において、第2接合層312には、第2裏面電極302Bの周縁よりも内側に向けて陥入する第2湾曲部312Aが形成されている。このため、LEDチップ30から発生した熱応力によって、第1接合層311および第2接合層312の双方に亀裂が発生することを抑制できる。したがって、LEDパッケージA20によっても、LEDパッケージA20の使用時の信頼性を確保しつつ、より高出力型のLEDチップ30を適用することが可能となる。
【0084】
本実施形態にかかるLEDチップ30は、いわゆるフリップチップであるため、LEDパッケージA20では、ワイヤ40が省略されている。このため、ワイヤ40を配置するためのスペースが不要となることから、LEDパッケージA20の寸法をLEDパッケージA10の寸法と同一としたとき、たとえば輝度向上のためにLEDチップ30をより大型化にすることができる。あるいは、LEDチップ30の寸法をLEDパッケージA10のLEDチップ30の寸法と同一とすれば、LEDパッケージA20の寸法をより小型化にすることができる。
【0085】
〔第3実施形態〕
図33図40に基づき、本発明の第3実施形態にかかるLEDパッケージA30について説明する。これらの図において、先述したLEDパッケージA10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図33および図34は、理解の便宜上、封止樹脂50を透過して示している。図40は、理解の便宜上、LEDチップ30のうち、第1裏面電極302A以外の構成を透過している。
【0086】
LEDパッケージA30は、第1端子201および第2端子202の構成と、基板10に代えてケース60を備える点が先述したLEDパッケージA10と異なる。図33に示すように、LEDパッケージA30は、第1端子201および第2端子202がケース60に支持された表面実装型のものである。なお、図38図40に示すように、本実施形態にかかるLEDチップ30および第1接合層311の構成は、LEDパッケージA10のLEDチップ30および第1接合層311の構成と同一である。このため、ここでのLEDチップ30および第1接合層311についての説明は省略する。
【0087】
図34図37に示すように、第1端子201は、LEDチップ30を搭載し、かつ第1裏面電極302Aに導通する導電部材である。第1端子201は、その組成にCuを含むリードフレームから構成される。第1端子201の厚さは、100~200μmである。第1端子201は、第1接続部24A、第1実装部25Aおよび第1連結部26Aを有する。
【0088】
図34図37図35を除く)に示すように、第1接続部24Aは、第1方向xおよび第2方向yの双方に沿って配置され、かつLEDチップ30が搭載される部分である。第1接続部24Aの一部は、ケース60に覆われている。ケース60に覆われた第1接続部24Aの一部は、厚さ方向zにおいて両側からケース60に挟まれた構成となっている。このため、第1端子201は、第1接続部24Aにおいてケース60に支持された状態となっている。図36および図37に示すように、第1接続部24Aにおいて、LEDチップ30の表面30Aと同方向の向く面(図36の上方を向く面)には、内部導電層28が形成されている。LEDパッケージA30では、内部導電層28は、Agめっき層である。内部導電層28は、Pdめっき層、Auめっき層の順に積層された複数のめっき層でもよい。
【0089】
図36および図37に示すように、第1実装部25Aは、第1方向xおよび第2方向yの双方に沿って配置され、かつ厚さ方向zにおいて第1接続部24Aから離間した部分である。第1実装部25Aは、LEDパッケージA30の外部に配置されている。図37に示すように、第1実装部25Aにおいて、厚さ方向zを向く面には、外部導電層29が形成されている。LEDパッケージA30では、外部導電層29は、Agめっき層、またはPdめっき層、Auめっき層の順に積層された複数のめっき層である。外部導電層29は、これらのめっき層に対してSnめっき層をさらに被覆してもよい。
【0090】
図34図36に示すように、第1連結部26Aは、第2方向yおよび厚さ方向zの双方に沿って配置され、かつ第1接続部24Aと第1実装部25Aとを連結する部分である。第1連結部26Aは、LEDパッケージA30の外部に配置されている。図36に示すように、第1連結部26Aにおいて、第1方向xを向く面には、外部導電層29が形成されている。
【0091】
図34図36に示すように、第2端子202は、第1方向xにおいて第1端子201から離間し、かつワイヤ40を介して表面電極301に導通する導電部材である。第2端子202は、第1端子201と同一のリードフレームから構成される。このため、第2端子202の組成および厚さは、第1端子201の組成および厚さと同一である。第2端子202は、第2接続部24B、第2実装部25Bおよび第2連結部26Bを有する。
【0092】
図34図37図35を除く)に示すように、第2接続部24Bは、第1方向xおよび第2方向yの双方に沿って配置され、かつワイヤ40が接続される部分である。第2接続部24Bの一部は、ケース60に覆われている。ケース60に覆われた第2接続部24Bの一部は、厚さ方向zにおいて両側からケース60に挟まれた構成となっている。このため、第2端子202は、第2接続部24Bにおいてケース60に支持された状態となっている。図36および図37に示すように、第2接続部24Bにおいて、LEDチップ30の表面30Aと同方向の向く面(図35の上方を向く面)には、内部導電層28が形成されている。
【0093】
図35および図36に示すように、第2実装部25Bは、第1方向xおよび第2方向yの双方に沿って配置され、かつ厚さ方向zにおいて第2接続部24Bから離間した部分である。第2実装部25Bは、LEDパッケージA30の外部に配置されている。図36に示すように、第2実装部25Bにおいて、厚さ方向zを向く面には、外部導電層29が形成されている。
【0094】
図34図36に示すように、第2連結部26Bは、第2方向yおよび厚さ方向zの双方に沿って配置され、かつ第2接続部24Bと第2実装部25Bとを連結する部分である。第2連結部26Bは、LEDパッケージA30の外部に配置されている。図36に示すように、第2連結部26Bにおいて、第1方向xを向く面には、外部導電層29が形成されている。
【0095】
ケース60は、図33図37に示すように、第1端子201および第2端子202を支持する部材である。ケース60は、白色の合成樹脂製である。ケース60の材料は、たとえばポリフタルアミド(PPA)、または液晶ポリマー(LCP)である。なお、ケース60の材料は、これらに限定されず、機械的強度が高く、かつ耐熱性に優れた材料であれば多岐にわたる。ケース60は、頂面61および凹部62を有する。
【0096】
図34図37図35を除く)に示すように、頂面61は、LEDチップ30の表面30Aと同方向を向く。また、図33図37図35を除く)に示すように、凹部62は、頂面61から厚さ方向zに向けて凹む中空領域である。凹部62には、LEDチップ30、ワイヤ40および封止樹脂50が収容されている。凹部62は、底面621および内周面622を有する。底面621は、頂面61に対して平行に配置され、かつ外縁が円形状をなす。底面621から、第1端子201の第1接続部24Aと、第2端子202の第2接続部24Bとのそれぞれ一部ずつが露出している。内周面622は、円形状をなす頂面61の内縁と、底面621の外縁とを連結し、かつLEDチップ30を囲んでいる。内周面622は、底面621に対して傾斜した曲面である。このため、凹部62は、円錐台状の中空領域である。なお、図39に示すように、凹部62に収容された封止樹脂50は、第1接合層311の第1湾曲部311Aに接している。
【0097】
次に、LEDパッケージA30の作用効果について説明する。
【0098】
LEDパッケージA30は、LEDパッケージA10と同一構成である第1接合層311を備える。このため、第1接合層311の吸湿が防止され、LEDチップ30への電力供給効率の低下を回避できるとともに、より高出力型のLEDチップ30を適用することができる。また、LEDチップ30から発生した熱応力によって、第1接合層311に亀裂が発生することを抑制できる。したがって、LEDパッケージA30によっても、LEDパッケージA30の使用時の信頼性を確保しつつ、より高出力型のLEDチップ30を適用することが可能となる。
【0099】
LEDパッケージA30では、LEDチップ30を収容する凹部62を有するケース60を備える。凹部62は、底面621に対して傾斜し、かつLEDチップ30を囲む内周面622を有する。このような構成をとることによって、LEDチップ30から発せられた光は、内周面622で反射し、凹部62において光が拡散された状態となる。このことは、LEDパッケージA30から発せられる光の輝度の向上に寄与する。
【0100】
LEDパッケージA30の第1接合層311の組成は、LEDパッケージA10の第1接合層311の組成と同一である。このため、リフローによりLEDチップ30を第1端子201(第1接続部24A)に接合させる際、ケース60が焦げ付くことを回避することができる。
【0101】
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0102】
A10,A11,A12,A20,A30:LEDパッケージ
10:基板
11:基板主面
12:基板裏面
13:基板側面
131:第1面
132:第2面
14:凹溝
141:第1領域
142:第2領域
201:第1端子
202:第2端子
21:主面部
21A:第1主面部
21B:第2主面部
211:基部領域
211A:第1基部領域
211B:第2基部領域
212:接続領域
212A:第1接続領域
212B:第2接続領域
213:連結領域
213A:第1連結領域
213B:第2連結領域
24A:第1接続部
24B:第2接続部
25A:第1実装部
25B:第2実装部
26A:第1連結部
26B:第2連結部
28:内部導電層
29:外部導電層
30:LEDチップ
30A:表面
30B:裏面
30C:側面
30D:切欠面
301:表面電極
302A:第1裏面電極
302B:第2裏面電極
303:基材
304:p型半導体層
305:n型半導体層
306:活性層
307:反射層
311:第1接合層
311A:第1湾曲部
311B:境界
312:第2接合層
312A:第2湾曲部
312B:境界
40:ワイヤ
50:封止樹脂
51:被覆材
60:ケース
61:頂面
62:凹部
621:底面
622:内周面
81:基材
81A:表面
811:第1基材
811A:表面
812:第2基材
812A:表面
821:n型半導体層
822:活性層
823:p型半導体層
83:反射層
831:第1反射層
832:第2反射層
84:溝
89:シート
z:厚さ方向
x:第1方向
y:第2方向
図1
図2
図3
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図5
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