(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】ノズル装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/00 20060101AFI20220707BHJP
A61H 9/00 20060101ALI20220707BHJP
【ＦＩ】
A47K3/00 F
A61H23/00 520
【請求項の数】
4
(21)【出願番号】P 2018060855
(22)【出願日】2018-03-27
(65)【公開番号】P2019170548
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社ＬＩＸＩＬ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】白石 和久
(72)【発明者】
【氏名】松下 圭太
(72)【発明者】
【氏名】末安 草
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】実開平０５－０８２４３２（ＪＰ，Ｕ）
【文献】特開２０１４－０３３８０８（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００９－１６０１３４（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開平０５－１２３３７１（ＪＰ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ａ４７Ｋ ３／００
Ａ６１Ｈ ２３／００
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容孔を有する固定体と、前記収容孔に進退可能に設けられ、液体を浴槽内に噴出するノズルと、
前記ノズルを進行方向に付勢可能な付勢部材と、
前記ノズルが進退する毎に、前記ノズルの噴出態様を切り替え可能な切替機構と、を備え、
前記ノズルは、回転しないで前記収容孔で進退することを特徴とするノズル装置。
【請求項2】
前記ノズルの進退方向の位置は、前記ノズルの噴出態様の切り替え前後で同じであることを特徴とする請求項１に記載のノズル装置。
【請求項3】
前記ノズルは、前記収容孔の入口側の縁部より退行方向に収まる位置に設けられることを特徴とする請求項１または２に記載のノズル装置。
【請求項4】
前記切替機構は、ユーザのプッシュ操作による前記ノズルの進退によって回転して前記ノズルの噴出態様を切り替えることを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載のノズル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内へ液体を噴出するノズル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるジェットバスに用いられるノズル装置は、循環ポンプによって供給された水に空気を混合し、または空気を混合せずに浴槽内へ噴出する。例えば特許文献１には、浴槽壁の内側に設けられる円筒状のノズルホルダと、ノズルホルダ内に回転自在に収容される円錐形状の回転ノズル本体と、回転ノズル本体をノズルホルダ内に保持する円盤状のノズルカバーとを備えるノズル装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開２０１３－１３２４２１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが浴槽に入っているときに、ノズル装置はユーザの背面側に位置する。ノズル装置に操作可能に設けられたノズルは、ユーザが操作しづらい位置にあり、操作が容易になると好ましい。
【0005】
本発明の主たる目的は、ノズルの操作が容易なノズル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のノズル装置は、収容孔を有する固定体と、収容孔に進退可能に設けられ、液体を浴槽内に噴出するノズルと、ノズルを進行方向に付勢可能な付勢部材と、ノズルが動く毎に、ノズルの噴出態様を切り替え可能な切替機構と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザがノズルを押せばノズルを退行させて、噴出する液体の流速の設定を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例のノズル装置の断面図である。
【図2】分解したノズル装置の断面図である。
【図3】ノズルに装着された回転リングの側面図である。
【図4】支持部材に装着された固定リングの断面図である。
【図5】切替機構の動作について説明するための図である。
【図6】第１状態および第２状態のノズルについて説明するための図である。
【図7】変形例のノズル装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図１は、実施例のノズル装置１０の断面図である。図１には、ノズル装置１０が浴槽に形成された取付孔９ｂに取り付けられた状態を示す。また、図２は、分解したノズル装置１０の断面図である。図２ではノズル装置１０から、シール部材やワッシャなどを除いて示す。
【0010】
ノズル装置１０は、浴槽壁９ａの外側にて不図示の循環ポンプに接続され、循環ポンプにより供給された液体を浴槽９内に噴出する。また、ノズル装置１０は、浴槽９内の液体を吸い込んで循環ポンプに送る。
【0011】
ノズル装置１０は、循環ポンプに連結されて浴槽に固定される固定体１と、固定体１に取り付けられ、液体を噴出するノズル３０と、ノズル３０の外側に設けられ、ノズル３０が退行方向に動く毎に、ノズル３０の噴出態様を切り替え可能な切替機構３５と、ノズル３０を付勢する付勢部材３８とを備える。付勢部材３８は、コイルバネであってよい。
【0012】
固定体１は、循環ポンプから液体が供給される供給口２２ａと、循環ポンプに液体を排出する排出口２３ａを有する。ノズル３０は、液体を浴槽内に噴出する第１吐出口２ａおよび第２吐出口２ｂ（これらを区別しない場合「吐出口２」という）と、浴槽内の液体を吸い込む吸込口４とを有する。吐出口２および吸込口４は浴槽内に開口する。
【0013】
固定体１は、外側連結部材１２、内側連結部材１４および支持部材１６を有する。固定体１は、浴槽壁９ａに形成された取付孔９ｂに固定される。図２に示すように、固定体１は、ノズル３０を収容する収容孔７０を有する。
【0014】
外側連結部材１２は、浴槽壁９ａの外側に設けられ、浴槽壁９ａの内側に設けられる内側連結部材１４とともに浴槽壁９ａを挟んで、ノズル装置１０を浴槽９に固定する。
【0015】
外側連結部材１２は、胴体部２１、供給部２２、排出部２３および内部管状部２４を有する。胴体部２１は、筒状であり、浴槽壁９ａ側の一端部にフランジ２１ａを有する。図１にはフランジ２１ａが浴槽９の浴槽壁９ａに当接した態様を示すが、フランジ２１ａと浴槽壁９ａの間にパッキンが設けられてもよい。胴体部２１の内周面には、内側連結部材１４に螺合する雌ねじが形成される。
【0016】
胴体部２１の内部には、同軸上に内部管状部２４が形成されている。内部管状部２４は、浴槽９側の一端部が開口しており、他端部が供給部２２に連続している。供給部２２の端部に位置する供給口２２ａに循環ポンプの配管が接続される。内部管状部２４の内側に、液体の供給流路２７が形成される。
【0017】
胴体部２１の内側であって、内部管状部２４の外側に、排出流路２８が形成される。排出流路２８は、排出部２３に連通している。排出部２３の端部に位置する排出口２３ａに循環ポンプの配管が接続される。内部管状部２４に通流部２６が接続されている。通流部２６は、外部空気を取り入れて噴流内に気泡を混入する場合に、空気を取り込むために用いる。実施例においては通流部２６の開放端は閉塞されており、気泡を噴流内に混入しない場合について説明するが、気泡を噴流内に混入する場合には、通流部２６の開放端を開放するとともに、内部管状部２４内にエゼクタを設けるようにすればよい。
【0018】
内側連結部材１４は、両端が開口した円筒状であり、一端部にフランジ１４ａを有する。内側連結部材１４は、他端部の外周面に雄ねじが形成されており、他端部を浴槽壁９ａに設けた取付孔９ｂに挿入し、外側連結部材１２に螺合される。
【0019】
フランジ１４ａと浴槽壁９ａとの間には水密に封じるためのパッキン５２が挟み込まれる。内側連結部材１４の内側であって、支持部材１６の外側には、排出流路２８の一部が形成される。フランジ１４ａには浴槽内に向かって立設する突起部１４ｂが形成される。突起部１４ｂは周状に配置され、支持部材１６を支持する。
【0020】
支持部材１６は、円管状に形成され、内側連結部材１４に固定される。支持部材１６は、基部１６ａ、バネ支持部１６ｂ、拡径部１６ｃ、フランジ部１６ｄおよび環状部１６ｅを有する。円管状の基部１６ａは、固定体１の内部管状部２４に挿入されて嵌合し、供給流路２７の一部を構成する。基部１６ａの外周には円環状のパッキンを配し、供給流路２７と排出流路２８とが連通しないように水密に封止されている。
【0021】
バネ支持部１６ｂは、基部１６ａの内周面に環状の溝として形成され、中心軸方向の外側から内側に向かう途中で径方向内向きに張り出し、付勢部材３８を回転可能に支持する。
【0022】
拡径部１６ｃは、基部１６ａの中心軸方向内側の端部から浴槽内に向かって拡径するように設けられる。拡径部１６ｃの径方向内側に切替機構３５が配置される。拡径部１６ｃから径方向外向きに屈曲してフランジ部１６ｄが形成される。
【0023】
環状部１６ｅは、フランジ部１６ｄの外周縁から浴槽壁９ａに向かって折り返され、内側連結部材１４に係合する。環状部１６ｅは内側連結部材１４のフランジ１４ａに当接するとともに、突起部１４ｂに支持され、突起部１４ｂにより径方向のガタつきが抑えられている。環状部１６ｅと突起部１４ｂとが固着されたり、環状部１６ｅと突起部１４ｂとがビスによって締結されたりして、支持部材１６が内側連結部材１４に固定される。
【0024】
環状部１６ｅには、内外に貫通する複数の吸込口４が設けられており、吸込口４によって浴槽９の内部と排出流路２８とが連通している。排出流路２８は、内側連結部材１４の内側で支持部材１６の外側に設けられる。
【0025】
ノズル３０は、吐出側部材３２、奥側部材３６およびノズルヘッド４０を有し、固定体１の収容孔７０に収容される。ノズル３０の中心を通る軸を単にノズル３０の中心軸といい、ノズル３０の中心軸に沿う方向を中心軸方向という。また、中心軸方向において、浴槽壁９ａの外側から内側への向きを、中心軸方向内向きといい、浴槽壁９ａの内側から外側への向きを、中心軸方向外向きという。ノズル３０の中心軸方向は、ノズル装置１０が設けられる浴槽壁９ａに垂直である浴槽壁９ａの面直方向に沿う。ノズル３０の浴槽内を臨む先端側の面は、中心軸方向内側の面である。ノズル３０の中心軸方向は、ノズル３０の進行方向および退行方向と平行である。ノズル３０の進行方向および退行方向をノズル３０の進退方向という。
【0026】
ノズル３０は、中心軸方向に沿って進退可能であり、ユーザにより押されると退行する。ノズル３０は、付勢部材３８により中心軸方向内向きに付勢されており、ユーザに押されても付勢部材３８の復元力により元の位置に戻る。ノズル３０は、切替機構３５の回転リング３４および固定リング５０に環囲されており、付勢部材３８との連結により固定体１からの離脱が規制されている。また、ノズル３０の固定体１からの離脱は、支持部材１６に形成されたストッパや別部材の止め輪などで規制されてよい。
【0027】
ノズル３０は、循環ポンプから供給された液体を第１吐出口２ａ、または第１吐出口２ａおよび第２吐出口２ｂから中心軸方向内向きに噴出する。第１吐出口２ａから出る液体は、供給流路２７から第１流路５４を通り、第２吐出口２ｂから出る液体は、供給流路２７から第２流路５６を通る。第１流路５４は、ノズル３０の内側に形成され、第２流路５６は、ノズル３０の外側で、かつ支持部材１６の内側に形成される。
【0028】
ノズルヘッド４０は、筒状に形成され、ノズル３０の中心軸に対して第１吐出口２ａの中心線の角度を変更可能に設けられているため、一定の角度範囲内で任意の方向へ傾斜させることができ、第１吐出口２ａから出る噴流の向きを調整可能である。ノズルヘッド４０は、止め輪４２により吐出側部材３２に取り付けられる。
【0029】
第１吐出口２ａは、中心軸方向から見たノズル装置１０の端面の中央部、即ち、浴槽９の内側を臨むノズル３０の端面の中央部に設けられる。第１吐出口２ａは、直進性が高く、拡がりを抑えたスポット噴流を浴槽９内へ噴出する。第２吐出口２ｂは、第１吐出口２ａより総開口面積が大きく、第１吐出口２ａより穏やかで、ノズル３０の中心軸から径方向に拡がる方向に傾斜したワイド噴流を浴槽９内へ噴出する。
【0030】
吐出側部材３２は、フランジ３２ａ、段部３２ｂおよび貫通孔３２ｃを有する。吐出側部材３２は、円管状に形成される。フランジ３２ａは、吐出側部材３２の浴槽９側の一端から径方向外向きに屈曲するように張り出す。フランジ３２ａには、第２吐出口２ｂが形成される。第２吐出口２ｂは、周方向に離間して複数形成されてよい。フランジ３２ａは、浴槽９内に露出し、ユーザからの押し込み操作を受ける操作面として機能する。
【0031】
段部３２ｂは、吐出側部材３２の中途に、径方向に延びる段差として形成される。段部３２ｂは、回転リング３４の中心軸方向の動きを制限する。貫通孔３２ｃは、吐出側部材３２の外周面に形成され、第１流路５４および第２流路５６を連通するために形成される。
【0032】
奥側部材３６は、円管状に形成され、吐出側部材３２に螺合して連結される。吐出側部材３２および奥側部材３６により、回転リング３４を中心軸方向に挟んで、回転リング３４の中心軸方向の移動を制限する。奥側部材３６は、付勢部材３８を支持するバネ支持部３６ａを有する。バネ支持部３６ａは、奥側部材３６の後端に溝状に形成される。
【0033】
回転リング３４は、円筒状に形成され、ノズル３０を環囲した状態でノズル３０に回転可能に支持される。ここで、図３を参照しつつ、回転リング３４について説明する。
【0034】
図３は、ノズル３０に装着された回転リング３４の側面図である。回転リング３４は、カム部３４ａおよび連通孔３４ｂを有する。カム部３４ａは、回転リング３４から径方向外向きに突出し、周方向に離間して複数形成される。カム部３４ａは、周方向に向かって尖るように形成され、周方向に対して傾斜する第１カム面６０および第２カム面６２を有する。第１カム面６０および第２カム面６２は、ノズル３０の中心軸方向の力を回転方向の成分に変換するために設けられる。
【0035】
連通孔３４ｂは、回転リング３４に貫通して形成され、周方向に離間して複数形成される。連通孔３４ｂは、第１流路５４および第２流路５６を連通させるために設けられる。連通孔３４ｂは、所定の第１回転位置でノズル３０の貫通孔３２ｃと径方向に重なって第１流路５４および第２流路５６を連通状態にし、所定の第２回転位置で貫通孔３２ｃとずれて第１流路５４および第２流路５６を遮断状態にする。これにより、ノズル３０が噴出する液体の流速を回転リング３４の回転位置に応じて異なるように設定できる。
【0036】
図２に戻る。固定リング５０は、円筒状に形成され、回転リング３４と径方向に対向するように支持部材１６の内面に固定される。固定リング５０は、同軸で同径の第１部材４６および第２部材４８を結合して形成される。ここで、図４を参照しつつ、固定リング５０について説明する。
【0037】
図４は、支持部材１６に装着された固定リング５０の断面図である。固定リング５０の内面には、第１固定側凸部５０ｂおよび第２固定側凸部５０ａが形成される。第１固定側凸部５０ｂおよび第２固定側凸部５０ａは、径方向内向きに突出して形成され、それぞれ複数形成される。第１固定側凸部５０ｂおよび第２固定側凸部５０ａは、周方向にずれて位置する。第１固定側凸部５０ｂは、周方向に連なって形成されるのに対し、第２固定側凸部５０ａは、周方向に離間している。カム部３４ａは、隣合う第２固定側凸部５０ａの間を通ることができるが、隣合う第１固定側凸部５０ｂの間を通ることができない。カム部３４ａが隣合う第２固定側凸部５０ａの間を通れるため、ノズル３０の進退のストローク量を確保できる。
【0038】
第１固定側凸部５０ｂおよび第２固定側凸部５０ａは、中心軸方向に離間しており、その間を回転リング３４のカム部３４ａを移動可能にしている。第２固定側凸部５０ａは、カム部３４ａの第１カム面６０に当接可能であり、第１固定側凸部５０ｂは、第２カム面６２に当接可能である。第１カム面６０に当接する第２固定側凸部５０ａの第２誘導面６４は、周方向に対して中心軸方向外向きに傾斜しており、第２カム面６２に当接する第１固定側凸部５０ｂの第１誘導面６６は、周方向に対して中心軸方向内向きに傾斜している。
【0039】
第２誘導面６４は、ノズル３０の進行時に第１カム面６０に当接して、回転リング３４を回転するように誘導し、第１誘導面６６は、ノズル３０の退行時に第２カム面６２に当接して回転リング３４を回転するように誘導する。このように、固定リング５０は、回転リング３４の回転を誘導する。ユーザによるノズル３０のプッシュ操作によって、回転リング３４が所定の角度ずつ回転するように構成されている。回転リング３４および固定リング５０により、ノズル３０の進退によって回転する切替機構３５が構成される。
【0040】
図５は、切替機構３５の動作について説明するための図である。図５では切替機構３５の中心から切替機構３５を径方向外向きに見た状態を示す。図５（ａ）には、第１流路５４および第２流路５６が遮断された第１状態の切替機構３５を示す。
【0041】
第１状態においてユーザがノズル３０を押すと、ノズル３０とともに回転リング３４が退行方向（図中下方）に移動し、図５（ｂ）に示すように、カム部３４ａが第１固定側凸部５０ｂの頂上部分に当接する。ノズル３０は、付勢部材３８の付勢に抗して退行する。なお、図５（ｂ）には、図５（ａ）に示すカム部３４ａの位置を破線で示す。
【0042】
ユーザがさらにノズル３０を押し込むと、カム部３４ａが第１固定側凸部５０ｂの傾斜した第１誘導面６６に誘導されて、回転リング３４が固定リング５０およびノズル３０に対して回転し、隣の第１固定側凸部５０ｂに当たって止まる。これにより、ノズル３０の退行も止まる。
【0043】
ユーザはノズル３０から手を離すと、ノズル３０および回転リング３４は付勢部材３８の復元力により進行方向（図中上方）に移動し、図５（ｄ）に示すように、カム部３４ａは、第２固定側凸部５０ａに当接する。
【0044】
ノズル３０は付勢部材３８に進行方向に付勢されて、カム部３４ａが第２固定側凸部５０ａの第２誘導面６４に誘導されて、回転リング３４が固定リング５０およびノズル３０に対して回転して、ノズル３０の固定体１からの離脱が規制されると止まる。
【0045】
これにより、回転リング３４が所定の回転角だけ回転し、第１流路５４および第２流路５６が連通されて第２状態となる。このように切替機構３５は、ノズル３０がプッシュ操作を受ける毎に所定の回転角で回転する回転体（回転リング３４）を有し、回転体は、ノズル３０の退行方向の動きにより回転し、ノズル３０の進行方向の動きにより回転する。切替機構３５を設けることで、ノズル３０を回転させることなく、第１流路５４および第２流路５６の連通している状態を替えることができる。
【0046】
ノズル３０を退行させるプッシュ操作では、ノズル３０が直接的に押し込まれてもよく、ノズル３０に設けられたカバー部材が押されることでノズル３０を間接的に押し込まれてもよい。
【0047】
図６は、第１状態および第２状態のノズル３０について説明するための図である。なお、ノズル３０は支持部材１６に支持されており、ノズル３０からノズルヘッド４０を除いている。図６（ａ）では、回転リング３４が貫通孔３２ｃを塞いでおり、第１流路５４および第２流路５６が遮断された第１状態となっている。第１状態のノズル３０は、第２吐出口２ｂから液体を噴出せず、第１吐出口２ａのみから液体を噴出する。これにより、ノズル３０は、液体を勢いよく噴出することができる。
【0048】
図６（ａ）では、供給流路２７に連通する上流側流路７１と、ノズル３０から噴出する液体が通る下流側流路７２が直線状につながっている。
【0049】
図６（ｂ）では、回転リング３４の連通孔３４ｂとノズル３０の貫通孔３２ｃが径方向に重なった位置にあり、第１流路５４および第２流路５６が連通した第２状態となっている。第２状態のノズル３０は、第１吐出口２ａおよび第２吐出口２ｂから液体を噴出する。これにより、第１状態と比べて、第２状態のノズル３０の開口面積が大きくなって、ノズル３０から噴出する液体の流速が遅くなり、穏やかな噴流を提供できる。
【0050】
図６（ａ）では、下流側流路７２が第１流路５４のみで構成されるのに対し、図６（ｂ）では、下流側流路７２が第１流路５４および第２流路５６で構成される。回転リング３４が所定の回転角で回転する毎に、上流側流路７１と下流側流路７２との間での連通状態が切り替わって、ノズル３０の噴出態様が切り替わる。
【0051】
このように、ノズル３０は、進退動作によって切替機構３５を回転させ、切替機構３５の回転に応じて、噴出する液体の流速が異なる第１状態および第２状態をとる。ユーザは、ノズル３０を押し込むことで、噴流の強さおよび向きなどの状態をできる。ユーザが浴槽に入っているときに、ノズル装置１０はユーザの背面側で操作しづらい位置にあるため、噴流の設定変更をプッシュ操作で容易に実行できることは非常に有用である。噴出する液体の状態をノズルの回転で替える態様と比べて、ノズルを回転させすぎて元の状態に戻ることもなく、確実に切替操作ができる。
【0052】
図６（ａ）および図６（ｂ）に示すように、ノズル３０の中心軸方向の位置は、固定体１の支持部材１６に対して第１状態と第２状態で同じである。つまり、ノズル３０の進退方向の位置は、ノズル３０の噴出態様の切り替え前後で同じである。図５（ａ）および図５（ｅ）には、第１状態と第２状態とで、回転リング３４のカム部３４ａが固定リング５０に対して、中心軸方向に同じ位置にあることを示す。これにより、第１状態と第２状態でノズル３０の吐出口２の中心軸方向の位置を一定にできる。また、ユーザがプッシュ操作するノズル３０の操作面が第１状態と第２状態で同じ位置にあるため、ユーザが同じ感覚で操作できる。
【0053】
図７は、変形例のノズル装置１００の断面図である。図７に示すノズル装置１００は、図１に示すノズル装置１０と比べて、ノズルヘッド１４０の形状が異なる。ノズル１３０のノズルヘッド１４０が短くなっており、ノズルヘッド１４０が支持部材１６より浴槽９内にはみ出ないように設けられる。
【0054】
つまり、ノズル１３０は、収容孔７０の入口側の縁部６８より退行方向に収まる位置に設けられ、固定体１の表面より中心軸方向内側に出ないように位置する。また、ノズル３０は、固定体１が浴槽内に露出する表面の位置と同じ、または浴槽壁９ａ側に奥まった位置にある。これにより、ユーザが入浴時にノズル装置１００に寄り掛かってもノズル１３０に接触しにくくなっており、意図せずにノズル１３０をプッシュ操作することを抑えることができる。
【0055】
なお実施例はあくまでも例示であり、各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0056】
実施例では、ノズル３０へのプッシュ操作によって、第１流路５４および第２流路５６が連通した第１状態と、遮断した第２状態をとる態様を示したが、この態様に限られない。例えば、ノズル３０へのプッシュ操作によって、ノズル３０の貫通孔３２ｃと回転リング３４の連通孔３４ｂとの重なり度合いが異なり、貫通孔３２ｃの開度が異なるように構成されてよい。つまり、ノズル３０へのプッシュ操作によってノズル３０から噴出する液体の流速が多段的に設定され、ユーザの選択肢を広げることができる。
【0057】
実施例では、ノズル３０へのプッシュ操作によってノズルの噴出態様を切り替えた場合に、噴出する液体の流速が変わるノズル装置１０を示したが、この態様に限られない。例えば、ノズル装置は、ノズルへのプッシュ操作によってノズルの噴出態様を切り替えた場合に、噴出する液体の流速は同じであるが、噴出する液体の流路が切り替わって噴出する液体の方向が切り替わるものであってよい。この変形例では、ノズル３０は第１状態において第１流路を通る液体を噴出し、第２状態において第２流路を通る液体を噴出し、第１状態と第２状態の切替はノズル３０へのプッシュ操作で実行される。
【0058】
第２態様のノズル装置は、第１態様において前記ノズルの進退方向の位置は、前記ノズルの噴出態様の切り替え前後で同じであってよい。
これにより、ユーザのプッシュ操作により進退するノズルの位置が、切り替え前後で同じであるため、ユーザが同じ感覚で操作できる。
これにより、ユーザのプッシュ操作により進退するノズルの位置が、切り替え前後で同じであるため、ユーザが同じ感覚で操作できる。
【0059】
第３態様のノズル装置は、第１態様または第２態様において、前記ノズルは、前記収容孔の入口側の縁部より退行方向に収まる位置に設けられてよい。
これにより、ユーザが意図せずにノズルを退行させることを抑えることができる。
これにより、ユーザが意図せずにノズルを退行させることを抑えることができる。
【符号の説明】
【0060】
１ 固定体、 ９ 浴槽、 １０ ノズル装置、 ３０ ノズル、 ３５ 切替機構、 ３８ 付勢部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】