(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】遮光性ラミネートチューブ用原反、当該原反を使用した胴部並びに容器及び前記胴部の製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 15/085 20060101AFI20220707BHJP
B32B 1/08 20060101ALI20220707BHJP
B65D 35/10 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
B32B15/085 A
B32B1/08 B
B65D35/10 B
(21)【出願番号】P 2018109130
(22)【出願日】2018-06-07
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000156824
【氏名又は名称】関西チューブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117145
【氏名又は名称】小松 純
(72)【発明者】
【氏名】大野 二三一
(72)【発明者】
【氏名】伊東 直彦
(72)【発明者】
【氏名】岩下 智治
(72)【発明者】
【氏名】森 雅史
【審査官】松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-265042(JP,A)
【文献】特開2013-022918(JP,A)
【文献】国際公開第2006/046464(WO,A1)
【文献】特開昭53-113683(JP,A)
【文献】特開2000-153585(JP,A)
【文献】特開2005-001753(JP,A)
【文献】特表2016-538200(JP,A)
【文献】国際公開第2017/029219(WO,A1)
【文献】特表2017-524620(JP,A)
【文献】特開昭55-012061(JP,A)
【文献】特開昭54-114387(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0311615(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B32B 1/00 - 43/00
B65D 35/00 - 35/42
B65D 35/56 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光性ラミネートチューブ用原反を使用して、両端部をサイドシームによって溶着された筒形状を呈し、
前記遮光性ラミネートチューブ用原反は3層以上の異なった材料を積層することによって形成されており、前記3層のうち中間層に金属製材料で形成された層を有し、筒状胴部に成形された際の金属層より内層側の少なくとも1層をカーボンブラックが配合されたポリオレフィン層により形成されており、当該筒形状の原反における最外層に該当する層がポリオレフィン層で形成され、かつ、前記サイドシーム部における原反の端部に最外層のポリオレフィン層と金属層より内側の少なくとも1層に配置されたカーボンブラックが配合されたポリオレフィン層による溶融封止部が形成されていることを特徴とする遮光性ラミネートチューブ用胴部。
【請求項2】
前記請求項1に記載された遮光性ラミネートチューブ用胴部に、肩部が接合された遮光性ラミネートチューブ容器。
【請求項3】
ラミネートチューブにおけるサイドシームを有する筒状胴部に使用される原反であって、当該原反が3層以上の異なった材料を積層することによって形成されており、前記3層のうち中間層が金属製材料で形成されており、筒状胴部に成形された際の最外層がポリオレフィン層で形成され、筒状胴部に成形された際の金属層より内側の少なくとも1層がカーボンブラックを配合したポリオレフィン層で形成された長尺のラミネートチューブ用原反をロール状とした後、当該ロール状の原反を順次繰り出し、金型に周着させ、両端を重ね合わせてサイドシームにより接着し原反を円筒状に加工する際、熱源体が外方より前記原反に押し付けられる前記金型の当接箇所に凹状の溝が形成されていることを特徴とする遮光性ラミネートチューブ用胴部の製造方法。
【請求項4】
前記原反における筒状胴部に成形された際の最外層がポリオレフィン層及び筒状胴部に成形された際の金属層より内側の少なくとも1層がカーボンブラックを配合したポリオレフィン層によって形成されており、サイドシームによる加工の際に最外層とカーボンブラックを配合したポリオレフィン層を溶融延伸することによって最外層のポリオレフィン層とカーボンブラックを配合したポリオレフィン層によってサイドシーム部における内外両端部に溶融封止部を形成する工程を有することを特徴とする請求項
3に記載された遮光性ラミネートチューブ用胴部の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来品において問題となっていたラミネートチューブ容器における遮光性を向上させる技術に関する。特に金属層に加えて特殊な材料を使用した積層構造及びサイドシーム部の端部構造によって、金属層の重ね合わせの部分からの光の漏れを遮断する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ポリエチレン、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、金属箔等が積層されたラミネートチューブ容器は、強度、成形性、可撓性及び押出し性等に優れているため、チューブ容器として幅広い用途に使用されている。かかるチューブ容器は、ポリエチレン、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、金属箔等を、接着剤若しくは押し出し成形によって積層した原反で筒状胴部を製造したのち、胴体部分と肩部を接合又は形成することによって製造される。胴体部分は、原反を所望の長さに切断した後、筒形状に丸めて原反の端部を熱で溶着(以下、サイドシームとも記述する。)することによって生産される。又は、長尺の筒形状を形成しながらサイドシームすることによって生産される。
【0003】
ラミネートチューブ容器の内容物としては、化粧品、医薬品、歯磨き、食品等、様々な用途に使用される。このようなラミネートチューブは、酸素等のバリア性の観点から、ラミネート原反の中間層に金属層(一般的にはアルミ箔が用いられる事が多い。)を積層しておくことが周知の技術となっている。ここで、医薬品、医薬部外品、UVカット製品、調味料、化粧品及び化学材料等の如く、内容物の変質を高水準で管理するものについては、内容物の酸化防止に加えて、光の透過が懸念点として知られている。
例えば、遮光性に関する技術としては、特許文献1~6が知られている。特許文献1~3には、ポリオレフィンフィルム等にアルミ蒸着を施したフィルムを使用した遮光技術が開示されている。又、特許文献4には、酸化ケイ素蒸着層と着色ポリエチレンが積層された遮光技術が開示されている。又、特許文献5にはカーボンブラック等を遮光材料として使用した技術が開示されている。又、特許文献6には同様にカーボンブラックを使用した技術が開示されている。
【0004】
上記の技術は、全てラミネート材料の構成中に遮光性のあるフィルムを使用することによって、光の透過等を防止する技術である。もちろんこれらの技術を遮光性ラミネートチューブに転用する事は可能である。
上述のような遮光性ラミネートチューブ用原反は、アルミ箔等の金属層の代わりに遮光材料を使用している。ここで、遮光性ラミネートチューブ用原反は特殊であり、かつ、カーボンブラックのような色が濃いものを使用すると、デザイン上の観点から隠蔽層を設けなくてはならないため、アルミ箔等を使用したラミネートチューブ用原反よりコストが高くなることが原則的な事実として知られている。そのため、中間層として金属層(一般的にはアルミ箔が用いられることが多い。)を積層することが一般的である。
【0005】
しかし、金属層を用いたラミネートチューブ用筒状胴部には、原反と原反とを重ね合わせて熱溶着を施したサイドシーム部が形成される。かかるサイドシーム部における金属層と金属層の層間から容器の内側に微小ながら外光が漏れ入ることが事実として知られている。このような光の侵入は、内容物を変質させる要因になり得る。例えば、医薬品、化粧品等の中に含まれるビタミンAやビタミンB2等は光に敏感であり、サイドシーム部からの微小な光の漏れでさえも、変質を発生させるという問題が危惧される。
【0006】
例えば、
図2は従来技術に係るラミネートチューブ用胴部のサイドシーム部30を示す。
図2に示す如く、従来技術に係るラミネートチューブ用原反は、最外層31、基材32、金属層33、最内層34を有した原反を重ね合わせて構成されている。かかる部分30において、金属層33は外からの光の侵入を防止するが(
図2中、屈折している矢印を参照。)、上方に重なっている原反の金属層33と下方に重なっている原反の金属層33との間隙を通して外部の光が内部へ侵入することが知られていた(
図2中の矢印は光の経路を示す。)。かかる従来技術の問題点については、後述する実施形態1の中で詳細に説明する。
本発明者は、内容物の変質を高水準で管理しなければならない医薬品、化粧品等においても使用し得るラミネートチューブ容器の開発を目指して鋭意研究を続けている。そして、実際に幾つかの遮光材料を使用したラミネートチューブ容器を製造したが、完全に光の侵入を防止するラミネート容器を製造するのは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-22918号公報
【文献】特開2016-104564号公報
【文献】特開2017-52282号公報
【文献】特開平7-187205号公報
【文献】特開平6-298265号公報
【文献】特開2014-141303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した従来技術の欠点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ラミネートチューブ容器におけるサイドシーム部分からの光の侵入を防止することを目的とする。
特にサイドシーム部における原反の端部を遮光性材料で被覆することによって、サイドシーム部の金属層と金属層の間隙からラミネートチューブ容器の内部への光の侵入をより高精度で防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために以下の構成を採用した。
(1)ラミネートチューブにおけるサイドシームを有する筒状胴部に使用される原反であって、当該原反が3層以上の異なった材料を積層することによって形成されており、前記3層のうち中間層に金属製材料で形成された層を有し、筒状胴部に成形された際の金属層より内層側の少なくとも1層をカーボンブラックが配合されたポリオレフィン層により形成していることを特徴とする遮光性ラミネートチューブ用原反である。
【0010】
(2)前記原反を構成する複数の層のうち筒状胴部に成形された際の最外層が、ポリオレフィンによって形成されていることを特徴とする上記(1)に記載された遮光性ラミネートチューブ用原反である。
ここで本発明における最外層とは、原反を構成した際における表面を構成する層のことである。市販されるチューブにおいては、印刷等の便宜のために当該最外層にオーバーコート層が施される場合もある。
(3)前記(1)又は(2)の遮光性ラミネートチューブ用原反を使用して、両端部をサイドシームによって溶着された筒形状を呈し、当該筒形状の原反における最外層に該当する層がポリオレフィン層で形成され、かつ、前記サイドシーム部における原反の端部に最外層のポリオレフィン層と金属層より内側の少なくとも1層に配置されたカーボンブラックが配合されたポリオレフィン層による溶融封止部が形成されていることを特徴とする遮光性ラミネートチューブ用胴部である。
【0011】
(4)前記(3)に記載された遮光性ラミネートチューブ用胴部に、肩部が接合された遮光性ラミネートチューブ容器である。
(5)ラミネートチューブにおけるサイドシームを有する筒状胴部に使用される原反であって、当該原反が3層以上の異なった材料を積層することによって形成されており、前記3層のうち中間層が金属製材料で形成されており、筒状胴部に成形された際の最外層がポリオレフィン層で形成され、筒状胴部に成形された際の金属層より内側の少なくとも1層がカーボンブラックを配合したポリオレフィン層で形成された長尺のラミネートチューブ用原反をロール状とした後、当該ロール状の原反を順次繰り出し、金型に周着させた後、両端を重ね合わせてサイドシームにより接着し原反を円筒状に加工する際、熱源体が外方より前記原反に押し付けられる前記金型の当接箇所に凹状の溝が形成されていることを特徴とする遮光性ラミネートチューブ用胴部の製造方法である。
【0012】
本発明は、金型の表面に凹状の溝を設けることによって、アルミ箔の端部付近に樹脂だまりを形成させ、効率よく溶融封止部を形成することができる。
(6)前記原反における筒状胴部に成形された際の最外層がポリオレフィン層及び筒状胴部に成形された際の金属層より内側の少なくとも1層がカーボンブラックを配合したポリオレフィン層によって形成されており、サイドシームによる加工の際に最外層とカーボンブラックを配合したポリオレフィン層を溶融延伸することによって最外層のポリオレフィン層とカーボンブラックを配合したポリオレフィン層によってサイドシーム部における内外両端部に溶融封止部を形成する工程を有することを特徴とする上記(5)に記載された遮光性ラミネートチューブ用胴部の製造方法である。
【0013】
ここで、溶融封止部を形成するためには、重ね合わせた原反に熱をかけながら圧縮することが重要である。圧縮することによって、溶融した樹脂を流し、溶融封止部を形成する。圧縮率については、
圧縮率:100×サイドシームの厚み/(原反の厚み×2)=65~85%
が望ましい。
ここで上記圧縮率が65%未満だと、熱が加わりすぎており、過溶着の懸念がある。一方、上記圧縮率が85%を超えると、熱が不足しており、樹脂の溶け出しが不足している懸念がある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の遮光性ラミネートチューブ用原反を用いた胴部をラミネートチューブ容器の胴部に採用することによって、サイドシーム部分における原反の端部が遮光性材料で被覆されているため、胴部の金属層と金属層の間隙からラミネートチューブ容器の内部への光の侵入をより高精度で防止する優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るチューブ容器を示す部分的な斜視図である
【
図2】従来技術であるラミネートチューブ容器胴部のサイドシーム部を示す概念図である。
【
図3】
サイドシームにより筒状胴部を得る方法を説明する概念図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る遮光性ラミネートチューブ容器胴部のサイドシーム部を示す部分的な断面図である。
【
図5】本発明の実施形態2に係る遮光性ラミネートチューブ容器胴部のサイドシーム部を説明するための部分的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る遮光性ラミネートチューブ用原反、遮光性ラミネートチューブ用胴部、遮光性ラミネートチューブ容器及び遮光性ラミネートチューブ用胴部の製造方法の一例を説明する。なお、以下に示す実施形態及び実施例は、本発明の例示であるため、以下に記載されていない実施形態であっても本発明の範囲に属する場合がある。
実施形態1
図1は、本発明に係る遮光性ラミネートチューブ用原反が使用されるチューブ容器の概念を説明するための部分的な斜視図である。
図1に示す如く、本発明に係る遮光性ラミネートチューブ用原反は、チューブ容器10の胴部7として用いられる。チューブ容器10は、口部1、肩部2及びチューブ容器用胴部7等によって形成される。一般的には、チューブ容器用胴部7を筒状に形成した後に、図示しない頭部成型機によるコンプレッション法によって、口部1及び肩部2が同時に一体成型される。その後、口部1には、図示しないキャップが螺着される。一般的には、チューブ容器用胴部7をマンドレルに外挿し、高密度ポリエチレンによる溶融樹脂を配置したキャビティ内にマンドレルを圧入することによって、チューブ容器の口部1及び肩部2に相当する部分を形成する。そのほか頭部成形法としては、あらかじめ胴部を金型に挿入したのち、溶融樹脂を金型に流し込み、頭部と胴部を一体成型する方法や、あらかじめ成形しておいた頭部と筒状胴部を高周波で加熱溶着し、一体成型する方法など、さまざま挙げられる。
【0017】
サイドシームにより筒状胴部を得る方法としては、ロール状の遮光性ラミネートチューブ用原反からチューブ一本分のブランク原反を切り出したのち、ブランクの端部を金型に配置された凹状の溝で重なり合うように周着させ、高周波ハンマーによって原反内の金属層を加熱し、最内層と最外層のポリオレフィン層を溶着させ、筒状胴部を得る方法(横取り方式)と、ロール状の遮光性ラミネートチューブ用原反を順次繰り出し、金型に設けられた凹状の溝で重なり合うように周着させながら、高周波ハンマーで連続的にサイドシームを形成したのち、一本分の長さにカットし、筒状胴部を得る方法(縦取り方式)がある。縦取り方式は、高周波ハンマーで連続的にサイドシームを行うため、生産効率が良好である。
【0018】
図4は、実施形態1に係る遮光性ラミネートチューブ用胴部のサイドシーム部の一例を示す断面図である。
実施形態1に係る遮光性ラミネートチューブ用原反は、4層の異なった材料を積層することによって形成されている。図4の上から順に説明すると、最外層41はポリエチレンフィルムによって形成されている。次に基材42が積層されている。かかる基材はポリエチレンテレフタレートフィルムによって形成されている。かかる基材42は、他にポリブチレンテレフタレート系フィルム(PBT)、ポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN),ポリブチレンナフタレート(PBN)、6-ナイロン(Ny),66-ナイロン、11ナイロン、MXD6ナイロン等であっても良い。
【0019】
次に中間層として金属層43が積層されている。かかる金属層43はアルミ箔によって形成されている。次に最内層44に該当する層には、カーボンブラックが配合されたポリエチレンフィルムが積層されている。
従って、実施形態1に係る遮光性ラミネートチューブ用原反を採用することによって、サイドシーム部の原反の端部を、溶融したカーボンブラックが配合されたポリエチレン樹脂で被覆するため、ラミネートチューブ容器におけるサイドシーム部からの光の侵入を防止することができる。
【0020】
ここで比較のため、従来のラミネートチューブ用原反の構成を説明する。
図2は、従来のラミネートチューブ容器用胴部のサイドシーム部を示す概念図である。比較のため、
図2に示すラミネートチューブ用原反も、実施形態1に係る遮光性ラミネートチューブ用原反とほぼ同様の積層構造としている。ただし、最内層34はカーボンブラックが配合されていないポリエチレンフィルムによって形成されている点が相違する。すなわち、
図2に示す従来のラミネートチューブ用原反は、4層の異なった材料を積層することによって形成されている。
図2において、上から順に説明すると、最外層31はポリエチレンフィルムによって形成されている。次に、基材32が積層されている。かかる基材32はポリエチレンテレフタレートフィルムによって形成されている。次に中間層として金属層33が積層されている。かかる金属層33はアルミ箔によって形成されている。ついで最内層34に該当する層には、カーボンブラックが配合されていないポリエチレンフィルムが積層されている。
ここで従来のラミネートチューブ用原反は、金属層33のみによって遮光を行っているため、従来のラミネートチューブ用胴部のサイドシーム部30における金属層33と金属層33に挟まれた間隙から外部の光が内部に侵入する。
【0021】
一方、実施形態1に係る遮光性ラミネートチューブ用胴部のサイドシーム部40は、図4に示す如く、金属層43の容器外側における端部が最外層41とカーボンブラックが配合された最内層44によって被覆され、溶融封止部47が形成され、又、金属層43の容器内側における端部も最外層41とカーボンブラックが配合された内層44によって被覆され、溶融封止部48が形成されている。又、金属層43と金属層43の間隙も最外層41とカーボンブラックが配合された最内層44によって形成されている。
従って、実施形態1の遮光性ラミネートチューブ用原反を用いて成形された筒状胴部を採用することによって、従来のラミネートチューブ用胴部のサイドシーム部における金属層と金属層の間隙から侵入していた光を遮断し、ラミネートチューブ容器の内部への光の侵入をより高精度で防止することができる。
【0022】
実施形態2
図5は、実施形態2に係る遮光性ラミネートチューブ用原反のサイドシームされた状態の一例を示す断面図である。
実施形態2に係る遮光性ラミネートチューブ用胴部は実施形態1の遮光性ラミネートチューブ用胴部にオーバーコート層59を被覆した構成になっている。用いた遮光性ラミネートチューブ用原反は、実施形態1と同様の構成を有している。オーバーコート層59は、ポリエチレン樹脂によって形成されている。かかるオーバーコート層59は、原反を筒状にしたのち、筒状の外周より一定の間隙を介して覆うように配置された円形金型の中心を通しながら、溶融したポリエチレン樹脂を金型から押し出すことによって形成される。このような工程を施すことにより、サイドシームの段差が円滑になり、外観上の美観が向上するうえ、サイドシーム部上に印刷することも可能になる。
【0023】
従って、実施形態2に係る遮光性ラミネートチューブ用胴部は、サイドシーム部50の金属層と金属層の間隙が遮光性材料で形成され、かつ原反の端部が遮光性材料で形成された溶融封止部57,58で完全に被覆されているため、従来のラミネートチューブ用胴部のサイドシーム部における金属層と金属層の間隙から侵入していた光を遮断し、ラミネートチューブ容器の内部への光の侵入をより高精度で防止することができ、さらにサイドシーム部の段差が円滑になり、外観上の美観も向上できる。
【0024】
実施例1
上記のチューブ容器用胴部7に用いられるのが、本発明に係る遮光性ラミネートチューブ用原反である。実施例1に係る遮光性ラミネートチューブ用原反の構成は、図4に示す如く、上から、最外層41はポリエチレンフィルム、基材42はポリエチレンテレフタレート(PET)、金属層43はアルミ箔、最内層44は5重量%以下のカーボンブラックが配合されたポリエチレンフィルムが積層されている。
この遮光性ラミネートチューブ用原反をロール状としたのち、順次原反を繰り出し、チューブ胴体1本分(80mm×120mm)のブランクを切り出した。次いで、切り出したブランクの長手方向の端部が、金型に設けられた溝部で重なり合うよう、ブランクを金型に周着させ、高周波ハンマーを金型に押し当て加熱溶着することによって、筒状の胴部(φ25×120mm)を得た。
【0025】
ここで、形成されたサイドシーム部の断面図を図4に示す。本発明においては、重なり合う原反の金属層の間隙を通る光の侵入を防止するため、サイドシーム部の端部をカーボンブラックが配合されたポリエチレン樹脂により、包み込んだ溶融封止部47,48を形成することが重要である。ここで、金型に溝部を設けることにより、内層側(内容物と直接触れる側)の端部をより包み込みやすくすることができ、溶融封止部48を形成しやすくなる。さらに、熱をかけながら圧縮することにより、溶融した樹脂が流れ出し、溶融封止部48を形成しやすくなる。圧縮については圧縮率65%~85%が望ましい。以上のように、サイドシーム部の端部をカーボンブラックが配合されたポリエチレン樹脂で、包み込むことによって、サイドシーム部からの光の侵入を高精度で防止することができる。
【0026】
実施例2
実施例2は、化粧品等に好適に使用される。チューブ容器胴部としての構成は、図5に示すとおりである。
実施例1と同様に、遮光性ラミネート用原反をロール状としたのち、順次繰り出し、原反の短手方向を金型の溝部で重なるように周着させ、連続的に高周波ハンマーにより溶着することによって、筒状に成形した。原反を筒状にしたのち、筒状の外周より一定の間隙を介して覆うように配置された円形金型の中心を通しながら、溶融したポリエチレン樹脂を金型から押し出すことによって、最外層をポリエチレン樹脂で被覆した。このような工程を施すことにより、サイドシームの段差が円滑になり、外観上の美観が向上するうえ、サイドシーム部上に印刷することも可能になる。
サイドシーム部の光の侵入については、実施例1と同様に、サイドシーム部の端部をカーボンブラックが配合されたポリエチレン樹脂で包み込むことによって、高精度で防止できる。
【0027】
比較例1
図2に示す原反構成であり、最内層にカーボンブラックが配合されていないポリエチレンフィルムを使用したこと以外、実施例2と同様の方法でラミネートチューブを製造した。すなわち、
図2に示すサイドシームされた筒状胴部を、筒状の外周より一定の間隙を介して覆うように配置された円形金型の中心を通しながら、溶融したポリエチレン樹脂を金型から押し出すことによって、最外層をポリエチレン樹脂で被覆した。
【0028】
-サイドシーム部の遮光性の確認-
実施例1(本発明品)、実施例2(本発明品)と及び比較例1(従来品)のサイドシーム部からの光の侵入を比較した。方法は、チューブの内部にそれぞれ光をあて、その後部屋を暗転させ、サイドシーム部からの光の漏れを、目視で観察した。結果を表1に示す。
表1からも分かる通り、最内層にカーボンブラックを配合させた実施例1及び実施例2は、サイドシーム部からの光の漏れは確認されなかった。一方、最内層にカーボンブラックを配合していない比較例1は、サイドシーム部からの光の漏れが確認された。
以上の結果より、本発明品である遮光性ラミネートチューブ用原反を使用した容器は、サイドシーム部の端部を、カーボンブラックが配合されたポリオレフィン層で包み込むことによって、サイドシーム部からの光の侵入を高精度で防止できる。
【0029】
【符号の説明】
【0030】
1 口部
2 肩部
7 胴部
8 サイドシーム部
10 ラミネートチューブ容器
31、41、51 最外層
32、42、52 基材
33、43、53 金属層
34 カーボンブラックが配合されていない最内層
44、54 カーボンブラックが配合された最内層
59 オーバーコート層