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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】LPガス配送管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20220707BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20220707BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q10/08 300
B65G61/00 530
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018136207
(22)【出願日】2018-07-19
(65)【公開番号】P2020013415
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000222657
【氏名又は名称】東洋計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】土田 泰秀
(72)【発明者】
【氏名】土田 泰正
(72)【発明者】
【氏名】小澤 明也
(72)【発明者】
【氏名】大日方 優
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/056436(WO,A1)
【文献】特開2013-174349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガス消費地にLPガス容器を配送するガス配送作業を管理するLPガス配送管理システムであって、
ガス配送管理サーバ、および、前記ガス消費地、ガス配送員およびガス配送車に関する情報が登録されるデータベースを備えており、
年間を通じて一定期間毎に前記ガス消費地のそれぞれに対するLPガス容器の配送回数を集計して得られるガス配送頻度分布が、前記データベースに登録されているか、あるいは、前記ガス配送管理サーバに入力可能であり、
前記データベースには、前記ガス消費地のそれぞれについて、一定期間毎の期間平均ガス使用量と、当該ガス消費地に設置されるLPガス容器の容量とに基づき、年間当たりのLPガス容器の配送頻度が1回あるいは2回で済むガス消費地が、少量ガス消費地として登録され、
前記ガス配送管理サーバは、第1ガス配送時期算出部を備えており、
前記第1ガス配送時期算出部は、前記少量ガス消費地への前記ガス配送作業を行う第1ガス配送時期を、前記ガス配送頻度分布における配送頻度が最も低い期間を含む時期、あるいは、前記ガス配送頻度分布における平均頻度よりも低い配送頻度の期間内の時期に設定するLPガス配送管理システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記期間平均ガス使用量は月間平均ガス使用量であり、
前記月間平均ガス使用量が5m/月未満の前記ガス消費地を前記少量ガス消費地として、前記データベースに登録し、
前記少量ガス消費地に設置される前記LPガス容器は容量が50kgのガスボンベ2本であり、
前記第1ガス配送時期算出部は、前記第1ガス配送時期を、6月から9月までの夏季を含む時期に設定するLPガス配送管理システム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記ガス消費地のそれぞれには、ガスメータ、および、前記ガス配送管理サーバとの間で双方向の通信を行うガス消費地通信装置が配置されており、
前記ガス配送管理サーバは、ガス残量算出部、期間平均ガス使用量算出部、第2ガス配送時期算出部、およびガス配送時期決定部を備えており、
前記ガス残量算出部は、前記ガス消費地のそれぞれの前記ガスメータの検針値に基づき、前記ガス消費地のそれぞれにおける前記LPガス容器のガス残量を一定の周期で算出し、
前記期間平均ガス使用量算出部は、前記検針値に基づき前記ガス消費地のそれぞれにおける一定期間毎の期間平均ガス使用量を一定の周期で算出し、
前記データベースには、前記少量ガス消費地以外の前記ガス消費地が、大量ガス消費地として登録され、前記大量ガス消費地のうち、前記ガス配送作業が毎日あるいは隔日で行われる前記ガス消費地が最優先配送先として登録されており、
前記第2ガス配送時期算出部は、各ガス消費地における前記ガス残量および前記期間平均ガス使用量から予測したガス切れの時期に基づき、当該ガス消費地に対する前記ガス配送作業を行う第2ガス配送時期を算出し、
前記ガス配送時期決定部は、
前記最優先配送先として登録された前記ガス消費地に対しては、毎日あるいは隔日で前記ガス配送作業を行うように設定したガス配送伝票を作成し、
前記最優先配送先以外の前記大量ガス消費地として登録された前記ガス消費地に対しては、前記ガス配送作業の時期を、前記第2ガス配送時期に設定したガス配送伝票を作成し、
前記少量ガス消費地として登録された前記ガス消費地に対しては、前記ガス配送作業の時期を、前記第1ガス配送時期および前記第2ガス配送時期のうち、より早い方の時期に設定したガス配送伝票を作成するLPガス配送管理システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記ガス配送管理サーバとの間で双方向の通信を行うガス配送員通信装置を備えており、
前記ガス配送員通信装置は、通信部、制御部および表示部を備え、
前記通信部は、前記ガス配送管理サーバとの間で双方向の通信を行い、ガス配送先エリアの地図情報および前記ガス配送伝票を含む情報を受信し、
前記ガス配送伝票には、ガス配送先の各ガス消費地の属性情報として、住所、氏名あるいは名称、少量ガス消費地・大量ガス消費地・最優先配送先の別、ガス残量、ガス配送時期、設置されているLPガス容器の本数・容量が含まれており、
前記制御部は、前記表示部の表示画面にガス配送先画面を表示させる表示制御機能を備え、
前記ガス配送先画面には、前記ガス配送先エリアの地図が表示され、
当該地図上には、各ガス消費地を表す配送先マークおよびガス配送ルートの起点および終点となる配送基地を表す基地マークが表示され、
前記配送先マークは、前記少量ガス消費地、前記大量ガス消費地および前記最優先配送先の別、並びに、前記ガス残量および前記ガス配送時期のそれぞれを、目視により識別可能な形態で表すマークであるLPガス配送管理システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記制御部は、前記表示画面上に表示されている前記配送先マークが選択されると、選択された当該配送先マークが示す前記ガス消費地の属性情報を表示する機能を備えているLPガス配送管理システム。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記ガス配送員通信装置の前記制御部は、配送ルート作成表示機能を備えており、
前記配送ルート作成表示機能は、
前記表示画面に表示した複数の前記配送先マークが選択されると、前記最優先配送先を必ず経由し、かつ、選択された各配送先マークが示す前記ガス消費地を経由する1本の配送ルートの候補あるいは複数本の配送ルートの候補を作成し、
前記配送ルートの候補を、前記表示画面上において、前記基地マークを起点および終点とし、前記配送先マークを結ぶ線分で表示するLPガス配送管理システム。
【請求項7】
請求項6において、
前記配送ルート作成表示機能は、
LPガス容器の配送車の積載可能量、
LPガス容器の種類とその組み合わせから決まるガス容器積載本数、
ガス配送員の稼働時間、
ガス配送先である前記ガス消費地の間の移動時間、
交通状態、気象、道路状態を含む配送ルートの環境に起因にする遅延時間、
ガス配送先でのLPガス容器の交換作業時間、および、
ガス配送員の休憩を含む配送作業における必要余裕時間
に基づき、
移動時間がより少なく、移動距離がより短くなるように選定した最適な前記配送ルートの候補を作成するLPガス配送管理システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のうちのいずれか一つの項において、
前記データベースには、前記LPガス容器の配送起点である配送基地からのガス配送車の移動距離あるいは移動時間が所定以上の地域に位置する前記ガス消費地が、遠隔ガス消費地として登録され、
前記ガス配送管理サーバは、前記遠隔ガス消費地に対する前記ガス配送作業として、前記LPガス容器の全量交換を指示するLPガス配送管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LPガス容器の配送(交換)作業を効率良く行うLPガス配送管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
LPガスを使用する住宅、店舗等のガス消費地には、LPガスが充填されたガスボンベ、ガスシリンダ等のLPガス容器が設置される。LPガスの使用量はガスメータによって計測され、ガスメータの検針結果は、例えば通信装置を介して、ガス管理会社の側の管理コンピュータに定期的に収集される。検針結果に基づき、ガス残量管理およびガス料金の課金処理等が行われる。LPガス容器のガス残量が一定以下のガス切れ間近の状態(ガス切れの状態)になると、ガス配送員がガス配送車によってLPガス容器の交換を行うガス配送作業が行われる。
【0003】
ガス配送作業では、例えば毎月のガス検針結果からガス切れの状態となる日を予測し、所定の安全率を加味して配送時期を指定し、指定した配送時期にガス配送員に配送を指示している。ガス配送員は、ガス管理会社等の管理側から、例えば、1週間分のLPガス容器の配送伝票を受け取り、配送伝票で指定されたガス配送先に対して、指定された配送日を含む前後数日の配送時期の間に、ガス配送作業を行う。一般に、ガス配送員は、勘と経験、稼働時間等に基づき、ガス配送先を回る配送ルート(配送順序)を決定している。
【0004】
特許文献1には、ガス配送先のガス切れなどの不測の事態を回避しつつ、配送拠点や配送者に対する配送負荷に応じて配送員の数を調整して配送効率を高めることを目的としたガス容器交換システムが提案されている。このシステムにおいては、各ガス消費地でのガス使用量あるいはガス残量に応じて、各ガス消費地でのガス容器交換日を算出している。また、ガス容器交換日に担当可能な配送員の情報と、配送区間情報と、配送区間毎の所要時間等に基づき、ガス容器交換日当日の配送者、必要配送員数を決定して、配送の効率化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6298917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガス配送作業の効率化を図るためには、各ガス消費地においてガス切れは絶対に起こさないという前提のもとで、一台のガス配送車でなるべく多くのガス消費地にLPガス容器を配送できることが望ましく、また、そのためには、冬季・夏季の配送頻度の格差を是正して配送作業負荷(作業時間)の平準化を図ることが望ましい。
【0007】
ここで、各ガス消費地でのガス使用量には大きなばらつきがあり、また、ガス使用量は季節に応じて大きく変動する。ガス使用量に関しては、一般に、ガス消費地の70%以上においてガス使用量の月間平均値が5m/月未満の少量ガス消費地であり、残りの30%未満のガス消費地が、ガス使用量の月間平均値が5m/月以上の大量ガス消費地であり、大量ガス消費地のうちごく一部が、毎日配送あるいは隔日配送が行われる最重要配送先である。また、季節変動に関しては、ガス暖房機器等が使用される冬季はガス需要期であり、各ガス消費地におけるガス使用量が増加し、これに応じて、LPガス容器の配送頻度(交換頻度)も高くなる。逆に、夏季はガスの不需要期であり、LPガス容器の配送頻度が極めて低い。
【0008】
今までのガス配送管理では、各ガス消費地におけるガス使用量およびガス残量を検出し、これらに基づき、ガス切れの時期を予測し、ガス切れが発生する前の時点で各ガス消費地に対するガス配送作業を完了させる。発生するガス配送作業を効率良く行い得るように、配送ルートの最適化、配送員・配送車の最適配分化を図っている。
【0009】
しかしながら、今までのガス配送管理では、各ガス消費地の間のガス使用量の多寡、ガス使用量の季節変動に基づくガス配送頻度のばらつきを積極的に考慮し、これら等の要因に基づきガス配送作業の効率化を積極的に図ろうとするものではない。例えば、ガス配送頻度を、年間を通して平準化し、ガス配送員の作業負荷、作業時間の積極的な平準化を図るものではない。
【0010】
本発明の目的は、各ガス消費地でのガス使用量、ガス使用量の季節変動に基づくガス配送頻度分布に着目し、これらに基づき、効率良くガス配送作業を行うLPガス配送管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明による、複数のガス消費地にLPガスを配送するガス配送作業を管理するLPガス配送管理システムは、ガス配送管理サーバ、および、ガス消費地、ガス配送員およびガス配送車に関する情報が登録されるデータベースを備えている。年間を通じて一定期間毎にガス消費地のそれぞれに対するLPガス容器の配送回数を集計して得られるガス配送頻度分布が、データベースに登録されているか、あるいは、ガス配送管理サーバに入力可能である。また、データベースには、ガス消費地のそれぞれについて、一定期間毎の期間平均ガス使用量と、当該ガス消費地に設置されるLPガス容器の容量とに基づき、年間当たりのLPガスボンベの配送頻度が1回あるいは2回で済むガス消費地が、少量ガス消費地として登録される。ガス配送管理サーバは、少量ガス消費地へのガス配送作業を行う第1ガス配送時期を、ガス配送頻度分布における配送頻度が最も低い期間を含む時期、あるいは、ガス配送頻度分布における平均頻度よりも低い配送頻度の期間内の時期に設定する第1ガス配送時期算出機能を備えている。
【0012】
本発明において、平均ガス使用量が、例えば、5m/月未満のガス消費地を少量ガス消費地として抽出する。少量ガス消費地に設置されるLPガス容器を、例えば、50kgガスボンベとする。また、第1ガス配送時期を、例えば、6月から9月までの夏季の期間にする。
【0013】
一般的な居住地エリア等において、ガス消費地の70%以上が、月間平均ガス使用量が5m/月に満たない一般住宅に代表される少量ガス消費地である。また、少量ガス消費地では、暖房器具が使用されるガス需要期である冬季においてガスが多く使用され、夏季においては殆ど使用されない。少量ガス消費地に対するガス容器交換は年に1回、多くとも2回であり、交換時期はガス需要の多い冬季に集中しやすい。
【0014】
本発明によれば、少量ガス消費地に対するLPガス容器の配送作業(交換作業)が、ガス需要の少ない夏季等に行われる。換言すると、ガス需要の多い冬季には、残りの30%足らずの大量ガス消費地に対するガス配送作業を集中的に行えばよい。これにより、ガス需要の多い冬季に集中していたガス配送作業のうち、少量ガス消費地については夏季にシフトさせることができ、年間を通じてガス配送頻度の平準化を達成できる。従来においては、ガス配送員の1日当たりの作業時間を、冬季では長くし夏季では短くする変形労働時間制などを採用して、増減するガス配送作業に対応している。本発明によれば、労働時間を、年間を通じてほぼ一定にできる。また、LPガス容器の配送ルートの策定に当たっては、30%未満の大量ガス消費地を中心として行えばよい。よって、配送ルートの策定を効率良く、かつ簡単に行うことができる。
【0015】
一般に、ガス消費地のそれぞれには、ガスメータ、および、ガス配送管理サーバとの間で双方向の通信を行うガス消費地通信装置が配置される。あるいは、ガスメータが、ガス配送管理サーバとの間で通信を行うIoT機器として設計される。ガス配送管理サーバは、ガス残量算出部、期間平均ガス使用量算出部、第2ガス配送時期算出部、およびガス配送時期決定部を備えている。ガス残量算出部は、ガス消費地のそれぞれのガスメータのガス検針値に基づき、ガス消費地のそれぞれにおけるLPガス容器のガス残量を一定の周期で算出する。期間平均ガス使用量算出部は、ガス検針値に基づきガス消費地のそれぞれにおける一定期間毎の期間平均ガス使用量を一定の周期で算出する。データベースには、少量ガス消費地以外のガス消費地が、大量ガス消費地として登録され、大量ガス消費地のうち、ガス配送作業が毎日あるいは隔日で行われるガス消費地が最優先配送先として登録される。第2ガス配送時期算出部は、各ガス消費地におけるガス残量および期間平均ガス使用量に基づき、当該ガス消費地に対するガス配送作業を行う第2ガス配送時期を算出する。
【0016】
そして、ガス配送時期決定部は、最優先配送先として登録されたガス消費地に対しては、毎日あるいは隔日でガス配送作業を行うようにガス配送伝票を作成する。最優先配送先以外の大量ガス消費地として登録されたガス消費地に対しては、ガス配送作業の時期を第2ガス配送時期に設定したガス配送伝票を作成する。少量ガス消費地として登録されたガス消費地に対しては、ガス配送作業の時期を、一律に規定した第1ガス配送時期とガス残量に基づき算出した第2ガス配送時期のうち、より早い方の時期を設定して、ガス配送伝票を作成する。
【0017】
このようにして各ガス消費地に対するガス配送時期が決定され、これに基づき作成されたガス配送伝票が、担当のガス配送員に渡される。ガス配送伝票は電子データとして、例えば、ガス配送車に搭載されるガス配送員通信装置に送信され、その表示画面に表示される。ガス配送先画面の表示形態としては、ガス作業員が画面表示から各ガス消費地の状態が一目で分かることが望ましい。そのために、例えば、表示画面にガス配送先エリアの地図を表示し、表示された地図上に、ガス残量およびガス配送時期に応じて区分された各ガス消費地を表す配送先マークを、各区分を視認可能な形態で表示する。
【0018】
この場合、ガス配送員通信装置は、ガス配送管理サーバから、ガス配送先エリアの地図情報およびガス配送伝票(ガス配送先の各ガス消費地の属性情報である少量ガス消費地、大量ガス消費地、最優先配送先、ガス残量、ガス配送時期、設置されているLPガス容器の本数・容量、その他の情報)を含む情報を受信する通信部と、受信した情報に基づき、表示画面上に表示したガス配送先エリアの地図上に、各ガス消費地を表す配送先マークおよびガス配送ルートの起点および終点となる配送基地を表す基地マークを表示画面上に表示する表示制御機能を備えている。配送先マークとして、少量ガス消費地、大量ガス消費地および優先配送先のいずれであるのか、並びに、ガス残量およびガス配送時期を、それぞれ視認可能な形態で表すマークを用いる。
【0019】
この場合には、表示画面上において、配送先マークが選択されると、選択された配送先マークが示しているガス消費地の属性情報(設置されているLPガス容器の本数、交換本数、ガス容器設置位置、その他の情報)を表示できるようにすると、ガス配送員にとって便利である。
【0020】
また、ガス配送員にとっては、表示画面上において、例えば当日のガス配送先、ガス配送ルートを決定できると便利である。そのために、ガス配送員が表示画面上において、ガス配送時期が同一の配送先マークの全部あるいは一部を選択すると、選択された配送先マークを経由する配送ルートを、予め設定されているアルゴリズムに従って策定して表示できるようにすればよい。
【0021】
例えば、配送員通信装置の配送ルート作成表示機能は、表示画面に表示した複数の配送先マークが選択されると、最優先配送先を必ず経由し、かつ、選択された各配送先マークが示すガス消費地を経由する1本の配送ルートの候補あるいは複数本の配送ルートの候補を作成し、作成した配送ルートの候補を、表示画面上において、基地マークを起点および終点とし、選択された各配送先マークを結ぶ線分で表示する。
【0022】
この場合、配送ルート作成表示機能は、以下のパラメータに基づき、移動時間がより少なく、移動距離がより短くなるように最適配送ルートの候補を作成することができる。
LPガス容器の配送車の積載可能量
LPガス容器の種類とその組み合わせから決まるガス容器積載本数
ガス配送員の稼働時間
ガス配送先である前記ガス消費地の間の移動時間
交通状態、気象、道路状態を含む配送ルートの環境に起因にする遅延時間
ガス配送先でのLPガス容器の交換作業時間
ガス配送員の休憩を含む配送作業における必要余裕時間
【0023】
次に、本発明において、データベースに、LPガス容器の配送起点である配送基地からのガス配送車の移動距離あるいは移動時間が所定以上の遠隔地エリアに位置するガス消費地を、遠隔ガス消費地として登録しておき、ガス配送管理サーバは、遠隔ガス消費地に対するガス配送伝票を発行する場合には、LPガス容器の全量交換を指示することが望ましい。遠隔ガス消費地に対して全量交換を行うことで、当該遠隔ガス消費地に対するガス配送頻度を最小にでき、全体として、ガス配送作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の配送方法を適用したLPガス配送管理システムを示す全体構成図である。
図2図1のシステムにおける主要部分を示す概略構成図である。
図3】ガス配送頻度分布の例を示すグラフである。
図4】画面表示される配送先マークの例を示す説明図、および、ガス配送先画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したLPガス配送管理システムの実施の形態を説明する。
【0026】
図1は本実施の形態に係るLPガス配送管理システム1(以下、単に「システム1」という。)を示す全体構成図である。システム1は、一般的なガス集中監視システムとして構築できる。システム1は、ガス管理会社(ガス配送管理会社)2の側に設置されるガス配送管理サーバ3と、個人住宅、集合住宅、店舗、会社、工場等の各ガス消費地4(4-1、4-2、4-3、・・・4-n)のそれぞれに設置されるガス供給設備5と、ガス消費地4のそれぞれに、LPガスボンベ、LPガスシリンダなどのLPガス容器の交換あるいはバルク貯槽へのLPガスの充填のためのガス配送を行うガス配送車6に搭載される車載通信装置であるガス配送員通信装置7と、これらの各部の間を結ぶ通信網Aとから構成される。
【0027】
各ガス消費地4のガス供給設備5は、LPガス容器あるいはバルク貯槽が設置されているガス供給源8と、ガス供給源8から供給されるガス流量を計測するガスメータ9と、ガス消費地通信装置10とを備えている。例えば、ガス供給源8には、複数本、図示の例では2本のLPガス容器11、12が設置される。ガスは、これらのLPガス容器11、12から自動切替調整器13およびガスメータ9を通って、各ガス器具14a、14b、14c・・・に供給される。自動切替調整器13は、一方のLPガス容器の残量が零になると、自動的に供給元を他方のLPガス容器に切り替える自動切り替え動作を行う。自動切り替え動作が行われると、それを示す自動切り替え通報がガスメータ9およびガス消費地通信装置10を介して、ガス配送管理サーバ3に送信される。また、ガスメータ9による検針値を含む検針通報は、定期的に、あるいは、ガス配送管理サーバ3の側からの要求に応じて、ガス消費地通信装置10を介してガス配送管理サーバ3に供給される。例えばLPWA通信により、ガス配送管理サーバ3に供給される。
【0028】
ガスメータ9には、ボンベリセットスイッチ15が配置されている。LPガス容器11、12の交換作業あるいはバルク貯槽へのLPガスの充填作業を行う配送員により、作業終了後にガス供給を再開するためにボンベリセットスイッチ15が操作される。ガス消費地通信装置10は、ボンベリセットスイッチ15が操作されると、ガス配送作業の終了通報がガス配送管理サーバ3に供給される。この通報により、ガス配送管理サーバ3は、ガス配送作業の終了を確認できる。
【0029】
図2は、システム1におけるガス配送管理機能に関する主要部分を示す概略構成図である。ガス配送管理サーバ3は、管理側通信装置31を介して、各ガス消費地通信装置10との間で双方向の通信を行い、また、各ガス配送員通信装置7との間で双方向の通信を行う。ガス配送管理サーバ3には、入力装置32、表示装置33等の出力装置、およびデータベース34が接続されている。ガス配送管理サーバ3には、管理側通信装置31を介して、ガス消費地通信装置10の側から、ガス消費地4のガス検針値、自動切り替え通報、リセット通報等が供給される。ガス配送管理サーバ3の制御部は、インストールされるガス配送管理プログラムを実行することにより、ガス残量算出部35、期間平均ガス使用量算出部36、ガス配送時期算出部37、ガス配送時期決定部38、ガス配送伝票作成部39などとして機能する。
【0030】
ガス残量算出部35は、ガス検針値に基づき、各ガス消費地4のガス残量を算出する。期間平均ガス使用量算出部36は、ガス検針値に基づき、各ガス消費地4での一定期間毎の平均ガス使用量、例えば月間平均ガス使用量を算出する。ガス配送時期算出部37は、算出されたガス残量と期間平均ガス使用量から、各ガス消費地4のガス切れ時期を予測し、これに基づき、所定の安全率を加味して、ガス配送時期を算出する。また、後述のように少量ガス消費地についてはガス配送頻度の少ない夏季の期間をガス配送時期として設定する。ガス配送時期決定部38は、算出されたガス配送時期に基づき、採用するガス配送時期を決定する。ガス配送伝票作成部39は、決定されたガス配送時期に基づきガス配送伝票を作成する。例えば、7日ベース(1週間単位)でガス配送伝票を作成する。ガス配送伝票の電子データは、担当するガス配送員のガス配送員通信装置7に送信される。
【0031】
ガス配送管理サーバ3のデータベース34には、ガス配送管理に必要とされる各種の情報が登録される。登録情報には、ガス消費地情報(住所、氏名、LPガス容器の本数・容量、ガス使用履歴、ガス配送履歴その他)、道路情報などを含む地図情報(配送ルート情報)、ガス配送員情報(ガス配送履歴、勤務履歴、割当てガス配送車情報等)、ガス配送車情報(積載重量、ガス配送履歴、担当ガス配送員情報等)が含まれている。また、ガス消費地情報には、後述のように、ガス消費地が、少量ガス消費地、大量ガス消費地、配送ルートの関所となる最優先配送先のいずれであるのかを示す情報が含まれている。
【0032】
各LPガス配送車6に搭載された車載式のガス配送員通信装置7は、GPS機能、VICS(登録商標)受信機能、カーナビゲーション機能などを備え、LPWA通信によりガス配送管理サーバ3との間で双方向通信を行う。ガス配送員通信装置7は、通信部71、制御部72、記憶部73、入力部74および表示部75を備えている。制御部72は、ガス配送先エリアマップ作成表示機能76、配送ルート作成表示機能77等の機能を備えている。ガス配送先エリアマップ作成表示機能76は、通信部71を介してガス配送管理サーバ3から受信するガス配送先エリアの地図情報およびガス配送伝票に基づき、表示部75の表示画面上に表示した地図上に、ガス配送先である各ガス消費地を表示する。配送ルート作成表示機能77は、表示画面上において、表示されたガス配送先である各ガス消費地を結ぶ配送ルートを作成する。これらについて後述する。
【0033】
(事前設定情報)
システム1を用いてガス配送管理を行う場合には、事前に各種の情報がデータベース34に初期登録される。例えば、各ガス消費地4におけるガス使用履歴、ガス配送履歴等に基づき、各ガス消費地4を、少量ガス消費地4A、大量ガス消費地4Bおよび最優先配送先4Cに分類する。少量ガス消費地4Aは、一定期間毎のガス使用量が設定量未満のガス消費地である。例えば、月間平均ガス使用量が5m/月未満のガス消費地4を、少量ガス消費地4Aとして登録し、月間平均ガス使用量が5m/月以上のガス消費地4を、大量ガス消費地4Bとして登録する。また、大量ガス消費地4Bのうち、ガス配送履歴に基づき、毎日配送あるいは隔日配送が行われるガス消費地を、最優先配送先4Cとして登録する。また、各ガス消費地4におけるガス配送履歴等に基づき、年間を通じてのガス配送頻度分布を算出して登録する。さらに、LPガス容器の配送起点である配送基地からのガス配送車の移動距離あるいは移動時間が所定以上の地域に位置する遠隔地にあるガス消費地は、遠隔ガス消費地4Dとして登録する。本例では、遠隔ガス消費地4Dについては、LPガスボンベの全量交換を行うように登録される。
【0034】
一般的に、ガス消費地4のうちの70%強は月間平均ガス使用量が5m/月未満の少量ガス消費地4Aであり、残りの30%弱が大量ガス消費地4Bであり、毎日あるいは隔日配送が行われる最優先配送先4Cはごく僅かである。また、年間を通じてのガス配送頻度分布は、図3において二点鎖線C1で示すように、ガス需要期である冬季においてガス配送頻度が高く、ガス不需要期である夏季においてガス配送頻度が低い。このために、ガス配送員は冬季における労働時間を増やし、夏季においては少なくする変形労働時間制を採用して、冬季の繁忙期に対応しているのが現状である。
【0035】
本発明者は、このようなガス使用状況、ガス配送状況に着目した。大多数である少量ガス消費地4Aにおいては、50kgガスボンベの容量を25mとすれば、ガス切れまでに5か月を要し、少量ガス消費地4Aにおける月間平均ガス使用量の平均を2.5m/月とすると、ガス切れまでに10か月を要する。少量ガス消費地4Aに50kgガスボンベを2本設置すれば、1年当たり、1回程度のガス配送(ガス容器交換)だけで済む。年間1回で済むので、そのガス配送時期を、ガス不需要期でありガス配送頻度が最も低い夏季に設定することで、年間を通じて、ガス配送頻度分布を平準化できる。また、ガス配送ルートの策定は、30%弱の大量ガス消費地4Bを中心に行えばよいので、簡単になる。これに加えて、毎日配送あるいは隔日配送の最優先配送先4Cを、ガス配送ルートの策定に当たって必ず経由する関所として設定することで、ガス配送ルートの策定をより簡単かつ効率良く行うことが可能になる。
【0036】
(少量ガス消費地のガス配送管理)
本例のシステム1によるガス配送管理においては、上記のような本発明者による知見、着想に基づき、最初に、次のようにして、少量ガス消費地4Aに対するガス配送時期を設定している。
【0037】
ガス配送管理サーバ3のガス配送時期算出部37は、データベース34の登録情報に基づき、少量ガス消費地4Aを抽出する。勿論、外部入力により少量ガス消費地4Aを設定してもよい。少量ガス消費地4Aに対するガス配送時期を、夏季の期間、例えば、6月から9月までの4か月間の第1ガス配送時期に設定する。ガス配送伝票を7日ベースで作成する場合には、少量ガス消費地4Aのそれぞれに対して、4か月間の間において7日ベースでガス配送時期を割り当てる。割り当ては、例えば、乱数発生器によってランダムに少量ガス消費地4Aのそれぞれにガス配送時期を設定する。設定された第1ガス配送時期に基づき、ガス配送伝票作成部39は、各少量ガス消費地4Aに対するガス配送伝票を作成する。設定された第1ガス配送時期はデータベース34に、各少量ガス消費地4Aに対応付けした形態で登録される。
【0038】
なお、各少量ガス消費地4Aについては、上記のように夏季にガス配送時期が設定されると共に、ガス残量算出部35、平均ガス使用量算出部36によって、周期的に、ガス残量および平均ガス使用量が算出され、ガス配送時期算出部37によって、ガス切れ時期を予測し、安全率を考慮して、ガス切れ前の第2ガス配送時期を算出している。ガス配送時期決定部38では、算出された第2ガス配送時期が、夏季に設定されている第1ガス配送時期よりも早い時期の場合には、ガス配送時期を算出された第2ガス配送時期に切り替えて、ガス切れの発生を確実に防止できるようにしている。
【0039】
(大量ガス消費地のガス配送管理)
これに対して、大量ガス消費地4Bについては、ガス配送管理サーバ3のガス残量算出部35、平均ガス使用量算出部36によってガス残量および期間平均ガス使用量を周期的に算出し、ガス配送時期算出部37において、ガス切れ時期を予測し、安全率を考慮して、ガス切れ前の第2ガス配送時期を設定する。ガス配送伝票作成部39は、算出された第2ガス配送時期に基づきガス配送伝票を例えば7日ベースで作成する。
【0040】
このように、70%強の少量ガス消費地4Aについては、基本的にガス不需要期である夏季にガス配送時期が設定され、大量ガス消費地4Bについては、ガス検針結果に基づきガス切れ時期を予測し、これに基づきガス配送時期を設定している。実際のガス需要に基づくガス配送頻度は、ガス需要期である冬季が高く、ガス不需要期である夏季は低い。したがって、図3の二点鎖線C1で示すように、実際のガス需要に基づき算出されるガス配送時期にガス配送作業を行う場合のガス配送頻度分布は、冬季において高く、夏季において低い。
【0041】
これに対して、本例のシステム1によるガス配送管理によれば、少量ガス消費地4Aに対しては夏季にガス配送(ガス容器交換)を行い、大量ガス消費地4Bについては実際のガス使用に基づきガス配送時期を設定している。例えば、図3において、実線C2で示すように、夏季のガス配送頻度が増加し、その分、冬季のガス配送頻度が低下する。よって、年間を通じてガス配送頻度の平準化を図ることができる。この結果、従来のようなガス配送員の変形労働時間制を採用する必要がなくなり、ガス配送員の労働環境も改善される。
【0042】
また、本例では、遠隔ガス消費地4Dについては、全量交換を原則としているので、遠隔ガス消費地4Dへのガス配送回数を半減させることができる。これにより、配送作業の効率化を図ることができる。
【0043】
(配送ルートの策定)
上記のようにして作成されたガス配送伝票の電子情報は、ガス配送管理サーバ3から管理側通信装置31を介して、担当のガス配送員のガス配送員通信装置7に提供される。ガス配送管理サーバ3の側からは、ガス配送先エリアの地図情報およびガス配送伝票(ガス配送先の各ガス消費地の属性情報である少量ガス消費地、大量ガス消費地、最優先配送先、ガス残量、ガス配送時期、設置されているLPガス容器の本数・容量、その他の情報)を含む情報が提供される。ガス配送員通信装置7の制御部72は、受信情報を記憶部73に記憶保持する。ガス配送先エリアマップ作成表示機能76は、入力部74を介して配送先エリア表示要求を受け付けると、例えば、7日ベースのガス配送伝票に記載されている各ガス配送先が分かるガス配送先画面を表示部75の表示画面75aに表示する。
【0044】
ガス配送先画面の表示形態としては、ガス作業員が画面表示から各ガス消費地4の状態を一目で理解できることが望ましい。そのために、例えば、表示画面75aに、ガス配送先エリアの地図を表示し、表示された地図上に、ガス残量およびガス配送時期に応じて区分された各ガス消費地を表す配送先マークを、各区分を視認可能な形態で表示することが望ましい。
【0045】
図4(a)は表示される配送先マークの種別を示す説明図であり、図4(b)は、表示画面75aに表示されるガス配送画面の一例を示す説明図である。ガス配送先エリアマップ作成表示機能76は、ガス配送先である各ガス消費地4の位置を表す配送先マークを、表示画面75aに表示したエリアマップ51上に表示する。また、配送先マークは9種類あり、その種別を、目視により簡単に知ることができる。
【0046】
図4(a)に示すように、本例では、ガス残量が20%未満のガス消費地4は三角形の配送先マークで示され、20%~60%未満のガス消費地4は四角形の配送先マークで示され、60%以上のガス消費地4は円形の配送先マークで示される。また、残量が7日以下(ガス切れが7日以内)のガス消費地4は黒塗りの三角形、四角形、円形の配送先マークで示され、残量が7~20日(ガス切れが7~20日以内)のガス消費地4は斜線付きの三角形、四角形、円形の配送先マークで示され、残量が20日を超える(ガス切れが20日経過以降の)ガス消費地4は白抜きの三角形、四角形、円形の配送先マークで示される。このように、ガス配送先が9種類の配送先マークで示される。さらに、本例では、図4(b)に示すように、最優先配送先4C(毎日配送先、隔日配送先)の配送先マークは、二重丸で示される。
【0047】
ガス配送員は、表示画面75a上に表示されているガス配送先エリアマップ51に含まれている黒塗りの三角形、四角形、円形で表示されている配送先マークの地点が、7日ベースのガス配送先であることを目視により確認できる。例えば、ガス配送先から、当日、ガスの配送を行う複数の地点を選択する。表示画面75aをタッチパネルから構成しておくことで、ガス配送員は表示されている配送先マークにタッチすることで、その配送先マークが示すガス消費地4を当日の配送先として選択できる。また、各配送先マークを選択すると、そのガス消費地4の属性情報を画面上に表示できるようにしてもよい。例えば、全量交換場所であるか否か、LPガス容器の設置場所情報などを表示させる。
【0048】
ガス作業員が当日の配送先として複数の配送先マークを選択した後に、例えば、入力部74を介して確定指示を入力すると、制御部72の配送ルート作成表示機能77は、選択されたガス消費場所を結ぶ配送ルートを作成し、最適な配送ルートの候補を画面上に表示する。例えば、図4(b)に示すように、配送基地52を起点終点とし、選択された配送先マークを経由する配送ルート53を表す線分が表示される。
【0049】
配送ルート53は、最優先配送先4Cに設定されている二重丸の配送先マークを必ず経由するように作成される。また、配送ルートの作成は、次のパラメータ(条件)に基づき行われる。これらのパラメータは事前にガス配送管理サーバ3の側から提供される。あるいは、ガス配送作業員が入力設定してもよい。
LPガスボンベの配送車の積載可能量
LPガスボンベの種類とその組み合わせから決まるガスボンベ積載本数
一日当たりの配送員の稼働時間
配送地点であるガス消費地の間の移動時間
交通状態、気象、道路状態を含む配送ルートの環境に起因にする遅延時間
配送先でのLPガスボンベの交換作業時間
配送員の休憩を含む配送作業における必要余裕時間
【0050】
これらのパラメータに基づき、移動時間がより少なく、移動距離がより短い最適配送ルートの候補が作成され表示される。最適配送ルートの属性情報(移動時間、移動距離、積載LPガス容器の本数・重量等)も画面上に表示される。ガス配送員は、表示画面75a上において、選択する配送先マークを追加あるいは削除することで、配送ルートを簡単に変更できる。
【0051】
なお、上記の例では、ガス配送員によって、表示画面75a上において当日のガス配送先を選択して配送ルートを設定できるようにしている。この代わりに、7日ベースのガス配送伝票を1日ベースに細分化して日毎のガス配送伝票を作成し、これに基づき、自動的に当日のガス配送先を決定し、最適ガス配送ルートを自動生成して表示してもよい。
【0052】
また、ガス配送作業においては、設定された配送ルートに従って各ガス消費地4を経由してガスが配送されるが、場合によっては、当日の道路事情(交通事故による一時通行止め等)その他の突発的な事情によって、配送ルートを変更せざるを得ない場合がある。この場合には、設定されている配送ルートを表示画面75a上において変更できるようにすればよい。表示画面75a上において、通行不能なルートを選択すると、そのルートを経由しない配送ルートが自動生成されるようにしてもよい。あるいは、配送先の一つのガス消費地を選択して削除すると、当該ガス消費地を経由しない新たな配送ルートを自動作成して表示できるようにしてもよい。
【0053】
なお、上記の例では、ガス配送員通信装置7のガス配送先エリアマップ作成表示機能76および配送ルート作成表示機能77を説明した。これらの機能は、ガス配送管理用ソフトウエアとして、例えば、ガス配送管理サーバ3の側から提供され、ガス配送員通信装置7にインストールして使用される。あるいは、ガス配送管理サーバ3の側にアクセスして、これらの機能を使用してもよい。また、これらの機能は、ガス配送管理サーバ3の側においても備わっていることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
LPガス配送管理システム(システム)
2 ガス管理会社(ガス配送管理会社)
3 ガス配送管理サーバ
4 ガス消費地
4A 少量ガス消費地
4B 大量ガス消費地
4C 最優先配送先
4D 遠隔ガス消費地
5 ガス供給設備
6 ガス配送車
7 ガス配送員通信装置
8 ガス供給源
9 ガスメータ
10 ガス消費地通信装置
11、12 LPガス容器
13 自動切替調整器
14a、14b、14c ガス器具
15 ボンベリセットスイッチ
31 管理側通信装置
32 入力装置
33 表示装置
34 データベース
35 ガス残量算出部
36 期間平均ガス使用量算出部
37 ガス配送時期算出部
38 ガス配送時期決定部
39 ガス配送伝票作成部
51 ガス配送先エリアマップ
52 配送基地
53 配送ルート
71 通信部
72 制御部
73 記憶部
74 入力部
75 表示部
75a 表示画面
76 ガス配送先エリアマップ作成表示機能
77 配送ルート作成表示機能
図1
図2
図3
図4