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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20220707BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20220707BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220707BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20220707BHJP
   H01L 29/866 20060101ALI20220707BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20220707BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20220707BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20220707BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20220707BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
H01L29/78 652G
H01L29/78 652T
H01L29/78 658Z
H01L29/78 653C
H01L29/78 658F
H01L29/78 652Z
H01L29/78 656A
H01L29/78 657G
H01L29/78 657D
H01L29/78 657A
H01L29/90 S
H01L29/91 A
H01L29/91 C
H01L29/91 F
H01L27/088 E
H01L27/088 B
H01L27/06 102A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018161835
(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2020035919
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】小林 研也
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-087096(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0014400(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0101452(US,A1)
【文献】米国特許第07164188(US,B2)
【文献】特開2013-041914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/12
H01L 21/336
H01L 21/329
H01L 29/861
H01L 21/8234
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分と、第1方向において前記第1部分と並ぶ第2部分と、を有する第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1部分の上及び前記第2部分の上に設けられた第1導電形の第2半導体領域であって、前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第2方向は前記第1方向に垂直であり、前記第1半導体領域よりも低い第1導電形の不純物濃度を有する、前記第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の一部の上に設けられ、前記第1部分の上に位置する第2導電形の第3半導体領域と、
前記第3半導体領域の上に設けられた第1電極と、
前記第2半導体領域の別の一部の上に設けられ、前記第3半導体領域から離、前記第2部分の上に位置する第2導電形の第4半導体領域と、
前記第4半導体領域の上に設けられた第2電極と、
前記第1半導体領域の下に設けられた第3電極と、
前記第1部分の中及び前記第2部分の中に設けられ、前記第1方向に垂直な面において前記第1半導体領域に囲まれた第1金属部であって、前記第1金属部と前記第1電極との間の距離は前記第1金属部と前記第3電極との間の距離よりも短い、前記第1金属部と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記第3半導体領域の一部の上に設けられた第1導電形の第5半導体領域と、
前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記第5半導体領域と第1ゲート絶縁層を介して対向する第1ゲート電極と、
をさらに備えた請求項記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第4半導体領域の一部の上に設けられた第1導電形の第6半導体領域と、
前記第2半導体領域、前記第4半導体領域、及び前記第6半導体領域と第2ゲート絶縁層を介して対向する第2ゲート電極と、
をさらに備えた請求項記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1金属部の前記第1方向における長さは、前記第1金属部の前記第2方向における長さよりも長い請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向における前記第1金属部の長さは、前記第2方向における前記第1金属部の長さよりも長い請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1金属部は、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向において、複数設けられ、
前記複数の第1金属部は、互いに離ている請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1部分の中及び前記第2部分の中に設けられた第2金属部をさらに備え、
前記第2金属部は、前記第1金属部よりも下方に位置する請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
第1部分と、第1方向において前記第1部分と並ぶ第2部分と、を有する第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1部分の中及び前記第2部分の中に設けられた第1金属部と、
前記第1部分の中及び前記第2部分の中に設けられ、前記第1金属部よりも下方に位置する第2金属部と、
前記第1部分の上及び前記第2部分の上に設けられた第1導電形の第2半導体領域であって、前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第2方向は前記第1方向に垂直であり、前記第1半導体領域よりも低い第1導電形の不純物濃度を有する、前記第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の一部の上に設けられ、前記第1部分の上に位置する第2導電形の第3半導体領域と、
前記第3半導体領域の上に設けられた第1電極と、
前記第2半導体領域の別の一部の上に設けられ、前記第3半導体領域から離、前記第2部分の上に位置する第2導電形の第4半導体領域と、
前記第4半導体領域の上に設けられた第2電極と、
を備えた半導体装置。
【請求項9】
第1面を有する第1導電形の第1半導体領域であって、第1部分と、前記第1面に平行な第1方向において前記第1部分と並ぶ第2部分と、を有する前記第1半導体領域に対して、前記第1部分の中及び前記第2部分の中に空洞を形成する工程と、
前記第1面の上に第1導電形の第2半導体領域を形成する工程と、
前記第1部分の上及び前記第2部分の上にそれぞれ位置する第2導電形の第3半導体領域及び第2導電形の第4半導体領域を、前記第2半導体領域の上に形成する工程と、
前記第3半導体領域及び前記第4半導体領域の上にそれぞれ第1電極及び第2電極を形成する工程と、
前記第3半導体領域及び前記第4半導体領域の周りに、前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達し、前記空洞と繋がるトレンチを形成する工程と、
前記トレンチを通して前記空洞の内部に金属層を形成する工程と、
を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記トレンチが形成された位置において前記第1半導体領域及び前記第2半導体領域を切断する工程をさらに備えた請求項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記空洞を形成する工程において、前記第1部分及び前記第2部分の前記第1面側に前記第1方向に並んだ複数の開口を形成し、前記複数の開口が形成された前記第1半導体領域を水素雰囲気中で加熱する請求項又は10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第3半導体領域の一部の上に第1導電形の第5半導体領域を形成する工程と、
前記第4半導体領域の一部の上に第1導電形の第6半導体領域を形成する工程と、
前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記第5半導体領域と第1ゲート絶縁層を介して対向する第1ゲート電極を形成する工程と、
前記第2半導体領域、前記第4半導体領域、及び前記第6半導体領域と第2ゲート絶縁層を介して対向する第2ゲート電極を形成する工程と、
をさらに備えた請求項11のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイオードやMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体装置は、例えば保護回路に用いられる。半導体装置における電気抵抗は、小さいことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-368220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、電気抵抗を低減できる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1導電形の第1半導体領域と、第1金属部と、第1導電形の第2半導体領域と、第2導電形の第3半導体領域と、第1電極と、第2導電形の第4半導体領域と、第2電極と、を有する。前記第1半導体領域は、第1部分と、第1方向において前記第1部分と並ぶ第2部分と、を有する。前記第1金属部は、前記第1部分の中及び前記第2部分の中に設けられている。前記第2半導体領域は、前記第1部分の上及び前記第2部分の上に設けられている。前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第2方向は、前記第1方向に垂直である。前記第2半導体領域の第1導電形の不純物濃度は、前記第1半導体領域の第1導電形の不純物濃度よりも低い。前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域の一部の上に設けられ、前記第1部分の上に位置する。前記第1電極は、前記第3半導体領域の上に設けられている。前記第4半導体領域は、前記第2半導体領域の別の一部の上に設けられ、前記第2部分の上に位置する。前記第4半導体領域は、前記第3半導体領域から離間している。前記第2電極は、前記第4半導体領域の上に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置の動作を表す模式図である。
図3】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す断面図である。
図4】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す断面図である。
図5】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す断面図である。
図6】第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
図7】第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
図8】第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
図9】第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
図10】第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置の製造工程を表す断面図である。
図11】第1実施形態の第4変形例に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
図12】第1実施形態に係る半導体装置を備えた電気機器を表す回路図である。
図13】第2実施形態に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
図14】第2実施形態の変形例に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下の説明及び図面において、n、n及びpの表記は、各導電形における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、「+」が付されている表記は、「+」及び「-」のいずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に高く、「-」が付されている表記は、いずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に低いことを示す。これらの表記は、それぞれの領域にp形不純物とn形不純物の両方が含まれている場合には、それらの不純物が補償しあった後の正味の不純物濃度の相対的な高低を表す。
以下で説明する各実施形態について、各半導体領域のp形とn形を反転させて各実施形態を実施してもよい。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
図1に表した半導体装置100は、n形(第1導電形)半導体領域1(第1半導体領域)、n形半導体領域2(第2半導体領域)、p形(第2導電形)半導体領域3(第3半導体領域)、p形半導体領域4(第4半導体領域)、n形半導体領域5(第5半導体領域)、n形半導体領域6(第6半導体領域)、ゲート電極11(第1ゲート電極)、ゲート電極12(第2ゲート電極)、上部電極21(第1電極)、上部電極22(第2電極)、下部電極23(第3電極)、ゲートパッド24、ゲートパッド25、及び第1金属部31を有する。
【0009】
実施形態の説明では、XYZ直交座標系を用いる。n形半導体領域1からn形半導体領域2に向かう方向をZ方向(第2方向)とする。Z方向に対して垂直であり、相互に直交する2方向をX方向(第1方向)及びY方向(第3方向)とする。また、説明のために、n形半導体領域1からn形半導体領域2に向かう方向を「上」と言い、その反対方向を「下」と言う。これらの方向は、n形半導体領域1とn形半導体領域2との相対的な位置関係に基づき、重力の方向とは無関係である。
【0010】
下部電極23は、半導体装置100の下面に設けられている。n形半導体領域1は、下部電極23の上に設けられ、下部電極23と電気的に接続されている。n形半導体領域1は、第1部分1a及び第2部分1bを有する。第1部分1aと第2部分1bは、X方向において並んでいる。
【0011】
第1金属部31は、第1部分1aの中及び第2部分1bの中に設けられている。n形半導体領域2は、第1部分1aの上及び第2部分1bの上に設けられている。p形半導体領域3は、n形半導体領域2の一部の上に設けられ、第1部分1aの上に位置する。p形半導体領域4は、n形半導体領域2の別の一部の上に設けられ、第2部分1bの上に位置している。p形半導体領域4は、p形半導体領域3とX方向において離間している。例えば、p形半導体領域3とp形半導体領域4との間には、n形半導体領域2の一部が設けられている。
【0012】
形半導体領域5は、p形半導体領域3の一部の上に設けられている。上部電極21は、p形半導体領域3及びn形半導体領域5の上に設けられ、p形半導体領域3及びn形半導体領域5と電気的に接続されている。ゲート電極11は、X方向において、n形半導体領域2、p形半導体領域3、及びn形半導体領域5と、ゲート絶縁層11aを介して対向している。
【0013】
形半導体領域6は、p形半導体領域4の一部の上に設けられている。上部電極22は、p形半導体領域4及びn形半導体領域6の上に設けられ、p形半導体領域4及びn形半導体領域6と電気的に接続されている。ゲート電極12は、X方向において、n形半導体領域2、p形半導体領域4、及びn形半導体領域6と、ゲート絶縁層12aを介して対向している。
【0014】
ゲートパッド24及びゲートパッド25は、互いに離間し、上部電極21及び上部電極22から離間している。ゲートパッド24は、ゲート電極11と電気的に接続されている。ゲートパッド25は、ゲート電極12と電気的に接続されている。上部電極21、上部電極22、ゲートパッド24、及びゲートパッド25のそれぞれの周りには、絶縁層26が設けられている。
【0015】
半導体装置100では、n形半導体領域2の一部、p形半導体領域3、n形半導体領域5、及びゲート電極11により、スイッチング素子SW1が構成されている。n形半導体領域2の別の一部、p形半導体領域4、n形半導体領域6、及びゲート電極12により、スイッチング素子SW2が構成されている。
【0016】
スイッチング素子SW1とスイッチング素子SW2は、n形半導体領域1及び下部電極23を介して直列に接続されている。すなわち、上部電極21及び下部電極23をそれぞれスイッチング素子SW1のソース及びドレインとし、上部電極22及び下部電極23をそれぞれスイッチング素子SW2のソース及びドレインとすると、スイッチング素子SW1とスイッチング素子SW2は、ドレインを共通として互いに逆向きに接続されている。
【0017】
p形半導体領域3、p形半導体領域4、n形半導体領域5、n形半導体領域6、ゲート電極11、及びゲート電極12のそれぞれは、X方向に複数設けられ、Y方向に延びている。複数のp形半導体領域3、複数のn形半導体領域5、及び複数のゲート電極11は、第1部分1aの上に位置している。複数のp形半導体領域4、複数のn形半導体領域6、及び複数のゲート電極12は、第2部分1bの上に位置している。
【0018】
第1金属部31のX方向における長さL1は、第1金属部31のZ方向における長さL2よりも長く、第1金属部31のY方向における長さL3よりも長い。例えば、長さL2は、長さL3と同じである。
【0019】
第1金属部31は、Y方向において複数設けられる。複数の第1金属部31は、互いに離間している。第1金属部31同士の間には、n形半導体領域1の一部が設けられている。長さL2は、n形半導体領域1の前記一部のY方向における長さL4よりも短い。長さL4は、隣り合う第1金属部31同士の間の距離に対応する。
【0020】
例えば、長さL1は、上部電極21のX方向における長さL5と、上部電極22のX方向における長さL6と、の和よりも長い。また、第1金属部31と上部電極21(又は上部電極22)との間の距離D1は、第1金属部31と下部電極23との間の距離D2よりも短い。
【0021】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の動作を表す模式図である。
例えば、上部電極21に対して上部電極22に正の電圧が印加される。この状態で、ゲート電極11及び12に閾値以上の電圧が印加される。これにより、p形半導体領域3のゲート絶縁層11a近傍の領域と、p形半導体領域4のゲート絶縁層12a近傍の領域と、にチャネル(反転層)が形成され、スイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2がオン状態となる。一部の電子は、矢印A1で表したように、p形半導体領域3のチャネルを通って上部電極21から下部電極23へ流れ、p形半導体領域4のチャネルを通って下部電極23から上部電極22へ流れる。別の一部の電子は、矢印A2で表したように、第1金属部31を通って上部電極21から上部電極22へ流れる。その後、ゲート電極11及び12に印加される電圧が閾値よりも低くなると、p形半導体領域3及び4のチャネルが消滅し、半導体装置100がオフ状態になる。
【0022】
上部電極22に対して上部電極21に正の電圧が印加されても良い。この場合、一部の電子は、矢印A3で表したように、p形半導体領域4のチャネルを通って上部電極22から下部電極23へ流れ、p形半導体領域3のチャネルを通って下部電極23から上部電極21へ流れる。別の一部の電子は、矢印A4で表したように、第1金属部31を通って上部電極22から上部電極21へ流れる。
【0023】
形半導体領域1、n形半導体領域2、p形半導体領域3、p形半導体領域4、n形半導体領域5、及びn形半導体領域6は、半導体材料として、シリコン、炭化シリコン、窒化ガリウム、またはガリウムヒ素を含む。半導体材料としてシリコンが用いられる場合、n形不純物として、ヒ素、リン、またはアンチモンを用いることができる。p形不純物として、ボロンを用いることができる。
【0024】
ゲート電極11及び12は、ポリシリコンなどの導電材料を含む。ゲート絶縁層11a、ゲート絶縁層12a、及び絶縁層26は、酸化シリコンなどの絶縁材料を含む。上部電極21、上部電極22、下部電極23、ゲートパッド24、及びゲートパッド25は、アルミニウム、ニッケル、銅などの金属を含む。例えば、上部電極21、上部電極22、下部電極23、ゲートパッド24、及びゲートパッド25は、AlSi、AlCu、又はAlSiCuを含む。
【0025】
第1金属部31は、例えば、チタン、ニッケル、銅、及びタングステンからなる群より選択された少なくとも一つを含む。第1金属部31の電気抵抗率は、n形半導体領域1の電気抵抗率よりも低い。
【0026】
図3図5は、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す断面図である。
まず、半導体基板Sを用意する。半導体基板Sは、n形半導体領域(第1半導体領域)からなる。半導体基板Sは、第1面S1及び第2面S2を有する。また、半導体基板Sは、第1部分1a及び第2部分1bを有する。図3(a)に表したように、第1部分1a及び第2部分1bの第1面S1側に、複数の開口OPを形成する。複数の開口OPは、X方向に並んでいる。X方向に並んだ開口OPの列の位置は、1つの第1金属部31が設けられる位置に対応する。第1金属部31がY方向に複数設けられる場合、開口OPの列がY方向に複数形成される。開口OPは、例えば、パターニングされたフォトレジストを用いたRIE(Reactive Ion Etching)により形成される。
【0027】
半導体基板Sを、水素雰囲気中で熱処理する。例えば、半導体基板Sは、10Torrの水素雰囲気中で、10分~30分の間、1100度に加熱される。熱処理により、シリコンの表面マイグレーションが生じ、複数の開口OPの形状が変化する。具体的には、熱処理が行われると、開口OPの底部の径が大きくなり、開口OPの上部の径は小さくなっていく。時間が経過すると、やがて開口OPの上部が閉塞するとともに、それぞれの開口OPの底部同士が繋がる。この結果、図3(b)に表したように、半導体基板Sの中にX方向に延びる空洞ESが形成される。
【0028】
半導体基板Sの上に、n形半導体領域2をエピタキシャル成長させる。n形半導体領域2の上にp形半導体領域3及びp形半導体領域4を形成する。p形半導体領域3及びp形半導体領域4は、それぞれ、第1部分1aの上及び第2部分1bの上に位置する。n形半導体領域5及びn形半導体領域6を、それぞれ、p形半導体領域3の一部の上及びp形半導体領域4の一部の上に形成する。ゲート電極11及びゲート電極12を形成する。
【0029】
形半導体領域2、p形半導体領域3、p形半導体領域4、n形半導体領域5、及びn形半導体領域6を覆う絶縁層を、CVD(Chemical Vapor Deposition)により形成する。この絶縁層の一部を、p形半導体領域3、p形半導体領域4、n形半導体領域5、及びn形半導体領域6が露出するように除去する。これにより、p形半導体領域3とp形半導体領域4との間のn形半導体領域2の表面を覆う絶縁層26が形成される。
【0030】
絶縁層26を覆う金属層を、スパッタリングで形成する。この金属層をパターニングすることで、図4(a)に表したように、n形半導体領域5の上及びn形半導体領域6の上にそれぞれ上部電極21及び上部電極22を形成する。また、このとき、ゲート電極11及びゲート電極12とそれぞれ電気的に接続された不図示のゲートパッド24及びゲートパッド25が形成される。
【0031】
半導体基板Sの第2面S2を、半導体基板Sが所定の厚さになるまで研磨する。このとき、空洞ESが露出しないように、半導体基板Sを研磨する。研磨した半導体基板Sの第2面S2に、下部電極23を形成する。p形半導体領域3及びp形半導体領域4の周りのn形半導体領域2の表面が露出するように、絶縁層26の一部をRIEにより除去する。この絶縁層26をマスクとして用いて、RIE又はCDE(Chemical Dry Etching)を行い、図4(b)に表したように、p形半導体領域3及びp形半導体領域4の周りにトレンチT1を形成する。トレンチT1は、n形半導体領域2を貫通して半導体基板Sに達しており、空洞ESと繋がっている。
【0032】
図5(a)に表したように、トレンチT1を通して、空洞ES内にチタン層31a、窒化チタン層31b、及びニッケル層31cを順次形成する。チタン層31a及び窒化チタン層31bは、例えばCVDにより形成される。ニッケル層31cは、例えば無電解めっきにより形成される。ニッケル層31cを形成する際、上部電極21、上部電極22、ゲートパッド24、及びゲートパッド25の表面にニッケル層が形成されても良い。空洞ES内に設けられた、チタン層31a、窒化チタン層31b、及びニッケル層31cにより、第1金属部31が構成される。
【0033】
第1金属部31を形成する際、図5(a)に表したように、第1金属部31の中にボイドVが形成されても良い。また、ニッケル層31cに代えて、無電解めっきにより、銅層が形成されても良い。又は、チタン層31a、窒化チタン層31b、及びニッケル層31cに代えて、CVDによりタングステン層が形成されても良い。
【0034】
図5(b)に表したように、半導体基板S及びn形半導体領域2を、ダイシングラインDLに沿って切断する。例えば、ダイシングラインDLの幅(X方向又はY方向における長さ)は、トレンチT1の幅よりも広く設定される。これにより、n形半導体領域2の側面に付着した金属層が除去される。又は、半導体基板S及びn形半導体領域2を切断する前に、トレンチT1の内壁に付着した金属層を除去しても良い。この場合、ダイシングラインDLの幅は、トレンチT1の幅より狭くても良い。
【0035】
第1実施形態の効果を説明する。
第1実施形態に係る半導体装置100は、第1金属部31を有する。第1金属部31は、第1部分1aの中及び第2部分1bの中に設けられる。すなわち、第1金属部31は、上部電極21の下及び上部電極22の下に位置する。第1金属部31が設けられることで、スイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2がオン状態のとき、図2に表したように、キャリア(電子)が矢印A1及びA3で表した経路だけではなく、矢印A2及びA4で表した経路も通って、上部電極21と上部電極22との間を流れる。このため、上部電極21と上部電極22との間の電気抵抗を低減できる。これにより、半導体装置100の消費電力を低減できる。
【0036】
第1金属部31は、Y方向において複数設けられていることが望ましい。複数の第1金属部31が設けられることで、上部電極21と上部電極22との間の電気抵抗をさらに低減できる。
【0037】
第1金属部31の長さL1は、上部電極21の長さL5と、上部電極22の長さL6と、の和よりも長いことが望ましい。この構成によれば、電子がより第1金属部31を流れ易くなる。従って、上部電極21と上部電極22との間の電気抵抗をさらに低減できる。
【0038】
上部電極21と上部電極22との間の電気抵抗をより低減するためには、n形半導体領域1のZ方向における厚さを小さくすることが有効である。n形半導体領域1が薄くなると、上部電極21と下部電極23との間の距離及び上部電極22と下部電極23との間の距離が短くなる。すなわち、図2の矢印A1及び矢印A3で表した経路の長さを短くできる。しかし、n形半導体領域1を薄くすると、半導体装置100の強度が低下する。半導体装置100の強度を維持したまま電気抵抗を低減するためには、第1金属部31を、上部電極21及び上部電極22により近い位置に設けることが望ましい。例えば、距離D1を、距離D2よりも短くすることが望ましい。第1金属部31を上部電極21及び上部電極22に近づけると、矢印A1及びA3で表した経路の長さは変わらないものの、矢印A2及びA4で表した経路の長さを短くできる。従って、半導体装置100の強度を維持したまま、上部電極21と上部電極22との間の電気抵抗をさらに低減できる。
【0039】
また、第1金属部31の端部は、半導体装置100の側面において外部に露出していることが望ましい。第1金属部31は金属を含むため、n形半導体領域1に比べて熱伝導率が高い。第1金属部31の端部が露出していると、半導体装置100の内部で発生した熱をより効率的に外部へ放出させることができる。これにより、半導体装置100の熱に対する安定性を向上させ、且つ発熱による半導体装置100の消費電力の増大を抑制できる。
【0040】
(第1変形例)
図6及び図7は、第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
図6(a)に表した半導体装置110では、半導体装置100に比べて、Y方向においてより多くの第1金属部31が設けられている。例えば、第1金属部31のY方向における長さL3は、第1金属部31同士の間の距離(長さL4)と実質的に同じである。
【0041】
図6(b)に表した半導体装置111のように、第1金属部31の長さL3は、長さL2より長くても良い。第1金属部31の長さL3が、第1金属部31同士の間の距離(長さL4)より長くても良い。
【0042】
図7(a)に表した半導体装置112のように、第1金属部31の長さL3がさらに長くても良い。例えば、半導体装置112では、長さL3は、第1金属部31とp形半導体領域3(又はp形半導体領域4)との間の距離D3よりも長い。長さL3が長いことで、第1金属部31における電気抵抗を低減できる。
【0043】
図7(b)に表した半導体装置113では、下部電極23が設けられていない。第1金属部31が設けられることで、下部電極23が設けられていない場合でも、上部電極21と22との間で、十分に電流を流すことができる。また、下部電極23の形成が不要となるため、半導体装置の製造に必要な工程数を削減し、製造コストを低減することができる。
【0044】
(第2変形例)
図8は、第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
図8(a)に表した半導体装置120は、第2金属部32をさらに有する。
【0045】
第2金属部32は、第1部分1aの中及び第2部分1bの中に設けられている。第2金属部32は、第1金属部31よりも下方に位置する。例えば、第2金属部32のY方向における位置は、第1金属部31のY方向における位置と同じである。
【0046】
半導体装置120の製造工程では、まず、図3(a)及び図3(b)と同様の工程を行い、第2金属部32を形成するための空洞を、空洞ESよりも深い位置に形成する。続けて、図3(a)及び図3(b)の工程を再度行い、当該空洞よりも上方に、第1金属部31を形成するための空洞ESを形成する。その後、トレンチT1をこれらの空洞が露出するように形成し、それぞれの空洞の内部に金属層を形成することで、第1金属部31及び第2金属部32が形成される。
【0047】
又は、図8(b)に表した半導体装置121のように、第2金属部32のY方向における位置が、第1金属部31のY方向における位置と異なっていても良い。この場合も、第1金属部31及び第2金属部32は、上述したように、図3(a)及び図3(b)に表した工程を繰り返して形成しても良い。あるいは、半導体基板Sに、第1金属部31が設けられる位置にまで達する開口と、第2金属部32が設けられる位置にまで達する開口と、を形成した後に熱処理する。これにより、第1金属部31を形成するための空洞と、第2金属部32を形成するための空洞と、が同時に形成される。
【0048】
第2金属部32の望ましい構成については、第1金属部31と同様である。すなわち、第2金属部32は、Y方向において複数設けられる。第2金属部32のX方向における長さは、上部電極21の長さL5と上部電極22の長さL6との和よりも長い。第2金属部32の具体的な構成については、図6及び図7に表した第1金属部31と同様に、種々の変形を適用可能である。また、第2金属部32の下方において、第1部分1aの中及び第2部分1bの中に、さらに別の金属部が設けられても良い。
【0049】
(第3変形例)
図9は、第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
第3変形例に係る半導体装置130は、第3金属部33をさらに有する。
【0050】
第3金属部33は、第1金属部31と接続されている。第3金属部33は、n形半導体領域1中及びn形半導体領域2中に設けられている。第3金属部33の一部は、X方向において、p形半導体領域3とp形半導体領域4との間に設けられている。第3金属部33は、例えば、Y方向に連続して延びている。または、第3金属部33は、Y方向において複数設けられていても良い。
【0051】
図10は、第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置の製造工程を表す断面図である。
まず、図3(a)、図3(b)、及び図4(a)に表した工程と同様の工程を行う。次に、p形半導体領域3及びp形半導体領域4の周りにトレンチT1を形成する。図10(a)に表したように、p形半導体領域3とp形半導体領域4との間にトレンチT2を形成する。トレンチT2は、n形半導体領域2を貫通し、空洞ESと繋がっている。
【0052】
図10(b)に表したように、トレンチT1及びT2を通して、空洞ES内にチタン層31a、窒化チタン層31b、及びニッケル層31cを順次形成する。チタン層31aの一部、窒化チタン層31bの一部、及びニッケル層31cの一部は、空洞ES内に設けられ、第1金属部31が構成される。チタン層31aの別の一部、窒化チタン層31bの別の一部、及びニッケル層31cの別の一部は、トレンチT2内に設けられ、第3金属部33が構成される。その後、図5(b)に表した工程と同様に、半導体基板Sをダイシングする。以上の工程により、半導体装置130が製造される。
【0053】
第3金属部33は金属を含むため、n形半導体領域2に比べて熱伝導率が高い。第3金属部33を設けることで、半導体装置100の内部で発生した熱をより効率的に半導体装置130の上面から放出させることができる。これにより、半導体装置130の熱に対する安定性を向上させ、且つ発熱による半導体装置130の消費電力の増大を抑制できる。
【0054】
第3金属部33を設ける場合、第3金属部33とp形半導体領域3との間の距離及び第3金属部33とp形半導体領域4との間の距離は、十分に長いことが望ましい。これらの距離が短いと、第3金属部33とp形半導体領域3との間及び第3金属部33とp形半導体領域4との間の電界強度が高くなり、半導体装置130の耐圧が低下したり、半導体装置130のリーク電流が増加したりする可能性がある。半導体装置130の耐圧の低下及びリーク電流の増加を抑制するためには、第3金属部33とp形半導体領域3との間のX方向における距離が、第1金属部31とp形半導体領域3との間のZ方向における距離以上であることが望ましい。同様に、第3金属部33とp形半導体領域4との間のX方向における距離が、第1金属部31とp形半導体領域4との間のZ方向における距離以上であることが望ましい。
【0055】
また、本変形例に係る半導体装置の製造方法では、図10(a)に表したように、空洞ESに繋がるトレンチT2が形成される。例えばCVDを用いて空洞ES内に金属層を形成する場合、トレンチT1に加えて、トレンチT2を通して空洞ESへガスが供給される。めっきにより空洞ES内に金属層を形成する場合は、トレンチT1及びT2から空洞ESへめっき液が流れる。これにより、図5(b)に表したように、第1金属部31内にボイドVが形成され難くなる。第1金属部31内にボイドVが無いと、ボイドVが有る場合に比べて、第1金属部31の電気抵抗を低減できる。従って、本変形例に係る製造方法によれば、第1金属部31の電気抵抗を低減でき、この結果、上部電極21と上部電極22との間の電気抵抗をさらに低減できる。
【0056】
(第4変形例)
図11は、第1実施形態の第4変形例に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
図11に表した半導体装置140は、第4金属部34をさらに有する。第4金属部34は、n形半導体領域1の中に設けられ、第1金属部31と下部電極23との間に位置している。第4金属部34は、下部電極23及び第1金属部31と接続されている。
【0057】
第4金属部34が設けられることで、第1金属部31と下部電極23との間の電気抵抗を低減できる。これにより、上部電極21と上部電極22との間の電気抵抗をさらに低減できる。
【0058】
望ましくは、第4金属部34は、X方向及びY方向において複数設けられる。複数の第4金属部34は、互いに離間している。複数の第4金属部34が設けられることで、上部電極21と上部電極22との間の電気抵抗をさらに低減できる。
【0059】
(適用例)
図12は、第1実施形態に係る半導体装置を備えた電気機器を表す回路図である。
図12に表した電気機器150は、保護回路54、電源56、及び回路59を有する。電源56は、正極端子56a及び負極端子56bを有する。保護回路54及び回路59は、正極端子56aと負極端子56bとの間に接続されている。
【0060】
保護回路54は、半導体装置51及び制御回路52を有する。半導体装置51は、第1実施形態に係る半導体装置のいずれかである。半導体装置51は、上述した通り、スイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2を有する。また、半導体装置51は、n形半導体領域2及びp形半導体領域3から構成されるボディダイオードと、n形半導体領域2及びp形半導体領域4から構成されるボディダイオードと、を有する。これらのボディダイオードは、それぞれ、スイッチング素子SW1及びSW2と並列に接続されている。
【0061】
スイッチング素子SW1のゲート電極11及びスイッチング素子SW2のゲート電極12は、それぞれ、制御回路52の端子52a及び52bと接続されている。制御回路52は、ゲート電極11及びゲート電極12のそれぞれの電圧を制御する。
【0062】
回路59は、二次電池53、負荷57a、及びコンデンサ58を有する。回路59の正極側の端子53aは、正極端子56aと接続されている。回路59の負極側の端子53bは、半導体装置51を介して負極端子56bと接続されている。負荷57a及びコンデンサ58は、端子53aと端子53bとの間において、直列に接続されている。また、二次電池53は、端子53aと端子53bとの間において、負荷57a及びコンデンサ58と並列に接続されている。負荷57aとコンデンサ58との間の端子53cは、制御回路52の端子52cと接続されている。端子53bとコンデンサ58との間の端子53dは、制御回路52の端子52dと接続されている。
【0063】
端子53bは、半導体装置51の上部電極21及び上部電極22の一方と接続される。上部電極21及び上部電極22の他方と接続された端子53eが、負極端子56bと接続される。また、端子53eは、制御回路52の端子52eと接続される。端子52eと端子53eとの間には、負荷57bが接続される。
【0064】
電気機器150は、二次電池53の充電及び放電を行う。
制御回路52は、端子52cを介して二次電池53の電圧を検出する。制御回路52は、電圧が所定範囲内にある場合、スイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2をオンに切り替える。二次電池53の充電動作を行う場合、スイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2をオンに切り替えると、矢印a1の方向に電流が流れる。二次電池53の放電動作を行う場合、スイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW2をオンに切り替えると、矢印a2の方向に電流が流れる。
【0065】
電気機器150は、過充電及び過放電を防止する保護動作をさらに行う。
まず、過充電に対する保護動作について説明する。制御回路52は、端子52cを介して二次電池53の電圧を検出する。二次電池53の電圧が所定の範囲の上限より大きい場合、二次電池53は過充電状態にある。この場合、制御回路52は、端子52bの電圧を閾値未満に設定し、スイッチング素子SW2をオフ状態にする。制御回路52は、端子52aの電圧を閾値以上に設定し、スイッチング素子SW1をオン状態にする。これにより、スイッチング素子SW1と、スイッチング素子SW2に並列なボディダイオードと、が直列に接続された状態となる。当該ボディダイオードの順方向は、矢印a2の方向である。二次電池53が過充電の場合、ボディダイオード及びスイッチング素子SW1を通り、矢印a2の方向に電流が流れ、二次電池53が放電される。また、スイッチング素子SW2に並列なボディダイオードの逆方向は、矢印a1の方向である。このため、矢印a1の方向に電流が流れることが抑制され、二次電池53へのさらなる充電が防止される。
【0066】
次に、過放電に対する保護動作について説明する。制御回路52は、端子52cを介して二次電池53の電圧を検出する。二次電池53の電圧が所定の範囲の下限より小さい場合、二次電池53は過放電状態にある。この場合、制御回路52は、端子52aの電圧を閾値未満に設定し、スイッチング素子SW1をオフ状態にする。制御回路52は、端子52bの電圧を閾値以上に設定し、スイッチング素子SW2をオン状態にする。これにより、スイッチング素子SW2のMOSFETと、スイッチング素子SW1に並列なボディダイオードと、が直列に接続された状態となる。当該ボディダイオードの順方向は、矢印a1の方向である。二次電池53が過放電の場合、ボディダイオード及びスイッチング素子SW2を通り、矢印a1の方向に電流が流れ、二次電池53が充電される。また、スイッチング素子SW1に並列なボディダイオードの逆方向は、矢印a2の方向である。このため、矢印a2の方向に電流が流れることが抑制され、二次電池53のさらなる放電が防止される。
【0067】
電気機器150は、過電流に対する保護動作をさらに行う。
制御回路52は、端子52eを介して、端子53eを流れる電流を検出する。例えば、二次電池53の充電中は、矢印a1の方向に電流が流れる。二次電池53を充電中に、所定の値よりも大きな電流値が検出されると、制御回路52は、スイッチング素子SW2をオフ状態にする。スイッチング素子SW2に並列なボディダイオードの順方向は、矢印a2の方向である。このため、矢印a1の方向に電流が流れることが抑制される。
二次電池53の放電中は、矢印a2の方向に電流が流れる。二次電池53を放電中に、所定の値よりも大きな電流値が検出されると、制御回路52は、スイッチング素子SW1をオフ状態にする。スイッチング素子SW1に並列なボディダイオードの順方向は、矢印a1の方向である。このため、矢印a2の方向に電流が流れることを抑制できる。
【0068】
電気機器150の半導体装置51として、第1実施形態に係る半導体装置が用いられることで、二次電池53を充電又は放電する際に必要な電力を低減できる。この結果、電気機器150の消費電力を低減できる。
【0069】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
図13に表した半導体装置200は、n形半導体領域5、ゲート電極11、及びゲートパッド24を有していない。すなわち、半導体装置200は、スイッチング素子SW1に代えて、ダイオードDI1を有する。
【0070】
スイッチング素子SW2をオン状態にすると、ダイオードDI1のアノード(p形半導体領域3)からカソード(n形半導体領域2)へ電流が流れ、第1金属部31及び下部電極23を通り、上部電極22へ電流が流れる。
スイッチング素子SW2をオフ状態にすると、双方向に耐圧のある装置となる。すなわち、半導体装置200では、スイッチング素子SW2の上部電極22に対して、ダイオードDI1の上部電極21に電圧が印加された場合でも、その逆の場合でも、通電を阻止することが可能である。
【0071】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、第1金属部31が設けられることで、上部電極21と上部電極22との間の電気抵抗を低減できる。
【0072】
(変形例)
図14は、第2実施形態の変形例に係る半導体装置を表す斜視断面図である。
図14に表した半導体装置210は、半導体装置200と比べて、n形半導体領域6、ゲート電極12、及びゲートパッド25を有していない。すなわち、半導体装置210は、スイッチング素子SW2に代えて、ダイオードDI2を有する。ダイオードDI2の順方向は、ダイオードDI1の順方向と反対である。
【0073】
例えば、上部電極21に、上部電極22に対して正の電圧が印加される。電圧がn形半導体領域2とp形半導体領域4との間の降伏電位以上のとき、第1金属部31及び下部電極23を通り、上部電極21から上部電極22へ電流が流れる。上部電極22に、上部電極21に対して正の電圧が印加される場合も同様である。すなわち、半導体装置210は、双方向耐圧ダイオードとして機能する。
【0074】
一般的に、順方向のダイオードは、負の温度係数を有する。逆方向のダイオードは、正の温度係数を有する。順方向が互いに反対であるダイオードDI1とDI2が直列に接続されることで、半導体装置210の温度特性を低減できる。また、本変形例によれば、半導体装置200と同様に、第1金属部31が設けられることで、上部電極21と上部電極22との間の電気抵抗を低減できる。
【0075】
なお、第2実施形態に係る半導体装置に対して、第1実施形態の各変形例に係る構成を適用することも可能である。例えば、第2実施形態に係る半導体装置が、第2金属部32をさらに備えていても良い。第2実施形態に係る半導体装置が、下部電極23を有していなくても良い。
【0076】
以上で説明した各実施形態における、各半導体領域の間の不純物濃度の相対的な高低については、例えば、SCM(走査型静電容量顕微鏡)を用いて確認することが可能である。なお、各半導体領域におけるキャリア濃度は、各半導体領域において活性化している不純物濃度と等しいものとみなすことができる。従って、各半導体領域の間のキャリア濃度の相対的な高低についても、SCMを用いて確認することができる。また、各半導体領域における不純物濃度については、例えば、SIMS(二次イオン質量分析法)により測定することが可能である。
【0077】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 n形半導体領域、 1a 第1部分、 1b 第2部分、 2 n形半導体領域、 3、4 p形半導体領域、 5、6 n形半導体領域、 11、12 ゲート電極、 11a、12a ゲート絶縁層、 21、22 上部電極、 23 下部電極、 24、25 ゲートパッド、 26 絶縁層、 31 第1金属部、 31a チタン層、 31b 窒化チタン層、 31c ニッケル層、 32 第2金属部、 33 第3金属部、 34 第4金属部、 51 半導体装置、 52 制御回路、 52a~52e 端子、 53 二次電池、 53a~53e 端子、 54 保護回路、 56 電源、 56a 正極端子、 56b 負極端子、 57a、57b 負荷、 58 コンデンサ、 59 回路、 100、110~113、120、121、130、140、150、200、210 半導体装置、 DI1、DI2 ダイオード、 D1~D3 距離、 DL ダイシングライン、 ES 空洞、 L1~L6 長さ、 OP 開口、 S 半導体基板、 S1 第1面、 S2 第2面、 SW1、SW2 スイッチング素子、 T1、T2 トレンチ、 V ボイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14