(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】連鎖移動剤を使用して透明ポリマーエアロゲルを生成する方法
(51)【国際特許分類】
C08F 2/38 20060101AFI20220707BHJP
C08J 3/075 20060101ALI20220707BHJP
C08J 9/28 20060101ALI20220707BHJP
C08F 2/46 20060101ALI20220707BHJP
C08F 220/10 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
C08F2/38
C08J3/075 CEY
C08J9/28 CEY
C08F2/46
C08F220/10
(21)【出願番号】P 2018170736
(22)【出願日】2018-09-12
【審査請求日】2021-09-03
(32)【優先日】2017-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】マハティ・チンタパル
(72)【発明者】
【氏名】バーケフ・コシュケリアン
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル・イフタイム
(72)【発明者】
【氏名】クエンティン・ヴァン・オーバーミーア
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-524154(JP,A)
【文献】国際公開第2004/003023(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0237692(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0218160(US,A1)
【文献】特表2007-519780(JP,A)
【文献】特表2002-506096(JP,A)
【文献】特表2009-538380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00-2/60、6/00-246/00、301/00
C08J 3/075、9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーエアロゲルの生成方法であって、
ラジカル重合性モノマー及び架橋剤、ラジカル重合開始剤、ならびに連鎖移動剤(CTA)を含むゲル前駆体を、反応溶媒に溶解すること、ここで、前記連鎖移動剤は、
4-メチルベンゼンチオール、ドデカンチオール、四塩化炭素及びペンタフェニルエタンからなる群から選択される、と、
前記ゲル前駆体を重合させてゲルを形成することと、
前記ゲルを乾燥させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記反応溶媒が、極性非プロトン性有機溶媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記極性非プロトン性有機溶媒が、アセトフェノン、ジメチルホルムアミド及びn-メチルピロリドンからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ラジカル重合開始剤が、有機過酸化物及び有機アゾ化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ラジカル重合開始剤が
、ラジカル光重合開始剤
である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応溶媒
と比較した前記ゲル前駆体の濃度が、5質量%~70質量%の範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ラジカル重合性モノマーが、単官能性
または二官能性アクリレート、単
官能性または二官能性メタクリレート及び
単官能性または二官能性ビニルモノマーからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記架橋剤が、トリ、テトラ、ペンタまたはヘキサ官能性アクリレート、
トリ、テトラ、ペンタまたはヘキサ官能性メタクリレート及び
トリ、テトラ、ペンタまたはヘキサ官能性ビニルモノマーからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
重合が、加熱によって、かつ/または適切な波長の光に露光することによって前記ラジカル重合開始剤を活性化することにより実行される、請求項1の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
政府資金
本発明は、2016年6月16日に始まった契約番号DE-AR0000734 ARPAE-SHIELD-Aerogelを通して、米国政府の支援によってなされたものである。当該政府は、本発明に一定の権利を有する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、透明ポリマーエアロゲルに関し、より詳細には、連鎖移動剤を使用して透明ポリマーエアロゲルを生成することに関する。
【0003】
窓は、建物の外観の重要かつ高コストな構成要素である。単一のガラス窓による熱損失を低減することによって、米国国内のエネルギー消費量を推定1.3%低減することができる。窓の熱損失は、Uファクタ(すなわち、BTUフィート-2時間-1oF-1)によって通常記述される、窓の断熱を増大することによって減少することができる。
【0004】
単一のガラス窓による熱損失を低減するための現在の試みは、不活性ガス断熱及び/または低放射率コーティングを組み込むことができる二重窓断熱ガラスユニット(IGU)に単一のガラス窓を置き換えることを含む。IGUは、一般的に熱損失の低減に有効であるが、IGUの設置には、窓ガラスに加えて窓枠とサッシを交換する必要があるため、既存の単一のガラス窓を改修するのは非常に高価である(例えば、$50~100/フィート2)。
【0005】
加えて、IGUは、単一のガラス窓よりも顕著に重く、窓の外観を変化させ、これらの両方が、単一のガラス窓を改修するという採択を妨げる要因である。したがって、安価で、高断熱性の、単一のガラス窓に後付けすることができる透明フィルムまたは既成の窓ガラスが必要とされている。
【0006】
光学的透明性及び低ヘイズは、一般的に、窓材料にとって主要な重要点である。高い断熱性及び高い透明性は、ある材料においては同時に達成することは困難である。高い気孔率は、固体、高熱伝導材料の量を低減し、対流熱伝達を妨げることによって断熱性を増大するが、約10ナノメートル超の気孔は可視光を散乱し、したがってヘイズを増加し、材料の透明性を減少する。
【0007】
ガラス繊維、ポリウレタンフォーム、及びシリカエアロゲル等の多くの高断熱材は、多孔質であるが不透明または半透明であり、したがって窓用途には適さない。断熱材が透明であるためには、気孔率をナノメートル長のスケールに制御しなければならない。
【0008】
従来のラジカル重合は、非常に大きいものを含めて、広い範囲の孔径を有するポリマーゲルを生成する。この結果、濁った、多くの場合白い不透明なゲルをもたらす。
【0009】
現時点では、周囲溶媒蒸発によって乾燥された高表面積の全ポリマーエアロゲルの作製のための利用可能なプロセスは存在しない。最大約500m2/gのBET表面積を有する超臨界CO2乾燥ポリイミド(PI)エアロゲルが報告されている。超臨界乾燥は、溶媒が直接的な液体から蒸気への変化を妨げることによって、収縮及び気孔の崩壊を防止する。しかしながら、超臨界乾燥は、高価であり、遅く、高圧を必要とするために危険であり、したがって、大きな面積(例えば、>15平方フィート)での作製及び高スループット作製にとって望ましくない。周囲条件での乾燥は、低コストなエアロゲルフィルムを達成するための重要な必要条件である。
【0010】
本明細書で使用される場合、「周囲条件での乾燥」という用語は、一般的に、ゲル中の液体から始まる蒸気への、溶媒の直接的な溶媒蒸発をもたらす任意のプロセスを指し、適用される気圧及び温度は、周囲空気のものとは異なり得ることに留意されたい。超臨界乾燥及び凍結乾燥等の周囲条件での乾燥に代わる他の選択肢も、周囲条件での乾燥と比較して高コストとなる。
【0011】
市販の周囲空気乾燥PIエアロゲルが、はるかに低い表面積、典型的にはBET<100m2/gを有することが、課題目標である。これは、溶媒交換及び/または周囲条件での乾燥中に生じる毛管圧の結果としてのポリマーネットワークの収縮によるものである。いくつかの特性は、BET面積>100m2/gを必要とする。例えば、非常に低い熱伝導率を達成するには、高いBET面積が必要であり、これは高いBET面積が、一般的に、高い気孔率及び小さな孔径に起因するからである。これは、エアロゲル骨格を通る熱伝導移送の割合を減少し、周囲ガス(例えば、空気)の平均自由行程よりも小さい気孔が、熱伝導率を周囲ガスのもの(例えば、典型的な条件で0.025W/mKの空気)未満に減少させることができるクヌーセン効果をもたらす。
【0012】
更により困難な問題は、低ヘイズの透明ポリマーエアロゲル作製に関連する。PIエアロゲルは、深い黄色に着色され、不透明である。固体がより高い熱伝導率を有し、<1mmより小さい気孔への対流熱伝達を抑制し、気孔が空気の平均自由行程よりも小さい場合(典型的な条件で~80nm)、クヌーセン効果によって熱伝導率を更に低下させるので、高い気孔率は、固体/空気の比率を低減することによって断熱性を増大させる。しかしながら、20nm超の気孔は、可視光を散乱し、ヘイズを増加し、材料の透明性を低下する。エアロゲルが透明であるためには、孔径を制御しなければならない。透明性及び低ヘイズは、小さな気孔(<20nm)及び狭い孔径分布を必要とする。
【0013】
透明エアロゲルを達成するためには、エアロゲル構造を形成するポリマーは、透明無色でなければならない。ビニルポリマーは、今日知られている最も透明なポリマー材料のうちのいくつかである。例えば、ポリ-メチルメタクリレート及び他のアクリレート誘導体は、アクリル窓の作製、透明性の高い光学接着剤、及び積層グレージングの中間層に使用されている。したがって、それらは透明エアロゲルの生成に理想的な候補であろう。透明性に加えて、<20nmかつ狭い孔径分布を可能にするプロセスにも適している。しかしながら、通常、アクリルモノマーの使用は、<50m2/gのBET面積で示されるように、気孔率の劣るエアロゲルをもたらした。エアロゲルの孔径が減少するにつれて、毛管圧によって誘発されるエアロゲルの収縮がより大きくなる。
【0014】
可能であれば、透明な全ポリマーエアロゲルは、例えば断熱性の高い窓に使用されることができる透明な断熱材として有用であるであろう。単一のガラス窓と同一の寸法を有する窓ガラスを含み、単一のガラス窓の新たな改修または交換を可能にするであろう、様々な窓ガラスを作製することができるであろう。
【0015】
既存の単一のガラス窓による熱損失を低減することで、可能性として、米国のエネルギー消費量を1.3%削減することができるであろう。現在、不活性ガスによる断熱及び、もしくは低放射率コーティングを組み込むことができる二重、三重、もしくは四重ガラス窓、または断熱ガラスユニット(IGU)に置き換えることによって、単一のガラス窓による熱損失が低減されている。IGUは熱損失の低減に効果的であるが、窓枠及びサッシの交換による高いコスト($50~100/フィート2)、歴史的建造物にとって重要な属性であり得る、重量及び非美的外観等のいくつかの欠点を有する。高い透明性、高い断熱性の単一の窓ガラスが潜在的に有益である他の用途及び市場としては、商業用冷蔵庫、自動車のグレージング、及び電子ディスプレイ等が挙げられる。
【0016】
したがって、周囲環境での溶媒乾燥中の溶媒蒸発及び溶媒交換ステップ中のエアロゲルの崩壊を防止することによって、高い表面積BET>100m2/gの空気乾燥ポリマーエアロゲルを生成する方法及び材料が必要とされている。更に、透明である、かかるエアロゲルの生成が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1B】ラジカル重合によって大きな気孔を得るための例を示す。
【
図1C】連鎖移動剤(CTA)を添加することによって小さな気孔を得るための例を示す。
【
図2A】ラジカル重合を受け得るビニル官能基の例を示す。
【
図2B】ラジカル重合を受け得るアクリル官能基の例を示す。
【
図2C】ラジカル重合を受け得るメタクリル官能基の例を示す。
【
図3C】1,6-ヘキサンジオールジアクリレートの例を示す。
【
図4A】1,3,5-トリメタクリロイルオキシアダマンタンの例を示す。
【
図4B】ジペンテリトリトール(dipenterithritol)ペンタアクリレートの例を示す。
【
図4C】トリメチロールプロパントリメタクリレートの例を示す。
【
図4D】ポリオリゴシルセキオキサン-オクタメタクリレートの例を示す。
【
図5C】イソオクチル3-メルカプトプロピオネートの例を示す。
【
図5D】tert-ノニルメルカプタンの例を示す。
【
図7】CTAを用いて合成された、及びCTAを用いず合成されたエアロゲルの孔径分布を示すグラフの例である。
【
図8】CTAを用いて合成されたエアロゲルの透過率及びヘイズを示すグラフの例である。
【
図9】本開示の技術の実施態様に従った、連鎖移動剤(CTA)を使用する透明ポリマーエアロゲルの形成方法の例を示す。
【
図10】本開示の技術のある種の実施態様に従った、狭い多分散性(例えば、PD<1.2)を有するポリマー作製のための安定フリーラジカル重合(SFRP)プロセスの例示的な機構を示す。
【
図11】(制御されたものと比較して)一般的なプロセスによって得られる、従来のラジカル重合、すなわち孔径制御添加剤を用いない重合を示す。
【
図12】本開示の技術のある種の実施態様に従った、リビングラジカル重合(すなわち、SFRP)の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の透明エアロゲルは、連鎖移動剤(CTA)の存在下で、溶媒中で、モノマー及び架橋剤、ラジカル重合開始剤のラジカル重合によって生成される。この用途の目的のために、モノマー及び架橋剤分子は、反応性物質、すなわちラジカル重合開始剤の存在下での連鎖成長重合によってポリマー鎖を形成する、重合性官能基を含有する。モノマーと架橋剤との違いは、重合性基の数である。この用途目的のために、モノマーは、1つまたは2つの重合性基を含有し、一方、架橋剤は3つ以上の重合性基を有する。好適なモノマーとしては、アクリレート、メタクリレートまたはビニルモノマーを含む重合性二重結合を含有するモノマーが挙げられる。連鎖移動剤を添加することで、小さな気孔を有するエアロゲルが生成される。前述のように、モノマー及び架橋剤の従来のラジカル重合によって生成されるエアロゲルは、非常に大きいものを含めて、広い範囲の孔径を有する。ゲル化は、反応初期に起こり、反応物質拡散の障害を作り出し、大きな孔径分布をもたらす。この結果、濁った、そして多くの場合白色の不透明なゲル、すなわち非常に制限のある、または透明性のないゲルがもたらされる。
【0019】
エアロゲル前駆体配合物中に存在する場合、CTAは、連鎖成長を制限し、架橋構造内で新たな鎖形成を開始し、これにより小さな気孔、低ヘイズ、及び高い光学的透明性を有する機械的な頑強さのゲルをもたらす。CTAはまた、成長するポリマーのゲル化及び沈殿を遅らせ、より均一な気孔構造を有する材料をもたらす。
【0020】
より小さい孔径は、
図1A~Cに示されるように、架橋エアロゲル構造中のポリマー鎖の長さを減少することによって達成することができる。ラジカル重合に連鎖移動剤(CTA)を使用することは、低いヘイズ及び小さな孔径を有するポリマーゲルを生成するために重要である。
【0021】
本明細書で使用される場合、連鎖移動剤という用語は、一般的に、少なくとも1つの弱い化学結合を有する分子を指す。それらは、一般的に、成長中のポリマー鎖のフリーラジカル部位と反応し、連鎖成長を阻害する。連鎖移動のプロセスでは、ラジカルは、一時的に調節剤に移動し、ラジカルを別のポリマーまたはモノマーに移動させることによって成長を再開する。この一例が、
図1Aに示されている。CTAは、一般的に、合成中の鎖長を制御し、ゲル化を遅延させ、かつ更により均一なゲルを与える。
【0022】
図1Aは、連鎖移動の例示的な機構を示す。成長ポリマー鎖Pは、連鎖移動剤RXと反応して、末端鎖PX、及びモノマーまたはポリマー鎖のいずれかを活性化する新たな開始ラジカルRを形成する。2つ以上の重合性基(二官能性モノマーまたは3つ以上の重合性基を有する架橋剤のいずれか)を有する少なくとも1つの前駆体を含有する前駆体配合物が採用される場合、重合は、架橋ゲル構造を生成し、この架橋ゲル構造では、個々のポリマー鎖セグメントが、CTA不在化で得られ得るポリマー鎖と比較して小さい。その結果、より短いポリマー鎖は、より小さな気孔を有するエアロゲルを生成し、したがって、透明性が増加したエアロゲルを生成する。
図1Bは、ラジカル重合によって大きな気孔を得る例を示す。
図1Cは、連鎖移動剤(CTA)を添加することによって小さな気孔を得る例を示す。
【0023】
本開示の技術のある種の実施態様は、連鎖移動剤、単官能性または二官能性モノマー、及び多官能性架橋剤から、溶媒中でポリマーゲルを合成することを含み、モノマー及び架橋剤の官能基がラジカル重合を受けることができる。
図2A~Cによってそれぞれ示されるように、かかる官能基の例としては、ビニル、アクリレート、及びメタクリレート基が挙げられる。
【0024】
好適なアクリレート及びメタクリレートの例としては、(a)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、ベンジルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等の単官能性アクリレート及びメタクリレート、(b)1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート等の二官能性アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。好適なビニルモノマーとしては、スチレン、ジビニルベンゼン、及びステアリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、塩化ビニル、1-ビニル-2-ピロリドン等の液体エチレン誘導体が挙げられる。これらのモノマーのいくつかの化学式を、
図3A~Dに提供する。より具体的には、
図3A~Dは、それぞれ、スチレン、ジビニルベンゼン、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、及びメチルメタクリレートの例を示す。
【0025】
好適な架橋剤としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ/ヘキサ-アクリレート等の、トリ、テトラ、ペンタまたはヘキサ-アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
図4A~Dは、それぞれ、1,3,5-トリメタクリロイルオキシアダマンタン、ジペンテリトリトール(dipenterythritol)ペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びポリオリゴシルセキオキサン-オクタメタクリレートの例を示す。
【0026】
図5A~Fは、ハロゲンまたはチオール基を含有する有機分子等の、均一開裂を受けることができる結合を含有するラジカル連鎖移動剤の様々な例を示す。より具体的には、
図5A~Fは、それぞれ、四塩化炭素、ドデカンチオール、イソオクチル3-メルカプトプロピオネート、tert-ノニルメルカプタン、4-メチルベンゼンチオール、及びペンタフェニルエタンの例を示す。
【0027】
ある種の実施形態では、ゲル前駆体は、溶媒除去後気孔になる、重合中のゲル構造の溶媒が充填された空隙を作り出すための鋳型として作用する、溶媒に溶解され得る、好適な溶媒は、反応性モノマーに良好な溶解性を提供する。ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジグリム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、1,2-ジメトキシ-エタン、酢酸エチル、キシレン等の極性非プロトン性有機溶媒が特に好適である。アセトフェノンまたはn-メチルピロリドン等の高沸点溶媒が特に好適である。
【0028】
好適なラジカル重合開始剤としては、熱によって活性化される熱重合開始剤、及び約200nm~400nmの範囲の波長光、典型的には紫外線によって活性化される光重合開始剤が挙げられる。熱重合開始剤の非限定的な例としては、過酸化ベンゾイル、ジアセチルペルオキシド、ジt-ブチルペルオキシド(di t-butylperoxide)、クミルペルオキシド等の過酸化物、またはAIBN及びフェニルアゾトリフェニルメタン等のアゾ化合物が挙げられる。光重合開始剤の非限定的な例としては、ベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン等が挙げられる。重合開始剤のこれらの例のいくつかの化学式を、
図6A~Bに提供する。
【0029】
図9は、本開示の技術の実施態様に従った連鎖移動剤(CTA)を使用して透明ポリマーエアロゲルを形成する方法900の一例を示す。
【0030】
902において、ゲル前駆体を、例えば高沸点溶媒に溶解し、次いで、例えば乾燥N2を用いて脱酸素する。903において、脱酸素溶液を型に入れ、加熱によってまたはUV光によってのいずれかで、ラジカル重合開始剤を活性化することによって重合させる。904において、ゲルを型から取り出す。906において、溶媒交換を行う。例えば、ゲルは、溶媒中で溶媒交換されて、任意のオリゴマーを抽出し、次いで溶媒-ポリマー相互作用強度が低い溶媒に交換され得る。908において、溶液交換されたゲルは、例えば、周囲条件での乾燥または超臨界CO2乾燥を使用して乾燥される。
【0031】
典型的なゲル前駆体配合物は、連鎖移動剤、ドデカンチオール、熱ラジカル重合開始剤、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、モノマー、ジビニルベンゼン、及び架橋剤、トリメタクリルアダマンタンからなる。
【0032】
これらの実施形態では、溶媒と比較した重合性材料の組成は、約5質量%~約70質量%の範囲であり得る。連鎖移動剤対ラジカル重合開始剤の比は、質量比0.1:1~約10:1で構成される範囲内で変化する。重合開始剤濃度は、重合性前駆体のグラム当たり約10-6モル~約10-モルの範囲で構成される。脱気した溶液を型にキャストし、およそ1~20時間、約50℃~約150℃の範囲で構成される温度で重合した。AIBNを重合開始剤として使用する場合、好ましい重合温度は、90℃であった。他の重合開始剤は、より高い、またはより低い反応温度を必要とし得る。
【0033】
これらの実施形態では、CTAを含有する溶液中のゲルは、CTAを含有しないゲルよりも濁りが少ないように見える。ゲル化が起こるために必要な時間は、一般的に、CTAを用いて合成されたゲルでは、より長い。このゲル化の遅延は、例えば、溶液中に長く残るポリマー鎖の成長によって孔径がより均一であるために、改善された光学特性を付与し得る。
【0034】
ゲルは、その後の乾燥ステップの前に、型から取り除かれ、溶媒交換され得る。ゲルは、最初に、重合溶媒(例えば、アセトフェノン、n-メチルピロリドン、またはジメチルホルムアミド等)等の良溶媒、またはテトラヒドロフラン(THF)等の他の良溶媒に溶媒交換されて、例えば任意のオリゴマーを抽出し、次いで、乾燥前に、アセトンまたはヘプタン等の低い溶媒-ポリマー相互作用強度を有する溶媒に交換され得る。
【0035】
ある種の実施形態では、静的または流動溶媒交換を使用することができる。静的溶媒交換プロセスでは、湿潤ゲルを選択された溶媒に1日以上置いて、各タイプの溶媒ごとに2回の交換が行われ得る。溶媒は、直接的にまたは徐々に導入され得る。例えば、THFによって溶媒和されたゲルを、アセトンに直接浸漬するか、または最初にTHF/アセトンの50/50混合物に1日間浸漬し、次いで100%アセトンに浸漬することができる。流動溶媒交換では、一定量の溶媒を、例えば、湿潤ゲル全体に6~72時間投入してもよい。一般的に、気孔が小さいほど溶媒が気孔ネットワークを通って拡散することがより困難になるため、孔径が小さい場合には、完全な溶媒交換を確実にするために、溶媒交換ステップの継続時間を長くする必要がある。
【0036】
溶媒交換されたゲルを乾燥させることによって、エアロゲルを生成し得る。例えば、周囲条件での乾燥、超臨界CO2乾燥、または凍結乾燥を使用することができる。周囲条件での乾燥では、ヘプタン等の非溶媒中に浸漬されたゲルを、覆われた容器中で例えば2~3日かけてゆっくりと乾燥させ、次いで、室温から、例えば、90℃の高温までの範囲で構成される温度で、真空下で乾燥させてもよい。超臨界CO2乾燥では、アセトンまたはアルコール等の非溶媒中のゲルを、液体CO2と溶媒交換し、続いて超臨界乾燥させ得る。凍結乾燥では、溶媒和されたゲルを、凍結し、固化溶媒(すなわち、水、ベンゼン、またはシクロヘキサノール)を、好適な温度及び圧力(例えば、水では、真空下、-50℃)で昇華する。最も高い気孔率は、一般的に、超臨界CO2乾燥で達成され得る。
【0037】
窓断熱用途では、低ヘイズ及び高い気孔率を同時に達成することは困難な傾向があるが、高い透明性、低ヘイズ、及び最大気孔率を有する材料が、一般的に望ましい。
【0038】
CTAの添加は、より小さい孔径及びより狭い孔径分布、窓への用途の光学的透明性及びヘイズを改善する特徴を有するエアロゲルの合成を有利に可能にする。一般的に、透明及び低減されたヘイズのエアロゲルでは、30nm超の孔径が非常に小さな割合(典型的には5%未満)を有する。この特徴は、透明エアロゲルには不可欠である。
【0039】
実施例1:CTAを使用したエアロゲルの作製
0.54gのジビニルベンゼンモノマー、0.06gのトリメタクリルアダマンタン架橋剤、0.01gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)ラジカル重合開始剤、及び0.02gのドデカンチオールCTAを1.4gのn-メチルピロリドンに溶解することによって、CTAを用いてエアロゲルを合成する。溶液を15分間、乾燥N2ガスでスパージし、次いで1時間90℃で反応させる。次いで、湿潤ゲルを型から取り外し、THFで2回、ヘプタンで2回溶媒交換する。各溶媒交換ステップでは、ゲルを溶媒の10mL浴に24時間浸漬する。エアロゲルは、湿潤ゲルを周囲条件下でゆっくりと乾燥させることによって生成される。湿潤ゲルを、蓋に小さな穴をあけたジャーに置き、溶媒を4日間にわたって蒸発させる。4日後、蓋を取り外し、エアロゲルを、90℃で12時間真空乾燥させて、任意の残留溶媒を除去する。
【0040】
実施例2:反例:CTAを用いないエアロゲルの作製
1.4gのn-メチルピロリドンに溶解した前駆体が、0.54gのジビニルベンゼンモノマー、0.06gのトリメタクリルアダマンタン架橋剤、及び0.01gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)ラジカル重合開始剤であることを除いて、CTAを用いないエアロゲルを上記のように作製する。
【0041】
実施例3:気孔率の特徴評価
CTAの有無にかかわらず合成された例示的なエアロゲルのN2吸着ポロシメトリーによって測定された気孔特徴、例えば孔径及び気孔率の特徴評価を以下の表1に要約する。孔径分布の幅は、半値全幅、すなわちFWHMで記載される。
【0042】
【0043】
気孔率は、一般的に、エアロゲルの見掛け密度を構成ポリマーの充填密度と比較することによって概算される。図7は、表1の試料の孔径分布を示すグラフの例である。示された実施例から分かるように、分布の幅(FWHM)及び平均孔径は、両方ともCTAを用いて合成された試料が低い。特に、気孔の非常に小さな部分は、>30nmの孔径を有する。
【0044】
実施例4:光学的特徴評価
図8は、CTAを用いて合成されたエアロゲルの光学特性を示すグラフの例である。かかる光学特性は、UV-vis分光法によって測定され得る。CTAを用いずに合成された試料は、一般的に、不透明であり、顕著な光学的光透過率(例えば透過率約0)を測定できない。
【0045】
本開示の技術の実施により、低い熱伝導率、可視スペクトルにおける高い透明性、及び低ヘイズを有する材料の生成を有利に可能とし、したがって単一のガラス窓の断熱材として好適になる。
【0046】
本開示の技術の実施形態に従った、CTAを含有するエアロゲル配合物は、一般的に、CTAを含有しないものと比較して、大幅に改善された光学的透明性を有する。
【0047】
本開示の技術の実施形態に従った、CTAを含むエアロゲル配合物は、一般的に、CTAを含まないものと比較して、より小さい孔径及びより狭い孔径分布を有し、したがってエアロゲルを透明にする。
【0048】
CTAの使用は、従来のシリカエアロゲルよりも疎水性であり、後処理を必要としないポリマー系透明エアロゲルの生成を有利に可能にする。
【0049】
高BET表面積は、本開示の技術に従った、透明材料で得られ得る。
【0050】
本開示の技術の実施態様は、単一のガラス窓の改修に好適な断熱材料を生成する能力を有利に提供する。
【0051】
しかしながら、従来のアクリレートモノマーでは、全体的なBET表面積及び窒素ガス収着によって測定される合計積算空隙量は、一般的に非常に低く、顕著な収縮、すなわち溶媒蒸発中のエアロゲルポリマーネットワークの崩壊を示す。
【0052】
周囲条件下で乾燥させる場合、今までに作られたエアロゲル崩壊の原因であるポリマー鎖と溶媒との間の強力な毛管力に、より強固なポリマー壁が、よりうまく抵抗するであろうと思われる。ヤング率は、典型的には、ポリマー材料の剛性の尺度として使用される。
【0053】
実験に基づいて、収縮を顕著に低減し、より高い表面積のポリマーエアロゲルを生成する、エアロゲル前駆体の設計ルールを見出した。
【0054】
ある種の実施態様は、有機ビニルモノマー(1つまたは2つのビニル基を含む分子)、及びビニル架橋剤(3つ以上のビニル基を含む分子)の溶媒中でのラジカル重合の結果であるエアロゲルを含み、モノマーまたは架橋剤のうちの少なくとも1つが、(モノマー及び架橋剤材料の合計の)>80%の濃度で存在し、以下の、モノマーまたは架橋剤の重合からもたらされる対応するホモポリマーが、3.5GPaのヤング率を有する、という基準に従って選択される。
【0055】
表2は、様々なヤング率を有する二官能性モノマー及び架橋剤を含有する異なるポリマーエアロゲル配合物のBET面積、積算空隙量、及び収縮を示す。試料を周囲条件で乾燥させた。
【0056】
【0057】
ヤング率≧3.5GPaを有する対応するホモ-ポリマーを生成するモノマーから作られたエアロゲルは、>700m2/gの高い表面積を有する。
【0058】
図10は、本開示の技術のある種の実施態様に従った、狭い多分散性(例えば、PD<1.2)を有するポリマー作製のための、安定フリーラジカル重合(SFRP)プロセスの例示的な機構を示す。この例では、成長するラジカルポリマー鎖を可逆的にキャップする安定フリーラジカル(すなわち、TEMPO)の添加が、成功要因である。これは、全体的に重合速度を遅くし、ホットスポットでの望ましくない速い重合を防止し、全てのポリマー鎖を同じ速度で均一に成長させることを可能にする。その結果、SFRPプロセスは、ポリマーサイズ分布PD<1.2を有する線状ポリマーを生成することが示されている。比較として、制御されない重合は、典型的にはPD>2.5のポリマーを生成する。
【0059】
この例の重要な特徴は、(a)エアロゲル作製、(b)多官能性モノマー及び架橋剤、すなわち先に示したような線状ポリマー鎖のみに代わる架橋ポリマー構造の作製、ならびに(c)高剛性ポリマーを生成する多官能性モノマー及び架橋剤、のためのプロセスに適合することである。
【0060】
この例では、安定な遊離ニトロキシド(TEMPO)を、重合性前駆体グラム当たり約10-4モルTEMPOの濃度で添加した。AIBNを、AIBN:TEMPOを質量比約1:1で添加した。125℃で16~24時間重合を実行した。任意選択的に、ヒドロキシアセトン等の還元剤を添加して反応速度を速めてもよい。典型的には、TEMPOに対する還元剤のモル当量は、1:10~10:1である。
【0061】
ある種の実施態様は、従来のラジカル重合によって達成されるものと同等なBET面積を有する、SFRPによる透明ポリマーエアロゲルを含む。2つの試料の孔径分布及び外観を、
図11及び12を介して比較する。SFRPを用いて生成された試料は、従来のラジカル重合によって生成された同じ配合物と比較して、10nm未満の平均孔径及びより狭い孔径分布を有する。この違いは、試料により高い透明性をもたらす。
【0062】
本開示の技術のある種の実施態様は、超臨界CO2乾燥の代わりに周囲条件での乾燥によって、高いBET(例えば、>100m2/g)を有するポリマーエアロゲルの生成を有利に可能にする。これらの実施態様は、超臨界乾燥プロセスよりも低コストである。ある種の実施態様は、高いBET表面積(例えば、900m2/gに近い)を生成するための制御されたラジカル重合プロセス(例えば、SFRP、CTA等)のための方法の使用を含む。
【0063】
ある種の実施態様では、周囲条件での乾燥によって、大きな気孔(例えば、不透明)のエアロゲル、ならびに透明及び/または半透明のエアロゲルの両方を有利に可能にする。
【0064】
ある種の実施態様は、(対応するポリマーのヤング率が3.5GPaであることによって特徴評価されるような)剛性ポリマー鎖を生成するモノマー及び架橋剤の使用を含む。
【0065】
ある種の実施態様は、透明ポリマーエアロゲルの生成方法を含み得、その方法は、ラジカル重合性モノマー及び架橋剤からなるゲル前駆体、ラジカル重合開始剤、ならびに連鎖移動剤(CTA)を反応溶媒に溶解することと、ゲル前駆体を基材に入れることと、基材のゲルを重合させることと、ゲルを乾燥させることと、を含む。かかる方法は、ガラス等の透明基材に乾燥ゲルを適用することを更に含み得る。あるいはまたはそれに加えて、かかる方法は、モノマーであるジビニルベンゼンまたは1,6-ヘキサンジオールジアクリレートと、架橋剤である1,3,5-トリメタクリロイルオキシアダマンタンまたはジペンタエリスリトールペンタアクリレートと、溶媒であるアセトフェノンまたはn-メチルピロリドンと、熱ラジカル重合開始剤である過酸化ベンゾイルまたは2,2′-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)と、連鎖移動剤であるドデカンチオールと、80~120℃の範囲の温度で加熱することにより行われる重合と、例えば、この順序で実施される、テトラヒドロフラン及びヘプタンを用いた少なくとも1回の溶媒交換と、を含み得、ゲルが空気乾燥される。
【0066】
ある種の実施態様は、本明細書に開示の方法によって生成された透明ポリマーエアロゲルを含み得る。かかるエアロゲルは、厚さ3mm以上の試料では、100m2/g超のBET表面積、及び/もしくは30%超の可視光透過率、30%未満のヘイズ、または3mmより薄い試料では、試料のmm当たり10%超の透過率、試料のmm当たり10%未満のヘイズを有し得る。かかるエアロゲルは、30nm超のサイズの気孔を5%未満有し得る。かかるエアロゲルは、150mW/mK未満の熱伝導率を有し得る。
【0067】
ある種の実施態様は、少なくとも1つの窓ガラスと、少なくとも1つのこの窓ガラスに適用された透明性の高いポリマーゲルと、を有する窓を含み得、このゲルは、連鎖移動剤(CTA)の存在下での架橋剤及びモノマーのラジカル重合によって合成されている。
【0068】
ある種の実施態様は、透明または半透明エアロゲルの生成方法を含み得、本方法は、溶媒中で有機ビニルモノマー及びビニル架橋剤のラジカル重合を行うことを含み、ビニルモノマー及び/またはビニル架橋剤のうちの少なくとも1つが、ビニルモノマー及びビニル架橋剤の合計の80%超の濃度で存在し、少なくとも3.5GPaのヤング率を有するモノマー及び/または架橋剤の重合からもたらされる対応するホモ-ポリマーに基づいて選択される。かかる方法は、小さく、狭いサイズ分布の気孔を生成するように制御されたラジカル重合プロセスによって合成することを更に含み得る。ラジカル重合プロセスは、以下の、安定フリーラジカル重合(SFRP)、原子ラジカル移動重合(ATRP)、及び連鎖移動剤(CTA)の使用からなる群から選択され得る。かかるエアロゲルは、厚さ3mm以上の試料では、30%超の可視光透過率、30%未満のヘイズ、または3mmより薄い試料では、試料のmm当たり10%超の透過率、試料のmm当たり10%未満のヘイズを有し得る。かかるエアロゲルは、100m2/g超のBET、及び/または20nm未満の平均孔径、及び狭い孔径分布、及び/または10nm未満の半値全幅(FWHM)孔径分布を有し得る。
【0069】
ある種の実施態様は、少なくとも一つの窓ガラスと、少なくとも1つのこの窓ガラスに適用された透明性の高いポリマーゲルと、を有する窓を含み得、このゲルは、溶媒中で有機ビニルモノマー及びビニル架橋剤のラジカル重合によって合成されている。
【0070】
上に開示の変形物及び他の特徴及び機能、またはその代替物は、多くの他の異なるシステムまたは用途に組み合わされ得ることが理解されよう。現在不測の、または予期されていない様々な代替物、変更、変形、または改良が、当業者によってその後なされ得、以下の特許請求の範囲に包含されることも意図される。