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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】杭連結支柱構造体及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/12 20060101AFI20220707BHJP
   E02D 27/00 20060101ALI20220707BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20220707BHJP
   E04B 1/20 20060101ALI20220707BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
E02D27/12 Z
E02D27/00 D
E04B1/24 R
E04B1/20 E
E04B1/58 503H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018232753
(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公開番号】P2020094399
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591205536
【氏名又は名称】JFEシビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】今川 亮
(72)【発明者】
【氏名】塩田 啓介
(72)【発明者】
【氏名】松永 聡
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-197984(JP,A)
【文献】特開2005-282142(JP,A)
【文献】特開2001-288755(JP,A)
【文献】特開2012-057433(JP,A)
【文献】特開2017-197975(JP,A)
【文献】特開2009-013602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/12
E02D 27/00
E04B 1/24
E04B 1/20
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤内に設置された杭と、前記杭の一端側に連結部を介して一端側が連結された支柱とを備え、
前記連結部は、長手方向の一端部から内部に前記杭の一端側が挿入され、かつ前記長手方向の一端部とは反対側の他端部から前記支柱の一端側が挿入された連結管と、
前記連結管内において、前記杭及び前記支柱と前記連結管との間、及び前記杭と前記支柱との間に亘って充填された充填材と、
を備え
前記連結管は、前記支柱を支持して前記支柱と前記杭との間に前記充填材の充填部を保持する支持スペーサを備えていることを特徴とする杭連結支柱構造体。
【請求項2】
前記杭の一端側が前記連結管の内部に挿入される杭挿入長さは、前記杭の外径の1.5倍以上であり、
前記支柱の一端側が前記連結管の内部に挿入される支柱挿入長さは、前記支柱の外径の1.5倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の杭連結支柱構造体。
【請求項3】
前記充填材は、圧縮基準強度が18N/mm以上のコンクリート又はモルタルであることを特徴とする請求項2に記載の杭連結支柱構造体。
【請求項4】
前記連結管は、前記連結管と前記杭との間に前記充填材の充填部を保持する杭用建込スペーサ、及び前記連結管と前記支柱との間に前記充填材の充填部を保持する支柱用建込スペーサのうちの少なくとも支柱用建込スペーサを備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の杭連結支柱構造体。
【請求項5】
前記連結部は、前記連結管から分離して前記杭と前記支柱との間に配置され、かつ前記支柱を支持して前記杭と前記支柱との間に前記充填材の充填部を保持する間座スペーサを備えていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の杭連結支柱構造体。
【請求項6】
前記連結部は、前記連結管と前記杭との間に前記充填材の充填部を保持する杭用建込スペーサ、及び前記連結管と前記支柱との間に前記充填材の充填部を保持する支柱用建込スペーサのうちの少なくとも支柱用建込スペーサを有し、かつ前記連結管から分離して前記連結管の内部に配置されたスペーサ構造体を更に備えていることを特徴とする請求項に記載の杭連結支柱構造体。
【請求項7】
前記杭は、管状で形成され、
前記杭の長手方向の一端側には、前記杭の内部を閉塞するようにして蓋体が設置されていることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の杭連結支柱構造体。
【請求項8】
前記杭は、管状のコンクリート杭であることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の杭連結支柱構造体。
【請求項9】
地盤内に設置された杭の一端側を連結管の長手方向の一端部から前記連結管の内部に挿入して前記地盤上に前記連結管を設置する工程と、
前記地盤上に設置された前記連結管の長手方向の一端部とは反対側の他端部から前記連結管の内部に支柱の一端側を挿入して前記杭上に前記支柱を設置する工程と、
前記杭及び前記支柱と前記連結管との間、及び前記杭と前記支柱との間に亘って充填材を充填し、前記充填材を硬化させる工程と、
を備え
前記連結管は、前記支柱を支持する支持スペーサを備え、
前記支柱を設置する工程は、前記支柱の一端側の端部が前記支持スペーサに当接するまで前記連結管内に前記支柱を挿入する、ことを特徴とする杭連結支柱構造体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭連結支柱構造体及びその施工方法に関し、特に、地盤内(地中)に設置された杭に連結部を介して支柱が連結された杭連結支柱構造体及びその施工方法に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築構造物や土木構造物は、地盤内に設置された杭に連結部を介して支柱が連結された構造体(以下、杭連結支柱構造体と呼ぶ)を備えている。この杭連結支柱構造体の連結部においては、様々な構造が提案され、実用化されている。例えば、特許文献1には、地盤内に設置された鋼管杭の一端側の端部から内部に鋼管支柱の一端側を挿入し(差し込み)、かつ鋼管杭の内周面と鋼管支柱の外周面との間の充填部(離間部)に充填材としてのコンクリートを充填して連結部を構築する技術が開示されている。この特許文献1の連結部によれば、鋼管杭と鋼管支柱とをボルトや溶接にて連結する場合と比較して、工期や施工コストを大きく削減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-52383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の連結部は、鋼管杭の内部に鋼管支柱を挿入する構造になっているため、鋼管支柱の外径よりも外径が大きい鋼管杭を用いる必要があった。また、特許文献1の連結部は、鋼管杭の内周面と鋼管支柱の外周面との間の充填部にコンクリートを充填する構造になっているため、充填部の幅に応じて外径が鋼管支柱の外径よりも大きい鋼管杭を用いる必要があった。特に、コンクリートの充填が円滑に行えるように充填部の幅を広くするために、鋼管支柱の外径よりも外径が十分に大きい鋼管杭を用いる必要があった。すなわち、特許文献1の連結部では、鋼管支柱の外径よりも外径が大きい鋼管杭を選定する必要があり、鋼管杭の材料費が増加する。また、鋼管杭を地盤内に設置するための掘削孔の径は鋼管杭の外径の大きさに応じて大きくする必要があり、鋼管杭の設置費も増加する。この鋼管杭の材料費及び設置費の増加は、杭連結支柱構造体及びこの杭連結支柱構造体を備えた建築構造物や土木構造物のコスト増加を意味するため、低コスト化の観点から改良の余地があった。
【0005】
また、地盤内に設置する杭としては鋼管杭の他にコンクリート杭が知られているが、このコンクリート杭は鋼管杭よりも板厚(肉厚)が厚く、外径が同一の鋼管杭と比較して内径が小さいため、支柱の外径に合わせて、外径がより大きいコンクリート杭を選定する必要があり、特許文献1の連結部ではコンクリート杭の使用が困難であった。
【0006】
そこで、本発明者らは、杭に支柱を連結する連結部に着目し、本発明をなした。
本発明の目的は、杭連結支柱構造体の低コスト化を図ることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る杭連結支柱構造体は、地盤内に設置された杭と、この杭の一端側に連結部を介して一端側が連結された支柱とを備えている。そして、連結部は、長手方向の一端部から内部に杭の一端側が挿入され、長手方向の一端部とは反対側の他端部から内部に支柱の一端側が挿入された連結管と、この連結管内において、杭及び支柱と連結管との間、及び杭と支柱との間に亘って充填された充填材とを備えている。
【0008】
また、本発明の一態様に係る杭連結支柱構造体の施工方法は、地盤内に設置された杭の一端側を連結管の長手方向の一端部から内部に挿入して地盤上に連結管を設置する工程と、地盤上に設置された連結管の長手方向の一端部とは反対側の他端部から連結管内に支柱の一端側を挿入して杭上に前記支柱を設置する工程と、杭及び支柱と連結管との間、及び杭と支柱との間に亘って充填材を充填し、充填材を硬化させる工程とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、杭連結支柱構造体の低コスト化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る杭連結支柱構造体の全体構成を示す図である。
図2図1の連結部の長手方向に沿う断面構造を示す要部断面図である。
図3図2の一部を拡大した要部断面図である。
図4図3の各切断線の位置で切った断面構造を示す図((a)はII-II切断線の位置で切った断面図,(b)はIII-III切断線の位置で切った断面図,(c)はIV-IV切断線の位置で切った断面図,(d)はV-V切断線の位置で切った断面図,(e)はVI-VI切断線の位置で切った断面図)である。
図5図3に対して異なる位置での断面構造を示す要部断面図である。
図6】本発明の実施形態1に係る杭連結支柱構造体の連結部に作用する応力状態を示す図((a)は長手方向に沿う断面図,(b)は長手方向と直交する断面図)である。
図7】本発明の実施形態1に係る杭連結支柱構造体に作用する曲げモーメントの分布を示す図である。
図8】pm+ps[N/mm]と挿入長さLとの関係を示す図である。
図9】本発明の実施形態1に係る杭連結支柱構造体の施工方法を説明するための図である。
図10】本発明の実施形態1に係る杭連結支柱構造体の施工方法を説明するための図である。
図11】本発明の実施形態1に係る杭連結支柱構造体の施工方法を説明するための断面図である。
図12】本発明の実施形態2に係る杭連結支柱構造体の概略構成を示す図((a)は長手方向に沿う要部断面図,(b)は(a)のVII-VII線の位置で切った断面図)である。
図13】本発明の実施形態3に係る杭連結支柱構造体の概略構成を示す要部断面図である。
図14】本発明の実施形態3に係る杭連結支柱構造体の施工方法を説明するための断面図である。
図15】本発明の実施形態3に係る杭連結支柱構造体の施工方法を説明するための断面図である。
図16】本発明の実施形態4に係る柱連結支柱構造体の概略構成を示す要部断面図である。
図17】本発明の実施形態4に係る杭連結支柱構造体の施工方法を説明するための断面図である。
図18】本発明の実施形態4に係る杭連結支柱構造体の施工方法を説明するための断面図である。
図19】本発明の実施形態4に係る杭連結支柱構造体の施工方法を説明するための断面図である。
図20】本発明の実施形態5に係る杭連結支柱構造体の概略構成を示す要部断面図である。
図21】本発明の実施形態5に係る杭連結支柱構造体の施工方法を説明するための断面図である。
図22】本発明の実施形態の変形例1を示す図((a)は長手方向に沿う要部断面図,(b)は(a)のVIII-VIII切断線の位置で切った断面図)である。
図23】本発明の実施形態の変形例2を示す図((a)は長手方向に沿う要部断面図,(b)は(a)のIX-IX切断線の位置で切った断面図)である。
図24】本発明の実施形態の変形例3を示す断面図である。
図25】本発明の実施形態の変形例4を示す断面図である。
図26】本発明の実施形態に係る杭連結支柱構造体の変形例5を示す図((a)は長手方向に沿う要部断面図,(b)は(a)のXI-XI切断線の位置で切った断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
なお、本発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
また、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。
また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものではない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また、以下の実施形態では、空間内で互に直交する三方向において、同一平面内で互に直交する第1の方向及び第2の方向をそれぞれX方向、Y方向とし、第1の方向及び第2の方向のそれぞれと直交する第3の方向をZ方向とする。
【0012】
〔実施形態1〕
この実施形態1では、建築構造物としての防球ネット構造物を構築する杭連結支柱構造体に本発明を適用した場合について説明する。
【0013】
≪防球ネット構造物≫
まず、杭連結支柱構造体及びその施工方法を説明する前に、防球ネット構造物について説明する。
【0014】
防球ネット構造物は、例えばゴルフ練習場やゴルフ場において、敷地の周囲やコースの内外に図1に示す杭連結支柱構造体1を複数本設置し、この複数本の杭連結支柱構造体1の各々に防球ネット61を張り渡してゴルフボールが場外に飛散するのを防止している。この種の杭連結支柱構造体1は、地上に立設する支柱としての鋼管支柱20の高さが数十mに達するため、輸送が可能な長さ例えば5m~10mの複数本の分割支柱を現地において順次連結して支柱を構築している。この実施形態1では、例えば3つの分割支柱62a~62cをこの順で連結して鋼管支柱20を構築している。
【0015】
≪杭連結支柱構造体≫
次に、本発明の実施形態1に係る杭連結支柱構造体1について、図1から図4を参照しながら説明する。
【0016】
図1図2及び図3に示すように、この実施形態1の杭連結支柱構造体1は、地盤2内(地中)に設置された杭としての鋼管杭10と、この鋼管杭10の一端側に連結部30を介して一端側が連結された支柱としての鋼管支柱20とを備えている。
【0017】
鋼管杭10は、長手方向(Z方向)の一端側の端部10xが地盤2から上方に突出し、かつ鉛直方向Vdに沿うようにして地盤2内に埋設されている。鋼管支柱20は、長手方向(Z方向)の一端側の端部20xが鋼管杭10の一端側の端部10xと対向し、かつ長手方向が鉛直方向Vdに沿うようにして鋼管杭10上に立設されている。
【0018】
地盤2には、地盤2内に設置された鋼管杭10を囲むようにして凹部4が掘削により形成されている。そして、この凹部4の底部には、鋼管杭10を囲むようにして均しコンクリート層5が打設により形成されている。そして、この均しコンクリート層5上には、鋼管杭10を囲むようにして根巻きコンクリート層6が打設により形成されている。
【0019】
なお、通常、凹部4は、掘削時の土砂等で埋め戻されているが、この実施形態1では凹部4の埋め戻しを省略している。
【0020】
≪鋼管杭≫
図2図3及び図4(d),(e)に示すように、鋼管杭10は、長手方向に沿って貫通し、かつ長手方向と直交する断面において、外周面10a及び内周面10bが円形状の鋼管を主体に構成されている。
【0021】
鋼管杭10の内部(貫通孔)には、詰め込み材として例えば土砂3が詰め込まれている。土砂3は、鋼管杭10の長手方向の一端側とは反対側の他端側から鋼管杭10の一端側の端部10xより一段低い位置、例えば地盤2の表層部2aと同程度の位置まで詰め込まれている。そして、鋼管杭10の一端側の内部には、鋼管杭10の一端側の端部10xから土砂3まで後述の充填材37が充填されている。
【0022】
≪鋼管支柱≫
図2図3及び図4(a),(b)に示すように、鋼管支柱20は、長手方向に貫通し、かつ長手方向と直交する断面において、外周面20a及び内周面20bが円形状の鋼管を主体に構成されている。そして、鋼管支柱20は、長手方向の一端側の端部20xに、内部を閉塞するようにして設けられた蓋体22を備えている。この蓋体22は、後述の充填材37が鋼管支柱20の内部に浸入するのを抑制している。
【0023】
≪連結部≫
図2図3及び図4(a)~(e)に示すように、連結部30は、長手方向(Z方向)の一端部31xから内部に鋼管杭10の一端側が挿入され、かつ長手方向の一端部31xとは反対側の他端部31yから内部に鋼管支柱20の一端側が挿入された連結管31を備えている。また、連結部30は、連結管31の内部において、鋼管杭10と連結管31との間、鋼管支柱20と連結管31との間、及び鋼管杭10と鋼管支柱20との間に亘って充填された充填材37を備えている。
【0024】
連結管31は、長手方向(X方向)に貫通し、かつ長手方向と直交する断面において、外周面31a及び内周面31bが円形状の鋼管を主体に構成されている。連結管31は、一端部31xが均しコンクリート層5の上面と接するようにして均しコンクリート層5上に設置され、この均しコンクリート層5によって長手方向の位置決めがなされている。すなわち、均しコンクリート層5は、鋼管杭10の一端側を連結管31の一端部31xから連結管31の内部に挿入して連結管31を設置する際の設置基準面となる。
【0025】
連結部30において、連結管31の内周面31bと、この連結管31の一端部31xから連結管31内に挿入された鋼管杭10の外周面10aとの間には、鋼管杭10の外周面10aを囲むようにして充填部(間隙部)gが設けられている。また、連結管31の内周面31bと、この連結管31の他端部31yから連結管31内に挿入された鋼管支柱20の外周面20aとの間には、鋼管支柱20の外周面20aを囲むようにして充填部gが設けられている。また、鋼管杭10の一端側の端部10xと、鋼管支柱20の一端側の端部20xとの間には、充填部g及びgの各々と連通した充填部gが設けられている。そして、これら充填部g、g及びgの各々には、図5に示すように、上述の充填材37が一体となって充填されている。
【0026】
充填材37としては、流動性及び硬化性を有するものを用いることが好ましい。例えば、無収縮モルタル、コンクリート、有機系材料、セメント系無機系材料などを用いることができる。この実施形態1では、充填材37として例えばコンクリートを用いている。
【0027】
なお、充填部g,g2,の各々は、二つの部位の間の領域(鋼管杭10と連結管31との間、鋼管支柱20と連結管31との間、鋼管杭10と鋼管支柱20との間)を意味し、充填材37が充填される前では空間領域であるが、充填材37が充填された後では充填領域となる。
【0028】
また、この実施形態1では、鋼管支柱20の一端側の端部20xに蓋体22が設置されているので、この実施形態の充填部gの幅は、鋼管杭10の一端側の端部10xと、鋼管支柱20の一端側の端部20xに設置された蓋体22とによって規定される。
【0029】
≪建込スペーサ及び支持スペーサ≫
図3及び図4(d),(e)に示すように、連結管31は、連結管31の一端部31xから連結管31の内部に鋼管杭10の一端側を挿入する際、鋼管杭10の外周面10aと連結管31の内周面31bとの間に充填部gを保持する杭用第1建込スペーサ33a(図4(e)参照)及び杭用第2建込スペーサ33b(図4(d)参照)を備えている。杭用第1建込スペーサ33aは、連結管31の一端部31x側付近において、連結管31の内周面31bにこの内周面31bから内方に突出するようにして設けられている。杭用第2建込スペーサ33bは、連結管31の長手方向の中央部付近において、連結管31の内周面31bにこの内周面31bから内方に突出するようにして設けられている。
【0030】
また、図3及び図4(a)に示すように、連結管31は、連結管31の他端部31yから連結管31の内部に鋼管支柱20の長手方向の一端側を挿入する際、鋼管支柱20の外周面20aと連結管31の内周面31bとの間に充填部gを保持する支柱用第1建込スペーサ34を更に備えている。支柱用第1建込スペーサ34は、連結管31の他端部31y側付近において、連結管31の内周面31bにこの内周面31bから内方に突出するようにして設けられている。
【0031】
また、図3及び図4(c)に示すように、連結管31は、連結管31の他端部31y側から連結管31の内部に鋼管支柱20の長手方向の一端側を挿入する際、鋼管支柱20の一端側の端部20xを支持して鋼管杭10の一端側の端部10xと鋼管支柱20の一端側の端部20xとの間に充填部gを保持する支持スペーサ35を更に備えている。支持スペーサ35は、連結管31の長手方向の中央部付近において、連結管31の内周面31bにこの内周面31bから内方に突出するようにして設けられている。
【0032】
図4(a),(c)~(e)に示すように、支柱用第1建込スペーサ34、支持スペーサ35、杭用第1及び第2建込スペーサ33a,33bの各々は、連結管31の円周方向Cdに所定の間隔をおいて複数配置されている。この実施形態1では、支柱用第1建込スペーサ34、支持スペーサ35、杭用第1及び第2建込スペーサ33a,33bの各々は、連結管31の円周方向Cdに等間隔で4つ配置されているが、これに限定されるものではなく、少なくとも3つ以上配置されていればよい。
【0033】
支柱用第1建込スペーサ34、支持スペーサ35、杭用第1及び第2建込スペーサ33a,33bの各々は、例えば、連結管31と同一材料で形成され、溶接によって連結管31の内周面31bに一体に接合されている。
【0034】
図3及び図4(b)に示すように、鋼管支柱20は、連結管31の他端部31yから連結管31の内部に鋼管支柱20の一端側を挿入する際、鋼管支柱20の外周面20aと連結管31の内周面31bと間に充填部gを保持する支柱用第2建込スペーサ23を更に備えている。支柱用第2建込スペーサ23は、鋼管支柱20の長手方向の一端側の端部付近において、鋼管支柱20の外周面20aにこの外周面20aから外方に突出するようにして設けられている。この支柱用第2建込スペーサ23においても、上述の支柱用第1建込スペーサ34、支持スペーサ35、杭用第1及び第2建込スペーサ33a,33bの各々と同様に、鋼管支柱20の周方向に等間隔で4つ配置されているが、これに限定されるものではなく、少なくとも3つ以上配置されていればよい。
【0035】
支柱用第2建込スペーサ23は、例えば、鋼管支柱20と同一材料で形成され、溶接によって鋼管支柱20の外周面20aに一体に接合されている。
【0036】
なお、図4(a),(b)に示すように、鋼管支柱20は、連結管31の他端部31yから連結管31の内部に鋼管支柱20の一端側を挿入する際、鋼管支柱20の支柱用第2建込スペーサ23が連結管31の支柱用第1建込スペーサ34と接触しないように、支柱用第2建込スペーサ23を支柱用第1建込スペーサ34に対して連結管31の円周方向Cdに位置をずらした状態で挿入されている。
また、この実施形態1では、鋼管杭10及び鋼管支柱20は、同一の内径及び外径で形成されている。
また、連結管31は、鋼管杭10及び鋼管支柱20の各々との間に充填部g,gが形成されるように、鋼管杭10及び鋼管支柱20の各々の外径よりも大きい内径及び外径で形成されている。
また、連結管31は、図5を参照して説明すると、一端部31xから内部に挿入された鋼管杭10の一端側の端部10xと他端部31yから内部に挿入された鋼管支柱20の一端側の端部20xとの間に充填部gが形成されるように、鋼管杭10が連結管31に挿入される杭挿入長さL1と、鋼管支柱20が連結管31に挿入される支柱挿入長さL2とを加算した値よりも長い長さで形成されている。
【0037】
≪連結部の強度≫
次に、連結部30の強度について、図6(a),(b)を用いて説明する。
図6中、Dcは鋼管支柱20の外径、tcは鋼管支柱20の板厚、Dpは鋼管杭10の外径、tpは鋼管杭10の板厚、Djは連結管31の外径、tjは連結管31の板厚である。
また、L1は連結管31の一端部31xから連結管31の内部に鋼管杭10の一端側が挿入される杭挿入長さ、L2は連結管31の他端部31yから連結管31の内部に鋼管支柱の一端側が挿入される支柱挿入長さ、LTは連結管31の一端部31xから他端部31yまでの長さ、2/3・Lは充填材37の反力の合力のアーム長、Lsは鋼管杭10と鋼管支柱20との間の長さである。
また、Nは鉛直力、Sはせん断力、M1は鋼管支柱20に作用する曲げモーメント、M2は鋼管杭10に伝達された曲げモーメントである。また、Rf1は連結管31から充填材37を介して鋼管支柱20に作用する反力、Rf2は連結管31から充填材37を介して鋼管杭10に作用する反力である。また、σnは鉛直力Nに対する充填材37の軸圧圧縮応力度、pmは曲げモーメントによる充填材37の最大圧縮応力度、psはせん断力による充填材37の圧縮応力度である。
また、S1は充填材37のせん断応力、csは充填材37の圧縮応力、Wは連結管31の長手方向と直交する断面において充填材37に圧縮応力が作用する作用幅である。
なお、図面を見易くするため、図6(b)では充填材37のハッチングを省略している。
【0038】
杭連結支柱構造体1では、図7を参照すれば、例えば風が吹いたときに風圧力に起因する曲げモーメントが連結部30に作用するため、連結部30においては曲げモーメントに耐え得る強度が必要である。
【0039】
そこで、図6(a),(b)を参照して説明すると、鋼管支柱20や鋼管杭10から連結管31に作用する曲げモーメントM1,M2をMとしたときに、連結部30の充填材37に発生する圧縮応力を三角形分布と仮定する。そして、杭挿入長さL1及び支柱挿入長さL2の各々をLとし、充填材37に発生する圧縮応力の最大値(最大圧縮応力)をpmとし、連結管31の長手方向と直交する断面において充填材37に圧縮応力が作用する作用幅をWとすると、
充填材37に作用する圧縮応力の合力Fは、
F=1/2・(pm・W・L/2)=1/4・pm・W・L
で求まる。
そして、充填材37における反力の合力のアーム長(左右の合力の間隔)は2/3・Lであるから、
偶力Fpは、
Fp=F・2/3=1/6・pm・W・L
で求まる。
この偶力Fpは鋼管支柱20の曲げモーメントMとつり合うから、充填材37の最大圧縮応力pmは、次の(1)式より求まる。
M=1/6・pm・W・L
pm=6・M/(W・L
=6・M/(Dp/√2・L
=6√2・M/(Dp・L) ……(1)
【0040】
一方、連結管31に作用するせん断力をSとすると、これに対して充填材37に発生する圧縮応力psは、次の(2)式より求まる。
ps=S/(W・L)=S/(Dp/√2・L)
=√2・S/(Dp・L) ……(2)
【0041】
上記の(1)式で表わされるpm(曲げモーメントMによる充填材37の最大圧縮応力)の値に上記の(2)式で表わされるps(せん断力Sに対して充填材37に発生する圧縮応力)の値を加算した値(Pm+Ps)が、充填材37の許容圧縮応力度以内であれば、充填材37を介して連結管31に曲げモーメントMを伝達できる。
【0042】
また、連結管31の許容曲げモーメント及び鋼管杭10の許容曲げモーメントが鋼管支柱20の曲げモーメント以上であれば、連結管31及び鋼管杭10が安全であり、連結管31を介して鋼管支柱20の曲げモーメントを鋼管杭10に伝達する構造、すなわち、この実施形態1の連結部30の構造が成り立つ。
【0043】
なお、鉛直力Nに対しては、連結管31内において、鋼管支柱20の一端側の端部20xと鋼管杭10の一端側の端部10xとの間の充填部g図5参照)に充填された充填材37の強度が鉛直力Nによって生じる圧縮応力度に対して安全であればよい。
【0044】
また、せん断力Sに対しては、連結管31のせん断強度が、せん断力Sより大きければよい。
【0045】
≪接合部の仕様≫
次に、本発明者らが検討した連結部30の一仕様について図7を用いて説明するが、この一仕様に限定されない。図7中、Nsは設計鉛直力、Ssは設計せん断力、Msは連結部30での設計曲げモーメントである。
【0046】
<鋼管杭の条件>
鋼管杭10の条件として、
外径:Dp=800mm
板厚:tp=14mm
材質:SKK490A
とした。
【0047】
<鋼管支柱の条件>
鋼管支柱20の条件として、
地盤2の表層部2a(地表面)から頂点までの高さ:30m
外径:Dc=800mm
板厚:tp=14mm
材質:SM490A
とした。
【0048】
<連結部の条件>
連結管31の条件として、
連結管への鋼管杭及び鋼管支柱の挿入長(差込長):L
外径:Dj=1000mm
板厚(肉厚):tj=14mm
断面積:As=43960mm
断面係数:Z=105×10-4
材質:SKK490
許容引張応力度:σs=325N/mm
許容せん断応力度:τs=187N/mm
とした。
【0049】
<コンクリートの条件>
充填材37として用いたコンクリート(充填コンクリート)の条件として、
圧縮基準強度:18N/mm
許容圧縮応力度:σc=12N/mm
許容せん断応力度:τc=1.2N/mm
断面積:A2=3.14/4・((Dj-2・tj)-Dc)
=3.14/4・(972-800)
=3.14/4(944784-640000)
=239255mm
とした。
【0050】
<荷重の条件>
連結部30に作用する各荷重の条件として、
設計鉛直力:Ns=60kN
設計せん断力:Ss=107kN
設計曲げモーメント:Ms=1581kN・m
とした。
【0051】
<検討1;曲げモーメント及びせん断力に対する充填コンクリートの圧縮強度の検討>
まず、上記の(1)式によって、設計曲げモーメントMsと充填コンクリートの圧縮応力度との関係が表される。
pm=6√2・M/(Dp・L
今回の検討では、Ms=1581kN・m、 Dp=800[mm]であることから、
pm=6√2・Ms/(Dp・L
=6√2・1581000000/(800・L
=16766505/L
となる。
【0052】
一方、設計せん断力による充填材37の圧縮応力度psは、上記の(2)式より、
ps=√2・Ss/(Dp・L)
=1.414・107000/(800・L)
=189/L
となる。
よって、充填コンクリートの最大圧縮応力度pm+psは次の式となる。
pm+ps=16766505/L+189/L
【0053】
ここで、pm+ps[N/mm]と、連結管31の内部への鋼管杭10又は鋼管支柱20の挿入長さLとの関係を図8に示す。
図8より、充填コンクリートの許容圧縮応力度σcは、
σc=12N/mmであるので、
鋼管杭10又は鋼管支柱20の必要挿入長さLは、
L=1190[mm]=1.49・Dpとなる。
これ以上の挿入長さLがあれば、充填コンクリートの圧縮強度は安全である。
【0054】
ここでは、L=1.5×Dp=1200mmとする。
このとき、
pm=16766505/1200=11.64N/mm
ps=189/1200=0.16N/mm
pm+ps=11.64+0.16
=11.8N/mm≦12N/mm
となり、良好である。
【0055】
<検討2;鉛直力に対する充填コンクリートの圧縮強度の検討>
設計鉛直力NsがNs=60kNのとき、
鋼管支柱20の端部20x及び鋼管杭10の端部10xでの面積A1は、
A1=3.14×800×800/4=502400[mm
であるので、
充填コンクリートの軸圧縮応力度σnは、
σn=Ns/A1=0.12N/mm≦σc=12N/mm
となり、良好である。
【0056】
<検討3;連結管のせん断強度の検討>
設計せん断力SsはSs=107[kN]である。
曲げモーメントに対する充填コンクリートの圧縮力の合力Fは、
F=1/4・pm・Dp/√2・1200
=1/4・11.64・800/1.414・1200=1975672N
となる。
そして、連結管31に作用するせん断力S1は、
S1=Ss+F=2082672N
となる。
【0057】
そして、連結管の断面積Asは、As=43960mmであるので、
連結管のせん断応力度τは、
τ=S1/(As/2)=2082672/(43960/2)
=95[N/mm]≦τs=187[N/mm
となり、良好である。
【0058】
<検討4;連結管の曲げ強度の検討>
設計曲げモーメントMsをMs=1581[kN・m]としたとき、
断面係数ZはZ=105×10-4であるので、
曲げ応力度σは、
σ=Ms/Z=1581/0.0105=150571kN/m
=151N/mm≦σs=325N/mm
となり、良好である。
【0059】
<検討結果>
上記の検討1~4の検討結果より、連結部30の仕様は次のように決定される。
(連結管)
鋼管材質:SM490A
外径:1000[mm]
板厚:14[mm]
長さ:1200×2+400=2800mm
(充填コンクリート)
圧縮基準強度:18N/mm
最大骨材寸法:20mm
スランプ:18cm
(鋼管杭10及び鋼管支柱20)
挿入長さ:1200mm
すなわち、図5及び図7を参照して説明すると、鋼管杭10の一端側を連結管31の一端部31xから連結管31の内部に挿入する杭挿入長さL1は、鋼管杭10の外径Dpの1.5倍以上であることが好ましい。また、鋼管支柱20の一端側を連結管31の他端部31yから連結管31の内部に挿入する支柱挿入長さL2は、鋼管支柱20の外径Dcの1.5倍以上であることが好ましい。
【0060】
なお、充填材37としてモルタルを用いた場合でも、同様の仕様となる。
【0061】
≪杭連結支柱構造体の施工方法≫
次に、この実施形態1の杭連結支柱構造体1の施工方法について、図9から図11を用いて説明する。
【0062】
まず、図9(a)に示すように、一端側の端部10xが地盤2から突出し、かつ鉛直方向Vdに沿うようにして地盤2内に鋼管杭10を設置する。この鋼管杭10の設置は、例えば、掘削機によって地盤2に掘削孔2bを鉛直方向Vdに沿って形成し、この掘削孔2bに鋼管杭10を挿入した後、掘削時に発生した土砂を掘削孔2bと鋼管杭10との間隙に埋め戻すことによって行われる。掘削孔2bと鋼管杭10との間にコンクリートやモルタルを充填する場合もある。
【0063】
次に、図9(b)に示すように、地盤2内に設置された鋼管杭10の内部に、詰め込み材として例えば掘削孔2bの掘削時に発生した土砂3を詰め込む。土砂3の詰め込みは、鋼管杭10の一端側の端部10xから一段低い位置、例えば地盤2の表層部2aと同程度の位置まで行うことが好ましい。また、土砂3の詰め込み工程は、後述する充填材37の充填工程前に実施することが好ましいが、作業性の観点から後述する連結管31の設置前に実施することがより好ましい。この土砂3は、後述する充填材37の充填工程において、充填材37が鋼管杭10の内部に浸入するのを抑制する抑制部として機能する。
【0064】
次に、地盤2内に設置された鋼管杭10の周囲の地盤2を掘削して、地盤2に鋼管杭10を囲む凹部4を形成し、その後、図10(a)に示すように、凹部4の底部に均しコンクリート層5を打設により形成する。
【0065】
次に、地盤2内に設置された鋼管杭10の一端側を連結管31の長手方向の一端部31xから連結管31の内部に挿入して、図10(b)に示すように、地盤2の凹部4の底部に設けられた均しコンクリート層5上に連結管31を設置する。連結管31は、長手方向の一端部31xが均しコンクリート層5の上面と接した状態で配置される。
この工程において、連結管31の内部に設けられた杭用第1建込スペーサ33a及び第2建込スペーサ33bにより、鋼管杭10の外周面10aと連結管31の内周面31bとの間に連結管31の円周方向Cdに亘って充填部gを保持することができると共に、鋼管杭10と連結管31との相対的なX方向及びY方向の位置決めを行うことができる。
また、この工程において、均しコンクリート層5による設置基準面により、鋼管杭10と連結管31との相対的な高さ方向(Z方向)の位置決めを行うことができる。
また、この工程において、杭用第1建込スペーサ33aと杭用第2建込スペーサ33bとは連結管31の長手方向に離間されているので、この杭用第1建込スペーサ33a及び杭用第2建込スペーサ33bにより、鋼管杭10の長手方向の中心軸上に連結管31の長手方向の中心軸を容易に一致させることができる。
【0066】
次に、均しコンクリート層5上に設置された連結管31の他端部31yから連結管31の内部に支持スペーサ35に当接するまで鋼管支柱20の一端側を挿入して、図11(a)に示すように、鋼管杭10上に鋼管支柱20を設置する。鋼管支柱20は、鉛直方向Vdに沿うようにして設置される。この鋼管支柱20の一端側には、鋼管支柱20の内部を閉塞するようにして蓋体22が予め設置されている。
この工程において、連結管31の内周面31bに設けられた支柱用第1建込スペーサ34と、鋼管支柱20の外周面20aに設けられた支柱用第2建込スペーサ23とにより、鋼管支柱20の外周面20aと連結管31の内周面31bとの間に連結管31の円周方向Cdに亘って充填部gを保持することができると共に(図4(a),(b)参照)、鋼管支柱20と連結管31との相対的なX方向及びY方向(水平方向)の位置決めを行うことができる。
また、この工程において、連結管31の内周面31bに設けられた支持スペーサ35により、連結管31に鋼管支柱20を安定して支持させることができると共に、鋼管杭10の一端側の端部10xと鋼管支柱20の一端側の端部20xとの間に充填部g及びgと連通する充填部gを保持することができる。
【0067】
次に、図11(b)に示すように、鋼管杭10の外周面10aと連結管31の内周面31bとの間の充填部g、鋼管支柱20の外周面20aと連結管31の内周面31bとの間の充填部g、及び鋼管杭10の一端側の端部10xと鋼管支柱20の一端側の端部20xとの間の充填部gの各々に亘って硬化前の充填材37を充填する。充填材37は、連結管31の他端部31y側から充填部gに注入される。そして、充填部gに注入された充填材37は自重により充填部g及び充填部gに亘って流動し、各充填部g,g,gの各々は充填材37で充填される。充填材37としては例えばコンクリートを用いる。
この工程において、鋼管杭10の内部には予め詰め込み材として土砂3が詰め込まれているので、この土砂3により、充填材37が鋼管杭10の内部に浸入するのを抑制することができる。この実施形態1では、土砂3は、鋼管杭10の一端側の端部10xより一段低い位置まで詰め込まれているので、充填材37は、鋼管杭10の内部に鋼管杭10の一端側の端部10xから土砂3まで充填されるが、それ以上の内部浸入は抑制される。
また、この工程において、鋼管支柱20の一端側には鋼管支柱20の内部を閉塞する蓋体22が予め設置されているので、この蓋体22により、充填材37が鋼管支柱20の内部に浸入するのを抑制することができる。
また、この工程において、鋼管支柱20の一端側が充填部gを保持する支持スペーサ35により支持されているので、充填部g,g,gの各々に充填材37を一回で充填することができる。
【0068】
次に、充填材37を硬化させる。これにより、地盤2内に設置された鋼管杭10に鋼管支柱20を立設した状態で連結する連結部30が形成されると共に、鋼管杭10に連結部30を介して鋼管支柱20を連結した杭連結支柱構造体1がほぼ完成する。
【0069】
この後、均しコンクリート層5上に、鋼管杭10を囲むようにして根巻きコンクリート層6を形成することにより、図1に示す状態となる。
【0070】
≪実施形態1の効果≫
次に、この実施形態1の主要な効果について説明する。
この実施形態1の杭連結支柱構造体1は、地盤2内に設置された鋼管杭10の一端側に連結部30を介して鋼管支柱20の一端側を連結している。そして、連結部30は、鋼管杭10及び鋼管支柱20の各々の一端側を連結管31の内部に挿入して鋼管杭10と鋼管支柱20とを連結する構造になっている。この連結部30は、鋼管杭10の内部に鋼管支柱20を挿入しなくても、鋼管杭10と鋼管支柱20とを連結することができるので、特許文献1の連結部のように、鋼管杭10に鋼管支柱20を連結するために敢えて鋼管支柱20の外径よりも外径が大きい鋼管杭10を用いる必要が無く、同一外径の鋼管杭10と鋼管支柱20とを連結することができる。
また、連結部30は、充填材37を充填するための充填部として、鋼管杭10の内周面10bと連結管31の外周面31aとの間に充填部g、鋼管支柱20の内周面20bと連結管31の外周面31aとの間に充填部g、及び、鋼管杭10の一端側の端部10xと鋼管支柱20の一端側の端部20xとの間に充填部gをそれぞれ備えた構造になっている。この連結部30は、連結管31の外径を大きくすることで充填部g及びgの幅を容易に広くすることができ、また、連結管31の長手方向の長さを長くすることで充填部gの幅を容易に広くすることができるので、特許文献1の連結部のように、充填部の幅に応じて敢えて外径が鋼管支柱20の外径よりも大きい鋼管杭10を用いる必要がない。特に、この連結部30は、鋼管支柱20の外径よりも鋼管杭10の外径を大きくすることなく、充填材37の充填が円滑に行えるように充填部g,g,gの幅を容易に広くすることができる。
また、この連結部30では、鋼管杭10と鋼管支柱20との連結のために、敢えて外径が鋼管支柱20の外径よりも大きい鋼管杭10を用いる必要が無いため、鋼管杭10を地盤2内に設置するための掘削孔の径を大きくすることも無い。
したがって、この実施形態1の杭連結支柱構造体1によれば、鋼管杭10に鋼管支柱20を連結するために鋼管支柱20の外径よりも外径が大きい鋼管杭10を選定する必要がなく、また、鋼管杭10を地盤2内に設置するための掘削孔の径を大きくする必要もないので、特許文献1の連結部のように鋼管杭10の内部に鋼管支柱を挿入する従来の連結部と比較して、鋼管杭10の材料費及び施工費を低減できる。これにより、杭連結支柱構造体1の低コスト化を図ることができると共に、この杭連結支柱構造体1を備えた防球ネット構造物(建築構造物)の低コスト化を図ることができる。
【0071】
また、この実施形態1の連結部30は、充填部g、充填部g、及び充填部gの各々に亘って充填材37を充填しているため、充填部gが無い連結部と比較して、鋼管杭10の上端部及び鋼管支柱20の下端部に作用する鉛直荷重を均等に分散して伝達することができることにより、杭連結支柱構造体1の曲げモーメント及び鉛直力に対する応力強度を高めることができる。
【0072】
また、この実施形態1の連結部30において、鋼管杭10の一端側を連結管31の一端部31xから連結管31の内部に挿入する杭挿入長さL1を、鋼管杭10の外径Dpの1.5倍以上とし、また、鋼管支柱20の一端側を連結管31の他端部31yから連結管31の内部に挿入する支柱挿入長さL2を、鋼管支柱20の外径Dcの1.5倍以上とすることにより、曲げモーメントに対する強度が高い連結部30を構築することができる。
【0073】
この実施形態1の杭連結支柱構造体1の施工方法は、鋼管杭10及び鋼管支柱20の各々の一端側を連結管31の内部に挿入し、その後、鋼管杭10の外周面10aと連結管31の内周面31bとの間の充填部g、鋼管支柱20の外周面20aと連結管31の内周面31bとの間の充填部g、及び、鋼管杭10の一端側の端部10xと鋼管支柱20の一端側の端部20xとの間の充填部gの各々に亘って充填材37を充填し、その後、充填材37を硬化させている。したがって、鋼管杭10に鋼管支柱20を連結するために鋼管支柱20の外径よりも内径及び外径が大きい鋼管杭10を選定する必要がなく、また、鋼管杭10を地盤2内に設置するための掘削孔の径を大きくする必要もないので、特許文献1の連結部のように鋼管杭10の内部に鋼管支柱を挿入する従来の連結部と比較して鋼管杭10の材料費及び施工費を低減できる。これにより、低コストで杭連結支柱構造体1を構築することができる。
【0074】
また、この実施形態1の杭連結支柱構造体1の施工方法は、均しコンクリート層5上に設置された連結管31を介して鋼管杭10の一端側に鋼管支柱20の一端側を連結するので、地盤2内に鋼管杭10を設置するときの設置誤差(打設誤差)に起因して鋼管杭10の一端側が地盤2から突出する突出高さが違っている場合においても、均しコンクリート層5から連結管31の支持スペーサ35までの高さ位置を所定の高さ位置となるように均しコンクリート層5の高さ方向の位置を調整することにより、鋼管支柱20を所定の高さに設置することができる。
【0075】
なお、この実施形態1では、鋼管支柱20の一端側に鋼管支柱20の内部を閉塞するようにして蓋体22を設置した場合について説明したが、蓋体22は必ずしも設置する必要はない。その理由としては、鋼管支柱20の内部に浸入する充填材37は鋼管支柱20の支柱挿入長さL2を大きく超えることはなく、充填材37の浸入量が少なくて済むからである。
【0076】
一方、鋼管杭10の場合は、鋼管杭10の全体長さにほぼ相当する量の充填材37が鋼管杭10の内部に浸入してしまうため、この実施形態1のように鋼管杭10の内部に土砂3などの詰め込み材を詰め込むことや、この後の実施形態3で説明するが、鋼管杭10の一端側の端部10xに蓋体38の設置が必要である。
【0077】
≪実 施 例≫
次に、実施形態1の効果について具体的な実施例を挙げて説明するが、この施例に限定されるものではない。
一般に、特許文献1の連結部では、鋼管杭と、この鋼管杭の内部に挿入された鋼管支柱との間の充填部に充填材を確実に充填できるように、充填部の幅を150[mm]以上にする必要がある。また、この実施形態1の連結部30においても、連結管31と、この連結管31の内部に挿入された鋼管支柱20との間の充填部gに充填材37を確実に充填できるように、充填部gの幅を150[mm]以上にする必要がある。このことによって、特許文献1の連結部では鋼管杭の外径を鋼管支柱の外径よりも200[mm]程度大きくする必要があり、また、この実施形態1の連結部30でも連結管31の外径を鋼管杭10の外径よりも200[mm]程度大きくする必要がある。
【0078】
一方、鋼管杭の設計基準では、鋼管杭の外径をD、板厚(肉厚)をtとした場合に次の規定がある。
(#1)鋼管杭の局部座屈に対する安全性:D/t≦100
(#2)鋼管杭の最小板厚:t≧9mm
これらの規定により、鋼管杭の応力によって決まる必要な板厚よりも板厚が厚い鋼管杭を使用する場合がある。このことから、次のような場合においては、鋼管支柱と鋼管杭を同じ外径で連結できることにより、鋼管杭の重量の削減、鋼管杭の低コスト化、鋼管杭の施工費の削減を図ることできる。
(i)鋼管支柱の外径が700mm以下であり、特許文献1の連結部で鋼管杭の外径を900mm以下にする場合には、特許文献1の連結部及び実施形態1の連結部30の何れの場合も上記(#2)の規定により鋼管杭の板厚が9mmとなり、外径が小さい鋼管杭の方の重量、即ち、この実施形態1の鋼管杭10の方の重量が小さくなる。
(ii)鋼管支柱の外径が800mmの場合、特許文献1の連結部の場合の鋼管杭は、外径が1000mm以上で上記(#1)の規定により板厚が12mmとなる。一般に調達が容易な鋼管の板厚は、9mm、12mm、14mm、16mm、19mmである。
【0079】
これに対し、この実施形態1の連結部30の場合の鋼管杭10は、外径が800mmで板厚が上記(#2)の規定により9mmとすることができ、この実施形態1の連結部30の方が鋼管杭10の重量を小さくすることができる。鋼管杭の外径が更に大きくなった場合には、上記(#1)の規定によって板厚の最小値が決まる場合が多くなり、鋼管杭の外径が小さい実施形態1の連結部30の方が特許文献1の連結部と比較して鋼管杭10の板厚を薄くすることができ、この実施形態1の連結部30の方が鋼管杭10の重量を削減できる場合が多くなる。
【0080】
すなわち、鋼管杭の板厚がD/t≦100又はt≧9mmで決まっていて、応力上必要な板厚より大きい場合は、この実施形態1の連結部30が有効である。
【0081】
また、二段構造の鋼管杭において、下段の鋼管杭に作用する曲げモーメントは小さいため、下端の鋼管杭の板厚はD/t≦100又はt≧9mmで決まる場合が多く、この実施形態1の連結部30は有効となる。
【0082】
〔実施形態2〕
≪杭連結支柱構造体≫
この実施形態2の杭連結支柱構造体1Aは、上述の実施形態1の杭連結支柱構造体1とほぼ同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
【0083】
すなわち、この実施形態2の杭連結支柱構造体1Aは、図12に示すように、上述の実施形態1の鋼管杭10に換えてコンクリート杭15を備えている。その他の構成は実施形態1と同様である。
コンクリート杭15は、長手方向に沿って貫通し、かつ長手方向と直交する断面において、外周面15a及び内周面15bが円形状のコンクリート管を主体に構成されている。コンクリート杭15は、例えばコンクリート層中に埋設された鋼材又は鉄筋により予め圧縮力が付与されたプレストレスコンクリート(Prestressed Concrete)構造になっている。このような構造のコンクリート杭は通称PC杭と呼ばれている。このPC杭は、プレストレスを有しない通常のコンクリート杭と比較して、曲げモーメントに対する抵抗力が大きい。
【0084】
コンクリート杭15の内部(貫通孔)には、上述の実施形態1の鋼管杭10と同様に、詰め込み材として土砂3が詰め込まれている。土砂3は、コンクリート杭15の一端側の端部15xから一段低い位置、例えば地盤2の表層部2aと同程度の位置まで詰め込まれている。そして、コンクリート杭15の一端側の内部部には、コンクリート杭15の一端側の端部15xから土砂3まで充填材37が充填されている。
【0085】
連結部30の連結管31の内部には、連結管31の一端部31xからコンクリート杭15の一端側が挿入され、かつ連結管31の他端部31yから鋼管支柱20の一端側が挿入されている。そして、連結管31の内周面31bと、この連結管31の一端部31xから連結管31内に挿入されたコンクリート杭15の外周面15aとの間には、コンクリート杭15の外周面15aを囲むようにして充填部gが設けられている。また、連結管31の内周面31bと、この連結管31の他端部31yから連結管31内に挿入された鋼管支柱20の外周面20aとの間には、鋼管支柱20の外周面20aを囲むようにして充填部gが設けられている。また、コンクリート杭15の一端側の端部15xと、鋼管支柱20の一端側の端部20xとの間には、充填部g及びgの各々と連通した充填部gが設けられている。そして、これら充填部g、g及びgの各々には、上述の実施形態1と同様に、充填材37が一体となって充填されている。
【0086】
コンクリート杭15は、鋼管支柱20の外径と同一の外径で形成されている。連結管31は、コンクリート杭15及び鋼管支柱20の各々との間に充填部g,gが形成されるように、コンクリート杭15及び鋼管支柱20の各々の外径よりも大きい内径及び外径で形成されている。
【0087】
ここで、コンクリート杭15は、上述の実施形態1の鋼管杭10よりも板厚(肉厚)が厚く、外径が同一の鋼管杭と比較して内径が小さい。このため、特許文献1の連結部では支柱の外径に合わせて、外径がより大きいコンクリート杭を選定する必要があるので、コンクリート杭の使用が困難であった。
【0088】
これに対し、この実施形態2の連結部30では、上述の実施形態1と同様に、コンクリート杭15に鋼管支柱20を連結するために鋼管支柱20の外径よりも外径が大きいコンクリート杭15を選定する必要がないので、鋼管杭10よりも板厚が厚いコンクリート杭15の使用が可能である。
【0089】
したがって、この実施形態2の杭連結支柱構造体1Aによれば、上述の実施形態1と同様の効果が得られると共に、コンクリート杭15の使用が可能である。
【0090】
〔実施形態3〕
≪杭連結支柱構造体≫
この実施形態3の杭連結支柱構造体1Bは、上述の実施形態1の杭連結支柱構造体1とほぼ同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
【0091】
すなわち、この実施形態3の杭連結支柱構造体1Bは、図13に示すように、鋼管杭10の一端側の端部10xに鋼管杭10の内部を閉塞するようにして蓋体38が設置されている。その他の構成は上述の実施形態1の杭連結支柱構造体1と同様である。
蓋体38は、充填部g,g,gの各々に充填材37を充填する際に、充填材37が鋼管杭10の内部に流れ込むのを抑制する。したがって、この実施形態3の充填部gの幅は、鋼管杭10の一端側の端部10xに設けられた蓋体38と、鋼管支柱20の一端側の端部20xに設けられた蓋体22とで規定される。
【0092】
≪杭連結支柱構造体の施工方法≫
次に、この実施形態3の杭連結支柱構造体1Bの施工方法について、図14及び図15を用いて説明する。
【0093】
まず、実施形態1と同様の工程を実施して、図14(a)に示すように、地盤2内への鋼管杭10の設置、凹部4及び均しコンクリート層5の形成を行う。実施形態1では鋼管杭10の内部に詰め込み材として土砂3を詰め込んでいるが、この実施形態3では土砂3の詰め込みは行わない。
【0094】
次に、図14(a)に示すように、地盤2内に設置された鋼管杭10の一端側の端部10xに鋼管杭10の内部を閉塞するようにして蓋体38を設置する。鋼管杭10の一端側の内部は、蓋体38によって密閉される。
【0095】
次に、上述の実施形態1と同様に、地盤2内に設置された鋼管杭10の一端側を連結管31の長手方向の一端部31xから連結管31の内部に挿入して、図14(b)に示すように、地盤2の凹部4の底部に設けられた均しコンクリート層5上に連結管31を設置する。
この工程において、上述の実施形態1と同様に、連結管31の内部に設けられた杭用第1建込スペーサ33a及び第2建込スペーサ33bにより、鋼管杭10の外周面10aと連結管31の内周面31bとの間に連結管31の円周方向Cdに亘って充填部gを保持することができると共に、鋼管杭10と連結管31との相対的なX方向及びY方向の位置決めを行うことができる。また、均しコンクリート層5による設置基準面により、鋼管杭10と連結管31との相対的な高さ方向(Z方向)の位置決めを行うことができる。また、杭用第1建込スペーサ33aと杭用第2建込スペーサ33bとは連結管31の長手方向に離間されているので、この杭用第1建込スペーサ33a及び杭用第2建込スペーサ33bにより、鋼管杭10の長手方向の中心軸上に連結管31の長手方向の中心軸を容易に一致させることができる。
【0096】
次に、上述の実施形態1と同様に、均しコンクリート層5上に設置された連結管31の他端部31yから連結管31の内部に支持スペーサ35に当接するまで鋼管支柱20の一端側を挿入して、図15(a)に示すように、鋼管杭10上に鋼管支柱20を設置する。この鋼管支柱20の一端側には、上述の実施形態1と同様に、鋼管支柱20の内部を閉塞するようにして蓋体22が予め設置されている。
この工程において、上述の実施形態1と同様に、連結管31の内周面31bに設けられた支柱用第1建込スペーサ34と、鋼管支柱20の外周面20aに設けられた支柱用第2建込スペーサ23とにより、鋼管支柱20の外周面20aと連結管31の内周面31bとの間に連結管31の円周方向Cdに亘って充填部gを保持することができると共に、鋼管支柱20と連結管31との相対的なX方向及びY方向(水平方向)の位置決めを行うことができる。また、連結管31の内周面31bに設けられた支持スペーサ35により、連結管31に鋼管支柱20を安定して支持させることができると共に、鋼管杭10の一端側の端部10xと鋼管支柱20の一端側の端部20xとの間に充填部g及びgと連通する充填部gを保持することができる。
【0097】
次に、図15(b)に示すように、鋼管杭10の外周面10aと連結管31の内周面31bとの間の充填部g、鋼管支柱20の外周面20aと連結管31の内周面31bとの間の充填部g、及び鋼管杭10の一端側の端部10xと鋼管支柱20の一端側の端部20xとの間の充填部gに亘って硬化前の充填材37を充填する。充填材37は、連結管31の他端部31y側から充填部gに注入される。そして、充填部gに注入された充填材37は自重により充填部g及び充填部gに亘って流動し、各充填部g,g,gの各々は充填材37で充填される。充填材37としては例えばコンクリートを用いる。
この工程において、鋼管杭10の一端側には鋼管杭10の内部を閉塞する蓋体38が予め設けられているので、この蓋体38により、充填材37が鋼管杭10の内部に浸入するのを抑制することができる。
また、この工程において、上述の実施形態1と同様に、鋼管支柱20の一端側には鋼管支柱20の内部を閉塞する蓋体22が予め設けられているので、この蓋体22により、充填材37が鋼管支柱20の内部に浸入するのを抑制することができる。また、鋼管支柱20の一端側が、充填部gを保持する支持スペーサ35により支持されているので、充填部g,g,gの各々に充填材37を一回で充填することができる。
【0098】
次に、充填材37を硬化させる。これにより、地盤2内に設置された鋼管杭10に鋼管支柱20を立設して連結する連結部30が形成されると共に、鋼管杭10に連結部30を介して鋼管支柱20が連結された杭連結支柱構造体1Bがほぼ完成する。
【0099】
この後、均しコンクリート層5上に、鋼管杭10を囲むようにして根巻きコンクリート層6を形成することにより、図13に示す状態となる。
【0100】
なお、この実施形態3では、連結管31を設置する前に蓋体38の設置を実施しているが、蓋体38の設置は充填材37を充填する前であれば良いので、この実施形態3に限定されない。すなわち、蓋体38の設置工程は、充填材37の充填工程前に実施することが好ましいが、作業性の観点から連結管31の設置工程前に実施することがより好ましい。
【0101】
≪実施形態3の効果≫
この実施形態3の杭連結支柱構造体1B及びその施工方法によれば、上述の実施形態1と同様の効果が得られる。
また、この実施形態3の杭連結支柱構造体1Bの施工方法によれば、充填材37を充填する前に、鋼管杭10の一端側に鋼管杭10の内部を閉塞する蓋体38を設置しているので、充填材37が鋼管杭10の内部に浸入するのを抑制することができる。
したがって、実施形態1の場合の鋼管杭内部の詰め込み土砂を投入する工程と費用が省略できる。そのため、特に、地盤内設置深度が深い鋼管杭の場合は、工程や工事費が削減できる。
なお、この実施形態3の杭連結支柱構造体1Bにおいても、上述の実施形態2の杭連結支柱構造体1Aのように鋼管杭10に換えてコンクリート杭15を用いることができる。
【0102】
〔実施形態4〕
≪杭連結支柱構造体≫
この実施形態4の杭連結支柱構造体1Cは、上述の実施形態1の杭連結支柱構造体1とほぼ同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
【0103】
すなわち、この実施形態4の杭連結支柱構造体1Cは、図16に示すように、上述の実施形態3の杭連結支柱構造体1Bと同様に蓋体38を備え、更に上述の実施形態1の連結部30に換えて連結部40を備えている。その他の構成は上述の実施形態1と同様である。
【0104】
連結部40は、長手方向(Z方向)の一端部41xから内部に鋼管杭10の一端側が挿入され、かつ長手方向の一端部41xとは反対側の他端部41yから内部に鋼管支柱20の一端側が挿入された連結管41を備えている。また、連結部40は、連結管41の内部において、鋼管杭10と連結管41との間、鋼管支柱20と連結管41との間、及び鋼管杭10と鋼管支柱20との間に亘って充填された充填材47を備えている。
【0105】
連結管41は、長手方向(X方向)に貫通し、かつ長手方向と直交する断面において、外周面41a及び内周面41bが円形状の鋼管を主体に構成されている。連結管41は、上述の実施形態1と同様に、一端部41xが均しコンクリート層5の上面と接するようにして均しコンクリート層5上に設置され、この均しコンクリート層5によって長手方向の位置決めがなされている。
【0106】
連結部40において、連結管41の内周面41bと、この連結管41の一端部41xから連結管41の内部に挿入された鋼管杭10の外周面10aとの間には、鋼管杭10の外周面10aを囲むようにして充填部gが設けられている。また、連結管41の内周面41bと、この連結管41の他端部41yから連結管41の内部に挿入された鋼管支柱20の外周面20aとの間には、鋼管支柱20の外周面20aを囲むようにして充填部gが設けられている。また、鋼管杭10の一端側の端部10xと、鋼管支柱20の一端側の端部20xとの間には、充填部g及びgの各々と連通した充填部gが設けられている。そして、これら充填部g、g及びgの各々には、上述の実施形態1と同様に充填材47が一体となって充填されている。
【0107】
この実施形態4の充填材47は、上述の実施形態1の充填材37とは異なり、2回に分けて充填されている。すなわち、充填材47は、一回目に充填された第1充填材47aと二回目に充填された第2充填材47bとを含む構成になっている。第1充填材47a及び第2充填材47bとしては、上述の実施形態1と同様に、例えばコンクリートを用いている。
【0108】
なお、この充填部g,g5,の各々も、二つの部位の間の領域(鋼管杭10と連結管31との間、鋼管支柱20と連結管31との間、鋼管杭10と鋼管支柱20との間)を意味し、充填材47が充填される前では空間領域であるが、充填材47が充填された後では充填領域となる。
【0109】
また、充填部gも、実施形態3と同様に、鋼管杭10の一端側の端部10xに設けられた蓋体38と、鋼管支柱20の一端側の端部20xに設けられた蓋体22とで規定される。
【0110】
この実施形態4の連結管41は、上述の実施形態1の連結管31と同様に支柱用第1建込スペーサ34を備えているが、上述の実施形態1の連結管31とは異なり、杭用第1及び第2建込スペーサ33a,33b、並びに支持スペーサ35を備えていない。そして、この実施形態4の連結管41は、補強用の内周リブ43を備えている。内周リブ43は、連結管41の一端部41x側付近において、連結管41の内周面41bにこの内周面41bから内方に突出するようにして設けられ、かつ連結管41の円周方向Cdに連続して延伸している。
【0111】
なお、内周リブ43は、連結管41の一端部41xから連結管41の内部に鋼管杭10の一端側を挿入する際、鋼管杭10の外周面10aとの間に充填材47が充填されるように、鋼管杭10の外周面10aから離間している。
【0112】
≪杭連結支柱構造体の施工方法≫
次に、この実施形態4の杭連結支柱構造体1Cの施工方法について、図17図18及び図19を用いて説明する。
【0113】
まず、上述の実施形態1と同様の工程を実施して、図17(a)に示すように、地盤2内への鋼管杭10の設置、凹部4、均しコンクリート層5の形成を行う。この実施形態4においても、上述の実施形態3と同様に鋼管杭10の内部への土砂3の詰め込みは行わない。
【0114】
次に、上述の実施形態3と同様に、図17(a)に示すように、地盤2内に設置された鋼管杭10の一端側の端部10xに鋼管杭10の内部を閉塞するようにして蓋体38を設置する。鋼管杭10の一端側の内部は、蓋体38によって密閉される。
【0115】
次に、上述の実施形態1と同様に、地盤2内に設置された鋼管杭10の一端側を連結管41の長手方向の一端部41xから連結管41の内部に挿入して、図17(b)に示すように、地盤2の凹部2bの底部に設けられた均しコンクリート層5上に連結管41を設置する。連結管41の設置は、鋼管杭10の外周面10aと連結管41の内周面41bとの間に、連結管41の円周方向Cdに亘って充填部gを保持するように行う。
この工程において、地盤2内に鋼管杭10を設置するときの設置誤差(打設誤差)に起因して鋼管杭10のX方向及びY方向(水平方向Hd)の位置が所定の位置からずれている場合がある。このような場合でも、鋼管杭10の設置位置に対して連結管41の水平方向の設置位置を調整することにより、連結管31を水平方向の所定位置に設置することができる。ただし、連結管41の水平方向の設置位置の調整は、連結管31の円周方向Cdに亘って充填部gを保持する範囲内で行う。
また、この工程において、上述の実施形態1と同様に、均しコンクリート層5による設置基準面により、鋼管杭10と連結管31との相対的な高さ方向(Z方向)の位置決めを行うことができる。
【0116】
次に、鋼管杭10の一端側の端部10xに蓋体38が設置され、かつ均しコンクリート層5上に連結管41が設置された状態で、図18(a)に示すように、鋼管杭10の外周面10aと連結管41の内周面41bとの間の充填部g及び蓋体38の上方に亘って硬化前の第1充填材47aを充填する。第1充填材47aは、連結管41の他端部41y側から内部に注入される。そして、連結管41の内部に注入された第1充填材47aは自重により充填部g及び蓋体38の上方に亘って流動し、充填部g及び蓋体38の上方は第1充填材47aで充填される。第1充填材47aとしては例えばコンクリートを用いる。
【0117】
この工程において、鋼管杭10の一端側には鋼管杭10の内部を閉塞する蓋体38が設けられているので、この蓋体38により、第1充填材37aが鋼管杭10の内部に浸入するのを抑制することができる。
【0118】
次に、第1充填材47aを硬化させる。硬化した第1充填材47aは、この後の支柱挿入工程において、連結管41の他端部41yから連結管41の内部に鋼管支柱20の長手方向の一端側を挿入する際、鋼管支柱20と鋼管杭10との間に充填部gが形成されるように、鋼管支柱20の一端側の端部20xを鋼管杭10の一端側の端部10xから離間して支持する支持部としての機能を有する。すなわち、第1充填材47aの表面から蓋体38までが充填部gとなる。
【0119】
次に、均しコンクリート層5上に設置された連結管41の他端部41yから連結管41の内部に第1充填材37aと当接するまで鋼管支柱20の一端側を挿入して、図18(b)に示すように、第1充填材47a上に鋼管支柱20を設置する。
【0120】
この工程において、連結管41の内部に充填された第1充填材47aにより、連結管41に鋼管支柱20を安定して支持させることができると共に、鋼管杭10の一端側の端部10xと鋼管支柱20の一端側の端部20xとの間に充填部gと連通する充填部gを保持することができる。
また、この工程において、上述の実施形態1と同様に、連結管41の内周面41bに設けられた支柱用第1建込スペーサ34と、鋼管支柱20の外周面20aに設けられた支柱用第2建込スペーサ23とにより、支柱20の外周面20aと連結管31の内周面31bとの間に連結管41の円周方向Cdに亘って第1充填材47aと連通する充填部gを保持することができると共に、鋼管支柱20と連結管41との相対的なX方向及びY方向(水平方向)の位置決めを行うことができる。また、連結管41の内部に既に充填された第1充填材47aにより、連結管41に鋼管支柱20を安定して支持させることができると共に、鋼管杭10の一端側の端部10xと鋼管支柱20の一端側の端部20xとの間に充填部g及びgと連通する充填部gを保持することができる。
【0121】
次に、図19に示すように、鋼管支柱20の外周面20aと連結管41の内周面41bとの間の充填部gに第2充填材47bを充填する。第2充填材47bは、連結管41の他端部41y側から連結管41の内部に注入される。そして、連結管41の内部に注入された第2充填材47bは自重により充填部gを流動し、充填部gは第2充填材47bで充填される。第2充填材47bとしては例えばコンクリートを用いる。
【0122】
次に、第2充填材47bを硬化させる。これにより、充填部g、g及びgの各々は、第1充填材47a及び第2充填材47bを含む充填材47で充填される。また、地盤2内に設置された鋼管杭10に鋼管支柱20を立設した状態で連結する連結部40が形成されると共に、鋼管杭10に連結部30を介して鋼管支柱20を連結した杭連結支柱構造体1Cがほぼ完成する。
【0123】
この後、均しコンクリート層5上に、鋼管杭10を囲むようにして根巻きコンクリート層6を形成することにより、図16に示す状態となる。
【0124】
≪実施形態4の効果≫
この実施形態4の杭連結支柱構造体1C及びその施工方法によれば、上述の実施形態1と同様の効果が得られる。
また、この実施形態4の杭連結支柱構造体1Cの施工方法によれば、地盤2内に鋼管杭10を設置するときの設置誤差(打設誤差)に起因して鋼管杭10のX方向及びY方向(水平方向)の位置が所定の位置からずれている場合でも、鋼管杭10の設置位置に対して連結管41の水平方向の設置位置を調整することにより、連結管41を水平方向の所定位置に設置することができる。
なお、蓋体38の設置工程は、充填材47aの充填工程前に実施することが好ましいが、作業性の観点から連結管41の設置工程前に実施することがより好ましい。
【0125】
〔実施形態5〕
この実施形態5の杭連結支柱構造体1Dは、上述の実施形態4の杭連結支柱構造体1Cとほぼ同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
すなわち、この実施形態5の杭連結支柱構造体1Dは、図20に示すように、鋼管杭10の内部への充填材47aの浸入を抑制するため、上述の実施形態4の蓋体38に換えて、上述の実施形態1と同様に鋼管杭10の内部に詰め込み材として例えば土砂3が詰め込まれている。この土砂3は、上述の実施形態1と同様に、例えば地盤2の表層部2aと同程度の位置まで詰め込まれている。そして、鋼管杭10の外周面10aと連結管41の内周面41bとの間の充填部g、及び鋼管杭10の一端側の端部10x上の充填部gに亘って第1充填材47aが充填され、更に、鋼管支柱20の外周面20aと連結管41の内周面41bとの間の充填部gに第2充填材47bが第1充填材47aと連結して充填されている。
【0126】
この実施形態5の杭連結支柱構造体1Dの施工方法は、上述の実施形態4の杭連結支柱構造体1Cの施工方法とほぼ同様であるが、図21(a),(b),(c)に示すように、第1充填材47aを充填する工程(図21(c))の前に、地盤2内に設置された鋼管杭10の内部に土砂3を詰め込む工程(図21(a))を備える。この土砂3の詰め込み工程は、充填材47aの充填工程前に実施することが好ましいが、作業性の観点から連結管41の設置工程(図21(b))の前に実施することがより好ましい。
この実施形態5の杭連結支柱構造体1D及びその施工方法によれば、上述の実施形態4と同様の効果が得られる。
【0127】
なお、上述の実施形態4及び5の連結管41は支柱用建込スペーサを備えているが、杭用建込スペーサは備えていない。したがって、杭に支柱を連結する連結管としては、杭用建込スペーサ及び支柱用建込スペーサのうちの少なくとも支柱用建込スペーサを備えていることが好ましい。
【0128】
〔実施形態の変形例〕
次に、実施形態の変形例について説明する。
≪変形例1≫
図12に示すように、上述の実施形態2の連結部30は、連結管31の内周面31bに接合された支持スペーサ35を備えている。また、上述の実施形態2の鋼管支柱20は、外周面20aに支柱用第2建込スペーサ23を備えている。
これに対し、図22(a),(b)に示すように、変形例1の連結部50aは、支持スペーサ35に換えて間座スペーサ51を備えている。また、変形例1の連結部50aは、支柱用第2建込スペーサ23に換えて支柱用第2建込スペーサ52を備えている。その他の構成は実施形態2と同様である。
【0129】
間座スペーサ51は、連結管31から分離してコンクリート杭15と鋼管支柱20との間に介在され、かつコンクリート杭15と鋼管支柱20との間に充填部gを保持している。間座スペーサ51は、X方向及びZ方向に延伸する第1支持板51aと、Y方向及びZ方向に延伸する第2支持板51bとが互いに交差した構造になっている。そして、第1支持板51a及び第2支持板51bは、Z方向において、各々の一端側がコンクリート杭15の一端側の端部15xに支持され、各々の一端側とは反対側の他端側で鋼管支柱20の一端側の端部20xを支持している。間座スペーサ51は、連結管31の他端部31yから内部に鋼管支柱20の一端側を挿入する前に、コンクリート杭15及び鋼管支柱20の何れか一方に予め設置しておくことが好ましい。充填部gの幅は、間座スペーサ51のZ方向の高さで規定される。
【0130】
支柱用第2建込スペーサ52は、連結管31の長手方向の中央部付近において、連結管31の内周面31bにこの内周面31bから内方に突出するようにして設けられている。また、支柱用第2建込スペーサ52は、支柱用第1建込スペーサ34と同様に、例えば連結管31の円周方向Cdに等間隔で4つ配置されている。また、支柱用第2建込スペーサ52は、例えば、連結管31と同一材料で形成され、溶接によって連結管31の内周面31bに一体に接合されている。
【0131】
支柱用第2建込スペーサ52は、連結管31の他端部31yから連結管31の内部に鋼管支柱20の一端側を挿入する際、支柱用第1建込スペーサ34と共に、鋼管支柱20の外周面20aと連結管31の内周面31bとの間に充填部gを保持する。
【0132】
この変形例1においても、上述の実施形態2と同様の効果が得られる。そして、この変形例1は、上述の実施形態1、3~5にも適用できる。
また、この変形例1によれば、間座スペーサ51は連結管31から分離されているため、鋼管支柱20の高さ方向の位置調整を均しコンクリート層5の表面の高さで行う必要がなく、間座スペーサ51の高さによって調整できる。よって、地盤2が軟弱で均しコンクリート層5が変形し易く、不安定で均しコンクリート層5によって高さ調整が困難な場合などには有効である。また、支柱用第2建込スペーサ52が鋼管支柱20の外周面に突出して装着されていないため、鋼管支柱20の運搬、保管及び設置において、実施形態2の場合と比較して鋼管支柱20の外周面20aの突起物に対する配慮が不要で、施工性を向上できる。
【0133】
≪変形例2≫
図22に示すように、上述の変形例1では、コンクリート杭15と同一外径の鋼管支柱20を用いている。
これに対し、図23(a),(b)に示すように、この変形例2では、コンクリート杭15の外径よりも外径が小さい鋼管支柱25を用いている。また、この変形例2では、支柱用第1建込スペーサ34及び支柱用第2建込スペーサ52は、連結管31の内周面31bから内方に突出する突出量が鋼管支柱25の外径に応じて変形例1よりも増加している。鋼管支柱25は、鋼管支柱20と同様に、長手方向に貫通し、かつ長手方向と直交する断面において、外周面25a及び内周面25bが円形状の鋼管を主体に構成されている。
【0134】
この変形例2においても上述の変形例1と同様の効果が得られると共に、コンクリート杭15の外径よりも外径が小さい鋼管支柱を用いることができる。そして、この変形例2も上述の実施形態1~5に適用できる。
また、この変形例2によれば、支柱の外径を杭の外径と異なるものにできるため、設計条件に適した支柱の外径の選定の自由度を向上でき、経済性や安全性を改善した設計ができる。
【0135】
≪変形例3,4≫
図23に示すように、上述の実施形態2では、長手方向と直交する断面において、外周面25a及び内周面25bが円形状の鋼管支柱25を用いている。これに対し、図24に示すように、変形例3では、長手方向と直交する断面において、外周面26a及び内周面26bが方形状の鋼管支柱26を用いている。
一方、図25に示すように、変形例4では、長手方向と直交する断面の形状がH字形の鋼支柱27を用いている。
【0136】
この変形例3及び4の何れにおいても上述の変形例2と同様の効果が得られる。そして、この変形例3及び4の何れも上述の実施形態1~5に適用できる。
また、この変形例3及び4によれば、事務所、倉庫、店舗などの建築物の柱が方形状の鋼管やH字形鋼である場合も本発明を適用できて、広い範囲の用途、構造の建築構造物や土木構造物において工費、工期の削減効果が得られる。
【0137】
≪変形例5≫
図23に示すように、上述の変形例2の連結部50aは、連結管31の内周面31bに接合された支柱用第1建込スペーサ34、支柱用第2建込スペーサ52、杭用第1及び第2建込スペーサ33a,33bの各々を備えている。これに対し、図26に示すように、変形例5の連結部50bは、連結管31とは分離して支柱用第1及び第2建込スペーサ34,52、杭用第1及び第2建込スペーサ33a,33bの各々がベース部材56に設けられたスペーサ構造体55を備えている。ベース部材56は、連結管31の内部で連結管31の一端部31x側から他端部31y側に亘って延伸し、連結管の他端部31y側に位置する端部が連結管31の他端部31yに支持されている。このスペーサ構造体55は、連結管31の円周方向Cdに所定の間隔をおいて複数配置されている。この変形例5では、例えば連結管31の円周方向Cdに等間隔で4つ配置されている。
【0138】
この変形例5においても、上述の変形例2と同様の効果が得られる。そして、この変形例5も、上述の実施形態1~5に適用できる。
また、この変形例5によれば、連結管31に支柱用第1,第2建込スペーサ34,52及び杭用第1,第2建込スペーサ33a,33bを溶接等によって加工装着することが不要となり、連結管の加工製作費を削減できる。
なお、隣り合うスペーサ構造体55を連結部材で連結して多連構造体を構築してもよい。
【0139】
以上、本発明を上記実施形態及び上記実施例並びに上記変形例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態及び上記実施例並びに上記変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0140】
例えば、本発明は、照明器具、標識、鉄道の架線などの設置に用いられる杭連結支柱構造体や、橋脚、鉄塔などの杭連結支柱構造体や、ビル、道路などの構築に用いられる杭連結支柱構造体や、屋根を支える杭連結支柱構造体などに適用できる。
【符号の説明】
【0141】
1,1A,1B,1C,1D…杭連結支柱構造体
2…地盤
2a…表層部
2b…掘削孔
3…土砂(詰め込み材)
4…凹部
5…均しコンクリート層
6…根巻きコンクリート層
10…鋼管杭
10a…外周面
10b…内周面
10x…端部
15…コンクリート杭
15a…外周面
15b…内周面
15x…端部
20…鋼管支柱
20a…外周面
20b…内周面
20x…端部
22…蓋体
23…支柱用第2建込スペーサ
25,26,27…鋼管支柱
30…連結部
31…連結管
31a…外周面
31b…内周面
33a…杭用第1建込スペーサ
33b…杭用第2建込スペーサ
34…支柱用第1建込スペーサ
35…支持スペーサ
37…充填材
38…蓋体
40…連結部
41…連結管
41a…外周面
41b…内周面
43…内周リブ
47…充填材
47a…第1充填材
47b…第2充填材
50a,50b…連結部
51…間座スペーサ
51a…第1支持板
51b…第2支持板
52…支柱用第2建込スペーサ
55…スペーサ構造体
56…ベース部材
61…防球ネット
62a,62b,62c…分割支柱
図1
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