(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】化合物
(51)【国際特許分類】
C07C 251/30 20060101AFI20220707BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220707BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20220707BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20220707BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20220707BHJP
C09B 57/00 20060101ALI20220707BHJP
C08K 5/19 20060101ALI20220707BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220707BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220707BHJP
C07C 249/02 20060101ALN20220707BHJP
【FI】
C07C251/30 CSP
G02B5/20 101
G03F7/027
G03F7/004 505
C09B67/20 F
C09B57/00 X
C08K5/19
C08L101/00
G02F1/1335 505
C07C249/02
(21)【出願番号】P 2018240241
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2018050063
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】森脇 章太
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-015113(JP,A)
【文献】特開2008-074922(JP,A)
【文献】国際公開第2008/035554(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107793327(CN,A)
【文献】国際公開第2018/043185(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/163702(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 251/00
G02B 5/00
G03F 7/00
C09B 67/00
C09B 57/00
C08K 5/00
C08L 101/00
G02F 1/00
C07C 249/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物。
【化1】
[式(I)中、
R
1~
R
4
は
、水素原
子を表す。
R
5
~R
8
は、それぞれ独立に、水素原子またはヒドロキシ基を表し、R
5
~R
8
のうち2~4個は、ヒドロキシ基である。
R
9
及びR
12は、それぞれ独立に
、カルボキシ基を置換基として有する炭素数1~20の脂肪族炭化水素基
を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は-O-に置き換わっていてもよい。
R
10
及びR
11
は、それぞれ独立に、置換基としてメチル基及びプロピル基から選択される1種以上を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基を表す。]
【請求項2】
着色剤及び樹脂を含み、着色剤が、請求項1に記載の式(I)で表される化合物を含む着色樹脂組成物。
【請求項3】
さらに、重合性化合物及び重合開始剤を含む請求項2に記載の着色樹脂組成物。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【請求項5】
請求項4に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置及びプラズマディスプレイ等の表示装置やCCDやCMOSセンサなどの固体撮像素子に使用されるカラーフィルタは、着色樹脂組成物から製造される。このような着色樹脂組成物に用いられる着色剤として、式(x)で表される化合物が知られている。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来から知られる上記の化合物を含む着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタは、耐熱性を十分に満足できない場合があった。そこで本発明は、耐熱性に優れたカラーフィルタを形成しうる化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
[1] 式(I)で表される化合物。
【化2】
[式(I)中、
R
1~R
8は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルコキシ基を表す。
R
9~R
12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表し、R
9~R
12のうち少なくとも一つは、カルボキシ基を置換基として有する炭素数1~20の脂肪族炭化水素基であり、かつ、R
9~R
12のうち少なくとも一つは、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は-O-に置き換わっていてもよい。]
[2] 着色剤及び樹脂を含み、着色剤が、[1]に記載の式(I)で表される化合物を含む着色樹脂組成物。
[3] さらに、重合性化合物及び重合開始剤を含む[2]に記載の着色樹脂組成物。
[4] [2]又は[3]に記載の着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
[5] [4]に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、耐熱性に優れたカラーフィルタを形成可能な新規な化合物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<化合物>
本発明に係る化合物は、式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)ということがある)である。以下、式(I)を用いて本発明について詳述するが、化合物(I)には、式(I)の共鳴構造が含まれ、さらに式(I)またはその共鳴構造式中の各基を炭素-炭素単結合または炭素-窒素単結合の結合軸周りに回転させて得られる化合物も含まれることとする。
【0008】
【0009】
[式(I)中、
R1~R8は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルコキシ基を表す。
R9~R12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表し、R9~R12のうち少なくとも一つは、カルボキシ基を置換基として有する炭素数1~20の脂肪族炭化水素基であり、かつ、R9~R12のうち少なくとも一つは、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は-O-に置き換わっていてもよい。]
【0010】
R1~R8で表される炭素数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状の何れであってもよい。直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、ブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ヘプタデシル基、ウンデシル基等が挙げられる。環状のアルキル基としては、シクロプロピル基、1-メチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1,2-ジメチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基、2,4,6-トリメチルシクロヘキシル基、4-シクロヘキシルシクロヘキシル基等が挙げられる。
R1~R8で表される炭素数1~20のアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基;-NRaRb(Ra及びRbは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~20のアルキル基である);ニトロ基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~10のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1~10のアルコキシカルボニル基;等が挙げられる。
【0011】
R1~R8で表される炭素数1~20のアルコキシ基としては、上記炭素数1~20のアルキル基の結合手に-O-が結合した基が挙げられる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
R1~R8で表される炭素数1~20のアルコキシ基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基;-NRcRd(Rc及びRdは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~20のアルキル基である);ニトロ基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~10のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1~10のアルコキシカルボニル基;等が挙げられる。
【0012】
R1~R8のうち、R1~R4は特に水素原子であることが好ましい。またR5~R8は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルコキシ基であることが好ましく、水素原子またはヒドロキシ基であることがより好ましい。
【0013】
R1~R8(好ましくはR5~R8)のうち2個~4個が、それぞれ独立に、ヒドロキシ基であることが好ましい。
【0014】
R9~R12で表される炭素数1~20の炭化水素基としては、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基または炭素数6~20の芳香族炭化水素基等が例示される。
【0015】
炭素数1~20の脂肪族炭化水素基は、飽和及び不飽和の何れであってもよく、飽和が好ましい。また炭素数1~20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状の何れであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。
【0016】
炭素数1~20の直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)等の直鎖状脂肪族炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2-エチルヘキシル基等の分岐鎖状脂肪族炭化水素基等が挙げられる。該脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~15であり、より好ましくは1~10である。
環状の脂肪族炭化水素基は、単環でも多環でもよい。該環状の脂肪族炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。該環状の脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは3~8であり、より好ましくは3~6である。
【0017】
前記炭素数1~20の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は-O-に置き換わっていてもよい。該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基が-O-に置き換わっている基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は結合手を表す。
【0018】
【0019】
炭素数6~20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、ジプロピルフェニル基、ジ(2,2-ジメチルプロピル)フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。前記芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~16であり、より好ましくは6~12であり、さらに好ましくは6~9である。
【0020】
R9~R12で表される炭素数1~20の炭化水素基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、カルボキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~10のアルコキシ基;ヒドロキシ基;スルファモイル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1~10のアルコキシカルボニル基;等が挙げられる。
【0021】
R9~R12のうち少なくとも一つは、カルボキシ基を置換基として有する炭素数1~20の脂肪族炭化水素基である。前記カルボキシ基を置換基として有する炭素数1~20の脂肪族炭化水素基は、カルボキシ基を、好ましくは1~2個、より好ましくは1個有することが望ましい。また、前記カルボキシ基は、カルボキシ基を置換基として有する炭素数1~20の脂肪族炭化水素基の少なくとも末端に結合していることが望ましい。このようなカルボキシ基を置換基として有する炭素数1~20の脂肪族炭化水素基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は結合手を表す。
【0022】
【0023】
R9~R12のうち少なくとも一つは、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基である。該置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基としては、好ましくはフェニル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、ジプロピルフェニル基、ジ(2,2-ジメチルプロピル)フェニル基または;2,4-ジフルオロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、2,4-ジブロモフェニル基、2,4-ジヨードフェニル基などの置換基としてハロゲン原子を2つ有するフェニル基であり、より好ましくは2,4-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基または2,4-ジフルオロフェニル基である。
【0024】
化合物(I)において、R9及びR12が、それぞれ独立に、カルボキシ基を置換基として有する炭素数1~20の脂肪族炭化水素基であり、R10及びR11が、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基であることが望ましい。
【0025】
化合物(I)としては、表1~3に示す、式(I-1)~式(I-180)で表される化合物等が挙げられる。
化合物(I)は、
好ましくは式(I-1)~式(I-90)、式(I-121)~式(I-180)で表される化合物であり、
より好ましくは式(I-1)~式(I-30)、式(I-121)~式(I-150)で表される化合物であり、
さらに好ましくは式(I-1)~式(I-3)、式(I-19)~式(I-21)、式(I-127)~式(I-129)で表される化合物である。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
表1~3中、ph1~ph10は、下記式で表される基を表す(*は結合手を意味する)。
【0030】
【0031】
表1~3中、ca1~ca6は、下記式で表される基を表す(*は結合手を意味する)。
【0032】
【0033】
式(I)で表される化合物は、式(pt1)で表される化合物と、式(pt2)で表される化合物と、式(pt3)で表される化合物を、反応させることにより製造できる。本反応において、式(pt1)で表される化合物及び式(pt2)で表される化合物の合計使用量は、式(pt3)で表される化合物1molに対し、1.5~2.5molであることが好ましい。
【0034】
【0035】
[式(pt1)~式(pt2)、式(I)中、R1~R12は前記に同じ。]
【0036】
<着色樹脂組成物>
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(A)及び樹脂(B)を含み、着色剤(A)が、式(I)で表される化合物を含む。
本発明の着色樹脂組成物は、さらに重合性化合物(C)及び重合開始剤(D)を含むことが好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、さらに重合開始助剤(D1)、溶剤(E)、レベリング剤(F)を含んでいてもよい。
本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【0037】
<着色剤(A)>
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(A)として、化合物(I)を含む。化合物(I)の含有量は、樹脂(B)100質量部に対して、0.1~150質量部であることが好ましく、0.5~100質量部であることがより好ましく、1~80質量部であることがさらに好ましい。
化合物(I)の含有率は、着色剤(A)の総量中、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
【0038】
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(A)として、化合物(I)の他に、染料(A1)と顔料(A2)とを含んでいてもよい。
【0039】
染料(A1)は、特に限定されず公知の染料を使用することができ、例えば、溶剤染料、酸性染料、直接染料、媒染染料等が挙げられる。染料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメント以外で色相を有するものに分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、シアニン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料(ただし、化合物(I)を除く。)、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料及びニトロ染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましい。
【0040】
顔料(A2)としては、特に限定されず公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214などの黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73などのオレンジ色顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265などの赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38などのバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58などの緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25などのブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7などの黒色顔料;等が挙げられる。
【0041】
着色剤(A)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対しては、好ましくは0.1~70質量%であり、より好ましくは0.5~60質量%であり、さらに好ましくは1~50質量%である。
ここで、本明細書における「固形分の総量」とは、着色樹脂組成物の総量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0042】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(a)(以下「(a)」という場合がある)に由来する構造単位を有する樹脂がより好ましい。樹脂(B)は、さらに、炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下「(b)」という場合がある)に由来する構造単位、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下「(c)」という場合がある)に由来する構造単位、並びに、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構造単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構造単位を有することが好ましい。
【0043】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、こはく酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸である。
【0044】
(b)は、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
(b)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタンである。
【0045】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、好ましくは、スチレン、ビニルトルエン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド等が好ましい。
【0046】
側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構造単位を有する樹脂は、(a)と(c)との共重合体に(b)を付加させるか、(b)と(c)との共重合体に(a)を付加させることにより製造することができる。該樹脂は、(b)と(c)との共重合体に(a)を付加させさらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂であってもよい。
【0047】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000~100,000であり、より好ましくは5,000~50,000であり、さらに好ましくは5,000~30,000である。
樹脂(B)の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1~6であり、より好ましくは1.2~4である。
【0048】
樹脂(B)の酸価は、固形分換算で、好ましくは20~170mg-KOH/gであり、より好ましくは30~150mg-KOH/g、さらに好ましくは40~135mg-KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0049】
樹脂(B)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対しては、好ましくは30~99.9質量%であり、より好ましくは50~99.5質量%であり、さらに好ましくは70~99質量%である。
本発明の着色樹脂組成物が重合性化合物(C)及び重合開始剤(D)を含む場合、樹脂(B)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対しては、好ましくは7~70質量%であり、より好ましくは13~65質量%であり、さらに好ましくは17~60質量%である。
【0050】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0051】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2,900以下、より好ましくは250以上1,500以下である。
【0053】
重合性化合物(C)を含む場合、重合性化合物(C)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量に対して、7~65質量%であることが好ましく、より好ましくは13~60質量%であり、さらに好ましくは17~55質量%である。
【0054】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。活性ラジカルを発生する重合開始剤としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0055】
重合開始剤(D)を含む場合、重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは1~20質量部である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるためカラーフィルタの生産性が向上する。
【0056】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
重合開始助剤(D1)としては、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10-ジメトキシアントラセン、2,4-ジエチルチオキサントン、N-フェニルグリシン等が挙げられる。
【0057】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは1~20質量部である。重合開始助剤(D1)の量がこの範囲内にあると、さらに高感度で着色パターンを形成することができ、カラーフィルタの生産性が向上する傾向にある。
【0058】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0059】
溶剤としては、
乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸エチル、アセト酢酸メチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ-ブチロラクトン等のエステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤);
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤);
3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤);
4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤);
ブタノール、シクロヘキサノール、プロピレングリコール等のアルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤);
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等のアミド溶剤;等が挙げられる。
溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、乳酸エチル及び3-エトキシプロピオン酸エチルがより好ましい。
【0060】
溶剤(E)を含む場合、溶剤(E)の含有率は、本発明の着色樹脂組成物の総量に対して、好ましくは60~95質量%であり、より好ましくは65~92質量%である。言い換えると、着色樹脂組成物の固形分の総量は、好ましくは5~40質量%、より好ましくは8~35質量%である。溶剤(E)の含有量が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0061】
<レベリング剤(F)>
レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0062】
前記のフッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0063】
前記のフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0064】
レベリング剤(F)を含む場合、レベリング剤(F)の含有量は、着色樹脂組成物の総量に対して、好ましくは0.001~0.2質量%であり、より好ましくは0.002~0.1質量%である。尚、この含有量に、顔料分散剤の含有量は含まれない。レベリング剤(F)の含有量が前記の範囲内にあると、カラーフィルタの平坦性を良好にすることができる。
【0065】
<その他の成分>
本発明の着色樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0066】
<着色樹脂組成物の製造方法>
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(A)及び樹脂(B)、並びに必要に応じて用いられる重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、重合開始助剤(D1)、溶剤(E)、レベリング剤(F)及びその他の成分を混合することにより調製できる。
【0067】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の着色樹脂組成物から着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。
【0068】
着色樹脂組成物が、式(I)で表される化合物を含むことにより、特に耐熱性に優れたカラーフィルタを作製することができる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例】
【0069】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特に断らないかぎり質量基準である。
以下において、化合物の構造は質量分析(LC;Agilent製1200型、MASS;Agilent製LC/MSD型)で確認した。
【0070】
(合成例1)
1-ブロモ-3,5-ジメトキシベンゼン(東京化成工業(株)製)100部、2,4-ジメチルアニリン(東京化成工業(株)製)55部、水酸化カリウム(和光純薬工業(株)製)51部、テトラブチルアンモニウムブロマイド(東京化成工業(株)製)1.5部、ビス(トリt-ブチルホスフィン)パラジウム(アルドリッチ(株)製)2.3部、水100部及びトルエン1000部(関東化学(株)製)を混合し、90℃で1時間撹拌しながら加熱した。反応終了後、有機層に水及び酢酸エチルを加えた後で分液し有機層を得た。そして有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターで溶媒を留去して、式(1-1)で表される化合物を113部得た。
【0071】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+258.2
Exact Mass:+257.1
【0072】
【0073】
(合成例2)
式(1-1)で表される化合物70部、4-クロロ-4-オキソ酪酸メチル10部(東京化成工業(株)製)53部及びトルエン(関東化学(株)製)700部を混合し、100℃で16時間撹拌しながら加熱した。反応終了後溶媒を留去し、得られた粗生成物にヘキサン(関東化学(株)製)700部を加えて2時間撹拌して固体をろ別することにより、式(1-2)で表される化合物を90部得た。
【0074】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+372.2
Exact Mass:+371.1
【0075】
【0076】
(合成例3)
式(1-2)で表される化合物34部をジクロロメタン340部(関東化学(株)製)に溶解して0℃に冷却し、三臭化ホウ素(東京化成工業(株)製)92部を滴下した。滴下終了後10℃に昇温して3時間撹拌した後、水を加えて有機層を抽出により取得し、溶媒を留去し粗生成物Aを89部得た。粗生成物Aには、式(1-3)で表される化合物が44%、式(1-3-1)で表される化合物が53%含まれていた。
【0077】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+344.2
Exact Mass:+343.1 式(1-3)
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+330.2
Exact Mass:+329.1 式(1-3-1)
【0078】
【0079】
(合成例4)
粗生成物A89部をメタノール(関東化学(株)製)370部に溶解させ、0℃に冷却後、塩化チオニル(東京化成工業(株)製)51部を加えた。23℃で16時間撹拌し、反応終了後水を加えて溶媒を留去して、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行い、式(1-3)で表される化合物を53部得た。
【0080】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+344.2
Exact Mass:+343.1
【0081】
(合成例5)
式(1-3)で表される化合物53部をテトラヒドロフラン(関東化学(株)製)530部に溶解させ0℃に冷却したのち、ボラン1Mテトラヒドロフラン溶液(関東化学(株)製)460部を滴下し、滴下終了後20℃で5時間撹拌した。反応終了後水を加え、溶媒を留去して得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離精製を行って式(1-4)で表される化合物を25部得た。
【0082】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+330.3
Exact Mass:+329.2
【0083】
【0084】
(合成例6)
式(1-4)で表される化合物4部、水酸化リチウム一水和物(和光純薬工業(株)製)2.5部、メタノール(関東化学(株)製)20部及びテトラヒドロフラン(関東化学(株)製)20部を混合し、23℃で5時間撹拌した。反応終了後溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、式(1-5)で表される化合物を1.7部得た。
【0085】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+316.1
Exact Mass:+315.2
【0086】
【0087】
実施例1
式(1-5)で表される化合物1.7部及び3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(和光純薬工業(株)製)0.3部をトルエン(関東化学(株)製)65部、n-ブタノール(関東化学(株)製)17部に溶解させ、120℃で2時間撹拌しながら加熱した。反応終了後、溶媒を留去し得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行い、式(1-6)で表される化合物を0.85部得た。
【0088】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+709.3
Exact Mass:+708.3
【0089】
【0090】
(合成例7)
m-ブロモフェノール(東京化成工業(株)製)50部及びイミダゾール(東京化成工業(株)製)30部をジクロロメタン(関東化学(株)製)500部に溶解させ0℃に冷却後、tert-ブチルジメチルクロロシラン(東京化成工業(株)製)48部を滴下した。滴下終了後23℃へ昇温し16時間撹拌した。反応終了後水を加えて有機層を抽出し、溶媒を濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行い、式(1-7)で表される化合物を74部得た。
【0091】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+287.0
Exact Mass:+286.0
【0092】
【0093】
(合成例8)
2,4-ジメチルアニリン(東京化成工業(株)製)15部、式(1-7)で表される化合物35部、水酸化カリウム(和光純薬工業(株)製)14部、テトラブチルアンモニウムブロミド(東京化成工業(株)製)2部及びビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)(アルドリッチ(株)製)0.6部をトルエン(関東化学(株)製)250部及び水15部に溶解させ、90℃に加熱して30分撹拌した。反応終了後有機層を抽出して濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行い式(1-8)で表される化合物を14部得た。
【0094】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+328.3
Exact Mass:+327.2
【0095】
【0096】
(合成例9)
式(1-8)で表される化合物14部及び4-クロロ-4-オキソ酪酸メチル10部(東京化成工業(株)製)をトルエン(関東化学(株)製)255部に溶解させ、90℃に昇温して1時間撹拌した。反応終了後、水を加えて有機層を抽出し、溶媒を濃縮後シリカゲルクロマトグラフィーで分離精製を行い、式(1-9)で表される化合物を15部得た。
【0097】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+442.3
Exact Mass:+441.2
【0098】
【0099】
(合成例10)
式(1-9)で表される化合物15部をテトラヒドロフラン(関東化学(株)製)150部に溶解させ、0℃に冷却後にフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム1Mテトラヒドロフラン溶液(東京化成工業(株)製)15部を滴下した。滴下終了後23℃に昇温し、2時間撹拌した。反応終了後、溶媒を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行い、式(1-10)で表される化合物を12部得た。
【0100】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+328.2
Exact Mass:+327.2
【0101】
【0102】
(合成例11)
式(1-10)で表される化合物12部をテトラヒドロフラン(関東化学(株)製)240部に溶解させ0℃に冷却後、ボラン-1Mテトラヒドロフラン溶液(関東化学(株)製)180部を滴下した。滴下終了後30分撹拌し、水を加えたのちテトラヒドロフランを濃縮し、酢酸エチルで有機層を抽出した。溶媒を濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行い、式(1-11)で表される化合物を6部得た。
【0103】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+314.2
Exact Mass:+313.2
【0104】
【0105】
(合成例12)
式(1-11)で表される化合物6部及び水酸化リチウムー水和物(和光純薬工業(株))0.2部をメタノール(関東化学(株)製)20部、テトラヒドロフラン(関東化学(株)製)20部、水10部に溶解させ、23℃で1時間撹拌した。反応終了後、有機溶媒を濃縮し、酢酸エチルで有機層を抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行って式(1-12)で表される化合物を4部得た。
【0106】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+300.2
Exact Mass:+299.2
【0107】
【0108】
実施例2
式(1-12)で表される化合物4部及び3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(和光純薬工業(株)製)0.8部をトルエン(関東化学(株)製)40部、n-ブタノール(関東化学(株)製)10部に溶解させ、140℃に昇温し、2時間
撹拌した。溶媒を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行い、式(1-13)で表される化合物を1.6部得た。
【0109】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+677.3
Exact Mass:+676.3
【0110】
【0111】
(合成例13)
3-ブロモアニソール(東京化成工業(株)製)100部を2,4,6-トリメチルアニリン(東京化成工業(株)製)72部とトルエン(関東化学(株)製)868部に溶解させ、この溶液に水酸化カリウム(関東化学(株)製)60部、水50部、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド(東京化成工業(株)製)4部、ビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業(株)製)2.8部を混合した。90℃に昇温して5時間撹拌した後、水を加えたのち酢酸エチルで有機層を抽出した。溶媒を留去し粗生成物を104部得た。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離精製を行って式(1-14)で表される化合物を100部得た。
【0112】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+242.2
Exact Mass:+241.2
【0113】
【0114】
(合成例14)
1,4-ジオキサン-2,6-ジオン(東京化成工業(株)製)150部とメタノール(関東化学(株)製)595部を混合し、撹拌しながら70℃まで昇温し2時間反応させた。得られた反応液を濃縮し153部の粗生成物を得た。続いて、この粗生成物153部を0℃に冷却した塩化チオニル(東京化成工業(株)製)394部の中へ撹拌しながら徐々に投入した。室温で16時間撹拌し、反応終了後濃縮し、式(1-15)で表される化合物144部を得た。この酸塩化物はメタノールと反応させメチルエステル化しジメチル 2,2-オキシジアセテートに変換し同定した。
【0115】
式(1-15)のメチルエステル体;ジメチル 2,2-オキシジアセテート
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+162.9
Exact Mass:+162.1
【0116】
【0117】
(合成例15)
式(1-14)で表される化合物84部と式(1-15)で表される化合物116部をトルエン(関東化学(株)製)1093部に溶解させ90℃に昇温し5時間撹拌した。反応終了後水を加え、有機溶媒による抽出操作を施して、濃縮後式(1-16)で表される化合物の粗生成物86部得た。こうして得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離精製を行って式(1-16)で表される化合物を42部得た。
【0118】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+372.3
Exact Mass:+371.2
【0119】
【0120】
(合成例16)
式(1-16)で表される化合物40部をテトラヒドロフラン(関東化学(株)製)533部に溶解させ0℃に冷却したのち、テトラヒドロフランボラン1M・テトラヒドロフラン溶液(シグマアルドリッチ(株)製)581部を滴下し、滴下終了後室温まで昇温し2時間撹拌した。反応終了後水を加え、テトラヒドロフラン溶媒を留去して得られた粗生成物に有機溶媒による抽出操作を施して、濃縮後式(1-17)で表される化合物の粗生成物40部を得た。こうして得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離精製を行って式(1-17)で表される化合物を30部得た。
【0121】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+330.3
Exact Mass:+329.20
【0122】
【0123】
(合成例17)
式(1-17)で表される化合物28.6部をトルエン(関東化学(株)製)486部に溶解させ、この溶液にテトラブチルアンモニウムブロミド(東京化成工業(株)製)8.4部を滴下し、0℃で5分間撹拌した。さらに0℃で撹拌しながら50%水酸化ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株)製)を380部投入し、さらに3-ブロモプロピオン酸 t-Buエステル(シグマアルドリッチ(株)製)145.2部を投入した。その後、80℃まで昇温し16時間撹拌して反応させた。反応終了後水を加え、得られた反応混合物に有機溶媒による抽出操作を施して、濃縮後式(1-18)で表される化合物の粗生成物28部得た。こうして得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離精製を行って式(1-18)で表される化合物を12部得た。
【0124】
同定:式(1-18)で表される化合物の同定はt-Buエステル体である式(1-18-1)で表される化合物に変換して行った。
(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+458.3
Exact Mass:+457.28
【0125】
【0126】
【0127】
(合成例18)
式(1-18)で表される化合物10部をN-メチルピロリドン(関東化学(株)製)52部に溶解させた。この溶液にエタンチオール(東京化成工業(株)製)3.1部を滴下し、滴下終了後、100℃に昇温し、16時間撹拌した。反応終了後水を加え、粗生成物を含む溶液から有機溶媒による抽出操作を施して、濃縮後式(1-19)で表される化合物の粗生成物9.4部を得た。こうして得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離精製を行って式(1-19)で表される化合物7.6部を得た。
【0128】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+388.1
Exact Mass:+387.2
【0129】
【0130】
実施例3
式(1-19)で表される化合物4.1部及び3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(和光純薬工業(株)製)0.6部をトルエン(関東化学(株)製)146部、sec-ブタノール(関東化学(株)製)34部に溶解させ、120℃で9時間撹拌しながら加熱した。反応終了後、溶媒を留去し得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行い、式(1-20)で表される化合物を1.3部得た。
【0131】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+853.9
Exact Mass:+852.4
【0132】
【0133】
(合成例19)
2,4-ジフルオロアニリン(東京化成工業(株)製)66部と式(1-7)で表される化合物147部をトルエン(関東化学(株)製)868部に溶解させた。この溶液に水66部を投入し、撹拌しながら、水酸化カリウム(関東化学(株)製)57部、テトラブチルアンモニウムブロミド(東京化成工業(株)製)8.2部、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業(株)製)2.61部を加え30分間室温で撹拌した。その後、90℃まで昇温し1時間反応させた。その後、水を加え有機溶媒による抽出操作を施し、溶媒を留去し72部の粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、式(1-21)で表される化合物を66部得た。
【0134】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+336.2
Exact Mass:+335.15
【0135】
【0136】
(合成例20)
式(1-21)で表される化合物66部と4-クロロ-4-オキソ酪酸メチル(東京化成工業(株)製)59部をトルエン(関東化学(株)製)400部に室温で溶解させ、90℃まで昇温し5時間反応させた。反応終了後、水-トルエン溶媒で抽出操作して、濃縮後式(1-22)で表される化合物を含む64部の粗生成物を得た。
【0137】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+336.2
Exact Mass:+335.15
【0138】
【0139】
(合成例21)
式(1-22)で表される化合物64部をテトラヒドロフラン(関東化学(株)製)854部に溶解させ0℃に冷却したのち、テトラブチルアンモニウムフルオリド-1M・テトラヒドロフラン溶液(東京化成工業(株)製)58部を滴下し、滴下終了後室温で2時間撹拌させた。反応終了後水を加え、テトラヒドロフラン溶媒を留去して得られた粗生成物に有機溶媒による抽出操作を施して、濃縮後式(1-23)で表される化合物の粗生成物62部得た。こうして得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離精製を行って式(1-23)で表される化合物を51部得た。
【0140】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+336.2
Exact Mass:+335.1
【0141】
【0142】
(合成例22)
式(1-23)で表される化合物50部をテトラヒドロフラン(関東化学(株)製)888部に溶解させ撹拌した。0℃に冷却して、ボラン-テトラヒドロフラン錯体溶液1M(シグマ-アルドリッチ(株)製)670部を滴下した。滴下終了後15℃まで昇温して1時間撹拌した後、水を加えて有機層を抽出により取得し、溶媒を留去し式(1-24)で表される化合物を含む粗生成物50部を得た。こうして得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離精製を行って式(1-24)で表される化合物を26部得た。
【0143】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+322.2
Exact Mass:+321.1
【0144】
【0145】
(合成例23)
式(1-24)で表される化合物24.6部をテトラヒドロフラン(関東化学(株)製)214部、メタノール(関東化学(株)製)192部と水120部の混合溶媒に溶解させ、さらに水酸化リチウム一水和物(シグマ-アルドリッチ(株)製)19.3部を投入し撹拌した。室温で2時間撹拌した後、有機溶媒を減圧留去し希塩酸水を加えて有機溶媒を加えて抽出し、抽出溶媒を留去し式(1-25)で表される化合物を含む粗生成物24部を得た。こうして得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分離精製を行って式(1-25)で表される化合物を13.8部得た。
【0146】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+308.2
Exact Mass:+307.1
【0147】
【0148】
実施例4
式(1-25)で表される化合物7.2部及び3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(和光純薬工業(株)製)1.34部をトルエン(関東化学(株)製)252部、n-ブタノール(関東化学(株)製)30部、t-ブタノール(東京化成工業(株)製)28部に溶解させ、110℃で4時間撹拌しながら加熱した。反応終了後、溶媒を留去し得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行い、式(1-26)で表される化合物を1.04部得た。
【0149】
同定:(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=[M+H]+692.8
Exact Mass:+692.2
【0150】
【0151】
(樹脂合成例1)
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート280部を入れ、撹拌しながら80℃まで加熱した。次いで、アクリル酸38部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物(混合割合は1:1)289部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート125部の混合溶液を5時間かけて滴下した。一方、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)33部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート235部に溶解した混合溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、フラスコ内を80℃で4時間保持した後、室温で冷却して、B型粘度(23℃)125mPa・s、固形分35.1%の共重合体(樹脂(B-1))溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9200、分散度2.08、固形分酸価77mg-KOH/gであった。樹脂(B-1)は下記構造単位を有する。
【0152】
【0153】
樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法により以下の条件で行った。
装置 ;HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム ;TSK-GELG2000HXL
カラム温度 ;40℃
溶媒 ;THF
流速 ;1.0mL/min
被検液固形分濃度;0.001~0.01質量%
注入量 ;50μL
検出器 ;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE
F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500
(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn
)を分散度とした。
【0154】
[実施例5~7、比較例1]
[着色樹脂組成物の調製]
表4に示す組成となるように各成分を混合して着色樹脂組成物を得た。
【0155】
【0156】
表4中、各成分は以下の化合物を表す。
着色剤(A-1):式(1-6)で表される化合物
着色剤(A-2):式(1-13)で表される化合物
着色剤(A-3):式(1-20)で表される化合物
着色剤(A-x):式(x)で表される化合物
【化37】
樹脂(B-1):樹脂(B-1)(固形分換算)
溶剤(E-1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤(E-2):ジアセトンアルコール
レベリング剤(F-1):ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンSH8400」)
【0157】
<カラーフィルタ(着色塗膜)の作製1>
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、着色樹脂組成物を、スピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして、着色塗膜を得た。
【0158】
<色度の測定>
着色塗膜の色度は、測色機(OSP-SP-200;オリンパス(株)製)を用いて測定した分光と、C光源の特性関数とから、CIEのXYZ表色系におけるxy色度座標(x、y)と刺激値Yとして求めた。
【0159】
<耐熱性評価>
得られた着色塗膜をオーブン中、230℃で2時間加熱した。
加熱前後で色度の測定を行い、該測定値からJIS Z 8730:2009(7.色差の計算方法)に記載される方法で色差△Eab*を計算し、結果を表5に示した。△Eab*は小さいほど色変化が小さいことを意味する。また、着色塗膜の耐熱性が良好であれば、同じ着色樹脂組成物から作製された着色パターンも、耐熱性は良好であるといえる。
【0160】
<耐光性評価>
得られた着色塗膜の上に紫外線カットフィルター(COLORED OPTICAL GLASS L38;ホヤ社製;380nm以下の光をカットする)を配置し、その上面から耐光性試験機(サンテストCPS+:東洋精機社製)にて、キセノンランプ光を48時間照射した。
照射前後で色度の測定を行い、該測定値からJIS Z 8730:2009(7.色差の計算方法)に記載される方法で色差△Eab*を計算し、結果を表5に示した。△Eab*は小さいほど色変化が小さいことを意味する。なお表5に示すように、実施例5~7は、耐熱性だけでなく耐光性も良好であった。
【0161】
【0162】
[実施例8~10]
[着色樹脂組成物の調製]
表6に示す組成となるように各成分を混合して着色樹脂組成物を得た。
【0163】
【0164】
表6中、各成分は以下の化合物を表す。
重合性化合物(C-1): ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(カヤラッド(登録商標)DPHA;日本化薬(株)製)
重合開始剤(D-1):N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン(PBG-327;オキシム化合物;常州強力電子新材料(株)製)
その他の符号は、上記と同じものを表す。
【0165】
<カラーフィルタ(着色塗膜)の作製2と耐熱性評価>
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、着色樹脂組成物をスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして、着色組成物層を形成した。放冷後、基板上に形成された着色組成物層に、露光機(TME-150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、100mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。光照射後、オーブン中、230℃で30分間ポストベークを行い、着色塗膜を得た。
ポストベーク前後で色度の測定を行い、該測定値からJIS Z 8730:2009(7.色差の計算方法)に記載される方法で色差△Eab*を計算し、結果を表7に示した。
【0166】
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明の化合物によれば、耐熱性に優れるカラーフィルタを形成することができる。