(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】熱交換モジュール、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61F 7/00 20060101AFI20220707BHJP
A41D 13/005 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
A61F7/00 320Z
A61F7/00 331H
A41D13/005
(21)【出願番号】P 2018551821
(86)(22)【出願日】2017-03-28
(86)【国際出願番号】 US2017024628
(87)【国際公開番号】W WO2017172836
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-03-24
(31)【優先権主張番号】PCT/US2016/024592
(32)【優先日】2016-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518342180
【氏名又は名称】ハイポサーミア デバイシズ,インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(72)【発明者】
【氏名】バーガラ,ジュリオ エル.
(72)【発明者】
【氏名】エストラーダ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カルラ,マヤンク
(72)【発明者】
【氏名】パドゥーラ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】コーン,ライアン
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04962761(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0085552(US,A1)
【文献】国際公開第2015/048170(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/00
A41D 13/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換モジュールであって、
チャネルエンクロージャーアセンブリを備え、
チャネルエンクロージャーアセンブリは、
穴のアレイを有する可撓性の第1のシートと、
可撓性の第1のシート内の穴のアレイと整列する穴のアレイを有する可撓性の第2のシートと、
前記可塑性の第1のシートおよび前記第2のシートの間に埋め込まれる複数の熱伝導性プレート片を有するプレートアセンブリであって、第1のシートおよび第2のシートが、可撓性の第1のシートと可撓性の第2のシートを貫通する整列した穴が熱伝導性プレート片によって覆われるように、第1のシートおよび第2のシートの間に埋め込まれた熱伝導性プレート片と共に密封されるプレートアセンブリと、
可撓性の第3のシートであって、前記第2のシートおよび前記第3のシートの間にチャネルを形成するように前記第2のシートに取り付けられており、前記プレート片の露出面は、前記プレート片と熱伝導性液体との間の熱伝達のために、前記チャネルを通じて流れるときに、熱伝導性液体と直接接触するように、前記チャネルの壁の一部分を形成する、可撓性の第3のシートと、
複数の熱電冷却器(TEC)を含み、TECの各々が前記プレート片と熱伝達関係にあり、反対側がユーザ側である基準側を有する、TECアセンブリと、
ユーザと複数のTEC内の各TECのユーザ側との間で熱を伝達するための熱分散カバーアセンブリと、
を備え、
熱分散カバーアセンブリは、
トレイ間の1つまたは複数の軸に沿って可塑性を提供するトレイアセンブリであって、可塑性を有するブリッジと相互接続された複数のトレイを含み、トレイアセンブリは可塑性を有する第1のシートに接続され、
複数のトレイの各々は穴を備えて構成され、当該穴を介して、複数のTECからそれぞれのTECのユーザ側が位置づけられる、トレイアセンブリと、
複数の熱伝導性タイルであって、それぞれが複数のTECからのTECのユーザ側に熱接触する熱伝導性タイルと、
熱伝導性タイルを保持するように構成された
可撓性フレームと、
を備える、熱交換モジュール。
【請求項2】
前記熱分散カバーアセンブリの外面上に生体適合性層をさらに含む、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記生体適合性層が除去可能なフィルムである、請求項
2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記第3のシートは、前記第2のシートにRF溶接されて前記チャネルを形成する、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項5】
前記第3のシートは、前記第2のシートに熱圧着されて前記チャネルを形成する、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項6】
前記第1のシートおよび前記第2のシートがともに熱圧着される、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項7】
前記カバーアセンブリは、各熱伝導性タイルの内面に固定されているサーミスタまたは熱電対をさらに備える、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項8】
前記プレートアセンブリがメッシュまたはスクリーンを含む、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項9】
前記第3の可撓性シートが、少なくとも15psiの前記チャネル内の液体圧力に耐えるように補強されている、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項10】
前記第3の可撓性シートが、前記チャネル内で15~25psiに耐えることができるように補強されたTPUシートである、請求項
9に記載のモジュール。
【請求項11】
前記第3の可撓性シートが、中間布層を有する多層シートである、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項12】
前記TECアセンブリが、直列に接続されたTECの単一のバンクを含む、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項13】
前記TECアセンブリは、TECの複数のバンクを含み、各前記バンク内の前記TECは、別々に直列に接続されている、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項14】
前記カバーアセンブリが、スロット付き熱伝導性プレートと、前記プレートの内面に接着されたプラスチックシートとを含む、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項15】
前記モジュールは、自然状態で平坦な構成を有するが、丸みのあるおよび/または角張った身体部分に適合させることができるように可撓性である、請求項
1に記載のモジュール。
【請求項16】
前記モジュールが自然なカップ構成を有する、請求項
1に記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年3月28日に出願されたPCT国際出願第PCT/US16/24592号(PCT'592)および2016年9月28日に出願された米国仮特許出願第62/400,836号の出願日の利益を主張し、これらの特許文献は両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
著作権保護の対象となる資料の告知
本特許文書中の資料の一部は、米国および他の国の著作権法に基づく著作権保護の対象であってもよい。著作権の所有者は、米国特許商標庁の公開ファイルまたは記録に記載されているものとしての、本特許文書または特許開示のいずれかによる複写に異論を唱えないが、それ以外のすべての著作権を留保する。著作権者は、本明細書によって、本特許文書を秘密保持する権利を放棄することはない。これには、米国特許法施行規則第1条第14項に従う権利が含まれるが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
本開示の技術の一態様は、熱電冷却器(TEC)を含み、加熱または冷却に使用することができる可撓性熱交換モジュール(HEM)に関する。
【0003】
患者の低体温症の治療は、脳損傷、脊髄損傷、筋傷害、関節損傷の治療、ならびに心停止および新生児低酸素性虚血性脳症の神経保護剤としての使用を含むが、これらに限定されない様々な用途に使用される。この治療は、典型的には、不完全で短期間の冷却を提供する氷パックおよび/もしくは化学冷却パック、または循環冷水によって冷却が与えられるパッドもしくはキャップの使用によって与えられる。
【発明の概要】
【0004】
チャネルエンクロージャアセンブリ、熱電冷却器(TEC)アセンブリおよび熱伝達(またはカバー)アセンブリを有する熱交換モジュール(HEM)が本明細書で開示される。エンクロージャアセンブリは、液体チャネルを含み、高周波(RF)または超音波溶接プラスチックフィルムから形成することができる。TECアセンブリのすべてのTECは、直接的にまたはチャネル壁の密閉窓を通して間接的に液体に熱を伝達する。例えば、TECの基準面を窓に取り付け、それによって、窓を閉めてチャネル壁の一部を形成することができ、または、熱伝導性(典型的には銅またはアルミニウム)プレート片を、TECの基準面がプレート片の裏面と熱的に接触した状態で、窓内に取り付けることができる。熱伝達(カバー)アセンブリは、身体部分に対して位置決めするためのスロット付き熱伝達プレート(典型的には、銅、アルミニウム、または他の熱伝導率の非常に高い材料)、または複数の相互接続されたタイル(銅、アルミニウム、または他の熱伝導性材料からなる小型プレート)を含むことができる。TECのユーザ面は、実施形態に応じて、スロット付きプレートまたはタイルの1つと熱伝達関係にある。サーミスタ(または熱電対)が、スロット付きプレートまたはタイルの内側面に位置決めされている。それによって、TECアセンブリは、サーミスタまたは熱電対、または複数のサーミスタもしくは熱電対からの入力を使用して制御可能に、熱媒液に熱を放出するか、または熱媒液から熱を引き出すことによって身体部分の温度を調整する。
【0005】
チャネルエンクロージャアセンブリは、3つの可撓性シートから構成することができる。第1のシートおよび第2のシートは整列した穴を有し、上述したプレート片をシートの中および間に埋め込んで、穴を覆うことができる。第1のシートおよび第2のシートは、第2のシートとともにそれらの間に蛇行チャネルを形成するために第2のシートに熱圧縮、またはRF溶接、または超音波溶接された第3の(上部)シート(強化TPUシートなど)に固定されている。プレート片の上面は、第2のシートのチャネル部分の穴にあり、それによって、チャネルの壁の一部分が形成され、チャネル内を流れる液体と直接接触して、それらの間で熱伝達が行われる。
【0006】
典型的には、複数のプレート片が、第1のシートおよび第2のシートの中および間に埋め込まれ、前述のプレート片から離間され、同じくチャネル壁の一部分を形成する。TECアセンブリのそれぞれのTECの基準面は、第1のシート内のそれぞれの穴を通して、各プレート片の裏面に取り付けられる。
【0007】
タイルの実施形態では、カバー(熱伝導)アセンブリは、開放窓を有する可撓性(プラスチック)フレームを含むことができる。アレイ状に配置されたトレイが、各々、可撓性ブリッジによって隣接するトレイに相互接続されている。各トレイは、それぞれのTECを受け入れ保持するための穴を有し、穴を通じて、TECのユーザ面がそれぞれのタイルに固定されている。相互接続されたトレイと複数のタイルとのマトリックスは、それぞれの窓のフレームでフレームにスナップ嵌めまたは引っ掛けることによってともに保持される。フレームは、タイルの層がタイル間の1つまたは複数のX軸に沿って、また1つまたは複数のY軸に沿って可撓性を有するように、タイルを離間した状態に保つ。これにより、HEMは、タイルの間の軸およびプレート片の間の軸上で撓むことによって、丸みを帯びたおよび/または角張った身体部分に対して可撓性および適合性である。別個のサーミスタ(または熱電対)を各タイルの内面に取り付けることができるが、ただし、TECの取り付け部とは干渉しないようになっている。
【0008】
エンクロージャアセンブリ内のチャネルを通過する液体は、HEM内に収容されたTEC用のヒートシンクとして作用する。冷却または加熱を誘発するために、電力がコントローラによってTECに供給される。
【0009】
コントローラは、本開示のシステムのコンソール内に配置することができ、コンソールは、HEMと、HEMおよびコンソールの間の電気的、信号的および水(流体)接続を提供する供給パイプラインとをも含む。コンソールは、供給パイプラインを導管として使用することによって、HEMを循環する流体との間で伝達される熱を効率的に放散するラジエータとファンとの組み合わせを含む。HEMは、様々な医療用途のための加熱、冷却または加熱と冷却との間の循環に使用することができる。1つまたは複数の温度センサ(例えば、サーミスタまたは熱電対)が、冷却面または加熱面の温度を検出し、制御ユニットへのフィードバックとして使用することができる。
【0010】
本明細書のHEMは、一対の可撓性基板を使用して、高周波(RF)溶接または類似の方法を用いて開放チャネルを形成することができる。得られたチャネルは、HEMから熱を放散するために液体を通過させるために使用することができる。閉じたチャネルを通過する液体は、デバイス内に収容されたTECのためのヒートシンクとして作用する。冷却または加熱を誘発するために、電力がコントローラによってTECに供給される。
【0011】
1つまたは複数の温度センサが、冷却面または加熱面の温度を検出し、制御ユニットへのフィードバックとして使用することができる。HEMは、様々な医療用途のための加熱、冷却または加熱と冷却との間の循環に使用することができる。
【0012】
HEMは、水チャネルアセンブリに取り付けられた熱交換スタックを含むことができ、これらの両方は、本開示の実施形態に従って以下に議論される。
【0013】
本明細書の熱交換スタックは、組織または皮膚の直接的な冷却および/または加熱を可能にするアセンブリであり得る。それらは、水チャネルアセンブリおよび患者の組織または皮膚と相互作用する生体適合性層を除いて、すべて熱交換モジュールの構成要素から構成することができる。このアセンブリには、生体適合性層と相互作用する熱電冷却器の冷却または加熱を分散させるカバーと、間隙絶縁および構造的安定性のためのコア複合材と、放射を防止するための2枚までの反射材と、温度フィードバックのための少なくとも1つのサーミスタと、冷却または加熱のための熱電冷却器アレイと、水チャネルと相互作用されることになる、熱放散のための追加のカバーまたはプレートとが存在する。プレートまたはカバーのこの最後のアレイは、熱交換スタックの可撓性が向上するように作製することができる。設計のために指定されていない限り、生体適合性層を除いたこの構成要素のアセンブリは、その後、熱交換スタックを作製するために縫製またはリベット留めを含む方法で機械的に締結することができる。水チャネルは、ここでも設計に応じて、締結プロセスのためにすでに取り付けられていてもいなくてもよい。
【0014】
本明細書における水チャネルは、熱交換スタックによって生成される熱を放散させるために、流体が熱交換器スタックの近くをまたはそれに対向して通過する経路を作り出すアセンブリであってもよい。それらは、高周波溶接プラスチックフィルムを含む様々な方法に従って構築することができる。
【0015】
本出願は、モジュールまたはデバイス、方法またはデバイスのサブアセンブリ(熱交換スタックおよび水チャネルなど)、モジュールまたはデバイスを作製する方法、サブアセンブリを作製する方法、コンソール、供給パイプライン、システム全体、デバイスおよびサブアセンブリを作製する方法、ならびにデバイス、システムおよびサブアセンブリを使用する方法を含む、本開示の複数の異なる定義を含む。すなわち、本開示は、モジュールまたはデバイス、方法またはデバイスのサブアセンブリ(水チャネルエンクロージャアセンブリなど、熱伝達(またはカバー)アセンブリ、モジュールまたはデバイスを作製する方法、サブアセンブリを作製する方法、コンソール、供給パイプライン、システム全体、デバイスおよびサブアセンブリを作製する方法、ならびにデバイス、システムおよびサブアセンブリを使用する方法を含む、本開示の複数の異なる定義を含む。
【0016】
本明細書に記載された技術のさらなる態様は、本明細書の以下の部分で明らかになるであろう。詳細な説明は、限定を加えることなく本技術の好ましい実施形態を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】スポーツ傷害および疼痛管理の処置を含むがこれに限定されない、複数の用途のために筋肉、関節および/または組織を冷却および/または加熱するための、患者に対する運用において示されている本開示のシステムの斜視図である。
【
図1B】化学療法による脱毛の予防の処置を含むがこれに限定されない複数の用途のために頭皮を冷却および/または加熱するための、患者に対する運用において示されている本開示のシステムの斜視図である。
【
図1C】外傷性脳損傷または脳卒中の治療の処置の応用形態を含むがこれに限定されない、複数の用途のために頭皮および/または脳に対する、患者に対する運用において示されている本開示のシステムの斜視図である。
【
図1D】心停止の処置を含むがこれに限定されない、複数の用途のために患者の低いおよび/または高い中核体温を調節するための運用において示されている本開示のシステムの斜視図である。
【
図2】
図1A~
図1Dのシステムに使用することができるような、本開示の熱交換モジュールを分離して示した斜視図である。
【
図5】本開示のモジュールのチャネルアセンブリのチャネル設計の平面図である。
【
図6】代替的なチャネル設計の
図5と同様の図である。
【
図7】本開示のモジュールの、
図5のもののようなチャネルアセンブリの底面図である。
【
図9】患者の脚に対するストラップ位置に示されている
図7のモジュールの斜視図である。
【
図10】チャネル窓を示すチャネルアセンブリの上面図である。
【
図11】窓を覆う熱伝導性プレートを示す、
図10と同様の図である。
【
図12A】例示のために、プレートが透明であるものとして示されているため、プレート上の裏面接着剤がチャネルアセンブリ内に見えている、
図11と同様の図である。
【
図12B】チャネルアセンブリの裏面を示しているが、窓が切り取られておらず、水チャネル層が損なわれないままの代替的な実施形態による、
図12Aと同様の図である。
【
図13】プレートの周縁周りの接着剤を示している、
図12Aのプレートのうちの1つの拡大裏面平面図である。
【
図14】チャネルアセンブリ、したがってモジュールの回転可撓性軸を示している、
図11と同様の図である。
【
図15A】
図11と同様であるが、4つのプレートの代わりに12個のプレートを有し、それによりY方向に3つ、X方向に2つの、より多くの回転可撓性軸を提供する代替の実施形態の図である。
【
図15B】
図15Aと同様であるが、12個のプレートをハッシュパターンによって示された別のカバーと接続する代替的な実施形態の図である。
【
図16】
図11と同様であり、プレート上の定位置にある熱電冷却器(TEC)アセンブリを示す図である。
【
図17】TECアセンブリの詳細を有する代替的なTECアセンブリおよび熱伝導性プレート構成の斜視図である。
【
図19】構成前の分離されて示されているモジュールのコア複合材層の斜視図である。
【
図20】
図16と同様であり、
図19のコア複合材層が構成され、適所に配置されている斜視図である。
【
図21】上側Mylarシートをコア複合材層の上に配置した、
図20と同様の図である。
【
図22】上部プレートを適所に配置している、
図21と同様の図である。
【
図23】生体適合性層を適所に配置している、
図22と同様の図である。
【
図24】熱交換スタックを、チャネルアセンブリを通って延伸していない機械式固定手段とともに機械的に固定する第1の方法を示す、本開示のモジュールの定式化断面図である。
【
図25】熱交換スタックを、チャネルアセンブリを通って延伸している機械式固定手段とともに機械的に固定する代替的な第2の方法を示す、
図24と同様の図である。
【
図28】供給パイプラインによってコンソールに接続されたモジュールと、図示のコンソールの構成要素の動作関係とを含む、本開示のシステムの概略図である。
【
図29】例示目的のためにエンクロージャが透明である、
図28のコンソールの斜視図である。
【
図30】約7分間の制御された10℃への冷却に応答して個人の大腿部で測定された温度変化を示すグラフ図である。
【
図31】熱交換モジュールの制御されたプロファイルを使用した冷却(5℃まで)および加熱(36℃まで)に応答して個人の手の皮膚上で測定された温度対時間のグラフ図である。
【
図32】本開示の熱交換モジュールの分解斜視図である。
【
図33】モジュールのチャネルへ出入りする水の動きを示している、
図32の組み立てられたモジュールの上面斜視図である。
【
図35】患者の身体部分に対する
図33のモジュールの拡大断面図である。
【
図37】水チャネルエンクロージャを分解した関係で示す
図33のモジュールの上面斜視図である。
【
図38】
図37の水チャネルエンクロージャを通る断面図である。
【
図39】TEC層が取り付けられた
図38と同様の断面図である。
【
図40】
図32のモジュールの熱伝達(カバー)アセンブリの分解図である。
【
図41】取り外し可能なコーティングが剥がされていることを示す、モジュールの底部コーナの拡大斜視図である。
【
図42】TECが単一のバンク内にあり、直列に接続されている、モジュールの例示的なTECアセンブリの上面図である。
【
図43】ユーザの身体部分の所定位置にあり、本開示の制御および電力ユニットに動作可能に接続された本開示のモジュールを示す斜視図である。
【
図44】分離して示された本開示の代替の熱伝達(カバー)プレートの斜視図である。
【
図45】代替的な熱伝達カバーアセンブリを有する本開示のモジュールの単純化された分解斜視図である。
【
図46】組み立てられて示された
図45のカバーアセンブリの一部分の拡大斜視図である。
【
図48】剥離されて示されている下部生体適合性層を有するカバーアセンブリの代替形態の底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
概要
図28および
図29のシステム概要を参照すると、概して100で示される熱交換システムが示されている。熱交換システムは、概して110で示されている熱交換モジュールと、概して114で示されているコンソールと、これらを動作可能に接続する供給パイプライン120とを含む。コンソールは、エンクロージャ130、ファン140、ラジエータ150、スクリーン駆動ボード160、タッチスクリーン170、ポンプ180、ジャック190、電源/信号プラグ200、ポートコネクタ210、ロータリエンコーダ220、Hブリッジ230、DC-DC電源240、リザーバ250、バッテリ260、USB270、電源コンセント280、流量計290、マイクロコントローラアセンブリ300を含む。
【0019】
図1A、
図1B、
図1Cおよび
図1Dには、本開示の様々なシステムが、それぞれ310,320,330および340で示されている。
図28は、以下の接続信号320、電力330、流体340、および熱350を示す。
【0020】
図3は、斜めの入口および出口430を有する、チャネル420を形成するためにRF溶接410された2つのTPUシート400を含む様々な層を示すモジュール110の1つの分解斜視図である。チャネルには、複数の箇所でチャネルの内部を露出させるための複数の窓(開口)440が切欠きされている。シート、開口および出口を有するチャネルは、概して450で示される水チャネルを形成する。
【0021】
モジュールの残りの部分は、概して500で示される熱交換スタック(HES)を形成する。スタックは、概して530で示される熱伝導性プレート構造または層を集合的に形成する底部プレート520を含む。
例示のために、図12Aは、プレートが透明であるものとして示されているため、プレート上の裏面接着剤がチャネルアセンブリ内に見えている。プレートまたはプレート片540があるが窓はない代替的なプレート構造が
図12Bに示されている。
4つのプレートの代わりに12個のプレートを有し、それによりY方向に3つ、X方向に2つの、より多くの回転可撓性軸を提供する代替の実施形態の図である。さらなる代替例が
図15Bに示されており、プレート片550がウェブ560とともに接続されている。
【0022】
本開示の様々なプレート構造の利点は、それらがデバイスに対してより大きな可撓性を提供することである。例えば、
図14に示すように、Y軸600の周りに可撓性を与えることができる。または、
図15Aのプレート構成では、X軸610およびY軸620の周りである。
【0023】
図3を再び参照すると、追加の層は、開口を有する下側Mylarシート650およびTECアセンブリ670である。示されているように、TECアセンブリは、TEC680、前述の銅スクエア690、銅バスライン700およびワイヤ710を含むことができる。サーミスタ750が図に示されている。
【0024】
コア複合材層800には、穴810が切られている。上側Mylarシート830もまた、TECのために穴840が切られている。上部プレートは850で示され、生体適合性層は860で示されている。
【0025】
断面図を参照すると、TECをプレート片(底部プレート)に取り付けるための接着剤が870で示されており、TECを上部プレートに取り付けるための熱ペースト/エポキシが880で示されている。そして、糸または他の機械的接続が900で示されている。
【0026】
制御コンソールおよび供給パイプラインの構築および運用
制御コンソール構造
制御コンソールは、以下の構成要素から構成することができる。
・エンクロージャ
・クイック切断継手
・電源および信号プラグ
・USBポート
・1/4インチジャック
・AC電源インレット
・ファン
・ラジエータ
・ポンプ
・リザーバ
・流量計
・液位センサ
・AC/DC電源
・バッテリ
・DC/DC電源
・Hブリッジ
・マイクロコントローラプリント基板アセンブリ(PCBA)
・スクリーンドライバボード
・タッチスクリーン
【0027】
エンクロージャ
エンクロージャは、レーザーカットアクリル、キャストウレタン、射出成形プラスチックまたは同様の方法で製造することができる。それは、単一部品から、またはともにスナップ留めされるか、ともにねじ込まれるか、もしくは方法の組み合わせを含む他の機械的もしくは接着方法によって複数のパネルを接合することによって、作製され得る。エンクロージャの主な目的は、制御コンソールの内部構成要素を収容するとともに、供給パイプライン、したがってHEMとのインターフェースに必要な入力および出力ポートおよびコネクタをマウントすることである。このエンクロージャは、熱放散のために通気口によってその剛性を維持することもできる。また、エンクロージャは、電気構成要素の近くで流体が漏れた場合の安全性を維持するように構成することもできる。
【0028】
入力および出力構成要素
入力および出力構成要素は、プラグ、ケーブル、またはチューブとのインターフェースのためにパネルマウントすることができる。それらは、指定された構成要素のエンクロージャに切り欠きを作製して、穴に部分的に挿入され、スクリューまたはスナップイン機構のいずれかを介して、機械的に固定され得るようにすることによって、設置することができる。クイックディスコネクト継手、電源および信号プラグ、USBポート、1/4インチジャック、および電源コンセントはすべてこの方法で設置される。タッチスクリーンは同様の方法で設置されるが、エンクロージャを通じて置かれるのではなく、エンクロージャから切り出されたプロファイルが、部品が延伸することなくスクリーンにアクセスできるように取り付けられる。
【0029】
内部構成要素
内部構成要素はすべてねじマウントによって取り付けられるか、プラットフォームに様々な機械的または接着方法で固定される。ファン(複数可)はラジエータに取り付けられ、ラジエータファンシステムは、ファンが通気口に直接接触するように取り付けられ、適所にねじで取り付けられる。ポンプ、AC-DC電源、必要なDC-DC電源(設計に応じて0~2個)、Hブリッジ、マイクロコントローラPCBA、スクリーンドライバボードはすべてねじで取り付けられる。リザーバは、棚またはプラットフォームに取り付けられることによって所定の位置に保持される。
【0030】
電気システム
AC/DC電源およびバッテリは、システム内のすべての構成要素に電力を供給する。それらは、デバイスが電源に接続されているときはバッテリが充電され、デバイスが電源に接続されていないときはデバイスがバッテリで動作するように設置される。設計および構成要素の電力ニーズに応じて、電源またはバッテリによって給電される追加のDC/DC電源が存在する。この電源およびバッテリの集合は、電源システムと呼ばれる。電源コンセントは、このとき、600V定格ケーブルによって電源システムに配線接続される。電源システムは、その後、配線を介して適切な構成要素に配分される。電力を必要とする構成要素には、ファン(複数可)、ポンプ、Hブリッジ、マイクロコントローラPCBAを含みおよび、一部の設計では、スクリーンドライバボード、およびタッチスクリーンには個別の電源が必要であり得る。電源システムとは別の追加の電気的相互接続が存在する。電源および信号プラグからHブリッジまでの間、およびマイクロコントローラPCBAまでの間には配線が必要である。USBポート、1/4インチジャック、流量計、液位センサ、Hブリッジ、スクリーンドライバボードからマイクロコントローラPCBAへの追加の配線が必要である。また、タッチスクリーンとスクリーンドライバボードとの間に配線接続が必要である。このすべての配線は、構成要素の仕様に応じてねじ端子、はんだ付け、圧着、またはプラグを介して行われる。
【0031】
流体システム
エンクロージャ内の流体システムはすべて、PVCまたはポリウレタンなどの直径3/8インチまたは1/4インチの可撓性チューブによって相互接続される。それらは、返し継手または圧縮継手を使用して個々の構成要素に接続される。それらは直線的であってもよいし、角度を付けられていてもよく、構成要素にねじ込まれる。配管は、リザーバからポンプ入口に接続され、ポンプ出口から、供給パイプラインが取り付けられた出口クイックディスコネクト継手に接続される。また、配管は、入口クイックディスコネクト継手からラジエータに、ラジエータからタンクに戻る。ポンプ出口と出口クイックディスコネクト継手の前との間には、同じ返し継手によって流量計が設置されている。さらに、液位センサを設置することができるように、リザーバに第2のねじ穴が形成される。
【0032】
供給パイプライン構成
供給パイプラインはPVCまたはポリウレタンのような一対のチューブの延長部分であり、1/3~4メートルの配線アセンブリの延長片である。流体のための2本のチューブがあり、これらも直径3/8インチまたは1/4インチのいずれかであり、可撓性材料から作られ、制御コンソールのクイックディスコネクト継手からHEMに至る。必要に応じて返しを備えた適切なコネクタが、これらの管の端部に取り付けられ、それによって、クイックディスコネクト継手およびHEMに差し込むことができる。ワイヤアセンブリは、HEMに電流を流すことができる2本のケーブルと、HEM温度プローブから信号を引き出すことができる少なくとも2本のワイヤとから構成される。HEMに複数の温度プローブが使用されている場合は、追加の配線が含まれている。ケーブルおよびワイヤは、一端が制御コンソールに入り、他端がHEMに入るプラグの端子に接続されるように、適切に圧接およびはんだ付けされる。その後、編組スリーブまたは他のシースをケーブルおよびチューブアセンブリ全体に巻き付けることができる。
【0033】
システム動作
タッチスクリーンはユーザによってインターフェースされ、最も単純な場合には、室温より低い単一温度が限定されない時間にわたって設定される(ユーザがプログラムされた温度および時間アルゴリズムを設定および使用または選択することが可能である)。マイクロコントローラは、HEMから温度信号を受信する。それは、適切な信号をHブリッジに送信することによって応答し、Hブリッジは、電源システムによって電力供給され、必要な電力を生成して、供給パイプラインアセンブリを介してHEMに送ることができる。これにより、HEMを設定温度に近づけることができる。このフィードバックループは、ユーザの選択された温度を維持するために必要に応じて繰り返される。これに関連して、HEMによって生成される熱は、流体システムを介して除去されている。流体は閉ループ内で連続的に流れている。ポンプはリザーバから流体を引き出し、それを供給パイプラインに通してHEMに送り、そこでは流体が熱を収集して供給パイプラインを介して戻す。その後、熱はラジエータを通過してリザーバに戻る。ラジエータを通過するとき、集められた熱は、ファンによってラジエータを通って強制される空気から放散される。ファンは、エンクロージャ内の電気構成要素から発生する余分な熱を除去するのにも役立つ。
【0034】
熱交換モジュール構造
例えば、本開示の熱交換システム(HEM)に適合させて使用することができる、本開示の熱交換モジュールの構成要素および製造プロセスを以下に論じる。一般的に、モジュールの製造方法は2つあり、その差異については本開示において後に詳細に説明する。以下に記載する製造プロセスは、第1の製造方法において部品が現れる順序にある。
【0035】
水循環
HEMから熱を取り出すには、デバイス全体を通じた水循環が不可欠である。水循環は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、または水が流れるチャネルにRF溶接(または同様のプロセス)することができる他の同様の材料の2枚のシートを介して行われる。TPU材料は、薄くて可撓性があり、容易に仕様通りに製造することができるために使用される。
【0036】
RF溶接
RF溶接の設計は、異なる各HEMの仕様に応じる。典型的なHEMの典型的な溶接設計とは別に、別の可能な設計が示される。各TPUシートは、15~40ミルの厚さであり(未定)、RF溶接ラインは、例えば、3ミルである。TPUの入口/出口(典型的には屈曲部の形態)もまた、設計された水チャネルの端部でRF溶接されて、水の入口および出口が循環されることを可能にする。これらの入口/出口は、サイズが異なり、各HEMの仕様に応じて、内径(ID)が1/4インチまたは3/8インチのいずれかである。ともに溶接された2つのTPUシートおよび屈曲部のシステムは、ここでは「水チャネル」と呼ばれる。
【0037】
TPUシートの「窓」
TPUは熱伝導性ではないため、デバイスから水への熱の十分な伝達を可能にするために、水チャネルに開口を形成することができる。屈曲部がRF溶接されていないTPUシートは、矩形の形状に切断され、その中に「窓」が形成される。これは通常、ダイカットで行われるが、他の方法で行うこともできる。いくつかの図面は、窓が切り取られた水チャネルを示している。この図は、TPUシートに切られた窓の多くの可能な構成のうちの1つのみを示している。窓の数は、1つの大きな窓から、デバイス内のTECと同じくらい多くの窓に及ぶ可能性がある。窓の数が多いほど、デバイスの可撓性が向上し得る。これについては後でさらに説明する。
【0038】
熱伝導層(「底部プレート」)
水チャネルに開口がある場合、漏水を防ぐために水チャネルをシールするために熱伝導性材料を使用しなければならない。この材料は、典型的には厚さ7~12ミルの銅またはアルミニウムのいずれかの薄い金属プレートである(未定)が、任意の半可撓性の熱伝導性の基材とすることができる。金属プレートは、TPU内の窓切り欠きよりも比較的大きい片に切断される(通常約10mm)。デバイスの可撓性および重量の削減を可能にするために、より小さな金属片が単一の大きい金属片よりも好ましい。金属プレートの間の領域は、TPUが金属よりも可撓性があるため、デバイスの可撓性を高めることができる。
【0039】
前述の窓の説明を参照すると、金属プレートの数は、水チャネルに切り欠きされた窓の数と同じにすることができる。例えば、各TECの周りに小さな窓を切ることができ(合計12個の窓)、各々が窓の大きさより少し大きい12個の金属プレートを使用して各窓をシールすることができる。この方法では、1つではなく2軸に沿って可撓性があるため、可撓性が向上することが可能である。これは、これらのプレートのすべてが同一平面内にあるためであり、議論を容易にするために、それらを総称して「底部プレート」と呼ぶことにする。このプレートは、通常の冷却動作中にこのプレートが加熱されるのに対して、(後述する)「上側プレート」は低温になるため、「ホットプレート」と呼ばれることもある。(底部プレートは広範に「カバー」と呼ばれることがある。)
【0040】
水チャネルの熱伝導層へのシール
シーリングプロセスは、構造用接着剤(典型的には、エポキシまたはアクリルのいずれか)または感圧転写テープのいずれかを使用することができる。例としては、Devcon HP250(アクリル接着剤)、3M DP8005(エポキシ接着剤)、および3M9472(転写テープ)が挙げられる。これらの接着剤では、TPUと金属プレートの両方を十分に研磨して清浄化して、適切な接着を可能にすることができる。接着剤またはテープは、TPUに重なる領域の各プレート上に置かれるが、水がプレートに接触する領域には置かれない。プレート全体に接着剤を置くと、材料が浪費され、水に到達するまでに熱が伝達しなければならない望ましくない障壁が形成される。
【0041】
図7は、プレート上に置かれた接着剤を示す。接着剤を有する長方形の金属片がTPUに設置され、硬化させられ、それによって、水循環チャネルをシールする。
図8は、TPUシートに接着されたプレートを示す。
図9は、下の窓を示すために金属を透明なものとして示している。第2の方法(下記参照)では、このシーリングプロセスは、デバイスの残りの部分が組み立てられた後に完了することができる。
【0042】
熱伝達要素(TEC)
次のステップは、冷却効果を生成するモジュール、熱電冷却器(TEC)を構成することである。TECは電力で動作し、バスバーを介して電源に接続される。これらのバスバーは、銅から作られ、薄く、可撓性があり、HEMの内部の低プロファイルを維持する。低プロファイルは、TECの2つの側面の間のHEM内の間隙スペースを維持するのに役立つ。バスバーは、導電性を高くすることができ、加熱を防ぐ。配線の抵抗損失によって発生する任意の熱は、本質的にHEMの効率を低下させる。各TECの配線は、約1/4インチにトリミングされる。銅バスバーは、TEC間の対応する長さに切断され、TECワイヤはバスバーにはんだ付けされる。HEMが複数のバンクを有する場合、バスバーは接合部においてともにはんだ付けされる。各TECは、はんだ付け完了時にアセトンによって完全に洗浄される。これで「TECチェーン」が完成する。回路の短絡を防ぐために、バスバーがプレートに接触する可能性のある任意の領域内で、絶縁テープを底部プレートに配置することができる。
図10~
図11は、TECアセンブリを示す。
【0043】
図12Bは、チャネルアセンブリの裏面を示しているが、窓が切り欠きされておらず、水チャネル層が損なわれないままの代替的な実施形態の、
図12Aと同様の図である。
【0044】
図15Bは、
図15Aと同様であるが、12個のプレートを、ここはハッシュパターンによって表される別のカバーと接続する代替的な実施形態の図である。このカバーは、網状材料、穿孔箔のような可撓性軸に沿った穿孔を有する材料、または、可撓性軸に沿って薄くされている箔のような、様々な厚さのカバーであってもよく、それらはすべて、プレートを接続し、依然として可撓性のための回転軸を提供する。また、設計要件を満たすために必要な4つのプレートまたはその他の数のプレートでこれを行うことも可能である。
【0045】
身体に面するインターフェース層(「上部プレート」)
この層は、TECの反対側に配置される熱伝導性金属プレート(しかし、任意の半可撓性の熱伝導性基板とすることができる)であり得、「上側プレート」または「コールドプレート」と呼ばれる場合がある。サーミスタがこのプレートに加えられて、皮膚と接触している表面の温度を測定する。これを行うために、サーミスタを適切な位置(典型的にはプレートの中央)に配置し、絶縁リード線が耐熱テープを用いてプレートにテープで固定される。その後、熱伝導性接着剤(一般的にはDow Corning3-6750)をサーミスタの周りに、ちょうどサーミスタを完全に覆うのに十分なだけ配置することができる。接着剤を硬化させて、サーミスタを定位置に設置することができる。
【0046】
間隙スペースにおける断熱(「コア複合材」)
間隙スペースは、TECまたは他の要素(サーミスタ、バスラインなど)によって占有されない上部および下部金属プレート間の領域として定義される。「コア複合材」と呼ばれる材料を使用することができ、例はコロイドまたはAmaridハニカムである。これらは、しばしば空のセルを有するハニカムとして形成される構造化材料である。
図12Aを参照のこと。コア複合材は、例えばシリコーンフォームの代わりに使用することができる。コア複合材は、TECが存在する領域で切断され、2つの金属プレート間の領域(間隙空間)を除くすべての領域を充填する。この材料は、すべてのコアセル内に空気が存在し、両方のプレートと接触している材料を通る熱伝達の量を最小限に抑えるため、優れた断熱材である。コア複合材はまた、断熱のために、上部および底部プレートの分離を維持しながら、経時的にその構造を維持する。コア複合材は、有利には時間とともに凝縮も圧縮もせず、プレートを互いにより近づけることができる。コア複合材はまた、機械的締結プロセス中にHEMの構造を維持し、プレートが互いへと圧縮することを防止する。
【0047】
さらに、さらなる断熱のために、Mylarまたは同様の反射材料のシートをコア複合材のいずれかの側にも配置することができる。これらのシートは、任意の放出された放射をそれが由来するプレートに戻すように反射することによって熱が2つのプレート間で放射するのを防止する。
【0048】
デバイスアセンブリ
デバイスのアセンブリは、TECを2つの金属プレートの間に接着するための熱伝導性エポキシ、または、好ましくはTECとその両側のプレートとの間にいくらかの弾力性を与える熱ペースト(典型的にはArctic MX-4化合物)を使用することができる。(例えばエポキシの代わりに)熱ペーストを使用すると、デバイスをともに保持する方法が必要である(基本的に金属プレートと接触してTECを保持するサンドイッチを作り出す)。TECは、金属プレートとの密接な接触を維持し、それによって、材料間には十分な熱伝達がある。
【0049】
この方法は、縫製、リベットの使用、またはデバイスを構造的にともに保持する同様の手順のような機械的締結であり得る。この議論では、縫製を主要な方法として使用するが、他のものも同様に実行可能である。機械的締結の2つの方法は、以下の2つのサブセクションで説明される。
【0050】
第1の方法
この層は、上述の手順のすべてが実行されたこと、および底部プレートがこの時点で水チャネルに取り付けられシールされていることを前提とする。事前に製造されたTECチェーンがここで使用される。熱伝導性ペーストの薄い層またはビードが、各TECの「上」面(上部プレートと接触することになる表面)上に配置される。次に、TECのチェーンが上部プレートに配置される。Mylarの第1のシートが、その後、TECの周りで上部プレートの上に配置される。次に、コア複合材がMylarシートの上およびTECの周りに配置される。次に、第2のMylarシートがコア複合材の上およびTECの周りに配置される。熱伝導性ペーストの薄い層またはビードが、各TECの「底」面(底部プレートと接触することになる表面)上に配置される。次に、底部プレートがTEC上に配置される。底部プレートはすでに水チャネルに対してシールされていることを想起されたい。この時点で、デバイス全体が嵌合され、後は機械的に締結されるだけでよい。
【0051】
すべての構成要素は、cクランプまたは類似の治具で所定の位置に保持され、デバイス全体がミシンに通される。したがって糸がデバイス全体を貫通する。(
図25の下半分参照)糸は特定の場所にしか存在できないことに注意することが重要である。糸は、水が流れている場所では通過すべきではなく、そうでなければ、水チャネルを突き抜けて漏れを引き起こす。また、糸は、両方のプレートをともに保持するために、底部プレートと上部プレートの両方を通過する。これによって、接着剤が底部プレート上に置かれたのと同じ領域が残って、縫製のためにTPUにシールする。(第1の方法の断面図については、
図13を参照のこと)。
【0052】
第2の方法
2つの方法の主な違いは、糸(またはファスナ)が通過する構成要素の数である。第2の方法では、デバイスは異なる順序で作製され、縫製は最後のステップではなく、それゆえ、糸はデバイス全体を通過する必要はない(
図24参照)。この方法では、「熱交換スタック」またはHESと呼ばれ得るものが最初に作製される。HESを作製することは、第一の方法と同じ手順に従うが、唯一の違いは底部プレートがまだ水チャネルに接着していないことである。分かりやすくするために上記の手順を取り上げる。
【0053】
TECチェーンは次のようになり得る。熱伝導性ペーストの薄い層またはビードが、各TECの「上」面(上部プレートと接触することになる表面)上に配置される。次に、TECのチェーンが上部プレートに配置される。Mylarの第1のシートが、その後、TECの周りで上部プレートの上に配置される。次に、コア複合材がMylarシートの上およびTECの周りに配置される。次に、第2のMylarシートがコア複合材の上およびTECの周りに配置される。熱伝導性ペーストの薄い層またはビードが、各TECの「底」面(底部プレートと接触することになる表面)上に配置される。次に、底部プレートがTEC上に配置される。
【0054】
この方法の底部プレートは、単純に、水チャネルがまだ接着していない金属片であってもよい。各金属プレートは、第1の方法と同様に、HESに個々に縫い付けられ得る。各底部プレートが上板に縫い付けられた後、HESが完成する。
【0055】
残りのステップは、水チャネルを底部プレートに接着することである。窓を備える水チャネルは前述と同じように作製され、同じ方法で底部プレートに接着されているが、唯一の相違は、底部プレートがすでに他方の面でHESを取り付けられていることである。第2の方法の断面図については、
図14を参照のこと。
【0056】
生体適合性層
冷却器を完成させる最後のステップは、熱伝導性の生体適合性材料の薄層(0.2~1mm)を上部プレートに加えることである。この材料は、皮膚が金属と直接接触しないように、身体組織と上部プレートとの間の緩衝材として作用する。生体適合性材料には、医療用途のためのシリコーンが含まれ、そのうち様々なものが現在入手可能である。代替的に、3M 2476Pのような生体適合性の皮膚接着剤も接着可能である。
図15Aは完成したデバイスを示し、
図16は各層の分解図を示す。
【0057】
作製手順
上述のように、2つの製造方法がある。このセクションは、本開示のこれらの方法の両方の簡潔な段階的手順を与える。
【0058】
第1の方法
・材料に窓を形成するためにTPUシートが型抜きされる
・入口/出口屈曲部が第2のTPUシートにRF溶接される
・これらの2枚のシートが、指定された形状でともにRF溶接されて、水循環チャネルが形成される
・底部プレートは仕様に合わせて切断され、プレートの数はTPU内の窓の数に等しい
・底部プレートの周縁に接着剤が塗布され、TPUに接着されて水チャネルがシールされる
・TECアセンブリが、銅バスラインを使用してTECをともにはんだ付けすることによって形成される
・上部プレート、コア複合材、Mylar材料が仕様に合わせて切断される
・TECの上側に熱ペーストが塗布される
・TECが上側プレートに対して配置される
・(上側)Mylarシートが上側プレートに対して追加され、TECを囲む
・コア複合材がMylarシートに対して追加され、TECを囲む
・第2の(下側)Mylarシートがコア複合材料に対して追加されて、TECを囲む
・TECの底面に熱ペーストが配置される
・TECが、間隙スペース内の上側プレート材と共に、すでに水チャネルが接着している底部プレートに対して配置される
・HEMが、縫製を使用して機械的に締結され、糸はデバイス全体を貫通する
【0059】
第2の方法
・TECアセンブリが、銅バスラインを使用してTECをともにはんだ付けすることによって形成される
・上部プレート、コア複合材、Mylar材料が仕様に合わせて切断される
・底部プレートは仕様に合わせて切断され、プレートの数は窓の数に等しい
・熱ペーストがTECの上面に配置される
・TECが上側プレートに対して配置される
・(上側)Mylarシートが上側プレートに対して追加され、TECを囲む
・コア複合材がMylarシートに対して追加され、TECを囲む
・第2の(下側)Mylarシートがコア複合材料に対して追加されて、TECを囲む
・TECの底面に熱ペーストが配置される
・TECが、間隙スペース内の上側プレート材と共に、底部プレートに対して配置される
・HEMが、縫製を使用して機械的に締結され、糸はHESアセンブリのみを貫通する
・第1のTPUシートが型抜きされて窓が形成される
・入口/出口屈曲部が第2のTPUシートにRF溶接される
・これらの2枚のシートが、指定された形状でともにRF溶接されて、水チャネルが形成される
・すでにHESの残りの部分に縫い付けられている底部プレートの周縁に接着剤が塗布され、TPUに接着されて水チャネルがシールされる
【0060】
追加の実施形態
図32を参照すると、本開示の別の熱交換モジュールが全体的に1100で分解図において示されている。流体ホース1110、熱電冷却器(TEC)ワイヤ1120、およびサーミスタ(または熱電対)ワイヤ1130が、供給パイプライン1140を通ってコンソール1150へと通過することができる(
図42および
図28および
図29)。(コンソールのさらなる説明については、
図28および29も参照のこと)。したがって、全体的に1200で示される本開示のHEMシステムは、HEM1100、供給パイプライン1140およびコンソール1150を含む。
図43は、HEM1100が定位置にあり、患者の身体部分1220に巻き付けられているシステム1200を示す。HEM1100は、例えば頭部を含む任意の身体部分1220に概して適応させて使用することができる。理解され得るように、多くの用途のためのHEM1100は、どのように丸みを帯びていても、角張っていても、大きくても小さくても、医療従事者が任意の身体部分に対して適合させるために3つの方向すべてに屈曲することができるように構築されるべきである。
【0061】
図45に分解図において1300で全体的に示されたHEM1100およびHEMの代替実施形態は、可撓性を高めるために多くの新規の構造を含む。本開示のHEM1100(または1300)は、自然状態で平坦であるように描写されているが、円筒構成およびカップ構成、ならびに様々な身体部分の輪郭に従うようになされた形状の任意の組み合わせも含む。本明細書で開示されるHEMはまた、チャネルおよび身体部分における循環液体へのおよび循環流体からの熱伝達の向上をもたらす新規な構造を有する。
【0062】
HEM1100のチャネルエンクロージャアセンブリ1320は、第1のTPU(または他の熱可塑性)シート1330、第2のTPUシート1340および第3のTPUシート1350を含むことができる。第1のシート1330および第2のシート1340は、複数の穴1350,1360を含み、これらの穴は、シートがともに取り付けられたときに互いに噛み合う。概して1370において示されているプレートアセンブリ1370が、シート1330,1340の間に位置決めされている。これは、1380で示された複数のプレート片を含むことができる。各嵌合穴1350,1360に対して、1つのプレート片1380がある。例えば、穴1350,1360およびプレート片は、3×4アレイに配置することができる。しかし、このとき、その数および配置は、TECアセンブリおよびそのTECの要求事項を考慮して、HEMに対して所望に応じて選択される。一例として、HEM1300は、3×3アレイを有するものとして示されている。
【0063】
第1のシート1330および第2のシート1340は、2枚のシートに埋め込まれた各プレート片1380と共に熱的にシールされ、それぞれの嵌合穴1350,1360の両方を覆う。例えば、
図38を参照のこと。プレート片1380は、それらの周縁に沿って1つまたは複数のスロット、開口またはノッチ1390を有することができる。これは、
図36,
図38および
図39の埋め込まれたプラスチック片1400によって分かるように、プレート片1380が第1のシートおよび第2のシートの(プラスチックの)内に埋め込まれるのを補助する。
【0064】
第1のシート1330および第2のシート1340が、例えば熱圧縮または超音波溶接によってともに固定され、プレート片1380が穴(または窓)においてシートに埋め込まれることによって、第3のシート1350がそれに固定される。それは、熱圧縮、超音波溶接、RF溶接または同様の手段によって固定することができる。溶接等は、第2のシート1340と第3のシート1350との間に水(または他の熱伝導性流体)チャネル1410の周縁1400を形成するように構成される。穴1430,1440(
図32)を、チャネル1410の両端にある第3のシートに形成することができる。そして、それぞれの穴において第3のシート1350に角度の付いたコネクタ1450,1460が取り付けられ、それを通じて、配管1470を通って送達される水が、コンソール1150とチャネル1410との間で送達される(
図33の矢印1480,1490)。
【0065】
RF溶接の設計は、各異なるHEMの仕様に合わせてカスタマイズすることができる。一例として、ウレタン(TPU)またはビニルまたは他の熱可塑性シートのいずれかの各熱可塑性シートは、15~40ミルの厚さを有することができ、RF溶接ラインは3ミルにすることができる。TPUの入口/出口1450、1460(典型的には屈曲部の形態)もまた、設計された水チャネルの端部でRF溶接されて、水の入口および出口が循環されることを可能にする。これらの入口/出口は、サイズが異なり、例えば、各HEMの仕様に応じて、内径(ID)を1/4インチまたは3/8インチのいずれかにすることができる。
【0066】
第3の可撓性シート1350は、15~25psiのチャネル内の水の圧力に耐えられるように十分に強い内部布層を有する強化TPUシートまたは多層であり得る。一例として、チャネル内の圧力は、シート1450が破裂しないように、25psi未満に保たれるべきである。チャネル1410内の例示的な流速は毎分2リットルであり、毎分0.5リットルから3.5リットルの範囲とすることができる。
【0067】
図38および
図39に見られるように、第2のシート1340の穴1360は、チャネル1410に位置するように位置決めされる。これにより、各プレート片1380は、チャネル1410の壁の一部分を形成する。さらに、各プレート片1380は、それらの間で熱を直接伝達するために、チャネル1410を通って流れる水と直接的に接触する。
【0068】
代替的な構成は、プレートアセンブリ(プレート片1380)を省略し、TECの基準(セラミック)面を第2のシート1340の穴1350の中に/穴に対して位置付け、それによって、それらの間での熱伝達のために、チャネル内の水と直接物理的に接触させる。
【0069】
さらなる代替案は、第1のシート1330を含まない。むしろ、プレート片1380は、第2のシート1340の内面および穴の上に直接固定される。それは、例えば、接着剤を用いて固定することができる。
【0070】
プレートアセンブリ1370が単一の大きなプレートを含むことは、本開示の範囲内である。しかし、上述したように、x方向とy方向の両方に互いから離間した複数のより小さいプレート片1380を設けることによって、HEMのさらなる可撓性/屈曲が可能になる。この可撓性/屈曲は、プレート片1380の間の1つまたは複数のx軸および/またはプレート片の間の1つまたは複数のy軸に沿ったものであり得る。代替的ではありながらあまり好ましくはないが、プレート片380は可撓性ウェビングと相互接続することができる。
【0071】
複数のTEC1510を含む、HEM1100のTECアセンブリ1500は、
図32および
図42に見ることができる。これらは、
図42に示すように、単一のバンク内に形成され、直列に接続されてもよいし、または、各々が直列または並列に接続された複数のバンク(例えば、3つまたは4つ)内にあってもよい。バンクの数は、使用されるTECのタイプ、およびコンソールユニットによって最適に制御される電圧範囲に依存し得る。
【0072】
各TEC1510の基準面は、例えば
図36および
図39に示すように、効果的な熱伝達を提供するように、それぞれのプレート片1380に取り付けられている。例えば、熱伝導性接着剤、ペーストまたはパテ1530の薄い層を使用することができる。TECアセンブリ1500は、ワイヤ1120によってコンソール1150に動作可能に接続することができる。
【0073】
HEM1100は、
図32に全体的に1600で示される熱伝達(カバー)アセンブリを含むことができる。カバーアセンブリ1600は、身体部分とTEC1510のユーザ面との間で熱を伝達する。カバーアセンブリ1600の熱伝達媒体は、
図32および
図40に見られるように、銅またはアルミニウム(または他の高熱伝導性材料)プレート1620であってもよい。カバープレート1620内に短い離間されたxおよびyスロット1630が形成されて、カバープレート1620により大きな可撓性および屈曲性を与えて、丸みのあるおよび/または角張った身体部分により良好に適合することができる。プラスチックの薄いシートまたはフィルム1640が、カバープレート1620の内面に隣接することができる。シート1640は、内面に対して可塑化することができる。シート1640はまた、カバープレート1620の周縁を越えて延出することができ、第3のシート1350は、HEM1100を少なくとも部分的にともに保持するために、プラスチックシートの延伸周縁に縫い付けられるか、またはその他の方法で機械的に固定され得る。縫製は、
図32の参照符号1650および1660によって示されている。縫製に加えて、または縫製に代えて、スナップ、タックなどの他の機械的手段を使用することができる。追加の縫合は、
図33の縫い線1670によって示されるように、(チャネルの外側の)第3のシート1350の接着部分などを通じてHEM1100の中心部分を介して提供することができる。機械的取り付け手段は、例えば、HEMの層/構成要素に、接着剤によって固定するよりも可撓性を持たせることができる。
【0074】
隣接する身体部分の温度を正確に測定し、この温度信号をワイヤ1130を介してコンソール1150に送信するために、カバープレート1620とプラスチックシート1640との間に1つまたは複数のサーミスタ(または熱電対)1700(
図36)を位置決めすることができる。
【0075】
TECの基準面を銅片に取り付けるために使用される物質1530および/またはTECのユーザ面をプレートアセンブリに取り付けるために使用される物質1710は、TECの何らかの平面移動を可能にし、それによってHEM1100の可撓性/屈曲性を増大することができる熱伝導性パテまたは同様の物質(例えば、熱伝導性ペースト、パッドまたは可撓性接着剤)であってもよい。この物質は、50~100マイクロメートル程度と非常に薄くすることができ、例えば3W/mより大きい高い熱伝導率を有することができる。この物質は、硬質接着剤固定の代わりに使用することができる。
【0076】
生体適合性層1770は、カバープレート1620の外面に固定することができる。これは、より滑らかで、より快適で衛生的なHEMと身体部分との接触を提供する。層1770は、カバーアセンブリ1600の一部またはカバーアセンブリ1600に対する付加物と考えることができる。層1770は、プレート1620に固定することができ、交換可能なフィルムとすることができ、または熱伝導性シリコーンゲルのようなゲルとすることができる。TECアセンブリのTEC1510を囲むフィラー層1780を使用することができる。
【0077】
フィラー層1780は、例えば、TECのそれぞれを中に受容するための予め形成された穴を有する発泡体層またはコア複合材層であり得る。この層1780は、
図32および
図42に見ることができる。コア複合材料は、HEMに間隙絶縁および構造安定性を与えることができる。
【0078】
上述したように、カバープレート1620は、可撓性/屈曲性を提供するためにXおよび/またはY方向スロット1630を有して形成することができる。カバープレートの別の構造は、
図44のプレート1800によって示され、これは、相互接続された矩形プレート1840のアレイを形成するブリッジ1820の三目並べ配置を有する。xおよびyブリッジ1820の交差点は、穴1850とすることができる。プレート1800が金属、例えば銅から作られる場合、
図44に示す実施形態の構造によるブリッジ1820も同様である。
【0079】
代替的な熱分散カバーアセンブリ(または熱伝達アセンブリ)1900が
図45および
図48に示されている。カバーアセンブリ1900は、カバーアセンブリをともに保持し、可撓性プラスチックから作ることができるフレーム1910を含むことができ、一方、プレートアセンブリ1920は、金属から作ることができる。このプラスチック構造は、例えば、プレート1800の銅よりも大きい可撓性を有し、曲げ疲労を受けにくい。フレーム1910およびプレートアセンブリ1920に加えて、代替のカバーアセンブリ1900は、以下に詳細に説明するように、トレイアセンブリ1930を含むことができる。
【0080】
トレイアセンブリ1930は、TEC1510ごとに1つずつ、複数のトレイ1934を含むことができる。各トレイ1934は、それぞれのTEC1510を収容するための貫通穴1936を有する(
図46および
図47)。各トレイはまた、周縁リム1940をも有する。細長い可撓性ブリッジ1946が、隣接するトレイ1934の長辺のリム1940を相互接続する。より幅広でより短い可撓性ブリッジ1950が、隣接するトレイ1934の短辺のリム1940を相互接続する。
図47に見られるように、滑らかな曲線が、ブリッジを隣接するリム1940と接続することができる。ブリッジは、トレイアセンブリ1830がマトリックスタイプの構造を有するように、トレイ1934を相互に接続する。
【0081】
フレーム1810は、窓開口1964を形成するxおよびyバー1960を有する。バーは横断面において、
図47に示すように成形することができ、拡大ヘッド1970が、両端において滑らかに湾曲した隆起部またはブリッジ1974によって接続される。
【0082】
プレートアセンブリ1920は、隆起した周縁リップ1988を有する平坦な本体部材1984を有する複数の熱伝導性タイル1980(銅、アルミニウム、または高い熱伝導率を有するその他の材料)を含むことができる。拡大ヘッド1970は、カバーアセンブリが
図46および
図47に示すように組み立てられたときに、周縁リップ1988に引っ掛かりまたは嵌合する。拡大したヘッド1970は、リム1940内にある。ブリッジ1950は、適合した関係で隆起部1974上にある。理解され得るように、プレートアセンブリ(タイル)、トレイアセンブリ(タイル)およびフレーム(窓)の各々は、同じアレイ、例えば3×3アレイを形成し、これらは、それぞれのタイル1980と熱的に接触する(直接的にまたは接着剤などを使用して)ために各TECが貫通することができるように、組み立てられたときに整列する。
【0083】
タイル1980の各々は、その内面に固定されたそれ自体のサーミスタ(または熱電対)1996を有することができる。温度センサ1996は、隣接する身体部分の温度を一括して正確に測定する。
【0084】
身体部分との直接的な接触のために、タイルの底部に平滑、快適、清潔、かつ熱伝導性の表面を提供する複数の方法が、本開示の範囲内で存在する。一つは、皮膚への近接による熱抽出を最適化するために、例えば炭素繊維/ナノチューブ/銅メッシュ(熱伝導率を最適化するもの)で補強することができる生体適合性の熱伝導層1998を提供することである。この層は、永久的に固定され、きれいに拭き取ることができる。または、これは、塗布、使用、除去、および新たな層と交換することができる取り外し可能な層1998(
図48)とすることができる。
【0085】
別の実施形態は、きれいに拭くことができる適切な熱伝導性ラッカーを(金属)タイル980の底面に直接塗布することである。シリコーンゲルなどの薄い生体適合性の熱伝導性ゲルも、別の実施形態によるコーティングを提供することができる。さらなる実施形態は、HEMを挿入することができるスリーブまたはバッグ(図示せず)を提供することである。このバッグは、そのユーザ接触表面上に薄い生体適合性フィルム(上記のラインに沿って)を有することができる。各使用の後、バッグを取り出し、洗浄し、再使用することができる。
【0086】
本明細書の記載には多くの詳細が含まれるが、これらは、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきものではなく、現時点で好ましい実施形態のいくつかの例を提供したものにすぎない。したがって、本開示の範囲は、当業者に明らかになりうる他の実施形態をすべて包含することを認識されたい。
【0087】
特許請求の範囲において、要素を単数の要素として参照しているものは、特段の記載がない限り「1つおよび1つのみ」を意味しているものではなく、「1つ以上」を意味することを意図している。当業者に知られている開示された実施形態の要素と構造的、化学的および機能的に等価のものはすべて、本明細書に参照により明確に援用されたものとされ、本特許請求の範囲に包含されるものとする。さらに、本開示にない要素、構成部品または方法ステップは、その要素、構成部品または方法ステップが特許請求の範囲に明確に記載されているか否かにかかわらず、公にされるためのものであることが意図される。本願の請求項の要素は、「~するための手段」という表現を用いて明確に要素を記載していない限り、「ミーンズ・プラス・ファンクション」として解釈されるべきではない。本願の請求項の要素は、「~するためのステップ」という表現を用いて明確に要素を記載していない限り、「ステップ・プラス・ファンクション」として解釈されるべきではない。