(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】流路切替部材及び送液装置
(51)【国際特許分類】
A61M 39/02 20060101AFI20220707BHJP
F16K 11/065 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
A61M39/02
F16K11/065 Z
(21)【出願番号】P 2019046157
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】柿木 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】元岡 亮輔
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】実公昭49-010157(JP,Y1)
【文献】特開2000-139826(JP,A)
【文献】特表平10-507946(JP,A)
【文献】特表2008-517653(JP,A)
【文献】特開2004-173844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/02
F16K 11/065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1連通口、第2連通口及び第3連通口を備えるハウジングと、
コネクタが除去可能に配置されるコネクタ配置部と、
前記ハウジングに移動可能に保持されるとともに、前記コネクタ配置部への前記コネクタの配置によって第1位置に移動し、前記コネクタ配置部からの前記コネクタの除去によって第2位置に移動する可動部材とを有し、前記可動部材が、前記第1位置において前記第1連通口と前記第3連通口とを互いに連通させる第1連通路と、前記第1位置において前記第2連通口を閉塞する第2閉塞部と、前記第2位置において前記第2連通口と前記第3連通口とを互いに連通させる第2連通路と、前記第2位置において前記第1連通口を閉塞する第1閉塞部とを有する流路切替部材。
【請求項2】
前記ハウジングが、前記コネクタ配置部と、前記コネクタ配置部への前記コネクタの配置によって前記コネクタと解除可能に嵌合する嵌合部とを有し、
前記可動部材が、前記コネクタ配置部への前記コネクタの配置により、前記コネクタによって前記第2位置にある前記可動部材が前記第1位置まで移動するように押圧される被押圧部を有し、
前記ハウジングと前記可動部材との間に、前記第1位置にある前記可動部材が前記第2位置まで移動するように前記可動部材を付勢する付勢部材が設けられる、請求項1に記載の流路切替部材。
【請求項3】
前記嵌合部が、前記コネクタ配置部への前記コネクタの配置によって前記コネクタと解除可能にスナップ嵌合するスナップ嵌合部を有する、請求項2に記載の流路切替部材。
【請求項4】
前記ハウジングが、前記可動部材が前記第1位置と前記第2位置との間でスライド移動するように前記可動部材を案内する案内部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の流路切替部材。
【請求項5】
第1連通口、第2連通口及び第3連通口を備える流路切替部材と、
第1液体を収容する第1容器に連結する瓶針を備えるとともに前記瓶針と前記第1連通口とを連通させる第1流路を備える第1流路部材と、
第2液体を収容する第2容器に連結するコネクタを備えるとともに前記コネクタと前記第2連通口とを連通させる第2流路を備える第2流路部材とを有し、
前記流路切替部材が、
前記第1連通口、前記第2連通口及び前記第3連通口を備えるハウジングと、
前記コネクタが除去可能に配置されるコネクタ配置部と、
前記ハウジングに移動可能に保持されるとともに、前記コネクタ配置部への前記コネクタの配置によって第1位置に移動し、前記コネクタ配置部からの前記コネクタの除去によって第2位置に移動する可動部材とを有し、前記可動部材が、前記第1位置において前記第1連通口と前記第3連通口とを互いに連通させる第1連通路と、前記第1位置において前記第2連通口を閉塞する第2閉塞部と、前記第2位置において前記第2連通口と前記第3連通口とを互いに連通させる第2連通路と、前記第2位置において前記第1連通口を閉塞する第1閉塞部とを有する送液装置。
【請求項6】
第1液体を収容する第1収容空間を備える第1容器と、
第2液体を収容する第2収容空間を備える第2容器と、
第1連通口、第2連通口及び第3連通口を備える流路切替部材と、
前記第1収容空間と前記第1連通口とを連通させる第1流路を備える第1流路部材と、
前記第2収容空間と前記第2連通口とを連通させる第2流路を備える第2流路部材とを有し、前記第2流路部材が互いに着脱可能に連結する一対のコネクタを有し、
前記流路切替部材が、
前記第1連通口、前記第2連通口及び前記第3連通口を備えるハウジングと、
前記第2連通口の側に位置する前記一対のコネクタの一方である第1コネクタが除去可能に配置されるコネクタ配置部と、
前記ハウジングに移動可能に保持されるとともに、前記コネクタ配置部への前記第1コネクタの配置によって第1位置に移動し、前記コネクタ配置部からの前記第1コネクタの除去によって第2位置に移動する可動部材とを有し、前記可動部材が、前記第1位置において前記第1連通口と前記第3連通口とを互いに連通させる第1連通路と、前記第1位置において前記第2連通口を閉塞する第2閉塞部と、前記第2位置において前記第2連通口と前記第3連通口とを互いに連通させる第2連通路と、前記第2位置において前記第1連通口を閉塞する第1閉塞部とを有する送液装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流路切替部材及び送液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬液等の液体を体内へ送る送液ラインを形成する送液装置が知られている。送液ラインは、第1液体を体内へ送るメインラインと、第2液体をメインラインへ送るサブラインとを有する場合がある。その場合、送液装置は、第1液体を収容する第1収容空間を備える第1容器と、第2液体を収容する第2収容空間を備える第2容器と、第1連通口、第2連通口及び第3連通口を備える流路切替部材と、第1収容空間と第1連通口とを連通させる第1流路を備える第1流路部材と、第2収容空間と第2連通口とを連通させる第2流路を備える第2流路部材と、第3連通口と連通する第3流路を備える第3流路部材とを有し、第2流路部材が互いに着脱可能に連結する一対のコネクタを有する。第1容器、第1流路部材、流路切替部材及び第3流路部材により、メインラインが形成される。第2容器、第2流路部材及び流路切替部材により、サブラインが形成される。第1容器を交換することで、2種類以上の第1液体を順次送液することもできる。第2容器を交換することで、2種類以上の第2液体を順次送液することもできる。
【0003】
このような送液装置を用いて例えば抗癌剤を送液する場合には、第1液体(例えば、生理食塩液、制吐剤など)の送液と、第2液体(例えば、1種類以上の抗癌剤など)の送液とを、適切な順序で選択的に行う必要がある。つまり、第1液体のみが送液される状態と、第2液体のみが送液される状態との間で、送液状態の切替えを間違いなく行う必要がある。例えば特許文献1には、流路切替部材を三方活栓で構成した送液装置が記載されている。三方活栓の操作により、第1液体のみが送液される状態と、第2液体のみが送液される状態との間で、送液状態が切替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されるような送液装置を用いる場合には、三方活栓の操作を失念することにより、送液状態の適切な切替えが行われないおそれがある。送液状態の切替えの間違いを抑制することが望まれている。
【0006】
本開示は、このような点に鑑み、送液状態の切替えの間違いを抑制可能な流路切替部材及び送液装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様としての流路切替部材は、第1連通口、第2連通口及び第3連通口を備えるハウジングと、コネクタが除去可能に配置されるコネクタ配置部と、前記ハウジングに移動可能に保持されるとともに、前記コネクタ配置部への前記コネクタの配置によって第1位置に移動し、前記コネクタ配置部からの前記コネクタの除去によって第2位置に移動する可動部材とを有し、前記可動部材が、前記第1位置において前記第1連通口と前記第3連通口とを互いに連通させる第1連通路と、前記第1位置において前記第2連通口を閉塞する第2閉塞部と、前記第2位置において前記第2連通口と前記第3連通口とを互いに連通させる第2連通路と、前記第2位置において前記第1連通口を閉塞する第1閉塞部とを有する。
【0008】
本発明の1つの実施形態として、前記流路切替部材は、前記ハウジングが、前記コネクタ配置部と、前記コネクタ配置部への前記コネクタの配置によって前記コネクタと解除可能に嵌合する嵌合部とを有し、前記可動部材が、前記コネクタ配置部への前記コネクタの配置により、前記コネクタによって前記第2位置にある前記可動部材が前記第1位置まで移動するように押圧される被押圧部を有し、前記ハウジングと前記可動部材との間に、前記第1位置にある前記可動部材が前記第2位置まで移動するように前記可動部材を付勢する付勢部材が設けられる。
【0009】
本発明の1つの実施形態として、前記流路切替部材は、前記嵌合部が、前記コネクタ配置部への前記コネクタの配置によって前記コネクタと解除可能にスナップ嵌合するスナップ嵌合部を有する。
【0010】
本発明の1つの実施形態として、前記流路切替部材は、前記ハウジングが、前記可動部材が前記第1位置と前記第2位置との間でスライド移動するように前記可動部材を案内する案内部を有する。
【0011】
本発明の第2の態様としての送液装置は、第1連通口、第2連通口及び第3連通口を備える流路切替部材と、第1液体を収容する第1容器に連結する瓶針を備えるとともに前記瓶針と前記第1連通口とを連通させる第1流路を備える第1流路部材と、第2液体を収容する第2容器に連結するコネクタを備えるとともに前記コネクタと前記第2連通口とを連通させる第2流路を備える第2流路部材とを有し、前記流路切替部材が、前記第1連通口、前記第2連通口及び前記第3連通口を備えるハウジングと、前記コネクタが除去可能に配置されるコネクタ配置部と、前記ハウジングに移動可能に保持されるとともに、前記コネクタ配置部への前記コネクタの配置によって第1位置に移動し、前記コネクタ配置部からの前記コネクタの除去によって第2位置に移動する可動部材とを有し、前記可動部材が、前記第1位置において前記第1連通口と前記第3連通口とを互いに連通させる第1連通路と、前記第1位置において前記第2連通口を閉塞する第2閉塞部と、前記第2位置において前記第2連通口と前記第3連通口とを互いに連通させる第2連通路と、前記第2位置において前記第1連通口を閉塞する第1閉塞部とを有する。
【0012】
本発明の第3の態様としての送液装置は、第1液体を収容する第1収容空間を備える第1容器と、第2液体を収容する第2収容空間を備える第2容器と、第1連通口、第2連通口及び第3連通口を備える流路切替部材と、前記第1収容空間と前記第1連通口とを連通させる第1流路を備える第1流路部材と、前記第2収容空間と前記第2連通口とを連通させる第2流路を備える第2流路部材とを有し、前記第2流路部材が互いに着脱可能に連結する一対のコネクタを有し、前記流路切替部材が、前記第1連通口、前記第2連通口及び前記第3連通口を備えるハウジングと、前記第2連通口の側に位置する前記一対のコネクタの一方である第1コネクタが除去可能に配置されるコネクタ配置部と、前記ハウジングに移動可能に保持されるとともに、前記コネクタ配置部への前記第1コネクタの配置によって第1位置に移動し、前記コネクタ配置部からの前記第1コネクタの除去によって第2位置に移動する可動部材とを有し、前記可動部材が、前記第1位置において前記第1連通口と前記第3連通口とを互いに連通させる第1連通路と、前記第1位置において前記第2連通口を閉塞する第2閉塞部と、前記第2位置において前記第2連通口と前記第3連通口とを互いに連通させる第2連通路と、前記第2位置において前記第1連通口を閉塞する第1閉塞部とを有する。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、送液状態の切替えの間違いを抑制可能な流路切替部材及び送液装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る送液装置を示す外観図である。
【
図2】
図1に示す送液装置の流路切替部材の第1状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す送液装置の流路切替部材の第2状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る流路切替部材及び送液装置について詳細に例示説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る送液装置1は、第1容器2、第2容器3、本実施形態に係る流路切替部材4、第1流路部材5、第2流路部材6及び第3流路部材7を有する。第1容器2は、第1液体2aを収容する第1収容空間2bを有する。第2容器3は、第2液体3aを収容する第2収容空間3bを有する。流路切替部材4は、第1連通口4a、第2連通口4b及び第3連通口4cを有する。第1流路部材5は、第1収容空間2bと第1連通口4aとを連通させる第1流路5aを有する。第2流路部材6は、第2収容空間3bと第2連通口4bとを連通させる第2流路6aを有する。第3流路部材7は、第3連通口4cと連通する第3流路7aを有する。第1容器2、第1流路部材5、流路切替部材4及び第3流路部材7により、メインラインが形成される。第2容器3、第2流路部材6及び流路切替部材4により、サブラインが形成される。
【0017】
第1液体2aは、例えば、生理食塩液又は制吐剤であってよい。第1容器2は、例えば、輸液バッグであってよい。第1容器2は、他の第1容器2と交換可能であってよい。この場合、第1容器2を交換することで、2種類以上の第1液体2aを順次送液することもできる。例えば、第1液体2aとして生理食塩液を収容する第1容器2を第1流路部材5に連結して送液した後に、第1液体2aとして制吐剤を収容する他の第1容器2に交換してもよい。
【0018】
第2液体3aは、例えば、抗癌剤であってよい。第2容器3は、例えば、輸液バッグであってよい。第2容器3は、他の第2容器3と交換可能であってよい。この場合、第2容器3を交換することで、2種類以上の第2液体3aを順次送液することもできる。例えば、第2液体3aとして抗癌剤を収容する第2容器3を第2流路部材6に連結して送液した後に、第2液体3aとして他の種類の抗癌剤を収容する他の第2容器3に交換してもよい。
【0019】
第1流路部材5は、瓶針8及びチューブ9によって構成される。瓶針8は、第1容器2に連結する。チューブ9の上流端は、瓶針8に連結する。チューブ9の下流端は、流路切替部材4の第1連結部10aに連結する。第1連結部10aは、第1連通口4aを有する。
【0020】
第2流路部材6は、互いに着脱可能に連結する第1コネクタ11a及び第2コネクタ11b(以下、一対のコネクタ11a、11bとも言う)を有する。より具体的には、第2流路部材6は、第2容器3と一体的に形成された第2コネクタ11bと、第1コネクタ11aと、チューブ12とによって構成される。チューブ12の上流端は、第1コネクタ11aに連結する。チューブ12の下流端は、流路切替部材4の第2連結部10bに連結する。第2連結部10bは、第2連通口4bを有する。
【0021】
第3流路部材7は、チューブ13、点滴筒14、チューブ15及びコネクタ16によって構成される。チューブ15には、流量調整用のクレンメ17が取り付けられる。チューブ13の上流端は、流路切替部材4の第3連結部10cに連結する。第3連結部10cは、第3連通口4cを有する。チューブ13の下流端は、点滴筒14の上流端に連結する。チューブ15の上流端は、点滴筒14の下流端に連結する。チューブ15の下流端は、コネクタ16に連結する。コネクタ16は、患者などの体内に連通する流路を有する第4流路部材(図示省略)の上流端に設けられるコネクタ(図示省略)に連結する。第4流路部材は、例えばカテーテルによって構成される。
【0022】
送液装置1を用いて例えば抗癌剤を送液する場合には、第1液体2a(例えば、生理食塩液、制吐剤など)の送液と、第2液体3a(例えば、1種類以上の抗癌剤など)の送液とを、適切な順序で選択的に行う必要がある。つまり、第1液体2aのみが送液される状態と、第2液体3aのみが送液される状態との間で、送液状態の切替えを間違いなく行う必要がある。本実施形態においては、流路切替部材4を用いることにより、送液状態の切替えの間違いを抑制可能である。
【0023】
図2~
図5に示すように、本実施形態の流路切替部材4は、ハウジング18、コネクタ配置部19及び可動部材20を有する。ハウジング18は、第1連通口4aを備える第1連結部10aと、第2連通口4bを備える第2連結部10bと、第3連通口4cを備える第3連結部10cとを有する。コネクタ配置部19には、第1コネクタ11aが除去可能に配置される。可動部材20は、ハウジング18に移動可能に保持されるとともに、コネクタ配置部19への第1コネクタ11aの配置によって第1位置に移動し、コネクタ配置部19からの第1コネクタ11aの除去によって第2位置に移動する。可動部材20は、第1位置において第1連通口4aと第3連通口4cとを互いに連通させる第1連通路21aと、第1位置において第2連通口4bを閉塞する第2閉塞部22bを有する。また、可動部材20は、第2位置において第2連通口4bと第3連通口4cとを互いに連通させる第2連通路21bと、第2位置において第1連通口4aを閉塞する第1閉塞部22aとを有する。
【0024】
したがって、流路切替部材4の状態は、第1コネクタ11aがコネクタ配置部19に配置され可動部材20が第1位置にあり第1連通口4aのみが第3連通口4cに連通する第1状態と、第1コネクタ11aがコネクタ配置部19から除去され可動部材20が第2位置にあり第2流路4bのみが第3流路4cに連通する第2状態との間で切替えられる。
【0025】
ハウジング18は、コネクタ配置部19と、コネクタ配置部19への第1コネクタ11aの配置によって第1コネクタ11aと解除可能に嵌合する嵌合部23とを有する。嵌合部23は、コネクタ配置部19への第1コネクタ11aの配置によって第1コネクタ11aと解除可能にスナップ嵌合するスナップ嵌合部を有する。嵌合部23は、スナップ嵌合部に代え、又はスナップ嵌合部に加え、コネクタ配置部19への第1コネクタ11aの配置によって第1コネクタ11aと解除可能に押圧嵌合する押圧嵌合部を有してもよい。第1コネクタ11aは、円筒状の最外周壁11a1を有する。スナップ嵌合部は、互いに対向する一対の凸部23aによって構成されている。一対の凸部23aは、コネクタ配置部19への第1コネクタ11aの配置によって第1コネクタ11aの最外周壁11a1と解除可能にスナップ嵌合する。
【0026】
可動部材20は、コネクタ配置部19への第1コネクタ11aの配置により、第1コネクタ11aによって第2位置にある可動部材20が第1位置まで移動するように押圧される被押圧部24を有する。ハウジング18と可動部材20との間には、第1位置にある可動部材20が第2位置まで移動するように可動部材20を付勢する付勢部材25が設けられる。付勢部材25は、コイル状のばねによって構成されるが、これに限らず、コイル状以外のばねによって構成されてもよいし、磁石などの、ばね以外の部材によって構成されてもよい。ハウジング18は、可動部材20が第1位置と第2位置との間でスライド移動するように可動部材20を案内する案内部26を有する。
【0027】
ハウジング18は、前壁27、後壁28、上壁29、下壁30、左壁31及び右壁32を有する。前方とは、可動部材20が第1位置から第2位置に向けてスライド移動するときの移動方向(つまり、
図4における左方向)であり、後方とはその反対方向である。上方とは、第3連通口4cから第1連通口4aに向かう方向であり、下方とはその反対方向である。左右方向とは、前後方向と上下方向との両方と垂直な方向である。前壁27及び後壁28は、それぞれ、前後方向と垂直に延在する平板状であり、互いに前後方向に対向している。上壁29及び下壁30は、それぞれ、上下方向と垂直に延在する平板状であり、互いに上下方向に対向している。左壁31及び右壁32は、それぞれ、左右方向と垂直に延在する平板状であり、互いに左右方向に対向している。
【0028】
前壁27及び後壁28は、それぞれ、左右方向に延在する上端縁と、左右方向に延在する下端縁と、上下方向に延在する左側縁と、上下方向に延在する右側縁とを有する。上壁29は、前壁27の上端縁と後壁28の上端縁とを連結する。下壁30は、前壁27の下端縁と後壁28の下端縁とを連結する。左壁31は、上壁29の左側縁と下壁30の左側縁とを連結する。右壁32は、上壁29の右側縁と下壁30の右側縁とを連結する。
【0029】
上壁29は、左方向に開口する半長円形状の切欠き部29aを有する。下壁30は、切欠き部29aの真下に位置する半長円形状の載置部30aを有する。左壁31は、切欠き部29aと載置部30aとの間に位置する間欠部31aを有する。左壁31は、間欠部31aと、間欠部31aより前方に位置する第1壁部31bと、間欠部31aより後方に位置する第2壁部31cとから構成される。
【0030】
ハウジング18は、切欠き部29aの前端部と載置部30aの前端部とを連結する湾曲板状の前方連結壁33と、切欠き部29aの後端部から垂下する湾曲板状の後方垂下壁34とを有する。後方垂下壁34の下端面と下壁30の上面との間には隙間35が形成される。スナップ嵌合部を構成する一対の凸部23aの一方は、前方連結壁33に位置し、一対の凸部23aの他方は、後方垂下壁34に位置する。コネクタ配置部19は、切欠き部29a、前方連結壁33、後方垂下壁34及び載置部30aによって構成される。案内部26は、上壁29、下壁30、左壁31及び右壁32によって構成される。
【0031】
可動部材20は、直方体形状の基部20aと、基部20aの後面における右下部から後方に延在する延長部20bとを有する。基部20aは、第1連通路21a、第2連通路21b、第1閉塞部22a及び第2閉塞部22bを有する。第1連通路21aの上端、第2連通路21bの上端、第1閉塞部22a及び第2閉塞部22bは、基部20aの上面に位置する。第1連通路21aの下端及び第2連通路21bの下端は、基部20aの下面に位置する。基部20aの上面が上壁29に案内され、基部20aの下面が下壁30に案内され、基部20aの左面が左壁31の第1壁部31bに案内され、基部20aの右面が右壁32に案内されることにより、可動部材20がハウジング18に対して前後方向にスライド移動する。
【0032】
延長部20bは、第2状態において、基部20aから、前方連結壁33の右側縁と右壁32との間の隙間36と、後方垂下壁34の下端面と下壁30の上面との隙間35とを通って後方に延在している。延長部20bは、被押圧部24を有する。被押圧部24は、前方から後方に向けて左方向に傾くテーパ面によって構成される。被押圧部24は、第2状態において、コネクタ配置部19の内部に飛び出している。延長部20bは、延長部20bの後面に位置するとともに前後方向に延在する円柱形状の凹部を有する。当該凹部の端面上には、付勢部材25の一端が位置する。付勢部材25の他端は、後壁28の前面上に位置する。
【0033】
ハウジング18は、複数の一体成形部材から構成される。可動部材20は、1つの一体成形部材から構成されるが、複数の一体成形部材から構成されてもよい。ハウジング18及び可動部材20は、それぞれ、合成樹脂製であってよいが、これに限らない。
【0034】
使用者が、
図2及び
図4に示す第1状態において、第1コネクタ11aをコネクタ配置部19から除去すると、可動部材20が付勢部材25によって前進し、流路切替部材4が、
図3及び
図5に示す第2状態となる。また、使用者が、
図3及び
図5に示す第2状態において、第1コネクタ11aをコネクタ配置部19に配置すると、この配置に伴って右方向に移動する第1コネクタ11aの最外周壁11a1が被押圧部24を後方に押圧し、それによって可動部材20が後退し、流路切替部材4が、
図2及び
図4に示す第1状態となる。
【0035】
送液装置1によれば、第1液体2aを送液するためには、第1コネクタ11aを流路切替部材4のコネクタ配置部19に配置する操作が必要である。この操作は、第2液体3aを収容する第2容器3がメインラインに連結されないことを保証する。また、送液装置1によれば、第2液体3aを送液するためには、流路切替部材4のコネクタ配置部19から第1コネクタ11aを除去し、第2コネクタ11bに連結する操作が必要である。この操作は、流路切替部材4が第2状態となり、第1液体2aが送液されないことを保証する。したがって、送液装置1によれば、送液状態の切替えの間違いを抑制可能である。
【0036】
また、送液装置1によれば、第2液体3aを送液しないときには、第1コネクタ11aを流路切替部材4のコネクタ配置部19に配置しておくことができる。このとき、第1コネクタ11aの先端部はコネクタ配置部19を構成する載置部30aによって覆われるので、第1コネクタ11aの先端部の衛生状態を良好に維持することができる。
【0037】
前述した実施形態は、本発明の実施形態の一例にすぎず、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0038】
1 送液装置
2 第1容器
2a 第1液体
2b 第1収容空間
3 第2容器
3a 第2液体
3b 第2収容空間
4 流路切替部材
4a 第1連通口
4b 第2連通口
4c 第3連通口
5 第1流路部材
5a 第1流路
6 第2流路部材
6a 第2流路
7 第3流路部材
7a 第3流路
8 瓶針
9 チューブ
10a 第1連結部
10b 第2連結部
10c 第3連結部
11a 第1コネクタ
11a1 最外周壁
11b 第2コネクタ
12 チューブ
13 チューブ
14 点滴筒
15 チューブ
16 コネクタ
17 クレンメ
18 ハウジング
19 コネクタ配置部
20 可動部材
20a 基部
20b 延長部
21a 第1連通路
21b 第2連通路
22a 第1閉塞部
22b 第2閉塞部
23 嵌合部
23a 凸部(スナップ嵌合部)
24 被押圧部
25 付勢部材
26 案内部
27 前壁
28 後壁
29 上壁
29a 切欠き部
30 下壁
30a 載置部
31 左壁
31a 間欠部
31b 第1壁部
31c 第2壁部
32 右壁
33 前方連結壁
34 後方垂下壁
35、36 隙間