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特許7101157鉄道車両のトイレユニットの内装パネル接続構造
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  • 特許-鉄道車両のトイレユニットの内装パネル接続構造 図1
  • 特許-鉄道車両のトイレユニットの内装パネル接続構造 図2
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  • 特許-鉄道車両のトイレユニットの内装パネル接続構造 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】鉄道車両のトイレユニットの内装パネル接続構造
(51)【国際特許分類】
   B61D 17/18 20060101AFI20220707BHJP
【FI】
B61D17/18
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019193354
(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公開番号】P2021066332
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000163372
【氏名又は名称】近畿車輌株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】磯見 謙二
(72)【発明者】
【氏名】原田 貴
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭太
【審査官】岩本 薫
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-218486(JP,A)
【文献】特開2003-341508(JP,A)
【文献】実開昭62-146830(JP,U)
【文献】特開2012-013214(JP,A)
【文献】特開2014-080191(JP,A)
【文献】特開昭61-119461(JP,A)
【文献】特開2013-103596(JP,A)
【文献】特開2011-025828(JP,A)
【文献】特開平07-172306(JP,A)
【文献】特開2004-268765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面T形のT溝部が外面側の端縁に沿って設けられた内装パネルと、
ネジ軸及び前記T溝部に対して摺動可能に係合する頭部を有する締結体と、
前記ネジ軸を通す複数の軸通し部が形成され、前記締結体によって前記軸通し部が隣接する前記内装パネルのそれぞれの前記T溝部に締結される連結金具と
を備えたことを特徴とする鉄道車両のトイレユニットの内装パネル接続構造。
【請求項2】
前記連結金具の前記軸通し部に合わせて前記ネジ軸の位置を保持する位置合せ部が形成され、前記T溝部と前記連結金具との間に介装される、ライナーを備えたことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両のトイレユニットの内装パネル接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内又は車両外の何れに於いても組み立てが容易になるように内装パネルが分割構成された、鉄道車両のトイレユニットの内装パネル接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両のトイレユニットとは、車両とは独立して構成されたトイレ室であって、車両内に入れ子状に配置されるものをいう。このトイレユニットは、上下二分割で構成されたFRP材によるパーツを完全に組み立てた後に車内に搬入するアウトワークの工法が採用されることが多い。この場合、組み上がったトイレユニットは高重量のために搬入作業が容易ではない。また、車体側に大きな搬入口を設ける必要がある。
【0003】
一方、分割した内装パネルを車内に順に搬入し、車体側に設けられた受骨に現合でネジ止めすることにより組み立てる従来工法も知られている。この従来工法について説明する。
【0004】
図6は、従来の内装パネルの接合構造を示している。車体の内面側に、受骨として複数の車体部材101が設けられている。これら車体部材101には支持用金具102が取り付けられている。内装パネル100は、支持用金具102に対して接合される。接合には、ネジ又はブラインドリベット103が用いられ、反客室側の面からネジ止め又はリベット打ちの作業が行われる。
【0005】
このような内装構造においては、軽量の複合材による内装パネル100を一枚ずつ車内に搬入して作業を行うことができるので、作業負担が軽減される。
【0006】
また、上記の内装構造によれば、車内で組み立てることができるので、車体側に大きな搬入口を設ける必要はない。このような技術については、特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-080191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図6に示したような従来の接合構造では、ネジ又はブラインドリベット103を用いて順番に組み立てられるので、仮止め状態にしておいて全体を確認しながら微調整を行うといった作業を行うことができない。
【0009】
また、他の作業状況に応じて、車外である程度組み立てた後、車内に搬入するといったこともできないので、組み立て作業における自由度は低い。
【0010】
さらに、軽量化のために内装パネル100の薄型化が進むと、一方側の面材のみにネジ又はブラインドリベット103の下穴を形成する作業が困難になり、熟練を要する。
【0011】
そこで、本発明は、車外及び車内の何れにおいても組み立てが可能であり、位置合わせのための微調整が容易な鉄道車両のトイレユニットの内装パネル接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の鉄道車両のトイレユニットの内装パネル接続構造は、断面T形のT溝部が外面側の端縁に沿って設けられた内装パネルと、ネジ軸及び前記T溝部に対して摺動可能に係合する頭部を有する締結体と、前記ネジ軸を通す複数の軸通し部が形成され、前記締結体によって前記軸通し部が隣接する前記内装パネルのそれぞれの前記T溝部に締結される連結金具とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の鉄道車両のトイレユニットの内装パネル接続構造は、上記構成に加えて、前記連結金具の前記軸通し部に合わせて前記ネジ軸の位置を保持する位置合せ部が形成され、前記T溝部と前記連結金具との間に介装される、ライナーを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、内装パネルのT溝部同士が締結体と連結金具とを介して接続される。締結体の位置合せは連結金具に対してだけ行えば良いので、作業効率の向上が図られる。また、締結体の頭部は内装パネルのT溝部に対して摺動可能に配置されるので、完全に締結されるまでは位置変更を自在に行うことができる。これにより、組み立ての際の微調整が容易になる。
【0015】
また、本発明によれば、上記効果に加えて、T溝部と連結金具との間に介装されるライナーには、連結金具の軸通し部に合わせて締結体のネジ軸を保持する位置合せ部が形成されている。これにより、重量などの関係により連結金具よりも比較的に扱い易いライナーに対して締結体の位置合せを行うことができるので、複数のボルトの位置決め作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る内装パネル接続構造を示す斜視図である。
図2図1の内装パネル接続構造の横断面図である。
図3図1の内装パネル接続構造の分解状態を示した斜視図である。
図4図1の内装パネル接続構造の接続工程を示し、(a)は基準となるパネルの設置工程、(b)は隣接パネルの設置工程、(c)はボルトのT溝投入工程、(d)はボルトの仮配置工程、(e)は連結金具配置工程、(f)は締結工程を示した図である。
図5】ライナーの変形例を示す図である。
図6】従来の内装パネルの接合構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る鉄道車両のトイレユニットの内装パネル接続構造について図を用いて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る内装パネル接続構造1を示す斜視図である。ここでは、説明の便宜のため、構成の一部を破断させて図示している。以降、内装パネル接続構造1を単に接続構造1と呼ぶこととする。
【0019】
図1に接続状態で示されている2枚の内装パネル2、3は、軽量化のため、塩ビ発泡材又はハニカムコアを面板で挟み込んだ構造を採用している。これら内装パネル2、3の端縁に沿ってT溝部4a、5aが形成されている。なお、図1では、接続部周辺を拡大して図示しているので、内装パネル2、3の一端縁だけが表れているが、接続が必要な端縁には全てT溝部が形成されている。このような構造は、特に、鉄道車両のトイレユニットを構成する際に有用である。
【0020】
T溝部4a、5aは、室外側に形成されており、室内側には、内装パネル2、3同士の
合わせ目だけが表れる。T溝部4a、5a内には、摺動可能にボルト6(締結体)の頭部6aが収容され、ネジ軸6bが室外側へ突出するように配置されている。これらのボルト6は、隣接する内装パネル2、3のそれぞれのT溝部4a、5aを共に覆うように配置される連結金具8に対して締結される。
【0021】
本実施の形態に係る構成では、この連結金具8にはチャンネル鋼が用いられている。そして、連結金具8とT溝部4a、5aとの間には、締結状態を安定させるためにライナー10が介装されている。それぞれのボルト6は、ライナー10に形成された位置合せ孔10a(位置合せ部)を通して、連結金具8の軸通し孔8a(軸通し部)に貫通配置される(位置合せ孔10aについては、後述の図3を参照。)。
【0022】
このように、内装パネル2、3同士は、それぞれのT溝部4a、5a内に収容されたボルト6と、これらボルト6により締結される連結金具8を介して連結状態を固定される。次に、この接続構造を別の角度から説明する。
【0023】
図2は、内装パネル接続構造1の横断面図である。
【0024】
図2に見て取れるように、一方の内装パネル2の端縁に他方の内装パネル3の端縁の一部を重ねるようにして接続されている。また、T溝部4a、5aは、内装パネル2、3の端縁のフレーム材4、5と一体に形成されているのが分かる。本実施の形態では、隣接する内装パネル2、3同士では、端縁の形状が非対称に構成されている。具体的には、一方の内装パネル3の端縁からは、室外側へ突出し、T溝部4a、5a同士の間に形成される空間を埋めるように、段差状に張り出した張出部5bが形成されている。
【0025】
すなわち、フレーム材4、5の強度を低下させないように端縁近傍の板厚は略一定の状態を保ちながら、T溝部4a、5a同士の間の空間を利用して両者を重ね合わせる構造が採用されている。この張出部5bとT溝部4a、5aの外面の位置を揃えれば、連結金具8によって面で支持することができるので、連結金具8の接合状態を安定させることが可能である。
【0026】
また、上述の張出部5bの長さL2は、張出部5bの形成されていない内装パネル2側において重ね合わせることが可能な領域の長さL1よりも長くなるように構成されている。この長さL1は、室外側に突出して形成されるT溝部4aのうち、張出部5bの先端が当接可能な側の当接壁4bと、内装パネル2の端縁との間の長さである。これにより、隣接する内装パネル2、3同士を突き合わせた際、先に室外側の張出部5bが相手側の内装パネル2の当接壁4bと突き当たる。よって、室内側の面では互いの内装パネル2、3同士の衝突を回避できるので、室内側の損傷を防止することが可能である。
【0027】
さらに、図2に示したように、締結固定される際、張出部5bと相手方の内装パネル2の当接壁4bとの間に隙間が形成されるような寸法に設定されていれば、設置の際に生じる誤差を吸収することが可能である。
【0028】
この場合、例えば、連結金具8の軸通し孔8a(後に図3を参照して説明する。)の少なくとも一方を、水平方向へ延びる長孔で形成しておくと、容易に微調整が可能であり、設置作業の自由度が向上する。続いて、個別部材の構造を分解図によって示しながら、組み立ての工程について説明する。
【0029】
図3は、内装パネル接続構造1の分解状態を示した斜視図である。また、図4は、内装パネル接続構造1の接続工程を示した工程図である。図4(a)は基準となるパネルの設置工程、(b)は隣接パネルの設置工程、(c)はボルト6のT溝部4a、5a投入工程
、(d)はボルト6の仮配置工程、(e)は連結金具8配置工程、(f)は締結工程を示している。
【0030】
ここからは、図3の分解図を参照しながら、図4を併用して組み立ての工程について説明する。
【0031】
まず、図3を参照する。
【0032】
上述のように、隣接する内装パネル2、3の端縁同士は一方が他方に対して室外側で重なるように非対称に構成されている。T溝部4a、5aを有する内装パネル2、3のフレーム材4、5の部分には、軽量化や加工の容易さなどの理由からアルミの押出成型材が用いられることが多い。よって、T溝部4a、5a内は均等な空間が形成されており、図3に示したように上端からボルト6を落とし込むことにより、容易にボルト6を仮収容することが可能である。
【0033】
ここで図4を参照する。
【0034】
図4(a)には、基準となる内装パネル2として張り出しの形成されていない側が選択されている。しかしこれは一例であって、逆に、張出部5bが形成されている内装パネル3を最初に設置しても構わない。ここで望ましいのは、最初に屈曲形状を有している内装パネルを設置することである。支えが殆どない最初の内装パネルが安定しているほど、連設する内装パネルを追加設置する作業が安定するからである。少なくとも一箇所に屈曲形状を有していれば良い。これは、車内及び車外の何れで設置作業を行う場合にも当てはまる。
【0035】
ところで車内設置の場合は、車外ほど設置作業の自由度が高くない。すなわち、狭い車内空間では、後の作業に支障が生じないようにスペースを確保しながら作業を進める必要がある。そのため、障害とならない壁側から組み立てる方が作業が容易である。
【0036】
これらの事情により、図4(a)の最初の設置においては、壁側の配置であり、且つ、屈曲形状を有する内装パネルを選択することが望ましい。
【0037】
図4(b)の工程では、室内面を一致させるように隣接の内装パネル2、3が設置される。そして図4(c)の工程では、それぞれのT溝部4a、5a内にボルト6の頭部6aが落とし込まれる。この状態では、まだ、ボルト6の高さ方向の位置決めは行われない。
【0038】
図3を再び参照する。
【0039】
T溝部4a、5aの下方に落とし込まれたボルト6の高さ方向の位置決めを行うのに、ライナー10が利用される。ライナー10には、連結金具8の軸通し孔8aに一致する位置合せ孔10aが形成されている。これにより、予め、ボルト6のネジ軸6bをライナー10の位置合せ孔10aに通しておくと、後に連結金具8を配置するのが容易になる。
【0040】
本実施の形態に係る構成の場合、ライナー10はそれぞれのT溝部4a、5aに対して個別に設けられているので扱いが容易であり、順に1本ずつネジ軸6bを位置合せ孔10aに通していけば、殆ど作業負担は生じず、一人の作業者で作業ができる。仮に、連結金具8に対して位置決めを行わずに設置する場合、一人の作業者だけでは難しい。特に、車両内での組みたてのように作業スペースが限られている場合などにおいて、この違いは顕著である。
【0041】
図4(d)に戻って、ボルト6の高さがライナー10によって位置決めされる。この状
態では、ライナー10の一部を押さえればボルト6が外れて落下することはない。
したがって、それぞれのライナー10を支持しながら内装パネル2、3同士の位置を微調整することも可能である。この状態で、図4(e)のように連結金具8を配置することは容易である。そして最後に、それぞれのボルト6を締結することで接続が完了する(図4(f))。
【0042】
なお、図4(a)から(f)の順に組み立ての手順を説明したが、本構成によれば、解体する際においても、T溝部4a、5aに沿ってライナー10を引き抜くことにより全てのボルト6を一度に回収することも可能であり、作業効率が向上する。
【0043】
図5は、ライナー10の変形例を示す図である。
【0044】
図5では、ライナー10の上方の一部を拡大して示している。図中に点線で表しているのは、ボルト6のネジ軸6bである。このように、ボルト6の位置合わせを行うための構造としては、図3に示したような位置合せ孔10a以外に、切り欠き11aによる構成でも構わない。そして、このような切り欠き11a(位置合せ部)による構成は、全ての位置合せ部において同じ向きに揃える必要もない。例えば、左右交互に形成すると、一方向に外れることを防止することができる。
【0045】
また、位置合せ孔10aと切り欠き11aを組み合わせると位置合せ孔10aによる安定性の確保と、切り欠き11aによる作業負担の軽減が可能である。
【0046】
本実施の形態に係る構成では、内装パネルを横方向に接続する構成を例として示したが、高さ方向へ接続する場合には、切り欠きの形成されたライナーを上方から引っ掛けるようにして位置合せを行うことができるので、より適しているといえる。
【0047】
以上に述べてきたような構成は本発明の一例であり、以下のような変形例も含まれる。
【0048】
上記の実施の形態では、隣接する内装パネル2、3が同一平面を形成するように接続される構成を例として示した。しかし、屈曲部分に跨るように接続構造を用いる構成であっても構わない。この場合は、湾曲又は屈曲形成された連結金具8が用いられる。
【0049】
また、上記の実施の形態では、隣接する内装パネル2、3のそれぞれのT溝部4a、5aに対して個別にライナー10が設けられた構成を例として示した。しかし、2つのT溝部4a、5aを共に覆うように単一のライナー10で構成しても構わない。
【0050】
また、上記の実施の形態では、連結金具8としてチャンネル鋼を用いた構成を例として示した。このようにチャンネル鋼を用いると、横に配置する補強材との接続が容易になるという利点がある。しかし、横材が必要のない場所では、チャンネル鋼以外の形状であっても構わない。例えば、平板、湾曲板、屈曲板、アングル材でも構わない。
【0051】
また、上記の実施の形態では、T溝部4a、5aと連結金具8とを締結する締結体として頭部6aがT溝部4a、5a内に収容できるボルト6が採用されている構成を例として示した。しかし、T溝部4a、5a内を係合状態で摺動可能な構成であれば、Tスロットナットとスタッドボルト6の組み合わせであっても構わない。さらに、頭部6aが六角形に形成されていないTスロットボルト6であっても構わない。
【0052】
また、上記の実施の形態では、組み立ての工程において、T溝部4a、5a内にボルト6を投入した後、ライナー10に対してボルト6の高さ方向の仮の位置決めを行う工程について説明した。しかし、ライナー10に対してボルト6のネジ軸6bが安定して保持で
きるのであれば、先に、ライナー10に必要数のボルト6を配置しておき、その後、T溝部4a、5a内に順にボルト6の頭部6a側を滑り込ませるという手順であっても構わない。この方法によれば、水平方向にT溝部4a、5aが形成されている場合であってもライナー10と共に順に送り込むことができるので、作業効率が向上する。
【0053】
また、上記の実施の形態では、隣接する内装パネル2、3のうち一方側にのみ張出部5bが形成されている構成を例として示した。しかし、これに限らず、室内側と室外側との間で隙間を生じないような構成であれば、隣接配置される内装パネルの少なくとも一方の室外側に、隣接する他方の内装パネルの端縁と重なり合う張出部が形成されている構成であっても構わない。ここで、「少なくとも一方」とは、高さ方向の全領域で一方側のみに張出部を設ける構成に限らないことも含む。例えば、高さ方向の特定の領域においては、張出部の設けられる側が入れ替わるような構造でも構わない。ただし、実施の形態に示したように、隣接する内装パネル2、3同士の隙間は、室外側で跨ぐように配置される連結金具8により覆われるので、この張出部5bは必須の構造ではない。張出部5bに代用できる構成としては、内装パネル同士の隙間を覆うことのできるライナーや、隣接するT溝部間に対向する一部を突出させて段差を埋めることのできる構造を有した連結金具でも構わない。
【0054】
また、上記の実施の形態では、垂直に設置する側方の内装パネル2、3同士の接続構造を例として示した。しかし、床部材との接続や天井部材との接続など、水平方向に接続する構造や、直交する方向に接続する構造に対しても適用可能である。
【0055】
また、上記の実施の形態では、連結金具8に形成されたボルト6のネジ軸6bを通す軸通し部の例として、貫通孔により形成された軸通し孔8aの構成を示した。しかし、安定して締結できる構成であれば、貫通孔でなくても構わない。例えば、アングル材などを連結金具8として採用する場合などであれば、側方から切り込まれた切り欠き11aを軸通し部8aとすることも可能である。
【0056】
また、上記の実施の形態では、T溝部4a、5aは、内装パネル2、3の端縁のフレーム材と一体形成された構成を例として示した。しかし、フレーム材とは別部材で形成したT溝部を内装パネルの端縁に配置する構成でも構わない。また、端縁の全域ではなく、必要な範囲にだけT溝部を配置しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の鉄道車両のトイレユニットの内装パネル接続構造は、T溝内に配置したボルトと連結金具を介して隣接する内装パネルを接続するので、T溝の延びる方向に対する設計自由度が高い。これにより汎用的に様々なパネル設置に利用可能である。作業効率の向上を図ることができるので、特に、仮設の構造物などにおいて有用である。
【符号の説明】
【0058】
1 内装パネル接続構造
2、3 内装パネル
4、5 フレーム材
4a、5a T溝部
4b 当接壁
5b 張出部
6 ボルト(締結体)
6a 頭部
6b ネジ軸
8 連結金具
8a 軸通し孔(軸通し部)
10、11 ライナー
10a 位置合せ孔(位置合せ部)
11a 切り欠き(位置合せ部)
100 内装パネル
101 車体部材
102 支持用金具
103 ブラインドリベット
図1
図2
図3
図4
図5
図6