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特許7101168有核ポリエチレンブレンド及びそれらの成形品への使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】有核ポリエチレンブレンド及びそれらの成形品への使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/06 20060101AFI20220707BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20220707BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
C08L23/06
C08L23/08
C08K5/098
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019515402
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 IB2017055582
(87)【国際公開番号】W WO2018055493
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】2942493
(32)【優先日】2016-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(73)【特許権者】
【識別番号】513269848
【氏名又は名称】ノヴァ ケミカルズ(アンテルナショナル)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シャオチュアン
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-510333(JP,A)
【文献】特表2006-501351(JP,A)
【文献】特開2015-044907(JP,A)
【文献】特開2008-056770(JP,A)
【文献】特表2014-526577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 - 101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5~95重量パーセントのポリエチレンホモポリマー組成物と、95~5重量パーセントの二峰性ポリエチレンコポリマーとを含むポリエチレンブレンドであって、
ポリエチレンホモポリマー組成物は、
(I)0.950~0.975g/cmの密度を有する5~70重量%の第1のエチレンホモポリマーと、
(II)0.950~0.975g/cmの密度を有する95~30重量%の第2のエチレンホモポリマーと
を含み、
第1のエチレンホモポリマーのメルトインデックスIに対する第2のエチレンホモポリマーのメルトインデックスIの比が、少なくとも10であり、
ポリエチレンホモポリマー組成物は、核形成剤又は核形成剤の混合物を含
二峰性ポリエチレンコポリマーは、
(III)0.4g/10分未満のメルトインデックスI と、0.925~0.950g/cm の密度とを有する10~70重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(IV)100~20,000g/10分のメルトインデックスI と、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが0.967g/cm 未満の密度とを有する90~30重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも0.037g/cm 未満高く、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)が、0.5よりも大きい、
ポリエチレンブレンド。
【請求項2】
ポリエチレンブレンドが、ゲル浸透クロマトグラフにおいて二峰性プロファイルを有する、請求項に記載のポリエチレンブレンド。
【請求項3】
ポリエチレンブレンドが、0.951~0.971g/cmの密度を有する、請求項に記載のポリエチレンブレンド。
【請求項4】
ポリエチレンブレンドが、1.0~10.0g/10分のメルトインデックスIを有する、請求項に記載のポリエチレンブレンド。
【請求項5】
ポリエチレンブレンドが、3.0~13.0の分子量分布M/Mを有する、請求項に記載のポリエチレンブレンド。
【請求項6】
ポリエチレンブレンドが、20~80重量パーセントのポリエチレンホモポリマー組成物と、80~20重量パーセントの二峰性ポリエチレンコポリマーとを含む、請求項に記載のポリエチレンブレンド。
【請求項7】
ポリエチレンブレンドが、約10~60重量パーセントのポリエチレンホモポリマー組成物と90~40重量パーセントの二峰性ポリエチレンコポリマーとを含む、請求項に記載のポリエチレンブレンド。
【請求項8】
核形成剤又は核形成剤の混合物が、ジカルボン酸の塩を含む、請求項に記載のポリエチレンブレンド。
【請求項9】
エチレンホモポリマー組成物が、100~3,000ppmの核形成剤又は核形成剤の混合物を含む、請求項に記載のポリエチレンブレンド。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9に記載のポリエチレンブレンドを含む圧縮成形品。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9に記載のポリエチレンブレンドを含む射出成形品。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9に記載のポリエチレンブレンドを含むクロージャ。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9に記載のポリエチレンブレンドを含むフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
核形成剤を含むポリエチレンホモポリマー組成物と、二峰性ポリエチレンコポリマーとを含むポリエチレンブレンドが提示される。そのようなブレンドは、キャップ及びクロージャのような成形品の形成において、又はフィルムの形成において使用され得る。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンホモポリマー組成物は、それらが適切な核形成剤を含むときに良好な水蒸気透過速度を有することが知られている(米国特許出願公開US2015/0203671号、US2013/0225743号、US2011/0143155号、US2009/0029182号及びUS2008/0118749号参照)。
【0003】
第1のエチレンコポリマーと第2のエチレンコポリマーとを含み、第2のエチレンコポリマーは、第1のエチレンコポリマーよりも高い密度及び高いメルトインデックスメルトインデックスIを有するが、第1のエチレンコポリマーよりも低いコモノマー含有量を有する、二峰性ポリエチレンコポリマー組成物が、ボトル用クロージャのような成形品の形成に使用されてきている(米国特許US9,371,442号、米国特許US9,221,966号及び米国特許第8,962,755号参照)。
【0004】
我々はここで、有核(nucleated)ポリエチレンホモポリマー組成物と二峰性(bimodal)ポリエチレンコポリマーの両方を含むポリエチレンブレンドを報告する。
【0005】
このブレンドは、環境応力亀裂抵抗、剛性及び加工性のバランスが良く、成形品の製造に有用である。
【0006】
このブレンドはまた、ボトル用クロージャのような成形品を製造するのに使用したときに良好な酸素透過率を提供する。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一実施形態において、5~95重量パーセントのポリエチレンホモポリマー組成物と、95~5重量パーセントの二峰性ポリエチレンコポリマーとを含むポリエチレンブレンドが提供され、ポリエチレンホモポリマー組成物は核形成剤又は核形成剤の混合物を含む。
【0008】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、
(I)0.950~0.975g/cmの密度を有する5~70重量%の第1のエチレンホモポリマーと、
(II)0.950~0.975g/cmの密度を有する95~30重量%の第2のエチレンホモポリマーと
を含み、
第1のエチレンホモポリマーのメルトインデックスIに対する第2のエチレンホモポリマーのメルトインデックスIの比が少なくとも10である。
【0009】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、
(III)0.4g/10分未満のメルトインデックスIと、0.925~0.950g/cmの密度とを有する10~70重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(IV)100~20,000g/10分のメルトインデックスIと、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが0.967g/cm未満の密度とを有する90~30重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第2のエチレンコポリマーの密度は、0.037g/cm未満、第1のエチレンコポリマーの密度より高く、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は0.5よりも大きい。
【0010】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、ゲル浸透クロマトグラフにおいて二峰性プロファイルを有する。
【0011】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、0.951~0.971g/cmの密度を有する。
【0012】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、1.0~10.0g/10分のメルトインデックスIを有する。
【0013】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、3.0~13.0の分子量分布M/Mを有する。
【0014】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、ポリエチレンブレンドの重量を基準にして20~80重量パーセントのポリエチレンホモポリマー組成物と80~20重量パーセントの二峰性ポリエチレンコポリマーとを含む。
【0015】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、ポリエチレンブレンドの重量を基準にして約10~60重量パーセントのポリエチレンホモポリマー組成物と90~40重量パーセントの二峰性ポリエチレンコポリマーとを含む。
【0016】
本開示の一実施形態では、核形成剤又は核形成剤の混合物は、ジカルボン酸の塩を含む。
【0017】
本開示の一実施形態では、エチレンホモポリマー組成物は、100~3000ppmの核形成剤又は核形成剤の混合物を含む。
【0018】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドを含む圧縮成形品が提供される。
【0019】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドを含む射出成形品が提供される。
【0020】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドを含むクロージャが提供される。
【0021】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドを含むフィルムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本開示の実施形態で使用したポリエチレンホモポリマー組成物である「ブレンド成分A」のゲル透過クロマトグラフを示す。
【0023】
図2図2は、本開示の実施形態で使用した二峰性ポリエチレンコポリマーである「ブレンド成分B」のゲル浸透クロマトグラフを示す。
【0024】
図3図3は、ポリエチレンブレンドNo.1のゲル浸透クロマトグラフを示す。
【0025】
図4図4は、ポリエチレンブレンドNo.2のゲル浸透クロマトグラフを示す。
【0026】
図5図5は、ポリエチレンブレンドNo.3のゲル浸透クロマトグラフを示す。
【0027】
図6A図6Aは、クロージャ変形試験に使用したプローブの平面図を示す。この図は、クロージャの上面に接触するプローブの底面を示す。
【0028】
図6B図6Bは、クロージャ変形試験に使用したプローブの部分透視斜視図を示す。
【0029】
図7図7は、変形応力試験に使用したクロージャホルダの(ねじ位置が示されている)平面図を示す。この図は、クロージャの下部環状縁部を受けるホルダの上面を示す。
【0030】
図8図8は、クロージャNo.1~6についての実際の及びフィットした圧縮変形データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
「エチレンホモポリマー」又は「ポリエチレンホモポリマー」という用語は、生成物ポリマーが重合プロセスの生成物であることを意味し、当該重合プロセスにおいて、エチレンのみが重合可能なオレフィンとして意図的に添加されたことを意味する。
【0032】
「エチレンコポリマー」又は「ポリエチレンコポリマー」という用語は、生成物ポリマーが重合プロセスの生成物であることを意味し、当該重合プロセスにおいて、エチレン及び1種以上のコモノマーが、重合性オレフィンとして、意図的に添加されるか又は意図的に存在したことを意味する。
【0033】
「単峰性」という用語は、本明細書において、GPC曲線において明らかな1つの有意なピーク又は極大値のみが存在することを意味すると定義される。単峰性プロファイルは広範な単峰性プロファイルを含む。あるいは、「単峰性」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線における単一の極大値の存在を意味する。対照的に、「二峰性」という用語は、より高い又はより低い分子量の成分を表すGPC曲線において明らかな二次ピーク又は肩が存在することを意味する(すなわち、分子量分布は、分子量分布曲線において2つの極大値を有すると言える)。あるいは、「二峰性」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線における2つの極大値の存在を意味する。「多峰性」という用語は、ASTM D6474-99の方法に従って生成された分子量分布曲線における2つ以上の極大値の存在を意味する。
【0034】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、A)有核ポリエチレンホモポリマー組成物と、B)二峰性ポリエチレンコポリマーとを含む。
【0035】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は核形成剤を含み、一方、二峰性ポリエチレンコポリマー組成物は核形成剤を含まない。
【0036】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物と二峰性ポリエチレンコポリマーの両方が核形成剤を含む。
【0037】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、核形成剤又は核形成剤の混合物を含む。
【0038】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、2つの成分、(I)第1のエチレンホモポリマーと、(II)第2のエチレンホモポリマーとを含む。
【0039】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、2つの成分、(III)第1のエチレンコポリマーと、(IV)第2のエチレンコポリマーとを含む。
【0040】
(I) 第1のエチレンホモポリマー
本開示において、第1のエチレンホモポリマーは、無視できる量のコモノマーを含む。
【0041】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、第2のエチレンホモポリマーのメルトインデックスIよりも低いメルトインデックスIを有する。
【0042】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、第2のエチレンホモポリマーのメルトインデックスIよりも少なくとも50パーセント小さいメルトインデックスIを有する。
【0043】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、第2のエチレンホモポリマーのメルトインデックスIよりも少なくとも10倍小さいメルトインデックスIを有する。
【0044】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、第2のエチレンホモポリマーの重量平均分子量Mwよりも大きい重量平均分子量Mwを有する。
【0045】
当業者に認識されるように、メルトインデックスIは一般に分子量に反比例する。したがって、本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、第2のエチレンホモポリマーと比較して、比較的低いメルトインデックスI(又は、換言すると、比較的高い分子量)を有する。
【0046】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、0.950~0.975g/cmの密度を有する。本開示の別の実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、0.955~0.970g/cmの密度を有する。本開示の別の実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、0.955~0.965g/cmの密度を有する。
【0047】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、約0.1~約2.0グラム/10分(g/10分)のメルトインデックスIを有する。
【0048】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーの分子量分布(M/M)は約1.7~約20.0である。本開示のさらなる実施形態では、第1のエチレンホモポリマーの分子量分布(M/M)は、約2.0~約20.0、又は約1.7~約4.0、又は約2.0~約4.0である。
【0049】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーはそれ自体、1種以上の高密度エチレンホモポリマー副成分を含むことができる。
【0050】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、総重量の5~70重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、総重量の5~60重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、総重量の10~70重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、総重量の15~70重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、総重量の20~70重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、総重量の25~70重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、総重量の30~70重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、総重量の35~65重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、総重量の40~60重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。
【0051】
(II) 第2のエチレンホモポリマー
本開示において、第2のエチレンホモポリマーは、無視できる量のコモノマーを含む。
【0052】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、第1のエチレンホモポリマーのメルトインデックスIよりも高いメルトインデックスIを有する。
【0053】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、第1のエチレンホモポリマーのメルトインデックスIよりも少なくとも50パーセント大きいメルトインデックスIを有する。
【0054】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、第1のエチレンホモポリマーのメルトインデックスIよりも少なくとも10倍大きいメルトインデックスIを有する。
【0055】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、第1のエチレンホモポリマーの重量平均分子量Mwよりも小さい重量平均分子量Mwを有する。
【0056】
当業者に認識されるように、メルトインデックスIは一般に分子量に反比例する。したがって、本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、第1のエチレンホモポリマーと比較して、比較的高いメルトインデックスI(又は、換言すると、比較的低い分子量)を有する。
【0057】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、0.950~0.975g/cmの密度を有する。本開示の別の実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、0.955~0.970g/cmの密度を有する。本開示の別の実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、0.955~0.965g/cmの密度を有する。
【0058】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、約5.0g/10分を超えるメルトインデックスIを有する。さらなる実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、約5.0超~約50g/10分、又は5.0超~約40.0g/10分、又は5.0超~約30g/10分、又は5.0超~約20.0g/10分のメルトインデックスIを有する。
【0059】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーの分子量分布(M/M)は約1.7~約20.0である。本開示のさらなる実施形態では、第2のエチレンホモポリマーの分子量分布(M/M)は、約2.0~約20.0、又は約1.7~約4.0、又は約2.0~約4.0である。
【0060】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーはそれ自体、1種以上の高密度エチレンホモポリマー副成分を含むことができる。
【0061】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、総重量の95~30重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、総重量の95~40重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、総重量の90~30重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、総重量の85~30重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、総重量の80~30重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、総重量の75~30重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第2のエチレンホモポリマーは、総重量の70~30重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、総重量の65~35重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第1のエチレンホモポリマーは、総重量の60~40重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンホモポリマーを含む。
【0062】
<ポリエチレンホモポリマー組成物>
本開示の一実施形態において、ポリエチレンホモポリマー組成物は、(I)第1のエチレンホモポリマーと、(II)第2のエチレンホモポリマーとを、最低でも含む。
【0063】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、ゲル浸透クロマトグラフにおいて二峰性GPCプロファイルを有する。
【0064】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、ゲル浸透クロマトグラフにおいて多峰性GPCプロファイルを有する。
【0065】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、1種以上の核形成剤を含む。
【0066】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、1立方センチメートル当たり少なくとも0.950グラム(g/cm)の密度を有する。本開示の別の実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、1立方センチメートル当たり少なくとも0.955グラム(g/cm)の密度を有する。
【0067】
本発明の実施形態において、ポリエチレンホモポリマー組成物は、0.952~0.973g/cm、又は0.955~0.970g/cmの密度を有する。
【0068】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、0.5~10g/10分のメルトインデックスIを有する。本開示の別の実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、0.8~8g/10分のメルトインデックスIを有する。
【0069】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、約3.0~約20.0の分子量分布(M/M)を有する。
【0070】
ポリエチレンホモポリマー組成物は、以下のような任意の混合方法によって製造することができる:1)粒子状樹脂の物理的ブレンド; 2)共通の押出機への異なる樹脂の同時供給; 3)溶融混合(任意の従来のポリマー混合装置中で);4)溶液ブレンド; 又は5)2つ以上の反応器を用いる重合方法。
【0071】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、異なる重合条件下で作動する2つの反応器を用いる溶液重合法によって調製される。これにより、第1及び第2のエチレンホモポリマー成分の均一なその場でのブレンドが得られる。このプロセスの一例は、公開された米国特許出願公開第2006/0047078号に記載され、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、押出機内で、第1及び第2のエチレンホモポリマーを溶融ブレンドすることによって調製される。
【0073】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、押出機内で、以下の2つのブレンド成分を溶融ブレンドすることによって調製される:
90~70重量%の(I)第1のエチレンホモポリマーであって、約0.8~約2.0グラム/10分のメルトインデックスI及び0.955~0.965g/cmの密度を有する従来の高密度ポリエチレン(HDPE)である、第1のエチレンホモポリマーと、
10~30重量%の(II)第2のエチレンホモポリマーであって、約15~約30グラム/10分のメルトインデックスI及び0.950~0.960g/cmの密度を有する従来の高密度ポリエチレン(HDPE)である、第2のエチレンホモポリマー。
【0074】
第1のエチレンホモポリマーとしての使用に適した市販のHDPE樹脂の例には、以下が含まれる(典型的なメルトインデックスと密度の値を括弧内に示す):NOVA Chemicalsから入手可能なSCLAIR(登録商標)19G(I=1.2g/10分、密度=0.962g/cm);Chevron Phillipsから入手可能なMARFLEX(登録商標)9659(I=1g/10分、密度=0.962g/cm);Equistarから入手可能なALATHON(登録商標)L5885(I=0.9g/10分、密度=0.958g/cm)。
【0075】
第2のエチレンホモポリマーとしての使用に適した市販のHDPE樹脂の例は、SCLAIR 79Fの商標で販売されており、これはエチレンと従来のチーグラー-ナッタ触媒との単独重合によって調製されるHDPE樹脂である。それは18g/10分の典型的なメルトインデックスI、0.963g/cmの典型的な密度及び約2.7の典型的な分子量分布を有する。
【0076】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、異なる重合条件下で作動する2つの反応器を用いる溶液重合法によって調製される。これにより、第1及び第2のエチレンホモポリマー成分の均一なその場でのブレンドが得られる。そのような混合物は、例えば、米国特許出願公開US2013/0225743号又はUS2008/0118749号に従って製造することができる。
【0077】
<核形成剤>
本明細書で使用するとき、用語「核形成剤(“nucleating agent”)」は、有核(nucleated)ポリオレフィン組成物、すなわちポリマー溶融物が冷却されるにつれてポリマーの結晶化挙動を変える添加剤を調製するというその従来の意味を当業者に伝えることを意味する。
【0078】
核形成剤の概説は、米国特許第5,981,636号、米国特許第6,465,551号、第6,599,971号に記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
市販されておりポリエチレンホモポリマー組成物に添加することができる核形成剤には、ジベンジリデンソルビタールエステルがある(Milliken ChemicalによってMILLAD(登録商標)3988の商標で販売されている製品及びCiba Specialty ChemicalsによるIRGACLEAR(登録商標)など)。
ポリエチレンホモポリマー組成物に添加することができる核生成剤のさらなる例には、米国特許第5,981,636号に開示されている環状有機構造(及びその塩、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプテンジカルボキシレート二ナトリウムなど)、米国特許第5,981,636号に開示されている構造の飽和バージョン(米国特許第6,465,551号(Zhaoら、Milliken)に開示されている)、米国特許第6,599,971号(Dotsonら、Milliken)に開示されているようなヘキサヒドロフタル酸構造(又は「HHPA」構造)を有する特定の環状ジカルボン酸の塩、米国特許第5,342,868号に開示されているもの及び旭電化工業(株)からNA-11、NA-21の商品名で市販されているものなどのリン酸エステル類、米国特許第6,599,971号に開示されているHHPA構造の二価金属塩又はメタロイド塩(特にカルシウム塩)などの環状ジカルボン酸エステル類及びそれらの塩類が含まれる。明確にするために、HHPA構造は、一般に、環に6個の炭素原子を有する環構造と、環構造の隣接原子上に置換基である2個のカルボン酸基とを含む。米国特許第6,599,971号に開示されているように、環の他の4個の炭素原子は置換されていてもよい。一例は、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、カルシウム塩(CAS登録番号491589-22-1)である。ポリエチレンホモポリマー組成物に添加することができる核形成剤のさらに別の例には、国際公開第2015042561号、国際公開第2015042563号、国際公開第2015042562号及び国際公開第2011050042に開示されているものが含まれる。
【0080】
上記の核形成剤の多くは、核形成されているポリエチレンホモポリマー組成物と混合することが困難であり、この問題を緩和するために、例えばステアリン酸亜鉛のような分散助剤を使用することが知られている。
【0081】
本開示の一実施形態では、核生成剤はポリエチレンホモポリマー組成物中に良好に分散される。
【0082】
本開示の一実施形態では、使用される核形成剤の量は比較的少なく、(ポリエチレン組成物の重量を基準にして)重量当たり100~3,000百万分の1部であるため、核形成剤が十分に分散していることを確実にするために何らかの注意を払わなければならないことが当業者には明らかであろう。本開示の一実施形態では、混合を容易にするために、核形成剤を微細に分割した形態(50μ未満、特に10μ未満)でポリエチレンホモポリマー組成物に添加する。このタイプの「物理的ブレンド」(すなわち、固体形態の核形成剤と樹脂との混合物)は、一般に、核剤の「マスターバッチ」を使用するのに好ましい(「マスターバッチ」という用語は、最初に、この場合核剤(nucleator)である添加剤を、少量のポリエチレンホモポリマー組成物樹脂と溶融混合し、次いでこの「マスターバッチ」をポリエチレンホモポリマー組成物樹脂の残りのバルクと溶融混合することの実践を指す)。
【0083】
本開示の一実施形態では、「マスターバッチ」の方法で、核形成剤などの添加剤をポリエチレンホモポリマー組成物に添加してもよく、ここで「マスターバッチ」という用語は、最初に添加剤(例えば、核剤)を少量のポリエチレンホモポリマー組成物と溶融混合し、続いてこの「マスターバッチ」をポリエチレンホモポリマー組成物の残りのバルクと溶融混合することの実践を指す。
【0084】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンホモポリマー組成物は、核形成剤又は核形成剤の混合物を含む。
【0085】
<その他の添加剤>
ポリエチレンホモポリマー組成物はまた、他の従来の添加剤、特に(1)一次酸化防止剤(ビタミンEを含むヒンダードフェノールなど);(2)二次酸化防止剤(特にホスファイト及びホスホナイト);及び(3)加工助剤(特にフルオロエラストマー及び/又はポリエチレングリコール結合加工助剤)を含んでもよい。
【0086】
<二峰性ポリエチレンコポリマー>
最低でも、二峰性ポリエチレンコポリマーは、異なる重量平均分子量(Mw)及び/又はメルトインデックスIを有する(III)第1のエチレンコポリマーと(IV)第2のエチレンコポリマー(上記定義の通り)とを含むであろう。
【0087】
(III) 第1のエチレンコポリマー
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーの第1のエチレンコポリマーは、密度が約0.920~約0.955g/cmであり、メルトインデックスIが約0.4g/10分未満であり、分子量分布M/Mが約3.0未満であり、重量平均分子量Mが第2のエチレンコポリマーのMよりも大きい。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーの重量平均分子量Mは、少なくとも110,000である。
【0088】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーの第1のエチレンコポリマーは、密度が約0.920~約0.955g/cmであり、メルトインデックスIが約0.4g/10分未満であり、分子量分布M/Mが約2.7未満であり、重量平均分子量Mが第2のエチレンコポリマーのMよりも大きい。
【0089】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、均質に分岐したコポリマーである。
【0090】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、例えばホスフィンイミン触媒などのシングルサイト触媒で製造される。
【0091】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマー中のコモノマー(すなわち、αオレフィン)含量は、約0.05~約3.0モル%であり得る。第1のエチレンポリマーのコモノマー含量は、二峰性ポリエチレンコポリマーに適用される数学的逆畳み込み法(mathematical deconvolution methods)によって決定される(実施例の項を参照)。
【0092】
本開示の実施形態では、第1のエチレンコポリマー中のコモノマーは、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどの1種類以上のオレフィンであるが、これらに限定されない。
【0093】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーはエチレンと1-オクテンのコポリマーである。
【0094】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐は、炭素原子1000個当たり約0.25~約15個の短鎖分岐であり得る(SCB1/1000C)。本開示のさらなる実施形態において、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐は、炭素原子1000個当たり0.5~15、又は0.5~12、又は0.5~10、又は0.75~15、又は0.75~12、又は0.75~10、又は1.0~10、又は1.0~8.0、又は1.0~5、又は1.0~3分岐であり得る(SCB1/1000C)。短鎖分岐は、エチレンコポリマー中にαオレフィンコモノマーが存在することによる分岐であり、例えば、1-ブテンコモノマーについては2個の炭素原子、1-ヘキセンコモノマーについては4個の炭素原子、1-オクテンコモノマーについては6個の炭素原子を有する。第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の数は、二峰性ポリエチレンコポリマーに適用される数学的逆畳み込み法によって決定される(実施例の項を参照)。
【0095】
本開示の一実施形態において、第1のエチレンコポリマー中のコモノマー含量は、第2のエチレンコポリマーのコモノマー含量(例えば、モル%で報告される)と実質的に類似しているか、又はほぼ等しい(例えば約±0.01モル%以内)。
【0096】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー中のコモノマー含量は、第2のエチレンコポリマーのコモノマー含量よりも多い(例えば、モル%で報告される)。
【0097】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の量は、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の量(ポリマー骨格中の炭素1000個(1000C)当たりの短鎖分岐(SCB)で報告される)と実質的に類似しているか、又はほぼ等しい(例えば、約±0.05SCB/1000C以内)。
【0098】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の量は、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の量(ポリマー骨格中の炭素1000個(1000C)当たりの短鎖分岐(SCB)で報告される)よりも多い。
【0099】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、0.4g/10分未満である。本開示の一実施形態における第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスは、0.01を超えるが、0.4g/10分未満であり得る。本開示のさらなる実施形態において、第1のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、0.01~0.40g/10分、又は0.01~0.30g/10分、又は0.01~0.25g/10分、又は0.01~0.20g/10分、又は0.01~0.10g/10分である。
【0100】
本開示の一実施形態において、第1のエチレンコポリマーは、約110,000~約300,000(g/mol)の重量平均分子量Mを有する。本開示の別の実施形態において、第1のエチレンコポリマーは、約110,000~約275,000又は約110,000~約250,000の重量平均分子量Mを有する。本開示の別の実施形態において、第1のエチレンコポリマーは、約110,000超~約250,000未満の重量平均分子量Mを有する。本開示のさらなる実施形態において、第1のエチレンコポリマーは、約125,000~約225,000、又は約135,000~約200,000の重量平均分子量Mを有する。本開示の実施形態において、第1のエチレンコポリマーの重量平均分子量Mは、約125,000~約275,000、又は約125,000~約250,000、又は約150,000~約275,000、又は約150,000~約250,000、又は約175,000~約250,000である。本開示の実施形態において、第1のエチレンコポリマーのMは、110,000超、又は125,000超、又は150,000超、又は175,000超Mである。本開示の実施形態において、第1のエチレンコポリマーのMは、110,000超、又は125,000超、又は150,000超、又は175,000超であるが、同時に275,000又は250,000未満である。
【0101】
本開示の実施形態において、第1のエチレンコポリマーの重量平均分子量Mは、約125,000~約275,000、又は約125,000~約250,000、又は125,000~約230,000、又は約150,000~約275,000、又は約150,000~約250,000、又は約175,000~約250,000、又は約180,000~約230,000である。本開示の実施形態において、第1のエチレンコポリマーのMは、150,000超、又は175,000超、又は180,000超、又は190,000超、又は200,000超である。本開示の実施形態において、第1のエチレンコポリマーのMは、150,000超、又は175,000超、又は180,000超、又は190,000超、又は200,000超であるが、同時に275,000又は250,000未満である。
【0102】
本開示の実施形態において、第1のエチレンコポリマーの密度は、0.920~0.955g/cmであるか、又はこの範囲内のより狭い範囲であり得る。例えば、本開示のさらなる実施形態では、第1のエチレンコポリマーの密度は、0.925~0.955g/cm、又は0.925~0.950g/cm、又は0.925~0.945g/cm、又は0.925~0.940g/cm、又は0.925~0.935g/cm、又は0.923~0.945g/cm、又は0.923~0.940g/cm、又は0.923~0.935g/cm、又は0.927~0.945g/cm、又は0.927~0.940g/cm、又は0.927~0.935g/cm、又は0.920~0.940g/cm、又は0.922~0.948g/cm、又は0.925~0.935g/cmであり得る。
【0103】
本開示の実施形態において、第1のエチレンコポリマーの分子量分布M/Mは、<3.0又は≦2.7、又は<2.7又は≦2.5、又は<2.5又は≦2.3、又は1.8~2.3である。
【0104】
本開示の一実施形態における第1のエチレンコポリマーのM/M値は、第1のエチレンコポリマーが成分である二峰性ポリエチレンコポリマーについて得られたGPCプロファイルの逆畳み込みによって推定することができる。
【0105】
第1のエチレンコポリマーの密度及びメルトインデックスIは、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)及びGPC-FTIR(フーリエ変換赤外検出によるゲル浸透クロマトグラフィー)実験及び二峰性ポリエチレンコポリマーについて実施される逆畳み込みによって推定することができる(実施例の項を参照)。
【0106】
本開示の一実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーの第一のエチレンコポリマーは、少なくとも110,000の重量平均分子量Mを有する均質に分岐したエチレンコポリマーであり、分子量分布M/Mは2.7未満であり、密度は0.920~0.948g/cmである。
【0107】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーの第1のエチレンコポリマーは、少なくとも175,000の重量平均分子量Mを有する均質に分岐したエチレンコポリマーであり、分子量分布M/Mは2.7未満であり、密度は0.922~0.948g/cmである。
【0108】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、均質に分岐したエチレンコポリマーであり、約50重量%超、又は約55重量%超のCDBI50を有する。本開示のさらなる実施形態では、第1のエチレンコポリマーのCDBI50は、約60重量%超、又は約65重量%超、又は約70重量%超、又は約75重量%超、又は約80重量%超である。
【0109】
本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、総重量の10~70重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンコポリマーを含むことができる。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、総重量の20~60重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンコポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、総重量の30~60重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンコポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第1のエチレンコポリマーは、総重量の40~50重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンコポリマーを含む。
【0110】
(IV) 第2のエチレンコポリマー
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーの第2のエチレンコポリマーは、0.967g/cm未満であるが第1のエチレンコポリマーの密度よりも高い密度、約100~10,000g/10分のメルトインデックスI、約3.0未満の分子量分布M/M、及び第1のエチレンコポリマーのM未満の重量平均分子量Mを有する。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーの重量平均分子量Mは45,000未満である。
【0111】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーの第2のエチレンコポリマーは、0.967g/cm未満であるが第1のエチレンコポリマーの密度よりも高い密度、約500~約20,000g/10分のメルトインデックスI、約2.7未満の分子量分布M/M、及び第1のエチレンコポリマーのM未満の重量平均分子量Mを有する。
【0112】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーの第2のエチレンコポリマーは、0.965g/cm未満であるが第1のエチレンコポリマーの密度よりも高い密度、約250~20,000g/10分のメルトインデックスI、約2.7未満の分子量分布M/M、及び第1のエチレンコポリマーのM未満である重量平均分子量Mを有する。
【0113】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、均質に分岐したコポリマーである。
【0114】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、例えばホスフィンイミン触媒などのシングルサイト触媒で製造される。
【0115】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中のコモノマー含量は、13C NMR、FTIR又はGPC-FTIR法で測定して、約0.05~約3モル%であり得る。第2のエチレンポリマーのコモノマー含量はまた、二峰性ポリエチレンコポリマーに適用される数学的逆畳み込み法によって決定することができる(実施例の項を参照)。
【0116】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中のコモノマー含量は、13C NMR、FTIR又はGPC-FTIR法で測定して、約0.01~約3モル%、又は約0.03~約3モル%であり得る。第2のエチレンポリマーのコモノマー含量はまた、二峰性ポリエチレンコポリマーに適用される数学的逆畳み込み法によって決定することができる(実施例の項を参照)。
【0117】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中のコモノマー含量は、13C NMR、FTIR又はGPC-FTIR法で測定して、約0.01~約3モル%、又は約0.03~約3モル%、又は約0.05~約3モル%であり得る。第2のエチレンポリマーのコモノマー含量は、二峰性ポリエチレンコポリマーに適用される数学的逆畳み込み法によって決定することができる(実施例の項参照)。
【0118】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中のコモノマーは、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどの1種類以上のαオレフィンであるが、これらに限定されない。
【0119】
本開示の実施形態において、第2のエチレンコポリマーは、エチレンと1-オクテンのコポリマーである。
【0120】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐は、炭素原子1000個当たり約0.25~約15個の短鎖分岐であり得る(SCB2/1000C)。本開示のさらなる実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐は、炭素原子1000個当たり0.25~12、又は0.25~8、又は0.25~5、又は0.25~3、又は0.25~2分岐であり得る(SCB2/1000C)。短鎖分岐は、エチレンコポリマー中にαオレフィンコモノマーが存在することによる分岐であり、例えば、1-ブテンコモノマーについては2個の炭素原子、1-ヘキセンコモノマーについては4個の炭素原子、1-オクテンコモノマーについては6個の炭素原子を有する。第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の数は、13C NMR、FTIR、又はGPC-FTIR法によって測定することができる。あるいは、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の数は、二峰性ポリエチレンコポリマーに適用される数学的逆畳み込み法によって決定することができる(実施例の項を参照)。
【0121】
本開示の実施形態において、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐は、炭素原子1000個当たり約0.05~約12個の短鎖分岐であり得る(SCB1/1000C)。本開示のさらなる実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐は、炭素原子1000個当たり0.05~10、又は0.05~7.5、又は0.05~5.0、又は0.05~2.5、又は0.05~1.5、又は0.1~12、又は0.1~10、又は0.1~7.5、又は0.1~5.0、又は0.1~2.5、又は0.1~2.0、又は0.1~1.0であり得る(SCB1/1000C)。
【0122】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐は、炭素原子1000個当たり約0.15~約15の短鎖分岐であり得る(SCB2/1000C)。本開示のさらなる実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐は、炭素原子1000個当たり0.15~12、又は0.15~8、又は0.15~5、又は0.15~3、又は0.15~2分岐であり得る(SCB2/1000C)。短鎖分岐は、エチレンコポリマー中にαオレフィンコモノマーが存在することによる分岐であり、例えば、1-ブテンコモノマーについては2個の炭素原子、1-ヘキセンコモノマーについては4個の炭素原子、1-オクテンコモノマーについては6個の炭素原子を有する。
【0123】
第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の数は、二峰性ポリエチレンコポリマーに適用される数学的逆畳み込み法によって決定することができる(実施例の項参照)。
【0124】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中のコモノマー含量は、第1のエチレンコポリマーのコモノマー含量(例えば、モル%で報告される)と実質的に類似であるか、又はほぼ等しい(例えば、約±0.01モル%以内)。
【0125】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中のコモノマー含量は、第1のエチレンコポリマーのコモノマー含量未満である(例えば、モル%で報告される)。
【0126】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の量は、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の量(ポリマー骨格中の炭素1000個(1000C)当たりの短鎖分岐(SCB)で報告される)と実質的に類似しているか、又はほぼ等しい(例えば、約±0.05SCB/1000C以内)。
【0127】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の量は、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐の量(ポリマー骨格中の炭素1000個(1000C)当たりの短鎖分岐(SCB)で報告される)よりも少ない。
【0128】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーの密度は、0.967g/cm未満である。本開示の別の実施形態における第2のエチレンコポリマーの密度は、0.966g/cm未満である。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーの密度は、0.965g/cm未満である。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーの密度は、0.964g/cm未満である。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーの密度は、0.963g/cm未満である。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーの密度は、0.962g/cm未満である。
【0129】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが、0.967g/cm未満である。本開示の別の実施形態における第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが、0.966g/cm未満である。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが、0.965g/cm未満である。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが、0.964g/cm未満である。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが、0.963g/cm未満である。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが、0.962g/cm未満である。
【0130】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーの密度は、0.952~0.967g/cmであるか、又はこの範囲内のより狭い範囲であり得る。例えば、第2のエチレンコポリマーの密度は、本開示の実施形態において、0.952~0.966g/cm、0.952~0.965g/cm、又は0.952~0.964g/cm、又は0.952~0.963g/cm、又は0.954~0.963g/cm、又は0.954~0.964g/cm、又は0.956~0.964g/cm、又は0.956~0.963g/cm、又は0.952~0.965g/cm未満、又は0.954~0.965g/cm未満であってもよい。
【0131】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、25,000未満の重量平均分子量Mを有する。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーは、約7,500~約23,000の重量平均分子量Mを有する。本開示のさらなる実施形態において、第2のエチレンコポリマーは、約9,000~約22,000、又は約10,000~約17,500、又は約7,500~約17,500の重量平均分子量Mを有する。本開示のなおさらなる実施形態において、第2のエチレンコポリマーの重量平均分子量Mは、約3,500~約25,000、又は約5,000~約20,000、又は約7,500~約17,500、又は約5,000~約15,000、又は約5,000~約17,500、又は約7,500~約15,000、又は約7,500~約12,500である。本開示のさらなる実施形態において、第2のエチレンコポリマーは、約9,000~約22,000、又は約10,000~約17,500、又は約7,500~17,500の重量平均分子量Mを有する。
【0132】
本開示の実施形態において、第2のエチレンコポリマーは、約45,000未満、又は約40,000未満、又は約35,000未満の重量平均分子量Mを有する。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーは、約7,500~約35,000の重量平均分子量Mを有する。本開示のさらなる実施形態において、第2のエチレンコポリマーの重量平均分子量Mは、約9,000~約35,000、又は約10,000~約35,000、又は約12,500~約30,000、又は約10,000~約25,000、又は約10,000~約20,000である。
【0133】
本開示の実施形態において、第2のエチレンコポリマーの分子量分布M/Mは、<3.0、又は≦2.7、又は<2.7、又は≦2.5、又は<2.5、又は≦2.3、又は1.8~2.3である。
【0134】
本開示の一実施形態における第2のエチレンコポリマーのM/M値は、第1のエチレンコポリマーが成分である二峰性ポリエチレンコポリマーについて得られたGPCプロファイルの逆畳み込みによって推定することができる。
【0135】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、20~10,000g/10分であり得る。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、100~10,000g/10分であり得る。本開示のさらに別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1,000~7,000g/10分であり得る。本開示のさらに別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1,200~10,000g/10分であり得る。本開示のさらに別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1,500~10,000g/10分であり得る。本開示のさらに別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1500g/10分よりも大きいが7,000g/10分未満であり得る。
【0136】
本開示の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、250~20,000g/10分であり得る。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、500~20,000g/10分であり得る。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、750g/10分よりも大きく20,000g/10分以下であり得る。本開示のさらなる実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1,000~20,000g/10分、又は1,500~20,000g/10分、又は250~15,000g/10分、又は250~10,000g/10分、又は500~17,500g/10分、又は500~15,000g/10分、又は1,500~15,000g/10分であり得る。本開示のさらに別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1,200~10,000g/10分であり得る。本開示のさらに別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1,500~10,000g/10分であり得る。本開示のさらに別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1500g/10分よりも大きいが7,000g/10分未満であり得る。
【0137】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、50~20,000g/10分であり得る。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、250~20,000g/10分であり得る。
【0138】
本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、500~20,000g/10分であり得る。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1,000~20,000g/10分であり得る。本開示のさらに別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1,500~20,000g/10分であり得る。本開示のさらに別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1,500~10,000g/10分であり得る。本開示のさらに別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1,500~7,000g/10分であり得る。本開示のさらに別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1,500g/10分よりも大きいが7,000g/10分未満であり得る。本開示のさらに別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1,500g/10分より大きいが5,000g/10分未満であり得る。本開示のさらに別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、1,000g/10分より大きいが3,500g/10分未満であり得る。
【0139】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは200g/10分より大きい。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは250g/10分より大きい。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは500g/10分より大きい。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは650g/10分より大きい。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは1,000g/10分より大きい。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは1,200g/10分より大きい。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは1,500g/10分より大きい。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスIは1,750g/10分より大きい。
【0140】
第2のエチレンコポリマーの密度及びメルトインデックスIは、GPC及びGPC-FTIR実験及び二峰性ポリエチレンコポリマーで実施される逆畳み込みから推定することができる(以下の実施例の項を参照)。
【0141】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーの第2のエチレンコポリマーは、45,000以下の重量平均分子量Mを有する均質なエチレンコポリマーであり、分子量分布M/Mは2.7未満であり、密度は第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが0.967g/cm未満である。
【0142】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーの第2のエチレンコポリマーは、45,000以下の重量平均分子量Mを有する均質なエチレンコポリマーであり、分子量分布M/Mは2.7未満であり、密度は第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが0.965g/cm未満である。
【0143】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、均質に分岐したエチレンコポリマーであり、約50重量%超、好ましくは約55重量%超のCDBI50を有する。本開示のさらなる実施形態では、第2のエチレンコポリマーのCDBI50は、約60重量%超、又は約65重量%超、又は約70重量%超、又は約75重量%超、又は約80重量%超である。
【0144】
本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、総重量の90~30重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンコポリマーを含むことができる。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、総重量の80~40重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンコポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、総重量の70~40重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンコポリマーを含む。本開示の一実施形態では、第2のエチレンコポリマーは、総重量の60~50重量パーセント(重量%)の第1及び第2のエチレンコポリマーを含む。
【0145】
本開示において、第2のエチレンコポリマーは、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが、第1のエチレンコポリマーの密度よりも約0.037g/cm未満高い密度を有する。本開示の実施形態において、第2のエチレンコポリマーは、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが、第1のエチレンコポリマーの密度よりも約0.036g/cm未満高い密度を有する。本開示の実施形態において、第2のエチレンコポリマーは、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが、第1のエチレンコポリマーの密度よりも約0.035g/cm未満高い密度を有する。本開示の実施形態において、第2のエチレンコポリマーは、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが、第1のエチレンコポリマーの密度よりも約0.034g/cm未満高い密度を有する。本開示の実施形態において、第2のエチレンコポリマーは、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが、第1のエチレンコポリマーの密度よりも約0.033g/cm未満高い密度を有する。本開示の一実施形態において、第2のエチレンコポリマーは、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが、第1のエチレンコポリマーの密度よりも約0.032g/cm未満高い密度を有する。本開示の別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーは、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが、第1のエチレンコポリマーの密度よりも約0.031g/cm未満高い密度を有する。本開示のさらに別の実施形態において、第2のエチレンコポリマーは、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが、第1のエチレンコポリマーの密度よりも約0.030g/cm未満高い密度を有する。
【0146】
本開示の実施形態において、第2のエチレンコポリマーのIは、第1のエチレンコポリマーのIの少なくとも100倍、又は少なくとも1,000倍、又は少なくとも10,000倍、又は少なくとも50,000倍である。
【0147】
<二峰性ポリエチレンコポリマー>
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、核形成剤を含まない。
【0148】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、核形成剤又は核形成剤の混合物をさらに含む。
【0149】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、広範な単峰性、二峰性又は多峰性の分子量分布を有する。
【0150】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、第1のエチレンコポリマー及び第2のエチレンコポリマー(上記で定義した通り)を最小限に含み、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(すなわち、SCB1)と、第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(すなわち、SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、0.5よりも大きい(すなわち、SCB1/SCB2>0.5)。
【0151】
本開示の実施形態において、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比は、少なくとも0.60である。本開示の実施形態において、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比は、少なくとも0.75である。本開示の別の実施形態において、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比は、少なくとも1.0である。本開示の別の実施形態において、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比は、1.0より大きい。本開示のさらに別の実施形態において、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比は、少なくとも1.25である。本開示のなおさらなる実施形態において、第1エチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と第2エチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比は、少なくとも1.5、又は少なくとも1.75、又は少なくとも2.0、又は少なくとも2.5、又は少なくとも3.0、又は少なくとも3.5、又は少なくとも4.0、又は少なくとも4.5である。
【0152】
本開示の一実施形態において、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比は、0.5より大きく1.0未満である。
【0153】
本開示の一実施形態において、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、1.0~12.0、又は1.0~10、又は1.0~7.0、又は1.0~5.0、又は1.0~3.0である。
【0154】
本開示の一実施形態において、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比(SCB1/SCB2)は、1.0~15.0、又は2.0~12.0、又は2.5~12.0、又は3.0~12.0、又は3.5~12.0である。
【0155】
本開示の一実施形態において、第1のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の短鎖分岐(SCB2)との比は、1.0超~約5.0、又は1.0超~約4.0、又は1.0超~約3.5である。
【0156】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、二峰性の分子量分布を有する。
【0157】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、ASTM D792に従って測定して0.949g/cm以上の密度を有し、メルトインデックスIはASTM D1238(190℃で2.16kgの重りを用いて実施した場合)に従って測定して約0.4~約5.0g/10分であり、分子量分布M/Mは約3~約11であり、Z平均分子量Mは400,000未満であり、応力指数が1.50未満であり、10%でのESCR条件Bは少なくとも20時間である。
【0158】
本開示の一実施形態では、本開示の二峰性ポリエチレンコポリマーは、ASTM D792に従って測定して0.949g/cm以上の密度を有し、メルトインデックスIはASTM D1238(190℃で2.16kgの重りを用いて実施した場合)に従って測定して約0.2~約5.0g/10分であり、分子量分布M/Mは約6~約13であり、Z平均分子量Mは450,000未満であり、応力指数が1.50未満であり、10%でのESCR条件Bは少なくとも200時間である。
【0159】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、ASTM D792に従って測定して0.949g/cm以上の密度を有し、メルトインデックスIはASTM D1238(190℃で2.16kgの重りを用いて実施した場合)に従って測定して約0.3~約4.0g/10分であり、分子量分布M/Mは約5.0~約13.0であり、Z平均分子量Mは400,000~520,000であり、応力指数が1.53未満であり、10%でのESCR条件Bは少なくとも120時間である。
【0160】
本開示の実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、FTIR又は13C NMR法(13C NMRが好ましい)で測定して0.75モル%未満、又は0.70モル%未満、又は0.65モル%未満、又は0.60モル%未満、又は0.55モル%未満のコモノマー含量を有し、コモノマーは、限定ではないが例えば1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどの、1種以上の適切なαオレフィンである。本開示の一実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、コモノマー含量が0.1~0.75モル%、又は0.20~0.55モル%、又は0.25~0.50モル%である。
【0161】
本開示では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、少なくとも0.949g/cmの密度を有する。本開示のさらなる実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、>0.949g/cm、又は≧0.950g/cm、又は>0.950g/cmの密度を有する。
【0162】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.949~0.960g/cmの範囲の密度を有する。
【0163】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.949~0.959g/cmの範囲の密度を有する。
【0164】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.949~0.958g/cmの範囲の密度を有する。
【0165】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.949~0.957g/cmの範囲の密度を有する。
【0166】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.949~0.956g/cmの範囲の密度を有する。
【0167】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.949~0.955g/cmの範囲の密度を有する。
【0168】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.950~0.955g/cmの範囲の密度を有する。
【0169】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.951~0.957g/cmの範囲の密度を有する。
【0170】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.951~0.955g/cmの範囲の密度を有する。
【0171】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、ASTM D1238(2.16kgの重りを用いて190℃で実施される場合)に従って、0.4~5.0g/10分のメルトインデックスIを有し、この範囲内のさらに狭い範囲を含む。例えば、本開示のさらなる実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、0.5~5.0g/10分、又は0.4~3.5g/10分、又は0.4~3.0g/10分、又は0.4~2.5g/10分、又は0.4~2.0g/10分、又は0.5~3.5g/10分、は0.5~3.0g/10分、又は1.0~3.0g/10分、又は約1.0~約2.0g/10分、又は0.5超~2.0g/10分未満である。
【0172】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、ASTM D1238(2.16kgの重りを用いて190℃で実施される場合)に従って、0.1~5.0g/10分のメルトインデックスIを有し、この範囲内のさらに狭い範囲を含む。例えば、本開示のさらなる実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、0.2~5.0g/10分、又は0.3~4.0g/10分、又は0.3~3.5g/10分、又は0.3~3.0g/10分、又は0.2~3.5g/10分、又は0.2~3.0g/10分、又は0.1~2.5g/10分、又は0.1~2.0g/10分である。
【0173】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、ASTM D1238(2.16kgの重りを用いて190℃で実施される場合)に従って、0.1~5.0g/10分のメルトインデックスIを有し、この範囲内のさらに狭い範囲及びこの範囲内のすべての数値を含む。例えば、本開示のさらなる実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、0.3~4.0g/10分、又は0.4~3.5g/10分、又は0.4~3.0g/10分、又は0.3~3.5g/10分、又は0.3~3.0g/10分、又は0.3~2.5g/10分、又は0.1~4.0g/10分、又は0.1~3.5g/10分、又は0.1~3.0g/10分、又は0.1~2.5g/10分、又は0.1~2.0g/10分、又は0.1~1.5g/10分、又は0.25~1.5g/10分、又は0.3~2.0g/10分、又は0.3~1.5g/10分、又は1.0g/10分未満、又は0.1超~1.0g/10分未満、又は0.2超~1.0g/10分未満、又は0.3超~1.0g/10分未満である。
【0174】
本開示の一実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、ASTM D1238(190℃で5kgの重りを使用して実施した場合)に従って、少なくとも1.0g/10分のメルトインデックスIを有する。本開示の別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、ASTM D1238(190℃で5kg重量を使用して実施される場合)に従って測定して、約1.1g/10分より大きいメルトインデックスIを有する。本開示のなおさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、約1.0~約10.0g/10分、又は約2.0~約8.0g/10分、又は約1.0~約5.0g/10分、又は約1.5~約6.5g/10分、又は約4.0~約7.0g/10分、又は約3.0~約6.5g/10分である。本開示のなおさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのメルトインデックスIは、約1.0~約5.0g/10分、又は約1.5~約5.0g/10分、又は約2.0~約5.0g/10分、又は約2.0~約4.5g/10分である。
【0175】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、ASTM D1238(190℃で21kgの重りを使用して実施した場合)に従って少なくとも25g/10分の高負荷メルトインデックスI21を有する。本開示の別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、約30g/10分より大きい高負荷メルトインデックスI21を有する。本開示のさらに別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、約35g/10分より大きい高負荷メルトインデックスI21を有する。本開示のさらに別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、約40g/10分より大きい高負荷メルトインデックスI21を有する。本開示のさらに別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、約50g/10分より大きい高負荷メルトインデックスI21を有する。本開示のさらに別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、約60g/10分より大きい高負荷メルトインデックスI21を有する。本開示のさらに別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、約65g/10分より大きい高負荷メルトインデックスI21を有する。本開示のさらに別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、約75g/10分より大きい高負荷メルトインデックスI21を有する。
【0176】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのメルトインデックス(I)に対する第2のエチレンコポリマーのメルトインデックス(I)の比は、200~1,500である。本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのメルトインデックス(I)に対する第2のエチレンコポリマーのメルトインデックス(I)の比は、200~2,000である。本開示の別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのメルトインデックス(I)に対する第2のエチレンコポリマーのメルトインデックス(I)の比は、400~1,300である。本開示のさらに別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのメルトインデックス(I)に対する第2のエチレンコポリマーのメルトインデックス(I)の比は、600~1,200である。
【0177】
本開示の一実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのメルトインデックス(I)に対する第2のエチレンコポリマーのメルトインデックス(I)の比は、500~5,000である。本開示の別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのメルトインデックス(I)に対する第2のエチレンコポリマーのメルトインデックス(I)の比は、750~4,500である。本開示のさらに別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのメルトインデックス(I)に対する第2のエチレンコポリマーのメルトインデックス(I)の比は、1,000~4,000である。
【0178】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、約1~約10kPaの剪断応力(G)での複合粘度ηを有し、これは1,000~25,000Pa.sである。本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、約1~約10kPaの剪断応力(G)での複素粘度ηを有し、これは1,000~10,000Pa.sである。
【0179】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、約1~約10kPaの剪断応力(G)での複合粘度ηを有し、これは1,000~25,000Pa.sである。本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、約1~約10kPaの剪断応力(G)での複合粘度ηを有し、これは1,000~10,000Pa.s、又は1,000~15,000Pa、又は3,000~12,500Pa.s、又は1,000~15,000、又は5000~15,000Pa.sである。
【0180】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレン組成物は、約30,000未満の数平均分子量Mを有する。本開示の別の実施形態において、二峰性ポリエチレン組成物は、約20,000未満又は約17,500未満の数平均分子量Mを有する。本開示のさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレン組成物は、約5,000~25,000、又は約5,000~20,000、又は約7,000~約15,000の数平均分子量Mを有する。本開示のさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレン組成物は、約9,000~28,000、又は約10,000~25,000、又は約10,000~約20,000の数平均分子量Mを有する。
【0181】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレン組成物は、約60,000~約200,000の重量平均分子量Mを有し、この範囲内のより狭い範囲及びこの範囲内の数を含む。例えば、本開示のさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレン組成物は、約65,000~175,000、又は約65,000~約150,000、又は約65,000~約140,000の重量平均分子量Mを有する。
【0182】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレン組成物は、約65,000~約210,000の重量平均分子量Mを有し、この範囲内のより狭い範囲及びこの範囲内の数を含む。例えば、本開示のさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレン組成物は、約75,000~約175,000、又は約90,000~約150,000、又は約100,000~約140,000の重量平均分子量Mを有する。
【0183】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、450,000未満のz平均分子量Mを有する。
【0184】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、250,000~450,000のz平均分子量Mを有し、この範囲内のより狭い範囲及びこの範囲内の数を含む。例えば、本開示のさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、250,000~425,000、又は275,000~425,000、又は250,000~450,000未満、又は250,000~410,000のz平均分子量Mを有する。
【0185】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、400,000~520,000のz平均分子量Mを有し、この範囲内のより狭い範囲及びこの範囲内の数を含む。例えば、本開示のさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、400,000~510,000、又は400,000~500,000、又は400,000~490,000、又は410,000~480,000のz平均分子量Mを有する。
【0186】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、400,000<M<500,000、又は400,000≦M≦475,000を満たすz平均分子量Mを有する。
【0187】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、3~11又はこの範囲内のより狭い範囲の分子量分布Mw/Mnを有する。例えば、本開示のさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、4.0~10.0、又は4.0~9.0、又は5.0~10.0、又は5.0~9.0、又は4.5~10.0、又は4.5~9.5、又は4.5~9.0、又は4.5~8.5、又は5.0~8.5のM/Mを有する。
【0188】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、6~13又はこの範囲内のより狭い範囲の分子量分布Mw/Mnを有する。例えば、本開示のさらなる実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、7.0~12.0、又は8.0~12.0、又は8.5~12.0、又は9.0~12.0、又は9.0~12.5、又は8.5~12.5のM/Mを有する。
【0189】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、3.0~13.0の分子量分布M/Mを有し、この範囲内のより狭い範囲及びこの範囲内のすべての数を含む。例えば、本開示のさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのM/Mは、5.0~13.0、又は4.0~12.0、又は5.0~12.0、又は6.0~12.0、又は6.0~11.0、又は5.0~12.0、又は5.0~10.0、又は6.0~10.0、又は6.0~11.0、又は7.0~11.0、又は7.0超~11.0、又は7.0~10.0、又は7.0超~12.0である。
【0190】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのZ平均分子量対重量平均分子量の比(M/M)は、2.0~5.0、又は2.25~5.0、又は2.75~5.0、又は2.75~4.25、又は3.0~4.0、又は2.25~4.75、又は2.25~4.5、又は2.5~4.5、又は2.5~4.25、又は2.75~4.0、又は2.75~3.75、又は3.0~4.0である。
【0191】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのZ平均分子量対重量平均分子量(M/M)の比は、5.0未満、又は4.5未満、又は4.0未満、又は3.5未満である。
【0192】
本開示の一実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、(M/M)/(M/M)として定義されるブロードネスファクタを少なくとも2.70、又は少なくとも2.75、又は少なくとも2.8、又は少なくとも2.85、又は少なくとも2.90、又は少なくとも2.95、又は少なくとも3.00、又は少なくとも3.05で有する。
【0193】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、(M/M)/(M/M)として定義されるブロードネスファクタを3.00未満、又は2.95未満、又は2.90未満、又は2.85未満、又は2.80未満、又は2.75未満、又は2.70未満、又は2.65未満、又は2.60未満、又は2.55未満、又は2.50未満、又は2.45未満、又は2.40未満、又は2.35未満、又は≦2.75、又は≦2.70、又は≦2.65、又は≦2.60、又は≦2.55、又は≦2.50、又は≦2.45、又は≦2.40、又は≦2.35で有する。
【0194】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、I21/Iとして定義されるメルトフロー比を>40、又は≧45、又は≧50、又は≧60、又は≧65で有する。本開示のさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、約40~約100のメルトフロー比I21/Iを有し、この範囲内のより狭い範囲を含む。例えば、二峰性ポリエチレンコポリマーのメルトフロー比I21/Iは、約45~約90、又は約45~約80、又は約45~約75、又は約45~約70、又は約50~約90、又は約50~約80、又は約50~約75、又は約50~約70である。
【0195】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、I21/Iとして定義されるメルトフロー比を>40、又は≧45、又は≧50、又は≧55、又は≧60、又は≧65、又は≧70で有する。本開示のさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、約40~約120のメルトフロー比I21/Iを有し、この範囲内のより狭い範囲及びこの範囲内のすべての数を含む。例えば、二峰性ポリエチレンコポリマーは、約50~約120、又は約40~約110、又は約45~約100、又は約50~約110、又は約55~約95のメルトフロー比I21/Iを有する。
【0196】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのI21/Iとして定義されるメルトフローレートは、35未満である。本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのI21/Iとして定義されるメルトフローレートは、30未満である。本開示の別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのI21/Iとして定義されるメルトフローレートは、25未満である。本開示の別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのI21/Iとして定義されるメルトフローレートは、20未満である。
【0197】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーの約10-1(240℃)での剪断粘度は、約10(Pa.s)未満である。
本開示のさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーの約10-1(240℃)での剪断粘度は、7.5Pa.s未満、又は6.0Pa.s未満である。本開示のさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーの約10-1(240℃)での剪断粘度は、7.0Pa.s未満、又は6.5Pa.s未満である。
【0198】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.55重量%未満のヘキサン抽出可能レベルを有する。
【0199】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、少なくとも1種のαオレフィンを有し、αオレフィンは、少なくとも4つの炭素原子を有し、その含有量は、13C NMRで測定して0.75モル%未満である。本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、少なくとも1種のαオレフィンを有し、αオレフィンは、少なくとも4つの炭素原子を有し、その含有量は、13C NMRで測定して0.65モル%未満である。本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、少なくとも1種のαオレフィンを有し、αオレフィンは、少なくとも4つの炭素原子を有し、その含有量は、13C NMRで測定して0.55モル%未満である。
【0200】
本開示の一実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーの240℃での剪断粘度比SVR(10,1000)は、約4.0~25、又は4.0~20、又は4.0~17であり得る。剪断粘度比SVR(10,1000)は、一定温度(例えば240℃)でのキャピラリーレオメーター及びL/D比20、直径0.06’’のダイで測定した、剪断速度10s-1における剪断粘度と剪断速度1000s-1における剪断粘度との比をとることによって決定される。理論に束縛されることは望まないが、剪断粘度比の値が高いほど、二峰性ポリエチレンコポリマーをキャップ及びクロージャ用の転化装置で処理することが容易である。
【0201】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーの240℃での剪断粘度比SVR(10,1000)は、約10~30、又は12~27、又は12.5~25、又は15~25、又は17.5~23.0である。剪断粘度比SVR(10,1000)は、一定温度(例えば240℃)でのキャピラリーレオメーター及びL/D比20、直径0.06’’のダイスで測定した、剪断速度10s-1における剪断粘度と剪断速度1000s-1における剪断粘度との比をとることによって決定される。理論に束縛されることは望まないが、剪断粘度比の値が高いほど、二峰性ポリエチレンコポリマーをキャップ及びクロージャ用の転化装置で処理することが容易である。本明細書では、「剪断粘度比」は、二峰性ポリエチレンコポリマーの相対的加工性を表す手段として使用される。
【0202】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーの240℃での剪断粘度比(η10/η1000)は、12.0以上、12.5以上、又は13.0以上、又は13.5以上、又は14.0以上、又は14.5以上、又は15.0以上、又は17.5以上、又は20.0以上である。本明細書では、「剪断粘度比」は、二峰性ポリエチレンコポリマーの相対的加工性を表す手段として使用される。
【0203】
本開示のさらなる実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーの240℃での剪断粘度比SVR(10,1000)は、10.0~30、又は12.0~30、又は12.0~27.5、又は12.0~25、又は12.5~30、又は12.5~27.5、又は12.5~25である。
【0204】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーの剪断減粘指数SHI(1,100)は約10未満であり、別の実施形態では、SHI(1,100)は約7未満である。剪断減粘指数(SHI)は、PCT出願国際公開第2006/048253号パンフレット及び国際公開第2006/048254号パンフレットに開示されている動的機械的分析(DMA)周波数掃引法を用いて計算した。SHI値は、1kPa(G)及び100kPa(G)の一定の剪断応力での複素粘度η(1)及びη(100)をそれぞれ計算することによって得られる。
【0205】
本発明の一実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのSHI(1,100)は、式:SHI(1,100)<-10.58(二峰性ポリエチレンコポリマーのlog I(g/10分)/(g/10分)+12.94を満たす。本開示の別の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのSHI(1,100)は、以下の式を満たす。
SHI(1,100)<-5.5(二峰性ポリエチレンコポリマーの対数log I(g/10分)/(g/10分)+9.66
【0206】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーのロザンド溶融強度(センチニュートン(cN))は、少なくとも2.0、又は少なくとも2.25、又は少なくとも2.5、又は少なくとも2.75、又は少なくとも3.0、又は少なくとも3.25、又は少なくとも3.5、又は少なくとも3.75、又は2.5~6.0、又は2.75~6.0、又は2.75~5.5、又は3.0~6.0、又は3.0~5.5、又は3.25~6.0、又は3.5~6.0、又は3.25~5.5である。
【0207】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%Igepalで条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは、少なくとも20時間、又は少なくとも50時間、又は少なくとも60時間、又は少なくとも80時間、又は少なくとも120時間、又は少なくとも150時間、又は60~400時間、又は100~250時間、又は60~250時間である。
【0208】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%IGEPAL(登録商標)で条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは少なくとも100時間である。
【0209】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%Igepalで条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは少なくとも150時間である。
【0210】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%Igepalで条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは少なくとも200時間である。
【0211】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%Igepalで条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは少なくとも250時間である。
【0212】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%Igepalで条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは少なくとも300時間である。
【0213】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%Igepalで条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは少なくとも350時間である。
【0214】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%Igepalで条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは少なくとも400時間である。
【0215】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%Igepalで条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは少なくとも500時間である。
【0216】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%Igepalで条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは200~1500時間である。
【0217】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%Igepalで条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは200~1250時間である。
【0218】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%IGEPALで条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは300~1500時間である。
【0219】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%Igepalで条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは50~600時間である。
【0220】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%Igepalで条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは100~500時間である。
【0221】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形物品(又はプラーク)のASTM D1693(10%IGEPALで条件B下50℃)に従って測定した10%での環境応力亀裂抵抗ESCR条件Bは150~500時間である。
【0222】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマー又は二峰性ポリエチレンコポリマーから製造された成形品(又はプラーク)のASTM D256に従って測定したノッチ付きアイゾット衝撃強さは、少なくとも60J/m、又は少なくとも70J/m、又は少なくとも80J/m、又は少なくとも90J/m、又は少なくとも100J/mである。
【0223】
本開示の一実施形態では、本開示の二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.949~0.956g/cmの密度を有し、メルトインデックスIは0.5~3.0g/10分であり、分子量分布は4.0~10.0であり、数平均分子量Mは30,000未満であり、10-1(240℃)における剪断粘度は10(Pa.s)未満であり、ヘキサン抽出物は0.55%未満であり、ノッチ付きアイゾット衝撃強さは60J/mを超え、ESCR条件B(10%)は少なくとも20時間である。
【0224】
本開示の一実施形態では、本開示の二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.949~0.956g/cmの密度を有し、メルトインデックスIは0.5~3.0g/10分であり、分子量分布は4.5~9.5であり、数平均分子量Mは30,000未満であり、10-1(240℃)における剪断粘度は7(Pa.s)未満であり、ヘキサン抽出物は0.55%未満であり、ノッチ付きアイゾット衝撃強さは60J/mを超え、ESCR条件B(10%)は少なくとも80時間である。
【0225】
本開示の一実施形態では、本開示の二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.949~0.956g/cmの密度を有し、メルトインデックスIは0.2~3.0g/10分であり、分子量分布は6.0~13.0であり、数平均分子量Mは30,000未満であり、10-1(240℃)における剪断粘度は10(Pa.s)未満であり、ヘキサン抽出物は0.55%未満であり、ノッチ付きアイゾット衝撃強さは60J/mを超え、ESCR条件B(10%)は少なくとも200時間である。
【0226】
本開示の一実施形態では、本開示の二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.949~0.957g/cmの密度を有し、メルトインデックスIは0.3~2.0g/10分であり、分子量分布は6.0~12.0であり、数平均分子量Mは30,000未満であり、10-1(240℃)における剪断粘度は10(Pa.s)未満であり、ヘキサン抽出物は0.55%未満であり、ノッチ付きアイゾット衝撃強さは60J/mを超え、ESCR条件B(10%)は少なくとも150時間である。
【0227】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーのメガパスカル(MPa)単位の2%割線曲げ弾性率は約750超、又は約850超、又は約1000超、又は約750~約1,600、又は約750~約1,250、又は約850~約1,150である。いくつかの実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、メガパスカル(MPa)単位の2%割線曲げ弾性率をこれらの範囲を超えて、例えば約1,000を超えて約1,600まで増加させる、核形成剤をさらに含む。理論に束縛されることは望まないが、2%割線曲げ弾性率は、ポリマー剛性の尺度である。2%割線曲げ弾性率が高いほど、ポリマー剛性は高くなる。
【0228】
本開示の一実施形態では、本開示の二峰性ポリエチレンコポリマーは、0.949~0.956g/cmの密度を有し、メルトインデックスIは0.2~3.0g/10分であり、分子量分布は7.0~12.0であり、数平均分子量Mは30,000未満であり、10-1(240℃)における剪断粘度は7(Pa.s)未満であり、ヘキサン抽出物は0.55%未満であり、ノッチ付きアイゾット衝撃強さは60J/mを超え、ESCR条件B(10%)は少なくとも200時間である。
【0229】
本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、Log10[I/I]/Log10[6.48/2.16]として定義される応力指数を有し、これは≦1.53である。本開示の実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、Log10[I/I]/Log10[6.48/2.16]として定義される応力指数を有し、これは≦1.50である。本開示のさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、1.50未満、又は1.48未満、又は1.45未満、又は1.43未満、又は1.40未満の応力指数Log10[I/I]/Log10[6.48/2.16]を有する。
【0230】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーの温度溶出分別(TREF)によって決定される組成分布幅指数(CDBI50)は60重量%以上である。本開示のさらなる実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、65重量%超、又は70重量%超、又は75重量%超、又は80重量%超のCDBI50を有するであろう。
【0231】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーの温度溶出分別(TREF)によって決定される組成分布幅指数(CDBI25)は50重量%以上である。本開示のさらなる実施形態において、二峰性ポリエチレンコポリマーは、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超のCDBI25を有するであろう。
【0232】
必要に応じて、二峰性ポリエチレンコポリマーに添加剤を添加することができる。添加剤は、押出又は配合工程の間に二峰性ポリエチレンコポリマーに添加することができるが、他の適切な公知の方法が当業者には明らかであろう。添加剤はそのままで、又は別個のポリマー成分の一部として(すなわち、上記の第1又は第2のエチレンコポリマーではなく)添加することができ、又はマスターバッチの一部として(必要に応じて押出又は配合工程の間に)添加することができる。適切な添加剤は当業者に公知であり、限定されるものではないが酸化防止剤、ホスファイト及びホスホナイト、ニトロン、制酸剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、染料、充填剤及び補強剤、ナノスケールの有機又は無機材料、帯電防止剤、ステアリン酸カルシウムなどの潤滑剤、エルシミド(erucimide)若しくはベヘンアミドなどの滑剤、及び核形成剤(核剤、顔料、又は二峰性ポリエチレンコポリマーに核形成効果を与えることができる他の化学物質を含む)が含まれる。任意に添加することができる添加剤は、典型的には、20重量パーセント(重量%)までの量で添加される。
【0233】
1種以上の核形成剤は、通常は粉末又はペレット形態のポリマーの混合物を核形成剤と混練することにより二峰性ポリエチレンコポリマーに導入することができ、これを単独で使用するか、又は安定剤、顔料、帯電防止剤、紫外線安定剤及び充填剤などのさらなる添加剤を含有する濃縮物の形態で使用することができる。核形成剤は、ポリマーに不溶性であり、ポリマーの融点よりも高い融点を有する、ポリマーによって湿潤又は吸収される材料でなければならず、可能な限り微細な形態で(1~10μm)ポリマー溶融物中に均質に分散可能でなければならない。ポリオレフィンの核形成能を有することが知られている化合物には、コハク酸ナトリウム又はフェニル酢酸アルミニウムなどの脂肪族一塩基又は二塩基酸又はアリールアルキル酸の塩、及びβ-ナフトエ酸ナトリウム若しくは安息香酸ナトリウムなどの芳香族又は脂環式カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルミニウム塩が挙げられる。
【0234】
市販されており二峰性ポリエチレンコポリマーに添加することができる核形成剤の例としては、ジベンジリデンソルビタールエステルがある(Milliken ChemicalによってMILLAD3988の商標で販売されている製品及びCiba Specialty ChemicalsによるIRGACLEARなど)。二峰性ポリエチレンコポリマーに添加することができる核生成剤のさらなる例には、米国特許第5,981,636号に開示されている環状有機構造(及びその塩、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプテンジカルボキシレート二ナトリウムなど)、米国特許第5,981,636号に開示されている構造の飽和バージョン(米国特許第6,465,551号(Zhaoら、Milliken)に開示されている)、米国特許第6,599,971号(Dotsonら、Milliken)に開示されているようなヘキサヒドロフタル酸構造(又は「HHPA」構造)を有する特定の環状ジカルボン酸の塩、米国特許第5,342,868号に開示されているもの及び旭電化工業(株)からNA-11、NA-21の商品名で市販されているものなどのリン酸エステル類、米国特許第6,599,971号に公開されているHHPA構造の二価金属塩又はメタロイド塩(特にカルシウム塩)などの環状ジカルボン酸エステル類及びそれらの塩類が含まれる。明確にするために、HHPA構造は、一般に、環に6個の炭素原子を有する環構造と、環構造の隣接原子上に置換基である2個のカルボン酸基とを含む。米国特許第6,599,971号に開示されているように、環の他の4個の炭素原子は置換されていてもよい。一例は、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、カルシウム塩(CAS登録番号491589-22-1)である。二峰性ポリエチレンコポリマーに添加することができる核形成剤のさらに別の例には、国際公開第2015042561号、国際公開第2015042563号、国際公開第2015042562号及び国際公開第2011050042に開示されているものが含まれる。
【0235】
上記の核形成剤の多くは、核形成されている二峰性ポリエチレンコポリマーと混合することが困難であり、この問題を緩和するために、例えばステアリン酸亜鉛のような分散助剤を使用することが知られている。
【0236】
本開示の一実施形態では、核生成剤は二峰性ポリエチレンコポリマー中に良好に分散される。
【0237】
本開示の一実施形態では、使用される核形成剤の量は比較的少なく、(二峰性ポリエチレンコポリマーの重量を基準にして)重量当たり100~3,000百万分の1部であるため、核形成剤が十分に分散していることを確実にするために何らかの注意を払わなければならないことが当業者には明らかであろう。本開示の一実施形態では、混合を容易にするために、核形成剤を微細に分割した形態(50μ未満、特に10μ未満)で二峰性ポリエチレンコポリマーに添加する。このタイプの「物理的ブレンド」(すなわち、固体形態の核形成剤と樹脂との混合物)は、一般に、核剤の「マスターバッチ」の使用よりも好ましい(「マスターバッチ」という用語は、最初に、この場合核剤である添加剤を、少量の二峰性ポリエチレンコポリマー樹脂と溶融混合し、次いでこの「マスターバッチ」を二峰性ポリエチレンコポリマー樹脂の残りのバルクと溶融混合することの実践を指す)。
【0238】
本開示の一実施形態では、「マスターバッチ」の方法で、核形成剤などの添加剤を二峰性ポリエチレンコポリマーに添加してもよく、ここで「マスターバッチ」という用語は、最初に添加剤(例えば、核剤)を少量の二峰性ポリエチレンコポリマーと溶融混合し、続いてこの「マスターバッチ」を二峰性ポリエチレンコポリマーの残りのバルクと溶融混合することの実践を指す。
【0239】
本開示の一実施形態では、二峰性ポリエチレンコポリマーは、核形成剤をさらに含む。
【0240】
<ポリエチレンブレンド>
本開示の一実施形態において、本開示のポリエチレンブレンドは、有核ポリエチレンホモポリマー組成物と無核二峰性ポリエチレンコポリマーとを含む。
【0241】
本開示の一実施形態において、本開示のポリエチレンブレンドは、有核ポリエチレンホモポリマー組成物と有核二峰性ポリエチレンコポリマーとを含む。
【0242】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、1~99重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、99~1重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物は核形成剤を含む。
【0243】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、10~90重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、90~10重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物は核形成剤を含む。
【0244】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、20~80重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、80~20重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物は核形成剤を含む。
【0245】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、25~75重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、75~25重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物は核形成剤を含む。
【0246】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、30~70重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、70~30重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物は核形成剤を含む。
【0247】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、35~65重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、65~35重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物は核形成剤を含む。
【0248】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、40~60重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、60~40重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物は核形成剤を含む。
【0249】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、45~55重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、55~45重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物は核形成剤を含む。
【0250】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、1~99重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、99~1重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物と二峰性ポリエチレンコポリマーの両方が核形成剤を含む。
【0251】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、10~90重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、90~10重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物と二峰性ポリエチレンコポリマーの両方が核形成剤を含む。
【0252】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、20~80重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、80~20重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物と二峰性ポリエチレンコポリマーの両方が核形成剤を含む。
【0253】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、25~75重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、75~25重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物と二峰性ポリエチレンコポリマーの両方が核形成剤を含む。
【0254】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、30~70重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、70~30重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物と二峰性ポリエチレンコポリマーの両方が核形成剤を含む。
【0255】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、35~65重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、65~35重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物と二峰性ポリエチレンコポリマーの両方が核形成剤を含む。
【0256】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、40~60重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、60~40重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物と二峰性ポリエチレンコポリマーの両方が核形成剤を含む。
【0257】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、45~55重量パーセント(重量%)のポリエチレンホモポリマー組成物と、55~45重量パーセント(重量%)の二峰性ポリエチレンコポリマーとを含み;ポリエチレンホモポリマー組成物と二峰性ポリエチレンコポリマーの両方が核形成剤を含む。
【0258】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、約0.951~約0.975g/cmの密度を有する。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレンブレンドは、約0.951~約0.971g/cm、又は約0.952~約0.970g/cm、又は約0.952~約0.969g/cm、又は約0.953~約0.970g/cm、又は約0.953~約0.969g/cm、又は約0.951~約0.970g/cm、又は約0.951~約0.969g/cmの密度を有する。
【0259】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、約0.1~約10.0g/10分のメルトインデックスIを有する。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレンブレンドは、約0.5~約10.0g/10分、又は約1.0~約10.0g/10分、又は約1.0~約8.0g/10分、又は約1.5~約8.0g/10分、又は約1.0~約7.0g/10分、又は約1.5~約7.0g/10分、又は約1.0~約6.0g/10分、又は約1.5~約6.0g/10分、又は約1.0~約5.0g/10分、又は約1.5~約5.0g/10分のメルトインデックスIを有する。
【0260】
本開示の実施形態において、ポリエチレンブレンドは、約5,000~約20,000、又は約7,500~約17,500、又は約7,500~約15,000の数平均分子量(Mn)を有する。
【0261】
本開示の実施形態において、ポリエチレンブレンドは、約40,000~約175,000、又は40,000~約140,000、又は約40,000~約120,000、又は約50,000~約120,000、又は約50,000~約110,000の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0262】
本開示の実施形態において、ポリエチレンブレンドは、約350,000未満、又は約325,000未満、又は約300,000未満のZ平均分子量(Mz)を有する。
【0263】
本開示の実施形態において、ポリエチレンブレンドは、約130,000~約350,000、又は約140,000~約325,000、又は約140,000~約300,000、又は約150,000~約325,000、又は約150,000~約300,000のZ平均分子量(Mz)を有する。
【0264】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、約3.0~約13.0の分子量分布(Mw/Mn)を有する。本開示のさらなる実施形態では、ポリエチレンブレンドは、約3.5~約12.5、又は約4.0~約12.0、又は約4.5~約11.0、又は約4.0~約10.0、又は約4.5~約9.5、又は約4.0~約9.0、又は約4.0~約8.5、又は約4.0~約8.0の分子量分布(Mw/Mn)を有する。
【0265】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、約2.0~約5.0、又は約2.0~約4.5、又は約2.0~約4.0のZ平均分子量分布(Mz/Mw)を有する。
【0266】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、ゲル浸透クロマトグラフにおいて二峰性GPCプロファイルを有する。
【0267】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、ゲル浸透クロマトグラフにおいて多峰性GPCプロファイルを有する。
【0268】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは剪断粘度比を有し、240℃での剪断粘度比η(100秒-1)/η(100000秒-1)は、少なくとも75、又は少なくとも90、又は少なくとも100、又は80~200、又は100~180である。
【0269】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、50℃で10%IgepalにおけるESCR条件Bは少なくとも10時間、又は少なくとも25時間、又は少なくとも50時間、又は5~100時間、又は5~75時間である。
【0270】
本開示の一実施形態において、ポリエチレンブレンドは、少なくとも1,200MPa、又は少なくとも1,400MPa、又は少なくとも1,600MPa、又は1,000~2,000MPa、又は1,200~1,800MPaの2パーセント曲げ弾性率を有する。
【0271】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、成形物品の形成に使用される。そのような物品は、圧縮成形、連続圧縮成形、射出成形又はブロー成形によって形成することができる。そのような物品には、例えば、キャップ、スクリューキャップ、及びボトル、容器、又はパウチ用のクロージャ、それらのヒンジ付きのもの、ピルボトル若しくは医薬品ボトル、又はピルボトルクロージャ若しくは医薬品ボトルクロージャ、それらのヒンジ付きのものが含まれる。
【0272】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、例えばインフレーションフィルム、キャストフィルム、及びラミネーションフィルム又は押出しフィルムなどのフィルムの形成に使用される。ポリエチレンブレンドからそのようなフィルムを製造する方法は、当業者に周知である。
【0273】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは回転成形品の形成に使用される。
【0274】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、任意の適切なボトル、容器などを充填するための任意の高温充填プロセスで使用するための任意の適切な設計及び寸法の任意のクロージャの形成に使用される。
【0275】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、ボトル、容器、パウチなどのためのクロージャの形成に使用される。例えば、連続圧縮成形又は射出成形によって形成されるボトル用のクロージャが考えられる。そのようなクロージャには、例えば、キャップ、ヒンジ付きキャップ、スクリューキャプ、ヒンジ付きスクリューキャップ、スナップトップキャップ、ヒンジ付きスナップトップキャップ、必要に応じてボトル、容器、パウチなどのためのヒンジ付きクロージャが含まれる。
【0276】
本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンドは、成形物品の形成に使用される。例えば、連続圧縮成形及び射出成形によって形成された物品が考えられる。そのような物品には、例えば、キャップ、スクリューキャップ、及びボトル用のクロージャが含まれる。
【0277】
<クロージャ>
「キャップ」及び「クロージャ」という用語は、本開示では交換可能に使用され、両方とも、容器、瓶、ジャー、パウチなどと組み合わせて使用される適切に形成された開口、適切に成形された開口、オープンネック型構造などの封入、密封、閉鎖又は被覆などをするための任意の適切に成形された物品を意味する。
【0278】
クロージャは、ワンピース型クロージャ、又は複数のピースを含むクロージャを含む。
【0279】
本開示の一実施形態では、上記のポリエチレンブレンドはクロージャの形成に使用される。
【0280】
本開示の一実施形態では、上記のポリエチレンブレンドは、ボトル、容器、パウチなどのためのクロージャの形成に使用される。例えば、圧縮成形又は射出成形によって形成されるボトル用のクロージャが考えられる。このようなクロージャは、例えば、ボトル、容器、パウチなどのためのヒンジ付きキャップ、ヒンジ付きスクリューキャップ、ヒンジ付きスナップトップキャップ、及びヒンジ付きクロージャを含む。
【0281】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、ボトル、容器、パウチなどのためのスクリューキャップである。
【0282】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、ボトル、容器、パウチなどのためのスナップクロージャである。
【0283】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、クロージャ(又はキャップ)の他の部分と同じ材料で作られたヒンジを備える。
【0284】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)はヒンジ付きクロージャである。
【0285】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、ボトル、容器、パウチなどのためのヒンジ付きクロージャである。
【0286】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、レトルト、高温充填、無菌充填及び低温充填の用途のためのものである。
【0287】
本開示の一実施形態では、クロージャ(又はキャップ)は、プラスチックのケチャップ瓶又は食料を収容する類似の容器に使用するためのフリップトップ型ヒンジクロージャのようなフリップトップ型ヒンジクロージャである。
【0288】
クロージャがヒンジ付きクロージャである場合、それはヒンジ付き構成要素を含み、一般に、少なくとも2つの本体が最初に成形された位置から曲がることを可能にするヒンジとして働くより薄い部分によって接続される少なくとも2つの本体からなる。より薄い部分は、連続的であるかウェブ状であってもよく、幅が広くても狭くてもよい。
【0289】
(ボトル、容器などのための)有用なクロージャは、ヒンジ付きクロージャであり、少なくとも1つのより薄い曲げ可能部分によって互いに接合された2つの本体から構成されてもよい(例えば、2つの本体を1つの橋渡し部分、1つ以上の橋渡し部分、又はウェブ部分などによって接合することができる)。第1の本体は分配穴を含み、分配穴は容器上にスナップ留め又はねじ込まれて容器開口部(例えばボトルの開口部)を覆い、一方で第2の本体は、第1の本体と嵌合する蓋のスナップとして機能してもよい。
【0290】
ヒンジ付きキャップ、ヒンジ付きクロージャ及びスクリューキャップがサブセットであるキャップ及びクロージャは、例えば、当業者に周知の射出成形及び圧縮成形技術を含む任意の既知の方法に従って製造することができる。したがって、本開示の一実施形態では、ポリエチレンブレンド(上記で定義された)を含むクロージャ(又はキャップ)は、少なくとも1つの圧縮成形工程及び/又は少なくとも1つの射出成形工程を含むプロセスによって準備される。
【0291】
一実施形態では、キャップ及びクロージャ(単一片又は複数片の変形及びヒンジ付き変形を含む)は、良好な剛性、及び加工性、並びに良好なESCR値を有する上記のポリエチレンブレンドを含む。したがって、この実施形態のクロージャ及びキャップは、例えば飲用水、及び他の食料、限定されるものではないが適切な圧力下にある液体(すなわち炭酸飲料又は適切に加圧された飲用液)などを収容することができるボトル、容器などを密封するのによく適している。
【0292】
クロージャ及びキャップは、飲用水又は非炭酸飲料(例えば、ジュース)を収容するボトルを密封するためにも使用され得る。他の用途には、例えばケチャップ瓶などの食料を収容するボトル、容器及びパウチのためのキャップ及びクロージャが含まれる。
【0293】
クロージャ及びキャップは、クロージャ及びライナを備えるワンピース型クロージャ又は2ピース型クロージャであってもよい。
【0294】
クロージャ及びキャップはまた、多層設計であってもよく、キャップのクロージャは、少なくとも2つの層を備え、そのうちの少なくとも1つは本明細書に記載のポリエチレンブレンドから製造される。
【0295】
本開示の一実施形態では、クロージャは連続圧縮成形によって製造される。
【0296】
本開示の一実施形態では、クロージャは射出成形によって製造される。
【0297】
本開示に記載のクロージャは、クロージャが高温充填プロセス、場合によっては無菌充填プロセスなど、高温で液体と接触する1つ以上のステップを含む容器密封プロセスでの使用に適したクロージャであってもよい。そのようなクロージャ及びプロセスは、例えば、カナダ特許出願第2,914,353号;2,914,354号;及び2,914,315号に記載されている。
【0298】
理論に束縛されることは望まないが、「そのままの」クロージャの瞬間圧縮変形は、所与の温度での非線形関係における瞬間的な力(例えば応力)及び時間の両方の関数であり、基礎となる構造-特性関係を解明するためにモデル化が必要である。本開示で採用されている瞬間圧縮変形モデルは、以下の式で表される圧縮歪みモデルであり、
【数1】

式中εは圧縮歪みであり、σはN/cm単位の応力であり、tは秒単位の負荷時間である。Aはモデル係数であり、パラメータnは「変形応力指数」と呼ばれ、mは「時間指数」と呼ばれる。非線形回帰を実行することができる任意のソフトウェアを使用して、モデルパラメータを推定することができる。このような圧縮変形モデルは、最近、ANTEC(商標)会議で「Deformation Measurement,Modeling and Morphology Study for HDPE Caps and Closures」(XiaoChuan(Alan)Wang、2015年3月23-25日、米国フロリダ州オーランド)として開示された。
【0299】
本開示の一実施形態において、製造されるクロージャは、約2.15gの重量を有し、以下の寸法を有するPCO 1881 CSDクロージャである:クロージャ高さ(タンパーリングを含まない)=約10.7mm、タンパーリング付きクロージャ高さ=約15.4mm、4mmでの外径=約29.6mm、ねじ直径=約25.5mm、バンプシール直径=約24.5mm、バンプシール厚さ=約0.7mm、オリーブ中心までのバンプシール高さ=約1.5mm、ボアシール直径=約22.5mm、ボアシール厚さ=約0.9mm、オリーブ中心までのボア高さ=約1.6mm、上部パネル厚さ=約1.2mm、タンパーバンドアンダーカット直径=約26.3mm、ねじ深さ=約1.1mm、ねじピッチ=約2.5mm、4mmでのねじ根元=27.4mmの寸法を有する。
【0300】
本開示の一実施形態では、クロージャは、PCO 1881 CSDクロージャを作製するために射出成形プロセスを使用して製造され、約2.15gの重量を有し、以下の寸法を有する:クロージャ高さ(タンパーリングを含まない)=約10.7mm、タンパーリング付きクロージャ高さ=約15.4mm、4mmでの外径=約29.6mm、ねじ直径=約25.5mm、バンプシール直径=約24.5mm、バンプシール厚さ=約0.7mm、オリーブ中心までのバンプシール高さ=約1.5mm、ボアシール直径=約22.5mm、ボアシール厚さ=約0.9mm、オリーブ中心までのボア高さ=約1.6mm、上部パネル厚さ=約1.2mm、タンパーバンドアンダーカット直径=約26.3mm、ねじ深さ=約1.1mm、ねじピッチ=約2.5mm、4mmでのねじ根元=27.4mmの寸法を有する。
【0301】
本開示の一実施形態では、クロージャは、PCO 1881 CSDクロージャを作製するために連続圧縮プロセスを使用して製造され、約2.15gの重量を有し、以下の寸法を有する:クロージャ高さ(タンパーリングを含まない)=約10.7mm、タンパーリング付きクロージャ高さ=約15.4mm、4mmでの外径=約29.6mm、ねじ直径=約25.5mm、バンプシール直径=約24.5mm、バンプシール厚さ=約0.7mm、オリーブ中心までのバンプシール高さ=約1.5mm、ボアシール直径=約22.5mm、ボアシール厚さ=約0.9mm、オリーブ中心までのボア高さ=約1.6mm、上部パネル厚さ=約1.2mm、タンパーバンドアンダーカット直径=約26.3mm、ねじ深さ=約1.1mm、ねじピッチ=約2.5mm、4mmでのねじ根元=27.4mmの寸法を有する。
【0302】
本開示の一実施形態では、クロージャは、0.075以下である時間指数mを有し、mは以下の式で表される圧縮歪みモデルを使用して決定され、
【数2】

式中εは圧縮歪みであり、σはN/cm単位の応力であり、tは秒単位の負荷時間であり、Aはモデル係数であり、nは変形応力指数であり、mは時間指数である。
【0303】
本開示のさらなる実施形態では、クロージャは、mが0.0750以下、又は0.0725以下、又は0.0700以下、又は0.0675以下、又は0.0650以下の時間指数mを有し、mは、以下の式で表される圧縮歪みモデルを用いて決定され、
【数3】

式中εは圧縮歪みであり、σはN/cm単位の応力であり、tは秒単位の負荷時間であり、Aはモデル係数であり、nは変形応力指数であり、mは時間指数である。
【0304】
本開示のさらなる非限定的な詳細は、以下の実施例において提供される。実施例は、本開示の選択された実施形態を説明する目的で提示されており、提示された例は提示された特許請求の範囲を限定しないことが理解される。
【実施例
【0305】
<一般的なポリマーの特性評価方法>
二峰性ポリエチレン組成物のメルトインデックスI、I、I及びI21は、ASTM D1238(2.16kg、5kg、6.48kg及び21kgの重りをそれぞれ用いて190℃で実施した場合)に従って測定した。
【0306】
、M及びM(g/mol)は、ユニバーサル較正(例えば、ASTM-D6474-99)を用いた示差屈折率(DRI)検出を用いて高温ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定した。GPCデータは、「Waters 150c」の商品名で販売されている装置を使用して、140℃で移動相として1,2,4-トリクロロベンゼンを用いて得た。この溶媒にポリマーを溶解することによって試料を調製し、濾過せずに行った。分子量は、数平均分子量(「Mn」)については2.9%、重量平均分子量(「Mw」)については5.0%の相対標準偏差を有するポリエチレン当量として表される。分子量分布(「MWD」)は、重量平均分子量を数平均分子量で除したもの(M/M)である。z平均分子量分布はM/Mである。ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、オーブン内150℃で4時間回転盤上で回転させることにより、ポリマー試料溶液(1~2mg/mL)を調製した。酸化防止剤である2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を混合物に添加して、酸化分解に対してポリマーを安定化させた。BHT濃度は250ppmであった。試料溶液を、流速1.0mL/分の移動相としてTCBを用い、濃度検出器として示差屈折率(DRI)を用いて、4つのShodexカラム(HT803、HT804、HT805及びHT806)を備えたPL220高温クロマトグラフィー装置で140℃でクロマトグラフィーにかけた。カラムを酸化分解から保護するために、BHTを移動相に250ppmの濃度で添加した。試料の注入量は200mLであった。生データをCirrus GPCソフトウェアで処理した。カラムは狭い分布のポリスチレン標準で較正した。ASTM標準試験法D6474に記載されているように、Mark-Houwink方程式を用いてポリスチレン分子量をポリエチレン分子量に換算した。
【0307】
示差走査熱量測定(DSC)を用いて一次融解ピーク(℃)、融解熱(J/g)及び結晶化度(%)を測定し、装置を最初にインジウムで較正し、較正後、ポリマー試験片を0℃で平衡化し、次いで温度を10℃/分の加熱速度で200℃まで上昇させ、次いで溶融物を200℃で5分間等温に保持し、次いで溶融物を10℃/分の冷却速度で0℃まで冷却し、0℃で5分間保持し、次いで試料を10℃/分の加熱速度で200℃まで加熱した。DSC Tm、融解熱及び結晶化度は、第2の加熱サイクルから報告されている。
【0308】
高密度二峰性ポリエチレン組成物の短鎖分岐周波数(炭素原子1000個当たりのSCB)を、ASTM D6645-01法に従ってフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって測定した。測定にはOMNICバージョン7.2aソフトウェアを備えたThermo-Nicolet 750 Magna-IR分光光度計を使用した。また、高密度二峰性ポリエチレン組成物中の不飽和化を、ASTM D3124-98に従ってフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって測定した。コモノマー含量は、Randall、Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29(2&3)、285頁、米国特許第5,292,845号及び国際公開第2005/121239号に記載されているような13C NMR技術を用いて測定することもできる。
【0309】
ポリエチレン組成物密度(g/cm)はASTM D792に従って測定した。
【0310】
ヘキサン抽出物はASTM D5227に従って決定した。
【0311】
剪断粘度はKayeness WinKARSキャピラリーレオメーター(モデル番号D5052M-115)を用いて測定した。より低い剪断速度での剪断粘度に関しては、ダイ直径0.06インチ、L/D比20、及び入射角180度を有するダイを使用した。より高い剪断速度での剪断粘度については、ダイ直径0.012インチ、及びL/D比20を有するダイを使用した。
【0312】
本開示で使用される用語としての剪断粘度比は、240℃でのη10/η1000と定義される。η10は、剪断速度10秒-1での溶融剪断粘度であり、η1000は、240℃で測定した剪断速度1000秒-1での溶融剪断粘度である。
【0313】
CDBI50を決定するために、まずポリエチレン組成物について溶解度分布曲線を作成する。これは、TREF技術から得られたデータを使用して達成される。この溶解度分布曲線は、温度の関数として可溶化されたコポリマーの重量分率のプロットである。これが重量分率対コモノマー含量の累積分布曲線に変換され、ここから、中央値の両側のコモノマー含量中央値の50%以内のコモノマー含量を有するコポリマー試料の重量パーセンテージを確定することによって、CDBI50が決定される(国際公開第93/03093号パンフレット及び米国特許第5,376,439号参照)。CDBI25は、中央値の両側のコモノマー含量中央値の25%以内のコモノマー含量を有するコポリマー試料の重量パーセンテージを確定することによって決定される。
【0314】
本明細書で用いた具体的な昇温溶出分別法(TREF)は以下の通りである。ポリマー試料(50~150mg)を結晶化TREFユニット(Polymer Char)の反応容器に導入した。反応容器に20~40mlの1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)を充填し、所望の溶解温度(例えば、150℃)まで1~3時間加熱した。次いで、ステンレス鋼ビーズを充填したTREFカラムに溶液(0.5~1.5ml)を充填した。所与の安定化温度(例えば、110℃)で30~45分間平衡化した後、ポリマー溶液を安定化温度から30℃までの温度低下(0.1又は0.2℃/分)で結晶化させた。30℃で30分間平衡化した後、結晶化した試料を、TCBを用いて(0.5又は0.75mL/分)、30℃から安定化温度までの温度勾配(0.25又は1.0℃/分)で溶出した。溶出温度で30分間行った後、TREFカラムを洗浄した。データは、Polymer Charソフトウェア、Excelスプレッドシート、及び社内で開発されたTREFソフトウェアを使用して処理した。
【0315】
ポリエチレン組成物から成形されたプラークを、以下のASTM方法に従って試験した:50℃、10%IGEPAL、条件Bでのベントストリップ環境応力亀裂抵抗(ESCR)(ASTM D1693)、ノッチ付きアイゾット衝撃特性(ASTM D256)、曲げ特性(ASTM D 790)、引張特性(ASTM D 638)、ビカット軟化点(ASTM D 1525)、熱変形温度(ASTM D 648)。
【0316】
動的機械的分析は、直径25mmの円錐及びプレート形状を使用して、190℃の窒素雰囲気下で、レオメーター、すなわちRheometrics Dynamic Spectrometer(RDS-II)又はRheometrics SR5又はATS Stresstechを用いて、圧縮成形試料について行った。振動剪断実験は、0.05~100ラジアン/秒の周波数での線形粘弾性歪みレンジ(10%歪み)内で行った。貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、複素弾性率(G)及び複素粘度(η)の値を周波数の関数として得た。同じレオロジーデータは、窒素雰囲気下190℃で直径25mmの平行プレート形状を使用することによっても得ることができる。SHI(1,100)値は、国際公開第2006/048253号パンフレット及び国際公開第2006/048254号パンフレットに記載されている方法に従って計算する。
【0317】
二峰性ポリエチレンコポリマーをホスフィンイミン触媒を用いる二重反応器溶液重合法で、米国特許第8,962,755号に概説された方法で製造した。第1及び第2のエチレンコポリマーのメルトインデックスI及び密度は、以下でさらに論じるように、GPC及びGPC-FTIR逆畳み込みによって推定した。
【0318】
オンラインFTIR検出器(GPC-FTIR)を備えた高温GPCを使用して、コモノマー含量を分子量の関数として測定した。数学的逆畳み込みを行って、各ポリマー成分がフローリーの分子量分布関数に従い、また分子量範囲全体にわたって均質なコモノマー分布を有すると仮定することによって、各反応器で製造された成分のポリマー、分子量及びコモノマー含量の相対量を決定した。
【0319】
これらのシングルサイト触媒樹脂については、GPCクロマトグラフからのGPCデータをフローリーの分子量分布関数に基づいてフィットさせた。
【0320】
逆畳み込みの精度と一貫性を向上させるために、制約として目標とする樹脂のメルトインデックスIを設定し、逆畳み込み中に
Log10(I)=22.326528+0.003467*[Log10(M)]-4.322582*Log10(M)-0.180061*[Log10(M)]+0.026478*[Log10(M)]
の関係が満たされ、
ここで、実験的に測定した全体のメルトインデックスIを式の左辺に用い、フィットする基準を満たすまで組成物の計算した全体のM、M及びMを変化させて、各成分のM(各成分についてM=2×M、M=1.5×M)を調製した。逆畳み込み中に全体のM、M及びMを以下の関係式を用いて計算し、M=1/Sum(w/M(i))、M=Sum(w×M(i))、M=Sum(w×M(i))、式中iはi番目の成分を表し、wは組成物中のi番目の成分の相対重量分率を表す。
【0321】
樹脂成分(すなわち、第1及び第2のエチレンコポリマー)の均一なコモノマー分布(シングルサイト触媒の使用に起因する)によって、ポリエチレン組成物中の第1及び第2のエチレンコポリマー成分の逆畳み込みされた相対量及び上記の手順から推定される樹脂分子量パラメータに基づいて、GPC-FTIRデータからの短鎖分岐含量(SCB)(炭素原子1000個当たりの分岐)の推定と、コモノマー含量(モル%)及び密度(g/cm)の計算とが可能になる。
【0322】
第1及び第2のエチレンポリマーの密度及びメルトインデックスIを計算するために、成分(又は組成)密度モデル及び成分(又は組成)メルトインデックスIモデルを以下の式に従って使用し、
密度=0.979863-0.00594808*(FTIR SCB/1000C)0.65-0.000383133*[Log10(M)]
0.00000577986*(M/M+0.00557395*(M/M0.25
Log10(melt index,I)=22.326528+0.003467*[Log10(M)]-4.322582*Log10(M)-0.180061*[Log10(M)]+0.026478*[Log10(M)]
式中M、M及びMは、上記のGPC逆畳み込みの結果から得られた個々のエチレンポリマー成分の逆畳み込みされた値であった。したがって、これらの2つのモデルを使用して、メルトインデックス(I)及び成分(すなわち、第1及び第2のエチレンコポリマー)の密度を推定した。
【0323】
ポリエチレンホモポリマー組成物を、ホスフィンイミン触媒を用いる二重反応器溶液重合法で、米国特許出願公開2008/0118749号及び2015/0206671号に概説された方法で調製した。両方の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。上記のように、メルトインデックス(I)は一般にポリエチレン樹脂の分子量に反比例する。これは、log(I)対log(重量平均分子量、M)のプロットを作成することによって、狭い分子量分布(3未満)を有するホモポリマーHDPE樹脂について確認された。このプロットを作成するために、15を超える異なるホモポリマーHDPE樹脂のメルトインデックス(I)及び重量平均分子量(M)を測定した。これらのホモポリマーHDPE樹脂は狭い分子量分布(3未満)を有するが、約30,000~150,000の範囲の異なるMを有した。(当業者には理解されるように、この範囲外の分子量を有するポリエチレン樹脂について再現可能なI値を得ることは困難である。)
これらのIとM値の対数/対数プロットを用いて、このようなホモポリマーHDPE樹脂についてのIとMとの間の以下の関係を計算した:
=(1.774×10-19)×(M ―3.86)。ポリエチレンホモポリマー組成物中に存在する(I)第1のエチレンホモポリマー成分及び(II)第2のエチレンホモポリマー成分のI値を推定するために外挿(上記の関係に基づく)を使用した。すなわち、成分I及び成分IIの分子量を測定し、M値を用いてI値を推定した。
【0324】
二軸スクリュー押出機を使用することによって、異なる量の有核ポリエチレンホモポリマー組成物及び二峰性ポリエチレンコポリマーを有するポリエチレンブレンドを調製した。それらを最初にタンブルブレンドし、続いてLEISTRITZ(登録商標)二軸スクリュー押出機を用いて65rpmで200℃の溶融温度で窒素パージ下で溶融配合した。
【0325】
ブレンド中に使用したポリエチレンホモポリマー組成物「ブレンド成分A」は、0.968g/cmの密度、6g/10分のメルトインデックス(I)、5.5の分子量分布M/Mを有し、ミリケン社から市販されている1,200ppm(重量当たり百万分の1部)のHPN-20Eで核形成した。エチレンホモポリマー組成物を核形成するために、それをHPN-20Eマスターバッチと溶融配合した。有核エチレンホモポリマー組成物についてのさらなるポリマー及びプラークの詳細を表1に示す。GPCプロファイルを図1に示す。
【0326】
ポリエチレンブレンド中に使用した二峰性ポリエチレンコポリマー「ブレンド成分B」は、0.953g/cmの密度、1.5g/10分のメルトインデックス(I)、8.5の分子量分布M/Mを有していた。二峰性ポリエチレンコポリマーについてのさらなるポリマー及びプラークの詳細を表1に示す。GPCプロファイルを図2に示す。
【0327】
ポリエチレンブレンド及びそれらの性質を表1に示す。ポリエチレンブレンドもプラークにし、そのプラーク特性も表1に示す。ポリエチレンブレンドNo.1、2及び3のGPCプロファイルを、それぞれ図3図4及び図5に示す。
【0328】
【表1-1】

【表1-2】
【0329】
表1のデータは、本ポリエチレンブレンドがESCR(少なくとも50重量%の二峰性ポリエチレンコポリマーを有するブレンドについては、約30時間を超える)、加工性(少なくとも50重量%の二峰性ポリエチレンコポリマーを有するブレンドについては、240℃での剪断粘度比η(100秒-1)/η(100000秒-1)は、約130より大きい)及び剛性(2パーセント割線弾性率は、各ブレンドについて約1,400MPaより大きい)の良好なバランスを有することを示している。ESCR、剛性、及び加工性の良好なバランスは、連続圧縮成形又は射出成形から得られる物品のような成形物品の製造にとって望ましい。
【0330】
<クロージャ>
一般に、ポリエチレンクロージャとPETボトルネックフィニッシュとの間の機械的密封面は、非常に複雑な形状を有する。したがって、一般的な実験方法を用いて系統的な研究を行うことは困難である。例えば、数値シミュレーション(例えば、有限要素解析)はこの目的には有用であるが、このタイプの分析の材料特性の入力は、一般に、実験室環境で作られた圧縮成形プラークからのものを使用する。しかし、圧縮成形プラークは、工業用射出成形又は連続圧縮成形プロセスで製作されたクロージャ材とは非常に異なる材料の形態及び特性を有することがある。商業的実践に従って製造されたクロージャのクロージャ歪みモデルパラメータを得るために使用することができる方法論によって、代替法が提供される。本開示でも使用されているこのような方法論の1つは、最近ANTEC(登録商標)会議で「Deformation Measurement,Modeling and Morphology Study for HDPE Caps and Closures」(XiaoChuan(Alan)Wang、2015年3月23-25日、米国フロリダ州オーランド)として開示された。
【0331】
本開示で使用される方法論は、そのままのクロージャの上部パネルの変形(例えば、クリープ)を使用して、PETボトル上にクロージャが置かれるか又はねじ込まれた後のプラスチック製クロージャとPETボトルのネックフィニッシュとの機械的密封面の間のものに近似させることである(「Deformation Measurement,Modeling and Morphology Study for HDPE Caps and Closures」の図1-5参照(XiaoChuan(Alan)Wang、2015年3月23-25日、米国フロリダ州オーランド、ANTEC会議))。標準化されたプラークの代わりにクロージャを使用すると、真の成形材料形態が反映され、クロージャ設計の寄与が含まれる。クロージャの上部パネルの変形は、異なる材料から製造されたクロージャを比較する目的で明確に定義することができる。クロージャの上部パネルを調べることにより、密封面の複雑な形状に対処することが回避される。
【0332】
比較されるクロージャが実質的に類似の条件下で実質的に同じ方法を用いて作製され、実質的に類似の設計及び寸法を有するクロージャを提供するならば、以下の測定及びモデリングを任意の「そのまま」のクロージャ設計に使用することができる。非限定的な例としてのみ、本明細書に記載の方法を用いて比較することができるクロージャを作製する以下の方法を提供する。
【0333】
<射出成形によるクロージャ製造方法>
住友製の射出成形機及び2.15gのPCO(plastic closure only)1881炭酸化ソフトドリンク(CSD)クロージャモールドを使用して、本明細書のクロージャを作製した。28mmのスクリュー直径を有する住友製射出成形機(モデルSE75EV C250M)を使用した。4キャビティCSDクロージャモールドは、Z-moulds(オーストリア)によって製作された。2.15gのPCO 1881 CSDクロージャ設計は、Universal Closures Ltd.(英国)によって開発された。クロージャ製作中、4つのクロージャパラメータ、キャップ上部の直径、ボアシール直径、タンパーバンド直径及びキャップ全体の高さを測定し、品質管理仕様内になるようにした。
【0334】
赤色着色クロージャのために、2%の滑剤(エルカミド)マスターバッチ(5重量%滑剤を有するAmpacet(いずれかの国における登録商標) slip 101797、最終樹脂中に1000ppmの滑剤添加剤を含む)と、1%の赤色マスターバッチ(Ampacet PE赤色マスターバッチLJ-206971、1.5重量%の赤色顔料、最終樹脂中に150ppmの赤色顔料を含む)で樹脂をドライブレンドした。
【0335】
国際飲料技術者協会(ISBT)の自主基準試験法を用いてクロージャ寸法を決定した。使用した試験には、モールドキャビティの選択と、その特定のキャビティから製造された少なくとも5つのクロージャの測定が含まれる。生産日から少なくとも1週間経過したクロージャから少なくとも14の寸法測定値を得た。クロージャ寸法の測定は、Vision EngineeringのSwift Duoデュアル光学/ビデオ測定システムを用いて行った。すべての測定は、倍率10倍を使用し、METLOGIX(登録商標) Mビデオ測定システムソフトウェア(METLOGIX M:デジタルコンパレータ視野ソフトウェア、ユーザーズガイド参照)を利用して行った。
【0336】
クロージャ1(比較例)は、単峰性ポリエチレン樹脂から製造されるクロージャであり、32g/10分のメルトインデックスI、0.951g/cmの密度、及び2.88の重量平均分子量M/Mを有し、溶液オレフィン重合プロセスでチーグラー・ナッタ触媒を用いて製造される。この樹脂は、NOVA Chemicals CorporationからSCLAIR2712として市販されている。
【0337】
クロージャ2(比較例)は、表1に記載の有核ポリエチレンホモポリマー組成物「ポリエチレンブレンド成分A」から製造されたクロージャである。
【0338】
クロージャ3(比較例)は、表1に記載の二峰性ポリエチレンコポリマー「ポリエチレンブレンド成分B」から製造されたクロージャである。
【0339】
クロージャ4(本発明)は、表1に記載のポリエチレンブレンドNo.1から製造されたクロージャである。
【0340】
クロージャ5(本発明)は、表1に記載のポリエチレンブレンドNo.2から製造されたクロージャである。
【0341】
クロージャ6(本発明)は、表1に記載のポリエチレンブレンドNo.3から製造されたクロージャである。
【0342】
クロージャは射出成形によって形成され、射出成形加工条件は表2に示されている。クロージャ寸法は表3に示されている。
【0343】
【表2】
【0344】
【表3】
【0345】
<固体クロージャの変形解析>
DHR-3回転式レオメーター試験棒を、その端部に環状プローブ(図6A及び図6B参照)を取り付けることによって改変した。このセットアップを圧縮変形試験に使用した。レオメーターは、異なる温度で変形応答を測定することができる温度チャンバ(オーブン)を有する。製造した環状プローブの内径は6.4mm、外径は10.8mmであった。環状構造は、ゲートマーク(射出成形プロセスの性質による)が完全に平坦でない場合があるため、プローブがクロージャの上部パネルの中心と接触するのを避けるように設計されている(注:連続圧縮成形プロセスで製造されたクロージャには通常クロージャの上部パネルの中央にそのようなマークはない)。クロージャホルダ(図7参照)もクロージャを保持するように設計された。このホルダには、ホルダ内部のクロージャの位置を固定するための4本の固定ねじがある。プローブは高温耐性シリコーングリースを使用して試験棒に接着される。応力下に置かれるクロージャ面の投影面積又は接触面積は0.5944cmであった。試験の前にクロージャからタンパーエビデンスリングを除去したため、投影面積における上部パネルの変形のみが誘発された。タンパーエビデンスリングが付いていないクロージャを、ステンレス製の固定リングクロージャホルダ(図7参照)に固定し、レオメーターの底板に取り付ける。プローブが最初にクロージャに接触する点をゼロ位置として設定する。時間掃引試験のために、試験を開始する前に、試料をオーブン中で93℃で15分間コンディショニングした。当業者であれば、高温充填プロセス又は無菌充填プロセスでクロージャを使用するために適用可能な結果を得るために、この試験が結果を得るための任意の適切な温度、特に周囲温度より高い任意の温度で実施され得ることを認識するであろう。最初の2.5Nの圧縮力を適用し、次いで時間掃引を周波数1rad/秒及び半径方向0.0001%の歪みで93℃で300秒間行った(このような低い値では軸方向応答に影響しない。より大きな半径方向歪みを使用した場合、固体試料は軸力での歪み及び変形を生じ、ΔLデータが得られる)。このプロセスの間に、ΔL対時間として測定される瞬間圧縮力及び変形を記録した。圧縮歪みε(モデル化のため正の値とする、以下を参照)は、クロージャ上部パネルのΔL/厚さ(mm)の比をとることによって計算される。接触面積で受ける応力は、記録した力を実際の接触面積(すなわち、0.5944cm)で除した値を用いて計算する。表4に示すデータは、各クロージャについて得られたデータセットの一例であり、各クロージャについて実施した修正固体変形解析(時間(秒)、軸力(ニュートン)、変形又はΔL(mm)、温度(℃)、及び角周波数(ラジアン/秒))から得た。各クロージャからのデータをモデル化して、歪みモデルパラメータ(A、n及びm)を得た。表4A~表4Fに報告するデータは、特定の樹脂で製造された各クロージャの上記変形試験によって得られた生データの1組の値を示す。実際には、各樹脂から製造された4~6個のクロージャについてデータを収集した。各樹脂タイプについて測定した4~6個のクロージャからのデータは、軸力を応力に変換し、変形を歪みに変換した後に、モデリングの基礎として使用した。次いで、モデル(クロージャ/樹脂系)で得られた数を平均し、以下の表5に示す。理論に束縛されることは望まないが、現在の方法論を用いて評価した圧縮変形抵抗は、引張変形など他の変形モード下での変形抵抗も反映すると考えられ、さらに、クロージャがPETボトルに固定された後に、そのままのクロージャの上部パネルの変形が、プラスチック製クロージャ及びPETボトルのネックフィニッシュの機械的密封面の間で生じる変形に近似すると考えられる。
【0346】
【表4A】
【0347】
【表4B】
【0348】
【表4C】
【0349】
【表4D】
【0350】
【表4E】
【0351】
【表4F】
【0352】
当業者であれば、クロージャに成形することができる任意の樹脂を同様の試験に供して、圧縮歪みモデルで使用するための入力を提供することができるため、異なるポリマー材料で製造された2つ以上のクロージャをそれぞれの変形挙動に関して直接比較し、対比することができることを認識するであろう。
【0353】
<圧縮歪みモデル>
任意の単一の理論に束縛されることは望まないが、各クロージャについて収集される応答は、各クロージャに使用される樹脂の特性を反映する。しかし、瞬間圧縮変形情報は、非線形関係又は典型的な多変量現象である時間と応力の両方の関数であるため、ポリマー構造-クロージャ特性関係のより良い理解を提供するモデルを採用する。ここで使用するモデルは、ポリマークロージャの各組について所与の温度における応力及び時間の関数としてクロージャ変形を適切に説明することができるモデルである。
【0354】
上記のようにして得られた圧縮歪みデータは、ポリマークロージャシステムが応力下で変形する傾向を比較するために、圧縮歪みモデルを用いてモデル化される。圧縮歪みデータと共に、このモデルは、ポリマークロージャ変形特性を予測するための迅速で費用対効果の高い方法を提供する有用な方法である。
【0355】
圧縮歪みは以下に示すように所与の温度で数学的形式に従うと仮定し、
【数4】

式中εは圧縮歪みであり、σはN/cm単位の応力であり、tは秒単位の荷重時間であり、Aはモデル係数であり、nは変形応力指数であり、mは時間指数である。非線形回帰を実行することができる任意のソフトウェアを使用して、モデルパラメータを推定することができる。
【0356】
図8は、クロージャ1~6(各ケースの例として1つのクロージャ)の実測及び圧縮歪みモデルを用いてフィットさせた圧縮歪み(変形)を示す。一般に、モデルは、異なるポリマー組成物から製造されたクロージャから得られる実際の変形に非常によくフィットする。フィットさせたモデルパラメータA、n及びmの平均値を表5に要約する。
【0357】
【表5】
【0358】
予想されるクリープ歪み(表5にも示す)は、一定の応力下での特定の時間における材料の変形である。圧縮歪みについて上述したモデルは実際の生データに非常によくフィットするため、モデルをさらに使用して、応力レベルの増加など異なる条件下での変形を予測するか、又は一定の負荷時間での様々な応力値での圧縮歪みを予測してもよい。
【0359】
<クロージャを備えたPET容器に密封する4.2体積%CO含有液体の調製>
4.2体積%の二酸化炭素を調製するために、精製水中のCO(4.2ガス量又は「GV」)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)10.13g、及びクエン酸(C)7.72gを、水溶性EVOH(エチレンビニルアルコール)の袋2つに詰めた。次に、PETボトルに精製水600mLを加えてボトルを充填した。各ボトルはPCO 1881ネックフィニッシュを有していた。次いで、重炭酸ナトリウムを含む袋及びクエン酸を含む袋を、精製水を充填したPETボトルに加えた。手でクロージャをPETボトル上に直ちに置き、適用角度360°で回転させた。次に、適切なチャックを備えたSteinfurthトルク測定装置にボトルクロージャシステムを置き、クロージャを0.8rpm/分の速度で380°の適用角度でさらに回転させた。次いで、ボトルを振盪して、化学物質が水中に完全に溶解するようにした。
【0360】
<高温サイクル試験(ETCT)>
これは国際飲料技術者協会(ISBT)の自主基準試験である。クロージャは暑い気候の市場で幅広い温度変動にさらされる可能性があるため、これらの温度変動中及び製品の有効期間を通してクロージャがネックフィニッシュに留まることが不可欠である。高温サイクル試験は、そのようなクロージャ性能を評価する。
【0361】
上記のようにPETボトルに4.2GVのCOを充填し、キャッピングした後、PETボトルクロージャシステムを温度制御されたチャンバ内に配置した。次いで、ボトルクロージャシステムを、サイクル1、A)60℃で6時間、次いでB)32℃で18時間保持、サイクル2、C)60℃で6時間、次いでD)32℃で18時間保持、サイクル3、E)60℃で6時間、次いでF)32℃で18時間保持する温度プログラムに曝露した。各サイクル要素の後、クロージャの外れ、傾斜及び変形したクロージャ、及び漏出物についてPETボトルクロージャ試料を観察した。各実施例で計24個のボトルクロージャシステムを試験した。結果を表6に示す。
【0362】
【表6】
【0363】
表6のデータを調べると、ポリエチレンブレンドを用いて製造されているクロージャNo.4、5及び6は、ブレンド成分Aのみから製造されているクロージャNo.2よりも、優れた性能を有することが示されている。それぞれブレンド成分A及びBの25:75ブレンドから製造されているクロージャNo.4は、ブレンド成分Bから製造されているクロージャのほとんど全ての性能を保持している。また、50:50重量%のA:Bブレンドを含むクロージャNo.5は、単峰性樹脂を用いて製造されているクロージャNo.1、ブレンド成分Aのみから製造されているクロージャNo.2、又は75:25重量%のA:Bブレンドから製造されているクロージャNo.6、よりも良好な合格率を有する。
【0364】
<セキュアシール試験(SST)>
PET(又はガラス)はポリエチレンよりも剛性であるため、ボトル及びクロージャパッケージの機械的密封面の変形は、ボトルよりもプラスチック製のクロージャにより多く発生する。したがって、プラスチック製のクロージャが適切な変形を有することが重要である。理論に束縛されることは望まないが、機械的密封面におけるクロージャの過度の変形は、ある時点で密封面の密接な係合が失われることにつながると予想される。機械的密封面におけるクロージャの不十分な変形は、剛性なPETボトルのネックフィニッシュの密封面の形状に対して十分な適合性を提供しない可能性がある。機械的密封面における適切な変形は、ボトルの密封面(ネックフィニッシュ)とクロージャとの間に緊密な係合を提供することができる。したがって、過度の圧縮歪み又は過度の変形を示すクロージャは、クロージャがPET容器、ボトルなどに取り付けられたときに、密封性の低下(例えば、締め付けの低下)につながる可能性があり、一方で、適切な圧縮歪み又は変形を示すクロージャは、クロージャがPET容器、ボトルなどに取り付けられたときに、改善された密封特性(例えば、改善された緊密性)をもたらし得る。
【0365】
SSTは国際飲料技術者協会(ISBT)の自主基準試験である。この試験は、内部圧力下でのプラスチック製クロージャシールとねじとの統合性を決定するものである。試験の詳細な説明は次の通りである。上記のようにPETボトルに4.2GVのCOを充填してキャッピングした後、PETボトルクロージャシステムを室温(22℃+/-1℃)で24時間コンディショニングした。次に、クロージャを含むPETボトルのネックフィニッシュを、Secure-Pak(商標)ネックフィニッシュ切削工具を用いて切り取った。組み合わされたネックフィニッシュ/クロージャシステムを、加圧管を用いて密封した状態で取り付け、ガス圧を導入した。PETネックフィニッシュ/クロージャシステムを試験用固定具に入れ、アセンブリ全体をSecure Pak(オハイオ州モーミ)製のSecure Seal Tester、モデルSSTの水タンクに入れた。試験は室温(22℃)で水中で行った。クロージャの内部に100psiまでゆっくりと圧力をかけ、1分間保持した。PETボトルのネックフィニッシュ/クロージャ試料を気泡の兆候について観察した。クロージャから放出された気泡の安定した流れが観察された場合、破損を示す。次のステップでは、圧力を175psiまで上げ、1分間保持して、再び気泡の証拠を探した。最後のステップでは、圧力を200psiに上げ、1分間保持して、気泡の証拠を探した。観測可能な空気漏れ事象が発生した圧力と空気通過率を記録した。
【0366】
合計20回のセキュアシール試験を、クロージャ1~6の各々について実施し、その結果を表7に示す。
【0367】
【表7-1】

【表7-2】
【0368】
データを調べると、ポリエチレンブレンドから製造されているクロージャNo.4~6は、ブレンド成分Aから製造されているクロージャNo.2及び単峰性樹脂を用いて製造されているクロージャNo.1と比較して、優れた密封特性を有する。ブレンド成分A及びBの25:75ブレンドから製造されているクロージャは、ブレンド成分Bから製造されているクロージャNo.3(1分間175psiで合格率100%)と同等の性能を有し、一方で、A及びBが50:50重量%及び75:25重量%のポリエチレンブレンドは、それぞれ85%及び95%の合格率とほぼ同等の性能を有するクロージャ(1分間175psiで)をもたらす。
【0369】
<取り外しトルク試験>
これは国際飲料技術者協会(ISBT)の自主基準試験である。この試験は、容器からクロージャを取り外すのに必要なトルクを決定するために使用される。
【0370】
上記のようにPETボトルに4.2GVのCOを充填し、キャッピングした後、取り外しトルク試験を行う前に、ボトルを室温(22℃±1℃)で24時間コンディショニングした。試験に使用した全適用角度は740°であった。最大取り外しトルクは、適切なチャックを備えたSteinfurth自動トルク測定機を使用して0.8rpm/分の速度で試験した。計12回の試験をクロージャNo.1~6の各々について行い、平均結果を表8に示す。
【0371】
【表8】
【0372】
表8のデータは、ポリエチレンブレンドが望ましい中間トルク値を有するクロージャをもたらすことを示している。トルク値が高すぎると、クロージャをボトルネックから取り外すのが困難になる可能性がある。トルク値が低すぎると、クロージャがボトルネックと十分に良好なシールを形成しない可能性がある。
【0373】
<衝撃変形試験>
これは国際飲料技術者協会(ISBT)の自主基準試験である。輸送及び消費者による使用の間、飲料クロージャは衝撃力にさらされることがある。衝撃変形試験は、開放なく容器開口部に留まる傾向を評価する。試験は以下のように行った。上記のように4.2GVのCOでPETボトルクロージャシステムを充填し、キャッピングした後、ボトルクロージャシステムを4℃の温度制御チャンバ内で24時間コンディショニングした。衝突変形試験は、ボトルクロージャシステムを所望の向きに保持した状態で、動きに対してボトルクロージャシステムを保持するSteinfurth Ball衝撃試験機を用いて行った。打撃物として鋼球(286.7g、直径41.27mm)を用いた。クロージャの上中央部に対して0°、クロージャの上端部に対して90°、クロージャの上端部に対して45°、及びクロージャの側壁端部に対して90°の4つの異なる向きで、鋼球を762mm(30インチ)の高さから落とした。衝撃試験の後、ボトルクロージャシステムを衝撃試験機から取り外し、損傷及び/又は漏れについてクロージャを確認した。クロージャ1~6の各々について、各角度で、合計10回の衝撃変形試験を行い、その結果を表9に示す。
【0374】
【表9】
【0375】
表9のデータは、ブレンド成分A及びBの25:75重量%ブレンドを含むポリエチレンブレンドから製造されているクロージャNo.4が、100%の総合格率を有することを示しており、これはブレンド成分A又はBのみを用いて製造されているクロージャよりも優れている。それぞれブレンド成分A及びBを50:50重量%及び75:25重量%を含むポリエチレンブレンドから製造されているクロージャNo.5及び6は、それぞれ67.5%及び53%の総合格率を有し、これはブレンド成分Aのみを用いて製造されているクロージャの合格率よりも優れている。
【0376】
<酸素透過率(OTR)>
クロージャを通過する酸素透過率を測定するために、ASTM D3985(クーロメトリックセンサを用いた、プラスチックフィルム及びシートを通過する酸素ガス透過率の標準試験方法)を以下のように適合させた。
【0377】
最初に、クロージャの不正開封防止バンド(タンパーエビデントバンド:tamper evident band)を外した。次に、クロージャの底部縁を(エポキシへのより良好な接着のために)サンドペーパーで軽く粗くし、次いで、(スイープガス用に)出口管とN導入用の入口管とを覆うように、クロージャを試験プレートに(DEVCON(登録商標)2部エポキシを用いて)エポキシで接着した。そのエポキシを一晩乾燥させた。クロージャ内部に突き出ている2本のガス管のうちの一方は、クロージャ内部に流入する流入窒素ガスを運び(窒素供給ライン)、他方は、スイープガス(例えば、窒素と、クロージャを取り囲む大気から浸透したガス)をクロージャ内部から検出器内に運ぶ。大気中に存在する任意の酸素がクロージャ壁を透過している場合、それはスイープガスとしてクロージャ内部を出るN内の成分として検出される。プレート/クロージャ/チュービング装置を、23℃の温度に制御された環境チャンバ内に置かれた試験プレートと共に、Oxtranローレンジ機器(Permatran-C(登録商標)Model 2/21 MD)に接続する。空気中の酸素の検出のためのベースライン測定もまた、透過性の比較のために、(クロージャを用いるのと並行して)不透過性のアルミニウムホイルを用いることによって行われる。酸素透過率を、cm/クロージャ/日で報告する。OTR試験の結果を表10に示す。
【0378】
【表10】
【0379】
表10のデータからわかるように、それぞれブレンド成分A及びBの25:75重量%ブレンドから製造されているクロージャは、OTRに関して相乗効果を示す。ブレンドされた成分及びそれらの個々のOTRに基づく予想されるOTRは約0.0030であったが、観察されたOTRは0.0019で実質的に改善された(より低いOTRが好ましい)。
ブレンド成分A及びBの50:50重量%ブレンドから製造されているクロージャについても同様の相乗効果が観察された。ここで予想されるOTRは約0.0026であったが、観測されたOTRはわずか0.0018と非常に優れていた。
【0380】
本開示の非限定的な実施形態は、以下を含む。
【0381】
実施形態A.
5~95重量パーセントのポリエチレンホモポリマー組成物と、95~5重量パーセントの二峰性ポリエチレンコポリマーとを含むポリエチレンブレンドであって、ポリエチレンホモポリマー組成物は核形成剤を含む。
【0382】
実施形態B.
二峰性ポリエチレンホモポリマーが、(I)0.950~0.975g/cmの密度を有する5~70重量%の第1のエチレンホモポリマーと、(II)0.950~0.975g/cmの密度を有する95~30重量%の第2のエチレンホモポリマーと、を含み、第1のエチレンホモポリマーのメルトインデックスIに対する第2のエチレンホモポリマーのメルトインデックスIの比が少なくとも10である、実施形態Aに記載のポリエチレンブレンド。
【0383】
実施形態C.
二峰性ポリエチレンコポリマーが、
(III)0.4g/10分未満のメルトインデックスIと、0.925~0.950g/cmの密度とを有する10~70重量%の第1のエチレンコポリマーと、
(IV)100~20,000g/10分のメルトインデックスIと、第1のエチレンコポリマーの密度よりも高いが0.967g/cm未満の密度とを有する90~30重量%の第2のエチレンコポリマーと
を含み、
第2のエチレンコポリマーの密度は、第1のエチレンコポリマーの密度よりも0.037g/cm未満高く、第1のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB1)と第2のエチレンコポリマー中の炭素原子1000個当たりの短鎖分岐の数(SCB2)との比(SCB1/SCB2)が、0.5よりも大きい、実施形態Bに記載のポリエチレンブレンド。
【0384】
実施形態D.
ポリエチレンブレンドが、ゲル浸透クロマトグラフにおいて二峰性プロファイルを有する、実施形態A、B又はCに記載のポリエチレンブレンド。
【0385】
実施形態E.ポリエチレンブレンドが、0.951~0.971g/cmの密度を有する、実施形態A、B、C又はDに記載のポリエチレンブレンド。
【0386】
実施形態F.
ポリエチレンブレンドが、1.0~10.0g/10分のメルトインデックスIを有する、実施形態A、B、C、D又はEに記載のポリエチレンブレンド。
【0387】
実施形態G.
ポリエチレンブレンドが、3.0~13.0の分子量分布M/Mを有する、実施形態A、B、C、D、E又はFに記載のポリエチレンブレンド。
【0388】
実施形態H.
ポリエチレンブレンドが、20~80重量パーセントのポリエチレンホモポリマー組成物と、80~20重量パーセントの二峰性ポリエチレンコポリマーとを含む、実施形態A、B、C、D、E、F又はGに記載のポリエチレンブレンド。
【0389】
実施形態I.
ポリエチレンブレンドが、約10~60重量パーセントのポリエチレンホモポリマー組成物と90~40重量パーセントの二峰性ポリエチレンコポリマーとを含む、実施形態A、B、C、D、E、F又はGに記載のポリエチレンブレンド。
【0390】
実施形態J.
核形成剤が、ジカルボン酸の塩である、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H又はIに記載のポリエチレンブレンド。
【0391】
実施形態K.
エチレンホモポリマー組成物が、100~3,000ppmの核形成剤を含む、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I又はJに記載のポリエチレンブレンド。
【0392】
実施形態L.
実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J又はKに記載のポリエチレンブレンドを含む圧縮成形品。
【0393】
実施形態M.
実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J又はKに記載のポリエチレンブレンドを含む射出成形品。
【0394】
実施形態N.
実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J又はKに記載のポリエチレンブレンドを含むクロージャ。
【0395】
実施形態O.
実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J又はKに記載のポリエチレンブレンドを含むフィルム。
【産業上の利用可能性】
【0396】
本発明は、キャップ及びクロージャなどの成形品の製造又はフィルムの形成に使用することができるポリエチレンブレンドを提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8