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特許7101172振動供給装置及び振動供給装置の振動運動を調整する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】振動供給装置及び振動供給装置の振動運動を調整する方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 27/32 20060101AFI20220707BHJP
   B65G 27/24 20060101ALI20220707BHJP
   B65G 27/26 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
B65G27/32
B65G27/24
B65G27/26
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019520130
(86)(22)【出願日】2017-10-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 IB2017056229
(87)【国際公開番号】W WO2018069819
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-07-14
(31)【優先権主張番号】01376/16
(32)【優先日】2016-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518330545
【氏名又は名称】ケイ-トロン テクノロジーズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】K-TRON TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】590 Woodbury Glassboro Rd.,Sewell,NJ 08080 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ルデシャー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ウルス,ヘルフェンシュタイン
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-095563(JP,A)
【文献】特開2013-049551(JP,A)
【文献】国際公開第2004/067413(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 27/00-27/34,69/00-69/34
B06B 1/00- 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部(2)に駆動ユニット(4)を介して支持構造体(5)を設け、前記支持構造体(5)が供給トレイ(6)を支持するように構成され、前記駆動ユニット(4)が振動駆動装置(10)を有する振動供給装置において、
基部(2)に対する振動供給装置(25)の供給トレイ(6)の振動運動調整方法であって、
動作中に、振動供給装置(25)の駆動ユニット(4)の加速度を連続的に検出し、
そこから、振動供給装置(25)の支持構造体(5)が、その共振周波数(fres)に近づくように振動するか、又は、共振周波数に向けて戻されるように、振動駆動装置(10)の調整変数(S)を生成し、
駆動ユニット(4)の検出した加速度を、さらに、支持構造体(5)の振動運動の振幅(Aabs T)を調整するために使用し、
駆動ユニット(4)の振動を検出した加速度に基づいて決定し、
振動駆動装置(10)の駆動振動と、支持構造体(5)の振動とが、支持構造体(5)の共振励起を導く位相変移(Δφ)を有するまで、振動駆動装置(10)の駆動周波数を、支持構造体の共振周波数(f res )の方向に変更し、
支持構造体(5)の実際の共振周波数(f res )、駆動レバー又はリーフスプリング(12a,12b)の既知のばね定数、及び駆動ユニット(4)の既知の質量(m )を使用して、その実際の質量(m ist T )を決定し、さらに、
駆動ユニット(4)の前記実際の質量(m ist T )及び既知の質量(m )並びに駆動ユニット(4)の加速度の二重積分から得られる既知の振幅(A abs ist A )を使用して、その振動運動の実際の振幅(A abs ist T )を決定する
ことを特徴とする振動供給装置の振動運動調整方法。
【請求項2】
振動駆動装置(10)が、支持構造体(5)の振動運動の実際の振幅(Aabs ist T)が、所定の値(Aabs soll T)の範囲内に入るか、又は、そこに戻されるように調整される
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
振動駆動装置(10)を有する駆動ユニット(4)と、
搬送すべき材料用の供給要素を有する支持構造体(5)と、
振動駆動装置(10)を制御する制御装置(26)と
を備た請求項1に記載の方法を実行する振動供給装置であって
振動供給装置(25)の動作中に、駆動ユニット(4)の実際の加速度を検知する加速度センサ(27)を駆動ユニット(10)に配置し、
制御装置(26)を、請求項1に記載の方法に従って、
加速度センサ(27)の実際の加速度信号を用いて、支持構造体(5)が、本質的に、その共振周波数(fres)の範囲内で振動するように、振動駆動装置(10)に対する調整変数(S)を生成し、かつ、
前記加速度を用いて、支持構造体(5)の振動運動の振幅を調整する
ように構成した
ことを特徴とする振動供給装置。
【請求項4】
制御措置(26)を駆動ユニット(4)に配置し、加速度センサ(27)を制御装置(26)上に配置した
ことを特徴とする請求項に記載の振動供給装置。
【請求項5】
振動駆動装置(10)が、包囲されたコイル(28)を備え、
制御装置(26)及び加速度センサ(27)が包囲体(28)の内部に配置され、
包囲体(28)が、好ましくは、防爆に関して効果的であり、及び/又は電磁両立性のために遮蔽されている
ことを特徴とする請求項に記載の振動供給装置。
【請求項6】
駆動ユニット(26)が、それを介して支持構造体(5)を駆動ユニット(4)に搭載する支持構造体(5)用のばね弾性駆動レバーを備えている
ことを特徴とする請求項に記載の振動供給装置。
【請求項7】
駆動レバーが、リーフスプリング(12a,12b)として構成されている
ことを特徴とする請求項に記載の振動供給装置。
【請求項8】
制御装置(26)が、さらに、駆動ユニット(4)の加速度信号を使用して、支持構造体(5)の実際の振幅(Aabs ist T)が所定の値の範囲に入るか、又は、そこに戻されるように振動駆動装置(10)用の調整変数を生成するように構成されている
ことを特徴とする請求項に記載の振動供給装置。
【請求項9】
制御装置(26)が、さらに、支持構造体(5)の共振周波数(fres)と、支持構造体を弾性的に支持するように構成された駆動レバーのばね定数(c)とを使用して、支持構造体(5)の実際の質量(maktuell T)及び振動運動の実際の振幅(Aabs ist T)を決定し、それに基づいて、振動駆動装置(10)の調整変数を、所定の値の範囲に達するように、又は、所定の値に戻されるように生成するように構成されている
ことを特徴とする請求項に記載の振動供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に従った振動供給装置の振動運動を調整する方法及び請求項6の前文に従った振動供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の振動供給装置は、振動供給装置によって移送することができる、あらゆる種類の材料のために、多くの産業分野で使用されている。バルク材料は、供給要素、通常は、供給トレイ上に置かれ、次いで、対応する戻り動作を伴った周期的な前方及び上方運動、即ち、振動を実行し、それにより、材料の個々の粒子は、投げ出し角度で、前方に、同時に僅かに上方に投げ出される。供給要素は、粒子が後方に落下してその上に再び載る前に戻り動作を実行し、その結果、次の前方及び上方運動が実行されると、粒子はさらに一段搬送される。
【0003】
従って、振動供給装置は、その上に載せられる交換可能な振動要素に対応し、材料及び他の基準に従って設計された振動支持構造体を有し、該支持構造体は、駆動ユニットによって所望の振動をするように形成される。振動運動に起因して、振動供給装置の駆動ユニットも(反力によって)振動するが、それは、駆動ユニットを基部に取り付けることによって許容される。さもなければ、かなりのノイズが発生し、隣接する機械や設備に影響を与える。
【0004】
特に、生産ラインで使用される振動供給装置は、多くの点で厳しい要求を満たす必要がある。これは、とりわけ、(例えば、欧州連合のATEXガイドラインに従ったヨーロッパにおける)爆発に対する保護、及び(例えば、欧州連合のガイドラインであるEMVに従ったヨーロッパにおける)電磁両立性に関する。振動供給装置の制御装置又は振動供給装置の制御は、製造ラインの中央制御に組み込まれていることが多く、その結果、振動供給装置から300m程度離れている可能性があり、そのため、それぞれのケーブル接続が必要であるため、防爆と電磁両立性はしばしばかなりの支出に繋がり、防爆及び電磁両立性に関して高価な設計を必要とする。振動供給装置は、原則として、磁気的に機能する振動駆動装置と、振動供給装置の振動要素を通過する移送量、即ち、質量流量mを調整する振動供給装置用の電磁経路検出装置とを備えているので、防爆及び電磁両立性は、振動供給装置自体の構造に関しても、過小評価されないテーマである。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記した種類の振動供給装置を改良することにある。
【0006】
この目的のために、請求項1の特徴部分に従って、振動供給装置は作動され、該振動供給装置は、請求項6の特徴部分を備えている。
【0007】
駆動ユニットの加速度が、振動駆動のための調整変数として使用されるので、調整は、防爆及び電磁適合性が関係しない簡単なセンサを用いて実行され得る。加速度センサが、支持構造体、即ち、振動供給装置自体に配置されているので、防爆及び電磁両立性は、わずかな費用で、振動供給装置において局所的に保証され得る。上記した要件に加えて、支持構造体の振動運動のための比較的高価なセンサの必要性がない。さらに、上述した利点とは別に、支持構造体の加速度の検出により、改良された、特に正確な質量流量の調整を得ることができる。
【0008】
さらなる好ましい実施例は、従属項の特徴を有する。
【0009】
本発明は、添付図面を参照して、以下に詳細に説明される。図面において、同一の構成要素には、原則として、同一の参照符号が付される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来技術による振動供給装置の概略図である。
図2】本発明に係る振動供給装置の好ましい実施例の概略図である。
図3】本発明による第一調整サイクルの流れ図である。
図4】本発明による第二調整サイクルの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、一例として、従来技術による振動供給装置1を概略的に示しており、該装置1は、ベアリング構造体、この実施例では、弾性脚部、即ち、支持部材3a及び3bを介して地面2に設けられている。支持構造体5用の駆動ユニット4が示されており、支持構造体5の上には、この実施例では、供給トレイ6として構成された供給要素が配置され、供給トレイ6の後端部8aに、充填通路7を介して、バルク材料9(例えば、シリアル、医薬品、プラスチック粉及びあらゆる種類の粉体又はあらゆる種類の金属粉体等)が供給される。支持構造体5の振動運動により、供給トレイ6も振動し、その結果、バルク材料9は、供給トレイ6の前端8bで振動供給装置1から排出される。
【0012】
駆動ユニット4は、振動駆動装置10を備え、振動駆動装置10は、図示実施例では、交流電流が流れるコイルとして構成され、動作中に、周期的磁場を形成し、それが、リーフスプリング12aに配置された磁石11に作用する。リーフスプリング12a及び12bは、支持構造体5に対する駆動レバーを形成し、これらは、投げ出し角度の視点から僅かに傾斜しており、両矢印13a及び13bによって示された振動運動を実行する。それにより、支持構造体5は、駆動ユニット4の基部プレート13に対する周期的な平行移動により、振動を実行し、供給方向14における搬送される材料、即ち、バルク材料9の質量流量mを発生させる。図面には、支持構造体4の振動運動の振幅用センサ16が示されており、これは、振動運動によって生成されるバルク材料9の質量流量mの測定装置である。センサ16は、駆動ユニット4に固定されたコイル構造体17を備え、支持構造体5に設けられた磁気棒体18が、コイル構造体17の開口部内に突出しており、振動供給装置1の動作時に、磁気棒体18の振動運動が、コイル構造体17において電圧を誘起し、これが、支持構造体5の軌道又は実際の位置を、公知の方法で計算するために使用され得る。
【0013】
ライン19を介して、前記センサで検知された支持構造体の移動は、地面2に配置された制御装置20に伝達され、制御装置は、供給線21を介して交流電流を振動駆動装置10に供給し、支持構造体5の実際の振動運動が、可能な限り、それぞれの送り動作に対して設定された個々の値の範囲内に維持される。好ましくは、振動駆動装置10、センサ16及びライン19,20は、防爆及び電磁両立性を有するように遮蔽され、制御装置は、ライン制御装置と同じ位置に設けられる。
【0014】
(上述した場合のように)支持構造体5が、地面2に堅固に固定されていない場合、それは、駆動された支持構造体5の反力のために、それらと反対の方向にも振動する。従って、センサは、駆動ユニット4と支持構造体5との間の相対変移のみを検知し、地面2における質量流量mに関する重要な変移は検知しない。従って、たとえ、駆動ユニット4の(カウンター)振動の振幅が比較的小さくなるように、駆動ユニット4の質量mが、例えば、重量で、支持構造体5の質量と比較して大きく維持されていたとしても、質量流量mの調整量の近似値にしかなり得ない、動作中に検出された支持構造体5の振動運動に対して推定補正係数を使用する必要がある。
【0015】
図1を参照して上述した構造は、変形例を含めて、原則として当業者には公知である。
【0016】
要約すると、図1は、振動駆動装置10を備えた駆動ユニット4、搬送すべき材料9用の供給要素6を備えた支持構造体5、及び振動駆動装置10用の外部制御装置20を有する振動供給装置1を示している。
【0017】
冒頭で述べたように、この種の振動供給装置は、一方では、支持構造体5の実際の変移を検知することによって、それ自身の質量流量mを正確に調整する必要があることに起因して、他方では、特に、制御装置20への必要なケーブル配線の観点から、防爆及び磁気両立性のための費用がかかることに起因して、それらを調整することが高価であるという欠点を有する。
【0018】
図2は、本発明に係る振動供給装置25の概略図であり、ここでは、振動供給装置25の制御装置26は、その振動駆動装置10に取り付けられており、また、制御装置26には、加速度センサ27が設けられている。また、図面に示すように、防爆及び電磁両立性の目的のために包囲部材28が設けられており、これは、振動駆動装置10、制御装置26及び加速度センサ27を包囲している。振動駆動装置10には、明確性のために図面には示されていない外部電圧源への供給ライン29が設けられている。
【0019】
好ましくは、加速度センサ27は、制御装置26に堅固に取り付けられ、制御装置26は振動駆動装置10に固定され、振動駆動装置10は、その一部が、基部プレート13(又は単に駆動ユニット4)にしっかりと連結される。
【0020】
動作中、振動駆動装置10は、(駆動周波数で)支持構造体5の駆動振動を発生させる。図示実施例では、磁石11が、概略的に示されているホルダ11'を介して支持構造体5に直接配置されており、ここでは、支持構造体5と駆動ユニット4との間の相対運動は、ばね弾性リーフスプリング12a,12bによって決定される。
【0021】
従って、支持構造体5は、質量流量mを生成する振動運動の振幅Aを有する振動を実行する。振動に起因する支持構造体5の反力は、駆動ユニット4の振動、即ち、駆動ユニット4に作用する反力によって駆動ユニット4が実行する振動を生じさせる。駆動ユニット4の振動は、振動と同じ周波数を有するが、振幅Aは異なる。
【0022】
加速度センサ27は、ここで、駆動ユニット4の振動を検出し、制御装置26に、好ましくは、連続的に、それぞれの(実際の)加速度信号を送信する。これは、振動駆動装置10をリアルタイムで動作させるために制御装置26によって処理される。即ち、制御装置26は、振動駆動装置10用の調整変数Sを生成する。この場合、制御装置26は、支持構造体5が、その共振周波数fresの範囲内で振動するように、調整変数Sを介して振動駆動装置10を作動するよう構成されている。
【0023】
結果として、加速度センサ27が駆動ユニット4に配置されているので、振動供給装置25の動作中、加速度センサ27は、駆動ユニット4の実際の加速度を検知し、制御装置26は、加速度センサ27の実際の加速度信号を使用して、振動駆動装置10用の調整変数Sを生成し、支持構造体5が、その共振周波数fresの範囲内で本質的に振動するよう構成されている。図示実施例では、駆動ユニット4は、支持構造体5用のばね弾性的に構成された駆動レバーを備え、それを介して、駆動ユニット4に支持構造体5が設けられている。好ましくは、駆動レバーは、リーフスプリング12a,12bとして構成される。
【0024】
図2に示すように、好ましい実施例において、制御装置26を駆動ユニット4に配置し、加速度センサ27を制御装置26に配置することで、コンパクトな構造が有利に生成され、それは、駆動ユニット4の適当な位置に配置され得、特に、好ましくは、振動駆動装置10(又は、そのコイル)用の包囲部材28内に配置され得る。この場合、最も好ましくは、包囲部材28は、防爆に対して有効であり、磁気両立性に関して遮蔽されている。これは、加速度センサ27がその上に配置された本発明に係る制御装置26に起因して、振動供給装置25が、48Vの供給電圧及び1Aの電流量で動作され得るという事実によって支持される。
【0025】
不図示の本発明による実施例によれば、振動駆動装置は、二つ以上の駆動レバー上に設けられる。加えて、振動駆動装置が、異なる方法で作用すること、例えば、一方向のみに作用し、次いで、いつでも反対方向に作用することも、本発明の一部である。この種の構造では、4ワットの消費電力で約5000kg/hまでの供給量が達成される。
【0026】
図3は、本発明によって特徴付けされた振動駆動装置10を用いて、その充填された供給トレイ6を装備した支持構造体5を、その共振周波数fresの範囲内で動作させるための制御装置26の第一調整サイクルのフローチャートを示している。動作中、振動駆動装置10のエネルギ消費は、共振周波数fresにおいて(又は、その範囲内で)最小にされ、即ち、振動供給装置25の効率は、最大になる。支持構造体5の共振周波数fresは、とりわけ、その実際の質量mist T、即ち、実際の供給要求(供給トレイ6の設計)及びバルク材料9の充填のために、動作中に選択される供給要素に依存し、幾つかの理由のために、供給工程の間、充填は、確実に安定したままではなく、ある程度連続的に変化し得る。
【0027】
第一の調整サイクルは、振動供給装置のスイッチが入れられたとき、すなわち「共振周波数の範囲内での動作」モードに切り換えられたときに、ステップ40から始まる。次のステップ41では、制御装置26は、関連するメモリから、振動駆動装置10の駆動周波数に対する所定値、ここでは、開始周波数fstartを呼び出す。開始周波数fstartは、支持構造体5の結果として生じる振動が、その共振周波数fresに可能な限り近づくように選択される。従って、制御装置26は、開始周波数fstartで、各交流電圧を振動駆動装置10に印加する。(開始周波数fstartは、もちろん、振動駆動装置10に印加された交流電圧の実際の周波数fistでもある。)当業者は、例えば、支持構造体5の推定平均質量(駆動ユニット4の質量は既知である)を用いて、開始周波数fstartを固定値にするようプログラムすることができ、また、代わりに、例えば、現在使用されている供給トレイ6(図2参照)に応じて、開始前にオペレータが、この値を入力することもできる。
【0028】
ステップ42では、制御装置26は、加速度センサ27の加速度信号から、駆動ユニット4の実際の振動を決定する。
【0029】
ステップ43では、制御装置26は、実際の振動ユニット4の相φAntriebと、振動駆動装置10に印加された交流電圧の相φSpannungとを比較する。駆動ユニット4の実際の振動及び実際の交流電圧が同相でない場合、支持構造体5は、その共振周波数(以下の説明を参照)の範囲外で動作され、駆動ユニットの振動の交流電圧が、先行しているか(φAntrieb>φSpannung)、又は末尾にあるか(φAntrieb<φSpannung)が、ステップ44において判断される。
【0030】
φAntrieb>φSpannungの場合、処理はステップ45に移り、そこで、実際の駆動周波数、ここでは、振動駆動装置10に印加された交流電圧fistの周波数が1ステップ(以下の説明参照)低減される。ステップの大きさは、実際の場合には、当業者によって決定され、とりわけ、振動供給装置において使用される調整モデルに依存する。選択的に、それは、作業者によって入力され得る。
【0031】
φAntrieb<φSpannungの場合、処理はステップ46に移り、ここで、実際の駆動周波数、即ち、この実施例では、振動駆動装置10に印加された交流電圧fistの周波数が、1ステップ増加される。ステップの大きさは、実際の場合には、当業者によって決定されるか、又は、作業者によって入力され得る。ステップ45、46で変更された周波数は、新しい実際の駆動周波数fistになり、その結果、処理はステップ42に戻った後、駆動ユニット4の対応する新しい実際の発振が、加速度センサの加速度信号に基づいて決定され得る。ステップ42~46を実行する時、振動供給装置が動作している間、ステップ43において、処理がステップ47に移行するまで、位相シフトΔφは、φAntriebとφSpannungとの間で反復的に低減され、その後、第一の調整サイクルが継続されるか、又は中止される(ステップ48における停止)。
【0032】
上述の処理は、振動駆動装置10が、それに印加された高調波交流電圧のために、支持構造体5の高調波振動を生じさせるという原理に基づいており、ここで、交流電圧は、振動駆動装置10のコイルにおいて誘導される交流電流を90°進める。交流電流によって発生した電場は、支持構造体5の振動を励起する。ここで、支持構造体5の共鳴励起のために、交流電流は振動より90°進む必要があり、また、交流電圧の場合は合計で180°進む必要がある。
【0033】
駆動ユニット4が反対方向に振動し、即ち、支持構造体5に対して180°変移し、かつ、上述した位相の比較が、上述したように(加速度センサが配置された)駆動ユニット4の振動を用いて実行されるので、推定高周波振動2質量システム(駆動ユニット4及び支持構造体5)による、交流電圧及び駆動ユニットの振動は、支持構造体を共振状態で励起するために、同相である必要がある。本発明によれば、駆動ユニット4が固定されている時に、振動駆動装置10は、ばね弾性駆動レバーを介して支持構造体5として構成された共振器を駆動する発振器を構成する。ここで、駆動ユニット4が振動し、かつ、その移送変異φが考慮される場合、支持構造体5の振動の代わりに、駆動ユニットの振動が、共振周波数fresを調整するために使用され得る。
【0034】
図示されていないさらに別の実施例によれば、振動駆動装置10に印加される電圧は、高調波交流電圧ではなく、振動供給装置の実際の設計に応じて当業者によって決められるランダム(かつ周期的な)電圧形状であり、それは、例えば、方形波電圧パルスで構成され、コイルに適当な周囲で電流を誘起する。ここで、一般的な方法で、支持構造体5の共鳴励起に必要なφAntrieb及びφSpannung間の位相変移Δφを特定することはできないが、これは、電圧形状に応じて決められる。これは、計算又は試行錯誤によって実行することができる。支持構造体5の共振振動に対するエネルギ消費が最小であるので、選択した電圧形状の周波数は、例えば、エネルギ消費が最小になり、かつ、共鳴励起に対する各位相変移Δφが確認され得るまで変更され得る。次いで、図2のステップ43と同様に、位相変移Δφが要求通りであるか否かが判断され、次いで、場合によっては、ステップ44~46と同様に位相変移が補正されるか、又はステップ47の調整サイクルを継続する。図2における残りの工程は、同様のシーケンスで実行される。
【0035】
従って、第一調整サイクルは、振動供給装置25の始動後に共振振動領域に迅速に到達すること、又は、搬送速度がドリフト若しくは変化した場合に再びそれに到達することを可能にする。
【0036】
制御装置及び振動駆動装置の実際の構成とは関係なく、本発明に係る方法によれば、振動駆動装置に対する駆動ユニット5の連続的に検知された加速度から調整変数S(上述の実施例では、交流電圧の周波数)が生成され、振動供給装置25の支持構造体5が、(この実施例では、図2のステップ46~46による実際の周波数fist、ここでは交流電圧の変更後に)その共振周波数fresに近づくように振動するか、又は、例えば、ドリフト後に、再びその共振周波数fresに戻るようにされる。
【0037】
この方法により、駆動ユニットの振動は、好ましくは、検出した加速度から決められ、振動駆動装置の駆動周波数は、振動駆動装置の駆動振動及び支持構造体の振動が、支持構造体の共鳴励起を引き起こす位相変移を持つまで、支持構造体の共振周波数の方向に連続的に変化される。
【0038】
この点について、振動は、例えば、偏心器によって機械的に生じさせることもできる点に留意されるべきである。この場合、偏心器の回転数は、駆動周波数に対応する。
【0039】
図4は、本発明に従って、支持構造体5の絶対振幅Aabs T、即ち、駆動ユニット4だけでなく、地面2に対するその変移を調整するための本発明による第二調整サイクルの処理を示している。
【0040】
以下の表示が関係する変数に使用されている。
「A」は駆動ユニット4を表し、「T」は支持構造体5を表し、「abs」は振幅の絶対値(即ち、振動供給装置自体の構成要素に関するものではなく、地面2に関する振幅の絶対値)を表す。また、「ist」は振動供給装置の動作中の実際の値を表し、「res」は共振を表す。
【0041】
第二調整サイクルはステップ50で開始し、振幅Aabs ist Tの調整を開始する。この目的のために、支持構造体5の実際の質量mist Tが計算される。この質量は、上述のように、供給要素、即ち、使用される供給トレイ6及び供給トレイ6内に現在存在しているバルク材料9に応じて変わる(図2参照)。
【0042】
ステップ51では、支持構造体5の実際の共振周波数fres istが取得される。この共振周波数は、第一調整サイクルを実行することによって取得され、制御装置26(図2参照)の適当なメモリに記憶されている。また、これは実際の質量mist Tに依存する。
【0043】
次いで、ステップ52では、支持構造体5の質量mist Tが、例えば、次式に従って計算される。
【0044】
【数1】
式中、
は、駆動ユニット4の既知の質量であり、
res istは、第一調整サイクルによって決められた(実際の質量mist Tを有する)支持構造体5の実際の共振周波数であり、かつ、
cは、駆動レバー又はリーフスプリング12a及び12bの既知のばね定数である。
【0045】
ステップ53では、支持構造体5の振動の絶対振幅Aabs ist Tが、例えば、次式によって計算される。
【0046】
【数2】
式中、実際の絶対振幅Aabs ist Tは、駆動ユニット4の加速度の二重積分から得られ得る。
要求値Aabs soll Tは、制御装置26(図2参照)の適当なメモリに記憶されており、作業者又はライン制御によって前記メモリに入力され得る。
【0047】
振動の振幅Aabs ist Tが要求井Aabs soll Tに対応していない場合、ステップ55において、振動駆動装置10を駆動する制御装置26(図2参照)で、そのコイルに印加される周期的電圧形状を、ステップ的に上げたり下げたりすることで補正が実行され、それに従って、振幅Aabs ist Tが増加又は減少されることになる。ステップの大きさは、特定の場合には、当業者によって決められるか、又は、代わりに、作業者によって制御装置(図2参照)のメモリに入力され得る。
【0048】
振動の変更した振幅Aabs ist Tが、例えば、供給トレイ6(図2参照)の充填量を変えることができるので、支持構造体5の質量mist Tを再計算するために、ステップ55の後に、処理は、好ましくは、ステップ51に戻る。
上述の再計算のために、供給トレイ6(図2参照)の充填量を変化させることによって変化する支持構造体5の共振周波数を、その基礎として使用するので、制御装置26は、ステップ51を実行するために、第一調整サイクルから得られる瞬間共振周波数fres istを取得しなければならない。
【0049】
これにより、好ましくは、駆動ユニット4の検知した加速度が、支持構造体5の振動運動の振幅ATの調整に使用される方法が得られる。
【0050】
さらに好ましくは、支持構造体5の実際の共振周波数fres istを使用して、その実際の質量mist Tが決められ、次いで、その振動運動の実際の振幅Aabs ist Tが決められる。
【0051】
最後に、本発明の方法によれば、特に好ましくは、振動駆動装置10は、支持構造体5の振動運動の実際の振幅Aabs ist Tが、所定の値Aabs soll Tの範囲内にあるか、又は、そこに戻されるように調整される。
【0052】
制御装置26は、好ましくは、さらに、駆動ユニット4の加速度信号を使用して、支持構造体5の実際の振幅が所定の値の範囲内にあるか、又は、そこに戻されるように、振動駆動装置10の調整変数を生成するように構成される。
【0053】
最後に、制御装置26は、さらに、支持構造体5の実際の質量mist Tを決定し、その値を用いて、支持構造体5の共振周波数fres及び支持構造体5を支持するばね弾性形態の駆動レバーのばね定数cから振動運動の実際の絶対振幅Aabs ist Tを決定し、それに基づいて、振幅Aabs ist Tが所定の値の範囲に達するか、そこに戻されるように、振動駆動装置10の調整変数を生成するように構成される。
図1
図2
図3
図4