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特許7101190洗浄工程におけるアルカリ金属存在下での芳香族化触媒の製造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】洗浄工程におけるアルカリ金属存在下での芳香族化触媒の製造
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/60 20060101AFI20220707BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20220707BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20220707BHJP
   B01J 37/18 20060101ALI20220707BHJP
   B01J 37/06 20060101ALI20220707BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20220707BHJP
   C10G 35/095 20060101ALI20220707BHJP
   C07C 15/04 20060101ALI20220707BHJP
   C07C 5/373 20060101ALI20220707BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20220707BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220707BHJP
【FI】
B01J29/60 Z
B01J37/00 D
B01J37/08
B01J37/18
B01J37/06
B01J35/10 301G
C10G35/095
C07C15/04
C07C5/373
B01J37/02 101A
C07B61/00 300
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2019553157
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2017066254
(87)【国際公開番号】W WO2018118604
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】15/384,366
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502303175
【氏名又は名称】シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スネル、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ハオ、シャンホン
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-057653(JP,A)
【文献】米国特許第06190539(US,B1)
【文献】特表2010-527769(JP,A)
【文献】特開平06-256232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C10G 35/095
C07C 15/04
C07C 5/373
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持触媒の製造方法であって、
(a)結合ゼオライト塩基を用意すること;
(b)アルカリ金属を含む水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することによりアルカリ金属富化ゼオライト担体を製造すること;及び
(c)アルカリ金属富化ゼオライト担体に遷移金属及びハロゲンを含浸させて担持触媒を製造すること
を含む方法であって、
前記担持触媒が、100m /gから170m /gの表面積を有する、上記方法
【請求項2】
前記アルカリ金属がカリウムであり、前記アルカリ金属富化ゼオライト担体が、カリウム富化ゼオライト担体であり、前記水溶液中のカリウムの濃度が0.1M~0.45Mの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、工程(c)前に前記アルカリ金属富化ゼオライト担体を乾燥及び/又は焼成することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記担持触媒の表面積BET法により決定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
担持触媒が、0.015cc/g~0.05cc/gのt-プロット法により決定した細孔容積を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(b)における前記水溶液がカリウム塩、所望によりカリウム塩化物塩、を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
洗浄工程が、結合ゼオライト塩基を工程(b)における前記水溶液と接触させることを含み、前記水溶液が本質的にアルカリ金属塩及び脱イオン水からなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
洗浄工程が、20℃~95℃の範囲の洗浄温度で行われる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
洗浄工程が、2~8回の洗浄サイクル;及び1分~6時間の範囲の洗浄サイクル時間を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)における前記水溶液の重量と前記結合ゼオライト塩基の重量との比率が、0.4:1~10:1である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
洗浄工程が、結合ゼオライト塩基1kg当たり0.03モル~1モルのアルカリ金属で結合ゼオライト塩基を富化する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
洗浄工程が、アルカリ金属富化ゼオライト担体1kg当たり0.03モル~1モルのアルカリ金属で結合ゼオライト塩基を富化する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程(b)が方法においてカリウム又はカリウム塩を利用する唯一の工程である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記担持触媒が、100m/g~170m/gの範囲のBET法により決定した表面積及び0.015cc/g~0.05cc/gの範囲のt-プロット法により決定した細孔容積を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法であって、
水溶液が塩化カリウムを含むこと;又は
水溶液が、ルビジウム、セシウム、又はそれらの組合わせを更に含むこと
を含む方法。
【請求項16】
反応器システムにおいて改質条件下で炭化水素原料を請求項1から15のいずれか一項に記載の方法で得られた担持触媒と接触させて芳香族生成物を製造することを含む改質プロセス。
【請求項17】
前記アルカリ金属がセシウムであり、前記アルカリ金属富化ゼオライト担体が、セシウム富化ゼオライト担体である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、工程(c)前に前記セシウム富化ゼオライト担体を乾燥及び/又は焼成することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記担持触媒が、100m/gから170m/gのBET法により決定した表面積を有する、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
担持触媒が、0.015cc/g~0.05cc/gのt-プロット法により決定した細孔容積を有する、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記水溶液がセシウム塩、所望によりセシウム塩化物塩、を含む、請求項17から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
洗浄工程が、結合ゼオライト塩基を本質的にセシウム塩及び脱イオン水からなる水溶液と接触させることを含む、請求項17から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
洗浄工程が、20℃~95℃の範囲の洗浄温度で行われる、請求項17から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
洗浄工程が、2~8回の洗浄サイクル;及び1分~6時間の範囲の洗浄サイクル時間を含む、請求項17から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記水溶液の重量と前記結合ゼオライト塩基の重量との比率が、0.4:1~10:1である、請求項17から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
洗浄工程が、結合ゼオライト塩基1kg当たり、又はアルカリ金属富化ゼオライト担体1kg当たり、0.03モル~1モルのセシウムで結合ゼオライト塩基を富化する、請求項17から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
工程(b)が方法においてセシウム又はセシウム塩を利用する唯一の工程である、請求項17から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記水溶液中のセシウムの濃度が0.01M~5Mの範囲内である、請求項17から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
水溶液が、カリウム、ルビジウム、又はそれらの組合わせを更に含み、
担持触媒が、担持触媒の総重量に基づき、5重量%~30重量%の結合剤を含む、
請求項17から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
請求項17から19のいずれか一項に記載の方法であって、担持触媒が、担持触媒の総重量に基づき、
0.2重量%~5重量%の遷移金属と;
0.2重量%~3重量%のハロゲンと;
2重量%~10重量%のセシウムと、を含む方法。
【請求項31】
反応器システムにおいて改質条件下で炭化水素原料を請求項17から30のいずれか一項に記載の方法で得られた担持触媒と接触させて芳香族生成物を製造することを含む改質プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、担持触媒の製造方法に関し、より詳細には、アルカリ金属存在下で洗浄工程を用いて遷移金属及び結合ゼオライト塩基を含む担持芳香族化触媒を製造することに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの担持芳香族化触媒のための標準的な製造プロセスは、典型的には結合剤とゼオライトから結合ゼオライト塩基を形成することを含み、ゼオライトは結合ゼオライト塩基の形成前にイオン交換されてもよい。結合ゼオライトは、一般的に、白金などの遷移金属及びハロゲンを添加する前に洗浄され、それにより担持芳香族化触媒を形成する。
【0003】
結合ゼオライト塩基を形成した後、イオン交換処理を行うことは、触媒の全体的な製造プロセスのコストと複雑さを上げるため、望ましくない可能性がある。しかしながら、イオン交換プロセスを必要とせずに、得られた担持芳香族化触媒の特性を向上させるために、結合ゼオライト担体をアルカリ金属で富化することは有益であり得る。したがって、本開示は一般的にこれらの目的を達成することに関する。
【発明の概要】
【0004】
担持触媒の製造方法は本明細書に開示及び記載されている。担持触媒の製造方法は以下を含む:(a)結合ゼオライト塩基を提供し、(b)アルカリ金属を含む水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することによりアルカリ金属富化ゼオライト担体を製造し、(c)アルカリ金属富化ゼオライト担体に遷移金属及びハロゲンを含浸させて担持触媒を製造する。典型的には、アルカリ金属はカリウム、ルビジウム、セシウム、又はそれらの組合わせを含み、遷移金属は白金を含んでもよい。
【0005】
本明細書に提供される方法によって製造される担持触媒は、非芳香族炭化水素から芳香族化合物を製造するための芳香族化プロセスにおいて使用されてもよい。そのような触媒は、アルカリ金属を利用した洗浄工程なしで製造した担持触媒と比較して、より小さい触媒表面積とより小さい触媒細孔容積を有する、向上した製品選択性の予想外の組合わせ(ベンゼン又はトルエンなど)を有し得る。
【0006】
前述した概要及び以下の詳細な説明は共に、例を提供し、そして説明のみを目的としている。したがって、前述した概要及び以下の詳細な説明は、限定的であると解釈されるべきではない。更に、本明細書に記載のものに加えて、特徴又は変形例が提供され得る。例えば、特定の態様は、詳細な説明に記載されている様々な特徴の組合わせ及び部分的な組合わせを対象としている可能性がある。
なお、下記[1]から[78]は、いずれも本発明の一形態又は一態様である。
[1]
担持触媒の製造方法であって、
(a)結合ゼオライト塩基を用意すること;
(b)アルカリ金属を含む水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することによりアルカリ金属富化ゼオライト担体を製造すること;及び
(c)アルカリ金属富化ゼオライト担体に遷移金属及びハロゲンを含浸させて担持触媒を製造すること
を含む方法。
[2]
結合ゼオライト塩基がゼオライト及び結合剤を含む、[1]に記載の方法。
[3]
結合ゼオライト塩基が、担持触媒の総重量に基づき、約3重量%~約35重量%の結合剤を含む、[2]に記載の方法。
[4]
結合剤が、無機固体酸化物、粘土、又はそれらの組合わせを含む、[2]又は[3]に記載の方法。
[5]
結合剤が、アルミナ、シリカ、マグネシア、ボリア、チタニア、ジルコニア、それらの混合酸化物、又はそれらの混合物を含む、[2]から[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]
結合剤がシリカを含む、[2]から[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7]
結合剤が、モンモリロナイト、カオリン、セメント、又はそれらの組合わせを含む、[2]から[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8]
結合ゼオライト塩基が結合L-ゼオライトを含む、[1]から[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9]
結合ゼオライトベースが結合Ba/L-ゼオライトを含む、[1]から[7]のいずれか一項に記載の方法。
[10]
結合ゼオライト塩基が結合K/L-ゼオライトを含む、[1]から[7]のいずれか一項に記載の方法。
[11]
結合ゼオライト塩基がシリカ結合K/L-ゼオライトを含む、[1]から[6]のいずれか一項に記載の方法。
[12]
工程(a)における結合ゼオライトベースが、ゼオライトを結合剤と混合することと、混合物を押し出すことと、乾燥させることと、そして焼成することと、を含む方法により製造される、[1]から[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13]
工程(a)における結合ゼオライト塩基が、K/L-ゼオライトをシリカと混合することと、混合物を押し出すことと、乾燥させることと、及び焼成することと、を含む方法により製造される、[1]から[6]のいずれか一項に記載の方法。
[14]
前記方法が、工程(c)前に前記アルカリ金属富化ゼオライト担体を乾燥及び/又は焼成することを更に含む、[1]から[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15]
担持触媒が、担持触媒の全重量に基づき、約0.1重量%~約10重量%の遷移金属を含む、[1]から[14]のいずれか一項に記載の方法。
[16]
工程(c)が、アルカリ金属富化ゼオライト担体を、テトラアミン白金(II)クロリド、テトラアミン白金(II)硝酸塩、白金(II)アセチルアセトネート、塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸アンモニウム(II)、塩化白金酸、硝酸白金(II)、又はそれらの組合わせを含む遷移金属含有化合物と混合することを含む、[1]から[15]のいずれか一項に記載の方法。
[17]
ハロゲンが塩素及び/又はフッ素を含む、[1]から[16]のいずれか一項に記載の方法。
[18]
工程(c)が、アルカリ金属富化ゼオライト担体を塩素含有化合物及び/又はフッ素含有化合物と混合することを含む、[1]から[17]のいずれか一項に記載の方法。
[19]
ハロゲンが塩素を含む、[1]から[18]のいずれか一項に記載の方法。
[20]
担持触媒が、担持触媒の総重量に基づき、約0.05重量%~約5重量%の塩素を含む、[19]に記載の方法。
[21]
ハロゲンがフッ素を含む、[1]から[18]のいずれか一項に記載の方法。
[22]
担持触媒が、担持触媒の総重量に基づき、約0.05重量%~約5重量%のフッ素を含む、[21]に記載の方法。
[23]
前記方法が、工程(c)後に前記担持触媒を乾燥及び/又は焼成することを更に含む、[1]から[22]のいずれか一項に記載の方法。
[24]
前記方法が、工程(c)後に、担持触媒を、水素を含む還元ガス流と接触させることを含む還元工程を更に含む、[1]から[23]のいずれか一項に記載の方法。
[25]
前記還元工程が、約100℃~約700℃の範囲の還元温度で行われる、[24]に記載の方法。
[26]
担持触媒が、同一の触媒調整条件下で、アルカリ金属を含まない水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することによって得られる触媒の表面積より小さい表面積を有する、[1]から[25]のいずれか一項に記載の方法。
[27]
前記担持触媒が、約100m /gから約170m /gの表面積を有する、[1]から[26]のいずれか一項に記載の方法。
[28]
アルカリ金属富化ゼオライト担体が、約120m /g~約250m /gの表面積を有する、[1]から[27]のいずれか一項に記載の方法。
[29]
前記担持触媒が、同一の触媒調整条件下で、アルカリ金属を含まない水溶液で前記結合ゼオライト塩基を洗浄することによって得られる触媒より小さい細孔容積面積を有する、[1]から[28]のいずれか一項に記載の方法。
[30]
担持触媒が、約0.015cc/g~約0.05cc/gの細孔容積を有する、[1]から[29]のいずれか一項に記載の方法。
[31]
アルカリ金属富化ゼオライト担体が、約0.025cc/g~約0.08cc/gの細孔容積を有する、[1]~[30]のいずれか一項に記載の方法。
[32]
遷移金属が白金を含む、[1]から[31]のいずれか一項に記載の方法。
[33]
担持触媒が、担持触媒の総重量に基づき、約0.1重量%~約10重量を含む、[1]から[32]のいずれか一項に記載の方法。
[34]
担持触媒が、約499℃(930°F)~約530℃(986°F)のT EOR を特徴とする、[1]から[33]のいずれか一項に記載の方法。
[35]
担持触媒が、約0.91~約0.97のベンゼン選択性を特徴とする、[1]から[34]のいずれか一項に記載の方法。
[36]
担持触媒が、同一の触媒製造及び芳香族化反応条件下で、アルカリ金属を含まない水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することによって得られる触媒より大きいベンゼン選択性を有する、[1]から[35]のいずれか一項に記載の方法。
[37]
担持触媒が、約50%~約70%の白金分散度を有する、[1]から[36]のいずれか一項に記載の方法。
[38]
担持触媒が、担持触媒の総重量に基づき、明細書に開示される約10,000ppmw~約125,000ppmw(約1重量%~約12.5重量%)のアルカリ金属を含む、[1]~[37]のいずれか一項に記載の方法。
[39]
アルカリ金属富化ゼオライト担体が、アルカリ金属富化ゼオライト担体の総重量に基づき、本明細書に開示される任意の重量パーセントのナトリウム、例えば0重量%~約0.35重量%、0重量%~約0.3重量%、約0.03重量%~約0.35重量%、又は約0.05重量%~約0.3重量%のナトリウムを含む、[1]から[38]のいずれか一項に記載の方法。
[40]
前記水溶液がアルカリ金属塩を含む、[1]から[39]のいずれか一項に記載の方法。
[41]
前記水溶液がアルカリ金属塩化物塩を含む、[1]から[40]のいずれか一項に記載の方法。
[42]
洗浄工程が、結合ゼオライト塩基を、本質的にアルカリ金属塩及び脱イオン水からなる水溶液と接触させることを含む、[1]から[41]のいずれか一項に記載の方法。
[43]
洗浄工程が、約20℃~約95℃の範囲の洗浄温度で行われる、[1]から[42]のいずれか一項に記載の方法。
[44]
洗浄工程が、2~8回の洗浄サイクル;及び約1分~約6時間の範囲の洗浄サイクル時間を含む、[1]から[43]のいずれか一項に記載の方法。
[45]
水溶液中のアルカリ金属の濃度が約0.01M~約5Mである、[1]から[44]のいずれか一項に記載の方法。
[46]
前記水溶液の重量と前記結合ゼオライト塩基の重量との比率が、約0.4:1~約10:1である、[1]から[45]のいずれか一項に記載の方法。
[47]
洗浄工程が、結合ゼオライト塩基1kg当たり約0.03モル~約1モルのアルカリ金属で結合ゼオライト塩基を富化する、[1]から[46]のいずれか一項に記載の方法。
[48]
洗浄工程が、アルカリ金属富化ゼオライト担体1kg当たり約0.03モル~約1モルのアルカリ金属で結合ゼオライト塩基を富化する、[1]から[47]のいずれか一項に記載の方法。
[49]
工程(b)が方法においてアルカリ金属を利用する唯一の工程である、[1]から[48]のいずれか一項に記載の方法。
[50]
工程(b)が方法においてアルカリ金属塩を利用する唯一の工程である、[1]から49]のいずれか一項に記載の方法。
[51]
アルカリ金属が、カリウム、ルビジウム、セシウム、又はそれらの組合わせを含む、[1]から[50]のいずれか一項に記載の方法。
[52]
前記アルカリ金属が、カリウムを含む、[1]から[51]のいずれか一項に記載の方法。
[53]
前記担持触媒が、約100m /g~約170m /gの範囲の表面積及び約0.015cc/g~約0.05cc/gの範囲の細孔容積を有する、[52]に記載の方法。
[54]
[52]又は[53]に記載の方法であって、
水溶液が塩化カリウムを含むこと;又は
水溶液が、ルビジウム、セシウム、又はそれらの組合わせを更に含むこと
を含む方法。
[55]
前記水溶液中のカリウムの濃度が約0.1M~約0.45Mの範囲である、[52]~[54]のいずれか一項に記載の方法。
[56]
担持触媒が、担持触媒の総重量に基づき、
約0.2重量%~約5重量%の白金と;
約0.1重量%~約1.5重量%のフッ素と;
約0.1重量%~約1.5重量%の塩素と、を含む、[52]から[55]のいずれか一項に記載の方法。
[57]
アルカリ金属がルビジウムを含む、[1]から[51]のいずれか一項に記載の方法。
[58]
水溶液中のルビジウムの濃度が約0.01M~約5Mの範囲である、[57]に記載の方法。
[59]
前記水溶液が、カリウム、セシウム、又はそれらの組合わせを更に含む、[57]又は[58]に記載の方法。
[60]
アルカリ金属がセシウムを含む、[1]から[51]のいずれか一項に記載の方法。
[61]
水溶液中のセシウムの濃度が約0.01M~約5Mの範囲である、[60]に記載の方法。
[62]
[60]又は[61]に記載の方法であって、
水溶液が、カリウム、ルビジウム、又はそれらの組合わせを更に含むこと;及び
担持触媒が、担持触媒の総重量に基づき、約5重量%~約30重量%の結合剤を含むこと
を含む方法。
[63]
担持触媒が、担持触媒の総重量に基づき、
約0.2重量%~約5重量%の遷移金属と;
約0.2重量%~約3重量%のハロゲンと;
約2重量%~約10重量%のセシウムと、を含む;
[60]から[62]のいずれか一項に記載の方法。
[64]
[1]から[63]のいずれか一項に記載の方法により得られる担持触媒。
[65]
担持触媒が、同一の触媒製造条件下で、アルカリ金属を含まない水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することによって得られる触媒の表面積より小さい表面積を有する、[64]に記載の担持触媒。
[66]
前記担持触媒が、約100m /g~約170m /gの表面積を有する、[64]又は[65]に記載の担持触媒。
[67]
アルカリ金属富化ゼオライト担体が、約120m /g~約250m /gの表面積を有する、[64]から[66]のいずれか一項に記載の担持触媒。
[68]
担持触媒が、同一の触媒製造条件下で、アルカリ金属を含まない水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することによって得られる触媒より小さい細孔容積を有する、[64]から[67]のいずれか一項に記載の担持触媒。
[69]
前記担持触媒が、約0.015cc/gから約0.05cc/gの細孔容積を有する、[64]から[68]のいずれか一項に記載の担持触媒。
[70]
アルカリ金属富化ゼオライト担体が、約0.025cc/g~約0.08cc/gのミクロ細孔容積を有する、[64]から[69]のいずれか一項に記載の担持触媒。
[71]
遷移金属が白金である、[64]から[7]0のいずれか一項に記載の担持触媒。
[72]
前記担持触媒が、約499℃(930°F)~約530℃(986°F)のT EOR を特徴とする、[71]に記載の担持触媒。
[73]
担持触媒が約0.91~約0.97のベンゼン選択性を有する、[71]に記載の担持触媒。
[74]
担持触媒が、同一の触媒製造及び芳香族化反応条件下で、アルカリ金属を含まない水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することによって得られる触媒より大きいベンゼン選択性を有する、[71]に記載の担持触媒。
[75]
担持触媒が、約50%~約70%の白金分散物を有する、[71]に記載の担持触媒。
[76]
反応器システムにおいて改質条件下で炭化水素原料を[1]から[75]のいずれか一項に記載の担持芳香族化と接触させて芳香族生成物を製造することを含む改質プロセス。
[77]
炭化水素原料が非芳香族炭化水素を含む、[76]に記載のプロセス。
[78]
炭化水素原料がC -C アルカン及び/又はシクロアルカンを含む、[76]に記載のプロセス。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】アルカリ金属富化ゼオライト担体の細孔容積、及びセシウムとカリウムのアルカリ金属の結合ゼオライト塩基を洗浄するために使用される水溶液中のアルカリ金属のモル濃度に対する担持触媒の細孔容積のプロット図を示す。
図2】セシウムとカリウムのアルカリ金属の結合ゼオライト塩基を洗浄するために使用される水溶液中のアルカリ金属のモル濃度に対する担持触媒の白金分散度のプロット図を示す。
図3】結合ゼオライト塩基を洗浄するために使用される水溶液中のセシウムのモル濃度に対する参照触媒と比較した、セシウム富化の担持触媒のベンゼン選択性、トルエン選択性及び実験終了温度のプロット図を示す。
図4】結合ゼオライト塩基を洗浄するために使用される水溶液中のカリウムのモル濃度に対する参照触媒と比較した、カリウム富化の担持触媒のベンゼン選択性、トルエン選択性、及び実験終了温度のプロット図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
本明細書に使用される語をより明確に定義するために、以下の定義が提供される。別段の指示がない限り、以下の定義が本開示に適用される。ある語が本開示において用いられるが、本明細書において具体的に定義されていない場合、適用される定義が、本明細書に適用されるいずれか他の開示若しくは定義と矛盾しない限り、又はその定義が適用されるいずれの請求項も不明瞭又は不可能にしない限り、IUPAC Compendium of Chemical Terminology、2nd Ed(1997)からの定義が適用されてもよい。参照により本明細書に組み込まれるいずれかの文書により提供されるいずれかの定義又は使用が、本明細書に提供される定義又は使用と矛盾する限りにおいて、本明細書に提供される定義又は使用が優先する。
【0009】
本明細書では、主題の特徴は、特定の態様内で、異なる特徴の組合わせが想定されてもよいように説明される。本明細書に開示される各々の及びあらゆる態様並びに特徴について、本明細書に記載される設計、組成物、プロセス、又は方法に悪影響を与えないすべての組合わせが、特定の組合わせの明白な記載を伴って又は伴うことなく企図される。更に、そうでないと明示的に述べられていない限り、本明細書に開示されている任意の態様又は特徴は、本開示と一致する本発明の設計、組成物、プロセス、又は方法を説明するために組み合わされてもよい。
【0010】
本開示では、組成物及び方法は様々な構成要素又は工程を「含む」という語で説明されることが多いが、特に明記しない限り、組成物及び方法は様々な構成要素又は工程から「本質的になる」又は「からなる」こともある。
【0011】
語「a」、「an」、及び「the」は、その複数形、例えば、少なくとも1つを含むよう意図される。例えば、「遷移金属」又は「ハロゲン」の開示は、別段の定めがない限り、1つの、又は1つより多くの遷移金属又はハロゲンの混合物若しくは組合わせを含むことを意味する。
【0012】
一般的に、元素の族は、Chemical and Engineering News、63(5)、27、1985で公表された元素の周期表の解釈において示されたナンバリングスキームを用いて、示される。場合によっては、元素の族は、その族に割り当てられた共通の名前(第1族元素のアルカリ金属、第3~12族元素の遷移金属、及び第17族元素のハロゲン又はハロゲン化物、など)使用して示されることがある。
【0013】
本明細書にて開示されたいずれかの特定の化合物又は基については、提示されたいずれかの名称又は構造は、別記されない限り、特定の一連の置換基から生じ得るすべての配座異性体、位置異性体、立体異性体、及びそれらの混合物を含むことが意図される。名称又は構造は、別記されない限り、当業者により認識され得るようなすべてのエナンチオマー、ジアステレオマー、及びエナンチオマー又はラセミ形態のいずれかの他の光学異性体(もしあるならば)、並びに立体異性体の混合物も含む。例えば、ヘキサンへの一般的言及は、n-ヘキサン、2-メチル-ペンタン、3-メチル-ペンタン、2,2-ジメチル-ブタン、及び2,3-ジメチル-ブタンを含む;ブチル基への一般的言及は、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソ-ブチル基、及びt-ブチル基を含む。
【0014】
一態様において、化学的「基」は、その基がこの様式で文字通り合成されていない場合であっても、その基が参照又は「親」化合物からどのように形式的に誘導されるかに従って、例えば、その基を生成するために親化合物から形式的に除去された水素原子の数によって記載される。これらの基は、置換基として利用されてもよく、又は金属原子に配位若しくは結合してもよい。例として、「アルキル基」は、形式上、アルカンから1個の水素原子を除去することにより誘導されてもよい。置換基、リガンド、又は他の化学的部分が、特定の「基」を構成してもよいという開示は、記載されるようにその基が用いられる場合、化学構造及び結合の周知の規則に従うことを意味する。ある基が「によって誘導される」、「から誘導される」、「によって形成される」、又は「から形成される」と記載する場合、そのような語は形式的な意味で使用され、別段指定されない限り、あるいは文脈が別段必要としない限り、任意の特定の合成方法又は手順を反映することを意図しない。
【0015】
種々の数値範囲が本明細書に開示されている。本明細書で任意の種類の範囲が開示又は請求されるとき、別段の定めがない限り、その範囲の端点並びにその中に包まれる部分範囲及び部分範囲の組合わせを含み、そのような範囲が合理的に含み得るそれぞれの可能な数を個別に開示又は請求することを意図する。代表例として、本出願は、本明細書で提供される方法は、特定の態様において用いる水溶液中のアルカリ金属のモル濃度が約0.01Mから約0.45Mの範囲内にあることを開示している。水溶液中のアルカリ金属のモル濃度が約0.01M~約0.45Mの範囲内にある開示により、その意図は、濃度が範囲内の任意の濃度、例えば、約0.01M、約0.05M、約0.1M、約0.15M、約0.2M、約0.25M、約0.3M、約0.35M、約0.4M、又は約0.45Mに等しくてもよいことを挙げることである。更に、モル濃度は、約0.01M~約0.45Mの範囲内(例えば、モル濃度は約0.01M~約0.2Mの範囲内にあってよい)にあってもよく、そしてこれはまた、約0.01M~約0.45Mの範囲内の任意の組合わせを含んでもよい。同様に、本明細書に開示されている他のすべての範囲は、この例と同様に解釈されるべきである。
【0016】
「約」という語は、量、サイズ、配合、パラメータ、並びに他の量及び特性が、正確ではない、及び正確である必要はないが、必要に応じて、より大きい又はより小さいことを含む近似値であってもよく、許容誤差、換算係数、端数処理、測定誤差など、及び当業者に既知の他の因子を反映することを意味する。一般的に、量、サイズ、配合、パラメータ、又は他の量若しくは特徴は、そうであると明示的に述べられているかどうかにかかわらず、「約」又は「およそ」である。語「約」はまた、特定の初期混合物から生じる組成物の異なる平衡条件のために異なる量も含む。「約」という語によって修飾されているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲はその量の均等物を含む。語「約」は、報告された数値の10%以内、好ましくは報告された数値の5%以内を意味してもよい。
【0017】
本明細書で使用されるとき、語「炭化水素」は、炭素及び水素原子のみを含む化合物を指す。もしあれば、炭化水素中の特定の基の存在を示すために他の識別子を利用してもよい(ハロゲン化炭化水素は、炭化水素中の同等の数の水素原子を置換する1個以上のハロゲン原子の存在を示す、など)。
【0018】
「芳香族化合物」は、ヒュッケル則(4n+2)に従う環状に共役された部分を含み、かつ(4n+2)のパイ電子を含む、化合物を意味し、式中、nは1~5の整数である。芳香族化合物には、「アレーン」(ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素芳香族化合物)及び「ヘテロアレーン」(正式にはアレーンから環状共役二重鎖の1個以上のメチン(-C=)炭素原子の置換により誘導されるヘテロ芳香族化合物、芳香族系に特徴的な連続パイ電子系とヒュッケル則(4n+2)に対応する面外パイ電子の数を維持するような方法で、3価又は2価のヘテロ原子との結合系)が含まれる。本明細書に開示されるように、用語「置換された」は、芳香族基、アレーン、又はヘテロアレーンを記述するために使用されもよく、ここで、非水素部分は、化合物中の水素原子を形式的に置換し、そして他に特定されない限り、非限定的であることが意図される。
【0019】
本明細書で使用されるとき、語「アルカン」は、飽和炭化水素化合物を意味する。もしあれば、アルカン中の特定の基の存在を示すために他の識別子を利用してもよい(ハロゲン化アルカンは、アルカン中の同等の数の水素原子を置換する1個以上のハロゲン原子の存在を示す、など)。「アルキル基」という用語は、本明細書において、IUPACによって指定された定義に従って使用され、アルカンから水素原子を除去することによって形成された1価の基である。アルカン又はアルキル基は、特に断らない限り、直鎖状又は分岐状のいずれでもよい。
【0020】
「シクロアルカン」は、側鎖を伴うか又は伴わない、飽和環状炭化水素、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、及びメチルシクロヘキサンである。もしあれば、シクロアルカン中の特定の基の存在を示すために他の識別子を利用してもよい(ハロゲン化シクロアルカンは、シクロアルカン中の同等の数の水素原子を置換する1個以上のハロゲン原子の存在を示す、など)。
【0021】
「ハロゲン」という語は、その通常の意味を有する。ハロゲンの例には、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が含まれる。
【0022】
モル選択性は以下のように定義される:
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

転換率は、供給された「転換可能な」成分1モル当たりに転換されたモル数として定義される:
【数5】

【数6】

【数7】

これらの式中、nは連続式反応器におけるモル流量又はバッチ式反応器におけるモル数を示す。
【0023】
本明細書において開示されるものと同様の又は等しい任意の方法及び材料を、本発明の実施又は実験において用いてもよいが、典型的な方法及び材料は本明細書に記載される。
本明細書に言及されたすべての刊行物及び特許は、説明及び開示を目的として、参照により本明細書に組み込まれ、例えば、刊行物に記載されている構成物及び方法論は、本発明と関連付けられて、用いられてもよい。
【0024】
発明の詳細な説明
本明細書は、富化したアルカリ金属含有量を有する担持触媒、そのような触媒の製造方法、及び芳香族化又は改質プロセスにおけるこれらの触媒の使用を開示される。
【0025】
担持触媒を製造するための方法
【0026】
担持芳香族化触媒として担持触媒を製造するための様々な方法が、開示され、記載されている。担持触媒を製造するためのこのような方法は以下を含んでもよい(又は本質的に以下からなる、又は以下からなる):
(a)結合ゼオライト塩基を用意すること;
(b)アルカリ金属を含む水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することによりアルカリ金属富化ゼオライト担体を製造すること;及び
(c)アルカリ金属富化ゼオライト担体に遷移金属及びハロゲンを含浸させて担持触媒を製造すること。
【0027】
一般的に、本明細書に開示される方法のいずれかの特徴(とりわけ、結合ゼオライトベースのゼオライト及び結合剤成分、遷移金属、ハロゲン、水溶液、アルカリ金属、洗浄工程が行われる条件、含浸工程が行われる条件など)は、本明細書において独立して記載されており、これらの特徴は、開示された方法を更に記載するために任意の組合わせでもよい。更に、別段の記載がない限り、開示される方法に列挙された工程のいずれかの前、最中、及び/又は後に、他のプロセス工程が行われてもよい。更に、開示される方法/プロセスのいずれかに従って製造される担持触媒(担持芳香族化触媒など)は、本開示の範囲内であり、本明細書に包含される。
【0028】
アルカリ金属を含む水溶液を利用するこれらの方法の工程はしばしば洗浄工程と呼ばれることがあり、一方遷移金属及びハロゲンを利用するこれらの方法の工程はしばしば含浸工程と呼ばれることがある。洗浄工程において、水溶液及びアルカリ金属の組成的特質は、特に明記しない限り、結合ゼオライト塩基と接触する前の、入ってくる水溶液及びアルカリ金属を指すことを意味する。当業者が容易に認識するように、結合ゼオライト塩基と接触した後の水溶液の組成は、アルカリ金属を含む水溶液の組成とは著しく異なっていてもよい。
【0029】
ここで工程(a)の結合ゼオライト塩基を参照すると、本発明の方法では任意の適切な結合ゼオライト塩基を使用してもよい。典型的には、結合ゼオライト塩基は無機酸化物を含んでもよく、その例として、結合中細孔及び/又は大細孔ゼオライト(アルミノケイ酸)、非晶質無機酸化物、並びにそれらの混合物を含んでもよいが、これらに限定されない。大細孔ゼオライトは、約7Å~約12Åの範囲の平均細孔径を有することが多く、大細孔ゼオライトの例は、L-ゼオライト、Y-ゼオライト、モルデナイト、オメガゼオライト、βゼオライトなどであるが、これらに限定されない。中細孔ゼオライトは、約5Åから約7Åの範囲の平均細孔径を有することが多い。非晶質無機酸化物は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、チタニア、及びそれらの組合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0030】
「ゼオライト」という用語は、一般的に、特定の群の水和結晶性金属アルミノケイ酸塩を指す。これらのゼオライトは、酸素原子を共有することによってアルミニウム原子とケイ素原子とが三次元骨格内で架橋されたSiO及びAlO四面体のネットワークを示す。この骨格内では、アルミニウム原子及びケイ素原子の合計に対する酸素原子の比率は、2に等しくてもよい。骨格は、典型的には結晶内に金属、アルカリ金属、及び/又は水素などの陽イオンを含むことによってバランスが取られ得る負の電気価を示す。
【0031】
いくつかの態様では、結合ゼオライト塩基はL型ゼオライトを含んでもよい。L型ゼオライト担体は、式:M2/nOAlxSiOyHOに従って酸化物のモル比を含んでもよいゼオライト担体のサブグループである。式中、「M」は、L型ゼオライトの基本結晶構造を実質的に変化させることなく、他の交換可能な陽イオンで置き換えてもよい、バリウム、カルシウム、セリウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、ストロンチウム、及び/又は亜鉛などの交換可能な陽イオン(1つ又は複数)、並びにヒドロニウム及びアンモニウムイオンなどの非金属陽イオンを示す。式中、「n」は「M」の原子価を表す;「x」は2以上である;「y」は、ゼオライトのチャネル又は相互連結した空隙に含まれる水分子の数である。
【0032】
一態様では、結合ゼオライト塩基は、K/L-ゼオライトとも呼ばれる結合カリウムL型ゼオライトを含んでもよく、別の態様では、結合ゼオライト塩基はバリウムイオン交換L-ゼオライトを含んでもよい。本明細書で使用されるとき、用語「K/L型ゼオライト」は、ゼオライトに組み込まれる主な陽イオンMがカリウムであるL型ゼオライトを指す。K/L-ゼオライトは、陽イオン交換(例えば、バリウムで)するか、又は遷移金属及び1種以上のハロゲン化物を含浸させて、遷移金属含浸ハロゲン化ゼオライト又はK/L担持遷移金属-ハロゲン化物ゼオライト触媒を製造してもよい。
【0033】
結合ゼオライト塩基において、ゼオライトは、支持マトリックス(又は結合剤)と結合してもよく、結合剤は、無機固体酸化物、粘土など、並びにそれらの組合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。ゼオライトは、当技術分野で公知の任意の方法を使用して、結合剤又は支持マトリックスと結合してもよい。例えば、ゼオライト及び結合剤を含む工程(a)における結合ゼオライト塩基は以下を含む工程で製造され得る:K/L-ゼオライトなどのゼオライトとシリカなどの結合剤との混合、混合物の押し出し、又は乾燥及び焼成。
【0034】
いくつかの態様では、結合剤はアルミナ、シリカ、マグネシア、ボリア、チタニア、ジルコニア、又はそれらの混合酸化物(アルミノシリケートなど)、又はこれらの混合物を含んでもよいが、他の態様では、結合剤は以下を含んでもよい:モンモリロナイト、カオリン、セメント、又はこれらの組合わせ。本明細書で企図される特定の態様において、結合剤は、シリカ、アルミナ、若しくはそれらの混合酸化物、あるいはシリカ、あるいはアルミナ、またあるいはシリカ-アルミナを含んでもよい。したがって、結合ゼオライト塩基は、シリカ結合Ba/L型ゼオライト、又はシリカ結合K/L型ゼオライトなどのシリカ結合L型ゼオライトを含んでもよい。
【0035】
それに限定されないが、本明細書に含まれる結合ゼオライト塩基は、約3重量%~約35重量%の結合剤を含んでもよい。例えば、結合ゼオライト塩基は、約5重量%~約30重量%、又は約10重量%~約30重量%の結合剤を含んでもよい。これらの重量パーセントは、例えば遷移金属及びハロゲンを除き、結合ゼオライト塩基の総重量に基づく。
【0036】
結合ゼオライト塩基及び担持触媒におけるそれらの使用の例示的な例は、米国特許第5,196,631号、同第6,190,539号、同第6,406,614号、同第6,518,470号、同第6,812,180号、及び同第7,153,801号に記載されており、それらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0037】
ここで、洗浄工程とも呼ばれる工程(b)を参照し、アルカリ金属(又はアルカリ金属の混合物)を含む任意の適切な水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄して、アルカリ金属富化ゼオライト担体を得てもよい。工程(b)におけるアルカリ金属は、第1族元素のいずれでもよい。例えばアルカリ金属はカリウム、ルビジウム、又はセシウム、並びにそれらの組合わせを含んでもよい(又はそれらから本質的になっても、又はそれらからなってもよい)。いくつかの態様において、アルカリ金属はカリウム、あるいはルビジウム、あるいはセシウムを含んでもよい(又はそれらから本質的になっても、又はそれらからなってもよい)。
【0038】
洗浄工程で使用される水溶液は、任意の適切な形式であるアルカリ金属(又は複数の金属)を含んでもよいが、多くの場合、水溶液はアルカリ金属の塩を含む。例示的な塩としては、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩など、並びにそれらの組合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。以下の理論に縛られることを望まないが、硝酸塩はその後の処理中のNOx生成の可能性のために有害であり得ると考えられる。したがって、本発明の特定の態様において、洗浄工程における水溶液は、塩化カリウム、塩化ルビジウム、又は塩化セシウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物塩、並びにそれらの混合物を含んでもよい。
【0039】
当業者が認識するように、水及びアルカリ金属に加えて、洗浄工程において使用される水溶液は他の成分を含んでもよい。しかし、いくつかの態様では、洗浄工程は、水溶液で結合ゼオライト塩基に接触することを含んでもよく、この水溶液は、アルカリ金属塩及び水、又はアルカリ金属塩及び脱イオン水から本質的になる、又はそれらからなる。これら及び他の態様では、洗浄工程(及び必要に応じて、工程(a)後の方法における任意の工程)で使用される水溶液は、塩基性化合物(水酸化物など)を実質的に含まなくても、及び/又はアンモニア又はアンモニウム含有化合物を実質的に含まなくても、及び/又は硫黄又は任意の硫黄含有化合物を実質的に含まなくてもよい。これらの状況において、「実質的に含まない」とは、これらの材料のいずれかとは無関係に、100ppmw(重量基準ppm)未満、より典型的には75ppmw未満、50ppmw未満、25ppmw未満、又は10ppmw未満を含むことを意味する。したがって、水溶液中の(又は工程(a)後の方法における任意の工程で使用される)これらの材料のいずれかの個々の量は、約0.1ppmw~100ppmw、約0.1ppmw~75ppmw、約1ppmw~100ppmw、約1ppmw~約75ppmw、約0.1ppmw~約50ppmw、約1ppmw~約50ppmw、又は約1ppmw~約25ppmwの範囲内にあると考えられている。理論に縛られることを望まないが、これらの材料が触媒活性、触媒選択性、触媒寿命及び/又は触媒失活に悪影響を与え得るため、担持触媒を製造するための開示された方法における洗浄工程の間にこれらの材料が実質的に存在しないことは有益であり得ると考えられている。その上、必要ではないが、水溶液(及び工程(a)後の方法における任意の工程)は、ナトリウム又はナトリウム含有化合物を実質的に含まなくてもよく、すなわち、100ppmw(重量ppm)未満のナトリウム又はナトリウム含有化合物を含んでもよい。上記のように、その量は、例えば、75ppmw未満、50ppmw未満、25ppmw未満、約0.1ppmw~100ppmwの範囲、約0.1ppmw~約75ppmwの範囲、又は約1ppmw~約75ppmwの範囲内などであってもよいと考えられる。
【0040】
このように、いくつかの態様では、洗浄工程で使用されるアルカリ金属は、ナトリウムではなく、カリウム、ルビジウム、及び/又はセシウムのうちの一つ以上である。追加又は代替として、開示された方法の工程(b)は、アルカリ金属、例えばアルカリ金属塩を利用して担持触媒を製造する方法における唯一の工程であってもよい。
【0041】
洗浄工程において、水溶液のpHは、任意の特定の範囲に限定されない。しかしながら、一般的に、pHは、利用されるアルカリ金属塩及びそのそれぞれの濃度に応じて、6~8の範囲内であってもよい。
【0042】
これに限定されないが、水溶液中のアルカリ金属の量はしばしば約5M(モル/L)未満であってもよい。例えば、水溶液は、約1M未満、約0.75M未満、約0.5M未満、約0.3M未満、約0.25M未満、又は約0.2M未満の濃度のアルカリ金属を有してもよい。それにより、アルカリ金属の濃度の適切な範囲は、以下の範囲を含んでもよいが、これらに限定されない:約0.01M~約5M、約0.01M~約1M、約0.01M~0.5M、約0.01M~約0.45M、約0.01M~約0.3M、約0.01M~約0.25M、約0.01M~約0.2M、約0.05M~約1M、約0.05M~約0.5M、約0.05M~約0.45M、約0.05M~約0.3M、約0.05M~約0.25M、又は約0.05M~約0.2Mなど。
【0043】
予想外には、洗浄工程における低濃度のセシウムは、触媒活性及び選択性の向上に有益であり得ることが見出された。これらの態様では、水溶液中のセシウム(又はセシウム塩)の濃度は、約0.01M~約0.25M、約0.01M~約0.2M、約0.01M~約0.15M、約0.025M~約0.25M、約0.025M~約0.2M、約0.025M~約0.15M、約0.05M~約0.25M、又は約0.05M~約0.2Mの範囲内であってもよい。
【0044】
また、予想外には、洗浄工程におけるわずかに高い濃度のカリウムが触媒活性及び選択性の向上に有益であり得ることが見出された。これらの態様では、水溶液中のカリウム(又はカリウム塩)の濃度は、約0.1M~約0.45M、約0.15M~約0.45M、約0.15M~約0.35M、約0.15M~約0.3M、約0.2M~約0.45M、約0.2M~約0.35M、又は約0.2M~約0.3Mの範囲内であってもよい。
【0045】
アルカリ金属を含む洗浄工程は様々な温度と期間で行われてもよい。例えば、洗浄工程は、以下の洗浄温度の範囲内で行われてもよい:約15℃~95℃;あるいは、約15℃~約80℃;あるいは、約15℃~約70℃;あるいは、約15℃~65℃;あるいは、約20℃~約95℃;あるいは、約20℃~約80℃;あるいは、約20℃~約70℃;あるいは、約20℃~約50℃;あるいは、約30℃~約80℃;あるいは、約30℃~約70℃;あるいは、約30℃~約50℃;あるいは、約25℃~約55℃;また、あるいは、約30℃~約45℃。これらの及び他の態様において、これらの温度範囲はまた、洗浄工程が、単一の固定温度の代わりに、それぞれの範囲内にある一連の異なる温度で行われる状況を含むことを意味する。
【0046】
アルカリ金属を含む洗浄工程は、アルカリ金属を含む一回以上の洗浄サイクル、例えば1~4回の洗浄サイクル、2~8回、又は2~4回の洗浄サイクルを実行することにより行われてもよい。したがって、例えば、洗浄工程は、1~4回の洗浄サイクル、2~8回の洗浄サイクル、又は2~4回の洗浄サイクルを含んでもよく、各洗浄サイクルは、単独的に、約1分~約6時間、約5分~約2時間、約10分~約45分、又は約10分~約30分などの範囲内である。
【0047】
アルカリ金属を含む一回の洗浄サイクルの持続時間は、いかなる特定の時間にも限定されない。それゆえ、洗浄工程は、例えば、最短1~5分から最長2~4時間、6~8時間、又はそれ以上の時間に及ぶ期間で行われてもよい。適切な洗浄サイクル時間は、他の変数の中でも、例えば洗浄温度、水溶液中のアルカリ金属の量、及び洗浄サイクルの回数に依存してもよい。しかし、一般的に、洗浄サイクル工程は、約1分~約6時間、例えば、約1分~約2時間、約5分~約2時間、約5分~約1時間、約10分~約1時間、約5分~約45分、約10分~約45分、又は約10分~約30分の範囲内で行われてもよい。
【0048】
一般的に、結合ゼオライト塩基の量に対する、洗浄工程(又は各洗浄サイクル)に使用される水溶液-アルカリ金属を含む-の量は、特に限定されない。一態様では、例えば、水溶液の重量と結合ゼオライト塩基の重量の比率は、約0.4:1~約50:1、又は約0.5:1~約25:1の範囲であってもよい。別の態様では、水溶液の重量と結合ゼオライト塩基の重量の比率は、約0.4:1~約10:1、又は約0.5:1~約10:1の範囲であってもよい。更に別の態様では、水溶液の重量と結合ゼオライト塩基の重量の比率は約0.5:1~約8:1、又は約0.5:1~約5:1の範囲であってもよい。更に別の態様では、水溶液の重量と結合ゼオライト塩基の重量の比率は、約1:1~約15:1、又は約1:1~約5:1の範囲であってもよい。
【0049】
アルカリ金属を含有する洗浄工程は任意の適切な技術及び装置を用いて行われてもよい。例えば、結合ゼオライト塩基を容器又はタンクに入れ、次いで容器又はタンク中の結合ゼオライト塩基のレベルを超えるためにアルカリ金属を含む十分な水溶液で満たしてもよい。場合により、水溶液中の結合ゼオライト塩基とアルカリ金属との間の接触を増大させるために容器及びタンク内で撹拌を行ってもよい。あるいは、結合ゼオライト塩基を固定床又は充填床に配置し、水溶液を結合ゼオライト塩基の床から通して流すことによってアルカリ金属を含む水溶液を結合ゼオライトと接触させてもよい。当業者が認識するように、他の適切な技術及び装置が洗浄工程に使用されてもよいが、そのような技術及び機器は本明細書に含まれる。
【0050】
必要ではないが、洗浄工程は、一回以上のアルカリ金属なしの洗浄サイクル、例えば1~4回の洗浄サイクルを実行することにより行われてもよい。洗浄条件は、本明細書に記載されたアルカリ金属を有する洗浄工程と同一であってもよい。
【0051】
本明細書に開示される担持触媒の製造方法の工程(b)において、結合ゼオライト塩基はアルカリ金属を含む水溶液で洗浄することによりアルカリ金属を「富化」したゼオライト担体を製造してもよい。実際に、洗浄工程は、結合ゼオライト塩基を任意の適切な又は所望の量のアルカリ金属で富化してもよく、富化量は、アルカリ金属富化ゼオライト担体中のアルカリ金属の量と結合ゼオライト塩基中のアルカリ金属の量との差である。それに限定されないが、洗浄工程が富化する結合ゼオライト塩基のモル数は以下であってよい:結合ゼオライト塩基1kg当たり(又はアルカリ金属富化ゼオライト担体1kg当たり)約0.03モル~約1.5モルのアルカリ金属;あるいは、結合ゼオライト塩基1kg当たり(又はアルカリ金属富化ゼオライト担体1kg当たり)約0.03モル~約1モルのアルカリ金属;あるいは、結合ゼオライト塩基1kg当たり(又はアルカリ金属富化ゼオライト担体1kg当たり)約0.03モル~約0.7モルのアルカリ金属;あるいは、結合ゼオライト塩基1kg当たり(又はアルカリ金属富化ゼオライト担体1kg当たり)約0.05モル~約1モルのアルカリ金属;あるいは、結合ゼオライト塩基1kg当たり(又はアルカリ金属富化ゼオライト担体1kg当たり)約0.1モル~約1.2モルのアルカリ金属;あるいは、結合ゼオライト塩基1kg当たり(又はアルカリ金属富化ゼオライト担体1kg当たり)約0.1モル~約0.9モルのアルカリ金属;あるいは、結合ゼオライト塩基1kg当たり(又はアルカリ金属富化ゼオライト担体1kg当たり)約0.2モル~約0.8モルのアルカリ金属;また、あるいは、結合ゼオライト塩基1kg当たり(又はアルカリ金属富化ゼオライト担体1kg当たり)約0.3モル~約0.7モルのアルカリ金属。例として、結合ゼオライト塩基(セシウムを含まない)を、セシウム塩を含む水溶液で(本明細書に開示される任意の温度、洗浄時間、及び水溶液の相対量で行われる一回以上の洗浄サイクルで)洗浄することにより、結合ゼオライト塩基1kg当たり約0.5モルのセシウム(又はセシウム富化ゼオライト担体1kg当たり約0.5モルのセシウム)を含むセシウム富化ゼオライト担体を製造してもよい。別の例として、結合ゼオライト塩基(例えば、結合K/L-ゼオライト1kg当たり約3モルのカリウムを含む結合K/L-ゼオライト)を、カリウム塩を含む水溶液で(本明細書に開示される任意の温度、洗浄時間、及び水溶液の相対量で行われる一回以上の洗浄サイクルで)で洗浄することにより、結合K/L-ゼオライト1kg当たり約3.1モルのカリウム(又はカリウム富化K/L-ゼオライト担体1kg当たり約3.1モル)を含むカリウム富化ゼオライト担体を製造してもよい。
【0052】
当業者が容易に認識するように、結合ゼオライト塩基の洗浄中のアルカリ金属の混入によるアルカリ金属富化は、工程(b)で使用され得る条件の種々の組合わせによって達成されてもよい。アルカリ金属富化の所望のレベルが選択されると、この結果は、洗浄サイクルの回数、洗浄時間、洗浄温度、水溶液中のアルカリ金属のモル濃度、結合ゼオライト塩基の重量に基づく水溶液の相対量などの多くの異なる組合わせによって達成されてもよい。
【0053】
洗浄工程においてアルカリ金属富化ゼオライト担体を製造することに加えて、結合ゼオライト塩基がナトリウムを含み、そして水溶液が含まなければ、ナトリウムの量を減少させてもよい。これらの状況において、得られるアルカリ金属富化ゼオライト担体は、アルカリ金属富化ゼオライト担体の重量に基づき、約0.35重量%未満のナトリウム、又は約0.3重量%未満のナトリウムを含んでもよい。いくつかの態様では、アルカリ金属富化ゼオライト担体中のナトリウムの量は、ゼオライト担体の総重量に基づき、約0.03重量%~約0.35重量%、約0.05重量%~約0.3重量%、約0.01重量%~約0.25重量%、又は約0.03重量%~約0.2重量%範囲内のナトリウムである。
【0054】
アルカリ金属富化ゼオライト担体が工程(b)で製造される場合、必要に応じて、アルカリ金属富化ゼオライト担体を工程(c)の前に乾燥及び/又は焼成してもよい。乾燥と焼成の両方を行う場合、典型的にはアルカリ金属富化ゼオライト担体を乾燥させ、次いで焼成する。
【0055】
乾燥工程が実行される場合、乾燥工程は通常、乾燥ガス流でアルカリ金属富化ゼオライト担体に接触することを含み、この乾燥ガス流は以下を含む(又は以下から本質的になる、又は以下からなる):不活性ガス(窒素など)、酸素、空気、又はそれらの任意の混合物若しくは組合わせ;あるいは、窒素;あるいは、ヘリウム;あるいは、ネオン;あるいは、アルゴン;あるいは、酸素;また、あるいは、空気。限定されないが、乾燥工程は、一般的に、以下の乾燥温度範囲で行ってもよい:約80℃~約200℃;あるいは、約100℃~約200℃;あるいは、約85℃~約175℃;また、あるいは、約100℃~約150℃。これらの及び他の態様において、これらの温度範囲はまた、乾燥工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度で行われ得る状況を含むことを意味する。
【0056】
乾燥工程の期間は、いかなる特定の期間にも限定されない。典型的には、乾燥工程は、最短30分から最長8時間(又はそれ以上)に及ぶ期間に行われてもよく、より典型的には、乾燥工程は、約1時間~約8時間、例えば、約1時間~約7時間、約1時間~約6時間、約2時間~約7時間、又は約2時間~約6時間などの範囲内であり得る期間に行われてもよい。
【0057】
焼成工程が行われる場合、焼成工程は様々な温度及び期間に行われる。典型的なピーク焼成温度は、しばしば、約315℃~約600℃、例えば、約375℃~約600℃、約400℃~約550℃、又は約425℃~約500℃の範囲内に属する。これらの及び他の態様において、これらの温度範囲はまた、焼成工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度(例えば、初期焼成温度、ピーク焼成温度)で行われ得る状況を含むことを意味する。例えば、焼成工程は、乾燥工程における乾燥温度と同一の初期温度で開始してもよい。その後、焼成の温度を、約375℃~約600℃の範囲で、例えば、ピーク焼成温度に経時的に上昇させてもよい。
【0058】
焼成工程の期間は、いずれか特定の期間に限定されない。したがって、焼成工程は、例えば、最短30~45分から最長10~12時間、又はそれ以上の時間に及ぶ期間に行われてもよい。適切な焼成時間は、他の変数の中でも、例えば、初期/ピーク焼成温度及び乾燥工程が使用されるか否かに依存してもよい。しかしながら、一般的に、焼成工程は、約45分~約12時間、例えば、約1時間~約12時間、約1時間~約10時間、約1時間~約5時間、又は約1時間~約3時間の範囲内であり得る期間に行われてもよい。
【0059】
焼成工程は、不活性ガス(窒素など)、酸素、空気、又はそれらの任意の混合物若しくは組合わせを含む(又は本質的にそれらからなる、又はそれらからなる)焼成ガス流中で行われてもよい。いくつかの態様において、焼成ガス流は空気を含んでもよいが、他の態様において、焼成ガス流は空気と窒素との混合物を含んでもよい。更に、ある特定の態様において、焼成ガス流は、窒素及び/又はアルゴンなどの不活性ガスであってもよい。
【0060】
ここで担持触媒を製造する方法の工程(c)を参照すると、アルカリ金属富化ゼオライト担体に遷移金属とハロゲンを含浸させて担持触媒を製造してもよい。適切な遷移金属の非限定的な例は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、銀、銅など、又は2つ以上の遷移金属の組合わせを含んでもよい。一態様において、遷移金属は、8~11族の遷移金属又は8~10族の遷移金属(1つ又は複数)を含んでもよく、別の態様において、遷移金属は白金(Pt)を含んでもよい。更に別の態様において、アルカリ金属富化ゼオライト担体に1つのみの遷移金属を含浸させるが、該遷移金属は白金である。
【0061】
遷移金属は、当業者に周知の適切な方法又は技術でゼオライト担体に添加されることにより、遷移金属を担体に適切に分散する。そのような方法の1つは、アルカリ金属富化ゼオライト担体を遷移金属含有化合物と混合することを含み、遷移金属含有化合物は、水などの任意の適切な溶媒の溶液中に存在していてもよい。結合ゼオライト塩基に白金を含浸させる際に使用するのに適した遷移金属含有化合物の例示的かつ非限定的な例はとして、塩化テトラアミン白金(II)、硝酸テトラアミン白金(II)、白金(II)アセチルアセトネート、塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸アンモニウム(II)、塩化白金酸、硝酸白金(II)など、並びにそれらの混合物又は組合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
一態様では、担持触媒は、約0.1重量%~約10重量%の遷移金属からなってもよい。別の態様では、担持触媒は、約0.2重量%~約5重量%の遷移金属からなってもよい。更に別の態様では、担持触媒は約0.3重量%~約3重量%の遷移金属、又は約0.3重量%~約2重量%の遷移金属からなってもよい。これらの重量パーセントは、担持触媒の総重量を基準としている。
【0063】
遷移金属が白金を含む場合、担持触媒は約0.1重量%~約10重量%の白金;あるいは、約0.2重量%~約5重量%の白金;あるいは、約0.3重量%~約3重量%の白金;あるいは、約0.3重量%~約2重量%の白金からなる。本明細書で企図される特定の態様において、担持触媒は、アルカリ金属富化結合K/L型ゼオライト上の白金を含んでもよい。
【0064】
白金などの遷移金属をアルカリ金属富化ゼオライト担体に含浸することに加えて、アルカリ金属富化ゼオライト担体に、担持触媒を製造するためにハロゲンを含浸させてもよい。典型的には、ハロゲンは塩素及び/又はフッ素を含む。したがって、塩素又はフッ素を単独で利用してもよく、又は塩素とフッ素の両方を使用してもよい。ハロゲン(1以上)は、遷移金属の添加前、添加中及び/又は添加後にゼオライト担体に添加してもよい。
【0065】
ハロゲンは、当業者に既知の任意の適切な方法又は技術によってゼオライト担体に添加してもよい。そのような方法の1つは、アルカリ金属富化ゼオライト担体を塩素含有化合物及び/又はフッ素含有化合物と任意の順序又は順番で接触又は混合することを含む。一態様では、アルカリ金属富化ゼオライト担体は、任意の適切な溶媒中の塩素含有化合物及び/又はフッ素含有化合物の溶液と混合してもよい。塩素含有化合物の例示的かつ非限定的な例として、塩酸、四塩化炭素、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、塩化アリル、トリクロロエチレン、クロラミン、酸化塩素、塩素酸、二酸化塩素、一塩化二塩素、七酸化二塩素、塩素酸、過塩素酸、塩化アンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリエチルアンモニウムなど、及びそれらの組合わせが挙げられる。フッ素前駆体の例示的かつ非限定的な例として、フッ化水素酸、2,2,2-トリフルオロエタノール、テトラフルオロエチレン、四フッ化炭素、三フッ化炭素、フルオロメタン、ヘプタフルオロプロパン、デカフルオロブタン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラフルオロプロパノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロフェニルプロパノール、ペルフルオロブチルアルコール、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、ペンタフルオロ-1-プロパノール、テトラフルオロ-1-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウムなど、及びそれらの組合わせが挙げられる。
【0066】
別の態様では、アルカリ金属富化ゼオライト担体は、気相中のハロゲンで含浸されていてもよい。例えば、ゼオライト担体は、塩素含有化合物を含む塩素含有流及び/又はフッ素含有化合物を含むフッ素含有流と、任意の順序又は順序で接触してもよい。適切な塩素含有化合物及びフッ素含有化合物には、塩素ガス(Cl)及びフッ素ガス(F)の他に、上に挙げたものが含まれる。
【0067】
担持触媒の総重量に基づいて、塩素(Cl)が存在する場合、塩素の量は、しばしば約0.05重量%~約5重量%、約0.1重量%~約1.5重量%、約0.2重量%~約1重量%、又は約0.5重量%~約1.5重量%の範囲内であってもよい。同様に、担持触媒の総重量に基づいて、フッ素(F)が存在する場合、フッ素の量は、しばしば約0.05重量%~約5重量%、約0.1重量%~約1.5重量%、約0.2重量%~約1重量%、又は約0.5重量%~約1.5重量%の範囲内であってもよい。
【0068】
担持触媒が工程(c)で製造された後、必要に応じて、担持触媒を乾燥及び/又は焼成してもよい。乾燥及び焼成の両方が行われる場合、典型的には担持触媒を乾燥させ、次いで焼成する。任意の適切な温度、圧力、期間、及び雰囲気を、乾燥及び焼成工程に用いてもよい。いくつかの態様において、担持触媒を乾燥する工程は、上記のアルカリ金属富化ゼオライト担体を乾燥する工程(例えば、温度範囲、時間範囲、不活性雰囲気又は酸化雰囲気など)と同様に実施してもよい。いくつかの態様において、乾燥工程は、約125トル未満、約100トル未満、又は約50トル未満などの任意の適切な減圧下で行われてもよい。
【0069】
工程(c)の担持触媒は焼成してもよい。焼成工程が実行される場合、焼成工程は様々な温度及び期間で行われてもよい。典型的なピーク焼成温度は、約175℃~約450℃、例えば約200℃~約400℃、約225℃~約350℃、又は、約250℃~約300℃の範囲内に属する。これらの及び他の態様において、これらの温度範囲はまた、焼成工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度(例えば、初期焼成温度、ピーク焼成温度)で行われ得る状況を含むことを意味する。例えば、焼成工程は、乾燥工程における乾燥温度と同一の初期温度で開始してもよい。その後、焼成の温度を、約375℃~約600℃の範囲で、例えば、ピーク焼成温度に経時的に上昇させてもよい。
【0070】
焼成工程の期間は、いずれか特定の期間に限定されない。したがって、焼成工程は、例えば、最短30~45分から最長10~12時間、又はそれ以上の時間に及ぶ期間に行われてもよい。適切な焼成時間は、他の変数の中でも、例えば、初期/ピーク焼成温度及び乾燥工程が使用されるか否かに依存してもよい。しかしながら、一般的に、焼成工程は、約45分~約12時間、例えば、約1時間~約12時間、約1時間~約10時間、約1時間~約5時間、又は約1時間~約3時間の範囲内であり得る期間に行われてもよい。
【0071】
焼成工程は、不活性ガス(窒素など)、酸素、空気、又はそれらの任意の混合物若しくは組合わせを含む(又は本質的にそれらからなる、又はそれらからなる)焼成ガス流中で行われてもよい。いくつかの態様において、焼成ガス流は空気を含んでもよいが、他の態様において、焼成ガス流は空気と窒素との混合物を含んでもよい。更に、ある特定の態様において、焼成ガス流は、窒素及び/又はアルゴンなどの不活性ガスであってもよい。
【0072】
本明細書に開示される担持触媒を製造するための方法は更に、工程(c)後の還元工程を含んでもよい。この還元工程は、担持触媒を、水素を含む還元ガス流と接触させることを含んでもよい。しばしば、還元ガス流は、単独で又はヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素などの不活性ガスとともに分子状水素を含み、これは、これらの不活性ガスのうちの2つ以上の組合わせを含む。特定の態様では、還元ガス流は、分子状水素及び窒素を含んでもよい(又は本質的にそれらからなっても、又はそれらからなってもよい)。更に、分子状水素は還元ガス流の主成分(50モル%超)であってもよいが、他の態様において、分子状水素は微量成分(5~35モル%)であってもよい。
【0073】
還元工程は、様々な温度と期間に行われてもよい。例えば、還元工程は、約100℃~約700℃;あるいは、約200℃~約600℃;あるいは、約200℃~約575℃;あるいは、約350℃~約575℃;あるいは、約400℃~約550℃;また、あるいは、約450℃~約550℃の還元温度の範囲内に行われてもよい。これらの及び他の態様において、これらの温度範囲はまた、還元工程が、単一の固定温度ではなく、それぞれの範囲内に属する一連の異なる温度で行われる状況を含むことを意味する。
【0074】
還元工程の期間は、いかなる特定の期間にも限定されない。したがって、還元工程は、例えば、最短1時間から最長48~72時間、又はそれ以上の時間に及ぶ期間に行われてもよい。例えば、還元工程は、約2時間~約48時間、約3時間~約36時間、約5時間~約36時間、約2時間~約30時間、又は約10時間~約30時間の範囲内であってもよい期間に行われてもよい。
【0075】
いくつかの態様では、担持触媒は、担持触媒1kg当たり約0.05モル~約1.5モルのアルカリ金属を含んでもよいが、他の態様では、担持触媒は担持触媒1kg当たり約0.05モル~約1モルのアルカリ金属を含んでもよい。例えば、担持触媒は、担持触媒1kg当たり約0.05モル~約0.7モルのアルカリ金属、担持触媒1kg当たり約0.1モル~約0.9モルのアルカリ金属、担持触媒1kg当たり約0.2モル~約0.8モルのアルカリ金属、又は担持触媒1kg当たり約0.3モル~約0.7モルのアルカリ金属を含んでもよい。これらの及び他の態様では、担持触媒は、担持触媒の総重量に基づき、約10,000ppm~約125,000ppm(重量で;約1重量%~約12.5重量%)のアルカリ金属、例えば、約20,000ppm~約100,000ppmのアルカリ金属、約25,000ppm~約110,000ppmのアルカリ金属、約30,000ppm~約90,000ppmのアルカリ金属、又は約40,000ppm~約85,000ppmのアルカリ金属を含んでもよい。
【0076】
本発明に従って製造された担持触媒は、同一の触媒製造条件下で、アルカリ金属を含まない水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することにより得られた触媒より小さい表面積を有してもよい。担持触媒の表面積の適切な範囲の例示的かつ非限定的な例は、約100m/g~約170m/g、約100m/g~約150m/g、約105m/g~約170m/g、又は約105m/g~約160m/gを含む。同様に、アルカリ金属富化ゼオライト担体の表面積の適切な範囲の例示的かつ非限定的な例は、約120m/g~約250m/g、約130m/g~約230m/g、約150m/g~約240m/g、又は約160m/g~約220m/gを含む。
【0077】
同様に、本発明に従って製造された担持触媒は、同一の触媒製造条件下で、アルカリ金属を含まない水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することにより得られた触媒より小さい細孔容積を有してもよい。担持触媒の細孔容積の適切な範囲の例示的かつ非限定的な例は、約0.015cc/g~約0.05cc/g、約0.02cc/g~約0.045cc/g、約0.025cc/g~約0.045cc/g、約0.0265cc/g~約0.045cc/gを含む。同様に、アルカリ金属富化ゼオライト担体の細孔容積の適切な範囲の例示的かつ非限定的な例は、約0.025cc/g~約0.08cc/g、約0.03cc/g~約0.07cc/g、約0.04cc/g~約0.08cc/g、又は約0.045cc/g~約0.075cc/gを含む。
【0078】
有益には、減少した表面積と細孔容積にもかかわらず、本明細書に開示されたアルカリ金属富化担持触媒は優れた白金分散度を有してもよい。しばしば、白金分散度は、約50%~約70%、約52%~約62%、約55%~約70%、約55%~約65%、又は約55%~60%の範囲であってもよい。
【0079】
芳香族化触媒による改質プロセス
【0080】
また、炭化水素を改質するための様々な方法も本明細書中に含まれる。そのような改質プロセスは以下を含んでもよい(又は以下から本質的になっても、又は以下からなってもよい):反応器システムにおける改質条件下で担持芳香族化触媒を炭化水素原料と接触することにより芳香族生成物を生成する。改質プロセスで使用される担持芳香族化触媒は、本明細書に開示される任意の担持触媒及び/又は、本明細書に開示される担持触媒を製造するための任意の方法によって製造されてもよい。
【0081】
改質のための反応器システム及びそれぞれの改質条件は、当業者に周知であり、例えば、米国特許第4,456,527号、同第5,389,235号、同第5,401,386号、同第5,401,365号、同第6,207,042号、及び同第7,932,425号に記載されており、それらの開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0082】
同様に、典型的な炭化水素原料が、これらの参考文献に開示されている。多くの場合、炭化水素原料はナフサストリーム又はライトナフサストリームであってもよい。ある特定の態様において、炭化水素原料は、非芳香族炭化水素を含んでもよく、例えば、炭化水素原料は、C-Cアルカン及び/又はシクロアルカン、又はC-Cアルカン及び/又はシクロアルカン(ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなど)などを含んでもよい。
【0083】
本明細書に記載される担持触媒は、本明細書に開示されるTEOR(実験終了温度)を特徴としてもよく、それは多くの場合、約499℃(930°F)~約530℃(986°F)、約499℃(930°F)~約524℃(975°F)、約499℃(930°F)~約515℃(959°F)、また、約501℃(934°F)~約521℃(970°F)の範囲内であってもよい。
【0084】
表面積及びアルカリ金属富化担持触媒の細孔容積の減少にもかかわらず、これらの触媒-TEORによって定量化される芳香族化合物の収率に加えて、アルカリ金属を富化せずに担持された触媒に相当する-選択性の予想外の向上も有してもよい。例えば、本明細書に開示される担持触媒は、同一の触媒製造と芳香族化反応条件下で、結合ゼオライト塩基をアルカリ金属なしの水溶液で洗浄することにより得られる触媒より大きいベンゼン選択性(又はトルエン選択性)を有してもよい。そのような触媒選択性の比較は、触媒に同量の白金及びハロゲンを有すること、同一の結合ゼオライト塩基を使用すること、同一の装置で同一の実験方法及び条件で実験することなどを意味し、それ以外の違いは洗浄工程中にアルカリ金属を使用する(又は使用しない)ことである。
【0085】
それに限定されないが、典型的なベンゼン選択性(及びトルエン選択性)は、本明細書に記載の実験手順及び条件の使用を決定した場合、しばしば、約0.91~約0.97、約0.92~約0.98、約0.92~約0.97、約0.94~約0.98、約0.95~約0.98、約0.95~約0.975、又は約0.95~約0.97の範囲内であってもよい。
【実施例
【0086】
本発明は、以下の例によって更に説明されるが、それらは本発明の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない。本明細書の記載を読んだ後、それらの様々な他の態様、実施形態、修正形、及び同等物が、本発明の趣旨又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者に想到され得る。
【0087】
担持触媒を、以下の一般的な手順により芳香族化反応におけるそれらの性能について実験した。担持芳香族化触媒を粉砕し、約25~45メッシュに篩い分けし、1ccの篩い分けされた担持触媒を温度制御された炉内の外径3/8インチのステンレス鋼反応器容器に入れた。分子状水素流下で担持触媒を還元した後、脂肪族炭化水素及び分子状水素の供給流を100psigの圧力、モル比1.3:1のH:炭化水素、及び12時間-1の液空間速度(LHSV)で反応容器に導入することにより経時的な触媒性能データを取得した。脂肪族炭化水素原料は、約0.61モル分率の転換可能なC種及び0.21モル分率の転換可能なC種を含んでいた。残りは、転換不可能として分類されるC+芳香族化合物、及び高度分岐異性体であった。反応器流出物組成物をガスクロマトグラフィーにより分析して、存在するベンゼン及びトルエンを含む多数の供給原料成分及び生成物成分の量を決定した(選択性計算用)。
【0088】
触媒性能は、芳香族化合物の収率63重量%を得るのに必要な温度によって定量化した。TEOR(実験終了温度)は実験終了時に所望の収率を得る温度であり、これは約40時間であった。
アルカリ金属富化ゼオライト担体のアルカリ金属含有量(アルカリ金属のモル数)は、XRF又はICPにより決定した。Pt、Cl、及びFの重量比率は、蛍光X線(XRF)により決定した。表面積はBET法により決定し、細孔容積はt-プロット法により決定した。白金分散度はCO化学吸着により決定した。
[実施例1~5]
【0089】
約17重量%のシリカ結合剤からなる標準的な結合KL-ゼオライト塩基を実施例1~5の出発材料として使用した。結合ゼオライト塩基は水(実施例1)又は0.1Mのアルカリ金属塩(NaCl、KCl、RbCl又はCsCl-実施例2~5)を含む水のいずれかで洗浄した。洗浄条件は3つの洗浄サイクルからなり、それぞれ重量が結合ゼオライト塩基の重量の2.5倍である洗浄水(アルカリ金属あり又はなし)で20分間、100°Fで行った。洗浄は、混合物を撹拌するためにNバブリングしながらバッチ式で行った。
【0090】
表Iは、250°Fと900°Fの空気中で乾燥及び焼成後のアルカリ金属富化ゼオライト担体の金属分析をまとめたものである。ルビジウム又はセシウムによるアルカリ金属洗浄工程(実施例4~5)は、担体中のナトリウムの量を大幅に減少させ、そしてそれぞれアルカリ金属富化ゼオライト担体中に約0.5モル(1kg当たり)のアルカリ金属をもたらした。カリウムでアルカリ洗浄しても担体中のナトリウム量が減少した。実施例4~5に示すように、ルビジウム又はセシウムによるアルカリ洗浄も担体のカリウム含有量を減少させた。
【0091】
アルカリ金属富化ゼオライト担体に続いて白金及びハロゲンを含浸させ、乾燥させ(95℃)、焼成する(900°F)ことにより担持芳香族化触媒を形成した。Pt、Cl、及びFは、初期湿潤技術により一段階で添加した。最終的に、Pt、Cl、及びFの添加量はすべて約1重量%であった。表IIは、乾燥/焼成後のアルカリ金属富化ゼオライト担体及び担持触媒の細孔容積及び表面積、並びに担持触媒の白金分散度をまとめたものである。表II中、「担体」は白金及びハロゲンを添加する前のアルカリ金属富化ゼオライト担体であり、そして「触媒」は白金及びハロゲンを含む最終担持触媒である。一般的に、KCl、RbCl、又はCsClを用いたアルカリ金属洗浄工程(実施例3~5)は、最も小さな細孔容積及び表面積を有するセシウム富化担体及びセシウム富化担体を用いて、アルカリ金属富化ゼオライト担体及び担持触媒の表面積及び細孔容積を減少させた。しかしながら、細孔容積及び表面積に対するアルカリ金属洗浄工程の影響にもかかわらず、担持触媒上の白金の分散は、実施例1~5のそれぞれについて同様であった。
【0092】
さらなる実験は、実施例3と実施例5と同様に、カリウム及びセシウムにより行われ、それぞれ、洗浄水中のアルカリ金属のモル濃度は0.05Mから0.3Mへ変化した。図1は、アルカリ金属富化ゼオライト担体及び担持触媒の細孔容積に対し、結合ゼオライト塩基を洗浄するために使用される水溶液中のカリウム及びセシウムのモル濃度の影響を示す。一般的に、アルカリ金属濃度が増加すると、細孔容積は減少したが、その減少は、アルカリ金属富化ゼオライト担体の減少と比較して、担持触媒はそれほど顕著ではなかった。
【0093】
洗浄水中の同一の0.05M~0.3Mの範囲のアルカリ金属濃度では、図2は、担持触媒上の白金分散度に対するアルカリ金属濃度の影響を示す。予想外に、カリウムを使用した場合の白金分散度は濃度範囲全体にわたって比較的影響を受けなかったが、セシウムを使用した場合、白金分散度はより高い0.2~0.3M濃度で著しく低下した。
【0094】
実施例1~5の担持触媒は、表I及び表IIに特徴付けられているように、それらの相対性能が芳香族化反応において評価された。予想外に、実施例3~5のアルカリ金属富化担持触媒の表面積及び細孔容積の減少を考慮すると(表II参照)、表IIIのTEORによって測定される芳香族化合物の収率は、実施例1~5のそれぞれと同様であった。しかしながら、表IIIは、実施例3~5のアルカリ金属富化担持触媒がベンゼン選択性について予想外の向上を示し、セシウム富化が担持触媒のベンゼン選択率を96%以上に増加させることを示している。
【0095】
追加の芳香族化実験は実施例3及び実施例5と同様に、カリウム及びセシウム富化担持触媒を用いて行われ、それぞれ、洗浄水中のアルカリ金属のモル濃度は0.05Mから0.3Mへ変化した。図3は、結合ゼオライト塩基を洗浄するために使用される水溶液中のセシウムのモル濃度が、ベンゼン選択性、トルエン選択性、及び得られた担持触媒のTEORに与える影響を示す。(洗浄工程にアルカリ金属を使用しない)参照と比較して、驚くべきことに、0.2M未満のセシウム濃度は向上したベンゼン選択性と向上したトルエン選択性の有益な組合わせを提供し、同一の温度(TEOR)が所望の芳香族化合物収率を得ることに必要であることが見出された。
【0096】
同様に、図4は、結合ゼオライト塩基を洗浄するために使用される水溶液中のカリウムのモル濃度が、ベンゼン選択性、トルエン選択性、及び得られた担持触媒のTEORに与える影響を示す。(洗浄工程にアルカリ金属を使用しない)参照と比較して、驚くべきことに、0.1M以上のカリウム濃度は向上したベンゼン選択性と向上したトルエン選択性の有益な組合わせを提供し、同一の温度(TEOR)が所望の芳香族化合物収率を得ることに必要であることが見出された(温度への影響は明らかでない)。
【表1】

【表2】

【表3】
【0097】
本発明は、多数の態様及び特定の実施例に関連して前述されている。上記の詳細な説明に照らして、多くの変形が当業者には自明であろう。すべてのそのような明白な変形例は、添付の特許請求の範囲の完全に意図された範囲内にある。本発明の他の態様は、以下を含んでもよいが、これらに限定されない(態様は、「含む」として記載されるが、代替的には、「から本質的になる」又は「からなる」であってもよい)。
[態様1]
【0098】
担持触媒の製造方法であって、
(a)結合ゼオライト塩基を用意すること;
(b)アルカリ金属を含む水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することによりアルカリ金属富化ゼオライト担体を製造すること;及び
(c)アルカリ金属富化ゼオライト担体に遷移金属及びハロゲンを含浸させて担持触媒を製造すること
を含む方法。
[態様2]
【0099】
アルカリ金属がカリウム、ルビジウム、セシウム、又はそれらの組合わせを含む、態様1に記載の方法。
[態様3]
【0100】
水溶液がアルカリ金属塩を含む、態様1又は2に記載の方法。
[態様4]
【0101】
水溶液がアルカリ金属塩化物塩を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様5]
【0102】
アルカリ金属がカリウムを含む、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
[態様6]
【0103】
アルカリ金属がルビジウムを含む、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
[態様7]
【0104】
アルカリ金属がセシウムを含む、態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
[態様8]
【0105】
結合ゼオライト塩基がゼオライト及び結合剤を含む、前述の態様のいずれか一項に記載の方法。
[態様9]
【0106】
結合ゼオライト塩基の総重量に基づき、結合ゼオライト塩基が本明細書に開示される任意の重量パーセントの結合剤、例えば、3重量%~約35重量%、又は約5重量%~約30重量%の結合剤を含む、態様8に記載の方法。
[態様10]
【0107】
結合剤が無機固体酸化物、粘土、又はそれらの組合わせを含む、態様8又は9に記載の方法。
[態様11]
【0108】
結合剤がアルミナ、シリカ、マグネシア、ボリア、チタニア、ジルコニア、それらの混合酸化物、又はそれらの混合物を含む、態様8又は9に記載の方法。
[態様12]
【0109】
結合剤がシリカを含む、態様8又は9に記載の方法。
[態様13]
【0110】
結合剤がモンモリロナイト、カオリン、セメント、又はそれらの組合わせを含む、態様8又は9に記載の方法。
[態様14]
【0111】
結合ゼオライト塩基が結合L-ゼオライトを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様15]
【0112】
結合ゼオライト塩基が結合Ba/L-ゼオライトを含む、態様1~13のいずれか1つに記載の方法。
[態様16]
【0113】
結合ゼオライト塩基が結合K/L-ゼオライトを含む、態様1~13のいずれか1つに記載の方法。
[態様17]
【0114】
結合ゼオライト塩基がシリカ結合K/L-ゼオライトを含む、態様1~12のいずれか一つに記載の方法。
[態様18]
【0115】
工程(a)の結合ゼオライト塩基が、ゼオライトを結合剤と混合することと、混合物を押し出すことと、乾燥させることと、そして焼成することと、を含む方法によって製造される、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様19]
【0116】
工程(a)の結合ゼオライト塩基が、K/L-ゼオライトをシリカと混合することと、混合物を押し出すことと、乾燥させることと、及び焼成することと、を含む方法によって製造される、態様1~12のいずれか1つに記載の方法。
[態様20]
【0117】
洗浄工程が、結合ゼオライト塩基を、例えば、アルカリ金属塩及び水、又はアルカリ金属塩と脱イオン水から本質的になる、又はそれらからなる、本明細書に開示されている任意の水溶液、と接触させることを含む、上記態様のいずれか一つに記載の方法。
[態様21]
【0118】
洗浄工程が、本明細書に開示される任意の洗浄温度、例えば約20℃~約95℃、約15℃~約65℃、又は約30℃~約50℃で行われる、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様22]
【0119】
洗浄工程が、本明細書に開示される任意の回数の洗浄サイクル(1~4、又は2~8など)及び任意の洗浄サイクル期間(約1分~約6時間、又は約5分~約2時間の範囲など)を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様23]
【0120】
水溶液中のアルカリ金属の濃度が、本明細書に開示される任意の濃度範囲、例えば、約0.01M~約5M、約0.01M~約1M、約0.01M~約0.45M、又は約0.05M~約0.3Mである、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様24]
【0121】
水溶液の重量と結合ゼオライト塩基の重量の比率が、本明細書に開示される重量比のいずれかの範囲、例えば、約0.4:1~約10:1、約0.5:1~約8:1、又は約1:1~約5:1である、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様25]
【0122】
洗浄工程が、結合ゼオライト塩基を、例えば、結合ゼオライト塩基1kg当たり(又はアルカリ金属富化ゼオライト担体1kg当たり)約0.03モル~約1モル、約0.1モル~約0.9モル、又は約0.03モル~約0.7モルの本明細書に開示される任意のモル量のアルカリ金属で富化する、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様26]
【0123】
アルカリ金属富化ゼオライト担体が、アルカリ金属富化ゼオライト担体の総重量に基づき、本明細書に開示される任意の重量パーセントのナトリウム、例えば0重量%~約0.35重量%、0重量%~約0.3重量%、約0.03重量%~約0.35重量%、又は約0.05重量%~約0.3重量%のナトリウムを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様27]
【0124】
工程(b)が方法においてアルカリ金属、例えばアルカリ金属塩を利用する唯一の工程である、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様28]
【0125】
工程(c)の前に、アルカリ金属富化ゼオライト担体を乾燥及び/又は焼成することを更に含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様29]
【0126】
担持触媒が、担持触媒の総重量に基づき、本明細書に開示される任意の重量パーセントの遷移金属、例えば0.1重量%~約10重量%、約0.2重量%~約5重量%、又は約0.3重量%~約2重量%の遷移金属を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様30]
【0127】
遷移金属が白金を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様31]
【0128】
遷移金属が白金である、前述の態様のいずれか1つに記載の担持触媒。
[態様32]
【0129】
担持触媒が、担持触媒の総重量に基づき、本明細書に開示される白金の任意の重量パーセント範囲、例えば約0.1重量%~約10重量%、約0.2重量%~約5重量%、又は約0.3重量%~約2重量を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様33]
【0130】
工程(c)が、アルカリ金属富化ゼオライト担体を、塩化テトラアミン白金(II)、硝酸テトラアミン白金(II)、白金(II)アセチルアセトネート、塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸アンモニウム(II)、塩化白金酸、硝酸白金(II)、又はそれらの組合わせを含む遷移金属含有化合物と混合することを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様34]
【0131】
ハロゲンが塩素及び/又はフッ素を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様35]
【0132】
工程(c)が、アルカリ金属富化ゼオライト担体を塩素含有化合物及び/又はフッ素含有化合物と混合することを含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様36]
【0133】
ハロゲンが塩素を含む、態様1~35のいずれか1つに記載の方法。
[態様37]
【0134】
担持触媒が、担持触媒の全重量に基づき、本明細書に開示される任意の重量パーセントの塩素、例えば0.05重量%~約5重量%、約0.1重量%~約1.5重量%、約0.2重量%~約1重量%の塩素を含む、態様36に記載の方法。
[態様38]
【0135】
ハロゲンがフッ素を含む、態様1~37のいずれか1つに記載の方法。
[態様39]
【0136】
担持触媒が、担持触媒の総重量に基づき、本明細書に開示される任意の重量パーセントのフッ素、例えば、約0.05重量%~約5重量%、約0.1重量%~約1.5重量%、約0.2重量%~約1重量%のフッ素を含む、態様38に記載の方法。
[態様40]
【0137】
方法が、工程(c)後に担持触媒を乾燥及び/又は焼成することを更に含む、前述の態様のいずれか1つに記載の方法。
[態様41]
【0138】
方法が、工程(c)後の還元工程を更に含み、該還元工程が、担持触媒を、例えば水素を含む本明細書に開示される任意の還元ガス流と接触させることを含む、前述の態様のいずれか一つに記載の方法。
[態様42]
【0139】
還元工程が、本明細書に開示される任意の還元温度、例えば、約100℃~約700℃、又は約200℃~約600℃の範囲で行われる、態様41に記載の方法。
[態様43]
【0140】
前述の態様のいずれか1つに記載の方法によって得られる担持触媒、例えば担持芳香族化触媒。
[態様44]
【0141】
担持触媒が、担持触媒の全重量に基づき、本明細書に開示される任意のppm量(重量基準)、例えば約10,000ppmから約125,000ppm(約1重量%~約12.5重量%)、約20,000ppm~約100,000ppm(約2重量%~約10重量%)、又は約30,000ppm~約90,000ppm(約3重量%~約9重量%)のアルカリ金属を含む、前述の態様のいずれか1つに記載の担持触媒又は方法。
[態様45]
【0142】
担持触媒が、同一の触媒製造条件下で、アルカリ金属を含まない水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することによって得られる触媒の表面積より小さい表面積を有する、前述の態様のいずれか1つに記載の担持触媒又は方法。
[態様46]
【0143】
担持触媒が、本明細書に開示される表面積の任意の範囲、例えば約100m/g~約170m/g、又は約100m/g~約150m/gの表面積を有する、前述の態様のいずれか1つに記載の担持触媒又は方法。
[態様47]
【0144】
アルカリ金属富化ゼオライト担体が、本明細書に開示される表面積の任意の範囲、例えば、約120m/g~約250m/g、又は約130m/g~約230m/gの表面積を有する、前述の態様のいずれか1つに記載の担持触媒又は方法。
[態様48]
【0145】
担持触媒が、同一の触媒製造条件下で、アルカリ金属を含まない水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することによって得られる触媒の細孔容積面積より小さい細孔容積面積を有する、前述の態様のいずれか1つに記載の担持触媒又は方法。
[態様49]
【0146】
担持触媒が、本明細書に開示される細孔容積の任意の範囲、例えば、約0.015cc/g~約0.05cc/g、又は約0.02cc/g~約0.045cc/gの細孔容積を有する、前述の態様のいずれか1つに記載の担持触媒又は方法。
[態様50]
【0147】
アルカリ金属富化ゼオライト担体が、本明細書に開示される細孔容積の任意の範囲、例えば、約0.025cc/g~約0.08cc/g、又は約0.03cc/g~約0.07cc/gの細孔容積を有する、前述の態様のいずれか1つに記載の担持触媒又は方法。
[態様51]
【0148】
担持触媒が、本明細書に開示される任意の範囲、例えば約499℃(930°F)~約530℃(986°F)のTEORを特徴とする、前述の態様のいずれか1つに記載の担持触媒又は方法。
[態様52]
【0149】
担持触媒が、本明細書に開示される任意の選択性範囲、例えば約0.91~約0.97、約0.92~約0.98、約0.92~約0.97、又は約0.95~約0.98のベンゼン選択性(又はトルエン選択性)を特徴とする、前述の態様のいずれか1つに記載の担持触媒又は方法。
[態様53]
【0150】
担持触媒が、同一の触媒製造及び芳香族化反応条件下で、アルカリ金属を含まない水溶液で結合ゼオライト塩基を洗浄することによって得られる触媒より大きいベンゼン選択性(又はトルエン選択性)を有する、先行する態様のいずれか1つに記載の担持触媒又は方法。
[態様54]
【0151】
担持触媒が、本明細書に開示される任意の範囲、例えば約50%~約70%、約50%~約65%、又は約55%~約70%の白金分散度を有する、前記態様のいずれか一つに記載の担持触媒又は方法。
[態様55]
【0152】
反応器システムにおいて改質条件下で炭化水素原料を担持芳香族化触媒と接触させて芳香族生成物を製造することを含む改質方法であって、担持芳香族化触媒が前記態様のいずれか一つに記載の担持触媒である改質方法。
[態様56]
【0153】
炭化水素原料が、例えば非芳香族炭化水素を含み、C-Cアルカン及び/又はシクロアルカンを含み、又はC-Cアルカン及び/又はシクロアルカンを含む本明細書に開示される任意の炭化水素原料である、態様55に定義される方法。
図1
図2
図3
図4