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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】保持装置、及び、物品供給装置
(51)【国際特許分類】
   G07F 1/02 20060101AFI20220707BHJP
   G07D 11/26 20190101ALI20220707BHJP
   G07F 11/44 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
G07F1/02 102Z
G07D11/26
G07F11/44
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020187355
(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公開番号】P2022076787
(43)【公開日】2022-05-20
【審査請求日】2020-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】近藤 創
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 達志
(72)【発明者】
【氏名】黒川 信夫
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-041187(JP,A)
【文献】特開平09-305835(JP,A)
【文献】特開2008-003778(JP,A)
【文献】特開昭54-066897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 1/00-17/42
G07D 1/00-13/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された第1種別の硬貨と第2種別の硬貨とを保持可能な保持装置であって、
本体部と、
前記本体部の下方において、前記本体部の第1の面側に設けられた第1種別の硬貨を保持可能に構成された第1保持部と、
前記本体部の下方において、前記第1の面とは反対の第2の面側に設けられた第2種別の硬貨を保持可能に構成された第2保持部と、
を備え、
前記本体部は、硬貨の判別を行う硬貨判別部を装着可能な装着部を有し、前記装着部は、前記第1保持部及び前記第2保持部よりも上側であって、前記第1の面側及び前記第2の面側の少なくともいずれかに配置され
前記硬貨判別部は、外部からの通電により動作可能に構成され、かつ、前記通電により動作中であるかを伝達するための構成を有さず、
前記保持装置は、前記硬貨判別部への通電状態を報知する報知部を更に備える、保持装置。
【請求項2】
前記装着部は前記硬貨判別部を嵌め込む凹部を有し、前記硬貨判別部の側面のうちいずれかの面との面接触により前記硬貨判別部を装着可能に構成されている、請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記本体部は、前記装着部に前記硬貨判別部を装着した状態において、前記硬貨判別部の位置を固定する固定部を含む、請求項1又は2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記本体部の上側に配置された、前記第1種別の硬貨及び前記第2種別の硬貨が通過する第1傾斜部を更に備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項5】
前記第1保持部は、所定の枚数の前記第1種別の硬貨を保持するための第2傾斜部を含み、
前記第2保持部は、所定の枚数の前記第2種別の硬貨を保持するための第3傾斜部を含む、請求項4に記載の保持装置。
【請求項6】
前記第1傾斜部と、前記第2傾斜部及び前記第3傾斜部とは、傾きの向きが異なる、請求項5に記載の保持装置。
【請求項7】
前記第1傾斜部の下端は、前記装着部の上端よりも上側に設けられ、
前記第2傾斜部及び前記第3傾斜部の上端は、前記装着部の下端よりも下側に設けられている、請求項5又は6に記載の保持装置。
【請求項8】
前記第1保持部は、前記第1種別の硬貨を保持可能な枚数を設定するための第1設定部を含み、
前記第2保持部は、前記第2種別の硬貨を保持可能な枚数を設定するための第2設定部を含む、請求項4から7のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項9】
前記硬貨判別部を更に備え、
前記硬貨判別部は内部を硬貨が通過可能に構成され、
前記保持装置は、前記第1傾斜部、前記硬貨判別部、及び、前記第1保持部の順で連通する第1通路部を含む、請求項4から8のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項10】
前記保持装置は、前記第1傾斜部、前記硬貨判別部、及び、前記第2保持部の順で連通する第2通路部を含む、請求項9に記載の保持装置。
【請求項11】
前記硬貨判別部は、
前記第1種別の硬貨及び前記第2種別の硬貨が通過する第1開口部が上面に形成され、
前記第1種別の硬貨のみが通過する第2開口部と、前記第2種別の硬貨のみが通過する第3開口部とが底面に形成される、請求項9又は10に記載の保持装置。
【請求項12】
前記硬貨判別部は、前記第1種別及び前記第2種別とは異なる第3種別の硬貨が通過する第4開口部が底面に更に形成され、
前記第3種別の硬貨は前記第1開口部を通過する、請求項11に記載の保持装置。
【請求項13】
第1保持部にて第1の枚数の前記第1種別の硬貨を保持しており、かつ、前記第2保持部にて第2の枚数の前記第2種別の硬貨を保持している場合に、回動可能となる回動部を更に備える、請求項1から12のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項14】
物品を供給可能な物品供給装置であって、
請求項13に記載の保持装置と、
操作部と、
前記操作部に対する操作に応じて物品を供給する供給部と、
前記操作部に対する操作に応じた動力を前記回動部に伝達する伝達部と
を備え、
前記操作部は、前記回動部が回動可能な状態にある場合に操作可能である、物品供給装置。
【請求項15】
前記第1種別の硬貨及び前記第2種別の硬貨をそれぞれ個別に収容可能な硬貨収容部を更に備え、
前記硬貨収容部は前記保持装置の下側に配置される、請求項14に記載の物品供給装置。
【請求項16】
前記保持装置は、前記第1保持部に保持されている第1種別の硬貨、及び、前記第2保持部に保持されている前記第2種別の硬貨を、前記操作部が操作されたことに応じて前記硬貨収容部に移動させる、請求項15に記載の物品供給装置。
【請求項17】
収容された物品を個々に払い出すように構成された回転台を含む物品収容部を更に備え、
前記回転台は、前記伝達部により伝達された前記操作部の操作に応じた動力により回転可能に構成されている、請求項14から16のいずれか1項に記載の物品供給装置。
【請求項18】
前記第1種別の硬貨と前記第2種別の硬貨とを投入可能な投入口を更に備え、
前記投入口は、前記第1種別の硬貨と前記第2種別の硬貨をスライド可能な曲面に形成され、当該曲面の最深部に形成されている、請求項14から17のいずれか1項に記載の物品供給装置。
【請求項19】
前記投入口は、第1投入口と第2投入口とを含み、
前記第1投入口及び前記第2投入口のうちいずれか一方は、開口を閉塞可能に構成されている、請求項18に記載の物品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置、及び、物品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
代価の支払いに応じて、物品を供給する物品供給装置がある。特許文献1は、代価の支払いを硬貨の投入により行うことができる物品供給装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-27226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
代価の支払い方法は、硬貨の投入により行われ、硬貨の種別判定や真贋判定は不可避となっている。その際、筐体の管理者が判別ユニットの交換が容易に行えないなど、装置の構造が複雑化するのは好ましくない。
【0005】
そこで、硬貨判別を行う判別ユニットの交換が容易な構造を有する、硬貨の保持装置及び、保持装置を搭載した物品供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、投入された第1種別の硬貨と第2種別の硬貨とを保持可能な保持装置であって、
本体部と、
前記本体部の下方において、前記本体部の第1の面側に設けられた第1種別の硬貨を保持可能に構成された第1保持部と、
前記本体部の下方において、前記第1の面とは反対の第2の面側に設けられた第2種別の硬貨を保持可能に構成された第2保持部と、
を備え、
前記本体部は、硬貨の判別を行う硬貨判別部を装着可能な装着部を有し、前記装着部は、前記第1保持部及び前記第2保持部よりも上側であって、前記第1の面側及び前記第2の面側の少なくともいずれかに配置される。
本発明はまた、投入された第1種別の硬貨と第2種別の硬貨とを保持可能な保持装置であって、
本体部と、
前記本体部の下方において、前記本体部の第1の面側に設けられた第1種別の硬貨を保持可能に構成された第1保持部と、
前記本体部の下方において、前記第1の面とは反対の第2の面側に設けられた第2種別の硬貨を保持可能に構成された第2保持部と、
を備え、
前記本体部は、硬貨の判別を行う硬貨判別部を装着可能な装着部を有し、前記装着部は、前記第1保持部及び前記第2保持部よりも上側であって、前記第1の面側及び前記第2の面側の少なくともいずれかに配置され、
前記硬貨判別部は、外部からの通電により動作可能に構成され、かつ、前記通電により動作中であるかを伝達するための構成を有さず、
前記保持装置は、前記硬貨判別部への通電状態を報知する報知部を更に備える。
【0007】
本発明は、物品を供給可能な物品供給装置であって、
上記の保持装置と、
操作部と、
前記操作部に対する操作に応じて物品を供給する供給部と、
前記操作部に対する操作に応じた動力を前記回動部に伝達する伝達部と
を備え、
前記操作部は、前記回動部が回動可能な状態にある場合に操作可能である。
【発明の効果】
【0008】
硬貨判別を行う判別ユニットの交換が容易な構造を有する、硬貨の保持装置及び、保持装置を搭載した物品供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る物品供給装置100の外観の一例を示す図。
図2】実施形態に係る物品供給装置100のハードウェア構成の一例を示す図。
図3】実施形態に係る保持装置300の外観の一例を示す図。
図4】実施形態に係る保持装置300における硬貨判別部310のロック機構の一例を示す図。
図5】実施形態に係る保持装置300における硬貨判別部310の装着部311の構成の一例を示す図。
図6】実施形態に係る硬貨判別部310の外観構成の一例を示す図。
図7】実施形態に係るハンドル103に対する操作に応じた動力を伝達する伝達機構を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
次に図1を参照して、物品供給装置100の外観構成について説明する。図1は、実施形態に対応する物品供給装置100の正面の外観の一例を示す図である。図1において、物品供給装置100の本体部は、前壁、後壁、及び側壁から構成され、物品収容部101は、物品供給装置100より供給される物品が収容される収容器(或いは、バケツ、ケース等)である。物品収容部101は、透明なプラスチック製で、内部に収容されている物品を外部から視認可能に構成されてもよい。物品は、例えば、玩具、電子機器、人形などがカプセルに封入されて、物品収容部101に収容される。或いは、カプセルに封入されていない状態で収容されてもよい。
【0012】
物品収容部101は、本体102の上側に設置されており、本体102内には、物品を物品収容部101から取り出して取出口105まで搬送し供給するための物品搬送機構が配置されている。本体102の前面部には、ハンドル103、現金投入口104、取出口105、現金返却口106、現金返却ボタン107が配置されている。
【0013】
ハンドル103は、代価の支払いに応じて矢印方向に回転可能に構成された操作部材であって、ユーザがハンドル103を回転させることにより、物品が取出口105に供給される。ハンドル103は、代価の支払いが確認できない状態ではロック機構により回転が抑制されており、代価の支払いが確認されるとロック機構が解除されて回転可能となる。
【0014】
現金投入口104は、代価を現金で支払う場合に、硬貨を投入するのに用いられ、現金の大きさに応じて、複数種類の投入口があってもよい。例えば、一例として500円玉と100円玉とをそれぞれに挿入可能な大きさの投入口を用意することができる。但し、図1では、500円玉と100円玉との投入口を共通化しており、100円玉のサイズに対応する投入口は封止(閉塞)されている。現金投入口104は、内部の機構を制御することにより現金の投入を受け付ける状態と、受け付けない状態とを切り替えることができる。例えば、代価に相当する額の硬貨が投入済みの場合には、投入口を閉じて更なる硬貨の投入を受け付けないようにしてもよい。現金投入口104には、曲面からなる凹部が形成され、凹部の底(最深部)付近に投入口が設けられている。これにより小さい子供であっても、曲面をスライドさせて辿ることで、現金投入口104から現金を投入することが容易に行えるようになる。
【0015】
取出口105は、ハンドル103を回して供給された物品を取り出す部分であり、透明、或いは、半透明の蓋で覆われており、蓋を開けて物品を取り出すことができる。現金返却口106は、現金返却ボタン107の操作に応じて投入した硬貨が返却され、装置から返却された硬貨を取り出し可能に構成されている。ここで、物品の代価に相当する枚数の硬貨が投入されていた場合には、現金返却ボタン107の操作を受け付けないようにしてもよい。一方、物品の代価の一部に相当する枚数の硬貨が投入されていた場合には、現金返却ボタン107の操作を受け付けるようにして、操作を受け付けた場合には、投入金額の全額を返却してもよい。また、物品の代価を超過する枚数の硬貨が投入されていた場合には、現金返却ボタン107の操作を受け付けるようにして、操作を受け付けた場合には、投入金額の一部または全部を返却してもよい。このとき、返却する投入金額の一部は超過分とすることができる。
【0016】
また、硬貨判別の結果として適切な種類の硬貨が投入されなかったと判定された場合、判別対象の硬貨が現金返却口106から返却される。例えば、500円と100円のみを受け付ける場合に、10円、50円、1円の硬貨や外国の硬貨が投入された場合には、適切な種類の硬貨ではないとして返却する。また、贋貨が投入された場合も、適切な種類の硬貨ではないとして返却する。
【0017】
次に、図2を参照して、実施形態に対応する物品供給装置100のハードウェア構成の一例を説明する。図2において、物品供給装置100には、硬貨判別部201における代価の支払の検知に応じて、ロック機構202によるハンドル103のロックを解除する機構が含まれる。硬貨判別部201は、硬貨が現金投入口104から投入されたことを検知すると、投入された硬貨が予め定められた所定の種類の硬貨であるかどうかを判定し、所定の種類の硬貨が、所定枚数投入された場合にロック機構202におけるロックを解除してハンドル103を回動可能とする。また、硬貨判別部201は、更に硬貨の真贋検知を行い、贋貨を検出した場合には当該硬貨をそのまま現金返却口106に排出する。
【0018】
ロック機構202は、ハンドル103の回転を抑制する(ロックする)機構であって、ハンドルのロック状態と非ロック状態との2つの状態を有する。ロック機構202は、通常状態において、ハンドル103の回転をロックするように動作し、硬貨判別部201において所定の種類の硬貨が所定枚数投入されたことが検知されると、ロックを解除してハンドル103を回動可能とするように構成される。
【0019】
硬貨判別部201は通電により動作可能に構成されているため、外部電源204から動作用の電源が供給される。硬貨判別部201そのものは動作中であるかどうかを示す発光部等を備えていないため、外部電源204からの電源は並列に報知部203にも供給される。報知部203は例えば発光ダイオードで構成することができる。報知部203が点灯している場合には外部電源204からの電源供給が有効であり、硬貨判別部201が通電状態であることを示す。報知部203が点灯していない場合には、外部電源204からの電源供給が無効であることを示す。
【0020】
次に、図3を参照して、本実施形態に対応する、投入された硬貨を保持する保持装置の構造を説明する。図3(A)は、保持装置300を側面のうちの一方の面(第1の面)からみた場合の構成の一例を示す図であり、図3(B)は、保持装置300を側面のうちの反対側の面(第2の面)からみた場合の構成の一例を示す図である。以下、図3(A)及び図3(B)を参照しつつ、保持装置300の構成について説明する。
【0021】
保持装置300は、本体部301の上側に現金投入口104から投入された硬貨が、硬貨判別部310に搬送される搬送路を形成する第1傾斜部302が配置される。第1傾斜部302は、複数の種別の硬貨を搬送可能な大きさ及び長さの搬送路を有しており、現金投入口104から硬貨判別部310に向かって下っていくように傾斜が付けられている。また、本体部301には、硬貨判別部310が取り付けられる。硬貨判別部310は、図2の硬貨判別部201に対応しており、投入された硬貨が、所定の種別の硬貨であるかどうかを判別し、所定の種別の硬貨であれば、本体部301の下側に設けられた第1保持部303又は第2保持部304に硬貨を排出する。硬貨判別部310の縦方向の長さは、第1傾斜部302の下端と、第1保持部303又は第2保持部304の上端との間の最短距離よりも短い。
【0022】
第1保持部303は、所定の種別の硬貨のうち第1種別の硬貨を保持する。第1保持部303は、複数枚数の第1種別の硬貨を保持可能な長さを有する。第1保持部303において保持可能な第1種別の硬貨の枚数は、突起部303aの位置を移動させることにより設定することができる。第1保持部303は、突起部303aの位置を決める凹部303bを複数有しており、凹部303bの何れかの位置に突起部303aを配置することにより、保持可能な枚数を設定することができる。第1保持部303は、保持可能な枚数以上の硬貨が投入された場合に、余剰分の硬貨を現金返却口106を介して排出するように構成されている。
【0023】
第2保持部304は、所定の種別の硬貨のうち、第1種別とは異なる第2種別の硬貨を保持する。第2保持部304は、複数枚数の第2種別の硬貨を保持可能な長さを有する。第2保持部304において保持可能な第2種別の硬貨の枚数は、突起部304aの位置を移動させることにより設定することができる。第2保持部304は、突起部304aの位置を決める凹部304bを複数有しており、凹部304bの何れかの位置に突起部304aを配置することにより、保持可能な枚数を設定することができる。第2保持部304は、保持可能な枚数以上の硬貨が投入された場合に、余剰分の硬貨を現金返却口106を介して排出するように構成されている。
【0024】
本実施形態では、一例として第1種別の硬貨を500円硬貨とし、第2種別の硬貨を100円硬貨とする。例えば、800円が代価として設定される場合、組み合わせとして500円硬貨1枚と100円硬貨3枚が考えらえる。本実施形態においては、500円硬貨2枚でお釣りが発生する場合や、100円硬貨8枚の場合は除外するが、これらの組合せにおいても購入可能としてもよい。よって、第1保持部は1枚の500円硬貨を保持するように突起部303aの位置が決定され、第2保持部は3枚の100円硬貨を保持するように突起部303aの位置が決定される。
【0025】
第1保持部303及び第2保持部304には、それぞれ所定枚数(例えば、それぞれ第1の枚数、及び、第2の枚数)の硬貨が投入されると、当該硬貨により押圧されるスイッチが配置されており、第1保持部303のスイッチと第2保持部304のスイッチが共に押圧されると、ハンドル103と接続している回動部307のロックが解除され、回動可能となる。これによりハンドル103を回動することができる。回動部307が回動すると、それに伴って第1保持部303及び第2保持部304に保持されていた硬貨が不図示の硬貨収容部に排出されるので、スイッチの押圧状態が解除されて再び回動部307がロックされる。
【0026】
硬貨収容部は、第1保持部303及び第2保持部304の下側、換言すると保持装置300の下側に配置され、第1保持部303に保持された第1種別の硬貨のみを収容する第1硬貨収容部と、第2保持部304に保持された第2種別の硬貨のみを収容する第2硬貨収容部とがある。第1硬貨収容部と第2硬貨収容部とは、各種別の硬貨を個別に収容可能であれば、一体的に構成されていてもよいし、別体として構成されていてもよい。
【0027】
第1保持部303及び第2保持部304は、それぞれ硬貨判別部310において種別が判定された硬貨を保持するための傾斜部を有しており、当該傾斜部は硬貨判別部310の種別毎の硬貨の排出口から、第1保持部303及び第2保持部304の先端に向かって下っていくように傾斜が付けられている。当該傾斜の向きは第1傾斜部302の傾斜の向きとは異なっている。第1傾斜部302の傾斜は、上側から硬貨判別部310の位置する下側に向かっており、第1保持部303及び第2保持部304の傾斜は、下側から硬貨判別部310の位置する上側に向かっている。
【0028】
硬貨判別部310は、投入された硬貨が所定の種別の硬貨でないと判定した場合、投入硬貨を第1保持部303や第2保持部304には排出せずに排出路305に排出する。排出路305は、現金返却口106と接続されており、排出路305に排出された硬貨は、現金返却口106から回収することができる。また、現金返却ボタン107が操作された場合も、第1保持部303、第2保持部304で保持されていた第1種別の硬貨及び第2種別の硬貨が現金返却口106に排出される。
【0029】
本体部301は、硬貨判別部310を固定するための固定レバー306を有する。固定レバー306による硬貨判別部310の装着状態は図4に示すとおりである。図4は、硬貨判別部310の装着方法の一例を説明するため図である。図4において、固定レバー306は、矢印で示す方向に回動可能となっている。固定レバー306は、係止部306aを有しており、係止部306aにより硬貨判別部310が本体部301から外れるのを防止している。固定レバー306が回動すると係止部306aも一緒に回動し、硬貨判別部310の係止状態が解除されて、硬貨判別部310を本体部301から取り外すことができる。
【0030】
図5は、硬貨判別部310が取り外された状態の本体部301の構成の一例を示す。本体部301には、硬貨判別部310を装着可能な装着部311が設けられている。装着部311は、硬貨判別部310の外形に対応する凹部を有する。装着部311は仕切り面311aが設けられており、これにより、本体部301の一方の面からのみ硬貨判別部310を装着することが可能となり、反対側の面からは装着することができない。また、硬貨判別部310が凹部に嵌め込まれると、硬貨判別部310の一部の面が凹部の何れかの面(例えば、仕切り面311a)と面接触して装着されるように装着部311が構成されていてもよい。なお、硬貨判別部310を装着可能な面は、図示した一方の面に限定されるものではなく、反対側の面であってもよい。
【0031】
装着部311の下方には、排出路305につながる開口305aが設けられており、硬貨判別部310において、所定の種別の硬貨と判定されなかった硬貨は当該開口を介して排出路305に排出され、排出路305を通って開口305bから現金返却口106に排出される。
【0032】
図6は、硬貨判別部310の外観構成の一例を示す。図6(A)は、硬貨判別部310の上面側の構造を示す図であり、図6(B)は、硬貨判別部310の底面側の構造を示す図である。ここに示すように硬貨判別部310は、投入された硬貨を取り込む第1開口部310aが形成されており、投入硬貨は真贋判定及び種別の判定が行われ、真貨と判定された場合には、さらに種別が判定される。ここで、第1種別の硬貨と判定された場合には、第1保持部303につながる通路を通過して底面に形成されている第2開口部310bより第1保持部303に排出されるように構成され、第2種別の硬貨と判定された場合には、第2保持部304につながる通路を通過して底面に形成されている第3開口部310cより第2保持部304に排出されるように構成されている。これにより、保持装置300においては、第1傾斜部302から硬貨判別部310を介して第1保持部303へ連通する第1通路部と、第1傾斜部302から硬貨判別部310を介して第2保持部304へ連通する第2通路部とが形成される。
【0033】
また、贋貨と判定された場合、或いは、種別が第1または第2種別以外の第3種別の硬貨の場合には、排出路305の開口305aにつながる通路を通過して、第4開口部310dから排出されるように構成されている。第4開口部310dは、第1種別の硬貨、及び、第2種別の硬貨は通過不可能であって、これら以外の第3種別の硬貨、又は、贋貨のみが通過可能である。
【0034】
次に、図7を参照して、ハンドル103に対する操作に応じた動力を伝達する伝達機構について説明する。図7は、当該動力の伝達機構を説明するための概略図である。図7において、ハンドル103の回動中心軸にギア連動機構の一部を構成する主軸体701の一端が取り付けられている。この主軸体701は他端に平歯車702を固定している。平歯車702の上方には平歯車702と噛み合う小歯車703が回動可能に軸支されている。さらに、小歯車703の上方には、小歯車703と噛み合う平歯車704が、回動可能に軸支されている。平歯車704には互いに中心軸が同じとなる歯車部704Aが一体的に形成されている。
【0035】
物品収容部101の底壁を構成する中間壁の上には、回転台705が回転可能に設けられており、回転台705の底面には、歯型706が形成され、歯型706に対して歯車部704Aが噛み合っている。従って、ハンドル103を手動で矢印T1方向に回動させると、主軸体701を介して回動力が平歯車702に伝えられ、これに噛合している小歯車703および歯車704を介して矢印T2方向の回動力が回転台705に伝達される。そして、ハンドル103の操作を続けることにより回転台705が所定角度回転して、回転台705の切欠707の一つが物品収容部101の中間壁の取出孔708と一致すると、物品収容部101の中に収納された収容物Aの一つが、回転台705の切欠707を通って取出口105に送られ、取出口105から払い出される。また、平歯車702の斜め下方には、この平歯車702と噛み合う平歯車709が回動自在に軸支されている。この平歯車709の下方には、この平歯車709と噛み合う小歯車710が一端に取り付けられた中間軸711が、回動可能に軸支されている。また、中間軸711の略中央部には、傘歯車612が取り付けられている。
【0036】
ユーザがハンドル103を回動させると、主軸体701が回動して平歯車702を回動させる。これにより、一方では、小歯車703および平歯車704および歯車部704Aを介して回転台705を回転させる。また、他方では、平歯車702の回動により、平歯車709および小歯車710を介して中間軸711を回動させて、傘歯車712を回動させる。このため、傘歯車712の回動を阻止すると、ハンドル103の回動および回転台705の回転も阻止されることになる。
【0037】
傘歯車712には、傘歯車713が噛合している。従って、ハンドル103の回動に伴い、傘歯車712が回動しようとすると、傘歯車713も回動しようとするが、歯車713は回動部307と一体化されている。従って、回動部307は回動がロックされている場合には、傘歯車713は回動することができず、結果としてハンドル103の回動が阻止される。このように、回動部307のロック状態においては傘歯車712および傘歯車713も回動を阻止され、ハンドル103が回動できないので、回転台705が回転せず、収容物Aを取り出すことができない。
【0038】
なお、図7においては、ハンドル103に直接に接続されている主軸体701と、回動部306と連携する傘歯車712が取り付けられている中間軸711が別体となっているが、傘歯車712を主軸体701に設けるようにしてもよい。
【0039】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7