(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】メッキ設備用陰極アセンブリ
(51)【国際特許分類】
C25D 7/06 20060101AFI20220707BHJP
C25D 17/12 20060101ALI20220707BHJP
F16C 13/00 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
C25D7/06 K
C25D17/12
F16C13/00 Z
(21)【出願番号】P 2020194109
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0163525
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0141394
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518133500
【氏名又は名称】エスケー ネクシリス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】リュ ハン グウォン
(72)【発明者】
【氏名】アン ジュン キュ
(72)【発明者】
【氏名】リム キ ユン
(72)【発明者】
【氏名】ユ ジン ハ
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-070934(JP,A)
【文献】実開平02-118755(JP,U)
【文献】実開平03-072114(JP,U)
【文献】特開平08-074839(JP,A)
【文献】特開平11-249416(JP,A)
【文献】特開2000-127006(JP,A)
【文献】特開2004-109338(JP,A)
【文献】特開2007-031833(JP,A)
【文献】特開2011-225937(JP,A)
【文献】特開2017-102186(JP,A)
【文献】国際公開第03/037626(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/036277(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 5/00 - 7/12
F16C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1締結部と第2締結部を有するロール本体;
第1締結部に対応する第3締結部を有し、ロール本体の一端部に結合解除可能に連結した第1シャフト;
第2締結部に対応する第4締結部を有し、ロール本体の他端部に結合解除可能に連結した第2シャフト;および
第1シャフトと第2シャフトを連結する支持シャフトを含み、
前記第1シャフトは、前記第2シャフトに向かって直径が減少する傾斜部位と、前記ロール本体の内側に挿入される挿入部位とを含み、
前記第2シャフトは、前記第1シャフトに向かって直径が減少する傾斜部位と、前記ロール本体の内側に挿入される挿入部位とを含み、
前記支持シャフトの一端部は、第1シャフト又は第2シャフトと固定され、
前記支持シャフトの他端部は、第1シャフト又は第2シャフトの締結ホームに挿入され
、
前記第1シャフトの挿入部位は第3締結部を有し、前記第2シャフトの挿入部位は第4締結部を有し、
前記第1シャフト及び前記第2シャフトの挿入部位は、前記第1シャフトの傾斜部位と前記第2シャフトの傾斜部位との間に配置され、
支持シャフトの他端には、第1シャフトまたは第2シャフトの内周面と接触する接合面が形成されるメッキ設備用陰極アセンブリ。
【請求項2】
第1締結部と第2締結部が、ネジ山およびネジ溝であり、
第3締結部と第4締結部は、第1締結部と第2締結部に対応するネジ山およびネジ溝である、請求項1に記載のメッキ設備用陰極アセンブリ。
【請求項3】
第1シャフトおよび第2シャフトのそれぞれが、
シャフト本体、および
シャフト本体の端部に配置され、ロール本体に結合するシャフトフランジを含む、請求項1に記載のメッキ設備用陰極アセンブリ。
【請求項4】
ロール本体と第1シャフトの間、および
ロール本体と第2シャフトの間に配置されたシーリング部材をさらに含む、請求項1に記載のメッキ設備用陰極アセンブリ。
【請求項5】
ロール本体が、シーリング部材の挿入ホームを有する、請求項4に記載のメッキ設備用陰極アセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載のメッキ設備用陰極アセンブリが、メッキ皮膜を形成するためにフィルムを搬送し、
フィルムは、メッキ実行前、その面に所定の厚さに配置された金属層を含み、
フィルムは、金属層の厚さが0.5μm以上で、電流密度0.1A/m
2~3.5A/m
2、温度34℃以上でメッキが行なわれる、メッキ皮膜の形成方法。
【請求項7】
第1シャフトおよび第2シャフトのいずれか一つと支持シャフトが、一体に形成された、請求項1に記載のメッキ設備用陰極アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッキ設備用陰極アセンブリに関するものであり、より詳細には、優れたメッキ皮膜の品質を確保し、製造コストを削減することができるメッキ装置用陰極アセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロール・ツー・ロール方式(Roll To Roll)方式のメッキ設備は、フィルムにメッキ皮膜を形成するためにメッキ槽と陰極を含む。陰極は、シャフトとロール本体を含む。メッキ槽には、メッキ液と陽極が配置される。フィルムは、陰極を通じて搬送され得る。このとき、フィルムはメッキ槽内部のメッキ液に浸漬される。陽極と陰極に電源が印加されると、メッキ液が電解されながら、銅がフィルムに電着する。
【0003】
図1は、従来技術によるメッキ設備用陰極アセンブリを示す図である。
【0004】
従来技術によるメッキ設備の場合、負極に電流が流れるときに発生する熱とメッキ液の接触による表面不均一などによりメッキ皮膜の品質が低下する。これにより、陰極の交換が頻繁に発生するので、製造コストなどが加重される問題がある。特に
図1を参照すると、シャフトとロール本体は溶接で結合される。溶接結合によって、ロールの真円度不良が発生する。これにより、フィルム搬送の不安定が惹起されフィルムにシワなどが発生する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施例は、優れたメッキ皮膜の品質を確保し、製造コストを削減することができるメッキ装置用陰極アセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような目的を達成するために、本発明の一実施例に係るメッキ装置用陰極アセンブリは、第1締結部と第2締結部を有するロール本体、第1締結部に対応する第3締結部を有し、ロール本体の一端に結合解除可能に連結した第1シャフト、及び第2締結部に対応する第4締結部を有し、ロール本体の他端部に結合解除可能に連結した第2シャフトを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、ロール本体とシャフトの結合および結合解除が容易で組み立て工数を軽減させ、必要に応じてロール本体のみを交換可能なので交換費用を削減することができる。
【0008】
また、ロールの真円度を維持することができ、メッキ皮膜の優れた品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来技術によるメッキ設備用陰極アセンブリを示した図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るメッキ装置用陰極アセンブリを概略的に示した図である。
【
図3】
図2に図示したメッキ設備用陰極アセンブリの両端部を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な一実施例に係るメッキ装置用陰極アセンブリ10を詳細に説明する。
【0011】
図2は、本発明の一実施例に係るメッキ装置用陰極アセンブリ10を概略的に示した図であり、
図3は、
図2に示したメッキ設備用陰極アセンブリ10の両端部を拡大して示した図である。
【0012】
図2および
図3を参照すると、本発明の一実施例に係るメッキ装置用陰極アセンブリ10は、メッキの優れた品質を確保し、製造コストを削減するために、ロール本体100、第1シャフト200及び第2シャフト300を含む。第1シャフト200と第2シャフト300は、ロール本体100の両端部に容易に結合および結合解除可能に連結される。これにより、ロール本体とシャフトを分離した後、ロール本体のみを交換することができるので、製造コスト(交換コスト)を削減することができる。
【0013】
ロール本体100は、第1締結部110と第2締結部130を有する。第1締結部110は、ロール本体100の一端部に配置される。第2締結部130は、ロール本体100の他端部に配置される。第1シャフト200は、第3締結部210を有する。第1シャフト200の第3締結部210は、第1締結部110に対応して締結および締結解除することができる。第2シャフト300は、第4締結部310を有する。第4締結部310は、第2締結部130に対応して締結および締結解除することができる。
【0014】
一実施例では、ロール本体100は、円筒形状を有することができる。また、第1締結部110と第2締結部130は、ロール本体100の内周面に配置される。第1締結部110と第2締結部130は、ネジ山およびネジ溝形状を有することができる。したがって、第1締結部110と第2締結部130は、ロール本体100の内周面に沿って円周方向に延長される。第1締結部110は、ロール本体100の一端部に配置され、第2締結部130は、ロール本体100の他端部に配置される。
【0015】
第3締結部210は、第1シャフト200の外周面に配置される。第4締結部310は、第2シャフト300の外周面に配置される。第3締結部210と第4締結部310は、ネジ山およびネジ溝形状を有することができる。したがって、第3締結部210と第4締結部310のそれぞれは、第1シャフト200と第2シャフト300の外周面に沿って円周方向に延長される。これにより、第1シャフト200は、ロール本体100の第1締結部110にネジ結合または結合解除することができる。また、第2シャフト300は、ロール本体100の第2締結部130にネジ結合または結合解除することができる。したがって、負極の組立および交換が容易で、不良を防止し、製造コストを削減することができる。
【0016】
第1シャフト200及び第2シャフト300のそれぞれは、シャフト本体220とシャフトフランジ240を含む。シャフト本体220は、回転軸として、ロール本体100を支持する。シャフトフランジ240は、シャフト本体220に連結し、ロール本体100に少なくとも一部挿入される。ここで、シャフトフランジ240は、第3締結部210と第4締結部310を有する。
【0017】
また、シャフトフランジ240は、ロール本体100の延長方向に沿ってだんだんロール本体100の外径から内径に徐々に直径が減少する傾斜部位とロール本体100の内側に挿入される挿入部位を含む。ここで、シャフトフランジ240とロール本体100の締結後、シャフトフランジ240の傾斜部分と、これに対応するロール本体100の間は熱圧着方式で接合することができる。これにより、ロール本体100とシャフトフランジ240の間に密閉することができる。つまり、ロール本体100とシャフトフランジ240の間の密閉性を確保しながらも、ロール本体100とシャフトフランジ240が結合および結合解除可能に連結することができる。
【0018】
本発明の一実施例に係るメッキ装置用陰極アセンブリ10は、支持シャフト400をさらに含む。支持シャフト400は、第1シャフト200と第2シャフト300を連結する。支持シャフト400、第1シャフト200及び第2シャフト300は、同じ軸を中心軸に有する。支持シャフト400は、第1シャフト200と第2シャフト300の結合を支持力を補強する。したがって、第1シャフト200と第2シャフト300の結合または結合解除にも、ロール本体100の真円度を維持することができる。
【0019】
一実施例では、支持シャフト400の一端部は、第1シャフト200及び第2シャフト300のいずれか一つに固定することができる。支持シャフト400は、第2シャフト300または第1シャフト200と一体(一筐体)で形成することができる。したがって、支持シャフト400と第2シャフト300は、同一の材質からなることができる。つまり、支持シャフト400と第2シャフト300の間に接合部位がない。他の実施例として、第1シャフト200及び第2シャフト300のいずれか一つと支持シャフト400は、溶接等によって一体に形成することができる。この場合、第1シャフト200及び第2シャフト300のいずれか一つと支持シャフト400の間に接合部位を有することができる。したがって、接合部位の有無にかかわらず、第1シャフト200及び第2シャフト300のいずれか一つと支持シャフト400は、分離不可能に結合した一体に形成することができる。
【0020】
支持シャフト400が、第1シャフト200及び第2シャフト300のいずれか一つと一体に形成されると、組み立てが容易でありながら高精度に組み立てることができる。例えば、ロール本体100と第1シャフト200が結合した状態で、第2シャフト300をロール本体100に締結すると、支持シャフト400の端部が第1シャフト200の締結ホーム(
図3のH2)に挿入される。つまり、支持シャフト400の端部と第1シャフト200の結合面は、ロール本体100の両端部の間に配置される。これにより、簡単な組み立てで、第1シャフト200、支持シャフト400、第2シャフト300が同じ中心軸を有するように容易に締結することができる。逆に、ロール本体100に第2シャフト300が結合された状態で、第1シャフト200をロール本体100に締結する場合にも、支持シャフト400の端部は、第1シャフト200の締結ホームに挿入される。つまり、支持シャフト400の端部が第1シャフト200の締結ホームに挿入されながら、第1シャフト200、第2シャフト300および支持シャフト400が同じ中心軸に配置され得る。
【0021】
また、支持シャフト400の他端部は、残りの他の一つに結合解除可能に連結することができる。このため、第1シャフト200または第2シャフト300は、締結ホーム(H2)を有することができる。支持シャフト400の他端部は、締結ホーム(H2)に挿入して支持することができる。他の実施例では、締結ホーム(H2)の内周面にネジ山を配置することができる。これに対応して支持シャフト400もネジ山を有することができる。つまり、支持シャフト400の他端部は、締結ホーム(H2)でネジ結合することができる。締結ホーム(H2)は、ロール本体100の中心軸を基準に円周方向に延長される。また、締付ホーム(H2)は、ロール本体100の一端と第1シャフト200の締結部位(ねじ込み部)から第2シャフト300に向かって所定距離離隔することができる。他の実施例では、締結ホーム(H2)は、ロール本体100の他端と第2シャフト300の締結部位(ねじ込み部)から第1シャフト200に向かって所定距離離隔することができる。
【0022】
本発明の一実施例に係るメッキ装置用陰極アセンブリ10は、シーリング部材500をさらに含む。シーリング部材500は、リング形状を有することができる。シーリング部材500は、シャフトフランジ240とロール本体100の間に配置され、密閉させる。シャフトフランジ240は、シーリング部材500に対応した挿入ホーム(H1)を有する。シーリング部材500は、挿入ホーム(H1)挿入して固定することができる。これにより、シャフトフランジ240とロール本体100の結合および結合解除の間、シーリング部材500が離脱しないことが可能となる。
【0023】
一方、本発明に係るメッキ装置の陰極アセンブリ10は、メッキ皮膜を形成するためにフィルム(未図示)をメッキ槽(未図示)を通過するように搬送する。ここで、フィルムは、金属層(未図示)を含む。金属層は、メッキ実行前、その面に所定の厚さで形成される。金属層は、電気導電役割を果たし、スパッタリングまたはメッキを通じて形成することができる。金属層は、500~1500Åの厚さを有することができる。ここで、金属層は、銅(Cu)seed層を含む。
【0024】
また、垂直電解メッキ段階で、メッキ槽に収容されたメッキ液は、30~40g/Lの銅濃度、170~180g/Lの硫酸濃度、および45~55ppmの塩素(Cl)濃度を有する。また、メッキは10~20個のメッキ槽を通過するように構成することができる。また、メッキ槽は0.1~3.5ASDの電流密度を有するように調整することができる。
【0025】
また、フィルムは、金属層の厚さが0.5μm以上で、電流密度(ASD)0.1A/m2~3.5A/m2、温度34℃以上でメッキ工程を実行することができる。ここで、フィルムは、垂直または水平方式で、片面または両面に銅メッキ層を1.8~2.4μmの厚さで電気メッキされる。
【0026】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲でさまざまに変更可能なことはもちろんである。
【符号の説明】
【0027】
10:メッキ設備用陰極アセンブリ
100:ロール本体
110:第1締結部
130:第2締結部
200:第1シャフト
210:第3締結部
220:シャフト本体
240:シャフトフランジ
300:第2シャフト
310:第4締結部
400:支持シャフト
500:シーリング部材
H1:挿入ホーム
H2:締結ホーム