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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】車両のフロントガラス用保護フィルム
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/00 20060101AFI20220707BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220707BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20220707BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20220707BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20220707BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20220707BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220707BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220707BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
B60J1/00 H
B32B27/00 M
B32B27/30 A
B32B27/40
C09D4/02
C09D175/04
C09J7/38
C09J11/06
C09J133/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020194943
(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公開番号】P2022022055
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】10-2020-0092513
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520462355
【氏名又は名称】ステック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】リ,チャンスク
(72)【発明者】
【氏名】オ,インファン
(72)【発明者】
【氏名】パク,スビン
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1994928(KR,B1)
【文献】特開2019-031255(JP,A)
【文献】国際公開第2016/159023(WO,A1)
【文献】特開2009-299035(JP,A)
【文献】国際公開第2020/067494(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/00
B32B 27/00
B32B 27/30
B32B 27/40
C09D 4/02
C09D 175/04
C09J 7/38
C09J 11/06
C09J 133/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントガラス用保護フィルムであって、
アクリル共重合体、硬化剤、及び溶剤を含む粘着層と、
前記粘着層上に配置され、ポリウレタンアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマー、及び光開始剤を含む弾性体層と、
前記弾性体層上に配置され、ウレタン樹脂、及びイソシアネート硬化剤を含み、スクラッチを復元し、耐衝撃性を有する自己復元層とを含み、
前記弾性体層は、前記自己復元層よりも大きい厚さを有し、PETフィルムよりも低い強度及び硬度を有し、前記弾性体層が、前記自己復元層と前記粘着層の間に積層されることによって、前記保護フィルムは、前記弾性体層の弾性力により、屈曲した車両のフロントガラスに熱成形工程なく、付着することができる、車両のフロントガラス用保護フィルム。
【請求項2】
前記弾性体層は、ポリウレタンアクリレートオリゴマー25~40重量部、アクリレートモノマー50~70重量部、及び光開始剤0.1~5重量部を含む、請求項1に記載の車両のフロントガラス用保護フィルム。
【請求項3】
前記自己復元層は、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤30~50重量部を含む、請求項1に記載の車両のフロントガラス用保護フィルム。
【請求項4】
前記粘着層は、アクリル共重合体100重量部、硬化剤0.1~5重量部、及び溶剤90~110重量部を含む、請求項1に記載の車両のフロントガラス用保護フィルム。
【請求項5】
前記弾性体層の厚さは、100~200μmであり、前記自己復元層の厚さは、20~40μmであり、前記粘着層の厚さは、5~15μmである、請求項1に記載の車両のフロントガラス用保護フィルム。
【請求項6】
更に、前記車両のフロントガラス用保護フィルムは、前記弾性体層と前記自己復元層の間、及び/又は前記弾性体層と前記粘着層の間に配置され、ウレタン樹脂及びイソシアネート硬化剤を含むプライマー層を含む、請求項1に記載の車両のフロントガラス用保護フィルム。
【請求項7】
前記プライマー層は、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤1~10重量部を含む、請求項に記載の車両のフロントガラス用保護フィルム。
【請求項8】
前記プライマー層は、更に、UV遮断剤及び/又はIR遮断剤を含む、請求項に記載の車両のフロントガラス用保護フィルム。
【請求項9】
前記粘着層、前記弾性体層、及び/又は前記自己復元層は、更に、UV遮断剤及び/又はIR遮断剤を含む、請求項1に記載の車両のフロントガラス用保護フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントガラスの曲面部に熱成形工程なく施工することにより、作業者の施工性を向上させ、耐衝撃性が向上して、効率よく車両のフロントガラスを保護することができる、車両のフロントガラス用保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントガラス用保護フィルムは、一般に、PET、PMMA、及びPCなどを含むプラスチックフィルムを基材層として含み、基材層の上面にはハードコーティングをし、基材層の下面には粘着コーティングをする方式で製造されている。特に、PETからなる基材層を含む保護フィルムは、透過率に優れているいるので、良好な視認性を確保することができ、耐衝撃性及び耐久性がプラスチックフィルムと比較して優れているので、車両のフロントガラスの保護フィルムとして多用されている。一方、プラスチックフィルム基材の車両のフロントガラス用保護フィルムに関する技術は、米国特許出願11/399303(米国特許出願公開第2007/0077420号明細書(先行文献1))において、PET層を基材層として含む保護フィルムを開示しており、特許第4266623号公報(先行文献2)において、ハードコート層を含む透明プラスチックフィルムを開示している。
【0003】
しかし、前記先行文献1及び先行文献2に開示された保護フィルムを車両のフロントガラスの曲面部に施工する場合、保護フィルムに熱風などの熱を加えて施工する熱成形工程が必要であり、これにより、保護フィルムを施工する時間が非常に長くかかるという問題点がある。また、前記先行文献2のようにプラスチックフィルム基材層の上面にハードコーティングをする場合、基材層及びコーティング層が硬いことから、衝撃吸収機能が落ちるという問題があり、特に、運転中に前面から飛んでくる石やその他の危険物質から衝撃を吸収することに限界があるため、車両のフロントガラスの破損を保護することに問題がある。
【0004】
一方、車両のフロントガラス用保護フィルムは、赤外線又は紫外線遮断機能を含むことにより、プロントガラスへの付着時、車両内部の温度上昇を防止し、運転手の皮膚を保護することができる。これに関する技術は、特許第5588588号公報(先行文献3)において、赤外線吸収剤を含むハードコートを有する車両窓ガラス用近赤外線遮蔽フィルムを開示している。
【0005】
但し、前記先行文献3で開示されたように、ハードコート層に赤外線吸収体が直接添加される場合、赤外線遮断機能を確保することができるが、季節変化による気候の影響と紫外線の影響により、フィルムの物性が容易に低下することがあり、これにより、前記保護フィルムの交替周期が短くて、メインテナンス費用が比較的高くなるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2007/0077420号明細書
【文献】特許第4266623号公報
【文献】特許第5588588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、車両のフロントガラスの曲面部に熱成形工程なく施工することにより、作業者の施工性を向上させ、耐衝撃性が向上して、効率よく車両のフロントガラスを保護することができる、車両のフロントガラス用保護フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記のような課題を解決するために、本発明の一実施例は、車両のフロントガラス用保護フィルムであって、アクリル共重合体、硬化剤、及び溶剤を含む粘着層と、前記粘着層上に配置され、ポリウレタンアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマー、及び光開始剤を含む弾性体層と、前記弾性体層上に配置され、ウレタン樹脂、及びイソシアネート硬化剤を含み、スクラッチを復元し、耐衝撃性を有する自己復元層とを含み、前記弾性体層は、前記自己復元層よりも大きい厚さを有し、PETフィルムよりも低い強度及び硬度を有し、前記弾性体層が、前記自己復元層と前記粘着層の間に積層されることによって、前記保護フィルムは、前記弾性体層の弾性力により、屈曲した車両のフロントガラスに熱成形工程なく、付着することができることを特徴とする。
【0009】
前記弾性体層は、ポリウレタンアクリレートオリゴマー25~40重量部、アクリレートモノマー50~70重量部、及び光開始剤0.1~5重量部を含む。
【0010】
前記自己復元層は、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤30~50重量部を含む。
【0011】
前記粘着層は、アクリル共重合体100重量部、硬化剤0.1~5重量部、及び溶剤90~110重量部を含む。
【0012】
前記弾性体層の厚さは、100~200μmであり、前記自己復元層の厚さは、20~40μmであり、前記粘着層の厚さは、5~15μmである。
【0013】
前記車両のフロントガラス用保護フィルムは、デュポン(Du pont)衝撃試験を基準に、2000mJ以上の耐衝撃性特性を有する。
【0014】
更に、前記車両のフロントガラス用保護フィルムは、前記弾性体層と前記自己復元層の間、及び/又は前記弾性体層と前記粘着層の間に配置され、ウレタン樹脂及びイソシアネート硬化剤を含むプライマー層を含む。
【0015】
前記プライマー層は、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤1~10重量部を含む。
【0016】
前記プライマー層は、更に、UV遮断剤及び/又はIR遮断剤を含む。
【0017】
前記粘着層、前記弾性体層、及び/又は前記自己復元層は、更に、UV遮断剤及び/又はIR遮断剤を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施例によると、車両のフロントガラス用保護フィルムの基材層が弾性素材からなることにより、車両のフロントガラス用保護フィルムの強度及び硬度が比較的低くなって、車両のフロントガラスの曲面部に熱成形工程なく施工が可能であるので、作業者の施工性を向上させる。
【0019】
本発明の一実施例によると、基材層である弾性体層の上に自己復元層が配置されることによって、車両のフロントガラス用保護フィルムの表面に発生するスクラッチを復元して、車両のフロントガラスの表面を保護することができる。
【0020】
本発明の一実施例によると、ウレタン系の弾性体層及びウレタン系の自己復元層により、弾性力のある車両のフロントガラス用保護フィルムを具現することで、車両のフロントガラス用保護フィルムの耐衝撃性が向上して、外部の衝撃から車両のフロントガラスを保護することができ、ワイパーによるスクラッチを復元して、プロントガラスの表面を維持することができる。
【0021】
本発明の一実施例によると、車両のフロントガラス用保護フィルムの粘着層により、弾性体層及び粘着層の間の付着性が向上して、弾性体層の表面に不要な表面処理工程を行わないため、フィルムのコストを下げることができ、フィルムの除去に際して、車両のフロントガラスへ粘着剤が移る転写現象を防止することができる。
【0022】
本発明の一実施例によると、プライマー層により、自己復元層、弾性体層、及び粘着層の間の付着性が向上して、車両のフロントガラス用保護フィルムの除去に際して、自己復元層、弾性体層、及び粘着層の1つ以上が剥離し残っている現象を防止することができる。
【0023】
本発明の一実施例によると、UV遮断剤及びIR遮断剤が、自己復元層、弾性体層、及び粘着層に直接添加されず、プライマー層に添加されることで、自己復元層、弾性体層、及び粘着層にUV遮断剤及びIR遮断剤を入れたときに発生する物性低下の現象を防止して、車両のフロントガラス用保護フィルムの耐久性を向上させることができる。
【0024】
本発明の一実施例によると、車両のフロントガラス用保護フィルムにUV遮断剤及びIR遮断剤の1つ以上が含まれることで、運転手の皮膚を保護して皮膚老化を防止し、車両内部での熱発生を低下させるティンティング用フィルムの役割を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルムの積層構造を概略的に示す図である。
図2】本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルムの積層構造を概略的に示す図である。
図3】本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルムの実施例及び比較例の耐衝撃性特性測定のための耐衝撃性テスト機の一例を概略的に示す図である。
図4】本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルムの実施例及び比較例の耐衝撃テスト結果を概略的に示す図である。
図5】本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルムの実施例及び比較例のスクラッチ特性測定のためのスクラッチテスト機を概略的に示す図である。
図6】本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルムの実施例及び比較例のスクラッチテスト結果を概略的に示す図である。
図7】本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルムの実施例の付着性テスト結果を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
多様な実施例及び/又は様態を図面を参照して開示する。下記の説明では、説明のために、1つ以上の様態の全般的な理解を助けるために、多数の具体的な詳細事項が開示される。しかし、このような様態は、具体的な詳細事項がなくても行えることも、本発明の技術分野における通常の知識を有する者にとって認識されるだろう。以後の記載及び添付の図面は、1つ以上の様態の特定の例示的な様態を詳細に記述する。しかし、このような様態は例示に過ぎず、多様な様態の原理での多様な方法の一部が利用可能であり、後述する説明は、このような様態及びそれらの均等物を全て含むようとする意図である。
【0027】
本明細書で使われる「実施例」、「例」、「様態」、「例示」などは、記述する任意の様態又は設計が、他の様態又は設計よりも良好であるか、利点があることと解析されないこともある。
【0028】
合わせて、用語「又は」は、排他的「又は」ではなく、内包的「又は」を意味することと意図される。すなわち、他に特定されないか、文脈上明確でない場合に、「Xは、A又はBを利用する」という自然な内包的置換の1つを意味することと意図される。すなわち、XがAを利用するか;XがBを利用するか;又は、XがA及びBをいずれも利用する場合、「Xは、A又はBを利用する」が、これらの場合のいずれにも適用される。また、本明細書で使われた「及び/又は」という用語は、列挙された関連アイテムのうち、1つ以上のアイテムの可能な全ての組み合わせを指し示し、含むことと理解されるべきである。
【0029】
また、「含む」及び/又は「含み」という用語は、該当特徴及び/又は構成要素が存在することを意味するが、1つ以上の他の特徴、構成要素及び/又はこれらのグループの存在又は追加を排除しないことと理解されるべきである。
【0030】
更に、本明細書で明白に他の内容を指示しない「限り」と、「前記」のような単数表現は、複数表現を含むということが理解されるだろう。一例として、「コンポネント表面(component surface)」は、1つあるいはそれ以上のコンポネント表面を含む。
【0031】
また、第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明することに使われるが、前記構成要素は、前記用語により限定されない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながら、第1の構成要素は、第2の構成要素として命名されることができ、同様に、第2の構成要素も、第1の構成要素として命名されることができる。及び/又はこれという用語は、複数の記載された項目の組み合わせ、又は複数の記載された項目のいずれかの項目を含む。
【0032】
また、本明細書で使った用語は、単に、特定の実施例を説明するために使われたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に他のことを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上で記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、パーツ、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとすることであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、パーツ又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。
【0033】
また、本発明の実施例において、別に定義しない限り、技術的や科学的な用語を含めて、ここで使われる全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって、一般的に理解されることと同一の意味を有している。一般的に使われる辞書に定義されているのものと同じ用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有することと解析されるべきであり、本発明の実施例で明白に定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味として解析されない。
【0034】
車両のフロントガラス用保護フィルム100の構造
図1は、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100の積層構造を概略的に示す図である。
【0035】
本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100は、アクリル共重合体、硬化剤、及び溶剤を含む粘着層130と、前記粘着層130の上に配置され、ポリウレタンアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマー、及び光開始剤を含む弾性体層110と、前記弾性体層110上に配置され、ウレタン樹脂、及びイソシアネート硬化剤を含み、スクラッチを復元し、耐衝撃性を有する自己復元層120とを含む。
【0036】
前記弾性体層110は、前記自己復元層120よりも大きい厚さを有し、PETフィルムよりも低い強度及び硬度を有し、前記弾性体層110が、前記自己復元層120と前記粘着層130の間に積層されることにより、前記保護フィルムは、前記弾性体層110の弾性力により、屈曲した車両のフロントガラスに、熱成形工程なく取り付けることができる。
【0037】
前記PETフィルムは、160MPa以上の引張強度、及び2~3Hの硬度を有するフィルムである。
【0038】
本発明の一実施例による前記弾性体層の厚さは、100~200μmであり、前記自己復元層の厚さは、20~40μmであり、前記粘着層の厚さは、5~15μmである。
【0039】
図1に示しているように、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、前記粘着層130と、前記粘着層130上に配置された前記弾性体層110と、前記弾性体層110上に配置された自己復元層120の構造である。
【0040】
前記弾性体層110は、本発明の一実施例において、ポリウレタンアクリレートオリゴマー、アクリレートモノマー、及び光開始剤を含む。望ましくは、本発明の一実施例による、前記弾性体層110は、ポリウレタンアクリレートオリゴマー25~40重量部、アクリレートモノマー50~70重量部、及び光開始剤0.1~5重量部を含む。
【0041】
前記弾性体層110の成分において、ポリウレタンアクリレートオリゴマーは、基材層の柔軟性を付与する成分であり、光開始剤は、基材層の硬い程度を付与する成分であって、本発明の1実施例において、前記弾性体層110が、ポリウレタンアクリレートオリゴマー25~40重量部、アクリレートモノマー50~70重量部、及び光開始剤0.1~5重量部の組成を含むことによって、車両のフロントガラスの曲面部に前記保護フィルムを付着することに適した最適の強度及び硬度を具現することができる。
【0042】
望ましくは、前記弾性体層110が、ポリウレタンアクリレートオリゴマー25~40重量部、アクリレートモノマー50~70重量部、及び光開始剤0.1~5重量部の組成を含むことによって、160MPa以上の引張強度及び2~3Hの硬度を有する一般のPETフィルムよりも低い強度及び硬度を有することができる。
【0043】
すなわち、前記弾性体層110は、前記組成を有するポリマーの組合わせからなることによって、車両のフロントガラスの曲面部に熱成形工程なく付着することに適した弾性を有することができ、車両のフロントガラスを保護するために向上した衝撃吸収性能を確保することができる。
【0044】
特に、前記弾性体層110は、ポリウレタンアクリレートオリゴマー及びアクリレートモノマーを含むことで、車両のフロントガラス用保護フィルムが必要とする耐衝撃性、強度、硬度、及び軟性などを具現し、且つ、熱成形なく付着することができる。本発明では、前記組成により、比較的低い強度及び硬度を有する前記弾性体層110を形成した。また、このような構成の弾性体層は、後述する自己復元層との接合を安定して行うことができる。
【0045】
また、前記弾性体層110は、本発明の一実施例において、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100の基材層の役割を果たす。前述したように、一般の車両のフロントガラス用保護フィルムは、PETなどを含むプラスチックフィルムを基材層として含む。この場合、基材層は、高い強度及び硬度を具現することができるが、このような前記基材層を含む保護フィルムを車両のフロントガラスの曲面部に取り付ける場合、熱成形工程は必須的であるので、保護フィルムを施工する時間が多くかかるという問題点がある。
【0046】
このような問題を解決するために、本発明では、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100が、前記弾性体層110を基材層として含み、前記弾性体層を補うために、後述する自己復元層120を含めることで、車両のフロントガラス用保護フィルムとして求められる特性を満たし、且つ、熱成形なく、屈曲したプロントガラスに取り付けることができる効果を奏する。
【0047】
前述したように、PETフィルムよりも低い強度及び硬度を有する前記弾性体層110を含む保護フィルムが具現される。低い強度及び硬度を有するということは、熱を加えない常温でも、比較的よく変形するということであり、低い強度及び硬度を有する保護フィルムを車両のフロントガラスの曲面部に取り付けるとき、熱成形工程が不要である。すなわち、前記弾性体層110を基材層として含む前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を、車両のフロントガラスの曲面部に取り付けるとき、熱成形工程が不要であるので、施工時間を短縮することができる。望ましくは、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100の基材層が弾性素材からなることによって、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100の強度及び硬度が低くなって、車両のフロントガラスの曲面部に熱成形工程なく施工することができるので、作業者の施工性を向上させることができる。
【0048】
一方、前記自己復元層120は、本発明の一実施例において、ウレタン樹脂、及びイソシアネート硬化剤を含む。望ましくは、本発明の一実施例による前記自己復元層120は、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤30~50重量部を含む。
【0049】
前記自己復元層120の成分において、ウレタン樹脂とイソシアネート硬化剤の混合物は、自ら復元される自体復元性を具現する成分であって、本発明の一実施例における前記自己復元層120が、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤30~50重量部の組成を含むことによって、車両のフロントガラスの表面で発生するスクラッチを自ら復元する自体復元能を具現することができる。
【0050】
すなわち、前記自己復元層120は、前記のような組成を有するポリマーの組み合わせからなり、車両のフロントガラスの表面を維持することに適した最適の自体復元能を有することができ、車両のフロントガラスを保護するために、向上した衝撃吸収性能を確保することができる。また、前記のような組成の自己復元層120は、前記弾性体層110の役割を補うことで、全体として、積層体が車両のフロントガラス用保護フィルムとして要求する特性を満たすことになる。
【0051】
また、前記自己復元層120は、本発明の一実施例において、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100の基材層である前記弾性体層110の上に配置されて、車両のフロントガラスの表面を維持することができる。前述したように、一般の車両のフロントガラス用保護フィルムは、PET層を基材層として含み、基材層の上面には、ハードコーティングを行う方式で製造されている。この場合、ハードコーティングにより、車両のフロントガラスの表面に発生するスクラッチを防止する機能が優れている。但し、ハードコーティングは、衝撃吸収能が非常に低いため、フィルムが保護しようとする車両のフロントガラスを保護することには、問題がある。
【0052】
このような問題を解決するために、本発明では、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100が、基材層である前記弾性体層110の上に、前記自己復元層120を配置することによって、車両のフロントガラスの表面に発生するスクラッチを自ら復元してその表面を維持することで、従来のハードコーティング層を安定して代替することができ、さらには、衝撃吸収能が非常に優れているので、車両のフロントガラスを効率よく保護することができる前記自己復元層120を含む保護フィルムを具現することができる。望ましくは、基材層である前記弾性体層110の上に、前記自己復元層120が配置されることによって、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100の表面に発生するスクラッチを復元して、車両のフロントガラスの表面を保護することができるという効果を奏する。
【0053】
前記のように、本発明の一実施例において、基材層として含まれた前記弾性体層110、及び前記弾性体層110の上に配設された前記自己復元層120は、互いに類似した材料を主成分として形成される。
【0054】
望ましくは、前記弾性体層は、ポリウレタンアクリレートオリゴマーを含み、前記自己復元層は、ウレタン樹脂を含むことで、付着性、耐衝撃性、及び成形性を大幅改善することができる。
【0055】
これによって、前記弾性体層110と前記自己復元層120の間の付着性が優れている。また、本発明の一実施例において、前記弾性体層110も、押し癖を一部復元することができるので、前記弾性体層110が、前記自己復元層120のスクラッチ自体復元能を補助することができる。望ましくは、ウレタン系の前記弾性体層110及びウレタン系の前記自己復元層120により、弾性力のある前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を具現することで、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100の耐衝撃性が向上して、外部の衝撃から、車両のフロントガラスを保護することができ、ワイパーによるスクラッチを復元して、プロントガラスの表面を維持することができる効果を発揮する。
【0056】
また、本発明の一実施例による前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、ウレタン系の弾性素材からなる前記弾性体層110及び前記自己復元層120を含むことによって、比較的低い強度及び硬度を有する。これによって、前記弾性体層110及び前記自己復元層120を含む前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、車両のフロントガラスの曲面部に取り付ける場合、熱成形工程が不要であるため、作業者の施工性を向上することができる。
【0057】
一方、前述したように、PET層を基材層として含む保護フィルムは、透過率が優れており、良好な視認性を確保することができる。これによって、PET層を基材層として含む保護フィルムは、熱成形工程が不要であるにもかかわらず、比較的多く使われている。
【0058】
これを解決するために、本発明の一実施例による前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、従来のPET層を、前記のような組成を有する前記弾性体層110に入れ替え、前記弾性体層110の上に前記のような組成を有する前記自己復元層120を形成して配置することで、優れた視認性を確保すると共に、熱成形工程なく、施工が可能である。
【0059】
視認性の確保のような特性において、本発明の一実施例による前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、運転手の安全のために、視認性を確保し、自体復元能及び衝撃吸収能を確保するために、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100をなす各層が所定の厚さを有することができる。
【0060】
本発明の一実施例による前記所定の厚さにおいて、前記弾性体層110の厚さは、100~200μmであり、前記自己復元層120の厚さは、20~40μmである。このような厚さの範囲では、車両のフロントガラスに、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を取り付ける場合、確保される視認性を具現すると共に、車両のフロントガラス用保護フィルム100の自体復元能及び衝撃吸収能を具現することができる。
【0061】
すなわち、本発明の一実施例による前記車両のフロントガラス用保護フィルム100が、所定の厚さを有する前記弾性体層110と、前記自己復元層120とを含むことによって、優れた視認性、自体復元能、及び衝撃吸収能を確保することができる。
【0062】
一方、前記粘着層130は、本発明の一実施例において、アクリル共重合体、硬化剤、及び溶剤を含む。望ましくは、本発明の一実施例による、前記粘着層130は、アクリル共重合体100重量部、硬化剤0.1~5重量部、及び溶剤90~110重量部を含む。一般には、基材層の表面に、コロナ処理、プライマー処理などの表面処理工程を行って、基材層と、前記基材層の上面及び下面に配置される各層間の付着性を向上させる方法を用いているが、弾性力のある材質が基材層として使われる場合、基材層の表面に表面処理工程が行えず、更なる工程が必要である。このような問題を解決するために、本発明では、別の表面処理工程がなくても、前記粘着層130と基材層である前記弾性体層110の間の高い接着力を具現できるように、前記粘着層130は、前述した組成を有する。
【0063】
前記粘着層130の成分において、アクリル共重合体は、前記粘着層130の粘着力を付与する成分であり、溶剤は、前記粘着層130を成す構成成分を等しく混合させるための成分であって、本発明の一実施例において、前記粘着層130が、アクリル共重合体100重量部、硬化剤0.1~5重量部、及び溶剤90~110重量部の組成を含むことによって、前記弾性体層110との付着性を向上させる。但し、前記粘着層130を成す成分は、その組成により発現される特性が可変的であり、前記特性は、粘度及び粘着力などを含むことができる。本発明では、前記組成により、前記弾性体層110との付着性を向上させる前記粘着層130を形成した。
【0064】
また、本発明の一実施例において、前記粘着層130と前記弾性体層110の間の付着性が向上されることによって、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100の除去に際して、車両のフロントガラスに粘着剤が移る転写現象を防止することができる。望ましくは、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100の前記粘着層130によって、前記弾性体層110及び前記粘着層130の間の付着性が向上して、前記弾性体層110の表面に不要な表面処理工程を行わないため、フィルムのコストを下げることができ、フィルムの除去時、車両のフロントガラスに粘着剤が移る転写現象を防止する効果を発揮する。
【0065】
また、前記粘着層130は、所定の厚さを有する。望ましくは、前記粘着層130は、5~15μmの厚さを有する。前記厚さは、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100が、前記組成を有する前記粘着層130を含むことによって、前記弾性体層110及び前記粘着層130の間の付着性が向上する特性を考えて最適に設定されている。すなわち、本発明の一実施例による前記車両のフロントガラス用保護フィルム100が、所定の厚さを有する前記粘着層130を含むことによって、前記弾性体層110及び前記粘着層130の間の付着性が向上して、フィルムの除去時、車両のフロントガラスに粘着剤が移る転写現象を防止する付着性を確保することができる。
【0066】
一方、図1示しているように、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、前記粘着層130の下に配置される異形フィルム200を更に含む。本発明の一実施例において、前記異形フィルム200は、前記粘着層130の下に配置されて、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を車両のフロントガラスに付着する前まで、前記粘着層130を保護することができる。また、前記異形フィルム200は、車両のフロントガラスに取り付けるとき、施工者により簡便に除去されなければならないため、小剥離力を有するのが望ましい。本発明の一実施例において、前記異形フィルム200は、剥離力が小さく、前記粘着層130に付着した状態で時間が経過しても、剥離力が大きくなり難い全ての異形フィルム200を含むことができる。
【0067】
図2は、本発明の一実施例によるプライマー層140を含む車両のフロントガラス用保護フィルムの実施例を概略的に示す図である。
【0068】
本発明の一実施例による、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、前記弾性体層110と前記自己復元層120の間、及び/又は前記弾性体層110と前記粘着層130の間に配置され、ウレタン樹脂及びイソシアネート硬化剤を含むプライマー層140を更に含む。
【0069】
前記プライマー層140は、本発明の一実施例において、ウレタン樹脂及びイソシアネート硬化剤を含む。望ましくは、本発明の一実施例による前記プライマー層140は、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤1~10重量部を含む。前記プライマー層140の構成成分において、ウレタン樹脂とイソシアネート硬化剤の混合物は、前記弾性体層110の構成成分と類似したウレタン系の成分により構成されて、ウレタン系の層との付着性を向上させる成分であって、本発明の一実施例において、前記プライマー層140が、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤1~10重量部の組成を含むことで、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を成す前記自己復元層120、前記弾性体層110、及び前記粘着層130間の付着性を向上させる最適の付着性能を確保することができる。
【0070】
すなわち、前記プライマー層140は、前記組成を含むことによって、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を成す各層間の付着性を向上することができる。但し、前記プライマー層140を成す成分は、その組成により発現される特性が可変的であり、前記特性は、耐衝撃性、強度、硬度、及び軟性などを含むことができる。本発明では、前記組成により、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を成す各層間の付着性を向上させる前記プライマー層140を設けている。
【0071】
また、前記プライマー層140は、本発明の一実施例において、前記弾性体層110と前記自己復元層120の間、及び/又は前記弾性体層110と前記粘着層130の間に配置される。図2示しているように、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、前記粘着層130と、前記粘着層130上に配置された前記弾性体層110と、前記弾性体層110上に配置された前記自己復元層120の構造をなし、各層と層の間に、1つ以上の前記プライマー層140を含むことができる。
【0072】
また、前記プライマー層140は、所定の厚さを有する。望ましくは、前記プライマー層140は、1μm以下の厚さを有する。前記厚さは、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100が前記プライマー層140を含むことによって、前記弾性体層110、前記自己復元層120、及び前記粘着層130との付着力を向上させる特性を考えて、最適に設定されている。
【0073】
すなわち、本発明の一実施例による前記車両のフロントガラス用保護フィルム100が、所定の厚さを有する前記プライマー層140を含むことによって、各層間に配置される前記プライマー層140による優れた付着力を確保することができる。
【0074】
図2(a)は、前記弾性体層110と前記粘着層130の間に、前記プライマー層140を含む前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を概略的に示す図である。前述したように、前記プライマー層140が、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を成す各層間の付着性を向上することができる。これによって、前記プライマー層140が、前記弾性体層110と前記粘着層130の間に配置されて、前記弾性体層110と前記粘着層130の間の付着性を向上させ、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100の除去に際して、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を成す1つ以上の層の一部又は全部が剥離し残っている転写現象を防止することができる。
【0075】
図2(b)は、前記弾性体層110と前記自己復元層120の間に、前記プライマー層140を含む前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を概略的に示す図である。前述したように、前記プライマー層140が、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を成す各層間の付着性を向上することができる。これによって、前記プライマー層140が、前記弾性体層110と前記自己復元層120の間に配置されて、前記弾性体層110と前記自己復元層120の間の付着性を向上させ、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100の除去に際して、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を成す1つ以上の層の一部又は全部が剥離し残っている転写現象を防止することができる。
【0076】
図2(c)は、前記弾性体層110と前記粘着層130の間、及び前記弾性体層110と前記自己復元層120の間に、前記プライマー層140を含む前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を概略的に示す図である。前述したように、前記プライマー層140が、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を成す各層間の付着性を向上することができる。これによって、前記プライマー層140が、前記弾性体層110と前記粘着層130の間、及び前記弾性体層110と前記自己復元層120の間に配置されて、前記弾性体層110と前記粘着層130の間の付着性、及び前記弾性体層110と前記自己復元層120の間の付着性を向上させて、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を除去するに際して、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を成す1つ以上の層の一部又は全部が剥離し残っている転写現象を防止することができる。望ましくは、前記プライマー層140により、前記自己復元層120、前記弾性体層110、及び前記粘着層130の間の付着性が向上して、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100の除去に際して、前記自己復元層120、前記弾性体層110、及び前記粘着層130のいずれか1つ以上が剥離し残っている現象を防止する効果を発揮することができる。
【0077】
本発明の一実施例による前記プライマー層140は、UV遮断剤及び/又はIR遮断剤を含む。
【0078】
本発明の一実施例による、前記粘着層130、前記弾性体層110、及び/又は前記自己復元層120は、UV遮断剤及び/又はIR遮断剤を更に含む。
【0079】
本発明の一実施例による前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、紫外線を遮断するための前記UV遮断剤及び/又は赤外線を遮断するための前記IR遮断剤を含む。一般に、車両のフロントガラス用保護フィルムは、車両のフロントガラスを保護すると共に、運転手の皮膚を保護し、車両内部の温度上昇を抑制するために、紫外線及び赤外線を遮断する役割を果たす。
【0080】
本発明の一実施例では、前記UV遮断剤及び/又は前記IR遮断剤が、前記プライマー層140に添加されている。望ましくは、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を成す前記プライマー層140は、前記UV遮断剤及び/又は前記IR遮断剤を更に含むことができる。より望ましくは、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を成す前記プライマー層140は、前記UV遮断剤1~10重量部、及び/又は前記IR遮断剤1~10重量部を更に含むことができる。例えば、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、前記IR遮断剤を含む前記プライマー層140を含むか、前記UV遮断剤を含む前記プライマー層140を含むか、前記IR遮断剤及び前記UV遮断剤を含む前記プライマー層140を含む。
【0081】
本発明の一実施例では、前記遮断剤及び/又は前記IR遮断剤が、前記粘着層130、前記弾性体層110、及び/又は前記自己復元層120に添加されている。望ましくは、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を成す前記粘着層130、前記弾性体層110、及び/又は前記自己復元層120は、前記UV遮断剤及び/又は前記IR遮断剤をさらに含む。より望ましくは、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を成す前記粘着層130、前記弾性体層110、及び/又は前記自己復元層120は、前記UV遮断剤1~10重量部及び/又は前記IR遮断剤1~10重量部を更に含む。
【0082】
但し、前記粘着層130、前記弾性体層110、及び前記自己復元層120に、前記UV遮断剤及び前記IR遮断剤が添加される場合、粘着力、透過率、弾性、及び自体復元性などを含む物性が低下する可能性がある。
【0083】
具体的には、前記粘着層130、前記弾性体層110、もしくは前記自己復元層120に、UV遮断剤もしくはIR遮断剤が追加される場合は、IR、UV遮断効果が時間が立つことによって弱くなるか、あるいは、自己復元層120、及び前記弾性体層110の耐久性、透過率などが低下するという問題がある。
【0084】
そこで、本発明の実施例において、より高い耐久性を要する場合は、前記IR遮断剤及び/又は前記UV遮断剤を、前記プライマー層140に添加するのが望ましい。
【0085】
これは、前記UV遮断剤及び/又は前記IR遮断剤が、前記自己復元層120、前記弾性体層110、及び前記接着層に直接添加されず、前記プライマー層140に添加されることにより、前記自己復元層120、前記弾性体層110、及び前記粘着層130に、前記UV遮断剤及び前記IR遮断剤を入れたときに発生する物性低下の現象を防止して、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100の耐久性を向上させることができるからである。これにより、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100に前記UV遮断剤及び前記IR遮断剤が含まれることで、運転手の皮膚を保護して皮膚老化を防止し、車両内部での熱発生を低下させるティンティングフィルムの役割を果たすことができる。
【0086】
前記のように、本発明の一実施例による前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、ウレタン系の前記弾性体層110と、ウレタン系の前記自己復元層120とを含み、これにより、熱成形工程なく、車両のフロントガラスの曲面部に、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100を比較的速い時間内に施工して、作業者の施工性を向上することができる。また、本発明の一実施例による前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、弾性を有しているため、耐衝撃性に優れており、外部衝撃から車両のフロントガラスを保護するだけでなく、ワイパーによるスクラッチを復元することができる。また、本発明の一実施例による前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、比較的に気候及び紫外線による物性変化が低いため、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100の耐久性に優れている。また、本発明の一実施例による前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、前記UV遮断剤及び前記IR遮断剤を含めて、紫外線及び赤外線を遮断することで、運転手の皮膚を保護して皮膚老化を防止し、車両内部での熱発生を低下させるティンティングフィルムの役割を果たす。また、本発明の一実施例による前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、デュポン衝撃試験を基準に、2000~3000mJの耐衝撃性特性を有することができる。
【0087】
以下では、本発明による実施例及び複数の比較例について説明する。また、複数の比較例と前記実施例との特性テストを行い、その結果を詳述することにする。
【0088】
実施例1
ポリウレタンアクリレートオリゴマー35重量部、アクリレートモノマー63重量部、及び光開始剤0.9重量部を含む弾性体層110を、150μmの厚さを有するように形成し、前記弾性体層110の上面に、1次コーティングとして、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤40重量部を含む自己復元層120を、25μmの厚さを有するように形成し、前記弾性体層110の下面に、2次コーティングとして、アクリル共重合体100重量部、硬化剤2重量部、及び溶剤115重量部を含む粘着層130を、7μmの厚さを有するように形成して、熱成形工程が不要である車両のフロントガラス用保護フィルム100を製造した。すなわち、実施例1の積層構造は、前述した前記の図1のような構造を有する。
【0089】
比較例1
基材層としてコロナ処理されたPETフィルムを、75μmの厚さを有するように形成し、前記基材層の上面に、1次コーティングとして、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤40重量部を含む自己復元層を、25μmの厚さを有するように形成し、前記弾性体層の下面に、2次コーティングとして、アクリル共重合体100重量部、硬化剤2重量部、及び溶剤115重量部を含む粘着層を、7μmの厚さを有するように形成した。
【0090】
比較例2
LINTEC社のウィンドシールド用保護フィルム製品として、75μmのPETフィルムを含む基材層と、前記基材層の上面に、15μmの厚さを有するようにハードコーティングし、前記基材層の下面に、10μmの厚さを有するようにアクリル粘着層とを形成したことと分析される製品である。
【0091】
比較例3
SANGBO社のウィンドシールド用保護フィルム製品として、75μmのPETフィルムを含む基材層と、前記基材層の上面に、3μmの厚さを有するようにハードコーティングし、前記基材層の下面に、20μmの厚さを有するようにアクリル粘着層とを形成したことと分析される製品である。
【0092】
保護フィルム特性の比較実験結果#1
表1は、本発明による実施例及び比較例1~3を、車両のフロントガラスの曲面部に付着することにかかる時間を測定した結果である。
【0093】
【表1】
【0094】
表1のように、本発明の実施例1を車両のフロントガラスの曲面部に付着することには、20分、比較例1の場合は80分、比較例2の場合は110分、比較例3の場合は120分がかかっている。
【0095】
すなわち、実施例1は、熱成形工程なく、車両のフロントガラスの曲面部に付着することができるので、非常に速い時間内に施工を終わることができる。一方、比較例1は、製品が柔らく、車両のフロントガラスの曲面部への付着時、少しの熱を加えて施工し、比較例2及び比較例3は、製品が硬く、車両のフロントガラスの曲面部への付着時、多くの熱を加えて施工したので、多くの時間がかかっている。これにより、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100を車両のフロントガラスの曲面部に取り付けるとき、施工性に優れていることを確認した。
【0096】
図3は、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100の実施例及び比較例の耐衝撃性特性測定のための耐衝撃性テスト機を概略的に示す図である。望ましくは、図3に示しているデュポン衝撃試験装備を用いて、車両のフロントガラス用保護フィルム100の耐衝撃特性を測定した。前記デュポン衝撃試験は、同じガラスに車両のフロントガラス用保護フィルム100を付着し、前記保護フィルム上に衝撃を加えた時、ガラスが破損する条件を確認して、位置エネルギー値の算出を通じて、ガラスが破損しない地点のエネルギーを測定した。前記位置エネルギーは、重りの重さ(g)、重力加速度(9.8m/sec)、及び高さ(m)の積からなり、測定された位置エネルギー値が大きいということは、さらに高い高さで衝撃を加えた時、ガラスが破損するという意味であり、衝撃吸収をさらによくするという意味である。
【0097】
表2は、図3におけるテスト機で測定した本発明による実施例、及び比較例1~3の耐衝撃テストを通じて測定された位置エネルギー値を示しており、図4は、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100の実施例及び比較例の耐衝撃テスト結果を概略的に示す図である。
【0098】
【表2】
【0099】
表2のように、実施例1の位置エネルギー値は、2450mJであり、比較例1の場合、1470mJであり、比較例2の場合は、490mJであり、比較例3の場合は、490mJである。これは、図4からも確認することができる。図4(a)は、実施例1の耐衝撃テスト後のフィルム表面を示しており、保護フィルムの表面から600mmの高さで衝撃を加えた時、ガラスが破損したことが確認できる。図4(b)は、比較例1の耐衝撃テスト後のフィルム表面を示しており、保護フィルムの表面から400mmの高さで衝撃を加えた時、ガラスが破損したことが確認できる。図4(c)は、比較例3の耐衝撃テスト後のフィルム表面を示しており、保護フィルムの表面から200mmの高さで衝撃を加えた時、ガラスが破損したことが確認できる。
【0100】
すなわち、本発明による実施例1が、最も高い位置エネルギー値を記録し、比較例1~3は、比較的低い位置エネルギー値を記録した。これにより、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100が、従来のPET記載フィルムよりも衝撃吸収能力がさらに優れていることを確認した。
【0101】
図5は、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100の実施例及び比較例のスクラッチ特性測定のためのスクラッチテスト機を概略的に示す図である。望ましくは、図5におけるラビングテスト装備を用いて、車両のフロントガラス用保護フィルム100のスクラッチ特性を測定した。前記ラビングテストは、車両のフロントガラス用保護フィルム100の表面を、スチールウール(#0000)で80rpmで500回往復し、前記表面に発生したスクラッチの有無などを確認することができる。
【0102】
表3は、図5におけるテスト機で測定した本発明による実施例、及び比較例1~3のスクラッチテストを通じて測定された結果を示し、図6は、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100の実施例及び比較例のスクラッチテスト結果を概略的に示す図である。
【0103】
【表3】
【0104】
表3のように、実施例1では、スクラッチが発生したが、自己復元層120により、全てのスクラッチが復元しており、比較例1は、スクラッチが発生したが、スクラッチの一部が復元して、時間が過ぎても消えないスクラッチが残っており、比較例2及び3は、ハードコーティングタイプの保護フィルムであるため、スクラッチが全く発生しなかった。これは、図6からも確認することができる。図6(a)は、実施例1のスクラッチテスト後のフィルム表面を示しており、スクラッチがないことが確認できる。図6(b)は、比較例1のスクラッチテスト後のフィルム表面を示しており、スクラッチが一部残っていることが確認できる。図6(c)は、比較例2のスクラッチテスト後のフィルム表面を示しており、図6(d)は、比較例3のスクラッチテスト後のフィルム表面を示しており、いずれも、スクラッチがないことが確認できる。
【0105】
これにより、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100は、ハードコーティングタイプの保護フィルムと同様に、表面を維持することができるということを確認した。
【0106】
表4は、本発明による実施例、及び比較例1~3の耐久性特性を測定した結果である。望ましくは、フィルムに同一の光量のUV光を照射して、色差計により黄色度指数を測定し、測定値の変化値でフィルムの耐久性を測定した。色差計において、b*値が減少するほど、青色に近く、b*値が増加するほど、黄色に近く、すなわち、b*値の変化値が大きいほど、UV光を照射した後に黄変が発生したという意味である。フィルムに黄変が発生したということは、フィルム内の分子構造の破壊により物性が低下して、耐久性が落ちるという意味である。
【0107】
【表4】
【0108】
表4のように、実施例1のb*値の変化値は、0.93であり、比較例1のb*値の変化値は、0.97であり、比較例2のb*値の変化値は、1.60であり、比較例3のb*値の変化値は、1.49である。すなわち、実施例1及び比較例1は、比較的低いb*値の変化値を有しており、比較例2及び比較例3は、比較的高いb*値の変化値を有している。
【0109】
これにより、ハードコーティングされた車両のフロントガラス用保護フィルム100は、紫外線で持続的に露出される場合、フィルムの耐久性が急激に減少することが分かる。また、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100の耐久性が比較的に優れていることを確認した。
【0110】
表5は、本発明による実施例及び比較例1~3のUV遮断率及びIR遮断率を比べた結果である。望ましくは、光透過率測定器を用いて、UV遮断率及びIR遮断率を測定した。
【0111】
【表5】
【0112】
表5のように、実施例1のUV遮断率及びIR遮断率はそれぞれ、22.1及び18.4%であり、比較例1のUV遮断率及びIR遮断率はそれぞれ、22.7及び18.1%であり、比較例2のUV遮断率及びIR遮断率はそれぞれ、20.4及び17.8%であり、比較例3のUV遮断率及びIR遮断率はそれぞれ、19.9及び18.0%である。
【0113】
これにより、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100のUV遮断率及びIR遮断率は、従来のPET記載フィルムと類似又は比較的高いことを確認した。
【0114】
以下では、本発明による前記実施例1と、プライマー層140を含む実施例2~4について説明することにする。また、前記実施例1~4において、特性テストを行い、その結果を説明する。
【0115】
実施例2
ポリウレタンアクリレートオリゴマー35重量部、アクリレートモノマー63重量部、及び光開始剤0.9重量部を含む弾性体層110を、150μmの厚さを有するように形成し、前記弾性体層110の上面に、1次コーティングとして、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤40重量部を含む自己復元層120を、25μmの厚さを有するように形成し、前記弾性体層110の下面に、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤8重量部を含むプライマー層140を、1μmの厚さを有するように形成し、前記プライマー層140の下面に、アクリル共重合体100重量部、硬化剤2重量部、及び溶剤115重量部を含む粘着層130を、7μmの厚さを有するように形成し、熱成形工程が不要である車両のフロントガラス用保護フィルム100を製造した。すなわち、実施例1の車両のフロントガラス用保護フィルム100の構造及び成分を基準に、前記プライマー層140を、前記弾性体層110と前記粘着層130の間に配置して製造し、前述した図2(a)のような構造を有することができる。
【0116】
実施例3
ポリウレタンアクリレートオリゴマー35重量部、アクリレートモノマー63重量部、及び光開始剤0.9重量部を含む弾性体層110を、150μmの厚さを有するように形成し、前記弾性体層110の上面に、1次コーティングとして、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤40重量部を含む自己復元層120を、25μmの厚さを有するように形成し、前記弾性体層110の下面に、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤8重量部を含み、UV遮断剤5重量部及びIR遮断剤7重量部を含むプライマー層140を、1μmの厚さを有するように形成し、前記プライマー層140の下面に、アクリル共重合体100重量部、硬化剤2重量部、及び溶剤115重量部を含む粘着層130を、7μmの厚さを有するように形成して、熱成形工程が不要である車両のフロントガラス用保護フィルム100を製造した。すなわち、実施例1の車両のフロントガラス用保護フィルム100の構造及び成分を基準に、前記UV遮断剤及び前記IR遮断剤を含む前記プライマー層140を、前記弾性体層110と前記粘着層130の間に配置して製造し、前述した図2(a)のような構造を有することができる。
【0117】
実施例4
ポリウレタンアクリレートオリゴマー35重量部、アクリレートモノマー63重量部、及び光開始剤0.9重量部を含む弾性体層110を、150μmの厚さを有するように形成し、前記弾性体層110の上面に、1次コーティングとして、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤40重量部を含み、IR遮断剤7重量部を含む自己復元層120を、25μmの厚さを有するように形成し、前記弾性体層110の下面に、ウレタン樹脂100重量部、及びイソシアネート硬化剤8重量部を含むプライマー層140を、1μmの厚さを有するように形成し、前記プライマー層140の下面に、2次コーティングとして、アクリル共重合体100重量部、硬化剤2重量部、及び溶剤115重量部を含み、UV遮断剤5重量部を含む粘着層130を、7μmの厚さを有するように形成して、熱成形工程が不要である車両のフロントガラス用保護フィルム100を製造した。すなわち、実施例2の車両のフロントガラス用保護フィルム100の構造及び成分を基準に、前記IR遮断剤を前記自己復元層120に添加し、前記UV遮断剤を前記粘着層130に添加して製造して、前述した図2(a)のような構造を有することができる。
【0118】
保護フィルム特性比較実験結果#2
表6は、本発明による実施例1~4を、車両のフロントガラスの曲面部に付着することに要する時間を測定した結果である。
【0119】
【表6】
【0120】
前述したように、本発明の実施例1を車両のフロントガラスの曲面部に付着することには、20分がかかる。表6のように、実施例1にプライマー層140が追加されるか、UV遮断剤及びIR遮断剤が添加された実施例2~4も、車両のフロントガラスの曲面部に付着することと同様に、20分がかかる。
【0121】
これにより、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100が実施例1と異なり、プライマー層140を含み、UV遮断剤及びIR遮断剤を含んでも、従来と物性が変わらないことを確認しており、実施例2~4も、車両のフロントガラスの曲面部に付着するとき、施工性に優れていることを確認した。
【0122】
表7は、図3におけるデュポン衝撃試験装備を用いて、本発明による実施例1~4の耐衝撃特性を測定した結果である。前述したように、前記デュポン衝撃試験は、同一のガラスに車両のフロントガラス用保護フィルム100を付着し、前記保護フィルム上に衝撃を加えた時、ガラスが破損する条件を確認し、位置エネルギー公式を通じて、ガラスが破損しない地点のエネルギーを測定した。
【0123】
【表7】
【0124】
前述したように、本発明の実施例1の位置エネルギー値は、2450mJである。表7のように、実施例1にプライマー層140が追加されるか、UV遮断剤及びIR遮断剤が添加された実施例2~4も、同一の位置エネルギー値を記録した。
【0125】
これにより、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100が実施例1と異なり、プライマー層140を含み、UV遮断剤及びIR遮断剤を含んでも、従来と物性が変わらないことを確認し、実施例2~4も、従来のPET記載フィルムよりも衝撃吸収能力が優れていることを確認した。
【0126】
表8は、図5におけるラビングテスト装備を用いて、車両のフロントガラス用保護フィルム100のスクラッチ特性を測定した結果である。前述したように、前記ラビングテストは、車両のフロントガラス用保護フィルム100の表面を、スチールウール(#0000)で80rpmで500回往復し、前記表面に発生したスクラッチの有無などを確認することができる。
【0127】
【表8】
【0128】
前述したように、本発明の実施例1では、スクラッチが発生しているが、自己復元層120により、全てのスクラッチが復元している。表8のように、実施例1にプライマー層140が追加されるか、UV遮断剤及びIR遮断剤が添加された実施例2~4も同一の結果として、スクラッチが発生したが、自己復元層120により、全てのスクラッチが復元している。
【0129】
これにより、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100が、実施例1と異なり、プライマー層140を含み、UV遮断剤及びIR遮断剤を含んでも、従来と物性が変わらないことを確認しており、実施例2~4も、ハードコーティングタイプの保護フィルムと同様に、表面を維持することができる性能を確認した。
【0130】
すなわち、前記のように、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100にプライマー層140を含み、UV遮断剤及びIR遮断剤を含んでも、弾性体層110、自己復元層120、及び粘着層130からなる車両のフロントガラス用保護フィルム100に比べて、物性が変わらないことを確認した。
【0131】
表9は、本発明による実施例1~4の耐久性特性を測定した結果である。前述したように、フィルムに同一光量のUV光を照射して、色差計によりYellowing indexを測定し、測定値b*の変化値でフィルムの耐久性を測定した。
【0132】
【表9】
【0133】
前述したように、実施例1のb*値の変化値は、0.93である。表9のように、実施例2のb*値の変化値は、0.99であり、実施例3のb*値の変化値は、0.87であり、実施例4のb*値の変化値は、0.85である。すなわち、実施例1と比較して、実施例2は、比較的高いb*値の変化値を有しているが、前述した比較例と同等又はその以下の水準であり、実施例1と比較して、実施例3及び4は、比較的低いb*値の変化値を有している。
【0134】
これにより、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100に、UV遮断剤及びIR遮断剤が添加されて、持続的に露出される紫外線によるフィルムの耐久性低下の現象を緩和することが確認できる。
【0135】
表10は、本発明による実施例1~4のUV遮断率及びIR遮断率を比較した結果である。前述したように、光透過率測定器を用いて、UV遮断率及びIR遮断率を測定した。
【0136】
【表10】
【0137】
前述したように、本発明の実施例1のUV遮断率及びIR遮断率はそれぞれ、22.1及び18.4%である。表10のように、実施例2のUV遮断率及びIR遮断率はそれぞれ、21.7及び18.6%であり、実施例3のUV遮断率及びIR遮断率はそれぞれ、99.9及び81.1%であり、実施例4のUV遮断率及びIR遮断率はそれぞれ、99.9及び79.8%である。
【0138】
これにより、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100が、プライマー層140を含み、前記プライマー層140に、UV遮断剤及びIR遮断剤を添加するか、自己復元層120及び粘着層130に、UV遮断剤及びIR遮断剤を添加する場合、UV遮断率及びIR遮断率が遥かに向上することを確認した。但し、この実験結果は、1つの実施例であって、前述したように、本発明の車両のフロントガラス用保護フィルム100を成す前記粘着層130、前記弾性体層110、前記自己復元層120、及び/又は前記プライマー層140は、UV遮断剤及び/又はIR遮断剤を更に含むことができ、UV遮断剤及び/又はIR遮断剤を含む1つ以上の層からなる前記車両のフロントガラス用保護フィルム100は、人体に有害な紫外線を99.9%遮断し、赤外線を約80%水準に遮断することができる。
【0139】
表11は、本発明による実施例1~4の付着性テスト結果を示し、図7は、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100の実施例の付着性テスト結果を概略的に示す図である。望ましくは、同一のガラス板に実施例1~4を付着し、60℃の温度で24時間間放置した後、これを剥離したとき、粘着剤がガラス板に残っている程度を確認して、付着性をテストした。図7(a)の丸みで表示した部分が、粘着剤の転写が行われた箇所である。
【0140】
【表11】
【0141】
表11のように、実施例1を剥離してからガラス表面を確認したとき、少量の粘着剤が転写して残っており、実施例2~4を剥離してからガラス表面を確認した後は、いずれも、ガラス板に粘着剤が転写していなかった。これは、図7からも確認することができる。図7(a)は、実施例1の付着性テスト後のガラス表面を示しており、少量の粘着剤がガラスに転写して残っていることが確認できる。図7(b)は、実施例2の付着性テスト後のガラス表面を示しており、ガラス板に粘着剤が転写していないことが確認できる。図7(c)は、実施例3の付着性テスト後のガラス表面を示しており、ガラス板に粘着剤が転写していないことが確認できる。図7(d)は、実施例4の付着性テスト後のガラス表面を示しており、ガラス板に粘着剤が転写していないことを確認できる。
【0142】
これにより、本発明の一実施例による車両のフロントガラス用保護フィルム100がプライマー層140を含む場合、付着性に優れていることを確認した。また、実施例3及び4により、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100が前記プライマー層140を含む場合と比較するとき、本発明の一実施例による前記プライマー層140がUV遮断剤及びIR遮断剤を含むか、前記弾性体層110、前記自己復元層120、及び/又は前記粘着層130にUV遮断剤及び/又はIR遮断剤が含まれる場合にも、前記車両のフロントガラス用保護フィルム100の付着性に変化がないことを確認した。
【0143】
以上で提示した実施例に関する説明は、任意の本発明の技術分野における通常の知識を有する者が、本発明を利用又は実施できるように提供される。このような実施例に対する多様な変形は、本発明の技術分野における通常の知識を有する者にとって明白であり、ここで定義された一般の原理は、本発明の範囲を逸脱することがなく、他の実施例に適用可能である。そして、本発明は、ここに提示された実施例に限定されるものではなく、ここに提示された原理及び新規の特徴と同等な最広の範囲で解析されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7