(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】熱可塑性材料で作られた容器用の無菌状態のボトリング装置
(51)【国際特許分類】
B29C 49/42 20060101AFI20220707BHJP
B29C 49/12 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
B29C49/42
B29C49/12
(21)【出願番号】P 2020506946
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 IB2018060370
(87)【国際公開番号】W WO2019145775
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-04-07
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】102018000002781
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515221749
【氏名又は名称】ゲア プロコマック エセ.ピ.ア.
【氏名又は名称原語表記】GEA PROCOMAC S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Fedolfi,29,I-43038 Sala Baganza(Parma),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】アベッリ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】カッレガリ,ファビオ
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-061701(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0241265(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/12,49/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性材料で作られた容器(100)用の無菌状態のボトリング装置(200)であって、
外部環境(4)から隔離された汚染制御環境(3)に部分的に位置する少なくとも1つの可動手段(5;223;225)と、
前記少なくとも1つの可動手段(5;223;225)を作動させるための作動デバイス(6)とを備え、
前記作動デバイス(6)はリニアモータを含み、前記リニアモータは、
シリンダ状のステータ(7)と、
前記シリンダ状のステータ(7)内で直線的に摺動するロータまたは磁気シャフト(8)であって、前記シリンダ状のステータ(7)と当該ロータ
または磁気シャフト(8)との間に分離容積(30)が得られるように前記ステータ(7)から間隔を空けて配置され、当該ロータ
または磁気シャフト(8)が前記可動手段(5;223;225)に一体的に接続された、ロータまたは磁気シャフト(8)と、
前記ロータ
または磁気シャフト(8)が摺動可能に取り付けられた、前記ロータ
または磁気シャフト(8)用の第1の支持体(107)および第2の支持体(207)であって、前記シリンダ状のステータ(7)の両端に位置し且つそれに一体的に接続されており、前記支持体(107、207)のそれぞれにおいて、少なくとも1つの通路(707、807;107a、207a)が得られ、殺菌流体が前記分離容積(30)を通って流れることを可能にする、第1の支持体(107)および第2の支持体(207)とを備える、ボトリング装置(200)。
【請求項2】
各支持体(107、207)に得られる前記通路が、対応する支持体(107、207)の表面に得られる少なくとも1つの溝(707、807)にある、請求項1に記載のボトリング装置(200)。
【請求項3】
前記第1の支持体(107)および前記第2の支持体(207)が中空シリンダ形状を有する、請求項2に記載のボトリング装置(200)。
【請求項4】
各支持体(107、207)の前記溝(707、807)が、対応する支持体(107、207)の内側面に得られる、請求項3に記載のボトリング装置(200)。
【請求項5】
各支持体(107、207)の前記溝(707、807)は、螺旋状または長手方向の展開を有する、請求項2から4のいずれか1項に記載のボトリング装置(200)。
【請求項6】
各支持体(107、207)に得られる前記通路は、対応する支持体(107、207)を横断する貫通チャネル(107a、207a)である、請求項1に記載のボトリング装置(200)。
【請求項7】
前記第1の支持体(107)および前記第2の支持体(207)が中空シリンダ形状を有する、請求項6に記載のボトリング装置(200)。
【請求項8】
前記支持体(107、207)のそれぞれが、内側中空シリンダ(71、72)および外側中空シリンダ(73、74)のアセンブリまたは組み合わせによって得られ、前記外側中空シリンダ(73、74)は、対応する内側中空シリンダ(71、72)と同軸であり、前記ロータ
または磁気シャフト(8)は、前記内側中空シリンダ(71、72)内に摺動可能に取り付けられている、請求項6または7に記載のボトリング装置(200)。
【請求項9】
各支持体(107、207)の前記貫通チャネル(107a、207a)が、対応する内側中空シリンダ(71、72)に得られる、請求項8に記載のボトリング装置(200)。
【請求項10】
各支持体(107、207)の前記貫通チャネル(107a、207a)がシリンダ状の展開を有し且つ対応する内側中空シリンダ(71、72)と同軸である、請求項9に記載のボトリング装置(200)。
【請求項11】
各支持体(107、207)の前記貫通チャネル(107a、207a)が、対応する内側中空シリンダ(71、72)を部分的に横断し且つ対応する外側中空シリンダ(73、74)を部分的に横断する、請求項8に記載のボトリング装置(200)。
【請求項12】
前記第1の支持体(107)に得られる前記貫通チャネル(107a)は、対応する内側中空シリンダ(71)のみを横断し、前記第2の支持体(207)に得られる前記貫通チャネル(207a)は、対応する内側中空シリンダ(72)を部分的に横断し且つ対応する外側中空シリンダ(74)を部分的に横断する、請求項8に記載のボトリング装置(200)。
【請求項13】
前記第1の支持体(107)に得られた貫通チャネル(107a)が、対応する内側中空シリンダ(71)を部分的に横断し且つ対応する外側中空シリンダ(73)を部分的に横断し、前記第2の支持体(207)に得られた貫通チャネル(207a)は、対応する内側中空シリンダ(72)のみを横断する、請求項8に記載のボトリング装置(200)。
【請求項14】
前記第1の支持体(107)に得られる前記通路は、前記第1の支持体(107)の表面に得られる少なくとも1つの溝(707)にあり、前記第2の支持体(207)に得られる前記通路は、前記第2の支持体(207)を横断する貫通チャネル(207a)である、請求項1に記載のボトリング装置(200)。
【請求項15】
前記支持体(107、207)のそれぞれにおいて、複数の通路が得られる、請求項1から14のいずれか1項に記載のボトリング装置(200)。
【請求項16】
前記可動手段が延伸ロッド(5)である、請求項1から15のいずれか1項に記載のボトリング装置(200)。
【請求項17】
前記可動手段がブローノズル(224)である、請求項1から15のいずれか1項に記載のボトリング装置(200)。
【請求項18】
前記可動手段は、前記ボトリング装置(200)の成形型(222)の開閉を駆動する駆動手段である、請求項1から15のいずれか1項に記載のボトリング装置(200)。
【請求項19】
前記可動手段は、前記ボトリング装置(200)の底部(223)の上昇および下降を駆動する駆動手段である、請求項1から15のいずれか1項に記載のボトリング装置(200)。
【請求項20】
前記可動手段は、廃棄される容器(100)を押し出す押し出し要素(225)である、請求項1から15のいずれか1項に記載のボトリング装置(200)。
【請求項21】
前記可動手段は、容器(100)のうちの1つの首部(100a)に動作可能に作動するグリッパである、請求項1から15のいずれか1項に記載のボトリング装置(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性材料で作られた容器用の無菌状態のボトリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、無菌状態のボトリング装置は、熱可塑性材料で作られたパリソンから容器を形成するためのユニットを含む。
【0003】
例えば、成形ユニットは、それぞれに成形型が存在する複数のワークステーションを備えた延伸ブローカルーセルを備える。設計のバリエーションは別として、各型は、容器の側面形状を再現する2つの半型と、得られる容器のベース形状を再現する底部とを含む。
【0004】
事前に加熱されたパリソンは型に導入され、口が閉鎖部材-「シール」またはブローノズル-によって密閉され、閉鎖部材を通ってパリソン自体の内部に圧縮空気が吹き込まれる。
【0005】
成形プロセスの最初のステップでは、シールは中圧(最大15bar)でパリソンに空気を送り、同時に、延伸ロッドが、それが底部に達するまで、パリソンに徐々に導入される。底部に達した後、延伸ロッドは、得られる容器の所望の長さに実質的に達するまで、パリソンを伸ばすために、その線形ストロークを続ける。
【0006】
続いて、シールは、半型のおよび底部の内壁に付着するまでパリソンを膨張させるために、高圧(約40bar)で空気を吹き込む。同時に、延伸ロッドは、容器から出るまで後退する。
【0007】
成形の最後に、容器は充填ユニットに、続いて閉鎖および/またはキャッピングユニットに移動する。
【0008】
本発明の参照分野は、いわゆる「センシティブな」食品、すなわち、例えばアイソトニック飲料、ジュース、ネクター、ソフトドリンク、茶、牛乳ベースの飲料、コーヒーベースの飲料など、細菌汚染および酸化に特にセンシティブな製品のボトリングであり、全てのパッケージング段階を通して微生物汚染の可能性の防止が根本的に重要である。
【0009】
出願人は、汚染制御環境を画定する微生物アイソレータ内でパリソンおよび/または容器の輸送並びに種々の処理ステップ(例えば、成形、充填、閉鎖)が行われる、容器をボトリングするための方法を開発した。アイソレータ内にある可動手段(mobile organs)を作動させるためのすべての手段は、アイソレータ自体の外側に配置される(欧州特許EP2279850を参照)。
【0010】
予備滅菌ステップには、容器またはパリソンと接触する全てのデバイスが関わり、明らかな構造の複雑さおよび時間の無駄が伴う。
【0011】
例えば、延伸ロッドを考える。
【0012】
ブローノズルはパリソン内の汚染物質の通過チャネルを構成するので、出願人は微生物分離デバイスに組み込まれる延伸ブローデバイスを設計する必要があった。
【0013】
欧州特許EP2340157によって保護されているこのようなデバイスでは、延伸ロッドは、(汚染された)外部環境に対して密閉されたチャンバを画定するケーシングによって区切られており且つ外部から移動可能である。
【0014】
特に、ロッドの移動は、2つの磁気ユニットのカップリングのおかげで得られる。第1の磁気ユニットはケーシングの外部にあり且つ例えば空気圧シリンダまたは電動モータを介して作動可能であり、第2の磁気ユニットは延伸ロッドに一体的に接続される。
【0015】
ただし、ここで説明した解決策には、主に構造の複雑さに関連する問題がないわけではなく、これはメンテナンス作業を面倒で且つ長いものにする。
【0016】
さらに、過度の体積を防ぐために、第1の磁気ユニットは延伸ロッドに平行に配置される。これには、関係する力によって生成されるモーメントの注意深い管理、すなわち様々な軸の正しいアライメントが必要である。
【発明の概要】
【0017】
これに関連して、本発明の基礎となる技術的課題は、上述の先行技術の欠点を除去する、熱可塑性材料で作られた容器用の無菌状態のボトリング装置を提供することである。
【0018】
特に、本発明の目的は、隔離された環境に位置する可動手段を正確且つ迅速に移動させることができる、熱可塑性材料で作られた容器用の無菌状態のボトリング装置を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、先行技術の解決策に比べて構造的に単純で且つよりコンパクトである、熱可塑性材料で作られた容器用の無菌状態のボトリング装置を提案することである。
【0020】
定義された技術的課題と特定された目的は、熱可塑性材料で作られた容器用の無菌状態のボトリング装置によって実質的に達成される。当該ボトリング装置は、
外部環境から隔離された汚染制御環境に部分的に位置する少なくとも1つの可動手段と、
可動手段を作動させるための作動デバイスとを備え、
作動デバイスはリニアモータを含み、当該リニアモータは、
シリンダ状のステータと、
シリンダ状のステータ内で直線的に摺動するロータまたは磁気シャフトであって、シリンダ状のステータとロータとの間に分離容積が得られるようにシリンダ状のステータに対して間隔を空けて配置され、ロータが可動手段に一体的に接続された、ロータまたは磁気シャフトと、
ロータが摺動可能に取り付けられた、ロータ用の第1の支持体および第2の支持体であって、シリンダ状のステータの両端に配置され且つ当該ステータに一体的に接続されており、各支持体において殺菌流体が分離容積を通って流れるよう少なくとも1つの通路が得られる、第1の支持体および第2の支持体と、を備える。
【0021】
一実施形態によれば、各支持体に得られる通路は、対応する支持体の表面に得られる少なくとも1つの溝にある。
【0022】
好ましくは、第1の支持体および第2の支持体は中空シリンダ形状を有する。
【0023】
好ましくは、各支持体の溝は、対応する支持体の内側面に得られる。
【0024】
好ましくは、各支持体の溝は、螺旋状または長手方向の展開を有する。
【0025】
別の実施形態によれば、各支持体に得られる通路は、対応する支持体を横断する貫通チャネルである。
【0026】
好ましくは、第1の支持体および第2の支持体は中空シリンダ形状を有する。
【0027】
例えば、各支持体は、内側中空シリンダと対応する内側中空シリンダと同軸である外側中空シリンダとのアセンブリまたは組み合わせによって得られ、ロータは内側中空シリンダ内に摺動可能に取り付けられている。
【0028】
好ましくは、各支持体の貫通チャネルは、対応する内側中空シリンダに得られる。
【0029】
特に、各支持体の貫通チャネルは、シリンダ状に展開しており且つ対応する内側中空シリンダと同軸である。
【0030】
あるいは、各支持体の貫通チャネルは、対応する内側中空シリンダを部分的に横断し且つ対応する外側中空シリンダを部分的に横断する。
【0031】
あるいは、第1の支持体に得られる貫通チャネルは、対応する内側中空シリンダのみを横断し、第2の支持体に得られる貫通チャネルは、対応する内側中空シリンダを部分的に横断し且つ対応する外側中空シリンダを部分的に横断する。
【0032】
あるいは、第1の支持体に得られる貫通チャネルは、対応する内側中空シリンダを部分的に横断し且つ対応する外側中空シリンダを部分的に横断し、第2の支持体に得られる貫通チャネルは、対応する内側中空シリンダのみを横断する。
【0033】
別の実施形態によれば、第1の支持体に得られる通路は、第1の支持体の表面に得られる少なくとも1つの溝にあり、第2の支持体に得られる通路は、第2の支持体を横断する貫通チャネルである。
【0034】
別の実施形態によれば、各支持体に複数の通路が得られる。
【0035】
可動手段は、
延伸ロッド、
ブローノズル、
ボトリング装置の成形型の開閉を駆動する駆動手段、
ボトリング装置の底部の上昇および下降を駆動する駆動手段、
廃棄すべき容器を排出する押し出し要素、および
複数の容器のうちの1つの首部に動作可能に作動するグリッパの中から選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面に示すように、熱可塑性材料で作られた容器用の無菌状態のボトリング装置の好ましいが排他的ではない実施形態の非限定的な説明からより完全に明らかになるであろう。
【
図1】本発明による、熱可塑性材料で作られた容器用の無菌状態のボトリング装置の平面図である。
【
図2a-2c】異なる動作ステップにおける、
図1のボトリング装置の成形ステーションの1つで動作する無菌状態の延伸ブローデバイスを側断面図で示す。
【
図3】第1の実施形態による、
図2a-
図2cの延伸ブローデバイスの延伸ロッドを移動させるために使用できるリニアモータを側断面図で示す。
【
図4】延伸ブローデバイスのリニアモータの第2の実施形態を側断面図で示す。
【
図5】延伸ブローデバイスのリニアモータの第3の実施形態を側断面図で示す。
【
図6】延伸ブローデバイスのリニアモータの第4の実施形態を側断面図で示す。
【
図7a-7b】
図1のボトリング装置の成形ステーションの底部を移動させる2つの異なるステップを側断面図で示す。
【
図8a-8b】
図7a-7bに示される実施形態の変形例を示す。
【
図9a-9b】
図1のボトリング装置のエジェクタを移動させる2つの異なるステップを側断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図を参照すると、番号200は、熱可塑性材料で作られた容器100用の無菌状態のボトリング装置を示す。
【0038】
この文脈において、容器100という用語は、成形された容器と熱可塑性材料で作られたパリソンとの両方を指す。
【0039】
ボトリング装置200は、例えば、
複数の成形ステーション221を有する延伸ブロー用の成形ユニット220であって、複数の成形ステーション221の各々に成形型222、底部223、およびブローノズル224を備えることができる、成形ユニット220と、
成形された容器100を充填するための充填ユニット240であって、それぞれに充填ノズルが配置された複数の充填ステーションを有する充填ユニット240と、
充填された容器100を閉鎖するための閉鎖ユニット250であって、それぞれに閉鎖またはキャッピングヘッドが配置された複数の閉鎖またはキャッピングステーションを有する閉鎖ユニット250と、を備える。
【0040】
ボトリング装置200は、汚染制御環境3に部分的に位置する少なくとも1つの可動手段と、可動手段を作動させるための作動デバイス6とを備える。
【0041】
可動手段は、
図2aから6に示されるように、延伸ロッド5であってもよい。
【0042】
可動手段は、複数の成形ステーション221のうちの1つのブローノズル224であってもよい。
【0043】
可動手段は、複数の成形型222のうちの1つの開閉を駆動する駆動手段であってもよい。
【0044】
可動手段は、
図7a-7bまたは8a-8bに示されるように、複数の底部223のうちの1つの上昇および下降を駆動する駆動手段であってもよい。
【0045】
可動手段は、
図9a-
図9bに示されるように、ボトリング装置200から廃棄される容器100を排出する押し出し要素またはエジェクタ225であってもよい。
【0046】
可動手段は、複数の容器100のうちの1つの首部100aに動作可能に作動するグリッパであってもよい。
【0047】
汚染制御環境3は隔離されている、すなわち、隔離デバイスによって、外部(汚染)環境4に対して物理的に分離されている。そのような隔離デバイスは本発明の主題ではないので、これ以上説明も図示もされない。例として、特許EP2246176に記載され且つ図示されている隔離デバイスを使用することができる。
【0048】
図では、汚染制御環境3と外部環境4との間の分離は、ラインLによって概略的に表されている。
【0049】
作動デバイス6はリニアモータを備え、リニアモータは、
シリンダ状のステータ7(一次)と、
シリンダ状のステータ7内で直線的に摺動するロータまたは磁気シャフト8(二次)とを備える。
【0050】
全てのリニアモータと同様に、ステータ7は巻線を収容し、ロータ8は複数の永久磁石を収容する。
【0051】
ロータ8はシリンダ状の展開を有し、ステータ7は中空シリンダ形状を有し、ロータ8と同軸であり且つロータ8から所定の距離に配置されて、シリンダ状のステータ7とロータ8との間に分離容積30が画定される(ギャップとも呼ばれる)。
【0052】
例えば、ステータ7の内側面とロータ8の側面との間の所定の距離は、0.5から3mmの間に含まれる。
【0053】
ロータ8は、ステータ7に対してより長い長さを有する。好ましくは、ロータ8は、ステータ7の約2倍の長さを有する。
【0054】
ロータ8は可動手段に一体的に接続されている。
【0055】
ロータ8用の第1の支持体107および第2の支持体207は、ロータ8が内部に摺動可能に取り付けられているステータ7の両端に一体的に接続されている。
【0056】
好ましくは、第1の支持体107および第2の支持体207は、実質的に中空シリンダの展開を有する。
【0057】
有利には、そのような支持体107、207のそれぞれにおいて、殺菌流体が分離容積30を通って流れることを可能にするよう少なくとも1つの通路が得られる。
【0058】
例えば
図4に示す第1の実施形態によれば、そのような支持体107、207のそれぞれに得られる通路は、対応する支持体107、207を横断する貫通チャネル107a、207aである。
【0059】
特に、第1の支持体107は少なくとも1つの第1の貫通チャネル107aにより横断され、第2の支持体207は少なくとも1つの第2の貫通チャネル207aにより横断される。
【0060】
好ましくは、第1の貫通チャネル107aはシリンダ状であり且つ第1の支持体107と同軸である。また、第2の貫通チャネル207aはシリンダ状であり且つ第2の支持体207と同軸である。
【0061】
好ましくは、2つの支持体107、207のそれぞれは、2つの同軸のシリンダ状本体のアセンブリまたは組み合わせによって得られる。
【0062】
特に、第1の支持体107は、「第1のブッシング」71とも呼ばれる第1の内側中空シリンダと、番号73で示される第1の外側中空シリンダとによって形成される。
【0063】
特に、第2の支持体207は、「第2のブッシング」72とも呼ばれる第2の内側中空シリンダと、番号74で示される第2の外側中空シリンダとによって形成される。
【0064】
したがって、ロータ8は、第1のブッシング71および第2のブッシング72内に摺動可能に取り付けられている。
【0065】
好ましくは、第1の貫通チャネル107aは、第1のブッシング71に得られる。それはシリンダ状のチャネルであり且つ第1のブッシング71と同軸である。第2の貫通チャネル207aは、第2のブッシング72に得られる。それはシリンダ状のチャネルであり且つ第2のブッシング72と同軸である(
図3を参照)。
【0066】
第2の実施形態によれば、第1の貫通チャネル107aは第1のブッシング71を部分的に横断し且つ第1の外側中空シリンダ73を部分的に横断し、第2の貫通チャネル207aは第2のブッシング72を部分的に横断し且つ第2の外側中空シリンダ74を部分的に横断する(
図4を参照)。
【0067】
上述の2つの変形を組み合わせることにより得られる第3の実施形態も想定される。特に、
図5に示されるように、
第1の支持体107は、
図3の第1の実施形態のものと同一であり、
第2の支持体207は、
図4の第2の実施形態のものと同一である。
【0068】
その代わりに、図に示されていない変形例が想定される。
【0069】
第1の支持体107は、
図4の第2の実施形態のものと同一であり、
第2の支持体207は、
図3の第1の実施形態のものと同一である。
【0070】
第4の実施形態によれば、そのような支持体107、207のそれぞれに得られる通路は、対応する支持体107、207の表面(好ましくは内側面)に得られる溝707、807である。
【0071】
ここでも、第1の支持体107は、好ましくは、第1の内側中空シリンダすなわち第1のブッシング71および第1の外側中空シリンダ73によって形成される。同様に、第2の支持体207は、第2の内側中空シリンダすなわち第2のブッシング72および第2の外側中空シリンダ74によって形成される。
【0072】
好ましくは、第1の溝付き表面707が第1のブッシング71の内側面に得られ、第2の溝付き表面807が第2のブッシング72の内側面に得られる。
【0073】
例として、次のいくつかの変形例が示される。
【0074】
各溝付き表面には1つ以上の溝がある。
【0075】
溝は、両方のブッシング71、72に対して螺旋状に展開している。
【0076】
溝は、両方のブッシング71、72に対して長手方向に展開している。
【0077】
溝は、第1のブッシング71に対して螺旋状の展開を有し且つ第2のブッシング72に対して長手方向の展開を有する。
【0078】
溝は、第1のブッシング71に対して長手方向の展開を有し且つ第2のブッシング72に対して螺旋状の展開を有する。
【0079】
さらなる実施形態(図示せず)によれば、第1の支持体107に得られる通路は、第1の支持体107の表面に得られる少なくとも1つの溝にあり、第2の支持体207に得られる通路は、それを横断する貫通チャネルにある。
【0080】
さらなる実施形態(図示せず)によれば、2つの支持体107、207のそれぞれに(チャネルおよび/または溝を通る)様々な通路が得られる。
【0081】
可動手段としての延伸ロッド5に関連する事例が以下に詳細に開示される。
【0082】
番号1は、複数の成形ステーション221のうちの1つで動作する、パリソン100用の無菌状態の延伸ブローデバイスを示すために使用される。
【0083】
デバイス1は、パリソン100の口100aに適用可能なブローノズル224を備える。この分野では、ブローノズルは「シール」としても知られている。ブローノズル224は、少なくとも部分的に汚染制御環境3にあり、そこではパリソン100の成形が延伸ブローによって行われる。
【0084】
本明細書で説明および図示される実施形態では、ブローノズル224は、完全に汚染制御環境3の内側にある。
【0085】
デバイス1は、ブローノズル224を介してパリソン100に圧縮空気を注入する手段(図示せず)を含む。
【0086】
特に、そのような手段は、中圧(最大15バール)および高圧(約40バール)の空気をパリソン100に注入するように構成される。
【0087】
デバイス1は、方向dに沿って展開し且つブローノズル224内に摺動可能に取り付けられた延伸ロッド5を備え、それにより、その第1の部分5aが口100aを通ってパリソン100の内部に侵入できる。
【0088】
第1の部分5aは、延伸ロッド5の端部まで延び且つそのような端部を含む。
【0089】
図2aから2cに示されるように、延伸ロッド5は、汚染制御環境3と外部環境4を分離するラインLに設けられた開口部pを通って移動する。
【0090】
ブローノズル224に対する(したがって、下のパリソン100に対する)延伸ロッド5の移動は、リニアモータ6によって制御される。
【0091】
ロータ8は、延伸ロッド5の第2の部分5bに一体的に接続されている。
【0092】
特に、延伸ロッド5の第2の部分5bは、パリソン100に侵入する端部とは反対側の延伸ロッド5の端部まで延在する(および当該端部を含む)。
【0093】
本明細書に記載および図示される実施形態では、ロータ8は、延伸ロッド5のそのような端部に固定される。
【0094】
デバイス1は、ロータ8および延伸ロッド5の第2の部分5bを収容するチャンバ10を画定する箱形ケーシング9を備える。
【0095】
箱形ケーシング9は、複数の壁9aとステータ7自体によって形成される。言い換えれば、ステータ7は、そのようなチャンバ10を画定する箱形ケーシング9の一部を表す。
【0096】
好ましくは、箱形ケーシング9の複数の壁9aは、非磁性材料、例えばステンレス鋼で作られている。
【0097】
箱形ケーシング9は、完全に外部環境4内に位置し且つチャンバ10が外部環境4に対して密閉されるように構成される。
【0098】
このようにして、延伸ロッド5が外部環境4と接触すること、したがって、可能性のある汚染物質と接触することが防止される。
【0099】
汚染制御環境3に関して、チャンバ10は密閉されていても、されていなくてもよい。
【0100】
好ましくは、箱形ケーシング9は、延伸ロッド5と同じ展開方向dに沿って長手方向に展開するチューブのような形状である。
【0101】
好ましくは、デバイス1は、開口部pを囲むスリーブ11であって、(それがブローノズル224に固定される)汚染制御環境3に部分的に突出し且つ(それが箱形ケーシング9に直接または間接的に固定される)外部環境4に部分的に突出するスリーブ11を備える。
【0102】
延伸ロッド5は、そのようなスリーブ11を通る。
【0103】
箱形ケーシング9は、チャンバ10内に殺菌流体を導入するための入口12と、チャンバ10からそのような流体を排出するための出口13とを有する。
【0104】
好ましくは、殺菌流体の入口12および出口13は、箱形ケーシング9の両端にあり、入口12は、ブローノズル224から最も遠い端部(以下、箱形ケーシング9の「上端」として示される)に位置し、出口13は、ブローノズル224に最も近い端部(以下、箱形ケーシング9の「下端」として示される)に位置する。このように、入口12は出口13に対してより高い位置にあり、殺菌流体は、一旦入れられると、出口13から排出されるまで、その長手方向の延長全体に沿ってチャンバ10(およびその中に含まれる部材)を横切る。
【0105】
本発明の動作は、延伸ロッドへの適用を参照して以下に説明される。
【0106】
本発明による熱可塑性材料で作られたパリソン用の無菌状態での延伸ブローデバイスの動作は以下に説明される。
【0107】
事前に加熱されたパリソン100は、汚染制御環境3にある型222に挿入され、対応する延伸ブローデバイス1の下に配置される。
【0108】
例えば
図2aに示すように、ブローノズル224はパリソン100の口100aに適用される。ロータ8は、箱形ケーシング9の上端に対して最小距離構成にある。
【0109】
中圧の空気がブローノズル224を介してパリソン100に吹き込まれ、パリソン100の直径を徐々に大きくさせる。
【0110】
同時に、ステータ7の巻線に流れる電流によって生成される電磁場は、箱形ケーシング9の上端から離れるようロータ8を滑らせる。延伸ロッド5はロータ8に一体的に接続されているため、延伸ロッド5はパリソン100の全長に沿ってパリソン100に徐々に挿入される。したがって、パリソン100は、延伸ロッド5の展開方向dに沿って延伸される。
【0111】
中圧からパリソン100への高圧空気の注入への移行があり、それによりパリソン100が型222の内壁に次第に付着する傾向があるようにパリソン100の膨張を決定する。
【0112】
そのようなステップは
図2b-2cに示される。特に、
図2cは、ロータ8が箱形ケーシング9の上端に対して最大距離構成に達しており、したがって延伸ロッド5が底部223の近くに達していることを示す。
【0113】
延伸ロッド5およびロータ8を収容するチャンバ10は、デバイス1の通常の動作サイクル中に箱形ケーシング9の入口12を通して殺菌流体を導入することにより消毒することができる。
【0114】
消毒はまた、デバイス1の通常の動作に関して明確に異なるステップとして実行することができる。
【0115】
その場合には、消毒中に、ロータ8は、ストロークを再開する前に、動作中に減速または停止する可能性がある。このようにして、接触面の消毒が促進される。
【0116】
図3から5に示す実施形態では、殺菌流体はロータ8上を流れ、第1の支持体107に得られる第1の貫通チャネル107aを横切り、分離容積30に達し、第2の支持体207に得られる第2の貫通チャネル207aを横切り、延伸ロッド5に到達する。
【0117】
図6に示される第4の実施形態では、殺菌流体はロータ8上を流れ、ブッシング71、72の内側面に得られた溝707、807を通って延伸ロッド5に到達する。
【0118】
次に、殺菌流体は、箱形ケーシング9の出口13から排出される。
【0119】
本発明による、熱可塑性材料で作られた容器の無菌状態でのボトリング装置の特徴および利点は、提供された説明において明確に示されることがわかる。
【0120】
特に、可動手段を動かすためのリニアモータの使用により、負荷の直接駆動が可能になり、結果として精度の点で不利になる、運動変換部材を設ける必要性がなくなる。
【0121】
ロータ支持体に溝または貫通チャネルを作成することにより、殺菌流体の通過と、摩擦にさらされるモータの表面の洗浄が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【文献】EP2279850
【文献】EP2340157
【文献】EP2246176