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特許71012582次元バーコードの生成方法、認証方法、サーバ、及び2次元バーコード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】2次元バーコードの生成方法、認証方法、サーバ、及び2次元バーコード
(51)【国際特許分類】
   G09C 5/00 20060101AFI20220707BHJP
   G06F 21/64 20130101ALI20220707BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
G09C5/00
G06F21/64
G06K19/06 037
G06K19/06 056
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020558857
(86)(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 SG2018050578
(87)【国際公開番号】W WO2019156624
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-07-14
(31)【優先権主張番号】10201801042Q
(32)【優先日】2018-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】520260773
【氏名又は名称】アイ-スプリント イノベイションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オン チン ペク
(72)【発明者】
【氏名】チン ワイ クン
(72)【発明者】
【氏名】レオン タット クワン サイモン
【審査官】金沢 史明
(56)【参考文献】
【文献】特許第6231233(JP,B1)
【文献】特開2016-019286(JP,A)
【文献】特表2016-540329(JP,A)
【文献】特表2012-503264(JP,A)
【文献】特開2006-065527(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0256000(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104794629(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103903039(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104899541(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104392260(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105550730(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09C 5/00
G06F 21/64
G06K 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元バーコードであって、
前記2次元バーコードが携える情報のうちの第1部分を表すための複数の一般モジュールと、
少なくとも1つの暗号モジュールと
少なくとも1つのノイズモジュールとを含み、
前記暗号モジュールは、暗号領域及び第1の識別領域を含み、前記暗号領域には、前記2次元バーコードの真正性を認証するための予め定められた暗号識別子が記録され、前記第1の識別領域には、前記2次元バーコードが携える前記情報のうちの前記第1部分以外の第2部分すための第1の認識事項識別子が記録され、
前記ノイズモジュールは、ノイズ領域及び第2の識別領域を含み、前記ノイズ領域には、前記2次元バーコードの真正性の認証に干渉するための前記暗号識別子との類似度が閾値より小さいノイズ識別子が記録され、前記第2の識別領域には、前記2次元バーコードが携える前記情報のうちの前記第1部分及び前記第2部分以外の第3部分を表すための第2の認識事項識別子が記録され、
前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との前記類似度は、前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との形状の類似度、前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との位置の類似度、前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との面積の類似度、及び、前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との色の類似度のうちの1つ又はそれ以上の情報に基づいて算出される、
ことを特徴とする2次元バーコード。
【請求項2】
請求項に記載の2次元バーコードであって、前記2次元バーコードが前記暗号モジュールを複数含むか、前記2次元バーコードが前記ノイズモジュールを複数含むか、あるいは、その両方である、2次元バーコード。
【請求項3】
2次元バーコード認証方法であって、
認証すべき2次元バーコード画像であって、前記2次元バーコードが携える情報のうちの第1部分を表すための複数の一般モジュールを含む画像を取得することと、
前記2次元バーコード画像の指定領域内の画像特徴を抽出することとを含み、暗号モジュールは、暗号領域及び第1の識別領域を含み、前記暗号領域には、前記2次元バーコードの真正性を認証するための予め定められた暗号識別子が記録されており、前記第1の識別領域には、前記2次元バーコードが携える前記情報のうちの前記第1部分以外の第2部分すための第1の認識事項識別子が記録されており、
前記方法がさらに、前記2次元バーコード画像が認証されるかどうかを前記画像特徴に基づいて判定することを含
前記2次元バーコードは、少なくとも1つのノイズモジュールを含み、
前記ノイズモジュールは、ノイズ領域及び第2の識別領域を含み、前記ノイズ領域には、前記2次元バーコードの真正性の認証に干渉するための前記暗号識別子との類似度が閾値より小さいノイズ識別子が記録され、前記第2の識別領域には、前記2次元バーコードが携える前記情報のうちの前記第1部分及び前記第2部分以外の第3部分を表すための第2の認識事項識別子が記録され、
前記判定することは、
前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との形状の類似度、前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との位置の類似度、前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との面積の類似度、及び、前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との色の類似度のうちの1つ又はそれ以上の情報に基づいて、前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との前記類似度を決定することを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項に記載の方法であって、前記2次元バーコード画像が、物体上の前記2次元バーコードを撮影又はスキャンすることで取得される、方法。
【請求項5】
請求項に記載の方法であって、前記2次元バーコード画像の指定領域内の画像特徴を抽出するステップは、
前記2次元バーコード画像に前記暗号モジュールが複数含まれる場合に、複数の所定位置における画像特徴を抽出して複数の画像特徴を取得することを含み、
前記2次元バーコード画像が認証されるかどうかを前記画像特徴に基づいて判定するステップは、
前記画像特徴のうちの少なくとも1つの精度が予め設定された閾値を超えているかどうかを判定することを含み、前記画像特徴のうちの少なくとも1つの精度が前記予め設定された閾値を超えている場合、前記2次元バーコード画像が認証される、方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法であって、前記2次元バーコード画像の指定領域内の画像特徴を抽出するステップは、
前記2次元バーコード画像に前記暗号モジュールが複数含まれる場合に、複数の所定位置における画像特徴を抽出して複数の画像特徴を取得することを含み、
前記2次元バーコード画像が認証されるかどうかを前記画像特徴に基づいて判定するステップは、
全ての前記画像特徴の精度の平均値が予め設定された閾値を超えているかどうかを判定することを含み、全ての前記画像特徴の精度の前記平均値が前記予め設定された閾値を超えている場合、前記2次元バーコード画像が承認される、方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法であって、前記2次元バーコード画像の指定領域内の画像特徴を抽出するステップは、
前記2次元バーコード画像に前記暗号モジュールが複数含まれる場合に、複数の所定位置における画像特徴を抽出して複数の画像特徴を取得することを含み、
前記2次元バーコード画像が認証されるかどうかを前記画像特徴に基づいて判定するステップは、
前記画像特徴のうちの少なくとも1つの精度が予め設定された閾値を超えているかどうかを判定することと、全ての前記画像特徴の精度の平均値が前記予め設定された閾値を超えているかどうかを判定することとを含み、前記少なくとも1つの画像特徴の精度が前記予め設定された閾値を超えているとともに全ての前記画像特徴の精度の平均値が前記予め設定された閾値を超えている場合、前記2次元バーコード画像が承認される、方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法であって、前記2次元バーコード画像の指定領域内の画像特徴を抽出するステップは、
前記2次元バーコード画像に前記暗号モジュールが複数含まれる場合に、複数の所定位置における画像特徴を抽出して複数の画像特徴を取得することを含み、
前記2次元バーコード画像の認証が成立するかどうかを前記画像特徴に基づいて判定するステップは、
前記画像特徴のうちの少なくとも1つの精度が第1の閾値を超えているかどうかを判定することと、第2の閾値を下回る精度を有する画像特徴があるかどうかを判定することとを含み、前記画像特徴のうちの少なくとも1つの精度が前記第1の閾値を超えているとともに前記画像特徴のうちのいずれもが前記第2の閾値を下回る精度を有しない場合、前記2次元バーコード画像が承認される、方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法であって、前記画像特徴の精度の判定は、
前記画像特徴と基準特徴との類似度に基づいて前記画像特徴の精度を判定するステップによって実施され、前記類似度には、形状の類似度、サイズの類似度、位置の類似度、及び色の類似度のうちの1つ又はそれ以上が含まれる、方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法に従って対応の処理を実行するように構成されている、2次元バーコード認証サーバ又はモバイルターミナル
【請求項11】
2次元バーコード生成方法であって、
サーバによって、複数の一般モジュールと、暗号モジュールと、ノイズモジュールと、を生成することを含み、
前記複数の一般モジュールは、2次元バーコードが携える情報のうちの第1部分を表し、
前記暗号モジュールは、暗号領域及び第1の識別領域を含み、前記暗号領域には、前記2次元バーコードの真正性を認証するための予め定められた暗号識別子が記録され、前記第1の識別領域には、前記2次元バーコードが携える前記情報のうちの前記第1部分以外の第2部分すための第1の認識事項識別子が記録され、
前記ノイズモジュールは、ノイズ領域及び第2の識別領域を含み、前記ノイズ領域には、前記2次元バーコードの真正性の認証に干渉するための前記暗号識別子との類似度が閾値より小さいノイズ識別子が記録され、前記第2の識別領域には、前記2次元バーコードが携える前記情報のうちの前記第1部分及び前記第2部分以外の第3部分を表すための第2の認識事項識別子が記録され、
前記方法がさらに、前記サーバによって、前記複数の一般モジュールと、少なくとも1つの前記暗号モジュールと、前記ノイズモジュールと、を含む2次元バーコードを生成することを含
前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との前記類似度は、前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との形状の類似度、前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との位置の類似度、前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との面積の類似度、及び、前記暗号識別子と前記ノイズ識別子との色の類似度のうちの1つ又はそれ以上の情報に基づいて算出される、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元バーコードの分野に関し、特に、2次元バーコード生成方法、2次元バーコード認証方法、2次元バーコード認証サーバ、及び2次元バーコードに関する。
【背景技術】
【0002】
2次元バーコードは、QRコード(登録商標)とも呼ばれ(ここで、QRはQuick Responseの略である)、近年モバイル装置において非常に普及している符号化方式である。2次元バーコードは、従来のバーコードに比べて、より多くの情報を保管でき、より多くの種類のデータを表すことができる。
【0003】
2次元バーコードは、一定のルールに従って特定の幾何学的形状を用いた平面上(二次元方向)の白黒のパターンによって、データ及び記号の情報を記録する。2次元バーコードは、2進法に対応するいくつかの幾何学的形状を用いるとともに、コンピュータの内部ロジックの基礎を成す「0」及び「1」のビットストリームの概念をコード化において巧妙に用いることで、文字及び数字の情報を表示し、画像入力装置又は光電スキャン装置を介した自動識別による自動情報処理を実現する。
【0004】
図1に見られるように、従来の2次元バーコードのサンプルを示す。当図からわかるように、2次元バーコードは、多数の黒又は白のモジュールで構成される。全てのモジュールの位置及び色を識別することで、インテリジェント装置は、2次元バーコードが携える情報を特定することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、2次元バーコード生成方法、2次元バーコード認証方法、2次元バーコード認証サーバ、及び2次元バーコードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本発明の一実施形態は、少なくとも1つの暗号モジュールを含む2次元バーコードを提供する。暗号モジュールは、暗号領域及び第1の識別領域を含み、暗号領域には、2次元バーコードの真正性を認証するための暗号識別子が記録され、第1の識別領域には、2次元バーコードが携える情報を提示するための第1の認識事項識別子が記録される。
【0007】
第1の態様に関連して、本発明は第1の態様の第1の可能な実施形態を提供し、その実施形態において2次元バーコードはさらに、ノイズ領域及び第2の識別領域を含む少なくとも1つのノイズモジュールを備える。ノイズ領域には、2次元バーコードの真正性の認証に干渉するためのノイズ識別子が記録され、第2の識別領域には、2次元バーコードが携える情報を提示するための第2の認識事項識別子が記録される。
【0008】
第1の態様に関連して、本発明は第1の態様の第2の可能な実施形態を提供し、その実施形態において、暗号識別子とノイズ識別子との類似度は、予め設定された閾値より低い。暗号識別子とノイズ識別子との類似度は、暗号識別子とノイズ識別子との形状の類似度、暗号識別子とノイズ識別子との位置の類似度、暗号識別子とノイズ識別子との面積の類似度、及び、暗号識別子とノイズ識別子との色の類似度のうちの1つ又はそれ以上の情報に基づいて算出される。
【0009】
第1の態様に関連して、本発明は第1の態様の第3の可能な実施形態を提供し、その実施形態においては、2次元バーコードが複数の暗号モジュールを含むか、2次元バーコードが複数のノイズモジュールを含むか、あるいは、その両方である。
【0010】
第2の態様によれば、本発明の一実施形態はさらに、2次元バーコード認証方法を提供し、その方法は、認証すべき2次元バーコードの画像を取得することと、2次元バーコード画像の指定領域内の画像特徴を抽出することを含む。暗号モジュールは、暗号領域及び第1の識別領域を含み、暗号領域には、2次元バーコードの真正性を認証するための暗号識別子が記録されており、第1の識別領域には、2次元バーコードが携える情報を提示するための第1の認識事項識別子が記録されている。当該方法はさらに、2次元バーコード画像の認証が成立するかどうかを上記画像特徴に基づいて判定することを含む。
【0011】
第2の態様に関連して、本発明は第2の態様の第1の可能な実施形態を提供し、その実施形態において2次元バーコード画像は、物体上の2次元バーコードを撮影又はスキャンすることで取得される。
【0012】
第2の態様に関連して、本発明は第2の態様の第2の可能な実施形態を提供し、その実施形態において、2次元バーコード画像の指定領域内の画像特徴を抽出するステップは、2次元バーコード画像に複数の暗号モジュールが含まれる場合に、複数の所定位置における画像特徴を抽出して複数の画像特徴を取得することを含む。また、2次元バーコード画像の認証が成立するかどうかを上記画像特徴に基づいて判定するステップは、少なくとも1つの画像特徴の精度が予め設定された閾値を超えているかどうかを判定することを含み、少なくとも1つの画像特徴の精度が予め設定された閾値を超えている場合、そのことは、2次元バーコード画像の認証が成立したことを表す。
【0013】
第2の態様に関連して、本発明は第2の態様の第3の可能な実施形態を提供し、その実施形態において、2次元バーコード画像の指定領域内の画像特徴を抽出するステップは、2次元バーコード画像に複数の暗号モジュールが含まれる場合に、複数の所定位置における画像特徴を抽出して複数の画像特徴を取得することを含む。また、2次元バーコード画像の認証が成立するかどうかを上記画像特徴に基づいて判定するステップは、全ての画像特徴の精度の平均値が予め設定された閾値を超えているかどうかを判定することを含み、全ての画像特徴の精度の平均値が予め設定された閾値を超えている場合、そのことは、2次元バーコード画像の承認が成立したことを表す。
【0014】
第2の態様に関連して、本発明は第2の態様の第4の可能な実施形態を提供し、その実施形態において、2次元バーコード画像の指定領域内の画像特徴を抽出するステップは、2次元バーコード画像に複数の暗号モジュールが含まれる場合に、複数の所定位置における画像特徴を抽出して複数の画像特徴を取得することを含む。また、2次元バーコード画像の認証が成立するかどうかを上記画像特徴に基づいて判定するステップは、少なくとも1つの画像特徴の精度が予め設定された閾値を超えているかどうかを判定することと、全ての画像特徴の精度の平均値が予め設定された閾値を超えているかどうかを判定することを含み、少なくとも1つの画像特徴の精度が予め設定された閾値を超えているとともに全ての画像特徴の精度の平均値が予め設定された閾値を超えている場合、そのことは、2次元バーコード画像の承認が成立したことを表す。
【0015】
第2の態様に関連して、本発明は第2の態様の第5の可能な実施形態を提供し、その実施形態において、2次元バーコード画像の指定領域内の画像特徴を抽出するステップは、2次元バーコード画像に複数の暗号モジュールが含まれる場合に、複数の所定位置における画像特徴を抽出して複数の画像特徴を取得することを含む。また、2次元バーコード画像の認証が成立するかどうかを上記画像特徴に基づいて判定するステップは、少なくとも1つの画像特徴の精度が第1の閾値を超えているかどうかを判定することと、第2の閾値を下回る精度を有する画像特徴があるかどうかを判定することを含み、少なくとも1つの画像特徴の精度が第1の閾値を超えているとともにいずれの画像特徴も第2の閾値を下回る精度を有しない場合、そのことは、2次元バーコード画像の承認が成立したことを表す。
【0016】
第2の態様に関連して、本発明は第2の態様の第6の可能な実施形態を提供し、その実施形態において、画像特徴の精度の判定は、画像特徴と基準特徴との類似度に基づいて画像特徴の精度を判定することによって実施され、類似度には、形状の類似度、サイズの類似度、位置の類似度、及び色の類似度のうちの1つ又はそれ以上が含まれる。
【0017】
第3の態様によれば、本発明の一実施形態はさらに、2次元バーコード認証サーバを提供し、そのサーバは、第2の態様の方法に従った対応の処理を実行するように構成されている。
【0018】
第4の態様によれば、本発明の一実施形態はさらに、2次元バーコード生成方法を提供し、その方法は、暗号モジュールを生成することを含む。暗号モジュールは、暗号領域及び第1の識別領域を含み、暗号領域には、2次元バーコードの真正性を認証するための暗号識別子が記録され、第1の識別領域には、2次元バーコードが携える情報を提示するための第1の認識事項識別子が記録される。当該方法はさらに、少なくとも1つの暗号モジュールを含む2次元バーコードを生成することを含む。
【0019】
第4の態様に関連して、本発明は第4の態様の第1の可能な実施形態を提供し、その実施形態において当該方法はさらに、ノイズモジュールを生成することを含み、2次元バーコードは、ノイズ領域及び第2の識別領域を含む少なくとも1つのノイズモジュールを備える。ノイズ領域には、2次元バーコードの真正性の認証に干渉するためのノイズ識別子が記録され、第2の識別領域には、2次元バーコードが携える情報を提示するための第2の認識事項識別子が記録される。2次元バーコードはさらに、少なくとも1つのノイズモジュールを含む。
【0020】
第4の態様に関連して、本発明は第4の態様の第2の可能な実施形態を提供し、その実施形態において、暗号識別子とノイズ識別子との類似度は、予め設定された閾値より低く、暗号識別子とノイズ識別子との類似度は、暗号識別子及びノイズ識別子の形状の類似度、暗号識別子及びノイズ識別子の位置の類似度、暗号識別子及びノイズ識別子の面積の類似度、並びに、暗号識別子及びノイズ識別子の色の類似度のうちの1つ又はそれ以上の情報に基づいて算出される。
【0021】
第4の態様に関連して、本発明は第4の態様の第3の可能な実施形態を提供し、その実施形態において当該方法はさらに、暗号識別子及びノイズ識別子の形状及び/又は面積を、2次元バーコードの印刷面積に合わせて調整することを含む。ここで、ターゲット面積比率は、2次元バーコードの印刷面積に対して負の相関を示す。ターゲット面積比率とは、2次元バーコードの印刷面積に対する、暗号識別子又はノイズ識別子の面積の比率である。
【0022】
本発明の実施形態によって提供される2次元バーコードでは、既存の2次元バーコードにおける一般モジュールが暗号モジュールによって置換されており、暗号モジュールは暗号領域及び第1の識別領域を含む。暗号領域には、2次元バーコードの真正性を認証するための暗号識別子が記録され、第1の識別領域には、2次元バーコードが携える情報を提示するための第1の認識事項識別子が記録される。それにより、2次元バーコードの使用時に、第1の認識事項識別子は、既存の2次元バーコードにおけるモジュールの情報を伝達することができ、暗号領域は、2次元バーコードを承認するために使用される。暗号モジュールは関連技術における一般モジュールと同じサイズを有するので、暗号識別子はそれよりさらに小さい。したがって、偽造者は、暗号識別子の特徴を撮影によって正確には得られず、その結果、暗号識別子が容易に偽造できないことが確実になり、2次元バーコードの認証時の安全性が向上する。
【0023】
本発明の目的、特徴、及び利点を理解しやすくするために、以下において、添付の図面を参照しつつ好適な実施形態について詳細に説明する。
【0024】
本発明の実施形態の技術的解決手段をより明確に示すために、実施形態での使用が必要とされる図面について以下に簡単に説明する。以下の図面は、本発明の実施形態の一部分のみを表していると理解されるべきであり、開示範囲に限定を課すものと解釈されるべきではない。当業者であれば、発明のための努力を尽くすことなく、これらの図面から他の関連の図面を得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】関連技術における一般的な2次元バーコードを示す概略図である。
図2】一般的な2次元バーコードにおける一般モジュールが、本願で提供される2次元バーコードにおける暗号モジュールへ変換されることに関する概略図である。
図3図2に示す暗号モジュールの3つの他の形態を示す図である。
図4】従来の2次元バーコード(図4中、左側の2つの図形)と、本解決手段で提供される2次元バーコード(図4中、右側の2つの図形)との比較を示す概略図である。
図5図4の暗号モジュール(図4の右下の角の図形)を暗号化処理することで得られた暗号モジュールを示す図である。
図6】ノイズが無い状態のノイズモジュールと、ノイズが有る状態のノイズモジュールとを示す概略図である。
図7図6の別の実施形態を示す概略図であり、ノイズが無い状態のノイズモジュールと、ノイズが有る状態のノイズモジュールとに関する。
図8】本願明細書の実施形態において提供される2次元バーコード認証方法を示す図である。
図9】本願明細書の実施形態において提供される2次元バーコード生成方法を示す基本フローチャートである。
図10】本願明細書の実施形態において提供される2次元バーコード生成方法を示す最適化フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態の図面を参照しつつ、本発明の実施形態の技術的解決手段を、以下に明確かつ徹底的に説明する。説明される実施形態は、明らかに、本発明の実施形態の一部分のみであって全てではない。添付の図面において説明及び図示された本発明の実施形態の構成要素は、概して、多くの異なる構成で配置及び設計されることが可能である。したがって、図面に示される実施形態についての以下の詳細な説明は、請求項に記載の発明の範囲を制限することは意図しておらず、本発明の特定の実施形態を表しているだけである。本発明の実施形態に基づいて、当業者が発明のための努力を尽くすことなく得られる他の実施形態は、本発明の保護の範囲に含まれる。
【0027】
近年、2次元バーコードの使用頻度が大幅に増加している。たとえば、WeChatの2次元バーコードを用いて友だちを追加したり、2次元バーコードを通じて支払いを実施したりする。
【0028】
一般的な2次元バーコードは、通常は黒又は白である多数のモジュールから成り、予め定められたルールに従って配置された黒及び白のモジュールを通じて情報を伝達する。これらの黒及び白のモジュールは、関連技術における2次元バーコードによる情報伝達のための最小ユニットである。関連技術において、一部の業者は、商品の真贋の確認を実施するために2次元バーコードを使用する。たとえば、2次元バーコードは商品に付されることができ、ユーザは、2次元バーコードをスキャンすることによって確認要求をサーバに送信することができ、その後、その商品の真贋をサーバが確認する。
【0029】
一部の偽造者は、2次元バーコードを撮影し、偽造品にその2次元バーコードを付することで、正規品を装う。
【0030】
しかし、本願の発明者は、この方法が実際には理想的でないことを見出した。したがって、本願の発明者は、2次元バーコードと、2次元バーコードの生成方法及び認証方法を提供する。まず、2次元バーコードについて以下に説明する。2次元バーコードは、少なくとも1つの暗号モジュールを含む。暗号モジュールは、暗号領域及び第1の識別領域を含む。暗号領域には、2次元バーコードの真正性を認証するための暗号識別子が記録され、第1の識別領域には、2次元バーコードが携える情報を提示するための第1の認識事項識別子が記録される。
【0031】
詳細には、本願で提供される2次元バーコードにおける主な相違点は、一般モジュールがその位置にて暗号モジュールで置換されており(一般モジュールは真っ黒又は真っ白のモジュールであるところ、暗号モジュールは、一般モジュールをより小さいパーツにさらに分割することで得られるモジュールである)、その暗号モジュールを通じて2次元バーコードを認証できる点である。さらに、暗号モジュールは、暗号化の機能(主に暗号識別子によって実現されるもの)を果たすだけでなく、関連技術において一般モジュールが実施する情報伝達の機能(主に第1の認識事項識別子によって実現されるもの)も果たす。
【0032】
図2は、一般的な2次元バーコードにおけるモジュール(図2中、関連技術の2次元バーコードの一部分を示す左側の図形を参照のこと。関連技術の2次元バーコードが、アレイ状に配置された黒モジュール及び白モジュールで構成されていることが見て取れる)が、本願で提供される2次元バーコードにおける暗号モジュール(図2中、本願で提供される2次元バーコードにおける特定の暗号モジュールを示す右側の図形を参照のこと)へ変換されることに関する概略図である。
【0033】
図2に見られるように、図2の左側の図形は、従来の2次元バーコードの一部分のみを示し、左側の図形中の黒又は白の正方形はいずれも一般モジュールである。概して言えば、一般モジュールは黒又は白である。ただし特定の実施形態では、一般モジュールが色付き又は他の形状であることも可能である。図2中、左側の矢印でつながれた2つの図形は、黒の一般モジュールを従来の2次元バーコードから取り出したことを表す。図2中、右側の矢印でつながれた2つの図形は、白の一般モジュールを本願の暗号モジュールに変換する処理を表す(暗号モジュールは4×4のマトリックスで構成される)。図2中の最右の図形は、拡大された暗号モジュールを示す(暗号モジュールの拡大は、暗号モジュールをよりはっきり見せる目的で為されており、実際には、暗号モジュールのサイズは従来技術のモジュールと同じである)。
【0034】
図2中の最右の図形(暗号モジュールの概略図)を参照すると、図2の最右の図形も黒及び白の正方形で構成されていることがわかる。ある実施形態では、図2に示す暗号モジュールにおいて、中央の4つの正方形で形成される領域が第1の識別領域として使用され、第1の識別領域を囲む複数の正方形で形成される領域が暗号領域として使用される(もちろん、暗号識別子及び第1の認識事項識別子の位置、形状、及び色は調整できる。たとえば、暗号識別子は円形や三角形などであることが可能であり、第1の識別領域もそれに合わせて同様に調整可能である)。図に見られるように、第1の識別領域の色は、一般モジュールの色と同じである。その理由は、第1の認識事項識別子の機能が、以前に存在した一般モジュールの情報を伝達することであって、第1の識別領域の色が一般モジュールの色と同じである場合にのみ、暗号モジュールが一般モジュールの情報を効果的に伝達可能であることを確実にできるからである(第1の認識事項識別子の位置及び形状は、ある程度柔軟に調整できる)。暗号識別子の位置、形状、及び色は、さらに柔軟に設定でき、ユーザの具体的なニーズに合わせて指定され得る。たとえば、図2に示す実施形態では、全部で12個の正方形のうちの5個が黒に設定され、残りの7個の正方形は白に設定されている。それにより、2次元バーコードのスキャン時に、第1の認識事項識別子と一緒に暗号識別子もスキャンされることができる。その結果、暗号識別子の形状、位置、及び色が予め定められた要件を満たす場合、そのことは2次元バーコードが真正であることを表す。
【0035】
実用において、偽造者は通常、2次元バーコードを撮影することで2次元バーコードの画像を取得する。しかし、本願で提供される2次元バーコードでは、少なくとも1つの一般モジュールが暗号モジュールで置換されており、暗号モジュールは、より小さい領域を有する暗号領域及び第1の認識領域で構成されている。したがって、偽造者のカメラでは通常、カメラの解像度が原因で、暗号モジュール内の暗号識別子の詳細を鮮明に取得することができない(カメラの解像度が不十分であることにより、暗号識別子に一定の変形が生じる)。その結果、偽造者による2次元バーコードの取得写真の印刷物では、印刷された(印刷工程において暗号識別子は通常、一定程度変形する)2次元バーコード内の暗号識別子は変形したものになる。換言すれば、原図(正規品の製造者が所有する図面)から印刷された暗号識別子は、撮影された2次元バーコードの写真(正規品に印刷された2次元バーコードを撮影することで偽造者が得た写真)から印刷された暗号識別子と、完全に同一ではない。その結果、正規品上の2次元バーコードと偽造品上の2次元バーコードとの差異に起因して、偽造者が作成した2次元バーコードの暗号識別子では認証が成立し得ず、それにより、正規品と偽造品とを判別する目的が達成される。
【0036】
図3は、図2図2中、最右の図形)に示す暗号モジュールの3つの他の形態を示す。図3の最左の図形では、右上の角にある領域が第1の識別領域であり(黒く着色されており)、残りの領域が暗号領域である(暗号領域内のいずれの三角形も、設定に従って黒又は他の色で着色されることが可能である)。図3の中央の図形では、中央の円形領域が第1の識別領域であり(黒く着色されており)、残りの領域が暗号領域である(暗号領域内のいずれの四角形又は不完全な四角形も、設定に従って黒又は他の色で着色されることが可能である)。図3の最右の図形では、右上の角にある領域が第1の識別領域であり(黒く着色されており)、残りの領域が暗号領域である(暗号領域内のいずれの区画領域も、設定に従って黒又は他の色で着色されることが可能である)。図3に示す3つの暗号モジュールの具体的な実施形態は、単に一例であり、具体的な暗号領域の形状、位置、及び色は、ニーズに従って任意で調整することができる。同様に、第1の識別領域の形状、位置、及び色も、ニーズに従って任意で調整することができる。
【0037】
安全性を向上させるために、暗号モジュールに加えて、ノイズモジュールをさらに設けることが可能である。具体的には、本願で提供される2次元バーコードはさらに、ノイズ領域及び第2の識別領域を含む少なくとも1つのノイズモジュールを備える。ノイズ領域には、2次元バーコードの真正性の認証に干渉するためのノイズ識別子が記録され、第2の識別領域には、2次元バーコードが携える情報を提示するための第2の認識事項識別子が記録される。暗号識別子とノイズ識別子との類似度は、予め設定された閾値より低い。暗号識別子とノイズ識別子との類似度は、暗号識別子とノイズ識別子との形状の類似度、暗号識別子とノイズ識別子との位置の類似度、暗号識別子とノイズ識別子との面積の類似度、及び、暗号識別子とノイズ識別子との色の類似度の情報のうちの1つ又はそれ以上に基づいて算出される。
【0038】
暗号モジュールと同様に、ノイズモジュールの具体的説明に関しては、暗号モジュールの上記説明を参照することができる。本実施形態の2次元バーコードでは、一般モジュールは、その位置にてノイズモジュールによっても置換されており、ノイズモジュールを通じて認証の精度が向上している。さらに、ノイズモジュールは、認証の精度を向上させる機能(主にノイズ識別子によって実現されるもの)を果たすだけでなく、関連技術において一般モジュールが実施する情報伝達の機能(主に第2の認識事項識別子によって実現されるもの)も果たす。
【0039】
暗号識別子とノイズ識別子との類似度が予め設定された閾値より低いことに、留意すべきである。これは、認証の精度を確保するためである。暗号識別子とノイズ識別子とが類似しすぎている場合、ノイズ識別子の存在の意味があまり無い。暗号識別子とノイズ識別子との形状の類似度は、具体的には、暗号識別子とノイズ識別子とを重ね合わせて重複面積(通常、重複面積の最大値と呼ばれる)を得た後に、その重複面積、暗号識別子の面積、及びノイズ識別子の面積に基づいて形状類似度を算出することによって取得できる。複数の暗号識別子及び複数のノイズ識別子がある場合、まず各々の暗号識別子と各々のノイズ識別子との相関関係を確立させ(通常、1つの暗号識別子が1つのノイズ識別子に一意的に対応し、1つのノイズ識別子が1つの暗号識別子に一意的に対応する)、その後、各相関関係における暗号識別子とノイズ識別子との形状類似度を算出し、最後に、全ての相関関係における形状類似度を合算することで、暗号識別子とノイズ識別子との最終的な形状類似度を得ることが可能である。
【0040】
暗号識別子とノイズ識別子との位置の類似度は、暗号識別子とノイズ識別子との間の距離に基づいて算出される。複数の暗号識別子及び複数のノイズ識別子がある場合、まず各々の暗号識別子と各々のノイズ識別子との相関関係を確立させ(通常、1つの暗号識別子が1つのノイズ識別子に一意的に対応し、1つのノイズ識別子が1つの暗号識別子に一意的に対応する)、その後、各相関関係における暗号識別子とノイズ識別子との間の距離を算出し、算出された複数の距離を合算することで暗号識別子とノイズ識別子との間の距離を取得し、最後に、距離の合計又は平均値に基づいて、暗号識別子とノイズ識別子との位置の類似度を算出することが可能である。
【0041】
暗号識別子とノイズ識別子との面積の類似度は、単に面積を直接に比較することで得ることができる。たとえば、まず暗号識別子とノイズ識別子との差分を算出し、その後、暗号識別子の面積及び/又はノイズ識別子の面積に対する差分の比率を算出し、最後に、その比率に基づいて面積の類似度を判定することが可能である。面積の類似度の算出にはいくつかの具体的な方法があるが、それらの網羅的な説明は控える。
【0042】
暗号識別子とノイズ識別子との色の類似度は、暗号識別子とノイズ識別子との色差及び/又は暗号識別子とノイズ識別子との輝度に基づいて算出される。上記2つの要素の算出方法と同様に、複数の暗号識別子及び複数のノイズ識別子がある場合、まず各々の暗号識別子と各々のノイズ識別子との相関関係を確立させ、その後、各相関関係における暗号識別子とノイズ識別子との色差を算出し、最後に、色差の合計又は平均値に基づいて、暗号識別子とノイズ識別子との色の類似度を算出することが可能である。
【0043】
実用において、ノイズモジュールは認識される必要がない。したがって、真正性の認証時には、暗号モジュールが位置する領域だけを認識し、ノイズモジュールを認識しないことが可能である。偽造者は、暗号モジュールをノイズモジュールから判別することができないので、1つの2次元バーコード内にノイズモジュールと暗号モジュールとを共存させることは、偽造者に対抗して偽造の困難性を大幅に増進させることになる。
【0044】
ノイズ領域はノイズモジュールの一部分を占めることしかできないことに、留意すべきである(ノイズモジュールの全面積に対するノイズ領域の面積の比率は、ニーズに従って調整できる)。暗号領域は、暗号モジュールの一部分しか占めることができない(暗号モジュールの全面積に対する暗号領域の面積の比率は、ニーズに従って調整できる)。
【0045】
好ましくは、2次元バーコードの安全性をさらに向上させるために、複数の暗号モジュールを設けることが好適である。それにより、暗号モジュールを認識した後、まず各暗号モジュールに対応する領域を認識するとともに、各認識結果の精度(識別結果と基準との類似度)を算出し、その後、各認識結果の精度に基づいて、2次元バーコードの承認が成立するかどうかを判定することが可能である。
【0046】
図4は、従来の2次元バーコード(図4中、左側の2つの図形)と、本実施形態で提供される2次元バーコード(図4中、右側の2つの図形)との比較のための概略図である。図4において、左側の2つの図形は、従来の2次元バーコード内のモジュールの拡大図を表す(図4中、左上の角に位置する図形は、従来の2次元バーコードの全体図であり、左下の角に位置する図形は、従来の2次元バーコードの一般モジュールの拡大図である)。図に見られるように、従来の2次元バーコードでは、1つのモジュールは1つの色のみ(たとえば黒又は白)を有する。本実施形態の2次元バーコード(図4中、右側の2つの図形)では、全体構造は従来の2次元バーコードと実質的に同じだが、大部分のモジュールが改良されている。すなわち、従来の2次元バーコード内の一般モジュール(図4の左下の角に位置する図形)が、本実施形態の暗号モジュール(図4の左下の角に位置する図形)で置換されている。図に見られるように、暗号モジュール(図4の右下の角に位置する図形)は、2つのパートに分割されている。暗号モジュールの中央の4個の黒の正方形は、第1の認識事項識別子である(4個の黒の正方形が位置する領域は、第1の識別領域である。ただし、第1の識別領域は第1の認識事項識別子で完全に満たされる必要はなく、すなわち、第1の識別領域は全体が黒である必要はなく、必須の認証が可能になるように大部分が黒であることのみが必要とされる)。4個の黒の正方形以外の領域は、暗号領域である。暗号領域も複数の正方形に分割されていることが見て取れ、現段階では、暗号領域内で暗号化は実施されていない(暗号領域は白である)。本願の実施形態の暗号モジュールは、従来の実施形態の2次元バーコードの一般モジュールと同じサイズ及び形状を有する。したがって、本願の2次元バーコードでは、2次元バーコードの全体的構成には何ら調整を加えておらず、1つ又はそれ以上のモジュールを変更しただけである。ノイズモジュールの具体的形態に関しては、暗号モジュールを参照することができ、重複する説明は控える。
【0047】
図5は、図4の暗号モジュール(図4の右下の角に位置する図形)を暗号化処理することで得られた暗号モジュールを示す。図に見られるように、暗号化処理を経た暗号モジュールでは、暗号領域が、一定のルールに従って黒の正方形及び白の正方形に分割されており、黒の正方形には数字の1が記入され、白の正方形には数字の0が記入されている。これらの黒の正方形及び白の正方形は、暗号化の機能を果たす(これらの黒の正方形及び白の正方形が、暗号識別子を構成している)。
【0048】
同様に、図6は、ノイズが無い状態のノイズモジュールとノイズが有る状態のノイズモジュールとを示す概略図である。図6の左側の図形は、ノイズが無い状態のノイズモジュールを表し、その中央の4個の黒の正方形は、第2の認識事項識別子である。4個の黒の正方形が位置する領域が、第2の識別領域である。4個の黒の正方形以外の領域は、ノイズ領域である。ノイズ領域も複数の正方形に分割されていることが見て取れるが、現段階では、ノイズ領域内でノイズ付加処理は実施されていない(ノイズ領域は白である)。図6の右側の図形は、図6の左側の図形のノイズモジュールにノイズを付加することで得られたノイズモジュールを表す。中央の4個の黒の正方形には、変化がない。ノイズ領域は、暗号領域と同様に、黒の正方形及び白の正方形から成り、これらの黒の正方形及び白の正方形は、ノイズの機能を果たす(これらの黒の正方形及び白の正方形が、ノイズ識別子を構成している)。
【0049】
図7は、図6に示すノイズ無しのノイズモジュール及びノイズ有りのノイズモジュールの、別の実施形態を示す概略図である。図7の左側の図形は、ノイズが無い状態のノイズモジュールを示す概略図であり、その中央の4個の黒の円形は、第2の認識事項識別子である。4個の黒の円形が位置する領域が、第2の識別領域である(4個の黒の円形を囲む四角形で区画された領域が、第2の識別領域である)。第2の識別領域以外の領域は、ノイズ領域である。ノイズ領域には白の円形のみが存在していることが見て取れ、ノイズ領域内でノイズ付加処理は実施されていない。図7の右側の図形は、図7の左側の図形のノイズモジュールにノイズを付加することで得られたノイズモジュールを表す概略図である。中央の4個の黒の円形には、変化がない。暗号領域においてと同様に、ノイズ領域では、円形を黒に設定することによってノイズ識別子が生成される。ノイズ領域内の黒の円形及び白の円形は、ノイズの機能を果たす(これらの黒の円形及び白の円形が、ノイズ識別子を構成する)。図6図7とに示すノイズ識別子の差異は、図6に示すノイズ識別子が正方形である一方、図7に示すノイズ識別子が円形である点である。もちろん、ノイズ識別子は他の形状を有することも可能である。
【0050】
本願の2次元バーコードにおける暗号識別子及びノイズ識別子のサイズ(面積)が、印刷された2次元バーコード全体のサイズに関係していることに、留意すべきである。換言すれば、ターゲット面積比率は、2次元バーコードの印刷面積に対して負の相関を示す。ここで、ターゲット面積比率とは、2次元バーコードの印刷面積に対する暗号識別子又はノイズ識別子の面積の比率である。すなわち、印刷された2次元バーコードの面積が大きくなるにつれて、2次元バーコードの印刷面積に対する暗号識別子の面積の比率が小さくなるとともに、2次元バーコードの印刷面積に対するノイズ識別子の面積の比率が小さくなる。このことは主に、カメラによって暗号識別子及びノイズ識別子を、偽造者が正確に偽造するのに十分な精度では撮影できないようにするために、暗号識別子及びノイズ識別子の実際の印刷面積が十分に小さいことを確実にするために役立つ。
【0051】
上記に開示した2次元バーコードに関連して、本願はさらに、2次元バーコード認証方法を提供する。図8に示すように、当該方法は以下のステップを含む。
・S801 認証すべき2次元バーコードの画像を取得するステップ。
・S802 2次元バーコード画像の指定領域内の画像特徴を抽出するステップ。暗号モジュールは、暗号領域及び第1の識別領域を含む。暗号領域には、2次元バーコードの真正性を認証するための暗号識別子が記録されており、第1の識別領域には、2次元バーコードが携える情報を提示するための第1の認識事項識別子が記録されている。
・S803 2次元バーコード画像の認証が成立するかどうかを上記画像特徴に基づいて判定するステップ。
【0052】
ここで画像特徴とは、暗号領域の認識結果を意味し、それはたとえば、黒の正方形及び白の正方形の分布、並びに、黒の領域の形状、サイズ、位置、及び色である。すなわち画像特徴は、形状、サイズ、位置、及び色のうちの1つ又はそれ以上を含む。
【0053】
S802において、暗号モジュール内の暗号領域の画像特徴を抽出する際に、指定領域の位置を予め知っている必要があることに留意すべきである。2次元バーコードは所定の方法で生成されるため、どこに暗号モジュールが位置するかについて、認証機構は当然に知っている。したがって、暗号モジュールが位置する領域の画像特徴は、簡単に抽出可能である。
【0054】
詳細には、S801の2次元バーコード画像は以下の方法で得られる。物体上の2次元バーコードを撮影又はスキャンすることによって、2次元バーコード画像を得る。物体上の2次元バーコードは具体的には、本願の2次元バーコードである。2次元バーコードの具体的特徴については、上記説明を参照することができる。
【0055】
さらに、複数の暗号モジュールがある場合(本方法を実行する認証機構は、複数の暗号モジュールがあるかどうかを予め知っているとともに、各暗号モジュールがどこに位置するかを知っている)、各所定位置(暗号モジュールがあるはずの位置)における画像特徴を取得することができる。この場合、3つの認識方法がある。
1.ステップS802は、以下のように実現できる。
2次元バーコード画像に複数の暗号モジュールがある場合(認証機構は、複数の暗号モジュールがあるかどうかを予め知っているとともに、各暗号モジュールがどこに位置するかを知っている)、複数の所定位置(暗号モジュールがあるはずの位置)における画像特徴を抽出し、それにより複数の画像特徴を取得する。
ステップS803は、以下のように実現できる。
少なくとも1つの画像特徴の精度が予め設定された閾値を超えているかどうかを判定し、少なくとも1つの画像特徴の精度が予め設定された閾値を超えている場合、そのことは、2次元バーコード画像の認証が成立したことを表す。それ以外の場合は、2次元バーコードの承認は不成立である。
2.ステップS803は、以下のようにも実施できる。
2次元バーコード画像に複数の暗号モジュールがある場合(認証機構は、複数の暗号モジュールがあるかどうかを予め知っているとともに、各暗号モジュールがどこに位置するかを知っている)、複数の所定位置(暗号モジュールがあるはずの位置)における画像特徴を抽出し、それにより複数の画像特徴を取得し、
全ての画像特徴の精度の平均値が予め設定された閾値を超えているかどうかを判定し、全ての画像特徴の精度の平均値が予め設定された閾値を超えている場合、そのことは、2次元バーコード画像の承認が成立したことを表す。それ以外の場合は、2次元バーコードの承認は不成立である。
3.ステップS803は、以下のようにも実施できる。
2次元バーコード画像に複数の暗号モジュールがある場合(認証機構は、複数の暗号モジュールがあるかどうかを予め知っているとともに、各暗号モジュールがどこに位置するかを知っている)、複数の所定位置(暗号モジュールがあるはずの位置)における画像特徴を抽出し、それにより複数の画像特徴を取得し、
少なくとも1つの画像特徴の精度が予め設定された閾値を超えているかどうかを判定するとともに、全ての画像特徴の精度の平均値が予め設定された閾値を超えているかどうかを判定し、
少なくとも1つの画像特徴の精度が予め設定された閾値を超えているとともに全ての画像特徴の精度の平均値が予め設定された閾値を超えている場合、そのことは、2次元バーコード画像の承認が成立したことを表す。それ以外の場合は、2次元バーコードの承認は不成立である。
【0056】
上記3つの方法は、異なる使用条件に合わせて柔軟に選択できる。一般には、第3の方法が偽造防止において最も高い成功率を示し、第2の方法がそれに続き、第1の方法は偽造防止において最も低い成功率を示す。
【0057】
第1の方法の判定ステップの精度を向上させるために、第1の方法の判定ステップをさらに以下のように実施できる。
少なくとも1つの画像特徴の精度が第1の閾値を超えているかどうかを判定するとともに、第2の閾値を下回る精度を有する画像特徴があるかどうかを判定し、
少なくとも1つの画像特徴の精度が第1の閾値を超えているとともにいずれの画像特徴も第2の閾値を下回る精度を有しない場合、そのことは、2次元バーコード画像の承認が成立したことを表す。それ以外の場合は、2次元バーコードの承認は不成立である。
【0058】
暗号領域内の画像特徴の精度は、具体的には、以下のように算出できる。画像特徴と基準特徴(認証機構が予め取得した、暗号モジュールの暗号領域内の実際の特徴)との類似度に基づいて、画像特徴の精度を判定する。
【0059】
すなわち、基準特徴も、形状、サイズ、位置、及び色のうちの1つ又はそれ以上を含む。重み付き計算によって、暗号領域の画像特徴と基準特徴との類似度を判定することができ、それにより精度を判定する(類似度をそのまま精度として使用することが可能である)。たとえば、以下の4つの計算のうちの1つ又はそれ以上を実施することができる。
・画像特徴と基準特徴との形状の類似度を計算する。
・画像特徴と基準特徴とのサイズの類似度を計算する。
・画像特徴と基準特徴との位置の類似度を計算する。
・画像特徴と基準特徴との色の類似度を計算する。
【0060】
続いて、計算された形状の類似度、サイズの類似度、位置の類似度、及び色の類似度のうちの1つ又はそれ以上に基づいて、類似度を算出する。
【0061】
詳細には、当該2次元バーコード認証方法における2次元バーコードの具体的構造に関して、前述の実施形態の2次元バーコードを参照することができ、ここでのさらなる説明は控える。
【0062】
上記認証方法は通常、サーバによって実行される。したがって本願はさらに、2次元バーコードの認証のためのサーバを提供し、そのサーバは、上記2次元バーコード認証方法を実行するために使用される。
【0063】
それに対応するように、本願はさらに、2次元バーコードの生成方法を提供する。図9に示すように、当該方法は以下のステップを含む。
・ステップS901 暗号モジュールを生成する。ここで暗号モジュールは、暗号領域及び第1の識別領域を含む。暗号領域には、2次元バーコードの真正性を認証するための暗号識別子が記録され、第1の識別領域には、2次元バーコードが携える情報を提示するための第1の認識事項識別子が記録される。
・ステップS902 少なくとも1つの暗号モジュールを含む2次元バーコードを生成する。
【0064】
図9に示す解決手段に基づき、本願の解決手段はさらに、図10に示すように以下を含むことが好ましい。
・ステップS903 ノイズモジュールを生成する。ここで2次元バーコードは、少なくとも1つのノイズモジュールを備える。ノイズモジュールは、ノイズ領域及び第2の識別領域を含む。ノイズ領域には、2次元バーコードの真正性の認証に干渉するためのノイズ識別子が記録され、第2の識別領域には、2次元バーコードが携える情報を提示するための第2の認識事項識別子が記録される。暗号識別子とノイズ識別子との類似度は、予め設定された閾値より低い。暗号識別子とノイズ識別子との類似度は、暗号識別子とノイズ識別子との形状の類似度、暗号識別子とノイズ識別子との位置の類似度、暗号識別子とノイズ識別子との面積の類似度、及び、暗号識別子とノイズ識別子との色の類似度のうちの1つ又はそれ以上の情報に基づいて算出される。この場合、2次元バーコードは、少なくとも1つのノイズモジュールを含む。
【0065】
ステップS901及びステップS902を実施する順序は入れ替え可能であり、また、それらのステップは同時又は順次に実施可能である。
【0066】
上記説明において記載したように、2次元バーコードの品質(容易に偽造できないこと)を確保するために、暗号識別子及びノイズ識別子のサイズを調節すべきである。具体的には、2次元バーコード生成方法はさらに、暗号識別子及びノイズ識別子の形状及び/又は面積を、2次元バーコードの印刷面積に合わせて調整することを含む。詳細には、ターゲット面積比率は、2次元バーコードの印刷面積に対して負の相関を示す。ここで、ターゲット面積比率とは、2次元バーコードの印刷面積に対する暗号識別子又はノイズ識別子の面積の比率である。
【0067】
詳細には、当該2次元バーコード生成方法における2次元バーコードの具体的構造に関して、前述の実施形態の2次元バーコードを参照することができ、ここでのさらなる説明は控える。
【0068】
説明上の都合及び簡潔さのために、上述のシステム、装置、及びユニットの具体的な動作工程に関して、方法の実施形態における対応の工程を参照することができ、ここでのさらなる説明は省略されることが、当業者であれば明確に理解し得る。
【0069】
別個の構成品として説明されたユニットは、物理的に分離している場合もそうでない場合もある。ユニットとして示された構成品は、物理的なユニットである場合もそうでない場合もあり、すなわち、1カ所に位置する場合も、複数のネットワークユニットに分散している場合もある。実際のニーズに合わせて各実施形態の目的を達成するために、一部又は全てのユニットを選択することができる。
【0070】
さらに、本発明の各実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニット内に統合されることが可能であり、又は、物理的に分離された複数のユニットであることも可能である。又は、2つ又はそれ以上のユニットを、1つのユニットに統合することも可能である。
【0071】
機能が、ソフトウェアの機能ユニットの形態で実現されて、独立した製品として販売又は使用される場合、当該機能は、コンピュータ読出し可能な記憶媒体に記憶されることができる。そのような理解に基づき、本実施形態の要部、従来技術に対して貢献している本発明の実施形態の一部分、又は、本発明の実施形態の一部分は、ソフトウェア製品の形態で存在することが可能である。コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶され、本発明の実施形態における方法の全て又は一部のステップをコンピュータ装置(パソコン、サーバ、ネットワークデバイスなどであることが可能)に実行させるための複数の指示を含む。前述の記憶媒体は、USBフラッシュディスク、モバイルハードディスク、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク、又は光学ディスクなどの、プログラムコードを記憶可能な様々な媒体を含む。
【0072】
上記説明は、単に本発明の実施形態を表すものであり、本発明の保護範囲はそれらに限定されない。本発明の技術的範囲内で当業者によって容易に想到される変更又は置換は、本発明の保護範囲に含まれる。それゆえに、本発明の範囲は、添付の請求項の範囲によって特定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10