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特許7101275スピーカー用の周波数応答とダイナミックレンジ補正を結合したオーディオ処理デバイスとその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】スピーカー用の周波数応答とダイナミックレンジ補正を結合したオーディオ処理デバイスとその方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20220707BHJP
   H04R 3/04 20060101ALI20220707BHJP
   H04S 7/00 20060101ALN20220707BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H04R3/04
H04S7/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021001834
(22)【出願日】2021-01-08
(65)【公開番号】P2021145330
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】16/813,874
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508197206
【氏名又は名称】新唐科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】イッタイ バーカイ
【審査官】辻 勇貴
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-516143(JP,A)
【文献】特開2012-151767(JP,A)
【文献】特開2020-034885(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0110533(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H04R 3/04
H04S 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルフィルタと、信号コンバイナと、ダイナミックレンジプロセッサーとを備えるオーディオ処理デバイスであって、
前記デジタルフィルタは、フィルタ入力オーディオ信号を受信し、前記フィルタ入力オーディオ信号をフィルタリングして、フィルタ出力オーディオ信号を生成するように構成され、
前記信号コンバイナは、前記フィルタ入力オーディオ信号と前記フィルタ出力オーディオ信号とを組み合わせて、結合オーディオ信号を生成するように構成され、
前記ダイナミックレンジプロセッサーは、前記フィルタ出力オーディオ信号にダイナミックレンジ補正を実行し、且つ前記ダイナミックレンジ補正と前記結合オーディオ信号とは非線形関係であることを特徴とする、オーディオ処理デバイス。
【請求項2】
前記デジタルフィルタは、前記フィルタ入力オーディオ信号を均等化し、前記ダイナミックレンジプロセッサーによって補正された前記フィルタ出力オーディオ信号によって駆動されるスピーカーの共振効果を部分的に補正するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のオーディオ処理デバイス。
【請求項3】
前記ダイナミックレンジプロセッサーは、前記共振効果に相補的補正を実行するように構成される、請求項2に記載のオーディオ処理デバイス。
【請求項4】
前記信号コンバイナは、前記フィルタ入力オーディオ信号と前記フィルタ出力オーディオ信号とを結合する前に、前記フィルタ入力オーディオ信号に対して第1の重みを与えて、且つ前記フィルタ出力オーディオ信号に対して第2の重みを与えるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のオーディオ処理デバイス。
【請求項5】
前記第1の重みおよび前記第2の重みの一方または両方は、ユーザ設定可能であることを特徴とする、請求項4に記載のオーディオ処理デバイス。
【請求項6】
前記信号コンバイナの少なくとも1つの動作モードにおいて、前記第1の重みは1であり、前記第2の重みは-1であることを特徴とする、請求項4に記載のオーディオ処理デバイス。
【請求項7】
前記第1の重みは、セット{0、1}から選択され、前記第2の重みは、セット{-1,0、1}から選択されることを特徴とする、請求項4に記載のオーディオ処理デバイス。
【請求項8】
前記ダイナミックレンジプロセッサーは、前記結合オーディオ信号のパワーレベルが閾値を超えた場合にのみ、ゼロ以外のダイナミックレンジ補正を実行するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のオーディオ処理デバイス。
【請求項9】
前記ダイナミックレンジプロセッサーは、ダイナミックレンジコンプレッサ(DRC)、リミッタ、およびエクスパンダのうちの1つを備えることを特徴とする、請求項1に記載のオーディオ処理デバイス。
【請求項10】
オーディオ処理方法であって、フィルタ入力オーディオ信号をフィルタリングしてフィルタ出力オーディオ信号を生成し、
前記フィルタ入力オーディオ信号と前記フィルタ出力オーディオ信号を信号コンバイナを介して結合して、結合オーディオ信号を生成し、
前記フィルタ出力オーディオ信号に対してダイナミックレンジ補正を実行し、且つ前記ダイナミックレンジ補正と前記結合オーディオ信号とは非線形の関係であることを特徴とする、オーディオ処理方法。
【請求項11】
前記フィルタ入力オーディオ信号を均等化、およびダイナミックレンジ補正された前記フィルタ出力オーディオ信号によって駆動されるスピーカーの共振効果を部分的に補正するステップを更に含むことを特徴とする、請求項10に記載のオーディオ処理方法。
【請求項12】
前記ダイナミックレンジ補正を実行するステップにおいて、前記共振効果に相補補正を実行するステップを含むことを特徴とする、請求項11に記載のオーディオ処理方法。
【請求項13】
前記フィルタ入力オーディオ信号と前記フィルタ出力オーディオ信号とを結合する前に、前記フィルタ入力オーディオ信号に対して第1の重みを与えて、且つ前記フィルタ出力オーディオ信号に対して第2の重みを与えるステップを含むことを特徴とする、請求項10に記載のオーディオ処理方法。
【請求項14】
前記第1の重みおよび前記第2の重みの一方または両方は、ユーザ設定可能であることを特徴とする、請求項13に記載のオーディオ処理方法。
【請求項15】
前記信号コンバイナの少なくとも1つの動作モードにおいて、前記第1の重みは1であり、前記第2の重みは-1であることを特徴とする、請求項13に記載のオーディオ処理方法。
【請求項16】
前記第1の重みは、セット{0、1}から選択され、前記第2の重みは、セット{-1,0、1}から選択されることを特徴とする、請求項13に記載のオーディオ処理方法。
【請求項17】
前記ダイナミックレンジ補正を実行するステップは、前記結合オーディオ信号のパワーレベルが閾値を超えた場合にのみ、ゼロ以外のダイナミックレンジ補正を実行するステップを含むことを特徴とする、請求項10に記載のオーディオ処理方法。
【請求項18】
前記ダイナミックレンジ補正を実行するステップは、ダイナミックレンジ圧縮、ダイナミックレンジ制限、およびダイナミックレンジ拡張のうちの1つを含むことを特徴とする、請求項10に記載のオーディオ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年3月10日に出願された米国特許出願番号第16/813874号の利益を主張し、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般にオーディオ信号の処理に関わり、具体的には、オーディオ信号の歪み補正のための方法、システム、およびソフトウェアに関する。
【背景技術】
【0003】
オーディオ信号の歪みを補正する技術は、特許文書で提案されている。例えば、米国特許公開第7194096号は、入力オーディオ信号を分析してパワースペクトル密度プロファイルを決定する方法が記載されている。パワースペクトル密度プロファイルは、少なくとも1つのテンプレートプロファイルと比較される。この比較に基づいて、入力オーディオ信号の周波数帯域が選択的に減衰される。
【0004】
他の例としては、ロシア特許公開第2284648号が、音声信号の自動適応周波数補正のための方法を記載している。この方法は、基準周波数スペクトルを形成し、ソース信号の周波数スペクトルを決定し、ソース信号の周波数スペクトルを基準周波数スペクトルと比較し、比較結果に基づいて比較信号を生成し、次に比較信号を使用し、元の信号を補正するようにそのスペクトル成分を変更することを特徴とする。
【0005】
米国特許公開第8467547号は、信号レベルが閾値を超えるか否かに従って、オーディオ入力信号のレベルを調整することができるオーディオコンプレッサーを記載している。オーディオコンプレッサーは、オーディオ信号のダイナミックレンジが閾値によって調整されたときに生成されるポンピングを制御することができる。オーディオコンプレッサーからの信号出力とリリースフィルターを接続するフィードバックループを使用して、信号の有効リリースタイムを変更することができる。コントローラを使用して、リリースフィルターのフィルター係数を制御し、信号出力の関数として有効なリリースタイムを調整することができる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施例は、デジタルフィルター、信号コンバイナ、およびダイナミックレンジプロセッサー(DRP)を備えるオーディオ処理デバイスを提供する。デジタルフィルターは、フィルタ入力オーディオ信号を受信し、フィルタ入力オーディオ信号をフィルター処理して、フィルタ出力オーディオ信号を生成するように構成される。信号コンバイナは、フィルタ入力オーディオ信号とフィルタ出力オーディオ信号を結合して、結合オーディオ信号を生成するように構成される。ダイナミックレンジプロセッサーは、フィルタ出力オーディオ信号に対してダイナミックレンジ補正を実行するように構成されており、ダイナミックレンジ補正と結合オーディオ信号とは非線形関係である。
【0007】
いくつかの実施例では、デジタルフィルターは、以下のように構成される。フィルタ入力オーディオ信号を均等化し、ダイナミックレンジプロセッサーによって補正されたフィルタ出力オーディオ信号によって駆動されるスピーカーの共振効果を部分的に補正する。
【0008】
いくつかの実施例では、ダイナミックレンジプロセッサーは、共振効果に相補的補正を実行するように構成される。
【0009】
一実施例では、信号コンバイナは、フィルタ入力オーディオ信号とフィルタ出力オーディオ信号とを結合する前に、フィルタ入力オーディオ信号に対して第1の重みを与えて、フィルタ出力オーディオ信号に対して第2の重みを与えるように構成される。
【0010】
別の実施例では、第1の重みおよび第2の重みの一方または両方は、ユーザ設定可能である。
【0011】
いくつかの実施例では、信号コンバイナの少なくとも1つの動作モードにおいて、第1の重みは1であり、第2の重みは-1である。他の実施例では、第1の重みは、セット{0、1}から選択することができ、第2の重みは、セット{-1,0、1}から選択することができる。
【0012】
一実施例では、ダイナミックレンジプロセッサーは、結合オーディオ信号のパワーレベルが閾値を超えた場合にのみ、ゼロ以外のダイナミックレンジ補正(non-zero dynamic-range correction)を実行するように構成される。
【0013】
いくつかの実施例において、ダイナミックレンジプロセッサーは、ダイナミックレンジコンプレッサ(DRC)、リミッタ、およびエクスパンダのうちの1つを備える。
【0014】
別の実施例によれば、本発明はさらにオーディオ処理方法を提供する。その方法は、デジタルフィルターでフィルタ入力オーディオ信号を受信し、フィルタ入力オーディオ信号をフィルタリングしてフィルタ出力オーディオ信号を生成することを含む。フィルタ入力オーディオ信号とフィルタ出力オーディオ信号を信号コンバイナで結合して、結合オーディオ信号を生成する。ダイナミックレンジプロセッサー(DRP)は、フィルタ出力オーディオ信号に対してダイナミックレンジ補正を実行し、且つダイナミックレンジ補正と結合オーディオ信号とは非線形の関係である。
【0015】
以下、実施例を添付の図面とともに詳細に説明し、本発明をより理解しやすくする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例による、構成可能なデジタルフィルター模倣物(DF模倣物、digital filter mimic)およびダイナミックレンジプロセッサーを備えるオーディオ処理デバイスを概略的に示すブロック図。
図2】本発明の実施例による、図1の構成可能なデジタルフィルターシミュレータに含まれる信号コンバイナの状態表。
図3】本発明の実施例による、フィルタ入力信号の特性ならびにフィルター出力信号の特性、および実際の結合信号を示すグラフ。
図4】本発明の実施例による、図3の結合信号を使用した、共振補正がある場合とない場合の、図1のデバイスの出力信号のグラフ。
図5】本発明の別の実施例による、共振補正がある場合とない場合の、図1のデバイスの出力信号のグラフ。
図6】本発明の実施例による、図1のオーディオ処理デバイスを使用してオーディオ出力信号を補正するための方法を概略的に示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
概要
【0018】
現在、消費者向けスピーカー、特にモバイルデバイスに設置されたスピーカーの製造業者は、オーディオの品質と価格のバランスをとるという課題に直面している。また、家電市場で一般的に見られる小型のプラスチック製スピーカーエンクロージャーは、オーディオ共振現象の影響を受けやすいため、より多くの挑戦をもたらすことになる。例えば、携帯電話に搭載されているスピーカーが、特定の周波数で望ましくない「共振」を起こし、オーディオ品質に影響を与えるという問題が発生する。この場合、共振周波数で出力される音響エネルギー(acoustic energy)は、予想よりも大幅に高くなると共に、他の周波数よりも高くなる。このような影響は、スピーカーエンクロージャー内で発生する空気圧共振によって引き起こされると一般に考えられており、前述のように、不要なオーディオアーティファクト(audio artifact)である。
【0019】
さらに、そのような共振効果(例えば、エンクロージャー内の定在波(standing wave))は、非線形の方式で蓄積する可能性がある。例えば家電分野において、入力信号の振幅が小さい場合(例えば、閾値よりも低いオーディオ振幅の「ピーク」が生成される場合)、一般的な問題は、スピーカーがあまり気づかないオーディオ共振を生じ、且つ閾値を超える範囲で、望ましくないオーディオ共振アーティファクトの振幅が入力信号の振幅とともに非線形に増加する。
【0020】
上記のオーディオおよびパワー関連の問題を解決するための1つの可能な方法は、例えば、入力信号にデジタルフィルターおよびダイナミックレンジプロセッサーを適用することによって、デジタル信号処理技術を使用することである。ダイナミックレンジプロセッサーには、例えば、ダイナミックレンジコンプレッサー、リミッター、またはエキスパンダーなどの選択を備えることができる。ただし、このような専用のデジタルフィルターとダイナミックレンジプロセッサーを組み合わせると、複雑さが増すと共に、計算量および電力消費が増加するため、解決手段としてコストが高すぎるため、完全に実装するには困難である。さらに、オーディオの共振が複数の周波数で発生し、他のオーディオの問題も解決する必要があることを考慮すると、多くの場合、共振の問題をすべて解決するために必要な数の専用デジタルフィルターとダイナミックレンジコンプレッサーを、消費者向けデバイスに追加することは非現実的である。
【0021】
以下に記載される本発明の実施例は、消費者向けデバイス(例えば、デバイスのイコライザーユニット)に既存の1つまたは複数のデジタルフィルターを利用するデバイスを提供する。そのデジタルフィルターは、本来の目的に加えて、ダイナミックレンジプロセッサーにデジタルフィルター入力を提供するように使用される。この二重の目的を強化するために、ここで開示された技術は、信号コンバイナを使用して、フィルタリングされた入力オーディオ信号をフィルタリングされた出力オーディオ信号と組み合わせる。結合された信号は、ダイナミックレンジプロセッサーへの入力として提供される。以下、連携して動作するデジタルフィルターと信号コンバイナを総称して「設定可能なデジタルフィルターシミュレータ」と呼ぶ。信号コンバイナは実質的専用デジタルフィルターよりもはるかに少ない部品数を含み、本来複数の専用デジタルフィルターが必要となることを考慮すると、本発明に開示された実施例は、デバイス内の膨大なハードウェアおよびソフトウェアリソースを節約できる。
【0022】
さらに、イコライザーなどのデジタルフィルター(同等の設定可能なデジタルフィルター)を提供することにより、ここで開示されているデジタルフィルターシミュレーション技術は、デバイスが他のオーディオ品質の問題を処理する可能性を広げ、設定可能な信号補正回路を実装できるようにする(すなわち、設定可能なデジタルフィルターシミュレーターとダイナミックレンジプロセッサーを組み合わせて使用する)。イコライザーは複数のデジタルフィルターを含むことができるため、ここで開示された技術は、既存のフィルターを使用することにより、このように複数の構成可能な信号補正回路(すなわち、デジタルフィルターシミュレーターと各ダイナミックレンジプロセッサーの組み合わせ)を実装することができる。
【0023】
上記のように、ここで開示された技術の重要な特徴は、フィルタ入力信号とフィルタ出力信号の組み合わせである。したがって、いくつかの実施例では、オーディオ処理デバイスは、(a)デバイスに含まれる前述のデジタルフィルタ(一般的には線形デジタルフィルター)(例えば、デバイスのイコライザーに含まれている線形デジタルフィルター)と、(b)信号コンバイナと、(c)既存のダイナミックレンジプロセッサー(例えば、ダイナミックレンジコンプレッサー)とを含む。デジタルフィルターは、フィルタ入力オーディオ信号を受信し、フィルタ入力オーディオ信号をフィルタリングして、フィルタ出力オーディオ信号を生成するように構成される。信号コンバイナは、フィルタ入力オーディオ信号とフィルタ出力オーディオ信号を組み合わせて、前述のデジタルフィルタシミュレータの結合オーディオ信号を生成するように構成される。既存のダイナミックレンジプロセッサーは、フィルタ出力オーディオ信号に対してダイナミックレンジ補正を実行するように構成されており、かつダイナミックレンジ補正は結合オーディオ信号と非線形の関係にある。
【0024】
一実施例では、上記のデジタルフィルタは、フィルタ出力オーディオ信号によって駆動されるスピーカーで発生する共振効果を部分的に補正するように構成される。信号コンバイナは、フィルタ入力オーディオ信号に対して第1の重みを実行し、フィルタ出力オーディオ信号に対して第2の重みを実行し、結合信号をダイナミックレンジプロセッサーに出力するように構成される。ダイナミックレンジプロセッサーは、共振効果を補正するように構成される。
【0025】
上記のように、ここで開示された技術は設定可能であり、別の実施例では、第1の重みおよび第2の重みの一方または両方が、各デバイスモデルに対して設定可能である。例えば、ここで開示された解決方法は、第1の重みおよび第2の重みが異なる組み合わせを形成するように選択される、設定可能なデジタルフィルタシミュレータ状態テーブルを提供し得る。また、さまざまな可能な組み合わせにより、信号補正回路の能力が大幅に強化される。例えば、デジタル信号処理操作の実行、スピーカーの欠陥を克服、下位互換性とテスト機能。また、一実施例では、ここで開示された設定可能なデジタルフィルタシミュレータは、バンドパスフィルタ(BPF)として構成される。別の実施例では、ここで開示された設定可能なデジタルフィルターシミュレーターは、バンドストップフィルター(BSF)として構成される。
【0026】
オーディオ制御は、デジタルフィルタシミュレータとダイナミックレンジプロセッサーとを組み合わせた解決方法によって提供される。この方法は、デバイスで使用可能なデジタルフィルターを使用する設定可能なデジタルフィルターシミュレーターで構成される。ここで開示された技術は、低複雑性、低コンピューティング、および電力要件を維持しながら、消費者向けデバイスで改善されたオーディオ品質制御を提供する需要を満たす。
【0027】
スピーカー補正のための周波数応答およびダイナミックレンジ複合補正器
【0028】
上記のように、いくつかの消費者デバイスにおいて、スペクトル的に均一な入力オーディオ信号でも、特定の周波数でスピーカーの共振を生じる場合がある。共振振幅が入力信号振幅の線形関数である場合、デジタルフィルタを使用することにより、オーディオ共振をより簡単に低減できる。例えば、相対ピーク共振がSデシベルであると仮定すると、共振周波数で(-S)[dB]ノッチの周波数応答を持つデジタルフィルタは、オーディオ共振を排除することで問題を解決できる。このように、デジタルフィルターはスピーカーによって生じた共振効果に対して部分的な補正を実行できる。
【0029】
ただし、多くの場合、入力信号の振幅が小さいと共振が弱くなり、入力信号の振幅が大きくなるにつれて共振が大きくなる傾向があるため、Sは固定値ではない。共振(Sデシベル)と入力信号の振幅との依存性および関連性を補償するために、デジタルフィルターとダイナミックレンジプロセッサーの組み合わせが機能的に必要であるため、本発明の開示された実施例なしに、ダイナミックレンジプロセッサーの入力経路上に専用のデジタルフィルタを含むデバイスが必要である。このようにして、ダイナミックレンジプロセッサーは、共振効果の相補補正を実行できる。
【0030】
図1は、本発明の実施例による、設定可能なデジタルフィルタシミュレータ(DF-mimic)20およびダイナミックレンジプロセッサー22を有する信号補正回路25を含むオーディオ処理デバイス10を概略的に示すブロック図である。オーディオ処理デバイス10は、携帯電話、コンピュータ、ゲームコンソール、またはステレオシステムなど、オーディオ信号を出力するための任意の適切なシステムまたはデバイスで使用することができるので、ここはただいくつかの選択を挙げている。
【0031】
オーディオ処理デバイス10は、フィードフォワードトポロジー設計を有し、分析されたフィルタ入力オーディオ信号111に応答して、ダイナミックレンジ補正(例えば、補正ゲイン係数222を適用する)が計算され、実行されて出力オーディオ信号333が生成されるため、望ましくない共振効果を大幅に抑制することができる。
【0032】
より詳細には、信号補正回路25は、設定可能なデジタルフィルタシミュレータ20を含み、これは、ダイナミックレンジ補正器(ダイナミックレンジプロセッサー)22の入力として、結合オーディオ信号220を出力する。結合信号に応答して、ダイナミックレンジプロセッサー22は、信号補正回路25内の信号補正回路の出力の補正ゲイン係数222を計算する。図示の実施例では、設定可能なデジタルフィルタシミュレータ20は、線形デジタルフィルタ12および信号コンバイナ19によって実装されるため、ここで開示された信号補正回路25の機能を実行することができる。
【0033】
図1の非限定的な例に示されているように、線形デジタルフィルタ12は、一般に、二次フィルタ、または一般に、「ダイレクトフォーム1」(Direct Form 1、DF1)または「ダイレクトフォーム2」(Direct Form 2、DF2)または同様のタイプである。一般的に言えば、線形デジタルフィルタ12、または使用される他のフィルタータイプは、イコライザーユニット(図示せず)内のフィルターのセットの1つである。線形デジタルフィルタ12は、フィルタ入力オーディオ信号111の等化およびスピーカー共振の部分的補正の実行など、オーディオ処理デバイス10において二重の役割を果たす。パラレルおよび線形デジタルフィルタ12などの他のイコライザーユニットフィルターを使用して、他のオーディオ品質の問題を解決することもできる。例えば、他の利用可能なデジタルフィルターを構成可能なデジタルフィルターシミュレーターに含めて、他の周波数で発生する前述のスピーカーの他の共振を解決することができる。
【0034】
上記のように、示された実施例において、オーディオ処理デバイス10は、フィルタ入力オーディオ信号111(「ドライプレLDF」信号とも呼ばれる)とフィルタ出力オーディオ信号113(「ウェットポストLDF」信号とも呼ばれる)とを組み合わせるように構成された、デジタルフィルタシミュレータ20の結合オーディオ信号220を生成する信号コンバイナ19を含むため、専用デジタルフィルタの追加を回避することが可能である。図2に示すように、線形デジタルフィルタ12の入力信号と出力信号にそれぞれ図2で説明した第1の重みGdと第2の重みGwを掛けた後、2つの信号を結合する(例えば、加算器18を介して)。
【0035】
デジタルフィルタシミュレータ20の結合オーディオ信号220に応答して、ダイナミックレンジプロセッサー22は、フィルタ出力オーディオ信号113に対してダイナミックレンジ補正(例えば、補正ゲイン係数222の適用)を実行するように構成され、ダイナミックレンジ補正は、結合オーディオ信号220とは非線形関係である。図4に示すように、最終的なオーディオ出力(図4に示す)は、信号補正回路25に専用のバンドパスフィルタが追加されている場合と基本的に同じである。専用バンドパスフィルタは信号コンバイナ19よりもかなり多くの部品数を含み、そして単一のデバイスに複数の専用バンドパスフィルタが必要であるため、ここで開示された技術は多くのハードウェアおよびソフトウェアリソースを節約できる。
【0036】
より理解されるために、図1の例示的な実施例は、例として、簡略化された方法で示されている。例えば、ここで開示された技術は、他のタイプのデジタルフィルターを使用することができる。例えば、単極フィルター、3極フィルター、またはその他の数の極フィルター、ローパスフィルター、任意の次数のバンドパスフィルター、有限インパルス応答フィルターなど。より理解されるために、イコライザーユニットおよびオーディオ増幅ステージの他の部品など、オーディオ処理デバイス10の追加の要素の説明は省略されている。
【0037】
様々な実施例において、適切なハードウェアを使用して、図1に示されるオーディオ処理デバイスの異なる構成要素を実行することができる。例えば、1つまたは複数の個別の部品、1つまたは複数のアプリケーション固有の集積回路、および/または1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイが使用される。ここで開示されたオーディオ処理デバイスのいくつかの機能は、例えば、デジタルフィルタシミュレータ20およびダイナミックレンジプロセッサー22の機能のいくつかまたはすべては、本明細書に記載の機能を実行するようにソフトウェアでプログラムすることができる1つまたは複数の汎用プロセッサーで実行することができる。例えば、ソフトウェアは、インターネットまたはホストから電子形式でプロセッサーにダウンロードすることができ、あるいは、代替的または追加的に、ソフトウェアを非一時的な有形媒体、例えば、磁気、光学、または電子メモリに提供および/または保存することができる。
【0038】
図2は、本発明の実施例による、図1の設定可能なデジタルフィルタシミュレータ20に含まれる信号コンバイナ19の状態表である。図に示すように、状態テーブルには、デジタルフィルタシミュレータ20を構成するための3つのモード(A、B、C)が含まれている。状態テーブルには、例として0または±1として選択された第1の重みGdと第2の重みGwの値が含まれている。
【0039】
Gdを+1に、Gwを-1(ステータステーブルの「モードB」)に設定すると、デジタルフィルタシミュレータ20のバンドパスフィルターのような応答曲線が生成され、線形デジタルフィルタ12が適切に選択される。例えば、ダイレクトフォーム1(デジタルフィルター1)またはダイレクトフォーム2(デジタルフィルター2)フィルターを選択し、選択したフィルターをノッチフィルターとして設定する。「Bモード」で実施されるバンドパスフィルタの応答は、一般に、ダイナミックレンジプロセッサー22によって入力される最も望ましい形状である。結果として得られるバンドパスフィルタ特性(入力ダイナミックレンジプロセッサー22として使用される)は、他の周波数と比較して、共振周波数に特に敏感である。
【0040】
しかしながら、ユーザは、デジタルフィルタシミュレータ20が線形デジタルフィルタ12と同じ出力を出力するように、重みGdおよび重みGwが設定される「Aモード」を依然として使用したい。これは、線形フィルターがダイナミックレンジプロセッサーの前に配置される既存のシステムの設計と同じであり、解決方法が十分に優れている場合は、下位互換性のために使用できる。
【0041】
別のオプションは、「Cモード」を使用することであり、このモードにおいて、重みGdおよび重みGwは、デジタルフィルタシミュレータ20がダイナミックレンジプロセッサー22に周波数フラット入力を提供できるように設定される。これは、ダイナミックレンジコンプレッサーの後に線形フィルターを配置する既存のシステムの設計と同じであり、解決方法が十分に優れている場合は、下位互換性のために使用できる。
【0042】
これらの3つのモードにより、ユーザは、既存のオーディオ処理デバイス10を3つのモードのうちの1つで動作するように容易に設定することができる。
【0043】
Bモード:共振周波数に敏感
【0044】
Aモード:ダイナミックレンジコンプレッサーの前に、線形フィルターをシミュレーション(カスケード設計)
【0045】
Cモード:ダイナミックレンジコンプレッサーの後に、線形フィルターをシミュレーション(カスケード設計)
【0046】
これらの3つのモードは、デバイスに最小限の部品数を追加してオーディオ処理デバイス10を形成する(主に信号コンバイナー19を形成する)ことによって実装され、その結果、計算リソースの要求が低くなり、機能の柔軟性が高くなる。
【0047】
一般的に言えば、第1の重みGdと第2の重みGwは他の値を持つ場合があり、且つ第1の重みGdと第2の重みGwの値に依存して、構成可能なデジタルフィルタシミュレータ20は、ストロングバンドパスフィルタ(強いBPF)(例えば、「Bモード」の後)とストロングバンドリジェクトフィルタ(例えば、「Aモード」の後)との間の任意の特性を有するように事前設定することができる。
【0048】
より明確するために、上記の処理方法は主に一般的な用語で示されている。補足として、図3および図4は、重要なパラメーター(non-trivial parameters)を使用することによるいくつかの特定の実用的な実施例を提供し、さらに、ここで開示された技術を使用して実際のデバイスの出力を反映するために標準スペクトルアナライザーで測定されたリアルタイム結果を提供する。
【0049】
この段落で説明するすべての結果は、業界で標準として認識されているAudio Precision AP525オーディオアナライザー(リアルタイム)によって測定される。以下の結果には、本発明の2つの実施例の周波数応答(FR)およびダイナミックレンジ(DR)の測定値が含まれる。この測定値は、Windows(登録商標)10コンピューターのソフトウェアで実行され、リアルタイムオーディオ設計ツールで実行される。
【0050】
図3は、本発明の実施例による、フィルタ入力信号特性(1111)およびフィルタ出力信号特性(1131)ならびに実際の結合信号2201のグラフである。
【0051】
図3において、オーディオ処理デバイス10は、1[KHz]の周波数で発生するオーディオ共振を補正するように構成され、例えば、上記のデバイスケーシングの欠陥により、フラットな入力信号1111が生成される。与えられた例では、他の周波数領域に影響を与えることなく、1[KHz]周波数領域の出力信号を(-20)[dB]以下に減衰させる必要がある。
【0052】
さらに、入力信号の全ダイナミックレンジに沿って、1[KHz]の特定の周波数領域は、少なくとも10[dB]だけ減衰されるべきである。この非限定的な例では、入力が(-30)[dB]を超えると、共振ノイズがさらに顕著になる。
【0053】
この設計要件を要約すると、この場合のデバイスは、以下の方法でシステムを制限することができる必要がある:
【0054】
1[KHz]を除くすべての周波数は、周波数応答またはダイナミックレンジに制限がない。
【0055】
1[KHz]の周波数領域での振幅は、最大入力(例えば、0[dB])であっても、(-20)[dB]を超えてはならない。
【0056】
入力レベル(約1[KHz]周波数)が(-30)[dB]よりも低い限り、1[KHz]周波数領域は、(-10)[dB]の線形減衰を有するべきである。
【0057】
したがって、オーディオ処理デバイス10は、特に共振振幅が大きくなりすぎる場合に、共振周波数の近くで出力オーディオ信号333の出力振幅のみを低減すべきである。
【0058】
図3に示される上記の要件を満たす結合信号2201を実現するために、デジタルフィルタの十分に高いQ係数を選択することによって(この場合、Qを12に設定する)、このデバイスには、1[KHz]でゲインが(-10)[dB]である線形デジタルフィルターが配置されており、信号1131に示すようにノッチ周波数応答曲線が生成される。
【0059】
ハイパスフィルタアナログ周波数応答を提供するように構成されたデジタルフィルタシミュレータ20を使用することにより、ダイナミックレンジコンプレッサー22は、共振を減衰するように構成され得る。特に、ダイナミックレンジコンプレッサー22は、部分的に減衰された共振オーディオ共振をさらに減衰させるために、乗算器30によって使用される補正ゲイン係数222を出力するように構成される。
【0060】
この結果を達成するために、DRPパラメーターは次のように設定される:閾値=(-30)[dB]且つ比率=1:1.5、ダイナミックレンジプロセッサーの入力/出力比は、信号強度が閾値レベルおよび圧縮比よりも高い信号を決定する。説明しやすくするために、プレゲイン(pre-gain)、ポストゲイン(post-gain)、アタック(attack)、リリース(release)、屈曲点(knee)などの他のダイナミックレンジプロセッサー設定についてはここでは省略する。
【0061】
図4は、本発明の実施例による、図3の結合信号2201を使用した、共振補正なし(すなわち、信号3330)および共振補正あり(すなわち、信号3331)の図1のデバイスの出力信号のグラフである。図に示すように、オーディオ処理デバイス10の出力信号3331は、1[KHz]で-30[dB]の屈曲点を有する(ダイナミックレンジプロセッサー22によって出力された補正ゲイン係数222による補正後)。補正されていない信号3330と比較して、-30[dB]より低い入力信号振幅の場合、出力信号3331は10[dB]だけ減衰される。そして、入力信号振幅が閾値を超えると、ダイナミックレンジプロセッサー22は、信号3331を徐々に減衰させて、-30[dB]と0[dB]入力振幅との間のスピーカー信号(図示せず)の増加した共振振幅を排除する。
【0062】
共振周波数以外の周波数を検出する場合(例えば、10[KHz]のオーディオ品質を検出する場合)、デジタルフィルタとRDCRの両方が無効であるため、信号3330と3333の等価値は実際には同じである。
【0063】
本発明のデバイスの柔軟性を証明するために、1[Khz]との共振を抑制する別の実装方法が提案されている。ここで開示されたデバイスは、(-35)[dB]を超える出力信号を与えてはならない。1[KHz]の特定の周波数領域では、入力信号のダイナミックレンジ全体で、信号を少なくとも15[dB]減衰させる必要がある。この追加の非限定的な例では、入力が(-40)[dB]を超えると、共振ノイズがますます顕著になる。
【0064】
上記の要件を満たすために、オーディオ処理デバイスは、1[KHz]で(-15)[dB]のゲインおよび12のQ係数を有する線形デジタルフィルタを備える。ダイナミックレンジプロセッサーのパラメータは、閾値=(-40)[dB]および比率=1:2に設定される。
【0065】
したがって、図5は、本発明の別の実施例による、共振補正なし(すなわち、信号4330)および共振補正あり(すなわち、信号4331)の図1のオーディオ処理デバイス10の出力信号のグラフである。
【0066】
図5に示すように、オーディオ処理デバイス10の出力信号4331は、1[KHz]で-40[dB]の入力信号振幅の屈曲点を有する(ダイナミックレンジプロセッサー22によって出力された補正ゲイン係数222による補正後)。未補正信号4330と比較して、入力信号振幅が-40[dB]未満の場合、出力信号4331は15[dB]減衰される。そして、入力信号振幅が閾値を超えると、ダイナミックレンジプロセッサー22は、信号4331を徐々に減衰させて、-40[dB]と0[dB]入力振幅の間のスピーカー信号(図示せず)の増加した共振振幅を排除する。
【0067】
図6は、本発明の実施例による、オーディオ出力信号を補正するために図1のオーディオ処理デバイスを使用する方法を概略的に示すフローチャートである。本発明の実施例によれば、アルゴリズムは、オーディオ処理デバイス10の線形デジタルフィルタ12からのフィルタ入力オーディオ信号111をフィルタリングするプロセスを実行して、デジタルフィルタリングステップ60においてフィルタ出力オーディオ信号113を生成する。
【0068】
信号重み付けステップ62において、信号コンバイナ19は、第1の重みGd(例えば、フィルタ入力オーディオ信号に第1の重みGdを掛ける)をフィルタ入力オーディオ信号に適用し、第2の重みGw(例えば、フィルタ出力オーディオ信号に第2の重みGwを掛ける)をフィルタ出力オーディオ信号に適用する。次に、信号結合ステップ64において、信号コンバイナ19は、加算器18を使用して、重み付けされた信号を結合する。
【0069】
ダイナミックレンジプロセッサーの入力ステップ66において、加算器18は、結合信号(120)をダイナミックレンジプロセッサー22の入力ポートに出力し、そして、補正ゲイン適用ステップ68では、乗算器30を使用してオーディオ共振を抑制することにより、結合オーディオ信号に応じて、フィルタ出力オーディオ信号113に補正ゲイン係数122が適用される。
【0070】
本明細書に記載の実施例は、主に消費者レベルのデバイスのオーディオ処理を目的としているが、本明細書に記載の方法およびシステムは、他の用途にも使用することができる。例えば、スピーカー内蔵の楽器のデジタルピアノ、ポータブルオーディオ(PA)システム、プロオーディオ用の増幅スピーカー(スタジオモニター)など。
【0071】
したがって、上述した実施例は例として記載されたものであり、本発明は、上記具体的に示されて説明されたものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上述した様々な特徴の組み合わせ及び部分的な組み合わせ、ならびに前述の説明から当業者に想到し得る従来技術に開示されていない変形及び修正を含む。本特許出願において参照により援用される文献は、本出願の一部であるとみなされるべきであり、これらの組み込まれた文献において、本明細書に明示または示唆された定義と矛盾する場合、本明細書に定義さらたもののみが考慮されるべきである。
【符号の説明】
【0072】
10:オーディオ処理デバイス
111:フィルタ入力オーディオ信号
113:フィルタ出力オーディオ信号
12:線形デジタルフィルタ
120:結合信号
18:加算器
19:信号コンバイナ
20:デジタルフィルタシミュレータ
22:ダイナミックレンジプロセッサー(ダイナミックレンジ補正器、ダイナミックレンジコンプレッサー)
220:組合オーディオ信号
222:補正ゲイン係数
25:信号補正回路
30:乗算器
333:出力オーディオ信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6