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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】クリートを有するコンベヤベルト
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/42 20060101AFI20220707BHJP
【FI】
B65G15/42 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021016177
(22)【出願日】2021-02-04
(62)【分割の表示】P 2019517760の分割
【原出願日】2017-04-12
(65)【公開番号】P2021066608
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】15/177,960
(32)【優先日】2016-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518435437
【氏名又は名称】イントラロックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ハニーカット,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】モル,エドワード ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクソン,ダニエル
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実公昭47-013326(JP,Y1)
【文献】実開昭51-135387(JP,U)
【文献】特開昭61-145005(JP,A)
【文献】特開昭59-186815(JP,A)
【文献】特公昭42-18537(JP,B1)
【文献】実開昭57-162207(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤベルト(50)であって、
積載面(106)を有する本体部分(102)と、
該ベルトの前記本体部分の前記積載面から、該ベルトの進行方向に対して横断方向に延在するクリート(108)と、
を備え、
前記クリート(108)は、該クリートの表面に対して鋭角に延在するスロットによって分割されたセグメント(112、114)を有し、該ベルトの前記進行方向に対して平行な軸の周りでの前記本体部分の曲げを容易にし、各スロットは、前記クリートの遠位縁部から、前記積載面近くに形成されたU字形の切れ目を有するスロット拡張部まで延在し、一対の該スロット拡張部は、一対の該スロットにより画成された各クリートセグメント(112,114)の近位部において該クリートセグメントの捩れを容易にするネック(122)を形成している、コンベヤベルト。
【請求項2】
前記クリートは、遠位部よりも近位部の方が厚い、請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項3】
前記近位縁部において足部を備える、請求項2に記載のコンベヤベルト。
【請求項4】
前記スロットによって画定されるセグメントは、互いに対して捻れるようにされている、請求項1からのいずれか1項に記載のコンベヤベルト。
【請求項5】
隣接するセグメント間の摩擦を低減する手段を更に備える、請求項1からのいずれか1項に記載のコンベヤベルト。
【請求項6】
前記クリートは、前記横断方向において弧状に延在している、請求項1からのいずれか1項に記載のコンベヤベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2016年6月9日に出願された米国特許出願第15/177,960号の利益を主張する。この米国特許出願は、引用することによってその全体が本明細書の一部をなす。
【0002】
本発明は、コンベヤ用の無端ベルトに関し、より詳細には、少なくとも1つの側壁を有する無端ベルトに関する。
【背景技術】
【0003】
コンベヤに熱可塑性ベルトを使用することが知られている。概して、それらのベルトには、2つの一般形態である、平坦又は歯付きの形態がある。平坦ベルトは、概して、摩擦駆動式であり、歯付きベルトは、プーリー又はスプロケットによって駆動される。
【0004】
特に食品業界において、平坦ベルトに側壁を付加することが知られている。側壁は、通常、積載物をベルト上に保持するのに役立つように、ベルト表面に対して垂直に延在する壁である。通常、ベルト上で互いに離間して長手方向に延在する2つの壁が存在し、それにより、これらの壁の間に積載物を収容することができる。プーリー又はノーズバーをベルトで覆うことができるように、側壁は、スロットを有するか又はコルゲート状である。コルゲート状側壁を有する例示的な従来技術のベルト1が図1に示されており、ここでは、ベルトの本体部分2がプーリー4を覆っている。本体部分は、積載面6及び駆動面7を有する。側壁8は、積載面6から延在し、コルゲート状になっている。すなわち、それぞれの側壁は、折り畳まれてアコーディオンのような形状になっている。本体部分2が、プーリー4と駆動面7との摩擦係合によって駆動される従来の様式で、プーリー4の一部を覆うか又はその周りに折り曲げられる場合、コルゲート状側壁8の上部は、折曲げに沿うように広がる。
【0005】
コルゲート状側壁を有する既知のベルトには、限界及び問題が存在している。例えば、逆曲げ、すなわち、積載面がプーリーを覆うか又はその周りに折り曲げられる場合は、コルゲート状側壁とともに小さい半径に適合することが困難である。なぜなら、側壁の高さが、逆曲げの半径に影響を与えるようになっているためである。側壁が高いほど、プーリーを効果的に覆うのに必要な半径が大きくなる。コルゲート状側壁に伴う別の問題は、コンベヤベルト上の内容物がひだ部内に捕捉される場合があるため、清掃が大変になることである。また、逆曲げでは、特に比較的小さな曲げ半径の場合に、ひだ部の頂部がより多く摩耗する傾向にある。また、スクレーパーがひだ部及びコルゲート状側壁の動きに適合しなければならないため、ベルトの掻き取りにおいていくらか有効性が損なわれる。さらに、コルゲート状側壁は、ベルトの表面において比較的大きなフットプリントを有する傾向にあり、それにより、積載物を収容するためにより幅広のベルトが必要となる。コルゲート状側壁は、ベルトにかなりの重量を付加するため、取扱いが困難になるとともに、より多くのエネルギーが動作のために必要となる。
【0006】
コルゲート状でない側壁を有する例示的な従来技術のベルト10が、図2及び図3に示されている。このベルト10は、本体部分11と、積載面12と、駆動面14とを有する。側壁30は、積載面12から延在し、互いに規則的な間隔で離間した複数のスロット32を有する。各スロット32は、側壁30の頂縁部33から側壁と積載面12との接合部のすぐ上の点34まで延在する。図3に示すように、本体部分11が、プーリー40と駆動面14との摩擦係合によって駆動される従来の様式で、プーリー40の一部を覆うか又はその周りに折り曲げられる場合、側壁30の上部がスロット32において引き離され、折曲げを容易にする。この構成では、矢印46によって示されている方向に無端ベルト10が進行すると、本体部分11のプーリー40間の範囲で積載面12上の積載物を搬送する。側壁30におけるスロット32により、本体部分11がプーリー40を覆うか又はその周りに折り曲げられる際、側壁が積載面12に対して概ね垂直を保つことが可能である。
【0007】
しかしながら、コルゲート状でない側壁を有する既知のベルトにも、限界及び問題が存在している。例えば、側壁の上部の各スロットに隣接する縁部は、逆曲げでは、互いにすれ違うのではなく、互いに当接する傾向にある。また、スロットの「根元」(34)は、適切に設計されなければ、折曲げ中のスロット32の開閉動作に起因して「亀裂伝播」を生じやすい。スロット32の角度は、スロット32が側壁に対して垂直、すなわち90度の角度で切り込まれているため、「自浄」を促すものではなく、かつ食品が挟まってしまう。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、積載面を有する本体部分と、本体部分の積載面から延在するコルゲート状でない側壁とを備えるコンベヤベルトを提供することにより、上述の問題を解決する。コルゲート状でない側壁は、ベルトの進行方向に対して平行な長手方向表面を有し、また、ベルトの進行方向に対して垂直な軸の周りでの本体部分の逆曲げを容易にする、長手方向表面に対して鋭角に延在するスロットを有する。各スロットは、側壁の遠位縁部から、積載面における側壁の近位縁部に対して離間した点まで延在し、一対のスロット拡張部が、スロットがこの点を越えて広がることを最小限にするために、この点から反対方向に延在する。
【0009】
好ましくは、各スロットは、ベルトの進行方向に対して前方のスロット面と後方のスロット面とによって画定され、上記鋭角は、後方のスロット面と隣接する長手方向表面との間の角度である。前方のスロット面と後方のスロット面とは、切り溝によって分離することができる。各スロットは、側壁の遠位縁部から、積載面及び側壁の近位縁部に対して離間した点まで延在することが好ましく、この点には、スロットが端点を越えて広がることを最小限にするために、穴又は応力逃し構成部が配置されている。
【0010】
代替的には、側壁は、近位縁部に足部を有することができるか、又は近位縁部から遠位縁部までの厚さにテーパーを付けることができる。前方のスロット面と後方のスロット面との間の摩擦を低減するのに、いくつかの材料又は技法を用いることができる。このような手段の1つの実施形態として、より小さな鋭角を挙げることができる。別の実施形態として、前方のスロット面及び後方のスロット面における、より低い摩擦係数を挙げることができる。鋭角が「切り溝」の寸法の増大を可能にすることで、搬送能力を下げることなく、逆曲げ中の隣接面同士の接触が低減する。切り溝のサイズはまた、側壁がベルトの各サイクル中に倒れ、隣接セクションを押し倒し、切り溝から食品を取り除くのに役立つことにより、「自浄」作用を促進するように選択することができる。
【0011】
本発明の別の態様において、第2の側壁を、ベルト動作の間の膠着作用を防ぐために、上記側壁におけるスロットに対して互い違いのスロットを有して上記側壁のすぐ隣に配置することができる。
【0012】
本発明の別の実施形態において、スロット拡張部は、応力逃し構成部の代替的な実施形態として、側壁スロットの近位縁部におけるU字形の切れ目を有することができる。またこれにより、側壁に対し、比較的小さな曲げ半径をもたらすように逆曲げ中に重なり合うための柔軟性が与えられる。
【0013】
本発明の別の実施形態において、側壁は、列における各隣接セグメントと常に重なり合う複数の角度付きセグメントを有する。これにより、側壁の安定性が増し、従来の側壁を有するコンベヤよりも、特に逆曲げにおいて、より小さな半径で側壁を折り曲げることが可能になる。なぜなら、これらのセグメントは、各隣接セグメント間の抵抗又は当接作用がより小さくなるためである。また、セグメント間の隙間を排除することで、スロットに食品が挟まることが防止される。
【0014】
本発明の更に別の実施形態において、クリートが、ベルトの本体部分の積載面から、ベルトの進行方向に対して横断方向に延在し、クリートは、クリートの表面に対して鋭角に延在するスロットによって分割されたセグメントを有し、ベルトの進行方向に対して平行な軸の周りでの本体部分の折曲げを容易にする。各スロットは、クリートの遠位縁部から、積載面におけるクリートの近位縁部に対して離間した点まで延在し、一対のスロット拡張部が、スロットがこの点を越えて広がることを最小限にするために、この点から反対方向に延在する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】コルゲート状側壁を有する従来技術のコンベヤベルトを示す図である。
図2】コルゲート状でない側壁を有する従来技術のコンベヤベルトの一部の等角図である。
図3】2組のプーリーの間に設置されてコンベヤを形成する、図2の従来技術の無端ベルトの一部の等角図である。
図4】本発明の一態様に係る歯付き無端ベルトの一部の側面図である。
図5図4の線5-5に沿う部分図である。
図6図4の6で示した部分の拡大図である。
図7図6の線7-7に沿った部分図である。
図8】逆曲げにおいて係合した、図4の実施形態における無端ベルトの一部の側面図である。
図9】本発明の一態様に係る無端ベルトの第2の実施形態の一部の上面図である。
図10A】本発明の一態様に係る無端ベルトの第3の実施形態の一部の側面図である。
図10B】本発明の一態様に係る無端ベルトの第3の実施形態の一部の上面図である。
図11】本発明の一態様に係る無端ベルトの第4の実施形態の正曲げにおける斜視図である。
図12図11の第4の実施形態の一部の上面図である。
図13図11の第4の実施形態による側面図の一部の拡大図である。
図14図13の線14-14に沿う部分図である。
図15】逆曲げにおいて係合した、図11の実施形態における無端ベルトの一部の側面図である。
図16】本発明の一態様に係るセグメント化されたクリートを備える無端ベルトの等角図である。
図17】クリートを示す、図16の無端ベルトの一部の上面図である。
図18図16によるクリートの部分等角図である。
図19】折り曲げられるセグメント化された側壁も示す、本発明の一態様に係るセグメント化されたクリートを備える無端ベルトの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
再び図面を参照すると、図4は、本発明の1つの態様に係る熱可塑性無端コンベヤベルト50の一実施形態を示している。典型的にはPebax(商標)樹脂、ポリエステル、又はポリウレタン等の熱可塑性材料製であるベルト50は、積載面54及びプーリー面56を有する本体部分52を有する。さらに、本体部分52は、2つの側縁部58を有する。この実施形態では、クリート60が、製品のハンドリングのための構成部として積載面54から突出している。他の実施形態では、積載面54は、十分に平滑で不連続部が存在しない場合もあり、他の構成部を含む場合もある。例えば、本体部分52は、クリートがなくてもよく、積載面54上に視覚的な標示を有するようにしてもよい。
【0017】
図5は、積載面54の側縁部58のそれぞれから延在する、積載面に対して概ね垂直な側壁62を有する本体部分52を示している。側壁62は、側縁部58から延在することに限定されないことが理解されよう。換言すれば、側壁62は、所望に応じて側縁部から内方に離間させることができる。また、本発明に係るベルトは、特定の駆動機構に限定されないことが理解されよう。換言すれば、ベルト50は、図1図3に示されているものと同様の平坦ベルトとすることもでき、図4に示されているような歯付きベルトとすることもできる。これに関して、ベルト50は、プーリー面56上で互いに離間した複数の歯64を更に備える。
【0018】
スロット66は、本体部分52が駆動プーリーを覆うか又はその周りに折り曲げられることが双方向に可能であるように、側壁62に配置される。側壁62は、別個に形成して、後から本体部分52に取り付けることもでき、押出成形のように本体部分52と一体的に形成することもできる。側壁62が別個に形成されて、後から本体部分52に取り付けられる場合、本体部分52と側壁62とは、異なる材料から作製することができる。例えば、側壁62は、ポリウレタン等の、本体部分52よりも硬質の材料から作製することができる。真っ直ぐな側壁62の場合、コルゲート状側壁を作製するのに本来必要となるよりも少ない材料が必要とされる。また、これらの側壁は、コルゲート状側壁に比べて側壁62の重量が低減されていることから、従来のコルゲート状側壁よりもより高く作製することができる。例えば、側壁62は、4ミリメートル厚のポリウレタンによる3インチ(76.2mm)の高さのストリップから作製することができる。したがって、側壁62は、レーザー溶接又はRF溶接又は熱風溶接等の技法を用いて、積載面54又は本体部分52の側縁部58に溶接することができる。このことは、透明ポリウレタン等の透明又は半透明の材料が側壁62に用いられる場合、特に有益である。側壁62は、共押出成形又は冷間溶接することもできる。側壁は、折曲げ中及び通常の製品の移動時に、製品の解放又は搬送を向上させるように設計された「表面テクスチャー」を有することもできる。
【0019】
側壁は、最大約7mm厚に作製することができることが好ましいと考えられる。側壁62がより高くなると、折曲げの間直立状態を保つように、側壁62をより厚くしなければならない。いくつかの場合、側壁62は、積載面54に接合する近位縁部70がより厚く、遠位縁部、すなわち頂縁部72がより薄くなるように、テーパーを付けることができる。また、足部を側壁の接合部及び積載面に付加して、側壁の安定化及び強化に役立てることができる。
【0020】
スロット66は、側壁の構造的完全性を損なわずに、ベルト50がプーリーを覆うか又はその周りに折り曲げられることを可能にする距離を置いて互いに離間している。したがって、細径のプーリーの周りにベルト50が折り曲げられる場合、スロット66は、ベルトがより大径のプーリーを覆う場合よりも互いに近い間隔を有することになる。これは、図8に見て取ることができる。
【0021】
図4に示されている実施形態では、スロット66は、およそ1インチ(25.4mm)置きに配置され、直径6.5インチ(165.1mm)以上のプーリーの周りを覆うことができる。また、この実施形態では、各スロット66は、積載面54に対して垂直に、各側壁62の遠位縁部72から、側壁62と積載面54との接合部に対して離間した穴74等のスロット拡張部まで延在する。スロット66は、切り溝を有して形成しても切り溝を有さずに形成してもよく、好ましくは切り溝をほとんど又は全く有さずに形成してもよい。穴74は、側壁62の取付け面に至る全高にスロット66が広がることを防止するものであり、そのため、切り溝がある場合、穴74は、各スロットの切り溝よりも大きな直径を有することが好ましい。穴74は、図2の従来技術において示されているようなスロットの切先端に比べて応力の低減ももたらす。図2では、スロットは、亀裂、ひいては側壁62全体への亀裂伝播を助長し得る。例えば、切り溝を有しないか又は幅1/8インチ(3.2mm)未満の切り溝を有するスロットの場合、直径1/8インチ(3.2mm)の穴74を、側壁62と積載面54との接合部から1/4(6.4mm)インチ離して配置することができる。
【0022】
この実施形態では、側壁62は、各側縁部58から延在するが、積載面54の任意の部分から1つ以上の側壁62が延在することが本発明の範囲内にある。例えば、単一の側壁62が、積載面を長手方向に分断するように積載面54の中央から延在することができる。また、3つの側壁62を積載面54上に配置し、ベルトの本体部分52上に2つの隣接するレーンを形成することができる。さらに、側壁62は、長手方向に必ずしも連続している必要はない。側壁62は、特定の用途では不連続とすることができる。
【0023】
ここで、図6図8も参照すると、スロット66は、側壁62及びベルト50の長手方向に対して鋭角αで側壁62に延在することを見て取ることができる。したがって、側面から見ると、各スロット66には、切り溝(図6を参照)が存在するにもかかわらず、目に見えるスペースがないことになり得る。スロット66の更なる細部は、図6及び図7に見て取ることができる。角度αは、側壁62の内向面76に対して鋭角であることが好ましい。したがって、各スロット66は、対向するスロット面78、80によって画定され、スロット面78、80のそれぞれは、隣接する内向面76に対して角度αで配置される。スロット66は、内向面76に対する角度αがベルトの進行方向(図5の矢印Aによって示す)とは反対を向き、食品が側壁62に捕捉されることを防ぐように配置されることが好ましい。したがって、一方のスロット面78が通常は前方となり、他方のスロット面80が通常は後方となる。それにより、面76は、各スロット66によって生じるような支障を最小限とするようにして、スクレーパー82によって掻き取ることができる。スクレーパーがスロット66に近付いたときに内向面76を掻き取ろうとする場合、スクレーパーブレードは、後方のスロット面80に接触することでスロットを容易に通過し、隣接する内向面76へと容易に移行する。
【0024】
しかし、角度付きスロット66の最大の利点は、図8に示されているように、側壁62の隣接セグメントが、逆曲げ中に互いに対し容易に滑りすれ違うことができることである。逆曲げ中、対向するスロット面78、80は、互いに対して押し合わされることがわかる。側壁62の高さ及び曲げ半径は、対向するスロット面78、80間の接触を考慮せずに寸法決めすることができる。なぜなら、角度αは鋭角であるため、スロット面78、80は互いに滑りすれ違うようになっており、それにより、側壁62の隣接セグメントが互いに滑りすれ違うようにされるためである。これにより、こぼれ落ちの可能性が更に低減されるとともに、本体部分52をより一層柔軟にすることができる。逆曲げ中のすれ違いを容易にするために、角度αは、側壁62を含む材料の摩擦係数に対して適切に寸法決めすることができる。一般的に、摩擦係数がより高いほど、円滑なすれ違いを確保するために必要な角度αは小さくなる。例えば、側壁がゴム製である場合、角度αは、材料がポリウレタンである場合よりも小さくすべきである。また、何らかの摩擦低減コーティング又はテクスチャーをスロット面78、80に施して、摩擦を更に最小限に抑えることができる。
【0025】
図9は、側壁62のすぐ隣に配置することができる第2の側壁62’を有する第2の実施形態を示している。スロット66は、側壁62及び62’のスロットに関して互い違いになっている。そのため、例えば、図9に示されているように、ベルトの片側に2つの隣接する側壁62、62’があり、ベルトの反対側に同一の2つの隣接する側壁62、62’があることができる。このような構成は、側壁に更なる強度を与える。このような構成において、隣接する各側壁は、スロット66が、隣接する側壁のスロットと互い違いになるようにして、折曲げ中又は通常の製品の移動時に、側壁62、62’の膠着状態を防ぐことが好ましい。
【0026】
図10a及び図10bは、底部、すなわち、積載面54の近くのスロット66の近位端部において、U字形の切れ目75等のスロット拡張部を有する第3の実施形態を示している。各側壁セグメント63における2つのU字形の切れ目75は、側壁セグメント63を積載面54に取り付けている好ましくは約7mm厚のネック90を残している。U字形の切れ目75は、U字形の切れ目を妨害又は閉鎖することなく、側壁セグメント63を積載面54に対してシールすることができるように、可能な限り積載面54の近くにあることが好ましい。U字形の切れ目75は、側壁62の歪みを低減し、各セグメント63の捻れを可能にする。側壁62は、側壁62が折り曲げられていないときには直線を形成する。スロット66は、図5図8と同様に長手方向に角度が付けられているが、切り溝はほとんど乃至は全くない。この実施形態における側壁62は、高さが50mm以上であることが好ましい。
【0027】
図11図15は、第3の実施形態の変形である、本発明の第4の実施形態を示している。図11は、正曲げにおける側壁62を示し、複数の側壁セグメント63が隣接する各側壁セグメント63と重なり合うことが示されている。各セグメント63の重なり合いは、正曲げ時、近位角部が重なり合ったままになり、小さな曲げ半径の場合にセグメント63が隣接セグメント63からずれて離れることを防ぐようになっている。各側壁セグメント63は、角度付きスロット面79及び81を有し、各側壁セグメント63が重なり合った状態を保つようになっている。第3の実施形態と同様に、この実施形態は、各スロット66の底部の両側において、ベルトの進行方向に対して横方向に、U字形の切れ目75を有する。これにより、近位端部にネック90が形成され、ネック90は、コンベヤベルトが折り曲がる際に各側壁セグメント63が捻れて更に旋回することを可能にする。
【0028】
図12に示されているように、スロット面79及び81は、側壁62が形成する中心線から角度γをなす。各側壁セグメント63は、隣接する側壁セグメント63に対して平行であり、側壁62が形成する中心線から鋭角βだけ旋回している。角度βは、側壁セグメント63の厚さ及び幅に応じて決まり、この場合、厚さは好ましくは4mm~7mmである。幅は、コンベヤを折り曲げなければならないプーリーの半径に応じて決まる。側壁62は、ベルト50との共押出品として一部片で形成することができ、又は、各側壁セグメント63を、別個に作製して、ベルト50に取り付けることができる。側壁セグメント63が別個に作製される場合、ベルト50が真っ直ぐである間の重なりの量は、曲げ特性を大きくするために増大させることができ、側壁62がベルト50とは別個に作製される場合、無端ベルトの領域において、取付けが大幅に簡略化されることになる。ホットエアガン又ははんだごてを用いて側壁セグメント63をベルト50に溶接する間に、側壁セグメント63を捻れ状態に保つ治具を形成することができる。設置も、底部が直線になることで、(コルゲート状のものと比較して)大幅に簡略化されることになる。側壁62が積載面54とは別個に作製される場合、ベルト上に箱様の効果と、歯付きベルトにも平坦ベルトにも適合する可能性とをもたらすように、クリートを付加することがより容易である。側壁62は、好ましくは熱可塑性ポリウレタン、コポリエステル、又はPebax(商標)製であり、レーザー溶接又は溶剤溶接又はRF溶接又は熱風溶接等の技法を用いた溶接によって、積載面54に取り付けられる。熱可塑性ポリウレタンは、耐疲労性を与え、したがって亀裂伝播を最小限にする。各セグメント63の接触面は、折曲げ中の摩擦を低減するようにテクスチャー加工される。回転されるセグメント63は、折曲げ後の再位置調整に役立つ固有の力を有し、横方向の剛性を与える。セグメント63の重なり合いにより、逆曲げの際に積載面54に加わるトルクが生じる。図12に見て取ることができるように、右側及び左側の側壁62は、対向する側からこのトルクを相殺するために、対向する方向に位置決めされる。高負荷下での形態変化は、積載面54の中心における反りをもたらしやすい。トルクは、積載面54の中心を下方に押す方向に存在し、したがって、この反りやすさに抵抗し、平坦な積載面54を確保する。
【0029】
図15は、逆曲げにおける側壁62を示している。小さな半径での折曲げの間、大きな量の重なりが生じることを見て取ることができる。各側壁セグメント63は、逆曲げ中に、隣接する側壁セグメント63と重なり合い、そして、コンベヤ上で真っ直ぐな状態に戻ると、元の僅かに重なり合った位置へとスライドして戻る。さらに、U字形の切れ目75があるために、側壁セグメント63の材料における疲労が最小限でこの柔軟性が生じる。
【0030】
本発明の一態様の他の実施形態が、図16図19に示されている。図16は、プーリー104を覆う平坦ベルトの本体部分102を示している。本体部分102は、積載面106及び駆動面107を有する。駆動面は、プーリーに係合し、プーリーによって駆動される。駆動面107が平坦である場合、本体部分102は、プーリー104との摩擦によって駆動される。駆動面107が歯又は凹部(図示せず)を有する場合、本体部分102は、プーリー104における対応する凹部又は歯(図示せず)によって駆動される。少なくとも1つのクリート108は、本体部分102の縁部と縁部との間に横断方向に積載面106から延在する。クリート108は、積載面106を完全に横切って延在してもよく、積載面106を部分的に横切って延在してもよい。クリート108は、上述したようにセグメント化され、すなわち、個々のセグメントが、図16に示されているように互いに折り重なることができる。クリート108は、好ましくは、面106から離れるように、面106に対して垂直に延在するが、他の角度も本開示の範囲内にある。クリート108は、横断方向に略真っ直ぐに延在するか、又は図16に示されているように弧状に延在することができる。さらに、クリート108は、例えば、積載面106上の製品がベルトの片側に向けられるように、本体部分102の進行方向110に対して横断方向に任意の角度で延在することができる。弧状のクリート108は、進行方向110に対して凹状であっても凸状であってもよい。
【0031】
図17は、図16の無端ベルトの一部の上面図を示しており、セグメント化されたクリート108を示すとともに、個々のセグメント112、114の対称的に互い違いにされた構成を更に示している。クリート108は、中央セグメント112と、中央セグメント112の両側から横方向に延在する複数の他のセグメント114とを有する。個々のセグメント112、114は、上述したようにスロットによって分割され、図7図10において記載及び図示のように(図17には示されていない)、互いに隣接して配置することができる。代替的には、個々のセグメント112、114は、図11図15及び図17において記載及び図示のように、連続的に捻れて近傍のセグメントに折り重なることができる。いくつかのセグメントを互い違いにし、いくつかのセグメントを互い違いにせずにおくこともできる。
【0032】
図18は、底部、すなわち、積載面106の近くのスロット面118の近位端部におけるU字形の切れ目116等のスロット拡張部を示している。各側壁セグメント120における2つのU字形の切れ目116は、側壁セグメント120を積載面106に取り付けているネック122を残している。U字形の切れ目116は、クリート108における歪みを低減し、各セグメント120の捻れを可能にする。クリート108は、側壁セグメント120が折り曲げられていないときには、直線又は弧を形成する。図19は、セグメント化された側壁62とセグメント化されたクリート108との2つの構想を同じコンベヤベルト124において組み合わせたものを示している。
【0033】
上述の記載は、直接駆動式の熱可塑性ベルトに関連してなされているが、本発明は、歯付きベルト及び補強ベルト等の他のタイプのコンベヤベルトにも等しく適用可能である。包括的に述べると、本発明は、本発明の或る特定の実施形態に関して具体的に記載されているが、これは、限定ではなく例示のためのものであり、添付の特許請求の範囲の範囲は、従来技術が許容する限り広範な解釈がなされるべきであることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19