(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】推論装置、推論システム、推論方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06N 5/04 20060101AFI20220707BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20220707BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20220707BHJP
G06Q 40/08 20120101ALI20220707BHJP
【FI】
G06N5/04
G06N20/00 130
G06Q50/30
G06Q40/08
(21)【出願番号】P 2021072822
(22)【出願日】2021-04-22
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】399106192
【氏名又は名称】三井住友海上火災保険株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 光穂
【審査官】多賀 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-195249(JP,A)
【文献】特開2009-128486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/00-99/00
G06Q 50/30
G06Q 40/08
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のユーザが乗用の移動体を運転する日において前記特定のユーザが前記移動体を運転していない時間帯に前記移動体の運転以外で活動した量に関連する活動量データを取得する取得部と、
任意のユーザの前記活動量データと、前記任意のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係の学習結果に基づき、前記取得部によって取得された前記特定のユーザの前記活動量データを新たな入力データとして、前記特定のユーザが前記事故および前記違反の前記少なくとも何れかを起こす可能性を推論する推論部と
を備える推論装置。
【請求項2】
前記移動体の運転以外で活動した量は、歩行距離、階段を上り下りした回数、立ち時間、膝を屈伸させた回数、上体を前屈、後屈、側屈または捻転させた回数、荷物を上げ下げした回数、および、人力で運んだ荷物の総重量、のうちの少なくとも何れかを含む、
請求項1に記載の推論装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記特定のユーザの身体に装着されたセンサで測定された前記活動量データを取得する、
請求項1または2に記載の推論装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記特定のユーザおよび前記移動体の少なくとも何れかの位置情報に基づいて、前記活動量データを推定する、
請求項1または2に記載の推論装置。
【請求項5】
前記移動体および前記特定のユーザはそれぞれ配送用トラックおよび配送業者であり、
前記取得部は、前記位置情報に基づいて、前記移動体を駐停車可能なスペースが少ないエリア、および、前記特定のユーザが荷物を担いで複数階を階段で行き来する必要があるエリア、の少なくとも何れかで前記特定のユーザが前記移動体の運転以外で活動したと判断した場合に、相対的に多い前記活動量データを推定する、
請求項4に記載の推論装置。
【請求項6】
前記特定のユーザの運転適性検査の診断結果に関連する診断データ、および、前記特定のユーザの属性に関連する属性データ、の少なくとも何れかの追加データを、前記特定のユーザのユーザ識別情報と紐付けて格納する格納部を更に備え、
前記取得部は、前記特定のユーザの前記ユーザ識別情報と共に前記活動量データを取得し、
前記推論部は、前記任意のユーザの前記活動量データおよび前記追加データと前記履歴との対応関係の学習結果に基づき、前記取得部によって取得された前記特定のユーザの前記活動量データ、および、前記取得部によって取得された前記特定のユーザの前記ユーザ識別情報に紐付けられて前記格納部に格納されている前記追加データを前記新たな入力データとして、前記特定のユーザの前記可能性を推論する、
請求項1から5の何れか一項に記載の推論装置。
【請求項7】
前記取得部は更に、前記特定のユーザが前記移動体を運転している時間帯に前記特定のユーザから検出された、瞬き、視線、表情、血圧、心拍、覚醒度、および、所作、のうちの少なくとも何れかに関連する生体データを取得し、
前記推論部は、前記任意のユーザの前記活動量データおよび前記生体データと前記履歴との対応関係の学習結果に基づき、前記取得部によって取得された前記特定のユーザの前記活動量データおよび前記生体データを前記新たな入力データとして、前記特定のユーザの前記可能性を推論する、
請求項1から6の何れか一項に記載の推論装置。
【請求項8】
前記取得部は更に、前記特定のユーザおよび前記移動体の少なくとも何れかの移動経路情報を取得し、
前記推論部は、前記任意のユーザの前記活動量データおよび前記移動経路情報と前記履歴との対応関係の学習結果に基づき、前記取得部によって取得された前記特定のユーザの前記活動量データおよび前記移動経路情報を前記新たな入力データとして、前記特定のユーザの前記可能性を推論する、
請求項1から7の何れか一項に記載の推論装置。
【請求項9】
前記推論部は、前記新たな入力データの種類と、前記対応関係および前記可能性の少なくとも何れかの用途と、の少なくとも何れかに応じて、推論の根拠がブラックボックス化されているものの推論精度が高い第1学習モデルと、推論の根拠がブラックボックス化されておらず人に理解されることが可能であるものの推論精度が低い第2学習モデルとのいずれか一方を使用する、
請求項1から8の何れか一項に記載の推論装置。
【請求項10】
前記第1学習モデルはGBDT(Gradient Boosting Decision Tree)であり、前記第2学習モデルはランダムフォレストである、
請求項9に記載の推論装置。
【請求項11】
前記推論部によって推論された前記可能性を、人に理解されることが可能な情報として出力する出力部を更に備え、
前記出力部は、前記推論部が前記第2学習モデルを使用した場合に、前記情報を前記推論の根拠と共に出力する、
請求項9または10に記載の推論装置。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項に記載の推論装置と、
前記特定のユーザの身体に装着され、前記特定のユーザの前記活動量データを測定して前記推論装置に送信するウェアラブル装置と
を備える推論システム。
【請求項13】
前記推論装置によって推論された前記可能性が予め定められた条件を満たす場合に、前記特定のユーザに警告する警告装置を更に備える、請求項12に記載の推論システム。
【請求項14】
特定のユーザが乗用の移動体を運転する日において前記特定のユーザが前記移動体を運転していない時間帯に前記移動体の運転以外で活動した量に関連する活動量データを取得する取得段階と、
任意のユーザの前記活動量データと、前記任意のユーザの事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係の学習結果に基づき、前記取得段階で取得された前記特定のユーザの前記活動量データを新たな入力データとして、前記特定のユーザが前記事故および前記違反の前記少なくとも何れかを起こす可能性を推論する推論段階と
を備える推論方法。
【請求項15】
コンピュータに、
特定のユーザが乗用の移動体を運転する日において前記特定のユーザが前記移動体を運転していない時間帯に前記移動体の運転以外で活動した量に関連する活動量データを取得する取得手順と、
任意のユーザの前記活動量データと、前記任意のユーザの事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係の学習結果に基づき、前記取得手順で取得された前記特定のユーザの前記活動量データを新たな入力データとして、前記特定のユーザが前記事故および前記違反の前記少なくとも何れかを起こす可能性を推論する推論手順と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推論装置、推論システム、推論方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「身体情報の異常値が検出された際に、その時点での位置情報を地図データ、道路データと関連させることにより、走行中のドライバー本人に対する安全運転支援を実現する」(段落0017)と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2018-195249号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、推論装置が提供される。推論装置は、特定のユーザが乗用の移動体を運転する日において特定のユーザが移動体を運転していない時間帯に移動体の運転以外で活動した量に関連する活動量データを取得する取得部を備えてもよい。推論装置は、任意のユーザの活動量データと、任意のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係の学習結果に基づき、取得部によって取得された特定のユーザの活動量データを新たな入力データとして、特定のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論する推論部を備えてもよい。
【0004】
移動体の運転以外で活動した量は、歩行距離、階段を上り下りした回数、立ち時間、膝を屈伸させた回数、上体を前屈、後屈、側屈または捻転させた回数、荷物を上げ下げした回数、および、人力で運んだ荷物の総重量、のうちの少なくとも何れかを含んでもよい。
【0005】
取得部は、特定のユーザの身体に装着されたセンサで測定された活動量データを取得してもよい。
【0006】
取得部は、特定のユーザおよび移動体の少なくとも何れかの位置情報に基づいて、活動量データを推定してもよい。
【0007】
移動体および特定のユーザはそれぞれ配送用トラックおよび配送業者であってもよい。取得部は、位置情報に基づいて、移動体を駐停車可能なスペースが少ないエリア、および、特定のユーザが荷物を担いで複数階を階段で行き来する必要があるエリア、の少なくとも何れかで特定のユーザが移動体の運転以外で活動したと判断した場合に、相対的に多い活動量データを推定してもよい。
【0008】
推論装置は更に、特定のユーザの運転適性検査の診断結果に関連する診断データ、および、特定のユーザの属性に関連する属性データ、の少なくとも何れかの追加データを、特定のユーザのユーザ識別情報と紐付けて格納する格納部を備えてもよい。取得部は、ユーザ識別情報と共に活動量データを取得してもよい。推論部は、任意のユーザの活動量データおよび追加データと履歴との対応関係の学習結果に基づき、取得部によって取得された特定のユーザの活動量データ、および、取得部によって取得された特定のユーザのユーザ識別情報に紐付けられて格納部に格納されている追加データを新たな入力データとして、特定のユーザの可能性を推論してもよい。
【0009】
取得部は更に、特定のユーザが移動体を運転している時間帯に特定のユーザから検出された、瞬き、視線、表情、血圧、心拍、覚醒度、および、所作、のうちの少なくとも何れかに関連する生体データを取得してもよい。推論部は、任意のユーザの活動量データおよび生体データと履歴との対応関係の学習結果に基づき、取得部によって取得された特定のユーザの活動量データおよび生体データを新たな入力データとして、特定のユーザの可能性を推論してもよい。
【0010】
取得部は更に、特定のユーザおよび移動体の少なくとも何れかの移動経路情報を取得してもよい。推論部は、任意のユーザの活動量データおよび移動経路情報と履歴との対応関係の学習結果に基づき、取得部によって取得された特定のユーザの活動量データおよび移動経路情報を新たな入力データとして、特定のユーザの可能性を推論してもよい。
【0011】
推論部は、新たな入力データの種類と、対応関係および可能性の少なくとも何れかの用途と、の少なくとも何れかに応じて、推論の根拠がブラックボックス化されているものの推論精度が高い第1学習モデルと、推論の根拠がブラックボックス化されておらず人に理解されることが可能であるものの推論精度が低い第2学習モデルとのいずれか一方を使用してもよい。
【0012】
第1学習モデルはGBDT(Gradient Boosting Decision Tree)であり、第2学習モデルはランダムフォレストであってもよい。
【0013】
推論装置は、推論部によって推論された可能性を、人に理解されることが可能な情報として出力する出力部を更に備えてもよい。出力部は、推論部が第2学習モデルを使用した場合に、情報を推論の根拠と共に出力してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様においては、推論システムを提供する。推論システムは、上記の何れかの推論装置を備えてもよい。推論システムは、特定のユーザの身体に装着され、特定のユーザの活動量データを測定して推論装置に送信するウェアラブル装置を備えてもよい。
【0015】
推論システムは、推論装置によって推論された可能性が予め定められた条件を満たす場合に、特定のユーザに警告する警告装置を更に備えてもよい。
【0016】
本発明の第3の態様においては、推論方法を提供する。推論方法は、特定のユーザが乗用の移動体を運転する日において特定のユーザが移動体を運転していない時間帯に移動体の運転以外で活動した量に関連する活動量データを取得する取得段階を備えてもよい。推論方法は、任意のユーザの活動量データと、任意のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係の学習結果に基づき、取得段階で取得された特定のユーザの活動量データを新たな入力データとして、特定のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論する推論段階を備えてもよい。
【0017】
本発明の第4の態様においては、プログラムを提供する。プログラムは、コンピュータに、特定のユーザが乗用の移動体を運転する日において特定のユーザが移動体を運転していない時間帯に移動体の運転以外で活動した量に関連する活動量データを取得する取得手順を実行させてもよい。プログラムは、コンピュータに、任意のユーザの活動量データと、任意のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係の学習結果に基づき、取得手順で取得された特定のユーザの活動量データを新たな入力データとして、特定のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論する推論手順を実行させてもよい。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態による推論システム10の概略図である。
【
図2】一実施形態による推論装置100のブロック図である。
【
図3】一実施形態による推論方法のフロー図である。
【
図4】一実施形態による学習方法のフロー図である。
【
図5】本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
図1は、一実施形態による推論システム10の概略図である。推論システム10は、通信ネットワーク50を介して相互に通信するウェアラブル装置40および推論装置100を備える。推論システム10は、学習器による機械学習を利用し、特定のユーザが乗用の移動体を運転する日において当該特定のユーザが移動体を運転していない時間帯に移動体の運転以外で活動した量に関連する活動量データに基づいて、当該特定のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論するためのシステムである。なお、通信ネットワーク50は有線か無線かを問わない。
【0022】
本実施形態では一例として、特定のユーザは、荷物を配送する配送業者20であり、乗用の移動体は、配送業者20が荷物を配送するために使用する配送用トラック30である。なお、乗用の移動体は、自動二輪車、自動三輪車、自動四輪車などの自動車や、二輪自転車や、船や、飛行体などであってもよく、ユーザは、業務上で移動体を運転してもよく、私生活で移動体を運転してもよい。
【0023】
本実施形態において、配送業者20が配送用トラック30を運転していない時間帯に配送用トラック30の運転以外で活動した量は、歩行距離、階段を上り下りした回数、立ち時間、膝を屈伸させた回数、等を含んでもよい。また、当該活動した量は、上体を前屈、後屈、側屈または捻転させた回数、荷物を上げ下げした回数、人力で運んだ荷物の総重量、等を含んでもよい。また、当該活動した量は、これらの2以上の組み合わせであってもよい。
【0024】
ウェアラブル装置40は、配送業者20の身体に装着され、配送業者20の活動量データを測定する複数のセンサを有する。本実施形態によるウェアラブル装置40は、通信機器であり、測定した活動量データを、通信ネットワーク50を介して推論装置100に送信する。例えば、ウェアラブル装置40は、無線通信により、一定時間間隔で活動量データをリアルタイムに推論装置100に送信してもよい。例えば、ウェアラブル装置40は、無線通信により、配送業者20によってウェアラブル装置40の電源がオフにされる際に、電源がオンにされてからオフにされるまでの累積的な活動量データを推論装置100に送信してもよい。例えば、ウェアラブル装置40は、配送業者20の勤務先に設置された充電器に接続された際に、有線通信により、充電器から取り外されてから接続されるまでの累積的な活動量データを推論装置100に送信してもよい。
【0025】
また、本実施形態では、ウェアラブル装置40は、当該活動量データと共にユーザ識別情報を推論装置100に送信する。例えば、ウェアラブル装置40は、ユーザインタフェースを有し、配送業者20の活動量データを測定する前後に、配送業者20によってユーザ識別情報を入力されてもよい。例えば、ウェアラブル装置40は、配送業者20が連続的に装着することを前提として、配送業者20に貸し出される前に推論装置100等の他の装置からユーザ識別情報を入力されてもよい。例えば、ウェアラブル装置40は、配送業者20が所持しているスマートフォンなどの通信端末や、配送業者20が運転する配送用トラック30の車載通信装置などと無線通信し、これらの通信機器からユーザ識別情報を受信してもよい。
【0026】
推論装置100は、一例として、推論装置100を管理する管理会社のサーバである。推論装置100は、学習器を有し、当該学習器は、任意のユーザの活動量データと、当該任意のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係を学習する。推論装置100は、特定のユーザの活動量データを新たに取得した場合に、当該活動量データを当該学習器への新たな入力データとして、当該特定のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論する。本実施形態による推論装置100は、通信ネットワーク50を介して、ウェアラブル装置40から配送業者20の活動量データを受信し、当該活動量データに基づいて、当該配送業者20が事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論する。
【0027】
推論装置100は、推論した当該可能性を、人に理解されることが可能な情報として出力してもよい。一例として、推論装置100は、当該情報を上記の管理会社のパソコンに出力してもよい。当該可能性は、例えば、ユーザが事故および違反の何れかを起こす確率そのものであってもよく、当該確率が予め定められた閾値以上であるか否かを示すものであってもよく、当該確率が予め定められた複数の範囲の何れに該当するかを示すものであってもよい。このような閾値や確率範囲などの基準は、推論装置100のメモリ、例えばRAMに予め格納され得、上記の管理会社によって書き換え可能であってもよく、以降の説明においても同様とし、重複する説明を省略する。
【0028】
図2は、一実施形態による推論装置100のブロック図である。推論装置100は、取得部101と、推論部103とを備える。本実施形態による推論装置100は更に、出力部105と、事故・違反情報データベース109とを備える。
【0029】
取得部101は、特定のユーザ、例えば配送業者20が、乗用の移動体、例えば配送用トラック30を運転する日において、配送業者20が配送用トラック30を運転していない時間帯に配送用トラック30の運転以外で活動した量に関連する活動量データを取得する。本実施形態において、取得部101は、通信ネットワーク50を介して、ウェアラブル装置40から当該活動量データを受信する。なお、取得部101は、通信ネットワーク50を介して又は介さずに、他の装置から当該活動量データを取得してもよい。なお、取得部101は、通信ネットワーク50を介して、ウェアラブル装置40や、他の通信端末、例えば推論装置100を管理する管理会社のコンピュータと、双方向通信してもよい。
【0030】
本実施形態では、取得部101は、配送業者20が配送用トラック30を運転している時間帯に配送用トラック30の運転で活動した量に関連する活動量データを取得し得る。配送業者20が配送用トラック30を運転している時間帯に配送用トラック30の運転で活動した量は、ハンドルを操作するために腕を上げていた時間や、アクセルまたはブレーキを踏み込んだ回数などを含み得る。
【0031】
この場合、取得部101は、例えば配送業者20の身体にかかる負荷の大きさの測定値が予め定められた閾値以上であるか否かに応じて、配送用トラック30の運転以外で活動した量に関連する活動量データと、配送用トラック30の運転で活動した量に関連する活動量データとを区別してもよい。具体的な一例として、取得部101は、配送業者20の腰部にかかる負荷の大きさの測定値に応じて、配送業者20が配送用トラック30の運転席に着席している状態であるか否か、すなわち配送用トラック30の運転中であるか否かを判断可能であってもよく、これにより、上記の活動量データを区別可能であってもよい。
【0032】
また例えば、ウェアラブル装置40は、ウェアラブル装置40を装着している配送業者20が着座していることを検知して、その旨を示すデータを活動量データにタグ付け可能であってもよく、この場合、取得部101は、ウェアラブル装置40から取得した活動量データが、当該データをタグ付けされているか否かに応じて、上記の活動量データを区別可能であってもよい。
【0033】
また、本実施形態では、取得部101は、ユーザ識別情報と共に活動量データを取得する。これにより、推論装置100は、複数のウェアラブル装置40から複数の配送業者20の活動量データを受信した場合に、配送業者20毎に上記の可能性を推論することができる。取得部101は、取得した活動量データ等を推論部103に出力する。
【0034】
推論部103は、任意のユーザの活動量データと、当該任意のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係の学習結果に基づき、取得部101によって取得された特定のユーザの活動量データを新たな入力データとして、当該特定のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論する。
【0035】
本実施形態による推論部103は、任意のユーザの活動量データに加えて、当該任意のユーザの運転適性検査の診断結果に関連する診断データ、および、当該任意のユーザの属性に関連する属性データ、の少なくとも何れかの追加データを学習に用いる。すなわち、推論部103は、任意のユーザの活動量データおよび当該追加データと、当該任意のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係を学習する。
【0036】
本実施形態による推論部103は、当該対応関係の学習結果に基づき、取得部101によって取得された配送業者20の活動量データ、および、取得部101によって取得された当該配送業者20のユーザ識別情報に紐付けられて事故・違反情報データベース109に格納されている当該配送業者20の追加データ、を新たな入力データとして、当該配送業者20が事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論する。
【0037】
本実施形態における推論部103は、上記の新たな入力データの種類と、上記の対応関係および上記の可能性の少なくとも何れかの用途と、の少なくとも何れかに応じて、学習モデルを使い分けてもよい。具体的な一例として、推論部103は、当該少なくとも何れかに応じて、推論の根拠がブラックボックス化されているものの推論精度が高い第1学習モデルと、推論の根拠がブラックボックス化されておらず人に理解されることが可能であるものの推論精度が低い第2学習モデルとのいずれか一方を使用してもよい。第1学習モデルはGBDT(Gradient Boosting Decision Tree)であってもよく、第2学習モデルはランダムフォレストであってもよい。
【0038】
例えば、推論部103は、新たな入力データの種類が活動量データのみの場合には第2学習モデルを使用し、新たな入力データの種類が活動量データの他に、運転適性検査の診断結果なども含む場合には第1学習モデルを使用してもよい。また例えば、推論部103は、上記の可能性の用途が教育対象のユーザを決めるためや配送業者20自身に注意喚起させるためであれば第2学習モデルを使用し、上記の可能性の用途が保険料や保険プランを決めるためであれば第1学習モデルを使用したりしてもよい。
【0039】
出力部105は、推論部103によって推論された上記の可能性を、人に、例えば推論装置100の管理会社の従業員に理解されることが可能な情報として出力する。一例として、出力部105は、推論部103が上記の第2学習モデルを使用した場合に、当該情報を上記の推論の根拠と共に出力してもよい。また、出力部105は、ユーザのユーザ識別情報と共に当該情報等を出力してもよい。
【0040】
なお、推論装置100は、出力部105を備えなくてもよい。例えば、推論装置100は、推論した上記の可能性を示すデータを外部装置に送信し、外部装置に上述の出力部105の各処理を実行させてもよい。外部装置の一例は、上述した管理会社のコンピュータであってもよい。
【0041】
事故・違反情報データベース109は、任意の複数のユーザのそれぞれについて、当該ユーザの活動量データと、当該ユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴とを、当該ユーザのユーザ識別情報に紐付けて格納している。本実施形態による事故・違反情報データベース109は更に、各ユーザの運転適性検査の診断結果に関連する診断データ、および、当該ユーザの属性に関連する属性データ、の少なくとも何れかの追加データを、当該ユーザのユーザ識別情報と紐付けて格納している。事故・違反情報データベース109は、格納部の一例である。
【0042】
上述した運転適性検査は、例えばOD式安全性テスト(https://www.dennoo.co.jp/Denn001.html)や、警察庁方式運転適性検査K型などであってもよい。運転適性検査の診断結果は、運動機能、健康度・成熟度、性格特性、および運転マナーのうちの1つ又は複数を含んでもよい。運転機能は、注意力、判断力、柔軟性、決断力、緻密性、動作の安定性、および適応性のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0043】
健康度・成熟度は、身体的健康度、精神的健康度、および社会的成熟度のうちの1つ又は複数を含んでもよい。性格特性は、情緒不安定性、衝迫性・暴発性、自己中心性、神経質・過敏性、および虚飾性のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0044】
また、上述したユーザの属性は、以下の複数の項目のうちの1つ又は複数を含んでもよい:性別、年齢、運転履歴、地域、保有免許種別、過去の事故履歴、過去の違反履歴、過去の事故回数、過去の勤務時間、過去の走行距離、過去の傷病歴、過去の走行実績時間、過去の運転車両(小型車/中型車/大型車)、免許種別、過去の労働会社。なお、ここで言う「過去の」データは、ユーザの、前回の乗務におけるデータや、過去n日(n=1、7、30、365等)の乗務におけるデータの平均などであってもよい。
【0045】
なお、推論装置100は、推論装置100全体を制御するためのプログラム等が格納されたメモリを事故・違反情報データベース109とは別に備えてもよく、当該メモリが事故・違反情報データベース109を含んでもよい。推論装置100の各構成は、上記で説明した各機能を実行するべく、当該メモリに格納されたプログラムを読み出す。
【0046】
なお、推論装置100は、事故・違反情報データベース109を備えなくてもよい。例えば、推論装置100は、外部装置のデータベースから、上述した各データを取得して、上述の推論や学習を実行してもよい。
【0047】
図3は、一実施形態による推論方法のフロー図である。
図3に示すフローは、一例として、配送業者20がウェアラブル装置40の電源をオンにすることによって開始してもよい。なお、本実施形態では、配送業者20は、業務で配送用トラック30を運転する日に、ウェアラブル装置40を装着して、ウェアラブル装置40の電源をオンにすることを前提とする。なお、推論装置100は、配送業者20が配送用トラック30を運転する日と運転しない日とを示すデータを予め取得していてもよく、この場合、当該運転しない日に取得した活動量データは、上記の可能性を推論するのに用いることなく、破棄してもよい。
【0048】
ウェアラブル装置40は、ウェアラブル装置40を装着している配送業者20の活動量データの測定を開始し(ステップS101)、ウェアラブル装置40の電源がオフになるまで、当該活動量データの測定および内蔵メモリへの蓄積を継続する(ステップS103:NO)。なお、ウェアラブル装置40は、タイマーを内蔵してもよく、この場合、内蔵メモリに蓄積する当該活動量データに日時データをタグ付けしてもよい。
【0049】
ウェアラブル装置40は、ウェアラブル装置40の電源がオフになったことに応じて(ステップS103:YES)、内蔵メモリに蓄積した活動量データを、内蔵メモリに格納されているユーザ識別情報と共に、通信ネットワーク50を介して推論装置100に送信する(ステップS105)。なお、ウェアラブル装置40は、例えばステップS105の処理を実行すると共に、内蔵メモリに蓄積された活動量データを削除してもよい。なお、ウェアラブル装置40は、次にウェアラブル装置40の電源がオンになって新たな活動量データを測定した場合に、内蔵メモリに蓄積された活動量データを更新してもよい。
【0050】
推論装置100は、配送業者20の活動量データを取得する取得段階を実行する(ステップS107)。より具体的には、推論装置100は、通信ネットワーク50を介して、ウェアラブル装置40から活動量データおよびユーザ識別情報を取得する。なお、上述した通り、推論装置100は、ウェアラブル装置40から取得する当該活動量データに、配送業者20が配送用トラック30を運転していない時間帯に配送用トラック30の運転以外で活動した量に関連する活動量データと、配送業者20が配送用トラック30を運転している時間帯に配送用トラック30の運転で活動した量に関連する活動量データとが含まれている場合に、任意の方法で、これらの活動量データを識別可能である。なお、推論装置100は、後者の活動量データを、上記の可能性を推論するのに用いることなく、破棄してもよい。
【0051】
推論装置100は、取得段階で取得された配送業者20の活動量データに基づいて、当該配送業者20が事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論する推論段階を実行する(ステップS109)。より具体的には、推論装置100は、任意のユーザの活動量データと、当該任意のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係の学習結果に基づき、取得段階で取得された配送業者20の活動量データを新たな入力データとして、当該配送業者20が事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論する。
【0052】
本実施形態による推論装置100は、配送業者20の活動量データと共に取得した配送業者20のユーザ識別情報を用いて、事故・違反情報データベース109から、当該配送業者20のユーザ識別情報に紐付けられて事故・違反情報データベース109に格納されている当該配送業者20の診断データおよび属性データの少なくとも何れかの追加データを抽出する。本実施形態による推論装置100は更に、任意のユーザの活動量データおよび当該追加データと、当該任意のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係の学習結果に基づき、取得部101によって取得された配送業者20の活動量データおよび事故・違反情報データベース109から抽出した当該配送業者20の追加データを新たな入力データとして、当該配送業者20が事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論する。
【0053】
例えば、推論装置100は、上記の対応関係の学習の結果として、活動量データおよび追加データの組み合わせと、事故および違反の少なくとも何れかの発生頻度との間に相関があることを学習してもよい。この場合、推論装置100は例えば、当該相関に基づいて、特定のユーザの診断データに示される運転適性検査の診断結果が、精神的健康度が低いことを示し、且つ、当該特定のユーザの活動量データが、疲労が蓄積されていることを示している場合に、当該特定のユーザが相対的に事故を起こし易い状態にあると推論してもよい。
【0054】
推論装置100は、推論した当該可能性を、人に理解されることが可能な情報として出力する出力段階を実行し(ステップS111)、当該フローを終了する。当該フローは、一例として、ウェアラブル装置40の電源がオンになる度に繰り返されてもよい。
【0055】
図4は、一実施形態による学習方法のフロー図である。推論装置100は、
図4に示す学習方法を、
図3に示す推論方法を実行する前に実行する。推論装置100は、これに追加して、
図4に示す学習方法を、
図3に示す推論方法を実行していない間に実行してもよい。
【0056】
推論装置100は、事故・違反情報データベース109から、教師データとして、任意のユーザの活動量データおよび追加データを取得し、正解データとして、当該任意のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴を取得する(ステップS201)。推論装置100は、学習器に対して、任意のユーザの活動量データおよび追加データを入力とし、当該任意のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴を出力として、機械学習させ(ステップS203)、十分学習するまでステップS201からS203までを繰り返してから(ステップS205)、当該フローを終了する。
【0057】
以上、上記で説明した複数の実施形態による推論装置100によれば、特定のユーザが乗用の移動体を運転する日において当該特定のユーザが移動体を運転していない時間帯に移動体の運転以外で活動した量に関連する活動量データを取得する。推論装置100によれば更に、任意のユーザの活動量データと、当該任意のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係の学習結果に基づき、上記で取得した特定のユーザの活動量データを新たな入力データとして、当該特定のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論する。
【0058】
当該構成を備える推論装置100によれば、推論した当該可能性を示すデータを、推論装置100の管理会社に提供することができ、これにより、例えば、当該管理会社の従業員は、事故および違反の少なくとも何れかを起こすであろう配送業者20に対して、重点的に教育を実施したり、配送業者20が配送用トラック30を運転していない時間帯における活動の量を指導したりすることができる。また例えば、当該管理会社の従業員は、当該配送業者20の活動量データに示される活動等と傾向が似ている活動を行っている他の配送業者20に対して、推論装置100による上記可能性の推論を省略して、同様の指導を実施すること等ができる。また、推論装置100によれば、特定のユーザの上記可能性を推論するための入力データとして、活動量データの他に、当該特定のユーザの診断データや属性データなどの追加データを用いることで、推論精度をより一層高めることができる。
【0059】
以上の複数の実施形態において、取得部101は、特定のユーザの身体に装着されたセンサで測定された活動量データを取得する構成として説明した。換言すると、取得部101は、特定のユーザから直接測定された活動量データを取得する構成とした。一例として、当該活動量データは、ウェアラブル装置40によって特定のユーザから直接測定されてもよく、その他、例えば万歩計(登録商標)や荷重センサによって特定のユーザから直接測定されてもよい。
【0060】
これに代えて、取得部101は、特定のユーザから直接測定されずに得られたデータに基づいて、当該活動量データを取得してもよい。例えば、取得部101は、特定のユーザが乗用の移動体を運転していない時間帯に当該移動体の運転以外で活動した量に関連するデータを取得し、当該データに基づいて当該活動量データを推定してもよい。
【0061】
より具体的には、取得部101は、特定のユーザおよび当該移動体の少なくとも何れかの位置情報に基づいて、当該特定のユーザの活動量データを推定してもよい。例えば、当該特定のユーザが配送業者20であって、当該移動体が配送用トラック30である場合に、取得部101は、当該位置情報に基づいて、当該配送用トラック30を駐停車可能なスペースが少ないエリア、および、当該配送業者20が荷物を担いで複数階を階段で行き来する必要があるエリア、の少なくとも何れかで当該配送業者20が当該配送用トラック30の運転以外で活動したと判断した場合に、相対的に多い活動量データを推定してもよい。この場合、当該配送業者20が着用しているウェアラブル装置40や、当該配送用トラック30の車載装置に、GPSが設けられ、取得部101は、当該GPSから上記の位置情報を取得してもよい。なお、配送業者20が荷物を担いで複数階を階段で行き来する必要があるエリアは、オフィスビルやアパートやマンションが多く建設されているエリアや、エレベーターの設置率が低いエリアを含み得る。なお、配送業者20が荷物を担いで複数階を階段で行き来する必要があるエリアは、配送業者20や配送業者20の勤務先によって予め指定されたエリアであってもよく、推論装置100が地図情報に基づいて判断したエリアであってもよい。
【0062】
また、以上の複数の実施形態において、取得部101は更に、特定のユーザおよび乗用の移動体の少なくとも何れかの移動経路情報を取得してもよい。当該移動経路情報は、上記のように取得された位置情報の履歴であってもよく、特定のユーザや特定のユーザの勤務先によって予め設定された、荷物の配送ルート情報、すなわち特定のユーザが移動体を運転して通る道路の情報であってもよい。
【0063】
この場合、推論部103は、任意のユーザの活動量データおよび移動経路情報と、当該任意のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係の学習結果に基づき、取得部101によって取得された特定のユーザの活動量データおよび移動経路情報を新たな入力データとして、当該特定のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論してもよい。例えば、推論部103は、上記の対応関係の学習の結果として、活動量データおよび特定の道路の組み合わせと、事故および違反の少なくとも何れかの発生頻度との間に相関があることを学習してもよい。この場合、推論部103は例えば、当該相関に基づいて、特定のユーザの移動経路情報に示される道路が、事故および違反の少なくとも何れかの発生頻度が高い道路であり、且つ、当該特定のユーザの活動量データが、疲労が蓄積されていることを示している場合に、当該特定のユーザが相対的に事故を起こし易い状態にあると推論してもよい。
【0064】
また、以上の複数の実施形態において、取得部101は更に、特定のユーザが乗用の移動体を運転している時間帯に当該特定のユーザから検出された、瞬き、視線、表情、血圧、心拍、覚醒度、および、所作、のうちの少なくとも何れかに関連する生体データを取得してもよい。生体データは、ウェアラブル装置40で検出されてもよく、その他、配送用トラック30に搭載されたドライバーステータスモニターなどによって検出されてもよい。具体的な一例として、生体データは、特定のユーザが移動体を運転している間における、特定のユーザの瞬き回数や、血圧・心拍等の状態や、悲しみ、喜び、怒り、無表情、焦り等の表情や、視線が特定の箇所を向いた回数などを含んでもよい。当該特定の箇所は、例えば、メーターや、バックミラーや、サイドミラーなどであってもよい。
【0065】
この場合、推論部103は、任意のユーザの活動量データおよび生体データと、当該任意のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係の学習結果に基づき、取得部101によって取得された特定のユーザの活動量データおよび生体データを新たな入力データとして、当該特定のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論してもよい。
【0066】
また、以上の複数の実施形態において、推論システム10は、推論装置100によって推論された、特定のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性が予め定められた条件を満たす場合に、当該特定のユーザに警告する警告装置を更に備えてもよい。当該警告装置は、当該特定のユーザが所持するスマートフォンやタブレットなどの通信端末であってもよく、当該特定のユーザが運転する移動体に搭載された装置であってもよく、当該特定のユーザが装着するウェアラブル装置40に取り付けられていてもよい。なお、当該警告装置は、当該条件を内蔵メモリ、例えばRAMに予め格納し得、当該条件は、上記の管理会社や当該特定のユーザなどによって書き換え可能であってもよい。
【0067】
また、以上の複数の実施形態において、推論装置100は、一例として、推論装置100を管理する管理会社のサーバとして説明した。これに代えて、推論装置100は、特定のユーザが運転する乗用の移動体に搭載された装置であってもよく、ウェアラブル装置40に取り付けられていてもよい。
【0068】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0069】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0070】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0071】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0072】
図5は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該装置の1又は複数の「部」として機能させ、又は当該オペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。このようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0073】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、グラフィックコントローラ1216、及びディスプレイデバイス1218を含み、これらはホストコントローラ1210によって相互に接続される。コンピュータ1200はまた、通信インターフェース1222、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、これらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続される。コンピュータはまた、ROM1230及びキーボード1242のようなレガシの入出力ユニットを含み、これらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続される。
【0074】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、これにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又は当該グラフィックコントローラ1216自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示させる。
【0075】
通信インターフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ1226は、プログラム又はデータをDVD-ROM1201から読み取り、ハードディスクドライブ1224にRAM1214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0076】
ROM1230は、内部に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0077】
プログラムが、DVD-ROM1201又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるハードディスクドライブ1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0078】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROM1201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0079】
また、CPU1212は、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226(DVD-ROM1201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0080】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような、様々なタイプの情報が、情報処理されるべく、記録媒体に格納されてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、これにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0081】
以上の説明によるプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、これにより、プログラムをコンピュータ1200にネットワークを介して提供する。
【0082】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0083】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0084】
10 推論システム
20 配送業者
30 配送用トラック
40 ウェアラブル装置
50 通信ネットワーク
100 推論装置
101 取得部
103 推論部
105 出力部
109 事故・違反情報データベース
1200 コンピュータ
1201 DVD-ROM
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1216 グラフィックコントローラ
1218 ディスプレイデバイス
1220 入出力コントローラ
1222 通信インターフェース
1224 ハードディスクドライブ
1226 DVD-ROMドライブ
1230 ROM
1240 入出力チップ
1242 キーボード
【要約】 (修正有)
【課題】特定のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論する推論装置、推論システム、推論方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】ユーザの進退に装着され、通信ネットワークを介して相互に通信するウェアラブル装置40と、推論装置100と、を備える推論システムにおいて、推論装置は、特定のユーザ(配送業者)が乗用の移動体(配送用トラック)を運転する日において特定のユーザが移動体を運転していない時間帯に移動体の運転以外で活動した量に関連する活動量データを取得する取得部と、任意のユーザの活動量データと、任意のユーザが事故及び違反の少なくとも何れかを起こした履歴との対応関係の学習結果に基づき、取得部によって取得した特定のユーザの活動量データを新たな入力データとして、特定のユーザが事故および違反の少なくとも何れかを起こす可能性を推論する推論部と、を備える。
【選択図】
図2