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特許7101291正極活物質およびこれを含むリチウム二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】正極活物質およびこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20220707BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20220707BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20220707BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20220707BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/36 C
H01M4/505
C01G53/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021080842
(22)【出願日】2021-05-12
(62)【分割の表示】P 2019149041の分割
【原出願日】2019-08-15
(65)【公開番号】P2021141071
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2018-0098186
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0111347
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0036986
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0037016
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517113750
【氏名又は名称】エコプロ ビーエム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ECOPRO BM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【氏名又は名称】臼井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】チェ ムン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ヘオ キョン チェ
(72)【発明者】
【氏名】ユ ヒュン チョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ スン ヒュン
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/095134(WO,A1)
【文献】特開2014-038828(JP,A)
【文献】特表2018-533157(JP,A)
【文献】特開2017-134996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/525
H01M 4/36
H01M 4/505
C01G 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次粒子と前記1次粒子が凝集して形成された2次粒子とを含むリチウム複合酸化物;と、
前記1次粒子間の界面および前記2次粒子の表面のうち少なくとも一部に存在する少なくとも1種のリチウム合金酸化物;と、
を含み、かつ
X線回折において、前記リチウム合金酸化物は、下記の化学式2で表されるリチウムタングステン酸化物に特異的なピークのうち少なくとも一つが低角(low angle)に側シフトされたピークを持つ、
正極活物質。
[化学式2]
Li
(ここで、0<d≦6、0<e≦6、0<f≦10である。)
【請求項2】
前記リチウム複合酸化物を形成する前記1次粒子は、下記の化学式6で表される、
請求項1に記載の正極活物質。
[化学式6]
LiNi1-(x+y+z)CoM3M4
(ここで、
M3は、MnおよびAlから選ばれる少なくとも一つであり、
M4は、Ti、Zr、Mg、V、B、Mo、Zn、Nb、Ba、Ta、Fe、Cr、Sn、Hf、Ce、W、NdおよびGdから選ばれる少なくとも一つを含み、
0.5≦w≦1.5、0≦x≦0.50、0≦y≦0.20、0≦z≦0.20である。)
【請求項3】
X線回折において、前記リチウム合金酸化物は、前記のリチウムタングステン酸化物の(111)、(200)および(220)面に対応するピークのうち少なくとも一つが低角(low angle)側にシフトされたピークを持つ、
請求項1に記載の正極活物質。
【請求項4】
前記リチウム合金酸化物は、前記2次粒子の表面部から前記2次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示す、
請求項1に記載の正極活物質。
【請求項5】
前記リチウム合金酸化物は、前記のリチウムタングステン酸化物内の少なくとも1種のドーパントがドープされた格子構造を持つ、請求項1に記載の正極活物質。
【請求項6】
前記リチウム合金酸化物は、前記のリチウムタングステン酸化物が形成される格子構造内のタングステンの一部が少なくとも1種のドーパントで置換された格子構造を持つ、
請求項1に記載の正極活物質。
【請求項7】
前記リチウム合金酸化物は、下記の化学式1-1で表示される、
請求項1に記載の正極活物質。
[化学式1-1]
Lia(W1-yM1) bc
(ここで、M1は、Ti、Zr、Mg、V、B、Mo、Zn、Nb、Ba、Ta、Fe、Cr、Sn、Hf、Ce、NdおよびGdから選ばれる少なくとも一つを含み、0≦a≦6、0<b≦6、0<c≦10、0<y≦0.50である。)
【請求項8】
下記の化学式3で表され、前記1次粒子間の界面および前記2次粒子の表面のうち少なくとも一部に存在する少なくとも1種の合金酸化物をさらに含んでいる、
請求項1に記載の正極活物質。
[化学式3]
LihO
(ここで、
M2は、Ti、Zr、Mg、V、B、Mo、Zn、Nb、Ba、Ta、Fe、Cr、Sn、Hf、Ce、NdおよびGdから選ばれる少なくとも一つであり、
0≦g≦6、0<h≦6、0<i≦10である。)
【請求項9】
前記合金酸化物は、前記2次粒子の表面部から前記2次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示す、
請求項8に記載の正極活物質。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の正極活物質を含む正極を使用するリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極活物質およびこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、正極と負極に電気化学反応が可能な物質を使用することによって電力を貯蔵するものである。このような電池のうち代表的な例としては、正極および負極でリチウムイオンがインターカレーション/デインターカレーションされるときの化学電位(chemical potential)の差異によって電気エネルギーを貯蔵するリチウム二次電池がある。
【0003】
前記リチウム二次電池は、リチウムイオンの可逆的なインターカレーション/デインターカレーションが可能な物質を正極と負極活物質として使用し、前記正極と負極との間に有機電解液またはポリマー電解液を充填させて製造する。
【0004】
リチウム二次電池の正極活物質としては、リチウム複合酸化物が使用されており、その例として、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiMnOなどの複合酸化物が研究されている。
【0005】
前記正極活物質のうちLiCoOは、寿命特性および充放電効率に優れていて、最も多く使用されているが、原料として使用されるコバルトの資源的限界に起因して高価なので、価格競争力に限界があるという短所を有している。
【0006】
LiMnO、LiMnなどのリチウムマンガン酸化物は、熱的安全性に優れ、価格が安いという長所があるが、容量が小さく、高温特性が劣悪であるという問題点がある。また、LiNiO系正極活物質は、高い放電容量の電池特性を示しているが、Liと遷移金属間のカチオンミキシング(cation mixing)問題に起因して合成が難しく、それにより、レート(rate)特性に大きな問題点がある。
【0007】
また、このようなカチオンミキシングの深化程度に応じて多量のLi副産物が発生することになり、これらのLi副産物の大部分は、LiOHおよびLiCOの化合物からなるので、正極ペーストの製造時にゲル(gel)化する問題点と電極の製造後に充放電の進行によるガス発生の原因となる。残留のLiCOは、セルのスウェリング現象を増加させてサイクルを減少させると共に、バッテリーが膨らむ原因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来のリチウム二次電池用正極活物質の問題点を解決するために、正極活物質の構造的安定性を高めて、高温貯蔵安定性および寿命特性を向上させることが可能な正極活物質を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、本願で定義された正極活物質を含む正極を使用するリチウム二次電池を提供することにある。
【0010】
本発明の目的は、以上で言及した目的に制限されず、言及されていない本発明の他の目的および長所は、下記の説明により理解され得、本発明の実施例によりさらに明らかに理解されるだろう。また、本発明の目的および長所は、特許請求の範囲に示した手段およびその組合せにより実現され得ることを容易に知ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、1次粒子と前記1次粒子が凝集して形成された2次粒子とを含むリチウム複合酸化物と、下記の化学式1で表され、前記1次粒子間の界面および前記2次粒子の表面のうち少なくとも一部に存在する少なくとも1種のリチウム合金酸化物とを含む正極活物質が提供され得る。
【0012】
[化学式1]
LiM1
【0013】
(ここで、M1は、Ti、Zr、Mg、V、B、Mo、Zn、Nb、Ba、Ta、Fe、Cr、Sn、Hf、Ce、W、NdおよびGdから選ばれる少なくとも一つであり、0≦a≦6、0<b≦6、0<c≦10である)
【0014】
本発明の一実施例による正極活物質は、前記1次粒子間の界面および前記2次粒子の表面のうち少なくとも一部に存在する少なくとも1種のリチウム合金酸化物を含むことによって、構造的安定性が高まるに伴い、高温貯蔵安定性および寿命特性が向上することができる。
【0015】
一実施例において、前記リチウム合金酸化物は、前記2次粒子の表面部から前記2次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示すことによって、リチウム合金酸化物により電気化学反応中に正極活物質の全体的な構造崩壊を防止することができる。
【0016】
また、本発明の他の態様によれば、上述した正極活物質、導電材およびバインダーを含む正極スラリー組成物が提供され得る。
【0017】
また、本発明のさらに他の態様によれば、上述した正極活物質を含む正極を使用するリチウム二次電池が提供され得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明の多様な実施例による正極活物質は、リチウム複合酸化物を構成する1次粒子間の界面および前記1次粒子が凝集して形成された2次粒子の表面のうち少なくとも一部に存在するリチウム合金酸化物を含むことによって、構造的安定性が高まり得る。
【0019】
これにより、本発明の多様な実施例による正極活物質を含む正極をリチウム二次電池の正極として使用する場合、高温貯蔵安定性および寿命特性をさらに向上させることができる。
【0020】
上述した効果と共に、本発明の具体的な効果は、以下に発明を実施するための具体的な事項を説明しつつ、一緒に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例によって製造された正極活物質に対する透過電子顕微鏡(TEM)分析およびTEM/EDSマッピンク結果を示すものである。
図2】本発明の一実施例によって製造された正極活物質に対する透過電子顕微鏡(TEM)分析およびTEM/EDSマッピンク結果を示すものである。
図3】本発明の一実施例によって製造された正極活物質に対する透過電子顕微鏡(TEM)分析およびTEM/EDSマッピンク結果を示すものである。
図4】本発明の一実施例によって製造された正極活物質に対する透過電子顕微鏡(TEM)分析およびTEM/EDSマッピンク結果を示すものである。
図5】本発明の一実施例によって製造された正極活物質に対するTEM/EDSマッピンク結果によって測定されたドーピング金属元素(Zr、Ti、W)の含量を示すグラフ(line sum spectrum)である。
図6】~図9は、比較例によって製造された正極活物質に対する透過電子顕微鏡(TEM)分析およびTEM/EDSマッピンク結果を示すものである。
図7】比較例によって製造された正極活物質に対する透過電子顕微鏡(TEM)分析およびTEM/EDSマッピンク結果を示すものである。
図8】比較例によって製造された正極活物質に対する透過電子顕微鏡(TEM)分析およびTEM/EDSマッピンク結果を示すものである。
図9】比較例によって製造された正極活物質に対する透過電子顕微鏡(TEM)分析およびTEM/EDSマッピンク結果を示すものである。
図10】本発明の多様な実施例によって製造された正極活物質に対するXRD分析結果を示すグラフである。
図11】本発明の多様な実施例によって製造された正極活物質に対するXRD分析結果を示すグラフである。
図12】本発明の多様な実施例によって製造された正極活物質に対するXRD分析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
前述した目的、特徴および長所は、添付の図面を参照して詳細に後述され、これにより、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施することができる。本発明を説明するに際して、本発明に関連した公知の技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明にすることができると判断される場合には、詳細な説明を省略する。
【0023】
以下、本発明による正極活物質およびこれを含むリチウム二次電池についてさらに詳細に説明することとする。
【0024】
本発明の一態様によれば、1次粒子と前記1次粒子が凝集して形成された2次粒子とを含むリチウム複合酸化物およびリチウム合金酸化物を含む正極活物質が提供され得る。
【0025】
本願においてリチウム複合酸化物は、前記1次粒子と、複数個の前記1次粒子が互いに凝集(物理的に結合)された凝集体とを含む粒子として定義され得る。前記1次粒子は、棒形状、楕円形状および/または不定形の形状を有することができる。
【0026】
前記1次粒子は、隣り合った1次粒子と互いに接して1次粒子間の界面または結晶粒界(grain boundary)を形成することができる。また、前記1次粒子は、前記2次粒子の内部で隣り合った1次粒子から離隔して内部孔隙を形成することもできる。
【0027】
この際、前記1次粒子は、隣り合った1次粒子と互いに接して結晶粒界を形成せず、内部孔隙と接することによって、前記2次粒子の内部に存在する表面を形成することができる。一方、前記2次粒子の最表面に存在する前記1次粒子が外気に露出した面は、前記2次粒子の表面を形成することになる。
【0028】
一実施例において、前記正極活物質は、前記リチウム複合酸化物を形成する前記1次粒子間の界面および前記2次粒子の表面のうち少なくとも一部に存在する前記リチウム合金酸化物を含むことができる。
【0029】
前記リチウム合金酸化物は、前記リチウム複合酸化物を形成する前記1次粒子および/または前記2次粒子と物理的および/または化学的に結合された状態であってもよい。
【0030】
この際、前記リチウム合金酸化物は、前記リチウム複合酸化物を形成する前記1次粒子間の界面および前記2次粒子の表面を全体的にコートしたり、前記リチウム複合酸化物を形成する前記1次粒子間の界面および前記2次粒子の表面のうち少なくとも一部をコートすることができ、場合によって、前記リチウム複合酸化物を形成する前記1次粒子間の界面および前記2次粒子の表面全体または少なくとも一部に粒子状に分布することができる。
【0031】
これにより、本実施例による正極活物質は、上述したリチウム合金酸化物を含むことによって、構造的な安定性が高まり得、このような正極活物質をリチウム二次電池に使用する場合、正極活物質の高温貯蔵安定性および寿命特性が向上することができる。また、前記リチウム合金酸化物は、前記正極活物質内リチウムイオンの移動経路(pathway)として作用することによって、リチウム二次電池の効率特性を向上させるのに影響を与えることができる。
【0032】
また、場合によって、前記リチウム合金酸化物は、前記リチウム複合酸化物を形成する前記1次粒子間の界面および前記2次粒子の表面のうち少なくとも一部だけでなく、前記2次粒子の内部に形成された内部孔隙にも存在することができる。
【0033】
ここで、前記リチウム合金酸化物は、下記の化学式1で表される。
【0034】
[化学式1]
LiM1
【0035】
ここで、M1は、Ti、Zr、Mg、V、B、Mo、Zn、Nb、Ba、Ta、Fe、Cr、Sn、Hf、Ce、W、NdおよびGdから選ばれる少なくとも一つであり、0≦a≦6、0<b≦6、0<c≦10である。
【0036】
前記の化学式1で示されたように、前記リチウム合金酸化物は、リチウムとM1で表される金属元素が複合化した酸化物であって、前記リチウム合金酸化物は、例えば、Li(W)O、Li(Zr)O、Li(Ti)O、Li(B)O、WO、ZrO、TiOなどであってもよいが、上述した例は、理解を助けるために、便宜上記載したものに過ぎず、本願で定義された前記リチウム合金酸化物は、上述した例に制限されない。したがって、後述する実験例では、便宜上、化学式1で表される代表的なリチウム合金酸化物のいくつかの例示に対する実験結果を記載することとする。
【0037】
他の実施例において、前記リチウム合金酸化物は、リチウムとM1で表される少なくとも2種の金属元素が複合化した酸化物であるか、またはリチウムとM1で表される少なくとも2種の金属元素が複合化した酸化物をさらに含むことができる。リチウムとM1で表される少なくとも2種の金属元素が複合化したリチウム合金酸化物は、例えば、Li(W/Ti)O、Li(W/Zr)O、Li(W/Ti/Zr)O、Li(W/Ti/B)Oなどであってもよいが、必ずこれらに制限されるものではない。
【0038】
また、この場合、リチウムタングステン酸化物内少なくとも1種のM1で表される金属元素がドーピングされた格子構造を有し得る。すなわち、前記のリチウム合金酸化物は、リチウムタングステン酸化物(例えば、LiWO、Li、LiWO、LiWOまたは、Li)が形成する格子構造内タングステンのうち一部がM1元素で置換された格子構造を有することになる。
【0039】
この際、リチウムタングステン酸化物の格子構造内タングステンのうち一部がM1元素で置換されたリチウム合金酸化物は、下記の化学式1-1で表される。
【0040】
[化学式1-1]
Lia(W1-yM1) bc
【0041】
ここで、M1は、Ti、Zr、Mg、V、B、Mo、Zn、Nb、Ba、Ta、Fe、Cr、Sn、Hf、Ce、NdおよびGdから選ばれる少なくとも一つを含み、0≦a≦6、0<b≦6、0<c≦10、0<y≦0.50である。
【0042】
一実施例において、前記リチウム合金酸化物は、前記リチウム複合酸化物を形成する前記2次粒子の表面部から前記2次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示すことができる。これにより、前記リチウム合金酸化物の濃度は、前記2次粒子の最表面から前記2次粒子の中心部に向かって減少することができる。
【0043】
上述したように、前記リチウム合金酸化物が前記リチウム複合酸化物を形成する前記2次粒子の表面部から前記2次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示すことによって前記正極活物質の表面に存在する残留リチウムを効果的に減少させて、未反応の残留リチウムによる副反応を未然に防止することができると共に、前記リチウム合金酸化物により前記正極活物質の表面内側領域での結晶性が低くなるのを防止することができる。また、リチウム合金酸化物により電気化学反応中に正極活物質の全体的な構造崩壊を防止することができる
【0044】
他の実施例において、前記リチウム合金酸化物は、下記の化学式2で表される第1合金酸化物および下記の化学式3で表される第2リチウム合金酸化物を含むことができる。
【0045】
[化学式2]
Li
【0046】
ここで、0≦d≦6、0<e≦6、0<f≦10である。
【0047】
[化学式3]
LihO
【0048】
ここで、M2は、Ti、Zr、Mg、V、B、Mo、Zn、Nb、Ba、Ta、Fe、Cr、Sn、Hf、Ce、NdおよびGdから選ばれる少なくとも一つであり、0≦g≦6、0<h≦6、0<i≦10である。
【0049】
この際、前記第1リチウム合金酸化物および前記第2リチウム合金酸化物は、前記リチウム複合酸化物を形成する前記2次粒子の表面部から前記2次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示すことができる。これにより、前記リチウム合金酸化物の濃度は、前記2次粒子の最表面から前記2次粒子の中心部に向かって減少することができる。
【0050】
この際、前記第2リチウム合金酸化物の濃度減少率は、前記第1リチウム合金酸化物の濃度減少率より大きいことが好ましく、前記第2リチウム合金酸化物の濃度減少率が前記第1リチウム合金酸化物の濃度減少率より大きいことから、リチウム合金酸化物を含む正極活物質の構造的安定性が維持され得る。また、前記正極活物質内効率的なリチウムイオンの移動経路(pathway)を形成することによって、リチウム二次電池の効率特性を向上させるのに肯定的な影響を与えることができる。
【0051】
これにより、本発明の多様な実施例による正極活物質を含む正極をリチウム二次電池の正極として使用する場合、高温貯蔵安定性および寿命特性をさらに向上させることができる。
【0052】
更なる実施例において、前記第2リチウム合金酸化物は、下記の化学式4で表されるリチウムジルコニウム酸化物と、下記の化学式5で表されるリチウムチタン酸化物とを含むことができる。
【0053】
[化学式4]
LiZr
【0054】
ここで、0≦j≦6、0<k≦6、0<l≦10である。
【0055】
[化学式5]
LiTi
【0056】
ここで、0≦m≦6、0<n≦6、0<p≦10である。
【0057】
前記の化学式4で表されるリチウムジルコニウム酸化物と前記の化学式5で表されるリチウムチタン酸化物は、前記の化学式2で表されるリチウムタングステン酸化物と共に前記正極活物質の構造的な安定性を高めるのに寄与することができ、前記正極活物質内効率的なリチウムイオンの移動経路(pathway)を形成することができる。
【0058】
この際、前記リチウムジルコニウム酸化物および前記リチウムチタン酸化物は、前記リチウムタングステン酸化物と同様に、前記リチウム複合酸化物を形成する前記2次粒子の表面部から前記2次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示すことができる。これにより、前記リチウムジルコニウム酸化物および前記リチウムチタン酸化物の濃度は、前記2次粒子の最表面から前記2次粒子の中心部に向かって減少することができる。
【0059】
この際、前記リチウムタングステン酸化物と共に前記リチウムジルコニウム酸化物および前記リチウムチタン酸化物を同時に含む正極活物質の構造的安定性および結晶性の維持などのために、前記リチウムジルコニウム酸化物の濃度減少率は、前記リチウムチタン酸化物の濃度減少率より大きいことが好ましい。
【0060】
一方、本発明の一実施例による正極活物質において、前記リチウム複合酸化物を形成する前記1次粒子は、下記の化学式6で表される。
【0061】
[化学式6]
LiNi1-(x+y+z)CoM3M4
【0062】
ここで、M3は、MnおよびAlから選ばれる少なくとも一つであり、M4は、Ti、Zr、Mg、V、B、Mo、Zn、Nb、Ba、Ta、Fe、Cr、Sn、Hf、Ce、W、NdおよびGdから選ばれる少なくとも一つを含み、0.5≦w≦1.5、0≦x≦0.50、0≦y≦0.20、0≦z≦0.20である。
【0063】
この際、前記2次粒子の表面部に存在する前記1次粒子内に含まれたM4元素は、前記2次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示すことができる。
【0064】
例えば、前記リチウム複合酸化物を形成する前記2次粒子の最表面から前記2次粒子の中心までの距離をRというとき、前記2次粒子の最表面からの距離R’が0~0.02Rである領域内に存在するM4元素は、前記1次粒子内で前記2次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示すことができる。
【0065】
この際、前記リチウム複合酸化物を形成する前記2次粒子の最表面からの距離R′が0~0.02Rである領域内に存在する前記1次粒子内に含まれたM4元素の濃度変化率は、50%以上であってもよい。
【0066】
また、前記リチウム複合酸化物を形成する前記2次粒子の最表面からの距離R’が0.02R超過1.0R以下である領域内に存在する前記1次粒子内に含まれたM4元素は、前記1次粒子内で一定方向に濃度が増加または減少する形態の濃度勾配を有しないことがある。他の実施例において、前記リチウム複合酸化物を形成する前記2次粒子の最表面からの距離R’が0.02R超過1.0R以下である領域内に存在する前記1次粒子内M4元素の濃度変化率は、49%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは15%以下であってもよい。
【0067】
本発明の他の態様によれば、正極集電体と、前記正極集電体上に形成された正極活物質層とを含む正極が提供され得る。ここで、前記正極活物質層は、本発明の多様な実施例による正極活物質を含むことができる。したがって、正極活物質は、上記で説明したことと同一なので、便宜上、具体的な説明を省略し、以下では、残りの前述しない構成のみについては説明することとする。
【0068】
前記正極集電体は、電池に化学的変化を誘発せず、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えばステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素またはアルミニウムやステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用され得る。また、前記正極集電体は、通常、3~500μmの厚さを有し得、前記集電体の表面上に微細な凹凸を形成して、正極活物質の接着力を高めることもできる。例えばフィルム、シート、ホイール、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で使用され得る。
【0069】
前記正極活物質層は、前記正極活物質と共に、導電材および必要に応じて選択的にバインダーを含む正極スラリー組成物を前記正極集電体に塗布して製造され得る。
【0070】
この際、前記正極活物質は、正極活物質層の総重量に対して80~99wt%、より具体的には、85~98.5wt%の含量で含まれ得る。上記した含量範囲で含まれるとき、優れた容量特性を示すことができるが、必ずこれに制限されるものではない。
【0071】
前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず、電子導電性を有するものであれば、特別な制限なしに使用可能である。具体的な例としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの導電性高分子などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が使用され得る。前記導電材は、正極活物質層の総重量に対して0.1~15wt%で含まれ得る。
【0072】
前記バインダーは、正極活物質粒子間の付着および正極活物質と集電体との接着力を向上させる役割をする。具体的な例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの多様な共重合体などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が使用され得る。前記バインダーは、正極活物質層の総重量に対して0.1~15wt%で含まれ得る。
【0073】
前記正極は、上記した正極活物質を利用することを除いて、通常の正極の製造方法により製造され得る。具体的に、上記した正極活物質および選択的に、バインダーおよび導電材を溶媒中に溶解または分散させて製造した正極スラリー組成物を正極集電体上に塗布した後、乾燥および圧延することによって製造することができる。
【0074】
前記溶媒としては、当該技術分野において一般的に使用される溶媒であってもよく、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン(acetone)または水などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が使用され得る。前記溶媒の使用量は、スラリーの塗布厚さ、製造収率を考慮して前記正極活物質、導電材およびバインダーを溶解または分散させ、以後、正極の製造のための塗布時に優れた厚さ均一度を示すことができる粘度を有するようにする程度であれば十分である。
【0075】
また、他の実施例において、前記正極は、前記正極スラリー組成物を別の支持体上にキャストした後、該支持体から剥離して得たフィルムを正極集電体上にラミネーションすることによって製造されることもできる。
【0076】
また、本発明のさらに他の態様によれば、上述した正極を含む電気化学素子が提供され得る。前記電気化学素子は、具体的に電池、キャパシタなどであってもよく、より具体的には、リチウム二次電池であってもよい。
【0077】
前記リチウム二次電池は、具体的に、正極と、前記正極と対向して位置する負極と、前記正極と前記負極との間に介在される分離膜および電解質とを含むことができる。ここで、前記正極は、上記で説明したことと同一なので、便宜上、具体的な説明を省略し、以下では、前述しない残りの構成のみについて具体的に説明する。
【0078】
前記リチウム二次電池は、前記正極、前記負極および前記分離膜の電極組立体を収納する電池容器および前記電池容器を密封する密封部材を選択的にさらに含むことができる。
【0079】
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に位置する負極活物質層とを含むことができる。
【0080】
前記負極集電体は、電池に化学的変化を誘発することなく、高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用され得る。また、前記負極集電体は、通常、3μm~500μmの厚さを有し得、正極集電体と同様に、前記集電体の表面に微細な凹凸を形成して、負極活物質問の結合力を強化させることもできる。例えば、フィルム、シート、ホイール、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で使用され得る。
【0081】
前記負極活物質層は、負極活物質と共に、選択的にバインダーおよび導電材を含む。
【0082】
前記負極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物が使用され得る。具体的な例としては、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などの炭素質材料;Si、Al、Sn、Pb、Zn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Si合金、Sn合金またはAl合金などリチウムと合金化が可能な金属質化合物;SiOβ(0<β<2)、SnO、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物のようにリチウムをドープおよび脱ドープし得る金属酸化物;またはSi-C複合体またはSn-C複合体のように、前記金属質化合物と炭素質材料を含む複合物などが挙げられ、これらのうちいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用され得る。また、前記負極活物質として金属リチウム薄膜が使用されることもできる。また、炭素材料は、低結晶性炭素および高結晶性炭素などがすべて使用され得る。低結晶性炭素としては、軟化炭素(soft carbon)および硬化炭素(hard carbon)が代表的であり、高結晶性炭素としては、無定形、板状、鱗片状、球形状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、液晶ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、炭素微小球体(meso-carbon microbeads)、液晶ピッチ(Mesophase pitches)および石油と石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)などの高温焼成炭素が代表的である。
【0083】
前記負極活物質は、負極活物質層の全体重量を基準として80~99wt%で含まれ得る。
【0084】
前記バインダーは、導電材、活物質および集電体間の結合に助力する成分であって、通常、負極活物質層の全体重量を基準として0.1~10wt%で添加され得る。このようなバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、これらの多様な共重合体などが挙げられる。
【0085】
前記導電材は、負極活物質の導電性をさらに向上させるための成分であって、負極活物質層の全体重量を基準として10wt%以下、好ましくは5wt%以下で添加され得る。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発することなく、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用され得る。
【0086】
一実施例において、前記負極活物質層は、負極集電体上に負極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材を溶媒中に溶解または分散させて製造した負極活物質層形成用組成物を塗布し乾燥することによって製造されたり、または前記負極活物質層形成用組成物を別の支持体上にキャストした後、該支持体から剥離して得られたフィルムを負極集電体上にラミネーションすることによって製造され得る。
【0087】
また、他の実施例において、前記負極活物質層は、負極集電体上に負極活物質、および選択的にバインダーおよび導電材を溶媒中に溶解または分散させて製造した負極活物質層形成用組成物を塗布し乾燥したり、または前記負極活物質層形成用組成物を別の支持体上にキャストした後、該支持体から剥離して得られたフィルムを負極集電体上にラミネーションすることによって製造されることもできる。
【0088】
一方、前記リチウム二次電池において、分離膜は、負極と正極を分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであって、通常、リチウム二次電池において分離膜として使用されるものであれば、特別な制限なしに使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗でありかつ電解液含湿能力に優れていることが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体およびエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの2層以上の積層構造体が使用され得る。また、通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用されることもできる。また、耐熱性または機械的強度の確保のためにセラミック成分または高分子物質が含まれたコートされた分離膜が使用されることもでき、選択的に単層または多層構造で使用され得る。
【0089】
また、本発明において使用される電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル状高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0090】
具体的に、前記電解質は、有機溶媒およびリチウム塩を含むことができる。
【0091】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割をすることができるものであれば、特別な制限なしに使用され得る。具体的に、前記有機溶媒としては、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone)、ε-カプロラクトン(ε-caprolactone)などのエステル系溶媒;ジブチルエーテル(dibutyl ether)またはテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル系溶媒;シクロヘキサノン(cyclohexanone)などのケトン系溶媒;ベンゼン(benzene)、フルオロベンゼン(fluorobenzene)などの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethylcarbonate、DEC)、メチルエチルカーボネート(methylethylcarbonate、MEC)、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate、EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは、炭素数2~20の直鎖状、分岐状または環状構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;またはスルホラン(sulfolane)類などが使用され得る。これらの中でも、カーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度および高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の線状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートなど)の混合物がより好ましい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは、約1:1~約1:9の体積比で混合して使用することが、電解液の性能が優秀に現れることができる。
【0092】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池において使用されるリチウムイオンを提供できる化合物であれば、特別な制限なしに使用され得る。具体的に前記リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAl0、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiCl、LiI、またはLiB(Cなどが使用され得る。前記リチウム塩の濃度は、0.1~2.0Mの範囲内で使用することが好ましい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれる場合、電解質が適切な伝導度および粘度を有するので、優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0093】
前記電解質には、前記電解質構成成分の他にも、電池の寿命特性の向上、電池容量減少の抑制、電池の放電容量の向上などを目的として例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノールまたは三塩化アルミニウムなどの添加剤が1種以上さらに含まれることもできる。この際、前記添加剤は、電解質の総重量に対して0.1~5wt%で含まれ得る。
【0094】
上記のように、本発明による正極活物質を含むリチウム二次電池は、優れた放電容量、出力特性および寿命特性を安定的に示すので、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなどの携帯用機器、およびハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)などの電気自動車分野などに有用である。
【0095】
本発明によるリチウム二次電池の外形は、特別な制限がないが、カンを使用した円筒形、角形、パウチ(pouch)形またはコイン(coin)形などになり得る。また、リチウム二次電池は、小型デバイスの電源として使用される電池セルに使用され得ると共に、多数の電池セルを含む中大型電池モジュールに単位電池としても好ましく使用され得る。
【0096】
本発明のさらに他の態様によれば、前記リチウム二次電池を単位セルとして含む電池モジュールおよび/またはこれを含む電池パックが提供され得る。
【0097】
前記電池モジュールまたは前記電池パックは、パワーツール(Power Tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車、およびプラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)を含む電気車;または電力貯蔵用システムのうちいずれか一つ以上の中大型デバイス電源として用いられる。
【0098】
以下では、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は、ただ本発明を例示するためのものであって、本発明の範疇がこれらの実施例により制限されるものと解されないと言える。
【0099】
実験例1.
(1)正極活物質の製造
(実施例1)
共沈法(co-precipitation method)により球形のNi0.92Co0.08(OH)水酸化物前駆体を合成した。90L級の反応器でNiSO・7HOおよびCoSO・7HOを92:8のモル比で混合した1.5Mの複合遷移金属硫酸水溶液に25wt%のNaOHと30wt%のNHOHを投入した。反応器内のpHは、11.5を維持させ、この際の反応器の温度は、60℃に維持し、不活性ガスであるNを反応器に投入して、製造された前駆体が酸化しないようにした。合成撹拌の完了後、フィルタープレス(F/P)装備を利用して洗浄および脱水を進めて、Ni0.92Co0.08(OH)水酸化物前駆体を収得した。
【0100】
水酸化物前駆体をLi含有原料物質であるLiOHおよびAl含有原料物質であるAlと共にミキサーを使用して混合し、焼成炉でO雰囲気を維持しつつ、分当たり1℃で昇温して350℃で4時間維持した後、分当たり2℃で昇温して熱処理温度650℃で10時間維持した後、自然冷却した。得られた正極活物質をW含有原料物質(WO)と共にミキサーを用いて混合した。同じ焼成炉でO雰囲気を維持しつつ、分当たり2℃で昇温して熱処理温度600℃で5時間維持した後、自然冷却した。次に、上記と同じ条件下で熱処理および冷却を1回さらに行った。実施例1で製造された正極活物質がLi1.0Ni0.902Co0.079Al0.0140.005組成式を有することが確認された。
【0101】
(実施例2)
正極活物質がLi1.04Ni0.897Co0.084Al0.0140.005の組成式を有するように、W含有原料物質(WO)およびコバルト原料物質(Co(OH))と共に混合したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施例2による正極活物質を製造した。
【0102】
(実施例3)
正極活物質がLi1.04Ni0.897Co0.079Al0.0140.005Mg0.005の組成式を有するように、W含有原料物質(WO)およびマグネシウム原料物質(Mg(OH))と共に混合したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施例3による正極活物質を製造した。
【0103】
(実施例4)
正極活物質がLi1.04Ni0.897Co0.079Al0.0140.005Mn0.005の組成式を有するように、W含有原料物質(WO)およびマンガン原料物質(Mn(OH))と共に混合したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施例4による正極活物質を製造した。
【0104】
(実施例5)
正極活物質がLi1.04Ni0.901Co0.079Al0.0140.005Ti0.001の組成式を有するように、W含有原料物質(WO)およびTi含有原料物質(TiO)を使用したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施例5による正極活物質を製造した。
【0105】
(実施例6)
正極活物質がLi1.04Ni0.904Co0.079Al0.0140.005Zr0.001の組成式を有するように、W含有原料物質(WO)およびZr含有原料物質(ZrO)を使用したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施例6による正極活物質を製造した。
【0106】
(実施例7)
正極活物質がLi1.04Ni0.901Co0.078Al0.0140.005Ti0.001Zr0.001の組成式を有するように、正極活物質をW含有原料物質(WO)とWおよびTi含有原料物質(TiO)およびZr含有物質を共に混合したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施例7による正極活物質を製造した。
【0107】
(実施例8)
実施例1において正極活物質をW含有原料物質(WO)と混合した後、600℃で1回だけ熱処理したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施例8による正極活物質を製造した。
【0108】
(比較例1)
実施例1で製造された正極活物質をW含有原料物質(WO)と混合しないことを除いて、実施例1と同じ方法で比較例1による正極活物質を製造した。
【0109】
(比較例2)
Ni0.92Co0.08(OH)水酸化物前駆体をLi含有原料物質であるLiOHおよびAl含有原料物質であるAlと共にミキサーを用いて混合し、焼成炉でO雰囲気を維持しつつ、分当たり1℃で昇温して熱処理温度650℃で10時間維持した後、自然冷却した。
【0110】
得られた正極活物質をW含有原料物質(WO)と共にミキサーを用いて混合した。同じ焼成炉でO雰囲気を維持しつつ、分当たり2℃で昇温して熱処理温度700℃で5時間維持した後、自然冷却した。次に、上記と同じ条件下で熱処理および冷却を1回さらに行って、比較例2による正極活物質を製造した。
【0111】
(比較例3)
比較例2において正極活物質とW含有原料物質(WO)を混合した後、700℃で1回だけ熱処理したことを除いて、比較例2と同じ方法で比較例3による正極活物質を製造した。
【0112】
(比較例4)
Ni0.92Co0.08(OH)水酸化物前駆体をLi含有原料物質であるLiOHおよびAl含有原料物質であるAlと共にミキサーを用いて混合し、焼成炉でO雰囲気を維持しつつ、分当たり1℃で昇温して熱処理温度650℃で10時間維持した後、自然冷却した。
【0113】
得られた正極活物質をW含有原料物質(WO)およびTi含有原料物質(TiO)と共にミキサーを用いて混合した。同じ焼成炉でO雰囲気を維持しつつ、分当たり2℃で昇温して熱処理温度700℃で5時間維持した後、自然冷却して比較例4による正極活物質を製造した。
【0114】
(比較例5)
Ni0.92Co0.08(OH)水酸化物前駆体をLi含有原料物質であるLiOHおよびAl含有原料物質であるAlと共にミキサーを用いて混合し、焼成炉でO雰囲気を維持しつつ、分当たり1℃で昇温して熱処理温度650℃で10時間維持した後、自然冷却した。
【0115】
得られた正極活物質をW含有原料物質(WO)およびZr含有原料物質(ZrO)と共にミキサーを用いて混合した。同じ焼成炉でO2雰囲気を維持しつつ、分当たり2℃で昇温して熱処理温度700℃で5時間維持した後、自然冷却して、比較例5による正極活物質を製造した。
【0116】
(2)正極活物質のTEM/EDS分析
図1図4は、実施例7によって製造された正極活物質に対する透過電子顕微鏡(TEM)分析およびTEM/EDSマッピンク結果を示したものであり、図5は、TEM/EDSマッピンク結果によって測定されたドーピング金属元素(Zr、Ti、W)の含量を示すグラフ(line sum spectrum)である。
【0117】
図1は、実施例7で製造された正極活物質の最表面から一部分を示しており、図2図4は、それぞれ、図1に示した正極活物質に存在するW、TiおよびZrの分布を示している。図2図4に示されたTEM/EDSマッピンク結果において、明るい点(light dot)が当該金属元素に対応する領域である。
【0118】
図2図4を参照すると、実施例7で製造された正極活物質のうちW、TiおよびZrは、2次粒子の表面部から2次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示していることを確認することができる。
【0119】
また、図5を参照すると、TiおよびZrの場合、2次粒子の表面部での濃度減少率がWより大きく、2次粒子の表面部でのZrの濃度減少率は、Ti濃度減少率より大きいことを確認することができる。
【0120】
図5に示された結果は、リチウム複合酸化物を形成する前記2次粒子内W、TiおよびZrの濃度勾配だけでなく、リチウム複合酸化物を形成する1次粒子間の界面および前記1次粒子が凝集して形成された2次粒子の表面のうち少なくとも一部に存在するリチウム合金酸化物(リチウムタングステン酸化物、リチウムチタニウム酸化物、リチウムジルコニウム酸化物)の濃度勾配による影響であると予測することができる。
【0121】
別に図面を添付してはいないが、実施例1~実施例6によって製造された正極活物質がすべてTEM/EDSマッピンク結果から正極活物質を形成する2次粒子の表面部から2次粒子の中心部に向かって減少するリチウム合金酸化物の濃度勾配を確認することができた。
【0122】
図6図7は、比較例3で製造された正極活物質に対する透過電子顕微鏡(TEM)分析およびTEM/EDSマッピンク結果を示すものである。図7図9に示されたTEM/EDSマッピンク結果において、明るい点(light dot)が当該金属元素に対応する領域である。
【0123】
図6は、比較例3によって製造された正極活物質の最表面から一部分を示しており、図7は、図6に示した正極活物質に存在するWの分布を示している。
【0124】
図6および図7を参照すると、図1図4に示された実施例7による正極活物質とは異なって、正極活物質のうちWが2次粒子の表面部から2次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示していないことを確認することができる。これにより、比較例3によって製造された正極活物質の場合、リチウム複合酸化物を形成する1次粒子間の界面および前記1次粒子が凝集して形成された2次粒子の表面のうち少なくとも一部に存在するリチウムタングステン酸化物の濃度勾配がほとんど存在しないことを予測することができる。
【0125】
同様に、別に図面を添付してはいないが、比較例2によって製造された正極活物質も、比較例3のように正極活物質を形成する2次粒子の表面部から2次粒子の中心部に向かって減少するリチウム合金酸化物の濃度勾配を確認することができなかった。
【0126】
図8は、比較例4によって製造された正極活物質に存在するTiに対するTEM/EDSマッピンク結果を示すものである。
【0127】
図8を参照すると、図1図4に示された実施例7による正極活物質とは異なって、正極活物質のうちTiが2次粒子の表面部から2次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示していないことを確認することができる。これにより、比較例4によって製造された正極活物質の場合、リチウム複合酸化物を形成する1次粒子間の界面および前記1次粒子が凝集して形成された2次粒子の表面のうち少なくとも一部に存在するリチウムチタニウム酸化物の濃度勾配がほとんど存在しないことを予測することができる。
【0128】
図9は、比較例5によって製造された正極活物質に存在するZrに対するTEM/EDSマッピンク結果を示すものである。
【0129】
図9を参照すると、図1図4に示された実施例7による正極活物質とは異なって、正極活物質のうちZrが2次粒子の表面部から2次粒子の中心部に向かって減少する濃度勾配を示していないことを確認することができる。これにより、比較例5によって製造された正極活物質の場合、リチウム複合酸化物を形成する1次粒子間の界面および前記1次粒子が凝集して形成された2次粒子の表面のうち少なくとも一部に存在するリチウムジルコニウム酸化物の濃度勾配がほとんど存在しないことを予測することができる。
【0130】
(3)正極活物質のXRD分析
実施例および比較例によって製造された正極活物質に対してX線回折(XRD)分析を行って、正極活物質のうちリチウム合金酸化物が存在するか否かを確認した。XRD分析は、Cu Kαradiation(1.540598Å)を利用したBruker D8 Advance回折計(diffractometer)を利用して行った。
【0131】
図10図12は、実施例5~実施例7によって製造された正極活物質に対するXRD分析結果を示すグラフである。
【0132】
図10を参照すると、正極活物質のうちリチウム合金酸化物であるLiWOに相当する特性ピークが確認され、特に、(220)ピークは、シフト(shift)されなかったが、(111)および(200)ピークが特異的に低角(low angle)側にシフト(shift)されるのに伴い、LiWOが形成する格子構造内タングステンのうち一部がTiで置換された異種のリチウム合金酸化物が存在することを確認した。
【0133】
また、図11を参照すると、正極活物質のうちリチウム合金酸化物であるLiWOに相当する特性ピークが確認され、特に、(111)、(200)および(220)ピークが特異的に低角(low angle)側にシフト(shift)されるのに伴い、LiWOが形成する格子構造内タングステンのうち一部がZrで置換された異種のリチウム合金酸化物が存在することを確認した。
【0134】
図12を参照すると、NCA組成の正極活物質が形成されたことを確認することができ、これと同時に、正極活物質内LiWO、LiWO、LiTiO、LiTiOおよびLiZrOに該当するピークが存在することを確認した。
【0135】
(4)正極活物質の未反応リチウムの測定
実施例および比較例によってそれぞれ製造された正極活物質に対する未反応リチウムの測定は、pH滴定(pH titration)によりpH4になるまで使用された0.1MのHClの量で測定した。まず、実施例および比較例によってそれぞれ製造された正極活物質それぞれ5gをDIW 100mlに入れて15分間撹拌した後、フィルタリングし、フィルタリングされた溶液50mlを取った後、これに0.1MのHClを加えてpH変化によるHClの消耗量を測定して、Q1およびQ2を決定し、これを通じて未反応のLiOHおよびLiCOを計算した。
【0136】
M1=23.95(LiOH Molecular weight)
M2=73.89(LiCO Molecular weight)
SPL Size=(Sample weight×Solution Weight)/Water Weight
LiOH(wt%)=[(Q1-Q2)×C×M1×100]/(SPL Size×1000)
LiCO(wt%)=[2×Q2×C×M2/2×100]/(SPL Size×1000)
【0137】
前記計算式を通じて測定された未反応リチウムの測定結果は、下記の表1に示した。
【0138】
【表1】
【0139】
前記表1の結果を参照すると、実施例によって製造された正極活物質は、比較例によって製造された正極活物質に比べて残留リチウムの量が大きく減少したことを確認することができる。
【0140】
実験例2.
(1)リチウム二次電池の製造
実施例および比較例によってそれぞれ製造された正極活物質それぞれ94wt%、カーボンブラック(carbon black)3wt%、PVDFバインダー3wt%をN-メチル-2ピロリドン(NMP)30gに分散させて、正極スラリーを製造した。前記正極スラリーを厚さ15μmの正極集電体であるアルミニウム(Al)薄膜に塗布および乾燥し、ロールプレス(roll press)を実施して、正極を製造した。正極のローディングレベルは、10mg/cmであり、電極密度は、3.2g/cmであった。
【0141】
前記正極に対して金属リチウムを対極(counter electrode)とし、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)を2:4:4の体積比で混合した溶媒に1.15MのLiPFを添加して製造した。
【0142】
前記正極および負極の間に多孔質ポリエチレン(PE)フィルムからなるセパレーターを介在して電池組立体を形成し、前記電解液を注入して、リチウム二次電池(コインセル)を製造した。
【0143】
(2)リチウム二次電池の容量特性の評価
前記で製造されたリチウム二次電池(コインセル)に対して25℃で0.15Cの定電流(CC)で4.25Vになるまで充電し、以後、4.25Vの定電圧(CV)で充電して、充電電流が0.05mAhになるまで1回目の充電を行った。以後、20分間放置した後、0.1Cの定電流で3.0Vになるまで放電して、1サイクル目の放電容量を測定した。第1充放電時の充電容量、放電容量および充放電効率を下記の表2に示した。
【0144】
【表2】
【0145】
前記表2の結果を参照すると、実施例によって製造された正極活物質を使用したリチウム二次電池が、比較例によって製造された正極活物質を使用したリチウム二次電池に比べて充放電効率および容量特性の側面で改善されたことを確認することができる。
【0146】
(3)リチウム二次電池の安定性の評価
前記で製造されたリチウム二次電池(コインセル)に対して25℃で1Cの定電流(CC)で3.0~4.25Vの駆動電圧の範囲内で充/放電を100回実施した。これにより、常温での充放電100回実施後、初期容量に対する100サイクル目の放電容量の比率であるサイクル容量維持率(capacity retention)を測定した。
【0147】
また、リチウム二次電池の高温貯蔵特性を確認するために、25℃で充放電した電池をSOC100%を基準として充電して抵抗を測定した後、60℃で7日間貯蔵後、抵抗を測定して、抵抗の変化幅を確認した。
【0148】
前記測定結果は、下記の表3に示した。
【0149】
【表3】
【0150】
前記表3の結果を参照すると、実施例によって製造された正極活物質を使用したリチウム二次電池が、比較例によって製造された正極活物質を使用したリチウム二次電池に比べて容量維持率に優れていると共に、高温貯蔵前後の抵抗変化幅が小さいことを確認することができる。
【0151】
以上のように本発明に対して例示した図面を参照して説明したが、本明細書に開示された実施例と図面により本発明が限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で通常の技術者により多様な変形が行われ得ることは自明である。なお、先立って本発明の実施例を説明するに際して、本発明の構成による作用効果を明示的に記載して説明していないとしても、当該構成によって予測可能な効果も認められるべきことは当然である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12