(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-06
(45)【発行日】2022-07-14
(54)【発明の名称】投影システムにおける光学歪み低減
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20220707BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2021554987
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 US2020025554
(87)【国際公開番号】W WO2020198719
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-12-24
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516371634
【氏名又は名称】ズース マイクロテック フォトニック システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェラーリ、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ユアン、ヤンロン
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン、ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】キリオン、ジェラード
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/236770(WO,A1)
【文献】米国特許第05559629(US,A)
【文献】特表2008-529094(JP,A)
【文献】国際公開第2009/005065(WO,A1)
【文献】特開2001-201688(JP,A)
【文献】特開平09-289160(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0264785(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0240210(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影システムであって、
前記投影システムの像平面上に投影される物体の画像を生成するための照明放射線を生成するように構成された照明システムであって、
前記照明放射線を放射線源から受け取り、前記物体の前記画像を生成するためにパターン化された照明放射線ビームを提供するように構成されたフィールド除外照明集光器を含み、
前記パターン化された照明放射線ビームが、前記投影システムの光路内に配設された屋根型プリズムの稜線に対応する除外された照明部分を含む、該照明システム、を備える投影システム。
【請求項2】
前記フィールド除外照明集光器が、前記パターン化された照明ビームを生成するために、受け取った前記照明放射線の部分を遮断するように構成されたフィールド遮断アパーチャ挿入物を含む、請求項1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記照明システムが、前記パターン化された照明放射線ビームの特定のビーム形状を選択するために、複数のフィールド遮断アパーチャ挿入物のうちの1つを選択するように構成されたフィールド遮断アパーチャ挿入物選択機構を含む、請求項2に記載の投影システム。
【請求項4】
前記パターン化された照明放射線ビームのためのビーム形状が、ダイヤモンド形に成形された外周、及び前記屋根型プリズムの前記稜線の出っ張り部に位置合わせされた、部分的又は完全に除外された内側細片を含む、請求項2に記載の投影システム。
【請求項5】
前記パターン化された照明放射線ビームのためのビーム形状が、六角形に成形された外周、及び前記屋根型プリズムの前記稜線の出っ張り部に位置合わせされた、部分的又は完全に除外された内側細片を含む、請求項2に記載の投影システム。
【請求項6】
前記フィールド除外照明集光器が、前記パターン化された照明ビームを生成するために、受け取った前記照明放射線を空間的に進路変更させるように構成されたフィールド除外ライトパイプを含む、請求項1に記載の投影システム。
【請求項7】
前記フィールド除外ライトパイプが、前記パターン化された照明放射線ビームの前記除外された照明部分を形成するように、前記フィールド除外照明集光器の入口で互いに隣接し、かつ前記フィールド除外照明集光器の出口で互いに離隔している、第1及び第2の三角形に成形されたライトパイプチャンバを含む、請求項6に記載の投影システム。
【請求項8】
前記パターン化された照明放射線ビームのためのビーム形状が、ダイヤモンド形に成形された外周、及び前記屋根型プリズムの前記稜線の出っ張り部に位置合わせされた、部分的又は完全に除外された内側細片を含む、請求項6に記載の投影システム。
【請求項9】
前記パターン化された照明放射線ビームのためのビーム形状が、六角形に成形された外周、及び前記屋根型プリズムの前記稜線の出っ張り部に位置合わせされた、部分的又は完全に除外された内側細片を含む、請求項6に記載の投影システム。
【請求項10】
前記照明システムが、前記パターン化された照明放射線ビームのための特定のビーム形状を選択するために、複数の前記フィールド除外照明集光器のうちの1つを選択するように構成されたフィールド除外照明集光器選択機構を含む、請求項6に記載の投影システム。
【請求項11】
投影システムであって、
前記投影システムの像平面上に投影される物体の画像を生成するための照明放射線を生成するように構成された照明システムであって、
前記照明放射線を放射線源から受け取り、前記物体の前記画像を生成するためにパターン化された照明放射線ビームを提供するように各々構成された複数の
フィールド除外照明集光器
であって、前記パターン化された照明放射線ビームが、前記投影システムの光路内に配設された屋根型プリズムの稜線に対応する除外された照明部分を含む、該複数のフィールド除外照明集光器と、
前記パターン化された照明放射線ビームのための特定のビーム形状を選択するために、前記複数の
フィールド除外照明集光器のうちの1つを選択するように構成された集光器選択機構と、を含む、該照明システム、を備え、
前記パターン化された照明放射線ビームのための少なくとも1つの特定のビーム形状が、
所定の形状に成形された外周と、屋根型プリズムの稜線の出っ張り部に位置合わせされた、部分的又は完全に除外された内側細片とを含む、投影システム。
【請求項12】
前記外周が、ダイヤモンド形に成形された外周を含む、請求項11に記載の投影システム。
【請求項13】
前記外周が、六角形に成形された外周を含む、請求項11に記載の投影システム。
【請求項14】
投影システムの照明システムによって、前記投影システムの像平面上に投影される物体の画像を生成するための照明放射線を生成することと、
前記照明システムのフィールド除外照明集光器によって、前記照明放射線を受け取ることと、
前記フィールド除外照明集光器によって、前記物体の前記画像を生成するためにパターン化された照明放射線ビームを提供することと、を含み、
前記パターン化された照明放射線ビームが、前記投影システムの光路内に配設された屋根型プリズムの稜線に対応する除外された照明部分を含む、方法。
【請求項15】
フィールド遮断アパーチャ挿入物選択機構を介して、前記パターン化された照明放射線ビームのための特定のビーム形状を選択するために、複数のフィールド遮断アパーチャ挿入物のうちの1つを選択することと、
前記選択されたフィールド遮断アパーチャ挿入物を前記フィールド除外照明集光器の中に挿入することによって、前記選択されたフィールド遮断アパーチャ挿入物を受け取った前記照明放射線に適用することと、を更に含み、前記選択されたフィールド遮断アパーチャ挿入物が、前記パターン化された照明ビームを生成するために、受け取った前記照明放射線の部分を遮断するように構成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
フィールド除外照明集光器選択機構を介して、前記パターン化された照明放射線ビームのための特定のビーム形状を選択するために、複数の前記フィールド除外照明集光器のうちの1つを選択することと、
選択された前記フィールド除外照明集光器を、前記照明放射線の光路内に設置することによって、選択された前記フィールド除外照明集光器を受け取った前記照明放射線に適用することと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
選択された前記フィールド除外照明集光器が、前記パターン化された照明ビームを生成するために、受け取った前記照明放射線の部分を遮断するように構成されたフィールド遮断アパーチャ挿入物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
選択された前記フィールド除外照明集光器が、前記パターン化された照明ビームを生成するために、受け取った前記照明放射線を空間的に進路変更させるように構成されたフィールド除外ライトパイプを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記パターン化された照明放射線ビームのためのビーム形状が、ダイヤモンド形に成形された外周、及び前記屋根型プリズムの前記稜線の出っ張り部に位置合わせされた、部分的又は完全に除外された内側細片を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記パターン化された照明放射線ビームのためのビーム形状が、六角形に成形された外周、及び前記屋根型プリズムの前記稜線の出っ張り部に位置合わせされた、部分的又は完全に除外された内側細片を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本継続出願は、2019年3月27日に出願された「OPTICAL DISTORTION REDUCTION IN PROJECTION SYSTEMS」と題する米国仮特許出願第62/824,966号の利益、及びそれに対する優先権を主張する、2020年3月26日に出願された「OPTICAL DISTORTION REDUCTION IN PROJECTION SYSTEMS」と題する米国非仮特許出願第16/831,730号の利益、及びそれに対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2017年6月19日に出願された「MAGNIFICATION COMPENSATION AND/OR BEAM STEERING IN OPTICAL SYSTEMS」と題する米国仮特許出願第62/522,062号に対する優先権、及びその利益を主張する、現在は2020年1月21日に発行された米国特許第10,539,770号となっている2018年6月18日に出願された「MAGNIFICATION COMPENSATION AND/OR BEAM STEERING IN OPTICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願第16/011,564号の継続出願でありそれに対する優先権を主張する、2020年1月16日に出願された「MAGNIFICATION COMPENSATION AND/OR BEAM STEERING IN OPTICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願第16/745,273号の一部継続出願であり、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
1つ以上の実施形態が、概して、投影システムに関し、より具体的には、例えば、走査投影及び/又はリソグラフィを用いて使用するための投影システムにおける光学歪み低減のための技術に関する。
【背景技術】
【0004】
半導体製造において、リソグラフィシステムは、多くの場合、投影システム(例えば、照明システム及び光学系を含む)を使用して、ウェハ又は基板上にマスクによって形成されるパターンを投影する。集積チップ及びパッケージサイズを低減し、エネルギー消費を減らすためには、基板上に更に細かい特徴を印刷する必要があり、したがって、半導体リソグラフィ機器によって生産される達成可能な特徴解像度を改善する必要がある。半導体製造において特徴解像度を劣化させ得る1つの要因は、リソグラフィで使用される光学系の1つ以上の素子によって引き起こされる光学歪みである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つ以上の実施形態では、投影システムは、投影システムの像平面上に投影され物体の画像を生成するために照明放射線を生成するように構成された照明システムを備える。その照明システムは、照明放射線を放射線源から受け取り、パターン化された照明放射線ビームを提供して物体の画像を生成するように構成されるフィールド除外照明集光器を含んでもよく、パターン化された照明放射線ビームは、投影システムの光路内に配設される屋根型プリズムの稜線に対応する除外された照明部分を含む。
【0006】
1つ以上の実施形態では、方法は、投影システムの照明システムによって、投影システムの像平面上に投影され物体の画像を生成するための照明放射線を生成することと、照明システムのフィールド除外照明集光器によって、照明放射線を受け取ることと、フィールド除外照明集光器によって、物体の画像を生成するためにパターン化された照明放射線ビームを提供することと、を含み、パターン化された照明放射線ビームは、投影システムの光路内に配設された屋根型プリズムの稜線に対応する除外された照明部分を含む。
【0007】
本開示の範囲は、参照によりこの項に組み込まれる特許請求の範囲によって定義される。本開示の実施形態のより完全な理解は、以下に示す1つ以上の実施形態の詳細な説明を考慮することによって、その更なる利点の実現と共に、当業者に与えられるであろう。添付の図面シートを参照するが、まず、これらの図面シートについて簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態による光学系を示す。
【
図2A】
図2Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、対称倍率レンズセット、非対称倍率レンズセット、並びに関連する取り付けシステム及びアクチュエータシステムを示す。
【
図2B】
図2Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、対称倍率レンズセット、非対称倍率レンズセット、並びに関連する取り付けシステム及びアクチュエータシステムを示す。
【
図3A】
図3Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、対称倍率レンズセットのレンズの相対的な位置決めの例を示す。
【
図3B】
図3Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、対称倍率レンズセットのレンズの相対的な位置決めの例を示す。
【
図3C】
図3Cは、本開示の1つ以上の実施形態による、対称倍率レンズセットのレンズの相対的な位置決めの例を示す。
【
図4A】
図4Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、対称倍率レンズセットの例示的な断面図を示す。
【
図4B】
図4Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、非対称倍率レンズセットの例示的な断面図を示す。
【
図5】
図5は、本開示の1つ以上の実施形態による、光学系のレンズデュオを示す。
【
図6】
図6は、本開示の1つ以上の実施形態による、非対象倍率レンズを示す。
【
図7】
図7は、本開示の1つ以上の実施形態による、光学系のビームステアリングレンズを示す。
【
図8】
図8は、本開示の1つ以上の実施形態による、ビームステアリングレンズ及び関連する構成要素を示す。
【
図9】
図9は、本開示の1つ以上の実施形態による、リソグラフィシステムを示す。
【
図10】
図10は、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機又はその一部分を示す。
【
図12】
図12は、ウェハ上の様々なダイの実際及び所望のダイサイズ並びに場所を示す。
【
図14A】
図14Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、ウェハが移動されたときの光学系のビームステアリングレンズの傾斜を示す。
【
図14B】
図14Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、ウェハが移動されたときの光学系のビームステアリングレンズの傾斜を示す。
【
図14C】
図14Cは、本開示の1つ以上の実施形態による、ウェハが移動されたときの光学系のビームステアリングレンズの傾斜を示す。
【
図15A】
図15Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、スキャナ露光視野の位置と、関連するウェハ位置の遷移とを示す。
【
図15B】
図15Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、スキャナ露光視野の位置と、関連するウェハ位置の遷移とを示す。
【
図15C】
図15Cは、本開示の1つ以上の実施形態による、スキャナ露光視野の位置と、関連するウェハ位置の遷移とを示す。
【
図15D】
図15Dは、本開示の1つ以上の実施形態による、スキャナ露光視野の位置と、関連するウェハ位置の遷移とを示す。
【
図16】
図16は、本開示の1つ以上の実施形態による走査リソグラフィ機を示す。
【
図17】
図17は、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機で使用するための屋根型プリズムを示す。
【
図18A】
図18Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、屋根型プリズムを含む走査リソグラフィ機によって生成される露光フィールドの例を示す。
【
図18B】
図18Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、屋根型プリズムを含む走査リソグラフィ機によって生成される露光フィールドの例を示す。
【
図19A】
図19Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、屋根型プリズムと、その屋根型プリズムによって引き起こされる光学歪みを低減するように構成されたフィールド除外照明集光器と、を含む走査リソグラフィ機によって生成される露光フィールドの例を示す。
【
図19B】
図19Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、屋根型プリズムと、その屋根型プリズムによって引き起こされる光学歪みを低減するように構成されたフィールド除外照明集光器と、を含む走査リソグラフィ機によって生成される露光フィールドの例を示す。
【
図20A】
図20Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機の屋根型プリズムによって引き起こされる光学歪みを低減及び/又は排除するように構成されたフィールド遮断アパーチャ挿入物を含むフィールド除外照明集光器を示す。
【
図20B】
図20Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、屋根型プリズムと、その屋根型プリズムによって引き起こされる光学歪みを低減及び/又は排除するように構成されたフィールド遮断アパーチャ挿入物を含むフィールド除外照明集光器と、を含む走査リソグラフィ機によって生成される露光フィールドの例を示す。
【
図20C】
図20Cは、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機の屋根型プリズムの照明を示す。
【
図21】
図21は、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機の屋根型プリズムによって引き起こされる光学歪みを低減及び/又は排除するように構成されたフィールド除外照明集光器のためのフィールド遮断アパーチャ挿入物を示す。
【
図22A】
図22Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機のためのフィールド遮断アパーチャ挿入物選択機構を示す。
【
図22B】
図22Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機のためのフィールド遮断アパーチャ挿入物選択機構を示す。
【
図23】
図23は、本開示の1つ以上の実施形態による、リレーレンズシステムを含むフィールド除外照明集光器と関連付けられた光線追跡を示す。
【
図24】
図24は、本開示の1つ以上の実施形態による、フィールド遮断アパーチャ挿入物又はフィールド除外ライトパイプを含むフィールド除外照明集光器によって生成される投影された照明の間の空間的相違を示す。
【
図25】
図25は、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機の屋根型プリズムによって引き起こされる光学歪みを低減及び/又は排除するように構成されたフィールド除外ライトパイプを含むフィールド除外照明集光器を示す。
【
図26】
図26は、本開示の1つ以上の実施形態による、フィールド除外ライトパイプによって生成された空間放射照度分布を示す。
【
図27A】
図27Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機のためのフィールド除外照明集光器選択機構を示す。
【
図27B】
図27Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機のためのフィールド除外照明集光器選択機構を示す。
【
図28】
図28は、本開示の1つ以上の実施形態による、フィールド除外照明集光器を含む走査リソグラフィ機を使用するためのプロセスの流れ図を示す。
【0009】
本開示の実施形態及びそれらの利点は、以下の詳細な説明を参照することにより最良に理解される。同様の参照番号が、図面のうちの1つ以上に示される同様の要素を識別するために使用されることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に記載される詳細な説明は、対象技術の様々な構成の説明として意図され、対象技術が実施され得る唯一の構成を表すことを意図するものではない。添付の図面は、本明細書に組み込まれ、詳細な説明の一部を構成する。詳細な説明は、本主題技術の完全な理解を提供する目的のための具体的な詳細を含む。しかしながら、本主題技術は、本明細書に記載される具体的な詳細に限定されず、1つ以上の実施形態を使用して実施され得ることは、当業者には明確かつ明白であろう。1つ以上の事例において、構造体及び構成要素は、対象技術の概念を不明瞭にすることを避けるために、ブロック図の形態で示される。本主題開示の1つ以上の実施形態は、1つ以上の図によって例示され、かつ/又は1つ以上の図に関連して説明され、特許請求の範囲に記載される。
【0011】
走査半導体リソグラフィ機/システムは、投影システムを含んでもよく、投影システムそれ自体は、基板上に1:1非回転マスク画像を投影する光学系(例えば、Wynn-Dyson1:1又は単位倍率光学系)を含む。このシステムは走査システムであるため、マスク画像は、マスク画像が基板上に走査されたときに汚れないように非回転でなければならない。非回転マスクをウェハ画像に製作するための光学設計は、一方のプリズムが直角プリズムであり、かつ他方のプリズムが屋根型プリズムである一対のプリズムを含むことが多い。この光学設計により、(例えば、基板上に正立画像を生成するように)マスク及びウェハ画像が実質的に全く同じ方向に配向されるという望ましい効果がもたらされ、比較的大きな視野、及び優れた再現解像度(例えば、最大達成可能である光学的特徴解像度に迫る)からの恩恵が得られる。残念なことに、このような屋根型プリズムの稜線の近く又はその稜線において反射する光線は、わずかな回折効果を生成する場合が多い。屋根型プリズムの中心近くの画像ビームは、分割され、そして再度合成される。屋根型プリズムの90度表面での任意の角度誤差は、画像品質を劣化させる。完全な屋根角度を有する場合であっても、稜線それ自体は、光を回折させ、画像品質を劣化させる。精密光学研磨により、この悪影響を低減することができるが、それは、達成するのに時間及び多大な費用がかかり、精密光学研磨を用いたとしても、わずかな歪み効果が依然として存在し得る。特に
図16~
図28に関して本明細書に記載される実施形態は、マスク画像が基板上に生成及び走査されるときに、マスク画像内のそのような歪みを低減及び/又は排除する。
【0012】
光学系における倍率補正及びビームステアリングを促進するための様々な技術が提供される。倍率補正は、ウェハ上のダイの不完全な配置、ウェハ及び/若しくはマスクの膨張、並びに/又は他の状況などによる倍率誤差を考慮するために利用され得る。いくつかの実施形態では、光学系は、倍率補正(例えば、倍率修正又は倍率調整とも称される)を提供するためのレンズセットを含んでもよい。倍率補正に利用されるレンズセットは、集合的に倍率補正レンズと称され得る。倍率補正は、光学系の公称倍率を調整(例えば、変更、修正、補正)するために使用されてもよい。この点に関して、光学系の公称倍率は、倍率補正レンズによって提供される任意の倍率補正なしの光学系の倍率を指し得る。一態様では、倍率補正レンズによって提供される倍率補正は、倍率補正レンズが物体に倍率を効果的に提供するため、単に倍率と称され得る。本明細書で使用するとき、倍率補正レンズによって提供される倍率は、正の倍率(例えば、提供された倍率なしの場合に比べて像を大きくする)、負の倍率(例えば、提供された倍率なしの場合に比べて像を小さくする)、又はゼロ倍率(例えば、倍率補正レンズは拡大も縮小もしない)であってもよい。一態様では、倍率は、像平面(例えば、対象平面とも称される)における像サイズと物体平面における物体サイズとの比を指し得る。
【0013】
第1のレンズセットは、x方向及びx方向に直交するy方向の両方に沿って同じ倍率補正を提供してもよい。このような倍率補正は、対称倍率補正又は回転対称倍率補正と称され得る。第1のレンズセットは、対称倍率レンズセットと称され得るか、又はそれによって実施され得る。対称倍率レンズセットは、1つ以上の球面レンズなど、1つ以上の対称レンズを含んでもよい。第2のレンズセットは、x方向及び/又はy方向に沿って異なる倍率補正を提供してもよい。このような倍率補正は、単軸倍率補正又は非対称倍率補正と称され得る。第2のレンズセットは、非対称倍率レンズセットと称され得る。非対称倍率レンズセットは、1つ以上の円柱レンズなど、1つ以上の非対称レンズを含んでもよい。本開示の様々な実施形態に記載される光学系は、対称倍率補正のための1つのレンズセットと、非対称倍率補正のための別のレンズセットとを含み、光学系は、他の実施形態では、対称倍率補正及び/又は非対称倍率補正を提供するためにより少ないレンズセット、追加のレンズセット、及び/又は異なる組み合わせのレンズセットを含んでもよい。例えば、一実施形態では、光学系は、対称倍率補正のための単一のレンズセットを含んでもよい(例えば、非対称倍率補正のためのレンズセットを有さない)。
【0014】
それぞれのレンズセットは、1つ以上のレンズ(例えば、1つ以上の凸レンズ及び/又は1つ以上の凹レンズ)を含んでもよい。一態様では、第1のレンズセットは、3つのレンズ(例えば、レンズトリオとも称される)を含んでもよい。一例として、3つのレンズは、2つの平凹レンズ及び1つの両凸レンズを含んでもよい。別の例として、3つのレンズは、2つの平凸レンズ及び1つの両凹レンズを含んでもよい。
【0015】
光学系は、倍率補正レンズによって提供される倍率補正の調整を容易にするためのアクチュエータシステムを含んでもよい。一例として、レンズセットが2つ以上のレンズを含む場合、このレンズセットによって提供される倍率補正は、セット内のレンズのうちの少なくとも2つの間の間隙(例えば、エアギャップ)のサイズを調整することによって調整され得る。この点に関して、アクチュエータシステムは、間隙のサイズを調整するために、セット内のレンズのうちの1つ以上を移動させ得る。別の例として、レンズセットが単レンズを含む場合、単レンズによって提供される倍率補正は、アクチュエータシステムを使用して力を加えることなどによって、単レンズを曲げる(例えば、変形させる)ことによって調整され得る。
【0016】
1つ以上の実施形態では、光学系は、ビームを像平面に方向付けるための1つ以上のビームステアリング素子を含んでもよい。ビームステアリング素子は、ビームステアリングレンズ、ビームステアリング窓、傾斜レンズ、傾斜窓、及び/又はそれらの変形型であってもよく、又はそのように称されてもよい。ビームステアリング素子は、第1及び第2のレンズセットを通って伝播したビームを受容し得る。
【0017】
様々な実施形態を使用して、テレセントリック光学系などの光学系の倍率が制御され得る。いくつかの実施形態では、光学系は、Wynn-Dyson1:1(例えば、単位倍率)走査投影システム及び/若しくは他のフォトリソグラフィ像システムなどの半導体リソグラフィシステム、並びに/又は概ね、物体平面における物体の像を像平面上に投影するための任意の投影レンズシステムであってもよく、それを含んでもよく、又はその一部であってもよい。いくつかの態様では、物体及び像においてテレセントリックである投影レンズシステムの場合、倍率は、物体距離又は像距離の変更によって変更され得ない。場合によっては、倍率補正を提供するために、投影レンズの物体テレセントリック空間又は像テレセントリック空間に大半径の凸レンズ及び凹レンズが用いられてもよい。投影レンズシステムにおける倍率補正レンズの使用により、光学系によって提供される倍率の調整が可能になる。場合によっては、投影レンズシステムにより大きい半径の倍率補正レンズを追加することにより、(例えば、より小さい倍率補正レンズの追加と比べて)像性能に対する影響が小さくなる。倍率補正及びビームステアリングは、拡大誤差を低減しながらスループットを維持するために、迅速に実行され得る。更に、このような技術は、異なる倍率補正が異なる方向に提供される非対称倍率補正を可能にする。
【0018】
ここで図を参照すると、
図1は、本開示の1つ以上の実施形態による光学系100を示す。しかしながら、図示された構成要素の全てが、必ずしも必要とされなくてもよく、1つ以上の実施形態は、
図1に示されていない追加の構成要素を含んでもよい。構成要素の配置及びタイプの変形は、本明細書に記載されるように特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく行われてもよい。追加の、より少ない、及び/又は異なる構成要素が提供されてもよい。一実施形態では、光学系100は、ビームステアリングを用いて光学非対称倍率を提供するために利用されてもよい。
【0019】
光学系100の様々な光学構成要素は、光学構成要素上に入射する又はそれを通って伝搬する放射線を反射及び/又は屈折させる。いくつかの態様では、放射線は電磁(electromagnetic、EM)放射である。EM放射線は、概ね、EMスペクトル内の任意の放射線を指し得、放射線のEMビーム、EMビーム、光線、ビーム、又はそれらの変異(例えば、光のEMビーム)と称され得る。用語「光線」は、可視光線、赤外光線、紫外線(ultraviolet、UV)光線、又は概ね、EMスペクトルの任意の部分を含み得る。場合によっては、光学系100の様々な構成要素の光透過性表面は、そこを通る光透過を増加させるための材料でコーティングされてもよい。代替的及び/又は追加的に、光学系100の様々な構成要素の反射表面は、反射率を増加させるようにコーティングされてもよい。
【0020】
図1に示されるような一実施形態では、物体平面105は、z方向(例えば、
図1の垂直方向)に沿って像平面110に平行であり、そこから離隔している。物体平面105と像平面110との間の例示的な距離は、約8.58インチである。物体平面105及び像平面110は、光学系100の反対側に配設される。放射線源(
図1には示されていない)は、物体平面105を通って光学系100までビーム115(例えば、EM放射線)を提供し得る。例えば、放射線源は、UV光源などの光源であってもよい。ビーム115は、光学系100の様々な構成要素を通って伝搬し、ビーム120として像平面110に出力されてもよい。このようにして、物体平面105における物体の像は、像平面110上に投影され得る。他の実施形態では、物体及び像平面は、互いに規定の角度にある(例えば、物体及び像平面は互いに平行ではない)。
【0021】
一実施形態では、例えば、光学系100がリソグラフィシステム(例えば、半導体リソグラフィシステム)の一部として提供されるとき、レチクル、マスク、又は概ね、マイクロエレクトロニクスパターンが上(例えば、材料のプレート/フィルム上)に画定されている任意の構造体は、像平面110上に投影されるように、物体平面105に物体として提供されてもよい。構造体が上に製作又は製造されるウェハは、マイクロエレクトロニクスパターンの投影を受容するように、像平面110に提供されてもよい。この点に関して、ビーム115は、物体平面105の物体(例えば、レチクル、マスクなど)を通って伝搬し、光学系100によって像平面110に方向付けられる。場合によっては、光学系100は、ビーム115に倍率(例えば、正又は負の倍率)を適用してもよい。一態様では、倍率は、像平面110における像サイズと物体平面105における物体サイズとの比を指し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、光学系100は、対称倍率レンズセット125と、非対称倍率レンズセット130と、ビームステアリングレンズ135と、プリズム140及び145と、レンズアセンブリ150と、ミラー155とを含む。場合によっては、
図1の破線ボックスは、光学系100のハウジングを表し得る。例えば、ハウジングは、ビーム115が光学系100に入る(例えば、連結する)ことを可能にする窓及び/又は材料を含んでもよい。いくつかの態様では、非対称倍率レンズセット130は、本明細書で更に説明されるように任意選択的である。
【0023】
レンズアセンブリ150は、レンズ160、165、170、及び175を含む。レンズ160、165、170、及び175は、それぞれ平凸レンズ、凹凸レンズ、凸凹レンズ、及びメニスカスレンズであってもよい。一態様では、ミラー155及びレンズ160、165、170、及び175は、光学系100の光軸に沿って位置付けられる(例えば、取り付けられる)。光学系100の光軸は、ビームが屈折することなく横断し得る軸を指し得る。一態様では、レンズ160、165、170、及び175は、色収差、フィールド収差、及び/又は非点収差を集合的に修正するための材料で作製され、及び/又はそのように位置付けられる。レンズ160、165、170、及び175は、同じ又は異なるガラスタイプで作製されてもよい。
【0024】
レンズ160は、ミラー155から離れる方を向く平面と、ミラー155の方を向く凸面とを有する。レンズ160の凸面は、レンズ165の凹面の方を向いてもよい。場合によっては、レンズ160の凸面は、レンズ165の凹面に入れ子にされてもよい。例えば、レンズ160及び165は、ダブレットを形成するように、共にセメントで接合されてもよい。レンズ165は、ミラー155の方を向く凸面を有する。レンズ165の凸面の曲率は、レンズ165の凹面の曲率より小さく、かつレンズ160の凸面の曲率より小さくてもよい。
【0025】
レンズ170は、ミラー155から離れてレンズ160に向かう方を向く凸面と、ミラー155の方を向く凹面とを有する。レンズ175は、ミラー155の方を向く凸面と、ミラー155から離れてレンズ160に向かう方を向く凹面とを有する。場合によっては、レンズ175の表面の曲率は、レンズ165及びレンズ170の曲率より小さい。
【0026】
ミラー155は、光学系100の光軸を中心とし、レンズ160の方を向く凹面180を有する。凹面180は、球面又はわずかに非球面であってもよい(例えば、実質的に球面とも称される)。凹面180は、大きいフィールドの高次色収差を修正するのを助けるために、わずかに球面(例えば、わずかに楕円)であってもよい。一態様では、レンズアセンブリ150の凹面180並びにレンズ160、165、170、及び175の形状と、その位置決め/配置とが、色収差の修正を容易にし得る。前述のものは、レンズ160、165、170、及び175の例示的特性を提供することに留意されたい。レンズ及び/又はレンズ特性の他の組み合わせが利用されてもよい。一実施形態では、レンズ160、165、170、及び175は、球面又は非球面のいずれかであり得る。Dysonレンズの他の実施形態は、当業者に既知であり、本開示に記載される定義済みの倍率及びビームステアリングと共に使用され得る。
【0027】
プリズム140(例えば、屋根型プリズムとも称される)とプリズム145(例えば、折り畳みプリズムとも称される)は、物体平面105と像平面110との間にある。物体平面とプリズム140の上面との間の例示的な距離は、約1.41インチである。
図1に示されるような場合には、プリズム140及び145は、互いに隣接して、レンズ160に取り付けられる。この点に関して、プリズム140及び145は、ミラー155から遠いレンズ160の側に隣接する。プリズム140及び145は各々、レンズ160の平面に隣接する平面を有する。プリズム140及び145のこの平面は、物体平面105、像平面110、並びにレンズアセンブリ150及びミラー155の光軸に対して垂直な面内にある。
【0028】
プリズム140は、物体平面105に対して45°の角度、及びレンズ160の平面に対して45°の角度で、物体平面105に向かって延在する頂点縁部142を有する。プリズム140は、平面状であり、頂点縁部142まで延在する屋根面を有する。屋根面は、互いに90°の角度であってもよい。プリズム145は、物体平面105に対して平行であり、かつ物体平面105の方を向く平面を有する。プリズム145は、物体平面105及び像平面110に対して45°の角度にある面147を有する。面147は、プリズム140の頂点縁部142を含む平面、並びに物体平面105及び像平面110に対して垂直である。プリズム140の面147及び頂点縁部142は、互いに対して、ミラー155に向かう方向に収束する。プリズム140及び145は、概ね、物体平面105と像平面110との間のほぼ中間であり、かつそれらに対して平行である平面内で互いに隣接している。
図1に示されるような場合には、プリズム140及び145は、この中間点で互いに隣接する平坦面を有する。
【0029】
プリズム140及び145並びにレンズ160、165、170、及び175は、物体平面105から像平面110に投影される特定のフィールドサイズ及び形状を受容し、通過させるために適切なサイズに(例えば、十分に大きく)設定される。対称倍率レンズセット125及び非対称倍率レンズセット130は、特定のフィールドサイズ及び形状を提供するために利用され得る。
図1では、対称倍率レンズセット125は、物体平面105とプリズム140との間に位置付けられ、非対称倍率レンズセット130は、プリズム145と像平面110との間に位置付けられる。対称倍率レンズセット125は、物体平面105から受容したビーム115を拡大し得る。非対称倍率レンズセット130は、プリズム145を通過したビームを拡大して、ビーム120を像平面110に提供し得る。非対称倍率レンズセット130が光学系100内に提供されない態様では、プリズム145は、ビーム120を像平面110に提供し得る。例えば、非対称倍率レンズセット130を有さない実施形態では、
図1の残りの構成要素は、ビームステアリングレンズ135の表面を向くプリズム145の表面、及びビームステアリングレンズ135を介してビーム120を像平面110に提供するプリズム145を除き、
図1に示すままであってもよい。
【0030】
対称倍率レンズセット125は、x方向及びy方向に沿って対称倍率補正を提供する。対称倍率レンズセット125は、レンズ125A~Cを含む。レンズ125A~Cは、1つ以上の球面レンズであってもよく、又はそれを集合的に提供してもよい。一例では、レンズ125A、125B、及び125Cは、それぞれ平凹レンズ、両凸レンズ、及び凹平レンズであってもよい。別の例では、レンズ125A、125B、及び125Cは、平凸レンズ、両凹レンズ、及び凸平レンズであってもよい。一態様では、レンズ125A~Cのうちの少なくとも1つは、対称倍率レンズセット125によって提供される対称倍率補正を調整するため、光学系100と関連付けられたアクチュエータシステム(
図1には示されていない)によって移動可能であってもよい(例えば、並進運動を介する)。例えば、アクチュエータシステムは、光学系100の一部として提供されてもよく、ないしは別の方法で光学系100に連結されてもよい。場合によっては、レンズ125A~Cのうちの1つ又は2つは移動可能であるが、レンズ125A~Cのうちの残りは、定位置に固定されたままであることが意図される。更なる実施形態では、レンズ125A~Cの全ては移動可能である。
【0031】
非対称倍率レンズセット130は、x方向又はy方向の一方又は両方に沿って倍率補正調整を提供する。非対称倍率レンズセット130は、レンズ130A~Cを含む。レンズ130A~Cは、1つ以上の円柱レンズであってもよく、又はそれを集合的に提供してもよい。一例では、レンズ130A、130B、及び130Cは、平凸レンズ、凹凹レンズ、及び凸平レンズであってもよい。別の例では、レンズ130A~Cは、それぞれ平凹レンズ、両凸レンズ、及び凹平レンズであってもよい。レンズ130A~Cの最も厚い部分は、約2mm~10mmであってもよい。一実施例では、レンズ130A~Cは、円形、正方形、又は矩形のガラスを使用して作製されてもよい。場合によっては、矩形の外形は、製造及び位置合わせがより容易であり得る。一態様では、レンズ130A~Cのうちの少なくとも1つは、非対称倍率レンズセット130によって提供される非対称倍率補正を調整するため、光学系100と関連付けられたアクチュエータシステムによって移動可能であってもよい(例えば、並進運動を介する)。場合によっては、レンズ125A~Cのうちの1つ又は2つは移動可能であるが、レンズ130A~Cのうちの残りは、定位置に固定されたままであることが意図される。更なる実施形態では、全てのレンズ130A~Cは移動可能である。
【0032】
一態様では、大きい非対称倍率補正はシステム非点収差に影響を及ぼし得るため、非対称倍率レンズセット130によって提供される非対称倍率補正範囲は、対称倍率レンズセット125によって提供される対称倍率補正範囲よりも小さくてもよい(例えば、より小さくなるように設計されてもよい)。一例として、対称倍率レンズセット125は、x方向及びy方向の両方に沿って-250百万分率(ppm)~+250ppmの対称倍率補正範囲を提供するために利用されてもよく、非対称倍率レンズセット130は、x方向又はy方向の一方又は両方に沿って-50ppm~+50ppmの倍率補正範囲を提供するために利用されてもよい。一態様では、正の倍率補正は倍率の増加をもたらし(例えば、倍率補正レンズを有さない場合と比べて)、負の倍率補正は倍率の減少をもたらし、ゼロ倍率補正は倍率を維持する。この例では、光学系100は、約±250ppmの対称補正の補正範囲と、約±50ppmの単軸補正範囲とを提供し得る。
【0033】
一態様では、対称倍率レンズセット125は、2対のレンズであってもよく、又はそのようにみなされてもよい。例えば、第1の対のレンズ間の間隙(例えば、エアギャップ)のサイズは、0~+250ppmの倍率補正範囲を提供し得、第2の対のレンズ間の間隙のサイズは、-250ppm~0の倍率補正範囲を提供し得る。この点に関して、第1の対のレンズは、レンズ125A及び125Bを含んでもよく、第2の対のレンズはレンズ125B及び125Cを含んでもよい。
【0034】
任意選択的に、ビームステアリングレンズ135は、非対称倍率レンズセット130の出力を受容し、ビーム120を像平面110に方向付けてもよい。場合によっては、ビームステアリングレンズ135は、(例えば、ビームステアリングレンズ135を有さない場合と比べて)ビーム120をx方向及び/又はy方向に沿って方向付けるための調整可能な傾斜を有してもよい。非対称倍率レンズセット130が光学系100に提供されない態様では、プリズム145は、ビーム120をビームステアリングレンズ135に提供してもよく、ビームステアリングレンズ135は、ビーム120を像平面110に方向付けてもよい。
【0035】
光学系100の光路は、物体平面105から提供されるビーム115が、出力ビーム(ビーム120)として提供されるように光学系100を横断して、像平面110上に方向付けられる経路である。ビーム115が光路を横断し、光路に沿って様々な構成要素(例えば、レンズ、ミラー)を横断し、かつ/又はミラー面に衝突する際に、ビーム115の強度は、吸収及び/又は散乱損失などによって減衰され得ることに留意されたい。
【0036】
光学系100の光路を横断する際に、ビーム115は、物体平面105の物体を通過し、光学系100に入る。光学系100に入ると、ビーム115は、対称倍率レンズセット125を通過する。対称倍率レンズセット125は、ビーム115に対称倍率補正を適用し得る。得られたビームは、対称倍率レンズセット125を出て、プリズム140を通過し、プリズム140、例えば頂点縁部142によって異なる方向に反射される。プリズム140によって反射されたビームは、順に、レンズ160、165、170、及び175を通過し、ミラー155の凹面180の異なる部分に衝突する。ミラー155の凹面180は入射ビームを反射する。凹面180によって反射されたビームは、順に、レンズ175、170、165、及び160を通過してプリズム145に至り、続いてプリズム145は、ビームを非対称倍率レンズセット130に向けて方向付ける。非対称倍率レンズセット130は、ビームに非対称倍率補正を適用してもよい。得られたビームは、ビームステアリングレンズ135に提供されて、ビームステアリングレンズ135によって像平面110に方向付けられてもよい。ビームステアリングレンズ135の出力は、光学系100の出力ビームとみなされ得るビーム120である。
【0037】
図1は、レンズアセンブリ150のプリズム140及び145、レンズ160、165、170、及び175と、ミラー155と、それらの配置(例えば、物体平面105及び像平面110に対する)との例示的な組み合わせを示すことに留意されたい。場合によっては、光学系100には、より少ない、より多い、かつ/又は異なる構成要素が用いられてもよい。一例として、対称倍率レンズセット125及び非対称倍率レンズセット130は各々、3つのレンズを有するものとして描かれているが、対称倍率レンズセット125及び非対称倍率レンズセット130は各々、1つのレンズ、2つのレンズ、又は3つを超えるレンズなど、
図1に示される3つのレンズとは異なる数のレンズを有してもよい。対称倍率レンズセット125は、非対称倍率レンズセット130とは異なる数のレンズを有してもよい。別の例として、場合によっては、ビームステアリングレンズ135は、光学系100に用いられない。別の例として、レンズアセンブリ150のレンズ160、165、170、及び175のうちの1つ以上は、光学系100に用いられない。
【0038】
構成要素及び/又はその配置の他の組み合わせが、光学系に用いられてもよい。1つの変形例として、プリズム140及び145の位置は、プリズム140及び145の動作に影響を及ぼすことなく反転され得る。別の変形例として、対称倍率レンズセット125及び/又は非対称倍率レンズセット130は、
図1に示される場所とは異なる場所に提供されてもよい。例えば、一実施形態では、対称倍率レンズセット125は、プリズム140とレンズ160との間に配置されてもよい。別の例では、レンズセット125及び130は、レンズ160とプリズム140及び145のいずれか又は両方との間に配置されてもよい。別の例では、レンズセット125及び130は、
図1に示されるものとは位置が逆であってもよく、又は概ね、非対称倍率レンズセット130が対称倍率レンズセット125よりも光路において先の方の地点に配置されるように位置が逆であってもよい。この例の1つの変形では、非対称倍率レンズセット130は、プリズム140の上方に配置されてもよく、対称倍率レンズセット125は、プリズム145の下方に配置されてもよい。換言すれば、非対称倍率レンズセット130は、プリズム140よりも光路において先の方の地点にあり、対称倍率レンズセット125は、プリズム145よりも光路において後の方の地点にある。別の構成では、レンズセット125及び130は、単一のレンズセットに組み合わされ、以前に定義された場所のうちのいずれかに配置され得る。これらの例及び/又は他の配置の様々な組み合わせは、レンズセット125及び/又は130をプリズム140及び145並びにレンズ160に対して配置する際に利用されてもよい。構成要素及び/又はそれらの配置の組み合わせの更なる例は、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,559,629号に提供されている。
【0039】
図1の光学系100は、物体平面105が像平面110に平行である例を示しているが、別の実施形態(図示せず)では、物体平面105及び像平面110は互いに平行ではない。このような実施形態では、物体平面105に最も近いプリズム140の面は、物体平面105と平行であり、像平面110に最も近いプリズム145の面は、像平面110に平行である。レンズ160に最も近いプリズム140及び145の面は平行である。このような実施形態では、例えば、プリズム140及び145は両方とも、内部的に反射する折り畳みプリズムであり得る。
【0040】
図2A及び
図2Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、光学系100の対称倍率レンズセット125及び非対称倍率レンズセット130、並びに関連する取り付けシステム及びアクチュエータシステムを示す。しかしながら、図示された構成要素の全てが必要とされなくてもよく、1つ以上の実施形態は、
図2A及び
図2Bに示されていない追加の構成要素を含んでもよい。構成要素の配置及びタイプの変形は、本明細書に記載されるように特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく行われてもよい。追加の、より少ない、及び/又は異なる構成要素が提供されてもよい。説明の目的のために、プリズム140及び145並びにレンズ160、165、170、及び175などの光学系100の他の構成要素は、
図2A及び
図2Bには示されていない。
図2A及び
図2Bに示されるように、光学系100は、
図1に示される様々な構成要素並びに関連する取り付けシステム及びアクチュエータシステムが内部に配設されるハウジング202(例えば、エンクロージャとも称される)を含んでもよい。
【0041】
取り付けシステムは、レンズセット125及び130(あるいは光学系100の他の構成要素)を支持(例えば、定位置に保持)するのを助ける構造的特徴/構成要素(例えば、ねじ、接着剤、クランプ、受容インターフェースなど)を含んでもよい。アクチュエータシステムは、アクチュエータ205、アクチュエータ210、アクチュエータコントローラ215、フィードバック装置220、及びフィードバック装置225を含んでもよい。アクチュエータ205は、対称倍率レンズセット125の1つ以上のレンズを移動させるように構成されてもよい。例えば、対称倍率レンズセット125の1つ、2つ、又は3つ全てのレンズは、アクチュエータ205によって移動可能である一方、対称倍率レンズセット125の残りのレンズ(存在する場合)は定位置に固定されたままであってもよい。同様に、アクチュエータ210は、非対称倍率レンズセット130の1つ以上のレンズを移動させるように構成されてもよい。アクチュエータコントローラ215は、情報を受信し、受信した情報に基づいてアクチュエータ205及び210に対する制御信号を生成してもよい。フィードバック装置220及び225は、各々エンコーダ、容量性、誘導性、若しくはレーザーセンサ、歪みゲージ、並びに/又は、概して、運動前、運動中、及び運動後に、レンズ125A~C及び130A~Cの位置をそれぞれ検証するために使用することができる任意の装置であってもよく、各々それらを含んでもよく、若しくは各々それらの一部であってもよい。この点に関して、アクチュエータコントローラ215並びにフィードバック装置220及び225は、レンズ125A~C及び130A~Cが、レンズ125A~Cのうちの1つ以上及びレンズ130A~Cのうちの1つ以上の作動前、作動中、及び作動後に適切な位置にあることを確実にするのを助けるため、連係して動作してもよい(例えば、適切な情報を交換する)。
【0042】
一実施形態では、アクチュエータコントローラ215は、マスク及びウェハの相対的な位置決めと関連付けられた情報を受信してもよい。リソグラフィシステムでは、マスク及びウェハの像をカメラシステムによってキャプチャして、ウェハ上へのマスク(例えば、マスクのパターン)の予期される投影が決定され得る。予期される投影を使用して、予期される投影から所望の投影に調整するために必要な倍率補正及び/又はビームステアリングが決定され得る。例えば、ウェハ上の1つ以上の場所で撮影されたウェハターゲットの像が、マスクターゲットよりもウェハの中心から更に外れている場合、ウェハは、正の倍率を有すると決定され、適切に正の倍率及びステアリングが適用され得る。ウェハターゲットの像がマスクターゲットよりもウェハの中心に近い場合、ウェハは負の倍率を有すると決定され、適切に負の倍率及びステアリングが適用され得る。上の例は、マスクが倍率バイアスを有さない場合として定義されることに留意されたい。マスクが倍率バイアスを有する場合、所望の倍率を提供するために適切な計算が適用され得る。一般に、新たに印刷された特徴がウェハの全ての素子にわたって以前に印刷された特徴に適切に重なり合うように、印刷されたマスク像は出射ウェハ像の倍率と一致する(ゼロ倍率又は0magとして知られる)ことが望ましい。この点に関して、様々な実施形態を使用して、所望に応じてゼロ倍率、正の倍率、又は負の倍率を印刷することが可能である。加えて、マスクターゲットに対するウェハターゲットの位置のオフセットは、ビームステアリングを使用して修正され得る。
【0043】
いくつかの態様では、適切な位置合わせを決定するために、マスクに対してウェハ上の複数の点が検査される。場合によっては、対称倍率補正では、対称倍率補正を利用すべきか否かを決定するために最低2点が必要であり、非対称倍率補正では、非対称倍率補正を利用すべきか否かを決定するために少なくとも3つの点が必要とされ得、好ましくは4つの点が検査される。しかしながら、ウェハ上のより多くの点を検査して、全体的により良好な位置合わせ及び倍率性能を与えることができる。
【0044】
ビームステアリング又はマイクロウェハの位置決めの付加的な使用により、位置合わせルーチンの間に識別されるマスクとウェハとの間の小さな並進及び/又は回転差が補正され得る。例えば、ウェハをマスクに対して並進させる場合、ウェハをマスクの直下になるように再位置決めすることができ、又はビームステアリングを利用してオフセットを補正することができる。このような再位置決め及び/又はビームステアリングは、回転差にも適用され得る。これはまた、位置合わせのためにx方向対y方向に必要とされる異なる修正が存在する場合にも適用され得る。
【0045】
場合によっては、制御信号は、レンズセット125及び/又は130によって提供される倍率補正を示し得る。これらの場合、アクチュエータ205及び210は、制御信号に示される倍率補正を達成し、決定された距離だけ適切なレンズ(複数可)を移動させるために、移動可能レンズのうちの1つ以上を移動させる距離を(例えば、プロセッサを使用して)決定し得る。他の場合、代替的に及び/又は組み合わせにより、制御信号は、アクチュエータ205及び/又は210に、それぞれのレンズセットの移動可能レンズのうちの1つ以上を移動させる距離を直接示し得る。
【0046】
前で考察されたように、像平面110上に投影された像の倍率の変更は、対称倍率レンズセット125及び非対称倍率レンズセット130の一方又は両方を調整することによって達成され得る。
図3A~
図3Cは、本開示の1つ以上の実施形態による対称倍率レンズセット125のレンズ125A~Cの相対的な位置決めの例を示す。
図3A~
図3Cでは、レンズ125Cが光線305の伝搬方向(例えば、z方向)に沿って移動可能である一方、レンズ125A~Bは定位置に固定されたままである。
【0047】
図3A~
図3Cの破線310は、対称倍率レンズセット125の光軸を通過する光線305の一部分の光路を示す。対称倍率レンズセット125のレンズ125A~Cは、それぞれの光軸が重なり合うように位置付けられる。対称倍率レンズセット125の光軸を通過する光線305の一部は、レンズ125A~Cによって屈折(例えば、屈曲)されない。
図3A~
図3Cの破線315は、x方向に沿った光軸に平行であり、その光軸から距離rだけ変位される。
図3A、
図3B、及び
図3Cの実線320、325、及び330は、それぞれ、線310からの距離rで、z方向からレンズ125Aに入射する光線305の一部分の光路である。
【0048】
対称倍率レンズセット125によって提供される倍率補正を調整するため、レンズ125A及び125Bが定位置に固定されている一方で、レンズ125Cをz方向に沿って(例えば、アクチュエータによって)移動させることによって、レンズ125Aの最上面とレンズ125Cの最下面との間の距離(
図3A、
図3B、及び
図3CでそれぞれD
A、D
B、及びD
Cと示される)が調整される。一例として、
図3A~
図3Cでは、D
A<D
B<D
Cである。他の場合、代替的に及び/又は追加的に、レンズ125A及び/又は125Bは、レンズ125Aの最上面とレンズ125Cの最下面との間の距離を調整するために移動可能であってもよい。場合によっては、より少ない数の移動可能レンズが、低減された数のアクチュエータ及び/又は複雑さと関連付けられ得る。
【0049】
図3A~
図3Cでは、レンズ125Cのみがこの例で移動可能であるため、異なる距離D
A、D
B、及びD
Cは、レンズ125Bと125Cとの間の異なる間隙サイズ(例えば、エアギャップサイズ)に起因する。線310によって示される光軸から離れた光路を有するビームについては、レンズ125A及び125Bがビームを屈折させる。線315に関して、ビームの光路(実線320、325、及び330によって示される)は、レンズ125Bと125Cとの間の異なる間隙がビームによって横断されるため、レンズ125Bを出た後の光路の部分で互いから偏位する。
図3Aでは、ビームはレンズ125Bを出て、線315に向かって収束するが、線315に到達しない。レンズ125Cの出力における線310と線320との間の距離は、r
Aで示されている。この点に関して、レンズ125Bと125Cとの間の間隙は、結果的にr<r
Aとなり、これは、対称倍率レンズセット125が倍率を増加させることを示す。倍率の増加は、正の倍率補正と称され得る。
【0050】
図3Bでは、ビームはレンズ125Bを出て、線315に向かって収束し、線315と重なり合う。レンズ125Cの出力における線310と線325との間の距離は、r
Bで示されている。この点に関して、レンズ125Bと125Cとの間の間隙は、結果的にr=r
Bとなり、これは、対称倍率レンズセット125が倍率を提供しない(例えば、ゼロ倍率補正を提供する)ことを示す。
図3Cでは、ビームはレンズ125Cを出て、線315に向かって収束し、次いでそこを通過する。レンズ125Cの出力における線310と線330との間の距離は、r
Cで示されている。この点に関して、レンズ125Bと125Cとの間の間隙は、結果的にr>r
Cとなり、これは、対称倍率レンズセット125が倍率を減少させることを示す。倍率の減少は、負の倍率補正によって定量化され得る。
【0051】
図3A~
図3Cの説明では、対称倍率レンズセット125のレンズ125A~Cを参照しているが、同様の説明が、非対称倍率レンズセット130のレンズ130A~Cに概ね適用される。
【0052】
図4Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、レンズ125A~Cの例示的な断面図を示す。
図4Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、レンズ130A~Cの例示的な断面図を示す。
【0053】
一実施形態では、倍率レンズセット(例えば、125、130)は、当業者に理解されるように、倍率レンズセットが、光学系(例えば、100)に制御可能な度量を選択的に追加して、光学系と関連付けられた倍率を変更し得るように設計されてもよい。一例として、2つのレンズからなる薄肉レンズ群の場合、薄肉レンズの度(φ'abとして示される)の組み合わせは、以下のように計算することができる。
【0054】
【0055】
式中、φ'aは、第1のレンズの度であり、φ'bは、第2のレンズの度であり、dは、第1のレンズと第2のレンズとの間の距離である。もし、φ'a=-φ'bならば、φ'ab=dφ'a
2である。したがって、この場合、レンズの間隙(例えば、レンズのエアギャップ)がゼロ(即ち、d=0)であるとき、薄い倍率レンズ群はゼロ度を有する。レンズの間隙が増加すると、倍率レンズ群の度が増加する。
【0056】
dは正の値であるため、この倍率レンズ群は正の度を生成する。一態様では、倍率レンズが正又は負の倍率修正を生成するために、反対側の(例えば、等しい)レンズの度を有する別の薄肉レンズ群を用いることができ、そのため、2つのレンズ群の倍率レンズ群の度は次のようになる。
【0057】
【0058】
式中、d1は、第1の薄肉レンズ群の2つのレンズ間の距離であり、d2は、第2の薄肉レンズ群の2つのレンズ間の距離である。d1=d2のとき、φ'ab=0である。d1>d2のとき、φ'ab>0である。d1<d2のとき、φ'ab<0である。この場合、倍率レンズ群は4つの薄肉レンズを有する。4つの薄肉レンズは、中間の2つのレンズが両凸レンズ又は両凹レンズとして組み合わされる場合、3つのレンズであってもよい。一実施形態では、対称倍率レンズセット125及び/又は130は、上に提供されるような第1及び第2の薄肉レンズ群を含んでもよい。例えば、非対称倍率レンズセット130では、距離d1は、レンズ130Aと130Bとの間の間隙を表してもよく、距離d2は、レンズ130Bと130Cとの間の間隙を表してもよい。
【0059】
上記では、φ'a=-φ'bである。他の場合には、φ'a≠-φ'bである(例えば、第1のレンズの度は、第2のレンズの度と大きさが等しくない)。これらの場合、
【0060】
【0061】
のとき、φ'ab=0である。
【0062】
【0063】
のとき、φ'ab<0である。
【0064】
【0065】
のとき、φ'ab>0である。
【0066】
場合によっては、より多くのレンズを有する倍率レンズセットは、より大きい倍率修正範囲(例えば、倍率補正範囲とも称される)を可能にし得る。この点に関して、より大きい倍率修正範囲が所望されるとき、例えば、約±250ppm又はそれより広い倍率修正範囲の場合、3つ、4つ以上のレンズが倍率レンズセットで利用されてもよい。例えば、対称倍率レンズセット125は、レンズ125A~Cを含み、場合によっては、約±250ppmの倍率修正範囲を提供し得る。場合によっては、倍率修正が概ね、比較的小さい範囲内、例えば約70ppm又はそれ未満(例えば、-70ppm~+70ppm、-70ppm~0、0~+70ppmなど)の倍率修正範囲内であるとき、対称倍率レンズセット内の2つのレンズが選択されてもよい。例えば、4つのレンズ群内の追加のレンズは(例えば、2つのレンズ群に対して)、光学系に余分な歪みを導入し得る。したがって、所望の倍率修正範囲が小さいほど、少ないレンズの使用で歪みを小さくすることができる。
【0067】
一実施形態では、光学系100(及び/又は他の光学系)は、ステッパリソグラフィツール又はスキャナリソグラフィツールで利用されてもよい。例えば、光学系100は、ステッパ又はスキャナで使用されるDysonレンズシステム上に用いられてもよい。一態様では、ステッパ上で使用される場合、一度に全フィールドが露光される。ステッパでは、フィールドは概ね矩形状を有する。対称倍率レンズセット125及び非対称倍率レンズセット130は、フィールドの倍率を調整する(例えば、倍率補正を適用する)ために利用されてもよい。フィールドが次の部位へステップオーバされるとき、ステップ距離は、ウェハにわたる倍率が得られるように変化する。ステッパツールでは、視野(field of view、FOV)はウェハよりも小さく、そのため、ステッパツールは、ウェハにわたるFOVをステップする。各ステップは、部位とみなされる。場合によっては、ステッパツールでこのような倍率調整を使用するとき、倍率は、ウェハ全体にわたる平均倍率に設定され得る。他の場合には、ステッパツールでこのような倍率調整を使用するとき、倍率設定は、露光されるフィールドの平均倍率に調整されてもよく、倍率設定は、ウェハが部位から部位に移動する際に調整されてもよい。
【0068】
非対称倍率レンズセット130は、非対称倍率を達成するために利用されてもよい。非対称倍率レンズセット130は、スキャナのFOVの1つの軸に沿って倍率補正を提供するように配向されてもよい(例えば、x方向又はy方向のいずれかの倍率補正)。一実施形態では、非対称倍率レンズセット130は、走査方向に垂直な非対称倍率を生成するように配向される。例えば、走査方向はx方向であってもよく、倍率補正はy方向に適用されてもよい。
【0069】
動作中、対称倍率レンズセット125は、スキャナのFOVにわたってx方向及びy方向の両方における対称倍率補正を提供し得、非対称倍率レンズセット130は、y方向に倍率補正を提供し得る。対称倍率補正の例示的範囲は、約±250ppmであってもよく、非対称倍率補正の例示的範囲は、約±50ppm(例えば、y方向)であってもよい。この点に関して、+250ppm~-250ppm間の任意の対称倍率補正が達成され得、+50ppm~-50ppm間の任意の非対称倍率補正が達成され得る。これらの例示的範囲は、X及びYが光学系100の公称x方向倍率及び公称y方向倍率である(例えば、x方向及びy方向におけるゼロ倍率補正を伴う)、以下の極端をもたらす。
極端1:最大対称倍率補正+最大非対称倍率補正
X+250ppm、Y+300ppm
極端2:最大対称倍率補正+最小非対称倍率補正
X+250ppm、Y+200ppm
極端3:最小対称倍率補正+最大非対称倍率補正
X-250ppm、Y-200ppm
極端4:最小対称倍率補正+最小非対称倍率補正
X-250ppm、Y-300ppm
【0070】
場合によっては、光学設計及び機械設計に対するわずかな改良を利用して、光学系の主要設計を変更することなく、対称倍率及び/又は非対称倍率の量を調整することができる。例えば、光学設計及び機械設計に対するわずかな改良を利用して、主要設計を変更することなく、対称及び非対称倍率の量を増減させることができる。このようなわずかな改良は、倍率補正レンズの半径を調整すること、及びレンズの移動を増減させることを含み得る。場合によっては、設計された倍率の2~3倍程度が達成され得る。
【0071】
図1~
図4は、各々3つのレンズを有する2つのレンズセットを参照して説明されているが、各レンズセットは、
図1~
図4に示されるレンズよりも少ない、多い、及び/又は異なるレンズを有してもよい。加えて、
図1~
図4は、1つのレンズセットが対称倍率を提供するように構成され得(例えば、設計される)、別のレンズセットが非対称倍率を提供するように構成され得る、例示的実施形態を示しているが、他の実施形態では、対称及び/又は非対称倍率を提供するために、より多くの及び/又は異なるレンズセットが利用されてもよい。一例として、別の実施形態では、光学系は、2つの非対称円柱レンズアセンブリを含み得る。場合によっては、このような光学系は、理想的には、x方向に±250ppmの倍率のXに沿った1つのレンズセットと、y方向に±250ppmの倍率のYに沿った第2のレンズセットと、の2つのレンズセットを、互いに直交するように位置合わせする。
【0072】
図5は、本開示の1つ以上の実施形態による、光学系のレンズデュオ500を示す。レンズデュオ500は、レンズ505及びレンズ510を含む。レンズ505及び510は、レンズ505及び510が光軸を共有するように位置合わせされてもよい。レンズ505及び510は、z方向に沿った距離dだけ(例えば、空気によって)分離される。
図5では、レンズデュオ500は、回転対称倍率補正を提供するための対称倍率レンズセットを形成する。一例として、レンズ505及び510は、それぞれ平凸レンズ及び平凹レンズであってもよい。一実施形態では、レンズデュオ500は、
図1に示す対称倍率レンズセット125として使用されてもよい。
【0073】
破線515は、レンズデュオ500の光軸(例えば、レンズ505及び510の光軸)を通過するビームの光路を示す。破線520は、x方向に沿った光軸に平行であり、その光軸から距離rだけ変位される。実線525は、線515からの距離rでレンズ505に入り、レンズ505と510との間のエアギャップを通過するときに線515に向かって収束し、光軸からの距離r1=r-(Δx/Δy)でレンズ510を通過する、ビームの光路を示す。r>r1であるため、レンズデュオ500は倍率を減少させる(例えば、負の倍率補正を提供する)。レンズデュオ500によって提供される倍率補正を調整するため、レンズ505又はレンズ510の一方又は両方が移動可能であってもよい。例えば、レンズ505及び/又は510は、レンズ505とレンズ510との間の距離dを調整するために、z方向に沿ってアクチュエータシステムの1つ以上のアクチュエータによって移動させられてもよい。
【0074】
一態様では、1つの間隙だけを有する
図5のレンズデュオ500は、負又は正の倍率補正を生成する。この倍率補正は、φ'
a≠-φ'
b(例えば、第1のレンズの度は、第2のレンズの度と大きさが等しくない)の場合に、以前定義されたように実現され得る。すなわち、この場合、
【0075】
【0076】
のとき、φ'ab=0である。
【0077】
【0078】
のとき、φ'ab<0である。
【0079】
【0080】
のとき、φ'ab>0である。レンズ505及び510が異なる半径を有するとき、2つのレンズ群(φ'abとして示される)の倍率は、レンズ505とレンズ510との間の間隙dの様々な値に対して正から負に変更され得る。場合によっては、レンズデュオの使用は、より安価であり得、かつ/又はレンズトリオ又は3つを超えるレンズの使用よりも単純な製品をもたらし得る。
【0081】
図5のレンズデュオ500は対称倍率レンズセットを形成しているが、光学系は、レンズデュオ500を用いる代わりに、かつ/又はそれに加えて、非対称倍率レンズセット用にレンズデュオを用いてもよい。この点に関して、対称倍率レンズセット内のレンズの数は同じであってもよく、又は非対称倍率レンズセット内のレンズの数と異なってもよい。光学系で使用されるレンズの数は、コスト、製造の複雑さ、性能仕様、及び/又は他の考慮事項などの考慮事項に基づいてもよい。場合によっては、レンズデュオは、(例えば、3つ以上のレンズを有するレンズセットよりも)低い貨幣原価及び製造の複雑さと関連付けられ得る。場合によっては、対称倍率レンズセット及び非対称倍率レンズセットが各々レンズデュオを含む場合、マスクは、非対称性によって小さめ及び/又は大きめであってもよい。例えば、基準サイズのマスクに対して、マスクは、異なる要因によって小さめであってもよく、かつ/又はマスクの異なる部分の異なる要因によって大きめであってもよい。
【0082】
一実施形態では、非対称倍率レンズセットは、一方向(例えば、x軸又はy軸のいずれか)に沿った非対称倍率補正、及び正の倍率補正又は負の倍率補正のうちの1つのみを提供するために使用されてもよい。例えば、3つ(又はそれ超)のレンズを有する非対称倍率レンズセットに対して軸のうちの1つを-50ppm~+50ppmのいずれかによって修正することとは対照的に、2つのレンズを有する非対称倍率レンズセットは、軸のうちの1つを0~+50ppmのいずれか又は0~-50ppmのいずれかによって修正するために使用され得る。場合によっては、2つのレンズの使用は、製造がより容易であり得る(例えば、2つのレンズシステムの各レンズをより厚くすることができる)。場合によっては、レンズデュオは、1つの軸に沿って倍率補正を可能にするように回転可能であってもよい。例えば、レンズデュオの1つの配向では、レンズデュオは、x軸のみに沿った非対称の倍率修正を提供し得る。このレンズデュオを90°だけ回転して、y方向のみに沿った倍率補正を提供することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、非対称倍率レンズセット130のレンズ130A、130B、及び130Cは、レンズ130A~Cの最も厚い部分が約2mm~10mmである平凸円柱レンズ、凹凹円柱レンズ、及び凸平レンズであってもよい。一態様では、単独のレンズが、レンズ130A、130B、及び130Cの代わりに使用されてもよい。
図6は、本開示の1つ以上の実施形態による非対称倍率レンズ600を示す。一実施形態では、非対称倍率レンズセット130は、非対称倍率レンズ600であってもよい。他の実施形態では、非対称倍率レンズセット130は、1つ以上の他のレンズと共に非対称倍率レンズ600を含んでもよい。
【0084】
非対称倍率レンズ600は、
図6に示すような平窓であってもよい。アクチュエータは、非対称倍率レンズ600を屈曲させて、平窓を(例えば、その屈曲された軸に沿って)倍率補正を発生させ得る凹凸レンズに変形させることができる。非対称倍率レンズ600が屈曲する方向に応じて、非対称倍率レンズ600は、正又は負の倍率補正を生成し得る。場合によっては、非対称倍率レンズ600は、必要に応じてx方向、y方向、又はその両方において選択的に屈曲(例えば、変形)されて、x方向又はy方向の一方又は両方において所望の倍率補正(例えば、非対称倍率補正)を生成し得る。
【0085】
一態様では、アクチュエータシステムは、非対称倍率レンズ600によって提供される倍率を制御するために提供されてもよい。アクチュエータシステムは、アクチュエータ620、アクチュエータコントローラ625、及びフィードバック装置630を含んでもよい。アクチュエータ620は、アクチュエータコントローラ625によってアクチュエータ620に提供される制御信号に従って、x方向、y方向、又はその両方の倍率補正を提供するために、非対称倍率レンズ600上で設定方向に沿って力を加えるように構成されてもよい。アクチュエータコントローラ625は、情報を受信し、受信した情報に基づいてアクチュエータ620に対する制御信号を生成してもよい。この情報は、非対称倍率レンズ600によって提供される所望の倍率を示し得る。場合によっては、アクチュエータコントローラ625によって生成される制御信号は、アクチュエータ620によって非対称倍率レンズ600に加えられる力(存在する場合)、及び力を加える方向を示し得る。非対称倍率レンズ600に力を加えることによって、アクチュエータ620は、非対称倍率レンズ600に所望の倍率を提供させ得る。フィードバック装置630は、エンコーダ、容量性、誘導性、若しくはレーザーセンサ、歪みゲージ、並びに/又は、概して、アクチュエータ620によって力が加えられる前、その間、及び/若しくはその後に、非対称倍率レンズ600の構成(例えば、屈曲の量、屈曲の方向、関連する倍率)を検証するために使用され得る任意の装置であってもよく、それらを含んでもよく、又はそれらの一部であってもよい。この点に関して、アクチュエータコントローラ625及びフィードバック装置630は、非対称倍率レンズ600が適切に構成されていることを確実にするために、連係して動作してもよい(例えば、適切な情報を交換する)。場合によっては、アクチュエータ620又は他のアクチュエータは、非対称倍率レンズ600を屈曲させる代わりに、又はそれに加えて、非対称倍率レンズ600を回転させて、x方向、y方向、又はその両方において所望の倍率補正を達成し得る。
【0086】
例えば、非対称倍率レンズ600は、光線が屈曲方向とは反対の方向に移動するときに正の倍率補正を引き起こすレンズ605を提供するように、(例えば、アクチュエータコントローラ625からの適切な制御信号に基づいて)アクチュエータ620によって屈曲されてもよい。別の例としては、非対称倍率レンズ600は、光線が屈曲方向と同じ方向に移動するときに負の倍率補正を引き起こすレンズ610を提供するように、アクチュエータ620によって屈曲されてもよい。非対称倍率レンズ600が屈曲されていないとき、非対称倍率レンズ600によって倍率補正は提供されない。一態様では、非対称倍率レンズ600などの単レンズの使用は、機械設計及び/又は制御の複雑さ(例えば、屈曲と関連付けられた)を伴い得、より容易な製造、より小さい光学厚さ、光学系内のより少ない空間の占有を可能にし得る。場合によっては、代替的及び/又は追加的に、対称正倍率補正又は対称負倍率補正を提供するように変形され得る単一の対称倍率レンズが、対称倍率レンズセットとして利用され得る。
【0087】
図7は、本開示の1つ以上の実施形態による、光学系100のビームステアリングレンズ135を示す。ビームステアリングレンズ135はまた、傾斜レンズと称されてもよい。ビームステアリングレンズ135は、光ビームを所望の場所(例えば、像平面110上)に方向付け直すため、必要に応じて(例えば、アクチュエータシステムのアクチュエータによって)傾斜されてもよい。例えば、ビームステアリングレンズ135は、ビームステアリングレンズ135の傾斜を制御し得るアクチュエータシステムに連結されてもよい。アクチュエータシステムは、
図2A、
図2B、及び
図6の対応するアクチュエータシステムと同じ又は類似の様式で実装され得る、アクチュエータ705と、アクチュエータコントローラ710と、フィードバック装置715と、を含んでもよい。傾斜は、1つ以上の角度によって表され得る。角度αは、x方向に沿った傾斜量を提供し得る。別の角度(図示せず)は、y方向に沿った傾斜量を提供し得る。
図7において、ビームステアリングレンズ135の傾斜は、ビームステアリングレンズ135が傾斜していない場合と比べて、距離(Δx/Δy)だけビームの変位を引き起こす。
図7に示すように、ビームステアリングレンズ135によるビームの変位は、ビームステアリングレンズ135の傾斜角度(複数可)、及びビームステアリングレンズ135の寸法(例えば、ビームが伝搬するために通る必要のあるビームステアリングレンズ135内の距離)に基づく。
【0088】
図8は、本開示の1つ以上の実施形態による、ビームステアリングレンズ800及び関連する構成要素を示す。しかしながら、図示された構成要素の全てが必要とされなくてもよく、1つ以上の実施形態は、
図8に示されていない追加の構成要素を含んでもよい。構成要素の配置及びタイプの変形は、本明細書に記載されるように特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく行われてもよい。追加の、より少ない、及び/又は異なる構成要素が提供されてもよい。一実施形態では、光学系100は、ビームステアリングを用いて光学非対称倍率を提供するために利用されてもよい。一実施形態では、ビームステアリングレンズ800は、ビームステアリングレンズ135であってもよい。
【0089】
ビームステアリングレンズ800は、環状ハウジング805及び825内に支持されてもよい。環状ハウジング805は、ビームステアリングレンズ800が第1の方向(例えば、x方向)に回転することを可能にする旋回シャフト810を有する。弯曲部材812は、環状ハウジング805に接続されている。リニアドライブ815は、ボイスコイルアクチュエータ820、ボールスライドアセンブリ(図示せず)、及びリニアエンコーダを含む。ボイスコイルアクチュエータ820は、弯曲部材812に結合されてもよく、直線軸によって弯曲部材812を変位させて、ビームステアリングレンズ800の回転を引き起こし得る。リニアドライブ815のリニアエンコーダは、ボイスコイルアクチュエータ820及び/又はボールスライドアセンブリにフィードバックを提供して、リニアドライブ815によって達成されるビームステアリングレンズ800の変位及び/又は回転を制御し得る。
【0090】
ビームステアリングレンズ800の環状ハウジング825は、第2の軸におけるビームステアリングレンズ800の傾斜を容易にし得る。例えば、第2の軸は、第1の軸に直交してもよい。環状ハウジング825は、環状ハウジング805に連結される。環状ハウジング825は、旋回シャフト830を有する。旋回シャフト830は、弯曲部材835及びリニアドライブ840に取り付けられる。リニアドライブ840は、ボイスコイルアクチュエータ845、ボールスライドアセンブリ(図示せず)、及びリニアエンコーダ850を含む。ボイスコイルアクチュエータ845は、弯曲部材835に連結されてもよく、直線軸によって弯曲部材835を変位させて、ビームステアリングレンズ800の回転を引き起こし得る。リニアエンコーダ850は、ボイスコイルアクチュエータ845及び/又はリニアドライブ840のボールスライドアセンブリにフィードバックを提供して、リニアドライブ840によって達成されるビームステアリングレンズ800の変位及び/又は回転を制御し得る。
【0091】
図8は、ビームステアリングレンズ及び関連する構成要素の一例を示すが(例えば、ビームステアリングレンズを機械的に変位及び/又は回転させるために)、他のビームステアリングレンズ及び/又は関連する構成要素が用いられてもよい。例えば、ボイスコイルアクチュエータ820及び/又は845は、機械式又は空気圧式リニアアクチュエータ及び/又はピエゾステッピングアクチュエータと交換されてもよく、又はそれに加えて使用されてもよい。別の例として、ボールスライドアセンブリは、交差ローラスライドであってもよい。いくつかの態様では、ビームステアリングレンズは、回転モータに取り付けられるカムを使用して傾斜されてもよい。いくつかの態様では、ビームステアリングレンズの軸は、回転モータ及び/又はギア付きモータを使用して直接駆動されてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、ビームステアリングレンズ(例えば、135、700、800)は、
図1~
図6に示されるものなど、本開示に記載される1つ以上のレンズセットと共に利用されてもよい。いくつかの態様では、ビームステアリングレンズは、1つ以上の対称倍率レンズセット(例えば、125)及び/又は1つ以上の非対称倍率レンズセット(例えば、130)などの1つ以上のレンズセットと共に利用されてもよい。例えば、
図1を参照すると、ビームステアリングレンズ135は、対称倍率レンズセット125と共に(例えば、非対称倍率レンズセット130なしで)利用されてもよく、又はビームステアリングレンズ135は、非対称倍率レンズセット130と共に(例えば、対称倍率レンズセット125なしで)利用されてもよい。
【0093】
対称倍率レンズセット125又は130のうちの1つを除去するための
図1の光学系100に対するこのような修正は、プリズム140及び145並びにレンズ160、165、170、及び175などの1つ以上の関連する構成要素の適切な調整(例えば、位置決め)と関連付けられてもよく、又はこれらのいずれの構成要素の調整とも関連付けられなくてもよい。一例として、非対称倍率レンズセット130が光学系100から除去されていると考える。一事例では、前述のように、対称倍率レンズセット125、プリズム140及び145、レンズ160、165、170、及び175、並びにミラー155は、
図1に示されるように残り得る。プリズム145からの出力ビームは、ビームステアリングレンズ135に(例えば、ビーム120として)提供され、像平面110上に方向付けられてもよい。別の事例では、対称倍率レンズセット125は、非対称倍率レンズセット130が
図1に示される場所に配置されてもよく、これに対して、プリズム140及び145、レンズ160、165、170、及び175、並びにミラー155は、
図1に示されるように残り得る。対称倍率レンズセット125からの出力ビームは、ビームステアリングレンズ135に提供され、像平面110上に方向付けられてもよい。更に別の場合には、対称倍率レンズセット125は、プリズム140と145との間などの他の場所に位置付けられてもよい。対称倍率レンズセット125を提供し、非対称倍率レンズセット130は提供しない他の様式が利用されてもよい。
【0094】
1つ以上の実施形態では、光学系は、リソグラフィシステムで使用される投影レンズシステムであってもよく、それを含んでもよく、その一部であってもよい。
図9は、本開示の1つ以上の実施形態による、リソグラフィシステム900を示す。しかしながら、図示された構成要素の全てが必ずしも必要とされなくてもよく、1つ以上の実施形態は、
図9に示されていない追加の構成要素を含んでもよい。構成要素の配置及びタイプの変形は、本明細書に記載されるように特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく行われてもよい。追加の、より少ない、及び/又は異なる構成要素が提供されてもよい。一実施形態では、光学系100は、ビームステアリングを用いて光学非対称倍率を提供するために利用されてもよい。
【0095】
リソグラフィシステム900は、放射線源905、ミラー910及び915、マスク925、光学系930、ウェハ935、並びにエアベアリングステージ940を含む。
図9では、ミラー910及び915は、放射線源905からマスク925へ放射線(例えば、UV光)を方向付けるために利用される光学構成要素である。放射線源905とマスク925との間に、より少ない、より多い、及び/又は異なる光学構成要素が提供されてもよい。例えば、光導波路、レンズ、及びミラーなどの追加の光学構成要素が、ミラー910と915との間にあってもよい。場合によっては、ミラー910及び915、並びに/又は他の光学構成要素は、光学距離(例えば、放射線源905からの放射線によって移動してマスク925に到達する距離)、ビーム形状、ビームサイズ、ビーム偏光などの、放射線源905からの放射線のビーム特性を調節することができる。マスク925は、リソグラフィシステム900の物体平面に配設されてもよく、ウェハ935は、リソグラフィシステム900の像平面110に配設されてもよく、リソグラフィシステム900は、光学系930を使用してマスク925上のパターンをウェハ935上に投影するために利用される。この点に関して、光学系930は、対称及び/又は非対称倍率を提供し得る。一実施形態では、光学系930は、
図1の光学系100であってもよく、それを含んでもよく、その一部であってもよい。この実施形態では、マスク925は物体平面105に配設され、ウェハ935は像平面110に配設される。
【0096】
いくつかの実施形態では、リソグラフィシステム900は、走査リソグラフィ機であってもよく、それを含んでもよく、又はその一部であってもよい。例えば、
図10は、本開示の1つ以上の実施形態による走査リソグラフィ機又はその一部分を示す。この実施形態では、ウェハ935及びマスク925は両方とも、並進ステージにおいて光学系930の下で走査されるキャリッジに取り付けられてもよい。ウェハ935及びマスク925は、走査プロセスの前に互いに位置合わせされてもよい。位置合わせプロセスは、ウェハ935をマスク925に対して並進及び/又は回転させることを伴ってもよく、ウェハ位置決めステージを用いて実行されてもよい。
【0097】
図11A及び
図11Bは、走査リソグラフィ機の露光フィールドの例を示す。露光フィールドは、リソグラフィシステム900のスキャナのFOVを表す。露光フィールドは、x方向に沿ってウェハ935にわたって移動し、y方向に沿って変位し、
図11A及び
図11Bに示されるように、方向転換点に到達した後にx方向を反転させる。場合によっては、時間的に隣接する走査は、ウェハ935にわたる均一な露光を生成するのに役立つように重なり合い得る。
図11Aでは、露光フィールド(例えば、1105)はダイヤモンド形状を有する。
図11Bでは、露光フィールドは六角形状を有する。場合によっては、六角形の露光フィールドの使用は、走査パス間のステップ距離を増加させることによってウェハ935を走査するのに必要な時間を削減し得る。この点に関して、六角形状は、重なり合う領域の減少を可能にし、これにより、より少ない走査パスでより高い機械スループットを可能にする。以下の説明は、ダイヤモンド形状の露光フィールドに関して提供されるが、六角形状、矩形状などの他の露光フィールドの形状が利用されてもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、露光フィールドのサイズ(例えば、ダイヤモンド形状、六角形状など)は、ウェハ935にわたる走査中に調整される必要がある場合があり、かつ/又はウェハ935上で露光フィールドが突き当たる場所を操作する必要がある場合がある。
図12は、ウェハ935上の様々なダイの実際及び所望のダイサイズ並びに場所を示す。
図12では、同じ倍率がウェハ935の各部分と関連付けられ、同じビームステアリングがウェハ935と関連付けられる(又は関連付けられるビームステアリングはない)。実際のダイサイズ及び場所は、所望のダイサイズ及び位置に重なり合う。ダイ1205(例えば、ウェハ935の中心のダイ)は、実際のダイサイズ及び場所であり、ダイ1210は、ダイ1205に対してその対応する所望のダイサイズ及び場所である。同様に、ダイ1215は、実際のダイサイズ及び場所であり、ダイ1220は、ダイ1215に対してその対応する所望のダイサイズ及び場所である。
【0099】
図13Aは、
図12のダイ1205及びダイ1210の拡大図を提供する。ダイ1210を得るために、ダイ1205は同じ場所に留まり得るが、正の倍率補正が、ウェハ935上により大きい投影を提供するために適用される。
図13Bは、
図12のダイ1215及びダイ1220の拡大図を示す。ダイ1220を得るため、正の倍率補正及び像の遷移が適用されてもよい。
図1を参照すると、正の倍率補正は、対称倍率レンズセット125及び/又は非対称倍率レンズセット130によって提供されてもよく、遷移はビームステアリングレンズ135によって適用されてもよい。
【0100】
場合によっては、このような倍率補正及び/又は像ステアリングは、ウェハ935が露光フィールドの下で前後に並進される際に調整されてもよい。前に示したように、1つ以上のビームステアリングレンズが、像平面に(例えば、ウェハ935に)形成される像の場所を操作するために利用されてもよい。このような技術は、光ビームステアリングと称され得る。リソグラフィ用途に関しては、光ビームステアリングは、ウェハ位置と協調するビームステアリングレンズを使用して、マスク925の投影像を傾斜させるために利用されてもよい。
図14A~
図14Cは、本開示の1つ以上の実施形態による、ウェハ935が移動させられたときの光学系のビームステアリングレンズの傾斜を示す。
図12及び
図14A~
図14Cを参照すると、ウェハ935が左から右に走査されるとき、ビームは、ウェハ935の左端に向かって更に像を投影するように傾斜されてもよい。ウェハ935が
図14Aのその位置から右に走査されるとき、ビームステアリングレンズによって提供される傾斜は、ウェハ935及びマスク925(例えば、スキャナシステム内で一緒にロックされる)の動作と同期して連続的に調整されてもよい。
図14Bに示すように、ウェハ935がビームステアリングレンズの直下に(例えば、中心のダイに)あるとき、ビームステアリングレンズは、ゼロ傾斜を提供し得る。ウェハ935が
図14Cに示すように右に進むと、ビームステアリングレンズは、像をウェハ935の右端に投影するように傾斜される。
図7を再び参照すると、ビームステアリングレンズは、x軸及びy軸の一方又は両方に沿った傾斜を可能にし得る。例えば、走査がx方向に沿って発生する場合、ビームステアリングレンズのx軸傾斜は、x方向に沿ったウェハ走査動作と同期して実行される。y軸傾斜は、走査の行間のステップ中実行されてもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、1つ以上のビームステアリングレンズを使用するビームステアリングの代わりに及び/又はそれに加えて、マイクロウェハの位置決めが利用されてもよい。マイクロウェハの位置決めでは、ウェハ935が光学系にわたって(例えば、ビームステアリングレンズあり又はなしで)走査される際に、マスクに対するウェハの位置が微調整されてもよい。ウェハ位置決めステージが、走査露光中にウェハ935に対するマスク925の相対的な位置決めを維持する一方、ウェハ935の位置は、並進ステージがその走査経路を実行している間に、走査軸内で駆動されてもよい。ウェハ935が+x方向(例えば、右)に走査される際に、マイクロウェハの位置決めは、並進ステージと協調した様式でウェハ935をマスク925に対して遷移させてもよい。このようにして、ウェハ935は、行走査中にマスク925に対して連続的に移動させられる。並進ステージが次の行にステップするとき、並進ステージは、y方向のオフセットを調整するため、マイクロステップを実行してウェハ935をマスク925に対して遷移させてもよい。場合によっては、マイクロウェハ位置決めは、ウェハ935を移動させることによってウェハ935上に像が形成されるウェハ935上の位置を遷移させるために、マスクの位置に対するウェハの位置を調整し得るウェハ位置決めコントローラによって実行され得る。本開示の前述の説明は、走査軸及びステップ軸としてx軸及びy軸をそれぞれ指しているが、x軸はステップ軸であり、y軸は走査軸であるという慣習もあり得ることが理解されることに留意されたい。
【0102】
図10を再び参照すると、ウェハ位置決めステージは、上述したマイクロウェハ位置決めをもたらすために使用され得る、正確かつ精密な位置決めアクチュエータを有し得る。場合によっては、機械式弯曲システムに作用するひずみゲージフィードバックを有する機械式ピエゾアクチュエータを使用して、並進ステージがレンズFOV下でウェハを走査及びステップしている一方で、マスクに対するウェアの位置を調整することができる。
【0103】
例えば、
図15A~
図15Dは、本開示の1つ以上の実施形態による、スキャナ露光FOVの位置と、関連するウェハ位置の遷移とを示す。
図15Aは、ウェハ935が-x方向(例えば、左)及び-y方向(例えば、下)に遷移されている、走査開始時のマイクロウェハの位置決めを示す。
図15Bは、ウェハ935が+x方向(例えば、右)に遷移されている、走査終了時のマイクロウェハの位置決めを示す。
図15Cは、ウェハ935が-x方向及び+y方向に遷移されている、走査開始時のマイクロウェハの位置決めを示す。
図15Dは、ウェハ935が+x方向に遷移されている、走査終了時のマイクロウェハの位置決めを示す。
【0104】
一実施形態では、アクチュエータコントローラ(例えば、
図2の215)は、マスク925及びウェハ935の相対的な位置決めと関連付けられた情報を受信し得る。リソグラフィシステムでは、マスク925及びウェハ935の像がカメラシステムによってキャプチャされて、ウェハ935上へのマスク925の予期される投影(例えば、マスク925のパターン)が決定され得る。予期される投影を使用して、予期される投影から所望の投影に調整するために必要な倍率補正、ビームステアリング、及び/又はマイクロウェハの位置決めが決定されてもよい。アクチュエータコントローラは、倍率補正、ビームステアリング、及び/又はマイクロウェハの位置決めと関連付けられた制御信号を生成し、これらの制御信号を関連する構成要素に提供して、倍率補正(例えば、レンズセット125及び130のアクチュエータ205及び210)、ビームステアリング(例えば、ビームステアリングレンズ135のアクチュエータ)、及び/又はマイクロウェハの位置決めを達成し得る。
図14A~
図14C及び
図15A~
図15Dは、倍率補正、ビームステアリング、及び/又はマイクロウェハの位置決めの達成を示す。
【0105】
一実施形態では、一例として、ウェハ935は、走査パスごとに交互にマスク925に対して一定速度で(例えば、アクチュエータシステムを使用して)移動させられてもよい。例えば、
図2A及び
図9を参照すると、200ppmのターゲット倍率を得るために、アクチュエータ205は、対称倍率レンズセット125を、200ppmの倍率を提供することと関連付けられた位置まで移動させてもよく、次いでウェハ935は、各走査パス上のマスク925に対して、ウェハ935にわたって200ppmに等しい量を走査する。倍率量が小さいほど、遷移も概ね小さくなり得る。関連する速度は、遷移量(例えば、倍率量に基づく)を、走査パスを完了するまでの時間で割ることによって定義され得る。この点に関して、より小さいターゲット倍率(例えば、50ppm)は、より大きい遷移、ゆえにより大きい速度を有するより大きいターゲット倍率(例えば、200ppm)に比べて、より小さい遷移を利用し、ゆえにより小さい速度を有し得る。所与の倍率では、速度は一定である。
【0106】
一実施形態では、ビームステアリング及び/又はマイクロウェハの位置決めの更なる使用は、位置合わせルーチンの間に識別されるマスクとウェハとの間の小さな並進及び/又は回転差を補正することができる。例えば、ウェハをマスクに対して並進させる場合、ウェハをマスクの直下になるように再位置決めすることができ、又はビームステアリングを利用してオフセットを補正することができる。これは、回転差にも適用され得る。これはまた、位置合わせのためにx方向及びy方向に必要とされる異なる修正が存在する場合にも適用され得る。
【0107】
本明細書に記載されているように、走査リソグラフィ機では、ウェハ/基板及びマスクは、両方とも並進運動ステージによって走査されるキャリッジに取り付けられている。ウェハ及びマスクは、走査プロセスが開始する前に、互いに位置合わせされ、その位置合わせプロセスは、マスクに対してウェハを並進運動及び回転させることを必要とし、ウェハ位置決めステージを用いて達成され得る。解像度がそのようなリソグラフィ機において改善され得る1つの領域は、投影システム内の照明の経路を最適化し、その結果、マスク画像は、光学系の視野の最良の部分を通ってのみ投影されることであり、具体的には、屋根型プリズムの稜線を回避することである。これは走査システムであるため、全画像がFOV内に提示される必要がなく、そうでない場合には、全FOVを一度に露光するステッピングシステムの場合に典型的である。走査リソグラフィ機の場合、マスク及び基板は、共に固定され、照明光学素子の下で走査される。したがって、照明の形状は、マスク画像が屋根型プリズムの稜線の全て又は少なくとも部分を通って投影されるのを回避するように適合され得る。本明細書に記載されている実施形態は、稜線に関連する光学歪みのこの低減及び/又は排除を達成し、更に、稜線排除モード(例えば、より高い特徴解像度モード)と、比較的高い走査速度でウェハを走査することができる走査性能モード(例えば、従来の解像度モード)との間の実施及び切り替えを提供する。
【0108】
図16は、本開示の1つ以上の実施形態による走査リソグラフィ機(投影システム1600)を示し、
図9のリソグラフィシステム900、及び/又は
図10の走査リソグラフィ機と同様であり、光学系930を通ってウェハ935上に投影されるマスク925の画像内の稜線に関連する光学歪みを低減及び/又は排除するように構成されたフィールド除外照明集光器1610を含む。
図16に示すように、走査リソグラフィ機(投影システム1600)は、走査リソグラフィ機/投影システム1600の他の素子(例えば、マスク925、ウェハ935、及び/又はエアベアリングステージ940)と共に、照明システム1602(例えば、放射線源905、ミラー910及び/若しくは915のうちの1つ以上、フィールド除外照明集光器1610、並びに/又は光学的距離、ビーム形状、ビームサイズ、ビーム偏光、及び/若しくは他のビーム特性などの、放射線源905からの放射線のビーム特性を調整するように構成された他の光学構成要素)及び光学系930を含む投影システム1600として実装され得る。
【0109】
概して、走査リソグラフィ機/投影システム1600は、照明システム1602及び光学系930を使用して、マスク925の画像を生成し、ウェハ935上にその画像を投影する。照明システム1602は、放射線源905(例えば、典型的には、紫外波長放射線源であるが、他の放射線スペクトルが想定される)、並びに照明放射線ビーム1604を生成し、かつ/又は形成若しくは成形するのを支援するように構成されたフィールド除外照明集光器1610を含み得る。通常、集光器は、例えば、様々なレンズシステム、アパーチャ、ミラー若しくはミラー張り表面、及び/又は他の光学素子を含み得、ランプ若しくはLEDアレイからの放射線を集約してマスク925などの被照明物体に均一な照明を提供するように設計され得、次いで、その集光器を使用して、その後ウェハ935上に光学系930を通して投影されるマスク925の一部の画像を生成し、リソグラフィベースの半導体製造技術を容易にすることができる。より具体的には、マスク925上に形成されて、その後ウェハ935に投影されるビーム形状は、フィールド除外照明集光器1610によって画定される。主要な成形光学部品は、所定のビーム形状の拡大縮小版で製造され得るフィールド除外照明集光器1610内に配設されたライトパイプである。マイクロレンズアレイ露光光学素子(MOEO)又は回折光学素子(DOE)などを使用して、マスク925を照明するために使用される前に、ビームを成形するための代替方法が想定され、それらの方法を使用して、照明システム1602の様々な部分を実装することができる。
【0110】
図16に示すように、光学系930は、プリズム1632及び1634を含む様々な光学素子を含み得る。様々な実施形態では、プリズム1632は、屋根型プリズムとして実装され得、プリズム1634は、直角プリズム又は折り畳み式プリズムとして実装され得る。より概して、プリズム1632及び1634は、照明放射線ビーム1604を(マスク925の画像の形態で)反射し、光学的に照明放射線ビーム1604を処理して、ウェハ935上に投影されたマスク925の画像が、本明細書に記載されているように、マスク925と実質的に全く同じように位置合わせされるように構成され得る。したがって、プリズム1632及び1634のうちのいずれか一方が、屋根型プリズムとして実装され得る。
【0111】
図17は、本開示の1つ以上の実施形態による、リソグラフィ機(投影システム1600)を走査する際に使用するための屋根型プリズム1700を示す。
図17に示すように、屋根型プリズム1700(例えば、
図17に示された実施形態におけるアミーチ屋根型プリズム)は、ビーム入口表面1702、ビーム出口表面1706、並びに稜線1720において90度で出会う2つのビーム反射表面1704及び1706を含み得、その結果、図に示すように、2つの90°ビーム反射表面1704及び1706からの中心に位置合わせされたビームの反射(例えば、稜線1720に関して)は、ビーム反射表面1704及び1706が出会う稜線1720において光学軸を横断して横方向に反転される画像を戻す。
【0112】
図11A~
図Bに関して本明細書で考察されるように、従来、走査リソグラフィ機(投影システム1600)に基づいて実装されたリソグラフィシステムは、ダイヤモンド形状で露光フィールドを生成するように構成されている(例えば、
図11Aの露光フィールド1105を参照)。走査は、重なり合って、ウェハ935を横断して均一な露光を生成する。このアプローチに関する進歩は、六角形の露光フィールドを使用して、走査パス間のステップ距離を増加させることによって、所与のウェハを走査するのに必要とされる時間を短縮することである(例えば、
図11Bを参照)。これは、削減された走査パス回数、及びより高い機械処理能力をもたらした六角形の形状、及び重なり合う領域の減少に起因する。平行四辺形に成形した露光フィールドを含む、混合機能を維持し、かつより高い処理能力を有する他の形状などの異なる形状が、走査リソグラフィシステムにおいて使用される場合が多くあり、それらの異なる形状が、開発され、例えば、回転の位置合わせ不良にそれほど敏感でないように、六角形に成形した露光フィールドを上回る利点を追加した。
【0113】
図18A及び
図18Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、屋根型プリズム1700を含むリソグラフィ機(投影システム1600)を走査することによって生成された露光フィールド1800、1802の例を示す。例えば、
図18Aに見られるように、露光フィールド1800は、屋根型プリズム1700の稜線1720と光学的に位置合わせされ、かつ稜線1720によって引き起こされる可能性のある光学歪みを表す内側細片1830を含む、内側を境界とするダイヤモンド形に成形した外周1810を含む。
図18Aに見られるように、露光フィールド1800を走査するとき(例えば、
図18Aのページ内の左から右に)、ウェハ935の部分は、(例えば、走査線1840によって示されているように)、内側細片1830によって少なくとも1回、また多くの場合2回露光され、このことは、リソグラフィ機(投影システム1600)を走査することによって達成可能な信頼性のある特徴解像度を低下させる実質的なリスクを提示している。同様に、
図18Bに見られるように、露光フィールド1802は、屋根型プリズム1700の稜線1720と光学的に位置合わせされる内側細片1832を含む内側を境界とする六角形に成形した外周1812を含み、ウェハ935の部分は、(例えば、走査線1842によって示されているように)内側細片1832によって少なくとも1回、また頻度は低いが2回露光され、このことは、リソグラフィ機(投影システム1600)を走査することによって達成可能な信頼性のある特徴解像度を低下させる実質的なリスクを再度提示している。
【0114】
本明細書に記載されている実施形態は、フィールド除外照明集光器1610を使用することによって、達成可能な特徴解像度を改善し、そのフィールド除外照明集光器は、マスク925の画像がウェハ935上に投影されるときに、照明放射線/光を成形し、屋根型プリズム1700の稜線1720によって光学的に歪む可能性のある、露光フィールド領域に対応する照明放射線の部分(例えば、露光フィールドの内側細片1830及び1832)を除外する。一実施形態では、フィールド除外照明集光器1610は、フィールド遮断アパーチャ挿入物1620を含み、
図16に概ね示すように、このフィールド遮断アパーチャ挿入物は、フィールド除外照明集光器1610の第1の焦点又は焦点面に設置され得る。フィールド遮断アパーチャ挿入物1620は、成形され、パターン化され、配向され、位置決めされ、及び/又は、他の場合では屋根型プリズム1700の稜線1720を照明する照明放射線ビーム1604/フィールド除外照明集光器1610の視野(FOV)の部分を遮断するように構成され得る。フィールド遮断アパーチャ挿入物1620は、例えば、本明細書に記載されている照明若しくは露光フィールド形状のうちのいずれかに従って、又は任意の将来の露光フィールド形状に従って、適合されてもよい。リソグラフィ機を走査するために、この光学的品質及び特徴解像度の改善は、
図18A~
図18B中の走査線1840及び1842によって示されているように、重なり合う露光フィールド領域では2回まで、また重なり合わない(シングルパス)露光フィールド領域の場合には少なくとも1回、実現され得る。
【0115】
図19A及び
図19Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、屋根型プリズム1700と、屋根型プリズム1700によって引き起こされる光学歪みを低減するように構成されたフィールド除外照明集光器1610と、を含むリソグラフィ機(投影システム1600)を走査することによって生成される露光フィールド1900/1902の例を示す。例えば、
図19Aに見られるように、露光フィールド1900は、屋根型プリズム1700の稜線1720と光学的に位置合わせされ、かつフィールド除外照明集光器1610の実施形態によって提供されている部分的に除外された照明部分又は細片1930(例えば、
図18Aの露光フィールド1800の内側細片1830に概ね対応する)を含む内側を境界とするダイヤモンド形に成形された外周1910を含み、そのフィールド除外照明集光器は、稜線1720によって引き起こされる可能性のある光学歪みを少なくとも部分的に遮断するように成形されたフィールド遮断アパーチャ挿入物1620の実施形態を含み得る。
図19Aに見られるように、露光フィールド1900を走査するときに(例えば、
図19Aのページ内の左から右に)、ウェハ935の部分は、稜線1720と関連付けられた実質的に可能性のある光学歪みによってせいぜい1回露光され(例えば、走査線1940によって示されているように)、これにより、リソグラフィ機(投影システム1600)を走査することによって達成可能な信頼性のある特徴解像度を劣化させるリスクを実質的に低減する。
【0116】
同様に、
図19Bに見られるように、露光フィールド1902は、屋根型プリズム1700の稜線1720と光学的に位置合わせされ、かつフィールド除外照明集光器1610の実施形態によって提供されている部分的に除外された照明部分又は細片1932(例えば、
図18Bの露光フィールド1802の内側細片1832に概ね対応する)を含む内側を境界とする六角形に成形された外周1912を含み、そのフィールド除外照明集光器は、稜線1720によって引き起こされる可能性のある光学歪みを少なくとも部分的に遮断するように成形されたフィールド遮断アパーチャ挿入物1620の実施形態を含み得る。
図19Bに見られるように、露光フィールド1902を走査するときに、ウェハ935の部分は、稜線1720と関連付けられた実質的に可能性のある光学歪みによってせいぜい1回露光され(例えば、走査線1942によって示されているように)、これにより、リソグラフィ機(投影システム1600)を走査することによって達成可能な信頼性のある特徴解像度を劣化させるリスクを再度実質的に低減する。
【0117】
概して、フィールド遮断アパーチャ挿入物1620は、光学的に歪んでいる可能性がある露光フィールド領域を、例えば、元の光学的に歪んでいる可能性がある露光フィールド領域(例えば、
図18A~
図18Bの露光フィールド1800及び1802の内側細片1830及び1832に対応する)のほぼ半分などの一定量に低減するために、稜線1720に対応する照明放射線ビーム1604の部分を遮断するように成形されてもよく、又は稜線1720と関連付けられた光学的に歪んでいる可能性がある全ての可能な露光フィールド領域を完全に実質的に除去するように成形されてもよい。様々な実施形態では、フィールド遮断アパーチャ挿入物1620はまた、得られる露光フィールドのための様々な外周形状のうちの1つを提供するように成形されてもよく、その外周形状には、図に示すように、ダイヤモンド形に成形された周囲1910、及び/又は六角形に成形された周囲1912が含まれる。
【0118】
図20Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機(投影システム1600)の屋根型プリズム1700によって引き起こされる光学歪みを低減及び/又は排除するように構成されたフィールド遮断アパーチャ挿入物2020を含む照明システム2000のフィールド除外照明集光器2010を示す。
図20Aに示すように、照明システム200は、フィールド除外照明集光器2010、ミラー915、及び/又はマスク925を照明して、光学系930によってウェハ935上に投影するためのマスク925の画像を生成するように構成された様々な他の光学素子のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、フィールド除外照明集光器2010は、本明細書に記載されているように、フィールド遮断アパーチャ挿入物2020に加えて、又はそれらの代替物として、ミラー915及び/又は他の光学素子などの、照明システム2000の様々な素子を含み得る。
【0119】
図20Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、屋根型プリズム1700と、その屋根型プリズム1700によって引き起こされる光学歪みを低減及び/又は排除するように構成されたフィールド遮断アパーチャ挿入物1620/2020を含むフィールド除外照明集光器1610又は2010と、を含む走査リソグラフィ機(投影システム1600)によって生成される露光フィールド2002の例を示す。例えば、
図20Bに見られるように、露光フィールド2002は、屋根型プリズム1700の稜線1720と光学的に位置合わせされ、かつフィールド除外照明集光器1610/2010の実施形態によって提供される完全に除外された照明部分又は細片2022(例えば、
図18Aの露光フィールド1800の内側細片1830に概ね対応する)を含む内側を境界とするダイヤモンド形に成形された外周2012を含み、これは、稜線1720によって引き起こされる、可能性のある光学歪みを完全に遮断するように成形されたフィールド遮断アパーチャ挿入物1620/2020の実施形態を含み得る。他の実施形態では、露光フィールド2002は、完全に除外された照明部分又は細片2022によって互いに配向され離隔した、2つの三角形に成形された外周2012を含むものとして説明され得る。
図20Bに見られるように、露光フィールド2002を走査するときに(例えば、
図20Bのページ内の左から右に)、ウェハ935の部分は、(例えば、走査線2040によって示されるように)稜線1720と関連付けられた可能性のある光学歪みによっては露光されず、これにより、走査リソグラフィ機(投影システム1600)によって達成可能な信頼性のある特徴解像度を劣化させるリスクを実質的に排除する。
【0120】
図20Cは、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機(投影システム1600)の屋根型プリズム1632の照明を示す。
図20Cに見られるように、照明システム2000によって生成されたマスク925の画像が、光学系930に入り、ウェハ935/基板に提供されるか、又は投影される前に、屋根型プリズム1632及び折り畳みプリズム1634によって処理される。
【0121】
図21は、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機の屋根型プリズムによって引き起こされる光学歪みを低減及び/又は排除するように構成されたフィールド除外照明集光器1610/2010のためのフィールド遮断アパーチャ挿入物2120を示す。例えば、
図21に示すように、フィールド遮断アパーチャ挿入物2120は、1つ以上の三角形、半六角形、ないし隣接して中心に設置され(例えば、照明放射線ビーム1604に関して)、矩形に成形された照明遮断部分によって互いに配向され離隔した遮断表面2124内の成形されたアパーチャ、又は屋根型プリズム1700の稜線1720と光学的に位置合わせされている遮断細片2122を含み得、それ以外では、光学系930によってウェハ935上に投影され得る。様々な実施形態では、フィールド遮断アパーチャ挿入物2120は、本明細書に記載されているように、フィールド除外照明集光器1610/2010内に、かつ/又はフィールド遮断アパーチャ挿入物選択機構内に、フィールド遮断アパーチャ挿入物2120を固定するように構成された1つ以上の固定タブ2126を含み得る。
【0122】
フィールド遮断アパーチャ挿入物2120の材料及び設計には、いくつかの可能性がある。例えば、フィールド遮断アパーチャ挿入物2120は、アルミニウム、ステンレス鋼、及びタングステンなどの1つ以上の金属、若しくはガラス(例えば、石英若しくはソーダ石灰)、若しくは複合物(例えば、セラミック若しくはシリコンカーバイド)から形成され得、又は投影システム内の照明放射線を遮断するための、具体的には、走査リソグラフィ機及び/又は他の半導体製造技術で使用される既知の他の好適な材料から形成され得る。ガラスアパーチャは、遮断部分(例えば、遮断表面2124及び/又は遮断細片2122)がアルミニウムコーティングによって処理されている場合、より長持ちする場合が多いが、クロム及び誘電体などの他のコーティング材は、コスト及び熱影響に関連する利点を有する。集束された照明放射線(例えば、UV光)に起因して、フィールド遮断アパーチャ挿入物2120の場所に高温が生じ得る場合があるため、フィールド除外照明集光器1610/2010は、フィールド遮断アパーチャ挿入物2120を定期的に交換するために提供される機構と共に実装され得る。そのような機構は、操作者による比較的迅速で単純な交換を提供するように適合され得、その結果、摩耗したフィールド遮断アパーチャ挿入物を簡単に除去し、新しいフィールド遮断アパーチャ挿入物と交換することが可能になり得る。そのような機構はまた、異なるフィールド遮断アパーチャ挿入物形状の交換も提供するように適合され得、それらの形状は、プロセスを変更するには有益であり得る。一例として、より小さい若しくはより大きい中心遮断部分若しくは細片のフィールド遮断アパーチャ挿入物、又は異なる周囲輪郭若しくは形状を含むフィールド遮断アパーチャ挿入物を交換して、プロセス結果を最適化することができる。
【0123】
例えば、光学系930の中心を通る照明放射線の遮断は、得られる特徴解像度を改善することができるが、それは、遮断された露光フィールドの部分が基板には決して作製しないため、走査リソグラフィ機(投影システム1600)の処理能力も減少させ得、よって、走査リソグラフィ機(投影システム1600)の全体的な露光パワーは、低下し、フィールド遮断アパーチャ挿入物を有さない同じシステムと比較して、同じ照明放射線露光線量を提供するためには、より遅い速度で走査する必要があるであろう。したがって、いくつかの実施形態は、フィールド遮断アパーチャ挿入物を選択して、フィールド除外照明集光器1610/2010に挿入又はそこから取り外すことができる作動式フィールド遮断アパーチャ挿入物選択機構を含み得る。走査リソグラフィ機(投影システム1600)の操作者は、フィールド遮断アパーチャ挿入物が存在しないより速い走査速度で、又は照明システム2000の光路内に設置されたフィールド遮断アパーチャ挿入物を用いてより高い解像度モードで、それほど要求の厳しくないプロセス(例えば、より低い解像度の半導体特徴を有する)を実行する選択肢を有する。そのようなフィールド遮断アパーチャ挿入物選択機構は、例えば、手動であってもよく、又はレシピ選択による自動式であってもよい。
【0124】
図22A及び
図22Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機(フィールド除外照明集光器1610)のためのフィールド除外照明集光器2210のためのフィールド遮断アパーチャ挿入物選択機構2222を示す。例えば、フィールド遮断アパーチャ挿入物選択機構2222は、本明細書に記載されているように、製造/リソグラフィレシピに制御されて、より高い解像度プロセスを実行する前に、フィールド除外照明集光器2210の光路内にフィールド遮断アパーチャ挿入物2220を設置することができる。一実施形態では、フィールド遮断アパーチャ挿入物選択機構2222は、複数のフィールド遮断アパーチャ挿入物のうちの1つを選択して、遮断細片2122を有さないビーム形状を含む、パターン化された照明放射線ビームのための特定のビーム形状を選択するように構成された作動式スライド機構として実装され得る。また、
図22Aには、作動式波長フィルタ(例えば、広帯域/フィルタなし、I線、G線、H線、I&H、H&Gなど)、及び照明開口数(例えば、0.15、0.14、0.12、0.10、0.07、0.05など)セレクタ2280も示されている。
【0125】
フィールド遮断アパーチャ挿入物に損傷を与えるリスクを低減するフィールド遮断アパーチャ挿入物アプローチの更なる実施形態は、リレーレンズを追加して、照明視野のサイズを拡大し、強度がより低く、かつアパーチャが挿入又は取り付けられ得る二次焦点を生成することからなる。
図23は、本開示の1つ以上の実施形態による、リレーレンズシステムを含む(例えば、レンズシステム2310、2312を含む)フィールド除外照明集光器(例えば、フィールド除外照明集光器1610/2010)と関連付けられた光線追跡2300を示す。
図23には、フィールド遮断アパーチャ挿入物2320と共に、光線2302、主観的焦点平面2305、リレーレンズシステムの第1のレンズシステム2310及び第2のレンズシステム2312(例えば、フィールド除外照明集光器1610/2010内に配設されている)、中間光学平面2314、並びに対物焦点平面2315が、示されている。
【0126】
このようなフィールド遮断実施形態は、全て、稜線1720に対応する照明を遮断することによってシステム解像度を改善する能力を有するが、
図20Bに示すように、利用可能な光を単純に遮断することによって、照明源の中心部分がカットされることになる。したがって、システムを通る全エネルギーは、大幅に低減されることになり、走査ステップサイズもまた、低減され得、所与の線量の場合、システムの処理能力は、減少され得る。代替的な実施形態では、フィールド除外照明集光器1610/2010は、システムを通る全エネルギーを最大化し、走査ステップサイズを最大化する代替的な光学素子を含み得、稜線を回避することと関連付けられた特徴解像度/光学歪み低減をもたらす利点を依然として維持し得る。例えば、いくつかの実施形態では、フィールド除外照明集光器1610/2010が実装され得ると、集光器を通る照明経路は、ライトパイプの集約形状、及びその結果得られる露光フィールドが照明領域、露光線量、及び走査ステップサイズを最大化するように設計されている2つの個々のライトパイプによって複数の露光フィールドに分割される。
【0127】
このシステムの具体的な例としては、フィールド除外照明集光器1610/2010への入口(例えば、全体的にダイヤモンド形、六角形、又は他の周囲形状を形成する)において互いに隣接し、かつフィールド除外照明集光器1610/2010の出口(例えば、部分的及び/又は完全に除外された照明部分又は細片1930、1932、及び/又は2022を形成するための)において発散する、2つの三角形に成形された(例えば、十字形状)ライトパイプチャンバを含むフィールド除外ライトパイプの使用である。フィールド除外照明集光器1610/2010への入口において互いに隣接する2つの三角形ライトパイプチャンバにより、フィールド除外ライトパイプが照明放射線の中心部分を集約し、それを空間的に進路変更させて、所望の露光フィールド形状(例えば、
図20Bの露光フィールド2002)を形成するのを可能にし、その露光フィールド形状は、例えば、フィールド遮断アパーチャ挿入物2120を使用する実施形態に対して、各走査ステップのウェハ935への全線量又はエネルギー送達を劇的に増加/改善させることができる。
【0128】
図24は、本開示の1つ以上の実施形態による、フィールド遮断アパーチャ挿入物1620(略
図2400)又はフィールド除外ライトパイプ(略
図2402)を含むフィールド除外照明集光器1610によって生成される投影された照明の間の空間的差異を示す。略
図2400に見られるように、フィールド遮断アパーチャ挿入物1620の実施形態は、システムの走査ステップサイズを低減しており、その理由は、得られる三角形サイズが周囲のダイヤモンド形状によって制限されて、ダイヤモンド形状の中心を遮断することにより、結果として比較的小さい合成された形状(例えば、除外された細片を有するダイヤモンド形、又は除外された細片を有する2つの三角形)がもたらされるからである。対照的に、略
図2402に見られるように、本明細書に記載されているように、フィールド除外ライトパイプの実施形態は、得られたダイヤモンド形に成形された露光フィールドの高さを最大化し、その結果、システムの走査ステップサイズは、除外された細片を有さない従来のダイヤモンド形に成形された露光フィールドと共に使用されるものとほぼ同じサイズであり得、
図18Aに示したサイズと同様である。本明細書に記載されているように、同様の幾何学的利点は、他の露光フィールド周囲形状に関しても可能である。
【0129】
図25は、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機(投影システム1600)の屋根型プリズム1700によって引き起こされる光学歪みを低減及び/又は排除するように構成されたフィールド除外ライトパイプ2520を含むフィールド除外照明集光器2510を示す。
図25に見られるように、フィールド除外ライトパイプ2520は、フィールド除外ライトパイプ2520の出口において、(例えば、スペーサ2514によって)互いに離隔した第1及び第2の成形されたライトパイプチャンバ2522及び2524によって実装され得、その結果、
図20Bに示したものと同様の、部分的又は完全に除外された部分又は細片2022を含む露光フィールドを生成し得る。また、
図25に、フィールド除外ライトパイプ2520、ハウジング2511、及びフィールド除外ライトパイプチャンバスタビライザ2512が示されている。得られた集束露光フィールド形成は、2つの離隔した三角形であり得、このため、一方の三角形は、屋根型プリズム1700の稜線1720の両側を通過し、照明放射光線は、稜線1720には反射しない。
図26は、本開示の1つ以上の実施形態による、フィールド除外ライトパイプ2520によって生成された空間放射照度分布2600を示す。照明放射線がフィールド除外照明集光器2510を通る進行については遮断されないため、従来のダイヤモンド形に成形された露光フィールドと比較して、露光フィールド2620内の放射照度の損失は、実質的に存在せず、空間放射照度分布2600から分かるように、いくつかの実施形態では、完全に除外された細片2622内には、照明放射線は、実質的に存在しない(例えば、
図20Bに示されたものと同様である)。このアプローチは、分割された六角形又は平行四辺形に成形された露光フィールド周囲を用いて使用され得るが、このアプローチは、尊重されなければならない投影システム1600の光学素子を通る最大の開口アパーチャが存在するため、代替的な形状を用いても、典型的にはそれほど有利ではなく、例えば分割された六角形を使用すると、最終的には、比較的小さく、かつそれほど効率的でない露光フィールド形状がもたらされ得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、走査リソグラフィ機(投影システム1600)は、例えば、フィールド除外照明集光器選択機構(例えば、より概して、照明集光器選択機構)を使用して、例えば、ツイン三角形型のフィールド除外照明集光器2510から完全な六角形照明集光器への要求に基づいて、走査リソグラフィ機(投影システム1600)を再構成することによって、稜線排除モード(例えば、より高い特徴解像度モード)及び走査性モード(例えば、従来の解像度モード)のユーザ/レシピ選択を提供するように適合され得る。照明集光器選択機構は、空気圧駆動式アクチュエータ、電動式アクチュエータ、又は手動式アクチュエータのうちの1つ以上の使用を通じて、機械的に作動し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているように、フィールド除外照明集光器の全体、又はフィールド除外照明集光器の一部分のみ(例えば、フィールド除外ライトパイプ)が、回転運動又は直線スライド機構を通じて交換され得る。フィールド除外照明集光器の複数の異なる構成が、交換され得る。
【0131】
図27A及び
図27Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、走査リソグラフィ機(投影システム1600)のためのフィールド除外照明集光器選択機構2722を示す。例えば、
図27A及び
図27Bに示されるように、照明システム2700は、複数のフィールド除外照明集光器2720A及び2720Bのうちの一方を選択及び/又は適用して、照明システム2700によって生成されたパターン化された照明放射線ビームのための特定のビーム形状を選択するように構成されたフィールド除外照明集光器選択機構2722を含む。
【0132】
本明細書に記載されているように、フィールド除外ライトパイプベースのフィールド除外照明集光器を使用して照明放射線ビームを成形することについて記載されたアプローチが、MOEO、DOE、又は他のものなどの他の照明放射線形成技術に関しても同様に適用され得ることは、当業者には明らかである。例えば、線量強度の損失なしで稜線効果を回避するように記載された照明放射線を成形することは、本明細書に記載されている代替照明システムのいずれにも採用され得る。更に、具体的には、Winn Dyson光学系(例えば、より概しては、任意の光学系)は、マスク925の更に近くに配設された屋根型プリズム1700、又はマスク925の更に近くに配設された相手方折り畳みプリズム(例えば、プリズム1632又は1634)を用いて設計され得、いずれの設計も、本明細書に記載されている方法と互換性があり、稜線光学歪み効果を回避することによって、達成可能な特徴解像度を改善する。
【0133】
図28は、本開示の1つ以上の実施形態による、フィールド除外照明集光器1610を含む走査リソグラフィ機(投影システム1600)を使用するためのプロセス2800の流れ図を示す。プロセス2800の任意のステップ、サブステップ、サブプロセス、又はブロックは、
図28によって例示された実施形態とは異なる順序又は配置で実行されてもよいことを理解されたい。例えば、他の実施形態では、1つ以上のブロックは、そのプロセスから除外されてもよく、又はそのプロセスに追加されてもよい。更に、ブロック入力、ブロック出力、様々なセンサ信号、センサ情報、較正パラメータ、及び/又は他の動作パラメータは、対応するプロセスの後続の部分に移動する前に、1つ以上のメモリに格納されてもよい。プロセス2800は、
図1~
図27Bを参照して説明されたシステム、プロセス、制御ループ、及び画像を参照して説明されるが、プロセス2800は、それらのシステム、プロセス、制御ループ、及び画像とは異なる、並びに、例えば、電子装置、センサ、アセンブリ、モバイル構造体、及び/又はモバイル構造体の属性を含む、他のシステムによって実行されてもよい。
【0134】
ブロック2802において、照明放射線が生成される。例えば、投影システム1600の照明システム1602の放射線源905は、照明放射線ビーム1604を生成するように構成され得、その照明放射線ビームを使用して、投影システム1600の像平面(例えば、ウェハ935において、又はその上に)上に投影され得る物体(例えば、マスク925)の画像を生成し得る。いくつかの実施形態では、照明放射線ビーム1604は、紫外光ビームであってもよい。
【0135】
ブロック2804において、照明放射線が受け取られる。例えば、投影システム1600のための照明システム1602のフィールド除外照明集光器1610は、放射線源905によって、ブロック2802で生成された照明放射線ビーム1604を受け取るように構成され得る。
【0136】
ブロック2806において、パターン化された照明放射線ビームが提供される。例えば、投影システム1600ための照明システム1602のフィールド除外照明集光器1610は、パターン化された照明放射線ビーム(例えば、ブロック2804で受け取られた照明放射線のパターン化された版)を提供して、投影システム1600の像平面(例えば、ウェハ935において、又はその上に)上に投影され得る物体(例えば、マスク925)の画像を生成するように構成され得る。様々な実施形態では、パターン化された照明放射線ビームは、投影システム1600の光路内に配設された屋根型プリズム1700の稜線1720に対応する除外された照明部分(例えば、部分的及び/又は完全に除外された照明部分又は細片1930、1932、及び/若しくは2022)を含み得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、投影システム1600は、フィールド遮断アパーチャ挿入物選択機構2222を介して、複数のフィールド遮断アパーチャ挿入物2220のうちの1つを選択し、ユーザ又は半導体製造レシピ選択などによって、ブロック2806で提供されたパターン化された照明放射線ビームのための特定のビーム形状を選択するように構成され得る。そのような実施形態では、投影システム1600は、選択されたフィールド遮断アパーチャ挿入物2220をフィールド除外照明集光器2210中に挿入することによって、選択されたフィールド遮断アパーチャ挿入物2220を照明放射線ビーム1604に適用するように構成され得、この場合、選択されたフィールド遮断アパーチャ挿入物2220は、照明放射線ビーム1604の部分を遮断して、ブロック2806で提供されたパターン化された照明ビームを生成するように構成されている(例えば、
図19A~
図B、
図20B、及び
図26に例示された、例えば、露光フィールドと同様である)。
【0138】
他の実施形態では、投影システム1600は、フィールド除外照明集光器選択機構2722を介して、複数のフィールド除外照明集光器2720のうちの1つを選択し、ユーザ又は半導体製造レシピ選択などによって、ブロック2806で提供されたパターン化された照明放射線ビームのための特定のビーム形状を選択するように構成され得る。そのような実施形態では、投影システム1600は、選択されたフィールド除外照明集光器2720を照明放射線ビーム1604の光路内に設置することによって、選択されたフィールド除外照明集光器2720を照明放射線ビーム1604に適用するように構成され得る。いくつかの実施形態では、選択されたフィールド除外照明集光器2720は、照明放射線ビーム1604の部分を遮断して、ブロック2806で提供されたパターン化された照明ビームを生成するように構成されたフィールド遮断アパーチャ挿入物2220を含み得る(例えば、
図19A~
図B、
図20B、及び
図26に例示された、例えば、露光フィールドと同様である)。他の実施形態では、選択されたフィールド除外照明集光器2720は、受け取られた照明放射線を空間的に進路変更させて、ブロック2806で提供されたパターン化された照明ビームを生成するように構成されたフィールド除外ライトパイプ2520を含み得る。本明細書に記載されているように、そのようなビーム形状は、例えば、ダイヤモンド形に成形された外周1910/2012、及び屋根型プリズム1700の稜線1720の出っ張り部と位置合わせされた、部分的若しくは完全に除外された内側細片1930/2022、又は例えば、六角形に成形された外周1912、及び稜線1720の出っ張り部と位置合わせされた、部分的若しくは完全に除外された内側細片1932/2022、又は様々な他の周囲及び/若しくは内側形状を含み得る。
【0139】
非一時的命令、プログラムコード、及び/又はデータなどの本開示によるソフトウェアは、1つ以上の非一時的機械可読媒体上に記憶することができる。本明細書で識別されるソフトウェアは、1つ以上の汎用若しくは専用コンピュータ及び/又はコンピュータシステム、ネットワーク化、並びに/ないしは別の方法を使用して実装され得ることも企図される。適用可能な場合、本明細書に記載される様々な工程の順序は、変更され、複合工程に組み合わされ、かつ/又は副工程に分離されて、本明細書に記載される特徴を提供し得る。
【0140】
前述の説明は、本開示を、開示される正確な形態又は特定の使用分野に限定することを意図するものではない。上記の実施形態は、本発明を例示するが、限定するものではない。本明細書に明示的に記載されるか又は暗示されるかにかかわらず、本発明に対する様々な代替実施形態及び/又は修正が、本開示を考慮すれば可能であることが企図される。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される。