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  • 特許-キノコ装飾ユニット及びその製作方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】キノコ装飾ユニット及びその製作方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 18/00 20180101AFI20220708BHJP
   A01G 9/02 20180101ALI20220708BHJP
   A47G 7/00 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
A01G18/00 301
A01G9/02 B
A47G7/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020195456
(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公開番号】P2022083873
(43)【公開日】2022-06-06
【審査請求日】2021-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】520463259
【氏名又は名称】株式会社SALAI International Japan
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】乾 馨太
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-5386(JP,A)
【文献】特開2003-33923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 18/00
A01G 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キノコの栽培に基づくキノコにより装飾可能なキノコ装飾ユニットであって、筒形に形成し、かつ周面部の所定位置に、生育中のキノコが露出して外部に成長する少なくとも一つの開口窓部を設けたキノコ培地収容塔部と、ブロック状に形成することにより、前記キノコ培地収容塔部の内部に収容するとともに、培地材を密閉可能な培地袋に収容し、前記キノコ培地収容塔部への収容時に前記開口窓部に臨む前記培地袋の部位をカッティングしてなる少なくとも一つのキノコ培地と、を具備してなることを特徴とするキノコ装飾ユニット。
【請求項2】
前記キノコ培地収容塔部は、筒形に形成した複数の収容筒メンバと、この収容筒メンバ同士を順次連結可能な複数の連結メンバとを備えて構成し、前記連結メンバは、内部に、上側内部空間と下側内部空間を仕切る仕切面部を一体に設けてなることを特徴とする請求項1記載のキノコ装飾ユニット。
【請求項3】
前記キノコ培地収容塔部は、プラスチック素材,金属素材,紙質素材,木質素材等から選択した剛性素材により、一体に形成することを特徴とする請求項1又は2記載のキノコ装飾ユニット。
【請求項4】
キノコの栽培に基づくキノコにより装飾可能なキノコ装飾ユニットの製作方法であって、予め、筒形に形成し、かつ周面部の所定位置に、生育中のキノコが露出して外部に成長する少なくとも一つの開口窓部を設けたキノコ培地収容塔部を用意し、このキノコ培地収容塔部に、ブロック状に形成し、かつ培地材を密閉可能な培地袋に収容した少なくとも一つのキノコ培地を収容するとともに、収容した後、前記開口窓部に臨む前記培地袋の部位をカット処理することを特徴とするキノコ装飾ユニットの製作方法。
【請求項5】
前記カット処理により、クロスカット部を形成することを特徴とする請求項4記載のキノコ装飾ユニットの製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノコ栽培に基づくキノコのアレンジメントに用いて好適なキノコ装飾ユニット及びその製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、植物を利用した鑑賞体(装飾体)としては、盆栽をはじめ、特許文献1等で開示されるフラワーアレンジメントが知られている。一方、キノコも、その種類によっては独特の傘を有しているとともに、複数の子実体の集合体となるため、鑑賞を目的とした装飾体とすることも可能であり、このような鑑賞を目的としたキノコの栽培方法も提案されている。
【0003】
従来、鑑賞を対象としたキノコを栽培する栽培方法としては、特許文献2で開示されるキノコの栽培方法が知られている。この栽培方法は、一般家庭で、手軽にキノコを、盆栽内に樹木と混生させたり、また、複数種類のキノコを混生させたりして鑑賞できるようにすることを目的としたものであり、具体的には、短木の一部に適当な大きさの穴を設け、この穴に、滅菌処理を施した天然繊維質にキノコの種菌を混ぜた接種用菌群塊を詰め、短木を、合成樹脂製の防菌式フィルター付き耐熱袋に入れて封をして一定期間培養し、この短木の内部に菌糸を蔓延させたものを接種培養完了短木とするとともに、この接種培養完了短木を盆栽の植木鉢内の有機物に富む栽培地等に植え込み、子実体を発生させ成長させるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-166835号公報
【文献】特開平9-84458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来における鑑賞を目的としたキノコの栽培方法は、次のような問題点があった。
【0006】
第一に、自然木をカットした短木を使用してキノコを生長させるため、フラワーアレンジメントのような装飾性を醸し出すことは容易でなく、鑑賞を目的としたキノコの栽培としては限界がある。特に、一つの短木の場合、一般家庭等の狭い空間における鑑賞用としては、ある程度の目的を達成し得るとしても、比較的広い空間のアレンジメントに利用するなどの用途には不向きである。結局、商用的な利用は困難になるなど、汎用性及び発展性に難がある。
【0007】
第二に、短木を用意し、この短木に穴を開ける加工工程やこの穴に接種用菌群塊を詰め込む製作工程が必要になるなど、栽培工程が面倒で煩雑になる。このため、製造コスト面で不利になるとともに、容易に大量生産できない。しかも、一品製作となるため、均質性を確保した品質の高い鑑賞物を得ることが容易でない。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したキノコ装飾ユニット及びその製作方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るキノコ装飾ユニット1は、上述した課題を解決するため、キノコの栽培に基づくキノコM…により装飾可能なキノコ装飾ユニットであって、筒形に形成し、かつ周面部2fの所定位置に、生育中のキノコM…が露出して外部に成長する少なくとも一つの開口窓部3…を設けたキノコ培地収容塔部2と、ブロック状に形成することにより、キノコ培地収容塔部2の内部に収容するとともに、培地材15を密閉可能な培地袋16に収容し、キノコ培地収容塔部2への収容時に開口窓部3…に臨む培地袋16の部位をカッティングしてなる少なくとも一つのキノコ培地4…と、を具備してなることを特徴とする。
【0010】
一方、本発明に係るキノコ装飾ユニットの製作方法は、上述した課題を解決するため、キノコの栽培に基づくキノコM…により装飾可能なキノコ装飾ユニット1を製作するに際し、予め、筒形に形成し、かつ周面部2fの所定位置に、生育中のキノコM…が露出して外部に成長する少なくとも一つの開口窓部3…を設けたキノコ培地収容塔部2を用意し、このキノコ培地収容塔部2に、ブロック状に形成し、かつ培地材15を密閉可能な培地袋16に収容した少なくとも一つのキノコ培地4…を収容するとともに、収容した後、開口窓部3…に臨む培地袋16の部位をカット処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
また、発明の好適な態様により、キノコ培地収容塔部2は、筒形に形成した複数の収容筒メンバ11,11…と、この収容筒メンバ11…同士を順次連結可能な複数の連結メンバ12…とを備え、この連結メンバ12…の内部には、上側内部空間Suと下側内部空間Sdを仕切る仕切面部12s…を設けることが望ましい。さらに、キノコ培地収容塔部2は、プラスチック素材,金属素材,紙質素材,木質素材等から選択した剛性素材Rにより形成することができる。一方、キノコ装飾ユニット1の製作に際しては、カット処理によりクロスカット部31…を形成することが望ましい。
【0012】
このような構成を有する本発明に係るキノコ装飾ユニット1及びその製作方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
(1) 筒形に形成し、かつ周面部2fの所定位置に、生育中のキノコM…が露出して外部に成長する少なくとも一つの開口窓部3…を設けたキノコ培地収容塔部2と、ブロック状に形成することにより、キノコ培地収容塔部2の内部に収容する少なくとも一つのキノコ培地4…と、を具備してなるため、フラワーアレンジメントのような装飾性を容易に醸し出すことができる。特に、比較的広い空間におけるアレンジメントが容易となり、商用的な利用に最適となるなど、汎用性及び発展性に優れる。しかも、加工工程及び製作工程がシンプルとなるため、製造コスト面で有利になり、容易に大量生産を行うことができるとともに、均質性を確保した品質の高い装飾体を得ることができる。
【0014】
(2) キノコ装飾ユニットを製作するに際しては、培地材15を密閉可能な培地袋16に収容し、キノコ培地収容塔部2への収容後に、開口窓部3…に臨む培地袋16の部位をカット処理するようにしたため、製作時及び栽培時における容易性及び均質性に寄与することができる。
【0015】
(3) 好適な態様により、キノコ培地収容塔部2を、筒形に形成した複数の収容筒メンバ11,11…と、この収容筒メンバ11…同士を順次連結可能な複数の連結メンバ12…とを備えて構成し、この連結メンバ12…の内部に、上側内部空間Suと下側内部空間Sdを仕切る仕切面部12s…を設ければ、任意数量の収容筒メンバ11,11…を組合わせることができるため、目的や設置場所に応じてキノコ培地収容塔部2の長さを容易に変更できるとともに、異なる長さのキノコ装飾ユニット1…を組合わせることが可能になるため、様々な空間に対する最適なアレンジメントを柔軟に行うことができる。加えて、連結メンバ12…の内部に設けた上側内部空間Suと下側内部空間Sdを仕切る仕切面部12s…により、キノコ培地収容塔部2の長さが長くなった場合であっても、収容筒メンバ11…単位で一定数量のキノコ培地4…を支持できるため、キノコ培地4…の保護及び製作の容易性に寄与できるとともに、均質性の確保にも寄与できる。また、最上部の連結メンバ12は、上端開口のキャップとして利用できるため、キノコ培地収容塔部2に内部に対する雑菌等の異物の侵入を阻止することができる。
【0016】
(4) 好適な態様により、キノコ培地収容塔部2を、プラスチック素材,金属素材,紙質素材,木質素材等から選択した剛性素材Rにより形成すれば、形成素材を選定することにより、キノコ装飾ユニット1における様々なグレードや雰囲気等を容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の好適実施形態に係るキノコ装飾ユニットの外観正面図、
図2】同キノコ装飾ユニットに用いる収容筒メンバの断面正面図、
図3】同キノコ装飾ユニットに用いる(a)連結メンバと(b)ユニットベースの断面正面図、
図4】同キノコ装飾ユニットの製作手順を説明するためのフローチャート、
図5】同キノコ装飾ユニットのキノコ培地を除いた状態の外観斜視図、
図6】同キノコ装飾ユニットの製作方法の一部を示す製作説明図、
図7】同キノコ装飾ユニットの製作方法の一部を示す製作説明図、
図8】同キノコ装飾ユニットの収容筒メンバの変更例を示す斜視図、
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
まず、本実施形態に係るキノコ装飾ユニット1の構成について、図1図6を参照して具体的に説明する。
【0020】
キノコ装飾ユニット1は、基本的構成として、筒形に形成し、かつ周面部2fの所定位置に、生育中のキノコM…が露出して外部に成長する少なくとも一つ(一般的には一つ以上)の開口窓部3…を設けたキノコ培地収容塔部2を備える。
【0021】
キノコ培地収容塔部2は、図5に示すように、円筒形に形成した複数(例示は二つ)の収容筒メンバ11,11…と、この収容筒メンバ11…同士を順次連結可能な複数(例示は二つ)の連結メンバ12…とを備えて構成する。また、キノコ培地収容塔部2の最下部には、ユニットベース21を設ける。このユニットベース21は、キノコ培地収容塔部2の下端に装着することができ、下端で支持するキノコ培地収容塔部2を上方へ起立させる機能を有する。
【0022】
収容筒メンバ11は、剛性素材Rとなるプラスチック素材により一体形成する。例示する収容筒メンバ11のディメンションは、縦方向(軸方向)の長さが520〔mm〕,外径(直径)が140〔mm〕である。形成素材として、プラスチック素材を用いれば、コスト面で有利になるとともに、着色性や軽量性等の面でも有利になる。その他、形成素材としては、各種の剛性素材Rを使用可能である。特に、収容筒メンバ11は、比較的単純な形状となるため、例えば、高級感を醸し出すことができる金属素材,軽量で安価に製作可能な防水性シートにより被覆した紙質素材,自然感を醸し出すことができる木質素材等、任意の剛性素材Rにより形成可能である。
【0023】
このように、キノコ培地収容塔部2を形成するに際し、プラスチック素材,金属素材,紙質素材,木質素材等から選択した剛性素材Rにより形成すれば、形成素材を選定することにより、キノコ装飾ユニット1における様々なグレードや雰囲気等を容易に変更することが可能となる。
【0024】
また、収容筒メンバ11(キノコ培地収容塔部2)の周面部2fには、複数の開口窓部3…を形成する。例示の場合、各開口窓部3…は、軸方向(縦方向)へ等間隔に選定した一段目の位置,二段目の位置,三段目の位置にそれぞれ配置するとともに、各段において、それぞれ周方向へ等間隔置きに形成した。具体的には、一段目と三段目の位置にはそれぞれ二つの矩形の開口窓部3,3を形成するとともに、二段目の位置には四つの矩形の開口窓部3…を形成した。各開口窓部3…の大きさ(開口面積)は、少なくとも、生育中のキノコM…が露出して外部に成長できる大きさを考慮する。なお、各開口窓部3…を設ける段数は任意である。開口窓部3の形状も、丸形等の任意の形状を選定できるとともに、各開口窓部3…は、同一形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0025】
一方、連結メンバ12は、図3(a)に示すように、収容筒メンバ11に対して稍大径となる円筒形に形成するとともに、収容筒メンバ11と同様のプラスチック素材により一体形成する。連結メンバ12は、この連結メンバ12の開口に対して、収容筒メンバ11における開口側の一端(又は他端)を容易に挿入又は離脱することができるとともに、挿入した際には、無用なガタツキを生じることなく、安定に連結できる直径と寸法を選定する。また、連結メンバ12の内部における軸方向の中央位置には、上側内部空間Suと下側内部空間Sdを仕切る仕切面部12sを一体に設ける。これにより、連結メンバ12における上半部に上連結部12uが設けられ、下半部に下連結部12dが設けられる。連結メンバ12の内部に、このような仕切面部12sを設ければ、キノコ培地収容塔部2の長さが長くなった場合であっても、収容筒メンバ11…単位で一定数量のキノコ培地4…を支持できるため、キノコ培地4…の保護及び製作の容易性に寄与できるとともに、均質性の確保にも寄与できる。また、最上部の連結メンバ12は、上端開口のキャップとして利用できるため、キノコ培地収容塔部2に内部に対する雑菌等の異物の侵入を阻止することができる。
【0026】
このように、キノコ培地収容塔部2を構成するに際し、筒形に形成した複数の収容筒メンバ11,11…と、この収容筒メンバ11…同士を順次連結可能な複数の連結メンバ12…とを備えて構成すれば、任意数量の収容筒メンバ11,11…を組合わせることができるため、目的や設置場所に応じてキノコ培地収容塔部2の長さを容易に変更できるとともに、異なる長さのキノコ装飾ユニット1…を組合わせることが可能になるため、様々な空間に対する最適なアレンジメントを柔軟に行うことができる。
【0027】
さらに、ユニットベース21は、図3(b)に示すように、上述した連結メンバ12の上連結部12uと同様に形成したユニット連結部21oと、このユニット連結部21oの下端に一体形成した円盤状のベース本体部21mを備える。このユニットベース21は、キノコ培地収容塔部2の下端を支持することにより、キノコ培地収容塔部2を鉛直方向に起立させる機能を備えるため、キノコ培地収容塔部2に装着した際に、キノコ培地収容塔部2が容易に倒れない大きさを選定する。したがって、ユニットベース21の形成素材は、収容筒メンバ11と同様のプラスチック素材により形成してもよいし、必要により、金属素材等の重量の大きい素材を選定してもよい。
【0028】
他方、キノコ装飾ユニット1は、キノコ培地収容塔部2の内部に収容する複数のキノコ培地4…を備える。一つのキノコ培地4は、図6に示すように、密閉可能な培地袋16に培地材15を収容して円柱形のブロック状に形成する。この場合、キノコ培地4は、収容筒メンバ11(キノコ培地収容塔部2)の内部に収容するため、培地袋16の外径は、収容筒メンバ11の内径に対して、稍小さい寸法を選定する。また、培地袋16の軸方向長さは、例示の場合、一つの収容筒メンバ11の内部に、三個のキノコ培地4…を収容できる寸法を選定した。
【0029】
培地材15は、栽培するキノコの種類に適合する培地材を使用する。実施形態では、キノコとして、「ひらたけ」を栽培対象としたため、「ひらたけ」に最適な培地材15を用意する。このような培地材15は、市販もされているため、市販されている培地材15をそのまま使用することも可能である。一方、キノコ装飾ユニット1は、本来のキノコの栽培環境とは異なる環境に設置して使用することも少なくないため、このような栽培環境に適した培地材15を独自に生成してもよい。
【0030】
この場合、一般的に知られている「ひらたけ」栽培に用いる培地材の生成方法により生成可能である。生成方法の一例を、図4のフローチャートにおけるステップS1-S5に示した。まず、オガコ等の基材に対して、フスマ等の栄養源と水を添加し、混合することにより、培養基を生成する生成処理を行う(ステップS1)。この後、高温下で数時間の殺菌処理を行う(ステップS2)。そして、殺菌処理の終了した冷却後の培養基に対して「ひらたけ」の種菌を接種する接種処理を行い(ステップS3)、接種した培養基を用意された培地袋16に速やかに充填して密閉する袋詰め処理を行う(ステップS4)。この後、温度と湿度を設定した所定の培養環境下で培養処理を行う(ステップS5)。栽培する「ひらたけ」は食用ではなく、鑑賞用が主目的となるため、以上の処理工程を基本として、特に、良好な外観性が得られるように、処理工程の細部を調整することができる。これにより、キノコ培地4を使用するための準備が終了する。
【0031】
次に、本実施形態に係るキノコ装飾ユニット1の製作方法について、図1図3及び図5図7を参照しつつ図4に示すフローチャートのステップS6-S16に従って具体的に説明する。
【0032】
まず、必要な資材を用意する(ステップS6)。即ち、所定数量の収容筒メンバ11…,所定数量の連結メンバ12…,及びユニットベース21を用意するとともに、所定数量のキノコ培地4…を用意する。
【0033】
そして、キノコ培地収容塔部2の一段目(最下段)を構成する収容筒メンバ11の内部に、用意したキノコ培地4…を収容する(ステップS7)。例示の場合、前述したように、三個(一般的には、N個)のキノコ培地4…を順次収容する。全てのキノコ培地4…の収容が終了したなら、図6に示すように、ユニットベース21のユニット連結部21oに、キノコ培地4…を収容した一段目の収容筒メンバ11の下端を装着する(ステップS8,S9)。また、用意した連結メンバ12の下連結部12dを、収容筒メンバ11の上端に装着する(ステップS10)。これにより、キノコ装飾ユニット1における最下段のアセンブリの製作が終了する。
【0034】
次いで、二段目に使用する収容筒メンバ11を用意し、この収容筒メンバ11の内部に、用意したキノコ培地4…を収容する(ステップS11)。そして、全て(例示は三個)のキノコ培地4…の収容が終了したなら、キノコ培地4…を収容した収容筒メンバ11の下端を、上述した最下段のアセンブリの上端に装着した連結メンバ12における上連結部12uに装着する(ステップS12)。また、この収容筒メンバ11の上端に、用意した連結メンバ12の下連結部12dを装着する(ステップS13)。これにより、
キノコ装飾ユニット1における二段目のアセンブリの製作が終了する。
【0035】
実施形態では、二段構成の場合を例示するため、以上の製作処理により、図5図1)に示すキノコ装飾ユニット1(アセンブリ)を得ることができる。なお、三段以上となるキノコ装飾ユニット1を構成する場合も同様に製作可能である(ステップS14,S11…)。この場合、目的の段数(一般的には、P段)に達するまで同様の組付け処理を行えばよい。そして、全段数を有するキノコ装飾ユニット1に係わるアセンブリの製作が終了したなら、図7に示すように、各開口窓部3…に露出した培地袋16…に対して、カッター等を用いたカット処理を行うことによりクロスカット部31…を形成する(ステップS15)。キノコ培地4…を使用するに際し、実施形態のように、培地材15を密閉可能な培地袋16に収容し、キノコ培地収容塔部2への収容後に、開口窓部3…に臨む培地袋16…の部位をカット処理するようにすれば、製作時及び栽培時における容易性及び均質性に寄与することができる。
【0036】
以上の処理工程により、キノコ装飾ユニット1の製作が終了するため、所定の保管場所で保管処理(芽出し処理)する(ステップS16)。これにより、「ひらたけ」の場合、芽出し後の子実体は、10日前後で必要な大きさに成長するため、目的の設置場所に設置すればよい。図1は、設置場所Fに設置したキノコM…が生長した状態のキノコ装飾ユニット1を示している。
【0037】
このように、本実施形態に係るキノコ装飾ユニット1によれば、基本的な構成として、筒形に形成し、かつ周面部2fの所定位置に、生育中のキノコM…が露出して外部に成長する複数の開口窓部3…を設けたキノコ培地収容塔部2と、ブロック状に形成することにより、キノコ培地収容塔部2の内部に収容する複数のキノコ培地4…と、を具備してなるため、フラワーアレンジメントのような装飾性を容易に醸し出すことができる。特に、比較的広い空間におけるアレンジメントが容易となり、商用的な利用に最適となるなど、汎用性及び発展性に優れる。しかも、加工工程及び製作工程がシンプルとなるため、製造コスト面で有利になり、容易に大量生産を行うことができるとともに、均質性を確保した品質の高い装飾体を得ることができる。
【0038】
なお、図8には、キノコ装飾ユニット1に使用するキノコ培地収容塔部2を構成する収容筒メンバ11の形状的な変更例を示す。前述した図1図7に示した実施形態は、円筒形に形成した例を示したが、変更例で示す収容筒メンバ11は、一端開口が正方形となる角筒形に形成したものである。また、開口窓部3…を設けるに際しては、収容筒メンバ11の周囲に螺旋を描いた際に、この螺旋が交差する角部11s…に矩形の開口窓部3…を形成した。このため、図示を省略したが、連結メンバ12の形状も、収容筒メンバ11に対応する形状及び大きさに形成することができる。このように、収容筒メンバ11及び連結メンバ12は、様々な形状,大きさ,及び形態により形成可能である。
【0039】
以上、変更例を含む好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0040】
例えば、キノコMとして、「ひらたけ」を例示したが、その他、菌床栽培可能な様々な種類のキノコ類を適用することができる。一方、キノコ培地収容塔部2は、筒形に形成した複数の収容筒メンバ11,11…と、この収容筒メンバ11…同士を順次連結可能な複数の連結メンバ12…とを備えて構成することができるが、単一の収容筒メンバ11の使用を排除するものではない。また、収容筒メンバ11は、軸心が直線形状を用いたが、軸心が湾曲形状であってもよく、直線形状と湾曲形状を組合わせることにより、例えば、アーチ状に構成してもよい。さらに、連結メンバ12は、収容筒メンバ11…同士を連結する機能を有するものであれば、各種形態の連結メンバ12を利用可能である。なお、連結メンバ12…の内部に設ける仕切面部12s…は、例えば、別体に形成するとともに、板状のみならず、金網等を用いる場合を排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るキノコ装飾ユニットは、キノコ栽培に基づくキノコによる各種アレンジメントとして利用できる。
【符号の説明】
【0042】
本発明に係るキノコ装飾ユニット及びその製作方法は、キノコ栽培に基づくキノコによる各種アレンジメントとして利用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8