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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】噴霧装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20220708BHJP
   A01G 9/24 20060101ALI20220708BHJP
   A01G 25/09 20060101ALI20220708BHJP
   B05B 17/00 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
A01M7/00 D
A01G9/24 X
A01G25/09 B
A01M7/00 E
B05B17/00 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018019321
(22)【出願日】2018-02-06
(65)【公開番号】P2019135926
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000250007
【氏名又は名称】有光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】八塚 慎二
(72)【発明者】
【氏名】大町 浩司
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-019253(JP,A)
【文献】特開2013-247886(JP,A)
【文献】実開平1-66873(JP,U)
【文献】特開2004-248583(JP,A)
【文献】実開平4-103407(JP,U)
【文献】米国特許第4333609(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 7/00
A01M 9/00
A01G 9/14
A01G 9/24
A01G 25/09
B05B 17/00 - 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
該車体に取り付けられた液体を噴霧するノズルと、
前記車体に取り付けられており、レールを走行するための車輪と、
前記車輪に動力を供給する駆動源と、
該駆動源の駆動を制御する制御部と、
前記車体を回転させることなく、前記車体を前進させた後、後進させる第一動作モード及び前記車体を回転させることなく、前記車体を後進させた後、前進させる第二動作モードの選択を受け付ける受付部と
を備え、
前記レールは通路から前記通路に直角な方向に延び、
前記レールの一端側に前記通路があり、
前記レールの一端部付近の第一位置に配置された被検出部及び前記レールの他端部付近の第二位置に配置された被検出部を検出する検出器を備え、
前記通路にて前記車輪が前記レールの一端部に臨む位置に配置された後、前記レールの他端に向けて走行を開始した場合において、前記制御部は、前記検出器にて前記第一位置及び第二位置に配置された二つの被検出部を検出した場合に、前記車体の移動方向を反転させ、前記車体の移動方向の反転後、前記検出器にて前記第一位置及び第二位置に配置された二つの被検出部を検出した場合に、前記車体を停止させる
噴霧装置。
【請求項2】
前記車輪は、地上走行用車輪部と、レール走行用車輪部とを有し、
前記地上走行用車輪部が地上を走行する場合、前記レール走行用車輪部は地上に接触せず、前記レール走行用車輪部が前記レールを走行する場合、前記地上走行用車輪部は前記レールに接触しない
請求項1に記載の噴霧装置。
【請求項3】
前後方向に交差する方向に前記車体を運ぶ運搬部
を備える請求項1又は2に記載の噴霧装置。
【請求項4】
前記運搬部に、前記被検出部が設けられている
請求項に記載の噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前進又は後進する車体を有し、液体、例えば薬液を噴霧する噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウス内の天井に設置されたレールを移動するキャリアを備え、前記キャリアに薬液を散布する手段を設けた散布装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。天井にレール及びキャリアを設けているので、ハウス内の地上全体を圃場として使用することができる。
【0003】
圃場には、複数の作物の列が形成されることが多い。圃場面積が大きい場合には、圃場面積に対応させて、作物の列をより長くし、収穫量の向上を図ることがある。しかし、作物の列が長い場合、収穫作業において、列の中途部にて、収穫した作物を貯留したコンテナが満杯になることがあった。この場合、列の端まで移動して、空のコンテナに交換し、再度、列の中途部まで戻らなければならず、作業効率が低下するという問題が生じる。
【0004】
そのため、圃場面積が大きくても、作物の列を長くせずに、列と列との間に、列に直角な作業用通路を設け、作業用通路に空のコンテナを配置しておき、一つの列に対する収穫作業を完了した後、空のコンテナに交換し、次の列に対する作業を行い、作業効率の向上を図っている。
【0005】
特許文献1の散布装置は、ハウス毎にレール及びキャリアを設置しなければならない。そのため、車輪と、薬液を噴霧する噴霧ノズルとを備える直進式の一つの噴霧機を準備し、該一つの噴霧機を複数のハウスそれぞれに移動させることによって、複数のハウスに対して作業を行うことが考えられる。ハウス内では、例えば、作業用通路を開始及び終了地点として、噴霧機を二つの作物の列の間を、列に沿って往復させて、作物に薬液を付着させる。往復後は、作業者が噴霧機の向きを変更し、未作業の二つの列の間まで噴霧機を移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平1-66873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
直進式の噴霧機は車輪の向きを変更することができず、車輪を操舵できないので、噴霧機の向きを変更するには、作業者が噴霧機を持ち上げて回転させる必要があり、作業者の負担が大きくなりやすい。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、作業者への負担を軽減させることができる噴霧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る噴霧装置は、車体と、該車体に取り付けられた液体を噴霧するノズルと、前記車体に取り付けられており、レールを走行するための車輪と、前記車輪に動力を供給する駆動源と、該駆動源の駆動を制御する制御部と、前記車体を前進させた後、後進させる第一動作モード及び前記車体を後進させた後、前進させる第二動作モードの選択を受け付ける受付部とを備える。
【0010】
本発明においては、前進後、後進する第一動作モードの終了後に、後進後、前進する第二動作モードを選択する。作業者は、作業用通路よりも前側に配置された作物に対して、噴霧作業を行った後、受付部を操作するだけで、車体を回転させることなく、作業用通路よりも後側に配置された作物に対して、噴霧作業を行うことができる。
【0011】
本発明に係る噴霧装置は、第一位置に配置された第一被検出部及び第二位置に配置された第二被検出部を検出する検出器を備え、前記制御部は、前記検出器にて前記第一被検出部を検出した後、前記第二被検出部を検出した場合に、前記車体の移動方向を反転させ、前記検出器にて前記第二被検出部を検出した後、前記第一被検出部を検出した場合に、前記車体を停止させる。
【0012】
本発明においては、噴霧装置は、第一被検出部及び第二被検出部の間を自動的に往復し、第一動作モード及び第二動作モードを実行する。
【0013】
本発明に係る噴霧装置は、前後方向に交差する方向に前記車体を運ぶ運搬部を備える。
【0014】
本発明においては、第一動作モード及び第二動作モードを実行した後、運搬部によって車体を移動させ、噴霧作業を行っていない列に車体を移動させる。
【0015】
本発明に係る噴霧装置は、前後方向に交差する方向に前記車体を運ぶ運搬部を備え、前記運搬部に、前記第一被検出部が設けられている。
【0016】
本発明においては、運搬部に第一被検出部を設けることによって、各列に対応させて、多数の第一被検出部を設ける必要がなくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る噴霧装置にあっては、第一動作モードの終了後に第二動作モードを選択するか、又は第二動作モードの終了後に第一動作モードを選択することができる。作業者は、作業用通路よりも前側に配置された作物に対して、噴霧作業を行った後、受付部を操作するだけで、車体を回転させることなく、作業用通路よりも後側に配置された作物に対して、噴霧作業を行うことができる。または作業用通路よりも後側に配置された作物に対して、噴霧作業を行った後、受付部を操作するだけで、車体を回転させることなく、作業用通路よりも前側に配置された作物に対して、噴霧作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態1に係る噴霧装置を略示する斜視図である。
図2】噴霧装置を略示する左側面図である。
図3】噴霧装置を略示する平面図である。
図4】ハウス内の構成を略示する平面図である。
図5】噴霧装置の制御部付近の構成を略示するブロック図である。
図6】FPGAによる噴霧処理を説明するフローチャートである。
図7】実施の形態2に係る噴霧装置及びハウス内の構成を略示する平面図である。
図8】噴霧装置及びハウス内の構成を略示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
以下本発明を、実施の形態1に係る噴霧装置を示す図面に基づいて説明する。以下の説明では、図に示す上下前後左右を使用する。図1は、噴霧装置を略示する斜視図、図2は、噴霧装置を略示する左側面図、図3は、噴霧装置を略示する平面図である。噴霧装置は、直方体状の車体1を備え、該車体1は前後方向に延びる。車体1の前部は後部よりも左右幅が短い。車体1の下部を、左右方向を軸方向とした二つ車軸2、2が貫通し、前後に並ぶ。車軸2の両端部には、車輪3がそれぞれ設けられている。
【0020】
車輪3は、軸方向に並んだ内輪3a及び外輪3bを備える。内輪3aの直径は外輪3bの直径よりも短い。外輪3bの外周部は弾性素材、例えばゴム材によって構成されている。内輪3aの外周部は硬質の素材、例えばプラスチック材によって構成されている。車体1の後面部に取手4が設けられている。取手4は上方に突出している。車輪3は操舵不可能に構成されており、直進移動のみが可能である。車体1が地上を走行する場合、外輪3bが地上に接し、内輪3aは地上に接しない。図2及び図3に示すように、圃場に設置されたレール31上を車体1が移動する場合、内輪3aはレール31に接し、外輪3bは地上から離れ、レール31の外側に配置される。
【0021】
取手4には、取付部材を介して、複数のスイッチを有する操作部5が取り付けられている。操作部5は、作業者の操作を受け付ける。例えば、作業者は操作部5を操作し、後述する第一動作モード又は第二動作モードを選択する。操作部5には複数の電源6、例えば電池が取り付けられている。なお電池に代えて、電源基板を使用し、例えば商用電源から電源基板に電力を供給してもよい。
【0022】
図2及び図3に示すように、車体1の後部に、薬液が通流する通流管(図示略)を接続する接続口11が設けられている。なお通流管は、薬液を送出するポンプ(図示略)に接続される。車体1の前部に支持棒7が設けられている。支持棒7は上方に延び、その中途部にヒンジ8が設けられている。支持棒7は、ヒンジ8を回転中心にして、折り曲げることができる。支持棒7の両側に沿って、可撓性を有する二つのチューブ9が配設されている。
【0023】
チューブ9の一端部は車体1に接続されている。車体1内には、薬液が通流する管(図示略)が設けられており、該管は、前記接続口11と前記チューブ9の一端部とを接続する。前記管には、後述する電磁弁17(図4参照)が設けられている。チューブ9の他端部は閉鎖されている。チューブ9には、薬液を散布する複数の静電ノズル10が設けられている。図2に示すように、車体1の底部前側に磁気を検知する磁気センサ12が設けられている。
【0024】
図4は、ハウス50内の構成を略示する平面図である。ハウス50内には、左右に延びた作業用通路52が設けられている。作業用通路52の前側に、前後に延びた複数の作物の列51、51、・・・、51が左右に並んでいる。以下、作物の列51を単に列51とも称する。二つのレール31、31は左右方向に適長離れている。二つのレール31、31の離間距離は、同一車軸2に設けられた二つの内輪3a、3aの軸方向の離間距離に略等しい。作業用通路52の後側にも、前後に延びた複数の作物の列51、51、・・・、51が左右に並んでおり、隣合う二つの列51、51の間には、前後に延びる二つのレール31、31が設けられている。作業用通路52よりも前側のレール31と、作業用通路52よりも後側のレール31との左右方向位置は対応している。
【0025】
作業用通路52よりも前側において、二つのレール31、31の間に、第一磁石41及び第二磁石42が設けられている。第一磁石41は、レール31の後端部、即ち作業用通路52側の端部付近に設けられており、第二磁石42は、レール31の前端部、即ち作業用通路52の反対側端部付近に設けられている。
【0026】
作業用通路52よりも後側において、二つのレール31、31の間に、第三磁石43及び第四磁石44が設けられている。第三磁石43は、レール31の前端部、即ち作業用通路52側の端部付近に設けられており、第四磁石44は、レール31の後端部、即ち作業用通路52の反対側端部付近に設けられている。第一磁石41~第四磁石44は、地中に埋められている。なお第一磁石41~第四磁石44を地上に設置してもよい。
【0027】
図5は、噴霧装置の制御部15付近の構成を略示するブロック図である。噴霧装置は、車輪3を駆動するモータ16と、前記管を開閉する電磁弁17と、該電磁弁17及びモータ16の駆動を制御する制御部15とを備える。モータ16の回転は、減速機(図示略)及び伝動部材を介して、各車軸2に伝達される。制御部15は、FPGA15a(Field Programmable Gate Array)、記憶部15b及びタイマ15cを備える。記憶部15bは、例えば不揮発性メモリ又は揮発性メモリを有する。記憶部15bには、車体1を前進させた後、後進させる第一動作モードを実行する第一プログラムと、車体1を後進させた後、前進させる第二動作モードを実行する第二プログラムとが記憶されている。
【0028】
なおFPGA15aに代えて、プロセッサ、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)を使用してもよい。制御部15には、操作部5及び磁気センサ12からの出力信号が入力される。FPGA15aは、モータ16に対して、前進信号、後進信号又は停止信号を出力し、電磁弁17に対して、開閉信号を出力する。
【0029】
噴霧装置がハウス50内にて、薬液を噴霧する噴霧処理について説明する。なお作業者によって、噴霧装置における前側車輪3の内輪3aが、作業用通路52よりも前側に配置された二つのレール31の後端部に臨む位置に配置されているものとし、電磁弁17は閉じており、磁気センサ12は第一磁石41よりも後側に配置され、モータ16は停止しているものとする。
【0030】
図6は、FPGA15aによる噴霧処理を説明するフローチャートである。FPGA15aは、操作部5からの信号を取り込み、第一動作モードが選択されているか否かを判定する(ステップS1)。第一動作モードが選択されている場合(ステップS1:YES)、FPGA15aは、操作部5からの信号を取り込み、移動開始信号が入力されたか否か判定する(ステップS2)。移動開始信号が入力されていない場合(ステップS2:NO)、FPGA15aは待機する。移動開始信号が入力された場合(ステップS2:YES)、FPGA15aはモータ16に前進信号を出力する(ステップS3)。モータ16は正回転し、内輪3aはレール31上を移動し、車体1は前進する。
【0031】
FPGA15aは、磁気を二回検出したか否かを判定する(ステップS4)。即ち、第一磁石41を検出した後に、更に第二磁石42を検出したか否かを判定する。第一磁石41及び第二磁石42を検出した場合、車体1は、作業用通路52よりも前側において、作物の列51の前端部に位置すると考えられる。磁気を二回検出していない場合(ステップS4:NO)、FPGA15aは待機する。磁気を二回検出していない場合、車体1は列51の前端部に至っていないと考えられる。例えば、車体1は、第一磁石41と第二磁石42との間に位置していることが考えられる。なお磁気を検出した場合、FPGA15aは、磁気を検出したことを示す情報を記憶部15bに記憶する。記憶部15bは、磁気を一回目に検出した情報と、磁気を二回目に検出した情報とを記憶する。磁気を二回検出した場合(ステップS4:YES)、FPGA15aはタイマ15cによって所定時間、例えば2~5秒が経過したか否かを判定する(ステップS5)。
【0032】
所定時間が経過していない場合(ステップS5:NO)、FPGA15aは待機する。所定時間待機することによって、車体1は第二磁石42よりも前側に移動し、作物の列51の前端又はそれよりも前側に車体1を位置させることができる。所定時間が経過した場合(ステップS5:YES)、FPGA15aはモータ16に停止信号を出力し、その後、後進信号を出力する(ステップS6)。車体1は停止し、後進する。即ち、車体1の移動方向は反転する。このとき、FPGA15aは、記憶部15bに記憶された、一回目及び二回目に磁気を検出したことを示す情報をクリアする。
【0033】
FPGA15aは、電磁弁17に開信号を出力する(ステップS7)。電磁弁17は開き、静電ノズル10から薬液が噴霧される。噴霧装置は、後進しながら薬液の噴霧を実行する。FPGA15aは、磁気を二回検出したか否か判定する(ステップS8)。即ち、第二磁石42を検出した後に、更に第一磁石41を検出したか否かを判定する。第二磁石42及び第一磁石41を検出した場合、車体1は、作業用通路52よりも前側において、作物の列51の後端部に位置すると考えられる。
【0034】
磁気を二回検出していない場合(ステップS8:NO)、FPGA15aは待機する。磁気を二回検出していない場合、車体1は列51の後端部に至っていないと考えられる。例えば、車体1は、第一磁石41と第二磁石42との間に位置していることが考えられる。磁気を二回検出した場合(ステップS8:YES)、FPGA15aはタイマ15cによって所定時間、例えば2~5秒が経過したか否かを判定する(ステップS9)。所定時間が経過していない場合(ステップS9:NO)、FPGA15aは待機する。所定時間待機することによって、車体1は第一磁石41よりも後側に移動し、作物の列51の後端又はそれよりも後側に車体1を位置させることができる。所定時間が経過した場合(ステップS9:YES)、FPGA15aは電磁弁17に閉信号を出力し(ステップS10)、モータ16に停止信号を出力する(ステップS11)。噴霧装置は薬液の噴霧を停止し、作業用通路52にて停止する。FPGA15aはステップS1に処理を戻す。
【0035】
ステップS1において、第一動作モードが選択されていない場合(ステップS1:NO)、FPGA15aは、操作部5からの信号を取り込み、第二動作モードが選択されているか否かを判定する(ステップS12)。前述したように、ステップS1~11を実行した後、噴霧装置は作業用通路52にて停止し、薬液の噴霧を停止している。作業者は、第二動作モードを選択することによって、車体1を回転させることなく、作業用通路52よりも後側に配置された作物の列51に対しても、引き続き薬液を噴霧することができる。
【0036】
第二モードが選択されている場合(ステップS12:YES)、FPGA15aは、操作部5からの信号を取り込み、移動開始信号が入力されたか否か判定する(ステップS13)。移動開始信号が入力されていない場合(ステップS13:NO)、FPGA15aは待機する。移動開始信号が入力された場合(ステップS13:YES)、FPGA15aはモータ16に後進信号を出力する(ステップS14)。モータ16は逆回転し、内輪3aはレール31上を移動し、車体1は後進する。
【0037】
FPGA15aは、磁気を二回検出したか否かを判定する(ステップS15)。即ち、第三磁石43を検出した後に、更に第四磁石44を検出したか否かを判定する。第三磁石43及び第四磁石44を検出した場合、車体1は、作業用通路52よりも後側において、作物の列51の後端部に位置すると考えられる。磁気を二回検出していない場合(ステップS15:NO)、FPGA15aは待機する。磁気を二回検出していない場合、車体1は列51の後端部に至っていないと考えられる。例えば、車体1は、第三磁石43と第四磁石44との間に位置していることが考えられる。磁気を二回検出した場合(ステップS15:YES)、FPGA15aはタイマ15cによって所定時間、例えば2~5秒が経過したか否かを判定する(ステップS16)。
【0038】
所定時間が経過していない場合(ステップS16:NO)、FPGA15aは待機する。所定時間待機することによって、車体1は第四磁石44よりも後側に移動し、作物の列51の後端又はそれよりも後側に車体1を位置させることができる。所定時間が経過した場合(ステップS16:YES)、FPGA15aはモータ16に停止信号を出力し、その後、前進信号を出力する(ステップS17)。車体1は停止し、前進する。即ち、車体1の移動方向は反転する。このとき、FPGA15aは、記憶部15bに記憶された、一回目及び二回目に磁気を検出したことを示す情報をクリアする。
【0039】
FPGA15aは、電磁弁17に開信号を出力する(ステップS18)。電磁弁17は開き、静電ノズル10から薬液が噴霧される。噴霧装置は、前進しながら薬液の噴霧を実行する。FPGA15aは、磁気を二回検出したか否か判定する(ステップS19)。即ち、第四磁石44を検出した後に、更に第三磁石43を検出したか否かを判定する。第四磁石44及び第三磁石43を検出した場合、車体1は、作業用通路52よりも後側において、作物の列51の前端部に位置すると考えられる。
【0040】
磁気を二回検出していない場合(ステップS19:NO)、FPGA15aは待機する。磁気を二回検出していない場合、車体1は列51の前端部に至っていないと考えられる。例えば、車体1は、第三磁石43と第四磁石44との間に位置していることが考えられる。磁気を二回検出した場合(ステップS19:YES)、FPGA15aはタイマ15cによって所定時間、例えば2~5秒が経過したか否かを判定する(ステップS20)。所定時間が経過していない場合(ステップS20:NO)、FPGA15aは待機する。所定時間待機することによって、車体1は第三磁石43よりも前側に移動し、作物の列51の前端又はそれよりも前側に車体1を位置させることができる。所定時間が経過した場合(ステップS20:YES)、FPGA15aは電磁弁17に閉信号を出力し(ステップS21)、モータ16に停止信号を出力する(ステップS22)。噴霧装置は薬液の噴霧を停止し、作業用通路52にて停止する。その後、FPGA15aはステップS1に処理を戻す。ステップS12において、第二動作モードが選択されていない場合(ステップS12:NO)、FPGA15aはステップS1に処理を戻す。
【0041】
作業者は、例えば、第一動作モード及び第二動作モードを実行した後、取手4を掴んで、車体1を右側に90度回転させて、車体1を右方向に直進させ、まだ噴霧していない作物の間まで、車体1を移動させる。そして、車体1を左側に90度回転させて、第一動作モード及び第二動作モードを実行する。
【0042】
上述した第一動作モードにおいては、後進時に電磁弁17を開いているが(ステップS6、S7参照)、前進時に(ステップS3参照)、電磁弁17を開き、前進時に薬液を噴霧してもよい。また第二動作モードにおいては、前進時に電磁弁17を開いているが(ステップS17、S18参照)、後進時に(ステップS14参照)、電磁弁17を開き、後進時に薬液を噴霧してもよい。即ち、噴霧装置は、前進時のみ、後進時のみ、又は、前進及び後進時のいずれかで、薬液を噴霧することができる。
【0043】
実施の形態1に係る噴霧装置は、第一動作モードの終了後に第二動作モードを選択するか、又は第二動作モードの終了後に第一動作モードを選択することができる。作業者は、作業用通路52よりも前側に配置された作物に対して、噴霧作業を行った後、受付部を操作するだけで、車体1を回転させることなく、作業用通路52よりも後側に配置された作物に対して、噴霧作業を行うことができる。または作業用通路52よりも後側に配置された作物に対して、噴霧作業を行った後、受付部を操作するだけで、車体1を回転させることなく、作業用通路52よりも前側に配置された作物に対して、噴霧作業を行うことができる。
【0044】
また噴霧装置は、第一磁石41及び第二磁石42の間を自動的に往復し、第一動作モードを実行することができる。また第三磁石43及び第四磁石44の間を自動的に往復し、第二動作モードを実行することができる。
【0045】
なおレール31は専用レールでもよいし、ハウス50内の既存の構成、例えば温水パイプをレール31として使用してもよい。また磁気センサ12及び第一磁石41~第四磁石44に代えて、近接センサ(例えば光センサ、ホールセンサ又は超音波センサなど)及びドグを使用してもよい。またモータ16に代えて、内燃機関を使用してもよい。
【0046】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る噴霧装置を示す図面に基づいて説明する。図7及び図8は、噴霧装置及びハウス50内の構成を略示する平面図である。実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0047】
噴霧装置は移動可能な運搬台19を備える。第一磁石41及び第三磁石43は、運搬台19に設けられており、互いに反対側に配置されている。運搬台19上に、二つの第二レール32、32が設けられている。二つの第二レール32、32は略平行に並べられており、二つの第二レール32、32の間に、第一磁石41及び第三磁石43は配置されている。運搬台19は、少なくとも、第二レール32に直角な方向に移動可能である。運搬台19には車体1が載置され、運搬される。
【0048】
車体1の運搬は、例えば以下のように行う。内輪3aを第二レール32に乗せて、車体1を運搬台19に乗せる。運搬台19を作業用通路52に運び、第一磁石41が前側に、第三磁石43が後側に配置され、左右方向において、第二レール32の位置がレール31の位置に対応するように、運搬台19を設置する。このとき第二レール32は前後方向に沿って延びる。
【0049】
作業者は、例えば、操作部5を操作し、第一動作モード及び第二動作モードを実行する。車体1は、第二レール32及びレール31を移動し、前後に往復移動する。第一動作モード及び第二動作モードの実行後、車体1は、運搬台19に戻っている。そして、作業者は、まだ噴霧を行っていない列51の間に、車体1を移動させる。このとき、作業者は、運搬台19を左右方向に移動させて、まだ噴霧を行っていない列51の間に、車体1を移動させることができる。例えば、図8の矢印にて示すように、車体1を右側に移動させることができる。
【0050】
実施の形態2に係る噴霧装置は、一動作モード及び第二動作モードを実行した後、運搬台19によって車体1を移動させ、噴霧作業を行っていない列51に、車体1を回転させることなく、車体1を移動させることができる。そのため、車体1の回転は、作業者にとって負荷の大きい作業であるが、運搬台19を使用することによって、この作業を削減することができる。
【0051】
また運搬台19に、第一磁石41及び第三磁石43を設けているので、各列51に対応させて、第一磁石41及び第三磁石43を設ける必要がなくなり、圃場に設置する磁石を削減することができる。なお運搬台19に第二レール32を設けなくてもよい。
【0052】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0053】
1 車体
3 車輪
3b 外輪
3a 内輪
5 操作部(受付部)
10 静電ノズル
12 磁気センサ(検出器)
15 制御部
16 モータ(駆動源)
19 運搬台(運搬部)
41 第一磁石(第一被検出部)
43 第三磁石(第一被検出部)
42 第二磁石(第二被検出部)
44 第四磁石(第二被検出部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8