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特許7101412空調システム、及び、空調システムの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】空調システム、及び、空調システムの使用方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/044 20060101AFI20220708BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20220708BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20220708BHJP
   F24F 11/72 20180101ALI20220708BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20220708BHJP
   F24F 13/10 20060101ALI20220708BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20220708BHJP
   F24F 140/40 20180101ALN20220708BHJP
【FI】
F24F3/044
F24F13/02 D
F24F13/02 A
F24F5/00 Z
F24F11/72
F24F11/64
F24F13/10 A
F24F110:10
F24F140:40
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020092561
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021188796
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2020-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000133939
【氏名又は名称】テラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100097238
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 治
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】久保 時彦
(72)【発明者】
【氏名】田渕 博史
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-049899(JP,A)
【文献】特開2006-125754(JP,A)
【文献】特開2008-051466(JP,A)
【文献】特開2016-090099(JP,A)
【文献】特開2009-156510(JP,A)
【文献】特開平06-313581(JP,A)
【文献】実開昭58-126634(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/044
F24F 13/02
F24F 5/00
F24F 11/00-11/89
F24F 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業施設の屋内空間内を局所的に冷却するための空調システムであって、
冷気を発生するように構成された、空調機と、
前記空調機からの冷気を前記屋内空間内に送風するように構成された、1つ又は複数の誘引ファンと、
前記空調機の吹出口と前記1つ又は複数の誘引ファンの吸込口のそれぞれとを接続する、1つ又は複数の接続ダクトと、
一端が前記接続ダクトに接続され、他端が開放された、空気取り入れ用ダクトと、
前記空気取り入れ用ダクトに配置された、空気取り入れ用ダンパと、
前記接続ダクトに配置された、空調風量調整用ダンパと、
を備え、
前記1つ又は複数の誘引ファンの合計最大吸引風量は、前記空調機の最大処理風量よりも大きく、
各前記誘引ファンは、前記屋内空間内の人よりも上側に配置されており、
各前記接続ダクトは、前記屋内空間内の人よりも上側に配置されており、
前記空気取り入れ用ダクトの前記一端は、前記接続ダクトのうち、前記空調風量調整用ダンパと前記誘引ファンの前記吸込口との間の部分に、接続されており、
前記空調風量調整用ダンパは、前記接続ダクトの開度を調整できるように構成されており、
各前記接続ダクトは、それぞれ各前記接続ダクトにおける前記空気取り入れ用ダクトよりも下流側のみにおいて、柔軟に曲げられるように構成されたフレキシブル部を有している、空調システム。
【請求項2】
各前記誘引ファンは、それぞれ各前記誘引ファンの吹出口が斜め下を向くことができるように構成されている、請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記空気取り入れ用ダクトの前記他端は、前記屋内空間内に配置されている、請求項1又は2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記空気取り入れ用ダクトの前記他端は、屋外に配置されている、請求項1又は2に記載の空調システム。
【請求項5】
前記屋内空間内の所定場所の温度を測定可能な温度センサーと、
制御部と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記温度センサーにより測定された温度が第1温度以上である場合に、前記空調機をON状態にし、前記空調風量調整用ダンパを開状態にし、前記誘引ファンをON状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを開状態にし、
前記温度センサーにより測定された温度が前記第1温度よりも低い第2温度以上かつ前記第1温度未満である場合に、前記空調機をOFF状態にし、前記空調風量調整用ダンパを閉状態にし、前記誘引ファンをON状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを開状態にし、
前記温度センサーにより測定された温度が前記第2温度未満である場合に、前記空調機をOFF状態にし、前記空調風量調整用ダンパを閉状態にし、前記誘引ファンをOFF状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを閉状態にする、請求項1~4のいずれか一項に記載の空調システム。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の空調システムを使用するための、空調システムの使用方法であって、
前記空調機をON状態にし、前記空調風量調整用ダンパを開状態にし、前記誘引ファンをON状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを開状態にする、空調システムの使用方法。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載の空調システムを使用するための、空調システムの使用方法であって、
前記空調機をOFF状態にし、前記空調風量調整用ダンパを閉状態にし、前記誘引ファンをON状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを開状態にする、空調システムの使用方法。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか一項に記載の空調システムを使用するための、空調システムの使用方法であって、
前記屋内空間内の所定場所の温度が第1温度以上である場合に、前記空調機をON状態にし、前記空調風量調整用ダンパを開状態にし、前記誘引ファンをON状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを開状態し、
前記所定場所の温度が前記第1温度よりも低い第2温度以上かつ前記第1温度未満である場合に、前記空調機をOFF状態にし、前記空調風量調整用ダンパを閉状態にし、前記誘引ファンをON状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを開状態し、
前記所定場所の温度が前記第2温度未満である場合に、前記空調機をOFF状態にし、前記空調風量調整用ダンパを閉状態にし、前記誘引ファンをOFF状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを閉状態にする、空調システムの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システム、及び、空調システムの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調機からの冷気を、空調機に接続されたダクトの先端から吹き出すようにした、空調システムがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5368905号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の空調システムでは、ダクトの先端の近辺しか涼感が得られないという欠点があった。
【0005】
本発明は、涼感が得られるエリアを拡大できる、空調システム、及び、空調システムの使用方法を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の空調システムは、
冷気を発生するように構成された、空調機と、
前記空調機からの冷気を屋内空間内に送風するように構成された、1つ又は複数の誘引ファンと、
前記空調機の吹出口と前記1つ又は複数の誘引ファンの吸込口のそれぞれとを接続する、1つ又は複数の接続ダクトと、
を備えている。
【0007】
本発明の空調システムにおいては、
一端が前記接続ダクトに接続され、他端が開放された、空気取り入れ用ダクトと、
前記空気取り入れ用ダクトに配置された、空気取り入れ用ダンパと、
をさらに備えていると、好適である。
【0008】
本発明の空調システムにおいて、
前記空気取り入れ用ダクトの前記他端は、前記屋内空間内に配置されていてもよい。
【0009】
本発明の空調システムにおいて、
前記空気取り入れ用ダクトの前記他端は、屋外に配置されていてもよい。
【0010】
本発明の空調システムにおいて、
前記1つ又は複数の誘引ファンの合計最大吸引風量は、前記空調機の最大処理風量よりも大きくてもよい。
【0011】
本発明の空調システムにおいて、
前記接続ダクトに配置された、空調風量調整用ダンパを、さらに備え、
前記空気取り入れ用ダクトの前記一端は、前記接続ダクトのうち、前記空調風量調整用ダンパと前記誘引ファンの前記吸込口との間の部分に、接続されていると、好適である。
【0012】
本発明の空調システムにおいては、
前記屋内空間内の所定場所の温度を測定可能な温度センサーと、
制御部と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記温度センサーにより測定された温度が第1温度以上である場合に、前記空調機をON状態にし、前記空調風量調整用ダンパを開状態にし、前記誘引ファンをON状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを開状態にし、
前記温度センサーにより測定された温度が前記第1温度よりも低い第2温度以上かつ前記第1温度未満である場合に、前記空調機をOFF状態にし、前記空調風量調整用ダンパを閉状態にし、前記誘引ファンをON状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを開状態にし、
前記温度センサーにより測定された温度が前記第2温度未満である場合に、前記空調機をOFF状態にし、前記空調風量調整用ダンパを閉状態にし、前記誘引ファンをOFF状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを閉状態にするようにしてもよい。
【0013】
本発明の第1の空調システムの使用方法は、
上記の空調システムを使用するための、空調システムの使用方法であって、
前記空調機をON状態にし、前記空調風量調整用ダンパを開状態にし、前記誘引ファンをON状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを開状態にする。
【0014】
本発明の第2の空調システムの使用方法は、
上記の空調システムを使用するための、空調システムの使用方法であって、
前記空調機をOFF状態にし、前記空調風量調整用ダンパを閉状態にし、前記誘引ファンをON状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを開状態にする。
【0015】
本発明の第3の空調システムの使用方法は、
上記の空調システムを使用するための、空調システムの使用方法であって、
前記屋内空間内の所定場所の温度が第1温度以上である場合に、前記空調機をON状態にし、前記空調風量調整用ダンパを開状態にし、前記誘引ファンをON状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを開状態し、
前記所定場所の温度が前記第1温度よりも低い第2温度以上かつ前記第1温度未満である場合に、前記空調機をOFF状態にし、前記空調風量調整用ダンパを閉状態にし、前記誘引ファンをON状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを開状態し、
前記所定場所の温度が前記第2温度未満である場合に、前記空調機をOFF状態にし、前記空調風量調整用ダンパを閉状態にし、前記誘引ファンをOFF状態にし、かつ、前記空気取り入れ用ダンパを閉状態にする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、涼感が得られるエリアを拡大できる、空調システム、及び、空調システムの使用方法を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る空調システムを概略的に示す、側面図である。
図2図1の空調システムを概略的に示す、概略図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る空調システムを概略的に示す、概略図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る空調システムを概略的に示す、概略図である。
図5】本発明の第4実施形態に係る空調システムを概略的に示す、概略図である。
図6】本発明の第5実施形態に係る空調システムを概略的に示す、概略図である。
図7】本発明の第6実施形態に係る空調システムを概略的に示す、概略図である。
図8】本発明の第7実施形態に係る空調システムを概略的に示す、概略図である。
図9】本発明の第8実施形態に係る空調システムを概略的に示す、概略図である。
図10】本発明の第9実施形態に係る空調システムを概略的に示す、上面図である。
図11】本発明の第10実施形態に係る空調システムを概略的に示す、側面図である。
図12】本発明の任意の実施形態に係る空調システムの使用方法で行うことができる冷却送風運転の一例を説明するための、説明図である。
図13】本発明の任意の実施形態に係る空調システムの使用方法で行うことができる冷却送風運転の他の例を説明するための、説明図である。
図14】本発明の任意の実施形態に係る空調システムの使用方法で行うことができる送風運転の一例を説明するための、説明図である。
図15】本発明の任意の実施形態に係る空調システムの使用方法で行うことができる一部集中型運転の一例を説明するための、説明図である。
図16】本発明の第11実施形態に係る空調システムを概略的に示す、概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の空調システム、及び、本発明の空調システムの使用方法は、任意の屋内空間内を局所的に冷却するために利用できるが、例えば工場等の作業施設の屋内空間内を局所的に冷却するために特に好適に利用できるものである。
以下、本発明に係る、空調システム、及び、空調システムの使用方法の実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。
各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
【0019】
〔空調システム〕
本発明の空調システムの様々な実施形態の構成について、図1図11を参照しつつ、並行して説明する。図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る空調システムを説明するための図面である。図3図11は、それぞれ本発明の第2実施形態~第10実施形態に係る空調システムを説明するための図面である。これらの各実施形態に係る空調システム1は、任意の屋内空間Sを局所的に冷却するために利用できるが、例えば工場等の作業施設の屋内空間S内を局所的に冷却するために特に好適に利用できるものである。
以下、「屋内空間S」とは、屋内にある、壁で細分化されていない一連の空間を指すものとする。
図1図11に示すように、本発明の各実施形態に係る空調システム1は、空調機2と、1つ又は複数の誘引ファン3と、1つ又は複数の接続ダクト4と、を備えている。
【0020】
空調機2は、冷気を発生するように構成されている。
空調機2は、例えば、互いに分離された室内機及び室外機を備えたエアコンにおける室内機である。その場合、エアコンの室外機は屋外に配置される。あるいは、空調機2は、互いに一体に構成された室内機及び室外機を備えたエアコンである。あるいは、空調機2は、井水、河川水等の水冷却による冷風発生器であっても良い。
空調機2は、冷気を吹き出すように構成された1つ又は複数の吹出口22を有している。
図1図4図7図10図11の各実施形態において、空調機2は、吹出口22を1つ有している。図5図6図8図9の各実施形態において、空調機2は、吹出口22を2つ有している。
空調機2は、床置きされるものであってもよいし、壁や天井に設置されるものであってもよい。
【0021】
誘引ファン3は、空調機2からの冷気を屋内空間S内に送風するように構成されている。誘引ファン3は、屋内空間S内の一部のエリアに、局所的に送風するように構成されている。図1図10図11では、屋内空間Sの図示を省略している。誘引ファン3は、吸込口31と、吹出口32とを、有している。誘引ファン3は、空調機2からの冷気を吸込口31から吸い込んで、高速で吹出口32から吹き出すように構成されている。誘引ファン3は、屋内空間S内に配置される。これにより、誘引ファン3の吹出口32から吹き出された冷気が、屋内空間S内に送風される。
図2図9では、参考のため、誘引ファン3から吹き出される気流Wと、当該気流Wによって涼感が得られるエリアAとを、図示している。当該涼感が得られるエリアAは、例えば、工場等の作業施設の屋内空間S内において人Pが作業をする位置を含むように設定されると、好適である。
図1図2図10図11の各実施形態において、空調システム1は、誘引ファン3を1つ有している。図3図9の各実施形態において、空調システム1は、誘引ファン3を複数有している。空調システム1が誘引ファン3を複数有する場合は、空調機2の能力や台数を増大させる必要なしに、涼感が得られるエリアAの総面積を拡大できる。
誘引ファン3は、図2に示すように、人Pよりも上側(天井側)に配置されると、邪魔にならないので、好適である。この場合、誘引ファン3は、図2に示すように、吹出口32が人Pに向けて斜め下を向くようにされていると、好適である。
【0022】
1つ又は複数の接続ダクト4は、空調機2の吹出口22と1つ又は複数の誘引ファン3の吸込口31のそれぞれとを接続するように構成されている。すなわち、空調機2の吹出口22と1つ又は複数の誘引ファン3の吸込口31とは、互いに直接ダクト接続されており、ひいては、空調機2の吹出口22から吹き出された冷風の全てが、1つ又は複数の誘引ファン3の吸込口31に入るようにされている。
1つの接続ダクト4は、1つの一体のダクトから構成されてもよいし、あるいは、複数の別体のダクトどうしを連結させてなるものであってもよい。
接続ダクト4は、図2に示すように、人Pよりも上側(天井側)に配置されると、邪魔にならないので、好適である。
【0023】
このように、空調システム1は、屋内空間Sの全体を冷却するのではなく、屋内空間S内の一部のエリアを局所的に冷却するように構成されている。これにより、冷却が必要なエリアを十分に冷却しつつ、仮に屋内空間Sの全体を同程度に冷却する場合に比べて、必要となる空調機2の能力や台数を低減できるので、イニシャルコストやランニングコストを低減できる。
【0024】
本発明の各実施形態の空調システム1によれば、空調機2に加えて、空調機2に対し接続ダクト4を介して接続された1つ又は複数の誘引ファン3を備えるので、空調機2の能力や台数を増大させる必要なしに、誘引ファン3による送風(ひいては風速)によって、空調機2からの冷気を、接続ダクト4の先端から、より遠くへ飛ばすことができ、ひいては、涼感が得られるエリアAを拡大できる。また、涼感が得られるエリアAを拡大できるので、接続ダクト4の先端を、冷却が必要なエリアから、より遠くへ離して配置することができ、ひいては、接続ダクト4の長さを短くすることができるので、その分、例えば天井移動式クレーンの作業範囲を拡大できるなど、屋内空間S内のスペースを有効利用することができる。また、涼感が得られるエリアAにいる人Pは、空調機2により調整された冷気による冷却効果だけでなく、誘引ファン3による送風(ひいては風速)による冷却効果によっても、涼感が得られるので、より効果的に涼感を得ることができる。
また、本発明の各実施形態の空調システム1によれば、空調機2の吹出口22と1つ又は複数の誘引ファン3の吸込口31のそれぞれとを、1つ又は複数の接続ダクトによって接続しており、ひいては、空調機2の吹出口22から吹き出された冷風の全てが、1つ又は複数の誘引ファン3の吸込口31に入るようにされている。それにより、空調機2からの冷気を、余すことなく、冷却が必要なエリアの冷却に使うことができる。
【0025】
空調機2は、図1図5図8の各実施形態のように、屋内、特には屋内空間S内に配置されてもよい。空調機2が屋内、特には屋内空間S内に配置される場合、空調機2は、例えば、屋内(特には屋内空間S内)の空気を吸引し冷却する方法、又は、屋外の空気をダクトを経由し吸引し冷却する方法を、採用することができる。空調機2が屋内、特には屋内空間S内に配置される場合、空調機2が屋内空間S内にいる人から近い位置にあるため、空調機2の操作やメンテナンスがし易くなる。空調機2が、屋内、特には屋内空間S内に配置される場合、空調機2は、互いに分離された室内機及び室外機を備えたエアコンにおける室内機であると、好適である。仮に、空調機2が互いに一体に構成された室内機及び室外機を備えたエアコンであると、室外機からの熱が、屋内、特には屋内空間S内に排出されることとなるためである。
あるいは、空調機2は、図4図6図7の各実施形態のように、屋外に配置されてもよい。空調機2が屋外に配置される場合、その分、屋内空間S内の省スペース化が可能であり、屋内空間S内のスペースを有効利用できる。また、空調機2が屋外の新鮮な空気を吸い込んで温度調整するため、温度調整された新鮮な空気を屋内空間S内に取り入れることができ、ひいては、誘引ファン3から吐出される空気の汚染度を軽減できる。
【0026】
図1の実施形態のように、接続ダクト4は、その一部又は全部において、柔軟に曲げられるように構成されたフレキシブル部42を有していると、好適である。図1の実施形態において、接続ダクト4は、その先端側(下流側)の一部において、フレキシブル部42を有している。接続ダクト4がフレキシブル部42を有することにより、空調システム1の配設時や使用時において、接続ダクト4のフレキシブル部42を曲げることで、誘引ファン3の向きを上下左右の任意の方向に簡単に調整することが可能になる。
【0027】
図1図2図5図6図8図11の各実施形態のように、1つの接続ダクト4は、空調機2の1つの吹出口22と1つの誘引ファン3の吸込口31とを接続するように構成されてもよい。この場合、接続ダクト4は、上流側の端が空調機2の吹出口22に接続され、下流側の端が誘引ファン3の吸込口31に接続される。図1図2図10図11の各実施形態において、空調システム1は、接続ダクト4を1つのみ備えている。図5図6図8図9の各実施形態において、空調システム1は、接続ダクト4を複数備えている。
また、図3図4図7の各実施形態のように、1つの接続ダクト4は、空調機2の1つの吹出口22と複数の誘引ファン3の吸込口31とを接続するように構成されてもよい。この場合、接続ダクト4は、1つ又は複数の分岐点41を有しており、これら1つ又は複数の分岐点41よりも上流側の端が空調機2の吹出口22に接続され、これら1つ又は複数の分岐点41よりも下流側の末端がそれぞれ別々の誘引ファン3の吸込口31に接続される。図3図4図7の各実施形態において、空調システム1は、接続ダクト4を1つのみ備えている。ただし、空調システム1は、空調機2の1つの吹出口22と複数の誘引ファン3の吸込口31とを接続するように構成された接続ダクト4を、複数備えてもよい。
空調システム1が接続ダクト4を複数備えるとともに各接続ダクト4が別々の誘引ファン3の吸込口31に接続されている場合(図5図6図8図9)は、空調システム1が接続ダクト4を1つのみ備えるとともに接続ダクト4が複数の誘引ファン3の吸込口31に接続されている場合(図3図4図7)に比べて、1つ当たりの接続ダクト4の長さを短くすることができ、ひいては、接続ダクト4内の圧損を低減でき、より多くの冷気を移送できるとともに、接続ダクト4に掛かるコストを低減できる。
なお、空調システム1は、空調機2の1つの吹出口22と1つの誘引ファン3の吸込口31とを接続するように構成された接続ダクト4と、空調機2の1つの吹出口22と複数の誘引ファン3の吸込口31とを接続するように構成された接続ダクト4とを、それぞれ1つ又は複数、備えてもよい。
【0028】
空調システム1が複数の誘引ファン3を有する場合、図3図4図9の各実施形態のように各誘引ファン3からの気流Wどうしが重ならないようにされてもよいし、あるいは、各誘引ファン3からの気流Wどうしが重なるようにされてもよい。各誘引ファン3からの気流Wどうしが重なるようにされる場合、各誘引ファン3どうしは、同じ方向に送風するように、並列に配置されると、好適である。これにより、涼感が得られるエリアAを拡大できるとともに、各誘引ファン3からの気流Wどうしが重なる部分における気流が強くなり(ひいては、風速が大きくなり)、涼感が得られるエリアAにおいて、さらに効果的に涼感が得られるようになる。
【0029】
図1図11に示すように、空調システム1は、1つ又は複数の空気取り入れ用ダクト5と、1つ又は複数の空気取り入れ用ダンパ6と、をさらに備えていると、好適である。
空気取り入れ用ダクト5は、一端51が接続ダクト4に接続され、他端52が開放されている。空気取り入れ用ダンパ6は、空気取り入れ用ダクト5に配置されている。
空気取り入れ用ダンパ6は、空気取り入れ用ダクト5を開閉できるように構成されている。空気取り入れ用ダンパ6は、空気取り入れ用ダクト5の開度を調整できるように構成されていると、好適である。
図3図9の各実施形態のように、空調システム1が複数の誘引ファン3を備える場合、空気取り入れ用ダクト5及び空気取り入れ用ダンパ6は、誘引ファン3毎に1つずつ設けられると、好適である。1つの接続ダクト4が複数の誘引ファン3の吸込口31に接続されている場合(図3図4図7)、各空気取り入れ用ダクト5の一端51は、それぞれ、接続ダクト4のうち、各誘引ファン3と当該各誘引ファン3の上流側に最も隣接する分岐点41との間の部分に、接続される。
空気取り入れ用ダンパ6が開状態にある場合、誘引ファン3がON状態にある間、誘引ファン3の吸引作用により、空気が、空気取り入れ用ダクト5の他端52から取り込まれ、空気取り入れ用ダンパ6を介して空気取り入れ用ダクト5を通ってから、接続ダクト4を通り、誘引ファン3の吸込口31に入る。
空調システム1が備える1つ又は複数の誘引ファン3の合計最大吸引風量は、空調機2の最大処理風量以下であることが望ましいが、空気取り入れ用ダクト5は、空調システム1が備える1つ又は複数の誘引ファン3の合計最大吸引風量が、空調機2の最大処理風量よりも大きい場合に、設けられると、特に好適である。空調システム1が備える1つ又は複数の誘引ファン3の合計最大吸引風量が、空調機2の最大処理風量よりも大きい場合、仮に空気取り入れ用ダクト5が設けられないと、空調機2及び誘引ファン3をON状態とする冷却送風運転の間において、誘引ファン3に十分な風量が入らなくなり、誘引ファン3又は空調機2に内蔵されたファンがサージング(管内圧力、吐出量の変動によって起こるダクト内の振動現象)を起こすおそれや、空調機2が自身の冷却能力を超えて処理することとなり、空調機2にトリップが起こり、空調機2に安全装置が働いて停止するおそれがある。空気取り入れ用ダクト5を設けることで、各誘引ファン3に入る風量を補うことができ、ひいては、誘引ファン3又は空調機2に内蔵されたファンによるサージングや、空調機2のトリップを、抑制することができる。冷却送風運転については、図12及び図13を参照しつつ、改めて後述する。
なお、空気取り入れ用ダクト5は、空調システム1が備える1つ又は複数の誘引ファン3の合計最大吸引風量が、空調機2の最大処理風量と同等又はそれ未満の場合に、設けられても、よい。この場合、例えば将来的に誘引ファン3の増設によって、空調システム1が備える1つ又は複数の誘引ファン3の合計最大吸引風量が、空調機2の最大処理風量よりも大きくなっても、サージングやトリップを抑制できる。
空気取り入れ用ダクト5は、空調機2をOFF状態としつつ誘引ファン3をON状態とする送風運転を可能にする、という利点もある。送風運転においては、空気取り入れ用ダクト5から取り入れられた空気のみが、誘引ファン3から吹き出される。送風運転は、例えば、春季や秋季等、空調機2で調整された冷気が必要なく、誘引ファン3による送風機能のみが必要な場合に、行われる。送風運転については、図14を参照しつつ、改めて後述する。
空気取り入れ用ダクト5が設けられる場合、併せて、空気取り入れ用ダンパ6も設けられると、好適である。これにより、空調システム1を停止する間、空気取り入れ用ダクト5を閉状態にしたり、冷却送風運転又は送風運転を行う間、空気取り入れ用ダクト5の開度を調整したりすることが可能になる。空気取り入れ用ダクト5の開度を調整することにより、誘引ファン3から吹き出る空気の温湿度を調整することができる。
【0030】
空気取り入れ用ダクト5の他端52は、図1図6の各実施形態のように、屋内空間S内に配置されていてもよい。
あるいは、空気取り入れ用ダクト5の他端52は、図7図9の各実施形態のように、屋外に配置されていてもよい。空気取り入れ用ダクト5の他端52が屋外に配置される場合、空気取り入れ用ダンパ6は、図7図9の各実施形態のように屋外に配置されてもよいし、あるいは、屋内、特には屋内空間S内に配置されてもよい。
空気取り入れ用ダクト5の他端52が屋内空間S内に配置されるという構成(図1図6)は、屋内空間S内の温度が屋外の温度よりも低くなる傾向が高い場合に、特に好適なものである。これにより、冷却送風運転又は送風運転において、誘引ファン3から吹き出される空気の温度をより低くすることができる。また、空気取り入れ用ダクト5の他端52が屋内空間S内に配置されるという構成(図1図6)は、空気取り入れ用ダクト5の他端52が屋外に配置されるという構成(図7図9)に比べて、空気取り入れ用ダクト5の長さを短くすることができ、ひいては、ダクト内の圧損を低減し、誘引ファン3の風量を増大できるとともに、空気取り入れ用ダクト5に掛かるコストを低減できる。
一方、空気取り入れ用ダクト5の他端52が屋外に配置されるという構成(図7図9)は、例えば屋内空間S内に高温の炉等が多数あること等に起因して、屋内空間S内の温度が屋外の温度よりも高くなる傾向が高い場合に、特に好適なものである。これにより、冷却送風運転又は送風運転において、誘引ファン3から吹き出される空気の温度をより低くすることができる。また、空気取り入れ用ダクト5の他端52が屋外に配置されるという構成(図7図9)は、屋外の新鮮な空気を誘引ファン3から吹き出すことができるという利点もある。
【0031】
ただし、空調システム1は、空気取り入れ用ダクト5及び空気取り入れ用ダンパ6を備えていなくてもよい。また、空気取り入れ用ダクト5が設けられる場合、空気取り入れ用ダンパ6は設けられなくてもよい。
【0032】
図1図11に示すように、空調システム1は、1つ又は複数の空調風量調整用ダンパ7をさらに備えていると、好適である。
空調風量調整用ダンパ7は、接続ダクト4に配置されている。この場合、空気取り入れ用ダクト5の一端51は、図1図11に示すように、接続ダクト4のうち、空調風量調整用ダンパ7と誘引ファン3の吸込口31との間の部分に、接続されていると、好適である。すなわち、空調風量調整用ダンパ7は、空気取り入れ用ダクト5の一端51よりも上流側に配置されると、好適である。
空調風量調整用ダンパ7は、接続ダクト4を開閉できるように構成されている。空調風量調整用ダンパ7は、接続ダクト4の開度を調整できるように構成されていると、好適である。
図3図9の各実施形態のように、空調システム1が複数の誘引ファン3を備える場合、空調風量調整用ダンパ7は、誘引ファン3毎に1つずつ設けられると、好適である。1つの接続ダクト4が複数の誘引ファン3の吸込口31に接続されている場合(図3図4図7)、各空調風量調整用ダンパ7は、それぞれ、接続ダクト4のうち、各誘引ファン3と当該各誘引ファン3の上流側に最も隣接する分岐点41との間の部分に、配置される。
空調風量調整用ダンパ7を設けることにより、空調システム1を停止する間や、送風運転を行う間において、接続ダクト4を閉状態にしたり、冷却送風運転を行う間において、接続ダクト4の開度を調整したりすることが可能になる。接続ダクト4の開度を調整することにより、空調機2から誘引ファン3に入る空気の量を調整することができる。また、空調システム1が複数の誘引ファン3を備える場合、誘引ファン3毎に空調風量調整用ダンパ7を設けることにより、冷却送風運転中において、一部の誘引ファン3に対応する空調風量調整用ダンパ7を開状態にするとともに残りの誘引ファン3に対応する空調風量調整用ダンパ7を閉状態にすることにより、当該一部の誘引ファン3のみに空調機2からの冷気を送り込む、一部集中型運転が可能になる。一部集中型運転については、図15を参照しつつ、改めて後述する。
【0033】
ただし、空調システム1は、空調風量調整用ダンパ7を備えていなくてもよい。
【0034】
誘引ファン3は、図示しないインバータによって運転されると、好適である。インバータによって誘引ファン3を回転数制御することにより、誘引ファン3の風量調整がしやすくなる。ひいては、空調機2からの風量と誘引ファン3の風量とのバランス調整がしやすくなる。
空気取り入れ用ダンパ6及び空調風量調整用ダンパ7は、それぞれ、電気、空気圧等の動力を用いる駆動ダンパ、もしくは手動ダンパを用いることにより、空気取り入れ用ダンパ6及び空調風量調整用ダンパ7の開閉制御や開度の調整がしやすくなる。空気取り入れ用ダンパ6及び空調風量調整用ダンパ7の開度を調整することにより、空調機2からの冷気の風量と空気取り入れ用ダクト5から取り入れられる空気の風量とを調整し、ひいては、誘引ファン3から吹き出る空気の風量、温度、及び/又は湿度を調整することが可能になる。
誘引ファン3は、インバータによって運転される場合、リモコンによってインバータが操作されると、好適である。あるいは、誘引ファン3、空気取り入れ用ダンパ6及び空調風量調整用ダンパ7は、それぞれ、直接、リモコンによって操作されてもよい。
ただし、誘引ファン3、空気取り入れ用ダンパ6及び空調風量調整用ダンパ7は、それぞれ、手動で操作されてもよい。
あるいは、誘引ファン3は、後述の制御部9により、インバータが制御されてもよい。あるいは、後述の制御部9により、直接、誘引ファン3、空気取り入れ用ダンパ6及び空調風量調整用ダンパ7が制御されてもよい。
【0035】
誘引ファン3は、図10の実施形態のように、左右に首振り運転が可能に構成されてもよい。かつ/又は、誘引ファン3は、図11の実施形態のように、上下に首振り運転が可能に構成されてもよい。これらの場合、接続ダクト4は、その少なくとも先端側(下流側)の一部において、フレキシブル部42を有していると、好適である。これにより、接続ダクト4は、誘引ファン3に接続された状態を維持しつつ、誘引ファン3の首振り動作に追従することができる。
誘引ファン3が首振り運転可能に構成されることにより、涼感が得られるエリアAを拡大できる。また、空調システム1が複数の誘引ファン3を備え、かつ、各誘引ファン3の首振り運転により互いに隣接する誘引ファン3からの気流Wどうしが一時的に重なる場合、その重なる部分において気流が強くなり(ひいては、風速が大きくなり)、より効果的に涼感が得られるようになる。
なお、空調システム1が複数の誘引ファン3を備える場合、全部の誘引ファン3が首振り運転が可能に構成されてもよいし、あるいは、そのうち一部の誘引ファン3のみが首振り運転が可能に構成されてもよい。
誘引ファン3の首振り運転は、例えば、モータ等による電動駆動、空気圧駆動、又は、油圧・水圧駆動等により、実現してもよい。
誘引ファン3の首振り運転は、リモコンによって操作されると、好適である。
ただし、誘引ファン3の首振り運転は、手動で操作されてもよい。
あるいは、誘引ファン3の首振り運転は、後述の制御部9により、制御されてもよい。
【0036】
〔空調システムの使用方法〕
つぎに、図12図15を参照しつつ、本発明の空調システムの使用方法について例示説明する。本発明の空調システムの使用方法は、本発明の空調システムを使用するための方法である。以下に説明する本発明の空調システムの使用方法の各例は、それぞれ、本明細書で説明する各実施形態における空調システム1に適用できる。以下では、便宜のため、以下の表1を参照しつつ説明する。表1は、本明細書で説明する各実施形態における空調システム1に適用できる、本発明の空調システムの使用方法を例示している。本発明の空調システムの使用方法の例としては、冷却送風運転と、送風運転と、一部集中型運転と、運転停止とが、挙げられる。これらについて一つずつ説明する。
【0037】
【表1】
【0038】
(冷却送風運転)
冷却送風運転は、空調機2及び誘引ファン3をON状態とする運転である(図12図13)。この運転においては、空調機2で発生された冷気が、誘引ファン3によって屋内空間S内に送風される。
冷却送風運転は、夏季等、屋内空間S内の冷却が最も必要な場合に行うと好適であり、例えば、屋内空間S内の所定場所の温度が第1温度T1以上である場合に行うと、好適である。当該所定場所は、空調システム1によって冷却の対象とされるエリア内に位置していてもよいし、あるいは、空調システム1によって冷却の対象とされるエリアの外に位置していてもよい。
誘引ファン3がインバータ(図示せず)によって運転されるように構成されている場合、冷却送風運転において、誘引ファン3用のインバータは、ON状態にされる。
冷却送風運転では、例A(表1、図12)として、空調風量調整用ダンパ7を開状態にし、かつ、空気取り入れ用ダンパ6を開状態にすると、好適である。冷却送風運転の例Aにおいては、空気が、空気取り入れ用ダクト5の他端52から取り込まれ、空気取り入れ用ダンパ6を介して空気取り入れ用ダクト5を通ってから、接続ダクト4を通り、誘引ファン3の吸込口31に入る。冷却送風運転の例Aは、空調システム1が備える1つ又は複数の誘引ファン3の合計最大吸引風量が、空調機2の最大処理風量よりも大きい場合に行うと、好適である。冷却送風運転の例Aにより、各誘引ファン3に入る風量を補うことができ、ひいては、誘引ファン3又は空調機2に内蔵されたファンによるサージングや、空調機2のトリップを、抑制することができるためである。ただし、冷却送風運転の例Aは、空調システム1が備える1つ又は複数の誘引ファン3の合計最大吸引風量が、空調機2の最大処理風量と同等又はそれ未満の場合にも行ってもよい。冷却送風運転の例Aにおいて、空調機2の設定温度、空調風量調整用ダンパ7及び空気取り入れ用ダンパ6の開度、並びに、誘引ファン3用インバータの周波数は、それぞれ、予め試運転を行うこと等により予め定められた、任意の所定値に設定してよい。表1は、これらの一例を括弧内に示している。
冷却送風運転では、例B(表1、図13)として、空調風量調整用ダンパ7を開状態にし、かつ、空気取り入れ用ダンパ6を閉状態にしてもよい。冷却送風運転の例Bにおいては、空気が、空気取り入れ用ダクト5の他端52から取り込まれない。空気取り入れ用ダンパ6を閉状態にすることで、空気取り入れ用ダクト5内に異物が入るのを防止できる。冷却送風運転の例Bは、空調システム1が備える1つ又は複数の誘引ファン3の合計最大吸引風量が、空調機2の最大処理風量と同等又はそれ未満の場合に行うと、好適である。冷却送風運転の例Aにおいて、空調機2の設定温度、空調風量調整用ダンパ7の開度、並びに、誘引ファン3用インバータの周波数は、それぞれ、予め試運転を行うこと等により予め定められた、任意の所定値に設定してよい。表1は、これらの一例を括弧内に示している。
なお、冷却送風運転を行うにあたって、空調システム1は、空気取り入れ用ダクト5、空気取り入れ用ダンパ6、及び/又は、空調風量調整用ダンパ7を、備えていなくてもよい。
冷却送風運転において、空調機2の設定温度は、第1温度T1未満とする。第1温度T1は、例えば30℃とすると好適である。
【0039】
(送風運転)
送風運転は、空調機2をOFF状態にしつつ誘引ファン3をON状態にする運転である(図14)。この運転においては、空気取り入れ用ダクト5から取り入れられた空気のみが、誘引ファン3によって屋内空間S内に送風される。
送風運転は、例えば、春季や秋季等、空調機2で調整された冷気が必要なく、誘引ファン3による送風機能のみが必要な場合に行うと好適であり、例えば、屋内空間S内の上記所定場所の温度が第1温度T1よりも低い第2温度T2以上かつ第1温度T1未満である場合に行うと、好適である。
誘引ファン3がインバータ(図示せず)によって運転されるように構成されている場合、送風運転において、誘引ファン3用のインバータは、ON状態にされる。
送風運転では、空調風量調整用ダンパ7を閉状態にし、かつ、空気取り入れ用ダンパ6を開状態にすると、好適である。空調風量調整用ダンパ7を閉状態にすることで、空気取り入れ用ダクト5から取り入れられた空気が空調機2側に逆流するのを防止でき、また、空調風量調整用ダンパ7の上流側からの空気流入を防ぐことができ、管路抵抗を小さくすることができる。送風運転において、空気取り入れ用ダンパ6の開度、並びに、誘引ファン3用インバータの周波数は、それぞれ、予め試運転を行うこと等により予め定められた、任意の所定値に設定してよい。表1は、これらの一例を括弧内に示している。
ただし、送風運転では、空調風量調整用ダンパ7を開状態にし、かつ、空気取り入れ用ダンパ6を開状態にしてもよい。
なお、送風運転を行うにあたって、空調システム1は、空気取り入れ用ダクト5を備えている必要があるものの、空気取り入れ用ダンパ6、及び/又は、空調風量調整用ダンパ7は、備えていなくてもよい。
第2温度T2は、例えば25℃とすると好適である。
【0040】
(一部集中型運転)
一部集中型運転は、冷却送風運転中において、一部の誘引ファン3に対応する空調風量調整用ダンパ7を開状態にするとともに残りの誘引ファン3に対応する空調風量調整用ダンパ7を閉状態にすることにより、当該一部の誘引ファン3のみに集中して空調機2からの冷気を送り込む運転である(図15)。
一部集中型運転によれば、空調システム1が冷却の対象とする複数のエリアのうち、一部のエリアのみを選択して冷却することができる。
一部集中型運転は、冷却送風運転中における任意のタイミングで行ってよい。
【0041】
(運転停止)
空調システム1を運転停止する際には、空調機をOFF状態にするとともに、誘引ファンをOFF状態にする。この場合、空調風量調整用ダンパ7を閉状態にし、かつ、空気取り入れ用ダンパ6を閉状態にすると、接続ダクト4や空気取り入れ用ダクト5内に異物が入るのを防止できるので、好適である。
運転停止は、例えば冬季等、屋内空間S内の冷却や送風が必要のない場合に行うと好適であり、例えば、屋内空間S内の上記所定場所の温度が第2温度T2未満である場合に行うと、好適である。
【0042】
以上、本発明の空調システムの使用方法について例示説明したが、本発明の空調システムの使用方法は、上述した各例とは異なる方法によって本発明の空調システムを使用するものであってもよい。
【0043】
〔空調システムの第11実施形態〕
つぎに、本発明の第11実施形態に係る空調システム1について、図16を参照しつつ、説明する。
本実施形態の空調システム1は、上述した各実施形態の空調システム1の構成に加えて、温度センサー8と、制御部9と、記憶部10と、をさらに備えている。
【0044】
温度センサー8は、屋内空間S内の所定場所の温度を測定可能に構成されている。当該所定場所は、空調システム1によって冷却の対象とされるエリア内に位置していてもよいし、あるいは、空調システム1によって冷却の対象とされるエリアの外に位置していてもよい。温度センサー8からの測定信号は、例えば所定の時間間隔毎に又は所定のタイミングで、制御部9へ出力される。
【0045】
制御部9は、記憶部10に記憶されたプログラムを実行することにより、温度センサー8、記憶部10、空調機2、空調風量調整用ダンパ7、誘引ファン3、誘引ファン用インバータ、空気取り入れ用ダンパ6を含む、空調システム1の全体を制御するように構成されている。例えば、制御部9は、温度センサー8からの測定信号に基づいて、空調機2、空調風量調整用ダンパ7、誘引ファン3、誘引ファン用インバータ、及び、空気取り入れ用ダンパ6を制御し、それにより、上述した本発明の空調システムの使用方法を実施するように構成されている。
制御部9は、例えばCPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを少なくとも1つ含んで構成される。制御部9と、温度センサー8、記憶部10、空調機2、空調風量調整用ダンパ7、誘引ファン3、誘引ファン用インバータ、空気取り入れ用ダンパ6のそれぞれとの間の通信は、有線通信であってもよいし無線通信であってもよい。
【0046】
記憶部10は、制御部9によって実行されるプログラムや、制御部9が行う処理に用いられる各種情報等を、記憶している。
記憶部10は、例えば、1つ又は複数のROMや1つ又は複数のRAM等から構成される。記憶部10は、例えば半導体メモリ又は磁気ディスク等により構成することができるが、これらに限定されず、任意の記憶装置とすることができる。また、例えば、記憶部10は、メモリカード(USB等)のような外部記憶装置から構成されてもよい。また、記憶部10は、制御部9を構成するプロセッサの内部メモリであってもよい。
【0047】
ここで、制御部9の動作例を説明する。
まず、制御部9は、温度センサー8からの測定信号を受信すると、その測定信号が示す温度(温度センサー8により測定された温度)が、第1温度T1以上、第1温度T1よりも低い第2温度T2以上かつ第1温度T1未満、あるいは、第2温度T2未満のうちいずれであるかを特定する。なお、「第1温度T1」、「第2温度T2」については、本発明の空調システムの使用方法の説明のところで上述したものと同じである。
そして、温度センサー8により測定された温度が第1温度T以上である場合に、制御部9は、冷却送風運転を行うべく、空調機2、空調風量調整用ダンパ7、誘引ファン3、誘引ファン用インバータ、及び、空気取り入れ用ダンパ6を制御する。冷却送風運転については、上述したとおりである。例えば、制御部9は、冷却送風運転の例A(表1)を行う場合、空調機2をON状態にし、空調風量調整用ダンパ7を開状態にし、誘引ファン3をON状態にし、誘引ファン用インバータをON状態にし、かつ、空気取り入れ用ダンパ6を開状態にする。
一方、温度センサー8により測定された温度が第2温度T2以上かつ第1温度T1未満である場合に、制御部9は、送風運転を行うべく、空調機2、空調風量調整用ダンパ7、誘引ファン3、誘引ファン用インバータ、及び、空気取り入れ用ダンパ6を制御する。送風運転については、上述したとおりである。例えば、制御部9は、空調機2をOFF状態にし、空調風量調整用ダンパ7を閉状態にし、誘引ファン3をON状態にし、誘引ファン用インバータをON状態にし、かつ、空気取り入れ用ダンパ6を開状態にする。
あるいは、温度センサー8により測定された温度が第2温度T2未満である場合に、制御部9は、運転停止を行うべく、空調機2、空調風量調整用ダンパ7、誘引ファン3、誘引ファン用インバータ、及び、空気取り入れ用ダンパ6を制御する。運転停止については、上述したとおりである。例えば、制御部9は、空調機2をOFF状態にし、空調風量調整用ダンパ7を閉状態にし、誘引ファン3をOFF状態にし、誘引ファン用インバータをOFF状態にし、かつ、空気取り入れ用ダンパ6を閉状態にする。
【0048】
以上、制御部9の動作を例示説明したが、制御部9は、温度センサー8に基づいて、異なるようにして空調機2、空調風量調整用ダンパ7、誘引ファン3、誘引ファン用インバータ、及び、空気取り入れ用ダンパ6を制御してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の空調システム、及び、本発明の空調システムの使用方法は、任意の屋内空間内を局所的に冷却するために利用できるが、例えば工場等の作業施設の屋内空間内を局所的に冷却するために特に好適に利用できるものである。
【符号の説明】
【0050】
1 空調システム
2 空調機
22 吹出口
3 誘引ファン
31 吸込口
32 吹出口
4 接続ダクト
41 分岐点
42 フレキシブル部
5 空気取り入れ用ダクト
51 一端
52 他端
6 空気取り入れ用ダンパ
7 空調風量調整用ダンパ
8 温度センサー
9 制御部
P 人
W 気流
A 涼感が得られるエリア
S 屋内空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16