(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】吸入可能な薬剤の熱調節
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20220708BHJP
A61M 11/02 20060101ALI20220708BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
A61M11/02 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020178989
(22)【出願日】2020-10-26
(62)【分割の表示】P 2017530964の分割
【原出願日】2015-08-26
【審査請求日】2020-11-20
(32)【優先日】2014-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517066456
【氏名又は名称】イノボサイエンシーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ミンスコフ,ノア マーク
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-034576(JP,A)
【文献】特開2012-122671(JP,A)
【文献】特表2001-509761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
A61M 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入可能なエアロゾルを生成する装置であって、当該装置は、
カートリッジであって、
液体薬剤を保持する多孔性のリザーバーであって、疎水性ポリマー材料および複数の孔を含む多孔性のリザーバー、
および、
多孔性のリザーバー
と連通する圧縮性ガスの噴射剤
であって、
ガス状の噴射剤が複数の孔へ拡大し、
該複数の孔から液状薬剤を放出し、および、
液状薬剤をエアロゾルの大きさの液滴に分離させるように圧縮性ガスの噴射剤は減圧可能である、
圧縮性ガスの噴射剤
を含むカートリッジ、および、
カートリッジを取り外し可能に結合して、吸入可能なエアロゾルを対象の特定の標的部位に送達することができるマウスピース
とを含む、装置。
【請求項2】
前記カートリッジは貫通可能なシールを含む、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記圧縮性ガスの噴射剤は、多孔性のリザーバーの一方の側に実質的に位置づけられる、
請求項
1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
薬剤は様々な医学的状態と症状を処置するために吸入可能な製剤で送達され得る。こうした吸入可能な薬剤製剤は、肺に直接送達されてもよい。さらに、吸入可能な薬剤は、吸入可能な薬剤の肺の脈管系への送達によって全身的に送達されてもよい。
【0002】
被験体中の標的組織に吸入可能な薬剤を制御可能かつ効果的に送達することができる手持ち式の装置は、例えば、様々な医学的状態と症状を処置する際と薬剤の全身送達に有利である。
【発明の概要】
【0003】
本明細書には、被験体の呼吸器系内の標的位置に吸入可能な薬剤を送達するためのシステム、装置、および方法が記載される。本明細書に記載される手持ち式の吸入式の薬剤送達装置は、内部に含まれる吸入可能な薬剤を熱的に調節するように構成される。熱調節は、吸入可能な薬剤の液滴サイズを最適化し、ここで、典型的には、温度が上がれば上がるほど(閾値まで)、吸入可能な薬剤の平均の液滴サイズは大きくなる。さらに典型的には、吸入可能な薬剤の平均の液滴サイズが小さければ小さいほど、吸入可能な薬剤は気道を通って移動する。したがって、例えば、吸入可能な薬剤を装置の内部で加熱することによって吸入可能な薬剤の液滴サイズをより小さくすることで、平均液滴サイズが大きい場合よりも、吸入可能な薬剤は被験体の気道に沿ってさらに移動する。液滴サイズの変化に対する、気道内での移動距離に対する、加熱の関係は、予測可能なものとなるように、定量化されてもよい。このように、熱調節によって吸入可能な薬剤の液滴サイズを制御することによって、本明細書に記載される装置と方法は、吸入可能な薬剤が主として送達される気道内での位置を決定する。
【0004】
本明細書に記載される薬剤送達装置の実施形態では、吸入式の薬剤送達装置は、リザーバー内で液状薬剤を保持するカートリッジを受け取るためのハウジングを含む。カートリッジは、リザーバーの内部で薬剤を保持する貫通可能なシールを含む。
【0005】
ハウジングはその内部に中空の摺動自在なリザーバー栓を含むことがあり、ここで、リザーバー栓は付属のカートリッジのシールを貫通するために制御可能に前方に進むように構成される。
【0006】
カートリッジは加圧されてもよく、圧縮されたプロペラントガスをさらに含むこともある。いったん貫通可能なシールがリザーバー栓によって貫通されると、加圧されたカートリッジと貫通式のリザーバー栓の中空内部との間の圧力差により、プロペラントガスが膨張し、それによって吸入可能な薬剤がリザーバー栓に放出され、エアロゾルが形成される。
【0007】
リザーバー栓は、リザーバー栓を介してリザーバーからの吸入可能な薬剤の流れを止めるために制御可能に引っ込められ得る。
【0008】
装置のシールは自己密封式の材料を含むことがある。
【0009】
リザーバー栓は、リザーバー栓の中空内部からリザーバー栓の外部への連通路を作成する1つ以上のポートを含み得る。1つ以上のポートは、リザーバー栓がカートリッジシールを貫通する際にポートの1つ以上がカートリッジに入るように、リザーバー栓に配置される。1つ以上のポートは、リザーバー栓がカートリッジに入った後に引っ込められる際に、またはリザーバー栓がカートリッジを貫通する際に、ポートがカートリッジシールによって覆われるように、代替的にまたはさらに配置されてもよい。
【0010】
ポートがカートリッジに入ると、薬剤はポートを通ってリザーバー栓の中空内部へ押し出される。リザーバー栓がカートリッジの内部から引っ込められると、シールは、薬剤がポートに入ることができず、したがってリザーバー栓の中空の部分へそれ以上入ることができないように、ポートを覆うまたは塞ぐこともある。
【0011】
リザーバー栓は、様々なサイズを有する第1のポートと第2のポートを含んでもよい。上記第1のポートと第2のポートの様々なサイズは、上記薬剤の投薬を決定するように構成されてもよい。例えば、小さなポートが大きなポートよりもリザーバー栓の先端の近くに配置される実施形態では、リザーバー栓がカートリッジへ一定距離だけ貫通し、それによってリザーバー栓の中空内部へ第1の投与量を放出する際、大きなポートはシールによって覆われてもよく、リザーバー栓がカートリッジをさらに貫通し、それによってリザーバー栓の中空内部へ第2の投与量を放出する際、大きなポートはカートリッジの内部に位置付けられてもよく、ここで、第2の投与量は第1の投与量よりも多い。
【0012】
薬剤が第1のポートと第2のポートの両方を介してリザーバーから流れ出るかどうかが、上記リザーバーからの上記薬剤の流速を決定する。
【0013】
一実施形態では、吸入可能な薬剤を送達するための装置は、薬剤混合物中の吸入可能な薬剤および/または空気の流れを増加させる空気流増幅器を含む。
【0014】
さらに、吸入可能な薬剤を送達するための装置とともに使用されるカートリッジも本明細書に記載されている。液状薬剤を含むカートリッジは、カートリッジ内の固定された位置で液状薬剤を保持するリザーバーを含んでもよい。カートリッジはさらに貫通可能なシールと圧縮された噴射剤を含むことがある。カートリッジの位置がどこにあっても、圧縮された噴射剤が常にシールに対して液状薬剤の後方にあるように、リザーバーは、圧縮された噴射剤とシールとの間で液状薬剤の位置を維持する。
【0015】
カートリッジは送達装置のハウジングに連結されるように構成される。カートリッジは、シールが薬剤送達装置の延長可能なリザーバー栓によって貫通されるように位置付けられるような方法で送達装置と連結する。延長可能なリザーバー栓は、リザーバー栓を延ばす際に、薬剤をカートリッジから流出させるためにカートリッジシールを貫通するように構成される。
【0016】
別の実施形態では、本明細書に記載される送達装置は、リザーバーを含むカートリッジを含むか、または該カートリッジと連結する。一実施形態では、リザーバーは、液状薬剤を含む袋を含むことがあり、袋は、カートリッジの内部の圧力が例えばカートリッジシールの貫通により低下する際にリザーバーから薬剤を押し出すために噴射剤によって圧縮されてもよい。
【0017】
別の実施形態では、リザーバーは疎水性の多孔質リザーバーを含むことがある。リザーバーは、スポンジに似たその孔内に薬剤を保持する。噴射剤が圧力の変化により強力に拡張すると、噴射剤は多孔質リザーバーの孔へ入って、それによってリザーバーから薬剤を移動させる。噴射剤は、薬剤がエアロゾル化されるように、多孔質リザーバーから薬剤を移動させることもある。
【0018】
一実施形態では、噴射剤は薬剤中に溶解することがある。
【0019】
噴射剤は、混和性のグリセロールを含む薬剤中に溶解した二酸化炭素を含んでもよい。噴射剤は、グリコールを含んでいる薬剤に溶かされた二酸化炭素を含むことがある。
【0020】
一実施形態では、吸入式の薬剤送達装置はカプセル化された中和剤をさらに含むことがある。
【0021】
別の実施形態では、吸入式の薬剤送達装置は、リザーバーが、シールではないカートリッジの一部により破壊される場合に、薬剤中の少なくとも1つの活性成分を使用不可能にする吸収材料をさらに含むことがある。
【0022】
本明細書には、吸入用薬剤を送達する方法も記載され、該方法は、リザーバー内に液状薬剤を保持するシールを貫通するためにリザーバー栓を制御可能に延長する工程であって、それによって薬剤をリザーバー栓のポートを介してリザーバーから流れ出させる工程を含む。方法は、ポートをカートリッジシールによって塞ぐことによりリザーバー栓を介してリザーバーからの流れを留めるためにリザーバー栓を制御可能に引っ込める工程をさらに含む。
【0023】
一実施形態では、方法は、カートリッジシールによって事前に覆われた第2のポートに薬剤を流し込むために、リザーバー栓をさらなる量だけ容器に制御可能に延長する工程を含む。
【0024】
リザーバー栓を制御可能に延長する工程は、例えば、吸入サイクルのスタートに応じて始められることがある。
【0025】
リザーバー栓を制御可能に延長する工程は、薬剤が第1のポートに流れ込む間にガスを第2のポートに流れ込ませることがある。
【0026】
さらに、吸入式の薬剤送達装置に薬剤を供給する方法が本明細書に記載される。方法は、リザーバーを有するカートリッジ、上記リザーバー中に薬剤を保持するシール、および、噴射剤を取り付ける工程を含み、薬剤は上記シールによって上記リザーバー中で保持される。方法は、リザーバー栓でシールを貫通し、それによって薬剤を噴射剤によりリザーバーからリザーバー栓の中空内部へと押し出すために、吸入式の薬剤送達装置を作動させる工程をさらに含む。
【0027】
リザーバーは、薬剤を保持する袋を含むことがあり、袋はリザーバーから薬剤を押し出すために噴射剤によって圧縮される。リザーバーは、噴射剤が多孔質リザーバーの孔へ入る場合に薬剤を保持する疎水性の多孔質リザーバーを含んでもよく、それによって、リザーバーからおよびリザーバー栓へ薬剤を移動させる。多孔質リザーバーから薬剤を移動させる噴射剤は薬剤をエアロゾル化させてもよい。
【0028】
本明細書には、被験体に吸入可能な薬剤を送達する方法も記載され、該方法は、カートリッジ上のシールに穴を開ける工程を含み、カートリッジは液体の形態の吸入可能な薬剤を含むカートリッジ内部を含んでいる。方法は、カートリッジ内部内の圧力よりも低い内部の圧力を有する導管へ吸入可能な薬剤を放出することにより、吸入可能な薬剤を含むエアロゾルを形成する工程をさらに含む。
【0029】
方法は、導管内のエアロゾルを加熱し、導管を通って被験体に吸入可能な薬剤を送達する工程をさらに含むことがある。
【0030】
シールに穴を開けることまたはシールを破損することで、可逆的であり得るシール中の破損個所が形成され、および/またはシールは再密封される。
【0031】
吸入可能な薬剤は賦形剤を含むことがある。
【0032】
エアロゾルの温度は、エアロゾルがカートリッジから送達される導管内で調節されることがある。
【0033】
エアロゾルは、0.1μm-15μmの間の空気力学的質量中央径(MMAD)を有する粒子を含むことがある。エアロゾルは、0.1-2μmのMMADを有する粒子を含むことがある。本明細書に記載されるように、吸入可能な薬剤は被験体の呼吸器系または循環系へ送達されることがある。エアロゾルを含む吸入可能な薬剤の平均的な液滴サイズは一般に、それがどれくらい遠くに移動するか、またはそれが排出されるか否かを決定する。
【0034】
本明細書では、被験体の標的部位に吸入可能な薬剤を送達する方法が記載され、該方法は、吸入可能な薬剤の複数の液滴を含むエアロゾルを形成する工程を含む。方法は、エアロゾルの選択可能な温度を調節する工程をさらに含み、ここで、温度は吸入可能な薬剤の複数の液滴の少なくとも1つの液滴のサイズを修正するために選択される。方法は、温度調節されたエアロゾルを被験体に送達する工程をさらに含む。ここで、複数の液滴の少なくとも1つの液滴のサイズは、標的部位に堆積するサイズよりも小さくなるように修正されることがある。吸入可能な薬剤の複数の液滴の少なくとも1つの液滴のサイズは、咽頭または気管の刺激を引き起こすサイズに修正されることがある。吸入可能な薬剤の複数の液滴の少なくとも1つの液滴のサイズにより、複数の液滴の少なくとも1つの液滴が被験体の口に堆積することがある。吸入可能な薬剤の複数の液滴の少なくとも1つの液滴のサイズにより、複数の液滴の少なくとも1つの液滴が被験体の気管に堆積することがある。吸入可能な薬剤の複数の液滴の少なくとも1つの液滴のサイズにより、複数の液滴の少なくとも1つの液滴が被験体の中咽頭に堆積する。吸入可能な薬剤の複数の液滴の少なくとも1つの液滴のサイズにより、複数の液滴の少なくとも1つの液滴が被験体の肺に堆積する。吸入可能な薬剤の複数の液滴の少なくとも1つの液滴のサイズにより、複数の液滴の少なくとも1つの液滴が被験体の1つ以上の肺葉に送達される。吸入可能な薬剤の複数の液滴の少なくとも1つの液滴のサイズにより、複数の液滴の少なくとも1つの液滴が被験体の肺の中葉に送達される。吸入可能な薬剤の複数の液滴の少なくとも1つの液滴のサイズにより、複数の液滴の少なくとも1つの液滴が被験体の肺の下葉に送達される。
【0035】
送達されるエアロゾルは風味をつけられてもよい。
【0036】
エアロゾルは手持ち式の装置によって送達されてもよい。該装置は換気装置と一体化するように構成されてもよい。該装置は向きに依存しないため、患者の向き(起き上がり、仰臥位、座位など)にかかわらず、装置の下流での一体化が可能である。
【0037】
さらに、以下を含む吸入式の薬剤送達装置が本明細書に記載されている:リザーバー中で液状薬剤を保持するカートリッジを収容するハウジングであって、カートリッジが上記リザーバー中で上記薬剤を保持するシールを含んでいる、ハウジング;および、延長可能なリザーバー栓であって、リザーバー栓がシールを貫通し、かつリザーバー栓を介してリザーバーから薬剤を流れ出させるために制御可能に延長され、および、リザーバー栓を介してリザーバーからの流れを止めるために制御可能に引っ込められる、延長可能なリザーバー栓。
【0038】
一実施形態では、上記シールは、自己密封式の材料で構成される。一実施形態では、リザーバー栓がリザーバー栓を介してリザーバーから薬剤を流れ出させるために延長されるとき、リザーバー栓はシールによって閉塞されない少なくとも1つのポートを含む。一実施形態では、リザーバー栓がリザーバー栓を介してリザーバーからの流れを止めるために引っ込められるとき、少なくとも1つのポートはシールによって閉塞される。一実施形態では、リザーバー栓は、異なるサイズの第1のポートと第2のポートと、薬剤が第1のポートを介して第2のポートを介さずリザーバーから流れ出るかどうか、ならびに、薬剤が第1のポートと第2のポートの両方を介してリザーバーから流れ出るかどうかを決定するリザーバー栓の制御可能な延長部を含む。一実施形態では、第1のポートと第2のポートの様々なサイズが上記薬剤の投薬を決定する。一実施形態では、薬剤が第1のポートと第2のポートの両方を介してリザーバーから流れ出るかどうかは、上記リザーバーからの上記薬剤の流速を決定する。一実施形態では、装置は以下のものをさらに含む:空気の第2の流れを生み出すために上記噴射剤の第1の流れ、および上記第1の流れよりも多い噴射剤を受け取るための空気流増幅器。
【0039】
吸入用薬剤を送達する方法が本明細書に記載され、該方法は、リザーバー中に液状薬剤を保持するシールを貫通するためにリザーバー栓を制御可能に延長する工程であって、それによってリザーバー栓を介してリザーバーから薬剤を流れ出させる工程、および、リザーバー栓を介するリザーバーからの流れを留めるためにリザーバー栓を制御可能に引っ込める工程、を含む。一実施形態では、リザーバー栓は第1のポートと第2のポートを含み、リザーバー栓は、薬剤が第1のポートに流れ込み、第2のポートに流れ込まないような量で延長される。一実施形態では、方法はさらに以下を含む:薬剤が第2のポートに流れ込まないようにするためのさらなる量でリザーバーを制御可能に延長する工程。一実施形態では、制御可能に延長する工程は、吸入サイクルの始めに応じて開始される。一実施形態では、方法はさらに以下を含む:薬剤が第1のポートに流れ込む一方で、ガスが第2のポートに流れ込まないようにするためにリザーバー栓を制御可能に延長する工程。
【0040】
吸入式の薬剤送達装置が本明細書に記載され、該装置は:リザーバー中で液状薬剤を保持するキャニスターに取り外し可能に取り付ける境界部であって、キャニスターが上記リザーバー中で上記薬剤を保持するシールを含む、境界部;および、上記キャニスター内で第1の延長部まで延長し、シールを貫通し、薬剤の流れを受け取るように作動される中空部材であって、引っ込めて上記流れを止めるために停止される、中空部材を含む。一実施形態では、中空部材は電磁力によって作動される。一実施形態では、中空部材は戻しばねによって停止される。一実施形態では、上記中空部材が上記キャニスター内の第2の延長部まで作動されるとき、中空部材は噴射剤の流れを受け取る。一実施形態では、上記キャニスターはリザーバーと噴射剤用の空洞部(propellant cavity)を含む。一実施形態では、上記中空部材が上記キャニスター内で第1の延長部まで作動されるとき、中空部材中の第1のポートは噴射剤用の空洞部から噴射剤の流れを受け取り、中空部材中の第2のポートは、リザーバーから薬剤の流れを受け取る。一実施形態では、上記中空部材が上記キャニスター内の第2の延長部まで作動されるとき、中空部材中の第1のポートは噴射剤用の空洞部から噴射剤の流れを受け取り、中空部材中の第2のポートは、中空部材への薬剤の流れを防ぐために閉塞される。
【0041】
以下を含む液状薬剤を保持するカートリッジが本明細書に記載され、該カートリッジは、液状薬剤を保持するリザーバー;薬剤送達装置に取り付けるように構成されたハウジング;および、リザーバー中の薬剤を保持するシールを含み、ハウジングはシールを保持し、シールは薬剤送達装置の延長可能なリザーバー栓によって貫通されるために位置決めされ、延長可能なリザーバーは、延長時にリザーバーから薬剤を流れ出させ、および、シールは、延長可能なリザーバー栓が引っ込められる際に薬剤がリザーバーから流れ出るのを防ぐ。一実施形態では、シールは自己密封式の材料で構成される。一実施形態では、延長可能なリザーバー栓は、液体を受け取る第1のポートと第2のポートを含み、シールは、第2のポートが薬剤の流れを通さないように、延長可能なリザーバー栓が延長されるときに第2のポートを閉塞する。一実施形態では、第1のポートと第2のポートは異なるサイズを有し、シールの寸法は、薬剤が第1のポートを介して第2のポートを介さずリザーバーから流れ出るかどうか、ならびに、薬剤が第1のポートと第2のポートの両方を介してリザーバーから流れ出るかどうかを決定する。一実施形態では、第1のポートと第2のポートの様々なサイズは、薬剤の投薬を決定する。一実施形態では、第2のポートの閉塞は薬剤の投薬を決定する。一実施形態では、第2のポートが上記シールによって閉塞されるかどうかが、上記リザーバーからの上記薬剤の流速を決定する。
【0042】
吸入用薬剤を送達する方法が本明細書に記載され、該方法は、カートリッジリザーバ中の液状薬剤を保持するカートリッジシールを貫通する制御可能に延長されたリザーバー栓を受け取る工程であって、それによってリザーバー栓を介してリザーバーから薬剤を流れ出させる、工程、および、リザーバー栓の制御された収縮に応じてリザーバー栓を介してリザーバーから出る流れを止める工程を含む。一実施形態では、リザーバー栓は第1のポートと第2のポートを含み、リザーバー栓は、薬剤が第1のポートに流れ込み、第2のポートに流れ込まないような量で延長される。一実施形態では、方法はさらに以下を含む:薬剤を第2のポートに流れ込ませるさらなる量まで延長時にリザーバー栓を受け取る工程。一実施形態では、リザーバー栓は、吸入サイクルの開始に応じて制御可能に延長される。一実施形態では、カートリッジは、薬剤が第1のポートに流れ込む間に、ガスを第2のポートに流れ込ませるように構成される。一実施形態では、方法はさらに以下を含む:ガスが第2のポートに流れ込む間に、薬剤を第1のポートに流れ込ませるリザーバー栓のさらなる延長部を受け取る工程。
【0043】
吸入式の薬剤送達装置のためのカートリッジが本明細書に記載され、該カートリッジは、リザーバー中で液状薬剤を保持するキャニスターであって、上記リザーバー中で上記薬剤を保持するシールを含むキャニスター;および、吸入式の薬剤送達装置に取り外し可能に取り付ける境界部であって、境界部は、中空部材が上記キャニスター内で第1の延長部まで延長し、シールを貫通し、薬剤の流れを受け取るように作動されるときに、吸入式の薬剤送達装置から中空部材を受け取るように構成され、かつ、中空部材が停止するために引っ込められるときに薬剤の流れを止めるようにも構成される、境界部を含む。一実施形態では、中空部材は電磁力によって作動される。一実施形態では、キャニスターは、中空部材を停止させるための戻しばねを含む。一実施形態では、境界部は、上記キャニスター内の第2の延長部まで作動されるときに中空部材を受け取ることができ、中空部材が第2の延長部まで作動されるときに、キャニスターは噴射剤の流れを中空部材に与える。一実施形態では、上記キャニスターはリザーバーと噴射剤用の空洞部(propellant cavity)を含む。一実施形態では、上記中空部材が上記キャニスター内の第1の延長部まで作動されるとき、中空部材内の第1のポートは噴射剤用の空洞部から噴射剤の流れを受け取り、中空部材中の第2のポートはリザーバーからの薬剤の流れを受け取る。一実施形態では、上記中空部材が上記キャニスター内の第2の延長部まで作動されるとき、中空部材内の第1のポートは噴射剤用の空洞部から噴射剤の流れを受け取り、中空部材中の第2のポートは、中空部材への薬剤の流れを防ぐために、カートリッジによって閉塞される。
【0044】
以下を含む吸入式の薬剤送達装置が本明細書に記載される:リザーバー中の液状薬剤を保持するカートリッジを収容するためのハウジングであって、カートリッジがシールと噴射剤を含む、ハウジング;および、リザーバー栓であって、シールを貫通し、かつ噴射剤によっておよびリザーバー栓を介してリザーバーから薬剤を押し出す、リザーバー栓。一実施形態では、リザーバーは、薬剤を保持する袋を含み、袋はリザーバーから薬剤を押し出すために噴射剤によって圧縮される。一実施形態では、リザーバーは、薬剤を保持する疎水性の多孔質リザーバーを含み、噴射剤は多孔質リザーバーの孔へ入り、それによってリザーバーから薬剤を移動させる。一実施形態では、噴射剤が多孔質リザーバーから薬剤を移動させるにつれ、薬剤はエアロゾル化される。一実施形態では、噴射剤は薬剤中に溶解する。一実施形態では、噴射剤は、混和性のグリセロールを含む薬剤に溶解した二酸化炭素を含む。一実施形態では、噴射剤は、グリコールを含む薬剤に溶解した二酸化炭素を含む。一実施形態では、装置は以下のものをさらに含む:カプセル化された中和剤。一実施形態では、装置は以下のものをさらに含む:上記リザーバーが上記シールではない上記カートリッジの一部により破壊される場合に、薬剤中の少なくとも1つの活性成分を使用不可能にする吸収材料。
【0045】
吸入式の薬剤送達装置に薬剤を供給する方法が本明細書に記載され、該方法は、リザーバーを有するカートリッジ、上記リザーバー内で薬剤を保持するシール、および、噴射剤を取り付ける工程であって、薬剤が上記シールによって上記リザーバー内で保持される、工程;および、リザーバー栓でシールを貫通し、薬剤を噴射剤によりリザーバー栓を介して中空内部へと押し出すために、吸入式の薬剤送達装置を作動させる工程をさらに含む。一実施形態では、リザーバーは、薬剤を保持する袋を含み、袋はリザーバーから薬剤を押し出すために噴射剤によって圧縮される。一実施形態では、リザーバーは、薬剤を保持する疎水性の多孔質リザーバーを含み、噴射剤は、多孔質リザーバーの孔へ入り、それによって、薬剤をリザーバーからおよびリザーバー栓へ移動させる。一実施形態では、噴射剤が多孔質リザーバーから薬剤を移動させるにつれ、薬剤はエアロゾル化される。一実施形態では、噴射剤は薬剤中に溶解する。一実施形態では、噴射剤は、混和性のグリセロールを含む薬剤に溶解した二酸化炭素を含む。
【0046】
以下を含む吸入式の薬剤送達装置が本明細書に記載される:第1のリザーバー内で液状薬剤を保持するとともに第2のリザーバー内で噴射剤を保持するカートリッジに取り外し可能に取り付ける境界部;および、第1の延長部まで延長するように作動される中空部材であって、それによって、シールを貫通し、噴射剤によって提供される圧力によって第1のリザーバーから中空部材を介して薬剤が押し出される、中空部材。一実施形態では、中空部材は第2の延長部まで延長するように作動され、それによって中空部材を介して第2のリザーバーから噴射剤を押し出す。一実施形態では、第1のリザーバーは上記液体薬剤から中和剤を分離する。一実施形態では、中空部材は中和剤を放出することなくシールを貫通する。一実施形態では、第1のリザーバーは、液状薬剤を保持する袋を含み、袋は第1のリザーバーから薬剤を押し出すために、第2のリザーバー中で噴射剤によって圧縮される。
【0047】
以下を含む液状薬剤を保持するカートリッジが本明細書に記載される:吸入式の薬剤送達装置にカートリッジを取り付けるカートリッジハウジング;液状薬剤を保持するリザーバー;噴射剤;および、噴射剤によって提供される圧力に対してリザーバー中で液状薬剤を保持するシールであって、噴射剤によっておよびリザーバー栓を介してリザーバーから薬剤を押し出すために、吸入式の薬剤送達装置のリザーバー栓によって制御可能に貫通されるシール。一実施形態では、リザーバーは、薬剤を保持する袋を含み、袋はリザーバーから薬剤を押し出すために噴射剤によって圧縮される。一実施形態では、リザーバーは、薬剤を保持する疎水性の多孔質リザーバーを含み、噴射剤は多孔質リザーバーの孔へ入り、それによってリザーバーから薬剤を移動させる。一実施形態では、噴射剤が多孔質リザーバーから薬剤を移動させるにつれ、薬剤はエアロゾル化される。一実施形態では、噴射剤は薬剤中に溶解する。一実施形態では、噴射剤は、混和性のグリセロールを含む薬剤に溶解した二酸化炭素を含む。一実施形態では、噴射剤は、グリコールを含む薬剤に溶解した二酸化炭素を含む。一実施形態では、カートリッジはさらに以下を含む:カプセル化された中和剤。一実施形態では、カートリッジはさらに以下を含む:上記リザーバーが上記シールではない上記カートリッジの一部により破壊される場合に、薬剤中の少なくとも1つの活性成分を使用不可能にする吸収材料。
【0048】
吸入式の薬剤送達装置に薬剤を供給する方法が本明細書に記載され、該方法は、リザーバーを有するカートリッジ、上記リザーバー内で薬剤を保持するシール、および、噴射剤を取り付ける工程であって、薬剤が上記シールによって上記リザーバー内で保持される、工程;および、噴射剤によっておよびリザーバー栓を介してリザーバーから薬剤を押し出すために、シールを貫通するリザーバー栓を受け取る工程、を含む。一実施形態では、リザーバーは、薬剤を保持する袋を含み、袋はリザーバーから薬剤を押し出すために噴射剤によって圧縮される。一実施形態では、リザーバーは、薬剤を保持する疎水性の多孔質リザーバーを含み、噴射剤は、多孔質リザーバーの孔へ入り、それによって、薬剤をリザーバーからおよびリザーバー栓へ移動させる。一実施形態では、噴射剤が多孔質リザーバーから薬剤を移動させるにつれ、薬剤はエアロゾル化される。一実施形態では、噴射剤は薬剤中に溶解する。一実施形態では、噴射剤は、混和性のグリセロールを含む薬剤に溶解した二酸化炭素を含む。
【0049】
吸入式の薬剤送達装置のためのカートリッジが本明細書に記載され、該カートリッジは、液状薬剤を保持する第1のリザーバー;噴射剤を保持する第2のリザーバー;および、吸入式の薬剤送達装置に取り外し可能に取り付ける境界部であって、境界部が吸入式の薬剤送達装置から中空部材を受け取るように構成され、中空部材が第1の延長部まで延長され、それによって、カートリッジのシールが貫通されるとともに、噴射剤によって提供される圧力によって第1のリザーバーから中空部材を介して薬剤が押し出される、境界部、を含む。一実施形態では、境界部は、中空部材を第2の延長部まで作動させるように構成され、それによって中空部材を介して第2のリザーバーから噴射剤が押し出される。一実施形態では、第1のリザーバーは上記液体薬剤から中和剤を分離する。一実施形態では、中空部材は中和剤を放出することなくシールを貫通する。一実施形態では、第1のリザーバーは、液状薬剤を保持する袋を含み、袋は第1のリザーバーから薬剤を押し出すために、第2のリザーバー中で噴射剤によって圧縮される。
【0050】
被験体に吸入可能な薬剤を送達する方法が本明細書に記載され、該方法は、カートリッジ上のシールを開く工程であって、上記カートリッジがカートリッジ内部を含み、上記カートリッジ内部が液体の形態の吸入可能な薬剤を含んでいる、工程、上記吸入可能な薬剤を、上記カートリッジ内部内の圧力よりも低い内部圧力を有する導管へ放出することによって、上記吸入可能な薬剤を含むエアロゾルを形成する工程、上記導管内の上記エアロゾルを加熱する工程、および、上記導管を通って上記被験体に上記吸入可能な薬剤を送達する工程、を含む。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤は賦形剤を含む。一実施形態では、シールを開く工程により、シール中に再密封可能な通路が形成される。一実施形態では、シールを開く工程により、シール中に可逆的な穴が形成される。一実施形態では、上記エアロゾルの温度は上記導管内で調節される。一実施形態では、上記エアロゾルは、0.5μm-5μmの間の空気力学的質量中央径(MMAD)を有する粒子を含む。一実施形態では、上記エアロゾルは、0.1-2μmのMMADを有する粒子を含む。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤は上記被験体の肺に送達される。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤は上記被験体の循環系へ送達される。
【0051】
吸入式の薬剤送達装置が本明細書に記載され、該装置は、シール開封部材であって、液体の形態の吸入可能な薬剤を含むリザーバー内部と流体連通する第1の導管を含む、シール開封部材;第1の導管と流体連通するノズルであって、リザーバー内部内の圧力よりも低い内部の圧力を有する第2の導管へ吸入可能な薬剤を放出することによりエアロゾルを形成する、ノズル;第2の導管内のエアロゾルを加熱する加熱器;および、加熱したエアロゾルを受け取り、かつ被験体に加熱したエアロゾルを送達するマウスピース、を含む。一実施形態では、第1の導管がリザーバー内部と流体連通した後に、シール開封部材は、リザーバー内部との流体連通を解除して切断する。一実施形態では、上記エアロゾルの温度は上記第2の導管内で調節される。一実施形態では、上記ノズルは、0.5μm-5μmの間の空気力学的質量中央径(MMAD)を有する粒子を含むエアロゾルを生成する。一実施形態では、上記ノズルは、0.1-2μmのMMADの粒子を含むエアロゾルを生成する。一実施形態では、上記エアロゾルは上記被験体の肺に送達される。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤は上記被験体の循環系へ送達される。
【0052】
吸入可能な薬剤容器が本明細書に記載され、該薬剤容器は、リザーバー内部を有するリザーバーであって、薬剤容器のリザーバー内部が液体の形態の吸入可能な薬剤を含んでいる、リザーバー;シール開封部材の作動前の薬剤の放出を防ぐように構成されるシールを含み、シールが薬剤を放出するためにシール開封部材を受け取るように構成され、シール開封部材がリザーバー内部と流体連通する第1の導管を含み、および、作動時に、シール開封部材はノズルと流体連通し、ノズルは、リザーバー内部内の圧力よりも低い内部の圧力を有する第2の導管へ吸入可能な薬剤を放出することによりエアロゾルを形成し、エアロゾルは第2の導管内で加熱され、かつ被験体に送達される。一実施形態では、第1の導管がリザーバー内部と流体連通した後に、シール開封部材はシールと協働してリザーバー内部との流体連通を解除して切断する。一実施形態では、容器は内部の圧力を与えるためにさらに噴射剤を含む。一実施形態では、容器はエアロゾルと混合される噴射剤をさらに含む。
【0053】
被験体の標的部位に吸入可能な薬剤を送達する方法が本明細書に記載され、該方法は、上記吸入可能な薬剤の複数の液滴を含むエアロゾルを形成する工程;上記エアロゾルの選択可能な温度を調節する工程であって、上記温度は上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の少なくとも1つの液滴のサイズを修正するために選択される、工程;および、上記温度調節されたエアロゾルを被験体へ送達する工程、を含む。一実施形態では、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズは、標的部位に堆積するサイズよりも小さくなるように修正される。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズは、気管の刺激を引き起こすサイズに修正される。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が被験体の口に堆積する。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が被験体の気管に堆積する。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が被験体の中咽頭に堆積する。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が被験体の肺に堆積する。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が、被験体の肺の上葉に送達される。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が、被験体の肺の中葉に送達される。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が、被験体の肺の下葉に送達される。一実施形態では、上記エアロゾルに風味をつけられる。
一実施形態では、上記エアロゾルは手持ち式の装置によって送達される。
【0054】
吸入可能な薬剤送達装置が本明細書に記載され、該装置は、吸入可能な薬剤の第1の複数の液滴を含む第1のエアロゾル混合物を形成するためのエアロゾル発生器であって、第1の複数の液滴が第1の粒度分布を有する、エアロゾル発生器;吸入可能な薬剤の第2の複数の液滴を含む第2のエアロゾル混合物を生成するために第1の複数の液滴を受け取り、かつ第1のエアロゾル混合物を改良するための熱調節装置であって、第2の複数の液滴が第2の粒度分布を有する、熱調節装置:および、被験体に上記第2のエアロゾル混合物を提供する送達通路を備える。一実施形態では、上記第1のエアロゾル混合物は、上記第2の粒度分布が標的部位に堆積するサイズよりも小さな液滴を含むように、改良される。一実施形態では、上記第1のエアロゾル混合物は、上記第2の粒度分布が気管の刺激を引き起こすサイズの液滴を含むように、改良される。一実施形態では、上記第1のエアロゾル混合物は、上記第2の粒度分布が被験体の口への液滴の堆積を引き起こすサイズの液滴を含むように、改良される。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が被験体の気管に堆積する。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が被験体の中咽頭に堆積する。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が、被験体の肺の標的葉に堆積する。
【0055】
吸入可能な薬剤エアロゾル発生器が本明細書に記載され、該薬剤エアロゾル発生器は、リザーバー内部と噴射剤を有する取り外し可能なリザーバーであって、薬剤容器のリザーバー内部が液体の形態の吸入可能な薬剤を含み、噴射剤がリザーバーから液状薬剤を押し出す、リザーバー;被験体への送達のためにリザーバーから吸入可能な薬剤を受け取るように構成された境界部;吸入可能な薬剤を受け取り、噴射剤と吸入可能な薬剤の第1の複数の液滴とを含む第1のエアロゾル混合物を形成する、エアロゾル発生器であって、第1の複数の液滴が第1の粒度分布を有する、エアロゾル発生器;吸入可能な薬剤の第2の複数の液滴を含む第2のエアロゾル混合物を生成するために、第1の複数の液滴を受け取り、かつ上記第1のエアロゾル混合物を改良するための加熱された導管であって、第2の複数の液滴が第2の粒度分布を有する、導管;および、被験体に第2のエアロゾル混合物を供給するための送達通路、を含む。一実施形態では、上記第1のエアロゾル混合物は、上記第2の粒度分布が標的部位に堆積するサイズよりも小さな液滴を含むように、改良される。
【0056】
被験体に吸入可能な薬剤を送達する方法が本明細書に記載され、該方法は、第1の導管をリザーバーの内容物と流体連通させるためにシール開封部材を受け取る工程であって、リザーバーの内容物が液体の形態の吸入可能な薬剤を含む、工程、および、第1の導管を介してエアロゾル発生器へ吸入可能な薬剤を提供する工程であって、エアロゾル発生器が、リザーバー内の圧力よりも低い内部の圧力を有する第2の導管へ吸入可能な薬剤を放出することによりエアロゾルを形成し、エアロゾルが第2の導管内で加熱されて加熱されたエアロゾルを形成し、加熱されたエアロゾルが被験体に送達される、工程を含む。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤は賦形剤を含む。一実施形態では、シール開封部材は、リザーバーの内容物と第1の導管との流体連通を止めるために再配置される。一実施形態では、シール開封部材は、シール中に可逆的な穴を形成する。一実施形態では、上記エアロゾルの温度は上記第2の導管内で調節される。一実施形態では、上記エアロゾルは、最大で5μmの空気力学的質量中央径(MMAD)を有する粒子を含む。一実施形態では、上記エアロゾルは最大で2μmのMMADを有する粒子を含む。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤は上記被験体の肺に送達される。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤は上記被験体の循環系へ送達される。
【0057】
吸入可能な薬剤用リザーバーが本明細書に記載され、該リザーバーは、液体の形態の吸入可能な薬剤を保持するリザーバー内部を有するリザーバーであって、リザーバーがエアロゾル発生装置に吸入可能な薬剤を供給し、エアロゾル発生装置が前記リザーバーのシールを開封するべくシール開封部材を提供し、かつ第1の導管と流体連通したノズルへ送達される吸入可能な薬剤をエアロゾル発生装置の第1の導管に提供し、ノズルが、リザーバー内部の圧力よりも低い内部の圧力を有するとともに加熱される第2の導管へ吸入可能な薬剤を放出することにより、エアロゾル発生装置内部で加熱されたエアロゾルを形成する、リザーバー;および、エアロゾル発生装置に取り付けられるとともにシール開封部材を受け取る境界部であって、リザーバー内部がエアロゾル発生装置と流体連通せず、かつ加熱されたエアロゾルの生成が止まるように、第1の導管を閉じるべくシール開封部材と接続するための導管閉鎖部材を含む、境界部、を含んでいる。一実施形態では、ノズルへ送達される吸入可能な薬剤が第1の導管に提供された後に、シール開封部材は加熱されたエアロゾルの生成を解除して止める。一実施形態では、上記加熱されたエアロゾルの温度は上記第2の導管内で調節される。一実施形態では、上記ノズルは、0.5μm-5μmの間の空気力学的質量中央径(MMAD)を有する粒子を含むエアロゾルを生成する。一実施形態では、上記ノズルは、0.1-2μmのMMADの粒子を含むエアロゾルを生成する。一実施形態では、上記エアロゾルは上記被験体の肺に送達される。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤は上記被験体の循環系へ送達される。
【0058】
吸入可能な薬剤容器が本明細書に記載され、該薬剤容器は、リザーバー内部を有するリザーバーであって、薬剤容器のリザーバー内部が液体の形態の吸入可能な薬剤を含んでいる、リザーバー;シール開封部材の作動前の薬剤の放出を防ぐように構成されるシールを含み、シールが薬剤を放出するためにシール開封部材を受け取るように構成され、シール開封部材がリザーバー内部と流体連通する第1の導管を含み、および、作動時に、シール開封部材はノズルと流体連通し、ノズルは、リザーバー内部内の圧力よりも低い内部の圧力を有する第2の導管へ吸入可能な薬剤を放出することによりエアロゾルを形成し、エアロゾルは第2の導管内で加熱され、かつ被験体に送達される。一実施形態では、第1の導管がリザーバー内部と流体連通した後に、シール開封部材はシールと協働してリザーバー内部との流体連通を解除して切断する。一実施形態では、容器は内部の圧力を与えるためにさらに噴射剤を含む。一実施形態では、容器はエアロゾルと混合される噴射剤をさらに含む。
【0059】
吸入可能な薬剤を送達する方法が本明細書に記載され、該方法は、第1の導管を有するエアロゾル発生器と接続する工程;第1の導管をリザーバーの内容物と流体連通させるために第1の導管をはめ込む工程であって、リザーバーの内容物が液体の形態の吸入可能な薬剤を含む、工程、および、噴射剤からの圧力下でエアロゾル発生器の第1の導管へ吸入可能な薬剤を提供する工程であって、噴射剤からの圧力により、エアロゾル発生器は上記吸入可能な薬剤の複数の液滴を含むエアロゾルを形成し、噴射剤はさらに温度を選択可能な導管を介して上記複数の液滴の流れ引き起こし、温度を選択可能な導管が、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の少なくとも1つの液滴のサイズを修正するとともに、温度を調節されたエアロゾルを被験体へ送達する、工程を含む。一実施形態では、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズは、標的部位に堆積するサイズよりも小さくなるように修正される。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズは、気管の刺激を引き起こすサイズに修正される。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が被験体の口に堆積する。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が被験体の気管に堆積する。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が被験体の中咽頭に堆積する。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が被験体の肺に堆積する。一実施形態では、上記エアロゾルは、最大で5μmの空気力学的質量中央径(MMAD)を有する粒子を含む。一実施形態では、上記エアロゾルは風味をつけられる。
【0060】
吸入可能な薬剤用リザーバーが本明細書に記載され、該薬剤用リザーバーは、噴射剤;および、液体の形態の吸入可能な薬剤を保持するリザーバー内部を有するリザーバーを備え、リザーバーがエアロゾル発生装置に吸入可能な薬剤を供給し、エアロゾル発生装置が、上記リザーバーのシールを開封するためにシール開封部材を提供し、および、噴射剤によって提供される流れの下で、第1の導管と流体連通したノズルに送達される吸入可能な薬剤を、エアロゾル発生装置の第1の導管に提供し、ノズルが吸入可能な薬剤の第1の複数の液滴を含む第1のエアロゾル混合物を形成し、第1の複数の液滴が第1の粒度分布を有し、噴射剤によって提供される流れが第1の複数の液滴を熱調節装置に移動させ、熱調節装置において、上記第1のエアロゾル混合物が、吸入可能な薬剤の第2の複数の液滴を含む第2のエアロゾル混合物を生成するために改良され、第2の複数の液滴が第2の粒度分布を有し、噴射剤によって提供される流れがさらに被験体への第2のエアロゾル混合物の送達を助ける。一実施形態では、上記第1のエアロゾル混合物は、上記第2の粒度分布が標的部位に堆積するサイズよりも小さな液滴を含むように、改良される。一実施形態では、上記第1のエアロゾル混合物は、上記第2の粒度分布が気管の刺激を引き起こすサイズの液滴を含むように、改良される。一実施形態では、上記第1のエアロゾル混合物は、上記第2の粒度分布が被験体の口への液滴の堆積を引き起こすサイズの液滴を含むように、改良される。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が被験体の気管に堆積する。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が被験体の中咽頭に堆積する。一実施形態では、上記吸入可能な薬剤の上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴の上記サイズにより、上記複数の液滴の上記少なくとも1つの液滴が、被験体の肺の標的葉に堆積する。
【0061】
吸入可能な薬剤容器が本明細書に記載され、該薬剤容器は、リザーバー内部を有するリザーバーであって、薬剤容器のリザーバー内部が液体の形態の吸入可能な薬剤を含んでいる、リザーバー;リザーバーから液状薬剤を押し出すための噴射剤;および、リザーバーから被験体への送達用の送達装置に吸入可能な薬剤を送達するように構成された境界部を備え、送達装置が、噴射剤と吸入可能な薬剤の第1の複数の液滴とを含む第1のエアロゾル混合物を形成するためにエアロゾル発生器を有し、第1の複数の液滴が第1の粒度分布を有し、送達装置がさらに、吸入可能な薬剤の第2の複数の液滴を含む第2のエアロゾル混合物を生成するために、第1の複数の液滴を受け取るとともに上記第1のエアロゾル混合物を改良するための熱調節装置を有し、第2の複数の液滴が第2の粒度分布を有し、送達装置が上記第2のエアロゾル混合物を被験体に供給するための送達通路をさらに有する。一実施形態では、上記第2のエアロゾル混合物は第3のエアロゾル混合物へと改良され、中咽頭領域では、第3の複数の液滴は第3の粒度分布を有する。一実施形態では、上記第2のエアロゾル混合物は第3のエアロゾル混合物へと改良され、肺気道領域では、第3の複数の液滴は第3の粒度分布を有する。
【0062】
<参照による組み込み>
本明細書で言及されるすべての公開、特許、または特許出願は、それぞれの個々の公開、特許、または特許出願が参照により具体的かつ個別に組み込まれるのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本発明の新規な特徴は、とりわけ添付の請求項で説明されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が用いられる実施形態を説明する以下の詳細な説明と、以下の添付図面とを引用することによって得られるであろう。
【0064】
【
図1B】吸入中の蒸気-エアロゾルの混合物の進化を例証する。
【
図2A】蒸気-エアロゾルの混合物の吸入中の熱調節とエアロゾル-蒸気の進化の図である。
【
図2C】あらかじめ加熱された空気混合物と熱調節の図である。
【
図3A】吸入式の薬剤送達装置のための薬剤カートリッジとリザーバー栓の図である。
【
図3B】吸入式の薬剤送達装置のリザーバー栓の機能の図である。
【
図3C】吸入式の薬剤送達装置のための耐タンパ性の薬剤カートリッジとリザーバー栓の図である。
【
図3D】耐タンパ性のカートリッジによる薬剤の中和の図である。
【
図4A】薬剤袋を備えた薬剤カートリッジの操作図である。
【
図4B】耐タンパ性の薬剤カートリッジの操作図である。
【
図5A】第1の薬剤投薬/混合をもたらすために位置決めされたリザーバーとリザーバー栓の図である。
【
図5B】第2の薬剤投薬/混合をもたらすために位置決めされたリザーバーとリザーバー栓の図である。
【
図5C】薬剤投薬/混合を制御するように構成されたカートリッジの図である。
【
図9A】吸入式の薬剤送達装置のためのリザーバーと噴射剤用の栓を備えた薬剤カートリッジの図である。
【
図9B】吸入式の薬剤送達装置のためのリザーバーと噴射剤用の栓を備えた薬剤カートリッジの拡大図である。
【
図9C】リザーバーと噴射剤用の栓を備えた薬剤カートリッジの作動の図である。
【
図10A】吸入式の薬剤送達装置の等角外観図である。
【
図10B】吸入式の薬剤送達装置の等角分解組立図を例証する。
【
図10C】吸入式の薬剤送達装置のためのカートリッジカバーとカートリッジの等角分解組立図を例証する。
【
図10D】吸入式の薬剤送達装置のためのカートリッジの等角分解組立図を例証する。
【
図10E】吸入式の薬剤送達装置のためのリザーバー栓アセンブリの実施形態の分解組立図を例証する。
【
図10F】吸入式の薬剤送達装置のためのリザーバー栓アセンブリの実施形態の分解組立図を例証する。
【
図10G】吸入式の薬剤送達装置用のバルブアセンブリの実施形態の分解組立図を例証する。
【
図10H】吸入式の薬剤送達装置のためのバッテリーと電子機器アセンブリの実施形態の分解組立図を例証する。
【
図11】吸入式の薬剤送達装置のためのカートリッジの等角分解組立図を示す。
【
図12】吸入式の薬剤送達装置の等角分解組立図を示す。
【
図13】コンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本明細書で開示される主題を詳細に記載する前に、主題は、その適用について、以下の記載で説明されるまたは図面で例証される構造、実験、典型的なデータ、および/または、構成要素の配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載される主題は他にも変化することができるため、本明細書に記載される変化は、いかなる方法でも本記載の主題の範囲を制限するためになされるものであってはならない。さらに、本明細書で使用される表現や用語は本記載のためだけのものであり、いかなるようにも限定的であるとみなされるものであってはならないことも理解されよう。本明細書に記載される主題の実施形態の以下の詳細な記載では、発明概念を完全に理解するために多くの特定の詳細について説明されている。しかしながら、本開示内の本発明の概念がこうした特定の詳細なしで実行されることもあることは当業者には明らかである。他の例では、本開示を不必要に複雑にすることを避けるために周知の特徴は詳細には記載されていない。
【0066】
さらに、逆に特段の定めのない限り、「または(or)」とは、包括的な「または(or)」、および排他的な「または(or)」を指す。例えば、疾患AまたはBとは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aは真であり(または存在する)Bは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在しない)Bは真である(または存在する)、および、AとBの両方が真実ある(または存在する)。
【0067】
加えて、「1つ(aまたはan)」の使用は、本明細書の実施形態の要素と構成要素を記載するために用いられている。これは単に便宜上のために、かつ本発明の概念の一般的な意味を与えるにすぎない。本記載は1つまたは少なくとも1つを含むように読まれなければならず、複数を意味しないことが明らかでない限り、単数は複数も含む。
【0068】
本明細書で使用されるような用語「被験体」とは、ヒト被験体または任意の動物の被験体を指すことがある。
【0069】
最後に、本明細書で使用されるように、「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」に対するいかなる言及も、実施形態に関連して記載される特定の要素、特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所で「1つの実施形態で」との成句が出てくるが、それは必ずしもすべてが同じ実施形態を差しているわけではない。
【0070】
薬剤送達装置
本明細書に記載される装置と方法は、被験体の気道内の特定の標的に吸入可能な薬剤を送達するために、吸入可能な薬剤のエアロゾルの粒径、質量、または分布を修正するように構成されてもよい。気道は上気道と下気道を含む。上気道は一般に鼻または鼻孔、鼻腔、口、咽喉(咽頭)、および喉頭(voice box)(喉頭 (larynx))を含む。下気道は一般に気管( trachea (windpipe))、気管支、および肺を含む。肺はさらに解剖学的かつ機能的に、右側では上葉、中葉、および下葉に分けられ、左側では上葉と下葉に分けられる。気道は、気管から分節的に終末細気管支と肺胞まで分岐し続け、ここで、毛細管血により気体交換が生じる。吸入用薬剤の平均的な粒子または液滴のサイズの改良により、薬剤が例えば下肺を標的とすることが可能となる。つまり、口(または鼻)を通って、中咽頭を通って、気管を通って、気管支を通って、および肺へ薬剤を移動させる。薬剤は、エアロゾル粒子または液滴サイズの平均サイズを制御することにより、呼吸器系の任意の部分を標的とすることもある。一般に、エアロゾル粒子または液滴が小さければ小さいほど、薬剤の量の大部分が気道の奥まで移動する。しかしながら、エアロゾル粒子が非常に小さい場合、粒子はただ吸入されるだけで、その後、吐き出され、薬剤は気道のいかなる領域にも送達されない。
【0071】
気道内の特定の標的への吸入用薬剤の送達は一般に有利である。なぜなら、例えば、この送達は、気道全体にわたって薬剤の投与量を分散させるよりもむしろ薬剤の濃縮投与量を標的に送達するからである。これは、感染領域に吸入可能な抗生物質の投与量を直接送達することにより、例えば、肺の細菌感染を処置するのに有利である。標的送達は、例えば肺内の小胞状の細菌感染を処置するのに有利なこともある。別の例では、粘液の閉塞がもっとも見られる小さな気道(すなわち細気管支と気管支)への嚢胞性線維症の患者における粘液溶解薬の標的送達は有利である。同様に、気道中の腫瘍に対する化学療法薬の直接的な標的送達が達成されてもよい。概して、標的送達によって患者に対する薬物負荷の軽い送達が可能となり、薬物毒性、薬物アレルギー、および副作用の危険と効果を減少させる。
【0072】
さらに、本明細書に記載される装置と方法は、循環系へ薬剤を送達するために使用されてもよい。肺組織は、循環系で酸素と二酸化炭素を交換する細胞である肺胞を含む。血管の豊富なネットワークが肺胞を囲んでおり、ガスと粒子に交換に対して比較的透過性を有する。本明細書に記載される装置と方法は、吸入用薬剤の循環系への直接的な送達のための手段を提供する。すなわち、本明細書に記載される装置と方法は、肺の肺胞に吸入用薬剤を選択可能に送達するように構成され、薬剤は肺胞を囲む血管のネットワークへ運ばれる。血管のネットワークは、吸入用薬剤が全身循環系に入る肺静脈を通って心臓に薬剤を送達する。
【0073】
吸入用薬剤の循環器系への送達は、例えば、薬物の循環器系への直接送達に代わる形態を提供するので、一般的に都合が良い。対照的に、経口送達された薬剤は先ず、循環器系に侵入する前に消化されねばならず、これは遅くて予測不能なプロセスである。消化プロセスは、異なる被験体における消化管吸収および代謝(初回通過代謝)の差異を通じて、用量の比較的予測不能な損失を引き起こす。静脈内に送達された薬剤は、静脈内アクセスを必要とし、これは、獲得が難しく、且つ患者を感染症および他の潜在的な合併症の危険性にさらしかねない。呼吸器系を介する循環器への薬物の有効な送達は、例えば、経口投与の時間があまりにも長く且つ静脈内アクセスが利用可能でない場合の緊急事態などにおいて、循環器系への薬物の急速な直接送達をもたらすのに都合が良い。呼吸器系を介した循環器への薬物の有効な直接送達はまた、例えば、特定の抗生物質または化学療法剤などの、長期の静脈内アクセスまたはポートを必要とすること無く家庭で静脈内送達のためにのみ処方される薬物を摂取する被験体のための手段を提供するのに、都合が良い。
【0074】
本明細書には、吸入可能なエアロゾル、蒸発したエアロゾル、および/または蒸気-エアロゾルの混合物を生成するように構成される、制御可能な吸入式薬剤送達装置が記載される。エアロゾルの粒径は、熱調節を用いて前記装置により制御され得る。典型的に、エアロゾルの液滴の大きさは、加熱されると小さくなる。
【0075】
図1Aは、本明細書に記載される送達装置による吸入可能な薬剤の標的化された送達の略図を示す。薬剤送達の示された標的は肺の中央である。手持ち式吸入式薬剤送達装置(110)は、薬剤(120)を含有し、被験体(130)により操作される。以下の議論において、装置(例えば送達装置(110))の配向は、装置の操作中に装置の近位端が被験体に最も接近すると共に、装置の遠位端が被験体から離れているように、被験体に関連して向けられる(referred)。
【0076】
薬剤送達装置(110)はハウジングとマスウピースを含む。ハウジングの外形は、例えば長方形、円柱形、または球形を含む、任意の形状へと形成され得る。当業者は、任意のハウジングの形状が適切であると理解する。好ましい実施形態において、ハウジングは、被験体の手に都合良く握り締められるように形成される。例えば、一実施形態において、薬剤送達装置(110)のハウジングは、長方形のハウジングであり、装置の長さは装置の幅よりも長い。一実施形態において、薬剤送達装置(110)のマスウピースは、ハウジングの内部と連続している。一実施形態において、マスウピースの内部は、ハウジングの内部を通過する中空導管と連続している。マスウピースは典型的にハウジングよりも小さい。例えば、円柱形のマスウピースの直径は典型的に、円柱形ハウジングの直径よりも小さい。同様に、例えば、長方形マスウピースの幅は、長方形ハウジングの幅よりも小さい。マウスピースはまた、ハウジングと同じ寸法であり得ることが、当業者により理解されねばならない。一実施形態において、マスウピースは、薬剤送達装置(110)のハウジングと取り外し自在に連結される。
【0077】
薬剤送達装置(110)のハウジングは、ハードプラスチックまたは高分子材料を含み得る。一実施形態において、薬剤送達装置(110)のハウジングは金属またはガラスを含む。一実施形態において、ハウジングは、ハウジングと同じ材料を含む。一実施形態において、マスウピースは、例えばプラスチックまたは熱弾性ポリマーなどの、口を刺激しないまたは不快感をもたらすことのない材料を含む。
【0078】
一実施形態において、薬剤送達装置(110)のハウジングは、マスウピースに接続されない場合もある。一実施形態において、被験体は、自身の口の付近で、或いは自身の口に直接接触した状態で、ハウジングを保持する。一実施形態において、ハウジングは、例えばベンチマスクなどの別の導管に連結するように構成される。
【0079】
一実施形態において、ハウジングは、気管内チューブまたは気管切開チューブ、酸素マスク(face tent)、呼吸マスク、または他の任意の呼吸補助装置に連結されるように構成され得る。ハウジングは、気管内チューブまたは気管切開チューブ、酸素マスク、または呼吸マスクに直接連結されるように構成され得、或いは、後に気管内チューブまたは気管切開チューブ、酸素マスク、または呼吸マスクに連結されるアダプタに連結され得る。
【0080】
概念的な矢印により示されるように、薬剤は、送達装置(110)により被験体(130)の気道に送達される。薬剤は、被験体(130)の口、上気道(132)、下気道(133)を移動し、そして標的とされた肺実質(131)に向かう。被験体が装置を使用する際に、薬剤は更に、被験体の肺血管系を通り、被験体の全身血管系へと送達され得る。この進行中に、吸入された製剤/混合物は、混合物の粒径および組成により強く影響を受けた領域に堆積され得る(それにより、吸収される)。
【0081】
図1Aは薬剤が肺実質へと移動する実施形態を示しているが、他の実施形態において、薬剤は別の特定の標的に送達される。例えば、薬剤送達は口を標的とし得る。例えば、薬剤送達は中咽頭を標的とし得る。例えば、薬剤送達は上気道または下気道を標的とし得る。例えば、薬剤送達は、肺の上部、中央、または下部などの肺の領域を標的とし得る。例えば、薬剤送達は肺血管系を標的とし得る。特定の標的への薬剤の送達は、装置(110)を介して被験体に送達される薬剤の特定の特性を変えることにより、達成される。例えば、被験体への送達前に、装置(110)はエアロゾル化された薬剤を加熱し得る。送達前のエアロゾル化された薬剤の加熱は、例えば、エアロゾル粒径に影響を及ぼし、そこでは加熱によって典型的に、エアロゾル化された薬剤の粒子の大きさが減少する。より小さなエアロゾル粒子は典型的に、呼吸器官へと更に移動する。粒径の範囲について、エアロゾル粒子の大きさと、気道を通って移動した距離との関連性は、直接的な関係である。しかし、閾値量よりも小さい粒子は、比較的迅速に排出される。故に、例えばエアロゾルに熱を加えることでエアロゾルエアロゾル粒子の大きさを制御することにより、エアロゾルが移動する距離が制御され得る。
【0082】
同様に、エアロゾル温度の範囲について、加えられる熱量は、粒径が減少する量との直接的な関係を持つ。この範囲について、加えられる熱が多くなるほど、結果として生じる粒子は小さくなる。この範囲を別として、より多くの熱を加えることで、粒径が大きくなる傾向がある。つまり、特定の温度範囲にわたって、エアロゾルに加えられる熱量は、装置(110)により被験体の気道へと最終的に送達されるエアロゾル粒子の大きさに、直接且つ予想通りに関係する。このように、装置(110)によりエアロゾルに加えられる熱量を制御することで、エアロゾル化された薬剤が呼吸器官中にどのくらい深く移動するのかを判定する。
【0083】
装置により生成されたエアロゾルは、例えば噴射ガスにより移動するように動かされる場合もある。エアロゾルは、例えば、装置および被験体の気道内に負の圧力差を生じさせる装置中の開口部を介してエアロゾルを吸入するユーザーにより生じさせられる圧力差により、移動させられる場合もある。
【0084】
通常、装置により生成された吸入可能な薬剤は、受動的に、活動的に、或いはこれらの組み合わせで送達され得る。受動的な送達において、送達は、薬剤エアロゾルを吸入または吸い込む被験体により行われるか、または補助され得る。活動的な送達において、吸入可能な薬剤の送達は、例えば装置により完全に送達され得、ここで、被験体は薬剤の吸入または吸い込みにより送達を補助していない。代替的に、薬剤は、装置と被験体との組み合わさった動作により送達され得る。例えば、装置は、エアロゾル化された薬剤を噴射し、被験体はエアロゾル化された薬物を吸い込むよう指示されるか、またはそうさせられる場合もある。
【0085】
一実施形態において、薬剤(120)は、液状または粘性の製剤として装置(110)の中に保存される。
【0086】
図1Bは、吸入中のエアロゾルの発達を示す。
図1Bにおいて、被験体(130)は、送達装置(110)を介して、薬剤(120)を含むエアロゾルを自身の口および中咽頭(132)へと吸入する。エアロゾルは典型的に、0.01μm以上の液滴または粒径を持つ液滴または粒子を含む。
【0087】
エアロゾル化された薬剤は、比較的均一な液滴の大きさを持つ状態で、または異なる液滴の大きさの混合物として、被験体に送達され得る。
図1Bにおいて、エアロゾル化された混合物(121)は、第1の量の蒸気(
図1Bにおいて波線として示される)と、第2液滴の大きさを持つ第2の量のエアロゾル(
図1Bにおいて小円として示される)とで構成される。用途に依存して、エアロゾル化された混合物(121)は蒸気もエアロゾルも含まない場合もあることを、理解されたい。しかし、この議論のために、エアロゾル化された混合物(121)は、蒸気とエアロゾル液滴の両方を含むと考えられる。吸入されると、混合物(121)は中咽頭(132)にある状態で
図1Bに示される。口および中咽頭(132)の領域にある間、少量の混合物(121)が舌(134)に接触し得る。混合物(121)が香味剤を含む場合、舌または中咽頭との接触は、ユーザー(130)に味覚をもたらす。
【0088】
混合物(121)が中咽頭(132)から肺気道領域(133)へと流れると、混合物のエアロゾルおよび/または蒸気の特性が発達する(即ち、変化する)。呼吸器官にある間、混合物(121)の発達は、混合物(121)の冷却または加熱により(少なくとも部分的に)引き起こされ得る。例えば、混合物(121)と共に被験体により吸入されている温かいまたは冷たい大気の結果として、被験体(130)の気道内部の温度変化が生じ得る。例えば、混合物(121)とユーザーの体温との相互作用の結果として、温度変化が生じ得る。発達は、経時的にエアロゾル液滴同士の相互作用(例えば、より大きな粒子の形成を引き起こす、より小さな粒子の凝固または衝突)により(少なくとも部分的に)生じさせられ得る。
【0089】
蒸気の平均的な液滴の大きさが典型的に温度の変化により変化するので、被験体(130)の気道内の混合物(121)の発達は、混合物(121)内の粒子または液滴の組成を変化させると予想される。即ち、領域(132)における混合物(121)の発達後、混合物は、領域(133)に移動すると、混合物(122)に変化し得る。領域(133)における新たな混合物(122)は、第3の液滴の大きさを持つエアロゾルで構成される。
【0090】
混合物(121)が発達し、その一方で肺(131)において混合物(123)になるように移動すると、混合物(121)または(122)の組成とは異なり得る組成を持つと理解されねばならない。
【0091】
概して言えば、気道と肺が湿っているので、エアロゾル液滴の混合物の平均の大きさは、エアロゾル液滴または均質なエアロゾルの混合物中にあろうとなかろうと、薬剤が気道を通って移動するにつれて増大すると予想される。エアロゾル粒径の増大の量は更に、例えば体温または気道の長さなどの、生理学的な要因により影響を受ける。エアロゾル粒径の増大の量は更に、例えば薬剤エアロゾルが移動を通る速度により影響を受ける。
【0092】
図2Aは、エアロゾル混合物が吸入可能な薬剤送達装置を通って気道に移動する場合の、吸入可能な薬剤送達装置(210)内の熱調節と、エアロゾル混合物の吸入中のエアロゾルの発達の両方に関する概略図を示す。
図2Aに示される実施形態において、吸入可能な薬剤送達装置の内部は、4つの加熱器(213)-(216)を含有しているが、エアロゾルノズルと熱的に連結された、任意の数の加熱器、1つのみの加熱器、または1つの加熱器或いは複数の加熱器が、本明細書に記載される装置および方法の使用に適していることを理解されたい。
【0093】
吸入可能な薬剤送達装置(210)は、エアロゾルが被験体(230)の口(または鼻)を通過する前に移動する吸引管(219)を含み得る。吸入可能な薬剤送達装置(210)は、吸引管(219)にエアロゾルを配向するノズル(212)を含み得る。吸入可能な薬剤送達装置(210)は、リザーバ(220)内に液状薬剤または粘性薬剤を含有するカートリッジ(218)を含むか、またはそれに連結され得る。
【0094】
加熱器(213)-(216)は、吸入可能な薬剤送達装置(210)内の他の構成要素に対して様々な位置に配置され得る。例えば、加熱器(213)-(216)は、吸引管(219)の近くまたはその周囲に配置され得る。例えば、加熱器(213)-(216)は、ノズル(212)の近くまたはその周囲に配置され得る。
【0095】
一実施形態において、0、1、またはそれ以上の加熱器が、吸引管(209)の近くに配置されると共に、0、1、またはそれ以上の加熱器はノズル(212)の近くに配置される。一実施形態において、加熱器(213)-(216)は、例えば吸引管(219)などの、円筒状導管の全周囲、または多角形導管の外形寸法全体に熱を加えるように、配置される。一実施形態において、発熱体は、導管の表面のほんの一部に熱を加えるように配置される。
【0096】
一実施形態において、加熱器(213)-(216)は発熱体を含む。発熱体は、任意の適切な熱導電性材料で作られたものでもよい。例えば、発熱体は、チタニウムとチタンの合金、ニッケルまたはクロム、或いはニッケルとクロムの合金などの、導電性金属または金属合金を含み得る。例えば、発熱体はセラミックを含み得る。多数の熱導電性材料が、本明細書に記載される装置および方法の使用に適しており、提供される例は何らかの方法で限定的なものとしてとらえられるものではないことを理解されたい。
【0097】
一実施形態において、発熱体は、発熱体を通過する電流により作動される。電流が発熱体を通過すると、材料の固有の耐性は熱をもたらす。発熱体の温度は、発熱体により放出された熱、および従って加熱器(213)-(216)により放出された熱に直接関係する。加えて、発熱体を通過する電流は、赤外線放射の形で熱を生成するとともに、赤外線放射体として機能し得る。
【0098】
個々の加熱器(213)-(216)の温度は、制御装置(211)を介して装置(210)によって調節され得る。加熱器(213)-(216)は、例えば、吸引管(219)などの導管全長を一様に加熱し得る。加熱器(213)-(216)は、吸引管(219)またはノズル(212)を分節的に加熱するように調節され得、これは、吸引管(219)またはノズル(212)の特定の部分のみが個々の加熱器(213)-(216)によって加熱され得ることを意味している。例えば、吸引管(219)またはノズル(212)は、別々の領域上に加熱され得、各領域は、例えば、異なる温度まで加熱され得、各々の別々の領域における温度はさらに調節され得る。
【0099】
一実施形態では、制御装置(211)と通信しているユーザーインターフェースを介して被験体または医療提供者によって、温度調節制御が達成される。ユーザーインターフェースは、例えば、タッチスクリーンなどのデジタルユーザーインターフェース、または例えば、手動インターフェース、あるいは例えば、デジタル要素および手動要素の組み合わせであり得る。一実施形態では、ユーザーインターフェースは、装置(210)のハウジングに直接付けられてよい。別の実施形態では、ユーザーインターフェースは、装置(210)上の制御装置と無線通信する。
【0100】
別の実施形態では、温度調節は、被験体(230)によって使用前に制御装置(211)へとプログラムされる。温度調節プログラミングは、温度を調節するためのアルゴリズムを含み得、複数の温度調節の変動を含む複数アルゴリズムが、マイクロプロセッサーメモリ上の制御装置(211)上に保存され得る。一実施形態では、制御装置(211)は、異なる温度調節を作動させるように構成され、装置(210)を介して送達されている薬剤に対する最適温度調節と一致する。例えば、特定の薬剤には特定の温度調節が最適であり得、最適温度調節は、特定の薬剤が使用されるときに制御装置(211)によって作動される。関連する異なる最適温度調節を有する異なる薬剤が使用されるとき、制御装置(211)は、その薬剤に関連する適切な温度調節を提供する。
【0101】
加熱器(213)-(216)によって加えられた熱の温度調節はまた、例えば、環境条件の変動性を補い得る。例えば、周囲温度が冷たいまたは温かい場合、加熱器(213)-(216)によって適用された温度は、装置および吸入可能な薬剤に対する冷たいまたは温かい周囲温度の効果を補うまたはそのバランスを保つように調節され得る。同様に、温度調節は、例えば、本明細書に記載されるような吸入可能な薬剤の蒸気の程度を増加または減少させることによって、例えば、湿度の変化を補い得る。同様に、温度調節は、エアロゾル生成の間にノズル(212)内の圧力誘起による温度降下を補い得る。
【0102】
液状薬剤は、リザーバー(220)内で、カートリッジ(218)内に保持される。リザーバー栓または貫通ノズル(212)のいずれかがカートリッジに貫通するときに、カートリッジ(218)内の圧縮された噴射剤は、エアロゾルを形成するリザーバー(220)から薬剤を排出する。リザーバー栓または貫通ノズル(212)のいずれかがカートリッジに貫通するときに、カートリッジ内の圧縮された噴射剤は、エアロゾルを形成するリザーバー(220)から薬剤を排出する。形成されたエアロゾル(221)は、貫通ノズル(212)を通って、その後、吸引管(219)へと移動する。エアロゾル(221)は、吸引管(219)を通って移動する一方で、加熱器(213)-(216)によって加熱されるか、またはさもなければ熱的に調節される。エアロゾル(221)が、加熱器(213)-(216)の1つ以上によって加熱されるか、またはさもなければ熱的に調節されるときに、エアロゾル(221)内の1つ以上の液滴は、エアロゾル(221)の全体組成が加熱されるにつれ変化するように、サイズが変化する。エアロゾル(221)が吸引管に沿って移動するとともに、その組成は、加熱器(213)-(216)によって放射される熱または赤外線の適用に応じて変化し、エアロゾル混合物(222)、その後(223)、およびその後(224)へと変形する。
図2Aの概略図が単に例示的なものであり、エアロゾル(221)が、吸引管(219)に沿って移動するとともに、必ずしも3回組成を変化させる必要がなく、実際には0回以上組成を変化させ得ることを理解されたい。さらに、エアロゾル(221)の組成は、均質または不均質に変化し得る。
【0103】
混合物(221)-(224)は、蒸気およびエアロゾルの両方を含み得る。
図2A-2Cで示されるエアロゾル組成物中の小さな円および波線によって、異なる液滴サイズが例証されている。混合物(221)-(227)中の蒸気成分は、
図2A-2Cにおける波線によって例証され得る。混合物(221)-(227)中で示される異なる数の波線および小さな円は、それぞれの混合物(221)-(227)中に存在する様々な量の蒸気およびエアロゾルを例証している。制御装置(211)は加熱器(213)-(216)を制御する。
【0104】
混合物(225)は、制御装置(211)による加熱器(213)-(216)の1つ以上の作動によって吸引管(219)において熱的に調節された後に、ユーザー(230)によって中咽頭(232)領域へと吸入される。中咽頭(232)において、混合物(225)は舌(234)に接触し、ユーザー(230)に味覚を提供し得る。一実施形態では、薬剤は香味剤と混合され、舌および中咽頭と接触するときにユーザーに、例えば、甘味を提供する。
【0105】
図2Aは、被験体(230)によって上気道(232)領域へと吸入されたエアロゾル混合物(225)を示す。上気道領域(232)において、混合物(225)は舌(234)に接触し、香味剤を含有している場合に、ユーザー(230)に味覚を提供し得る。混合物(225)が下気道領域(233)を通って移動するとともに、混合物のエアロゾルおよび/または蒸気の特性は発達する。混合物(225)は末梢気道領域(231)に流れ込む。
【0106】
混合物(225)の発達は、混合物(225)の温度変化によって(少なくとも部分的に)引き起こされ得る。この温度変化は、ユーザーによって吸入されている周囲空気との混合の結果として生じ得る。この温度変化は、ユーザーの体温との相互作用の結果として生じ得る。発達は、経時的なエアロゾル液滴の相互作用(例えば、より大きな粒子の形成または粒子の凝集を引き起こす、より小さいサイズの粒子の衝突)によって(少なくとも部分的に)引き起こされ得る。
【0107】
上気道(232)における混合物(225)は、下気道における混合物(226)へと発達する。混合物(226)は、混合物(225)とは異なる液滴サイズを有している蒸気の量およびエアロゾルの量を有しているものとして下気道(233)において例証される。混合物(226)は、上気道(232)からおよび下気道(233)を通って流れる間に生じる発達後に混合物(225)となることが理解されるべきである。
【0108】
肺気道(233)における混合物(226)は、末梢気道(231)の混合物(227)へと発達する。混合物(227)は、混合物(226)とは異なる液滴サイズを有している蒸気の量およびエアロゾルの量を有しているものとして末梢気道(231)において例証される。混合物(226)は、下気道(233)から末梢気道(231)に流れる間に生じる発達後に混合物(226)となることが理解されるべきである。
【0109】
混合物(225)が上気道領域(232)から肺末梢気道領域(231)まで流れると、混合物のエアロゾルおよび/または蒸気の特性は発達する。混合物(225)は、下気道領域(233)に流れ、その後、より末梢の気道(231)に流れ込む(
図2Aにおいて概念的な矢印によって示される)。
【0110】
混合物(225)の発達は、混合物(225)の温度変化によって(少なくとも部分的に)引き起こされ得る。この温度変化は、ユーザーによって吸入されている周囲空気との混合の結果として生じ得る。この温度変化は、ユーザーの体温との相互作用の結果として生じ得る。発達は、経時的なエアロゾル液滴の相互作用(例えば、より大きな粒子の形成または粒子の凝集を引き起こす、より小さいサイズの粒子の衝突)によって(少なくとも部分的に)引き起こされ得る。
【0111】
上気道(232)における混合物(225)は、下気道における混合物(226)へと発達する。混合物(226)は、混合物(225)とは異なる液滴サイズを有している蒸気の量およびエアロゾルの量を有しているものとして下気道(233)において例証される。混合物(226)は、上気道(232)からおよび下気道(233)を通って流れる間に生じる発達後に混合物(225)となることが理解されるべきである。
【0112】
下気道(233)における混合物(226)は、末梢気道(231)における混合物(227)へと発達する。混合物(227)は、混合物(226)とは異なる液滴サイズを有している蒸気の量およびエアロゾルの量を有しているものとして末梢気道(231)において例証される。混合物(227)は、下気道(233)から末梢気道(231)に流れる間に生じる発達後に混合物(226)となることが理解されるべきである。
【0113】
図2Bは、空気-混合および熱調節の実例である。
図2Bにおいて、吸入式の薬剤送達装置(210)は、リザーバー(218)、薬剤(220)、ノズル(212)、制御装置(211)、加熱器(213)、加熱器(214)、加熱器(215)、加熱器(216)、および吸引管(219)を含む。リザーバー(218)は薬剤(220)を保持する。薬剤(220)をノズル(212)に提供するために、リザーバー(220)がノズル(212)に動作可能に連結される。加熱器(213)-(216)は、制御装置(211)に動作可能に連結される。ノズル(212)は、エアロゾル混合物(221)を吸引管(219)に注入する。エアロゾル混合物(221)の注入、またはユーザー(230)の吸入によって、空気(229)を吸引管(219)へと吸い込み、エアロゾル(221)と混合する。エアロゾル混合物(221)の注入は、空気流増幅器の構成を使用して、空気を吸引管に吸い込み得る。そのような空気流増幅器の構成は、吸引管(219)を通る空気と混合物(221)-(224)の流れを増幅させるために、コアンダ効果を利用して、空気(229)、および/またはエアロゾル(221)、および/または噴射剤(
図2Bで図示されず)の流れを配向し得る。
【0114】
エアロゾル混合物(221)は、加熱器(213)-(216)の1つ以上によって加熱されるか、またはさもなければ熱的に調節されて、混合物(222)-(224)が得られる。混合物(221)-(224)は、蒸気とエアロゾルで構成される。混合物(221)-(227)における蒸気成分は、
図2A-2Cで波線によって例証されている。混合物(221)-(227)におけるエアロゾル構成要素は、
図2A-2Cで小さな円として例証されている。混合物(221)-(227)中で示される異なる数の波線および小さな円は、それぞれの混合物(221)-(227)中に存在する様々な量の蒸気およびエアロゾルを例証している。制御装置(211)は加熱器(213)-(216)を制御する。
【0115】
装置は、エアロゾル化された薬剤から部分的または完全な蒸気を生成し得る。部分的な蒸気は、例えば、エアロゾルと混合され得る。薬剤の粒径は、エアロゾルにおけるよりも蒸気における方がより小さい。薬剤の粒径の変動は、例えば、蒸発の程度を制御することによって制御され得る。例えば、完全な蒸気は、エアロゾルによって送達された薬剤粒子より小さな粒径の薬剤を送達する。
【0116】
エアロゾル化された薬剤の蒸発の程度は、適用される熱の量の増加とともに増加する。したがって、エアロゾル化された薬剤が熱くなればなるほど、装置内部の蒸気生成の量および速度が増加する。
【0117】
エアロゾル化された薬剤からの部分的および完全な蒸気生成に関する装置の変形が、本明細書に記載される。
【0118】
図2Bは、加熱器(213)-(216)の作用についての概略図を示す。積極的に熱を放射している、作動された加熱器は、それぞれの加熱器(213)-(216)に近接した1つ以上のわずかな「熱放射」(つまり、「z」形状)の矢印によって
図2Bで例証されている。加熱器(213)-(216)の略図におけるそのような矢印の選択的な存在または欠如は、吸引管(219)に沿った加熱の制御可能な熱調節を例証することを意図している。すなわち、示されるように、制御装置(211)によって、例えば、加熱器(213)、(214)、および(216)は、吸引管(219)に沿って熱を放射し、一方で加熱器(215)は、制御装置(211)によって作動されない。制御装置(211)によって、加熱器(213)-(216)が、限定されないが、個々の加熱器の作動を制御する、個々の加熱器の作動のタイミングを制御する、および個々の加熱器の作動の持続時間を制御することを含む、様々な方法で連続して制御され得ることが理解されるべきである。
【0119】
混合物(222)は、例えば、混合物(221)に対してより多くの蒸気およびより小さな液滴サイズを有しているものとして
図2Bで例証されている。混合物(222)は、混合物(223)へと熱的に調節される。混合物(223)は、例えば、混合物(222)に対してより多くの蒸気およびより小さな液滴サイズを有しているものとして
図2Bで例証されている。混合物(223)は、混合物(224)へと熱的に調節される。混合物(224)は、例えば、混合物(223)に対してより多くの蒸気およびより小さな液滴サイズを有しているものとして
図2Bで例証されている。混合物(224)は、ユーザー(230)によって吸入される。混合物(221)-(224)のいずれかが、エアロゾルと混合された蒸気または異なる大きさのエアロゾル滴剤の混合物を含み得ることが理解されるべきである。
【0120】
熱調節はまた、暖かいエアロゾルまたは蒸気をユーザーに運んで、煙を吸い込む感覚刺激(sensory cue)または感覚を繰り返すためにも使用され得る。さらに、気道の生理学的温度と同じであるまたは類似した暖かいエアロゾルまたは蒸気が、吸入のためのより快適なエアロゾルまたは蒸気を運んで、エアロゾルの吸入に対する患者の抵抗を低減し、同時に薬剤の送達を改善するために使用され得る。
【0121】
図2Cは、予熱空気-混合および熱調節の実例である。
図2Cにおいて、吸入式の薬剤送達装置(210)は、リザーバー(218)、薬剤(220)、ノズル(212)、加熱器(214)、および吸引管(219)を含む。リザーバー(218)は薬剤(220)を保持する。薬剤(220)をノズル(212)に提供するために、リザーバー(220)がノズル(212)に動作可能に連結される。加熱器(213)-(216)は、制御装置(211)に動作可能に連結される。ノズル(212)は、エアロゾル混合物(221)を吸引管(219)に注入する。エアロゾル混合物(221)の注入、またはユーザー(230)の吸入によって、空気(229)を通路(228)に沿っておよびその後吸引管(219)へと吸い込み、エアロゾル(221)と混合する。空気(229)は、通路(228)に沿って吸い込まれると、加熱される。空気(229)は、加熱器(214)または他の加熱器(
図2Cで図示されず)によって加熱され得る。空気(229)は、少なくとも加熱器(214)によって加熱されている吸引管(219)との接触または接近によって加熱され得る。通路(228)は、空気(229)が加熱器(214)要素と接触しないように構成され得る。例えば、通路(228)は、吸引管(219)(または別の障壁)が加熱器(214)を空気(229)から分離するように、吸引管(219)の外表面上に構成され得る。
【0122】
図3Aは、吸入式の薬剤送達装置の一実施形態において互いに相対した位置にある、薬剤カートリッジ(340)およびリザーバー栓(312)を示す。より具体的には、
図3Aは、吸入式の薬剤送達装置(310)の遠位端部に位置する、カートリッジ(340)およびリザーバー栓(312)を示す(吸入された薬剤の送達の遠位端部のみが示される)。カートリッジ(340)は、リザーバー栓(312)を内部に含むハウジングに連結されている。リザーバー栓(312)は、ハウジングの内部の長さに沿って摺動自在に移動するように構成されている。
【0123】
カートリッジ(340)は、多孔性のリザーバー材料(porous reservoir material)(342)、薬剤(320)、およびカートリッジシール(343)を含む。リザーバー栓(312)は、栓シャフト(353)およびノズル(352)を含む。栓シャフト(353)は、中空内部を有し、液体またはガスが外部のリザーバー栓(312)から栓シャフト(353)へと流れることを可能にするポート(355)を含む。栓シャフト(353)の中空内部は、栓シャフト(355)の内部へと通された液体またはガスがノズル(352)へと自由に流れ込むように、ノズル(352)と連続している。カートリッジ(340)は、送達装置(310)から分離可能であり、再取り付けも可能であり得る。
【0124】
一実施形態では、吸入可能な薬剤送達装置(310)は、2つ以上の連結可能な中空体を含む。示される実施形態において、送達装置(310)は、2つの中空体を含み、これらは、第1中空体(340)の内部が第2中空体の内部と分離されるように連結されている。装置(310)の2つの連結された中空体の内部は、貫通可能なシール(343)によって分離され得る。一実施形態では、中空体(310)は、吸入可能な薬剤を含有しているカートリッジ(340)を含み、カートリッジ(340)と連結する中空体は、リザーバー栓(312)を含有している中空ハウジングを含む。
【0125】
一実施形態では、2つの中空体は、連結機構によって可逆的に連結される。連結機構は、ねじ込み式システムを含み得、ここで両方の中空体は、2つの中空体を固定するために螺合する、インターロックする(interlocking)ねじ部を有する。連結機構は、クリップ式機構を含み得、ここで第1中空体上の1つ以上のオス型付属物は、第2中空体上の1つ以上のメス型付属物へとロックされ、その結果、オス型付属物およびメス型付属物は共にロックされる。共に連結する2つの中空体をインターロックするための他の連結機構が、本明細書に記載される装置および方法との使用に適していることが理解されるべきであり、上記の例が、いかなる方法でも制限するものとして理解されるべきではない。
【0126】
一実施形態では、可逆的に連結されたカートリッジ(340)は、吸入可能な薬剤送達装置から切り離され得る。例えば、薬剤が被験体に分配された後、使用済みのカートリッジは、吸入可能な薬剤送達装置から切り離され得る。複数のカートリッジが、連結およびその後分離させるために連結機構を使用して交換されてもよい。吸入可能な薬剤送達装置(310)と交換可能に連結され得る複数のカートリッジ(340)は、同じ薬剤を含有し得る。吸入可能な薬剤送達装置(310)と交換能に連結され得るカートリッジ(340)は、異なる薬剤を含有し得る。一実施形態では、吸入可能な薬剤送達装置は、例えば、異なる薬剤または異なるカートリッジの装填の相互汚染を防ぐために、2個の異なる可逆的に連結可能なカートリッジ(340)の交換の間に自己殺菌する(self-sterilizes)。吸入可能な薬剤送達装置の自己殺菌は、吸入可能な薬剤送達装置(310)を殺菌するのに十分な温度まで1つ以上の加熱器を作動させることによって生じ得る。代替的にまたは加えて、例えば、カートリッジ(340)を交換するとともに吸引管(図示せず)またはマウスピース(1081)またはリザーバー栓(312)を交換するなど、カートリッジ(340)が新しいカートリッジと交換されるときに、薬剤と接触する構成要素は交換され得る。一実施形態では、吸入可能な薬剤送達装置を洗浄し殺菌するのに適したカートリッジ(340)が利用されてもよい。そのようなカートリッジは、最適な装置動作を復元するおよび/または相互汚染などを防ぐために、水、溶媒、滅菌剤、乾燥剤、および/または滑沢剤を用いて薬剤と接触する構成要素を洗い流し得る。
【0127】
一実施形態では、吸入可能な薬剤送達装置は、リザーバー栓(355)を含有しているハウジングと連続しているカートリッジ(340)を含む。すなわち、カートリッジ(340)およびハウジングは、機械的連結機構と一緒に連結される2つの構成要素よりもむしろ単一ユニットとして形成される。本実施形態では、カートリッジ(340)は、吸入可能な薬剤送達装置から分離されるようには構成されない。
【0128】
一実施形態では、カートリッジ(340)は、吸入可能な薬剤送達装置(310)のハウジングと可逆的に連結されるように構成され、使い捨てである。
【0129】
一実施形態では、カートリッジ(340)は、補充可能且つ再使用可能である。
【0130】
一実施形態では、ハウジングとともにカートリッジ(340)を含む、吸入可能な薬剤送達装置全体は、使い捨てである。
【0131】
一実施形態では、リザーバー栓(312)は、貫通先端部を備えた中空体を含む。貫通先端部は、例えば鋭利であるか、または例えば非鋭利であり得る。リザーバー栓(312)は、シール(343)の方へ進められるか、または装置のハウジング内のシール(343)から離れて引っ込められ得る。例えば、リザーバー栓(312)の移動は、装置のハウジングまたはリザーバー栓(312)を含有しているハウジング内の導管の長軸と平行である軸上で生じ得る。
【0132】
一実施形態では、カートリッジ(340)を含む、送達装置の第1中空体は、リザーバー栓(312)を中に含有している送達装置の第2中空体と連結し、その結果、リザーバー栓(312)の貫通先端部(312)は、貫通可能なシール(343)の表面に面する。
【0133】
一実施形態では、リザーバー栓(312)は1つ以上のポート(355)を含む。一実施形態では、リザーバー栓(312)は、リザーバー栓(312)の貫通する中空体が、貫通可能なシール(343)に貫通するように進められるように構成されている。リザーバー栓(312)は、シールが貫通されるときに、1つ以上のポート(355)が、カートリッジ(340)内または貫通されたシール(343)内のいずれかに位置付けられるように進められ、その結果、シール(343)内のポートはシール(343)によって覆われる。作動されていない位置では、シール(343)は、栓シャフト(353)によって貫通されない(または少なくとも薬剤がリザーバー栓に流れ込むことを可能にするようには貫通または構成されない)。
【0134】
一実施形態では、ポート(355)は、リザーバー栓(312)が完全にハウジング内にある間は覆われ、リザーバー栓(312)がシール(343)に貫通すると覆われなくされる。例えば、一実施形態では、リザーバー栓(312)は、2つの回転部を含み、その各々は、整列するように構成されているポートを備え、ここで1つの回転部はもう一方の回転部内にある。リザーバー栓(312)の両方の回転部が、ポートを整列させるように回転するときに、ポートは開いている。それぞれのポートが整列しないようにリザーバー栓(312)の両方の回転部が回転されるときに、ポートは覆われている。別の例において、一実施形態では、ポート(355)は、リザーバー栓(312)がシール(343)に貫通したときまたはその後に引き戻される、摺動自在に取外し可能なカバーによって覆われる。
【0135】
一実施形態では、カートリッジ(340)は、薬剤(320)を含有している多孔性のリザーバー(342)、および噴射剤ガス(341)を含む。示される実施形態では、多孔性のリザーバー(342)は、例えば、孔またはチャネル(channels)を含む疎水性ポリマー、または例えば疎水性の多孔性セラミックなどの、疎水性材料を含む。液体形態の薬剤(320)は、多孔性のリザーバー(342)の孔内の疎水性力によって保持される。カートリッジ(340)全体は、噴射剤ガス(341)が、圧縮され、カートリッジ(340)が加圧されている間に多孔性のリザーバー(342)の孔またはチャネルを通ることを実質的に妨げられるように、加圧される。一実施形態では、カートリッジ(340)は、ハウジングによって一側面以外のすべての面上で囲まれ、カートリッジ(340)の開口部は、貫通可能なシール(343)によって密封される。用語、カートリッジは、カートリッジ、液体リザーバー、および他の構成要素を含む、遠位アセンブリ全体を指し得る。用語、カートリッジは、加圧されたガスまたは単なる薬剤を含有している装置またはカートリッジの部品を指し得る。カートリッジは、バルブアセンブリまたはセプタムによって密封される。
【0136】
一実施形態では、多孔性のリザーバー(342)は、疎水性である多孔質材料またはマトリックス材料を含み、これらは、マトリックス中の空隙または多孔質材料中の孔に毛管作用または類似した手段によって液状薬剤製剤を保持するように構成されている。セラミックス、ガラス、ポリマー、またはプラスチックなどの物質は、リザーバー(342)の多孔質材料としての使用に適しているかもしれない。疎水性ポリマー材料の限定しない例として、アクリル、アミド、カーボネート、ジエン、エステル、エーテル、フルオロカーボン、オレフィン、スチレン(Sytrenes)、ビニルアセタール、ビニルエステル、およびビニルピリジンが挙げられる。多孔性のリザーバー(342)は、例えば、マトリックス構造またはハニカム構造を含んでもよい。一実施形態では、多孔性のリザーバー(342)は、圧縮された噴射剤(341)と貫通可能なシール(343)との間に位置付けられる。ガス状の噴射剤(341)は、多孔性のリザーバー(342)の孔へと通り得、一方で多孔性のリザーバー(342)の材料の疎水性は、多孔性のリザーバー(14)の孔内の流体を保持または捕捉する。多孔性のリザーバー(14)の孔内に保持された流体は、スポンジ内に保持された水と類似している。例えば、シール(343)が貫通されたためにカートリッジ(340)中の圧力が周囲圧力と平衡しているときに、ガス状の噴射剤(341)は、多孔性のリザーバー(342)の孔へと強力に広がる。ガス状の噴射剤の強力な広がりは、多孔性のリザーバー(342)の孔から液状薬剤を排出する。
【0137】
一実施形態では、多孔性のリザーバー(342)は、送達装置(310)が向きと関係なく動作されることを可能にする。薬剤の液剤が、圧縮されたガス噴射剤に相対する同じ位置で常に維持されるために、装置(310)の向きとは関係のない動作が達成される。すなわち、リザーバー栓(312)が貫通可能なシール(343)に貫通するときに、薬剤はポート(353)の近接位置で常に維持され、圧縮されたガス噴射剤は、薬剤の位置に相対的なリザーバー栓(312)の遠位に常に位置する。また別の方法では、ガス噴射剤は、ユーザーがどのように口に対して装置を位置付けるかにかかわらず、リザーバー栓と相対的に、常に薬剤の後ろにある。例えば、多孔性のリザーバー(342)によって流体が適所に保持されるために、ユーザーは、例えば、カートリッジ(340)が例えば天井に向いた状態で仰向けになりながら装置を使用することができる。装置が被験体によって腹臥位または座位で使用され得るために、装置の向きとは関係のない動作は、例えば、運動制限のある寝たきり患者に吸入可能な薬剤を提供することの利点となる。カートリッジ(340)内の固定位置でカートリッジ(340)内の流体を保持することを促進することができる他の変形もあることが理解されるべきであり、本明細書に記載される例および実施形態は、いかなる方法でも制限するように理解されるべきではない。
【0138】
一実施形態では、貫通可能なシール(343)はゴムを含む。一実施形態では、貫通可能なシール(343)はプラスチックを含む。一実施形態では、シール(343)はポリマーを含む。他の材料が貫通可能なシール(343)の建築に適していることが理解されるべきであり、上記の例は制限するように解釈されるべきではない。一実施形態では、貫通可能なシール(343)はセルフシールであり、それによって、穴をあけられた後に、貫通可能なシール(343)における穴は、例えば、シール(343)材の弾性特性により自力で閉じる。シール(343)は、カートリッジ(340)内で加圧を維持するために、カートリッジ(343)の気密シールを作り出すように機能する。シール(343)がリザーバー栓(312)によって穴をあけられるときに、カートリッジ(343)内の圧力は周囲圧力と平衡する。適切なシール(343)材の限定しない例として、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレン-アクリレートゴム、ポリエステル・ウレタン、ブロモ・イソブチレン・イソプレン、クロロ・イソブチレン・イソプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリエーテル・ウレタン、フルオロ・シリコーン、およびビニル・メチル・シリコーンが挙げられる。シール材は、一実施形態において、シール上の微生物の増殖を防ぐための銀または銅などの物質に埋め込まれていた金属またはシール材へと埋め込まれた別の適切な抗菌剤を含有し得る。一実施形態では、シール(343)は自己修復材料で構成される。シール(343)は、栓シャフトが遠位方向の近位に沿って(および後ろに)摺動することを可能にする。一実施形態では、リザーバー栓を含有している第2中空体はまた、貫通可能なシールで密封される。
【0139】
一実施形態では、カートリッジ(340)は、二酸化炭素(CO2)などのガス噴射剤(341)を含有し得る。例えば、カートリッジ(340)が加圧されるときに、ガス状の噴射剤(341)はカートリッジ(340)内で圧縮され得る。カートリッジ(340)の内部の圧力の減少は、例えば、多孔性のリザーバー(342)の孔へのガス状の噴射剤(341)の広がりを結果的にもたらす。
【0140】
噴射剤(341)は、カートリッジ(340)中の薬剤(320)をカートリッジ(340)から出してノズル(352)を通るように促進してエアロゾルを生成することができる正圧を提供するなどのために、圧力下でカートリッジ(340)中に保持される。カートリッジ(340)の内部には、カートリッジ(340)の近位領域を占める多孔性のリザーバー(342)がある。リザーバー(342)は、薬剤(320)の液剤を、維持する、保持する、またはそうでなければ捕捉する働きをする。リザーバー(342)は、送達装置(310)が作動されるときに、噴射剤(341)が多孔性のリザーバー(342)に押し通されるような方法で薬剤(320)を保持し、結果として、栓シャフト(353)およびその後ノズル(352)への送達のために液状薬剤(320)を多孔性のリザーバー(342)から出るように動かす働きをする。カートリッジ(340)は、ガス状の噴射剤(341)を含み、典型的にマウスピースから装置に沿って最も遠位に位置付けられる部分である。多孔性のリザーバー(342)は、カートリッジ(340)に隣接して位置付けられ得、多孔性のリザーバー(342)の孔は、カートリッジ(340)の内部と連通しており、その結果、例えば、ガス状の噴射剤は、カートリッジ(340)からおよび多孔性のリザーバー(342)の孔へと通り得る。
【0141】
一実施形態では、薬剤(320)の液剤がガス状の噴射剤を有する混和性溶液へともたらされる場合に、多孔性のリザーバー材料は省かれ得る。
【0142】
装置が作動されないとき、栓シャフト(353)上のポート(355)は、シール(343)によって閉塞され得るか、さもなければ塞がれ得る。リザーバー栓(312)が貫通可能なシールを貫通し、ポート(355)がシール(343)を出て、カートリッジに入るほど十分遠く、リザーバー栓(312)が遠位方向に移動するように作動されるときに、薬剤(320)の液剤は、ポート(355)に入り、栓シャフト(353)を通って移動し、ノズル(352)を出る。
【0143】
リザーバー栓(312)の移動は、以下の限定しない例を含む多くの方法で、駆動および制御され得る。リザーバー栓(312)の移動は、例えば、スプリング駆動され得る。リザーバー栓(312)の移動は、例えば、電磁力によって駆動され得る。リザーバー栓の移動は、例えば、加圧した空気またはガスによって駆動され得る。リザーバー栓の移動は、例えば、電気機械式アクチュエーターまたはサーボによって駆動され得る。
【0144】
図3Bは、吸入式の薬剤送達装置のリザーバー栓の機能の実例である。
図3Bにおいて、リザーバー栓(312)は、栓シャフトが、ポート(355)をカートリッジ(340)の内部にさらされたままにする程度までシール(343)に貫通するように位置付けられる。ポート(355)はカートリッジ(340)の内部にさらされ、その結果、薬剤(320)は、噴射剤(341)の力の下で、栓シャフト(353)の中空内部空洞部に入り、カートリッジ(340)からノズル(353)に流れ得る。
【0145】
図3Bで例証されるように、リザーバー栓(312)が作動位置にあるときに、噴射剤(341)は、リザーバー(342)に入り、薬剤(320)を動かす(
図3Bで矢印(391)によって示される)。
【0146】
矢印(392)によって示されるように、薬剤(320)は、リザーバー(342)から動かされると、ポート(355)に移動する。矢印(393)によって示されるように、薬剤(320)は、ポート(355)に入り、栓シャフト(353)を下って移動して、エアロゾル混合物(321)としてノズル(352)を出る。
【0147】
リザーバー栓(312)内の圧力は、カートリッジ(340)内の圧力より低くなり得る。リザーバー栓(312)が、シール(343)に貫通して通り抜けるときに、カートリッジ(340)内部の圧力は、リザーバー栓(312)内のより低い圧力と平衡となるように低下する。一実施形態では、加圧されたガスは、液状薬剤をカートリッジから出してノズルへと促進する噴射力を提供する。
【0148】
ガス状の噴射剤(341)が広がる速度および力は、例えば、カートリッジ(340)内部の圧力が低下する速度の他に、リザーバー栓(312)とカートリッジ(340)との間の圧力差などの因子によって決定され得る。リザーバー栓(312)がシール(343)に貫通するとき、ガス状の噴射剤(341)は、広がって、カートリッジ(340)から出て、カートリッジ(340)中の液状薬剤を動かす。ガス状の噴射剤が強力に広がってカートリッジ(340)から出るときに、ガス状の噴射剤(341)は、液状薬剤をカートリッジ(340)から出して、リザーバー栓(312)に通して、吸引管(353)へと排出し得る。
【0149】
排出された液状薬剤は、リザーバー栓(312)内の液体のより小さな液滴へと分散し得、それによってエアロゾルが形成される。形成されたエアロゾルは、リザーバー栓(312)の長さにわたって、吸引管(353)を通って、被験体の口を通って、被験体の中咽頭を通って、および被験体の肺へと、ガス状の噴射剤(341)の力によって噴射され得る。
【0150】
別の実施形態では、薬剤が本明細書に記載される機構および装置を通って移動するときの薬剤の速度および/または空気容量を増加させる空気流増幅器として作用する特徴も加えられる。例えば、一実施形態では、ベンチュリ効果は、装置内の液状薬剤の速度を増加するために利用される。ベンチュリ効果は、導管中のくびれ(constriction)を通って移動する流体の速度の増加について記載している。リザーバー栓(312)、またはエアロゾルノズル(352)の少なくとも一部分におけるくびれは、そのくびれ部分を通る流体の増加した速度の領域を作り出し得る。例えば、ポート(355)は、液状薬剤がリザーバー栓(312)へと通るための狭いチャネルを含み得る。カートリッジ(340)からの液状薬剤の移動は、液状薬剤がポート(355)の狭いチャネルを通ってリザーバー栓(312)へと進むとともに加速される。流体がリザーバー栓(312)へと移動するおよびそこを通って移動するときに流体の速度が速くなればなるほど、エアロゾル形成の程度は大きくなる。また、液状薬剤がリザーバー栓(312)を通ってより速い速度で移動するとき、装置は、より短い時間で大量に送達し得る。例えば、一実施形態では、リザーバー栓(312)またはエアロゾルノズル(352)は、カートリッジ(340)からリザーバー栓(312)を通って移動する流体の速度をさらに増加させるコアンダ効果をもたらす構造を含み得る。
【0151】
別の実施形態では、例えば、グリセロールなどのガスへの液体賦形剤の相変化が生じ得、推進力の増加を引き起こし、それ故、リザーバー栓(312)および吸引管(353)を通って移動する液状薬剤の速度の増加を引き起こす。
【0152】
一般に、ベンチュリ効果、コアンダ効果、またはガスへの液体賦形剤の相変化を含む実施形態は、装置内の空気流倍率を促進することができる。装置内の空気流の増幅の恩恵は、それによって、カートリッジ(340)のサイズおよび容積とは無関係の送達された吸入可能な薬剤の使用当たりの容量(per use volume)が増加され得ることにある。コアンダ効果は、周囲の(ノズル中の噴出口に関連する)空気のう(air envelope)を方向付けるために利用され得る。円筒状の空気のうは、エアロゾルの影響を縮小且つ軽減するために噴出口(または超音波ノズル)によって生成されたエアロゾルを、吸引管の内表面上に集中させ、それによって、装置中の薬物損失の量を減少させるように働くことができる、またはエアロゾルが吸引管の表面上でより高い温度にさらされることを縮小または軽減する働きをする。
【0153】
一実施形態では、ノズル(352)は超音波ノズルを含む。超音波ノズル(352)は、動力源、および超音波ノズル(352)内に超音波を作り出す少なくとも1つの圧電変換器に接続される。流体が超音波ノズル(352)内の超音波に接触しているとき、流体内に表面張力波が形成される。表面張力波の振幅が一定の高さに達したとき、流体は超音波ノズル(352)内にエアロゾルを作り出す液滴に分かれる。
【0154】
カートリッジ(340)内の加圧流体は、装置を使用して吸入可能な形態で被験体に送達される薬剤を含み得る。
【0155】
エアロゾル混合物(321)は、送達装置(310)によってさらに熱的に調節されるおよび/または追加の空気と混合され得る。エアロゾル混合物(321)は、本明細書に記載される、混合物(121)および/または混合物(221)に相当し得るか、またはそれに対する前駆体であり得る。
【0156】
図3Cは、吸入式の薬剤送達装置のための開封防止の薬剤カートリッジおよびリザーバー栓(312)の実例である。
図3Cにおいて、吸入式の薬剤送達装置(310)は、開封防止のカートリッジ(349)およびリザーバー栓(312)を含む。カートリッジ(349)は、多孔性のリザーバー材料(342)、薬剤(320)、カートリッジシール(343)、中和剤(345)およびカプセル封入(encapsulation)(346)を含む。リザーバー栓(312)は、栓シャフト(353)およびノズル(352)を含む。カプセル封入(346)は、薬剤(320)から中和剤(345)を分離する。カプセル封入(346)は、中和剤(345)を包み込み、その結果、カプセル封入(346)が貫通される場合、中和剤(345)は、薬剤(320)と反応するようにされ、それによって、薬剤(320)の液剤はアクセス不能になるかまたは機能的に中和される。カートリッジ(349)は、カプセル封入(346)に貫通することなく、または中和剤(345)を薬剤(320)と反応させるために放出することなく、送達装置(310)から分離可能であり、再取り付け可能であり得る。リザーバー栓(312)は、カプセル封入(346)に貫通することなく、または中和剤(345)を薬剤(320)と反応させるために放出することなく、カートリッジ(349)に貫通するように構成されている。
【0157】
図3Dは、開封防止のカートリッジによる薬剤の中和の実例である。
図3Dにおいて、貫通物体(392)は、カートリッジ(349)の内部に入る。カートリッジ(349)の内部に入るために、貫通物体(392)は、カプセル封入(346)の完全性を破断するか、またはそうでなければ破壊する。カプセル封入(346)の完全性が損なわれると、中和剤(345)は、薬剤(320)と接触且つそれ故反応し得、それによって、薬剤(320)の液剤はアクセス不能になるかまたは機能的に中和される。リザーバー(342)は、薬剤(320)の液剤との意図的または意図的でないアクセスまたは接触を防ぐなどのために、カプセル化された吸収剤または中和剤(例証されず)を含有し得る。木炭などのカプセル化された吸収剤は、プラスチック、ポリマー、セラミックス、またはガラスなどの、疎水性のケーシングに包み込まれ、その結果、カートリッジ(340)がアクセスされ、多孔質材料が除去された(またはリザーバー栓(312)の作動に対応しない方法で貫通された)場合、カプセル封入は、破断するか、またはそうでなければ吸収剤または中和剤を、薬剤(320)の液剤と接触するようにさせ、薬剤(320)をアクセス不能にするか、または機能的に中和させるだろう。
【0158】
図4Aは、薬剤用の袋の実施形態による薬剤カートリッジの動作の実例である。
図4Aにおいて、吸入式の薬剤送達装置(410)は、カートリッジ(440)およびリザーバー栓(412)を含む。カートリッジ(440)は、袋(444)、薬剤(420)、およびカートリッジシール(443)を含む。リザーバー栓(412)は、栓シャフト(453)およびノズル(452)を含む。栓シャフト(453)は、中空であり、液体またはガスが外部のリザーバー栓(412)から栓シャフト(453)へと流れ、ノズル(452)を出ることを可能にする、ポート(455)を含む。袋(444)は薬剤(420)を保持する。カートリッジ(440)は、送達装置(410)から分離可能であり、再取り付け可能であり得る。圧縮可能な袋(444)は、好ましくは、リザーバー栓に対して、加圧されたガス状の噴射剤の近位に位置付けられる。圧力がカートリッジ(440)内で変わるとき、ガス状の噴射剤は、広がって、液体を含有している圧縮可能な袋を圧縮する。袋の強力な圧縮は、その内部の液状薬剤の放出を引き起こす。圧縮可能な袋が、例えば、圧縮可能なバッグまたはバルーンなどの代わりの変形(alternate variations)を有し得ることが理解されるべきである。一実施形態では、袋は、膨張性であり得、液体に(加圧されたガスとともに)全体的にまたは部分的に圧力をかけ、液体をノズルへと促進する。また、袋は、複数の層で構成され得、それによって、液状薬剤を含有している内部の袋と外部の袋との間に、活性賦形剤を不活性にするかまたはそうでなければ活性賦形剤を吸収するおよび捕捉するために乾燥した中和剤または吸収材料を含有することができる空間がある。内部の袋の外部表面と外部の袋の内部表面との間の空間に、液体中和剤も含有され得る。
【0159】
袋によって、装置は吸入器の空間内の向きとは無関係な方法で作動される。一実施形態では、袋(444)は、シール(443)に直接隣接しているカートリッジに位置付けられる。一実施形態では、袋(444)は、シール(443)と共有壁を共有する。一実施形態において、この位置では、袋(444)は、噴射剤ガスより主題のユーザーにより近位の位置に内部の液状薬剤(420)とともに置かれる。別の方法では、本実施形態において、装置の向きが何であれ、袋内の薬剤(420)は、常にカートリッジ(440)中の噴射剤(441)のほとんどとシール(443)との間に位置付けられる。このように、シール(443)が貫通されるとき、噴射剤(441)は、吸入可能な薬剤送達装置が保持される向きと関係なく、液状薬剤(420)の後ろに位置し、リザーバーシャフト(412)へと薬剤を排出する。
【0160】
図4Aにおいて、リザーバー栓(412)は、栓シャフトが、ポート(455)を袋(444)の内部にさらされたままにする程度までシール(443)に貫通するように位置付けられて、例証されている。ポート(455)は袋(444)の内部にさらされ、その結果、薬剤(420)は、噴射剤(441)が袋(444)にかける力の下で、栓シャフト(453)の中空内部空洞部に入り、カートリッジ(440)からノズル(452)に流れ得る。
【0161】
図4Aでも例証されているように、リザーバー栓(412)が作動位置にあるときに、噴射剤(441)は、袋(444)に力をかけて(矢印(491)によって例証される)、ポート(455)を介して薬剤(420)をリザーバー(342)から押し出す。薬剤(420)は、ポート(455)に入り、栓シャフト(453)を下って移動して、エアロゾル混合物(421)としてノズル(452)を出る。エアロゾル混合物(421)は、送達装置(410)によってさらに熱的に調節されるおよび/または追加の空気と混合され得る。エアロゾル混合物(421)は、本明細書に記載される、混合物(121)および/または混合物(221)に相当し得るか、またはそれに対する前駆体であり得る。
【0162】
一実施形態では、液状薬剤は膨張性の袋であり得る。一実施形態では、袋を有する液状薬剤は、袋の壁内に内部圧力を発生させるために、過充填バルーンのように袋を膨張させる。膨張された袋によって引き起こされた圧力は、シール(443)および袋(440)が貫通されるときに液体を液体リザーバーからおよびノズルへと噴射し得る力を提供し得る(圧力下の液体を保持する)。この圧力は、膨張された袋によって提供された弾性力(例えば、伸張されたラバーバンドなど)の結果であり得る。
【0163】
図4Bは、開封防止の薬剤カートリッジの動作の実例である。
図4Bにおいて、吸入された薬剤の開封防止のカートリッジ(449)は、袋(444)、薬剤(420)、カートリッジシール(443)、中和剤(445)、および袋(446)を含む。袋(444)は薬剤(420)を保持する。袋(446)は中和剤(445)を保持する。袋(446)は、袋(444)の外壁と袋(446)の内壁との間の空間において中和剤(445)を保持する。したがって、(シール(443)に通す以外の)カートリッジ(449)の外部から袋(444)に貫通するために、貫通物体は袋(446)に最初に貫通する必要があるだろう。
【0164】
袋(444)は、袋(446)によって保持された中和剤(445)を薬剤(420)から分離する。袋(346)は、袋(444)の外壁のまわりに中和剤(445)を保持し、その結果、袋(444)が貫通される場合、中和剤(445)は、薬剤(420)と反応するようにされ、それによって、薬剤(420)の液剤はアクセス不能になるかまたは機能的に中和される。カートリッジ(449)は、袋(446)、袋(444)に貫通することなく、または中和剤(445)を薬剤(420)と反応させるために放出することなく、送達装置から分離可能であり、再取り付け可能であり得る。
【0165】
一実施形態では、カートリッジは、薬剤とカートリッジの最遠位部分との間に位置付けられた圧力プレートを含む。一実施形態では、圧力プレートは、カートリッジの内部と同じ寸法を有しているプレートまたは摺動シール(例えば、シリンジのプランジャーシールなど)である。一実施形態では、圧力プレートは、カートリッジの近位の部分または区画に面する近位の側面または表面、およびカートリッジの遠位の部分または区画に面する遠位の側面または表面を有している。一実施形態では、圧力プレートは、カートリッジ内の薬剤が圧力プレートの近位側面上にその全体が位置付けられるように、カートリッジ壁でシールを有効に形成する。一実施形態では、圧力プレートは、カートリッジの内部に沿って摺動自在に移動可能である。例えば、圧力プレートは、カートリッジ内部の進路(track)に沿って移動するように構成され得る。一実施形態では、カートリッジ内の圧力の変化は、圧力プレートがカートリッジの近位端に向かって前進移動する原因となる。圧力プレートが、カートリッジの近位部分に向かってカートリッジ内を前進移動するとき、圧力プレートの近位側面上の薬剤は、圧力プレートによってカートリッジから押し出されるかまたは排出される。一実施形態では、圧力プレートの近位側面上にあるカートリッジの部分は、圧力プレートがカートリッジの遠位部の方へ押されるように、加圧される。圧力プレートの近位側面上の圧力が低下するとき、圧力プレートはカートリッジ内を前進移動するようにされ、圧力プレートの近位側面上に位置付けられた薬剤を排出する。一実施形態では、圧縮されたガス状の噴射剤は、圧力プレートの遠位側面上に位置付けられる。圧力がカートリッジ内で低下するとき、圧力プレートの遠位側面上に位置付けられたガス状の噴射剤は、広がって、圧力プレートをカートリッジの近位端の方に前進移動させ、圧力プレートの近位側面上に位置付けられた薬剤をカートリッジから押し出すかまたは排出する。一実施形態では、カートリッジ内の圧力プレートの移動は、薬剤の容量または残りの投薬の回数が、圧力プレートの相対位置に基づいて相応して決定されるように、電子的に伝達される。一実施形態では、圧力プレートの相対位置は、装置と電子的に通信しており、それによって、改ざん、損害、または故障などの、意図的な作動に対応しない圧力プレートの移動がある場合、装置は作動しないようにされ得る。
【0166】
一実施形態では、圧力プレートは、投薬を提供するための機械的(例えば主ねじ)または電気的な手段によって移動され得る。このように、圧力プレートによって移動した距離は、残りの薬剤の容量または残りの投薬の回数を決定するためにモニタリングされ得る。同様に、圧力プレートによって移動した距離は、各投薬の容量および/または既に行った投薬の容量および/または回数を決定するためにモニタリングされ得る。主ねじが前進される回転数によって、薬剤の投薬を測定および/または提供するための非常に正確な方法を提供することができる。
【0167】
図5Aは、第1の薬剤の投薬/混合を提供するように位置付けられたリザーバーおよびリザーバー栓の実例である。
図5Aにおいて、吸入式の薬剤送達装置(510)は、カートリッジ(540)およびリザーバー栓(512)を含む。カートリッジ(540)は、薬剤(520)およびカートリッジシール(543)を含む。リザーバー栓(512)は、栓シャフト(553)およびノズル(552)を含む。栓シャフト(553)は、中空であり、液体またはガスが外部のリザーバー栓(512)から栓シャフト(553)へと流れ、ノズル(552)を出ることを可能にする、第1ポート(555)および第2ポート(556)を含む。カートリッジ(540)は、送達装置(510)から分離可能であり、再取り付け可能であり得る。
【0168】
図5Aにおいて、リザーバー栓(512)は、栓シャフト(512)が、ポート(555)およびポート(556)の両方を薬剤(520)にさらされたままにする程度までシール(543)に貫通するように位置付けられて、例証されている。矢印(593)によって示されるように、ポート(555)およびポート(556)は両方とも、噴射剤の力の下で、薬剤(520)が栓シャフト(553)の中空内部空洞部に入り、カートリッジ(540)からノズル(553)まで流れ得るようにさらされる。ポート(555)およびポート(555)の両方が、薬剤(520)を栓シャフト(553)の中空内部空洞部に入れるため、ポート(555)またはポート(556)の1つのみが、薬剤(520)を栓シャフト(553)の中空内部空洞部に入れる場合よりも、薬剤(520)のより大きな流れが予期される。
【0169】
図5Aで例証されるように、リザーバー栓(512)が第1作動位置にあるときに、薬剤(520)は、ポート(555)およびポート(556)に入り、栓シャフト(553)を下って移動して、エアロゾル混合物(521)としてノズル(552)を出る。エアロゾル混合物(521)は、送達装置(510)によってさらに熱的に調節されるおよび/または追加の空気と混合され得る。エアロゾル混合物(521)は、本明細書に記載される、混合物(121)および/または混合物(221)に相当し得るか、またはそれに対する前駆体であり得る。
【0170】
図5Bで例証されるように、リザーバー栓(512)が第2作動位置にあるときに、薬剤(520)は、ポート(556)でなくポート(555)のみに入る。ポート(556)は薬剤(520)にさらされない。ポート(556)がシール(543)によって閉塞されるため、ポート(556)は薬剤(520)にさらされることを妨げられ得る。リザーバー栓(512)が、第2作動位置にあるときに、ポート(556)は、カートリッジ(540)の外部にまだ位置するか、そうでなければポート(556)を介して薬剤(520)の流れを妨げるように位置付けられるため、ポート(556)は薬剤(520)にさらされることを妨げられ得る。
【0171】
矢印(594)によって示されるように、薬剤(520)はポート(555)のみに入り、栓シャフト(553)を下って移動して、エアロゾル混合物(522)としてノズル(552)を出る。エアロゾル混合物(522)は、送達装置(510)によってさらに熱的に調節されるおよび/または追加の空気と混合され得る。エアロゾル混合物(522)は、本明細書に記載される、混合物(121)および/または混合物(221)に相当し得るか、またはそれに対する前駆体であり得る。
【0172】
図5Cは、薬剤の投薬/混合を制御するように構成されたカートリッジの実例である。
図5Cにおいて、吸入式の薬剤送達装置(510)は、カートリッジ(549)およびリザーバー栓(512)を含む。カートリッジ(549)は、薬剤(520)およびカートリッジシール(544)を含む。リザーバー栓(512)は、栓シャフト(553)およびノズル(552)を含む。栓シャフト(553)は、中空であり、リザーバー栓(512)の位置およびカートリッジシール(544)の構成に依存して、液体またはガスが外部のリザーバー栓(512)から栓シャフト(553)へと流れ、ノズル(552)を出ることを可能にする、第1ポート(555)および第2ポート(556)を含む。カートリッジ(540)は、送達装置(510)から分離可能であり、再取り付け可能であり得る。
【0173】
図5Cにおいて、リザーバー栓(512)は、
図5Aにおける位置と同じ位置に位置付けられる。
図5Cにおいて、栓シャフト(553)は、薬剤(520)を受けるためにポート(555)をさらされたままにするが、シール(544)の構成が原因で、薬剤(520)を受けるためにポート(556)をさらさない程度まで、シール(544)に貫通する。矢印(595)によって示されるように、(ポート(556)ではなく)ポート(555)は、噴射剤の力の下で、薬剤(520)が栓シャフト(553)の中空内部空洞部に入り、カートリッジ(540)からノズル(553)まで流れ得るようにさらされる。薬剤(520)が栓シャフト(553)の中空内部空洞部に入ることができるように、シール(544)の構成がポート(555)を薬剤(520)にさらすだけであるため、ポート(555)およびポート(556)の両方が、薬剤(520)を栓シャフト(553)の中空内部空洞部に入る場合よりも、薬剤(520)のより小さな流れが予期される(リザーバー栓(512)の同じ位置に関して
図5Aで例証される通り)。
【0174】
図5Cで例証されるように、リザーバー栓(512)が第1作動位置にあっても、カートリッジ(549)のシール(544)の構成は、薬剤(520)がポート(555)に入り、栓シャフト(553)を下って移動して、エアロゾル混合物(523)としてノズル(552)を出ることを可能にするだけである。エアロゾル混合物(523)は、送達装置(510)によってさらに熱的に調節されるおよび/または追加の空気と混合され得る。エアロゾル混合物(523)は、本明細書に記載される、混合物(121)および/または混合物(221)に相当し得るか、またはそれに対する前駆体であり得る。したがって、ノズル(552)によって出力されたエアロゾル混合物が、リザーバー栓(512)の位置、カートリッジ(540)の構成、およびリザーバー栓(512)の位置およびカートリッジ(540)の構成の両方(並びに特にシール(543)および/または(544)の構成)によって制御され得るかまたは影響を受け得ることが理解されるべきである。
【0175】
一実施形態では、シール(544)は空洞部(557)で構成される。空洞部(557)は、リザーバー栓が第1作動位置にあるときに、ポート(556)が空洞部(557)にさらされるように存在する。空洞部(557)は、噴射剤で加圧されるか、または混合物(523)の組成を判定するのを助けるために外気にさらされ得る。薬剤(520)がリザーバー栓(512)を通って流れ始める前にガスの正の流れを提供するために、空洞部(557)はガスで加圧され得る。薬剤(520)の流れが始まる前のガスのこの正の流れは、ポート(555)が、薬剤(520)にさらされる途中で空洞部(557)を通る(または停止する)と生じ得る。
【0176】
一実施形態では、リザーバー栓(512)は、リザーバー栓(512)のルーメンに通じる1つ以上のポート(555)および(556)を含む。1つの変形において、ポート(555)および(556)は、互いに一直線上にあり、リザーバー栓(512)の長さに沿って位置付けられる。ポート(555)および(556)は、例えば、サイズで同じであり得るか、または例えば、異なるサイズを有し得る。遠位ポート(555)は、例えば、近位ポート(556)よりも小さいかもしれない。
【0177】
リザーバー栓(512)へと送達された薬剤の投薬は、例えば、カートリッジ(540)内の異なる深さまでのノズルの貫通を制御することによって制御され得る。例えば、リザーバー栓(512)が、特定の深さまでシール(543)に貫通して通るとき、遠位ポート(555)のみがカートリッジの内部にさらされ、一方でシール(543)がポート(556)を覆って密封するように、より近位のポート(556)がシール(543)の内部に埋め込まれたままとなり得る。カートリッジ(540)内でポート(555)および(556)の両方をさらすより深い貫通によって、流体は、より速い速度でカートリッジ(540)を通って排出されることができるだろう。ポートの数を2に限定する必要はなく、例えば、リザーバー栓(512)に沿った、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のポートを含んでもよいことが理解されるべきである。同様に、互いに対するポートの場所および位置が変えられ得ることが理解されるべきである。例えば、複数のポートが、リザーバー栓(512)に沿って周囲に位置付けられてよい。例えば、ポートは、互いに一直線上に並ぶ必要はなく、互いに可変距離で離れて間隔を置かれ得る。同様に、例えば、円形、楕円、および多角形の形状を含む、様々な形状がポートに使用可能である。同様に、シール(543)内でポートの1つ以上を覆うことは別として、ポートを選択的に密封するための当業者に既知の他の手段がある。例えば、リザーバー栓(512)は、ハウジング内で摺動自在に移動し得、ハウジング内で摺動自在なリザーバー栓によって移動した距離に依存して、ポートを選択的に塞ぐことができる。別の例では、カートリッジからの液体またはガスまたは薬剤の流れを選択的に制御するために、可変流量制御バルブが使用され得る。
【0178】
リザーバー栓(512)は、例えば、スプリング駆動機構を用いて、シール(544)へとおよびシール(544)を通って進められ得る。リザーバー栓(512)は、例えば、手動駆動機構を用いて、シール(543)へとおよびシール(543)を通って進められ得る。リザーバー栓(512)をシール(543)へとおよびシール(543)に通して進める、任意の既知の機構が適切である。
【0179】
図6A-6Cは、リザーバー栓(612)が制御装置(611)の制御下で磁気アクチュエーターによって駆動される実施形態を示す。
図6A-6Cにおいて、吸入式の薬剤送達装置(610)は、カートリッジ(640)、制御装置(611)、アクチュエーター(662)、磁石(661)、およびリザーバー栓(612)を含む。カートリッジ(640)は、薬剤(620)およびカートリッジシール(643)を含む。リザーバー栓(612)は、栓シャフト(653)およびノズル(652)を含む。栓シャフト(653)は、中空であり、液体またはガスが外部のリザーバー栓(612)から栓シャフト(653)へと流れ、ノズル(652)を出ることを可能にする、ポート(655)および(656)を含む。カートリッジ(640)は、送達装置(610)から分離可能であり、再取り付け可能であり得る。
【0180】
アクチュエーター(662)は制御装置(611)に動作可能に連結される。アクチュエーター(662)は、制御装置(611)の制御下にあり、これによって、磁石(661)は選択的に引きつけられるかまたは反発する。磁石(661)はリザーバー栓(612)に付けられ、それによって、アクチュエーター(662)が磁石(661)に力を加えるために磁石(661)を引きつけるまたはそれに反発すると、リザーバー栓(612)が磁石(661)とともに移動する。アクチュエーター(662)は、リザーバー栓(612)ではなく送達装置(610)に付けられ、その結果、リザーバー栓(612)は、カートリッジ(640)に対して近位または遠位に摺動自在に移動し得る。
リザーバー栓(612)は、制御装置(611)の制御下で、ポート(655)および/または(656)が薬剤(620)を受けるために制御可能に位置付けられ得るようにリザーバー栓(612)を位置付けるために、カートリッジ(640)に対して近位または遠位に摺動自在に移動し得る。
【0181】
図6Aは、第1(作動していない)位置に対する(アクチュエーター(662)および磁石(661)の相互作用を介する)制御装置(611)によるリザーバー栓の作動を例証している。
図6Aで例証される第1位置では、ポート(655)はシール(643)によって閉塞されている。ポート(656)は、ポート(655)よりも栓シャフト(653)に沿ってより近位に位置付けられる。したがって、ポート(656)は、薬剤(620)を受けることができないように位置付けられる。
【0182】
図6Bは、第2(作動した)位置に対する(アクチュエーター(662)および磁石(661)の相互作用を介する)制御装置(611)によるリザーバー栓の作動を例証している。
図6Bで例証される第2位置では、リザーバー栓(612)は、制御装置(611)によって、
図6Aで例証されるよりもより遠位の位置に動かされている。ポート(655)は薬剤(620)を受けるようにさらされる。ポート(656)はシール(643)によって閉塞される。したがって、ポート(656)は、薬剤(620)を受けることができないように位置付けられる。
【0183】
図6Cは、第3(作動した)位置に対する(アクチュエーター(662)および磁石(661)の相互作用を介する)制御装置(611)によるリザーバー栓の作動を例証している。
図6Cで例証される第3位置では、リザーバー栓(612)は、制御装置(611)によって、
図6Bで例証されるよりもより遠位の位置に動かされている。ポート(655)およびポート(656)は薬剤(620)を受けるようにさらされる。したがって、薬剤(620)がリザーバー栓(612)を通って流れるかまたは流れないことを可能にする(およびそれによってエアロゾルを生成する)ために、制御装置(611)がリザーバー栓(612)を動的に移動させ得ることが理解されるべきである。リザーバー栓(612)を通る薬剤(620)の流れを調節する(およびそれによって、生成されたエアロゾルの混合物を制御する)ために、制御装置(611)はリザーバー栓(612)を動的に移動させ得る。
【0184】
図7は、リザーバー栓の制御された熱的加熱を例証している。
図7において、吸入式の薬剤送達装置(710)は、カートリッジ(740)、制御装置(711)、アクチュエーター(762)、磁石(761)、加熱器(713)、およびリザーバー栓(712)を含む。カートリッジ(740)は、薬剤(720)およびカートリッジシール(743)を含む。リザーバー栓(712)は、栓シャフト(753)およびノズル(752)を含む。栓シャフト(753)は、中空であり、液体またはガスが外部のリザーバー栓(712)から栓シャフト(753)へと流れ、ノズル(752)を出ることを可能にする、ポート(755)および(756)を含む。カートリッジ(740)は、送達装置(710)から分離可能であり、再取り付け可能であり得る。
【0185】
アクチュエーター(762)は制御装置(711)に動作可能に連結される。加熱器(713)は制御装置(711)に動作可能に連結される。アクチュエーター(762)は、制御装置(711)の制御下で、磁石(761)を選択的に引きつけるかまたはそれに反発する。磁石(761)はリザーバー栓(712)に付けられ、それによって、アクチュエーター(762)が磁石(761)に力を加えるために磁石(761)を引きつけるまたはそれに反発すると、リザーバー栓(712)が磁石(761)とともに移動する。アクチュエーター(762)は、リザーバー栓(712)ではなく送達装置(710)に付けられ、その結果、リザーバー栓(712)は、カートリッジ(740)に対して近位または遠位に摺動自在に移動し得る。リザーバー栓(712)は、制御装置(711)の制御下で、ポート(755)および/または(756)が薬剤(720)を受けるために制御可能に位置付けられ得るようにリザーバー栓(712)を位置付けるために、カートリッジ(740)に対して近位または遠位に摺動自在に移動し得る。
【0186】
図7は、作動していない位置に対する(アクチュエーター(762)および磁石(761)の相互作用を介する)制御装置(711)によるリザーバー栓の作動を例証している。しかしながら、制御装置(711)が、作動サイクル中にリザーバー栓(712)を動的に移動させることに加えて、リザーバー栓(712)を様々な作動位置に位置付けることができることが理解されるべきである。
図7のAで例証される位置では、ポート(755)はシール(743)によって閉塞される。ポート(756)は、ポート(755)よりも栓シャフト(753)に沿ってより近位に位置付けられる。したがって、
図7において、ポート(756)は、薬剤(720)を受けることができないように位置付けられる。
【0187】
制御装置(711)は加熱器(713)に動作可能に連結される。加熱器(713)は誘導加熱器であってもよい。一実施形態では、加熱器(713)は、摺動自在に位置付けられるおよび/または移動されるリザーバー栓(712)とともに移動し得る。したがって、リザーバー栓(712)の作動によって、加熱器(713)により加熱されているリザーバー栓(712)の部分が変化することはない。別の実施形態では、加熱器(713)は、カートリッジ(740)に対して静止したままである。したがって、リザーバー栓(712)の作動によって、加熱器(713)により加熱されているリザーバー栓(712)の部分(および特に、栓シャフト(753))が変化する。
【0188】
図8は、薬剤の流速を例証しているチャートである。
図8において、曲線(801)は、時間に対する典型的な相対空気量速度を例証している。曲線(801)は、吸入可能な薬剤送達装置を操作するユーザーの吸入サイクルの間に生成された空気流を表わし得る。曲線(802)は、リザーバー栓の典型的な相対変位(つまり位置)を例証している。
図8で見ることができるように、リザーバー栓は、ほとんどまたは全く動かされることなく、第1位置で開始する。言いかえれば、リザーバー栓は作動していない位置で開始する。曲線(801)によって示される空気流が時間とともに増加すると、リザーバー栓は第1作動位置へと再び位置付けられる。リザーバー栓は、吸入サイクル中の第1期間の間、この第1作動位置にとどまる。吸入サイクルにおける第2時点で、リザーバー栓は第2作動位置へと再び位置付けられる。リザーバー栓は、吸入サイクル中の第2期間の間、この第2作動位置にとどまる。吸入サイクルにおける第3時点で、リザーバー栓は第3作動位置へと再び位置付けられる。リザーバー栓は、吸入サイクル中の第3期間の間、この第3作動位置にとどまる。最終的に、リザーバー栓は、作動していない位置へと再び位置付けられる。
【0189】
曲線(803)は、リザーバー栓を通る典型的な薬剤の流速を例証している。
図8で見ることができるように、吸入サイクルは、薬剤がほとんどまたは全く流れることなく開始する。これは、リザーバー栓が作動していない位置で開始する結果であり得る。曲線(801)によって示される空気流が時間とともに増加すると、薬剤の流速は、リザーバー栓を第1作動位置に再び位置付けることによって第1の量に設定される。薬剤の流速は、吸入サイクル中の第1期間の間、第1の量に設定されたままである。吸入サイクルにおける第2時点で、リザーバー栓は第2作動位置へと再び位置付けられる。これによって、薬剤の流速は、吸入サイクル中の第2期間の間、第2の量に設定される。リザーバー栓が吸入サイクルにおける第3時点で第3位置に再び位置付けられるとき、薬剤の流速は、ほとんどなくなるまたは全くなくなるように減少される。したがって、吸入サイクル中の第3期間の間に、空気のみがユーザーに流れている。
【0190】
図9Aは、吸入式の薬剤送達装置用のリザーバーおよび噴射剤用の栓を有する薬剤カートリッジを含む一実施形態の実例である。
図9Aにおいて、栓シャフトと一体となるカートリッジバルブアセンブリは、シールを貫通する栓シャフトの代わりに使用され、ここで栓シャフトは、例えば、バルブとして作用するカートリッジの構成要素である。
【0191】
図9Bは、バルブアセンブリを有する薬剤カートリッジの一実施形態の拡大図を示す。
図9Bにおいて、吸入式の薬剤送達装置(910)は、カートリッジ(940)およびノズルアセンブリ(912)を含む。カートリッジ(940)は、袋(944)、薬剤(920)、シール(943)、シール(946)、バルブシャフト(954)、噴射剤(941)、および戻しばね(992)を含む。ノズルアセンブリの栓(912)は、シャフト(953)およびノズル(952)を含む。シャフト(953)は、中空であり、バルブシャフト(954)と対になるように構成されている。袋(944)は薬剤(920)を保持する。
【0192】
バルブシャフト(954)は、液体またはガスがカートリッジ(910)からバルブシャフト(954)、シャフト(953)へと流れ、ノズルノズル(952)を出ることを可能にする、ポート(955)およびポート(956)を含む。特に、バルブシャフト(954)が作動位置でシャフト(953)によって移動される(つまり作動される)ときに、噴射剤(941)ガスは、ポート(955)の1つ以上へと、バルブシャフト(954)を通ってシャフト(953)へと流れ得、その後、ノズル(952)を出る。同様に、バルブシャフト(954)が作動位置でシャフト(953)によって移動される(つまり作動される)ときに、薬剤(920)は、ポート(956)の1つ以上へと、バルブシャフト(954)を通ってシャフト(953)へと流れ得、その後、ノズル(952)を出る。
【0193】
一実施形態では、袋(920)は、バルブシャフト(954)が作動されていない位置にあるときにバルブシャフト(954)によって閉塞される開口部を有する。バルブシャフト(954)が作動位置にあるときに、袋(944)における開口部は、バルブシャフト(954)上でポート(956)と並び、その結果、袋(944)の内容物はポート(956)へ流れ得る。
【0194】
作動されたときに、シャフト(953)は、バルブシャフト(954)をカートリッジ(940)内の作動位置に押し込む。作動されていないときに、戻しばね(992)は、バルブシャフト(954)を作動していない位置へと押し戻す。作動されていないときに、バルブシャフト(954)は、シール(943)がポート(956)を閉塞し、シール(946)がポート(955)を閉塞して、それにより、噴射剤(941)および薬剤(920)がバルブシャフト(954)に入ることを防ぐように位置付けられる。作動されたときに、シャフト(953)は、バルブシャフト(954)を作動位置に押し込む。作動位置では、ポート(955)および/または(956)の1つ以上は閉塞されない。
【0195】
例えば、バルブシャフト(954)は、ポート(955)の1つ以上が噴射剤(941)にさらされるが、ポート(956)が閉塞される位置に押し込まれ得る。この位置では、噴射剤(941)のみがノズル(952)から排出されるだろう。別の例では、バルブシャフト(954)は、ポート(955)が閉塞されるが、ポート(956)が袋(944)から薬剤(920)を受けている位置に押し込まれる。この位置では、薬剤(920)のみがノズル(952)に提供されるだろう。別の例では、バルブシャフト(954)は、ポート(955)の1つ以上が噴射剤(941)にさらされるが、ポート(956)が袋(944)から薬剤(920)を受けるように位置付けられる位置に押し込まれる。この位置では、薬剤(920)および噴射剤(941)の両方がノズル(952)に提供される。
【0196】
カートリッジ(940)は、送達装置(910)から分離可能であり、再取り付け可能であり得る。圧縮可能な袋(944)は、好ましくは、加圧されたガス状の噴射剤を含むカートリッジに近位に位置付けられる。一実施形態では、袋は、膨張性であり得、液体に(加圧されたガスとともに)全体的にまたは部分的に圧力をかけ、液体をノズルへと促進する。
【0197】
一実施形態では、袋(944)は複数の層を含み得、それによって、液状薬剤を含有している内部の袋と外部の袋との間に、活性賦形剤を不活性にするかまたはそうでなければ活性賦形剤を吸収するおよび捕捉するために乾燥した中和剤または吸収材料を含有することができる空間があり、内部の袋の外部表面と外部の袋の内部表面との間の空間に、液体中和剤も含有され得る。袋によって、装置は吸入器の空間内の向きとは無関係な方法で作動される。
【0198】
図9Cは、リザーバーおよび噴射剤用の栓を有する薬剤カートリッジの作動の実例である。
図9Cで例証されるように、バルブシャフト(954)は、ポート(955)が噴射剤(941)にさらされ、1つ以上のポート(956)が袋(944)から薬剤(920)を受けるように位置付けられるように位置付けられている。矢印(993)によって示されるように、噴射剤はポート(955)の少なくとも1つに入り、薬剤(920)はポート(956)の少なくとも1つに入る。その後、噴射剤および薬剤は、バルブシャフト(954)、シャフト(953)を通って流れ、エアロゾル混合物(921)としてノズル(952)を出る。
【0199】
一実施形態では、流速は吸入可能な薬剤送達装置によって決定される。一実施形態では、カートリッジ内に位置付けられているポートのタイプは、装置を通る薬剤の流速を制御または決定するために選択される。一実施形態では、コアンダ効果および/またはベンチュリ効果を利用する、空気流を増幅させる特徴が、流速および/または流量の増加をもたらすために選択的に利用される。一実施形態では、バルブシステムは、装置を通る薬剤の流れを制御するために、異なるサイズの様々なポート上で開口部を選択的に覆う且つさらすように構成されている。一実施形態では、薬剤送達装置によって送達された薬剤の流速は、ジェット噴霧器によって送達された薬剤の流速とほぼ同じ流速を含む。一実施形態では、薬剤送達装置によって送達された薬剤の流速は、標準の吸入器または計量式吸入器によって送達された薬剤の流速とほぼ同じ流速を含む。一実施形態では、薬剤送達装置によって送達された薬剤の流速は、たばこによって送達された煙またはエアロゾルの流速とほぼ同じ流速を含む。
【0200】
図10Aは、吸入可能な薬剤送達装置の一実施形態の外観図である。
図10Aにおいて、送達装置(1010)は、主本体(1017)、カートリッジカバー(1018)、マウスピースカバー(1081)、ディスプレイ(1082)、主ボタン(1083)、および補助ボタン(1084)を含む。主本体(1017)およびカートリッジカバー(1018)は、金属、合金、プラスチック、ポリマー、セラミックス、またはそれらの物質の組み合わせなどの、様々な材料材質で構成され得る。主本体(1017)およびカートリッジカバー(1018)は、立方体または正方形または矩形の形状を有しているものとして例証されているが、円筒状、楕円、卵形などの他の形状も可能である。マウスピースカバー(1081)は、ユーザーの唇に係合させてシールを形成するために、装置(1010)の最も近位の面上に置かれ、それによって、ユーザーは、蒸発したエアロゾルを装置から口、気道、および肺へと吸入し得る。マウスピースカバー(1081)は、シリコーン、ゴム、プラスチック、ポリマー、セラミック、金属、または他の物質で構成され得る。マウスピースカバー(1081)は、抗菌剤で構成されるまたはそれらを含有している物質などの、細菌の増殖に抵抗するかまたはそれを妨害する物質で構成され得る。マウスピースカバー(1081)は、新しいマウスピースカバーと交換され得るように、ユーザーによって容易に取外し可能であるおよび交換可能であるように構成され得る。マウスピースカバー(1081)は、使い捨てであり得るかまたは再使用可能であり得る。マウスピースカバー(1081)は、アルコールまたは同様の薬剤などの殺菌剤で殺菌され得る物質であり得る。マウスピースカバー(1081)は、水の沸騰または蒸気の適用などの加熱殺菌によって洗浄され得る。
【0201】
送達装置(1010)は、ユーザーによって片手で操作されるように意図されている。送達装置(1010)は、マウスピースカバーに(1081)を唇に持っていき、主ボタン(1083)(例証される)、スイッチ、センサ、および/またはそれらの組み合わせの使用により装置を作動させることによって操作され得る。カートリッジカバー(1018)は、カートリッジを収容するカバーとして働く。カートリッジカバー(1018)および主本体(1017)は、装置の外部表面のほとんどを占める。
【0202】
図10Bは、吸入可能な薬剤送達装置の一実施形態の分解図を例証している。
図10Bにおいて、例証される送達装置(1010)の部品は、リザーバー栓(1012)、カートリッジカバー(1018)、バルブアセンブリ(1050)、バッテリーと電子機器のアセンブリ(1011)、主本体(1017)、およびマウスピースカバー(1081)を含む。
【0203】
図10Cは、吸入可能な薬剤送達装置用のカートリッジカバーおよびカートリッジの一実施形態の分解図を例証している。
図10Cにおいて、例証される送達装置(1010)の部品は、カートリッジカバー(1018)およびカートリッジ(1040)を含む。カートリッジ(1040)は、カートリッジ充填プラグ(1041)を含む。カートリッジ充填プラグ(1041)は、カートリッジ(1040)が、薬剤、噴射剤、またはその両方を充填されることを可能にする。一実施形態では、1つを超えるカートリッジ充填プラグ(1041)があり得る。
【0204】
図10Dは、吸入可能な薬剤送達装置用のカートリッジの一実施形態の分解図を例証している。
図10Dにおいて、例証されるカートリッジ(1040)の部品は、カートリッジ充填プラグ(1041)、ガスカートリッジ(1049)、多孔性のリザーバー(1042)、セプタムリテーナー(1047)、セプタム(1043)、およびカートリッジセプタムハウジング(1048)を含む。
【0205】
ガスカートリッジ(1049)は、二酸化炭素(CO2)などのガス噴射剤を保持し得る。ガスは、カートリッジ(1040)中の液剤をカートリッジ(1040)から出してノズルを通るように促進してエアロゾルを生成する正圧を提供するなどのために、圧力下でカートリッジ(1040)中に保持される。ガスカートリッジ(1049)の内部には、カートリッジ(1040)の遠位領域を占める多孔性のリザーバー(1042)がある。多孔性のリザーバー(1042)は、カートリッジ(1040)中に保持されたガスが、多孔性のリザーバーに押し通され、結果として、中空ノズルシャフトおよびその後ノズル(352)への送達のために液体を多孔性のリザーバー(1042)から動かされるような方法で、液剤を維持する、保持する、またはそうでなければ捕捉する働きをする。
【0206】
多孔性のリザーバー(1042)は、疎水性である多孔質材料またはマトリックス材料を含み、これらは、マトリックス中の空隙または多孔質材料中の孔に毛管作用または類似した手段によって液剤を保持する能力を有しており、セラミックス、ガラス、ポリマー、またはプラスチックなどの物質がその適用に適しているかもしれない。液剤を含有している多孔性のリザーバー(1042)が出口ポートの近位の方向で液剤を維持するため、多孔性のリザーバー(1042)によって、送達装置(1010)は向きと関係なく動作されることが可能となる。液剤がガス状の噴射剤を有する混和性溶液へともたらされる幾つかの実施形態において、多孔性のリザーバー(1042)は省かれ得る。
【0207】
多孔性のリザーバー(1042)は、液剤との意図的または意図的でないアクセスまたは接触を防ぐなどのために、カプセル化された吸収剤または中和剤(
図10A-10Lでは例証されず)を含有し得る。木炭などのカプセル化された吸収剤は、プラスチック、ポリマー、セラミックス、またはガラスなどの、疎水性のケーシングに包み込まれ得、その結果、カートリッジ(1040)がアクセスされ、多孔性のリザーバー(1042)が除去された場合、カプセル封入は、破断するか、またはそうでなければ吸収剤または中和剤を、液剤と接触するようにさせ、液剤をアクセス不能にするか、または機能的に中和させるだろう。
【0208】
カートリッジ(1040)は、セプタム(1043)とも係合するカートリッジセプタムハウジング(1048)によって近位面で密封され得る。セプタム(1043)は、シリコーンゴムなどの展性材料で構成される。一実施形態では、セプタム(1043)は、シリコーンプラグなどの自己修復材料で構成される。自己修復材料によって、ノズルシャフトは、遠位面の近位にスライドし、カートリッジ(1040)に入ることができる。送達装置(1010)が使用されていないとき、ノズルシャフトの側面上に存在するポートは、セプタム(1043)によって閉塞されるか、またはそうでなければ塞がれる。液剤がカートリッジを回避することができないように、この配向はカートリッジ(1040)を機能的に密封する。
【0209】
図10Eおよび
図10Fは、吸入可能な薬剤送達装置用のリザーバー栓アセンブリの一実施形態の分解図を例証している。例証されるリザーバー栓(1012)の部品は、ノズル(1052)、栓シャフト(1053)、ポート(1055)、ポート(1056)、および磁石(1061)を含む。近位および遠位の方向での摺動自在な移動を可能にするために、リザーバー栓(1012)がスリーブ(1059)に配置され得る。栓シャフト(1053)は、流体がポート(1055)および/または(1056)からノズル(1052)に流れることを可能にする中空空洞部を含む。磁石(1061)は、リザーバー栓をセプタム(1043)およびカートリッジ(1040)に対して移動させるまたは位置付けるために、アクチュエーターと相互作用し得る。
【0210】
図10Gは、吸入可能な薬剤送達装置用のバルブアセンブリの実施形態の分解図を示す。
図10Gにおいて、示されるバルブアセンブリ(1050)の部品は、バルブハウジングの蓋(1067)、プリント回路基盤(PCB)(1066)、バルブハウジング(1065)、電子モジュール(1069)、およびコンデンサ(1068)を含む。一実施形態において、コンデンサ(1068)はスーパーコンデンサである。
【0211】
図10Hは、吸入可能な薬剤送達装置用のバッテリーと電子機器のアセンブリの実施形態の分解図を示す。
図10Gにおいて、バッテリーと電子機器のアセンブリ(1011)の部品は、制御装置(1087)、加熱器接触部(1088)、バッテリー(1085)、およびハウジング(1086)を含む。加熱器接触部(1088)は、制御装置(1087)に電気接続される。一実施形態において、加熱器接触部(1088)は、制御装置(1087)による別個の発熱体の選択的な作動を可能にする、複数の加熱器接触部を含む。
【0212】
図11は、吸入可能な薬剤送達装置用のカートリッジの実施形態の分解図を示す。
図11において、示されたカートリッジ(1140)の部品は、カートリッジ充填プラグ(1145)、ガスカートリッジ(1149)、袋(1144)、セプタムリテーナー(1147)、外部セプタム(1143)、内部セプタム(1173)、セプタムセパレーター(1174)、およびカートリッジの蓋(1148)を含む。
【0213】
図12は、吸入可能な薬剤送達装置の実施形態の分解図を示す。
図12において、示された送達装置(1210)の部品は、カートリッジ(1140)、バルブアセンブリ(1050)、リザーバ栓(reservoir tap)(1012)、吸引管(1219)、熱反射板(1218)、加熱器セグメント(1213)、加熱器セグメント(1214)、加熱器セグメント(1215)、加熱器セグメント(1216)、バッテリーと電子機器のアセンブリ(1011)、ディスプレイ(1082)、およびマスウピースカバー(1081)を含む。
【0214】
一実施形態において、リザーバ栓(1012)のノズルにより生成されるエアロゾルは、ノズルの周辺にある吸引管(1219)に侵入する。吸引管(1219)は、生成されたエアロゾルをマスウピースに導く。吸引管(1219)は、加熱器セグメント(1213)-(1216)により、吸引管の部分的な長さまたは全体の長さにわたり加熱され得る。吸引管(1219)の長さに沿った加熱の程度は、肺または他の所望の気道領域への薬剤の送達に所望される粒径を達成するために、エアロゾルの蒸発または熱調節を最適化するように調節され得る。一実施形態において、吸引管(1219)は、エアロゾルが発熱体に直接接触しないように、加熱器セグメント(1213)-(1216)の1以上により管の外面から加熱される。反射板(1218)は、吸引管(1219)に熱エネルギーを集中させるのを支援する。
【0215】
吸引管(1219)は、セラミック、ガラス、金属、合金、または他の適切な材料で構成され得る。吸引管(1219)は、加熱器セグメントを包含する別個のチューブ、またはそうでなければ放射熱および/または赤外線放射により加熱され得る。故に、吸引管(1219)は、熱および/または赤外線放射の黒体吸収体であると考えられ得る。
【0216】
加熱器セグメント(1213)-(1216)は、コイルで構成され、または、吸引管(1219)の内面或いは外面に印刷され、めっきされ、またはそうでなければそれらに直接適用或いは固定され、または、吸引管(1219)の壁内に含有され得る。加熱器セグメントは、吸引管の同じ材料組成またはガラスまたはセラミックのコーティング等の別の適切な材料であり得る材料で出来た、薄いカバーまたはコーティングにより吸引管から分離され、それにより、エアロゾルは発熱体材料に直接は接触せず、或いは、発熱体材料は、加熱材料がエアロゾルへと放出されずまたはエアロゾルに接触しないよう、コーティング材料中に包含される。加熱器セグメント(1213)-(1216)は、様々な方法により熱を発し得る。一実施形態において、熱は、赤外線エネルギーの放射または生成により発せられる。一実施形態において、吸引管(1219)は、赤外線エネルギーを吸引管に反射させる材料の選択を通じて、赤外線エネルギーなどの熱エネルギー反射する或いはそうでなければその損失を減らすことにより、発熱体からの熱損失を減らす材料で構成される。一実施形態において、反射板(1218)は、赤外線エネルギーを吸引管に反射させる材料の選択を通じて、赤外線エネルギーなどの熱エネルギーを反射する或いはそうでなければその損失を減らすことにより、発熱体からの熱損失を減らす材料で構成される。
【0217】
図13は、コンピュータシステムの実施形態のブロック図を示す。制御装置(211)、制御装置(611)、および/または制御装置(711)がコンピュータシステムであるか、またはコンピュータシステムを含み得る。コンピュータソフトウェアは、本明細書に記載される制御機能および/またはディスプレイ機能の1以上を実装し得る。コンピュータシステム(1300)は、通信インターフェース(1320)、処理システム(1330)、ストレージシステム(1340)、およびユーザーインターフェース(1360)を含む。処理システム(1330)は、ストレージシステム(1340)に操作自在に繋がれる。ストレージシステム(1340)は、ソフトウェア(1350)とデータ(1370)を保存している。処理システム(1330)は、通信インターフェース(1320)とユーザーインターフェース(1360)に操作自在に繋がれる。コンピュータシステム(1300)は、プログラムされた汎用コンピュータを含み得る。コンピュータシステム(1300)はマイクロプロセッサを含み得る。コンピュータシステム(1300)は、プログラム可能な、または特殊目的の回路を含み得る。コンピュータシステム(1300)は、複数の装置、プロセッサ、ストレージ、および/または素子(1320)-(1370)を一緒に含むインターフェースの中で分布され得る。
【0218】
通信インタフェース(1320)は、ネットワークインターフェース、モデム、ポート、バス、リンク、トランシーバー、または他の通信装置を含み得る。通信インターフェース(1320)は複数の通信装置の中で分布され得る。処理システム(1330)は、マイクロプロセッサ、マイクロ制御装置、論理回路、または他の処理装置を含み得る。処理システム(1330)は複数の処理装置の中で分布され得る。ユーザーインターフェース(1360)は、キーボード、マウス、音声認識インターフェース、マイクロホン、およびスピーカー、グラフィカルディスプレイ、タッチスクリーン、または他のタイプのユーザーインターフェース装置を含み得る。ユーザーインターフェース(1360)は複数のインターフェース装置の中で分布され得る。ストレージシステム(1340)は、ディスク、テープ、集積回路、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、ネットワークストレージ、サーバー、または他のメモリー機能を含み得る。ストレージシステム(1340)はコンピュータ可読媒体を含み得る。ストレージシステム(1340)は複数のメモリー装置の中で分布され得る。
【0219】
処理システム(1330)は、ストレージシステム(1340)からソフトウェア(1350)を検索し且つ実行する。処理システム(1330)は、データ(1370)を検索し且つ保存し得る。処理システム(1330)はまた、通信インターフェース(1320)を介してデータを検索し且つ保存し得る。処理システム(1330)は、触知可能な(tangible)結果を達成するためにソフトウェア(1350)またはデータ(1370)を作成または修正し得る。処理システム(1330)は、触知可能な結果を達成するために通信インターフェース(1320)またはユーザーインターフェース(1360)を制御し得る。処理システムは、通信インターフェース(1320)を介して、遠隔で保存されたデータを検索し且つ実行し得る。
【0220】
ソフトウェア(1350)および遠隔で保存されたソフトウェアは、操作システム、ユーティリティー、ドライバー、ネットワーキングソフトウェア、およびコンピュータシステムにより典型的に実行される他のソフトウェアを含み得る。ソフトウェア(1350)は、アプリケーションプログラム、アプレット、ファームウェア、またはコンピュータシステムにより典型的に実行される機械可読の処理命令の他の形態を含み得る。処理システム(1330)により実行されると、ソフトウェア(1350)または遠隔で保存されたソフトウェアは、操作対象であるコンピュータシステム(1300)を配向し得る。
【0221】
一実施形態において、吸入可能な薬剤送達装置は、パワーモジュールを含む。一実施形態において、パワーモジュールは、CPU、プロセッサ、および少なくとも1つのセンサを含む。
【0222】
一実施形態において、吸入可能な薬剤送達装置は、1以上の温度センサを含む。一実施形態において、1以上の温度センサは、1以上のセンサから温度データを受信するように構成されるプロセッサに繋がれる。一実施形態において、プロセッサは更に、1以上の熱センサから受信された温度データに応じて1以上の加熱器の温度を修正するように構成される。
【0223】
一実施形態において、吸入可能な薬剤送達装置は、周囲データを感知するように構成された1以上のセンサを含む。一実施形態において、センサは周囲温度を感知するように構成される。一実施形態において、センサは周囲圧力を感知するように構成される。一実施形態において、センサはユーザーの口腔温を感知するように構成される。一実施形態において、周囲データを感知するように構成された1以上のセンサは、プロセッサに繋がれる。一実施形態において、プロセッサは更に、1以上の周囲センサから受信された温度または圧力のデータに応じて1以上の加熱器の温度を修正するように構成される。一実施形態において、プロセッサは、1以上の周囲センサにより測定され得る環境要因に応じて装置を較正且つ調整するように構成される。
【0224】
一実施形態において、吸入可能な薬剤送達装置は、1以上の流速センサを含む。一実施形態において、1以上の流速センサは、吸入可能な薬剤送達装置を通って薬剤が移動する際の薬剤の流速を感知する。一実施形態において、流速データを感知するように構成された1以上のセンサは、プロセッサに繋がれる。一実施形態において、プロセッサは更に、1以上の流速センサから受信された流速データに応じて1以上の加熱器の温度を修正するように構成される。一実施形態において、プロセッサは更に、流速センサから受信された流速データに応じて流速を修正するように構成される。例えば、流速センサから受信された流速データに応じて、プロセッサは、第2のポートをカートリッジに進めて、従って本明細書に記載されるようなノズルおよび吸引管を通る薬剤の流速を増大する。例えば、流速センサから受信された流速データに応じて、プロセッサは、第2のポートをカートリッジから引き抜き、従って本明細書に記載されるようなノズルおよび吸引管を通る薬剤の流速を減少させる。
【0225】
一実施形態において、吸入可能な薬剤送達装置は、1以上の生体認証センサを含む。一実施形態において、1以上の生体認証センサはユーザーを識別するように構成される。一実施形態において、1以上の生体認証センサは、プロセッサに繋がれる。一実施形態において、プロセッサは更に、生体認証センサがユーザーの同一性の確認を含むシグナルを提供する場合にのみ、吸入可能な薬剤装置を起動させるように構成される。
【0226】
一実施形態において、吸入可能な薬剤送達装置の使用は、以下の工程の1以上を含む:ユーザーは、吸入可能な薬剤装置を獲得する。1つの変形においては、吸入可能な薬剤装置は、使用前に、特定の様式で被験体に特定の薬剤を提供するように構成される。1つの変形において、吸入可能な薬剤送達装置は、装置が使用される前に、患者に送達される薬剤の流速、温度、およびエアロゾル粒径の1以上が設定されるように構成される。1つの変形において、1以上の生体認証センサは、ユーザーの同一性を確認すると共に、生体認証センサを介したユーザーの同一性の確認に応じて吸入可能な薬剤送達装置を起動するのを可能にする。カートリッジおよびハウジングが別個の構成要素である実施形態から構成される1つの変形において、ユーザーは、薬剤を含有するカートリッジを、吸入可能な薬剤送達装置のハウジングに繋げる。1つの変形において、ユーザーは、自身の口唇に、またはその付近に、装置のマスウピースを押しつける。1つの変形において、ユーザーは、カートリッジから薬剤を排出すると共に、吸入管を介してユーザーに薬剤を送達するボタンを押すか、またはそのためのタッチスクリーンにタッチする。1つの変形において、ユーザーは、ユーザーインターフェースを通って送達された薬剤の流速を制御する。1つの変形において、使用後に、装置は、例えば吸入管の加熱により自己滅菌をおこなうように構成される。
【0227】
<組成物>
一実施形態において、吸入式薬剤送達装置により生成される、エアロゾル化された薬剤は、液滴を含み得、或いは、エアロゾルを形成する蒸気および蒸気混合物を混合され得る。代替的に、エアロゾル化された薬剤は、装置内で完全に蒸発され得る。
【0228】
エアロゾルは典型的に、気体中で懸濁された液滴を含む。吸入可能な薬剤送達装置により生成されるエアロゾル内の液滴は、本明細書に記載されるように、薬剤粒子から構成され、且つ賦形剤を更に含み得る。前記装置により生成されるエアロゾルは、例えばエアロゾルを加熱することにより蒸気に転換され得る。用語「蒸気」は、エアロゾルのガス状の形態を意味すると理解され得る。エアロゾルは例えば、エアロゾルが蒸気へと部分的に転換され、部分的にエアロゾルのままで残り、従ってエアロゾルと蒸気の混合物を形成する程度にまで加熱され得る。エアロゾル内の液滴は典型的に、蒸気中に見出される薬剤の粒子より大きな薬物粒子を含む。蒸発の程度と同様に、エアロゾルの液滴または粒径も、薬剤の送達に影響を及ぼす。
【0229】
エアロゾルまたは部分的な蒸気の中の液滴の大きさは、予測可能な方法で薬剤送達に影響を及ぼすように修正され得る。即ち、液滴の大きさは、エアロゾル生成装置内の温度の調節により大きくまたは小さくされ得る。大きなおよび小さなエアロゾルの液滴は、エアロゾルの液滴の大きさの調節を介して薬剤送達中の制御を可能にするよう、異なって移動する。例えば、より大きな粒子は、より小さな粒子ほど気道および肺へと深く移動する傾向はない。また、より大きな粒子は、大きすぎる場合に排出され得る。故に、例えば、主として上気道および肺葉の上部への薬剤の送達が所望される場合、より大きな液滴の大きさが最適である。代替的に、より小さな粒子は、肺の中をより深く移動する傾向があり、そのためより小さな液滴または蒸気が、より下方の肺葉への送達に最適である。しかし、非常に小さな液滴は、肺に深く進み、後に吸収されること無く吐き出されてしまう。
【0230】
エアロゾル内の粒子の大きさを説明するのに有用な1つの方法は、粒子の空気力学的質量中央径(MMAD)を使用している。MMADは、母集団の平均質量の粒子の直径に等しい。このことは、MMADが、エアロゾル質量の50%がその粒子の質量よりも大きく、且つ50%がその粒子の質量よりも小さな、粒子の直径であることを意味している。異なる3つの機構が、エアロゾルの堆積を説明するために使用され得る。3つの機構は、嵌入、沈降、および懸濁である。嵌入において、エアロゾルの粒子は、呼吸器官の湾曲部に一致する代わりに、気道を通って移動する際に、軌道を継続する傾向がある。十分な運動量を持つ粒子は、気流により気管壁に衝突する方向が急に変化される点での遠心力により影響を受ける。嵌入は主に、10μmより大きな粒子に影響を及ぼす。10μmより大きな粒子は、中咽頭に堆積する傾向があり得る。沈降において、十分な質量を持つ粒子は、十分な長さの時間にわたり気道に残る場合、重力により堆積される。最後に、懸濁において、エアロゾルの粒子は、ブラウン拡散の結果として気道中の1つの場所から別の場所へと不安定に移動する。懸濁は、対気速度が事実上ゼロである肺胞腔において、0.5μmより小さなMMADを持つ粒子に影響を及ぼす傾向がある。0.5μmよりも小さなMMADを持つ粒子は典型的に堆積されず、呼息により排出される。
【0231】
例えば10-15μmの間のMMADを持つ粒子は、中咽頭に堆積される傾向があり得る。例えば5から10μmの間のMMAD測定値(measuring)を持つ粒子は、上気道に堆積される傾向があり得る。例えば0.5から5μmのMMADを持つ粒子は、下気道と肺胞に堆積される傾向があり得る。肺胞に送られる呼吸器処置は故に、0.5から5μmの間のMMADを持つ粒子を使用して達成され得る。0.5から5μmの範囲は、エアロゾルの呼吸可能な画分として知られる。(Tena, F. , Casan Clara, P. Deposition of Inhaled Particles Within the Lungs. Arch Bronconeumol. 2012;48(7):240-246)。
【0232】
肺に深く浸透することを意図される、吸入用薬剤は、例えば0.1から5μmの間の空気力学的粒径を送達するように設計され得る。上記のように、例えば<0.1μmの小さすぎる粒径は、多量の発散により結果として低堆積をもたらし得、一方でより大きな粒子は、気道の上部および中心に、広がりつつある程度にまで堆積され得る。しかし、より大きな粒径は、例えば気管支部位といった、吸入用薬剤の標的には最適であり得る。
【0233】
肺に送達された薬剤の深い浸透に関して、吸湿性効果も考慮され得る。通常、吸湿性は、設定に依存して湿度を吸収且つ発散する幾つかの物質の特性であり、この物質は前記設定に見出される。このことは、吸湿性粒子が、湿っている気道への侵入時に大きさをより大きくまたはより小さくすることができることを意味しており、その結果、吸湿性効果からの粒径の増加により、最初に予測されたものと比較して、堆積パターンにおいて修飾が生じる。即ち、粒子は、肺胞への送達を予測する大きさの範囲内で出発し、吸湿性効果により、思いも寄らない肺胞への送達を行う大きさの範囲に増大し得る。吸入用薬剤の粒径は、例えば吸入用薬剤の加熱により、吸入用薬剤が、ユーザーの口、中咽頭、および下気道を通って移動するにつれて増大する傾向がある。上記で言及されるように、異なる大きさの粒子が、肺の異なる部分へとより効率的に移動する。故に、薬剤は、肺管の内部で最適なまたは標的の大きさに増大するように、サブミクロンの部分的または完全な蒸気形態で送達され得る。呼吸器官内の最適または標的の粒径への粒子の増大は、その大きさの粒子を最も効率的に受ける肺の部分への薬剤の最適な送達を確実にする。
【0234】
故に、例えば、3.5μmの最終直径を持つ粒子の有効な堆積のために、例えば0.5μmの粒子を送達することにより、吸湿性効果を補うことが必要となり得、粒子は、中咽頭および気道を通って移動する間に3.5μmの直径に増大すると予測される。(Zarogouldis, P., et al. Vectors for Inhaled Gene Therapy in Lung Cancer Application for Nano Oncology and Safety of Bio Nanotechnology. Int. J. Mol. Sci. 2012, 13, 10828-10862)。一般的に、吸湿による増大は0.1μm未満のMMADを持つ粒子に対する効果の多くを有しておらず;その間に吸湿性効果は、0.5μmより大きなMMADを持つ粒子においてより顕著であり得ることが考えられる。
【0235】
吸入可能な薬剤の部分的または完全な蒸気は、肺と肺血管系への薬剤の送達に関する利点をもたらす。例えば蒸気中で見出されるような、より小さな粒子は、エアロゾルと比較して呼吸器官を通り更に遠くに移動する傾向があり、このことは、蒸気が例えば、より軽く、且つ中咽頭の近位組織により小さな程度にしか吸収されない傾向があるためである。通常、粒径がより小さくなるほど、呼吸器官へと更に深く浸透し、このことは、より大きな粒子は肺の頂部の方へ最適に送達される傾向があり、中型の粒子は肺の中央の肺へと最良に送達される傾向があり、蒸気または小さな粒子は肺底へと最良に送達される傾向があることを意味している。
【0236】
エアロゾル化された薬剤の蒸発は、例えば、肺への薬物浸透の程度を増大させることにより、肺への薬剤送達の程度を増大させるため、都合が良い。更に、エアロゾルに比べて蒸気の増大した気体容量により、蒸気は、エアロゾルに比べて肺組織の全体にわたって薬剤のより優れた分布をもたらす。肺組織の全体にわたる薬剤のより優れた分布は、例えば、一旦薬剤が吸収されると、肺血管系における薬剤のより均一な分布へと繋がる。肺血管系における薬剤のより均一な分布は、例えば、エアロゾルに比べて蒸気または部分的な蒸気のより効果的な薬剤送達へと繋がる。
【0237】
蒸発の更なる利点は、薬剤の吸入による気管および口咽頭の刺激の減少または排除である。異物にさらされると、気管および中咽頭は、例えば咳反射を誘発し、不快感を引き起こし、または吸入の程度を減少させるように、刺激され得る。被験体が咳をすると、咳反射の刺激は、吸入用薬剤の有効な送達を妨げ得る。蒸気中の粒子は非常に小さいため、より大きな液滴と比較して、蒸気または部分的な蒸気の使用による気管および口咽頭の刺激が減少されまたは排除される。
【0238】
<粒径分布>
本明細書に開示される装置は、生成されたエアロゾルの、制御され且つ再生可能な粒径分布を可能にする。前述のように、エアロゾル粒径分布は、エアロゾルに適用された熱量、またはエアロゾルが生成後に加熱される温度に関係する。エアロゾルに適用された熱量、またはエアロゾルが加熱される温度の制御は、生成されたエアロゾルの、よりしっかりとした粒径分布を可能にする。
【0239】
本明細書には、吸入用薬剤を被験体に送達する方法が提供され、該方法は:吸入用薬剤からエアロゾルを生成する工程;および、約0.1μmから約15μmの生成されたエアロゾルの粒径分布を提供するために約100℃から約285℃の特定温度範囲でエアロゾルを加熱する工程を含み;ここで、エアロゾルは被験体の特異的な標的部位に送達される。
【0240】
本明細書にはまた、ニコチン置換療法のために吸入用薬剤を被験体に送達する方法が提供され、該方法は:吸入用薬剤からエアロゾルを生成する工程;および、約0.1μmから約15μmの生成されたエアロゾルの粒径分布を提供するために約130℃から約200℃の特定温度範囲でエアロゾルを加熱する工程を含み;ここで、エアロゾルは被験体の特異的な標的部位に送達される。
【0241】
幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.1μmから約15μmの生成されたエアロゾルの粒径分布を提供するために、約150℃から約175℃である。幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.1μmから約15μmの生成されたエアロゾルの粒径分布を提供するために、約150℃から約185℃である。
【0242】
幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.35μmから約0.45μmの生成されたエアロゾルの粒径分布を提供するために、約150℃から約175℃である。幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.35μmから約0.45μmの生成されたエアロゾルの粒径分布を提供するために、約150℃から約185℃である。幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.4μmの生成されたエアロゾルの粒径分布を提供するために、約150℃から約175℃である。幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.4μmの生成されたエアロゾルの粒径分布を提供するために、約150℃から約185℃である。幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.3μmから約5μmの生成されたエアロゾルの粒径分布を提供するために、約150℃から約175℃である。幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.3μmから約5μmの生成されたエアロゾルの粒径分布を提供するために、約150℃から約185℃である。
【0243】
一実施形態において、本明細書に記載されるような、吸入可能な薬剤送達装置により生成されたエアロゾルの粒径は、約0.1μmより大きい。幾つかの実施形態において、生成されたエアロゾルの粒径は約0.1μmから約10μmである。幾つかの実施形態において、生成されたエアロゾルの粒径は約0.1μmから約15μmである。幾つかの実施形態において、生成されたエアロゾルの粒径は約0.5μmから約10μmである。幾つかの実施形態において、生成されたエアロゾルの粒径は約0.4μmである。幾つかの実施形態において、生成されたエアロゾルの粒径は、約0.1μm、約0.2μm、約0.3μm、約0.4μm、約0.5μm、約0.6μm、約0.7μm、約0.8μm、約0.9μm、約1.0μm、約1.5μm、約2.0μm、約2.5μm、約3.5μm、約4.0μm、約4.5μm、約5.0μm、約5.5μm、約6.0μm、約6.5μm、約7.0μm、約7.5μm、約8.0μm、約8.5μm、約9.0μm、約9.5μm、約10.0μm、約10.5μm、および約11.0μmである。
【0244】
幾つかの実施形態において、送達された粒子の50%より多くは約0.4μmの粒径を有している。幾つかの実施形態において、送達された粒子の60%より多くは約0.4μmの粒径を有している。幾つかの実施形態において、送達された粒子の70%より多くは約0.4μmの粒径を有している。幾つかの実施形態において、送達された粒子の80%より多くは約0.4μmの粒径を有している。幾つかの実施形態において、送達された粒子の90%より多くは約0.4μmの粒径を有している。
【0245】
本明細書には、吸入用薬剤を被験体に送達する方法が提供され、該方法は:吸入用薬剤からエアロゾルを生成する工程;および、約0.1μmから約15μmの生成されたエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)を提供するために約140℃から約200℃の特定温度範囲でエアロゾルを加熱する工程を含み;ここで、エアロゾルは被験体の特異的な標的部位に送達される。
【0246】
本明細書にはまた、ニコチン置換療法の処置のために吸入用薬剤を被験体に送達する方法が提供され、該方法は:吸入用薬剤からエアロゾルを生成する工程;および、約0.1μmから約15μmの生成されたエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)を提供するために約140℃から約200℃の特定温度範囲でエアロゾルを加熱する工程を含み;ここで、エアロゾルは被験体の特異的な標的部位に送達される。
【0247】
幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.1μmから約15μmの生成されたエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)を提供するために、約150℃から約175℃である。幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.1μmから約15μmの生成されたエアロゾルの粒径分布を提供するために、約150℃から約185℃である。
【0248】
幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.35μmから約0.45μmの生成されたエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)を提供するために、約150℃から約175℃である。幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.35μmから約0.45μmの生成されたエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)を提供するために、約150℃から約185℃である。幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.4μmの生成されたエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)を提供するに、約150℃から約175℃である。幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.4μmの生成されたエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)を提供するに、約150℃から約185℃である。幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.3μmから約5μmの生成されたエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)を提供するために、約150℃から約175℃である。幾つかの実施形態において、特定温度範囲は、約0.3μmから約5μmの生成されたエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)を提供するために、約150℃から約185℃である。
【0249】
一実施形態において、本明細書に記載されるような、吸入可能な薬剤送達装置により生成されたエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)は、約0.1μmより大きい。幾つかの実施形態において、生成されたエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)は約0.1μmから約10μmである。幾つかの実施形態において、生成されたエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)は約0.1μmから約15μmである。幾つかの実施形態において、されたの空気力学的質量中央径(MMAD)は約0.5μmから約10μmである。幾つかの実施形態において、生成されたエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)は約0.4μmである。幾つかの実施形態において、生成されたエアロゾルの空気力学的質量中央径(MMAD)は、約0.1μm、約0.2μm、約0.3μm、約0.4μm、約0.5μm、約0.6μm、約0.7μm、約0.8μm、約0.9μm、約1.0μm、約1.5μm、約2.0μm、約2.5μm、約3.5μm、約4.0μm、約4.5μm、約5.0μm、約5.5μm、約6.0μm、約6.5μm、約7.0μm、約7.5μm、約8.0μm、約8.5μm、約9.0μm、約9.5μm、約10.0μm、約10.5μm、および約11.0μmである。
【0250】
<薬剤>
<薬剤>
1つの変形において、前記装置は、吸入可能な薬剤を含むエアロゾルを生成する。エアロゾルは、粒子のコロイド懸濁液、または、例えば液体または気体中で懸濁された液滴を含み得る。薬剤は、被験体を処置するために使用される任意の物質を含み得る。薬剤は例えば、医薬品、生物学的薬剤、または他の任意の治療用化合物を含む。吸入可能な薬剤は、病状または症状を処置するために被験体により吸入される製剤を含み得る。吸入可能な薬剤は、禁煙またはニコチン置換療法のために被験体により吸入される製剤を含み得る。記載された装置を使用することができる被験体は、ヒトまたは動物を含み得る。
【0251】
<ニコチン置換療法>
薬剤は、例えば、ニコチン置換療法で使用されるニコチンを含み得る。
【0252】
<抗不安薬>
薬剤は例えば、抗不安薬を含み得る。本明細書に記載される装置による送達に適している抗不安薬の限定されない例は、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼパート、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、およびトリアゾラムを含む。
【0253】
<非オピオイド>
薬剤は例えば、非オピオイドベースの鎮痛剤を含み得る。本明細書に記載される装置による送達に適している非オピオイドベースの鎮痛剤の限定されない例は、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、およびケトロラクトロメタミンを含む。
【0254】
<オピオイド>
オピオイドは、例えば、同様のまたは改善されたバイオアベイラビリティを持って、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置により送達され得る。記載された装置による送達に適しているオピオイドの限定されない例は、フェンタニル/クエン酸フェンタニル、硫酸モルヒネ(MS Contin)、コデイン、トラマドール(Ultram)、メペリジン(Demerol)、ヒドロモルホン(Dilaudid)、メタドン(Dolophine)、オキシコドン(Roxicodone)、オキシコドン/アセトアミノフェン(Percocet)、オキシコドン/アスピリン(Percodan)、ヒドロコドン/アセトアミノフェン(Lortab、Norco、Hycet)、およびトラマドール/アセトアミノフェン(Ultracet)を含む。コデイン、メタドン(Dolophine)、オキシコドン(Roxicodone)、オキシコドン/アセトアミノフェン(Percocet)、オキシコドン/アスピリン(Percodan)、ヒドロコドン/アセトアミノフェン(Lortab、Norco、Hycet)、およびトラマドール/アセトアミノフェン(Ultracet)のバイオアベイラビリティは、PO投与時に、および本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置で投与された時に、同様である。フェンタニル/クエン酸フェンタニルのバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約47-71%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは47%より大きい。硫酸モルヒネ(MS Contin)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約20-40%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは40%より大きい。トラマドール(Ultram)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約75-95%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは75%より大きい。メペリジン(Demerol)のバイオアベイラビリティは典型的に、IM投与時には約57%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは57%より大きい。ヒドロモルホン(Dilaudid)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約24%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは24%より大きい。
【0255】
<カンナビノイド>
カンナビノイドは、例えば、同様のまたは改善されたバイオアベイラビリティを持って、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置により送達され得る。記載された装置による送達に適しているカンナビノイドの限定されない例は、テトラヒドロカンナビノール(THC)を含み、同様に合成カンナビノイドは、1,5-ジアリールピラゾール、キノリン、アリールスルホンアミド、および、エンドカンナビノイドに関連するエイコサノイドを含む。
【0256】
<気管支拡張薬>
薬剤は例えば、気管支拡張薬を含み得る。本明細書に記載される装置による送達に適している気管支拡張薬の限定されない例は、サルブタモール/アルブテロール、レボサルブタモール/レバルブテロール、ピルブテロール、エピネフリン、エフェドリン、テルブタリン、サルメテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、バンブテロール、およびインダカテロールを含む。薬剤は例えばステロイドを含み得る。本明細書に記載される装置による送達に適している気管支拡張薬の限定されない例は、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、フランカルボン酸モメタゾン、およびトリアムシノロンアセトニドを含む。
【0257】
<生物学的製剤>
薬剤は治療用の生物学的製剤を含み得る。本明細書に記載される装置による送達に適している生物学的治療剤(therapeutics)の限定されない例は、例えば、DNA、RNA、およびタンパク質を含み得る。生物学的製剤は、ウィルスベクターを使用して送達され、製剤中での使用に適しているという点で同様である。流体はさらに賦形剤を含み得る。
【0258】
<バイオシミラー(Biosimilar)>
薬剤はバイオシミラー治療剤を含み得る。本明細書に記載される装置による送達に適しているバイオシミラー治療剤の限定されない例は、例えば、インスリン、ヒト成長ホルモン、様々なインターフェロン、エリスロポイエチン、および様々なモノクローナル抗体を含み得る。
<抗ウィルス剤>
抗ウィルス剤は、例えば、同様のまたは改善されたバイオアベイラビリティを持って、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置により送達され得る。記載された装置による送達に適している抗ウィルス剤の限定されない例は、オセルタミビル(Tamiflu)、ザナミビル(Relenza)、アマンタジン(Symmetrel)、およびリマンチジン(Flumadine)を含む。オセルタミビル(Tamiflu)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約75%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは75%より大きい。ザナミビル(Relenza)のバイオアベイラビリティは典型的に約4-17%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは4-17%以上である。アマンタジン(Symmetrel)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約86%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは90%より大きい。
【0259】
<鎮痛剤/抗ヒスタミン>
鎮痛剤/抗ヒスタミンの組み合わせは、例えば、同様のまたは改善されたバイオアベイラビリティを持って、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置により送達され得る。記載された装置による送達に適している鎮痛剤/抗ヒスタミンの限定されない例は、アセトアミノフェン/ジフェンヒドラミン(Tylenol PM)およびイブプロフェン/ジフェンヒドラミン(Advil PM)を含む。アセトアミノフェン/ジフェンヒドラミン(Tylenol PM)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約65-100%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは約100%である。イブプロフェン/ジフェンヒドラミン(Advil PM)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約65-100%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは約100%である。
【0260】
<鎮咳薬>
鎮咳薬は、例えば、同様のまたは改善されたバイオアベイラビリティを持って、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置により送達され得る。記載された装置による送達に適している鎮咳薬の限定されない例は、デキストロメトルファン(Delsym)、ベンゾカイン/メントール、またはデキストロメトルファンを含む。デキストロメトルファン(Delsym)、ベンゾカイン/メントール、またはデキストロメトルファンのバイオアベイラビリティは、PO投与時に、および、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置で投与された時に同様である。
【0261】
<うっ血除去薬>
うっ血除去薬は、例えば、同様のまたは改善されたバイオアベイラビリティを持って、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置により送達され得る。記載された装置による送達に適しているうっ血除去薬の限定されない例は、プソイドエフェドリン(Sudafed)およびフェニレフリンを含む。フェニルエフリンのバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約38%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは38%より大きい。
【0262】
<抗ヒスタミン>
抗ヒスタミンは、例えば、同様のまたは改善されたバイオアベイラビリティを持って、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置により送達され得る。記載された装置による送達に適している抗ヒスタミンの限定されない例は、ジフェンヒドラミン(Benadryl)、ヒドロキシジン(Atarax)、セチリジン(Zyrtec)、ロラタジン(Claritin)、およびフェキソフェナジン(Allegra)を含む。ジフェンヒドラミン(Benadryl)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約65-100%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは65%より大きい。セチリジン(Zyrtec)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約70%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは70%より大きい。ヒドロキシジン(Atarax)、ロラタジン(Claritin)、およびフェキソフェナジン(Allegra)のバイオアベイラビリティは、PO投与時に、および、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置で投与された時に同様である。
【0263】
<去痰薬>
去痰薬は、例えば、同様のまたは改善されたバイオアベイラビリティを持って、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置により送達され得る。記載された装置による送達に適している去痰薬の限定されない例は、グアイフェネシン(Guaifenasin)(Mucinex)を含む。グアイフェネシン(Mucinex)のバイオアベイラビリティは、PO投与時に、および、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置で投与された時に同様である。
【0264】
<鼻用噴霧剤>
鼻用噴霧剤は、例えば、同様のまたは改善されたバイオアベイラビリティを持って、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置により送達され得る。記載された装置による送達に適している鼻用噴霧剤の限定されない例は、アゼラスチン(Astelin)、ベクロメタゾン(Beconase, Qnasl)、モメタゾン(Nasonex)、およびオキシメタゾリン(Afrin)を含む。アゼラスチン(Astelin)のバイオアベイラビリティは典型的に、鼻用噴霧剤としての投与時には約40%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは40%より大きい。ベクロメタゾン(Beconase, Qnasl)のバイオアベイラビリティは典型的に、鼻用噴霧剤としての投与時には約41-43%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは約25-60%である。モメタゾン(Nasonex)のバイオアベイラビリティは典型的に、吸入可能な噴霧剤としての投与時には約1%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは1%より大きい。オキシメタゾリン(Afrin)のバイオアベイラビリティは、PO投与時に、および、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置で投与された時に同様である。
【0265】
<乗り物酔い用薬物(Motion Sickness Medication)>
乗り物酔い用薬物は、例えば、同様のまたは改善されたバイオアベイラビリティを持って、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置により送達され得る。記載された装置による送達に適している乗り物酔い用薬物の限定されない例は、ジメンヒドリナート(Dramamine)、スコポラミン(Transderm)、およびメクリジン(Bonine)を含む。ジメンヒドリナート(Dramamine)、スコポラミン(Transderm)、およびメクリジン(Bonine)のバイオアベイラビリティは、PO投与時に、および、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置で投与された時に同様である。
【0266】
<鎮痛剤>
鎮痛剤は、例えば、同様のまたは改善されたバイオアベイラビリティを持って、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置により送達され得る。記載された装置による送達に適している鎮痛剤の限定されない例は、フェノール(Chloraseptic噴霧剤)、メントール(Vicks VapoDrops)、デュロキセチン(Cymbalta)、プレガバリン(Lyrica)、イブプロフェン(Advil)、ブタルビタール/アセトアミノフェン/カフェイン(Fioricet)、スマトリプタン(Imitrex)、トピラマート(Topamax)、カリソプロドール(Soma)、チザニジン(Zanaflex)、ナプロキセンナトリウム(Aleve)、ケトロラク(Toradol)、セレコキシブ(Celebrex)、アスピリン(Bayer)、アセトアミノフェン(Tylenol, Ofirmev)、およびアセトアミノフェン/カフェイン/ピリラミン(Midol Complete)を含む。フェノール(Chloraseptic噴霧剤)、メントール(Vicks VapoDrops)、プレガバリン(Lyrica)、ブタルビタール/アセトアミノフェン/カフェイン(Fioricet)、カリソプロドール(Soma)、およびアセトアミノフェン/カフェイン/ピリラミン(Midol Complete)のバイオアベイラビリティは、PO投与時に、および、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置で投与された時に同様である。デュロキセチン(Cymbalta)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約30-80%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは30%より大きい。イブプロフェン(Advil)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約58-98%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは58%より大きい。スマトリプタン(Imitrex)のバイオアベイラビリティは典型的に、鼻用噴霧剤を介しての投与時には約25%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは15-25%より大きい。アスピリン(Bayer)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約61-80%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは61%より大きい。アセトアミノフェン(Tylenol, Ofirmev)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約85-100%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは85%より大きい。
【0267】
<麻酔薬>
麻酔薬は、例えば、同様のまたは改善されたバイオアベイラビリティを持って、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置により送達され得る。記載された装置による送達に適している麻酔薬の限定されない例は、ネオスチグミン(Prostigmin)、グリコピロレート(Glycate)、イソフルラン(Forane)、セボフルラン(Ultane)、デスフルラン(Suprane)、エトミデート(Amidate)、プロポフォール(Diprivan)、リドカイン(Xylocaine)、ブピバカイン(Bupivicaine)(Marcaine)、ロクロニウム(Zemuron)、ベクロニウム(Norcuron)、シサトラクリウム(Nimbex)、サクシニルコリン、デクスメデトミジン(Precedex)、およびミダゾラム(Versed)を含む。イソフルラン(Forane)、セボフルラン(Ultane)、デスフルラン(Suprane)、エトミデート(Amidate)、プロポフォール(Diprivan)、ブピバカイン(Marcaine)、ロクロニウム(Zemuron)、ベクロニウム(Norcuron)、シサトラクリウム(Nimbex)、サクシニルコリン、およびデクスメデトミジン(Precedex)のバイオアベイラビリティは、PO投与時に、および、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置で投与された時に同様である。ネオスチグミン(Prostigmin)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約1-2%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは1%より大きい。リドカイン(Xylocaine)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約35%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは35%より大きい。ミダゾラム(Versed)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約36%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは36%より大きい。
【0268】
<抗菌剤>
抗菌剤は、例えば、同様のまたは改善されたバイオアベイラビリティを持って、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置により送達され得る。記載された装置による送達に適している抗菌剤の限定されない例は、ゲンタマイシン、トブラマイシン(Tobi)、バシトラシン(BACiiM)、クロルヘキシジン(Betasept)、フルコナゾール(Diflucan)、ミカファンギン(Mycamine)、ペルメトリン(Eimite)、イベルメクチン(Stromectol)、メロペネム(Merrem)、エルタペネム(Invanz)、セファゾリン(Ancef)、セファレキシン(Keflex)、セフォキシチン(Mefoxin)、セフロキシム(Zinacef)、セフトリアキソン(Rocephin)、セフタジジム(Fortaz)、セフェピム(Maxipime)、セフタロリン(Teflaro)、シプロフロキサシン(Cipro)、レボフロキサシン(Levaquin)、バンコマイシン(Vancocin)、アジスロマイシン(Zithromax)、クラリスロマイシン(Biaxin)、ペニシリン(Pencillin)G、V、アモキシシリン(Amoxil)、アモキシシリン/クラブラン酸塩(Augmentin)、ピペラシリン/タゾバクタム(Zosyn)、ナフシリン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール(Bactrim)、ミノサイクリン(Minocin)、テトラサイクリン、ドキシサイクリン(Adoxa)、アトバコン/プログアニル(Malarone)、イソニアジド、リファンピン、ガンシクロビル(Cytovene)、バルガンシクロビル(Valcyte)、アシクロビル(Zovirax)、エンテカビル(Baraclude)、リバビリン(Copegus, Rebetol)、アバカビル(Ziagen)、ジドブジン(Retrovir)、エファビレンツ(Sustiva)、ネビラピン(Viramune)、ネルフィナビル(Viracept)、リトナビル(Norvir)、およびラルテグラビル(Isentress)を含む。バシトラシン(BACiiM)、ミカファンギン(Mycamine)、ペルメトリン(Eimite)、イベルメクチン(Stromectol)、メロペネム(Merrem)、セファレキシン(Keflex)、セフロキシム(Zinacef)、セフトリアキソン(Rocephin)、セフタロリン(Teflaro)、アモキシシリン(Amoxil)、アモキシシリン/クラブラン酸塩(Augmentin)、フルコナゾール(Diflucan)、テトラサイクリン、ドキシサイクリン(Adoxa)、バルガンシクロビル(Valcyte)、エンテカビル(Baraclude)、エファビレンツ(Sustiva)、ネルフィナビル(Viracept)、およびリトナビル(Norvir)のバイオアベイラビリティは、PO投与時に、および、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置で投与された時に同様である。ゲンタマイシンのバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時にはごく少量であり、IV投与時には約100%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは76%より大きい。トブラマイシン(Tobi)のバイオアベイラビリティは典型的に、吸入可能なとしての投与時には約1-16.6%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは1%より大きい。クロルヘキシジン(Betasept)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約4%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは4%より大きい。エルタペネム(Invanz)のバイオアベイラビリティは典型的に、IV投与時には約90%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは90%より大きい。セファゾリン(Ancef)のバイオアベイラビリティは典型的に、IV投与時には約78%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは78%より大きい。セホキシチン(Mefoxin)のバイオアベイラビリティは典型的に、PR投与時には約7-17%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは7%より大きい。セフェピム(Maxipime)のバイオアベイラビリティは典型的に、IM投与時には約82%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは82%より大きい。シプロフロキサシン(Cipro)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約60-80%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは60%より大きい。レボフロキサシン(Levaquin)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約99%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは99%より大きい。バンコマイシン(Vancocin)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時にごく少量であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは38%より大きい。アジスロマイシン(Zithromax)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約38%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは38%より大きい。クラリスロマイシン(Biaxin)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約55%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは50%より大きい。ペニシリンG、Vのバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約30-80%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは30%より大きい。ピペラシリン/タゾバクタム(Zosyn)のバイオアベイラビリティは典型的に、IM投与時には約71%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは71%より大きい。ナフシリンのバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約50%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは50%より大きい。トリメトプリム/スルファメトキサゾール(Bactrim)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約90-100%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは90%より大きい。ミノサイクリン(Minocin)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約90%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは90%より大きい。アトバコン/プログアニル(Malarone)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約23%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは23%より大きい。イソニアジドのバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約90%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは90%より大きい。リファンピンのバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約90-95%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは90%より大きい。ガンシクロビル(Cytovene)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約5%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは5%より大きい。アシクロビル(Zovirax)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約10-20%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは10%より大きい。リバビリン(Copegus, Rebetol)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約64%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは64%より大きい。アバカビル(Ziagen)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約83%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは83%より大きい。アバカビル(Ziagen)のバイオアベイラビリティは典型的に、IV投与時には約61-89%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは61%より大きい。ネビラピン(Viramune)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約80-94%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは84%より大きい。ラルテグラビル(Isentress)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約20-43%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは20%より大きい。ラルテグラビル(Isentress)のバイオアベイラビリティは典型的に、PO投与時には約20-43%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは20%より大きい。
【0269】
<バイオシミラー分子>
バイオシミラー分子は、例えば、同様のまたは改善されたバイオアベイラビリティを持って、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置により送達され得る。記載された装置による送達に適しているバイオシミラー分子の限定されない例は、以下を含む:インターフェロンα2b(Pegasys)、アデノウィルス4、アルブミン、ヒト(プラスブミン、AlbuRx、Albutein、Albuminar)、α-1-プロティナーゼ阻害剤、ヒト(プロラスチン、Aralast、Zemaira、Glassia)、吸着炭疽ワクチン(BioThrax)、抗血友病薬因子、ヒト(Koate、Hemofil、Monoclate)、抗血友病薬因子、組み換え型(Kogenate、Helixate、Refacto、Novoeight)、抗血友病薬因子、組み換え型、Fc融合タンパク質(Eloctate)、抗血友病薬因子、組み換え型、血漿/アルブミン遊離(Advate、xyntha)、抗血友病薬要素、フォンビルブラント因子複合体、ヒト(Alphanate、Humate)、アンチインヒビター血液凝固複合体(Autoplex、Feiba)、抗トロンビン、組み換え型(ATryn)、抗トロンビンIII、ヒト(Thrombate III)、抗胸腺細胞グロブリン、ウサギ(サイモグロブリン)、多価抗蛇毒素、ガラガラヘビ科、抗蛇毒素、クロゴケグモ、抗蛇毒素、ハーレクインサンゴヘビ、自己由来培養軟骨細胞(Carticel)、Azficel-T(LaViv)、BCG Live(Tice、TheraCys)、BCGワクチン、7価ボツリヌス抗毒素、ウマ(BAT)、静脈内ボツリスム免疫グロブリン、ヒト(Baby BIG)、C1エステラーゼ阻害剤、ヒト(Cinryze、Berinert)、C1エステラーゼ阻害剤、組み換え型(Ruconest)、カンジダ-アルビカンス皮膚試験抗原(Candin)、セントルロイデス属(サソリ)免疫F(ab’)2(ウマ)注射(Anascorp)、凝固IX因子、ヒト(AlphaNine、Mononine)、凝固IX因子、組み換え型(BeneFIX、RIXUBIS)、凝固IX因子、組み換え型、Fc融合タンパク質(Alprolix)、凝固因子VIIa、組み換え型(NovoSeven)、凝固XIII因子Aサブユニット、組み換え型(Tretten)、コクシジオイデスイミチスの小球由来の皮膚試験抗原(Spherusol)、ガラガラヘビ科多価免疫fab、ヒツジ(CroFab)、静脈内CMV免疫グロブリン、ヒト(CytoGam)、ジゴキシン免疫fab、ヒツジ(Digibind、digiFab)、吸着DTaP類毒素(Infanrix、Daptacel、Tripedia)、吸着DTaP類毒素および不活化ポリオウィルスワクチン(Kinrix)、DTaP/B型肝炎(組み換え型)および不活化ポリオウィルスワクチン(Pediarix)、第IX因子複合体(Profilnine、Bebulin)、第XIII因子濃縮物、ヒト(Corifact)、フィブリン密閉剤、ヒト(Crosseal、Evicel、Artiss)、フィブリン密閉剤(Tisseel)、フィブリン密閉剤パッチ(TachoSil、Evarrest)、フィブリノゲン濃縮物、ヒト(RiaSTAP)、ヘモフィルス属B結合体(髄膜炎菌タンパク質)/HepB(組み換え型)ワクチン(COMVAX)、ヘモフィルス属B結合体、髄膜炎菌タンパク質(PedvaxHIB)、ヘモフィルス属B結合ワクチン、破傷風トキソイド(ActHIB、OmniHIB、Hiberix)、ヘモフィルス属B結合ワクチン、破傷風トキソイド、DTaP類毒素(Pentacel)により再構成、造血前駆細胞、臍帯:HPC-C(Hemacord)、注射用ヘミン(Panhematin)、不活性化A型肝炎/B型肝炎レコンビナントワクチン(Twinrix)、不活性化A型肝炎(Havrix/VAQTA)、B型肝炎IG、ヒト(BayHep、HyperHep、Nabi-HB、HepaGam B)、静脈内B型肝炎IG、ヒト(HepaGam BT)、B型肝炎ワクチン、組み換え型(Recombivax/HB)、Engerix-B)、HPC、臍帯血(DuCord、Allocord)、二価HPV(16/18)ワクチン、組み換え型(Cervarix)、HPVクワド(6/11/16.18)ワクチン、組み換え型(Gardisil)、免疫グロブリン、ヒト(Gammastan、BayGam、IG注射、ヒト(Polygam、Kiovig、Gammagard、IG注射、精製されたヒト10%のカプリル酸塩/クロマトグラフィー(GamunexC、Gammaked)、静脈内IG、ヒト(Sandoglobulin、Gammagard、Octagam、Flebogamma、Bivigam)、静脈内IG、ヒト10%液体(Privigen)、静脈内IG、ヒト5%液体(Gammaplex)、IG SQ、ヒト20%液体(Hizentra)、インフルエンザA型(H5N1)ウィルス単価ワクチン、アジュバント、インフルエンザワクチン(FluBlok、Agriflu)、生きたインフルエンザワクチン、鼻腔内(FluMist)、インフルエンザウィルスワクチン(FluVirin、Fluzone、Fluarix、FluLaval、Afluria、Flucelvax)、インフルエンザウィルスワクチン、H5N1、昆虫(全身)、コナヒョウヒダニ、昆虫(全身)、ヤケヒョウヒダニ、日本脳炎ワクチン、不活性化、吸着(Ixiaro)、リンパ球IG、抗胸腺細胞グロブリン、ウマ(Atgam)、生きたMMRウィルスワクチン(M-M-R II)、生きたMMRおよびVZVワクチン(ProQuad)、髄膜炎菌(A/C/Y/W-135)オリゴ糖ジフテリアCRM197結合ワクチン(Menveo)、髄膜炎菌(A/C/Y/W-135)多糖体ジフテリアCRM197結合ワクチン(Menactra)、髄膜炎菌(C/Y)およびヘモフィルス属B破傷風トキソイド結合ワクチン(Menhibrix)、髄膜炎菌多糖体ワクチン、群A(Menomune-A)、髄膜炎菌多糖体ワクチン、群C(Menomune-C)、髄膜炎菌多糖体ワクチン、組み合わせた群A/C(Menomune-A/C)、髄膜炎菌多糖体ワクチン、組み合わせた群A/C/Y/W-135(Menomune)、アレルゲンパッチテストキット、非標準化アレルゲン性、正常ウマ血清、ペストワクチン、血漿タンパク分画、ヒト(プラスマネート、protenate)、肺炎球菌13価結合ワクチン、ジフテリアCRM197タンパク質(Prevnar 13)、肺炎球菌7価結合ワクチン、ジフテリアCRM197タンパク質(Prevnar)、肺炎球菌ワクチン、多価(Pneumovax 23)、不活性化ポリオウィルス(IPOL)、不活性化ポリオウィルス、ヒト二倍体細胞(Poliovax)、花粉-草、bermuda grass cynodon dactylon、花粉-草、bluegrass、kentucky (June) poa pratensis、花粉-草、fescue、meadow festuca elatior、花粉-草、orchard grass dactylis glomerata、花粉-草、redtop agrostis alba、花粉-草、ライグラス、perennial lolium perenne、花粉-草、sweet vernal grass anthoxanthum odoratum、花粉-草、timothy phleum pratense、花粉-雑草および園芸植物、ブタクサ、short ambrosia artemisiifolia、花粉-雑草および園芸植物、ブタクサ、short ambrosia eliator、プール血漿(ヒト)、処理された溶媒/洗浄剤(Octaplas)、正の皮膚試験対照-ヒスタミン(Histatrol)、タンパク質C濃縮物、ヒト(Ceprotin)、プロトロンビン複合体濃縮製剤、ヒト(Kcentra)、狂犬病ワクチン(RabAvert)、狂犬病IG、ヒト(BayRab、HyperRab、Imogam)、吸着された狂犬病ワクチン(BioRab)、Rho(D)IG、ヒト(BayRho-D、RhoGam)、Rho(D)IG、ヒト静脈内(WinRho SDF、Rhophylac)、ロタウィルスワクチン、生きている、経口(Rotarix)、ロタウィルスワクチン、生きている、経口、五価(RotaTeq)、短いブタクサ抽出物(Ragwitek)、Sipuleucel-T(Provenge)、天然痘(ワクシニア)ワクチン、生きている(ACAM2000)、Sweet vernal、果樹園、多年生のライムギ、timothyおよびkentucky blue grassを組み合わせた花粉アレルゲン抽出物(Oralair)、吸着されたTDap(Tenivac、Decavac)、破傷風(Tetatuns)IG、ヒト(BayTet)、吸着された破傷風トキソイド、破傷風トキソイド、減少されたジフテリアトキソイドおよび無細胞性百日咳ワクチン、吸着された(Boostrix、Adacel)、オオアワガエリ花粉アレルゲン抽出物(Grastek)、ツベルクリン、精製タンパク質誘導体(Aplisol、Tubersol)、生きた経口腸チフスワクチンTy21a(Vivotif)、チフス性Vi多糖類ワクチン(Typhim Vi)、静脈内ワクシニアIG、ヒト(CNJ-016)、生きた水痘ウィルスワクチン(Varivax)、VZV IG、ヒト(VariZIG)、毒液、ミツバチ毒液(Pharmalgen)、毒液、スズメバチ毒性タンパク質、毒液、北米産スズメバチ毒性タンパク質、毒液、黄色スズメバチ毒性タンパク質、毒液、スズメバチ(yellow jacet)毒性タンパク質、フォン・ウィルブランド因子/凝固F VIII複合体、ヒト(Wilate)、黄熱ワクチン(YF-Vax)、生きた帯状疱疹ワクチン(Zostavax)、アバタセプト(Orencia)、アブシキシマブ(ReoPro)、アボボツリヌストキシンA(Dysport)、アダリムマブ(Humira)、トラスツズマブ エムタンシン(Ado-trastuzumab emtansine)(Kadcyla)、アフリベルセプト(Eylea)、アガルシダーゼベータ(Fabrazyme)、アルビグルチド(Tanzeum)、アルデスロイキン(Proleukin)、アレファセプト(Amevive)、およびアレムツズマブ。アデノウィルス4、アルブミン、ヒト(プラスブミン、AlbuRx, Albutein, Albuminar)、α-1-プロティナーゼ阻害剤、ヒト(プロラスチン、Aralast、Zemaira、Glassia)、吸着炭疽ワクチン(BioThrax)、抗血友病薬要素、および活性化プロトロンビン複合体(Autoplex、Feiba)のバイオアベイラビリティは、PO投与時に、および、本明細書に記載される吸入可能な薬剤送達装置で投与された時に同様である。インターフェロンα2bのバイオアベイラビリティは典型的に、IM投与時には約80-90%であり、および本明細書に記載される装置で吸入可能な薬剤として送達された時に、バイオアベイラビリティは80%より大きい。一般的に、開示された送達は、定義によれば100%のBAである、静脈注射を除いた他の送達方法と比較した場合に改善される。
【0270】
<添加剤>
一実施形態において、薬剤は、例えば、薬剤の容量を増大する賦形剤を含む。賦形剤はまた、例えば標的への薬剤の有効な送達を支援し得る。
【0271】
一実施形態において、薬剤は液状製剤として保存される。この薬剤の液状製剤は、賦形剤として作用するグリセロールから主として構成され得る。薬剤は二酸化炭素の使用により加圧され得る。例えば、薬剤は二酸化炭素とグリセロールの混和溶液で構成され得る。
【0272】
グリセロールには多数の有利な特性がある。グリセロールは、ヒトによる吸入には安全であると考えられる。グリセロールには制菌特性がある。グリセロールは、脆弱な生物学的治療剤の送達を促進し得る。他の一次液状製剤の構成要素も可能であり、例えば水ベース或いはプロピレングリコールベースである。薬剤はまた、糖アルコールまたはジオールなどの、エアロゾル化または蒸発した形態での吸入に適しているグリセロールと同様の他の液体を含み得る。グリセロールの吸湿性は、エアロゾルが気道を通って移動する場合に、粒子の増大を制御するために使用され得る。グリセロールの吸湿性の性質は、粒子が湿気のあるヒトの気道において水を取りこむ場合に粒子のMMADが増大するというものである。この特性は、最初に生成されたエアロゾルが、嵌入を介して損失を軽減するのに十分な小ささとなるが、賦形剤の肺胞への送達のための標的サイズに到達するよう吸湿拡張を介して発達するようにバイアスを掛けられ得る場合に、重要である。
【0273】
グリセロール以外の適切な賦形剤の例は、限定されないが以下を含む:エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールおよびその異性体、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および他のセルロース誘導体、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体などの、アルコールおよびポリオール;テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)またはメトキシのPEGなどの、約200から約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル;2-ピロリドン、2-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、およびポリビニルピロリドンなどの、アミドおよび他の窒素含有化合物;プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、モノ酢酸プロピレングリコール、ジ酢酸プロピレングリコール、ε-カプロラクトンおよびその異性体、δ-バレロラクトンおよびその異性体、β-ブチロラクトンおよびその異性体などの、エステル;並びに、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N-メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、および水などの、当該技術分野で既知の他の可溶化剤。
【0274】
アスコルビン酸などの酸は、薬剤(例えば、皮膚を介する液状製剤の吸収(経皮吸収)を軽減且つ減少させるために、(例えば約4-5の低pHに)薬剤を酸性化するために利用され得る。薬剤の酸性化はまた、薬剤混合物の粘膜吸収を軽減またはそうでなければ減少させるために使用され得る。酸性化は、他の酸を使用することによっても同様に達成され得る。薬剤の酸性化はまた、経皮吸収および/または粘膜吸収を減らすことにより薬剤の活性成分への意図しない曝露にさらされる期間性を減らす助けとなり得る。酸性化はまた、例えば、基本的な肺組織をpH緩衝化し、薬物の効果的な拡散を促進し得る。加えて、薬剤の酸性化は、注射による活性成分の乱用に対する抑制として機能し得る。アスコルビン酸またはクエン酸(或いはその他)を使用する酸性化は、タバコ、シガレット、または他の可燃性物質を吸う感覚刺激および感覚刺激性の経験を繰り返す場合に望ましい、気管の刺激を増大するために使用され得る。
【0275】
幾つかの実施形態において、製剤は薬剤とアスコルビン酸を含む。幾つかの実施形態において、アスコルビン酸の量は、約4から約5のpHの製剤をもたらす。幾つかの実施形態において、アスコルビン酸の量は、アスコルビン酸のX重量%である。
【0276】
幾つかの実施形態において、薬剤の吸収および拡散を増大するために、有機硫黄化合物が使用される。限定されない例として、有機硫黄化合物はジメチルスルホキシド(DMSO)である。幾つかの実施形態において、製剤は薬剤と有機硫黄化合物を含む。製剤は、有機硫黄化合物の最大5重量%を含み得る。製剤は、有機硫黄化合物の最大5重量%、約5重量%、0.01重量%から5重量%、約0.01重量%から約5重量%、0.05重量%から5重量%、約0.05重量%から約5重量%、0.05重量%から4重量%、約0.05重量%から約4重量%、0.01重量%から3重量%、約0.01重量%から約3重量%、0.01重量%から2重量%、約0.01重量%から約2重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、または約0.9%重量を含み得る。製剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)の最大5重量%を含み得る。製剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)の最大5重量%、約5重量%、0.01重量%から5重量%、約0.01重量%から約5重量%、0.05重量%から5重量%、約0.05重量%から約5重量%、0.05重量%から4重量%、約0.05重量%から約4重量%、0.01重量%から3重量%、約0.01重量%から約3重量%、0.01重量%から2重量%、約0.01重量%から約2重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、または約0.9%重量を含み得る。
【0277】
賦形剤はまた、薬剤製剤または請求された装置の性能を増強するために使用され得る。例えば、賦形剤は、限定されないが、界面活性剤、防腐剤、香味料、抗酸化剤、抗凝集薬、および助溶剤を含む。幾つかの実施形態において、特に幼い子供のために薬物をより味が良いものにするために、薬剤はオレンジまたはバブルガムの風味により風味を付けられる。
【0278】
<噴射剤>
薬剤は更に、幾つかの実施形態において噴射剤を含み得る。適切な噴射剤の例は、限定されないが、不活性ガス、不活性ガスの混合物、クロロフルオロカーボン(CFC)、およびヒドロフルオロアルカン(HFA)を含む。適切な不活性ガスの例は、限定されないが二酸化炭素と窒素を含む。適切な噴射剤の他の例は、CFC-11(CCl3F)、CFC-12(CCl2F2)、CFC-14(CCl2F4)、HFA-134a(C2H2F4)、HFA-227(C3HF7)、HCFC-22(ジフルオロクロロメタン)、およびHFA-152(ジフルオロエタンとイソブタン)を含む。
【0279】
幾つかの実施形態において、噴射剤は不活性ガスである。幾つかの実施形態において、噴射剤は二酸化炭素である。幾つかの実施形態において、噴射剤は窒素である。幾つかの実施形態において、噴射剤はクロロフルオロカーボンである。幾つかの実施形態において、噴射剤はヒドロフルオロアルカンである。
【0280】
処置の方法
標的領域
1つの態様では、この装置は(例えば、味のために)口内の堆積に適する粒子を生成することもある。別の例において、この装置は即効性のため、肺領域への堆積に適する粒子を生成することもある。呼吸器系内のエアロゾル粒子堆積位置は、薬剤投与の有効性において強い決め手となる。
【0281】
別の態様では、例えば、気管への刺激を促進するために、気管により大きな液滴または粒子を送達することができる。気管への刺激は、被験体へ心地よい感覚を生み出すこともある。例えば、本明細書に記載された装置がニコチン置換療法(NRT)として、ニコチンを送達する場合、気管への刺激を引き起こす液滴の送達は、例えば、治療の継続的な使用を進めるユーザーにとって、心地よい刺激となることもある。気管への刺激は、いくつかの喫煙者が経験するような気管の刺激と同様な場合もある。
【0282】
別の態様では、蒸気は風味などの、感覚器官を刺激するまたは感覚を刺激する因子の送達にとって、都合がよい場合もある。
【0283】
薬剤送達の標的は、例えば、肺、または肺の特定部分あるいは領域を含んでもよい。薬剤送達の標的は、例えば、全身血管系を含んでもよい。さらに、本明細書に記載されるように、薬剤送達の標的および標的に送達される一回用量の薬剤は、例えば、エアロゾル組成物を制御することで、つまり、例えば、液滴のサイズや形態または蒸気の程度を制御することで、制御されることもある。さらに、同様の薬剤送達は複数の肺標的を標的としてもよい。1つの実施形態では、異なるサイズの粒子からなる1つのエアロゾル混合物が生成される。1つの実施形態では、異なる粒径を含む2つ以上のエアロゾルが生成され、被験体へ連続的に送達される。1つの実施形態では、エアロゾルの粒径は、本明細書に記載された方法、装置、およびシステムを使用して経時的に調節される。異なるサイズの粒子を含む1つのエアロゾル混合物、および異なる粒径を含む多数のエアロゾル組成物に関する、これら3つの実施形態において、エアロゾル混合物内のより大きな粒子は上気道へ移動し、より小さな粒子は肺へ深く移動する傾向があるだろう。これらの実施形態では、例えば、より大きなエアロゾル粒子と、より小さな粒子を含む薬剤とで構成される局部麻酔用物質を送達させるために、吸入可能な薬剤の送達装置を使用してもよい。気道に沿ってさらに深く移動することが意図される、より小さく形成された薬剤の抵抗が小さくされ、薬剤送達の効果が改善されるように、局部麻酔用物質が中咽頭を麻痺させることが期待される。1つの実施形態では、3つの異なるサイズに形成された粒子が送達され、それにより、各粒子が気道の異なる部分を標的とする。例えば、香味剤の粒径は、例えば約15μmほどの粒径、局部麻酔用物質の粒径は、例えば約10μmほどの粒径、および粒径は、約15μmほどの粒径、および薬剤の粒径は、例えば約5μmほどの粒径を含むこともある。
【0284】
肺は、肺胞と肺気道を含み、肺気道は気管、気管支および細気管支を含む。ヒトの右肺は、右上葉、中葉および右下葉の3つの葉から構成される。ヒトの左肺は、左上葉、左上葉の小舌および左下葉の3つの葉から構成される。ヒトの各肺葉は、まっすぐな姿勢で立っているまたは座っているヒトにおいて、一般的に上方から下方に向かって位置している。吸入可能な薬剤の標的は、例えば、右上葉および左上葉を含む肺の上部を含んでもよい。肺内でのそのような標的送達は、例えば、局所性肺病変への化学療法剤の標的送達に都合がよい場合もある。肺内でのそのような標的送達は、例えば、肺内の局所性感染病巣への抗菌剤の標的送達に都合がよい場合もある。肺を標的とした薬剤送達には他に多数の都合がよい例が存在し、それらは当業者に理解されるだろう。
【0285】
肺への薬剤送達は、肺の動静脈を含む、肺胞毛細血管膜および肺血管系への吸収を介して、血流中への迅速な薬剤送達手段を提供することができる。一般に、肺静脈は、酸素化された血液を肺循環から心臓の左心房まで戻し、その血液は心臓の左心室へ移動し、その後体循環へ移動し、そして、様々な体組織を通って移動する。肺の血液関門を渡ることができるエアロゾル化された薬剤は、肺循環に入り、肺静脈を通って心臓へと移動し、その後体循環に移動し、それにより、前記薬剤が肺を越えて人体の組織へ送達されることもある。肺血管系を通る薬剤の全身送達は、例えば、薬剤の静脈送達に代わる都合のよい代替案を提供することもある。
【0286】
いくつかの実施形態では、生成されたエアロゾルは被験体の口内に堆積する。さらなる実施形態では、生成されたエアロゾルの粒子は、約0.1μmから約15μmの粒径、または約0.1μmから約15μmのMMADを持つ。いくつかの実施形態では、生成されたエアロゾルは被験体の気管に堆積する。さらなる実施形態では、生成されたエアロゾルの粒子は、約0.1μmから約15μmの粒径、または約0.1μmから約15μmのMMADを持つ。いくつかの実施形態では、生成されたエアロゾルは被験体の肺に堆積する。さらなる実施形態では、生成されたエアロゾルの粒子は、約0.1μmから約15μmの粒径、または約0.1μmから約15μmのMMADを持つ。いくつかの実施形態では、生成されたエアロゾルは被験体の肺上葉に堆積する。さらなる実施形態では、生成されたエアロゾルの粒子は、約0.1μmから約15μmの粒径、または約0.1μmから約15μmのMMADを持つ。いくつかの実施形態では、生成されたエアロゾルは被験体の肺中葉に堆積する。さらなる実施形態では、生成されたエアロゾルの粒子は、約0.1μmから約15μmの粒径、または約0.1μmから約15μmのMMADを持つ。いくつかの実施形態では、生成されたエアロゾルは被験体の肺下葉に堆積する。さらなる実施形態では、生成されたエアロゾルの粒子は、約0.1μmから約15μmの粒径、または約0.1μmから約15μmのMMADを持つ。
【0287】
いくつかの実施形態では、生成されたエアロゾルは中咽頭に堆積する。さらなる実施形態では、生成されたエアロゾルの粒子は、約0.1μmから約15μmの粒径、または約0.1μmから約15μmのMMADを持つ。いくつかの実施形態では、生成されたエアロゾルは被験体の中央気道に堆積する。さらなる実施形態では、生成されたエアロゾルの粒子は、約0.1μmから約15μmの粒径、または約0.1μmから約15μmのMMADを持つ。いくつかの実施形態では、生成されたエアロゾルは被験体の小気管に堆積する。さらなる実施形態では、生成されたエアロゾルの粒子は、約0.1μmから約15μmの粒径、または約0.1μmから約15μmのMMADを持つ。いくつかの実施形態では、生成されたエアロゾルは被験体の肺胞に堆積する。さらなる実施形態では、生成されたエアロゾルの粒子は、約0.1μmから約15μmの粒径、または約0.1μmから約15μmのMMADを持つ。いくつかの実施形態では、生成されたエアロゾルは被験体の肺血管系に送達される。さらなる実施形態では、生成されたエアロゾルの粒子は、約0.1μmから約15μmの粒径、または約0.1μmから約15μmのMMADを持つ。
【0288】
本発明の上記の説明は、例示と説明の目的のために提示されている。これは包括的なものとなるように、または、開示された正確な形態に本発明を限定するようには意図されておらず、他の改良および変化は、上記の教示を考慮すると、可能な場合もある。この実施形態は、発明の原理とその実質的な応用を最良に説明し、それにより他の当業者が、熟考される特定の用途に適した様々な実施形態および様々な改良において、本発明を最良に利用することを可能にするために、選択され且つ記載された。本発明のその他の代替実施形態を含むと解釈された付随の請求項は、先行技術によって制限される限りでは、除外されることが意図される。
【実施例】
【0289】
以下の実施例は例示目的のためのみ提供され、本明細書で提供された請求項の範囲を制限しない。
【0290】
<実施例1>
本出願に記載された装置のいずれか1つを使用し、生成されたエアロゾルの粒径分布を、エアロゾルが加熱された温度に応じて測定した。空気力学的質量中央径(MMAD)を、Spraytec Particle Size Analyzerおよび温度調節したエアロゾル生成器を使用して測定した。以下の例において、10%=約8psi、50%=約40-50psi、100%=約80-90psiの圧力を装置にかける。様々な%の水を含むグリセロールを試験用薬液として使用した。その結果を表1から4に示す。
【0291】
【0292】
【0293】
【0294】
【0295】
<実施例2>
実施例1に記載したものと同じ実験の設定を用いて、グリセロール、ニコチンおよび水を含む試験薬剤の空気力学的質量中央径(MMAD)を測定した。その結果を表5から8に示す。
【0296】
【0297】
【0298】
【0299】
【0300】
<実施例3>
実施例1に記載したものと同じ実験の設定を用いて、グリセロールと、異なる水量を含む本出願に記載された活性治療薬のいずれか1つとを含む試験薬剤の空気力学的質量中央径(MMAD)を測定する。