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<図1>
  • 特許-光給電コンバータ 図1
  • 特許-光給電コンバータ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】光給電コンバータ
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0232 20140101AFI20220708BHJP
【FI】
H01L31/02 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022506930
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2021045847
【審査請求日】2022-02-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000161862
【氏名又は名称】株式会社京都セミコンダクター
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】臼井 健
(72)【発明者】
【氏名】山中 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】磯村 尚友
(72)【発明者】
【氏名】大村 悦司
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-268191(JP,A)
【文献】特開2010-114235(JP,A)
【文献】特開2005-198396(JP,A)
【文献】特開2021-150964(JP,A)
【文献】特許第3365329(JP,B2)
【文献】国際公開第2016/194349(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/014882(WO,A1)
【文献】特開平06-268196(JP,A)
【文献】米国特許第05673284(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/20
H01L 51/42-51/48
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバケーブルを介して入射する光を電力に変換する複数の受光素子を有する光給電コンバータにおいて、
前記光ファイバケーブルから入射する光を分岐された複数の光導波路に分配する機能を備えた光導波路素子と、前記光導波路素子の複数の光導波路に対応するように配設され且つアノード電極及びカソード電極を夫々有する複数の受光素子とを備え、
前記複数の受光素子の前記アノード電極及び前記カソード電極に夫々接続された複数の導電性部材によって、前記複数の受光素子が直列、並列又は直並列に接続され
前記光導波路素子と前記複数の受光素子とが夫々主面側に一体的に形成された1対の半導体基板を有し、
前記光導波路素子の光の入口同士が重なるように且つ複数の受光素子同士が重なるように、前記1対の半導体基板の前記主面側同士を対向状に結合させた ことを特徴とする光給電コンバータ。
【請求項2】
前記光導波路素子と前記複数の受光素子は、クラッド層上にコア層を有し、
前記複数の受光素子は、前記コア層の上に光吸収層と半導体層を夫々有することを特徴とする請求項1 に記載の光給電コンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブルを介して入力した光を光電変換によって電力に変換して出力する光給電コンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
給電設備がない遠隔地、給電による微弱な電磁界がノイズとなる環境、防爆を必要とする環境、電気的相互影響がある超高電圧設備内等、特殊な環境では電源ケーブルを介して電子機器類を作動させる電力を供給できない場合がある。そのため、電子機器類の傍まで光ファイバケーブルを介して光を送り、この光を光電変換して電力を供給する光給電コンバータが利用されている。
【0003】
光給電コンバータへの光入力に使用される一般的なシングルモード光ファイバケーブルは、光が伝搬するコアの直径が10μm程度と小さい。そのため、例えば1Wを超える大きい光入力に対して、ファイバヒューズ現象によってコアが損傷する場合があり、光入力を大きさには限界がある。そのため、例えば特許文献1のように、複数の光ファイバケーブルを介して光を入力することにより、光入力を大きくして出力を大きくすることができる光給電コンバータが知られている。
【0004】
一方、光給電コンバータに要求される出力電圧、出力電流は、出力先の電子機器類によって異なる場合が多い。そのため、例えば特許文献2のように、光給電コンバータの出力電圧を高くするために、アレイ状に分割された受光素子を直列に接続した光給電コンバータが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6795870号公報
【文献】米国特許出願公開第2011/0108081号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、光入力が大きくなると、光電変換する受光素子は、例えば発熱の影響によって光電変換効率が制限されてしまい、光給電コンバータの出力を大きくできない場合がある。そのため、特許文献1のような複数の光ファイバケーブルに対応するように、特許文献2のように複数の受光素子を装備した光給電コンバータを形成することが考えられる。しかし、複数の光ファイバケーブルを敷設し、これら複数の光ファイバケーブルの出力端を夫々対応する受光素子に合わせて固定する必要があるので容易ではない。
【0007】
また、光給電コンバータは、出力先となる機器内に収容できるように小型化することが要求されている。しかし、光ファイバケーブルは、コアの周囲を覆うクラッドとクラッドの周囲を覆うシースを有し、さらに破損し難くするためにシースの周囲を保護材で覆うので、ある程度の太さがある。そのため、複数の光ファイバケーブルを接続する場合には、複数の光ファイバケーブルを並べることができるように複数の受光素子を離隔させて配置することになるので、光給電コンバータを小型化することは容易ではない。そして、出力先に応じた出力電圧、出力電流にするために、電圧、電流の変換装置が必要な場合には一層小型化が困難になる。
【0008】
本発明の目的は、強い光の入射による受光素子の光電変換効率の低下を抑制すると共に、出力先に合わせた電圧、電流で出力されるように容易に構成することができる小型の光給電コンバータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の光給電コンバータは、光ファイバケーブルを介して入射する光を電力に変換する複数の受光素子を有する光給電コンバータにおいて、前記光ファイバケーブルから入射する光を分岐された複数の光導波路に分配する機能を備えた光導波路素子と、前記光導波路素子の複数の光導波路に対応するように配設され且つアノード電極及びカソード電極を夫々有する複数の受光素子とを備え、前記複数の受光素子の前記アノード電極及び前記カソード電極に夫々接続された複数の導電性部材によって、前記複数の受光素子が直列、並列又は直並列に接続され、前記光導波路素子と前記複数の受光素子とが夫々主面側に一体的に形成された1対の半導体基板を有し、前記光導波路素子の光の入口同士が重なるように且つ複数の受光素子同士が重なるように、前記1対の半導体基板の前記主面側同士を対向状に結合させたことを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、光給電コンバータは、光ファイバケーブルを介して入射する光を光導波路素子によって分岐された複数の光導波路に分配して複数の受光素子に入射させるので、強い光の入射による受光素子の光電変換効率の低下を抑制することができる。そして、この光給電コンバータは、複数の導電性部材によって複数の受光素子が直列、並列又は直並列に接続されるので、出力先に合わせた電圧、電流が出力されるように容易に形成することができる。また、光導波路素子によって光を分配するので光ファイバケーブルの接続数を少なくすることができ、複数の受光素子を複数の導電性部材で接続するので電圧、電流の変換装置が不要であるため、光給電コンバータを小型化することができる。
【0011】
そして、前記光導波路素子と前記複数の受光素子とが主面側に一体的に形成された半導体基板を有し、光導波路素子の光導波路同士が重なるように且つ複数の受光素子同士が重なるように、前記1対の半導体基板の前記主面側同士を対向状に結合させる ため、半導体基板に光導波路素子と複数の受光素子が、対応する光導波路素子の光導波路 に位置合わせされ一体的に形成されているので、光導波路素子と受光素子の位置ずれが発生せず、入力された光を受光素子に入射させることができる。
さらに、光給電コンバータのサイズの増加を抑制しながら1本の光ファイバケーブルに対応する受光素子の数を増加させることができる。
【0012】
請求項の発明の光給電コンバータは、請求項の発明において、前記光導波路素子と前記複数の受光素子は、クラッド層上にコア層を有し、前記複数の受光素子は、前記コア層の上に光吸収層と半導体層を夫々有することを特徴としている。
上記構成によれば、光導波路素子の複数の出口に対応する複数の受光素子を位置ずれが発生しないように容易に配設することができ、入力された光を受光素子に入射させることができる。
【0013】
【発明の効果】
【0014】
本発明の光給電コンバータによれば、強い光の入射による受光素子の光電変換効率の低下を抑制すると共に、出力先に合わせた電圧、電流で出力されるように容易に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係る光給電コンバータの平面図である。
図2図1のII-II線断面図である。
図3図1のIII-III線断面図である。
図4図1のIV-IV線断面図である。
図5】複数の受光素子の並列接続の例を示す図である。
図6】複数の受光素子の直並列接続の例を示す図である。。
図7】フォトダイオード形成用のエッチングマスク形成工程を示す図2相当図である。
図8】光導波路形成用のエッチングマスク形成工程を示す図2相当図である。
図9】受光素子分離用のエッチングマスク形成工程を示す図2相当図である。
図10】MMI型光導波路素子を備えた光給電コンバータの平面図である。
図11】受光素子の変更例を示す図2相当図である。
図12】受光素子の変更例を示す図3相当図である。
図13】2つの光給電コンバータを重ね合わせる説明図である。
図14】重ね合わせて形成された光給電コンバータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例
【0017】
図1図4に示すように、光給電コンバータ1は、半導体基板2の主面2a側に、1つの入口3と複数(例えば4つ)の出口4a~4dを有する光導波路素子5と、光導波路素子5の複数の出口4a~4dに対応するように配設された複数の受光素子6a~6dを有する。半導体基板2は、例えばIII-V属半導体の半絶縁性のInP基板である。
【0018】
光導波路素子5は光の分配機能を有し、入口3から入射する光を途中で2つに均等に分波し、この分けられた光を夫々2つに均等に分配するように、光導波路が2段階で対称に分岐するように形成されている。この光導波路素子5は、半導体基板2の主面2aに形成されたクラッド層7上にコア層8が形成され、このコア層8が入口3から2段階で分岐されて複数の出口4a~4dに連なる光導波路になっている。クラッド層7は、例えばn型半導体のn-InP層である。コア層8は、例えばInGaAsP層である。
【0019】
コア層8に接するクラッド層7及び空気は、コア層8よりも屈折率が小さい。そのため、入口3からコア層8(光導波路)に入射させた光はクラッド層7又は空気との界面で全反射しながら進行する。クラッド層7の厚さは、例えば2μmである。光導波路であるコア層8は、光の進行方向と直交する断面において、厚さが例えば3μm、幅が例えば3μmである。
【0020】
出口4a~4dに対応するように、受光素子6a~6dが配設されている。受光素子6a~6dは、n型半導体のクラッド層7上のコア層8の上に、光吸収層9とp型半導体層10(半導体層)を有する。このp型半導体層10と、n型半導体のクラッド層7とで光吸収層9とコア層8を挟む構造によって、PIN型フォトダイオードである受光素子6a~6dが形成されている。光吸収層9は例えばInGaAs層であり、その厚さと幅が夫々例えば3μm、光の進行方向に沿う長さが例えば15μmである。p型半導体層10は例えばp-InP層であり、その厚さが例えば1μm、幅と長さが光吸収層9と同等である。
【0021】
例えばシングルモードの光ファイバケーブルOCの出射端から光導波路素子5の入口3に矢印L1で示すように光が入力される。この光は、空気又はクラッド層7との界面で全反射しながらコア層8を進行して、矢印L2で示すように光導波路素子5の例えば出口4aに到達し、受光素子6aに入射する。光導波路素子5は光を均等に分けるので、他の出口4b~4dにも光が到達し、対応する受光素子6b~6dに入射する。
【0022】
受光素子6a~6dは、コア層8と光吸収層9との界面において、コア層8を進行する光が波動性によって光吸収層9内に光の波長程度侵入するエバネッセント光を、電力(光電流)に変換する。尚、入力される光は、波長が例えば1.3μm程度の赤外光であり、一定の強さで連続的に入力され、受光素子6a~6dで一定の直流電力に変換される。
【0023】
p型半導体層10上には、このp型半導体層10に接続するアノード電極11(例えばチタン、白金、金を含む金属膜)が形成されている。n型半導体層であるクラッド層7には、このn型半導体層に接続するカソード電極12(例えば金、ゲルマニウム、ニッケル、チタンを含む金属膜)が形成されている。
【0024】
クラッド層7は、光導波路素子5から複数の受光素子6a~6dまでつながっているが、複数の受光素子6a~6dを電気的に分離するために、これら受光素子6a~6dの間でクラッド層7が除去されている。半導体基板2の主面2aには、光給電コンバータ1からの出力端子として、受光素子6aのアノード電極11に接続されたアノード端子部13と、受光素子6dのカソード電極12に接続されたカソード端子部14が形成されている。アノード端子部13及びカソード端子部14は、例えばチタン、白金、金を含む金属膜である。
【0025】
複数の受光素子6a~6dは、例えば金ワイヤのような複数の導電性部材15によって直列に接続されている。そして、直列接続された複数の受光素子6a~6dの一端の受光素子6aのアノード電極11が導電性部材16によってアノード端子部13に接続され、他端の受光素子6dのカソード電極12が導電性部材17によってカソード端子部14に接続されている。尚、導電性部材15,16,17の接続態様によって、アノード端子部13とカソード端子部14を入れ替えることができる。
【0026】
複数の受光素子6a~6dが複数の導電性部材15によって接続されるので、図1のように直列に接続するだけでなく、図5のように並列に接続することもでき、図6のように直列接続と並列接続を組み合わせて直並列に接続することもできる。従って、光給電コンバータ1が接続先に応じた電圧、電流で電力を供給するように、複数の受光素子6a~6dを接続することができる。
【0027】
次に、光給電コンバータ1の形成方法について説明する。
図7のように、ウェハ状の半導体基板2の主面2a側に、例えばエピタキシャル成長法のような公知の成膜方法によって、クラッド層7(n型半導体層)、コア層8、光吸収層9、p型半導体層10を形成し、例えば公知のフォトリソグラフィ法によってフォトダイオード形成用のエッチングマスク21を形成する(フォトダイオード形成用のエッチングマスク形成工程)。そして、例えばRIE法(反応性イオンエッチング法)のような公知のエッチング方法によって、p型半導体層10と光吸収層9をエッチングし、エッチングマスク21を除去する。
【0028】
次に図8のように、公知のフォトリソグラフィ法によって光導波路形成用のエッチングマスク22を形成する(光導波路形成用のエッチングマスク形成工程)。そして例えばRIE法のような公知のエッチング方法によって、コア層8をエッチングして光導波路素子5を形成し、エッチングマスク22を除去する。
【0029】
次に図9のように、受光素子分離用のエッチングマスク23を公知のフォトリソグラフィ法によって形成する(受光素子分離用のエッチングマスク形成工程)。そして、例えばRIE法のような公知のエッチング方法によって、クラッド層7をエッチングして半導体基板2の主面2aを露出させ、エッチングマスク23を除去する。このとき、複数の受光素子6a~6dの間のクラッド層7が除去される(図1図3参照)。
【0030】
最後に、例えば蒸着法によって、アノード電極11、カソード電極12、アノード端子部13、カソード端子部14を形成するための金属膜を夫々所定の領域に選択的に堆積し、劈開又は切断により個片化して平面視矩形の光給電コンバータ1を形成し、導電性部材15,16,17による接続を施す(例えば図1参照)。光導波路素子5の入口3には、例えばシリコン窒化膜のような反射防止膜が形成されることが好ましい。尚、図示を省略するが、この光給電コンバータ1は、光導波路素子5の入口3に対応する位置に光ファイバケーブルOCの出射端を固定する固定機構と、アノード端子部13、カソード端子部14から外部に電力を供給するための出力端子を備えたケースに収容される。
【0031】
図10に示すように、光導波路素子5はMMI(Multi-Mode Interference)型導波路素子であってもよい。また、例えば図11図12に示すように、光導波路素子25の出口24a~24dにおいて、矢印L2で示すコア層28(InGaAsP層)の光の進行方向端部に光吸収層29(InGaAs層)が接続された受光素子26a~26dが形成されてもよい。ここでは、コア層28を上下に挟むクラッド層27a,27bとしてノンドープのInP層を有する光導波路素子25が形成されている。また、n型半導体層30(n-InP層)とp型半導体層31(p-InP層)とで光吸収層29(InGaAs層)を挟んだPIN型フォトダイオードが受光素子26a~26dになっている。光がコア層28から光吸収層29に直接入射するので、光電変換効率の向上が期待できる。
【0032】
図13図14に示すように、例えば図1の光給電コンバータ1を第1光給電コンバータ1aとする。そして、複数の受光素子6a~6dの接続が、第1光給電コンバータ1aと鏡像関係になるように複数の導電性部材15,16,17により接続した光給電コンバータ1を第2光給電コンバータ1bとする。これら第1、第2光給電コンバータ1a,1bの光導波路素子5の入口3同士が重なるように且つ第1、第2光給電コンバータ1a,1bの対応する受光素子6a~6dが重なるように、双方の半導体基板2の主面2a側を対向状に結合させる。
【0033】
このように1対の半導体基板2を結合することにより、サイズの増加を抑制しながら1本の光ファイバケーブルOCに対応する受光素子の数を増加させた光給電コンバータ41を形成することができる。また、導電性部材15,16,17によって第1、第2光給電コンバータ1a,1bを作り分けることができるので、光給電コンバータ41を容易に形成することができる。
【0034】
アノード端子部13同士とカソード端子部14同士は、例えば導電性ペースト42によって夫々接続、結合され、クラッド層7同士が例えば接着剤43によって結合される。また、図示を省略するが、例えば第1光給電コンバータ1aの受光素子6aのアノード電極11と、これに対応する第2光給電コンバータ1bの受光素子6dのアノード電極11とが導電性ペーストによって接続される。他のアノード電極同士も同様である。アノード端子部13同士及びカソード端子部14同士の結合時に、夫々リードフレームを挟むようにして外部出力端子としてもよい。光給電コンバータ41は、第1、第2光給電コンバータ1a,1bが並列に接続されることになるので、出力電圧が維持されたまま出力電流を増加させることができる。
【0035】
複数の受光素子6a~6dは光導波路素子5よりも主面2aから突出しているので、第1、第2光給電コンバータ1a,1bの光導波路素子5同士は入口3以外では離隔している。1対の半導体基板2がスペーサ部材を介して結合された光給電コンバータ41が形成されてもよい。
【0036】
上記光給電コンバータ1,41の作用、効果について説明する。
光給電コンバータ1は、光ファイバケーブルOCを介して入射する光を光導波路素子5によって分配して複数の受光素子6a~6dに入射させるので、強い光の入射による受光素子6a~6dの光電変換効率の低下を抑制することができる。そして、複数の導電性部材15、16,17によって複数の受光素子6a~6dが直列、並列又は直並列に接続されるので、出力先に合わせた電圧、電流が出力されるように光給電コンバータ1を容易に形成することができる。また、光導波路素子5によって光を分配するので光ファイバケーブルOCの接続数を少なくすることができ、複数の受光素子6a~6dを複数の導電性部材15で接続するので電圧、電流の変換装置が不要であるため、光給電コンバータ1を小型化することができる。
【0037】
その上、半導体基板2に光導波路素子5と複数の受光素子6a~6dが、対応する光導波路素子5の出口4a~4dに位置合わせされ一体的に形成されているので、光導波路素子5と受光素子6a~6dの位置ずれが発生せず、入力された光を受光素子6a~6dに入射させることができる。
【0038】
光導波路素子5と複数の受光素子6a~6dは、クラッド層7上にコア層8を夫々有し、複数の受光素子6a~6dは、コア層8の上に光吸収層9と半導体層としてp型半導体層10を有する。従って、光導波路素子5の複数の出口4a~4dに対応する複数の受光素子6a~6dを位置ずれが発生しないように容易に配設することができ、入力された光を受光素子6a~6dに入射させることができる。
【0039】
また、1対の光給電コンバータ1を組み合わせた光給電コンバータ41は、光導波路素子5の光の入口3同士が重なるように且つ複数の受光素子6a~6d同士が重なるように、1対の半導体基板2の主面2a側同士を対向状に結合させている。従って、光給電コンバータ41のサイズの増加を抑制して小型に維持しながら、1本の光ファイバケーブルOCに対応する受光素子6a~6dの数を増加させることができる。
【0040】
光導波路素子5は、出口の数が4つに限定されるものではなく、例えば2つ又は8つ以上の出口を有していてもよい。IV族半導体であるSi基板上に、例えばクラッド層がSiO2層であり、コア層がSi層である光導波路素子と、受光素子とを一体的に形成して光給電コンバータを形成することもできる。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はその種の変更形態も包含するものである。
【符号の説明】
【0041】
1 :光給電コンバータ
1a :第1光給電コンバータ
1b :第2光給電コンバータ
2 :半導体基板
2a :主面
3 :入口
4a~4d:出口
5 :光導波路素子
6a~6d:受光素子
7 :クラッド層
8 :コア層
9 :光吸収層
10 :p型半導体層(半導体層)
11 :アノード電極
12 :カソード電極
13 :アノード端子部
14 :カソード端子部
15,16,17:導電性部材
21,22,23:エッチングマスク
25 :光導波路素子
26 :受光素子
27a,27b:クラッド層
28 :コア層
29 :光吸収層
30 :n型半導体層
31 :p型半導体層
41 :光給電コンバータ
OC :光ファイバケーブル
【要約】
【課題】強い光の入射による受光素子の光電変換効率の低下を抑制すると共に、出力先に合わせた電圧、電流で出力されるように容易に構成することができる小型の光給電コンバータを提供すること。【解決手段】光給電コンバータ(1)は、光ファイバケーブル(OC)を介して入射する光を電力に変換する複数の受光素子(6a~6d)と、光ファイバケーブル(OC)から入射する光の分波機能を備えた光導波路素子(5)を有し、光導波路素子(5)の複数の出口(4a~4d)に対応するように配設された複数の受光素子(6a~6d)がアノード電極(10)及びカソード電極(11)を夫々有し、複数の受光素子(6a~6d)のアノード電極(10)及びカソード電極(11)に夫々接続された複数の導電性部材(15,16,17)によって、複数の受光素子(6a~6d)が直列、並列又は直並列に接続されて形成された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14