(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】プログラム、商品推薦装置、商品推薦方法、および商品推薦システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220708BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20220708BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
G06Q30/02 314
G06Q30/02 470
G06Q30/06 322
(21)【出願番号】P 2021180597
(22)【出願日】2021-11-04
【審査請求日】2021-11-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-253243(JP,A)
【文献】特許第5866256(JP,B2)
【文献】特許第3056168(JP,B2)
【文献】特開2008-158823(JP,A)
【文献】特開2008-077386(JP,A)
【文献】特開2002-074142(JP,A)
【文献】安部 克,レビュー評価項目別スコアを用いたホテル推薦手法の提案,第11回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム (第17回日本データベース学会年次大会) [online] ,日本,2019年03月06日
【文献】谷口 祐奈,コスメ推薦におけるレビュー無記述評価項目のスコア推定方式の提案,第11回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム (第17回日本データベース学会年次大会) [online] ,日本,2019年03月06日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
第1ユーザが体験した第1商品に対する当該第1ユーザによるレビューを取得する手段、
前記レビューに基づいて、前記第1商品の属する商品カテゴリについて定義された少なくとも1つの評価項目である対象項目についての前記第1ユーザによる主観評価値を特定する手段、
商品カテゴリ毎に定義された1以上の評価項目について各商品の客観評価値に関する情報が格納された商品データベース
を参照し、前記第1商品の
前記対象項目
についての客観評価値を取得し、前記客観評価値に対する前記第1ユーザによる主観評価値の差異から、前記対象項目についての当該第1ユーザの感性傾向を推定する手段、
前記感性傾向において前記第1ユーザと類似する第2ユーザを特定する手段、
前記第2ユーザの行動履歴に基づいて、前記第1ユーザに推奨する第2商品を決定する手段、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、
前記第2ユーザのレビューに基づいて、前記第1商品の前記対象項目についての前記第2ユーザによる主観評価値を特定する手段、
前記第1商品の前記対象項目についての客観評価値に対する前記第2ユーザによる主観評価値の差異から、前記対象項目についての当該第2ユーザの感性傾向を推定する手段、
として機能させる請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、前記対象項目、または当該第1商品の当該対象項目についての客観評価値の少なくとも1つに関する情報を含むユーザインタフェースを提示する手段としてさらに機能させ、
前記レビューを取得する手段は、前記ユーザインタフェースが前記第1ユーザから受け付けた操作に基づくレビューを取得する。
請求項1または請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記情報を提示する手段は、前記第1ユーザによる前記第1商品の複数の対象項目についての主観評価を指定する操作を受け付けるグラフ型のオブジェクトを含むユーザインタフェースを提示する、
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記情報を提示する手段は、前記第1ユーザが満足または不満足に感じた評価項目または
主観評価値を指定する操作を受け付けるオブジェクトを含むユーザインタフェースを提示する、
請求項3または請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記レビューを取得する手段は、前記第1ユーザが購入、レンタル、利用、使用、鑑賞、消費、または面会した商品に対する当該第1ユーザによるレビューを取得する、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプログラム。
【請求項7】
前記対象項目についての各商品の客観評価値は、計測装置が当該商品の物理量もしくは化学量を計測した結果、または当該商品に対する人間による官能検査の結果の少なくとも1つに基づく値、である、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のプログラム。
【請求項8】
前記第2ユーザの行動履歴は、当該第2ユーザによる商品の購入、レンタル、利用、使用、鑑賞、消費、面会、またはレビューの履歴の少なくとも1つを含む、
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のプログラム。
【請求項9】
前記決定する手段は、前記第1商品と同一の商品カテゴリに属し、かつ前記第2ユーザによる購入、レンタル、利用、使用、鑑賞、消費、または面会の頻度、回数、数量、または支払額の少なくとも1つが閾値以上である商品を前記第2商品として決定する、
請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記決定する手段は、前記第1商品と同一の商品カテゴリに属し、かつ前記第2ユーザによるレビューにおいて評価が閾値以上であった商品を前記第2商品として決定する、
請求項8に記載のプログラム。
【請求項11】
前記第2ユーザを特定する手段は、前記第2ユーザを含む複数のユーザの感性傾向に関する情報が格納されたユーザデータベースに基づいて、前記第2ユーザを特定する、
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のプログラム。
【請求項12】
第1ユーザが体験した第1商品に対する当該第1ユーザによるレビューを取得する手段と、
前記レビューに基づいて、前記第1商品の属する商品カテゴリについて定義された少なくとも1つの評価項目である対象項目についての前記第1ユーザによる主観評価値を特定する手段と、
商品カテゴリ毎に定義された1以上の評価項目について各商品の客観評価値に関する情報が格納された商品データベース
を参照し、前記第1商品の
前記対象項目
についての客観評価値を取得し、前記客観評価値に対する前記第1ユーザによる主観評価値の差異から、前記対象項目についての当該第1ユーザの感性傾向を推定する手段と、
前記感性傾向において前記第1ユーザと類似する第2ユーザを特定する手段と、
前記第2ユーザの行動履歴に基づいて、前記第1ユーザに推奨する第2商品を決定する手段と、
を具備する、商品推薦装置。
【請求項13】
コンピュータが、
第1ユーザが体験した第1商品に対する当該第1ユーザによるレビューを取得することと、
前記レビューに基づいて、前記第1商品の属する商品カテゴリについて定義された少なくとも1つの評価項目である対象項目についての前記第1ユーザによる主観評価値を特定することと、
商品カテゴリ毎に定義された1以上の評価項目について各商品の客観評価値に関する情報が格納された商品データベース
を参照し、前記第1商品の
前記対象項目
についての客観評価値を取得し、前記客観評価値に対する前記第1ユーザによる主観評価値の差異から、前記対象項目についての当該第1ユーザの感性傾向を推定することと、
前記感性傾向において前記第1ユーザと類似する第2ユーザを特定することと、
前記第2ユーザの行動履歴に基づいて、前記第1ユーザに推奨する第2商品を決定することと、
を具備する、商品推薦方法。
【請求項14】
第1情報処理装置と、前記第1情報処理装置とは異なる第2情報処理装置とを具備する商品推薦システムであって、
前記第1情報処理装置は、第1ユーザが体験した第1商品に対する当該第1ユーザによるレビューを取得する手段を備え、
前記第2情報処理装置は、
前記レビューに基づいて、前記第1商品の属する商品カテゴリについて定義された少なくとも1つの評価項目である対象項目についての前記第1ユーザによる主観評価値を特定する手段と、
商品カテゴリ毎に定義された1以上の評価項目について各商品の客観評価値に関する情報が格納された商品データベース
を参照し、前記第1商品の
前記対象項目
についての客観評価値を取得し、前記客観評価値に対する前記第1ユーザによる主観評価値の差異から、前記対象項目についての当該第1ユーザの感性傾向を推定する手段と、
前記感性傾向において前記第1ユーザと類似する第2ユーザを特定する手段と、
前記第2ユーザの行動履歴に基づいて、前記第1ユーザに推奨する第2商品を決定する手段と、
を備え、
前記第1情報処理装置は、前記第2商品に関する情報を前記第1ユーザに提示する手段をさらに備える、
商品推薦システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、商品推薦装置、商品推薦方法、および商品推薦システムに関する。
【背景技術】
【0002】
EC(Electronic Commerce)の分野では、例えば協調フィルタリングを用いて顧客にパーソナライズされた商品を推薦する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、ユーザに、靴の着用感、または足と靴の内側との間の距離が類似する他のユーザの靴の購入実績を提示することについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
靴の着用感等は、ユーザが同一であっても靴が異なれば変わり得る。故に、特許文献1の技術は、同一の靴についての着用感等を比較することを前提としていると考えられる。換言すれば、特許文献1の技術では、ユーザと同じ靴を着用したことはないが、靴の着用感等においてユーザと潜在的に類似する他のユーザを探索することは原理上できない。
【0006】
本開示の目的は、ユーザに的確な商品を推薦することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、第1ユーザが体験した第1商品に対する当該第1ユーザによるレビューを取得する手段、商品カテゴリ毎に定義された1以上の評価項目について各商品の客観評価値に関する情報が格納された商品データベースと、レビューとに基づいて、第1商品の属する商品カテゴリについて定義された少なくとも1つの評価項目である対象項目についての当該第1ユーザの感性傾向を推定する手段、感性傾向において第1ユーザと類似する第2ユーザを特定する手段、第2ユーザの行動履歴に基づいて、第1ユーザに推奨する第2商品を決定する手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ユーザに的確な商品を推薦することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の商品推薦システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態のカテゴリデータベースのデータ構造を示す図である。
【
図6】本実施形態の商品データベースの第1例のデータ構造を示す図である。
【
図7】本実施形態の商品データベースの第2例のデータ構造を示す図である。
【
図8】本実施形態のユーザデータベースのデータ構造を示す図である。
【
図9】本実施形態の商品推薦処理のフローチャートである。
【
図10】本実施形態の商品推薦処理において表示されるレビュー入力画面の例を示す図である。
【
図11】本実施形態の商品推薦処理において表示される商品推薦画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
本明細書において、「商品」は、任意の種類の製品(つまり、物)、サービス、またはサービスの提供にあたって使用される物を含むことができる。さらに、本明細書において、「商品」は、マッチングサービスによって紹介される相手(例えば、人間、店舗、施設、コンテンツ)を含むこともできる。人間は、マッチンサービスによって仲介された友達候補、または恋人候補を含み得る。店舗および施設は、例えば飲食店または宿泊施設のようなサービスが提供される場所を含み得る。コンテンツは、例えば動画コンテンツ、ミュージックコンテンツ、電子書籍コンテンツ、静止画コンテンツ、またはテキストコンテンツを含み得る。
【0012】
本明細書において、「体験」とは、商品に対するユーザの主観評価の形成に影響する様々な行動を意味する。例えば、ユーザが購入、レンタル、利用、使用、鑑賞、消費、または面会(商品が人間の場合)した商品のいずれも当該ユーザが体験した商品と解釈できる。
【0013】
(1)商品推薦システムの構成
商品推薦システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の商品推薦システムの構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、商品推薦システム1は、クライアント装置10と、サーバ30とを備える。
クライアント装置10及びサーバ30は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続される。
【0015】
クライアント装置10は、サーバ30にリクエストを送信する情報処理装置の一例である。クライアント装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。
【0016】
サーバ30は、クライアント装置10から送信されたリクエストに応じたレスポンスをクライアント装置10に提供する情報処理装置の一例である。サーバ30は、例えば、サーバコンピュータである。サーバ30は、例えば商品推薦装置などの別の名称で呼ぶこともできる。
【0017】
(1-1)クライアント装置の構成
クライアント装置の構成について説明する。
図2は、本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【0018】
図2に示すように、クライアント装置10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。クライアント装置10は、ディスプレイ21に接続される。
【0019】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0020】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)のプログラム
【0021】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0022】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、クライアント装置10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0023】
入出力インタフェース13は、クライアント装置10に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示)を取得し、かつ、クライアント装置10に接続される出力デバイスに情報(例えば、画像)を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ21、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0024】
通信インタフェース14は、クライアント装置10とサーバ30との間の通信を制御するように構成される。
【0025】
ディスプレイ21は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ21は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0026】
(1-2)サーバの構成
サーバの構成について説明する。
図3は、本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【0027】
図3に示すように、サーバ30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。
【0028】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0029】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0030】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理の実行結果
【0031】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、サーバ30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0032】
入出力インタフェース33は、サーバ30に接続される入力デバイスからユーザの指示を取得し、かつ、サーバ30に接続される出力デバイスに情報を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0033】
通信インタフェース34は、サーバ30とクライアント装置10との間の通信を制御するように構成される。
【0034】
(2)実施形態の一態様
本実施形態の一態様について説明する。
図4は、本実施形態の一態様の説明図である。
【0035】
図4に示すように、ユーザUS1は、自らが体験した商品IT1について、クライアント装置10を介してレビューを行う。サーバ30は、ユーザUS1による商品IT1に対するレビューと商品データベースIDBとに基づいて、当該ユーザUS1の感性傾向を推定する。感性傾向の詳細は後述する。商品データベースIDBには、商品群GITに属する各商品(商品IT1を含む)に関する情報(以下、「商品情報」という)が蓄積されている。商品情報は、各商品の評価項目毎の客観評価値の情報(以下、「客観評価情報」という)を含む。サーバ30は、ユーザUS1の感性傾向を推定するために、商品データベースIDBから商品IT1の客観評価情報を抽出する。
【0036】
サーバ30は、ユーザUS1の感性傾向とユーザデータベースUDBとに基づいて、感性傾向においてユーザUS1と類似する他のユーザ(以下、「類似ユーザ」という)を特定する。ユーザデータベースUDBには、ユーザ群GUSに属する各ユーザに関する情報(以下、「ユーザ情報」という)が蓄積されている。ユーザ情報は、各ユーザの感性傾向に関する情報(以下、「感性傾向情報」という)および行動履歴に関する情報(以下、「行動履歴情報」という)を含む。サーバ30は、類似ユーザを特定するために、ユーザデータベースUDBからユーザUS1以外のユーザの感性傾向情報を抽出する。
【0037】
サーバ30は、類似ユーザの行動履歴情報をユーザデータベースUDBから抽出する。サーバ30は、類似ユーザの行動履歴情報に基づいてユーザUS1に推奨する商品(以下、「推奨商品」という)を決定する。サーバ30は、推奨商品の情報(例えば商品情報)をユーザUS1に提示する。
【0038】
このように、サーバ30は、ユーザUS1による商品IT1に対するレビューに基づいて、当該ユーザUS1の感性傾向を推定し、ユーザUS1に感性傾向(つまり、商品の捉え方)の近い類似ユーザを特定し、当該類似ユーザの行動履歴に基づいて推奨商品を決定する。したがって、サーバ30によれば、ユーザUS1に感性傾向の近い類似ユーザの行動履歴に基づいて当該ユーザUS1に対する推奨商品を決定できる。つまり、ユーザUS1の感性に合う的確な商品を推奨し、ユーザUS1の満足度を向上するとともに商品の販売を促進することができる。また、サーバ30によれば、商品IT1を体験したことのないユーザであっても商品IT1と同じ商品群GITに属する商品を体験したことのあるユーザであれば類似ユーザの候補となる。つまり、商品IT1が新商品であるなど、商品IT1を体験したことのあるユーザ数が少ない場合であっても、ユーザUS1に的確な商品を推奨することができる。
【0039】
(3)データベース
本実施形態のデータベースについて説明する。以下のデータベースは、記憶装置31に記憶される。或いは、以下のデータベースの少なくとも1つが、サーバ30とネットワークを介して接続された記憶装置、またはサーバ30とネットワークを介して接続された外部システムの備える記憶装置に記憶されてもよい。外部システムは、例えば、ECシステム、SaaS(Software as a Service)システム、サブスクリプションシステム、マッチングプラットフォームシステム、などである。つまり、サーバ30は、外部システムからの要求に応じて、当該外部システムによって管理されるデータベースにアクセスし、当該外部システムのユーザに対する推奨商品の情報を応答してもよい。
【0040】
(3-1)カテゴリデータベース
本実施形態のカテゴリデータベースについて説明する。
図5は、本実施形態のカテゴリデータベースのデータ構造を示す図である。
【0041】
カテゴリデータベースには、カテゴリ情報が格納される。カテゴリ情報は、商品カテゴリに関する情報である。商品カテゴリとは、商品推薦システム1によって取り扱われる商品のうち、評価項目において共通する商品が属する範囲を意味する。ただし、商品推薦システム1によって取り扱われる商品が全て同一のカテゴリに属する場合に、カテゴリデータベースは省略され得る。
【0042】
図5に示すように、カテゴリデータベースは、「カテゴリID」フィールドと、「カテゴリ名称」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
【0043】
「カテゴリID」フィールドには、カテゴリIDが格納される。カテゴリIDは、商品カテゴリを識別する情報である。
【0044】
「カテゴリ名称」フィールドには、カテゴリ名情報が格納される。カテゴリ名情報は、商品カテゴリの名称に関する情報である。
【0045】
(3-2)商品データベース
本実施形態の商品データベースについて説明する。
図6は、本実施形態の商品データベースの第1例のデータ構造を示す図である。
図7は、本実施形態の商品データベースの第2例のデータ構造を示す図である。
【0046】
図6および
図7に示すように、商品データベースは、「商品ID」フィールドと、「商品名称」フィールドと、「客観評価値」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
商品データベースは、カテゴリデータベース(
図5)のカテゴリIDに関連付けられている。
【0047】
「商品ID」フィールドには、商品IDが格納される。商品IDは、商品を識別する情報である。
【0048】
「商品名称」フィールドには、商品名情報が格納される。商品名情報は、商品の名称に関する情報である。
【0049】
「客観評価値」フィールドには、客観評価情報が格納される。客観評価情報は、1以上の評価項目の各々についての商品の客観評価値に関する情報である。ここで、客観評価情報は、商品カテゴリ毎に定義される。つまり、客観評価の対象となる項目は、商品カテゴリによって異なり得る。各項目の客観評価値は、一次元の値として定義されてもよいし、多次元の値(つまりベクトル)として定義されてもよい。客観評価の対象となる項目は、人間(例えば、商品に対する官能検査の設計者、または商品推薦システム1の管理者)によって定義されてもよいし、アルゴリズムによって定義されてもよい。一例として、ある商品カテゴリに属する商品に対するレビューに対してテキストマイニングを行うことで、ユーザにとって関心の高い評価項目を抽出してもよい。
【0050】
客観評価値は、計測装置が商品の物理量もしくは化学量を計測した結果、または商品に対する人間による官能検査の結果の少なくとも1つに基づく値であってもよい。
計測装置は、例えば、味覚センサ、測距センサ(一例として、Lidar(Light Detection and Ranging))、カラーセンサ、マイクロホン、などである。また、計測装置による計測値に基づいて学習済みモデルが推論(例えば、予測または分類)を行った結果を客観評価値としてもよい。この場合に、学習済みモデルは、計測装置またはサーバ30上に構築されてもよいし、外部装置(例えばクラウドサーバ)上に構築されてもよい。
官能検査の主体となる人間は、例えばソムリエなどの専門家であってもよいし、官能検査のために選定された調査母集団であってもよい。或いは、商品を実際に体験した複数のユーザのレビューを統計分析した結果を官能検査の結果として利用することもでき、この場合に、客観評価値は商品のレビューの集積に伴って変動し得る。
【0051】
図6に示すように、商品カテゴリが「米」である場合に、客観評価情報は、外観情報、香り情報、味情報、粘り情報、および硬さ情報を含み得る。
外観情報は、商品の外観の客観評価値に関する情報である。
香り情報は、商品の香りの客観評価値に関する情報である。
味情報は、商品の味の客観評価値に関する情報である。
粘り情報は、商品の粘りの客観評価値に関する情報である。
硬さ情報は、商品の硬さの客観評価値に関する情報である。
【0052】
図7に示すように、商品カテゴリが「ワイン」である場合に、客観評価情報は、酸味情報、甘み情報、およびタンニン分情報を含み得る。
酸味情報は、商品の酸味の客観評価値に関する情報である。
甘み情報は、商品の甘みの客観評価値に関する情報である。
タンニン分情報は、商品のタンニン分の客観評価値に関する情報である。
【0053】
(3-3)ユーザデータベース
本実施形態のユーザデータベースについて説明する。
図8は、本実施形態のユーザデータベースのデータ構造を示す図である。
【0054】
図8に示すように、ユーザデータベースは、「ユーザID」フィールドと、「ユーザ名」フィールドと、感性傾向フィールドと、行動履歴フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
【0055】
「ユーザID」フィールドには、ユーザIDが格納される。ユーザIDは、ユーザ情報を識別する情報である。
【0056】
「ユーザ名」フィールドには、ユーザ名情報が格納される。ユーザ名情報は、ユーザの名称に関する情報である。
【0057】
「感性傾向」フィールドには、感性傾向情報が格納される。感性傾向情報は、ユーザの感性傾向に関する情報である。感性傾向は、1以上の評価項目についての客観評価に対するユーザの主観評価の差異を示す。例えば、客観評価では酸味が「強い」である商品に対して、ユーザが酸味は「標準的」と評価すれば、当該ユーザは酸味を感じにくい感性傾向を持つといえる。また、客観評価では甘みが「やや強い」である商品に対して、ユーザが甘みは「非常に強い」と評価すれば、当該ユーザは甘みを感じやすい感性傾向を持つといえる。一例として、感性傾向情報は、評価項目毎に一次元の数値または多次元のベクトルを備える。また、感性傾向情報は、商品カテゴリ別に定義されてもよい。これにより、例えば、果物に対する甘みの感じ方と酒に対する甘みの感じ方とを区別してユーザの感性傾向を推定することができる。
【0058】
「行動履歴」フィールドには、行動履歴情報が格納される。行動履歴情報は、ユーザの行動履歴に関する情報である。行動履歴は、ユーザによる様々な商品の体験、またはレビューの履歴である。一例として、行動履歴情報は、以下の要素を含む。
・ユーザがいつ商品を体験またはレビューしたかを特定可能な情報
・ユーザがどの商品を体験またはレビューしたかを特定可能な情報
・ユーザによる商品の体験またはレビューの内容を特定可能な情報
ここで、体験の内容は、例えば商品の数量、体験時間、価格などの定量的情報を含み得る。レビューの内容は、例えば商品の総合評価であってもよい。
【0059】
(4)商品推薦処理
本実施形態の商品推薦処理について説明する。本実施形態において、商品推薦処理とは、例えば、ある商品を体験したユーザに、当該商品とは異なる商品を推薦する処理である。
図9は、本実施形態の商品推薦処理のフローチャートである。
図10は、本実施形態の商品推薦処理において表示されるレビュー入力画面の例を示す図である。
図11は、本実施形態の商品推薦処理において表示される商品推薦画面の例を示す図である。
【0060】
商品推薦処理は、ユーザ(「第1ユーザ」の一例)による商品(「第1商品」の一例であり、以下、「対象商品」という)の体験の後に開始する。一例として、商品推薦処理は、以下の開始条件のいずれかの成立に応じて開始してもよい。
・他の情報処理によって商品推薦処理が呼び出された。
・ユーザが商品推薦処理を呼び出すための操作(例えば、図示しないUI(User Interface)上で商品のレビューを開始するための操作)を行った。
・クライアント装置10が所定の状態(例えば、所定のアプリ(例えばECアプリ)の起動、または所定のウェブサイト(例えばマッチングプラットフォームのウェブサイト)へのアクセス)になった。
・所定のイベント(例えば、ユーザによる商品の体験)から所定の時間が経過した。
【0061】
図9に示すように、サーバ30は、レビュー入力UIの提示(S130)を実行する。
具体的には、サーバ30は、対象商品に対するユーザによるレビューを入力するためのUIを、クライアント装置10を介してユーザに提示する。一例として、サーバ30は、レビュー入力画面をクライアント装置10のディスプレイ21に表示させる。
【0062】
図10に示すように、レビュー入力画面P10は、表示オブジェクトA10と、操作オブジェクトB10a~B10cとを含む。
ここで、表示オブジェクトA10と操作オブジェクトB10aおよびB10bとを含むオブジェクト群は、対象商品が属する商品カテゴリに対して定義された1以上の評価項目の各々について設けられる。
【0063】
表示オブジェクトA10は、当該表示オブジェクトA10に対応する評価項目に関する情報(例えば評価項目の名称)を表示する。
【0064】
操作オブジェクトB10aは、当該操作オブジェクトB10aに対応する評価項目の観点からユーザが商品について満足であったか不満足であったかを表明するための操作を受け付ける。ユーザが満足、または不満足を表明した評価項目は、ユーザの関心の高い項目と考えられる。一例として、ユーザは、対象商品の酸味を満足に感じたのであれば、評価項目「酸味」に対応する操作オブジェクトB10aのサムズアップのボタンを選択する。他方、ユーザは、対象商品の酸味を不満足に感じたのであれば、評価項目「酸味」に対応する操作オブジェクトB10aのサムズダウンのボタンを選択する。
【0065】
操作オブジェクトB10bは、当該操作オブジェクトB10bに対応する評価項目についてのユーザによる商品の主観評価を指定する操作を受け付けるオブジェクトである。一例として、ユーザは、商品の酸味が強いと感じたのであれば、評価項目「酸味」に対応する操作オブジェクトB10bのスライダを右方向に動かす。他方、ユーザは、商品の酸味が弱いと感じたのであれば、評価項目「酸味」に対応する操作オブジェクトB10bのスライダを左側に動かす。
なお、操作オブジェクトB10bに重畳して、当該操作オブジェクトB10bに対応する評価項目についての商品の客観評価値を表すオブジェクトが表示されてもよい。或いは、操作オブジェクトB10bのスライダの初期位置が、当該操作オブジェクトB10bに対応する評価項目についての商品の客観評価値を表すように決定されてもよい。
また、複数の評価項目に亘る操作オブジェクトB10bが、例えばレーダーチャートなどグラフを用いて表現されてもよい。ユーザは、グラフの状態(例えば、レーダーチャートの各頂点の位置、グラフの棒の長さ)を変更することで、商品の主観的な評価を指定できる。このグラフの初期状態が、各評価項目についての商品の客観評価値を表すように決定されてもよい。或いは、レビュー入力画面P10が、商品の各評価項目についての客観評価値を表現する別のグラフをさらに含んでもよい。
【0066】
操作オブジェクトB10cは、各評価項目に対応する操作オブジェクトB10a~B10bの入力状態を確定する操作を受け付ける。ユーザが操作オブジェクトB10cを選択すると、クライアント装置10は、各評価項目に対応する操作オブジェクトB10a~B10bの入力状態を示す情報をユーザによる商品のレビューとしてサーバ30へ送信する。
【0067】
ステップS130の後に、サーバ30は、レビューの取得(S131)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS130において提示したレビュー入力UIがユーザから受け付けた操作に基づくレビューを、クライアント装置10から取得する。
【0068】
ステップS131の後に、サーバ30は、主観評価値の特定(S132)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS131において取得したレビューに基づいて、対象商品の少なくとも1つの評価項目(以下、「対象項目」という)についてのユーザによる主観評価値を特定する。一例として、ステップS130においてレビュー入力画面P10を提示した場合に、サーバ30は、各評価項目に対応する操作オブジェクトB10bの入力状態に応じた数値を、当該項目についてのユーザによる主観評価値として特定可能である。
【0069】
ステップS132の後に、サーバ30は、感性傾向の推定(S133)を実行する。
具体的には、サーバ30は、対象商品の客観評価情報を商品データベース(
図6,
図7)から抽出する。サーバ30は、この客観評価情報の示す客観評価値と、ステップS132において特定した主観評価値との比較に基づいて、ユーザの感性傾向を推定する。一例として、サーバ30は、対象項目毎に主観評価値から客観評価値を減算した差(以下、「評価差」という)に基づいて、ユーザの感性傾向を推定してもよい。サーバ30は、推定した感性傾向を特定可能な感性傾向情報を、ユーザに対応するユーザIDに関連付けて、ユーザデータベース(
図8)に格納する。
なお、対象項目について、ユーザの感性傾向情報(つまり、過去に推定した感性傾向)がユーザデータベース(
図8)に格納済みである場合に、サーバ30は、この感性傾向情報にさらに基づいてユーザの感性傾向を推定してもよい。一例として、サーバ30は、各対象項目について、評価差と、当該対象項目について過去に推定された感性傾向との加重和(ただし、重みは1:1であってもよい)を、ユーザの現在の感性傾向と推定してもよい。ここで、ユーザが満足または不満足を表明した評価項目と、そうでない評価項目とで、重み付けを変えてもよい。例えば、ユーザが満足または不満足を表明した評価項目では、そうでない評価項目に比べて、評価差に与えられる重みを大きくしてもよい。
【0070】
ステップS133の後に、サーバ30は、類似ユーザの特定(S134)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ユーザと感性傾向において類似する他のユーザ(「第2ユーザ」の一例)を特定する。一例として、サーバ30は、ユーザデータベース(
図8)を参照して、対象項目について、ステップS133において推定した感性傾向と類似する感性傾向を持つ類似ユーザを探索する。サーバ30は、感性傾向の最も類似する1人の類似ユーザを探索してもよいし、感性傾向が類似する順に所定数の類似ユーザを探索してもよいし、感性傾向の類似度が所定値以上の任意数の類似ユーザを探索してもよい。感性傾向の類似度は、例えば、感性傾向を表す数値またはベクトル同士の距離を用いて定義可能である。
類似度の計算では、評価項目毎の感性傾向の差を均等に評価してもよいし、重み付けして評価してもよい。具体的には、ユーザが満足または不満足を表明した評価項目の感性傾向の差が、そうでない評価項目の感性傾向の差に比べて、類似度に与える影響が大きくなるように各評価項目の感性傾向の差が重み付けられてよい。
【0071】
ステップS134の後に、サーバ30は、推奨商品の決定(S135)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ユーザデータベース(
図8)を参照し、ステップS134において特定した類似ユーザの行動履歴情報を抽出する。サーバ30は、抽出した行動履歴情報に基づいて、推奨商品(「第2商品」の一例)を決定する。サーバ30は、1つの推奨商品を決定してもよいし、複数の推奨商品を決定してもよい。
【0072】
一例として、サーバ30は、以下の商品を推奨商品として決定してもよい。
・対象商品と同一の商品カテゴリに属し、かつ類似ユーザによる体験の頻度、回数、数量、または支払額の少なくとも1つが閾値以上である商品
・対象商品と同一の商品カテゴリに属し、かつ類似ユーザによるレビューにおいて評価が閾値以上であった商品
・対象商品と同一の商品カテゴリに属し、かつユーザが満足または不満足を表明した評価項目について類似ユーザが満足を表明した商品
ここで、体験の回数、数量、または支払額は、1体験あたりの値であってもよいし、複数回に亘る体験の合計値であってもよい。また、類似ユーザによるレビューにおける評価は、例えば商品に対する総合的な評価である。類似ユーザによるレビューにおける評価と比較される閾値は、ユーザ間で共通の値であってもよいし、ユーザ毎に個別に決定されてもよい。一例として、この閾値は、対象商品に対する類似ユーザによる過去のレビューにおける評価であってもよい。或いは、この閾値は、対象商品と同一の商品カテゴリに属する各商品に対する類似ユーザによる過去のレビューにおける評価の統計値(例えば、平均値、中央値、または最頻値)であってもよい。
【0073】
或いは、サーバ30は、対象商品と同一の商品カテゴリに属する他の商品のそれぞれについて推奨スコアを算出し、当該推奨スコアの降順に所定数の商品を推奨商品と決定してもよいし、当該推奨スコアが閾値以上の商品を推奨商品と決定してもよい。推奨スコアは、類似ユーザによる体験の頻度、回数、数量、または支払額の少なくとも1つに基づいて算出されてもよいし、類似ユーザによる商品に対する評価に基づいて算出されてもよいし、ユーザが満足または不満足を表明した評価項目について満足を表明した類似ユーザの数に基づいて算出されてもよい。
さらに、サーバ30は、ユーザが満足または不満足を表明した評価項目をさらに考慮して推奨スコアを算出してもよい。一例として、サーバ30は、ユーザが満足を表明した評価項目について、対象商品の客観評価値と他の商品の客観評価値との差が小さくなるほど当該他の商品の推奨スコアを増加させてもよい。或いは、サーバ30は、ユーザが不満足を表明した評価項目について対象商品の客観評価値と他の商品の客観評価値との差が小さくなるほど当該他の商品の推奨スコアを減少させてもよい。
【0074】
ステップS135の後に、サーバ30は、推奨商品の情報の提示(S136)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS135において決定した推奨商品の情報を生成し、当該情報を、クライアント装置10を介してユーザに提示する。サーバ30は、推奨商品の情報を生成するために、商品データベース(
図6,
図7)を参照可能である。一例として、サーバ30は、商品推薦画面をクライアント装置10のディスプレイ21に表示させる。
【0075】
図11に示すように、商品推薦画面P11は、表示オブジェクトA11を含む。
ここで、表示オブジェクトA11は、推奨商品群毎に設けられる。
【0076】
表示オブジェクトA11は、推奨商品に関する情報を表示する。推奨商品に関する情報は、例えば、推奨商品の名称、外観、産地、原材料、成分、仕様、価格、生産者、または提供者に関する情報を含むことができる。さらに、推奨商品に関する情報は、対象商品の客観評価情報と推奨商品の客観評価情報とを表現するグラフ(一例としてレーダーチャート)を含むことができる。
【0077】
ステップS136の終了を以て、サーバ30は、商品推薦処理(
図9)を終了する。
【0078】
(5)小括
以上説明したように、サーバ30は、ユーザによる対象商品に対するレビューを取得し、当該レビューと商品データベース(
図6,
図7)とに基づいて対象項目についてのユーザの感性傾向を推定する。サーバ30は、感性傾向においてユーザに近い類似ユーザを特定し、当該類似ユーザの行動履歴に基づいて、ユーザに推奨する商品を決定する。これにより、ユーザと商品に対する捉え方の近い類似ユーザによる様々な商品の行動履歴を考慮することで、ユーザに好まれる可能性の高い商品を選出することができる。故に、サーバ30によれば、ユーザの満足度の向上、および商品の販売促進が可能である。
【0079】
サーバ30は、レビューに基づいて対象商品の対象項目についてのユーザによる主観評価値を特定し、当該主観評価値と対象商品の客観評価値との比較に基づいて、対象項目についてのユーザの感性傾向を推定してもよい。これにより、ユーザの感性傾向を項目単位に整理して妥当に推定することができる。
【0080】
サーバ30は、対象項目に関する情報を含むユーザインタフェースを提示し、当該ユーザインタフェースがユーザから受け付けた操作に基づくレビューを取得してもよい。これにより、ユーザに商品をレビューするための観点を提示し、ユーザの主観評価が漏れおよび重複なく反映されたレビューを取得することができる。サーバ30は、対象商品の対象項目についての客観評価値をさらに含むユーザインタフェースを提示してもよい。これにより、ユーザに、極端な主観評価を行わないよう促すことができる。また、サーバ30は、ユーザによる対象商品の複数の対象項目についての主観評価を指定する操作を受け付けるグラフ型のオブジェクトを含むユーザインタフェースを提示してもよい。これにより、ユーザは、商品の主観評価を直感的に行うことができる。さらに、サーバ30は、ユーザが満足または不満足に感じた評価項目を指定する操作を受け付けるオブジェクトを含むユーザインタフェースを提示してもよい。これにより、ユーザの関心の高い項目を考慮してユーザに好まれる可能性のより高い商品を選出することができる。
【0081】
対象商品は、ユーザが購入、レンタル、利用、使用、鑑賞、消費、または面会した商品である。これにより、ユーザが対象商品を実際に体験して形成した主観評価を元に当該ユーザの感性傾向を妥当に推定することが可能になる。
【0082】
対象項目についての各商品の客観評価値は、計測装置が当該商品の物理量もしくは化学量を計測した結果、または当該商品に対する人間による官能検査の結果の少なくとも1つに基づく値、であってもよい。これにより、商品の客観評価値の信頼度を高めることができる。
【0083】
他のユーザの行動履歴は、当該他のユーザによる商品の購入、レンタル、利用、使用、鑑賞、消費、面会、またはレビューの履歴の少なくとも1つを含んでもよい。これにより、類似ユーザによる商品の実際の体験またはレビューの履歴を考慮してユーザに好まれる可能性のより高い商品を選出することができる。また、サーバ30は、対象商品と同一の商品カテゴリに属し、かつ類似ユーザによる体験の頻度、回数、数量、または支払額の少なくとも1つが閾値以上である商品を推奨商品として決定してもよい。これにより、類似ユーザが実際に積極的に体験している商品をユーザに推薦することができる。或いは、サーバ30は、対象商品と同一の商品カテゴリに属し、かつ類似ユーザによるレビューにおいて評価が閾値以上であった商品を推奨商品として決定してもよい。これにより、類似ユーザが実際に高評価した商品をユーザに推薦することができる。
【0084】
サーバ30は、ユーザデータベース(
図8)に基づいて類似ユーザを特定してもよい。これにより、類似ユーザを効率的に探索することができる。
【0085】
(6)変形例
記憶装置11は、ネットワークNWを介して、クライアント装置10と接続されてもよい。ディスプレイ21は、クライアント装置10に搭載されてもよい。記憶装置31は、ネットワークNWを介して、サーバ30と接続されてもよい。
【0086】
上記の商品推薦処理の各ステップは、クライアント装置10及びサーバ30の何れでも実行可能である。
上記説明では、各処理において各ステップを特定の順序で実行する例を示したが、各ステップの実行順序は、依存関係がない限りは説明した例に制限されない。
【0087】
クライアント装置10と、サーバ30との間には別の情報処理装置が介在してもよい。この情報処理装置(以下、便宜的に「第1情報処理装置」という)は、サーバ30(以下、便宜的に「第2情報処理装置」という)との間で機能を分担できる。第1情報処理装置は、商品推薦システム1の一部であると同時に、外部システム(例えば、ECシステム、SaaSシステム、サブスクリプションシステム、マッチングプラットフォームシステム)の一部である。
第1情報処理装置は、例えば、クライアント装置10を介してレビュー入力UIを外部システムのユーザに提示し、当該ユーザからレビューを取得する。第1情報処理装置は、取得したレビューを第2情報処理装置へ送信する。第2情報処理装置は、商品推薦処理(
図9)のステップS132~S135を実行する。第2情報処理装置は、推奨商品に関する情報を第1情報処理装置へ送信する。第1情報処理装置は、クライアント装置10を介して推奨商品に関する情報をユーザに提示する。
このように、商品推薦システム1は、外部システムによるユーザへのサービス提供を支援するために用いることもできる。
【0088】
上記説明では、商品データベース(
図6,
図7)およびユーザデータベース(
図8)を利用する例を説明した。しかしながら、本実施形態の商品推薦システムを、例えばユーザ同士のマッチングサービスに適用する場合に、ユーザデータベースが商品データベースとしても機能し得る。具体的には、ユーザデータベースに格納されるユーザ情報は、対応するユーザの客観評価情報を備えてもよい。
【0089】
上記説明では、ユーザが評価項目毎のスライダ操作により商品のレビューを行う例を示した。しかしながら、ユーザは、評価項目毎に、または評価項目を区別しない文章によりレビューを行ってもよい。この場合に、サーバ30は、レビューに含まれる文章に対して例えば意味解析などの自然言語処理を行うことでユーザによる評価項目毎の主観評価値を特定してもよい。一例として、サーバ30は、文章を入力として主観評価値を予測する学習済みモデルを利用してもよい。
【0090】
上記説明では、ユーザによる対象商品のレビューに連続して推奨商品の情報を直ちに提示する例を説明した。しかしながら、ユーザによる対象商品のレビューと、推奨商品の情報の提示とは不連続であってもよい。一例として、ユーザによる対象商品のレビュー後、クライアント装置10が最初に所定のアプリの起動、または所定のウェブサイトへのアクセスした時に推奨商品の情報が提示されてもよい。或いは、ユーザによる対象商品のレビュー後、所定期間の経過後に、推奨商品の情報が例えばプッシュ通知、eメール、またはメッセージの形式でクライアント装置10へ送信されてよい。所定期間は、例えばユーザによる対象商品と同一の消費カテゴリに属する商品の平均的な体験周期に基づいて定められてよい。
【0091】
(7)付記
実施形態および変形例で説明した事項を、以下に付記する。
【0092】
(付記1)
コンピュータ(30)を、
第1ユーザが体験した第1商品に対する当該第1ユーザによるレビューを取得する手段(S131)、
商品カテゴリ毎に定義された1以上の評価項目について各商品の客観評価値に関する情報が格納された商品データベースと、レビューとに基づいて、第1商品の属する商品カテゴリについて定義された少なくとも1つの評価項目である対象項目についての当該第1ユーザの感性傾向を推定する手段(S133)、
感性傾向において第1ユーザと類似する第2ユーザを特定する手段(S134)、
第2ユーザの行動履歴に基づいて、第1ユーザに推奨する第2商品を決定する手段(S135)、
として機能させるプログラム。
【0093】
(付記2)
コンピュータを、レビューに基づいて、第1商品の対象項目についての第1ユーザによる主観評価値を特定する手段(S132)としてさらに機能させ、
感性傾向を推定する手段は、第1商品の対象項目についての客観評価値と主観評価値との比較に基づいて、対象項目についての第1ユーザの感性傾向を推定する、
付記1に記載のプログラム。
【0094】
(付記3)
コンピュータを、対象項目、または当該第1商品の当該対象項目についての客観評価値の少なくとも1つに関する情報を含むユーザインタフェースを提示する手段(S130)としてさらに機能させ、
レビューを取得する手段は、ユーザインタフェースが第1ユーザから受け付けた操作に基づくレビューを取得する。
付記1または付記2に記載のプログラム。
【0095】
(付記4)
情報を提示する手段は、第1ユーザによる第1商品の複数の対象項目についての主観評価を指定する操作を受け付けるグラフ型のオブジェクトを含むユーザインタフェースを提示する、
付記3に記載のプログラム。
【0096】
(付記5)
情報を提示する手段は、第1ユーザが満足または不満足に感じた評価項目または客観評価値を指定する操作を受け付けるオブジェクトを含むユーザインタフェースを提示する、
付記3または付記4に記載のプログラム。
【0097】
(付記6)
レビューを取得する手段は、第1ユーザが購入、レンタル、利用、使用、鑑賞、消費、または面会した商品に対する当該第1ユーザによるレビューを取得する、
付記1乃至付記5のいずれかに記載のプログラム。
【0098】
(付記7)
対象項目についての各商品の客観評価値は、計測装置が当該商品の物理量もしくは化学量を計測した結果、または当該商品に対する人間による官能検査の結果の少なくとも1つに基づく値、である、
付記1乃至付記6のいずれかに記載のプログラム。
【0099】
(付記8)
第2ユーザの行動履歴は、当該第2ユーザによる商品の購入、レンタル、利用、使用、鑑賞、消費、面会、またはレビューの履歴の少なくとも1つを含む、
付記1乃至付記7のいずれかに記載のプログラム。
【0100】
(付記9)
決定する手段は、第1商品と同一の商品カテゴリに属し、かつ第2ユーザによる購入、レンタル、利用、使用、鑑賞、消費、または面会の頻度、回数、数量、または支払額の少なくとも1つが閾値以上である商品を第2商品として決定する、
付記8に記載のプログラム。
【0101】
(付記10)
決定する手段は、第1商品と同一の商品カテゴリに属し、かつ第2ユーザによるレビューにおいて評価が閾値以上であった商品を第2商品として決定する、
付記8に記載のプログラム。
【0102】
(付記11)
第2ユーザを特定する手段は、第2ユーザを含む複数のユーザの感性傾向に関する情報が格納されたユーザデータベースに基づいて、第2ユーザを特定する、
付記1乃至付記10のいずれかに記載のプログラム。
【0103】
(付記12)
第1ユーザが体験した第1商品に対する当該第1ユーザによるレビューを取得する手段(S131)と、
商品カテゴリ毎に定義された1以上の評価項目について各商品の客観評価値に関する情報が格納された商品データベースと、レビューとに基づいて、第1商品の属する商品カテゴリについて定義された少なくとも1つの評価項目である対象項目についての当該第1ユーザの感性傾向を推定する手段(S133)と、
感性傾向において第1ユーザと類似する第2ユーザを特定する手段(S134)と、
第2ユーザの行動履歴に基づいて、第1ユーザに推奨する第2商品を決定する手段(S135)と、
を具備する、商品推薦装置(30)。
【0104】
(付記13)
コンピュータ(30)が、
第1ユーザが体験した第1商品に対する当該第1ユーザによるレビューを取得すること(S131)と、
商品カテゴリ毎に定義された1以上の評価項目について各商品の客観評価値に関する情報が格納された商品データベースと、レビューとに基づいて、第1商品の属する商品カテゴリについて定義された少なくとも1つの評価項目である対象項目についての当該第1ユーザの感性傾向を推定すること(S133)と、
感性傾向において第1ユーザと類似する第2ユーザを特定すること(S134)と、
第2ユーザの行動履歴に基づいて、第1ユーザに推奨する第2商品を決定すること(S135)と、
を具備する、商品推薦方法。
【0105】
(付記14)
第1情報処理装置(10)と、第1情報処理装置とは異なる第2情報処理装置(30)とを具備する商品推薦システムであって、
第1情報処理装置は、第1ユーザが体験した第1商品に対する当該第1ユーザによるレビューを取得する手段を備え、
第2情報処理装置は、
商品カテゴリ毎に定義された1以上の評価項目について各商品の客観評価値に関する情報が格納された商品データベースと、レビューとに基づいて、第1商品の属する商品カテゴリについて定義された少なくとも1つの評価項目である対象項目についての当該第1ユーザの感性傾向を推定する手段(S133)と、
感性傾向において第1ユーザと類似する第2ユーザを特定する手段(S134)と、
第2ユーザの行動履歴に基づいて、第1ユーザに推奨する第2商品を決定する手段(S135)と、
を備え、
第1情報処理装置は、第2商品に関する情報を第1ユーザに提示する手段をさらに備える、
商品推薦システム(1)。
【0106】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 :商品推薦システム
10 :クライアント装置
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
21 :ディスプレイ
30 :サーバ
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース
【要約】
【課題】ユーザに的確な商品を推薦する。
【解決手段】本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、第1ユーザが体験した第1商品に対する当該第1ユーザによるレビューを取得する手段、商品カテゴリ毎に定義された1以上の評価項目について各商品の客観評価値に関する情報が格納された商品データベースと、レビューとに基づいて、第1商品の属する商品カテゴリについて定義された少なくとも1つの評価項目である対象項目についての当該第1ユーザの感性傾向を推定する手段、感性傾向において第1ユーザと類似する第2ユーザを特定する手段、第2ユーザの行動履歴に基づいて、第1ユーザに推奨する第2商品を決定する手段、として機能させる。
【選択図】
図4