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  • 特許-ナースコールシステム 図1
  • 特許-ナースコールシステム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20220708BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20220708BHJP
   G16H 40/20 20180101ALI20220708BHJP
【FI】
A61G12/00 E
H04M9/00 D
G16H40/20
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018119736
(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公開番号】P2020000281
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(72)【発明者】
【氏名】橘 太
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-065471(JP,A)
【文献】特開2008-113679(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0229249(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
H04M 9/00
G16H 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の意思によって呼び出しを行うナースコール子機および患者の異常な状態を検出して呼び出しを行うナースコール子機の少なくとも一方を接続するナースコール子機インターフェースと、
医療従事者によって携帯されており、前記ナースコール子機による呼び出しを報知する携帯端末報知部と、その報知に対して応答するために操作される携帯端末応答操作部と、
所定のタイミングで自装置を他装置と識別するための携帯端末識別情報を含む信号を送信する無線送受信部とを備える携帯端末と、
施設内の各所に設置され、前記呼び出しを中継して前記携帯端末へ伝達するとともに、前記信号を前記携帯端末から受信して、自装置を他装置と識別するための無線送受信機識別情報を付加して出力する無線送受信機と、
前記ナースコール子機インターフェースの設置位置を示すナースコール子機設置位置情報と、そのナースコール子機が患者の意思によって呼び出しを行うナースコール子機であるか患者の異常な状態を検出して呼び出しを行うナースコール子機であるかを識別する機器識別情報および自装置を他のナースコール子機インターフェースに接続されているナースコール子機と識別する子機識別情報とを関連付けて記憶するとともに、前記無線送受信機の設置位置を示す無線送受信機設置位置情とその無線送受信機の無線送受信機識別情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記無線送受信機から前記信号を入力すると、前記記憶部を参照し、その信号に含まれる無線送受信機識別情報に関連付けて記憶されている無線送受信機設置位置情報を抽出して、前記信号に含まれる携帯端末識別情報によって特定される携帯端末の設置位置情報を特定する第一の制御、前記ナースコール子機にて呼び出しが行われた場合に、前記記憶部を参照し、呼び出しを行ったナースコール子機の機器識別情報によって呼び出しを行ったナースコール子機が患者の意思によって呼び出しを行うナースコール子機であるか患者の異常な状態を検出して呼び出しを行うナースコール子機であるかを判定して、そのナースコール子機が患者の意思によって呼び出しを行うナースコール子機であると判定された場合には前記携帯端末の設置位置情報に基づかずに携帯端末を呼び出し、そのナースコール子機が患者の異常な状態を検出して呼び出しを行うナースコール子機であると判定された場合には前記携帯端末の設置位置情報と呼び出しを行ったナースコール子機のナースコール子機設置位置情報とに基づいて、ナースコール子機の設置位置から最も距離が近い携帯端末を呼び出す第二の制御を行う制御部とを備えるナースコール親機と、
を備えたことを特徴とするナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者が看護師を呼び出すためのナースコールシステムに関し、特に患者からの呼び出しが、看護師の携帯する携帯端末にて報知されるナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や介護施設などでは、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病院の患者が看護師などのスタッフのサポートを必要とする際、または介護施設の被介護者が介護師などのスタッフのサポートを必要とする際に、患者や被介護者(以下、患者と記載する)が呼出操作部を操作することによって看護師や介護師(以下、医療従事者と記載する)を呼び出すことができるように成されたシステムである。
【0003】
多くのナースコールシステムは、病室のベッド近傍やトイレ、浴室などに設置されるナースコール子機と、医療従事者が常駐するナースステーションに設置されるナースコール親機と、病室や介護室などの各部屋の入口付近の廊下側に設置される廊下灯と、通話やデータの送受信に関する制御を行う制御機とを備えて構成されている。また、上述した構成に加えて、医療従事者が携帯する携帯端末(例えば、PHS(Personal Handy phone System)端末など)とPBX(Private Branch Exchange:電話交換機)とを備えたナースコールシステムも提供されている。また、PHSに代わり、携帯端末として無線LANを利用した無線IP(Internet Protocol)電話を備えたナースコールシステムも提供されている。ここで、ナースコール子機は、呼出操作部を備えている。
【0004】
このようなナースコールシステムは、患者がナースコール子機の呼出操作部を操作した場合に、ナースコール子機からナースコール親機へ呼出信号を出力し、呼出信号を入力したナースコール親機にて呼び出しを報知するように構成されている。ここで、ナースコール親機にて呼び出しを報知する場合、ナースコール親機は、スピーカーから報知音を出力させたり、ディスプレイにポップアップ画像を表示させたり、LED(light-emitting diode)などのランプを点灯/点滅させたりする。
【0005】
また、このようにナースコール親機にて呼び出しの報知が行われると、これに気付いた医療従事者が応答する必要がある。そのため、ナースコール親機には、呼び出しの報知に応答するためのハンドセットが設けられている。呼び出しの報知が行われている場合に、医療従事者がハンドセットをオフフックすると、呼び出しの報知が停止し、ナースコール親機とナースコール子機(またはナースコール子機が設置された病室)との間で通話路が形成される。ここで、ナースコール子機(または病室)には、通話用のスピーカーやマイクが設けられているため、患者と医療従事者との間で通話が可能となる。また、携帯端末が使用可能である場合には、医療従事者は、携帯端末を操作して呼び出しに応答することができる。
【0006】
ところで、携帯端末を採用したナースコールシステムにおいて、例えば、一人の患者からの呼び出しに対して予め登録しておいた複数の携帯端末を報知させることが行われている。このような同報呼び出しの仕組みは、例えば一人の患者を複数の医療従事者でサポートするチームナーシングを行う場合などに有効である。
【0007】
しかしながら、このような同報呼び出しの仕組みは、あるナースコール子機の呼出操作部が操作された場合に、予め登録しておいた複数の携帯端末を略同時に呼び出すため、通信トラフィックの増大を招いてしまうという問題があった。また、呼び出された携帯端末を携帯する医療従事者が、呼出操作部が操作されたナースコール子機の設置されている場所から遠く離れていた場合でも呼び出しが行われてしまうため、医療従事者に負担をかけたり、医療従事者が患者の居る場所まで到達する時間がかかってしまったりするという問題もあった。
【0008】
これらの問題を解決するために、呼び出しを行ったナースコール子機が設置されている場所に対して、近くに居る少なくとも1人の医療従事者を特定し、その医療従事者が携帯する携帯端末に呼び出しを行うようにしたナースコールシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、呼び出しに対して近くに居る医療従事者を呼び出すようにすると、至急対応すべき用件ではない呼び出しに対しても近くに居る医療従事者が呼び出されてしまうため、医療従事者に不要な負担をかけてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2008-113679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、患者からの呼び出しに対して医療従事者を呼び出す際に、できるだけ医療従事者に対して不要な負担をかけないようにしつつ、至急対応すべき用件での呼び出しに対しては迅速に対応できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明では、施設内の各所に設置された無線送受信機に対して無線送受信機設置位置情報を登録しておくとともに、患者の意思によって呼び出しを行うナースコール子機および患者の異常な状態を検出して呼び出しを行うナースコール子機の少なくとも一方を接続可能なナースコール子機インターフェースに対してナースコール子機設置位置情報を登録しておく。また、無線送受信機設置位置情報およびナースコール子機設置位置情報に基づいて、各無線送受信機と各ナースコール子機(ナースコール子機インターフェース)との距離を登録しておく。
【0013】
また、ナースコール子機からの呼び出しを報知するとともに、その報知に対して応答可能とした携帯端末と、携帯端末の位置を特定するための信号を無線送受信機に送信する無線送受信部を備えた機器とを医療従事者に携帯させる。そして、ナースコール子機にて呼び出しが行われた場合に、そのナースコール子機が患者の意思によって呼び出しを行うものであるのか、患者の異常な状態を検出して呼び出しを行うものであるのかを判定し、そのナースコール子機が患者の意思によって呼び出しを行うものであると判定されたときには、携帯端末の位置に基づかずに携帯端末を報知させ、そのナースコール子機が患者の異常な状態を検出して呼び出しを行うものであると判定されたときには、そのナースコール子機の設置位置を特定するとともに、携帯端末からの信号に基づいて携帯端末の位置を特定し、そのナースコール子機の設置位置から最も距離が近い携帯端末を報知させるようにしている。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した本発明によれば、患者の異常な状態を検出して呼び出しを行うナースコール子機からの呼び出しに対しては、患者の近くに居る医療従事者が呼び出されるので、患者に対して迅速に対応することができ、患者が自分の意志で呼び出しを行うナースコール子機からの呼び出しに対しては、患者と医療従事者との位置関係に基づかずに担当の医療従事者などが呼び出されるので、患者への対応は遅くなるものの、緊急性の低い用件でたまたま患者の近くに居た医療従事者が呼び出されることがなくなるため、医療従事者への不要な負担をかけることがなくなる。従って、患者からの呼び出しに対して医療従事者を呼び出す際に、できるだけ医療従事者に対して不要な負担をかけないようにしつつ、至急対応すべき用件での呼び出しに対しては迅速に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。
図2】本実施形態によるナースコール親機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、ここでは病院に設置される看護支援用のナースコールシステムを例にとって説明するが、本実施形態のナースコールシステムは、病院に設置されるものに限定されない。例えば、介護施設等に設置される場合にも適用可能である。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。図1において、1は呼出ボタン式子機であり、患者がボタンを操作することによって呼出信号を出力する。また、2はセンサー式子機であり、患者がベッドから離床したことを検出して呼出信号を出力する。
【0017】
ここで、ボタン式子機1の代わりに、患者が発する声を検出して呼び出しを行うナースコール子機や、患者が自身の身体の一部を接触させたことを検出して呼び出しを行うナースコール子機などを使用しても良い。すなわち、ボタン式子機1は、患者が自分の意志でナースコールの呼び出しを行う場合に使用されるナースコール子機である。
【0018】
また、センサー式子機2の代わりに、患者がベッドから転落したことを検出するナースコール子機や、患者の脈拍や体温などのバイタルを検出し、その数値が設定された範囲を超えた場合に呼び出しを行うナースコール子機などを使用しても良い。すなわち、センサー式子機2は、患者の異常な状態を検出してナースコールの呼び出しを行う場合に使用されるナースコール子機である。
【0019】
3はナースコール子機インターフェースであり、患者のベッドの近傍の壁面などに設置され、呼出ボタン式子機1およびセンサー式子機2の少なくとも一方を接続する。また、ナースコール子機インターフェース3は、後述するナースコール親機10のインターフェース12に接続される。ここで、ナースコール子機インターフェース3は、接続されている機器(呼出ボタン式子機1、センサー式子機2)を識別可能とする機器識別情報と、ナースコール子機インターフェース3を他のベッド近傍のナースコール子機インターフェース3と識別可能とする子機識別情報(例えばベッド番号など)とを呼出信号に付加して出力する。
【0020】
10はナースコール親機であり、医療従事者が常駐するナースステーションなどに設置される。ここで、ナースコール親機10は、制御部11、インターフェース12、記憶部13、報知部14、応答操作部15を備えて構成されている。制御部11は、ナースコール親機10の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されている。インターフェース12は、ナースコール親機10とナースコール子機インターフェース3とを接続して通信を行うためのものである。また、インターフェース12は、ナースコール親機10と後述する無線送受信機20とを接続して通信を行う。ここで、親機インターフェース12は、ナースコール子機インターフェース3から出力された呼出信号を入力するとともに、無線送受信機20を介して携帯端末30へ呼出信号を出力する。
【0021】
記憶部13は、ナースコール子機インターフェース3の子機識別情報と、この子機識別情報によって特定されるナースコール子機インターフェース3に接続されるナースコール子機(呼出ボタン式子機1およびセンサー式子機2)を使用する患者を特定するための患者情報(例えば、患者の氏名)とを関連付けて予め記憶している。これにより、呼び出しを行った患者、または、呼び出しが行われた患者を特定することができる。また、記憶部13は、ナースコール子機インターフェース3の子機識別情報と、このナースコール子機インターフェース3に接続されているナースコール子機の設置位置情報とを関連付けて予め記憶している。また、記憶部13は、後述する無線送受信機20の無線送受信機識別情報と、この無線送受信機20の設置位置情報とを関連付けて予め記憶している。ここで、制御部11は、ナースコール子機設置位置情報および無線送受信機設置位置情報を比較することで機器間の距離を判定することができる。また、この場合の機器間の距離とは、機器間の直線距離ではなく、機器をマップ上に配置した際に通路を通ったときの距離をいう。
【0022】
報知部14は、ナースコール子機によって呼び出しが行われていることを音声や表示などで報知するためのものであり、スピーカーなどの音声出力装置やディスプレイなどの表示装置、ランプなどの点灯装置の少なくともひとつの装置により構成されている。ここで、制御部11は、呼出信号に付加されている機器識別情報により、呼出ボタン式子機1による報知のパターンとセンサー式子機2による報知のパターンとを異ならせて報知部14を動作させることができる。また、制御部11は、呼出信号に付加されている子機識別情報により、記憶部13を参照して、呼び出しを行っている患者を特定できるように報知部14を動作させることができる。
【0023】
応答操作部15は、報知部14が動作している状態で、医療従事者が患者からの呼び出しに対して応答する際に使用される。ここで、応答操作部15は、ハンドセットなどにより構成されており、医療従事者はハンドセットをオフフックすることで応答することが可能である。ここで、応答操作部15が操作されることにより、制御部11は、報知部14の動作を停止させる。
【0024】
20は無線送受信機であり、各ナースコール子機と後述する各携帯端末30とがナースコール親機10を介して無線通信するための無線基地局である。携帯端末30は、各医療従事者により携帯されるものであり、無線送受信機20との間で無線通信が可能である。ここで、無線送受信機20は、病院内の各所に設置されていて、携帯端末30が病院内のどの場所にあっても何れかの無線送受信機20と通信可能となることが好ましい。また、携帯端末30は、携帯端末制御部31、無線送受信部32、携帯端末報知部33、携帯端末応答操作部34を備えて構成されている。
【0025】
携帯端末制御部31は、携帯端末30の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPUなどにより構成されている。無線送受信部32は、携帯端末30が無線送受信機20との間で無線通信を行うためのものである。携帯端末報知部33は、スピーカーやディスプレイ、振動モータなどにより構成されており、ナースコールの呼び出しが行われていることを、音声や表示、振動にて報知するためのものである。携帯端末応答操作部34は、携帯端末報知部33が報知を行っている際に、携帯端末30を携帯している医療従事者により操作される。この操作により、携帯端末制御部31は携帯端末報知部33の動作を停止させる。また、携帯端末応答操作部34が操作されると、携帯端末制御部31は、応答信号を生成して、無線送受信部32により送信させる。ここで、応答信号には、この携帯端末30を他の携帯端末30と識別するための携帯端末識別情報が含まれる。また、自端末の携帯端末識別情報は、携帯端末制御部31などに記憶されている。また、携帯端末制御部31は、所定のタイミング(例えば、数分毎など)でこの携帯端末30の現在位置を判定するための信号を無線送受信部32により送信する。ここで、その信号には、携帯端末識別情報が含まれる。
【0026】
(第一の制御)
このように構成されたナースコールシステムにおいて、何れかの無線送受信機20が、携帯端末30から送信された信号を所定のタイミングで受信する。すると、無線送受信機20は、その信号に自装置の無線送受信機識別情報を付加してナースコール親機10へ出力する。ナースコール親機10のインターフェース12がその信号を入力すると、制御部11は、その信号に含まれる無線送受信機識別情報を抽出し、記憶部13を参照する。制御部11は、無線送受信機識別情報に関連付けて記憶されている無線送受信機設置位置情報を取得する。これにより、上述した信号に含まれる携帯端末識別情報により特定される携帯端末30は、取得した無線送受信機設置位置情報により特定される場所に存在することとなる。なお、次に他の無線送受信機20が上述した信号を受信した場合には、携帯端末30の存在場所が更新される。また、このような制御は、各無線送受信機20および各携帯端末30にて行われる。
【0027】
(第二の制御)
次に、ナースコール親機10の動作について図2を用いて説明する。図2は、本実施形態によるナースコール親機10の動作を示すフローチャートである。ナースコール親機10の制御部11は、ナースコール子機からの呼び出しがあるか否かを判定する(ステップS1)。ここで、ナースコール子機にて呼び出しが行われていないと制御部11にて判定した場合(ステップS1にてNo)、ステップS1の処理を繰り返す。一方、あるナースコール子機にて呼び出しが行われたと制御部11にて判定した場合(ステップS1にてYes)、ナースコール親機10のインターフェース12がナースコール子機インターフェース3から呼出信号を入力する。
【0028】
すると、制御部11は、その呼出信号に含まれる機器識別情報を抽出し、抽出した機器識別情報により、ナースコール子機が呼出ボタン式子機(患者の意思により呼び出しが行われるナースコール子機)1であるか否かを判定する(ステップS2)。そして、呼び出しを行ったナースコール子機が呼出ボタン式子機1であると制御部11にて判定した場合(ステップS2にてYes)、制御部11は、報知部14を動作させるとともに、ナースコール子機設置位置情報および無線送受信機設置位置情報の距離に基づかずに予め設定された携帯端末30を呼び出す。ここで、患者を担当する医療従事者を優先的に呼び出したい場合には、子機識別情報に関連付けて記憶されている患者情報と、この患者情報によって特定される患者を担当する担当看護師が携帯する携帯端末30を示す携帯端末識別情報とを予め関連付けて記憶部13に記憶しておき、その携帯端末30を呼び出す(ステップS3)。
【0029】
一方、呼び出しを行ったナースコール子機が呼出ボタン式子機1ではないと制御部11にて判定した場合(ステップS2にてNo)、制御部11は、呼び出しを行ったナースコール子機がセンサー式子機(患者の異常な状態を検出して呼び出しが行われるナースコール子機)2であると判定する(ステップS4)。すると、制御部11は、呼出信号に含まれる子機識別情報を抽出し、記憶部13を参照して、抽出した子機識別情報に関連付けて記憶されているナースコール子機設置位置情報を抽出する。また、第一の制御にて得られた各携帯端末30の存在場所を示す無線送受信機設置位置情報を取得する。そして、そのナースコール子機設置位置情報と、その無線送受信機設置位置情報(携帯端末30の現在位置に該当)とを比較して、最も近い携帯端末30を特定し、その携帯端末30を呼び出す(ステップS5)。
【0030】
なお、特定の携帯端末30を呼び出す技術については周知であるため、説明を省略する。また、最も近い携帯端末30を呼び出す場合に、ナースコール親機10の報知部14を動作させないことが好ましい。
【0031】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、ナースコール子機にて呼び出しが行われた場合に、そのナースコール子機が患者の意思によって呼び出しを行うものであるのか、患者の異常な状態を検出して呼び出しを行うものであるのかを制御部11にて判定し、そのナースコール子機が患者の意思によって呼び出しを行うものであると制御部11にて判定されたときには、携帯端末30の位置に基づかずに携帯端末30を報知させ、そのナースコール子機が患者の異常な状態を検出して呼び出しを行うものであると制御部11にて判定されたときには、そのナースコール子機の設置位置を特定するとともに、携帯端末30からの信号に基づいて携帯端末30の位置を特定し、そのナースコール子機の設置位置から最も距離が近い携帯端末30を報知させるようにしている。
【0032】
これにより、患者の異常な状態を検出して呼び出しを行うナースコール子機からの呼び出しに対しては、患者の近くに居る医療従事者が呼び出されるので、患者に対して迅速に対応することができ、患者が自分の意志で呼び出しを行うナースコール子機からの呼び出しに対しては、患者と医療従事者との位置関係に基づかずに担当の医療従事者などが呼び出されるので、呼び出された医療従事者の位置によっては患者への対応は遅くなるものの、緊急性の低い用件でたまたま患者の近くに居た医療従事者が呼び出されることがなくなるため、医療従事者へ不要な負担をかけることがなくなる。従って、患者からの呼び出しに対して医療従事者を呼び出す際に、できるだけ医療従事者に対して不要な負担をかけないようにしつつ、至急対応すべき用件での呼び出しに対しては迅速に対応することができる。
【0033】
なお、前述した実施形態では、医療従事者の位置を特定するための信号を送信する機能を携帯端末30に内蔵しているが、これに限定されない。例えば、この機能を持つ機器を医療従事者が別途携帯するようにしても良い。具体的には、このような機能を持つICタグを、医療従事者の名札に取り付けたり、履物に取り付けたり、制服に取り付けたりしても良い。
【0034】
また、前述した実施形態では、呼び出しを行ったナースコール子機に最も近い携帯端末30のみを呼び出すようにしているが、これに限定されない。例えば、最も近い携帯端末30だけではなく、次に近い携帯端末30や、その次に近い携帯端末30などを同時または順次呼び出すようにしても良い。
【0035】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 呼出ボタン式子機
2 センサー式子機
3 ナースコール子機インターフェース
10 ナースコール親機
11 制御部
12 インターフェース
13 記憶部
14 報知部
15 応答操作部
20 無線送受信機
30 携帯端末
31 携帯端末制御部
32 無線送受信部
33 携帯端末報知部
34 携帯端末応答操作部
図1
図2