IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ヴァレオジャパンの特許一覧

<>
  • 特許-車両用バッテリ冷却装置 図1
  • 特許-車両用バッテリ冷却装置 図2
  • 特許-車両用バッテリ冷却装置 図3
  • 特許-車両用バッテリ冷却装置 図4
  • 特許-車両用バッテリ冷却装置 図5
  • 特許-車両用バッテリ冷却装置 図6
  • 特許-車両用バッテリ冷却装置 図7
  • 特許-車両用バッテリ冷却装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-07
(45)【発行日】2022-07-15
(54)【発明の名称】車両用バッテリ冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20220708BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220708BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220708BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20220708BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6568
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021507339
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2020011452
(87)【国際公開番号】W WO2020189622
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2019051308
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ヴァレオジャパン
(72)【発明者】
【氏名】高野 明彦
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-134993(JP,A)
【文献】特開2014-203535(JP,A)
【文献】特表2018-512553(JP,A)
【文献】国際公開第2012/062712(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 9/00
F28F 3/12
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/6556
H01M 10/6568
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたバッテリ(Ba)に接するように設けられ、内部を流れる冷却媒体によって前記バッテリ(Ba)を冷却する車両用バッテリ冷却装置(20;20A;20B)において、
複数の穴(21ax、21ay)が形成された板状のプレート部材(21)と、
断面が略U字状の第1空間を有し、前記プレート部材(21)の第1面(21b)と前記第1空間とで前記冷却媒体の1面側流路(R1)を形成する第1流路形成部材(30)と、
断面が略U字状の第2空間を有し、前記第1面(21b)の裏面である第2面(21c)と前記第2空間とで前記冷却媒体の2面側流路(R2)を形成する第2流路形成部材(40x、40y)と、を備え、
前記穴(21ax、21ay)は、前記プレート部材(21)の面上をX方向に沿って形成された第1の穴グループに属する複数の穴(21ax)と、前記プレート部材(21)の面上をY方向に沿って形成された第2の穴グループに属する複数の穴(21ay)と、のいずれかに属し、
前記第1流路形成部材(30)は、複数配置され、前記1面側流路(R1)が前記第1の穴グループに属する穴(21ax)のいずれかと、前記第2の穴グループに属する穴(21ay)のいずれかと、を連通し、
前記第2流路形成部材(40x、40y)は、前記第1の穴グループに属する穴(21ax)に連通する一方側第2流路形成部材(40x)と、前記第2の穴グループに属する穴(21ay)に連通する他方側第2流路形成部材(40y)と、を有することを特徴とする車両用バッテリ冷却装置。
【請求項2】
前記X方向と前記Y方向とは、平行であり、
前記第1の穴グループに属する穴(21ax)の数と、前記第2の穴グループに属する穴(21ay)の数と、は等しく、
前記第1の穴グループに属する穴(21ax)は、それぞれ等間隔に形成され、
前記第2の穴グループに属する穴(21ay)は、それぞれ等間隔に形成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用バッテリ冷却装置。
【請求項3】
前記一方側第2流路形成部材(40x)の第2空間に臨むよう配置されて前記冷却媒体が流入する流体流入部(25)と、前記他方側第2流路形成部材(40y)の第2空間に臨むよう配置されて前記冷却媒体が流出する流体流出部(26)と、をさらに有し、
前記2面側流路(R2)の長さを基準としたときに、前記流体流入部(25)からの流路長が最も短い前記第1流路形成部材(30)は、前記流体流出部(26)からの流路長が最も長く、前記流体流入部(25)からの流路長が最も長い前記第1流路形成部材(30)は、前記流体流出部(26)からの流路長が最も短いように、前記流体流入部(25)及び前記流体流出部(26)が配置されていることを特徴とする請求項2記載の車両用バッテリ冷却装置。
【請求項4】
前記流体流入部(25)及び前記流体流出部(26)は、共に前記プレート部材(21)に開けられた穴によって構成されていることを特徴とする請求項3記載の車両用バッテリ冷却装置。
【請求項5】
前記他方側第2流路形成部材(40y)には、前記流体流出部(26)が前記流体流入部(25)と隣接する位置となるように延長する延長部(50)が接続されていることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかに記載の車両用バッテリ装置。
【請求項6】
前記一方側第2流路形成部材(40x)には、前記流体流入部(25)が前記流体流出部(26)と隣接する位置となるように延長する延長部(50)が接続されていることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかに記載の車両用バッテリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたバッテリを冷却する車両用バッテリ冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関とモータとが搭載されている、いわゆるハイブリッド車両には、モータを作動させるためのバッテリが搭載されている。車両の走行中に作動することにより、バッテリは、発熱する。このため、バッテリを冷却するための車両用バッテリ冷却装置がバッテリと熱的に結合するよう配置される。車両用バッテリ冷却装置に関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に開示された車両用バッテリ冷却装置は、凹凸が形成された2枚のプレートを重ね合わせて構成された冷却部材を備える。凹凸が形成された冷却部材が冷却媒体の流路とされ、流路に冷却媒体を流し、冷却媒体との熱交換によってバッテリを冷却する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-203535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるような車両用バッテリ冷却装置は、例えば、2枚の板を重ね合わせた上でろう付けされる。ここで、ハイブリッド車両や電動車両においては、長い走行距離が求められている。このため蓄電容量を増やすために、車体には多数のバッテリセルが配置される。そして、多数のバッテリセルを有するバッテリの全体を冷却するために、車両用バッテリ冷却装置を構成する板も大型化する。すなわち、車両用バッテリ冷却装置には、冷却面積の大きな板部材が要る。大きな面積の板を重ね合わせる際には、板の自重等により板が捩れたり、撓むことがある。このため、大きな面積の板同士の位置を正確に合わせるのに時間がかかり、車両用バッテリ冷却装置の製造に必要な時間が長くなる。
【0006】
本発明は、位置決めが簡単で容易に組み立てることのできる車両用バッテリ冷却装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の説明では、本発明の理解を容易にするために添付図面中の参照符号を括弧書きで付記するが、それによって本発明は図示の形態に限定されるものではない。
【0008】
本発明によれば、車両に搭載されたバッテリ(Ba)に接するように設けられ、内部を流れる冷却媒体によって前記バッテリ(Ba)を冷却する車両用バッテリ冷却装置(20;20A;20B)において、
複数の穴(21ax、21ay)が形成された板状のプレート部材(21)と、
断面が略U字状の第1空間を有し、前記プレート部材(21)の第1面(21b)と前記第1空間とで前記冷却媒体の1面側流路(R1)を形成する第1流路形成部材(30)と、
断面が略U字状の第2空間を有し、前記第1面(21b)の裏面である第2面(21c)と前記第2空間とで前記冷却媒体の2面側流路(R2)を形成する第2流路形成部材(40x、40y)と、を備え、
前記穴(21ax、21ay)は、前記プレート部材(21)の面上をX方向に沿って形成された第1の穴グループに属する複数の穴(21ax)と、前記プレート部材(21)の面上をY方向に沿って形成された第2の穴グループに属する複数の穴(21ay)と、のいずれかに属し、
前記第1流路形成部材(30)は、複数配置され、前記1面側流路(R1)が前記第1の穴グループに属する穴(21ax)のいずれかと、前記第2の穴グループに属する穴(21ay)のいずれかと、を連通し、
前記第2流路形成部材(40x、40y)は、前記第1の穴グループに属する穴(21ax)に連通する一方側第2流路形成部材(40x)と、前記第2の穴グループに属する穴(21ay)に連通する他方側第2流路形成部材(40y)と、を有することを特徴とする車両用バッテリ冷却装置が提供される。
【0009】
好ましくは、前記X方向と前記Y方向とは、平行であり、
前記第1の穴グループに属する穴(21ax)の数と、前記第2の穴グループに属する穴(21ay)の数と、は等しく、
前記第1の穴グループに属する穴(21ax)は、それぞれ等間隔に形成され、
前記第2の穴グループに属する穴(21ay)は、それぞれ等間隔に形成されている。
【0010】
好ましくは、前記一方側第2流路形成部材(40x)の第2空間に臨むよう配置されて前記冷却媒体が流入する流体流入部(25)と、前記他方側第2流路形成部材(40y)の第2空間に臨むよう配置されて前記冷却媒体が流出する流体流出部(26)と、をさらに有し、
前記2面側流路(R2)の長さを基準としたときに、前記流体流入部(25)からの流路長が最も短い前記第1流路形成部材(30)は、前記流体流出部(26)からの流路長が最も長く、前記流体流入部(25)からの流路長が最も長い前記第1流路形成部材(30)は、前記流体流出部(26)からの流路長が最も短いように、前記流体流入部(25)及び前記流体流出部(26)が配置されている。
【0011】
好ましくは、前記流体流入部(25)及び前記流体流出部(26)は、共に前記プレート部材(21)に開けられた穴によって構成されている。
【0012】
好ましくは、前記他方側第2流路形成部材(40y)には、前記流体流出部(26)が前記流体流入部(25)と隣接する位置となるように延長する延長部(50)が接続されている。
【0013】
好ましくは、前記一方側第2流路形成部材(40x)には、前記流体流入部(25)が前記流体流出部(26)と隣接する位置となるように延長する延長部(50)が接続されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、車両用バッテリ冷却装置は、穴が開けられているプレート部材に、共に略U字状に形成された第1流路形成部材、及び、第2流路形成部材が重ねられてなる。プレート部材に各流路部材を重ね合わせることにより、各部品の位置決めを容易に行うことができる。位置決めが簡単で容易に組み立てることのできる車両用バッテリ冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1による車両用バッテリ冷却装置が搭載されたバッテリ冷却系の模式図である。
図2図1に示された車両用バッテリ冷却装置の分解斜視図である。
図3図2に示された車両用バッテリ冷却装置の平面図である。
図4図3の4-4線断面図である。
図5図3の5-5線断面図である。
図6図3に示された車両用バッテリ冷却装置の作用について説明する図である。
図7】実施例2による車両用バッテリ冷却装置の平面図である。
図8】実施例3による車両用バッテリ冷却装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。図中Frは車両進行方向の前方、Rrは後方、Leは左方、Riは右方、Upは上方、Dnは下方を示している。なお、本明細書における方向は便宜上示したものであり、これによって本発明のバッテリ冷却装置の車両への設置姿勢が、各図で示した車両進行方向に限定されるわけではない。
<実施例1>
【0017】
図1を参照する。図1には、車両用バッテリBaを冷却するためのバッテリ冷却系10が示されている。ハイブリッド車両や電気自動車等には、モータを駆動するための車両用バッテリBaが搭載されている。車両用バッテリBaは、作動することにより発熱するため、これを冷却する必要がある。
【0018】
バッテリ冷却系10は、車両用バッテリBaの下面に沿って配置され、内部を流れる冷却媒体によって車両用バッテリBaを冷却する車両用バッテリ冷却装置20(以下、「冷却装置20」と記す。)を備えている。冷却媒体には、例えば、凍結防止剤が添加された水が利用される。バッテリ冷却系10は、さらに車両用バッテリBaとの熱交換によって温度の上がった冷却媒体を冷却する流体冷却部12と、冷却媒体を循環させるためのポンプ13と、を有する。
【0019】
流体冷却部12には、冷却媒体の他に、例えば、車両の室内を空気調和するエアコン装置に用いられる冷媒の一部が流れる。冷却装置20を通過して加熱された冷却媒体は、エアコン装置からの冷媒によって、流体冷却部12において冷却される。
【0020】
なお、冷却装置20は、車両用バッテリBaの下面の他、上面や側面等、任意の面に沿って配置することができる。
【0021】
図2及び図3を参照する。冷却装置20は、円形状の複数の穴21ax、21ayが形成された板状のプレート部材21と、このプレート部材21の上面21b(第1面21b)に固定されている第1流路形成部材30と、プレート部材21の下面21c(第2面21c)に固定されている第2流路形成部材40x、40yと、プレート部材21に開けられた穴によって構成され低温の冷却媒体が流入する流体流入部25と、プレート部材21に開けられた穴によって構成され高温の冷却媒体が流出する流体流出部26と、流体流入部25に接続されている流入部接続部材27と、流体流出部26に接続されている流出部接続部材28と、を有する。
【0022】
金属板製のプレート部材21は、略矩形状を呈し、流体流入部25及び流体流出部26の形成されている部位21d、21eがそれぞれの辺から突出している。換言すれば、冷却媒体の流入及び流出に必要な部位のみが突出部21d、21eとして、略矩形状の部位から突出して形成されている。プレート部材21には、第1流路形成部材30及び第2流路形成部材40x、40yによって覆われ、冷却媒体が通過可能な複数の穴21ax、21ayが開けられている。
【0023】
プレート部材21は、ろう付けが可能な金属材料が用いられることが好ましい。例えば、アルミニウム合金、銅合金、ステンレス合金などが用いられる。
【0024】
プレート部材21は、穴21ax、21ay、流体流入部25、流体流出部26の形成も含め、プレス成形やレーザ加工によって形成することができる。
【0025】
穴21ax、21ayは、それぞれ同じ直径の円形状の穴である。穴21ax、21ayは、第1の穴グループ、及び、第2の穴グループの2つのグループに分けることができる。
【0026】
第1の穴グループに属する穴21axは、プレート部材21の面上をX方向に延びる線Lx上に開けられている。換言すれば、平面視において、線Lxは、第1の穴グループに属する穴21axの中心(重心)を通過している。第1の穴グループに属する穴21axは、それぞれの間隔がt1となるよう等間隔に開けられている。
【0027】
第2の穴グループに属する穴21ayは、プレート部材21の面上をY方向に延びる線Ly上に開けられている。換言すれば、平面視において、線Lyは、第2の穴グループに属する穴21ayの中心(重心)を通過している。第2の穴グループに属する穴21ayは、それぞれの間隔がt2となるよう等間隔に開けられている。
【0028】
X方向に延びる線Lx及びY方向に延びる線Lyは、互いに平行に、且つ、長方形状のプレート部材21の一辺に平行に延びている。第1の穴グループに属する穴21ax同士の間隔t1は、第2の穴グループに属する穴21ay同士の間隔t2に等しい。つまり、t1=t2である。
【0029】
なお、穴21ax、21ayの形状は、円形状以外の形状、例えば、長孔形状等であってもよい。また、1つ1つの穴の形状がそれぞれ異なっていてもよい。この場合であっても、線Lx、Lyが、穴21ax、21ayの中心(重心)を通過するよう、それぞれの穴21ax、21ayは、形成されていることが好ましい。
【0030】
図3を参照する。第1流路形成部材30は、プレート部材21の一辺に対して直交する方向に、それぞれ平行に4つ設けられている。第1流路形成部材30は、それぞれ同じ部材が用いられ、プレート部材21に対して、例えば、ろう付けによって固定されている。
【0031】
第1流路形成部材30は、例えば、アルミニウム合金、銅合金、ステンレス合金などにより形成される。ろう付け性を確保するために、第1流路形成部材30の材料は、プレート部材21と同系列の金属が選択される。
【0032】
第1流路形成部材30は、第1の穴グループに属する穴21ax、及び、第2の穴グループに属する穴21ayを1つずつ覆っている。
【0033】
図4を参照する。第1流路形成部材30は、それぞれ、断面が略U字状の第1空間を有し、プレート部材21の上面21bと第1空間とで冷却媒体の1面側流路R1を形成する。
【0034】
なお、第1流路形成部材30は、穴21ax、21ayが形成される位置によっては、プレート部材21に対して直交する方向ではなく、斜めに配置されていてもよい(図示せず)。第1の穴グループに属する穴21axの各穴と、第2の穴グループに属する穴21ayの各穴とを、気密性を確保しつつ、同じ数ずつ(例えば、1つずつ)覆うように配置されていればよい。
【0035】
図3及び図5を参照する。第2流路形成部材40x、40yは、断面が略U字状の第2空間を有し、第2面21cと第2空間とで冷却媒体の2面側流路R2を形成する。第2流路形成部材40x、40yは、プレート部材21に対して、例えば、ろう付けによって固定されている。
【0036】
第2流路形成部材40x、40yは、例えば、アルミニウム合金、銅合金、ステンレス合金などにより形成される。ろう付け性を確保するために、第2流路形成部材40x、40yの材料は、プレート部材21と同系列の金属が選択される。
【0037】
第2流路形成部材40x、40yは、プレート部材21の一辺に対して平行に、それぞれ平行に2つ設けられている。
【0038】
なお、第2流路形成部材40x、40yは、穴21ax、21ayが形成される位置によっては、プレート部材21に対して直交する方向ではなく、斜めに配置されていてもよい(図示せず)。第1の穴グループに属する穴21axの各穴を、気密性を確保しつつ、覆うように配置されていればよい。あるいは、第2の穴グループに属する穴21ayの各穴を、気密性を確保しつつ、覆うように配置されていればよい。
【0039】
第2流路形成部材40x、40yは、第1の穴グループに属する穴21ax及び流体流入部25に連通する一方側第2流路形成部材40xと、第2の穴グループに属する穴21ay及び流体流出部26に連通する他方側第2流路形成部材40yと、を有する。
【0040】
一方側第2流路形成部材40xは、第1の穴グループに属する穴21axの全て、及び、流体流入部25を覆い、他方側第2流路形成部材40yは、第2の穴グループに属する穴21ayの全て、及び、流体流出部26を覆っている。
【0041】
流体流入部25は、丸穴によって突出部21dに形成され、一方側第2流路形成部材40xの第2空間に臨んでいる。流体流入部25は、X方向に延びる線Lx上に形成されている。平面視において、線Lxは、流体流入部25の中心を通過している。
【0042】
流体流出部26は、丸穴によって突出部21eに形成され、他方側第2流路形成部材40yの第2空間に臨んでいる。流体流出部26は、Y方向に延びる線Ly上に形成されている。平面視において、線Lyは、流体流出部26の中心を通過している。
【0043】
冷却装置20の作用について説明する。
【0044】
図1を参照する。流体冷却部12において冷却された冷却媒体は、冷却装置20に送られる。
【0045】
図6を参照する。図6には、説明の便宜上、流入部接続部材27(図3参照)及び流出部接続部材28(図3参照)が外された冷却装置20が示されている。冷却媒体は、流体流入部25から一方側第2流路形成部材40xによって形成されている2面側流路R2に流入する。2面側流路R2を流れる冷却媒体の一部は、分岐点P1において分岐し、第1流路形成部材30-1(-1は、第1流路形成部材30を識別するための添え字。以下、図6において同じ。)によって形成された1面側流路R1を流れる。同様に、冷却媒体は、第1流路形成部材30-2~30-4に分岐され、それぞれによって形成された1面側流路R1を流れる。
【0046】
第1流路形成部材30-1~30-4の上面には、高温のバッテリBa(図1参照)が熱的に結合するように載置されている。1面側流路R1を通過する冷却媒体は、第1流路形成部材30-1~30-4を介して、バッテリBaを冷却する。即ち、熱交換を行う。バッテリBaの熱によって温められた冷却媒体は、他方側第2流路形成部材40yによって形成された2面側流路R2に流れ、合流部P2において合流する。合流した冷却媒体は、流体流出部26から流出する。
【0047】
図1を参照する。流体流出部26を通過して流出部接続部材28を流出した冷却媒体は、流体冷却部12に送られ、冷却され、再び冷却装置20に送られる。
【0048】
ところで、流体流入部25からの流路長が最も短い第1流路形成部材30-1は、流体流出部26からの流路長が最も長い。一方、流体流入部25からの流路長が最も長い第1流路形成部材30-4は、流体流出部26からの流路長が最も短い。換言すれば、流体流入部25及び流体流出部26の位置は、流体流入部25からの流路長の最も短い第1流路形成部材30-1が、流体流出部26までの流路長が最も長くなり、流体流入部25からの流路長の最も長い第1流路形成部材30-4が、流体流出部26までの流路長が最も短くなるよう設定されている。
【0049】
流体流入部25から流入し、流体流出部26から流出する冷却媒体の流路長は、いずれの第1流路形成部材30-1~30-4を通過した場合であっても同じである。
【0050】
以上に説明した冷却装置20は、以下の効果を奏する。
【0051】
図2を参照する。冷却装置20は、穴21ax、21ayが開けられているプレート部材21に、共に略U字状に形成された第1流路形成部材30及び第2流路形成部材40x、40yが重ねられてなる。プレート部材21に各流路形成部材30、40x、40yを重ね合わせることにより、各部品の位置決めを容易に行うことができる。位置決めが簡単で容易に組み立てることのできる車両用バッテリ冷却装置を提供することができる。
【0052】
加えて、第1流路形成部材30は、第1の穴グループに属する穴21axのいずれかと、第2の穴グループに属する穴21ayのいずれかと、を連通している。そして、第2流路形成部材40x、40yは、第1の穴グループに属する穴21axに連通する一方側第2流路形成部材40xと、第2の穴グループに属する穴21ayに連通する他方側第2流路形成部材40yと、を有する。一方側第2流路形成部材40x、40yと他方側第2流路形成部材40x、40yとを用いて、複数配置された第1流路形成部材30が形成する複数の1面側流路R1(図6参照)に、冷却媒体を分配し、かつ回収することができる。
【0053】
X方向と前記Y方向とは、平行であり、第1の穴グループに属する穴21axの数と、第2の穴グループに属する穴21ayの数と、は等しい。さらに、第1の穴グループに属する穴21axは、それぞれ等間隔(t1)に形成され、第2の穴グループに属する穴21ayは、それぞれ等間隔(t2)に形成されている。これらにより、複数の第1流路形成部材30をそれぞれ同じ部品で構成することができ、また一方側第2流路形成部材40x、40yと他方側第2流路形成部材40x、40yも同じ部品で構成することができる。部品の共通化を行って誤った位置への流路形成部材30、40x、40yの組付けを抑制し、組立作業の効率化を図ることができる。
【0054】
図6を参照する。流体流入部25からの流路長が最も短い前記第1流路形成部材30-1は、流体流出部26からの流路長が最も長く、流体流入部25からの流路長が最も長い第1流路形成部材30-4は、流体流出部26からの流路長が最も短いように、流体流入部25及び流体流出部26が配置されている。流体流入部25から流入した冷却媒体は、一方側第2流路形成部材40x、第1流路形成部材30、他方側第2流路形成部材40yを通過し、流体流出部26から流出する。第1流路形成部材30が複数配置されている場合であっても、流体流入部25から流体流出部26に至る各流路の長さを等しくし、それぞれの流路に流れる冷却媒体の量を均等にすることができる。車両用バッテリBa(図1参照)の全体を効率よく冷却することができ、望ましい。
【0055】
流体流入部25及び流体流出部26は、共にプレート部材21に開けられた穴によって構成されている。流体流入部25及び流体流出部26を、流路の一部を形成する穴21ax、21ayと一緒にプレス加工やレーザ加工によって形成することができる。加工に必要な工程が少なく済み、車両用バッテリ冷却装置20を安価にすることができる。
【0056】
<実施例2>
次に、実施例2による冷却装置20Aを図面に基づいて説明する。
【0057】
図7を参照する。実施例2による冷却装置20Aにおいては、実施例1による冷却装置20(図3参照)に、さらに延長部50が設けられている。その他の基本的な構成については、実施例1による冷却装置と共通する。実施例1と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0058】
延長部50は、他方側第2流路形成部材40yに接続され第1流路形成部材30に平行に延びる第1部材51と、この第1部材51の端部から直交する方向に延びている第2部材52と、を有する。
【0059】
第2部材52の端部に、流出部接続部材28が臨んでいる。流出部接続部材28は、流入部接続部材27に隣接して設けられている。つまり、流体流入部に隣接した位置に流体流出部が形成されている。
【0060】
なお、実施例2による冷却装置20Aにおいても、流入部接続部材27から流入し、流出部接続部材28から流出する冷却媒体の流路長は、いずれの第1流路形成部材30を通過した場合であっても同じである。
【0061】
以上に説明した車両用バッテリ冷却装置20Aも本発明所定の効果を奏する。
【0062】
加えて、他方側第2流路形成部材40yには、流体流出部26が流体流入部25と隣接する位置となるように延長する延長部50が接続されている。流体流入部25と流体流出部26とを近接させることができ、例えば、流体冷却部12(図1参照)とへ接続するための配管の接続構造をコンパクトにすることができる。
【0063】
なお、冷却媒体の流れを逆にし、流体流入部から延長部50を延ばし、流体流入部を流体流出部の近傍に配置した場合にも同様の効果を奏する。つまり、一方側第2流路形成部材には、流体流入部が流体流出部と隣接する位置となるように延長する延長部50が接続されていてもよい。この場合にも、車両用バッテリ冷却装置20Aの配管の接続構造をコンパクトにすることができる。
【0064】
<実施例3>
次に、実施例3による冷却装置20Bを図面に基づいて説明する。
【0065】
図8を参照する。実施例3による冷却装置20Bは、流体導入部(流入部接続部材27)及び流体流出部(流出部接続部材28)がプレート部材21の同じ辺上に形成されている。その他の基本的な構成については、実施例1及び/又は実施例2による冷却装置20、20Aと共通する。実施例1及び/又は実施例2と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0066】
なお、冷却装置20Bにおいては、通過する第1流路形成部材30によって、流路長が異なる。この場合、流路長が最も短くなる第1流路形成部材30(図面一番下側の第1流路形成部材30)により多くの流体が流れる。バッテリBa(図1参照)の一部が特に高温となる場合には、このような部位に当接する第1流路形成部材30の流路長を短くすることにより、より多くの流体を流すことができる。これにより、効率的にバッテリBaを冷却することができる。
【0067】
一方、各第1流路形成部材30によって構成される1面側流路R1により均一に流体を流すべく、穴21ax、21ayの大きさをそれぞれ異ならせることも可能である。例えば、流路長の長くなる部位における穴21ax、21ayの開口面積を、流路長の短くなる部位における穴21ax、21ayの開口面積よりも、相対的に大きくするように形成すればよい。
【0068】
以上に説明した冷却装置20Bも本発明所定の効果を奏する。
【0069】
冷却装置20Bは、略矩形板状のプレート部材21の同じ辺上に流体流入部(流入部接続部材27)及び流体流出部(流出部接続部材28)が形成されている。このため、延長部50(図7参照)を設けることなく、流体流入部及び流体流出部を近接して形成することができる。
【0070】
尚、各実施例に記載された事項は、適宜組み合わせることも可能である。また、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の車両用バッテリ冷却装置は、ハイブリッド車両に搭載するのに好適である。
【符号の説明】
【0072】
20、20A、20B…車両用バッテリ冷却装置
21…プレート部材、21ax…第1の穴グループに属する穴、21ay…第2の穴グループに属する穴、21b…上面(第1面)、21c…下面(第2面)
25…流体流入部
26…流体流出部
30…第1流路形成部材
40x…一方側第2流路形成部材、40y…他方側第2流路形成部材
Lx…X方向に延びる線、Ly…Y方向に延びる線
R1…1面側流路
R2…2面側流路
Ba…車両用バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8